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応用力学Ⅱ・講義資料/応力法による不静定骨組構造物の解析 № 1
不静定骨組構造物の解析
静定構造物 … 釣合条件式のみ 不静定構造物 … 釣合条件式+変形の適合条件
応力法 (stress method) 変位法 (displacement method) 混合法 (mixed method)
●応力法 構造物の部材内や部材の連結部における変位の連続性,支点における変位の拘束など,いわゆる変位
の適合条件(compatibility condition of displacement)から、断面力や反力を未知量とする方程式を組み
立て、それを解いて直接断面力や反力を求める方法。 応力法によって、不静定構造物を解析するには、静定基本系を選定し、所定の荷重および単位不静定
力を静定基本系に作用させ各ケースについて断面力分布を求める必要がある。 ◆ 全体系解析法(構造物全体を一括して取り扱う古典的手法) ① 変形公式を利用する方法 ② 単位荷重法 ③ 弾性重心法 ④ 3連モーメントの定理(three moments theorem)とその応用
◆ 部材たわみ性マトリックス解析法(member flexibility method) 部材たわみ性マトリックスから出発して、静定基本系に関する変換マトリックスを利用して全体
系たわみ性マトリックスを得る方法。 ●変位法 釣合条件式を適用して変位を未知量とする剛性方程式を組み立て、これを解いて、まず変位を計算し、
それを用いて断面力や反力を間接的に評価する方法。 不静定次数が大なる複雑な骨組構造物を応力法で解析する場合には、極めて煩雑であるばかりでなく、
人為的ミスが起き易いため、高次不静定構造物に対して、未知量の個数の低減並びに簡明な規約に則し
た機械的定式化手法の確立が必要となった。 モール(Mohr)は、トラスの剛節による 2 次応力を求めるために、節点回転角を未知変形量(一般変位)
として解析し、初めて上述の考え方を具体化した。【トラスの 2 次応力についてのモールの解法】 その後、平面ラーメンの解析に節点回転角を未知量として統一的に導入した〝たわみ角法〟(slope deflection method)がウィルソン(Wilson),ゲーラ(Gehler) によって提示され、ラーメンの設計計算が
容易に実施し得るようになった。 さらにその後、各種構造物の多様化・複雑化,多量の数値計算処理へのコンピュータの導入によって、
〝マトリックス解析法〟が開発された。初期の段階では、応力法の研究が主体であったが、その短所に
気付き、変位を未知量とする〝マトリックス変位法〟が初めて Levy(1953)により発表された。これによ
っ て 変 位 法 の 特 長 が 認 識 さ れ 、 有 限 要 素 法 (FEM : Finite Element Method) の 創 始 者
Turner-Clough-Martin-Topp*は、〝直接剛性法〟を発表した。この方法は、プログラム化が簡単明快
で、かつ人手を要する作業時間が大幅に節減される効率のよい解法として発達してきた。変位法は別名
〝剛性法〟(stiffness method)と言われている。
*M. J. Turner, R. W. Clough, H. C. Martin and L. J. Topp :〝Stiffness and Deflection Analysis of Complex Structures〟, Journal of Aeronautical Science,Vol.23,No.9(1956),p.805.
反力・断面力の算定
相補的関係
応用力学Ⅱ・講義資料/応力法による不静定骨組構造物の解析 № 2
●混合法 不静定構造物の解析において、応力法は未知量として「不静定力」を、変位法は「変位」を選ぶ方法であ
る。これをさらに一般化して「力」と「変位」を混合して未知量に選ぶことが考えられる。この方法を混合
法と呼ぶことにする。 ◆ Efsen の解法(狭義の〝マトリックス混合法〟と呼ぶことにする。)
混合法は Efsen**によって最初に提唱され、変位法および応力法は混合法の特別な場合と解釈す
ることができる。 **Axel Efsen:〝Beregning av statisk obestemte Systemer(不静定構造物の計算)〟,
Bygningsstat, Medd. Copenhaven(1940) ◆ 伝達マトリックス法(transfer matrix method) Efsen の解法とは、全く別の概念で力と変位を未知量とし、構造物の一端 A から順次、中間の未
知量を消去して他端における既知の幾何学的条件および力学的条件を用いて一端 A における未知
量の解を得ようとする方法。この方法では、中間の未知量を消去するために、伝達マトリックス
(transfer matrix)および格点マトリックス(point matrix)を利用することから〝伝達マトリックス法
〟と名付けられている。土木構造物として使用頻度が高い直列型構造物の解析に適しているので、
土木技術者の間ではしばしば実用されている。 伝達マトリックス法の考え方の根源は、微分方程式の解曲線を求める際の図式積分法の概念に遡
る。初期の時代には、Holzer-Tolle が「クランクシャフトの振動」,Herzberger が「レンズ系の光線
の進路」,Koiter が「弾性支承上の連続桁」,Stewart-Kleinlogl が「トラバース法」などにこの考え方
を応用した。 伝達マトリックス法の構造解析学への応用は、Marguerre,Fuhrke,Schnell,Pestel,Schumpichなどの西ドイツの研究者により推進された。そして弾性問題のみならず、安定性問題・振動問題へ
と発展していった。
応用力学Ⅱ・講義資料/応力法による不静定骨組構造物の解析 № 3
静定基本系 不静定構造物からその不静定次数に等しい個数の不静定反力や不静定部材力を取り除くと静定構造
物が得られる。これを元の不静定構造物の静定基本系(statically determinate fundamental structure)という。 各種構造物の代表的例について静定基本系を掲げると次の通りである。
図-1 両端固定ばりの静定基本系と不静定力
図-2 3 スパン連続トラスの静定基本系と不静定力
(a)2 次不静定トラス
(b)静定基本系①:1 スパン単純トラス
A BC D
1P 2P 3P 4P 5P 6P
1CR X 2DR X
A B
C D1P 2P 3P4P 5P 6P
1AR X 2BR X
(c)静定基本系②:張出トラス
A B
C D
S
1P 2P 3P4P 5P 6P
(d)静定基本系③:3 スパン単純トラス
A B
C D
1CS X
1P 2P 3P4P 5P 6P
2DS X
A B
C D1P 2P 3P4P 5P 6P
1ES X 2FS X
E F
(e)静定基本系④:ゲルバートラス
(a)2 次不静定ばり(鉛直荷重に対し)
A B
1BR X
A
A B
B
2BM X
2BM X1AM X
(b)静定基本系①:単純ばり
(c)静定基本系②:片持ばり
応用力学Ⅱ・講義資料/応力法による不静定骨組構造物の解析 № 4
図-3 π型ラーメンの静定基本系と不静定力
不静定構造物の力学量 図-2 に示す 3 スパン連続トラスは 2 次不静定構造物であるが、これに荷重 P1~P6 が作用する場合の
力学量 Y(例えば、反力 R,部材力 S,たわみ d)は次のように求められる。 問題の 3 スパン連続トラスについて、ある静定基本系を選ぶと、これに与えられた荷重 P1~P6 と不
静定力 X1 ,X2 が図-2(b)~(e)に示すように同時に作用するときに生ずる力学量は、元の連続トラスの力
学量と同じである。このことから求める力学量 Y は、〝重ね合せの原理〟により次式で計算できる。
22110 XYXYYY ………(1)
ここに、Y0 は、静定基本系に荷重 P1~P6 のみが作用するときの力学量, Y1 は、静定基本系に不静定力 X1=1 のみが作用するときの力学量, Y2 は、静定基本系に不静定力 X2=1 のみが作用するときの力学量 である。
一般に、n 次不静定構造物の力学量 Y は次式で与えられる。
01
n
j jj
Y Y Y X
………(2)
ここに、 jY は、静定基本系に不静定力 1jX のみが作用するときの力学量である。
式(1)あるいは式(2)に含まれる量の中で 0Y および jY nj ,,2,1 は静定基本系について容易に計算
できる。したがって、未知不静定力 jX nj ,,2,1 を求めることができれば、式(2)により不静定構造
物の任意の力学量 Y が算定し得る。 以上の点から、応力法においては、未知不静定力 jX nj ,,2,1 に関する方程式を如何に組み立て、
それを解くかということが問題の焦点となる。
(a)4 次不静定ラーメン
2CV X
1CH X
(b)静定基本系①:単純ばり
(c)静定基本系②:張出部を有する
静定ラーメン
A B
C D
E F
A B
C D
E F
A
B
C D
E F
3DH X
4DV X
2AH X
3AV X 4BR X
1DH X
応用力学Ⅱ・講義資料/応力法による不静定骨組構造物の解析 № 5
