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2016
1
2016年1月1日 通巻584号株式会社日立製作所 情報・通信システム社経営管理統括本部 コーポレートコミュニケーション本部 TEL(03)5471-8900(ダイヤルイン)〒140-8572 東京都品川区南大井六丁目27番18号 日立大森第二別館株式会社日立ドキュメントソリューションズ
発 行 日発 行/お問い合わせ
印 刷
1 はいたっく 2016.1
January
C O N T E N T S
日立の取り組み2 日立が「SAP® S/4HANA」の活用で実現するビジネスのリアルタイム化Solution5 日立のSAP® S/4HANAの導入支援ソリューション
デスクトップ仮想化によるセキュアな情報活用で営業力とお客さまサービスのさらなる強化を推進株式会社北日本銀行
Case Study11
Solution Service Product企業間のオープンイノベーションを加速する「活文 Managed Information Exchange Service」
13
高速・低コストな顔認証ソリューション「FaceViTAL PCログオン」
15 Solution Service Product
特集:日立のERP SAP® S/4HANA
Case Study7 SAP®のクラウド上で“ERP on SAP HANA®”を稼働2つの「国内初」を実現した総合機械メーカー住友重機械工業株式会社
新年あけましておめでとうございます。 旧年中は当社に対して格別のお引き立てを賜り、心より厚く御礼を申し上げます。
日立は、長年培ってきたインフラ技術と高度なITを組み合わせた「社会イノベーション事業」をさらに推進し、お客さまや地域が抱える課題を解決するために、「お客さま、社会の夢を日立がITでリアルにする(実体化、現実化する)」という日立の情報・通信システム事業のコンセプト Human Dreams. Make IT Real.のもと、お客さまと対話を重ね、課題を共有し、その解決策をお客さまと「協創」してまいりたいと考えております。
創刊50周年を迎える「はいたっく」ともども、本年もなにとぞ、日立グループをよろしくお願い申し上げます。
株式会社日立製作所 代表執行役 執行役副社長情報・通信システムグループ長兼 情報・通信システム社社長
齊藤 裕
社長のごあいさつ
9 お客さまへの手厚いサポートが信頼を生む歯科システム専門のオンリーワン企業
東和ハイシステム株式会社
フロンティアレポート Vol.24
http://www.hitachi.co.jp/hitac-magazine/
本誌は環境に配慮し、植物油インキを使用しています。
「はいたっく誌情報提供サイト」にて表紙の写真を壁紙としてプレゼントしています。ダウンロード後、下記パスワードにて解凍してお楽しみくださいパスワード:future
表紙写真「壁紙プレゼント」
はいたっく誌情報提供サイト
前編
18 ニュースリリースダイジェスト/Information
解析モデルの作成工数を削減する「HICAD/CADAS CAE Modeling Platform」
17 Solution Service Product
制 作 スタッフ 編集長:米山 卓美 編集:広報部、竹内 文典子 デザイン:井澤 秀幸、岡村 尚之 ライター:白井 和夫、山田 一郎 カメラマン:千名原 敏男、井澤 広幸 校閲:萩原 明子
2はいたっく 2016.1
特 集
日立のERP 前編 SAP® S/4HANA
グローバリゼーションが加速し、さまざまなチャネルでお客さまとの接点強化が課題となる中、企業にはデータ活用を重視したリアルタイムなスピード経営が求められています。そのため経営資源を一元管理するERP※1システムでも、イノベーションを支えるプラットフォームの変革が始まっています。今回1月号、2月号の2回にわたって「日立のERP」を特集で取り上げます。前編となる今月号では、次世代エンタープライズソフトウェアとして登場した「SAP® S/4HANA」の概要、その導入を成功に導く日立のソリューションと「ERP on SAP HANA®」の事例をご紹介します。
