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四2 情 懇 ジ ャ ー ナ ル No.49
【2】特集 「四国における総務省ICT街づくり推進事業」
総務省は、災害に強い街づくり、地域が複合的に抱える諸課題の解決、経済の活性化・雇用の創出、国際社会へ
の貢献・国際競争力の強化等を可能とする「ICTスマートタウン(※)」の早期実現を図るため、センサーやク
ラウド等の最先端のICTを活用した新たな街づくりに関する実証プロジェクトを「ICT街づくり推進事業」と
し、総務省の委託事業として実施しています。
※�「ICTを活用した街づくりとグローバル展開に関する懇談会」報告書において、ICTを活用した新たな街づくりの目指
すべき姿として示されたもの。
今般、平成24年度補正予算「ICT街づくり推進事業」に係る提案の公募の結果、全国で21件の提案が委託先
候補として決定され、四国からは次の3件が選定されました。
徳島県の事業は、テレビという
ほぼ全世帯に普及しているデバイ
スを活用して、「放送と通信が融
合したICTを活用する新たなシ
ステム」を構築することで、徳島
県の抱える諸課題(防災対策、高
齢化対策等)の解決に結びつく実
証実験を行うものです。
松山市の事業は、四国唯一の50
万人都市であり「国際観光都市」
である松山が、活力ある街であり
続けるために不可欠な、住民課題
(健康づくり)と観光課題(回遊率・
滞在率の向上)の解決をめざし、「健康ICT事業」、「観光ICT事業」、「防災ICT事業」を実施するものです。
新居浜市の事業は、平時はバリアフリー観光・移動システム、バリアフリー健康管理システムとして、緊急時・災
害時はバリアフリー避難・救護システムとして、連続性が担保されたICTバリアフリーシステムを整備するものです。
これらの事業には、多くの四国情報通信懇談会の法人会員が参画していることから、四情懇ジャーナルにおいて
その取組概要をご紹介させていただきます。
なお、四国情報通信懇談会では、今回特集した「ICT街づくり推進事業」の現地見学を、今年度の「管内視察
研修会」として企画する予定です。ご興味のある方は、ぜひご参加ください。
四国における総務省ICT街づくり推進事業
代表提案団体 共同提案団体 事 業 名
徳 島 県
美波町、阿南工業高等専門学校、NPOグリーンバレー、日本テレビ放送網㈱、四国放送㈱、㈱テレコメディア、NTT空間情報㈱
放送と通信の融合による、地域力・地域連携を活かした災害に強い徳島プロジェクト
松 山 市
㈱愛媛新聞社、㈱パイプドビッツ、㈱大栄電機工業、㈱電通西日本、㈱電通、イー・ビー・ヘルスケア㈱、愛媛大学、(公財)松山市文化・スポーツ振興財団
松山市 健康・観光街づくり「スマイル 松山プロジェクト」
新居浜市 ㈱ハートネットワーク、慶應義塾大学IDを利活用したバリアフリー観光・移動、避難・救護システム
※下線のある団体は、四国情報通信懇談会の法人会員
四 3情 懇 ジ ャ ー ナ ル No.49
四国放送(株) 営業編成局 テレビ編成部長 武知 浩史 氏
1.はじめに
徳島県は、南海トラフで想定されるM9クラスの巨大地震に対する防災対策が急務であり、一方で高齢化社会が
進むなど、多くの課題に直面しています。かかる課題を解決するために、「e-とくしま推進プラン」を策定し、「県
民だれもがICTの利便性を享受し、ICTを暮らしで活かし、個人が、地域が活力にあふれ、県全体がいきいき
とした徳島」を基本理念に、①e-ユニバーサル環境の実現、②e-ビジネスの実現、③e-コミュニティの実現、
④e-ひとづくりの実現、⑤e-自治体の実現の目標を達成すべく、インフラ整備、官民連携事業、ICT教育等
に取り組んでいます。そこで、今回は、日本国内で1億2千万台以上(JEITA発表;2011年7月現在)、ほぼ
