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環境検査の方法実技 2015/7/9,10 院内製造PET薬剤の『製造基準』の教育プログラム メルク株式会社 ラボジャパン事業本部 バイオモニタリング事業部 太田垣 院内製造PET薬剤の「製造基準」の教育プログラム 2 目次 環境モニタリングの必要性について 汚染原因について 環境モニタリングの手法について 環境モニタリングにおける注意ポイント 管理方法事例について

環境検査の方法実技 - QST...環境検査の方法実技 2015/7/9,10 院内製造PET薬剤の『製造基準』の教育プログラム メルク株式会社 ラボジャパン事業本部

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環境検査の方法実技

2015/7/9,10

院内製造PET薬剤の『製造基準』の教育プログラム

メルク株式会社

ラボジャパン事業本部

バイオモニタリング事業部

太田垣 寛

院内製造PET薬剤の「製造基準」の教育プログラム2

目次

• 環境モニタリングの必要性について• 汚染原因について• 環境モニタリングの手法について• 環境モニタリングにおける注意ポイント• 管理方法事例について

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院内製造PET薬剤の「製造基準」の教育プログラム3

環境モニタリングの必要性について

3

何故環境モニタリングが必要なのか?

注射剤や点滴液に微生物汚染があるとそのまま体内に入り込む。

無菌医薬品製造に携わっている方々は、風邪を引いただけでも製造に関われない。

たとえ滅菌されていたとしても、菌由来のエンドトキシン

(発熱性原因物質・これを不活性化するのは困難)量 が問題になるケースもあります。

特に問題になりがちなのが、ヒト・環境由来=製品汚染原因となった時で、根絶が困難な場合が多いため、査察などでも指摘が多い項目となります。

生産時の安全と品質を守るため

環境モニタリング・受け入れ及び製品の微生物試験によって重要管理区域の汚染状態*を監視します。

*ヒト由来・環境由来(空気・床・施設、設備)・原材料由来の特定が出来ます。

<製薬業>

<医療機器>

製品に微生物汚染があると、患者さんへの手術のリスクが高まる。

多くの粒子が付着したステントが 塞栓を引き起こす可能性がある。

院内製造PET薬剤の「製造基準」の教育プログラム4

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エンドトキシンを管理していればそれでよいのでしょうか?

医薬品

医療機器・資材

再生医療

抗体医薬

食品

発熱性因子 発熱!!

グラム陽性 細胞膜LTA

グラム陰性 細胞膜LPS

発熱性因子

グラム陰性= エンドトキシン=

LPS

グラム陽性= LTA

ウイルス由来発熱性因子

酵母由来発熱性因子

環境

由来

物質

この因子しか見ていません

γ線・電子線では、不活性化が困難なものも...

院内製造PET薬剤の「製造基準」の教育プログラム5

院内製造PET薬剤の「製造基準」の教育プログラム6

汚染原因について

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ヒト由来のバイオバーデンについて

細菌数 手

ひたい

ふけ

わきの下

鼻水

だ液

便

100~1,000/cm2

10,000~100,000/cm2

約100万/cm2

約100~1,000万/cm2

約1,000万/g

約1億/g

約1億以上/g

粒子・その他 皮膚の面積

皮膚の置換

粒子の剥離

約1.75m2

約5日ごと

約1億以上/日

院内製造PET薬剤の「製造基準」の教育プログラム7

空気中によくみられる微生物

由来経路 菌 名

人体由来

Staphylococcus epidermidis

Staphylococcus aureus

Pseudomonas aeruginosa

Escherichia coli

Serratia marcesscene

環境由来

Bacillus subtilius

Saccharomyces cerevisiae

Hansenula anomala

Aspergillus terrus

Penicillium citrinum

Penicillium cyclopium院内製造PET薬剤の「製造基準」の教育プログラム 8

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粒子について

微粒子は細菌のキャリア(運び屋)になります

微粒子(0.5μm- 500μm)

ウイルス(0.006μm- 0.03μm)

微生物(0.2μm- 2μm)

院内製造PET薬剤の「製造基準」の教育プログラム9

ISO 14644-1 :クリーンルームの浮遊粒子数の基準

Class 0.1 m 0.2 m 0.3 m 0.5 m 1 m 5 mISO 1 10 2ISO 2 100 24 10 4ISO 3 1,000 237 102 35 8ISO 4 10,000 2,370 1,020 352 83ISO 5 100,000 23,700 10,200 3,520 832 29ISO 6 1,000,000 237,000 102,000 35,200 8,320 293ISO 7 352,000 83,200 2,930ISO 8 3,520,000 832,000 29,300ISO 9 35,200,000 8,320,000 293,000

