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1©2017 Hiroyuki Ogura
経済・社会・環境が持続可能なスマートシティ構築・運用のための評価手法の研究(その3)
~ システムズアプローチによるIoTを利活用した共有価値の創造 ~
A study on a Method of Implementation (; Assessment) for Sustainable Development on the Smart Cities
- Part3 ; Creating shared value by use of IoT with systems approach -
2017年5月19日
小倉 博行 1) 馬奈木 俊介 2) 千村 保文 3) 石野 正彦 4)
1) 三菱電機株式会社,九州大学, IEC/SyC Smart Cities 国際エキスパート,JEITAスマート社会ソフトウェア専門委員会
2) 九州大学,経済産業研究所3) 沖電気工業株式会社,JEITAスマート社会ソフトウェア専門委員会(委員長)4) 文教大学
©2016 Hiroyuki Ogura 2
目 次
1. はじめに
2. 持続可能なスマートシティ構築・運用のための評価手法に関する開発動向2.1 IoTビジネスモデル
-IoT(ビッグデータ,AI)を利活用した社会価値の創造2.2 共有価値創造(CSV) 経営戦略
-経済価値と社会価値との両立⇒”ESG投資“2.3 評価指標:包括的富指標(IWI)
-持続可能な開発の三側面(経済・社会・環境)を調和させる統合的評価指標⇒包括的富指標(IWI)=新国富指標=資本ストック≒”ESG投資“
2.4 システムズアプローチ-大規模かつ複雑な都市問題を解決するための全体論的かつ体系的な方法論
⇒IECシステムズアプローチ(System of systems) on Smart Cities
3. IoTを利活用した持続可能なスマートシティ実装評価モデルの提案
⇒Smart Cities “Reference model”3.1. 経営学,経済学,システムズアプローチの関係3.2. IoT利活用都市開発プロジェクトにおけるマネジメント・アセスメント手法の比較
4. IoTを利活用した持続可能なスマートシティ実装評価モデルの都市問題解決への適用⇒災害対応(都市サービス継続 : City Service Continuity)
5. おわりに
3©2017 Hiroyuki Ogura
「IoTイノベーション~異なる分野の機器をつなげて新たな価値創出」2.1 IoTビジネスモデル~経産省「CPS/データ駆動型社会」
データの収集Digital
▲Real
データの蓄積・解析
Intelligence▲
Digital
現実世界へ(制御・サービス)
Real▲
Intelligence
運転支援システム
工場自動化システム
遠隔保守サービス
スマート家電
サービス
ヘルスケアサービス
製造プロセス
モビリティ スマートハウス
医療・健康
インフラ・産業保安 流通 行政
スマートフォン
行政サービス
パソコン
流通サービス
IoT : モノのデジタル化・ネットワーク化
ビッグデータ解析 : AIの進化による判断の高度化・自立制御
・・・工場交通 発電所
住宅
上下水道 人間
ビル
サイバー世界・・
・
・・・
・・・
・・・
・・・
病院
物流
▶社会インフラ資産運営効率化による新規サービス提供▶社会インフラ資産間連携による災害対策基盤の強化
現実世界
社会インフラ資産
▶新たな価値創出
▶生産性低下の無いテーラーメイド品▶サプライチェーン連携による在庫ゼロ
自動走行技術の活用による▶交通事故、渋滞の低減等▶移動時間を自由時間に変える新たなモビリティの実現
▶安価で安定的なエネルギーの供給▶新サービス創出による電力小売市場活性化
▶予防医療充実による健康寿命延伸▶個人特性を考慮したテーラーメイド医療
機器AI
エッジAI
クラウド
AI
社会インフラ分野(Domains) <時間軸>
相互
運用
性の
階層
(Inte
rope
rabi
lity
Lay
ers
)<
意味
軸>
(出典) 産業構造審議会(2015)等をもとに作成
Smart Cities “Reference model” (METI CPS, 2015)
4©2017 Hiroyuki Ogura
○ CSV(共有価値の創造)と経済・社会・環境の資本
(出典) PMI日本支部「ソーシャルPM研究会」(出典)PMIJ 日本支部 PMO研究会 高橋正憲「これからのPMOを考える」,PMO研究会集合研修会資料,Nov.2016.