変位の適合条件 いま、n 次不静定構造物において、不静定力 iX の作用点での iX 方向変位を id とすると、〝重ね合せ
の原理〟から次式が成り立つ。
01
n
i i ij jj
d d d X
………(3)
ここに、 0id は、静定基本系に荷重のみを作用させたときの iX 作用点での iX 方向変位,
ijd は、静定基本系に単位不静定力 1jX が作用するときの iX 作用点での iX 方向変位 である。
式(3)はすべての不静定力の作用点での変位 id ni ,,2,1 について成立つ。ところが、不静定力 iXが剛支点における反力あるいは固定モーメントであれば、それぞれの方向の変位あるいは回転角は拘束
されていて 0 である。すなわち、 0id でなければならないという変位の拘束条件が存在する。
また、もし iX が不静定断面力(例えば図-2(d),(e)に示すトラスの部材力 S)であれば、 id は不静定力
iX の作用断面の相対変位あるいは相対回転角に他ならない。ところが、実際の不静定構造物において
は、これらの作用断面は連続していて id は 0 でなければならない。換言すれば、一般変位(相対変位あ
るいは相対回転角)の連続条件が存在する。 以上のような一般変位(変位・回転角・相対変位・相対回転角などの力学量の総称)の拘束条件およ
び連続条件を単に〝変位の適合条件〟(compatibility condition of displacement)という。また、式(3)のことを〝弾性方程式〟ともいう。 不静定力 iX の作用点 iにおける iX 方向の一般変位 id が 0でなければならないという変位の適合条件
を式(3)に適用すると、
01
0n
i ij jj
d d X
………(4)
式(4)が不静定力 iX の作用点 i における変位の適合条件式である。
応用力学Ⅱ・講義資料/応力法による不静定骨組構造物の解析 № 6
全体系解析法 一般に n 次不静定構造物を解析しようとするとき、終始全体系を対象として取扱い、そこに含まれる
n 個の不静定力 iX の作用点における変位の適合条件式(4)を直接組み立て、これを jX に関する n 元連立
方程式として解 jX nj ,,2,1 を求める方法を〝全体系解析法〟ということができる。
いま、式(4)の中で、不静定力 jX を含まない第 1 項 0id を右辺に移項すると、次のような不静定力 jX
に関する n 元連立方程式が成立する。
01
n
ij j ij
d X d
ni ,,2,1 ………(5)
この方程式の右辺にある定数項 0id は、荷重状態によって決まるので〝荷重項〟といわれる。一方、
係数 ijd は、単位不静定力 1jX が静定基本系に作用したときの不静定力 iX の作用点での iX 方向の変
位である。したがって、〝マックスウェルの相反作用の定理〟により次の関係式が成立つことは明白で
ある。
jiij dd ………(6)
方程式(5)を行列表示すれば、 F x f ………(7)
ここに、
nnnjnn
inijii
nj
nj
dddd
dddd
dddd
dddd
21
21
222221
111211
F ………(8)
マトリックスFは n 次元対称行列で全体系の不静定力に関する〝たわみ性マトリックス〟(redundant force flexibility matrix in global system)という。
nj XXXX 21x (不静定力ベクトル) ………(9)
002010 ni dddd f (荷重項ベクトル) ………(10)
すると、方程式(5)および(7)の解は、直ちに次式により与えられる。 1x F f ………(11)
全体系解析法においては、方程式(5)の係数 ijd と荷重項 0id 、換言すれば、たわみ性マトリックスFの
各要素 ijd と荷重項ベクトル f の成分 0id をどう算定するかということが重要である。
応用力学Ⅱ・講義資料/応力法による不静定骨組構造物の解析 № 7
●変形公式を利用する方法 不静定ばりのような比較的簡単な不静定構造物の場合には、静定基本系は単純ばり・片持ばりあるい
は張出ばりであって、既に〝はりのたわみ〟において、それらに各種の荷重が作用する場合についての
変位の解が得られている。それで、これらの静定基本系に所定の荷重が作用したとき、並びに単位不静
定力 1jX が作用したときの不静定力 iX の作用点での iX 方向の変位である 0id および ijd の値を求め
るには、「表-各種はりのたわみとたわみ角」に掲げられた静定ばりの変形の諸公式を利用するとよい。 【例1】1 次不静定ばり(一端固定・他端単純支持ばり) 【解法①】(たわみ角の公式を利用する場合)
図-4(a)に示す 1 次不静定ばりに集中荷重 P が作用する場合について、下記の表に示すたわみ角の公式
を利用して解く。(下記の表は、「表-各種はりのたわみとたわみ角」からの抜粋である。) 荷重状態 特定点のたわみ角 特定点のたわみ
BAB
BAA
MMEI
MMEI
26
26
BA
xMM
EIy
16
2
2
3
32
3
32
6
6
aa
EI
P
bb
EI
P
B
A
EI
bPayC 3
22
図-4(b)に示すように、支点 A の固定端モーメント 1X を不静定力にとり、単純ばり AB を静定基本系
に選ぶ。そこで、図-4(c)に示すように、単位不静定力 1 1X を作用させると、そのときの端 A における
はりのたわみ角が 11d である。この 11d の値は、上記の表上段(表-8.1(a)-7)に示した A の公式において、
1, 0A BM M とおくことにより次の通り得られる。
26 3A A BM MEI EI
∴EI
d311
………(a)
A B C
P
y ryx
a b
x
A B BM
AM
(a)集中荷重を受ける 1 次不静定ばり (b)静定基本系および不静定力
A BC
P
a b
A1 AX M
B C
P
a b
A 1 1X
B11d
(c) 1 1X による端 A の回転角 11d
A B C
Pa b
10d
(d)荷重による端 A の回転角 10d
A
AMX 1
B
D
F
Pab
(e)曲げモーメント図
図-4 一端固定・他端単純支持ばり
応用力学Ⅱ・講義資料/応力法による不静定骨組構造物の解析 № 8
次に同じ静定基本系すなわち単純ばり AB の所定の位置 C に集中荷重 P を図-4(d)に示すように作用
させたときの端 A のたわみ角が 10d であって、上記の表下段(表-8.1(a)-1)の A として次の通り与えら
れる。
3
32
6 bb
EI
PA ∴
3
32
10 6 bb
EI
Pd ………(b)
ここで、弾性方程式(5)において 1n とおくと、11
101 d
dX ………(c)
そこで、式(a),(b)を方程式(c)に代入すると、不静定力 1X が次式のように与えられる。
3
3
3
32
11
101 2
3
6
bbPEIbb
EI
P
d
dX ∴
3
3
1 2 bbP
MX A
さらに不静定力 1X を重ね合せの公式(2)に用いると、各種の力学量が得られる。
支点反力については、 1
1 AR , 1
1 BR であるから、
2
2
3
3
110 322
1
bPbbbPPb
XRRR AAA
23
3
110 21
2
1
bbPabbPPa
XRRR BBB
また、曲げモーメント図は、図-4(e)に示すように、静定基本系における不静定力 1X による曲げモー
メント ADB と集中荷重 P による曲げモーメント AFB の重ね合せとして描かれる。
応用力学Ⅱ・講義資料/応力法による不静定骨組構造物の解析 № 9
【解法②】(たわみの公式を利用する場合)
図-4’(a)に示す解法①と同様な 1 次不静定ばりについて、下記の表に示すたわみの公式を利用して解く。
(下記の表は、「表-各種はりのたわみとたわみ角」からの抜粋である。) 荷重状態 たわみ曲線 特定点のたわみ
3
3
2
23
36 xx
EI
Py
EI
Pyy B
3
max 3
1
≦≦
≦≦
xaa
x
EI
Pay
axa
x
a
x
EI
Pay
r
136
036
3
3
3
2
23
13
6
3
max aEI
Payy B
図-4’(b)に示すように、支点 B の支点反力 1 BX R を不静定力にとり、片持ばり AB を静定基本系に
選ぶ。そこで、図-4’(c)に示すように、単位不静定力 1 1X を作用させると、そのときの端 B における
はりのたわみが 11d である。この 11d の値は、上記の表上段(表-8.1(b)-2)に示した maxy の公式より、
EI
Py
3
3
max
∴
EId
3
3
11
………(a)’
次に同じ静定基本系すなわち片持ばり AB の所定の位置 C に集中荷重 P を図-4’(d)に示すように作用
させたときの端 B のたわみが 10d であって、上記の表下段(表-8.1(b)-3)の maxy の公式より、
13
6
3
max aEI
Pay
∴
13
6
3
10 aEI
Pad
………(b)’
ここで、弾性方程式(5)において 1n とおくと、11
101 d
dX ………(c)’
そこで、式(a)’,(b)’を方程式(c)’に代入すると、不静定力 1X が次式のように与えられる。
A B
P
a
C y ry
A B
P
(a)集中荷重を受ける 1 次不静定ばり (b)静定基本系および不静定力
