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734 ●症 要旨:症例は 65 歳男性.血痰を主訴に平成 18 年 2 月に当科受診となり,胸部 CT では縦隔に腫瘍を認め た.経皮腫瘍生検の結果,小型から中型の紡錘形ないし楕円形の腫瘍細胞の浸潤を認め,vimentin(+),kera- tin(+)巣状,EMA(+)巣状,LCA(-),CD99(+),Actin(+),alpha-SMA(+),CD56(+),NF(+! -), Synaptophysin(-),Desmin(-),CD34(-),S100(+! -),HMB45(-),キメラ遺伝子SYT-SSX1融 合遺伝子陽性であり,滑膜肉腫の診断となった.滑膜肉腫に対して,化学療法,放射線療法,温熱療法を行っ ていたが,徐々に腫瘍増大を認め平成 19 年 10 月に永眠となった.滑膜肉腫はほとんどが四肢関節近傍に 好発することが多く,縦隔に発生することは非常にまれであり,貴重な症例と思われたので報告する. キーワード:滑膜肉腫,SYT-SSX1 融合遺伝子 Synovial sarcoma,SYT-SSX1 fusion gene はじめに 滑膜肉腫は若年成人の四肢近傍に好発する悪性軟部組 織腫瘍であり,腫瘍細胞は上皮細胞あるいは上皮様細胞 の性質をもち,診断には SYT-SSX キメラ遺伝子の検出 が有用である. 治療は広範囲切除が第一選択であるが,切除不能の場 合は化学療法,放射線療法が行われる.進行は比較的緩 徐であるが 5 年生存率は 30~50% と予後が悪い.縦隔 発生の滑膜肉腫は非常にまれであるため貴重な症例と考 え,若干の文献的考察を加えて報告する. 症例:65 歳,男性. 主訴:喀痰,血痰. 既往歴:6 歳 虫垂炎の手術. 家族歴:母:膀胱癌,食道癌 兄:大腸癌,急性心筋 梗塞. 喫煙歴:30 本! 日×43 年. 職業歴:会社員 アスベスト暴露なし. 現病歴:平成 18 年 2 月上旬より喀痰認め,血痰も出 現するようになり近医を受診した.胸部 X 線検査にて 左上肺野に腫瘤影を認め,当科紹介受診となった.来院 時,37 度前後の発熱あり,血痰は少量で喀血は認めな かった.胸部 CT 検査では左後縦隔を中心に最大径 7× 11×5cm の腫瘤影を認めた.腫瘤影の辺縁は比較的平 滑で内部は不均一であった.腫瘤影の精査のために経皮 腫瘍生検を行い,病理組織検査にて肉腫が疑われ,精査 加療目的で入院となった. 入院時現症:身長 169cm,体重 71kg,体温 37.2℃, 血 圧 124! 80mmHg,脈 拍 66! 分・整,意 識 清 明,眼 球 結膜黄疸なし,眼瞼結膜貧血なし,表在リンパ節触知せ ず,心音・呼吸音異常なく,神経学的異常所見は認めな かった. 入院時検査所見(Table1):血液生化学検査ではCRP の軽度上昇を認めた. 胸部X線写真:左上肺野縦隔側に腫瘤影を認める (Fig.1). 胸部 CT 検査:前縦隔から後縦隔に腫瘤を認める.肺 門,縦隔リンパ節の腫大は認めず(Fig.2a,2b). 入院後経過(Fig. 3):病理組織検査の結果(Fig. 4a, 4b)は,HE 染色では小型から中型の紡錘形ないし楕円 形の腫瘍細胞の浸潤を認め肉腫が疑われた.免疫染色で はvimentin(+),keratin(+)巣状,EpithelialMembrane Antigens (EMA) (+)巣状,LeucocyteCommonAntigen (LCA) (-),CD99(+),Actin(+),α-Smooth Muscle Actin(α-SMA)(+),CD56(+),Neurofilamen(NF) (+! -),Synaptophysin(-),Desmin(-),CD34(-), S100(+! -),HMB45(-)であり上皮性,非上皮性の マーカーが陽性であった.キメラ遺伝子 SYT-SSX1 融 合遺伝子陽性であり,滑膜肉腫の診断となった.初診時 に比べ腫瘍は増大しており,遠隔転移は認めないものの 縦隔に発生した滑膜肉腫の 1 例 中川 喜子 清水 哲男 寺門 正裕 平沼 久人 松本 高橋 典明 橋本 〒1738610 東京都板橋区大谷口上町 30―1 日本大学医学部内科学系呼吸器内科学分野 (受付日平成 21 年 12 月 7 日) 日呼吸会誌 48(10),2010.

