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桑名市民病院の白内障手術における点眼指導
白内障手術に関る使用薬剤(点眼液・内服薬)は一定という特徴を活かし、「点眼表」「点眼表」「点眼表」「点眼表」
「点眼箱」「点眼箱」「点眼箱」「点眼箱」を一新し、また、点眼指導時の説明ポイント・注意点を基本事項点眼指導時の説明ポイント・注意点を基本事項点眼指導時の説明ポイント・注意点を基本事項点眼指導時の説明ポイント・注意点を基本事項1111~~~~10101010にににに
まとめ、それぞれに解説を加えたまとめ、それぞれに解説を加えたまとめ、それぞれに解説を加えたまとめ、それぞれに解説を加えた「点眼指導時の患者説明用手引き」「点眼指導時の患者説明用手引き」「点眼指導時の患者説明用手引き」「点眼指導時の患者説明用手引き」を作成した。
院内ではこれらを活用して、点眼指導の標準化を行っている。
しかしながら、院内での点眼指導では以下のことが問題点となっている。
①白内障手術患者は概ね高齢であり、入院中の薬剤師による1~2回の点眼指導では
正しい点眼方法は治療効果を十分に発揮するだけでなく、副作用の防止につながる。正しい点眼方法は治療効果を十分に発揮するだけでなく、副作用の防止につながる。正しい点眼方法は治療効果を十分に発揮するだけでなく、副作用の防止につながる。正しい点眼方法は治療効果を十分に発揮するだけでなく、副作用の防止につながる。
①白内障手術患者は概ね高齢であり、入院中の薬剤師による1~2回の点眼指導では理解が難しい。
②入院中における指導は限られた時間内で行われるため、点眼手技の習得に重点が置かれてしまうことが多い。
⇒調剤薬局との連携・点眼指導の標準化は点眼継続の意義や必要性などを指導し、
有効な治療効果を上げていくためには非常に有意義であると考える。
今回、調剤薬局との指導の連携を深めるため、桑名薬剤師会の協力を得て、薬剤師会のホームページに「点眼指導時の患者説明用手引き」「点眼指導時の患者説明用手引き」「点眼指導時の患者説明用手引き」「点眼指導時の患者説明用手引き」を収載して頂き、病院内での指導内容を紹介することになった。
桑名市民病院桑名市民病院桑名市民病院桑名市民病院 薬剤部薬剤部薬剤部薬剤部
白内障手術翌日白内障手術翌日白内障手術翌日白内障手術翌日 点眼表点眼表点眼表点眼表
桑名 太郎 様
クラビット点眼液 抗菌作用
リンデロンA ステロイド剤 抗炎症剤
ジクロード点眼液 抗炎症剤
ミドリンP 癒着を防ぐ 散瞳剤
右 眼時間
1 2
3 4
1
午後 8888時
午後 6666時
午後 4444時
午後 2222時
12121212時
10101010時
8888時
右 眼時間
1
1
1
1
1
1
2
2
2
2
2
2
2
3
3
3
3
4
4
4
点眼箱に点眼液をセッティングした写真
病室において病室において病室において病室においてベッド脇の見やすい場所にセッティングした写真ベッド脇の見やすい場所にセッティングした写真ベッド脇の見やすい場所にセッティングした写真ベッド脇の見やすい場所にセッティングした写真
手術翌日午前手術翌日午前手術翌日午前手術翌日午前8時点眼開始時点眼開始時点眼開始時点眼開始点眼表・点眼箱の使い方を説明する。点眼表・点眼箱の使い方を説明する。点眼表・点眼箱の使い方を説明する。点眼表・点眼箱の使い方を説明する。
白内障手術翌々日以降白内障手術翌々日以降白内障手術翌々日以降白内障手術翌々日以降 点眼表点眼表点眼表点眼表 退院時リーフレット退院時リーフレット退院時リーフレット退院時リーフレット
1
リンデロンリンデロンリンデロンリンデロンA ステロイド剤・抗炎症作用2222
クラビットクラビットクラビットクラビット点眼液点眼液点眼液点眼液 抗菌作用
3333 ジクロードジクロードジクロードジクロード点眼液点眼液点眼液点眼液 非ステロイド性抗炎症剤
1
1
2
2
3
3
12時
右 眼
8 時
時 間
点眼液点眼液点眼液点眼液 点眼指示表点眼指示表点眼指示表点眼指示表
桑名桑名桑名桑名 太郎太郎太郎太郎 様
4444 ミドリンミドリンミドリンミドリンPPPP 散瞳剤・癒着を防止
