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介介介介 介介介介介介介介介 介介介介介介介介介介介介介介介介介介介介介 介介介 平平29平 平平平 平平平平平 平平平平平

兵庫県 緊急時用トップページ · Web view兵庫県では、介護予防・日常生活支援総合事業により提供されるサービスのうち、緩和した基準によるサービスの担い手の養成研修を市町が実施する参考とするため、研修内容の検討を行ってきました。

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介 護 予 防 ・ 生 活 支 援 の 基 礎 知識

緩 和 し た 基 準 に よ る サ ー ビ ス の 担 い 手 養 成 研修 副 読 本

平 成 29 年 5 月

兵 庫 県 健 康 福 祉 部 少 子 高 齢 局

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は じ め に

平 成 26 年 の 介 護 保 険 法 の 改 正 に よ り 、 介 護

予 防 ・ 日 常 生 活 支 援 総 合 事 業 が 創 設 さ れ ま し

た 。 介 護 予 防 ・ 日 常 生 活 支 援 総 合 事 業 は 、 平

成 29 年 度 か ら 全 て の 市 町 で 実 施 さ れ て い ま す 。

  兵 庫 県 で は 、 介 護 予 防 ・ 日 常 生 活 支 援 総 合

事 業 に よ り 提 供 さ れ る サ ー ビ ス の う ち 、 緩 和

し た 基 準 に よ る サ ー ビ ス の 担 い 手 の 養 成 研 修

を 市 町 が 実 施 す る 参 考 と す る た め 、 研 修 内 容

の 検 討 を 行 っ て き ま し た 。

  兵 庫 県 で は 、 緩 和 し た 基 準 に よ る サ ー ビ ス

の 担 い 手 に 求 め ら れ る 資 質 と し て 、 次 の 4 つ

の こ と を 養 成 研 修 の 達 成 目 標 と し ま す 。

○  高 齢 者 等 の 尊 厳 を 保 持 し 、 権 利 を 擁 護

す る と と も に 、 高 齢 者 等 や そ の 家 族 と 適

切 な コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン を と り 、 信 頼 関

係 を 構 築 で き る こ と 。

○  単 に 掃 除 、 調 理 、 買 物 な ど の 支 援 を 行

う だ け で は な く 、 高 齢 者 等 の 有 す る 能 力

を 活 か し 、 そ の 意 欲 に 働 き か け な が ら 、

高 齢 者 等 が 自 立 し た 日 常 生 活 を 続 け ら れ

る よ う な 支 援 を 行 え る こ と 。

○  心 身 機 能 、 活 動 、 参 加 に バ ラ ン ス 良 く

働 き か け る 介 護 予 防 に 関 す る 基 本 的 な 知

識 が あ る こ と 。 ま た 、 認 知 症 の 早 期 発 見

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の 意 義 な ど を 理 解 し て い る こ と 。

○  地 域 住 民 、 地 域 包 括 支 援 セ ン タ ー 、 生

活 支 援 コ ー デ ィ ネ ー タ ー 、 そ の 他 の 介 護

予 防 ・ 生 活 支 援 の 担 い 手 と 良 好 な 関 係 を

築 き 、 適 切 に 連 携 で き る こ と 。

こ の 冊 子 は 、 兵 庫 県 に お け る 緩 和 し た 基 準

に よ る サ ー ビ ス の 担 い 手 の 活 動 に 必 要 な 基 礎

知 識 を ま と め た も の で す 。 こ の よ う な 知 識 に

基 づ き 、 さ ら に 研 修 を 通 じ て 、 よ り 実 践 的 な

支 援 の 知 識 や 技 術 を 得 る こ と に よ り 、 高 齢 者

な ど が 新 し い 担 い 手 と し て 参 画 し 、 高 齢 者 等

が 地 域 で 安 心 し て 暮 ら せ る 社 会 の 構 築 に 貢 献

し て い た だ け れ ば 幸 い で す 。

平 成 29 年 5 月

兵 庫 県 健 康 福 祉 部 少 子

高 齢 局 高 齢 対 策 課

2

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目     次

Ⅰ   緩 和 し た 基 準 に よ る サ ー ビ ス の 担 い 手 の

職 務 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・   3

1.業務内容  2.職業倫理  3.安全管理  4.感染防止対策

Ⅱ   介 護 予 防 ・ 日 常 生 活 支 援 総 合 事

業 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

・ ・   6

1.介護予防・日常生活支援総合事業とは   2.介護予防・日常生活支援総合事

業の対象者

3.介護予防・生活支援サービス事業の類型

4.介護予防・生活支援サービス事業の利用の流れ  5.住民を主体とした地域づ

くりの取組

Ⅲ   介 護 保 険 制 度 な ど の 関 連 制

度 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

・ ・ ・ ・   9

1.介護保険制度  2.障害者総合支援法  3.生活困窮者自立支援制度

Ⅳ   高 齢 者 等 の 尊 厳 の 保 持 と 権 利 擁

護 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

・   1 2

1.高齢者等の尊厳の保持  2.高齢者の虐待の防止  3.個人情報とプライバ

シーの保護

4.成年後見制度など

Ⅴ   高 齢 者 等 や そ の 家 族 と の コ ミ ュ ニ ケ ー

シ ョ ン ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・   1

1.コミュニケーションの意義  2.高齢者等とのコミュニケーションに必要な能

力や姿勢

3.高齢者等の状況に応じたコミュニケーション  4.家族とのコミュニケーショ

3

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Ⅵ   高 齢 者 等 の 自 立 支

援 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・   1 8

1.自立支援の考え方  2.自立を促進する生活支援

Ⅶ   障 害 の 理 解 と 介 護 予

防 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

・ ・ ・ ・ ・ ・   2 0

1.障害の理解(国際生活機能分類(ICF )の考え方)  2.介護予防の考え方

3.住民運営の通いの場  4.専門職の役割

Ⅷ   認 知 症 に つ い て の 理

解 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

・ ・ ・ ・ ・ ・   2 3

1.認知症の症状  2.認知症の人の推計数  3.認知症の早期発見の取組

4.認知症の地域支援体制

Ⅸ   地 域 住 民 や 他 の 支 援 者 と の 連

携 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

・ ・   2 5

1.地域包括ケア  2.地域ケア会議  3.チームケア

Ⅰ 緩 和 し た 基 準 に よ る サ ー ビ ス の 担 い 手 の職 務

1 . 業 務 内 容

  緩 和 し た 基 準 に よ る サ ー ビ ス の 担 い 手 は 、

介 護 予 防 ・ 日 常 生 活 支 援 総 合 事 業 の 担 い 手 と

し て 、 高 齢 者 等 に 介 護 予 防 ・ 生 活 支 援 の サ ー

ビ ス を 提 供 し 、 高 齢 者 等 の 自 立 し た 日 常 生 活

を 支 援 し ま す 。 具 体 的 に は 、 介 護 予 防 ・ 日 常

生 活 支 援 総 合 事 業 の う ち 、 主 に 訪 問 型 の サ ー

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ビ ス を 一 定 の 専 門 的 な 知 識 や 技 術 を も っ て 担

う こ と が 期 待 さ れ て い ま す 1 。

  訪 問 型 の サ ー ビ ス は 、 高 齢 者 等 の 自 宅 を 訪

問 し 、 掃 除 、 洗 濯 、 調 理 、 買 物 な ど の 支 援 を

行 い ま す 。 ま た 、 高 齢 者 等 の 相 談 相 手 に な っ

た り 、 生 活 に 必 要 な 助 言 を 行 っ た り し て 、 高

齢 者 等 を 精 神 的 に 支 え る こ と も 大 切 な 役 割 で

す 。 た だ の 「 お 手 伝 い さ ん 」 で は な く 、 心 身

の 両 面 で 高 齢 者 等 を 支 え 、 高 齢 者 等 が 住 み 慣

れ た 自 宅 な ど で 自 立 し た 生 活 を 続 け ら れ る よ

う に 支 援 し て い く こ と が 必 要 で す 。

  介 護 予 防 ・ 日 常 生 活 支 援 総 合 事 業 は 、 国 民

が 支 払 う 保 険 料 と 税 金 を 主 な 財 源 と す る 公 的

な サ ー ビ ス で す 。 こ の た め 、 公 的 な サ ー ビ ス

に 相 応 し い 内 容 が 求 め ら れ ま す 。 訪 問 型 サ ー

ビ ス で は 、 本 人 で は な く 家 族 の た め の 支 援 を

行 う こ と 、 ペ ッ ト の 世 話 と い っ た 必 ず し も 生

活 に 不 可 欠 と は 言 え な い こ と 、 大 掃 除 や 家 の

修 理 と い っ た 非 日 常 的 な こ と は 、 支 援 の 対 象

に は な じ み ま せ ん 。 詳 細 は 、 サ ー ビ ス の 内 容

を 決 め て い る 市 町 に ご 相 談 く だ さ い 。

2 . 職 業 倫 理

  緩 和 し た 基 準 に よ る サ ー ビ ス の 担 い 手 に 求

め ら れ る 職 業 倫 理 で 最 も 重 要 な こ と は 、 高 齢

者 等 を 人 と し て 尊 重 す る こ と で す 。 虐 待 な ど

の 権 利 侵 害 は 、 決 し て あ っ て は な ら な い こ と

で す 。 高 齢 者 等 に は 、 支 援 が 必 要 に な っ て も 、

自 分 ら し く 生 き が い を 感 じ な が ら 暮 ら す 権 利

が あ り ま す 。 こ の よ う な 高 齢 者 等 の 権 利 を 保

障 す る 職 責 を 担 っ て い る こ と を 自 覚 し 、 誇 り

と 責 任 を 感 じ な が ら 、 職 務 を 遂 行 し ま し ょ う 。

1 介護予防・日常生活支援総合事業のサービスの中で、緩和した基準によるサービスの担い手が担い手として期待されているものについては、7ページも参照してください。

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  ま た 、 単 に 掃 除 や 洗 濯 、 買 物 な ど を 代 行 す

る の で は な く 、 高 齢 者 等 の 自 立 を 支 援 す る 専

門 家 で あ る と い う 意 識 を 持 ち 、 そ の た め に 必

要 な 知 識 や 技 術 の 継 続 的 な 習 得 に 努 め る こ と

が 大 切 で す 。 自 己 流 の 方 法 で は な く 、 科 学 的

な 根 拠 に 基 づ く 支 援 の 実 践 を 目 指 し ま し ょ う 。

  本 人 を 主 体 に す る と い っ て も 、 そ の 言 い な

り に な る わ け で は あ り ま せ ん 。 高 齢 者 等 に

と っ て 本 当 に 必 要 な こ と は 何 か を 客 観 的 に 考

え 、 本 人 や 家 族 と 話 し 合 い 、 意 欲 に 働 き か け

て い く こ と も 大 切 で す 。 そ の た め に も 、 本 人

や 家 族 と の 信 頼 関 係 の 構 築 が 不 可 欠 で す 。

  高 齢 者 等 の 生 活 は 、 一 人 で 支 え ら れ る わ け

で は あ り ま せ ん 。 地 域 住 民 、 介 護 や 医 療 な ど

様 々 な 分 野 の 専 門 職 な ど が 、 そ れ ぞ れ の 得 意

分 野 を 活 か し て 、 切 れ 目 の な い 支 援 を 行 い ま

す 。 地 域 住 民 や 他 の 専 門 職 と 良 好 な 協 力 関 係

を 築 き 、 謙 虚 に 学 び 合 う こ と も 、 職 務 の 遂 行

に 欠 か せ ま せ ん 。

3 . 安 全 管 理

  高 齢 者 等 の 自 宅 な ど を 訪 問 し て 支 援 を 行 う

場 合 、 高 齢 者 等 と 二 人 だ け に な る 機 会 も 多 く

あ り 、 ま た 、 介 護 施 設 の よ う に 人 員 や 設 備 が

揃 っ て い る わ け で も あ り ま せ ん 。 こ の よ う な

状 況 で 、 高 齢 者 等 の 安 全 の 確 保 に 十 分 に 配 慮

し な が ら 、 支 援 を 行 う 必 要 が あ り ま す 。

  残 念 な が ら 、 事 故 な ど の 発 生 を 完 全 に 防 ぐ

こ と は 難 し く 、 ま た 、 高 齢 者 等 の 自 宅 を 訪 問

し て い る と き に 、 絶 え 間 な く 高 齢 者 等 を 見

守 っ て い ら れ る わ け で も あ り ま せ ん 。 掃 除 を

し て い る 最 中 に 隣 の 部 屋 で 転 倒 し て も 、 防 ぎ

よ う が な い か も 知 れ ま せ ん 。 こ の よ う な 点 に

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つ い て 、 あ ら か じ め 本 人 や 家 族 の 理 解 を 得 て