全世帯に普及している地上デジタルテレビをデバイスとして活用し、日本テレビ放送網(株)が、世界で初めて開
発し、2013年3月からサービス提供しております、放送と通信を連携させる「JoinTV」という、テレビとスマー
トフォン、テレビとSNSなどを同期させたサービスをシステムとして活用することで、県民がデジタルデバイド
を感ずることなく、災害に強い徳島により「見守られる」実証事業を達成すべく、本事業を通じて、産官学公民に
よる知見の集積や、課題の抽出、そして、解決策の考察を行います。
本年度は、海部郡美波町阿部地区で実証事業を行います。阿部地区は、人口254人・132世帯であり、現在、住
民の50%以上が65歳以上の高齢者です。また、想定される南海トラフで地震発生後、最短12分で津波の第一波が
到達し、最大17-18mの大津波が来襲する可能性があり、その際には、家屋のほとんどが浸水し、電源・インター
ネット網の喪失、県道の寸断などにより、集落は孤立する可能性が大です。
①放送と通信の融合によるICT街づくり推進事業を 徳島から全国へ、そして世界へ
※実施事業イメージ(一部、次年度以降の検討項目も含まれます)
四4 情 懇 ジ ャ ー ナ ル No.49
【2】特集 「四国における総務省ICT街づくり推進事業」
2.JoinTV とは
日本テレビ放送網(株)により開発された「放送通信融合型ソーシャル視聴サービス」です。同サービスでは、
現在既に普及している地上デジタル放送受信機のデータ放送サービスの通信連携機能を
用いて、対応アプリケーションを通信回線経由で受信機にダウンロードし、クラウド経由
でSNS(Facebook等)との連携機能を提供するものです。視聴者は本サービスを利用
するために新たに対応受信機を購入する必要はないが、同サービスへの利用登録を行い情
報利用について承諾するとともに、通信回線を接続することが必要となります。
3.施策概要と利用シーンは
JoinTVで用いるIDを共通IDとし、住民に対して以下のサービスを実現します。
災害発生(及び避難訓練)時に、①テレビ画面上で個々の住民に最適化された避難指示を表示します。また、②
災害発生時のテレビの視聴ログを収集し、<在宅・不在>の推定情報を自治体等へ提供し、救助活動を支援します。
③避難所や医療機関等に共通IDでチェックインした住民のログを収集し、自治体等に安否情報を提供すると同時
に、避難所や医療機関等への救援物資の効率的な配分を可能にします。外部の安否システムとの連携も実現します。
これらの減災システムを構築します。また平時には④高齢者宅のテレビの視聴ログから異変を察知した際、遠隔地
の家族、民生委員等へ連絡します。また、⑤遠隔地の家族等からのメールをテレビ画面に表示し、高齢者は簡単な
定型文のコミュニケーションをすることも可能です。(以下①、②、④、⑤のイメージ参照)
※JoinTVロゴ
※①テレビ画面での避難指示例
※④見守りサービス等
※②在宅・不在の推定情報表示
※⑤テレビと携帯端末等との連携
四 5情 懇 ジ ャ ー ナ ル No.49
4.今年度のスケジュール
本実証事業は、産官学公民が一体となり、以下のスケジュールで実施予定です。
H25.09
第1回検討会 住民説明や避難訓練実施等に関する検討会(Plan)
住民説明会 住民の方への避難訓練実施概要、システム利用方法等
H25.10
第1回避難訓練 システムのβ版による避難訓練の実施(Do)
第2回検討会 避難訓練を通じて得られた課題抽出と解決策検討等(Check)
H25.12
第2回避難訓練 システムの完成版による避難訓練の実施(Do)
第3回検討会 避難訓練を通じて得られた課題抽出と解決策検討等(Check)
5.今後の普及に向けて
本年6月に公表された総務省「ICT街づくり推進会議報告書」において、①平時・災害時のICT利活用:平