縦隔に発生した滑膜肉腫の1例縦隔に発生した滑膜肉腫の1例 735 Table 1 Laboratory data on admission Hematology Biochemistry WBC 8,900/mm3 TP 7.1g/dl Neu 54.7%

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734

●症 例

要旨:症例は 65歳男性.血痰を主訴に平成 18年 2月に当科受診となり,胸部CTでは縦隔に腫瘍を認めた.経皮腫瘍生検の結果,小型から中型の紡錘形ないし楕円形の腫瘍細胞の浸潤を認め,vimentin(+),kera-tin(+)巣状,EMA(+)巣状,LCA(-),CD99(+),Actin(+),alpha-SMA(+),CD56(+),NF(+�-),Synaptophysin(-),Desmin(-),CD34(-),S100(+�-),HMB45(-),キメラ遺伝子SYT-SSX1 融合遺伝子陽性であり,滑膜肉腫の診断となった.滑膜肉腫に対して,化学療法,放射線療法,温熱療法を行っていたが,徐々に腫瘍増大を認め平成 19年 10 月に永眠となった.滑膜肉腫はほとんどが四肢関節近傍に好発することが多く,縦隔に発生することは非常にまれであり,貴重な症例と思われたので報告する.キーワード:滑膜肉腫,SYT-SSX1 融合遺伝子

Synovial sarcoma,SYT-SSX1 fusion gene

はじめに

滑膜肉腫は若年成人の四肢近傍に好発する悪性軟部組織腫瘍であり,腫瘍細胞は上皮細胞あるいは上皮様細胞の性質をもち,診断には SYT-SSXキメラ遺伝子の検出が有用である.治療は広範囲切除が第一選択であるが,切除不能の場

合は化学療法,放射線療法が行われる.進行は比較的緩徐であるが 5年生存率は 30~50%と予後が悪い.縦隔発生の滑膜肉腫は非常にまれであるため貴重な症例と考え,若干の文献的考察を加えて報告する.

症 例

症例:65 歳,男性.主訴:喀痰,血痰.既往歴:6歳 虫垂炎の手術.家族歴:母:膀胱癌,食道癌 兄:大腸癌,急性心筋

梗塞.喫煙歴:30 本�日×43 年.職業歴:会社員 アスベスト暴露なし.現病歴:平成 18 年 2 月上旬より喀痰認め,血痰も出

現するようになり近医を受診した.胸部X線検査にて左上肺野に腫瘤影を認め,当科紹介受診となった.来院時,37 度前後の発熱あり,血痰は少量で喀血は認めな

かった.胸部CT検査では左後縦隔を中心に最大径 7×11×5cmの腫瘤影を認めた.腫瘤影の辺縁は比較的平滑で内部は不均一であった.腫瘤影の精査のために経皮腫瘍生検を行い,病理組織検査にて肉腫が疑われ,精査加療目的で入院となった.入院時現症:身長 169cm,体重 71kg,体温 37.2℃,

血圧 124�80mmHg,脈拍 66�分・整,意識清明,眼球結膜黄疸なし,眼瞼結膜貧血なし,表在リンパ節触知せず,心音・呼吸音異常なく,神経学的異常所見は認めなかった.入院時検査所見(Table 1):血液生化学検査ではCRP