粒子数/立法メートル

クラス100=0.5μmの粒子が1立方フィート中に100個まで1立方フィート=28.3168L→28.3Lで計算すると局方の値となり、1フィート=0.3048mで計算すると、0.02837m3→0.0284m3となり、ISOやEPと同様の値となっているようです。

2014ミリスクールMS044B

印刷資料にはございません

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粒子 大きさ (μm)

砂 80 – 2000

髪の毛 100

一般的な粉 5 – 10

細菌 0.2 – 2

タバコの煙 0.01 – 1

ウイルス 0.003 – 0.05

一般的な粒子の大きさについて

院内製造PET薬剤の「製造基準」の教育プログラム11

USP1116 NF30: 微生物粒子の大きさについて

<1P目の右下の項>

空中浮遊菌は、菌単体、1個の細胞単位で浮遊しているのでは無く、おおよそ10から20μmの大きさの粒子となる

院内製造PET薬剤の「製造基準」の教育プログラム12

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粒子の発生について:1分間あたりの0.5μm以上の粒子数

ガウンニング しない する

静止 100.000

軽作業 500.000

着座動作 1.000.000

歩行動作 5.000.000 100.000

小走り 7.500.000 1.000.000

(急ぎの)走行 10.000.000

院内製造PET薬剤の「製造基準」の教育プログラム13

lllHumans as SssssssSources of Particles

SOIIId

HHHKHHHHHHHHH

ヘアースプレー 皮膚の剥がれ落ち

ヒト由来の粒子について

院内製造PET薬剤の「製造基準」の教育プログラム14

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角質層

皮下組織

細胞層

表皮

真皮エスクリン汗腺 ろ胞カーネル

(管)

毛包

顔ダニ

皮脂腺

一般的な微生物の棲息場所を、理想化した断面図中に示した。

Demodex folliculorum(顔ダニ)は、健康で損傷を受けていない皮膚に住む唯一の動物である。

裸眼ではまず見ることが出来ないが、細菌よりも約400倍大きい。

Demodexin は、多くの成人の皮膚に棲息している。

イラストは、皮膚を50倍に拡大している。赤い方形の枠 は、別に拡大図をしめす。

出典: Marples, Mary J. Life on the human skin. Scientific American 220(1): 108–115, January 1969.(ビオテストセミナー小暮様プレゼン資料より)

15

ヒト由来

院内製造PET薬剤の「製造基準」の教育プログラム15

皮膚の上層(A)。角質層は平らな、ウロコ状の「鱗片(squames)」から構成されている。

これは丸まって、剥がれ落ちて行く。

鱗片の下や周りは、細菌や真菌の酵母様の細胞が存在する(赤色)。

毛包(B)は、多くの細菌が棲みついている。これらの図は、皮膚を約1000倍に拡大したものである。

出典: Maples, Mary J. Life on the human skin. Scientific American220(1): 108–115, January 1969.(ビオテストセミナー小暮様プレゼン資料より)

A B

16院内製造PET薬剤の「製造基準」の教育プログラム16

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院内製造PET薬剤の「製造基準」の教育プログラム17

環境モニタリングの手法について

17

環境モニタリングのポイント何をモニタリングするか

③ 空中浮遊菌・落下菌・浮遊粒子

– クリーンルーム、清浄区域

– 圧縮空気

① 表面付着菌

– 機器: 製造機器・測定機器

– 床、壁、ドア・・・・

② 作業者

– 手袋、作業服、 …

院内製造PET薬剤の「製造基準」の教育プログラム18

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環境測定の規格について-製造環境を評価するためにー

空中浮遊菌測定

付着菌測定

空中浮遊粒子測定

測定項目 規格 測定方法頻度

医薬*無菌医薬品

浮遊菌

付着菌

浮遊粒子

薬局方*無菌医薬品

規格によりグレード毎に設定されている

食品・飲料 NASA規格より引用 企業に委ねられている

病院日本病院設備協会基準有

NASA規格参考

無菌手術室は厳しい

各病院に委ねられている再生医療では医薬と同等にしている施設が増えている

3つの測定結果で評価します

別途、ISO14644(JIS規格と統一)、14698を適用している企業もある

2012年 落下菌測定追加 !!院内製造PET薬剤の「製造基準」の教育プログラム

環境モニタリング

とは :