SIソーシャル・インパクト
SCソーシャル・キャピタル
経済・社会
経済・社会
P/L損益計算書
B/S貸借対照表
経済資本フロー(capital flow)
経済資本ストック(capital stock)
CSV(Creating Shared Value)共有価値の創造
SV(Social Value)社会価値
EV(Economic Value)経済価値
持続可能な都市(Sustainable City)
継続企業の前提(Going Concern)
(2)社会関係資本=”人的資本”:労働や知力を表す資本⇒(例)人口、教育、技能、健康
資本資産(Capital assets=Resources)(1)経済関係資本=”人工資本”:人類がつくり出した資本⇒(例)機械、建物、インフラ、IoT/Bigdata/AI
(3)環境関係資本=”自然資本”:未来にわたり価値のある商品やサービスのフローの基になる資本⇒(例)気候変動、土地、森、石油、鉱物
・環境資本ストック(capital stock)
・環境資本フロー(capital flow)
2. 持続可能なスマートシティ構築・運用のための評価手法に関する開発動向2.2 共有価値創造(CSV) 経営戦略-経済価値と社会価値との両立⇒”ESG投資“
5©2017 Hiroyuki Ogura(出典)馬奈木俊介編「豊かさの価値評価~新国富指標の構築 序章,第2章,第3章,第4章,第12章,第13章」,中央経済社, 2017.
豊かさの価値評価~新国富指標の構築
持続可能性指標の開発
○スティグリッツ・レポート(2009)指標が包含する「ニーズ」に漏れがあれば、経済発展が指標のレベルを一定に保っていたとしても、それは何らかの重要な「二-ズ」の持続性を損ないながら進行する可能性がある。持続可能な発展の達成に資する指標として重大な欠陥である。
○国連「ブルントラント委員会」(1987)「持続可能な開発(発展)」の定義=「将来世代が彼らのニーズを満たす能力を損なうことなしに, 現在世代のニーズを満たすこと」
○ローマクラブ「成長の限界」(1972) ⇒ソロー・ハートウィック持続可能性・枯渇性資源から得られる利潤の全てを人工資本に投資し生産能力を維持することができれば、各世代の消費が一定であるという意味での世代間平衡を実現できる(ハートウィック・ルール)⇒枯渇性資源及び再生可能資源を含む自然資本と人工資本をシャドウ価格で評価した額を維持することで実現できる(ソロー)
◆国連「新国富指標(Inclusive Wealth Index: IWI)」=ソロー・ハートウィック持続可能性<資本価値の測定>
◆世銀「ジェニュイン・セービング(Genuine Savings: GS)」=消費が一定の割合で成長する前提<資本価値の測定>
◆「環境パフォーマンス指数(Environmental Performance Index)」「エコロジカル・フットプリント(EcologicalFootprint)」=環境的側面に焦点
◆国連開発計画「人間開発指数(Human Development Index: HDI)」=各国の保健、教育、所得における達成度
序章 持続可能な発展と新国富●コラム1 持続可能性指標の歴史
2. 持続可能なスマートシティ構築・運用のための評価手法に関する開発動向2.3 評価指標⇒包括的富指標(IWI)=新国富指標=資本ストック
6©2017 Hiroyuki Ogura
第2章 東京都内ランキング-都市評価指標としての新国富指標第3章 政令指定都市ランキング
○全市町村の「新国富指標(IWI)」は、http://evacva.net/にて公開
豊かさの価値評価~新国富指標の構築(つづき)
(出典)地域情報EvaCvaサイト( http://evacva.net/ )
オープンデータを使って、日本全国の地域特性を、市町村単位で比較することができる。
私たち人間が自然から得ている恵みなどの資本を、経済的価値に換算し、市町村単位で知ることができる。
○自然、人、モノなど、私たちが将来の世代にわたって持続的に享受するであろう富(ストック)を新国富指標として価値換算し、市区町村ごとに集計した結果を見ることができる。
2. 持続可能なスマートシティ構築・運用のための評価手法に関する開発動向2.3 評価指標⇒包括的富指標(IWI)=新国富指標=資本ストック
7©2017 Hiroyuki Ogura
(出典)藤井秀道「ESG投資世界ランキング」,馬奈木俊介編「豊かさの価値評価~新国富指標の構築 第14章」pp235-236,中央経済社, 2017.