お く こ と も 必 要 で す 。 し か し な が ら 、 事 故 な

ど が 起 こ ら な い よ う に 、 考 え ら れ る 対 策 を

し っ か り 実 行 し て お く こ と が 極 め て 重 要 で す 。

  介 護 な ど の 現 場 で 多 く 発 生 す る 事 故 は 、 歩

行 中 な ど の 転 倒 、 椅 子 や ベ ッ ド な ど か ら の 転

落 、 飲 食 物 な ど が 喉 に 詰 ま っ た り 、 気 管 に

入 っ て し ま っ た り す る 誤 飲 や 誤 嚥 で す 。 さ ら

に 事 故 で は な く て も 、 訪 問 中 に 高 齢 者 等 が 急

病 を 発 す る こ と も あ り ま す 。 介 護 予 防 ・ 日 常

生 活 支 援 総 合 事 業 の 対 象 者 は 、 介 護 が 必 要 な

人 に 比 べ て 自 立 し て い ま す が 、 事 故 な ど の 危

険 が な い わ け で は あ り ま せ ん 。 む し ろ 自 分 で

動 け る 分 、 危 険 が 増 す 面 も あ り ま す 。

高 齢 者 等 の 安 全 の 確 保 は 、 個 人 任 せ で は な

く 、 事 業 所 な ど が 組 織 的 に 取 り 組 む べ き も の

で す 。 日 頃 か ら 、 い わ ゆ る ヒ ヤ リ ・ ハ ッ ト 事

例 2 の 蓄 積 、 本 人 や 家 族 か ら の 苦 情 へ の 対 応

な ど を 通 じ て 、 事 故 な ど を 起 こ す 要 因 を 分 析

し 、 そ れ を 回 避 す る た め の 支 援 の 手 順 や 注 意

事 項 な ど を 決 め て お く こ と が 重 要 で す 。 さ ら

に 個 々 の 高 齢 者 等 の 心 身 の 状 況 や 生 活 の 環 境

に 応 じ て 、 転 倒 防 止 の た め に 自 宅 の 段 差 を 解

消 す る 、 誤 嚥 防 止 の た め に 調 理 の 仕 方 を 工 夫

す る と い っ た 対 応 を 考 え ま す 。 ま た 、 事 故 な

ど が 発 生 し た と き の 対 応 も 決 め て お き ま す 。

高 齢 者 等 の 支 援 を 行 う 人 は 、 こ の よ う に し

て 決 め ら れ た 支 援 の 手 順 や 注 意 事 項 な ど を 遵

守 し な け れ ば な り ま せ ん 。 経 験 の 豊 か な ベ テ

ラ ン の 人 で あ っ て も 、 自 分 の や り 方 を 過 信 し

て 、 職 場 の ル ー ル を 軽 視 す る よ う な こ と が な

い よ う に 注 意 が 必 要 で す 。 こ の ほ か 、 体 調 不

2 ヒヤリ・ハット事例とは、重大な事故にはならなかったものの、一歩間違えば、重大な事故が起きていたかも知れないミスなどのことを言います。1件の重大な事故の背景には、29件の軽い事故があり、さらに 300件の事故寸前のヒヤリ・ハット事例があると言われています(ハインリッヒの法則)。

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良 や 気 分 が 落 ち 着 か な い 状 態 で 支 援 に 臨 ま な

い こ と 、 注 意 不 足 や 勘 違 い な ど に よ る ミ ス を

防 ぐ た め の 確 認 を 怠 ら な い よ う に す る こ と な

ど に 気 を つ け ま し ょ う 。

4 . 感 染 防 止 対 策

  感 染 症 に は 、 手 で 触 る こ と で 感 染 ( 接 触 感

染 ) す る 疥 癬 や ノ ロ ウ イ ル ス 、 空 気 中 の 細 菌

や ウ イ ル ス か ら 感 染 ( 空 気 感 染 ) す る 結 核 、

咳 や く し ゃ み な ど で 感 染 ( 飛 沫 感 染 ) す る 風

邪 や イ ン フ ル エ ン ザ 、 血 液 な ど で 感 染 ( 血 液

感 染 ) す る ウ イ ル ス 性 肝 炎 な ど 、 様 々 な も の

が あ り ま す 。

  高 齢 者 等 に 身 近 に 接 し て 支 援 を 行 う に あ た

り 、 こ れ ら の 感 染 症 に 自 分 が 感 染 し な い よ う

に す る と と も に 、 人 に 感 染 さ せ な い よ う に す

る こ と が 重 要 で す 。

  感 染 防 止 対 策 は 、 そ れ ぞ れ の 感 染 症 の 感 染

経 路 に よ っ て 異 な り ま す が 、 一 般 的 に は 、 先

ず は 入 念 な 手 洗 い と う が い を 心 が け ま し ょ う 。

最 近 は 、 消 毒 用 の ア ル コ ー ル を 備 え 付 け て い

る と こ ろ も 多 く あ り ま す が 、 消 毒 を し た か ら

と い っ て 、 手 洗 い を 省 略 し て 良 い わ け で は あ

り ま せ ん 。

高 齢 者 等 の 咳 が 続 い て い る よ う な と き は 、

マ ス ク を し ま す 。 さ ら に 血 液 、 便 や 尿 、 吐 瀉

物 な ど に は 直 接 触 れ な い よ う に し て 、 こ れ ら

が 付 い た 床 の 掃 除 や タ オ ル の 洗 濯 な ど を 行 う

場 合 は 、 ビ ニ ー ル か ゴ ム の 手 袋 、 さ ら に マ ス

ク や エ プ ロ ン を 着 用 し ま し ょ う 。 手 袋 な ど は

使 い 捨 て の も の を 使 い 、 使 用 後 は 身 体 な ど に

付 か な い よ う に 注 意 し 、 速 や か に 廃 棄 し ま す 。

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  高 齢 者 等 の 体 調 が 悪 そ う で あ れ ば 、 医 師 の

受 診 を 勧 め ま し ょ う 。 ま た 、 体 力 が 落 ち て い

る と き は 感 染 し や す い の で 、 自 分 自 身 の 体 調

管 理 に も 気 を つ け ま し ょ う 。

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Ⅱ 介 護 予 防 ・ 日 常 生 活 支 援 総 合 事 業

1 . 介 護 予 防 ・ 日 常 生 活 支 援 総 合 事 業 と は

  介 護 予 防 ・ 日 常 生 活 支 援 総 合 事 業 は 、 地 域

の 様 々 な 主 体 が 協 力 し て 、 高 齢 者 等 の 介 護 予

防 と 生 活 支 援 を 一 体 的 に 切 れ 目 な く 提 供 し 、

高 齢 者 等 が 地 域 で 自 立 し た 生 活 を 続 け て い け

る よ う に 支 援 す る も の で す 。 介 護 保 険 制 度 の

事 業 の 一 つ に 位 置 づ け ら れ て い ま す 。

  介 護 予 防 と は 、 機 能 訓 練 、 活 動 や 参 加 の 支

援 を バ ラ ン ス 良 く 行 い な が ら 、 介 護 や 支 援 が

必 要 な 状 態 に な る こ と を 予 防 し 、 ま た 、 介 護

や 支 援 が 必 要 な 状 態 の 改 善 や 悪 化 の 防 止 を 図

る こ と で す 。

ま た 、 生 活 支 援 と は 、 掃 除 、 調 理 、 買 物 な

ど の 援 助 、 見 守 り や 交 流 な ど を 行 う こ と に よ

り 、 住 み 慣 れ た 自 宅 な ど で の 生 活 を 続 け ら れ

る よ う に 支 え る こ と で す 。

2 . 介 護 予 防 ・ 日 常 生 活 支 援 総 合 事 業 の 対 象

  介 護 予 防 ・ 日 常 生 活 支 援 総 合 事 業 は 、 ① 訪

問 や 通 所 の サ ー ビ ス 、 見 守 り や 配 食 な ど を 行

う 介 護 予 防 ・ 生 活 支 援 サ ー ビ ス 事 業 、 ② 住 民

の 普 及 啓 発 、 住 民 が 主 体 的 に 行 う 体 操 な ど の

介 護 予 防 活 動 の 支 援 な ど を 行 う 一 般 介 護 予 防

事 業 の 2 つ に 分 け ら れ ま す 。

  介 護 予 防 ・ 生 活 支 援 サ ー ビ ス 事 業 の 対 象 は

市 町 か ら 、 介 護 保 険 の 要 支 援 の 認 定 を 受 け た

人 、 25 問 の 質 問 か ら な る 基 本 チ ェ ッ ク リ ス ト

で 要 支 援 に 相 当 す る と 判 断 さ れ た 人 で す 。

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  一 般 介 護 予 防 事 業 は 、 特 に 対 象 者 の 限 定 は

な く 、 高 齢 者 一 般 が 参 加 で き ま す 。

図 1   介 護 予 防 ・ 日 常 生 活 支 援 総 合 事 業 の

体 系

3 . 介 護 予 防 ・ 生 活 支 援 サ ー ビ ス 事 業 の 類 型

  介 護 予 防 ・ 生 活 支 援 サ ー ビ ス 事 業 に よ り 提

供 さ れ る サ ー ビ ス の 内 容 は 、 各 市 町 が 地 域 の

実 情 に 応 じ て 決 定 し ま す 。 国 は 、 各 市 町 が

サ ー ビ ス の 内 容 を 決 め る た め の 参 考 と し て 、

サ ー ビ ス の 類 型 を 例 示 し て お り 、 訪 問 型 サ ー

ビ ス の 類 型 の 例 は 表 1 の と お り で す 3 。

表 1   訪 問 型 サ ー ビ ス の 類 型

種別 内容

現行相当 訪問介護員による身体介護や生活支援(総合事業が導

入される前の介護予防訪問介護(ホームヘルプ)に相

当するサービス)

訪問型サービスA

(緩和した基準によるサー

主に雇用されている労働者により提供される生活支援

等(従来の介護予防訪問介護の基準よりも緩和された

3 通所型サービスでも、同じような考え方で、現行相当、通所型サービスA(緩和した基準によるサービス)、通所型サービスB(住民主体による支援)、通所型サービスC(短期集中予防サービス)が例示されています。

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ビス) 基準によるサービス)

訪問型サービスB

(住民主体による支援)

有償、無償のボランティア等により提供される住民主

体の自主活動として行われる生活支援等

訪問型サービスC

(短期集中予防サービス)

体力の改善などが必要な場合に、保健医療の専門職か

ら3~6か月の短期間で集中的に提供される相談指導

訪問型サービスD(移動支

援)

移動支援や移送前後の生活支援

  緩 和 し た 基 準 に よ る サ ー ビ ス の 担 い 手 は 、

表 1 の サ ー ビ ス の 類 型 の う ち 、 主 に ① 訪 問 型

サ ー ビ ス A や こ れ に 類 す る サ ー ビ ス に 従 事 す

る こ と 、 ② 訪 問 型 サ ー ビ ス B や こ れ に 類 す る

サ ー ビ ス で 中 心 的 な 役 割 を 果 た す こ と が 期 待

さ れ て い ま す 。

4 . 介 護 予 防 ・ 生 活 支 援 サ ー ビ ス 事 業 の 利 用

の 流 れ

  介 護 予 防 ・ 生 活 支 援 サ ー ビ ス 事 業 を 利 用 し

た い 人 は 、 市 町 の 窓 口 に 相 談 し て 、 要 支 援 の

認 定 を 受 け る か 、 基 本 チ ェ ッ ク リ ス ト で 対 象

者 と 判 断 さ れ る 必 要 が あ り ま す 。

  そ し て 、 サ ー ビ ス の 対 象 に な る と 判 断 さ れ

た 人 は 、 地 域 包 括 支 援 セ ン タ ー 4 ( ま た は 地

域 包 括 支 援 セ ン タ ー の 委 託 を 受 け た 居 宅 介 護

支 援 事 業 所 5 ) で 、 介 護 予 防 ケ ア マ ネ ジ メ ン

ト の 手 続 を 受 け ま す 。

介 護 予 防 ケ ア マ ネ ジ メ ン ト は 、 高 齢 者 等 の

4 地域包括支援センターは、地域の高齢者の総合相談窓口です。一覧は県のホームページでご覧いただけます。

地域包括支援センター一覧 https://web.pref.hyogo.lg.jp/hw18/hw18_000000027.html

5 居宅介護支援事業所は、介護保険サービスの利用に必要なケアプランの作成や給付の管理を行う介護支援専門員(ケアマネジャー)が所属する事務所です。

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心 身 の 状 態 や 生 活 の 環 境 を 評 価 し 、 解 決 す べ

