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米国における送配電事業者と 再生可能エネルギー事業者の取り組み 東京電力ホールディングス株式会社 2017620資料1

米国における送配電事業者と 再生可能エネルギー事 …...米国における送配電事業者と 再生可能エネルギー事業者の取り組み 東京電力ホールディングス株式会社

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Page 1: 米国における送配電事業者と 再生可能エネルギー事 …...米国における送配電事業者と 再生可能エネルギー事業者の取り組み 東京電力ホールディングス株式会社

米国における送配電事業者と 再生可能エネルギー事業者の取り組み

東京電力ホールディングス株式会社 2017年6月20日

資料1

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目次

1. 系統接続と系統増強<コネクト・アンド・マネージ、ゾーニング>

2. 再エネの系統安定への貢献<フレキシビリティ>

3. カリフォルニア州での取り組み<フレキシビリティ>

4. 再エネ導入を評価する託送制度<インセンティブ> (ニューヨーク・カリフォルニア・英国)

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1-1. 既存系統の有効活用<コネクト・アンド・マネージへの移行>

費用対便益の低い設備増強を回避し、電源・流通全体でのコスト最小化をはかる(再エネ接続に限定した課題ではない) Non-firm接続:一時的な電源抑制を許容(既設・新設) 費用対便益:設備増強と電源差替の費用※を定量的に比較

既設電源 既設電源

新設電源 新設電源

差替

送電容量

送電線潮流 時間 8760

年間電源抑制電力量

送電線潮流 送電容量

増強

抑制

増出力 増強

非稼働

稼働 非稼働

稼働 時間

8760

設備増強 電源差替

増強回避

選択 ※kWh価値,kW価値,ΔkW価値,非化石価値

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【参考】電源差替え方式

再給電方式:TSOが出力調整(系統利用者は混雑を認識しない) LMP/間接オークション:市場で出力決定(系統利用者が混雑を認識)

A2 混雑

G 発電制約 値差(価格

シグナル) 混雑

G

G

抑制

エリアA

A1 市場価格低

市場価格高 エリア内 市場価格一様

卸市場

TSO

指令

指令

電源差替

約定

G

【ケース①】再給電方式 【ケース②】LMP/間接オークション

日本供給エリア内 英国内、北欧エリア内 等

日本供給エリア間(2018年~) 米国RTO(ISO)内、北欧エリア間 等

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4月

5月

6月

7月

8月

9月

10月

11月

12月

1月

2月

3月

4月

5月

6月

7月

8月

9月

10月

11月

12月

1月

2月

3月

4月

5月

1-2. 系統接続・混雑解消の例(PJM)

計画段階: 系統接続は一定期間に一括検討 再エネ・火力ともに想定される稼働状況を考慮して増強 費用対効果で評価 (電源線は起因者負担。系統線はMWで発電者按分)

【系統接続検討フロー】

※風力: 定格の13%、PV:定格の38% 火力等: メリットオーダーに加え、事故等の緊急時も考慮

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系統接続リクエスト期間

判断

モデル作成

Impact Studies (潮流・短地絡・安定度)

モデル作成

Feasibilities Studies

(潮流・短地絡)

Facilities Studies (潮流・短地絡・安定度)

判断

判断

系統接続リクエスト期間

PJM

発電

参考資料:PJM manual 14A

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1-3. 系統接続・混雑解消の例(PJM)

運用段階: LMP(間接オークション)で混雑解消(優先給電なし) 市場価格(限界電源)よりも安価な電源を抑制する場合は機会費

用を補償

【エネルギー市場の機会費用の補償イメージ】

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リアルタイム市場約定量 – 給電指令による実出力

リアルタイム市場価格LMP – リアルタイム市場入札価格

【系統制約を考慮した経済負荷配分(SCED)】

SCED 系統制約

需要予測

市場データ エネルギー市場 アンシラリー市場

各発電機の出力配分

発電・需要 実測値

Security Constrained Economic Dispatch

参考資料:PJM “operating agreement” 参考資料:PJM研修資料 “SCED”