A BC
P
a b
(c) 1 1X による端 B のたわみ 11d (d)荷重による端 B のたわみ 10d
(e)曲げモーメント図
A
1 BX R
B C
P
a b
A
1 1X B
11d
P
AB
C
a b
10d
A
1X
B
F
G
Pa
C
図-4’ 一端固定・他端単純支持ばり
応用力学Ⅱ・講義資料/応力法による不静定骨組構造物の解析 № 10
13
2
313
6 3
3
3
3
11
101 a
aPEI
aEI
Pa
d
dX
∴
13
2 3
3
1 a
aPRX B
さらに不静定力 1X を重ね合せの公式(2)に用いると、各種の力学量が得られる。
支点反力については、 0 1, 1A AR P R であるから、 3 3 3
0 1 1 3 3 33 1 2 3 1
2 2A A A
P a P aR R R X P
a a a
また、点 A での曲げモーメント AM については、 0 1,A AM Pa M であるから、 3 3 2
0 1 1 3 2 23 1 2 3 1
2 2A A A
P a P aM M M X Pa
a a a
さらに、曲げモーメント図は、図-4’(e)に示すように、静定基本系における不静定力 1X による曲げモ
ーメント AFB と集中荷重 P による曲げモーメント AGC の重ね合せとして描かれる。 静定基本系が違う解法①と解法②では、支点反力などが異なっているように見えるが、 ab の関
係を用いて〝単純ばり〟の場合を変形すると、次のように一致する。
22 2 2 2
2 2 2
2 23 2 2 2 2 3
2 3
3 33 2 3
3 3 3
3 23 3
2 2 2
2 22 2 2 2
2 2
2 3 2 3 12 2
A
P a a P aPb b a aR
P a a a Pa a a a a
P P aa a
a a
132
3222
311
2
31
2
21
21
21
3
3
2
2
2
2
2
22
222
a
aPaaPaaaPaaaPa
aaPaaaPabbPaRB
32 3 2 3
3 2 2
3 2 3 2 2 3 2 2 32 2
3 2
2 2
( ) ( )2 2 2
3 3 2 32 2
2 3 12
A
P b b P PM b b a a
P Pa a a a a a a
P a
a a
応用力学Ⅱ・講義資料/応力法による不静定骨組構造物の解析 № 11
【例 2】2 次不静定ばり(両端固定ばり)
図-5(a)に示すように三角形分布荷重を受ける固定ばり AB について、静定基本系として図-5(b)に示す
単純ばりを選ぶ。このとき、不静定力は支点 A および B における支点曲げモーメントであって、
1 2,A BX M X M となっている。(下記の表は、「表-各種はりのたわみとたわみ角」からの抜粋である。)
荷重状態 たわみ曲線 特定点のたわみ角
2 3
2 32
3
3
2 3
6
A
B
x x xM
yEI x x
M
BAB
BAA
MMEI
MMEI
26
26
5
5
3
34
3107360 xxx
EI
qy
37
360A
q
EI
38
360B
q
EI
まず、 1 2,X X が同時に作用するときの端 A,B の回転角は、上記の表上段(表-8.1(a)-7)により与え
られ、それらの符号に注意すると次式のようになる。
BAA MMEI
26
, BAB MMEI
26
∴ 21212111 26
XXEI
XdXd
………(a)1
21222121 26
XXEI
XdXd
………(a)2
式(a)1から 1 21 0X X による端 A,B における図-5(c)に示す方向の回転角 11d および 21d は、
EId
311
,
EId
621
………(b)
A B
q
A B BM
AM
2 2max
3 30 100.0214
300M q q
(a)三角形分布荷重を受ける両端固定ばり (b)静定基本系および不静定力
(c) 1 1X による両端の回転角 11 21,d d
20
2q
(f)曲げモーメント図
A B
q
B A
q
A B
11d 21dB
A22d12d
(d) 2 1X による両端の回転角 21 22,d d
BA
q
10d20d
(e)荷重による両端の回転角 10 20,d d
30
2q
3 10 0.5477
1 AX M 2 BX M
1 1X 2 1X
maxM
図-5 両端固定ばり
応用力学Ⅱ・講義資料/応力法による不静定骨組構造物の解析 № 12
同様に、式(a)2から 2 11 0X X による端 A,B の回転角 12d , 22d は、次のようになる。
EId
612
,
EId
322
………(c)
次に、図-5(e)に示すように、三角形分布荷重による静定基本系の端 A の 1X 方向回転角 10d ,端 B の 2X
方向回転角 20d は、上記の表下段(表-8.1(a)-5)より、
EI
qA 360
7 3 ,
EI
qB 360
8 3 ∴
EI
qd
360
7 3
10
,
EI
qd
360
8 3
20
………(d)
式(b),(c),(d)を変位の適合条件式(5)に代入すれば、不静定力 1X および 2X に関する次の方程式を得る。
EI
qX
EIX
EI 360
7
63
3
21
∴
2
1 2
1 1 7
3 6 360
qX X
………(e)1
EI
qX
EIX
EI 360
8
36
3
21
∴
2
1 2
1 1 8
6 3 360
qX X
………(e)2
連立方程式(e)1, (e)2を解くと、
(e)1×2- (e)2より、3 3 3
1 1
2 1 1 7 4
3 6 2 180 180 60
q q qX X
∴30
2
1
qMX A
(e)1- (e)2×2 より、3 3 3 3
2 2
1 2 1 7 16 9
6 3 2 360 360 360 40
q q q qX X
∴
20
2
2
qMX B
したがって、静定基本系に荷重のみが作用したときの力学量(添字 0 を付した値)と 1 1X あるいは
2 1X が作用したときの力学量(添字 1 あるいは 2 を付した値)を加算すれば、元の両端固定ばりの力
学量を得る。具体的には、一般公式(2)により次のように与えられる。すなわち、反力・断面力について
は、「表-各種静定ばりの反力と断面力」より直接 0 1 2, ,Y Y Y に相当する力学量を読み取ると、
(下記の表は、「表-各種静定ばりの反力と断面力」からの抜粋である。)
荷重状態
Q-図
M-図
支点反力 qRqR BA 3
1,
6
1 B
ABA R
MMR
せん断力
2
2
316
1
x
ABA
MMRQ
曲げモーメント
3
32
6
1
xx
qM x
Mx
MM BA
1
曲げモーメント 最大値
2max 27
3 qM BA MM ≧ : AMM max
BA MM < : BMM max
その発生位置 3
0
x BA MM ≧ : 00 x (支点 A)
A B BM
AM
A B
q
3次曲線
2次曲線
応用力学Ⅱ・講義資料/応力法による不静定骨組構造物の解析 № 13
(ⅰ) 反力
qqq
qqqXRXRRR AAAA 20
3
60
9
60
3210
20
1
30
1
6
22
22110
qqq
qqqXRXRRR BBBB 20
7
60
21
60
3220
20
1
30
1
3
22
22110
(ⅱ) せん断力 2 2 2 2
0 1 1 2 2 2 2
2 2
2 2
11 3 10 30 3 2
6 20 30 60
9 30 3 1060 20
q x q q q xQ Q Q X Q X
q x q x
せん断力が 0 になる点で曲げモーメントは最大になる。すなわち3
0.547710
x のときである。
(ⅲ) 曲げモーメント 2 3 2 2
0 1 1 2 2 3
2 3 2 3
3 3
16 30 20
2 (10 2 3) 10 2 9 1060 60
q x x q x q xM M M X M X
q x x q x x
ここで、点3
0.547710
x のとき、曲げモーメントは最大になり、その値 maxM は、
2222
23
2
max
0214.0300
10303
10
20306
6010
30330920
60
10
30
10
310
10
3092
6010
310
10
392
60
qqqq
qqM
(ⅳ) たわみ:任意点 x におけるたわみ y は、上記の表(「表-各種はりのたわみとたわみ角」からの抜
粋,表-8.1(a)-5,7)の公式を利用し、加算して次式を得る。
0 1 1 2 2
4 3 5 2 2 2 3 2 2 3
3 5 2 3 3
4 3 5 2 3 3 4 2 3 5
3 5 2 3 3 2 3 5
4
7 10 3 2 3360 30 6 20 6
7 10 3 4 6 2 3 3 6 9 3360 360
120
y y y X y X
q x x x q x x x q x x
EI EI EI
q x x x x x x x x q x x x
EI EI
q
EI
2 3
2 32 3
x x x
ここで、最大たわみ maxy とそれが生じる点について考えてみる。
最大たわみは、たわみ角が 0,すなわち 0y の点で生じるから、たわみの式を微分して、
0495120
594120 3
33
4
4
2
23
xxx