き 課 題 を 明 ら か に し た 上 で 、 援 助 の 目 標 や 方

針 を 設 定 し 、 提 供 す る サ ー ビ ス を 決 め る 重 要

な 手 続 で す 。 介 護 予 防 ・ 日 常 生 活 支 援 総 合 事

業 で は 、 高 齢 者 等 の 状 態 や 本 人 の 希 望 な ど を

踏 ま え 、 通 常 の 原 則 的 な ケ ア マ ネ ジ メ ン ト の

ほ か 、 簡 略 化 し た ケ ア マ ネ ジ メ ン ト や 初 回 の

み の ケ ア マ ネ ジ メ ン ト を 行 う こ と も で き る と

さ れ て い ま す 。

緩 和 し た 基 準 に よ る サ ー ビ ス の 担 い 手 は 、

介 護 予 防 ケ ア マ ネ ジ メ ン ト に よ る 援 助 の 目 標

や 方 針 に 沿 っ た 支 援 を 行 わ な け れ ば な り ま せ

ん 。

  図 2   介 護 予 防 ・ 生 活 支 援 サ ー ビ ス 事 業 の

利 用 の 流 れ

5 . 住 民 を 主 体 と し た 地 域 づ く り の 取 組

  介 護 費 用 の 増 加 や 介 護 人 材 の 不 足 が 課 題 と

な っ て い る 中 で 、 公 的 な サ ー ビ ス や 専 門 の 介

護 人 材 に 頼 ら な く て も 、 住 民 が 自 ら 健 康 づ く

り に 取 り 組 ん だ り 、 住 民 同 士 が 自 分 た ち で 出

来 る こ と を 助 け 合 っ た り す る こ と が 、 ま す ま

す 必 要 に な っ て き て い ま す 。

  さ ら に 高 齢 者 等 が 地 域 で 孤 立 せ ず 、 社 会 の

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一 員 と し て 暮 ら し て い く た め に は 、 介 護 や 医

療 の 専 門 的 な サ ー ビ ス だ け で な く 、 近 隣 の 住

民 な ど と の 暖 か い 交 流 や 支 え 合 い が 欠 か せ ま

せ ん 。 多 く の 人 に と っ て 、 豊 か な 人 間 関 係 は

充 実 し た 生 活 に 欠 か せ な い も の で す 。 高 齢 者

自 身 が 支 え 合 い の 担 い 手 に な れ ば 、 そ の 人 の

健 康 づ く り や 生 き が い に つ な が り ま す 。

  こ の た め 、 介 護 予 防 ・ 日 常 生 活 支 援 総 合 事

業 で は 、 住 民 を は じ め と す る 地 域 の 多 様 な 主

体 が 、 困 っ た こ と が あ れ ば 助 け 合 え る よ う な

地 域 づ く り を 進 め て い く こ と と さ れ て い ま す 。

  こ の よ う な 地 域 の 支 え 合 い の 仕 組 み を つ く

り 、 広 げ て い く た め 、 住 民 や 介 護 予 防 ・ 生 活

支 援 の 関 係 者 が 集 ま り 、 地 域 の 課 題 や そ の 解

決 に 向 け た 活 動 な ど に つ い て 話 し 合 う 「 生 活

支 援 協 議 体 」 を 各 地 域 に 設 置 し て い く こ と と

さ れ て い ま す 。

ま た 、 県 の 研 修 を 受 け た 「 生 活 支 援 コ ー

デ ィ ネ ー タ ー 」 を 地 域 包 括 支 援 セ ン タ ー や 社

会 福 祉 協 議 会 な ど に 配 置 し 、 地 域 の 支 え 合 い

の 担 い 手 の 発 掘 や 育 成 、 連 携 の 強 化 に 取 り 組

む こ と と し て い ま す 。

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Ⅲ 介 護 保 険 制 度 な ど の 関 連 制 度

1 . 介 護 保 険 制 度

( 1 ) 介 護 保 険 制 度 の 概 要

  介 護 保 険 制 度 は 、 介 護 が 必 要 な 高 齢 者 等 を

社 会 で 連 帯 し て 支 え る た め 、 平 成 12 年 度 か ら

実 施 さ れ て い ま す 。 40 歳 以 上 の 人 が 支 払 う 保

険 料 と 市 町 、 県 、 国 が 負 担 す る 公 費 を 財 源 と

し て 、 訪 問 介 護 ( ホ ー ム ヘ ル プ ) 、 通 所 介 護

( デ イ サ ー ビ ス ) 、 短 期 入 所 ( シ ョ ー ト ス テ

イ ) 、 特 別 養 護 老 人 ホ ー ム と い っ た 様 々 な

サ ー ビ ス を 提 供 し て い ま す 。

  介 護 保 険 の 介 護 給 付 や 予 防 給 付 を 受 け た い

場 合 は 、 市 町 で 要 介 護 認 定 や 要 支 援 認 定 を 受

け る 必 要 が あ り ま す 。 要 介 護 認 定 や 要 支 援 認

定 は 、 介 護 や 支 援 が 必 要 な 状 態 で あ る こ と を

認 定 す る も の で 、 状 態 が 軽 い 方 か ら 、 要 支 援

1 ~ 2 、 要 介 護 1 ~ 5 の 7 段 階 と な っ て い ま

す 。 40 歳 以 上 65 歳 未 満 の 人 は 、 加 齢 に 伴 う 疾

病 ( 末 期 が ん や 初 老 期 の 認 知 症 な ど 16 の 疾 患

が 定 め ら れ て い て 、 特 定 疾 患 と 呼 ば れ ま す )

に よ り 、 介 護 や 支 援 が 必 要 と な っ た 場 合 に 限

り 、 給 付 を 受 け る こ と が で き ま す 。

サ ー ビ ス を 利 用 す る と き は 、 利 用 者 が 介 護

事 業 所 や 施 設 を 選 び 、 契 約 を 結 び ま す 。 サ ー

ビ ス の 提 供 に 要 し た 費 用 の 原 則 と し て 1 割

( 一 定 以 上 の 所 得 の あ る 人 は 2 割 ) を 利 用 者

負 担 と し て 支 払 い 、 残 り は 保 険 か ら 給 付 さ れ

ま す 。

  ま た 、 要 介 護 認 定 や 要 支 援 認 定 を 受 け た 人

が 受 け る 介 護 給 付 や 予 防 給 付 と は 別 に 、 市 町

は 、 地 域 包 括 支 援 セ ン タ ー の 運 営 、 医 療 と 介

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護 の 連 携 、 認 知 症 の 人 へ の 支 援 な ど の 地 域 支

援 事 業 を 実 施 し て い ま す 。 介 護 予 防 ・ 日 常 生

活 支 援 総 合 事 業 も 、 地 域 支 援 事 業 の 一 つ で す 。

給 付 や 事 業 の 体 系 は 、 次 の ペ ー ジ の 図 3 と

図 4 を 参 照 し て く だ さ い 。

( 2 ) 介 護 保 険 制 度 の 利 用 状 況 と 今 後 の 見 通

県 内 で 要 介 護 認 定 や 要 支 援 認 定 を 受 け て い

る 人 は 、 平 成 12 年 度 の 約 10 万 7 千 人 ( 65 歳 以

上 高 齢 者 の 約 11.1 % ) か ら 、 平 成 26 年 度 は 約

27 万 4 千 人 ( 同 約 18.8% ) に 増 え て い ま す 。 介

護 保 険 制 度 に よ り 、 多 く の 人 が 介 護 サ ー ビ ス

を 利 用 で き る よ う に な り ま し た が 、 そ の 分 、

費 用 も 増 え て き て い ま す 。 65 歳 以 上 の 人 が 支

払 う 保 険 料 の 県 平 均 は 、 平 成 12 年 度 の 月 2,903円 か ら 、 平 成 28 年 度 は 月 5,440 円 ま で 上 が っ て

お り 、 こ の ま ま で は 平 成 37 年 度 に は 月 8,000 円

程 度 に な る と 見 込 ま れ て い ま す 。

こ の た め 、 で き る 限 り 介 護 が 必 要 と な ら な

い よ う に す る た め の 介 護 予 防 の 取 組 、 住 民 同

士 の 支 え 合 い 活 動 な ど が 、 ま す ま す 重 要 に

な っ て き て い ま す 。

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図 3   介 護 保 険 サ ー ビ ス ( 介 護 給 付 と 予 防

給 付 )

図 4   地 域 支 援 事 業 の 体 系

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2 . 障 害 者 総 合 支 援 法

障 害 者 総 合 支 援 法 6 は 、 地 域 社 会 に お け る

共 生 の 実 現 に 向 け て 、 障 害 者 ( 18 歳 以 上 の 身

体 障 害 者 、 知 的 障 害 者 、 発 達 障 害 者 を 含 む 精

神 障 害 者 、 難 病 患 者 ) に 福 祉 サ ー ビ ス な ど を

総 合 的 に 提 供 す る 制 度 と し て 、 平 成 25 年 度 か

ら 実 施 さ れ て い ま す 。

障 害 者 総 合 支 援 法 で は 、 市 町 の 支 給 決 定 を

受 け て 、 ホ ー ム ヘ ル プ や シ ョ ー ト ス テ イ な ど

の 介 護 給 付 、 就 労 移 行 や 就 労 継 続 な ど の 訓 練

等 給 付 な ど の 支 援 を 受 け る こ と が で き ま す 。

ホ ー ム ヘ ル プ の よ う に 介 護 保 険 制 度 で 同 種

の サ ー ビ ス を 受 け ら れ る 場 合 は 、 原 則 と し て

介 護 保 険 制 度 を 優 先 し て 使 う も の と さ れ て い

ま す が 、 市 町 の 個 別 の 判 断 に よ り 、 障 害 者 総

合 支 援 法 の サ ー ビ ス を 利 用 で き る 場 合 も あ り

ま す 。

3 . 生 活 困 窮 者 自 立 支 援 制 度

  生 活 困 窮 者 自 立 支 援 制 度 は 、 仕 事 や 住 居 が

な い な ど 生 活 に 困 っ て い る 人 が 、 生 活 保 護 の

受 給 に 至 ら な い よ う に 支 援 す る た め 、 平 成 27年 度 か ら 実 施 さ れ て い ま す 。

  こ の 制 度 で は 、 市 や 県 の 福 祉 事 務 所 な ど で

就 労 な ど の 相 談 を 受 け て 、 自 立 に 向 け た 計 画

を 立 て る と と も に 、 離 職 に よ っ て 住 居 を 失 っ

た 生 活 困 窮 者 な ど に 対 し て 、 家 賃 相 当 額 の 給

付 金 を 支 給 し ま す 。

さ ら に 福 祉 事 務 所 に よ っ て 、 就 労 に 必 要 な

訓 練 、 住 居 の な い 人 へ の 宿 泊 場 所 や 衣 食 の 一

時 的 な 提 供 、 家 計 に 関 す る 相 談 や 貸 付 の あ っ

6 障害者総合支援法の正式な名称は、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」です。

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せ ん 、 子 ど も の 学 習 支 援 な ど の 事 業 を 任 意 で

実 施 し て い ま す 。

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Ⅳ 高 齢 者 等 の 尊 厳 の 保 持 と 権 利 擁 護