日立が「SAP® S/4HANA」の活用で実現するビジネスのリアルタイム化
スピード経営を実現する次世代エンタープライズソフトウェア
日々変化する市場において持続的な成長をめざすには、既存の発想を転換した新たなビジネスモデルの構築や、付加価値の高いサービス・製品を創造していくイノベーションが必要です。そのため、企業ではグローバルレベルでのスピーディーな意思決定が求められており、クラウドやスマートデバイスを活用したフレキシブルなワークスタイルへの変革や、IoT※2/ビッグデータの利活用といったビジネスに貢献するIT投資への動きが加速しています。
こうしたビジネス環境の急激な変化に対し、ERPに代表される既存の基幹システムは、バックエンドのオペレーションを支える意味合いが強く、データ分析にかかるコストやタイムラグの長さから「リアルタイムなビジネスアクションにつながらない」、「国内外の拠点や組織ごとに導入されるケースが多い」ことから「M&Aや業務統合などに柔軟に対応できない」といった課題が指摘されていました。SAP社が2015年2月から提供を開始したのが、これらの課題を解決し、スピード重視の経営を支える次世代エンタープライズソフトウェア「SAP S/4HANA」です。※2 Internet of Things
SAP S/4HANAとは
SAP S/4HANAは、超高速なインメモリプラットフォーム※3「SAP HANA」をデータベースエンジンとし、膨大なデータの高速処理やリアルタイム分析を実現する次世代のビジネススイートです。※3 メモリ上で高速なデータ処理を実現するソフトウェア
■リアルなビジネス状況の可視化により 経営分析や各種業務を効率化
その最大の特長となるのが、データ構造のシンプル化です。これまでトランザクションデータの蓄積や分析用に必要だっ
たインデックスや集計テーブルが不要となり、明細データからすべての検索・分析処理がリアルタイムに行えるようになります。過去ではなく“現在”のリアルなビジネ
ス状況をいつでも可視化できるため、計画・実行・シミュレーションといった経営分析や各種業務を効率化することができます。独自のデータベースビュー「SAP HANA View」とフロントツールを使うことで、ユーザーがさまざまな切り口でデータを分析したりレポートを出力したりできるのも、従来では考えられなかった大きなメリットといえます。また、データ構造のシンプル化はデー
タ量の削減とスループット向上によるITコスト(サーバ/ストレージコスト)の削減につながり、より戦略的なIT投資へのシフトを促します。さらにSAP S/4HANAは、オンプレミス、クラウド、ハイブリッドという3つのシステム基盤に対応。柔軟性
の高いシステム変更や機能追加が可能なほか、基幹業務だけでなくIoTやビッグデータなど、広い分野の共通プラットフォームとしても利用することができます。
■意思決定と
ビジネスイノベーションを加速
もう1つ、マルチデバイス対応のユーザーインターフェース「SAP Fiori®」による、シンプルで使いやすい画面も大きな特長です。ユーザーの役割と業務フローに応じてパーソナライズされた直感的なユーザーエクスペリエンス(UX)を、PCやタブレット端末、スマートフォンといったさまざまなデバイスで体感することができます。このようにSAP S/4HANAは、さまざ
まな企業データとデバイスや人をリアルタイムにネットワークでつなぐことで、意思決定とビジネスイノベーションを加速できるように設計されているのです。
■「早めにメリットと課題を可視化する」 ことが導入のコツ
SAP S/4HANAは、既存のSAP ERP(ECC6.0)のアップグレードではなく、新たなコンセプトの元で開発された次世代のソリューションです。このため、従来SAPシステムを活用していた企業でも、移行にはシステム運用のみならず組織や業務の見直しなど数々のハードルが待ち構えています。現行のECC6.0は2025年までサポー
