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平成 22 年度 東経大地学倶楽部Ⅱ演習報告 結晶成長の観察 東京経済大学新正裕尚ゼミナール 結晶成長班 平成 23 年 2 月

結晶成長 - コピーweb.tku.ac.jp/.../contents/research/2010/report_crystal.pdf1 はじめに 当ゼミナールでは、地質学・岩石学・鉱物学を軸に地球科学を学んでいる。

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平成 22 年度

東経大地学倶楽部Ⅱ演習報告

結晶成長の観察

東京経済大学新正裕尚ゼミナール

結晶成長班

平成 23 年 2 月

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目次

1、はじめに

2、準備物

3、実験の内容

①ヘキサシアノ鉄(Ⅲ)酸カリウム・・・ 担当:上田・鈴木

②ロッセル塩・・・・・・・・・・・・・・担当:山口・前田

③クロムミョウバン・・・・・・・・・・・担当:吉田

④カリウムミョウバン・・・・・・・・・ 担当:寺田

4、添付資料

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1 はじめに

当ゼミナールでは、地質学・岩石学・鉱物学を軸に地球科学を学んでいる。

今回は立川断層調査班と結晶成長班に分かれて、各々の研究結果をレポートす

ることにした。

当班では結晶成長に関するレポートをすることになり岩石を形成する鉱物を

使った実験を行った。詳しくは後述の中で記す。また、実験のプロセスは大ま

かに以下のとおりである。

・書籍を用いて結晶の性質を探り、面白い(形・色・性質)ものを探す。

・種結晶を作るための試料と物品の購買。

・種結晶の作成およびそれを用いて結晶を育てる。

・できたものをルーペなどで観察する。

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2 準備物

・試料 ①ヘキサシアノ鉄(Ⅲ)酸カリウム・・・ 担当 上田 鈴木

②ロッセル塩・・・・・・・・・・・・・・担当 山口 前田

③クロムミョウバン・・・・・・・・・・・担当 吉田

④カリウムミョウバン・・・・・・・・・ 担当 寺田

・500ml 耐熱ビーカ

・500ml 保存用のビン(蓋付きのもの)・・・ホコリが入らないようにするため

・100ml メスシリンダ

・シャーレ(蓋付きのもの)・・・ホコリが入らないようにするため

・薬さじ(金属製とプラスティック製)

・薬包紙

・ろ紙

・電子天秤(島津製作所のものを使用)

・ホットプレート

・竹ひご

・刺繍糸

・スケールルーペ(ハクバ写真産業のものを使用 10 倍)

・ワイピングクロス(JK ワイパー・キムワイプ)

・実験観察用のノート

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3-1 ヘキサシアノ鉄(Ⅲ)酸カリウム(フェリシアン化カリウム)

§-1 結晶作成の手順

①結晶の種を作る。赤血塩を200mlの温湯に93g溶かす。

②冷却し、1週間放置する。

③1週間後、種結晶に糸を結びつけ、竹ひごでつるし、飽和状態の液中に沈め

冷却する。(飽和状態の赤血塩は溶媒(ここでは水)250ml 中に試薬 102g)

④1週間放置後、完成した結晶の観察を行う。

§-2 作業における注意点

・フェリシアン化カリウムの溶解度は、温度上昇がなだらかであるため、加熱

時には細かく水温を計測する必要がある(温度を測り損ねると飽和に達しな

い場合があるからである)。

・赤血塩を飽和状態の液からさらに追加しすぎると、群晶になりやすく、きれ

いな形になりにくいので注意

担当:上田晋作 鈴木諒

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3-2 酒石酸カリウムナトリウム四水和物(ロッセル塩)