時に街の自立的な発展を支えるとともに、緊急時や災害時には防災・減災機能を発揮するICTシステムを備える
こと。②住民等の利用者参加:携帯端末やテレビ等の使い易いインターフェースのICTシステムを利用し、住民
等の利用者の参加が確保されていること。③共通IDによる複数分野のデータ連携、ビッグデータの利活用:セン
サーから収集されるリアルタイムデータや、行政保有データの利活用等、ビッグデータを利活用するものであるこ
と。の3つの機能を備えた街を「ICTスマートタウン」と呼ぶこととされています。本実証事業は、これら3つ
の機能を備えており、より住民にとって利便性の高いシステムとなるように実証実験や検討会を通じて、「JoinTV」
および関連システム等の完成度を高めてまいります。さらに「JoinTV」システムおよび関連システムをプラット
フォーム化することで、他の放送事業者・通信事業者のみならず、関連サービス事業者との連携や提供も行ってま
いります。そのことで、日本における他の自治体等も容易かつ安価にシステムを導入することが可能になります。
また、本実証事業で確立するモデルを「JoinTownモデル」として、2015年と2018年を節目として、日本全国へ
の普及を目指すとともに、「日本モデル」として積極的に海外に向けてアピールし、「ICTスマートタウンの普及
展開に向けたロードマップ」(総務省)に従い、国際展開も精力的に取り組んでまいります。
実証事業参加団体:
徳島県(代表)、徳島県海部郡美波町、四国放送(株)、日本テレビ放送網(株)、NTT空間情報(株)、(株)テ
レコメディア、(独)阿南工業高等専門学校、NPOグリーンバレー
※JoinTownロゴ
四6 情 懇 ジ ャ ー ナ ル No.49
【2】特集 「四国における総務省ICT街づくり推進事業」
松山市 観光・国際交流課 主査 中島 敏喜 氏
1.「住んでよし、訪れてよし」のまち
松山市では、急速な少子高齢化の進行や人口減少社会の到来、地球規模での情報化の進展など、社会情勢が大き
く変化している中で、一人でも多くの人が笑顔で自分たちの住むまちに愛着や誇りをもち、また、魅力にあふれ、
市外の人からも「行ってみたい」「住みたい」と思われるまちを市民の皆さんと一緒につくりあげるため、「人が集
い笑顔広がる幸せ実感都市 まつやま」を将来都市像に掲げ、平成25(2013)年度から平成34(2022)年度の10
年を計画期間とする第6次総合計画を策定しました。
この総合計画において、「健やかで優しさのあるまち」、「地域の魅力・活力が溢れるまち」、「生活に安らぎのあ
るまち」を基本目標として掲げていますが、地域課題となっている「健康・福祉」「産業・交流」「安心・安全」の
解決に向けて、半径5km圏内に都市機能が集中し、路面電車等の公共交通機関が充実しているコンパクトシティ
といった街の特徴から、「歩く」「巡る」といったテーマに着目したICTまちづくりに取り組むものです。
2.松山発のICTを活用したまちづくりモデル
松山市の実施するICTを活用したモデル事業では、住民が住みよい街づくりとともに、観光客にとって魅力あ
る街づくりを推進する上で、コンパクトな街の特性を活かし、「ウォーキング(街歩き)」を軸にした①健康寿命の
延伸、②街歩き観光、滞在型観光の推進、③大規模災害への基盤強化の課題に対応したICT事業を展開し、都市
として持続的に発展するため、超高齢化社会における「住民の “健康長寿”」と外需獲得に向けた「観光客の “滞在
促進”」の両立を図り、あわせて100年に1度のペースで発生するとされる南海トラフ地震をはじめとする災害に
備える「安心・安全」な街づくりの実現に向けて、松山市と愛媛大学、そして民間事業者といった産官学が一体と
なってチャレンジするものです。�
�
②「スマイル松山プロジェクト」始動!