EI
qxxx
EI
q
dx
dyy
∴ 045512
xxxx
∴10
1055,1,0
x
応用力学Ⅱ・講義資料/応力法による不静定骨組構造物の解析 № 14
ここで、 10 x
であるから、10
5105
x
となり、 5247.010
5105
x で、たわみは最大
になる。
また、その最大たわみ maxy は、定数項をまとめて max4max
120y
q
EIY
と表すと、次のようになる。
2 3
max max4
120 105 5 105 5 105 53 2
10 10 10
130 10 105 130 10 105 105 5 3 105 15 20
100 100 10 10
13 105 13 105 105 5 3 105 35
10 10 10 10
13 105 13 105 65 105 5 10
10
EIY y
q
5 3 105 35
100 10
13 105 18 105 170 30 105 350
10 100
13 105 180 12 105 13 105 90 6 105
10 100 10 50
1170 78 105 90 105 630 1800 168 105 450 42 105
500 500 125
よって、 4 4 4
max
4 4
4 4 4
450 42 105 75 7 105 75 7 105
120 125 20 125 2500
0.001308537 0.00131
1 1 1
764.2117467 764125(75 7 105)24
q q qy
EI EI EI
q q
EI EI
q q q
EI EI EI
以上をまとめると、点 5247.010
5105
x のとき、最大たわみ
EI
qy
764
4
max
を生じる。
応用力学Ⅱ・講義資料/応力法による不静定骨組構造物の解析 № 15
【たわみに関する別解】
4 階の微分方程式で表されるはりのたわみと荷重強度の関係式 xq
dx
ydEI
4
4
を用いる。
これを逐次積分すると次のようになる。 4
4
2
1
3
1 2
4 2
1 2 3
5 3 2
1 2 3 4
2
6
24 2
120 6 2
d y qEI x
dx
q xEIy C
q xEIy C x C
q x xEIy C C x C
q x x xEIy C C C x C
これに、境界条件 0x で 0 yy を用いると、 043 CC である。
次に、境界条件 x で 0 yy を用いると、
0224 2
2
1
4
CCq
yEI ∴12
22
21
qCC ………①
026120
2
2
3
1
5
CC
qEIy ∴
203
2
21
qCC ………②
②-①より、3060
2
60
53
1220
222
22
2
qqq
qqC
これを①に代入すると、1215
22
1
qqC ∴
qqqqq
C20
3
60
9
60
45
15121
したがって、
23120
231206040120
495120
4951203040
3
24
2910603020
3
6
3102020
3
2
3
3
2
24
2
2
3
3
5
542
23
5
3
33
2
2
4
4322
4
3
3223
2
22
xxxqxxxqx
qx
qxqEIy
xxxqxxxqx
qx
qxqyEI
xxqqx
qxqyEI
xqqxqyEI
最大のたわみは、たわみ角 0y のときに発生するから、
0495120 3
33
xxxqyEI
∴ 045512
xxxx
∴10
1055,1,0
x
ここで、 10 x
であるから、10
5105
x
となり、 5247.010
5105
x で、たわみは最大
になる。
応用力学Ⅱ・講義資料/応力法による不静定骨組構造物の解析 № 16
また、その最大たわみ maxy は、定数項をまとめて max4max
120y
q
EIY
と表すと、次のようになる。
2 3
max max4
120 105 5 105 5 105 53 2
10 10 10
130 10 105 130 10 105 105 5 3 105 15 20
100 100 10 10
13 105 13 105 105 5 3 105 35
10 10 10 10
13 105 13 105 65 105 5 10
10
EIY y
q
5 3 105 35
100 10
13 105 18 105 170 30 105 350
10 100
13 105 180 12 105 13 105 90 6 105
10 100 10 50
1170 78 105 90 105 630 1800 168 105 450 42 105
500 500 125
よって、 4 4 4
max
4 4
4 4 4
450 42 105 75 7 105 75 7 105
120 125 20 125 2500
0.001308537 0.00131
1 1 1
764.2117467 764125(75 7 105)24
q q qy
EI EI EI
q q
EI EI
q q q
EI EI EI
以上をまとめると、点 5247.010
5105
x のとき、最大たわみ
EI
qy
764
4
max
を生じる。
応用力学Ⅱ・講義資料/応力法による不静定骨組構造物の解析 № 17
●単位荷重法 トラス・ラーメン・アーチ・格子桁・斜張橋のような、複雑な不静定構造物を応力法で解析しようと
する場合には、〝静定ばりの変形の公式〟を利用することは不可能である。それで、これらすべての構
造形式に共通な解析手法として〝単位荷重法〟を応用することができる。すなわち、不静定力 Xi に関す
る弾性方程式(5)の係数 dij および荷重項 di0 は、共に静定基本系の特定点 i における一般変位であるから、
その値を〝単位荷重法〟によって統一的に算定することができる。 ここでは、例題を中心として〝単位荷重法〟の応用方法を示す。なお、例題としては、〝変形公式を
利用する方法〟で挙げたものと 2 次不静定トラスを取り上げる。 【例1】1 次不静定ばり(一端固定・他端単純支持ばり) 【解法①】(たわみ角の公式を利用する場合に対応して)
図-6 一端固定・他端単純支持ばり
図-6(a)に示す 1 次不静定ばりに集中荷重 P が作用する場合について、図-6(b)に示すように、単純ば
り AB を静定基本系に選び、支点 A の固定端モーメント X1 を不静定力にとる。 そこで、静定基本系すなわち単純ばり AB の所定の位置 C に集中荷重 P を図-6(c)に示すように作用
させたとき(これを基本系または第 0 系と呼ぶ)の端 A のたわみ角が d10 であり、そのときの曲げモー
メント M0 は、図-6(e)に示すようになる。 一方、図-6(d)に示すように、静定基本系に単位不静定力 X1=1 を作用させる(これを第 1 系と呼ぶ)
と、そのときの端 A におけるはりのたわみ角が d11 であり、そのときの曲げモーメント M1 は、図-6(f)に示すようになる。 ここで、変位の適合条件を考えると、元の 1 次不静定ばりでは固定端 A のたわみ角が 0 となるはずで
あるから、 010111 dXd と表される。
したがって、d11 と荷重項 d10 が求められれば、不静定力 X1 を求めることができる。 そこで、せん断力の影響を無視して〝単位荷重法〟を利用すれば、d11 と荷重項 d10 は、曲げモーメン
ト M0 と M1 を用いて次のように計算できる。
EIEI
x
EIdx
x
EIdx
EI
Md
33
11
3
11
1
0
3
0
2
0
21
11
(a)集中荷重を受ける 1 次不静定ばり
A BC
P
a b
(b)静定基本系および不静定力
A1 AX M
B C
P
a b
A1 1X
B 11d
(d)X1=1 による端 A の回転角 d11
A BC
Pa b
10d
(c)荷重による端 A の回転角 d10
基本系(第 0 系) 第 1 系
(e) 曲げモーメント M0 図
(f) 曲げモーメント M1 図 Pab
0
PbM x
0
PaM x
1 1
xM
1
応用力学Ⅱ・講義資料/応力法による不静定骨組構造物の解析 № 18
1 010
0 0
2 32 3
20 0
11 1 ( )
1 11 1 1
2 3 3
1
2
a
a
aa
a a
M M x Pb x Pad dx x dx x dx
EI EI
Pb x x Pa x Pb x x Pa xdx dx
EI EI EI EI
Pb a
EI
32 3 2 3
2 3
2 32 2
2 2
2 22
2 2 2 22
1 ( )1 3 2
3 3 6 3
3 2 3 2 26 3 6
( ) 3 ( ) 2( ) 2
6( )
3 3 2 4 2 26
a Pa a Pa b a Pa a
EI EI EI
Pa b a Pab Paba a b
EI EI EI
P b bb b b
EIP b b P
b b b bEI
2
2
3 2 32 2
2 3
( )
6
( )( ) ( )
6 6 6 6
b bb
EI
P b b P b P b P b bb b b
EI EI EI EI
これらを、変位の適合条件に代入すると、次のようになり、〝変形公式を利用する方法〟と同じ答え
を得ることができる。
3
33
32
11
101 2
3
6
bbP
EI
bb
EI
P
d
dX