・リンデロン・リンデロン・リンデロン・リンデロンA、、、、ジクロード点眼液は遮光袋に入れてジクロード点眼液は遮光袋に入れてジクロード点眼液は遮光袋に入れてジクロード点眼液は遮光袋に入れて
保管して下さい。 保管して下さい。 保管して下さい。 保管して下さい。・点眼は指示通り行ない、勝手にやめたりしないように・点眼は指示通り行ない、勝手にやめたりしないように・点眼は指示通り行ない、勝手にやめたりしないように・点眼は指示通り行ない、勝手にやめたりしないように して下さい。 して下さい。 して下さい。 して下さい。
点眼時の注意点点眼時の注意点点眼時の注意点点眼時の注意点・点眼前に手を清潔にする。・薬液は1滴で十分です。
・点眼容器の先がまぶたや眼に触れないように点眼する。・点眼後は瞬きをせずにしばらく目を閉じている。(1~2分間)・あふれた液はクリーンコットンを使って拭き取る。・点眼間隔は5分間。
1
1 2
2
3
4午後8時
午後4時
内服薬内服薬内服薬内服薬
フロモックス錠フロモックス錠フロモックス錠フロモックス錠 抗生剤・感染を予防 1日日日日3回 毎食後 服用 回 毎食後 服用 回 毎食後 服用 回 毎食後 服用
ムコスタ錠ムコスタ錠ムコスタ錠ムコスタ錠 胃薬 5日間日間日間日間
エンピナースエンピナースエンピナースエンピナースP錠錠錠錠 消炎剤 飲み切り終了です。飲み切り終了です。飲み切り終了です。飲み切り終了です。
3
入院中における白内障手術患者への点眼指導日程
1日目 2日目 3日目
手術日
8時 10時
退院入院点眼開始
内服開始
夕食後
看護師看護師看護師看護師
薬剤師薬剤師薬剤師薬剤師
点眼手技の確認点眼手技の確認点眼手技の確認点眼手技の確認
実際に点眼してもらう(時に実演してみせる)口頭説明だけでは不十分なことが多い⇒患者個々に合わせた指導が必要
看護師と連携看護師と連携看護師と連携看護師と連携
看護師看護師看護師看護師
自己点眼の可否判定
点眼指導
自己点眼時の注意点再度説明点眼継続の必要性説明
4日目以降点眼表・点眼回数変更説明
薬剤師薬剤師薬剤師薬剤師薬剤師薬剤師薬剤師薬剤師
++++
看護師看護師看護師看護師
or
点眼箱・点眼表点眼箱・点眼表点眼箱・点眼表点眼箱・点眼表設置設置設置設置
点眼手技の確認点眼手技の確認点眼手技の確認点眼手技の確認
点眼指導時の患者説明用手引き点眼指導時の患者説明用手引き点眼指導時の患者説明用手引き点眼指導時の患者説明用手引き
• クラビット点眼液クラビット点眼液クラビット点眼液クラビット点眼液 抗菌剤 感染予防
点眼液の薬効
患者説明用手引き①
キャップの色キャップの色キャップの色キャップの色
術後には感染予防や合併症予防のため、術後には感染予防や合併症予防のため、術後には感染予防や合併症予防のため、術後には感染予防や合併症予防のため、4種類の点眼液を種類の点眼液を種類の点眼液を種類の点眼液を使用している。使用している。使用している。使用している。
• クラビット点眼液クラビット点眼液クラビット点眼液クラビット点眼液 抗菌剤 感染予防
• リンデロンリンデロンリンデロンリンデロンA ステロイド剤 抗炎症作用
• ジクロード点眼液ジクロード点眼液ジクロード点眼液ジクロード点眼液 非ステロイド剤 プロスタグランディン合成抑制(嚢胞様黄斑浮腫〔CME〕発生予防)
*CME=術後の炎症が原因で術後2~3ヶ月以内に黄斑部
網膜に小嚢胞様の浮腫が生じるもの
• ミドリンPミドリンPミドリンPミドリンP 散瞳剤 紅彩と人工レンズの癒着防止
*散瞳作用により、まぶしさや焦点が合わないことによる違和感を生ずることがある。
手術当日の夕食後から内服開始となる。
錠剤の一包化を施行している。
フロモックスフロモックスフロモックスフロモックス錠錠錠錠 抗生剤(軟便化することがある旨説明する。)
エンピナースPエンピナースPエンピナースPエンピナースP錠錠錠錠 消炎酵素剤
患者説明用手引き①
白内障手術後の内服薬
患者説明用手引き①´
エンピナースPエンピナースPエンピナースPエンピナースP 消炎酵素剤
ムコスタムコスタムコスタムコスタ錠錠錠錠 胃粘膜保護剤
1日3回毎食後の服用で5日間の飲み切り終了説明。
手術後に眼圧が高い場合手術後に眼圧が高い場合手術後に眼圧が高い場合手術後に眼圧が高い場合にはダイアモックス錠ダイアモックス錠ダイアモックス錠ダイアモックス錠の服薬が追加される。
