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産業保健
山形大学環境保全センター
生理学講座
藤井聡
職場での安全と衛生
• 労働基準法(1947年)
• 労働者災害補償保険法(1947年)
• じん肺法(1960年)
• 労働安全衛生法(1972年)
働く人の安全と健康を守るための法律
安全衛生対策における基本事項(労働衛生管理の基本と労働安全衛生法の概要)
(1)労働衛生管理体制
(2)作業環境管理
(3)作業管理
(4)労働衛生教育
(5)健康管理
(1)労働衛生管理体制
総括安全衛生管理者(工場長など)・産業医(資格要件を満たすもの)・衛生管理者(資格要件を満たすもの)等に必要な権限を与え、その責任を明確にし、これらのスタッフが協力して労働衛生対策を推進するための組織を確立すること。
総括安全衛生管理者は産業医・衛生管理者および労働者を指名して、毎月1回以上、衛生委員会を開催しなければならない(労働安全衛生法第18条)。
労働衛生管理の基本
保健師は労働局に届け出ることで衛生管理者として認められる。
(2)作業環境管理
作業環境中の有害要因を取り除いて適正な作業環境を確保することを目的として、職場における労働者の健康障害を防止するための根本的な対策の一つ。
作業環境の温度、気流、照度、二酸化炭素濃度、粉塵濃度、騒音、特定化学物質の気中濃度などに基準値(管理濃度)がある。
作業場に転倒防止や転落防止のための配慮がなされているか、気中の有害物質の排気は適切か、などの対策も作業環境管理の一つである。
労働衛生管理の基本
(3)作業管理作業内容や方法で有害要因の発生を防止したり暴露を少なくしたりするために作業手順や方法を定めること。
作業方法を変更したり保護具を適正に用い、有害因子の暴露を少なくすること。
・患者の移動や食事の介助などに腰痛予防のための作業標準が定められているか?
・エチレンオキサイドやホルマリンなどの特定化学物質、キシレンなどの有機溶剤を取り扱う際の保護具の着用はなされているか?
・VDT作業では、45分間に10分程度休憩時間が定められているか?・化学物質を取り扱う際に MSDS (material safety data sheet) を保管し、記載された注意点を遵守しているか?
労働衛生管理の基本
労働衛生管理の基本
(4)労働衛生教育
労働が健康に与える影響や健康障害を防ぐための労働衛生管理体制、作業環境管理、作業管理および健康管理について、の正しい理解が労働者に必要である。
雇い入れ時、作業内容変更時、有害危険業務に就かせるときに、雇用者が労働者に労働衛生教育を行うことが法定義務となっている。その他にもあらゆる機会を活用して計画的、継続的に実施する。
(5)健康管理
職場での健康診断は、健康診断の結果に基づいて事後措置をおこなうために事業者が施行する。
職場での健康診断は、その結果を通じて労働者の健康状態を把握し、作業環境管理や作業管理を適切に行い、個々の労働者の健康障害を未然に防ぐために行う。
労働衛生管理の基本
1.有害要因と健康障害
• 有害要因:生命を維持し、社会的な活動を継続していくことを阻害する因子
① 物理的要因
② 化学的要因
③ 生物学的要因
④ 社会的要因
有害因子
物理的要因:
• 光: レーザー光線、赤外線、紫外線
• 電離放射線: 医療用、非破壊検査
• マイクロ波: 通信、ビニル接着
• 振動: 振動工具、チェーンソー
• 照明: 精密作業、事務仕事
• 騒音: 建設、プレス
• 気圧: 潜水、建設(掘削工事)、高山
• 温度: 高炉、冷凍倉庫