【解法②】(たわみの公式を利用する場合に対応して)
図-6’ 一端固定・他端単純支持ばり
図-6’(a)に示す 1 次不静定ばりに集中荷重 P が作用する場合について、図-6’(b)に示すように、片持ば
り AB を静定基本系に選び、支点 B の支点反力 X1=-RB を不静定力にとる。
(a)集中荷重を受ける 1 次不静定ばり
A BC
P
a b
(b)静定基本系および不静定力
A
1 BX R
B C
P
a b
(d)X1=1 による端 B のたわみ d11 (c)荷重による端 B のたわみ d10
Pa
0M P x a 0 0M
A
1 1X B
11d
P
A B
C
a b
10d
与系(第 0 系) 第 1 系
(e) 曲げモーメント M0 図 (f) 曲げモーメント M1 図
1M x
応用力学Ⅱ・講義資料/応力法による不静定骨組構造物の解析 № 19
そこで、静定基本系すなわち片持ばり AB の所定の位置 C に集中荷重 P を図-6’(c)に示すように作用
させたとき(これを基本系または第 0 系と呼ぶ)の端 B のたわみが d10 であり、そのときの曲げモーメ
ント M0 は、図-6’(e)に示すようになる。 一方、図-6’(d)に示すように、静定基本系に単位不静定力 X1=1 を作用させる(これを第 1系と呼ぶ)
と、そのときの端 B におけるはりのたわみが d11 であり、そのときの曲げモーメント M1 は、図-6’(f)に示すようになる。 ここで、変位の適合条件を考えると、元の 1 次不静定ばりでは支点 B のたわみが 0 となるはずである
から、 010111 dXd と表される。
したがって、d11 と荷重項 d10 が求められれば、不静定力 X1 を求めることができる。 そこで、せん断力の影響を無視して〝単位荷重法〟を利用すれば、d11 と荷重項 d10 は、曲げモーメン
ト M0 と M1 を用いて次のように計算できる。
EIEI
x
EIdxx
EIdx
EI
Md
33
1
3
)(1)(
1 33
0
3
0
2
0
21
11
136
36
633262323
)()()(1
332
2323223
0
23
0
2
00
0110
aEI
Paaa
EI
P
aaaaEI
Paa
aa
EI
Paxx
ax
EI
P
dxaxaxEI
PdxaxPx
EIdx
EI
MMd
a
aa
これらを、変位の適合条件に代入すると、次のようになり、〝変形公式を利用する方法〟と同じ答え
を得ることができる。
132
3
136
3
3
3
3
11
101 a
aP
EI
aEI
Pa
d
dX
応用力学Ⅱ・講義資料/応力法による不静定骨組構造物の解析 № 20
【例 2】2 次不静定ばり(両端固定ばり)
図-7 両端固定ばり
図-7(a)に示すように三角形分布荷重を受ける両端固定ばり AB について、静定基本系として図-7(b)に示す単純ばりを選ぶ。このとき、不静定力は支点 A および B における固定モーメントであって、 X1= MA,X2= MB となっている。 そこで、静定基本系すなわち単純ばり AB に三角形分布荷重を図-7(c)に示すように作用させたとき(こ
れを基本系または第 0 系と呼ぶ)の端 A,B の回転角(たわみ角)が d10 ,d20 であり、そのときの曲
げモーメント M0 は、図-7(f)に示すようになる。 一方、図-7(d)に示すように、静定基本系に単位不静定力 X1=1 を作用させる(これを第 1 系と呼ぶ)
と、そのときの端 A,B の回転角(たわみ角)が d11 ,d21 であり、そのときの曲げモーメント M1 は、
図-7(g)に示すようになる。 また、図-7(e)に示すように、静定基本系に単位不静定力 X2=1 を作用させる(これを第 2系と呼ぶ)
と、そのときの端 A,B の回転角(たわみ角)が d12 ,d22 であり、そのときの曲げモーメント M2 は、
図-7(h)に示すようになる。 ここで、変位の適合条件を考えると、元の 2 次不静定ばり(両端固定ばり)では固定端 A,B の回転
角(たわみ角)が 0 となるはずであるから、 010212111 dXdXd かつ 020222121 dXdXd と表
される。 したがって、d11,d21 と d12 ,d22 および荷重項 d10 ,d20 が求められれば、連立方程式から不静定力
X1 ,X2 を求めることができる。 そこで、せん断力の影響を無視して〝単位荷重法〟を利用すれば、d11,d21 と d12 ,d22 および荷重項
d10 ,d20 は、曲げモーメント M0 ,M1,M2 を用いて次のように計算できる。
EIEI
x
EIdx
x
EIdx
EI
Md
33
11
3
11
1
0
3
0
2
0
21
11
EIEI
xx
EIdx
xx
EIdx
EI
MMd
632
1
32
11
1
0
2
32
00
1221
(a)三角形分布荷重を受ける両端固定ばり
A B
q
(b)静定基本系および不静定力
B A
1 AX M q
2 BX M
(d)X1=1 による 両端の回転角 d11, d21
A
1 1X B
11d 21dB
A2 1X
22d12d
(e)X2=1 による 両端の回転角 d12, d22
B A
q
10d20d
(c)荷重による 両端の回転角 d10, d20
2
27
3 q
基本系(第 0 系) 第 1 系
(f) 曲げモーメント M0 図 (g) 曲げモーメント M1 図
第 2 系
(h) 曲げモーメント M2 図
2 3
0 36
q x xM
11 1
xM
1
2
xM
3
応用力学Ⅱ・講義資料/応力法による不静定骨組構造物の解析 № 21
EIEI
xx
EIdx
xx
EIdx
EI
MMd
632
1
32
11
1
0
2
32
00
2112
EIEI
x
EIdx
x
EIdx
EI
Md
33
1
3
112
3
0
2
3
0
2
0
22
22
EI
q
EI
q
EI
q
EI
q
xxxx
EI
qdx
xxxx
EI
q
dxxxx
EI
qdx
xxqx
EIdx
EI
MMd
360
7
660
7
60
12201530
65
1
3
1
4
1
2
1
6
534266
166
11
3333
0
4
5
2
3
3
422
0
4
4
2
2
3
32
0
3
32
0
3
32
0
0110
2 3 2 32 0
20 3 30 0 0
2 2 4 2 3 5
2 4 2 4
0 0
3 3 3
1
6 6
6 6 3 5
1 1 5 3 2
6 3 5 6 15 15 6
M M x q x x q x x xd dx dx dx
EI EI EI
q x x q x xdx
EI EI
q q q q
EI EI EI
3 38
45 360
q
EI EI
これらを、変位の適合条件に代入すると、次のような連立方程式になり、これを解くと〝変形公式を
利用する方法〟と同じ答えを得ることができる。
0360
7
63
3
21 EI
qX
EIX
EI
∴ 0760120 2
21 qXX ………①
0360
8
36
3
21 EI
qX
EIX
EI
∴ 0812060 2
21 qXX ………②
①×2-②より、 0)814(180 21 qX ∴ AMqqX 22
1 30
1
180
6
①-②×2 より、 0)167(180 22 qX ∴ BMqqX 22
2 20
1
180
9
応用力学Ⅱ・講義資料/応力法による不静定骨組構造物の解析 № 22
【例3】2 次不静定トラス
図-8 2 次不静定トラス
図-8(a)に示す全体的 2 次不静定トラスの支点反力 HA,VA,HD,VD と部材力 Sj (j=1~9),X1 を〝単
位荷重法〟を用いて求める。 2 つの不静定力 X1 ,X2 としては、図-8(b)に示すように、それぞれ斜材 BF の部材力および支点 D の
水平反力を選ぶ。したがって、静定基本系は図-8(b)に示される単純トラスである。 そこで、静定基本系に与えられた荷重 PB=10kN, PC=20kN が図-8(c)に示すように作用するとき(こ
れを基本系または第 0系と呼ぶ)の支点反力を HA0,VA0,HD0,VD0 、部材力を Sj0 (j=1~9)とする。 一方、図-8(d)に示すように、静定基本系に単位不静定力(斜材 BF の部材力)X1=1 が作用するとき
(これを第 1 系と呼ぶ)の支点反力を HA1,VA1,HD1,VD1 、部材力を Sj1 (j=1~9)とする。 また、図-8(e)に示すように、静定基本系に単位不静定力(支点 D の水平反力)X2=1 が作用するとき
(これを第 2 系と呼ぶ)の支点反力を HA2,VA2,HD2,VD2 、部材力を Sj2 (j=1~9)とする。 以上のように設定した第 0 系~第 2 系の支点反力と部材力を以下に示すようにして求める。
5S
1S
2S
9S
3S
6S
7S
4S
8S1X
m4 m4m4
m3
A DC B
E F
AV
AH
DV
DH
10BP kN 20CP kN
EA=一定
(a)2 次不静定トラスの部材力と反力
1XA
DC B
E F
2X
(b)静定基本系と不静定力
50S
10S
20S
90S30S
60S70S
40S
80S
0AV0DV10BP kN 20CP kN
(c)静定基本系の反力と部材力 0 ( 1 ~ 9)jS j
0AH 0DH