クレアチニンクリアランス(CCr)を確認する。腎機能低下がある場合には抗生剤(フロモックス)の半減期の延長を伴うことから、通常、CCrをもとに投与の調節を行う必要がある。
CCr 20 ⇒ 1日2回 1日2錠へ減量する。
薬の効果を最大限に引き出せるように点眼液を使用するためには患者に点眼の手技・回数・点眼間隔などの注意点を理解してもらう必要がある。 説明用リーフレットでは、点眼回数を把握してもらうために、それぞれの点眼剤点眼剤点眼剤点眼剤をキャップの色で区別し、点眼回数を示した点眼表をキャップの色で区別し、点眼回数を示した点眼表をキャップの色で区別し、点眼回数を示した点眼表をキャップの色で区別し、点眼回数を示した点眼表を記載
点眼表、点眼液の容器箱の使い方
患者説明用手引き②
をキャップの色で区別し、点眼回数を示した点眼表をキャップの色で区別し、点眼回数を示した点眼表をキャップの色で区別し、点眼回数を示した点眼表をキャップの色で区別し、点眼回数を示した点眼表を記載している。
異なる種類の点眼液を5分の時間間隔をあけながら、使用する際に高齢者では「さし忘れ」「重複」を起こしてしまう危険性が高い。 これらを防ぐ方法として、まず使用するまず使用するまず使用するまず使用する点眼液をよく確認した後、点眼箱の手前の列に揃えてお点眼液をよく確認した後、点眼箱の手前の列に揃えてお点眼液をよく確認した後、点眼箱の手前の列に揃えてお点眼液をよく確認した後、点眼箱の手前の列に揃えておき、点眼し終わった容器を後の列に移動させるなどの方き、点眼し終わった容器を後の列に移動させるなどの方き、点眼し終わった容器を後の列に移動させるなどの方き、点眼し終わった容器を後の列に移動させるなどの方法をとっている。法をとっている。法をとっている。法をとっている。 患者の理解度に合わせた指導が必要患者の理解度に合わせた指導が必要患者の理解度に合わせた指導が必要患者の理解度に合わせた指導が必要である。
手を洗う(必要によって石鹸で十分に洗う)必要性を説明指手を洗う(必要によって石鹸で十分に洗う)必要性を説明指手を洗う(必要によって石鹸で十分に洗う)必要性を説明指手を洗う(必要によって石鹸で十分に洗う)必要性を説明指導する。導する。導する。導する。
手についた雑菌からの手術後の感染や点眼液の汚染を防手についた雑菌からの手術後の感染や点眼液の汚染を防手についた雑菌からの手術後の感染や点眼液の汚染を防手についた雑菌からの手術後の感染や点眼液の汚染を防ぐためであることを説明する。ぐためであることを説明する。ぐためであることを説明する。ぐためであることを説明する。
点眼前に手を洗い、清潔にする
患者説明用手引き③
ぐためであることを説明する。ぐためであることを説明する。ぐためであることを説明する。ぐためであることを説明する。
手の皮膚表面や爪などには、周囲の環境から付着した大腸菌、黄色ブドウ球菌などの雑菌がつねに存在している。
これらは流水と石鹸でほとんど除去することができる流水と石鹸でほとんど除去することができる流水と石鹸でほとんど除去することができる流水と石鹸でほとんど除去することができる。
点眼液が汚染される経路として、手指→結膜→点眼液
のルートが多いとされる。
4種類の点眼液の終了日が異なる場合が発生する種類の点眼液の終了日が異なる場合が発生する種類の点眼液の終了日が異なる場合が発生する種類の点眼液の終了日が異なる場合が発生する。こ
れにより、患者がさし忘れたと勘違いして、余った点眼液の過剰な点眼を誘発する可能性も考えられる。
点眼液1本あたりの点眼可能回数(総滴数)が点眼液ごとに異なることを伝える
患者説明用手引き④
容量 容量容量容量容量/1111滴滴滴滴 総滴数
クラビット点眼液 5mℓ 40μℓ/1滴 125滴
リンデロンA 5mℓ 40μℓ/1滴 125滴
ジクロード点眼液 5mℓ 37μℓ/1滴 135滴
ミドリンP 5mℓ 33μℓ/1滴 150滴
点眼液の容器の先が眼に触れないようにする必要性を説明する。
点眼時に容器の先が眼瞼に触れたり、涙液に接したりし
点眼液の容器の先が眼に触れないようにする
患者説明用手引き⑤
て菌や涙液が点眼液の中へ入ってしまい汚染される可能性がある。 また、点眼液の容器の先が手に触れて、容器が汚染されると、容器内の点眼液まで汚染される心配がある。