有害因子
化学的要因• 無機性粉塵: 鉱業、窯業、建設、鋳造
• 特定化学物質: 化学工業、建設、医療、製造
• 重金属: 蓄電池製造、窯業、鉛ライニング
• 一般粉塵: 紡績、製紙、化学工業、農業関連
• 有機溶剤: 諸工業、印刷、塗装業・
• 酸素欠乏: 建設、化学工業、醸造業、地下作業
• その他有害ガス:駐車場管理、諸工業
有害因子
生物学的要因• 細菌、寄生虫、動物、昆虫: あらゆる作業
• アレルゲン: 職業性アレルギー疾患
作業環境中の有害要因の特定
① 生物学的モニタリング:特殊健康診断がその一つ
血液、尿、呼気、毛髪などの生体試料中の有害物質や代謝産物の量を測定することで暴露程度を推定すること。
② 作業環境測定:許容濃度と管理濃度に分かれる。
許容濃度は疫学的調査、 事例や実験による暴露限界の指標である。日本産業衛生学会が定めている。
管理濃度は作業環境測定法による行政的基準である。許容濃度を参考にしつつ、技術的限界や国際的行政の動向も加味して数値が定められている。
③ 疫学的調査:衛生委員会の調査事項の一つ。
健康診断および作業環境測定などの結果と疾病の発症についての関連を検討する。
有害要因に対する生体側の反応
(1)ホメオスターシス(恒常性)
身体内部環境が外的な要因で変化した場合に、生体はその内部環境の恒常性(homeostasis)を維持するために働く機構を持つ。ホルモンhormone・免疫系・自律神経系がそのシステムを構成する。
内部環境の変化は、内分泌細胞により感知されてhormoneを血液中に分泌する。これが循環系を介して標的細胞に運ばれ、シグナル伝達する。hormoneにより標的細胞が反応して、内部環境の変化を緩和ないし回復する。
自律神経系はhormoneより反応が早く、呼吸・循環・体温・消化などを外部環境に適応するように調節する働きを持つ。
免疫系は感染防御を通じて外部環境の影響を緩和する。
(2)量-影響関係:暴露量と体内蓄積
• 有毒物質の種類により体内の蓄積部位は異なる。
• 有毒物質の種類により体内の残留量は異なる。
• 有毒物質に暴露し、吸収した時間に依存する。
• 有毒物質の暴露濃度に依存する。
• 有毒物質が体内に蓄積する量は、その吸収量だけでなく体内での代謝や排泄の多寡に依存する(右図)。
有毒物質の排泄
• 有毒物質は一部は肝臓で代謝され無毒化される。
他は、グルクロン酸抱合
などを受けて水溶性に変換され、胆汁と一緒に糞便中に排泄されたり、腎臓で尿中に排泄される。
• ガス状のものは呼気からも排泄される。
(3)中毒:有害物質による障害
• 皮膚や粘膜の接触部位に直接障害
皮膚や眼球結膜などに直接付着して障害をおこす、ないし、気道粘膜や肺胞に付着した粒子が障害を引き起こす。塩素、フッ化水素、硫酸ジメチルなどによる
角膜炎や結膜炎、接触性皮膚炎、肺炎、肺水腫など
• 皮膚や消化器、呼吸器から体内に吸収されて一定量蓄積され、標的臓器で障害をを引き起こす。アルキル水銀、マンガン、鉛中毒、急性シアン中毒など
接触性皮膚炎
有害物質の吸収
(1)呼吸器からの吸収 (経気道吸収)
(2)皮膚からの吸収 (経皮膚吸収)
(3)消化器からの吸収 (経消化管吸収)
毒性は(1)≧(2)>(3)
化学物質による身体障害全身症状
• 麻酔症状 脂溶性有機溶剤(アセトン、アルコール、キシレン
トルエンなど)ガス、塩化ビニル、ベンゼンなど。
蒸気を吸引すると麻酔作用で意識障害が生じる。
• アレルギー アレルギーの原因物質は様々。
皮膚症状、呼吸器症状(喘息様発作)、
金属(亜鉛,カドミウム,水銀,鉄)の蒸気吸入