基本系(第 0 系)
1 1X
51S
11S
21S
91S31S
61S
71S
41S
81S
1AV 1DV
(d)X1=1 による反力と部材力 1 1 ~ 9jS j
第 1 系
1AH 1DH
52S
12S
22S
92S32S
62S72S
42S
82S
2AV 2DV
(e)X2=1 による反力と部材力 2 1 ~ 9jS j
2 1X 2AH
第 2 系
応用力学Ⅱ・講義資料/応力法による不静定骨組構造物の解析 № 23
基本系について、支点反力と部材力を求める。 まず、支点反力は次のように求められる。
水平方向の力の釣合から、 000 DA HH *
*支点 D は移動支点だから、水平方向の反力
は存在しないので、 00 DH となるから
鉛直方向の力の釣合から、 3000 DA VV
D 点回りのモーメントの釣合から、
0 12 8 4
10 8 20 4 160A B CV m P m P m
kN m
∴ 0
160 40
12 3AV kN , 0 0
5030
3D AV V kN
次に、〝節点法〟により、部材力は次のように求められる。 1)A 点について
2)D 点について
3)B 点について
4)C 点について
5)F 点について
以上をまとめると、図(c)のようになる。
95050 S
916010 S
920020 S
1030 S
916060 S
35070 S
920040 S
925080 S
3400 AV 3500 DV10BP kN 20CP kN
(c)静定基本系の反力と部材力 0 ( 1 ~ 9)jS j
00 AH 00 DH
基本系(第 0 系)
920090 S
70S
40S
80S
第
70S50S
90S60SC
20CP kN
10S30S
60SB
10BP kN
90S
80S
D 0DV
0DH
10S
20S
A 0AV
0AH (鉛直) 05
3200 SVA
∴20 0
5 5 40 200
3 3 3 9AS V kN
(水平)20100 5
4SSH A ∴
10 0 20
4 4 200 1600
5 5 9 9AS H S kN
(鉛直) 05
3800 SVD
∴80 0
5 5 50 250
3 3 3 9DS V kN
(水平)80900 5
4SSH D ∴
90 0 80
4 4 250 2000
5 5 9 9DS H S kN
(鉛直) 30 10BS P kN
(水平)60 10
160
9S S kN
(水平)905060 5
4SSS ∴
50 90 60
5 5 200 160 5 40 50( )
4 4 9 9 4 9 9S S S kN
(鉛直)CPSS 5070 5
3 ∴70 50
3 3 50 10 5020 20
5 5 9 3 3CS P S kN
(水平)40 80
4 4 250 200
5 5 9 9S S kN
(鉛直) 03
50
3
50
9
250
5
3
3
50
5
38070
SS 【check O.K.】
50S
10S
20S
90S30S
60S70S
40S
80S
0AV0DV10BP kN 20CP kN
(c)静定基本系の反力と部材力 0 ( 1 ~ 9)jS j
0AH 0DH
基本系(第 0 系)
応用力学Ⅱ・講義資料/応力法による不静定骨組構造物の解析 № 24
第 1 系について、支点反力と部材力を求める。 まず、支点反力は次のように求められる。
水平方向の力の釣合から、
5
4
5
411 DA HH ∴ 011 DA HH *
*支点 D は移動支点だから、水平方向の反力は
存在しないので、 00 DH となるから
鉛直方向の力の釣合から、
5
3
5
311 DA VV ∴ 011 DA VV ∴ 11 AD VV
B 点回りのモーメントの釣合から、 mVmVmV ADA 884 111 ∴ 0121 mVA ∴ 011 DA VV
次に、部材力は次のように求められる。 1)A 点について
2)D 点について
3)B 点について
4)C 点について
5)F 点について
以上をまとめると、図(d)のようになる。
1 1X
151 S
011 S
021 S
091 S
5331 S
5461 S
5371 S
5441 S
081 S
01 AV 01 DV
(d)X1=1 による反力と部材力 1( 1 ~ 9)jS j
第 1 系
01 AH 01 DH
71S
41S
81S
F
1 1X
51S
91S61S
71S
11S
31S
61SB
1 1X
91S
81S
D 1DV
1DH
11S
21S
A 1AV
1AH (鉛直) 05
3211 SVA
∴ 03
5121 AVS
(水平)21111 5
4SSH A ∴ 0
5
421111 SHS A
(鉛直) 05
3811 SVD
∴ 03
5181 DVS
(水平)81911 5
4SSH D ∴ 000
5
481191 SHS D
(鉛直) 05
3131 XS ∴
5
3
5
3131 XS
(水平)11161 5
4SXS ∴
5
4
5
40
5
411161 XSS
(水平)915161 5
4SSS ∴ 1
5
40
4
5)(
4
5619151
SSS
(鉛直) 05
35171 SS ∴
5
3
5
35171 SS
(水平)81141 5
4
5
4SXS ∴
5
4)10(
5
4)(
5
4
5
4181141 XSXS
(鉛直) 0)01(5
3
5
3
5
3
5
381171 SXS 【check O.K.】
1 1X
51S
11S
21S
91S31S
61S
71S
41S
81S
1AV 1DV
(d)X1=1 による反力と部材力 1 1 ~ 9jS j
第 1 系
1AH 1DH
応用力学Ⅱ・講義資料/応力法による不静定骨組構造物の解析 № 25
第 2 系について、支点反力と部材力を求める。 まず、支点反力は次のように求められる。
水平方向の力の釣合から、 122 XH A
鉛直方向の力の釣合から、 022 DA VV D 点回りのモーメントの釣合から、
0122 mVA ∴ 02 AV , 02 DV 次に、〝節点法〟により、部材力は次のように
求められる。 1)A 点について
2)D 点について
3)B 点について
4)C 点について
5)F 点について
以上をまとめると、図(e)のようになる。
12S
32S
62S
052 S
112 S
022 S
192 S
032 S
162 S
072 S
042 S
082 S
02 AV 02 DV
(e)X2=1 による反力と部材力 2 ( 1 ~ 9)jS j
2 1X 12 AH
第 2 系
72S
42S
82S
F
52S
92S62S
72S
C
12S
22S
A 2AV
2AH
12S
22S
A 2AV
2AH (鉛直) 05
3222 SVA
∴ 03
5222 AVS
(水平)22122 5
4SSH A ∴ 101
5
422212 SHS A
(鉛直) 05
3822 SVD
∴ 03
5282 DVS
(水平)82922 5
4SSX ∴ 101
5
482292 SXS
(鉛直) 032 S
(水平) 11262 SS
(水平)925262 5
4SSS ∴ 011
4
5)(
4
5629252 SSS
(鉛直) 05
35272 SS ∴ 0
5
35272 SS
(水平) 05
48242 SS
(鉛直) 0005
38272 SS 【check O.K.】
52S
12S
22S
92S32S
62S72S
42S
82S
2AV 2DV
(e)X2=1 による反力と部材力 2 1 ~ 9jS j
2 1X 2AH
第 2 系
応用力学Ⅱ・講義資料/応力法による不静定骨組構造物の解析 № 26
以上で得られた第 0 系~第 2 系の部材力を「表」にすると、以下にようになる。 なお、下表に示すρは、部材長を引張剛性 EA で除したものを表す。
部 材
0jS 1jS 2jS 0 1jjS S 0 2jjS S 1 2jjS S 2
1jS 22jS 0 1 2 21jj jjSS X XS S
EA
1
9
1
5
1 ×1
EA45
1
EA9
1
EA5
1
EA25
1
EA
1 0jS 1 1jS X 2 2jS X 部材力
1S 4 160 0 1 0 640 0 0 4 9
1600
154
3105 3305
2.38461386
kN
2S 5 -200 0 0 0 0 0 0 0 9
200 0 0
20022.2222
9kN
3S 3 90 -3 0 -810 0 0 27 0 101848
3755
5544
18775
5
3 0
2223512.0319
1848kN
4S 4 -200 -4 0 3200 0 0 64 0 9
200
1386
3755
5544
18775
5
4 0
300519.5130
154kN
5S 5 50 5 0 1250 0 0 125 0 9
50
5544
18775 0
120252.1690
5544kN
6S 4 160 -4 1 -2560 640 -16 64 4 9
160
1386
3755
5544
18775
5
4
154
3105 25
0.324777
kN
7S 3 150 -3 0 -1350 0 0 27 0 3
50
1848
3755
5544
18775
5
3 0
3455518.6986
1848kN