の軽度上昇を認めた.胸部X線写真:左上肺野縦隔側に腫瘤影を認める

(Fig. 1).胸部 CT検査:前縦隔から後縦隔に腫瘤を認める.肺

門,縦隔リンパ節の腫大は認めず(Fig. 2a,2b).入院後経過(Fig. 3):病理組織検査の結果(Fig. 4a,

4b)は,HE染色では小型から中型の紡錘形ないし楕円形の腫瘍細胞の浸潤を認め肉腫が疑われた.免疫染色では vimentin(+),keratin(+)巣状,Epithelial MembraneAntigens(EMA)(+)巣状,Leucocyte Common Antigen(LCA)(-),CD99(+),Actin(+),α-Smooth MuscleActin(α-SMA)(+),CD56(+),Neurofilamen(NF)(+�-),Synaptophysin(-),Desmin(-),CD34(-),S100(+�-),HMB45(-)であり上皮性,非上皮性のマーカーが陽性であった.キメラ遺伝子 SYT-SSX1 融合遺伝子陽性であり,滑膜肉腫の診断となった.初診時に比べ腫瘍は増大しており,遠隔転移は認めないものの

縦隔に発生した滑膜肉腫の 1例

中川 喜子 清水 哲男 寺門 正裕 平沼 久人松本 健 高橋 典明 橋本 修

〒173―8610 東京都板橋区大谷口上町 30―1日本大学医学部内科学系呼吸器内科学分野

(受付日平成 21 年 12 月 7 日)

日呼吸会誌 48(10),2010.

縦隔に発生した滑膜肉腫の 1例 735

Table 1 Laboratory data on admission

BiochemistryHematologyg/dl7.1TP/mm38,900WBCIU/l17GOT%54.7NeuIU/l15GPT%27.7LymIU/l180LDH%11.9MoIU/l274ALP%5.3EosinoIU/l66γ-GTP%0.4Basomg/dl195T-cho/mm3404×104RBCmEq/l143Nag/dl14.1HbmEq/l4.3K%41.8HtmEq/l104Cl/mm339.3×104Pltmg/dl9.5Camg/dl15.7BUNSerological testsmg/dl0.64Crmg/dl2.25CRPmg/dl5.0UAnegativeHBs-Agmg/dl88GlunegativeHCV-Ab

ng/ml3.6CEAUrine analysisng/ml3.21-CTP

negativeUPnegativeUSpositiveOB

Fig. 1 Chest radiograph on the first visit showing a mediastinal tumor with smooth margins.

大血管浸潤を認めたため手術適応は無く,化学療法を 2コース行った.明らかな腫瘍の縮小は認めず,その後外来で化学療法を継続していたが腫瘍は徐々に増大した.平成 18 年 12 月頃より左胸水貯留傾向となり,呼吸困難や胸痛も出現するようになり平成 19 年 2 月に第 2回目の入院となった.入院後,温熱療法と放射線治療(原発巣に 36Gy)を併用して行い,シスプラチン(Cisplatin;CDDP)+エトポシド(Etoposide;VP16)の投与も行った.左胸水の減少と腫瘍縮小(縮小率約 20%)を認め,以後,外来で化学療法を継続していた.平成 19 年 9 月頃より腹部膨満感と食欲不振が出現し腫瘍は増大傾向と

なり,再度入院となった.腹水を認めたため腹水穿刺を行い,腹水細胞診の結果は class IV であり滑膜肉腫による癌性腹膜炎と考えられた.腫瘍の増大による全身状態の悪化のため,初回治療から 1年 7カ月後に死亡となった.死亡後,病理解剖を行ない,縦隔に 26×14×14cmの滑膜肉腫を認め,左右の胸腔に浸潤を認めていた.組織的には単相型の滑膜肉腫であった.両肺,気管,気管支,食道,大動脈に直接浸潤していたが肺内転移は認めず,腹膜,小腸,大腸には転移を認めていた.