で発熱(ヒューム熱)。
化学物質による身体障害全身症状
悪性新生物(公認された職業がん)• 石綿:悪性中皮腫,肺がん• ベンジジン,βナフチルアミン,4‐アミノジフェニル:泌尿器系,膀胱が
ん• イペリット(マスタードガス): 肺がん• 電離放射線:皮膚,骨,肺,血液がん• ピッチ,アスファルト,コールタール,クレオソート,ばい煙:肺,血液がん• クロム:肺がん• ニッケル:副鼻腔,肺がん• イソプロピルアルコール:副鼻腔ガン• オーラミン、マゼンタ:膀胱ガン• 塩化ビニル:肝臓血管肉芽腫
化学物質による身体障害全身症状
肝臓機能障害 (肝機能検査が必要な物質)
• 有機溶剤の一部: トリクロルエチレン、N, N-ジメチルホルムアミド,テトラクロルエチレン
• 塩化ビフェニル(PCB),• アクリロニトリル,
• 三酸化砒素,
• フッ化水素,
• トリレイジンイソシアネート
化学物質による身体障害全身症状
• 腎臓の障害
腎炎およびネフローゼを引き起こし、初期から尿中にたんぱく質と潜血がみられる。
カドミウム,水銀およびそれらの化合物で引き起こされる。カドミウム暴露では初期に低分子たん白尿(β2-microglobulin)が出現。
• 造血器官および血液の障害
動悸、たちくらみが貧血の初期症状でみられることがある。
鉛,砒素およびその化合物で貧血をおこす。
ニトログリコールで貧血が見られる。
ベンゼンでは白血病
化学物質による身体障害全身症状
神経障害頭痛,頭重,手の震え,平衡障害,書字困難,てんかん様発作,筋肉麻痺,意識障害
有機溶剤水銀:常温で蒸発して作業場の空気を汚染する。鉛,アルキル水銀:水俣病4アルキル鉛マンガン:パーキンソン氏病二硫化炭素オルト-フタロジニトリル
化学物質による身体障害局所症状
じん肺• 肺組織が線維性増殖して呼吸機能が障害される。吸入され
た粉塵が肺に沈着して肺組織を破壊し、線維組織に置き換わる。
• 初期には症状が出にくく、進行して呼吸困難、咳、痰などの症状が出る。
• 気管支拡張症、肺がん、肺気腫、肺結核、気管支炎、気胸を合併しやすい。
• けい肺(遊離珪酸):金属工業やトンネル作業、ガラス工業などで発症。
• 石綿肺(アスベスト)
職業病と作業関連疾患
• 職業病とは職業固有の単一要因による疾病をいう。
• 作業関連疾患は、作業で発症・増悪する疾病全てを含む幅広い概念である。発症の主要な原因が複数あり、作業と関係ない要因でも発症する。増悪要因の一つとして作業が関与する。
高血圧、虚血性心疾患、など
じん肺、職業がん例
直結しない直結する補償問題
労働・生活・体質単一要因原因
職業+地域集団特定の職業集団発生する集団
多い少ない発生頻度
作業関連疾患職業病
作業関連疾患WHO(世界保健機構, world health organization)
• 高血圧症• 虚血性心疾患:狭心症、心筋梗塞• 慢性非特異性呼吸器疾患:慢性気管支炎、
気管支喘息、肺気腫• 運動器疾患:腰痛、頚肩腕症候群• 感染症• 寄生虫• 悪性腫瘍• 胃・十二指腸潰瘍
ストレッサー
神経系・内分泌・免疫系の相互関係
中枢神経系
内分泌系 免疫系ホルモン
サイトカイン
神経伝達物質
ホルモン ホルモン
神経伝達物質
ストレス関連疾患は生体のホメオスタシスの乱れで生じる
ストレス関連疾患
「全身適応症候群」学説Hans Selye (1907-1982)
Director of the Institute of Experimental Medicine and Surgery at the University of Montreal.