トの継続が発表されていますが、移行に向けた期待効果の可視化や、自社のビジネスプロセスおよびIT基盤への適用判断、クラウドを含めたセキュリティポリシーの再検討など、ロードマップ策定には早めの対応と準備が必要です。なぜならお客さまごとに現状課題と期待効果が異なるため、SAP S/4HANAの導入にあたってはシンプルな共通解が
なく、きめ細かな個別解が必要となるからです。
日立のSAP S/4HANAへの取り組み
日立グループ12社は「日立 S A P S/4HANAワーキング」を2015年5月に立ち上げ、国内外において日立グループが培ってきたSAPシステム関連ノウハウやSAP HANAナレッジ、最新技術に関する情報をもとにした、SAP S/4HANAの導入支援ソリューションを開発しました。
■長年の経験と実績に裏打ちされた SAPソリューション
日立は、1994年にSAP社と日本国内におけるパートナーシップ契約、2008年にグローバルサービスパートナー契約を
締結し、SAPソリューションをグローバルに展開してきました。2011年にはSAP社ドイツ本社内に「日立- SAPコンピテンスセンター」を開設しました。SAPソリューションに関する最新技術をいち早く検証する体制を整えて、最新動向への的確な対応を可能としています。また、現在までに400サイトを超えるSAPシステムの導入実績があり、SAP社より毎年多数のSAP AWARDを受賞しています。SAP S/4HANAの先行バージョンであるSAP Business Suite powered by SAP HANAについても導入・稼働実績があります。日立は、SAP製品の提供ベンダーであるとともに、SAPシステムの大規模なユーザーでもあり、ユーザーとしての自社検証による的確な情報把握とノウハウがあります。さらに、自社開発のITプラットフォーム(サーバ、ストレージ、ミドルウェ
ア)でもSAP認定製品群を取りそろえ、プラットフォームベンダーとしての顔も持ちます。システムインテグレーター、認定プラットフォームベンダー、そしてユーザーとしての豊富な経験とノウハウを持つ企業は、世界的に見ても非常にユニークな存在といえるでしょう。こうした知見と実績をベースに提供されるSAP S/4HANAの導入支援ソリューションでは、高いスキルを持つ専門コンサルタントによる「コンサルティング」や、独自ツールを活用した「システムインテグレーション」、運用・保守を行う「アプリケーションマネジメントアウトソーシング」、SAP HANA向け統合プラットフォームやクラウドの導入・運用といった「プラットフォーム」の各サービスにおいて、SAP S/4HANAへの移行や新規導入に関する計画策定からシステム運用、保守までをワンストップで提供していきます。
エスフォーハナ
※1 Enterprise Resource Planning
All Rights Reserved,Copyright ©2016,Hitachi,Ltd.
4はいたっく 2016.13 はいたっく 2016.1
お問い合わせ先
日立のERP(前編)日立の取り組み
スピード経営を実現する次世代エンタープライズソフトウェア
日々変化する市場において持続的な成長をめざすには、既存の発想を転換した新たなビジネスモデルの構築や、付加価値の高いサービス・製品を創造していくイノベーションが必要です。そのため、企業ではグローバルレベルでのスピーディーな意思決定が求められており、クラウドやスマートデバイスを活用したフレキシブルなワークスタイルへの変革や、IoT※2/ビッグデータの利活用といったビジネスに貢献するIT投資への動きが加速しています。
こうしたビジネス環境の急激な変化に対し、ERPに代表される既存の基幹システムは、バックエンドのオペレーションを支える意味合いが強く、データ分析にかかるコストやタイムラグの長さから「リアルタイムなビジネスアクションにつながらない」、「国内外の拠点や組織ごとに導入されるケースが多い」ことから「M&Aや業務統合などに柔軟に対応できない」といった課題が指摘されていました。SAP社が2015年2月から提供を開始したのが、これらの課題を解決し、スピード重視の経営を支える次世代エンタープライズソフトウェア「SAP S/4HANA」です。※2 Internet of Things