下瞼を軽く引き、1滴を確実に点眼するように指導する。下瞼を軽く引き、1滴を確実に点眼するように指導する。下瞼を軽く引き、1滴を確実に点眼するように指導する。下瞼を軽く引き、1滴を確実に点眼するように指導する。
点眼液1滴は30~50µℓであるのに対し、結膜嚢の最大容量は約30 µℓであるため、点眼された点眼液は涙液と
点眼する液量は1滴で十分
患者説明用手引き⑥
容量は約30 µℓであるため、点眼された点眼液は涙液と
混じり合い、その後大部分は涙点を通って眼外へ排出される。 点眼滴数を増やしても眼外へあふれ出てしまい、無駄になってしまう。
また、点眼量が多くなると、それに伴う刺激によって涙液の分泌量が増えて点眼液が希釈されてしまい、かえって効果が減ることにもなりかねない。
点眼された点眼液は目頭に集まり、その後、瞬きに伴い、涙点から排出される。 点眼直後に何回も瞬きをしたりする点眼直後に何回も瞬きをしたりする点眼直後に何回も瞬きをしたりする点眼直後に何回も瞬きをしたりすると、点眼液の眼からの排出を早めてしまい、逆効果と、点眼液の眼からの排出を早めてしまい、逆効果と、点眼液の眼からの排出を早めてしまい、逆効果と、点眼液の眼からの排出を早めてしまい、逆効果であることを説明する。
点眼後は瞬きをせずにしばらく眼を閉じる
患者説明用手引き⑦
とを説明する。
軽く眼を閉じることで、薬物が眼の中に停滞し、効果を十分軽く眼を閉じることで、薬物が眼の中に停滞し、効果を十分軽く眼を閉じることで、薬物が眼の中に停滞し、効果を十分軽く眼を閉じることで、薬物が眼の中に停滞し、効果を十分に発揮できるに発揮できるに発揮できるに発揮できる。
眼瞼皮膚は薬剤に起因する過敏反応が発生しやすい部位である。 点眼液が眼からあふれ出ると、点眼液に含まれている成分や防腐剤によっては眼の周囲の皮膚に炎症やただれを起こすこともあるので、あふれ出た液はすぐあふれ出た液はすぐあふれ出た液はすぐあふれ出た液はすぐに清浄綿などで拭き取ることが必要に清浄綿などで拭き取ることが必要に清浄綿などで拭き取ることが必要に清浄綿などで拭き取ることが必要なことを説明する。
あふれた液は清浄綿などで拭き取る
患者説明用手引き⑧
点眼間隔は5分間とする
患者説明用手引き⑨
一般に最初に点眼された薬液は後に点眼した点眼液によっ
て、洗い流される。 このため、個々の点眼液は他の点眼液の影響を受けないように5分以上の点眼間隔をとる5分以上の点眼間隔をとる5分以上の点眼間隔をとる5分以上の点眼間隔をとることで相互の影響はほとんど無くなる。
患者は術後の経過が良好で視力回復が得られると、点眼を自己判断で中止したり、回数を減らしてしまうことがある。視力が回復した場合でも術眼では炎症が残っていたり、創部が完治に至っていない可能性がある。 点眼液は医師の指示があるまで継続する必要性を説明指導する。
点眼継続の必要性を説明指導する
患者説明用手引き⑩
クラビット点眼液は創傷治癒が完成し、創が安定するクラビット点眼液は創傷治癒が完成し、創が安定するクラビット点眼液は創傷治癒が完成し、創が安定するクラビット点眼液は創傷治癒が完成し、創が安定する1~2ヶヶヶヶ月間(1ヶ月を目安)投与を継続する。月間(1ヶ月を目安)投与を継続する。月間(1ヶ月を目安)投与を継続する。月間(1ヶ月を目安)投与を継続する。
炎症対策として術後、リンデロン炎症対策として術後、リンデロン炎症対策として術後、リンデロン炎症対策として術後、リンデロンAとジクロード点眼液を3ヶとジクロード点眼液を3ヶとジクロード点眼液を3ヶとジクロード点眼液を3ヶ月を目安に併用するが、リンデロン月を目安に併用するが、リンデロン月を目安に併用するが、リンデロン月を目安に併用するが、リンデロンAは眼圧上昇などの副は眼圧上昇などの副は眼圧上昇などの副は眼圧上昇などの副作用が懸念されるため、他剤に切り替わったり、中止になっ作用が懸念されるため、他剤に切り替わったり、中止になっ作用が懸念されるため、他剤に切り替わったり、中止になっ作用が懸念されるため、他剤に切り替わったり、中止になったりする。たりする。たりする。たりする。
ミドリンミドリンミドリンミドリンPはははは2週間を目安に投与される週間を目安に投与される週間を目安に投与される週間を目安に投与される。