(Stress without Distress, 1974)
さまざまなストレッサ-に対する生体防衛反応
(1)警告反応期: ショック相:体温・血圧降下、筋緊張低下,血糖低下、神経活動低下反ショック相:体温・血圧・血糖上昇神経活動・筋緊張増加
(2)抵抗期:適応状態の獲得と維持適応は失調しやすい
(3)疲憊期:適応の末期状態:体温低下、胸腺萎縮、 副腎皮質機能が低下しストレッ サ-に対し抵抗を失う
警告反応期 抵抗期 適応獲得成功 日常生活(数日間) 適応獲得失敗 疾病
(数週間から数カ月)
2.健康危険調査および疫学的調査
•健康危険調査(リスク・アセスメント)
作業に起因・関連して発生する可能性がある健康障害を予測して、作業環境管理、作業管理、健康管理に必要な情報を収集して分析すること。原材料や作業工程の有害性を調査する。
原材料の有害性調査
• 急性毒性暴露時に50%の動物を死亡させる量(LD50)が有用な指標である。 短期間の高濃度暴露が問題になる。皮膚や眼球結膜などの粘膜等、局所への刺激性も重要なデータである。最低毒性濃度(TCL0) は毒性が発揮される最低濃度を表わす。
• 慢性毒性暴露濃度と暴露時間、生体への蓄積性(代謝・排泄による生物学的半減期)、標的臓器における臨界量(閾値)が複雑に関係する。長期間の低濃度暴露が問題となる。
原材料の有害性調査
• 感作性
アレルギー反応は、人体の持つ免疫システムが外界から侵入し
たアレルゲンが感知され反応して(感作)して引き起こされる。アレルゲンの大多数は、人体を構成するものとは異質なタンパク室または糖たんぱく質である。排除の原理が働いて抗体が産生され、過剰な免疫反応であるアレルギー症状を起こす。体内に入っても異物として認識され得ないものは、アレルゲンにはなり得ない。
• 催奇形性
• 生殖毒性
原材料の有害性調査
発がん性
がん原生試験:実験動物に化学物質を投与してがんの発生
を検討する試験
変異原生試験:大腸菌などに化学物質を与えて遺伝情報の損傷を検討する。発がん性試験に比べて短期間に実施でき、コストも低い。新規化学物質を製造または輸入しようとする事業者は、労働安全衛生法および諸規則の基づいた
GLP(Good Laboratory Practice)に従って
変異原生試験を行う。
作業環境(作業工程)の調査作業環境測定(騒音、有害化学物質など)
• A測定:単位作業場所における有害物質の空気中の濃度の平均値を把握する測定。測定点の高さは、床から50~150cm、測定点の数は5点以上、10分間測定した平均濃度の測定をいう。
• B測定:発生源に近接した作業など、労働者が最も高い濃度でばく露される時間と作業位置での測定。
• 原則として作業2日分の測定評価をだす。
第1評価値 EA1(高濃度側から5%相当): 20人のクラスで成績の悪い方から2人の目の点数に当たる。第2評価値 EA2(算術平均値):単純に平均点に当たる 。
作業管理
作業そのものと作業様態について分析し、基本となる作業ごとに
① 作業時間
② 作業手順
③ 作業負荷
④ 作業姿勢
等を検討し、作業負担から生じる健康障害を予防すること。
作業管理時間
職場での健康診断
(労働安全衛生法第66条)
• 労働者の危険または健康障害を防止するための措置の一つで、健康診断の実施は事業者の義務である。
• 労働者は事業者の行う健康診断を受けなければならない。
• 健康診断の結果について産業医から意見を聴取し、その必要があると認める場合は適切な措置を講じなければならない。
作業関連疾患は作業内容や作業環境が同じならば再発しやすい。
健康診断およびその結果に基づく適切な事後措置が必要となる。
なぜ職場での健康診断が義務なのか?(市民健診や人間ドックの受診は任意)
職場における安全衛生管理のために必要である。
一般定期健康診断の項目一年以内に1回の定期健康診断が義務付けられている
(労働安全衛生規則第44条)
① 既往歴および業務暦の調査② 自覚症状および他覚症状の有無の検査③ 身長,体重,視力および聴力の検査④ 胸部X線検査およびかくたん検査
⑤ 血圧の測定⑥ 貧血検査(血色素量、赤血球量)⑦ 肝機能検査(GOT, GPT, γ-GTP)⑧ 血中脂質検査(総コレステロール,HDLコレステロール,トリグリセライド)⑨ 血糖検査(空腹時血糖値ないしはHbA1c値)
⑩ 尿検査(尿糖・尿たんぱく)⑪ 心電図検査