新国富指標(IWI) とESG投資との関係性
新国富指標(IWI) 環境・社会・ガバナンス(ESG)
基盤 人工資本 企業統治
環境 自然資本(汚染排出含む) 環境保全・持続可能性
社会 人的資本(健康・教育) 社会貢献・労働環境
2. 持続可能なスマートシティ構築・運用のための評価手法に関する開発動向2.3 評価指標⇒包括的富指標(IWI)=新国富指標=資本ストック≒”ESG投資“
8©2017 Hiroyuki Ogura
新たな経済指標「新国富」~教育・健康・自然の価値重視
⇒ 総合評価、企業にも応用可
(出典)馬奈木俊介「日経新聞経済教室」,2017.
国連目標の達成へ評価指標の研究盛んに世界全体の14年の富は90年比で44%増加
・「ESG投資」が企業の生産性向上と関係
ESGは企業の生産性と関係があり、とくに環境と企業統治の取り組みは生産性の向上につながりやすいといえる。
一方でESGのスコアが高くなりすぎると、生産性とトレードオフ(相反)の関係もありうる。
そのことを理解した上で、企業は取り組みのバランスを考えると良いだろう。
2. 持続可能なスマートシティ構築・運用のための評価手法に関する開発動向2.3 評価指標⇒包括的富指標(IWI)=新国富指標=資本ストック≒”ESG投資“
9©2017 Hiroyuki Ogura
⇒ IECシステムズアプローチ(System of systems) on Smart Cities
IECが目指すスマートシティのシステムズアプローチ及びスマートシティの統一アーキテクチャー
The way forward: Unified architecture“System of systems”
(出典)IEC スマートシティ システム委員会(SyC Smart Cities)第2回全体会合(2/15-17、東京)WG3資料をもとに作成
IEC/SyC Smart Cities WG3-Reference Architecture
Smart Cities “Reference model ” (by IEC CO)
2. 持続可能なスマートシティ構築・運用のための評価手法に関する開発動向2.4 システムズアプローチ
10©2017 Hiroyuki Ogura
2. 持続可能なスマートシティ構築・運用のための評価手法に関する開発動向
IEC/SyC Smart Cities WG3-Reference Architecture
(source) IEC SyC Smart Cities WG3, “Reference architecture explained, v2,”, Dr. Alexander SAMARIN, IEC SRG & Switzerland, 2017-04-20.
Relationships
A few scenario reference architectures may be derived from the reference architectureAAL:personal telehealth, homeSmart Cities: metropolis, city,
village, island
⇒ IECシステムズアプローチ(System of systems) on Smart Cities
11©2017 Hiroyuki Ogura
2. 持続可能なスマートシティ構築・運用のための評価手法に関する開発動向
IEC/SyC Smart Cities WG3-Reference Architecture
(source) IEC SyC Smart Cities WG3, “Reference architecture explained, v2,”, Dr. Alexander SAMARIN, IEC SRG & Switzerland, 2017-04-20.