SAP S/4HANAとは
SAP S/4HANAは、超高速なインメモリプラットフォーム※3「SAP HANA」をデータベースエンジンとし、膨大なデータの高速処理やリアルタイム分析を実現する次世代のビジネススイートです。※3 メモリ上で高速なデータ処理を実現するソフトウェア
■リアルなビジネス状況の可視化により 経営分析や各種業務を効率化
その最大の特長となるのが、データ構造のシンプル化です。これまでトランザクションデータの蓄積や分析用に必要だっ
たインデックスや集計テーブルが不要となり、明細データからすべての検索・分析処理がリアルタイムに行えるようになります。過去ではなく“現在”のリアルなビジネ
ス状況をいつでも可視化できるため、計画・実行・シミュレーションといった経営分析や各種業務を効率化することができます。独自のデータベースビュー「SAP HANA View」とフロントツールを使うことで、ユーザーがさまざまな切り口でデータを分析したりレポートを出力したりできるのも、従来では考えられなかった大きなメリットといえます。また、データ構造のシンプル化はデー
タ量の削減とスループット向上によるITコスト(サーバ/ストレージコスト)の削減につながり、より戦略的なIT投資へのシフトを促します。さらにSAP S/4HANAは、オンプレミス、クラウド、ハイブリッドという3つのシステム基盤に対応。柔軟性
の高いシステム変更や機能追加が可能なほか、基幹業務だけでなくIoTやビッグデータなど、広い分野の共通プラットフォームとしても利用することができます。
■意思決定と
ビジネスイノベーションを加速
もう1つ、マルチデバイス対応のユーザーインタフェース「SAP Fiori®」による、シンプルで使いやすい画面も大きな特長です。ユーザーの役割と業務フローに応じてパーソナライズされた直感的なユーザーエクスペリエンス(UX)を、PCやタブレット端末、スマートフォンといったさまざまなデバイスで体感することができます。このようにSAP S/4HANAは、さまざ
まな企業データとデバイスや人をリアルタイムにネットワークでつなぐことで、意思決定とビジネスイノベーションを加速できるように設計されているのです。
■「早めにメリットと課題を可視化する」 ことが導入のコツ
SAP S/4HANAは、既存のSAP ERP(ECC6.0)のアップグレードではなく、新たなコンセプトの元で開発された次世代のソリューションです。このため、従来SAPシステムを活用していた企業でも、移行にはシステム運用のみならず組織や業務の見直しなど数々のハードルが待ち構えています。現行のECC6.0は2025年までサポー
トの継続が発表されていますが、移行に向けた期待効果の可視化や、自社のビジネスプロセスおよびIT基盤への適用判断、クラウドを含めたセキュリティポリシーの再検討など、ロードマップ策定には早めの対応と準備が必要です。なぜならお客さまごとに現状課題と期待効果が異なるため、SAP S/4HANAの導入にあたってはシンプルな共通解が
なく、きめ細かな個別解が必要となるからです。
日立のSAP S/4HANAへの取り組み
日立グループ12社は「日立 S A P S/4HANAワーキング」を2015年5月に立ち上げ、国内外において日立グループが培ってきたSAPシステム関連ノウハウやSAP HANAナレッジ、最新技術に関する情報をもとにした、SAP S/4HANAの導入支援ソリューションを開発しました。
■長年の経験と実績に裏打ちされた SAPソリューション
日立は、1994年にSAP社と日本国内におけるパートナーシップ契約、2008年にグローバルサービスパートナー契約を