製造過程の安定性指標

製造環境の監視ツール

過去のデータの追跡調査

製造設備の管理状況の情報

汚染原因特定の情報となる

無菌試験陽性の原因究明の情報となる

であり、

無菌保証レベルを決めるものではない

化学試験のように、再試験できるものではない

施設間の比較に有効ではない

分析試験のように正確・精密なものではない

製品品質への影響の度合いを計るものではない

院内製造PET薬剤の「製造基準」の教育プログラム20

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空中浮遊微生物測定機器

スリットサンプラー

多孔式サンプラー

RCSサンプラー:衝突遠心法

インピンジャー法

ろ過型サンプラー*

*フィルター法は無くなりつつある

*多段式多孔型

培地を用いる方法: 衝突法・フィルター法・インピンジャー法培地を用いない方法: ATP法(一部培地を使用)・蛍光カウンター法など

能動的モニタリング: 広義的には衝突法となる

次ページ以降、構造・特徴について説明院内製造PET薬剤の「製造基準」の教育プログラム21

柳 宇,浮遊微生物の測定方法,JACA2011第48巻第6号10-16より

各種エアーサンプラーの構造について

院内製造PET薬剤の「製造基準」の教育プログラム22

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空中浮遊菌モニタリング遠心衝突法サンプラー(RCS)

軽量で、操作が簡単、迅速

バッテリー内蔵

サンプリングヘッドの蒸気滅菌が可能

大容量の空気を吸引測定できる

本体をガス滅菌できる。

培地の供給が一社に限定される

RCSスタンダードでは排気が乱流を起こす恐れがあるので、最新モデルを選択する必要がある

RCSハイフローでないとバリデーション対応できていない

短 所

長 所

ガス滅菌可能空気の通り道が滅菌できる

院内製造PET薬剤の「製造基準」の教育プログラム23

RCSでの菌の生え方

院内製造PET薬剤の「製造基準」の教育プログラム24

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空中浮遊菌モニタリング

サンプリングヘッドにある小さい穴を通って空気が吸引され、微生物が培地表面に衝突する

ローダックプレート又は標準平板培地を使用

バッテリー内蔵型が主流

微生物は培地表面に比較的均一に散布される

携帯型多孔式衝突型サンプラー

院内製造PET薬剤の「製造基準」の教育プログラム25

空中浮遊菌モニタリング衝突型サンプラー(MAS-100 NT )

・ 汎用的な90mmシャーレが使用可能

・ 国家基準にトレーサブル

特 徴

・ ISO 14698-1/2に準拠

・ 内蔵アネモメーターによる自動吸引風量補正

(つねに100L/minの風量)

・ アンダーセンサンプラー法

・ 測定環境の気流を乱さない

Air inlet

Petri dish

Anemometer

Blower

Air outlet

・ グレードA環境対応

院内製造PET薬剤の「製造基準」の教育プログラム26

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MAS-100での菌の生え方

院内製造PET薬剤の「製造基準」の教育プログラム27

落下菌数測定法

1. 使い易い

2. 二次培養操作を要しない

3. 経済的

4. 培地の種類を変えることが容易で酵母糸状菌、細菌などの種を選ぶことができる

5. 多数の平板を使用できる

1. 大きい粒子が優先的に沈降するため捕集がかたよる

2. 捕集効率は、温度、湿度、流れによって影響する

3. 空気容積が測定できない

4. 空気の流れ、速度、方向などが平板の角にあたる

5. 定量的測定値としては信頼性が疑問

6. 検出限界、不正確で変動しやすい

EPでは4時間開放培地の乾燥がある場合: 複数枚使用

空気量と微生物捕集量の相関がない風速が明確になっている地点では相関有

短 所長 所

院内製造PET薬剤の「製造基準」の教育プログラム28

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表面付着微生物のモニタリング

ローダック

柔軟性フィルム容器培地(コンタクトスライド)

ふき取り法 (スワブ法)