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1-4. 米国の系統接続費用負担

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引用:電力広域的運用推進機関 系統整備委員会 第5回資料

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1-5. 政策的な送電線整備の例(ERCOT,MISO,SPP)

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RTOが再エネ拡大等を目的に基幹送電線を整備 ERCOT: Competitive Renewable Energy Zone(CREZ) MISO: Multi Value Projects(MVP) SPP: Highway-Byway

CREZ MVP Highway-Byway

目的 再エネ拡大 信頼度 経済性 エネルギー政策

ゾーン跨ぎの送電線費用負担明確化

費用負担

一般負担(RTO大)

一般負担 (RTO大)

一般負担 電圧階級により、RTO大と各ゾーンの配分を決定

【MISOの例】

全17件 約60億ドル

出典:MISO “Multi Value Project Portfolio Result and Analyses”, 2012 MISOホームページ “MVP Dashboard”

参考資料を元に作成 Brattle ” Transmission Investments and Cost Allocation: What are the Options?”, 2010 MISOホームページ ” Multi Value Project Portfolio Analysis ” MISO “History of Cost Allocation within MISO”, 2015 SPP “Regional Cost Allocation Review”, 2016

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2-1.再エネの系統安定への貢献<フレキシビリティー>(北米)

ほとんどのRTOが全ての再エネ※1に対し、出力抑制に応じることを要求 出力抑制の理由(市場未約定除く)の多くは送電混雑 他に下げ代不足やランプ不足、周波数調整力不足

再エネのアンシラリーサービス提供についても評価中 新規風力にAGC※2具備義務(PSCO※3) → 出力抑制された風力がアンシラリー市場(上げ調整力)へ参加可能

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※1:大部分の風力は、ピッチ制御やトルク制御により出力制御可能 対応できない旧式の再エネと配電系統に接続されるような小規模な再エネを除く

※2:Automatic generation control ※3:Public Service Colorado社

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2-2.再エネの系統安定への貢献<フレキシビリティー>(MISO)

出力の遠隔制御が可能な再エネを従来電源と同等に扱う(DIR※1) 再エネも、市場原理に基づく経済運転 再エネの出力抑制を市場に委ね、透明性・効率性・公平性を担保

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※1:Dispatchable Intermittent Resource

従来電源

DIR

入札

指令 同じ扱い

MISO

市場入札 ペナルティ

• 前日市場およびリアルタイム市場 • 実時間の10分前までに出力スケジュール値を提出 (従来電源は30分前まで)

• 給電指令(5分コマ)に対し、4回連続して、±8%以上逸脱すると、リアルタイム市場価格に基づくペナルティ

【DIRのエネルギー市場参加※2】

※2:風力発電量に占めるDIRの割合は87.6%(2016年8月)

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3-1.市場概要(カリフォルニア州)

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エネルギー市場

容量調達 (MW確保)

①Long-Term Procurement Plan : 3大LSE※1,2は向こう10年間の電力調達計画を2年ごとに規制当局へ提出 ②Resource Adequacy Requirement : 全LSEが翌年度に自社需要の115%の供給力を確保(エネルギー市場入札義務) ③Capacity Procurement Mechanism : RA(②)が不足する場合にCAISOがLSEに代わり調達

アンシラリー・サービス市場※4

※4:LSEに確保義務

※1:Load Service Entity 小売事業者 ※2: 3大LSE PG&E,SCE,SDG&E

前日市場 リアルタイム市場※3

Regulation Reserve Spinning Reserve

Non-spinning Reserve

Flexible Ramping Product※4 ランピング調整力

リアルタイム市場に上げ余力を売り入札

※3:インバランスは他州を含めて調整 (Energy Imbalance Market)

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3-2. 調整力の拡大

Flexible Ramping Product Spinning, non-spinningでは対処できない需給変動対応 発電事業者はランプ量に応じた対価に加え、機会費用を受け取る

正味需要が3hで10GW増加

出典:CAISOホームページ

CAISO Net Demand (Date: March 30th,2017)

CAISO Renewables (Date: March 30th,2017)

