23
空間位相変調パターンを用いた 広ダイナミックレンジ波面センサー 最田 裕介 3回関西ものづくり技術シーズ発表会 2015/05/26 和歌山大学システム工学部

空間位相変調パターンを用いた 広ダイナミックレンジ波面 ......Shack-Hartmann波面センサーのダイナミックレンジ拡大手法 を提案 球面波を被測定波面とした波面計測実験

  • Upload
    others

  • View
    1

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

  • 空間位相変調パターンを用いた 広ダイナミックレンジ波面センサー

    最田 裕介

    第3回関西ものづくり技術シーズ発表会 2015/05/26

    和歌山大学システム工学部

  • 発表内容

    2

    研究背景

    Shack-Hartmann波面センサー

    ホログラフィックShack-Hartmann波面センサー

    ダイナミックレンジ拡大原理

    相関ピーク変位検出法

    マイクロホログラムアレイの設計

    波面計測光学実験

    まとめ

    波面計測原理

    ダイナミックレンジの制限

  • 発表内容

    3

    研究背景

    Shack-Hartmann波面センサー

    ホログラフィックShack-Hartmann波面センサー

    ダイナミックレンジ拡大原理

    相関ピーク変位検出法

    マイクロホログラムアレイの設計

    波面計測光学実験

    まとめ

    波面計測原理

    ダイナミックレンジの制限

  • 研究背景

    4

    光波・・・光は振幅,位相,偏光,波長など,波としての性質をもつ

    波面・・・局所的な位相の傾き(位相勾配)の分布

    平面波 球面波

    取得データ

    振幅分布 振幅分布

    通常のカメラでは光波の振幅情報しか取得できない

    位相分布 位相分布

    波面計測技術

    0

    2π 光波の波面を計測することによりさまざまな応用が可能 取得データ

    ex.) 波面補償,形状計測など

  • 波面計測技術の用途

    5

    大気の揺らぎによる波面の乱れを計測し補正をおこなうことにより高解像な星像を観測

    天文分野 医療分野

    工業分野

    眼球内の波面の乱れを補正し高解像な網膜像を観察

    眼の収差測定(近視,乱視,…)

    レンズなど光学素子の非接触表面形状計測

    光学素子のアライメント

  • 一般的な波面(位相)計測技術

    6

    干渉計測法 ・・・波動光学に基づく方法

    • トワイマン・グリーン干渉計

    簡易な光学系であつかいが容易

    振動などに強い

    Shack-Hartmann波面センサー(SHWFS) ・・・幾何光学に基づく方法 マイクロレンズアレイと撮像素子から構成される波面センサー

    • フィゾー干渉計

    高空間分解能

    光学系が複雑

    振動などに弱い

    空間分解能は干渉計に劣る

    計測可能な位相勾配の大きさ(ダイナミックレンジ)は各マイクロレンズの口径によって制限される

    局所的な位相勾配を各マイクロレンズによる集光スポット像位置から取得

    研究目的: SHWFSのダイナミックレンジ拡大

    光波の干渉現象を利用したもの

  • 発表内容

    7

    研究背景

    Shack-Hartmann波面センサー

    ホログラフィックShack-Hartmann波面センサー

    ダイナミックレンジ拡大原理

    相関ピーク変位検出法

    マイクロホログラムアレイの設計

    波面計測光学実験

    まとめ

    波面計測原理

    ダイナミックレンジの制限

  • SHWFSの原理

    8

    検出域内の最大強度画素を中心にQ×Qの領域を設定

    検出域

    スポットマップ

    Q

    ( )

    ( ),

    ,

    ,

    ∑∑

    ∑∑= Q

    i

    Q

    jji

    Q

    i

    Q

    jjii

    c

    yxI

    yxIxx

    ( )

    ( )∑∑

    ∑∑= Q

    i

    Q

    jji

    Q

    i

    Q

    jjij

    c

    yxI

    yxIyy

    ,

    ,

    マイクロレンズアレイの焦点面上でスポット像の分布(スポットマップ)を取得

    重心を算出することにより画素ピッチ以下の分解能でスポット像の座標を取得

    Qはスポット像が領域内に収まる値を任意に設定

    Q

    スポット像の重心座標 (xc, yc)