表面リンス法

表面付着菌の測定場所は、壁、床、ドア、窓、設備、タンクなどがあげられる

試験方法の種類

院内製造PET薬剤の「製造基準」の教育プログラム29

接触箇所が培地成分で汚染される

凹凸のある表面は使用できない

JP 16 参考情報 無菌医薬品製造区域の微生物評価試験法

表面付着微生物の測定方法コンタクトプレート法

簡便、高回収率

培地中に不活性化剤を添加できる

直径5.4~6.2cm コンタクトプレート(表面積24 ~30 cm²),– 必要に応じて抗生物質、不活性化物質を添加

サンプリング箇所にコンタクトプレート全体を均等に数秒間接触させる。

30-35℃(好気性菌)、25-30℃(好気性・酵母かび)、20-25℃(酵母かび)、5日間以上培養

接触箇所に付着した培地成分を無菌的に拭き取る

操作方法

メリット

デメリット

院内製造PET薬剤の「製造基準」の教育プログラム30

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コンタクトスライド

柔軟性のあるフィルム容器に充填された培地で、コンタクトプレートと同様に使用する

不規則表面にも使用可能

培地の種類が各種あり、接面の面積は 25 cm2

<使用例>

個包装

院内製造PET薬剤の「製造基準」の教育プログラム31

手 袋 寒天培地

製造作業終了後にサンプリングを実施

テストの前に手袋を消毒しない

両手指からサンプリング

30-35℃、5日間以上培養

菌数測定・記録、菌種同定

作業者のモニタリング

作業衣

コンタクトプレート・拭き取り法

院内製造PET薬剤の「製造基準」の教育プログラム32

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作業員のサンプリング実施例

院内製造PET薬剤の「製造基準」の教育プログラム33

院内製造PET薬剤の「製造基準」の教育プログラム34

参考資料1

環境モニタリングにおける注意ポイント

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手指洗浄後における付着菌数の経時変化

院内製造PET薬剤の「製造基準」の教育プログラム35

目的:手指消毒に消毒剤を用いた際の消毒性能の差があるか確認すること及び消毒後一定時間を経過すると表皮から菌がどの程度出現するか確認することを目的とする

実験材料:コンタクトスライド(SCD培地、型番:1.44022.0100)70%エタノール:消毒剤1ヒビスコールSH(サラヤ社):消毒剤2

手指洗浄後における付着菌数の経時変化

院内製造PET薬剤の「製造基準」の教育プログラム36

手洗・消毒 サンプリング 培養・測定

手袋して60分作業

試験方法

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消毒直後(0分) 消毒後60分

エタノール洗浄

ヒビスコール洗浄

手指洗浄後における付着菌数の経時変化

院内製造PET薬剤の「製造基準」の教育プログラム37

38 175

12 72

試験結果

コロニー数

コロニー数

グローブ破れのリスク。ダブルグローブの必要性

60分後では菌数の増加がみとめられた。

クリーンルームウェアの違いによる微生物汚染からのバリア性能の評価

院内製造PET薬剤の「製造基準」の教育プログラム38

目的:

クリーンルームウェアのバリア性能に差があるかどうか確認することを目的とする。クリーンルームウェアで用いられている材質の異なるクリーンウェアを4種類

用意し、生地の表に指標菌を付着させる。生地の裏側からサンプリングを行い、指標菌が通過するかどうか確認する。

実験材料クリーンウェアサンプル1 材質: PPE(ポリフェニルエーテル)Nitritex社製サンプル2 材質:高密度ポリエチレン不織布サンプル3 材質:不織布(PPバスボンド/PEラミネート)

外側/ポリエチレンフィルムラミネートサンプル4 材質:ポリプロピレン不織布

SCDコンタクトプレート(SCD培地、型番:1.46527.0200)指標菌 Staphylococcus epidermidis(日本微生物クリニックより分譲)

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クリーンルームウェアの違いによる微生物汚染からのバリア性能の評価

院内製造PET薬剤の「製造基準」の教育プログラム39

クリーンウェアを培地で裏表からはさむ

クリーンウェア

培養・測定

指標菌を植菌したコンタクトプレート

未使用のコンタクトプレート

試験方法

サンプル1 サンプル2 サンプル3 サンプル4

クリーンウェア材質

PPE(ポリフェニルエーテル)

Nitritex社製

高密度PP不織布 不織布(PPバスボンド/PEラミネート)

不織布(PP)