1 . 高 齢 者 等 の 尊 厳 の 保 持

  介 護 保 険 制 度 は 、 介 護 が 必 要 な 高 齢 者 等 の

尊 厳 の 保 持 を 理 念 に 掲 げ て い ま す 。

人 は 誰 で も 、 基 本 的 人 権 を 保 障 さ れ て お り 、

人 間 と し て 尊 重 さ れ た い 、 自 分 の 価 値 を 認 め

て も ら い た い 、 自 分 の 意 思 で 生 き て い き た い

と い っ た 欲 求 を 持 っ て い ま す 。 こ の よ う な 思

い は 、 年 を 取 り 、 介 護 や 医 療 が 必 要 に な っ た

と し て も 、 変 わ る も の で は あ り ま せ ん 。 む し

ろ 、 気 力 や 体 力 の 衰 え を 感 じ た り 、 病 気 を 抱

え た り し な が ら も 、 懸 命 に 生 き て い る 高 齢 者

こ そ 、 周 り が そ の 気 持 ち を 尊 重 し て 、 最 後 ま

で 自 尊 心 を も っ て 生 き て い け る よ う に 支 え て

い く 必 要 が あ り ま す 。

高 齢 者 等 の 生 活 を 支 援 し て い く こ と は 、 高

齢 者 等 が 自 分 の 価 値 観 や 生 活 習 慣 な ど に 基 づ

い て 、 自 分 ら し く 生 き て い く 権 利 を 保 障 す る

こ と で す 。 高 齢 者 等 に は 、 こ れ か ら の 人 生 を

ど の よ う に 生 き て い く の か を 自 分 で 決 め る 権

利 が あ り ま す 。 高 齢 者 等 の 支 援 を 行 う に あ

た っ て は 、 こ の よ う な 高 齢 者 等 の 決 定 ( 自 己

決 定 ) を 最 大 限 に 尊 重 し 、 高 齢 者 等 が 自 分 の

望 む 生 き 方 を 実 現 ( 自 己 実 現 ) で き る よ う に

支 え て い く 必 要 が あ り ま す 。

高 齢 者 等 の 人 生 の 主 役 は 、 そ の 人 自 身 に ほ

か な り ま せ ん 。 高 齢 者 等 が 支 援 を 受 け る だ け

の 受 け 身 の 存 在 に な り 、 「 お 世 話 に な っ て 申

し 訳 な い 」 と い っ た 思 い を 抱 き な が ら 暮 ら し

て い く こ と に な ら な い よ う に 、 高 齢 者 等 が 自

ら の 居 場 所 や 役 割 を 積 極 的 に 見 出 せ る よ う な

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支 援 を 心 が け ま し ょ う 。

2 . 高 齢 者 の 虐 待 の 防 止

  虐 待 は 、 高 齢 者 の 尊 厳 を 傷 つ け る 行 為 の 最

た る も の で あ り 、 絶 対 に あ っ て は な ら な い こ

と で す 。 し か し 、 現 実 に は 県 内 で も 、 高 齢 者

の 家 族 7 、 介 護 施 設 や 事 業 所 の 職 員 な ど 4 に よ

る 虐 待 が 、 毎 年 発 生 し て い ま す 。

  表 2   県 内 で 高 齢 者 の 虐 待 が 確 認 さ れ た 件

平 成 24年度

平 成 25年度

平成26 年

平 成 27年度

家族などによる虐待 770件  791件  849件  822件 

介護 施 設 や事 業所の職員などに

よる虐待

14 件  13 件  20 件  24 件 

  虐 待 は 、 叩 く な ど の 暴 力 行 為 だ け で は あ り

ま せ ん 。 高 齢 者 虐 待 防 止 法 で は 、 虐 待 の 定 義

と し て 、 ① 暴 行 な ど の 身 体 的 虐 待 、 ② 介 護 や

世 話 を 怠 る 介 護 等 放 棄 、 ③ 暴 言 や 威 嚇 、 無 視

な ど の 心 理 的 虐 待 、 ④ わ い せ つ 行 為 な ど の 性

的 虐 待 、 ⑤ 財 産 の 勝 手 な 処 分 や 着 服 な ど の 経

済 的 虐 待 の 5 つ を あ げ て い ま す 。

  身 体 拘 束 の よ う な 高 齢 者 の 行 動 を 制 限 す る

行 為 も 、 本 人 や 周 り の 人 の 生 命 や 身 体 を 保 護

す る た め に 緊 急 や む を 得 な い 場 合 を 除 い て 、

身 体 的 虐 待 に 当 た る と 解 さ れ て い ま す 。 ベ ッ

ド か ら 落 ち た り 、 勝 手 に 家 か ら 出 て 行 っ た り

す る 怖 れ が あ る か ら と い っ て 、 ベ ッ ド を 柵 で

囲 ん だ り 、 部 屋 に 鍵 を か け て 閉 じ 込 め た り し

7 高齢者虐待防止法(正式な名称は「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」)では、家族などは「養護者」、介護施設や事業所の職員などは「養介護施設従事者等」と定義されています。

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て 良 い わ け で は あ り ま せ ん 。

こ の ほ か 、 虐 待 に 当 た る か ど う か は っ き り

し な く て も 、 高 齢 者 の 権 利 や 利 益 を 侵 害 す る

こ と 、 高 齢 者 の 生 命 、 健 康 、 生 活 を 損 な う こ

と は 、 虐 待 と 同 様 に 防 止 す る 必 要 が あ り ま す 。

虐 待 は 、 必 ず し も 悪 意 を も っ て 行 わ れ て い

る と は 限 り ま せ ん 。 支 援 に 関 す る 知 識 や 技 術

の 不 足 、 支 援 者 の ス ト レ ス な ど が 原 因 で 虐 待

が 起 き る こ と も あ る の で 、 「 こ の 程 度 な ら 大

丈 夫 」 な ど と 思 わ ず に 、 常 に 支 援 の 質 の 向 上

に 努 め ま し ょ う 。

高 齢 者 の 支 援 を 行 う と き は 、 自 分 が 虐 待 を

起 こ さ な い だ け で な く 、 他 の 人 が 虐 待 を し て

い な い か ど う か に も 注 意 す る 必 要 が あ り ま す

高 齢 者 虐 待 防 止 法 で は 、 虐 待 を 発 見 し た 人 に

は 市 町 に 通 報 8 す る 努 力 義 務 が あ り 、 高 齢 者

の 生 命 や 身 体 に 重 大 な 危 険 が 発 生 し て い る 場

合 に は 通 報 の 義 務 が あ り ま す 。 介 護 施 設 や 事

業 所 な ど の 職 員 に は 、 自 分 が 勤 務 す る 施 設 や

事 業 所 で 虐 待 を 発 見 し た 場 合 に も 、 市 町 に 通

報 す る 義 務 が あ り ま す 。

一 方 で 、 虚 偽 や 過 失 で な け れ ば 、 通 報 し て

も 守 秘 義 務 に 違 反 し な い こ と 、 勤 務 先 で 解 雇

な ど の 不 利 益 な 扱 い を 受 け な い こ と も 、 高 齢

者 虐 待 防 止 法 に 定 め ら れ て い ま す 。

3 . 個 人 情 報 と プ ラ イ バ シ ー の 保 護

高 齢 者 等 の 尊 厳 を 保 持 し 、 信 頼 関 係 を 築 い

て い く 上 で 、 高 齢 者 等 や そ の 家 族 の 個 人 情 報

や プ ラ イ バ シ ー の 保 護 は 欠 か せ ま せ ん 。 高 齢

者 等 の 支 援 を 行 う 人 は 、 高 齢 者 等 の 家 庭 の 事

8 虐待の相談・通報については、お住まいの市町の高齢者担当窓口又はお近くの地域総合支援センター(地域包括支援センター)にご連絡ください。

地域包括支援センター一覧 https://web.pref.hyogo.lg.jp/kf05/gyakutai.html

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情 や 心 身 の 状 況 な ど 、 機 微 に 触 れ る 情 報 を 知

り う る 立 場 に あ る の で 、 個 人 情 報 保 護 法 を 踏

ま え 、 市 町 が 定 め る サ ー ビ ス の 基 準 や 厚 生 労

働 省 の ガ イ ド ラ イ ン 9 に 基 づ き 、 個 人 情 報 の

保 護 に 万 全 を 期 す 必 要 が あ り ま す 。 意 図 的 に

秘 密 を 漏 ら す だ け で な く 、 う っ か り 個 人 情 報

を 人 前 で 喋 っ た り 、 個 人 情 報 が 書 か れ た 書 類

を 放 置 し た り す る こ と に も 注 意 が 必 要 で す 。

厚 生 労 働 省 の ガ イ ド ラ イ ン に よ れ ば 、 個 人

情 報 を 他 の 人 に 提 供 す る 場 合 は 、 本 人 の 同 意

を 得 る こ と が 原 則 で す 。 た と え 家 族 で も 、 本

人 の 病 状 を 説 明 す る よ う な 場 合 に は 、 本 人 の

同 意 が 必 要 で す 。 た だ し 、 本 人 の 意 識 が な

か っ た り 、 重 度 の 認 知 症 で あ っ た り し て 、 本

人 の 同 意 を 得 ら れ な い 時 は 、 同 意 を 得 な く て

も 構 わ な い こ と と さ れ て い ま す 。

ま た 、 高 齢 者 等 の 支 援 に あ た っ て 、 他 の 支

援 者 と 情 報 を 共 有 す る こ と が あ り ま す 。 支 援

者 が 集 ま る サ ー ビ ス 担 当 者 会 議 な ど で 個 人 情

報 を 扱 う 際 に は 、 本 人 の 個 人 情 報 の 場 合 は 本

人 の 同 意 、 家 族 の 個 人 情 報 の 場 合 は 家 族 の 同

意 を 事 前 に 文 書 で 得 る も の と さ れ て い ま す 。

個 人 情 報 の 収 集 は 、 支 援 に 必 要 な 範 囲 に と

ど め る と と も に 、 本 人 の 同 意 が な け れ ば 、 支

援 以 外 の 他 の 目 的 に 個 人 情 報 を 使 っ て は い け

ま せ ん 。

一 方 、 プ ラ イ バ シ ー の 権 利 は 、 一 人 で 放 っ

て お い て も ら う 権 利 、 私 生 活 を み だ り に 公 開

さ れ な い 権 利 な ど と さ れ 、 近 年 で は 、 自 分 の

情 報 を コ ン ト ロ ー ル す る 権 利 も 含 ま れ る と 解

さ れ て い ま す 。 知 ら れ た く な い こ と や 恥 ず か

し く 思 う こ と は 人 に よ っ て 違 う の で 、 何 が プ

9 厚生労働省が「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン」を定めています。

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ラ イ バ シ ー の 侵 害 に 当 た る か を 自 分 の 価 値 観

だ け で 判 断 し て は い け ま せ ん 。 本 人 の 了 解 を

得 な い で 部 屋 に 入 る 、 引 出 し や 冷 蔵 庫 の 中 な

ど を 覗 く 、 手 紙 や メ ー ル を 読 む 、 本 人 が 映 っ

た 写 真 を 使 う と い っ た 行 為 は 、 プ ラ イ バ シ ー

の 侵 害 に 当 た る と 考 え る べ き で す 。

4 . 成 年 後 見 制 度 な ど

( 1 ) 成 年 後 見 制 度

認 知 症 、 精 神 障 害 、 知 的 障 害 な ど の た め に

判 断 能 力 が 不 十 分 に な る と 、 財 産 の 管 理 、 住

居 の 賃 借 契 約 、 介 護 保 険 サ ー ビ ス の 利 用 契 約

な ど を 自 分 で 行 う こ と が 難 し く な り 、 消 費 者

被 害 に 遭 う 怖 れ も 高 く な り ま す 。 成 年 後 見 制

度 は 、 こ の よ う な 人 の 権 利 を 護 り 、 支 援 す る

た め の 制 度 と し て 、 介 護 保 険 制 度 と 同 じ 平 成

12 年 度 か ら 実 施 さ れ て い ま す 。

  成 年 後 見 制 度 に は 、 法 定 後 見 と 任 意 後 見 が

あ り ま す 。 法 定 後 見 は 、 判 断 能 力 が 不 十 分 に

な っ て か ら 、 家 庭 裁 判 所 が 成 年 後 見 人 な ど を

選 任 し ま す 。 一 方 、 任 意 後 見 は 、 判 断 能 力 が

不 十 分 に な る 前 に 、 自 分 で 任 意 後 見 人 を 選 び

代 理 権 を 与 え る 契 約 を 公 正 証 書 に よ り 結 ん で

お く も の で す 。 法 定 後 見 は 、 本 人 の 判 断 能 力

の 程 度 に 応 じ て 、 後 見 、 保 佐 、 補 助 に 分 か れ

法 律 や 家 庭 裁 判 所 の 審 判 で 定 め る 範 囲 で 、 法

律 行 為 を 代 わ っ て 行 っ た り 、 同 意 を 与 え た り

取 り 消 し た り す る 権 限 が 与 え ら れ ま す 。

成 年 後 見 の 担 い 手 は 、 家 族 な ど に よ る 親 族

後 見 、 弁 護 士 や 司 法 書 士 、 社 会 福 祉 士 な ど に

よ る 専 門 職 後 見 に 加 え て 、 社 会 福 祉 協 議 会 や

NPO 法 人 な ど に よ る 法 人 後 見 、 一 般 市 民 が 社

会 貢 献 と し て 行 う 市 民 後 見 も 少 し ず つ 増 え て

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き て い ま す 。

( 2 ) 日 常 生 活 自 立 支 援 事 業

日 常 生 活 自 立 支 援 事 業 は 、 判 断 能 力 が 不 十

分 な 人 を 支 援 す る 仕 組 み と し て 、 社 会 福 祉 協

議 会 で 実 施 さ れ て い ま す 。 成 年 後 見 制 度 に 比

べ て 、 支 援 を 受 け ら れ る 範 囲 が 福 祉 サ ー ビ ス

の 利 用 や 日 常 的 な 金 銭 管 理 な ど に 限 ら れ て い

ま す が 、 利 用 の 手 続 が 簡 単 で す 。

Ⅴ 高 齢 者 等 や そ の 家 族 と の コ ミ ュ ニ ケ ーシ ョ ン

1 . コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン の 意 義

  コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン は 、 言 語 、 さ ら に 態 度

や 表 情 、 身 体 的 な 接 触 な ど を 通 じ て 、 相 互 に

情 報 を や り と り し な が ら 、 信 頼 関 係 を 築 い て

い く こ と で す 。

  高 齢 者 等 の 支 援 を 行 う に あ た っ て は 、 高 齢

者 等 の 思 い 、 好 み 、 価 値 観 、 生 活 歴 、 心 身 の

状 態 、 家 族 と の 関 係 な ど 、 様 々 な 情 報 を 把 握

し て お く 必 要 が あ り ま す 。 し か し な が ら 、 高

齢 者 等 が 、 は じ め か ら こ の よ う な こ と を 積 極

的 に 話 し て く れ る と は 限 り ま せ ん 。 コ ミ ュ ニ

ケ ー シ ョ ン を 重 ね る こ と は 、 相 互 に 理 解 を 深

め 、 支 援 に 必 要 な 情 報 を 得 る こ と で あ り 、 時

に は 本 人 で さ え 気 が 付 い て い な い 真 の ニ ー ズ

を 探 り 出 し て い く 作 業 で も あ り ま す 。

  ま た 、 周 囲 の 人 の 声 か け や 心 遣 い に は 、 高

齢 者 を 元 気 づ け た り 、 生 活 意 欲 を 引 き 出 し た

り す る 力 が あ り ま す 。 楽 し い 会 話 は 、 そ れ だ

け で 人 を 明 る い 気 分 に さ せ ま す 。 ま た 、 高 齢

者 等 が 悩 み や 不 安 を 人 に 打 ち 明 け る こ と で 、

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気 が 晴 れ る こ と も あ り ま す 。 逆 に 、 命 令 す る