    I(xi , yj) : (xi , yj)の強度値

  • 局所位相勾配算出原理

    8

    入射光波 : 傾きのない平面波

    入射光波 : 傾いた波面

    スポット像がマイクロレンズの光軸上に発生

    位相勾配の大きさ・方向に対応してスポット

    像が変動

    スポット像の重心変位算出時の基準位置

    ∆xnc

    ∆ync

    fx

    xnc∆==

    ∂Φ∂ θtan

    n 番目の検出域における x 軸方向のスポット像の重心変位量

    ∆xnc : Φ : 入射光波の位相

    f : マイクロレンズの焦点距離

    n 番目の検出域における x 軸方向の局所位相勾配( y 軸方向も同様)

  • 計測された波面の算出

    10

    各検出域毎に局所位相勾配を算出

    マイクロレンズの口径に依存する低空間

    分解能な位相勾配分布

    単一検出域で一様な位相勾配を表現

    位相勾配分布 極座標系 (r, θ) で各収差モードをあらわす多項式

    ( ) ( )rRrZ mn=θ, sincos , θm ( ) =rRmn

    r12 2 −r

    2rrr 23 3 −

    チルト デフォーカス収差 非点収差 コマ収差

    各多項式の係数付き線形和で収差波面を表現

    位相勾配分布を各収差モード

    にフィッティングし係数を決定

    ・・・

    Zernikeの多項式による波面近似

    近似波面

  • ダイナミックレンジの制限

    11

    検出域内にスポット像が二つ以上存在する

    正確な波面計測がおこなえない場合

    隣接した検出域との境界上にスポット像が存在する 検出域内にスポット像が存在しない

    スポット像どうしが識別できないため検出可能な変位量の上限が検出域内に制限

    ダイナミックレンジの上限が検出域の大きさに依存

    2. フレーム間のスポット像の位置を動的に追跡する手法

    1. いくつかのマイクロレンズを遮蔽し時分割にスポットマップを取得する手法

    従来のダイナミックレンジ拡大手法

    時刻違いの複数枚のスポットマップから計測 ある瞬間の波面計測に適用不可

    1. G. Yoon, et al., J. Biomed. Opt. 11, 030502 (2006). 2. M. X. C. Li, et al., J. Biomed. Opt. 15, 026009 (2010).

    ホログラフィックShack-Hartmann波面センサー(H-SHWFS)*

    提案するダイナミックレンジ拡大手法

    相互に識別可能なパターンを取得すること

    により検出域を隣接領域にまで拡大が可能

    ホログラフィー +

    相関演算

    *Y. Saita, et al., Optica 2, 411-415 (2015).