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健康ICTでは、活動量・体重・血圧といったリアルタイムな日々の健康情報と、定期的に測定している健康診
断結果から、住民一人一人の健康状態を把握するだけではなく、愛媛大学の医学部および教育学部の協力で、健康
データ分析に基づくアドバイスの提供や、健康運動指導士による健康づくり活動支援までを一元化し、体重・歩行
数に加えて血液およびアンチエイジング調査などの数値の改善を目指します。
観光ICTでは、既に実施している有料のまち歩きガイド「松山はいく」およびFacebookやTwitterといった
SNSによる情報発信「瀬戸内・松山食べ巡りプロジェクト」、インターネット俳句投稿サイト「俳句のまち松山
俳句ポスト365」と連携し、位置情報を活用したスマートフォンアプリを開発します。ニーズに合わせた観光情報
の提供で、松山に対する観光客の関与を深め、結果的に回遊・滞在時間の向上を目指します。�
平時の健康、観光の街歩き地図から、緊急時の災害情報、避難支援情報がシームレスに切り替える機能を搭載し、
予め観光・街歩きで利用できるアプリをダウンロードしておけば、住民も観光客も、緊急時の避難サポートが受け
られます。
防災ICTでは、平時に観光の街歩きとして利用しているアプリが、大規模災害がおこったときには、地図上に
最寄りの避難所や危険区域が表示され、より迅速・安全に避難を誘導する仕組みと、事前に登録した家族などへ安
否連絡をスムースに行える仕組みを一体に構築し、�日ごろの防災意識の醸成と、住民のみならず観光客にとっても
「もしも」の時の避難に役立つ情報提供を行うこととしています。
利用にあたっては特別なデバイスを必要とせず、すべて1つのスマートフォンアプリから、松山に「暮らす」、「訪
れる」、「健康になる」、「安全に避難する」、「安否を確認する」を操作できるなど、利用者の利便性や導入コストの
抑制に配慮するとともに、健康ICT・観光ICT・防災ICTのそれぞれにおいて、住民、観光客それぞれとの
長期的な関係構築を前提に、情報管理とサポートの仕組みを一体的に構築することとしています。
3.本事業がもたらすメリット
事業を通じて、松山市の住民は、健康状態の把握と改善、街歩きによる街の魅力の再発見を、観光客は情報アク
セスの改善による利便性の向上や街の魅力の深い理解が得られ、両者は共通して平時からの防災拠点・災害リスク
の認知、緊急時の安全な避難というメリットを享受できることとなります。
(スマイル松山プロジェクト概略図)
四8 情 懇 ジ ャ ー ナ ル No.49
【2】特集 「四国における総務省ICT街づくり推進事業」
松山市はこれにより、医療費の削減や観光客の滞在時間延長、選ばれる街づくりを実現し、あわせて緊急時に備
えた防災意識の養成や災害時リスクの軽減を図ることができます。
これらのメリットは同様に、同じ課題を抱える全国の他の都市で展開する際にも等しく享受できるものと考えて
います。
4.成功モデル確立に向けて
スマイル松山プロジェクトの実施に向けて、松山市の街づくり戦略のもと、地元愛媛大学と民間企業で構成する
コンソーシアムを組織して、産官学の地域連携調印式を平成25年7月25日に締結しました。
(コンソーシアムメンバー;松山市、国立大学法人愛媛大学、(株)電通西日本松山支社、(公財)松山市文化・スポー
ツ振興財団、(株)大栄電機工業、(株)電通、(株)パイプドビッツ、イー・ビー・ヘルスケア(株)、(株)愛媛
新聞社)
松山市では、本事業を街づくり施策の一環として位置づけており、3年をめどに本コンソーシアムメンバーの取
り組みを継続し、将来的には民間への委託を含む事業継続を検討しています。
1年目のデータ蓄積を踏まえ、2年目には事業拡大と観光商品の開発に着手し、3年目で健診指導を含むICT