ISO/IEC 30141.2 "IoT Reference model"
⇒ IECシステムズアプローチ(System of systems) on Smart Cities
12©2017 Hiroyuki Ogura
2. 持続可能なスマートシティ構築・運用のための評価手法に関する開発動向
Stage1) Domain Analysis, Domain-of-interest discovery, Prioritization Matrixで評価、優先順位づけする“Market Needs”/”City Needs” ⇒ “Stakeholder Needs” ⇒ “Beneficationers’ stories”⇒ High level use cases ⇒ Low level use cases の順に分析してゆく作業を高速に繰り返す。
System-of-interest
Low level use cases
(出所)IEC スマートシティ システム委員会(SyC Smart Cities)第2回全体会合ワークショップ(2/16、東京)Workshop on“Systems approach”:Manyphay SRG convenor (アメリカ、GE Predix CoE)
High level use cases
“Market Needs”/”City Needs”“Stakeholder Needs”
コトづくり“Problem space”
モノづくり“Solution space”
Enterprise PMOBenefit KPI=Performance(”ROE”, “ESG”, “operating profit ratio”)⇒「ポジショニング」戦略
CoEBenefit KPI=Capability(Productivity)⇒「組織能力」戦略
⇒ IECシステムズアプローチ(System of systems) on Smart Cities
13©2017 Hiroyuki Ogura
2. 持続可能なスマートシティ構築・運用のための評価手法に関する開発動向
<スマートシティの評価指標>資本フロー個別指標(SDGs, ISO 37120, ISO TS 37151)=幸福度指標と資本ストック統合指標(IWI)=持続可能性指標との関係整理
出典:馬奈木ら(2016, 2015),ISO 37120(2014) ,ISO TS 37151(2015) ,UN A/70/L.1(2015)をもとに作成
経済・社会・環境の持続可能な開発の評価指標
対象とする都市のマネジメント領域
経済持続可能性(Economic sustainability)
社会持続可能性(Soc ial sustainability)
環境持続可能性(Environmentalsustainability)
その他
持続可能な開発目標(SDGs)
※国連の2016年から2030年までの国際目標として定められた17の個別指標(目標)
国や都市経営者視点でのポートフォリオマネジメント⇒投資の最適化(ROE+ESG)
都市経営者の視点⑥水と衛生⑦現代的エネルギーの利用と持続可能な管理⑧持続可能かつ包括的経済成長,適切な雇用⑨回復力のあるインフラ,持続可能な産業化,イノベーションの推進⑪持続可能な都市・住居⑫持続可能な消費と生産
生活者の視点①貧困削減②飢餓の撲滅,食糧安全保障,栄養摂取,持続可能な農業③健康的な生活と福祉④包括的・公平・高質な教育,生涯学習の機会⑤ジェンダー平等,女性・女子エンパワーメント⑩国内,各国間の不公平の是正⑯平和的包括的な社会法の支配,有効かつ有用な制度
環境視点⑬気候変動への対応⑭海洋・海洋資源の保全と持続可能な利用⑮陸域生態系の保護・回復,持続可能な森林管理,砂漠化阻止,生物多様性の損失の阻止
⑰実装方法(MOI)の強化,グローバルパートナーシップ
都市サービスと生活の質の評価指標( ISO 37120)※都市を統一された指標で比較するために定められた17の個別指標
都市経営者(首長)視点でのポートフォリオマネジメント⇒投資の最適化(ROE+ESG)
都市経営者の視点・交通,都市計画,上水道,下水道と公衆衛生,廃棄物,エネルギーと電気(節電等),通信とWiFi,経済,ファイナンス
生活者の視点・教育,健康,レクリエーション,ガバナンス,火事と緊急事態への対応,安全,避難所
環境の視点・微粒子&微粒子物質濃度,一人当たりの温室効果ガス排出:CO2,窒素&二酸化硫黄等
-
都市インフラ性能の評価指標
スマートな都市インフラ評価指標( ISO TS 37151)
※持続可能な都市インフラ性能を評価する14の個別指標(ニーズ)
各都市インフラ運営者(道路局長, 上下水局長など)視点でのプログラムマネジメント⇒戦略目標とベネフィットの達成
都市インフラ経営者/事業者の視点・経営効率,経済性(節電等),性能情報可用性,保守性,回復力
生活者の視点・可用性,利用可能性,値ごろ感,安全性とセキュリティ,サービス品質
環境の視点・資源の有効利用,気候変動の緩和(CO2等),汚染防止,生態系の保全 -
資本ストック統合指標(持続可能性指標)