締結し、SAPソリューションをグローバルに展開してきました。2011年にはSAP社ドイツ本社内に「日立- SAPコンピテンスセンター」を開設しました。SAPソリューションに関する最新技術をいち早く検証する体制を整えて、最新動向への的確な対応を可能としています。また、現在までに400サイトを超えるSAPシステムの導入実績があり、SAP社より毎年多数のSAP AWARDを受賞しています。SAP S/4HANAの先行バージョンであるSAP Business Suite powered by SAP HANAについても導入・稼働実績があります。日立は、SAP製品の提供ベンダーであるとともに、SAPシステムの大規模なユーザーでもあり、ユーザーとしての自社検証による的確な情報把握とノウハウがあります。さらに、自社開発のITプラットフォーム(サーバ、ストレージ、ミドルウェ
ア)でもSAP認定製品群を取りそろえ、プラットフォームベンダーとしての顔も持ちます。システムインテグレーター、認定プラットフォームベンダー、そしてユーザーとしての豊富な経験とノウハウを持つ企業は、世界的に見ても非常にユニークな存在といえるでしょう。こうした知見と実績をベースに提供されるSAP S/4HANAの導入支援ソリューションでは、高いスキルを持つ専門コンサルタントによる「コンサルティング」や、独自ツールを活用した「システムインテグレーション」、運用・保守を行う「アプリケーションマネジメントアウトソーシング」、SAP HANA向け統合プラットフォームやクラウドの導入・運用といった「プラットフォーム」の各サービスにおいて、SAP S/4HANAへの移行や新規導入に関する計画策定からシステム運用、保守までをワンストップで提供していきます。
図1 SAP S/4HANAで何が変わるのか? 図2 日立のSAP S/4HANAの導入支援ソリューション
ECC6.0
今まで
DWH
・サマリーデータを 締め時に投入
営業システム
生産管理システム
・業務縦割りで 定型的なレポートを出力
SAP S/4HANAFinance
Supply Chain
SalesSourcing &Procurement
これから
営業システム
生産管理システム
・必要な粒度、頻度で 明細データを投入
必要に応じて改修 マネージャー
経営者
担当HANAView
サマリーデータ
明細データ
大福帳
明細データ
・同じデータソースを元に役割に応じてセルフ サービスでビジネスに必要なデータを分析・定型業務も同一環境で実施
・更新が遅い、必要な情報が不足・データ抽出が自在にできない
Excel®
成型レポート
Excel®
評価・改善・最適化業務/ IT 移行業務/ IT 開発構想立案・要件定義
新規導入 マイグレーション 共通
SAP S/4HANA導入計画策定
SAP HANAベースERP新規構築 新規システムへの移行
SAP S/4HANAマイグレーション計画策定
SAP S/4HANAマイグレーション
SAP S/4HANAPoCサービス
フロントツール最適化
経営情報分析ツール最適化
SAP S/4HANAアプリ運用計画策定
アプリケーション運用・移行
アプリケーション運用・保守サービス
PoC環境Cloudサービス
SAP S/4HANAインフラ最適化計画策定
フェーズ
サービス
システムインテグレーション
アプリケーションマネージメントアウトソーシング
プラットフォーム
コンサルティング ビジネス×IT連携ステータス診断
次世代基幹システム構想策定
開発・検証・移行環境Cloudサービス
統合プラットフォーム導入/運用サービス
本番環境Cloudサービス
ビジネス×IT連携サイクル導入支援
段階的アドオン棚卸SAP HANA最適化
FI
CO
MM
SD
PP
「記録・保存・出力」だけでなく「データ活用」の視点が重要
過去データの記録・保存・出力だけのシステムではなく、基幹システム内のデータを未来志向で活用できる形に変えるにはどうするのかが、今後のシステム検討のポイント
ダッシュボード
(株)日立製作所 エンタープライズソリューション事業部 SAPビジネスソリューション部E-Mail:[email protected]
■ 情報提供サイト http://www.hitachi.co.jp/sap/ht584/
All Rights Reserved,Copyright ©2016,Hitachi,Ltd.