考 察

悪性軟部組織腫瘍は全悪性腫瘍中 1%以下1)で,そのうち滑膜肉腫は悪性線維性組織球症,脂肪肉腫に次ぐ発生頻度で,約 5~10%を占めるとされる2)3).10~40 歳台に多く発生し,性差はほとんどみられない.ほとんどが四肢関節近傍に好発し,関節包,滑液包,腱鞘,腱などに接して発生するものが多いが,これらの組織と関係しない頭頸部や体幹への発生を認めることもある4).縦隔原発の間葉系悪性腫瘍は全縦隔腫瘍の約 0.7%であり5),その中でも滑膜肉腫の報告は少なく,本症例は非常に稀であると思われた.滑膜肉腫は比較的緩徐に進行することが多いが,局所再発や遠隔転移を来たしやすく,5年生存率は 35~50%,10 年生存率は 10~30%と予後不良である.予後不良因子は①腫瘍径 5cm以上,② 40 歳以上,③低分化の成分を含む場合6),とされる.本症例では組織に低分化成分は認めなかったが,高齢で腫瘍も大きく,予後不良因子を認めていた.

日呼吸会誌 48(10),2010.736

a

b

Fig. 2 (a) Chest CT on the first visit showing a mediastinal mass spreading to the anterior and posterior mediastinum. (b) The mediastinal mass can be seen invading the left pulmonary artery.

Fig. 3 Clinical course

滑膜肉腫は,腫瘍細胞が滑膜の細胞と似ているため「滑膜肉腫」と命名されているが,実際は間葉系由来の紡錘系細胞からなる腫瘍であり,さまざまな程度の上皮への

分化傾向を示す特異な腫瘍である7).病理組織学的には,上皮様組織と紡錘形細胞からなる二相型滑膜肉腫と,いずれかの組織からなる単相型滑膜肉腫,前 2者とは異な

縦隔に発生した滑膜肉腫の 1例 737

Fig. 4 (a) Microscopically, the resected specimen shows spindle-shaped cells (hematoxylin-eosin (HE) stain×40). (b) Focally-positive staining for EMA can be seen.

a b

る卵円形の細胞のシート状の増殖が主体で,小円形細胞の出現する低分化型滑膜肉腫に分けられる7).確定診断は生検により行うが,病理組織像は非常に多彩であることが特徴で,診断は必ずしも容易ではない.免疫組織化学的には上皮成分では真の上皮分化を反映して,上皮性マーカーである keratin が陽性となる.また,紡錘系細胞にも様々な程度の上皮性マーカーの発現が見られる8).細胞遺伝学的には,特徴的な染色体転座 t(X;18)(p11;q11)に由来するキメラ遺伝子 SYT-SSX1 または SYT-SSX2 がほぼすべての滑膜肉腫で認められる.そのため,現在では遺伝子診断が非常に有用になってきており9),また SYT-SSX1 は SYT-SSX2 に比べ有意な予後不良因子との報告もある10)11).本症例は経皮腫瘍生検により組織診断を行った.HE

染色では紡錘形ないし楕円形の腫瘍細胞の増生をみとめ肉腫が疑われた.免疫染色では上皮性マーカーの kera-tin,EMAが陽性であり,さらに非上皮系マーカーのうち筋肉系マーカーの α-SMA,Actin が陽性であり,神経系マーカーのCD56 陽性,NFと S100 は弱陽性であった.腫瘍の形態と免疫染色で上皮性と非上皮性マーカーが陽性のことから単相型の滑膜肉腫が考えられたが,平滑筋肉腫,繊維肉腫,末梢神経外胚葉性腫瘍等も否定できないことから,遺伝子検査を行い SYT-SSX1 融合遺伝子を確認し確定診断を得ることができた.治療は腫瘍とともに健常組織を切除する広範囲切除が