都市全体の評価指標
包括的富指標( IWI )※国や都市の持続可能性を測る統合指標(経済が保有する資本資産に関する投資政策のための指標)
国や都市経営者視点でのポートフォリオマネジメント⇒投資政策(資本蓄積政策)の最適化(ROE+ESG)
人類がつくり出した人工資本・住宅ストック・工場,機械等・公共資本
労働や知力を表す人的資本・教育・健康
未来にわたり価値のある商品やサービスのフローの基になる自然資本・石油,ガス,鉱物資源・漁業・森林資源・生態系サービス
調整項目・原油価格の上昇・CO2排出・資源貿易・人口変化
都市全体の評価指標
資本フロー個別
指標(幸福度指標)
スマートシティの評価指標
Stakeholder Needs Market Needs = City Needs City Index
⇒ IECシステムズアプローチ(System of systems) on Smart Cities
14©2017 Hiroyuki Ogura
Security & Resilience SEG1/WG1Focus on electrotechnical aspects of disaster recovery
CSC
2. 持続可能なスマートシティ構築・運用のための評価手法に関する開発動向
< Review Use Cases from IEC/SEG1 Work >
⇒ IECシステムズアプローチ(System of systems) on Smart Cities
15©2017 Hiroyuki Ogura
2. 持続可能なスマートシティ構築・運用のための評価手法に関する開発動向
都市サービス継続(CSC)に必要なRequirementのGuide化のイメージ
City needs ( System of systems )
Economic sustainability
Social sustainability
Environmental sustainability
Governance & Management
Operations & service delivery
Technologies(including technical platforms/tools for governance, management and operations)
Sta
keho
lder
Nee
ds
ISO area
IEC area
検討対象領域
システム階層(Zones) <空間軸>
相互
運用
性の
階層
(Inte
rope
rabi
lity
Lay
ers
)<
意味
軸>
City Needs Matrics of CSC “Beneficationers’ stories” (SEG1/WG1)
⇒ IECシステムズアプローチ(System of systems) on Smart Cities
16©2017 Hiroyuki Ogura
2. 持続可能なスマートシティ構築・運用のための評価手法に関する開発動向
災害対応(都市サービス継続 : CSC) Scenario Reference architecture
社会インフラ分野(Domains) <時間軸>
相互
運用
性の
階層
(Inte
rope
rabi
lity
Lay
ers
)<
意味
軸>
自家発電装置の設
置、再生可能エネ
ルギー設備の導入
訓練・点検
設備の耐震化・燃料の備蓄
ECSによる対応クラス設定
防災対策導入促
進・建物耐震化に
向けた補助金支給
防災計画・BCP/ECP策定
災害予測システム導入
(Lアラート等)
警報(Lアラート等)
緊急対策本部の設置、ECP発動、ライフライン確保、二次被害防止、
通行制限
災害予測システム
やインターネット等
による避難勧告・指示情報の配信
故障・破損設備の確認・応急処置
自家発電装置の運転
電気機器安全復帰
燃料の備蓄増加燃料の安定供給
電力優先供給先の設定
節電・優先配電
防災計画・BCP/
ECP見直し
ECS見直し
設備の見直し、更新
警報と連動したサービス(医療、物流等)の非常
モード
故障・破損設備の
復旧、燃料調達・機
器修復に向けた外部業者への連絡
都市における災害レベル・被災レベルの特定(医
療、物流等)
外部ステークホルダーとの連携(企業、住民、NGO/NPO等)
燃料補充方法に関する外部業者との協定締結
緊急速報(TV、ラジ
オ、ネット、携帯電
話事業者等)
都市サービス(電気、
ガス、水、通信、医
療、道路等)復旧
復興に向けた補助金支給非常時の対応方
法、燃料補充方法等の確認
災害予測システム
やインターネット等
による避難勧告・指示情報の配信
災害時情報基盤の整備
ECP
ECS
外部情報伝達手段の確保
Phases
⇒ IECシステムズアプローチ(System of systems) on Smart Cities
17©2017 Hiroyuki Ogura
エネルギー
モビリティ
工場
インフラ, 流通, 行政・・・
プロセス
フィールド
オペレーション
ステーション
エンタープライズ
マーケット
医療・健康
<都市公会計>※フロー効果とストック効果
の複式簿記