太陽光出力低下 9.8GW

11 …予測需要 実需要 正味需要 風力 地熱 バイオマス バイオガス 小水力 太陽光

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3-3. エネルギー貯蔵装置の確保義務

目的:「系統最適化」・「再エネ導入」・「温室効果ガス低減」 3大LSEに2020年までに1.3GWのエネルギー貯蔵装置の確保義務※

価格競争力があることが前提で規制当局※2が承認 目標は3年に一度、再評価

1.3GW (貯蔵装置確保義務量)

出典:ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス資料 12

※1:2024年までに運開 ※2:California Public

Utility Commission

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3-4 .再エネの更なる貢献<スマートインバータ>

制御対象を小規模分散型の再エネ(家庭用含む)に拡大予定 再エネの多様な制御により、系統の安定化に貢献

カリフォルニア州では先行して2017年9月に自律機能を義務化

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自律機能 (Autonomous Function)

先進機能 (Advanced Function)

1. 単独運転防止 2. 電圧ライドスルー 3. 周波数ライドスルー 4. 電圧・無効電力制御 5. ランプレート 6. 力率一定制御 7. ソフトスタート

1. モニタリング(Monitor Key DER Data) 2. 解列/再連系(Disconnect and Reconnect Command) 3. 最大有効電力制御(Limit Maximum Real Power Mode) 4. 有効電力制御(Set Real Power Output Mode) 5. Frequency-Watt制御 6. Volt-Watt制御 7. スケジューリング制御(Scheduling Power Values and Modes) 8. Grid support機能(Dynamic Reactive Current Support)

機能1~7: IEEE 1547 (導入予定も含む)

2017.9~ UL1741SAへの準拠を義務付け(CA州)

2017~ IEEE1547との連携を引き続き検討

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4. 再エネ導入を評価する託送制度(NY, CA)

ニューヨーク州:規制当局※1は、分散電源拡大に寄与する電力会社の取組み等にインセンティブを与える内容※2を含むオーダーを発行

カリフォルニア州:分散電源への投資費用の一定割合(4%)を、電力会社株主への配当原資として還元するデモプロジェクト※3

顧客のプラット フォームへの参加

(Customer engagement)

顧客(含 分散電源)のエネルギー管理システムプラットフォームへの参加を促進する施策 • 当該施策で期待される顧客の満足度や、エネルギー管理システムに対する

便益を基にパフォーマンスを評価

負荷平準化に資する施策 • 分散電源の費用便益試算のガイドラインを用い、ピーク需要削減や負荷率

向上の観点からパフォーマンスを評価

分散電源の系統接続を改善する施策 • 分散電源の系統接続に要する期間や接続コストの低減の観点からパフォー

マンスを評価

システム効率性向上 (System efficiency)

系統への接続 (Interconnection)

【ニューヨーク州のインセンティブの対象となる施策の例と概要】

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※1:New York Public Service Commission(NYPSC) ※2:Earnings Adjustment Mechanism(EAM) ※3:Integrated Distributed Energy Resources(IDER)の一部

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【参考】再エネ導入を評価する託送制度(英国)

英国は送配電事業者のパフォーマンスに応じてインセンティブを付与

以前の方法と同様に、 以下をカバー。 営業費用 規制資産ベースへの

リターン(WACC) 減価償却費

RIIOでは、RPI-X方式は 取止め。 年間ベースライン収入は、以下に基づき事前承認。 送電事業者の事業

計画の品質 過去の実績 ベンチマーク

収入 ベースライン 収入

パフォーマンスに 基づく

インセンティブ 収入調整を行う

その他要素 = + +

実績評価(Output)に基づきボーナス・ペナルティを算出。 顧客満足度 信頼性および有用性 接続条件 環境への影響 社会的責任 安全性

上記項目の改善に関して、重要な取り組み(Innovation)に対してもインセンティブ 付け。

8年間分を計算。 安定性増および

長期視点を重要視。

コントロール不可能な要素に対応するメカニズム。 インフレ 年金コスト増 ...

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