8S 5 -250 0 0 0 0 0 0 0 9
250 0 0
25027.7778
9kN
9S 4 200 0 1 0 800 0 0 4 9
2000
154
3105 2855
2.05991386
kN
1X 5 0 5 0 0 0 0 125 0 0 5544
18775 0
187753.3865
5544kN
-270 2080 -16 432 12 上の表を集計すると、以下のようになる。
EAEA
Sd
jj
j
25
43221
11 ,EAEA
SSd
jj
jj
5
162112
,
EAEAEA
SSd
jj
jj 6
45
2700110
EAd
EA
SSd
jj
jj
5
1612
1221
,
EAEA
Sd
jj
j 1222
22 ,EAEA
SSd
jj
jj
9
20800220
ここで、変位の適合条件を考えると、元の 2 次不静定トラスにおいて、次の 2 条件で表される。 ① 部材 BF の相対変位の連続条件から、 010212111 dXdXd
② 支点 D の水平方向変位は拘束されて 0 となるはずであるから、 020222121 dXdXd
これに、上記の d11,d12 ,d10 ,d21 ,d22 ,d20 を代入すると、次の連立方程式が得られる。
045
270
5
16
25
43221
EAX
EAX
EA ∴ 15080432 21 XX ∴ 7540216 21 XX ………①
09
208012
5
1621
EA
XEA
XEA
∴ 10400540144 21 XX ∴ 260013536 21 XX ………②
これを解くと、 ①×27+②×8 より、
∴ 187755544 1 X ∴1
187753.386544012 3.3865
5544X kN
①+②×6 より、
202510805832 21 XX
+) 208001080288 21 XX ―――――――――――――――――― 208002025)2885832( 1 X
7540216 21 XX
+) 15600810216 21 XX ―――――――――――――――――― 1560075)40810( 2 X
応用力学Ⅱ・講義資料/応力法による不静定骨組構造物の解析 № 27
∴ 15525770 2 X ∴2
15525 310520.16233766 20.1623
770 154X kN
これらを用いて、支点反力を求めると、次のようになる。
0 1 1 2 2 2
31050 0 1 20.1623
154A A A AH H H X H X X kN
0 1 1 2 2
40 400 0 13.3333
3 3A A A AV V V X V X kN
0 1 1 2 2 2
31050 0 1 20.1623
154D D D DH H H X H X X kN
0 1 1 2 2
50 500 0 16.6667
3 3D D D DV V V X V X kN
さらに、各部材力は、上記の「表」の右側部分に示すようになる。
応用力学Ⅱ・講義資料/応力法による不静定骨組構造物の解析 № 28
●3連モーメントの定理
別頁(図-9)に示すように連続ばりに各種の荷重が作用して、曲げモーメントが起り、支点が不等沈
下しているものとする。このとき、連続ばりの隣接する 3 つの支点を n-1,n,n+1 とし、支点 n の左,
右の支間をそれぞれ支間 n,支間 n+1 と表すものとする。また、それぞれの支間 n,支間 n+1 において
は、支間長が n , 1n 、曲げ剛性が nEI , 1nEI であるとし、さらに、3 つの支点 n-1,n,n+1 の支点
沈下量をそれぞれ 1 n , n , 1 n とする。3連モーメントの定理では支点曲げモーメントを未知量に
とり、支間 n,n+1 を切出した単純ばりを部分系と考え、それぞれのはりに正の曲げ変位が起るように、
支点曲げモーメント 1nM , nM , 1nM を仮定する。
支点 n の左右に起るたわみ角Ln ,
Rn は、作用荷重(中間荷重)、支点曲げモーメント 1nM , nM ,
1nM によるたわみ角と部材回転角の和に等しいから、〝たわみに関するモールの定理〟(弾性荷重法)
を用いて、次の力と変位の関係式が得られる。
n
nn
n
n
n
nnn
n
n
n
nn
nnn
n
n
nnn
n
n
n
n
n
n
n
nn
n
nn
n
nn
n
nn
Ln
Ln
Ln
Ln
Ln
a
EI
PMM
EI
EI
M
EI
Ma
EI
P
aPaPaP
1,0,01
11,0,0
1,2,2,1,1,0,0
,3,2,1,0
~2
6
1
3
1
2
11
3
2
2
1~
1
1
1
1,0
1
1,01
1
1
1
1
111
1
1
111
11
1,0
1
1,0
1
1
1
1,21,2
1
1,11,1
1
1,01,0
,2,2,1,0
~2
6
1
3
1
2
11
3
2
2
1~
n
nn
n
n
n
nnn
n
n
n
nn
nnn
n
n
nnn
n
n
n
n
n
n
n
nn
n
nn
n
nn
n
nn
Rn
Rn
Rn
Rn
Rn
b
EI
PMM
EI
EI
M
EI
Mb
EI
P
bPbPbP
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ここで、図中に用いた変数 P,a,b と jiP , , nia , , 1, nib ,
Lji, ,
Rji, の添字 i,j について説明しておく。
まず、添字 i は、i=0,1,2,3 の数値をとり、それぞれは支間 n,n+1 を切出した単純ばりに対して、 i=0:実際の荷重が作用する場合 i=1:支点 n に支点曲げモーメント nM が作用する場合
i=2:支間 n に対しては支点 n-1 に支点曲げモーメント 1nM が、
支間 n+1 に対しては支点 n+1 に支点曲げモーメント 1nM が作用する場合
i=3:支点沈下による部材回転角を示す場合 を意味している。 次に、添字 j は、j= n,n+1 であり、それぞれは支間 n と支間 n+1 の単純ばりを意味している。 また、塗りつぶし部分は、支間 n と支間 n+1 の単純ばりにおける載荷荷重による曲げモーメントを
曲げ剛性で除した〝弾性荷重〟を意味しており、変数 P は、上記の添字 i=0,1,2 に対応した支間 n,n+1での〝弾性荷重〟の総和を、変数 a,b は、その〝弾性荷重〟の重心位置を表している。 なお、添字 i=1,2 の場合には、〝弾性荷重〟の総和および重心位置を簡単に求めることができるが、
添字 i=0 の場合は、実際の荷重状態によって様々であるので、〝弾性荷重〟によるものであることを明
記するため、曲げ剛性で除したn
nn EI
PP ,0
,0
~ ,
1
1,01,0
~
n
nn EI
PP の形で表した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
応用力学Ⅱ・講義資料/応力法による不静定骨組構造物の解析 № 29
たわみ角Ln ,
Rn は、変位の適合条件
L Rn n を満足しなければならないから、
1
1
1
1,0
1
1,01
1
11,0,01
~2
6
~2
6
n
nn
n
n
n
nnn
n
n
n
nn
n
n
n
nnn
n
nb
EI
PMM
EI
a
EI
PMM
EI
1
11
1
1,0
1
1,0,0,01
1
11
~~2
62
6 n
nn
n
nn
n
n
n
n
n
n
n
nnn
n
nnn
n
nb
EI
Pa
EI
PMM
EIMM
EI
∴ 11
1,0
1
1,0,0,01
1
1
1
11 662
nn
n
n
n
n
n
n
n
nn
n
nn
n
n
n
nn
n
n RREb
I
Aa
I
AM
IM
IIM
I
∴ 1 1 0 01 1 1
1 1 1
2 6 6n n n nn n n n n
n n n n n n
A BM M M E R R
I I I I I I
ここに、n
nnnR
1
,1
11
n
nnnR
:部材回転角
n
nn
aPA
,0
,00
~ ,1
1,01,00
~
n
nn
bPB
:荷重項(別頁の表-13.1 を参照)
この上式が3連モーメントの定理(three moments theorem, theorem of three moments)である。
なお、〝たわみに関するモールの定理〟によって節点におけるたわみ角を求める際には、力(モーメント)
の平衡条件を用いているので、3連モーメントの定理の中で構造解析3条件は満たされている。 また、 III nn 1 であるときは、上式は次のように表される。
1 1 1 1 0 0 12 6 6n n n n n n n n nM M M A B EI R R
さらに、 1nn であるときは、上式は次のように表される。
1 1 0 0 1
64 6n n n n nM M M A B EI R R
応用力学Ⅱ・講義資料/応力法による不静定骨組構造物の解析 № 30
図-9 〝3連モーメントの定理〟の誘導
nEI n1n
0,L
n
nP ,00,L
nna ,0
1,Ln
nM
na ,1nP ,1
1,Ln
1nM 2,L
n
nP ,2
n
n
EI
M
n
n
EI
M 1
2,L
nna ,2
nn
nn EI
MP
2
1,1
nna 3
2,1