←ISO/IEC NWIP38503/DIS38505/NWIP385xx;IT ガバナンスアセスメント、(ビッグ)データガバナンス,AI ガバナンス
社会(人的資本)
環境(自然資本)
相互運用性の階層(Interoperability
Layers)
ビジネス層
コンポーネント層
ファンクション層
コミュニケーション層
インフォメーション層
★都
市サ
ービ
ス品
質の
相互
運用
性の
成熟
度指
標(ISO
CD
3715
3-In
tero
pera
bilit
y)
ITシス
テム
層=
EA
(Ente
rprise
Arc
hitectu
re)
ISO
/IE
C/IE
EE 4
2010
☆持続可能な開発目標【SDGs;フロー指標】
☆都市サービスと生活の質の評価指標<ISO 37120;フロー指標>
⇒Smart Cities “Reference model”3. 持続可能なスマートシティ実装評価モデルの提案
: A Smart City System of systems model / Smart Grid inspired 3D model
18©2017 Hiroyuki Ogura
3. 持続可能なスマートシティ実装評価モデルの提案3.1. 経営学,経済学,システムズアプローチの関係-大規模かつ複雑な都市問題を解決するための全体論的かつ体系的な方法論
○「部分の科学(=経営学/組織論,戦略的PMO・OPM」と「全体のデザイン思考(=環境経済学,System of systems)」との融合
経営学*/組織論*競争戦略(事業戦略)
Porterの競争戦略/「ポジショニング」戦略
事業領域(Customer Segments)
Barneyの「組織能力」戦略:リソース・ビュー(Resource Based View: RBV)/ケイパビリティ戦略
経営資源(Resources)
潜在能力(Capabilities)
OPM3® (Organizational Project Management Maturity Model:組織的プロジェクトマネジメント成熟度モデル)第3版
環境経済学(スマートシティ
評価指標)
資本主義(Capitalism)
将来世代のニーズを満足する能力(Ability)
資本資産(Capital assets)
可能化資産(Enabling assets)
システムズアプローチ
戦略的組織的プロジェクトマネジメント
(戦略的PMO又は戦略管理室)
組織戦略と目標ポートフォリオマネジメント
プログラムおよびプロジェクトのマネジメントと定常業務(運用)による“共有価値の創造(CSV)”
OPM3®によるポートフォリオ、プログラム、プロジェクトマネジメントのプロセスの改善
システムズアプローチ
戦略的組織的プロジェクトマネジメント
(戦略的PMO又は戦略管理室)
System of systems
組織戦略と目標ポートフォリオマネジメント
①運用の独立性
②管理の独立性
③地理的に分散
④進化的発展
⑤創発的振る舞い
⇒IEC スマートシティ
統一アーキテクチャ<3次元モデル>
⇒”Holistic and systematic approach”
プログラムおよびプロジェクトのマネジメントと定常業務(運用)による“共有価値の創造(CSV)”
OPM3®によるポートフォリオ、プログラム、プロジェクトマネジメントのプロセスの改善
19©2017 Hiroyuki Ogura
3. 持続可能なスマートシティ実装評価モデルの提案
3.2 IoT利活用都市開発プロジェクトにおけるマネジメント・アセスメント手法の比較
スマートシティ開発事業(プロジェクト)
の評価項目
従来のIT利活用都市開発事業マネジメント手法
(EA)
新たなIoT利活用都市開発事業マネジメント手法
(EA+IWI)
評価指標 資本フロー個別指標(幸福度指標)のみ
【SDGs: “再生可能エネルギーのまち”】<ISO37120:エネルギーと電気(節電等) ,一人当たりの温室効果ガス排出:CO2><ISO37151: 経済性(節電等),気候変動の緩和(CO2等)>
左記指標と資本ストック統合指標(持続可能性指標)の両立
【SDGs;生産的基盤】<IWI;
公共資本(スマートメーター,デマンドレスポンス),CO2削減>
会計方法 単式簿記(経済フローのみの会計)
複式簿記⇒資本資産投資価値の最適化:AOT
(Asset Optimization and Trading)(資本フローと資本ストック とを一体で計算する都市インフラ会計:スマートシティに
おける現在から将来までの効用の割引現在価値を計算する)
相互運用性の階層<意味軸>
ITシステム層と社会インフラ層毎の個別評価
ITシステム層と社会インフラ層とを統合評価
社会インフラ分野<時間軸>
社会インフラ分野毎に個別評価
社会インフラ分野全体を統合評価
資本資産のシステム階層<空間軸>
人工資本のシステム階層毎に個別評価
人工資本・人的資本・自然資本のシステム階層全体を統合評価
20©2017 Hiroyuki Ogura(出典)馬奈木俊介編「豊かさの価値評価~新国富指標の構築 第4章」,中央経済社, 2017.