4はいたっく 2016.13 はいたっく 2016.1
お問い合わせ先
日立のERP(前編)日立の取り組み
スピード経営を実現する次世代エンタープライズソフトウェア
日々変化する市場において持続的な成長をめざすには、既存の発想を転換した新たなビジネスモデルの構築や、付加価値の高いサービス・製品を創造していくイノベーションが必要です。そのため、企業ではグローバルレベルでのスピーディーな意思決定が求められており、クラウドやスマートデバイスを活用したフレキシブルなワークスタイルへの変革や、IoT※2/ビッグデータの利活用といったビジネスに貢献するIT投資への動きが加速しています。
こうしたビジネス環境の急激な変化に対し、ERPに代表される既存の基幹システムは、バックエンドのオペレーションを支える意味合いが強く、データ分析にかかるコストやタイムラグの長さから「リアルタイムなビジネスアクションにつながらない」、「国内外の拠点や組織ごとに導入されるケースが多い」ことから「M&Aや業務統合などに柔軟に対応できない」といった課題が指摘されていました。SAP社が2015年2月から提供を開始したのが、これらの課題を解決し、スピード重視の経営を支える次世代エンタープライズソフトウェア「SAP S/4HANA」です。※2 Internet of Things
SAP S/4HANAとは
SAP S/4HANAは、超高速なインメモリプラットフォーム※3「SAP HANA」をデータベースエンジンとし、膨大なデータの高速処理やリアルタイム分析を実現する次世代のビジネススイートです。※3 メモリ上で高速なデータ処理を実現するソフトウェア
■リアルなビジネス状況の可視化により 経営分析や各種業務を効率化
その最大の特長となるのが、データ構造のシンプル化です。これまでトランザクションデータの蓄積や分析用に必要だっ
たインデックスや集計テーブルが不要となり、明細データからすべての検索・分析処理がリアルタイムに行えるようになります。過去ではなく“現在”のリアルなビジネ
ス状況をいつでも可視化できるため、計画・実行・シミュレーションといった経営分析や各種業務を効率化することができます。独自のデータベースビュー「SAP HANA View」とフロントツールを使うことで、ユーザーがさまざまな切り口でデータを分析したりレポートを出力したりできるのも、従来では考えられなかった大きなメリットといえます。また、データ構造のシンプル化はデー
タ量の削減とスループット向上によるITコスト(サーバ/ストレージコスト)の削減につながり、より戦略的なIT投資へのシフトを促します。さらにSAP S/4HANAは、オンプレミス、クラウド、ハイブリッドという3つのシステム基盤に対応。柔軟性
の高いシステム変更や機能追加が可能なほか、基幹業務だけでなくIoTやビッグデータなど、広い分野の共通プラットフォームとしても利用することができます。
■意思決定と
ビジネスイノベーションを加速
もう1つ、マルチデバイス対応のユーザーインタフェース「SAP Fiori®」による、シンプルで使いやすい画面も大きな特長です。ユーザーの役割と業務フローに応じてパーソナライズされた直感的なユーザーエクスペリエンス(UX)を、PCやタブレット端末、スマートフォンといったさまざまなデバイスで体感することができます。このようにSAP S/4HANAは、さまざ
まな企業データとデバイスや人をリアルタイムにネットワークでつなぐことで、意思決定とビジネスイノベーションを加速できるように設計されているのです。
■「早めにメリットと課題を可視化する」 ことが導入のコツ
SAP S/4HANAは、既存のSAP ERP(ECC6.0)のアップグレードではなく、新たなコンセプトの元で開発された次世代のソリューションです。このため、従来SAPシステムを活用していた企業でも、移行にはシステム運用のみならず組織や業務の見直しなど数々のハードルが待ち構えています。現行のECC6.0は2025年までサポー
トの継続が発表されていますが、移行に向けた期待効果の可視化や、自社のビジネスプロセスおよびIT基盤への適用判断、クラウドを含めたセキュリティポリシーの再検討など、ロードマップ策定には早めの対応と準備が必要です。なぜならお客さまごとに現状課題と期待効果が異なるため、SAP S/4HANAの導入にあたってはシンプルな共通解が
なく、きめ細かな個別解が必要となるからです。
日立のSAP S/4HANAへの取り組み
日立グループ12社は「日立 S A P S/4HANAワーキング」を2015年5月に立ち上げ、国内外において日立グループが培ってきたSAPシステム関連ノウハウやSAP HANAナレッジ、最新技術に関する情報をもとにした、SAP S/4HANAの導入支援ソリューションを開発しました。