nna 3
1,2
nn
nn EI
MP 1
,2 2
1
13,L n n
nn
n
nn EI
PP ,0
,0
~
1nEIn 1n
0,R
n
1,0 nb1,0 nP
1,Rn
nM
1n
n
EI
M
1,Rn
1,1 nb1,1 nP
1nM 2,R
n
1,2 nb1,2 nP
2,R
n
1
1
n
n
EI
M
13,
1
R n nn
n
11,1 3
2 nnb
11
1,1 2
1
n
n
nn EI
MP
11,2 3
1 nnb
11
11,2 2
1
n
n
nn EI
MP
0,R
n 1
1,01,0
~
n
nn EI
PP
支間 n 支間 n+1
n 1n
nEI 1nEI1n
n1n
Ln
Rn
n1n 1n
x
y
変形前
変形後
支間 1n 支間 n
応用力学Ⅱ・講義資料/応力法による不静定骨組構造物の解析 № 31
表-13.1 〝3連モーメントの定理〟における荷重項
荷 重 状 態 0A (左側) 0B (右側)
2
16
1 P 2
16
1 P
2 3
36 6
Pab bP b b
2 3
36 6
Pab aP a a
2 22
2
31 3
6 6
M bbM
2 22
2
31 3
6 6
M aaM
3
24
1 q 3
24
1 q
2
2
23
224
aaq
2
2
2
23
224 aaq
3
360
7 q 3
45
1 q
3
8 7360A Bq q
3
7 8360A Bq q
3
192
5 q 3
192
5 q
2
23
371360 bbq
2
23
371360 aaq
2
2
2
23
124540360 aaaq
2
2
2
23
3590 aaq
2
2
2
23
31520360 aaaq
2
2
2
23
310360 aaq
※小松定夫:〝構造解析学Ⅱ〟(第3版),pp.188(表 13-1)に準拠,丸善,1989
q
a b
q
a b
q
a b
q
2
2
Bq
Aq
q
q
a b
q
M
a b
P
a b
P
2
2
0A 0B
応用力学Ⅱ・講義資料/応力法による不静定骨組構造物の解析 № 32
【例題1】右図に示した等断面 3 径間連続ばりの支点
反力 0R , 1R , 2R , 3R を求めよ。ただし、支点沈下はな
く、曲げ剛性 EI は全断面で一定とする。 【解答】 4つの支点 0,1,2,3 の支点曲げモーメント 0M , 1M ,
2M , 3M を不静定力として、〝3連モーメントの定理〟を適用すれば、次のようになる。(注 1)
支点 0,1,2 間では、 23210 4
1
24
1
6
64
qMqMMMM
支点 1,2,3 間では、
PqPqMMM8
3
4
1
16
1
24
164 223
321
ここで、支点 0,3 は単純支持であるから、 030 MM であり、これを上記の式に代入すると、次の
ような 1M , 2M に関する連立 1 次方程式が得られる。
②
①
PqMM
qMMM
32328
44162
21
221
①×8-②より、 PqMM 3632120 21
∴120
3632 2
1
PqMM
①-②×2 より、 PqMM 63460 22
∴60
634 2
2
PqMM
次に、右図のように考えて、支点反力 0R ~ 3R を求める。
支点 0,1 間の単純ばりについて、 力の釣合条件から、 010 LRR
支点 1 回りモーメントの釣合から、 10 MMR
PqM
PqMMPqMMMM
R40
1
20
1
15
19
40
1
20
1
15
4
120
3632 21
0
また、 PqM
RR L
40
1
20
1
15
1901
∴ PqM
R40
1
20
1
15
190
, Pq
MR L
40
1
20
1
15
191
支点 1,2 間の単純ばりについて、
力の釣合条件から、 qRR LR 21 , 支点 2 周りのモーメントの釣合から、2211
qMMR R
PqM
qPM
qPqMPqM
qMM
R R
8
1
2
1
3
1
2
1
120
15401
2
1
120
3632
60
6341
2
1 2212
1
∴ Pq
MR R
8
1
2
1
3
11
また、 PqM
PqM
qRqR RL
8
1
2
1
3
1
8
1
2
1
3
112
∴ Pq
MR L
8
1
2
1
3
12
支点 2,3 間の単純ばりについて、
力の釣合条件から、 PRR R 32 , 支点 2 周りのモーメントの釣合から、23 2
MPR
PqM
PPqMPqM
PM
PR5
2
20
1
15
1
10
1
2
1
20
1
15
1
60
634
2
1
2
1 22
3
また、 PqM
PqM
PRPR R
5
3
20
1
15
1
5
2
20
1
15
132
M
q
P
2
210 2 3
1R 2R 3R0R
Mq
P
10 2 3
M
10
1M
0R 1LR
q
21
P2 3
1M
2M
2M
1RR
2RR
2LR
0R 1R 2R 3R
3R
11 1L RRR R 22 2
L RRR R
応用力学Ⅱ・講義資料/応力法による不静定骨組構造物の解析 № 33
∴ PqM
R5
2
20
1
15
13
, Pq
MRR
5
3
20
1
15
12
したがって、支点 1,2 の支点反力 1R , 2R は、次のようになる。
PqM
PqM
PqM
PqM
RRR RL
20
3
20
11
5
8
40
6
20
11
15
24
8
1
2
1
3
1
40
1
20
1
15
19111
∴ Pq
MR
20
3
20
11
5
81
PqM
PqM
PqM
PqM
RRR RL
40
29
20
11
5
2
40
29
20
11
15
6
5
3
20
1
15
1
8
1
2
1
3
1222
∴ Pq
MR
40
29
20
11
5
22
以上まとめると、支点反力 0R , 1R , 2R , 3R は以下のようになる。
PqM
R40
1
20
1
15
190
, Pq
MR
20
3
20
11
5
81
PqM
R40
29
20
11
5
22
, Pq
MR
5
2
20
1
15
13
【例題2】右図(Ⅰ)に示した一端固定・他端単純支持ばりの支
点反力 0R , 1R , 1M を求めよ。ただし、支点沈下はなく、曲げ剛
性 1EI は全断面で一定とする。 【解答】 固定端1は曲げ剛性が無限大である仮想のはり(長さ 2 ,
曲げ剛性 2EI , 2I )に置き換え、与えられた構造(Ⅰ)を右図(Ⅱ)のように〝2 径間連続ばり〟と考える。この連続ばり
の 3 つの支点 0,1,2 の支点曲げモーメント 0M , 1M , 2M を不静
定力として、〝3連モーメントの定理〟を適用すれば、次のよ
うになる。
11
131
3
1
21
1
22
21
2
2
1
10
1
1
6
6
2
I
aPabaaP
I
MI
MII
MI
ここで、 020 MM , 2I であるから、
11
11
1
12
I
aPabM
I
∴
21
221
21
11 22
aPaaPab
M
したがって、支点反力 0R , 1R は次のようにして求められる。
力の釣合条件から、 PRR 10
支点 1 周りのモーメントの釣合から、 PbMR 110
Paa
aaaPaPaPaPbM
R31
321
31
121
2213
11
131
221
11
10 2
322
22
∴
Paa
Paa
Paa
PRPR31
221
31
321
31
321
31
01 2
3
2
3
2
32
以上まとめると、支点反力 0R , 1R , 1M は以下のようになる。
Paa
R31
321
31
0 2
32
,
Paa
R31
221
1 2
3
,
21
221
1 2 aPa
M
ba
1
P
2
10
2
P0
1
1
(Ⅰ)一端固定・他端単純支持ばり
(Ⅱ)連続ばりへの置き換え
1EI
1EI2EI 2I
0R 1R
1M
応用力学Ⅱ・講義資料/応力法による不静定骨組構造物の解析 № 34
(注 1)「表-13.1 〝3連モーメントの定理〟における荷重項」の利用法
表-13.1 〝3連モーメントの定理〟における荷重項
荷 重 状 態 0A (左側) 0B (右側)
2
16
1 P 2
16
1 P
2 22
2
31 3
6 6
M bbM
2 22
2
31 3
6 6
M aaM
31
24q
31
24q
4つの支点 0,1,2,3 の支点曲げモーメント 0M , 1M , 2M , 3M を不静定力として、〝3連モーメントの
定理〟を適用すれば、
支点 0,1,2 間では、2
0 23
1
1
246
6 14
4qM M qMM M
支点 1,2,3 間では、2
1 323
2
1
1
6 1 34
4 86
1
24M M M q q PP
q
M
a b
P
2
2
0A 0B
M
q
P
2
210 2 3
1R 2R 3R0R
M
q
10 2
1R 2R0R
q
P
2
21 2 3
1R 2R 3R
M
10
1LR0R
0A 0B
q
1 2
1R2LR
q
1 2
1RR 2R
1M 1M
P
2
22 3
2RR 3R
1M 2M2M
0A 0B
0A 0B 0A 0B
支点 0,1,2 間
支点 1,2,3 間
2
0 2
0
1 36
0
6
aB M
a
B M
だから、
0M 2M
3M
30
1
24A q
30
1
24B q 2
0
1
16A P