による健康サポート、観光商品の発売、健
康と防災事業における住民IDとの連携を
目指すこととしているものです。
本事業の来年度以降の継続性を担保する
と共に、健康および観光・防災の仕組みと
して構築する「スマイル松山プロジェクト」
を、松山発の地域課題解決型ICT事業と
して成功させ、健康の増進・高齢化への対
応、交流人口の増加という多くの自治体が
抱える課題解決の先進モデルの構築を目指
して、コンソーシアムを構成する産官学の
メンバーが一丸となって、実現に向けて全
力で取り組んでまいります。 (写真:「スマイル松山プロジェクト」産官学・地域連携調印式)
(本事業がもたらすメリット)
四 9情 懇 ジ ャ ー ナ ル No.49
(株)ハートネットワーク 取締役 事業局長 伊藤 直人 氏
1.実施機関
新居浜市、(株)ハートネットワーク、慶應義塾大学
実施委員会:総務省四国総合通信局、社会福祉法人新居浜市社会福祉協議会、社会福祉法人すいよう会、東北
大学、(株)日本総合研究所 等
2.事業内容
(1)目的 � 新居浜市は、「少子高齢化」、「災害多発地域」、「都市・生活機能の分散」という地域課題を抱えながらも、「経済
活力」の柱である「観光振興」および高い高齢化率の中でも「健康福祉が充実した」街づくりに力を入れています。
� 災害時には、「自立協働」の施策として、消防体制の充実、地域コミュニティの充実、多様な主体による協
働の推進により、市民、行政、企業が連携し街ぐるみで減災・防災に取り組む体制を構築しつつあります。
� しかしながら、高齢者や障害者が市内で生活しており、加えて多くの入込観光客を市外から受け入れている
状況下で災害が起こった場合、速やかに全体状況を把握し、「市内の市民、団体、事業者、行政」と「市外か
らの救助・救護・ボランティア」等が一体となって、「市内の高齢者・障害者、市外からの観光客」を効率的
に避難所へ誘導、救急医療に搬送する等の救援体制が構築できているとは言い難い状況です。
� また、平時の際は、障害者や高齢者が「身体的なバリア」を解消するためのバリアフリー施策が行われてい
ますが、有事の際、入込観光客は土地勘の無いエリアにおいて避難所なども分からず「情報バリア」を持つこ
ととなり、当該バリアを解消する方法を検討する必要があります。
� 本ICT街づくり推進事業では、上記課題を解決するために、急速に普及しているスマートフォンや災害時
に強い分散ICTインフラを活用して、
平時の場所によらない高齢者や障害者の
健康管理システム(バリアフリー健康管
理システム)や高齢者や障害者にも快適
な観光サービスを提供するシステム(バ
リアフリー観光・移動システム)を充実
させると共に、有事の際には当該システ
ムから、速やかに要救助の状況を把握し、
消防団等の地域コミュニティ、地域メディ
ア、行政等が連携し、安否確認や救護に
あたる「バリアフリー避難・救護システ
ム」にスイッチできる「ICTバリアフ
リーシステム」を構築し、その運用体制
やルールを確立することを目指します。<事業の全体図>
③IDを活用したバリアフリー観光・移動、 避難・救護システム(新居浜市)
四10 情 懇 ジ ャ ー ナ ル No.49
【2】特集 「四国における総務省ICT街づくり推進事業」
(2)実施内容 � 本事業では、平時と災害時などの有事との速やかな切り替えにより、高齢者・障害者を含むすべての人に安
心して暮らせるICTバリアフリーシステムおよび体制を構築します。
� 具体的には、以下の3つのシステムを構築し、利用者にID登録をしていただくことにより、平時では健康
管理サービスを高齢者・障害者等に、地域情報などを観光客に提供し、風水害、地震災害等の有事には、速や
かに緊急避難、救援依頼などのサービスに切り替えることが可能なシステムとします。