よ う な 言 い 方 を し た り 、 高 齢 者 の 言 う こ と を

頭 ご な し に 否 定 し た り 、 無 視 し た り す る こ と

は 、 高 齢 者 等 の 自 尊 心 を 傷 つ け 、 生 き る 意 欲

さ え 奪 い か ね ま せ ん 。

  こ の よ う に コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン は 、 支 援 に

必 要 な 情 報 を 得 て 、 信 頼 関 係 を 築 く 手 段 で あ

る と と も に 、 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン を 取 る こ と

自 体 が 高 齢 者 等 へ の 支 援 に な り ま す 。

2 . 高 齢 者 等 と の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン に 必 要

な 能 力 や 姿 勢

( 1 ) 「 気 づ き 」 の 能 力

  コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン は 、 言 語 だ け で 行 わ れ

る も の で は あ り ま せ ん 。 態 度 や 表 情 か ら 感 情

が 伝 わ る こ と も あ れ ば 、 手 を 握 る こ と で 気 持

ち が 分 か る こ と や 、 沈 黙 が 深 い 意 味 を 持 つ こ

と も あ り ま す 。 人 は 思 っ て い る こ と を 何 で も

言 葉 で 表 現 す る と は 限 ら な い し 、 失 語 症 や 難

聴 、 認 知 症 な ど で 言 葉 に よ る コ ミ ュ ニ ケ ー

シ ョ ン が 難 し い こ と も あ り ま す 。 高 齢 者 等 の

支 援 を 行 う 際 に は 、 表 情 の 変 化 や 普 段 と の 様

子 の 違 い 、 ち ょ っ と し た 一 言 な ど か ら 、 高 齢

者 等 の 気 持 ち を 察 し 、 支 援 に 役 立 て て い く

「 気 づ き 」 の 能 力 が 求 め ら れ ま す 。

( 2 ) 「 傾 聴 」 、 「 共 感 」 、 「 受 容 」 の 姿 勢

  ま た 、 高 齢 者 等 と の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン に

求 め ら れ る 基 本 的 な 姿 勢 と し て 、 「 傾 聴 」 、

「 共 感 」 、 「 受 容 」 が 必 要 で す 。

「 傾 聴 」 と は 、 高 齢 者 等 の 話 に 真 剣 に 耳 を

傾 け る こ と で す 。 言 葉 だ け で な く 、 表 情 や 仕

草 を 良 く 観 察 し 、 全 力 で 相 手 を 理 解 し よ う と

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す る こ と で す 。 高 齢 者 等 が 話 を し や す い よ う

に 、 相 手 の ペ ー ス に 合 わ せ 、 ゆ っ た り と 落 ち

着 い た 態 度 で 接 し ま し ょ う 。 同 じ こ と を 繰 り

返 し 言 っ た り 、 逆 に 、 前 と は 違 う こ と を 言 っ

た り し て も 、 話 を 遮 ら ず に 、 し っ か り と 聴 く

こ と が 大 切 で す 。

「 共 感 」 と は 、 高 齢 者 等 が 思 っ て い る こ と 、

感 じ て い る こ と を 聴 い て い る 側 が 同 じ よ う に

思 い 、 感 じ 取 る こ と で す 。 可 哀 想 だ 、 気 の 毒

だ 、 な ど と 同 情 す る こ と と は 違 い ま す 。 高 齢

者 等 が 言 う こ と を 復 唱 し た り 、 問 い か け を し

た り し な が ら 、 気 持 ち に ず れ が な い か を 確 認

し て い き ま す 。 素 直 に 「 共 感 」 で き な い こ と

も あ る か も 知 れ ま せ ん が 、 そ れ は そ れ で 冷 静

に 受 け 止 め 、 心 の う ち に し ま っ て お き ま し ょ

う 。

「 受 容 」 は 、 聴 く 側 の 主 観 を 交 え ず 、 相 手

を あ る が ま ま に 受 け 容 れ る こ と で す 。 相 手 の

言 っ て い る こ と が 自 分 の 考 え と 合 わ な く て も

批 判 な ど を せ ず に 受 け 容 れ ま す 。 逆 に 、 殊 更

に 賛 同 し た り 、 助 言 し た り す る 必 要 も あ り ま

せ ん 。 人 は 、 他 人 か ら 「 受 容 」 さ れ る と 自 分

自 身 の こ と を 「 受 容 」 で き る よ う に な り ま す 。

重 要 な の は 、 聴 く 側 が 「 傾 聴 」 、 「 共 感 」 、

「 受 容 」 で き た と 思 う だ け で は な く 、 高 齢 者

等 が 「 傾 聴 」 、 「 共 感 」 、 「 受 容 」 し て も ら

え た と 感 じ 、 話 を し て 良 か っ た と 思 っ て も ら

え る こ と で す 。 「 傾 聴 」 、 「 共 感 」 、 「 受

容 」 を 適 切 に 行 う た め に は 、 表 情 や 姿 勢 、 視

線 、 言 葉 遣 い や 声 の 調 子 、 頷 き や 相 槌 、 質 問

の タ イ ミ ン グ と い っ た 技 術 的 な こ と も 必 要 で

す が 、 何 よ り も 相 手 を 人 間 と し て 尊 重 し 、 真

剣 に 向 き 合 う 姿 勢 を 示 す こ と が 大 切 で す 。

  適 切 な コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン に よ り 、 高 齢 者

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等 と 信 頼 関 係 を 築 き 、 高 齢 者 等 の 身 近 な 話 し

相 手 、 相 談 相 手 に な れ る よ う に 努 め ま し ょ う 。

3 . 高 齢 者 等 の 状 況 に 応 じ た コ ミ ュ ニ ケ ー

シ ョ ン

( 1 ) 言 語 や 聴 覚 、 視 覚 に 障 害 の あ る 人 と の

コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン

  高 齢 者 等 の 中 に は 、 失 語 症 や 難 聴 、 視 覚 障

害 な ど の た め に 、 話 す 、 聞 く 、 読 む 、 書 く と

い っ た コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン に 必 要 な 行 為 が 上

手 く で き な い 人 が い ま す 。 そ れ で も 、 相 手 を

尊 重 し 、 「 傾 聴 」 、 「 共 感 」 、 「 受 容 」 の 姿

勢 を 示 す と い う コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン の 基 本 は

変 わ り ま せ ん 。 ま た 、 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン に

難 が な い 人 以 上 に 「 気 づ き 」 の 力 が 求 め ら れ

ま す 。

言 葉 を 十 分 に 理 解 で き な か っ た り 、 上 手 く

話 が で き な か っ た り し て も 、 人 と し て の 感 情

が 失 わ れ た わ け で は な い の で 、 相 手 の 自 尊 心

を 傷 つ け る 言 葉 や 態 度 は 禁 物 で す 。 分 か り や

す く 話 す こ と は 大 切 で す が 、 子 ど も 相 手 の よ

う な 話 し 方 に な ら な い よ う に し ま し ょ う 。

一 度 で 上 手 く 伝 わ ら な け れ ば 、 も う 一 度

ゆ っ く り 大 き な 声 で 言 う 、 他 の 言 葉 で 言 い 換

え る 、 紙 に 書 い て み る と い っ た 工 夫 を し て み

ま し ょ う 。 こ の と き に 面 倒 そ う な 態 度 や 苛

立 っ た 態 度 を 見 せ た り 、 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン

を 諦 め て し ま っ た り す る と 、 相 手 は 自 信 を

失 っ て し ま い ま す 。 笑 顔 で 優 し く 接 す る よ う

に 心 が け て く だ さ い 。 高 齢 者 等 が 、 コ ミ ュ ニ

ケ ー シ ョ ン を 上 手 く で き な い か ら と い っ て 、

人 と の 交 流 を 避 け て し ま わ な い よ う に 、 周 り

の 人 の 思 い や り や 配 慮 が 欠 か せ ま せ ん 。

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失 語 症 、 難 聴 、 視 覚 障 害 な ど と い っ て も 、

そ の 程 度 や 症 状 は 人 に よ っ て 違 い ま す 。 話 す

こ と は 出 来 な く て も 、 書 く こ と な ら は 出 来 る

と い う 人 も い ま す 。 視 覚 障 害 者 の 中 に は 、 聴

覚 な ど 他 の 感 覚 が 鋭 敏 な 人 も 多 い と 言 わ れ ま

す 。 専 門 職 の 意 見 も 聴 き な が ら 、 そ の 人 の 能

力 を 活 か し 、 苦 手 な こ と を 補 う コ ミ ュ ニ ケ ー

シ ョ ン を 行 い ま し ょ う 。

( 2 ) 認 知 症 の 人 と の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン

認 知 症 10 の 人 は 、 記 憶 力 や 判 断 力 な ど が 低

下 し て も 、 感 情 は 残 さ れ て い ま す 。 複 雑 な 話

を 理 解 し に く く な る こ と は あ っ て も 、 何 も 分

か ら な く な る わ け で は あ り ま せ ん 。 最 近 の こ

と は 覚 え て い な く て も 、 若 い 頃 の 思 い 出 な ら

話 し て く れ る か も 知 れ ま せ ん 。 相 手 を 人 と し

て 尊 重 し 、 適 切 な 配 慮 を す る こ と で 、 十 分 に

コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン を 取 る こ と が で き ま す 。

認 知 症 の 人 は 、 過 去 の こ と を 忘 れ た り 、 今

ま で 出 来 た こ と が 出 来 な く な っ た り す る こ と

に 不 安 や 焦 燥 を 感 じ て い る こ と も 多 く 、 周 り

が 不 適 切 な 接 し 方 を す る と 、 こ う し た 不 安 感

や 焦 燥 感 が 増 幅 し 、 暴 力 や 妄 想 と い っ た 症 状

が 現 れ て し ま う こ と も あ り ま す 。

認 知 症 の 人 の 言 動 に は 、 傍 目 に は 意 図 が 分

か ら な く て も 、 本 人 な り の 目 的 や 意 味 が あ り

ま す 。 そ の よ う な 言 動 を 一 方 的 に 「 問 題 行

動 」 な ど と 決 め つ け る の で は な く 、 認 知 症 の

人 の 立 場 に な っ て 、 な ぜ そ の よ う な 言 動 を す

る の か を 考 え て み る 必 要 が あ り ま す 。

  言 葉 で 上 手 く 言 え な く て も 、 表 情 や 態 度 に

気 持 ち は 現 れ ま す 。 認 知 症 の 人 の 気 持 ち に 寄

り 添 い な が ら 、 「 驚 か せ な い 」 、 「 急 が せ な

10 認知症については、23~24ページも参照してください。

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い 」 、 「 自 尊 心 を 傷 つ け な い 」 と い う 3 原 則

を 守 っ て 、 相 手 の 状 態 に 応 じ た コ ミ ュ ニ ケ ー

シ ョ ン を 心 が け ま し ょ う 。

4 . 家 族 と の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン

  近 年 は 、 単 身 で 暮 ら す 高 齢 者 も 増 え て い ま

す が 、 高 齢 者 と 同 居 ま た は 近 居 し て 、 そ の 介

護 や 世 話 を し て い る 家 族 も 多 く い ま す 。 い わ

ゆ る 老 老 介 護 と い わ れ る 高 齢 家 族 に よ る 介 護

も 増 え て い ま す 。

  高 齢 者 等 を 支 え る 家 族 に は 、 介 護 や 世 話 な

ど の た め に 肉 体 的 、 精 神 的 な 負 担 を 抱 え 、 強

い ス ト レ ス を 感 じ て い る 人 も い ま す 。 自 分 の

親 が 認 知 症 な ど に な っ た こ と を 受 け 入 れ ら れ

ず に い る 人 も い ま す 。 い け な い こ と だ と は 分

か っ て い て も 、 き つ い 言 い 方 を し て し ま っ た

り 、 時 に は 手 を 挙 げ そ う に な っ て し ま っ た り

す る 人 も い ま す 。

  こ の よ う な 葛 藤 を 抱 え て い る 家 族 に 、 理 屈

だ け で 「 こ う す べ き 」 、 「 そ ん な こ と を し て

は い け な い 」 な と ど 言 っ て も 効 果 は な く 、 か

え っ て 感 情 的 な 反 発 を 招 き か ね ま せ ん 。 家 族

の 思 い を 想 像 し 、 寄 り 添 う こ と が 大 切 で す 。

「 が ん ば っ て く だ さ い 」 と プ レ ッ シ ャ ー を か

け る の で は な く 、 「 が ん ば っ て い ま す ね 」 と

認 め て あ げ ま し ょ う 。

Ⅵ 高 齢 者 等 の 自 立 支 援

1 . 自 立 支 援 の 考 え 方

  介 護 保 険 法 は 、 高 齢 者 の 尊 厳 の 保 持 と 並 ん

で 、 高 齢 者 の 自 立 し た 日 常 生 活 の 支 援 を 理 念

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と し て い ま す 。 自 立 支 援 と は 、 単 に 掃 除 や 調