■長年の経験と実績に裏打ちされた SAPソリューション
日立は、1994年にSAP社と日本国内におけるパートナーシップ契約、2008年にグローバルサービスパートナー契約を
締結し、SAPソリューションをグローバルに展開してきました。2011年にはSAP社ドイツ本社内に「日立- SAPコンピテンスセンター」を開設しました。SAPソリューションに関する最新技術をいち早く検証する体制を整えて、最新動向への的確な対応を可能としています。また、現在までに400サイトを超えるSAPシステムの導入実績があり、SAP社より毎年多数のSAP AWARDを受賞しています。SAP S/4HANAの先行バージョンであるSAP Business Suite powered by SAP HANAについても導入・稼働実績があります。日立は、SAP製品の提供ベンダーであるとともに、SAPシステムの大規模なユーザーでもあり、ユーザーとしての自社検証による的確な情報把握とノウハウがあります。さらに、自社開発のITプラットフォーム(サーバ、ストレージ、ミドルウェ
ア)でもSAP認定製品群を取りそろえ、プラットフォームベンダーとしての顔も持ちます。システムインテグレーター、認定プラットフォームベンダー、そしてユーザーとしての豊富な経験とノウハウを持つ企業は、世界的に見ても非常にユニークな存在といえるでしょう。こうした知見と実績をベースに提供されるSAP S/4HANAの導入支援ソリューションでは、高いスキルを持つ専門コンサルタントによる「コンサルティング」や、独自ツールを活用した「システムインテグレーション」、運用・保守を行う「アプリケーションマネジメントアウトソーシング」、SAP HANA向け統合プラットフォームやクラウドの導入・運用といった「プラットフォーム」の各サービスにおいて、SAP S/4HANAへの移行や新規導入に関する計画策定からシステム運用、保守までをワンストップで提供していきます。
図1 SAP S/4HANAで何が変わるのか? 図2 日立のSAP S/4HANAの導入支援ソリューション
ECC6.0
今まで
DWH
・サマリーデータを 締め時に投入
営業システム
生産管理システム
・業務縦割りで 定型的なレポートを出力
SAP S/4HANAFinance
Supply Chain
SalesSourcing &Procurement
これから
営業システム
生産管理システム
・必要な粒度、頻度で 明細データを投入
必要に応じて改修 マネージャー
経営者
担当HANAView
サマリーデータ
明細データ
大福帳
明細データ
・同じデータソースを元に役割に応じてセルフ サービスでビジネスに必要なデータを分析・定型業務も同一環境で実施
・更新が遅い、必要な情報が不足・データ抽出が自在にできない
Excel®
成型レポート
Excel®
評価・改善・最適化業務/ IT 移行業務/ IT 開発構想立案・要件定義
新規導入 マイグレーション 共通
SAP S/4HANA導入計画策定
SAP HANAベースERP新規構築 新規システムへの移行
SAP S/4HANAマイグレーション計画策定
SAP S/4HANAマイグレーション
SAP S/4HANAPoCサービス
フロントツール最適化
経営情報分析ツール最適化
SAP S/4HANAアプリ運用計画策定
アプリケーション運用・移行
アプリケーション運用・保守サービス
PoC環境Cloudサービス
SAP S/4HANAインフラ最適化計画策定
フェーズ
サービス
システムインテグレーション
アプリケーションマネージメントアウトソーシング
プラットフォーム
コンサルティング ビジネス×IT連携ステータス診断
次世代基幹システム構想策定
開発・検証・移行環境Cloudサービス
統合プラットフォーム導入/運用サービス
本番環境Cloudサービス
ビジネス×IT連携サイクル導入支援
段階的アドオン棚卸SAP HANA最適化
FI
CO
MM
SD
PP
「記録・保存・出力」だけでなく「データ活用」の視点が重要
過去データの記録・保存・出力だけのシステムではなく、基幹システム内のデータを未来志向で活用できる形に変えるにはどうするのかが、今後のシステム検討のポイント
ダッシュボード
(株)日立製作所 エンタープライズソリューション事業部 SAPビジネスソリューション部E-Mail:[email protected]
■ 情報提供サイト http://www.hitachi.co.jp/sap/ht584/
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