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生物に学ぶアクチュエータ・センサ・ロボット
総合デザイン工学専攻・機械工学科
慶應義塾大学
前野 隆司
発表の概要
• 自己紹介
• 生物の何に学ぶか?
• 生物の形と運動パターンに学ぶ
• 生物の進化に学ぶ
柔軟生物に学ぶ超音波モータヒトの指に学ぶ触覚センサヒトの指をだます触覚ディスプレイ
超音波モータ振動子の創発的設計移動ロボットの運動パターン, 形態,制御系の創発的設計
ーーー
ーー
これまでの研究テーマ
振動・接触
生物に学ぶ
83 学部 ・光弾性応力解析法
84-85 修士 ・フロッピーディスクの振動と ヘッド・媒体接触機構
86-94 キヤノン㈱ ・VTRテープ走行系
・超音波モータ
・振動ジャイロ
95-03 慶大 ・ヒトの指・触覚センサ・
触覚ディスプレイ
・多自由度超音波モータ・
超音波モータの創発的設計
・柔軟生物・移動ロボット
・ロボットマニピュレータ
アクチュエータ:多自由度超音波モータの開発, 遺伝的アルゴリズムを用いた超音波モータ の設計,誘電樹脂アクチュエータの開発
センサ:ヒトの指の触覚受容機構の解析,触覚セ ンサ・触覚ディスプレイの開発
ロボット:柔軟生物型移動ロボットの研究,ヒトとロ ボットのマニピュレーションの研究,ロボット の心の研究
感性:ヒトの歩行の美しさ・盆栽の美しさの研究
現在の研究テーマ
http: www.maeno.mech.keio.ac.jp
柔軟性自律性分散性冗長性階層性
形状構造運動行動
適応形態形成自己組織化
成長進化
生物から何を学ぶか?
人工物:トップダウン的設計、単一機能、 進化・適応不能
生物 STATIC DYNAMIC
生物の形と運動パターンに
学ぶ
柔軟生物の運動パターンに学ぶ
超音波モータの設計
リング型超音波モータ
(a)ヘビ (b)シャクトリムシ
(c)アオムシ (d)ミミズ
・水平面内の曲げ運動・進行波・速度大・水平面内の広がり必要
・鉛直面内の曲げ運動・定在波・つかむ(吸い付く)機構が必要・垂直方向の広がり必要
・鉛直面内の曲げ運動・進行波(前進波)・つかむ機構が必要
柔軟生物の運動の模式図
・進行方向の伸縮運動(蠕動運動)・進行波(後退波)・細管内移動可能
ミミズの移動パターン
位置 (mm)0
2
4
時間(s)
6
40 80 120
模式図 計測結果
Head
Tail
Forward slip
Direction ofprogress
5101 52 0Tail Head
Forwardslip
Time時間 (s)
ミミズの移動運動のシミュレーション結果
後退波の伝播 → 効率的な移動
アオムシの移動運動
リング型(進行波型)超音波モータ
ロータ(回転子)
ステータ(振動子)
圧電セラミクス
cos(λx-ωt)
sin(λx)・ sin(ωt)
進行波型超音波モータの駆動原理
cos(λx)・ cos(ωt)
定在波
進行波
定在波
=
+
→ 移動方向
← 進行波
多自由度超音波モータ
平板状多自由度超音波モータ
30m
m
10 mm
円柱状多自由度超音波モータ
多自由度超音波モータを用いた多自由度鉗子
棒の縦振動モード+
棒の曲げ振動2次モード×2
平板の曲げ振動モード×3
++
回転子振動子 回転子
振動子
棒状多自由度超音波モータの駆動原理
(a) B2(x軸方向)+ B2(y軸方向) (b) L1 +B2(y軸方向)
振動子
回転子
L1:縦振動1次モード
B2:曲げ振動2次モード
yx
z
z軸まわりの駆動 x軸まわりの駆動
yx
z
生物と超音波モータの運動パターンのアナロジー
大腸
ミミズ
アオムシ
心臓尺取り虫
ヒト内臓
回転型(キヤノン)
回転型(東工大)
リニア(ニコン)
多自由度(慶大)
(インチウォーム)
時計用(セイコー電子)
進行波型USM
定在波型USM
柔軟生物 超音波モータ(USM)
ヒトの指に学ぶ触覚センサ・触覚ディスプレイ
ヒト指の構造
─つかむ
─持ち上げる
─硬さの認識
─内部構造の推定
─テクスチャの認識
─なぜ指紋があるのか?
─なぜ4種類の触覚受容器があるのか?