理 な ど の 身 の 回 り の お 世 話 を す れ ば よ い の で

は な く 、 高 齢 者 等 の 能 力 を 活 か し て 、 で き る

限 り 自 立 し た 生 活 を 続 け ら れ る よ う に 支 援 し

て い く こ と で す 。

  そ の た め に は 、 先 ず は 機 能 訓 練 な ど を 行 い

改 善 が 可 能 な 機 能 の 維 持 や 向 上 を 図 り 、 自 分

で 出 来 る 活 動 の 範 囲 を 広 げ て か ら 、 そ れ で も

自 分 で は 出 来 な い 部 分 を 補 っ て い く よ う な 支

援 が 求 め ら れ ま す 。

高 齢 者 等 が 自 分 で 出 来 る こ と ま で お 世 話 を

し て し ま い 、 高 齢 者 等 の 活 動 を 不 活 発 に し て

し ま わ な い よ う に 注 意 が 必 要 で す 。 た と え 本

人 が お 世 話 を し て 欲 し い と 望 ん で い て も 、 自

分 で 出 来 る こ と で あ れ ば 、 自 分 で や る よ う に

働 き か け て い く こ と も 大 切 で す 。

  自 立 支 援 が 目 指 す も の は 、 心 身 の 機 能 が 低

下 し て も 、 高 齢 者 等 が 自 分 ら し い 質 の 高 い 生

活 を 送 れ る よ う に す る こ と で す 。 高 齢 者 等 の

筋 力 を 向 上 さ せ た り 、 食 事 や 入 浴 な ど の 日 常

生 活 の 動 作 11 を 自 分 で 出 来 る よ う に し た り す

る 身 体 面 で の 自 立 も 大 切 で す が 、 自 分 の 意 思

で 生 き て い く と い う 精 神 面 の 自 立 こ そ 、 高 齢

者 等 の 尊 厳 を 保 ち 、 生 活 の 質 12 の 向 上 に 欠 か

せ な い も の と 言 え ま す 。

2 . 自 立 を 促 進 す る 生 活 支 援

  生 活 支 援 は 、 単 な る 掃 除 や 調 理 、 買 物 の 代

行 で は あ り ま せ ん 。 心 身 の 機 能 が 低 下 し て も

自 分 ら し い 生 活 を 続 け ら れ る よ う に 、 高 齢 者

等 の 残 さ れ た 能 力 を 活 か し つ つ 、 生 活 に 支 障

11 食事、排泄、入浴、移動などの日常生活の基本的な動作のことを日常生活動作ADL: Activities of Daily Living といいます。20ページも参照してください。

12 生活の質のことを QOL: Quality of Life といいます。

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が 生 じ て い る 部 分 を 補 っ て い く こ と で す 。

  人 に は 、 そ れ ぞ れ の 生 活 が あ り 、 長 年 に わ

た っ て 培 わ れ た そ の 人 の 価 値 観 、 習 慣 や 経 験

な ど に 基 づ い て い ま す 。 生 活 支 援 に あ た っ て

は 、 そ の 人 が こ れ ま で に ど こ で ど の よ う な 生

活 を 送 っ て き た の か と い う 生 活 歴 を 理 解 し 、

こ れ か ら ど の よ う な 生 活 を 送 り た い の か と い

う 本 人 の 意 思 や 希 望 を 尊 重 し て 、 支 援 を 行 っ

て い く 必 要 が あ り ま す 。

  生 活 支 援 は 一 律 に 行 え る も の で は な く 、 一

人 一 人 の 人 生 に 合 わ せ て 行 わ れ る 必 要 の あ る

極 め て 個 別 性 の 高 い も の で す 。

  生 活 支 援 を 行 う に あ た っ て は 、 高 齢 者 等 が

生 き て い く た め の 様 々 な 活 動 の 中 で 、 何 が 出

来 て 何 が 出 来 な い の か 、 出 来 な い 場 合 は ど こ

に 支 障 が 生 じ て い る の か 、 そ れ を 解 決 す る た

め に は 何 が 最 適 な 支 援 な の か を 見 極 め て い く

こ と が 求 め ら れ ま す 。 た と え ば 、 洗 濯 を 行 わ

な く な っ て い る 場 合 で も 、 意 欲 や 社 会 性 が 低

下 し て 服 装 に 無 頓 着 に な っ て い る 、 急 に 一 人

暮 ら し に な っ て 洗 濯 機 の 使 い 方 が 分 か ら な い

洗 濯 物 を 外 に 干 し に 行 く こ と が 体 力 的 に 難 し

い 、 な ど 様 々 な 要 因 が あ り ま す 。 こ の よ う な

要 因 を 丁 寧 に 分 析 、 評 価 し た 上 で 、 意 欲 へ の

働 き か け や 機 能 訓 練 、 環 境 の 調 整 に よ っ て 自

分 で 出 来 る よ う に し た り 、 支 援 者 が 手 伝 い な

が ら 一 緒 に や る よ う に し た り し ま す 。

  生 活 と は 、 た だ 生 き て い れ ば 良 い の で は あ

り ま せ ん 。 誰 で も 、 生 き が い を 感 じ な が ら 充

実 し た 毎 日 を 送 り た い と 望 ん で い ま す 。 調 理

の 支 援 を 行 う 場 合 で も 、 必 要 な 栄 養 を 摂 取 で

き 、 食 中 毒 な ど の 危 険 が な い と い う だ け で は

生 命 の 維 持 と い う 最 低 限 の 欲 求 に し か 応 え て

い ま せ ん 。 高 齢 者 等 の 好 み に 合 っ た 献 立 や 味

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付 け 、 食 事 を す る 場 所 の 清 潔 の 保 持 、 さ ら に

は 季 節 に 応 じ た 食 材 の 提 供 と い っ た 配 慮 を す

る こ と で 、 よ り 人 間 ら し い 文 化 的 な 食 生 活 が

実 現 し ま す 。 ま た 、 高 齢 者 等 が 使 い や す い 調

理 具 を 使 っ た り 、 調 理 台 の 高 さ を 調 整 し た り

す る こ と で 、 高 齢 者 等 が 調 理 の 一 部 で も 自 分

で 出 来 る よ う に な れ ば 、 よ り 自 立 的 に 生 き て

い く こ と が で き ま す 。

  掃 除 の 支 援 な ら 、 高 齢 者 等 が 快 適 に 暮 ら せ

る 居 室 環 境 を 整 え る こ と が 目 的 で す 。 物 を 片

付 け る と き は 、 支 援 者 の 目 線 で は な く 、 高 齢

者 等 の 手 が 届 き や す く 、 普 段 か ら 使 い 慣 れ た

よ う に 整 理 す る こ と が 必 要 で す 。 つ ま ず い た

り 、 ぶ つ か っ た り し な い よ う に 配 慮 す る こ と

も 不 可 欠 で す 。 さ ら に 、 室 内 の 明 る さ や 温 度

換 気 な ど に も 気 を 配 り 、 必 要 が あ れ ば 、 明 る

い カ ー テ ン に 取 り 替 え る 、 除 湿 剤 を 使 う と

い っ た こ と も 提 案 し ま し ょ う 。

こ の よ う に 生 活 支 援 を 行 う 際 は 、 様 々 な 生

活 知 識 が 必 要 に な る と と も に 、 高 齢 者 等 の 生

活 を 深 く 理 解 し 、 一 人 一 人 に 合 っ た 支 援 を 行

わ な け れ ば な り ま せ ん 。 生 活 支 援 は 、 必 ず し

も 身 体 介 護 よ り 専 門 性 が 低 く 、 簡 単 な 仕 事 と

い う わ け で は あ り ま せ ん 。

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Ⅶ 障 害 の 理 解 と 介 護 予 防

1 . 障 害 の 理 解 ( 国 際 生 活 機 能 分 類 ( ICF) の

考 え 方 )

  高 齢 者 等 の 生 活 機 能 や 障 害 の 状 態 を 理 解 す

る 方 法 と し て 、 世 界 保 健 機 関 ( WHO ) に よ る

「 国 際 生 活 機 能 分 類 ( ICF ) 」 と い う 考 え 方 が

あ り ま す 13 。 国 際 生 活 機 能 分 類 ( ICF ) で は 、

生 活 機 能 や 障 害 を 「 心 身 機 能 ・ 身 体 構 造 」 、

「 行 動 」 、 「 参 加 」 の 3 つ に 分 け て 考 え ま す 。

  「 心 身 機 能 ・ 身 体 構 造 」 は 、 身 体 の 動 き 、

精 神 の 働 き 、 視 覚 や 聴 覚 な ど を 意 味 し て い ま

す 。 「 活 動 」 は 、 生 活 に 必 要 な 食 事 、 入 浴 、

排 泄 、 移 動 な ど の 日 常 生 活 動 作 ( ADL ) 、 さ

ら に 複 雑 な 動 作 で あ る 掃 除 、 洗 濯 、 買 物 、 電

話 、 金 銭 管 理 、 服 薬 管 理 、 交 通 機 関 の 利 用 な

ど の 手 段 的 日 常 生 活 動 作 ( IADL ) を 意 味 し て

い ま す 14 。 「 参 加 」 は 、 家 庭 、 地 域 、 職 場 な

ど に 参 加 し 、 一 定 の 役 割 を 担 う こ と な ど を 意

味 し て い ま す 。

た と え ば 、 「 心 身 機 能 」 が 向 上 す れ ば 「 活

動 」 が 活 発 に な り 、 逆 に 活 発 に 「 活 動 」 し て

い る 人 は 「 心 身 機 能 」 を 維 持 で き る な ど 、 こ

れ ら は 相 互 に 影 響 し 合 い ま す 。

さ ら に 、 こ れ ら に 影 響 す る 要 因 と し て 、

「 個 人 因 子 」 と 「 環 境 因 子 」 を 挙 げ て い ま す

「 個 人 因 子 」 は 、 そ の 人 の 健 康 状 態 、 価 値 観

や 生 活 習 慣 な ど で す 。 「 環 境 因 子 」 は 、 建 物

や 道 路 な ど の 物 理 的 な 環 境 、 そ の 人 の 周 り の

13 世界保健機関は世界の人々の健康問題に取り組む国際連合の専門機関で、WHO は World Health Organization の略です。ICF は International Classification of Functioning, Disability and Health の略です。

14 ADL は Activities of Daily Living、IADL は Instrumental Activities of Daily Living の略です。

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人 、 利 用 で き る 制 度 や 文 化 な ど で す 。

  国 際 生 活 機 能 分 類 ( ICF ) の 考 え 方 を 取 り 入

れ る こ と に よ り 、 高 齢 者 等 の 生 活 機 能 や 障 害

を 個 人 の 機 能 面 の 問 題 と し て だ け で は な く 、

社 会 と の 関 わ り や 環 境 の 影 響 な ど を 考 慮 に 入

れ 、 多 面 的 に と ら え ら れ る よ う に な り ま す 。

  図 5   国 際 生 活 機 能 分 類 ( ICF) の 概 念

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2 . 介 護 予 防 の 考 え 方

  介 護 予 防 は 、 高 齢 者 等 が 介 護 を 必 要 と す る

状 態 に な る こ と を 予 防 す る と と も に 、 介 護 が

必 要 な 状 態 に な っ て も 、 そ の 改 善 や 悪 化 の 防

止 を 図 る こ と で す 。

介 護 予 防 の 取 組 は 、 筋 力 ト レ ー ニ ン グ の よ

う な も の だ け で は あ り ま せ ん 。 高 齢 者 等 が 仕

事 を 続 け る こ と 、 趣 味 や ス ポ ー ツ な ど の 活 動

を 行 う こ と 、 家 事 や 買 物 な ど の 身 の 回 り の こ

と を 自 分 で や る こ と な ど は 、 い ず れ も 介 護 予

防 に つ な が り ま す 。 介 護 予 防 は 、 運 動 や 栄 養

改 善 な ど の 心 身 機 能 の 維 持 や 改 善 の 取 組 と 合

わ せ て 、 家 事 な ど の 生 き る た め に 必 要 な 活 動

や 社 会 参 加 へ の 支 援 を バ ラ ン ス 良 く 行 っ て い

く 必 要 が あ り ま す 。

  こ の よ う に 心 身 機 能 、 活 動 、 参 加 に バ ラ ン

ス 良 く 働 き か け て い く 考 え 方 は 、 国 際 生 活 機

能 分 類 ( ICF ) に 基 づ い て い ま す 。 従 来 の 介 護

予 防 の 取 組 は 、 高 齢 者 等 の 個 人 の 心 身 機 能 に

着 目 し 、 機 能 訓 練 な ど を 偏 重 す る 傾 向 も 見 ら

れ ま し た が 、 近 年 で は 、 活 動 や 参 加 へ の 支 援

高 齢 者 等 を 取 り 巻 く 環 境 の 整 備 の 必 要 性 も 認

識 さ れ る よ う に な っ て い ま す 。

3 . 住 民 運 営 の 通 い の 場

地 域 の 介 護 予 防 の 取 組 と し て 、 住 民 運 営 の

通 い の 場 が 広 が っ て い ま す 。

  住 民 運 営 の 通 い の 場 は 、 公 民 館 な ど の 身 近

な 場 所 に 高 齢 者 等 が 集 ま っ て 、 運 動 な ど の 活

動 を 行 う も の で す 。 元 気 な 高 齢 者 で も 、 支 援

が 必 要 な 高 齢 者 で も 、 誰 で も 参 加 す る こ と が

で き ま す 。 市 町 が 一 般 介 護 予 防 事 業 の 中 で 活

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動 の 支 援 を 行 っ て い ま す が 、 行 政 や 専 門 職 が