原則であり,化学療法の併用も積極的に行われている.化学療法に関しては,一般的に単剤での効果は低く,イホスファミド(Ifosfamide;IFM)やアドリアマイシン(Adriamycin;ADM)を中心に,ダカルバジン(dacar-bazine;DTIC),ビンクリスチン(Vincristin;VCR),CDDP等を組み合わせた多剤併用療法が試みられている12)13).本症例は初診時の胸部CT検査で前縦隔と後縦隔に腫

瘍を認めていたが,剖検所見より腫瘍は連続していたものと思われた.初診時より前縦隔から後縦隔にかけて連続した腫瘍を認めており,発生部位は不明であった.また,肺動脈に浸潤を認めたため外科的治療の適応無く,化学療法を施行した.全経過中,最も腫瘍縮小を認めたのは,放射線療法・温熱療法にCDDPと VP16 を組み合わせた時であった.軟部肉腫は放射線治療が効きにくいものが多く,治療の第一選択になることはない.しかし,術前・術中・術後や巨大腫瘍,完全切除が困難な占拠部位に発生した腫瘍に対し局所制御の向上を図るために放射線治療がおこなわれる14).また,温熱療法は放射線治療や抗癌剤の効果を高めることを目的に,放射線や化学療法と併せておこなわれる.本症例は化学療法に放射線治療,温熱治療を加えたときに腫瘍縮小効果を得られ,本症例のように悪性度が高く化学療法の効果が乏しい症例に対しては放射線治療や温熱療法を加えた集学的治療は考慮すべき治療の一つと思われた.滑膜肉腫は現在のところ標準的な治療は確立されておらず,症例の蓄積と治療法の十分な検討が必要であると考えられた.

文 献

1)日本整形外科学会,骨軟部腫瘍委員会編.整形外科・病理 悪性軟部組織腫瘍取り扱い規約 第 3版.金原出版,東京,2002 ; 14―17.

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8)元井 亨.骨軟部腫瘍病理学.深山正久編.腫瘍病理学.文光堂,東京,2008 ; 260―267.

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11)Ladany M, Antonescu CR, Leung DH, et al. Impactof SYT-SSX fusion type on the clinical behavior ofsynovial sarcoma : a multi-institutional retrosupec-tive study of 243 patients. Cancer Res 2002 ; 62 :135―140.

12)上田孝文,久田原郁夫,吉川秀樹.軟部組織の肉腫.岩永 剛編.癌治療指針.医薬ジャーナル社,大阪,1999 ; 190―197.

13)Gerald R, Charles F, Susan L. Synovial Sarcoma uni-form response of metasases high dose ifosfamide.Cancer 1994 ; 73 : 2506―2511.

14)Alvegard T. Soft tissue sarcomas. Acta Oncol 1996 ;7 : 117―122.

Abstract

A case of synovial sarcoma of the mediastinum

Yoshiko Nakagawa, Tetsuo Shimizu, Masahiro Terakado, Hisato Hiranuma, Ken Matsumoto,Noriaki Takahashi and Shu Hashimoto

Division of Respiratory Medicine, Department of Internal Medicine, Nihon University School of Medicine

A 65-year-old man consulted our hospital with a complaint of bloody sputum in February 2006, and chestcomputed tomography (CT) showed a mediastinal tumor. Percutaneous needle biopsy was performed. Pathologi-cal examination of the specimen revealed spindle-shaped cells ; on immunohistochemical testing the tumor cellswere positive for vimentin, keratin, EMA, CD99, actin, alpha-SMA, CD56, NF, and S100, and amplication of theSYT-SSX fusion gene was also seen. Thus, we confirmed a diagnosis of synovial sarcoma. The patient receivedchemotherapy, radiation therapy and hyperthermia therapy, but the tumor progressed and he died in October2007. Synovial sarcoma commonly occurs in the vicinity of the large joints. We report an important case of medi-astinal synovial sarcoma, which is comparatively rare.