  • 発表内容

    12

    研究背景

    Shack-Hartmann波面センサー

    ホログラフィックShack-Hartmann波面センサー

    ダイナミックレンジ拡大原理

    相関ピーク変位検出法

    マイクロホログラムアレイの設計

    波面計測光学実験

    まとめ

    波面計測原理

    ダイナミックレンジの制限

  • H-SHWFSの原理

    13

    マイクロレンズアレイの替わりに独立した微小な位相ホログラムをアレイ状に配置 マイクロホログラムアレイ

    検出域毎に互いに異なるパターンが再生されるため各再生像の識別が可能

    検出域サイズによるダイナミックレンジの制限を解消

    ホログラムの再生像の変位量から入射波面の位相勾配が算出可能

    焦点面に配置した撮像素子面上で各ホログラムの再生像を取得

    再生

    再生像

  • 位相勾配計測原理

    14

    相関ピーク変位検出法

    通常の検出域

    再生画像 テンプレート画像群 相関ピークマップ群

    再生画像と単一再生像のみを含んだテンプレート画像群との相互相関演算

    テンプレート画像と同一の再生像の位置に発生する相関ピークの変位から位相勾配が算出可能

    波面計測のダイナミックレンジが拡大

    他の再生像との相関値が低いため検出域を隣接領域にまで拡大可能

    拡大検出域

    マイクロホログラムアレイによる各再生像の変位量を算出する手法

    スポット像の重心変位算出アルゴリズムがそのまま適用可能

  • 再生像パターンに必要な条件

    15

    テンプレート画像との相互相関演算 注目パターンの位置のみに 相関ピークが出ることが理想

    他のパターンの位置にも 不要な相関値が存在

    相関ピークの変位算出時 にノイズとしてのみ作用

    互いに相関の低い(類似性の低い)パターンを 選定する必要がある

    3✕3領域の単位マイクロホログラムアレイを多数合成したものを実際のマイクロホログラムアレイとして使用

    ① ② ③

    ④ ⑤ ⑥

    ⑦ ⑧ ⑨

    選定したパターン マイクロホログラムアレイ

  • 発表内容

    16

    研究背景

    Shack-Hartmann波面センサー

    ホログラフィックShack-Hartmann波面センサー

    ダイナミックレンジ拡大原理

    相関ピーク変位検出法

    マイクロホログラムアレイの設計

    波面計測光学実験

    まとめ

    波面計測原理

    ダイナミックレンジの制限

  • 波面計測光学実験

    17

    CCDカメラ 画素数:1280×960 画素ピッチ:4.65µm

    位相変調型SLM 画素数:792×600 画素ピッチ:20µm

    光源(He-Neレーザー) 波長:632.8µm

    被測定波面を曲率半径350mmの球面波(赤枠内)とした従来手法との比較実験

    マイクロホログラムアレイ

    単一マイクロホログラム 1辺のサイズ : 640µm 焦点距離 : 30mm

    実験光学系

  • 実験による再生画像

    18

    参照波面(平面波) 被測定波面(球面波)

    設計通りの再生像パターンの取得を確認 球面波の各部の位相勾配に応じて各再生像が変動

  • 相関ピークマップ

    19

    参照波面(平面波) 被測定波面(球面波)

    参照波面,被測定波面ともに注目する再生像の位置に強い相関ピークが発生

  • 位相勾配分布計測結果

    20

    提案手法

    従来手法では上部で位相勾配に誤りが発生

    従来手法

  • 波面計測実験結果

    21

    提案手法 従来手法

    H-SHWFSによる位相勾配計測のダイナミックレンジ拡大を実証

  • 22

    まとめ

    マイクロホログラムアレイにより各検出域毎に異なる再生像パターンを発生

    相関ピーク変位検出法により隣接領域の再生像を変位検出時に除外することにより検出域を拡大

    従来手法では誤りが生じる波面計測によりダイナミックレンジ拡大を実証

    Shack-Hartmann波面センサーのダイナミックレンジ拡大手法を提案

    球面波を被測定波面とした波面計測実験

    計測精度向上のため各再生像パターンには互いに相関の低いパターンの選定が必要

  • 実用化に向けた課題

    23

    マイクロホログラムアレイを空間光変調器により実現 ・装置が非常に高価 ・反射型のため光学系が複雑

    市販のマイクロレンズアレイと同様にガラス or 樹脂成形素子として作製 面分解能 :数マイクロメートルオーダー

    深さ分解能:数十ナノメートルオーダー の微細加工技術

    ・透過型素子による簡易な光学系 ・装置全体の低コスト化

    ○企業に期待

    現状の構成 実用化を想定した構成

    空間位相変調パターンを用いた�広ダイナミックレンジ波面センサー発表内容発表内容研究背景波面計測技術の用途一般的な波面(位相)計測技術発表内容SHWFSの原理局所位相勾配算出原理計測された波面の算出ダイナミックレンジの制限発表内容H-SHWFSの原理位相勾配計測原理再生像パターンに必要な条件発表内容波面計測光学実験実験による再生画像相関ピークマップ位相勾配分布計測結果波面計測実験結果まとめ 実用化に向けた課題