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2013年12月19日(木)
福岡大学病院 福大メディカルホール
第4回 学んで予防! ≪福大病院 健康セミナー≫
【おなかの症状と思ったら?】 ~患者さんの訴えと実際の診断
医)田中宏明・内科胃腸科クリニック 田中宏明
2013/12/19
田中宏明(1955年3月生 年明けで算えの還暦)
1981年 九州大学医学部卒業
~1994年
福岡日赤・九州大学病院・ 九大生体防御医学研究所・
九州中央病院・ 江頭病院【現さくら病院】
1994年~ 田中宏明・内科胃腸科 クリニック 開業
胃カメラ 大腸カメラ
1000例前後/年 700例前後/年
片江小学校前 牧のうどん隣 【田中宏明・内科胃腸科クリニック】 http://hiroaki-clinic.jp/
九州初の経鼻内視鏡 (2004年)
2013/12/19 <1>
A 食後 に 胃~胃の少し上がおかしい
B 胃カメラで軽い胃炎と言われた
C 胃薬で一時はよかったが、やはり治らない
D 食欲旺盛
E 便は普通
2013/12/19
診察のヒトコマ・・・ 例:51歳男性
<2>
胃がもたれて、どうかある
2013/12/19
胃腸科医の視点 その2
<5>
B 胃カメラをしたら、「軽い胃炎です。 薬で様子をみましょう」
(慢性)胃炎 胃潰瘍 胃癌
①表層性胃炎(胃粘膜表面で軽い炎症のある状態)
②びらん性胃炎(炎症により胃粘膜表面がえぐれた状態)
③萎縮性胃炎(いちばん多い)
④肥厚性胃炎(胃粘膜表面が正常より厚くなった状態)
ヘリコバクター・ピロリ感染の有無
胃カメラで「たいした異常はない」といわれた・・・
「検査は異常なし」 = 検査した日から「さかのぼって」大丈夫だった
→ 将来を保証するものではない
2013/12/19
内視鏡(カメラ)検査の盲点
<6>
検査時は 空っぽ
普段は 食物残渣や便
2013/12/19
治療の方向性は・・・?
<7>
C 胃薬で2~3日はよかったが、やはり治らない
胃薬で治らない → 胃だけが原因ではない? 胃酸を抑える薬( 市販薬「ガスター10」も含まれる) ・・・ 安易に延々とつかわない
2013/12/19
「胃酸」は悪者なのか・・・?
<8>
逆流性食道炎・胃潰瘍など 胃酸低下
炭水化物増加 胃腸病↑
病原菌↑
血糖乱高下 ストレス
免疫低下 便秘・下痢
胃酸を 抑える薬
胃酸を抑え続ける → さまざまな病気
2013/12/19
胃腸科医の視点 その2
<10>
D 食欲はバッチリある
「食欲」は信頼できる →
E 便は普通
「便通」はアテにならない → 他人と比べた経験がない 回数では評価できない → 出たりない = 残便 排便後に「スッキリしないこともある」 ・・・ 残便?
食欲はある ・・・ 胃には深刻な病気はなさそう
「胃」がおかしい ・・・ 患者さんの言葉
医師 ・・・ 胃以外(大腸・膵臓・胆嚢など)も考慮
便通・・・自己申告はアテにならない
詳細な問診・丁寧な診察 → 内視鏡検査・採血
食生活の把握 → 食事&生活の指導
排便状態の把握 → 便コントロールの難しさをわかってもらう
必要最小限の処方 → 胃腸を治すには「下」から「上」へ!
2013/12/19
診断と治療、今後の対策は・・・・?
<11>
咳と一緒に出るのが「痰」
「痰(?)」を
出すために咳をする
↓
「痰ではない」
ごくわずかに胃液が逆流?
→ 「ツバの濃いもの」=「痰?」
2013/12/19
痰がきれません ・・・ 本当に「痰」なのか?
<13>
痰は粘液の一種 粘膜から分泌されるねばねばの流体
呼吸器系で作られた粘液に限る
2013/12/19
舌を診ずして胃腸科は勤まらず ・・・・・ ?
<15>
陰虚 紅舌 瘀血(おけつ) 水毒
正確な診断 ・・・ どういう「下痢」や「便秘」なのか・・・? 処方のヒント ・・・ あたためるのか、冷やすのか? こまかい生活指導 ・・・ 何を食べ、何を避けるべきか?
胃底腺ポリープ → ピロリ菌のいない健康な胃にできる
「便秘」の自覚がある ? 「便は出ているけれども出たりない」 ?
大腸カメラを勧める → 食後に腹がポコンと出る、腹が張る などの症状が軽減
2013/12/19
日常診療からの「気づき」
<17>
大腸ポリープや大腸がん が見つかることもある
人間の細胞=60兆
腸内細菌の総数=100兆以上
腸内細菌の住み家=「腸」
腸内細菌=店子、 腸=大家
胃腸科医=大家さんの管理人
管理人は店子に精通すべき
2013/12/19
腸内環境改善が大切!
<19>
腸内環境改善 = 腸内細菌のうち、善玉菌を増やす
2013/5/13 <20>
善玉菌 全体の10~20%
悪玉菌 全体の10~20%
健康維持=免疫力
日和見菌 全体の60~70%
善玉菌や悪玉菌のバランス次第で、 善玉にも悪玉にも 変化
健康には有害 でも 不可欠
ビタミンを合成 病原菌を殺す
善玉菌優位 = 放置すれば元に戻る → 維持が必要
2013/5/13 <23>
同一人なら 腸内細菌バランス
は一定
(加齢を除く)
ヨーグルトで
善玉菌を入れても
長期間は生着しない 異物として排出される
乳酸菌 よりも
乳酸菌発酵物質
個人で 腸内細菌叢は
異なる 便のDNA解析
→ 「個人情報」
1 胃と思っているところ → 胃・十二指腸・膵臓・大腸(これが大事)もある
2 カメラ検査で「(たいした)異常なし」の意義?
3 胃薬(制酸剤)を使い続ける → 病気に弱い体質になるかもしれない
4 消化の良いもの ・・・ 胃に残りやすいのは肉・脂よりも炭水化物
5 食欲=信じられる 便通=自分ではわからない(他人と比較不能)
6 胃腸を治すには「下(大腸)から上(食道)へ」
7 痰がきれない・・・咳と一緒に出るのが痰、出すために咳をするなら痰と違う
8 舌を診ずして胃腸科は勤まらず・・・自分でできる診断法
9 お腹を触ってみる・・・冷たいところがあれば便の停滞があるはず
10 良性胃ポリープから拡がる大腸癌発見チャンスの可能性
11 腸から免疫(抵抗力)の7割・・・食生活と排便習慣で腸を整えよう!
2013/12/19
きょうのまとめ
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