第4章 福島
○主に津波による甚大な被害をこうむった宮城県の富宮城県では、震災による人工資本と人的資本の毀損が大きかった。しかし震災前から富は既に減少傾向にあった。また日本全体の富とは大きく異なる動きをしている。(植田編,2016:Yamaguchi et al., 2016)
○福島県の富福島県では、森林を除く、人工資本、人的資本、自然資本のすべてが、実は震災前から既に低下傾向にあり、震災によってさらに被害を受け(▲5兆円、▲5.6%)、震災後は復興に伴って回復傾向にあるものの震災前の水準は下向る。
○福島県の富(原発事故の影響と除染の効果)原発事故は、放射性物質の拡散を通じて、各資本のシャドウ・プライスを変えた。その結果、除染特別地域11市町村における人工資本の71%と農地の79%と森林の6%が損なわれた。除染の便益分析(住民の健康と生活の回復など人的資本の評価は除く)は、富を構成するストック価値の36~38%程度(人工資本:0.9兆円~1.5兆円+自然資本:数百億円)<除染費用(2.5兆円)
4. 持続可能なスマートシティ実装評価モデルの都市問題解決への適用
豊かさの価値評価~新国富指標の構築
21©2017 Hiroyuki Ogura
4. 持続可能なスマートシティ実装評価モデルの都市問題解決への適用
(出典)IEC スマートシティ システム委員会(SyC Smart Cities)第2回全体会合ワークショップ(2/16、東京) 林春男理事長(防災科学技術研究所)
災害発生時の災害対応・復旧プロセスのモデル化(何を・いつ)
時間経過
失見当期(状況認識の統一)
いのちを守る
資本フローを復旧する
資本ストックを再建する
マネジメント・アセスメント(プランニング・ロジスティクス)
災害
対応
業務
“Beneficationers’ stories”⇒CSC: 都市災害に対する効果的な災害対応シナリオ
22©2017 Hiroyuki Ogura
4. 持続可能なスマートシティ実装評価モデルの都市問題解決への適用
災害発生時の災害対応・復旧プロセスのモデル化(何を・いつ)
「持続可能なスマートシティ実装評価モデル⇒Smart Cities “Reference model”」,「災害対応・復旧プロセスのモデル“Beneficationers’ stories”」に基づく,IoTを利活用した災害対応の都市開発事業マネジメント・アセスメントの客観的な評価基準
・失見当期をできだけ短くする:平時から非常時へ移行して,災害が起きたときには,失見当期短縮のために状況把握ができて,防災・減災にも効果が認められるという仕組みにする.
・災害対応業務を効果的に実施できる:いのちを守るフェーズの後,経済・社会・環境の資本フロー< SDGs, ISO 37120, ISO TS 37151>を復旧する,経済・社会・環境の資本ストック<IWI>を再建する(包括的富=新国富論の想定する資本フローと資本ストックを計測する)
・災害対応マネジメント・アセスメントを包括的に実施できる:上記の戦略戦術の決定,対応資源(資本フロー・資本ストック)の状況把握及び応援のハンドリングについてのプランニング・ロジスティクス
⇒CSC: 都市災害に対する効果的な災害対応シナリオ “Solution architecture”
“Beneficationers’ stories”
23©2017 Hiroyuki Ogura
本稿では,経済価値だけでなく社会価値や環境価値を測定することができる包括的富指標(IWI)≒「ESG投資」指標を用い,システムズアプローチによるIoTを利活用した「持続可能なスマートシティ実装評価モデル(“Reference model”)」 を提案した.
さらに,この実装評価モデルのエネルギー・環境制約・災害対応問題の都市問題解決への適用,つまり災害対応(都市サービス継続 : CSC) “Scenario Reference architecture”“Solution architecture” について検討した.
今後,具体的な都市開発プロジェクトにおける経済・社会・環境の資本フローのIoTデータ計測・分析を行い,「ESG投資」指標のIoTを利活用したミクロデータによる実証により,持続可能なスマートシティ実装評価モデルや各アーキテクチャの有用性を検証してゆきたい.
5. おわりに
24©2017 Hiroyuki Ogura
Thank you
Q & A