培養結果

コロニー数 0 40 ++ +++

クリーンルームウェアの違いによる微生物汚染からのバリア性能の評価

院内製造PET薬剤の「製造基準」の教育プログラム40

試験結果 クリーンルームウェアの材質の違いによりバリアー性能に違いが認められた。

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41

ご清聴ありがとうございました

院内製造PET薬剤の「製造基準」の教育プログラム

院内製造PET薬剤の「製造基準」の教育プログラム42

参考資料2

管理方法事例について

42

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実際のPET薬剤製造区域での測定結果

2-1. 測定場所

F大学 PET薬剤製造区域

2-2. 測定方法

局方に準拠し、空中浮遊菌、空中浮遊粒子、付着菌の測定を実施測定ポイント: 今後の改訂局方の参考文書となるISO14644に準拠

して測定場所を選定した

2-3. 測定結果

ワーストでの測定のため、ホットセル室でも微生物を検出

2-4. 今後の展開

院内製造PET薬剤の「製造基準」の教育プログラム43

調剤エリア:測定場所の選択

予め重要管理区域を予想する。

1. ヒト・モノが頻繁に移動する動線2. 外部のエリアとする接続する場所3. 空気が滞留している場所4. 汚れがたまりやすい場所

(水場・コード類・角)

リスクを確認するための重要管理区域

1. 製品が開放状態になる場所・タイミング2. 製品に間接的に接触するモノ・場所

院内製造PET薬剤の「製造基準」の教育プログラム44

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測定方法空中浮遊菌測定 空中浮遊粒子測

付着菌測定

RCSハイフロータッチ

・空気の通り道(排気)まで滅菌可

・過酸化水素ガス滅菌対応

・専用培地が個包装

・ISO、JPに対応

APCエルゴタッチ

・簡易型ハンディ

パーティクルカウンター

・経済的

院内製造PET薬剤の「

製造基準」の教育プログラム

45

測定ポイントの選抜について

1.面積の確認⇒測定ポイント数を換算表にて確認

2.製造区域をグリッド(格子)状にして、パーティクルカウンターで測定し、5μmの測定結果がより多いところを測定箇所(浮遊菌・付着菌(床・作業台など))にする。

⇔ 予め予想されている重要管理ポイント付近になります

3.5μmの測定結果に差異が無い⇒製品に近い方。出てきては困る方を選択。

4.作業員の測定、作業員が接触する器具・モノ(ドアノブ・作業机)

院内製造PET薬剤の「製造基準」の教育プログラム46

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調剤エリア:測定場所の選択

ヒトとモノの動線図

作業者入室

作業者退室

原料

製品

注意区域

調剤エリア

調剤エリア

院内製造PET薬剤の「製造基準」の教育プログラム47

測定ポイントの選抜調剤エリア ラボ1

調剤エリア

院内製造PET薬剤の「製造基準」の教育プログラム48

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測定ポイントの選抜調剤エリア ラボ2

調剤エリア

院内製造PET薬剤の「製造基準」の教育プログラム49

12

21

13

11

10

9

8

7 6

5

4

3

12

20

19

18

17

16

15

14

22 23 24 25 26 27

29 3028

PB分注器

測定について

将来的には

・ 浮遊粒子については、継続して測定

・ 浮遊菌、付着菌については、約半分まで減らす

・ 作業時間は2名で半日で

今回

・ 3名で測定+見学者2名+他作業者→ ワーストケースでの測定

・ 作業時間は1日

調剤エリア院内製造PET薬剤の「製造基準」の教育プログラム50

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測定結果

調剤エリア

院内製造PET薬剤の「製造基準」の教育プログラム51

検出された微生物の同定結果検出された微生物から重要と思われるコロニーの同定を行った。同定方法: 光学顕微鏡による形態観察。 16s /23s rDNAの塩基配列を決定

Bacillus subtilisバチルス ズブチリス

Methylobacterium populiメチロバクテリウム ポプリ

流台周辺

培養結果 同定結果

調剤エリア

手袋Paenibacillus illinoisensisパエニバチルス イリノイセンシス

エタノールでは殺菌できなかった

グラム陰性菌が検出された

消毒前

手袋消毒後

院内製造PET薬剤の「製造基準」の教育プログラム52

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① 外部の環境をしっかりとブロックし、ゾーニングが出来ている

② 水場付近や外部と間接的に接触するエリアでは予想通り菌が

検出された

③ クリーン衣や使用前の手袋より菌が検出された

(ワースト条件下のため)

