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竹資材の分解特性と その利用法 農林総合研究センター農業試験場

竹資材の分解特性と その利用法...2016-2-1 · 竹チップ 3.6 1001 20.6 572 もみ殻混和 3.8 643 10.6 279 対照(地植え) 5.2 368 2.6 50 ※長果枝数増減率=新梢数(20㎝以上)÷結果枝数(20㎝以上)×100

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  • 竹資材の分解特性と その利用法

    農林総合研究センター農業試験場

  • 竹資材の外観

    竹粉 竹チップ

  • 竹資材の含有成分

    ①生竹は炭素/窒素比(C/N比)が高く、3年程度堆積して稲わら並 資材のC/N比は、植物の生育阻害要因の指標値で、これが高いと生育障害のおそれがある(例:堆肥では20~30が目安) →そのまますき込むと窒素飢餓 ②生竹のリン酸、加里は稲わらと同程度、堆積すると加里が流亡

    水分 C/N 窒素 リン酸 加里 備考(%) 比 (%) (%) (%)

    生竹粉 48 137 0.36 0.18 1.82竹チップ 64 56 0.82 0.11 0.21 3年堆積稲わら 18 62 0.70 0.21 1.97もみ殻 10 108 0.32 0.06 0.37

    ② ①

  • 生竹粉を直接すき込んだ場合の影響 (夏どりカボチャ)

    定植直前に竹粉をすき込み 基肥窒素量は同じ

    →生育に及ぼす影響は?

    試験区 竹粉 同左 窒素施用量 C/N比 施用量

    対照 なし ― 17kg/10a0.5t 0.5t/10a 137 同上1t  1 同上 同上2t  2 同上 同上

  • 生竹粉の直接すき込みによる カボチャの生育への影響

    対照区(化学肥料のみ) 竹粉1t 竹粉2t

    竹粉1t、2t区では窒素飢餓により生育抑制 0.5t区では生育抑制なし

    →生竹粉の施用量は、0.5t/10a程度まで

  • 竹チップの堆積期間とC/N比の変化

    0

    40

    80

    120

    160

    生竹 1年 2年 3年

    C/N比

    堆積期間

    C/N比 60

    (稲わら)

    2年程度の腐熟でC/N比は稲わら並に →窒素飢餓は回避できるか?

  • 腐熟竹チップのすき込みが キャベツの生育に及ぼす影響

    試験区名 竹チップ施用量 (t/10a)

    基肥窒素量(kg/10a)

    追肥窒素量(kg/10a)

    対照 竹0.5t 竹1.0t 竹2.0t

    ー 0.5 1 2

    18 18 18 18

    8 8 8 8

  • 初期生育の状況(定植後18日目)

    試験区 葉長 葉幅 葉数 葉色(cm) (cm) (枚) (SPAD値)

    対照 12.5 13.0 10.3 51.9竹0.5t 12.2 12.5 9.8 51.2竹1t 11.2 11.9 9.9 49.7竹2t 10.8 11.6 9.5 43.6竹0.5t増肥 13.5 14.5 10.4 51.3竹1t増肥 14.5 16.1 10.8 52.8竹2t増肥 13.5 15.0 10.2 52.7

    2~3年腐熟した竹チップで、C/N比60と稲わら並でも 1~2t/10a施用すると初期生育に遅れ

    40

    42

    44

    46

    48

    50

    52

    54

    対照 竹0.5t 竹1.0t 竹2.0t

    葉色(

    SPA

    D値)

    0

    2

    4

    6

    8

    10

    12

    14

    対照 竹0.5t 竹1.0t 竹2.0t

    葉長

    (cm

    )

  • 0

    2

    4

    6

    8

    10 土壌中無機態窒素

    (m

    g/1

    00

    g) 竹チップ施用

    微生物により分解

    微生物が増殖

    土壌中の窒素を取込み

    作物の生育不良

    竹チップ1~2t/10a施用→土壌中無機態窒素量が減少

    腐熟竹チップの施用も、0.5t/10aが目安

    定植後18日目の土壌中無機態窒素

  • 0

    10

    20

    30

    0 10 20 30 40 50 60 70

    無機窒素量

    (mg/

    100

    g)

    培養日数(d)

    無機態窒素量

    (㎎/100g)

    竹チップによる土壌中無機態窒素の取込み (室内試験)

    窒素取込により減少

    取込まれた窒素が再放出される

    初期窒素 添加量

  • 0

    20

    40

    60

    80

    100

    対照 竹0.5t 竹1t 竹2t

    三相分布(%)