ア.バリアフリー健康管理システム � 本事業では、ICTを活用した高齢者の健康管理システムを構築し、「別子山」の山間地と「大島」の離
島を対象に実証を行います。
� 実証計画としては、山間地・別子山と離島・大島に在住する高齢者・障害者を対象にした、健康管理
Webアプリを開発します。高齢者でも利用しやすいユーザーインターフェース(UI)を設計し、利用者
情報を新居浜市地域データセンターに蓄積、行政保有情報である要援護者情報、援護者情報(民生委員情報、
消防団員情報等)とデータ連携し、病院、保健所等で利用することにより、高齢者の健康管理を効果的に行
うことを目指します。
イ.バリアフリー観光・移動システム � 高齢者や障害者に対し、アクセシビリティーを含め最適な観光情報を提供できるよう、近年普及している
スマートフォンを対象に、バリアフリー観光・移動Webアプリを開発し、位置情報等利用者情報と地域情
報やバリアフリー観光情報等のデータと連携することにより、高齢者や介護者にも優しい観光サービスを提
供します。
� 加えて、入込観光客も多いため、高齢者のみならず市外の観光客にも便利なサービスを提供することが可
能であり、当市の観光産業活性化に資する取り組みとなると考えます。
ウ.バリアフリー避難・救護システム � 本事業では、平時、健康管理や観光にスマートフォン等のモバイル端末を通し利用しているWebアプリ
ケーションのサービスを、有事には、地域WiMAX等分散化されたICTインフラに接続し、速やかに行
<バリアフリー健康管理システム概要図>
<バリアフリー観光・移動システム>
四 11情 懇 ジ ャ ー ナ ル No.49
政、地域メディア、消防
団のシステムと連携し、
人々を避難所に誘導、要
救助者の位置情報を特定
し消防団等の救援隊を派
遣する等のサービスに切
り替え可能なシステム設
計、体制整備を行うもの
とします。行政保有情報
としては、要援護者情報、
援護者情報(民生員情報、
消防団員情報等)を活用
します。
� 具体的には、要救助者
や化学プラントなどの事
業者の従業員がスマート
フォン等を通じ、救助依
頼を行うと速やかに事前にシステム登録されている民生員や消防団員、関係者等に救援依頼が行くシステム
とします。
エ.ICTインフラ基盤やインターフェースの確保による住民参加 � 本事業では、スマートフォン等のモバイル端末を活用し実施するため、既存の3G、LTE、地域
WiMAX、固定系ブロードバンド(Wi-Fi利用)等の無線ネットワークを使用します。
� 平時と有事の切り替えについては、新居浜市が所有する防災行政無線+自治会広報連動システムと連携し、
Jアラート発信情報、避難勧告情報を、Webアプリケーションにより日常利用しているスマートフォン等
のデジタル端末を通じ、市民に提供します。
� これにより、新居浜市の既存ICTインフラを活用して、住民も参加しやすいシステムを構築するものと
します。加えて、新居浜市が所有する地域WiMAXネットワークを利用した「河川水位・潮位監視カメラ
システム」映像および新居浜市が所有する市内6箇所の雨量データを地域データサーバと連携し市民にPC
やモバイル端末向けに公開します。
3.その他
(1)ICT街づくり事業のシンポジウムの開催 � 実証運用開始予定の11月初旬にICT街づくり事業のPRイベントとして、新居浜市内において、総務省、
学識経験者、新居浜市、関係事業者によるシンポジウムを開催します。
(2)事業の継続について � 2年目も実証試験を継続して実施することとし、2年間の実証試験の結果に基づき、3年目からの新居浜市
での施策化を検討します。
(3)事業の効果検証 ア.入域観光客数の増加による経済効果
イ.対象地区の高齢者の生活の質の向上
ウ.住民の避難所への避難所要時間の短縮等安全・安心の向上
<バリアフリー避難・救護システム>