初期環境モニタリング測定

ホットセル室をはじめ、複数のクリーンエリアで菌が検出されたしかしながら、今回の測定で、以下のように明らかになった

院内製造PET薬剤の「製造基準」の教育プログラム53

初期環境モニタリングの測定結果をうけて

① 殺菌剤の変更: エタノールからアクトリルへ

例)日々の使用 : 手袋 清掃:定期的な殺菌剤による床、重要管理区域の処理

理由 :エタノールで殺菌できない菌が確認され、ホットラボ内においても基準値を超える

菌が確認されたため

② 作業衣服の保管方法の変更:更衣室に作業衣殺菌設備を導入

理由 : 作業前の衣服からも菌が検出されたため。

③ 手洗い場のゾーニング:手洗い場のついたてにより、飛沫拡散を防止

理由 : 汚染の拡大を防ぐため

④ 手袋の変更:洗浄済みの高品質のものに変更(最良の対策としては滅菌済みを選択)

理由 : 作業前の手袋から菌が多数検出されたため。汚染の拡大を防止。

改善前の手袋は紙箱入りで汚染原因であったと推定された。

その他、引き続き、ホットラボで検出された微生物の発生原因の調査継続 :

清掃・消毒・モニタリング・ヒトやモノの動線の確認と修正

GMP管理を目指して、重要管理区域の管理方法を改善し、環境が制御できるかどうか確認する必要がある

院内製造PET薬剤の「製造基準」の教育プログラム54

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改良ポイント ② 更衣室に作業衣殺菌設備を導入③ 手洗い場のゾーニング

① 殺菌剤の変更: エタノールからアクトリルへ

アクトリル、滅菌ウェス:小津商会(㈱)ほか

ついたて

UV殺菌ロッカー

改善前

改善後

院内製造PET薬剤の「製造基準」の教育プログラム55

AriaName Grade 吸引量 付着菌 空中浮遊菌 1000L換算 0.5um 0.5um 1000L換算5um微粒子 5um 1000L換算- 200 1 31 14 70 279 98,587 30 10,601- 200 2 22 20 100 2574 909,541 65 22,968C 500 3 18 6 154 54,417 3 1,060- 500 4 2 0 0 14 4,947 0 0B 500 5 0 0 0 1 353 0 0B 500 6 0 0 0 0 0 0 0B 500 7 0 0 0 31 10,954 0 0B 500 8 0 0 0 1 353 0 0B 500 9 0 0 0 1 353 0 0B 500 10 0 0 0 0 0 0 0B 500 11 0 0 0 0 0 0 0A 500 12 0 0 0 0 0 0 0B 500 13 0 0 0 0 0 0 0B 500 14 0 1 2 0 0 0 0B 500 15 1 1 2 0 0 0 0B 500 16 0 0 0 2 707 0 0B 500 17 1 0 0 0 0 0 0- 500 18 0 0 0 2 707 0 0C 500 19 2 0 0 1 353 0 0

HotCell (A) 500 20 0 0 0 0 0 0 0HotCell (A) 500 21 0 1 2 0 0 0 0HotCell (A) 500 22 0 0 0 0 0 0 0HotCell (A) 500 23 0 0 0 0 0 0 0HotCell (A) 500 24 0 0 0 0 0 0 0HotCell (A) 500 25 0 0 0 0 0 0 0HotCell (A) 500 26 0 0 0 0 0HotCell (A) 500 27 0 0 0 0 0HotCell 床 (A) 500 28 0 0 0 0 0 0 0HotCell 床 (A) 500 29 0 0 0 0 0 0 0HotCell 床 (A) 500 30 0 0 0 0 0 0 0SC安全キャビA 500 31 0 0 0 0 0 0 0HotCell (A) 500 32 0 0 0 0 0

- 200 分注 4 12 60 1622 573,145 47 16,608- 0 0 0 30 10,601 1 353

改善後の測定結果

調剤エリア

院内製造PET薬剤の「製造基準」の教育プログラム56

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改善後の測定結果

パーティクルの落ち着くタイミング※

⇒ クリティカルな作業が許容

※簡易作業終了後数分間で環境は改善されたことを確認した

院内製造PET薬剤の「製造基準」の教育プログラム57

① エタノールによる手指の付着菌モニタリング左:作業前 除菌前中:作業前 エタノール除菌後右:作業後

殺菌剤の効果について

アクトリル

作業前 除菌前 作業前 エタノール除菌後

院内製造PET薬剤の「製造基準」の教育プログラム58

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殺菌剤の効果について

手袋の表面付着菌

ラボA作業前(アクトリル処理前)

ラボA作業前(アクトリル処理後)

ラボB作業前(アクトリル処理後)

ラボB作業前(アクトリル処理前)

アクトリル(過酢酸)により芽包菌も殺菌メーカーの使用方法通り使用すれば効果はあるが腐食性・刺激臭はあり

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