    気相

    液相

    固相

    竹チップの土壌物理性改善効果

    孔隙

    物理性の改善効果は籾殻と同程度の大量施用が必要 →生育に悪影響

    →家畜ふん等と混合し、堆肥化が必要

  • 堆肥の 種類

    施用量 (t/10a)

    成分% (窒素-リン酸-加里)

    C/N 比

    備考

    慣行堆肥 (牛ふん籾殻)

    2 2.0-0.8-3.7 16 市販の

    牛糞籾殻堆肥

    牛ふん (敷料堆肥)

    2 1.8-3.2-2.8 16 敷料混合割合 オガ粉:竹粉 3 : 1

    豚ふん (敷料堆肥)

    2 2.3-2.5-1.5 19 敷料混合割合 オガ粉:竹粉 1 : 1

    鶏ふん 2 1.6-3.6-1.5 21 鶏ふん:竹チップ

    3 : 7

    各種竹混合堆肥の施用が 秋どりカボチャの収量に及ぼす影響

  • 各種竹混合堆肥の施用が 秋どりカボチャの収量に及ぼす影響

    0

    1

    2

    収量(

    t/1

    0a)

    ○ 各敷料堆肥とも、慣行の市販堆肥と同程度の収量が得られた

    ○竹を使った敷料堆肥は、C/N比が16~21程度になり既存の

    家畜糞堆肥と同様に使用できる

  • 目的:ワラビは、植え付けから繁茂する1~2年間は、 雑草管理のため年3回程度の草刈りが必要 →竹チップマルチによる雑草抑制効果を検討

    竹チップマルチによるワラビ園での抑草効果

    資材名 被覆の 厚さ(cm)

    施用量 (t/10a)

    備考

    竹チップ 5 33 2年程度腐熟

    したもの 2 11

    もみ殻 5 14 もみ殻

    無処理 なし なし 表面被覆なし

  • 表面マルチの厚さと抑草効果

    0

    100

    200

    300

    厚さ5cm 2cm 5cm 被覆なし

    もみ殻(対照)

    竹チップ

    雑草発生量

    (乾物

    g/㎡

    )

    竹チップは、厚さ5cmで、もみ殻5cmと同等の抑草効果

    抑草効果 なし

    抑草

    抑草

  • 0

    200

    400

    600

    800

    厚さ5cm 2cm 5cm 被覆なし

    ワラビの地下茎の生育 地下茎重量

    (g/㎡

    )

    (参考)ワラビの地下茎

    もみ殻(対照)

    竹チップ

    竹チップは、厚さ5cmでもみ殻と同様に地下茎重量が向上

    生育への効果なし

    生育向上 生育向上

  • 試験区名 盛土高(cm)

    備考

    地植(対照) 0 盛土せず地植え

    木材チップ 50 木材チップのみで50cm盛土

    竹チップ 50 竹チップのみで50cm盛土

    籾殻混和 30 もみ殻と土壌を混和して 30cm盛土

    目的:ブルーベリーの盛土資材として、木材チップの代替に 竹チップの適応性を検討

    ブルーベリーにおける竹チップの盛土利用

  • 対照(地植え)

    各試験区の雑草の繁茂状況

    30cm盛土(籾殻混合)

    50cm盛土(木チップ) 50cm盛土(竹チップ)

    竹チップ施用区では、木材チップと同様に雑草の発生を抑制

  • ブルーベリーの生育状況

    0

    100

    200

    300

    400

    500

    600

    700

    長果枝数増減率

    (%)

    竹チップでも木材チップと同程度の生育を示し、

    抑草効果も高い

    木材チップの代替資材 として有望(500t/10a)

    木材チップ 4.8 1170 20.2 421竹チップ 3.6 1001 20.6 572もみ殻混和 3.8 643 10.6 279対照(地植え) 5.2 368 2.6 50※長果枝数増減率=新梢数(20㎝以上)÷結果枝数(20㎝以上)×100

    試験区1樹伸長量(㎝)

    ※長果枝数増減率(%)

    20cm以上結果枝数(本)

    20cm以上新梢数(本)

  • まとめ

    ①生竹粉の直接すき込みでは、著しい窒素飢餓が起こる ため、施用量は10a当り0.5t程度まで

    ②腐熟し、C/N比が稲わら並となった竹チップでも窒素 飢餓が起こるため、施用量は10a当たり0.5t程度まで

    ③物理性改良のため多量施用する場合、 家畜ふん等と 混合し、堆肥化することが望ましい

    ④畜産業の利用としては、敷料のおが粉の一部代替や 子牛用ベッド、家畜ふんたい肥の水分調整材として有望

    ⑤その他、作物のマルチ、ブルーベリー用盛土等での活 用が可能