KNAC4H4O6・4H2O

ロッセル塩結晶を計 3つ作成しその内二つを担当した

①始めに、水 100g辺りに 50gのロッセル塩を溶かす。出来たロッセル塩の水

溶液に、糸を垂らし、結晶つくりの種を作成。

②水 200gに 100gのロッセル塩を溶かした水溶液 300gに、種を糸で結び吊る

す。その後 2週間放置。

③写真のような結晶の完成。断面は割りと綺麗なものになる。種が成長したも

のではない、新しい小さな結晶が出来ていたため、それを種にし、また成長

させる。

④結晶を取り出した後の水溶液が 200gであった。そこにロッセル塩 100gを入

れ、より高濃度な水溶液を作成一週間放置。

⑤写真のような結晶が完成。縦長の綺麗な結晶になった。

考察:ロッセル塩の結晶は、種を吊るした段階では種が溶けてしまっていたが、

結果的に大きな結晶ができていた。放置期間は異なったが、二つの結晶に大き

な違いはでなかった。

担当;前田尚貴

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3-3 酒石酸カリウムナトリウム四水和物(ロッセル塩)

KNAC4H4O6・4H2O

①200mlの溶液(溶媒・溶質ともに 1:1)に、後から 100gの溶質を投入 ②溶液の温度変化に伴い、種が溶媒に溶けてしまうことが多々あった。これに

ついては、種そのものをある程度成長させたものを溶液内につるすことで対

処した。このためか 1週間ほどでビンの蓋ほどの大きさに成長。

③種・決勝ともに直方晶形に形成。其の際線状の模様が見られた。なおビン底

にできた結晶に関してはその限りではない。 ④透明度はやや低いと思われる。ただ、ビン底の結晶の一部に透明度の高いも

のを発見。

担当 山口 優

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3-4 硫酸カリウムクロム

Kcr(SO4)2・12H2O 紫色、等軸晶系

普通のミョウバンに似てクロムミョウバンの結晶もよく成長するが、飽和溶

液の色が濃くて中で起こっている現象が見えない。今回の実験では、行われな

かったが、普通のミョウバンとの[混晶]を成長させるほうが結果として満足すべ

きものが作れる。

今回の実験について

今回の実験では、結晶の種が作れず苦労しましたが、最後には群結晶を、作

る事ができました。

担当 吉田 光太朗

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3-5 ミョウバンの結晶について

1.手順

§-1 結晶のタネを作る。

①水を沸騰させる(注意点:突沸に注意する)

②溶解度曲線(次ページに添付)を参考に、飽和するまでミョウバンを徐々

に溶かす(実験では、溶媒(水)150mlに対して溶質(ミョウバン)120

gを溶かした)。

③溶液をシャーレに移す。

④常温で一週間放置する。

§-2 結晶を成長させる

①前回の手順と同様に、ミョウバンの飽和水溶液を作る。

②飽和水溶液を濾過し、ビンに移す(注意点:水溶液は、結晶のタネが解

けない程度の温度まで冷却する)。

③結晶の種を水溶液中に吊り下げる為に、ビンの蓋を加工する。

④結晶のタネを糸でくくり、飽和水溶液中に吊り下げる

⑤常温で一週間放置する(注意点:埃が入ると群結晶になってしまうので、

ビンには蓋を被せる)。

担当;寺田開智

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添付

表 1 実験に用いた溶解度曲線

引用元:埼玉大学 HP http://www.saitama-u.ac.jp/ashida/calcgrap/apadj013.html

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0

50

100

150

0 20 40 60 80 100

ロッシェル塩ミョウバンクロムミョウバン赤血塩

溶解度(g/水100g)

温度(℃)

各薬品の溶解度の比較(データは「理科年表」に基づく.ロッシェル塩のみ古屋・霜村 , 1968 による)

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使用した試薬のリスト 【ロッシェル塩(酒石酸ナトリウムカリウム四水和物)】

化学式:C4H4KNaO6・4H2O 色:白色 比重:1.767

結晶系:単斜晶系 【カリミョウバン(硫酸カリウムアルミニウム・12 水)】

化学式:AlK(SO4)2・12H2O 色:白色 比重:1.757

結晶系:立方晶系 【赤血塩(ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム)】

化学式:K3[Fe(CN)6] 色:暗赤色 比重:1.894

結晶系:単斜晶系 【クロムミョウバン】

化学式:CrK(SO4)2・12H2O 色:暗紫色 比重:1.83

結晶系:等軸晶系 データの出典

各々の試薬のMSDS シート 和光純薬 http://www.siyaku.com/ 昭和化学 http://www.showa-chem.com/index_j.html

「化学辞典」東京化学同人