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気管挿管チューブを より早く・確実に挿管するために
近畿大学 医学部 救急医学科(救命救急センター)
講師 植嶋 利文
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気道確保に関する 従来技術の開発の歴史
• 1895 直接喉頭鏡検査器 • 1943 マッキントッシュ型喉頭鏡の発明(英国) • 1973 Laryngeal Mask の発明 • 1990頃~プリズムなどを用いて間接的に可視化できる喉頭鏡開発
• 2000頃~ビデオシステムなどを用いて間接的に可視化できる喉頭鏡開発
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第1世代 • マッキントッシュ型喉頭鏡 1943年英国で発明 ⇒現在でも世界中の医療施設で使用されている。
視線と気管とを直線化して挿管する。 見えれば、挿管できる。 見えないと(約10~20%)挿管できない。 舌根を刺激するため嘔吐反射が強く出現。
従来技術の長所と短所
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第2世代の長所と短所
光学系やビデオカメラを先端付近に設置することにより 喉頭鏡では見えなかった部分が見えるようになった。 欠点: 見えるけども、挿管チューブが到達できない。 ビデオでの可視範囲外でチューブを操作することにより 軟部組織を傷つける合併症も・・ 舌根を刺激するため嘔吐反射が強く出現。
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第3世代
エアトラック (チューブガイド付)
KingVision (チューブガイド付)
AWS 2003
チューブを誘導する機構を有する間接視型の喉頭鏡
Bullard喉頭鏡 1993
図:各社のホームページから引用
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第3世代の長所と短所
声門が見えたとき、チューブも声門前に到達している ブレードに沿う形で、視線の経路とチューブ通過経路がほぼ一致する 見えれば気管挿管できる。 声門が見えないと気管挿管ができない。 レンズの曇り 大量の口腔内・喉頭の出血 チューブガイドよりも太いチューブは使用できない。 ブレードの種類によっては、口が大きく開かないと挿入できない。
図:Pentaxのホームページから引用
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先端の角度が変わり、気道の場所に応じて柔軟に先端の角度が変わる。そのため、他の方法で対応できない症例に対しても対応できることがある。 欠点:チューブ挿入に時間がかかる。習熟にも時間がかかる。
OLYMPUS MAF-TM
MACHIDA ポータブルスタイレット ファイバースコープ MPI
マルチビュースコープ フレキシブル
StyletScope
内視鏡タイプの気管挿管
図:各社のホームページから引用
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挿管用ラリンジアルマスク
換気困難な時に使用されるラリンジアルマスクのチューブ内に挿管チューブを通過させ、気道内へ誘導できる。 開口部が気管入口に位置するため、見えていないが気管挿管ができる。
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見えていない状態で挿管できるが、 欠点として チューブの入れ替えに時間がかかる 喉頭蓋の折れ曲がりや食道損傷 という合併症もおこりうる。 →この欠点を補うために、ビデオ装置を備えたものも海外では発売。 しかし、LMAが喉頭に密着することにより視野が悪くなることもある。
挿管用ラリンジアルマスク
LMA C Trach®
図:LMAのホームページから引用
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従来の方法の良い点を それぞれ取り入れられないか?
図:各社のホームページから引用
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喉頭・声門へのアプローチ 異物除去用の鉗子(マギール鉗子) ↓ 先端部を屈曲させてみる ↓ 声門へのアプローチが容易になった。
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機器開発までのアプローチ 無作為に抽出した頸部のCT画像や単純X線のデーターを基に鉗子の先端部分を設計。先端部を食道入口部と気管挿管チューブを誘導しやすい形に形成した。屈曲マギール鉗子の先端を加工形成しプロトタイプを作成した。これを基に医療鋼製器具メーカーに依頼し機器を作成した。この鉗子をマネキンに用いて有用性を検討した。
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プロトタイプ(白色)と 医療鋼製器具メーカーに作成依頼した鉗子
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誘導鉗子と 挿管チューブの関係
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実用化に向けた課題
• 現在、挿管支援鉗子は前記の様に開発済み。しかし、併用できる可視化システムが未解決である。
• 今後、臨床応用データを取得し、小児から高齢者までの条件設定を行っていく。
• 専用の内視鏡システムが併用できれば、より安全性・有効性が高まることが期待できる。
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従来の内視鏡装置でも使用は可能だが… • 装置が大きい • 吸引用ポートなどがあるため、一回ごとに滅菌が不可欠 • 重量があるため内視鏡装置の保持が困難 • 挿管チューブに固定できない。
図:各社のホームページから引用
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本鉗子にとって理想的な内視鏡システムとは
モニターは軽ければ軽いほど良い 内視鏡の太さ3~5mmまで 長さ30cm程度 吸引用ポート:不要 先端の屈曲操作:不要 解像度:100×100以上 滅菌:ディスポのカバーを容易できれば不要
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想定される用途
• 本技術の特徴を更に生かすためには、容易に挿管チューブの先端部を可視化するシステムを作っていくことが不可欠。
• 30cm先を見ることができる小型の内視鏡システムの作成は救急・麻酔・耳鼻科・泌尿器科など幅広い医療分野で需要が大きいと考える。
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企業への期待
• 未解決の可視化システムについては、超小型イメージセンサーやファイバースコープの小型映像化技術により克服できると考えている。
• また、鉗子自体も樹脂素材で作ることにより安価で広く供給することが可能となる。
• このような技術を持つ、企業との共同研究を希望。 • また、医療分野への展開を考えている企業には、本技術の導入が有効と思われる。
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本技術に関する知的財産権
• 発明の名称 :挿管支援鉗子 • 出願番号 :特願2015-027916 • 出願人 :近畿大学 • 発明者 :植嶋利文
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お問い合わせ先 近畿大学
リエゾンセンター 武田 和也
豊吉 巧也
TEL 06-4307 - 3099
FAX 06-6721 - 2356
e-mail [email protected]
takuya.toyoshi@itp.kindai.ac.jp