主 導 す る の で は な く 、 高 齢 者 等 の 住 民 が 主 体

と な っ て 運 営 さ れ て い る こ と が 特 徴 で す 。

活 動 の 内 容 は 様 々 で す が 、 た と え ば 、 高 知

市 で 開 発 さ れ た 「 い き い き 百 歳 体 操 15」 の よ

う な 介 護 予 防 の 効 果 が あ る 体 操 な ど を 週 1 回

以 上 、 定 期 的 に 実 施 し て い る と こ ろ も 多 く あ

り ま す 。

  県 内 で は 、 平 成 27 年 度 末 で 住 民 運 営 の 通 い

の 場 が 41 市 町 4,871 か 所 、 参 加 実 人 数 は 101,903人 と な っ て お り 、 い ず れ も 全 国 の 都 道 府 県 で

1 位 で す 。 県 で は 、 今 後 、 県 内 の 高 齢 者 の 約

1 割 に あ た る 15 万 人 が 通 い の 場 に 参 加 す る こ

と を 目 標 に し て 、 さ ら に 活 動 が 広 が っ て い く

よ う に 取 り 組 ん で い き ま す 。

  ス ポ ー ツ や 趣 味 、 ボ ラ ン テ ィ ア 活 動 な ど で

高 齢 者 等 の 多 く が 社 会 参 加 し て い る 地 域 で は

転 倒 や 認 知 症 、 う つ の リ ス ク が 低 い 傾 向 に あ

る と も 言 わ れ て い ま す 。 住 民 運 営 の 通 い の 場

は 、 住 民 同 士 の 声 か け に よ り 、 高 齢 者 等 が 身

近 な 地 域 の 活 動 に 参 加 し や す い 環 境 を 整 え て

い く 取 組 で も あ り ま す 。

4 . 専 門 職 の 役 割

高 齢 者 等 の 介 護 予 防 は 、 医 師 や 保 健 師 、 介

護 職 員 以 外 に も 、 様 々 な 専 門 職 が 関 わ る こ と

で 、 よ り 効 果 を 高 め る こ と が で き ま す 。

  リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン の 専 門 職 と し て は 、 座

る 、 立 つ 、 歩 く と い っ た 基 本 的 な 動 作 能 力 の

維 持 や 改 善 の た め の 訓 練 な ど を 行 う 理 学 療 法

士 ( PT ) 、 手 芸 や 工 作 な ど の 作 業 を 行 う こ と

で 応 用 的 な 動 作 能 力 や 社 会 適 応 能 力 を 訓 練 す

15 いきいき百歳体操については、健康ひょうご 21 県民運動ポータルサイトを参照してください。   「いきいき百歳体操」の取組 http://www.kenko-hyogo21.jp/health/kenkou-taisou/1744/

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る 作 業 療 法 士 ( OT ) 、 音 声 や 言 語 の 機 能 、 聴

覚 の 維 持 や 向 上 、 さ ら に 摂 食 や 嚥 下 の 問 題 に

対 応 す る 言 語 聴 覚 士 ( ST ) な ど が あ り ま す 。

こ れ ら の 専 門 職 は 、 医 療 機 関 、 介 護 老 人 保 健

施 設 、 訪 問 や 通 所 の リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン 事 業

所 で 高 齢 者 等 に 直 接 サ ー ビ ス を 提 供 す る だ け

で な く 、 地 域 ケ ア 会 議 や 住 民 運 営 の 通 い の 場

な ど に 参 加 し て 、 地 域 住 民 や 介 護 職 員 、 介 護

支 援 専 門 員 ( ケ ア マ ネ ジ ャ ー ) な ど へ の 助 言

も 行 い ま す 。

  歯 科 医 師 や 歯 科 衛 生 士 は 、 口 腔 ケ ア を 担 い

ま す 。 口 腔 ケ ア は 、 口 の 中 を 清 潔 に し て 細 菌

の 繁 殖 を 予 防 す る と と も に 、 噛 ん だ り 、 飲 み

込 ん だ り 、 話 し た り す る 機 能 の 維 持 や 改 善 を

図 る も の で す 。 虫 歯 や 感 染 症 の 予 防 、 食 べ 物

が 誤 っ て 気 管 に 入 っ て し ま う 誤 嚥 の 防 止 の 効

果 が あ る と と も に 、 食 事 や 会 話 と い う 豊 か な

生 活 に 不 可 欠 な 能 力 の 維 持 に つ な が り ま す 。

  ま た 、 高 齢 者 等 は 、 運 動 不 足 に よ る 食 欲 の

低 下 、 噛 ん だ り 、 飲 み 込 ん だ り す る 力 の 低 下

な ど に よ り 、 低 栄 養 状 態 に な り や す い と 言 わ

れ ま す 。 低 栄 養 状 態 に な れ ば 、 体 力 が 低 下 し

て 病 気 に も な り や す く な り ま す 。 食 事 は 、 生

き る た め に 必 要 な 栄 養 を 取 る だ け で な く 、 生

き る 楽 し み で も あ り ま す 。 管 理 栄 養 士 は 、 高

齢 者 等 の 心 身 の 状 況 に 応 じ て 、 食 事 の 献 立 や

調 理 の 仕 方 の 助 言 な ど を 行 い ま す 。

  こ の よ う な リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン の 専 門 職 な

ど が 、 地 域 で 介 護 予 防 の 取 組 に 積 極 的 に 関 わ

る こ と が で き る よ う に 、 各 市 町 は 、 地 域 リ ハ

ビ リ テ ー シ ョ ン 活 動 支 援 事 業 を 実 施 す る も の

と さ れ て い ま す 。 県 で は 、 す べ て の 市 町 が こ

の 事 業 を 実 施 で き る よ う に 、 関 係 職 種 の 団 体

や 全 県 と 圏 域 の リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン 支 援 セ ン

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タ ー 16 と 協 力 し て 、 専 門 職 の 養 成 や 派 遣 の 仕

組 み の 構 築 に 取 り 組 ん で い ま す 。

  緩 和 し た 基 準 に よ る サ ー ビ ス の 担 い 手 は 、

こ の よ う な 専 門 職 と も 協 力 し 、 そ れ ぞ れ の 専

門 分 野 か ら の 助 言 を 活 か し な が ら 、 高 齢 者 等

の 支 援 を 行 っ て い く こ と が 期 待 さ れ て い ま す 。

16 兵庫県では、高齢者や障害者などが急性期、回復期、生活期のリハビリテーションを切れ目なく受けられる体制の整備を目指して、全県リハビリテーション支援センターと各圏域リハビリテーション支援センターを指定しています。

   地域リハビリテーションの推進 https://web.pref.hyogo.lg.jp/kf05/h28_reha.html

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Ⅷ認 知 症 に つ い て の 理 解

1 . 認 知 症 の 症 状

  認 知 症 は 、 様 々 な 原 因 に よ り 、 記 憶 や 見 当

識 の 障 害 17 、 理 解 力 や 判 断 力 の 低 下 な ど の 症

状 が 現 れ 、 生 活 に 支 障 が 出 て い る 状 態 で す 。

加 齢 に よ る も の 忘 れ と 認 知 症 に よ る も の 忘 れ

に は 、 次 の よ う な 違 い が あ る と 言 わ れ て い ま

す 。

表 3   加 齢 に よ る も の 忘 れ と 認 知 症 に よ る

も の 忘 れ の 違 い

加 齢 に よ る も の 忘 れ 認 知 症 に よ る も の 忘

体 験 の 一 部 を 忘 れ る 体 験 全 体 を 忘 れ る

ヒ ン ト が あ る と 思 い

出 せ る

ヒ ン ト が あ っ て も 思

い 出 せ な い

人 や 時 間 、 場 所 な ど

が 分 か る

人 や 時 間 、 場 所 な ど

が 分 か り に く い

日 常 生 活 に 支 障 が な

日 常 生 活 に 支 障 が あ

  認 知 症 の 症 状 に は 、 中 核 症 状 と 周 辺 症 状 が

あ り ま す 。 中 核 症 状 は 、 多 く の 認 知 症 の 人 に

共 通 し た 記 憶 や 見 当 識 の 障 害 、 理 解 力 や 判 断

力 の 低 下 な ど で す 。 周 辺 症 状 は 、 本 人 の 性 格

や 周 り の 接 し 方 な ど に よ っ て 様 々 な 現 れ 方 を

す る も の で 、 暴 言 や 暴 力 、 い わ ゆ る 徘 徊 18 な

ど の 行 動 症 状 、 抑 う つ や 妄 想 な ど の 心 理 症 状

17 見当識の障害とは、今がいつなのか(時間)、ここがどこなのか(場所)が分からなくなる状態です。

18 一般には「徘徊」という言い方をしますが、実際は、認知症の人は本人なりの目的があって出歩いていることが多いので、兵庫県では「徘徊」という言葉を原則として使わないことにしています。

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が あ り 、 行 動 ・ 心 理 症 状 ( BPSD19 ) と も 言 わ れ

て い ま す 。

2 . 認 知 症 の 人 の 推 計 数

  認 知 症 は 、 年 齢 と と も に 誰 も が な る 可 能 性

が あ り ま す 。 85 歳 以 上 90 歳 未 満 で は 約 4 割 、

90 歳 以 上 95 歳 未 満 で は 約 6 割 、 95 歳 以 上 で は

8 割 近 く の 人 が 認 知 症 だ と 言 わ れ て い ま す 20 。

一 方 で 、 65 歳 未 満 で 発 症 す る 若 年 性 認 知 症 の

人 も い ま す 。

県 内 の 認 知 症 の 高 齢 者 は 、 平 成 27 年 度 の 約

24 万 人 か ら 、 平 成 37 年 度 に は 約 30 ~ 33 万 人

( 高 齢 者 の 5 人 に 1 人 程 度 ) に 増 え る と 推 計

さ れ て い ま す 。 こ の ほ か 、 正 常 と 認 知 症 の 中

間 の 状 態 で 、 認 知 症 の 予 備 群 と 言 わ れ る 軽 度

認 知 障 害 ( MCI21) の 高 齢 者 が 、 平 成 24 年 度 で

約 17 万 人 と 推 計 さ れ て い ま す 。

  高 齢 者 等 の 支 援 を 行 う 際 は 、 身 近 な 高 齢 者

の 中 に 認 知 症 の 人 が い る 可 能 性 が あ る と 考 え

て 、 認 知 症 の 人 に 適 切 に 対 応 で き る よ う に な

る 必 要 が あ り ま す 。

認 知 症 に 関 す る 基 本 的 な 知 識 を 得 た い 場 合

は 、 各 市 町 が 開 催 し て い る 認 知 症 サ ポ ー タ ー

養 成 講 座 22 を 受 講 で き ま す 。 さ ら に 認 知 症 の

ケ ア に つ い て 学 び た い と き は 、 県 が 実 施 し て

い る 認 知 症 介 護 基 礎 研 修 や 認 知 症 機 能 訓 練 研

修 ( 4DAS) を 受 講 す る こ と も で き ま す 。

19 BPSD は、Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia の略です。

20 厚生労働省の補助金を受けて、平成 25 年3月にまとめられた「都市部における認知症有病率と認知症の生活機能障害への対応」(研究代表者 朝田 隆 筑波大学医学医療系教授)のデータをもとにしています。

21 MCI は、Mild Cognitive Impairment の略です。

22 各市町の認知症サポーター養成講座の担当課は、県のホームページでご確認いただけます。   認知症サポーターキャラバン https://web.pref.hyogo.lg.jp/kf05/27nintishousp.html