健診項目の省略 (医師が必要でないと認めるときに省略できる項目)身長については20歳以上の者、 かくたん検査は胸部X線検査で疾病が発見されない者や結核発病の恐れがない者 ⑥から⑨までと⑪の検査は35歳未満および36歳から39歳の者、尿中の糖検査は血糖検査を実施した者、について省略できる。
特殊健康診断(労働安全衛生法第66条の2,3項およびじん肺法)
1. 有機溶剤健康診断
2. 鉛健康診断
3. 四アルキル鉛健康診断
4. 特定化学物質健康診断
5. 高気圧作業健康診断
6. 電離放射線健康診断
7. じん肺健康診断
8. 石綿健康診断
9. 歯科健康診断(酸の取り扱い)
健康診断実施後の措置(労働安全衛生法第13条、66条の三)
事業者は医師または歯科医師の意見を勘案し、その必要があると認める時は、当該労働者の実状を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮等の措置を講じるほか、作業環境測定の実施、施設または設備の設置そのほか適切な措置を講じなければならない。
職場での過重労働対策面接指導(義務)
時間外労働が1月100時間を超えたら⇒事業者は医師による面接指導*を行わなければならない
• 対象事業場:全ての事業場(常時使用する労働者が50人未満の事業
場は平成20年4月から適用)
• 対象労働者:時間外労働が1月当たり100時間を超え、かつ、疲労の
蓄積が認められる労働者で、面接指導の申し出をした
もの。産業医は、同労働者に対して面接指導の申し出を行うよ
うに勧奨できる。派遣労働者は派遣元事業主に実施の責務が
ある。
• 記録:面接指導の結果を作成して5年間保存しなければならない。
• 事業者:面接指導を行った医師の意見の聴取、措置の実施、安全衛生委員
会への報告。
• 守秘義務:面接指導の実施に関して知り得た事実は漏らしてはならない。
健康保持増進措置(Total Health Promotion Plan : THP)
労働者の心身両面にわたる健康の保持増進を積極的におこなうこと
健康測定
医学的検査と運動機能検査をチェック(教科書表4-11)。
健康指導
イ.運動指導
ロ.心理相談(メンタルヘルスケア)
ハ.栄養指導
二.保健指導
THPにおける衛生管理者の役割健康保持増進計画の策定
• 事業場内で健康保持増進委員会の立ち上げ
• 健康保持増進計画の企画・立案・実施
• 健康保持増進実施体制の整備
• 実施担当者との連絡
自社でスタッフを確保できない場合は「労働者健康保持増進サービス機関」ないし「労働者健康保持増進指導機関」に依頼する。
労働衛生教育
労働が健康に与える影響や健康障害を防ぐための労働衛生管理体制、作業環境管理、作業管理および健康管理について、の正しい理解が労働者に必要である。
雇い入れ時、作業内容変更時、有害危険業務に就かせるときに、雇用者が労働者に労働衛生教育を行うことが法定義務となっている。その他にもあらゆる機会を活用して計画的、継続的に実施する。
OJT(on the job training)
•実際の仕事を通じて、必要な技術、能力、知識、あるいは態度や価値観などを身に付けさせる教育訓練のこと。
•OJTは、職務遂行を通じて管理者が部下に対し、意図的/計画的な指導・育成をマンツーマンで行うことと定義される。
•個人的習熟度の違いを無くすために行われる方法として効果的である
•人間的な信頼関係が成り立たないと難しい。
集合教育と車の両輪の関係にある。労働衛生教育では重視の傾向。
OJTの長所
1. 個人の能力に応じた指導ができる。
2. 個人の仕事に応じた指導ができる。
3. 日常的な機会をとらえて指導ができる。
4. 効果を把握しやすい。
5. 成績の向上に直結する。
ただし、教える側に能力と負担を強いることになる。
OJT•良好な作業環境の維持・管理
•有害化学物質の取り扱い
•安全具および保護具の操作方法
•作業姿勢や作業方法の実際
•有害危険業務前の点検事項の確認
・・・・・・・・・・・・・・etc
マン・ツー・マンで安全衛生教育を行うことは非常に重要である。
教育に関する教え方の原則
• 準備の原則:相手の立場に立ち、やさしいことから
難しいことへ
• 基本の原則:動機付けを大切にし、印象を強化する
• 方法の原則:一時には一事を守り、反復し、五感を
活用させ機能的に理解させる