ヒト指腹部変形の有限要素解析結果
Equivalent Von Mises Stress Distribution
パチニ小体ルフィニ小体
メルケル小体
マイスナー小体
10 kPa
0
5 kPa
人の指に学ぶ触覚センサの研究
リン青銅板
ひずみゲージ
シリコーンゴム
支持台
生物に学ぶ:
・柔軟構造
・曲面形状
・センサの分散配置
・パターン情報処理
60
node numberstrain gage
phosphorbronze plate
strain gage number
1 4740302010
151051
7
物体を落とさずつぶさず持ち上げる
把持力制御手法法線力のみ加えた場合
123456789
10 11
Fn
フィンガ物体
固着
123456789
10 11
Ft
接線力も加えた場合
フィンガ
物体
固着
滑り
滑り
→固着/すべり分布のパターン処理に基づく把持力制御
ヒトの誤認知を利用した触覚ディスプレイ
刺激子
電磁石
磁界
•触覚:低い空間分解能 (指先で1~3mm)
• 広い周波数帯域 (数Hz~数百Hz)
•4種類の触覚受容器の周波数応答特性は異なる
→ 振動刺激の波長・周波数を適切に選べば、4種の
触覚受容器を選択的に刺激し、だませるのでは?
つるつるざらざら
生物の進化に学ぶ
従来の人工物設計
センサ
アクチュエータ
機械要素
制御系
ロボット
設計者・研究者
トップダウン
従来の人工物設計
センサ
アクチュエータ
機械要素
制御系
ロボット
設計者・研究者
トップダウン
生物のデザイン
ボトムアップ
創発
全体システム
筋 受容器
身体
神経系
環境
生物の形作り
→ 創発=環境に適応・進化
適応度
解空間
形運動
パターン
生物の形作り超音波モータの形状と振動モードのデザイン
→ 進化的計算(GA・GP)
従来の定在波型(リニア)超音波モータ
移動子
振動子
・楕円軌跡が最適化されていない・接触点が2点→磨耗大・小型化が困難
遺伝的アルゴリズム(GA)によるリニア超音波振動子の設計
個体1 個体2 個体n0 1 0 1 0
10 1 1 00 1 0 1 0
0 1 0 010 1 1 0
1 0 1
0
1 1
010 1 1 0
1 0 11 1
1 11 1
・・・
0 1 0 1 0 10 1 1 0 0 1 0 1 0 (個体1の遺伝子型)
個体群
有限要素法による固有振動数・固有モード解析
選択(淘汰)・交差・突然変異
適応度の評価 endyes
no
=
3点接触型リニア超音波モータの
解形状と駆動状態の例
左右非対称モード:111.5 kHz 左右対称モード:113.1 kHz
生物の運動と環境
環境
神経系(リズム)
形態
柔軟性運動パターン
→ 進化
柔軟生物の運動創発シミュレーション
リンク要素を用いた構造モデル
・細長構造・柔軟構造
・筋の拮抗関係・非線形弾性
・CPG(神経振動子)
・環境条件(平地・管路内)
筋要素 非伸縮要素
弾性が小さい(やわらかい)モデル
中間のモデル
弾性が大きい(かたい)モデル
中間のモデル(管路内)
移動ロボットの運動の進化的獲得
→ 神経・柔軟性・運動パターンの進化的獲得
環境(不整地・剛性・摩擦係数)
神経系(リカレントニューラルネットワークによるリズム生成)
柔軟性(バネ・コンプライ
アンス制御)
形態(単純リンク構造) joint 1
joint 2
k1
k2
θ1
θ2
獲得された運動パターン
環境に適応する前の個体
平地に適応した個体
不整地にも適応した個体
移動ロボットの形態・運動パターン・神経系の同時進化的獲得
?形態
神経系
環境
運動
イメージ図 遺伝的プログラミングによる定式化
形態
神経系
神経系
形態と神経系の木構造を進化的に獲得
デジタル神経モデル
アナログ神経モデル
リンク型マニピュレータによる押し操作における
制御器の進化的獲得
3リンクマニピュレータ
カメラ
円盤 目標位置
手先反力計
NNコントローラ(行動決定器)
ロボット(行動主体)
分解速度制御器(トルク変換器)
円盤(操作対象物)
環境押し作業用コントローラ
vd
v
τ
センサ情報
タスク:・円板に到達・円板を押す・目標位置に 到達・環境変化
学習後
地面の摩擦係数が変化する場合
学習中
半径を変えた場合
2足歩行ロボットPINOの運動生成
宇宙ロボットRBRの形と運動の生成
今後の展開
まとめ
柔軟性分散性冗長性
適応自己組織化
進化
・超音波モータ・移動ロボット・マニピュレータ
・ミミズと超音波モータ・指と触覚センサ・触覚 ディスプレイ
形状構造運動行動
おわりに
人と接する人工物のNEEDS情報技術(IT)の進展1.5年で2倍 10年で100倍!!!
医療・福祉・家庭・アミューズメント・VR・テレイグジスタンスのためのアクチュエータ・センサ・ロボット
ハードウエアの高度化・多機能化・複合化・多自由度化・自律分散化・冗長非線形化・柔軟適応構造化
情報化から生命化へ! 生物に学ぶシステムのデザイン!
2001年度機械工学科卒業研究配属用(3年生用)研究室紹介ビデオ
E-mail: [email protected]
http://www.maeno.mech.keio.ac.jp