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3 . 認 知 症 の 早 期 発 見 の 取 組

  残 念 な が ら 、 認 知 症 を 治 す こ と は 困 難 で す

そ れ で も 、 早 期 に 気 が つ い て 、 医 療 機 関 を 受

診 す れ ば 、 認 知 症 の 種 類 や 進 行 状 況 に よ っ て

は 、 薬 な ど で 症 状 の 進 行 を 遅 ら せ た り 、 暴 力

や 妄 想 な ど の 周 辺 症 状 を 抑 え ら れ た り す る 場

合 が あ り ま す 。 ま た 、 本 人 や 家 族 が 症 状 の 軽

い う ち か ら 今 後 の 準 備 を し て お く こ と で 、 本

人 の 希 望 に 添 っ た 生 活 を 続 け や す く な り ま す

さ ら に 、 認 知 症 の 初 診 日 が 早 い 方 が 、 障 害 年

金 な ど を 早 く 受 け る こ と が で き ま す 。

  高 齢 者 等 の 支 援 に あ た っ て は 、 認 知 症 の 早

期 発 見 や 早 期 受 診 を 促 す 観 点 か ら 、 身 近 な 高

齢 者 等 の 中 に 認 知 症 が 疑 わ れ る 人 が い な い か

気 を 配 り ま し ょ う 。 県 民 の 認 知 症 へ の 早 期 の

気 づ き を 促 す た め に 県 で 作 成 し た 認 知 症

チ ェ ッ ク シ ー ト 23 も ご 活 用 く だ さ い 。 た だ し 、

い き な り 認 知 症 の 疑 い を 指 摘 す る と 、 本 人 や

家 族 の 感 情 を 害 す る 怖 れ も あ り ま す 。 直 接 言

い に く け れ ば 、 無 理 を せ ず 近 く の 認 知 症 相 談

セ ン タ ー 24 な ど に 相 談 し ま し ょ う 。 必 要 が あ

れ ば 、 認 知 症 初 期 集 中 支 援 チ ー ム と い う 専 門

職 の チ ー ム が 家 庭 を 訪 問 し て 支 援 を 行 い ま す 。

4 . 認 知 症 の 地 域 支 援 体 制

  認 知 症 の 人 や そ の 家 族 が 地 域 で 安 心 し て 暮

ら せ る よ う に 、 い つ 、 ど こ で 、 ど の よ う な 支

援 が 受 け ら れ る か を 明 ら か に す る 「 認 知 症 ケ

23 兵庫県の認知症チェックシートは、県のホームページに掲載されています。認知症チェックシートをしてみませんか? https://web.pref.hyogo.lg.jp/kf05/25nintisyousi-

to.html24 認知症相談センターは、身近な認知症の相談窓口です。一覧は、県のホームページでご確認いただけます。

認知症相談センター https://web.pref.hyogo.lg.jp/kf05/27nintisyou.html

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ア ネ ッ ト 」 の 作 成 、 認 知 症 の 人 を 見 守 り 、 行

方 不 明 に な っ た と き に 早 期 の 発 見 活 動 を 行 う

「 認 知 症 高 齢 者 等 の 見 守 り SOS ネ ッ ト ワ ー

ク 」 の 構 築 な ど 、 様 々 な 取 組 が 各 市 町 で 進 む

よ う に 、 県 で も 支 援 を 行 っ て い ま す 。

Ⅸ 地 域 住 民 や 他 の 支 援 者 と の 連 携

1 . 地 域 包 括 ケ ア

  高 齢 者 等 の 中 に は 、 慢 性 疾 患 や 認 知 症 な ど

の 人 、 生 活 に 困 窮 し て い る 人 、 地 域 の 中 で 孤

立 し て い る 人 な ど 、 様 々 な 課 題 を 抱 え て い る

人 が い ま す 。 こ の よ う な 人 た ち を 支 え て い く

た め に は 、 介 護 や 医 療 、 生 活 支 援 な ど を 適 切

に 組 み 合 わ せ て 、 包 括 的 か つ 継 続 的 に 支 え て

い く 必 要 が あ り ま す 。

  こ の た め 、 い わ ゆ る 団 塊 の 世 代 が 75 歳 以 上

と な る 平 成 37 年 度 を 目 途 に 、 住 み 慣 れ た 地 域

で 、 介 護 、 医 療 、 生 活 支 援 、 予 防 、 住 ま い が

一 体 的 に 提 供 さ れ る 地 域 包 括 ケ ア の 実 現 を 目

指 す 取 組 が 、 各 地 で 進 め ら れ て い ま す 。

  兵 庫 県 で は 、 地 域 包 括 ケ ア 実 現 の 鍵 は 、

「 住 民 主 体 」 と 「 多 職 種 連 携 」 に あ る と 考 え

て い ま す 。 先 ず は 住 民 、 介 護 や 医 療 な ど の 専

門 職 、 行 政 な ど が 価 値 観 を 共 有 し 、 信 頼 関 係

を 築 い て い く こ と が 必 要 で す ( 「 規 範 的 統

合 」 と 呼 ば れ ま す ) 。

そ し て 、 住 民 に は 、 地 域 の 課 題 に 関 心 を 持

ち 、 自 ら 健 康 づ く り や 支 え 合 い の 活 動 に 取 り

組 む こ と が 期 待 さ れ ま す 。 専 門 職 や 行 政 も 、

こ の よ う な 住 民 の 取 組 を 尊 重 し 支 え る と と も

に 、 住 民 の ニ ー ズ に 的 確 に 応 え て い く 必 要 が

あ り ま す 。

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  ま た 、 介 護 や 医 療 な ど の 専 門 職 は 、 専 門 分

野 や 所 属 組 織 な ど の 違 い を 超 え て 、 高 齢 者 等

を 支 え る 一 つ の チ ー ム と し て 、 支 援 の 目 的 や

情 報 を 共 有 し 、 重 複 や 過 不 足 な く 切 れ 目 の な

い 支 援 を 提 供 し て い く こ と を 目 指 し て い ま す 。

  図 6   地 域 包 括 ケ ア の 概 念 図

2 . 地 域 ケ ア 会 議

  多 職 種 が 連 携 す る 場 と し て 、 各 地 域 で 地 域

ケ ア 会 議 が 開 催 さ れ て い ま す ( 名 称 は 、 各 市

町 に よ っ て 異 な る 場 合 が あ り ま す ) 。

  地 域 ケ ア 会 議 は 、 市 町 や 地 域 包 括 支 援 セ ン

タ ー が 主 催 し 、 介 護 福 祉 や 保 健 医 療 な ど の 専

門 職 、 介 護 支 援 専 門 員 ( ケ ア マ ネ ジ ャ ー ) 、

民 生 委 員 な ど が 参 加 し ま す 。 会 議 で は 、 介 護

予 防 の 効 果 が 見 込 ま れ る 高 齢 者 等 や 複 雑 な 課

題 を 抱 え る 高 齢 者 等 に つ い て 、 ど の よ う な 支

援 を 行 う か を 多 面 的 に 検 討 し ま す 。 ま た 、

個 々 の 高 齢 者 等 の 課 題 の 集 積 か ら 見 え て き た

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地 域 全 体 の 課 題 に つ い て も 検 討 を 行 い 、 最 終

的 に 市 町 の 政 策 に 反 映 さ せ て い き ま す 。

  介 護 予 防 ・ 生 活 支 援 サ ー ビ ス の 対 象 者 に 適

切 な サ ー ビ ス を 提 供 し 、 自 立 を 促 し て い く た

め に も 、 地 域 ケ ア 会 議 は 重 要 な 役 割 を 果 た し

ま す 。

3 . チ ー ム ケ ア

  高 齢 者 等 が 24 時 間 安 心 し て 暮 ら せ る よ う に

支 え て い く た め に は 、 地 域 住 民 や 様 々 な 専 門

職 が 協 力 し て 、 切 れ 目 の な い 支 援 を 行 う こ と

が 不 可 欠 で す 。 高 齢 者 等 の 身 近 な と こ ろ に い

る 地 域 住 民 や そ れ ぞ れ の 専 門 性 を 有 す る 介 護

や 医 療 な ど の 専 門 職 が 協 力 し 、 役 割 分 担 す る

こ と で 、 高 齢 者 等 の 状 況 を 多 面 的 に 把 握 で き

る よ う に な り 、 よ り 効 果 的 な 支 援 を 行 え る よ

う に な り ま す 。 複 数 の 目 で 確 認 す る こ と で 、

ミ ス も 起 こ り に く く な り ま す 。 さ ら に 一 人 の

支 援 者 に か か る 負 担 が 軽 減 さ れ る た め 、 結 果

的 に 質 の 高 い 支 援 を 継 続 し や す く な り ま す 。

  た と え ば 、 病 院 や 介 護 施 設 な ら 、 そ こ で 勤

務 す る 医 療 、 看 護 、 介 護 、 リ ハ ビ リ な ど の 専

門 職 が 、 あ る い は 日 勤 の 職 員 と 夜 勤 の 職 員 が

チ ー ム に な っ て 支 援 を 行 う こ と に よ り 、 患 者

や 入 居 者 の 安 心 感 に つ な が っ て い ま す 。 そ れ

と 同 じ よ う に 、 自 宅 で 暮 ら す 高 齢 者 等 を 支 援

す る 場 合 も 、 関 係 者 が チ ー ム と し て 支 え る こ

と で 、 高 齢 者 等 の 安 心 感 が 高 ま り ま す 。

  し か し な が ら 、 そ れ ぞ れ の 専 門 分 野 へ の 理

解 が 浅 か っ た り 、 専 門 用 語 が 分 か ら な か っ た

り し て 、 連 携 が 進 み に く い 面 が あ る こ と も 事

実 で す 。 勤 務 し て い る 事 業 所 が 違 え ば 、 事 業

所 の 方 針 が 異 な っ て い る 場 合 も あ り ま す 。 先

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ず は 、 意 見 交 換 や 合 同 研 修 な ど で 相 互 理 解 を

深 め て い く こ と が 大 切 で す 。 高 齢 者 等 に 接 す

る と き と 同 様 、 た と え 専 門 知 識 や 考 え 方 に 違

い が あ っ て も 、 相 手 を 人 と し て 尊 重 す る こ と

が コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン の 基 本 で す 。

複 数 の 人 が 支 援 に 関 わ る 場 合 に 重 要 な こ と

は 、 支 援 の 目 的 や 方 針 、 高 齢 者 等 に 関 す る 情

報 が 共 有 さ れ て い る こ と で す 。 こ れ ら が 共 有

さ れ ず に バ ラ バ ラ に 支 援 が 行 わ れ る と 、 支 援

者 に よ っ て 言 う こ と が 違 っ た り 、 同 じ こ と を

何 度 も 聞 か れ た り し て 、 高 齢 者 等 の 混 乱 を 招

き 、 負 担 を か け る こ と に な り ま す 。 地 域 包 括

支 援 セ ン タ ー ( ま た は 地 域 包 括 支 援 セ ン タ ー

か ら 委 託 を 受 け た 居 宅 介 護 支 援 事 業 所 ) が 介

護 予 防 ケ ア マ ネ ジ メ ン ト を 行 う 際 は 、 原 則 と

し て サ ー ビ ス 担 当 者 会 議 を 開 き 、 支 援 者 の 間

で 認 識 や 情 報 の 共 有 を 図 る こ と が 重 要 で す 。

  さ ら に 高 齢 者 等 の 状 況 は 、 日 々 変 化 し て い

き ま す 。 こ の よ う な 変 化 を 支 援 者 の 間 で 共 有

し 、 必 要 が あ れ ば 、 支 援 の 見 直 し を 行 う 場 合

も あ り ま す 。 特 に 、 定 期 的 に 自 宅 を 訪 問 し て

高 齢 者 等 の 支 援 を 行 う 人 は 、 高 齢 者 等 に 最 も

身 近 に 接 し て い る の で 、 医 師 な ど 他 の 専 門 職

に 高 齢 者 等 の 日 頃 の 状 況 を 伝 え ら れ る 立 場 に

あ る と 言 え ま す 。 そ れ ぞ れ の 事 業 所 で 、 業 務

日 誌 や 連 絡 ノ ー ト な ど を 作 成 す る こ と と さ れ

て い る 場 合 が 多 い と 思 わ れ ま す が 、 支 援 を

行 っ た 際 に 高 齢 者 等 の 変 化 に 気 が つ い た り 、

何 か 気 に な る こ と が あ っ た り し た 場 合 は 、 こ

ま め に メ モ を 取 り 、 記 録 に 残 し ま し ょ う 。 記

録 は 早 く 正 確 に 作 成 し 、 他 の 人 が 読 ん で 分 か

り や す い こ と が 重 要 で す 。 客 観 的 な 事 実 と 誰

か の 主 観 的 な 意 見 を 区 別 す る こ と も 大 切 で す 。

  地 域 住 民 や 他 の 専 門 職 と 連 携 す る こ と を 面

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倒 に 感 じ る こ と が あ る か も 知 れ ま せ ん 。 し か

し 、 チ ー ム ケ ア は 、 何 よ り も 多 様 な 課 題 を 抱

え る 高 齢 者 等 を 包 括 的 か つ 継 続 的 に 支 え て い

く た め に 不 可 欠 で あ る と と も に 、 支 援 を 行 う

側 に と っ て も 、 負 担 や リ ス ク を 分 か ち 合 い な

が ら 、 そ れ ぞ れ の 得 意 分 野 を 活 か し て 、 支 援

の 質 を 高 め る こ と が で き る も の で す 。

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