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1 2015 粗暴犯の感情認知・コントロール特性についての検 粗暴犯の感情認知・コントロール特性についての検 粗暴犯の感情認知・コントロール特性についての検 粗暴犯の感情認知・コントロール特性についての検 討:失感情に着目した矯正プログラムの開発 討:失感情に着目した矯正プログラムの開発 討:失感情に着目した矯正プログラムの開発 討:失感情に着目した矯正プログラムの開発 1.1 11 20 2017 2012 1.2 Lipsey, 1992 Beck & Fernandez 1998 18 2012 2014

粗暴犯の感情認知・コントロール特性についての検 …...Q x,¡OY ±Róô R _&¤¥ S S T Y U , V .} / NSä N?Y O/a1pÌÍ ðë 4 4 Ù W 9 56d [CFÔ XY ¹wº Z[ 4

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2015 年度若手研究助成 研究報告書

粗暴犯の感情認知・コントロール特性についての検粗暴犯の感情認知・コントロール特性についての検粗暴犯の感情認知・コントロール特性についての検粗暴犯の感情認知・コントロール特性についての検

討:失感情に着目した矯正プログラムの開発討:失感情に着目した矯正プログラムの開発討:失感情に着目した矯正プログラムの開発討:失感情に着目した矯正プログラムの開発 研究代表者 瀬戸少年院,名古屋大学大学院 教育発達科学研究科 博士課程後期課程 反中 亜弓

1111 はじめにはじめにはじめにはじめに

1.1 犯罪犯罪犯罪犯罪者における粗暴者における粗暴者における粗暴者における粗暴性性性性のののの問題問題問題問題 わが国における粗暴犯罪の認知件数は,平成 11年以降増加し,平成 20 年にはそれまで上位にあった詐欺や横領といった財産事犯を超えるようになっている(法務総合研究所,2017)。統計上の粗暴犯とは,暴行,傷害,脅迫,恐喝,凶器準備集合,暴力行為等処罰ニ関スル法律違反に限定されているが,凶悪犯罪をはじめとして他の罪種においても犯罪者が犯行場面で粗暴な言動を取っていることは少なくない。また,犯罪として事件化されることはないまでも,犯罪者の中には,犯罪に至った背景として,社会生活の中で粗暴な言動を呈して対人関係を悪化させ,家庭や職場といった社会的な居場所を失っていたことが窃盗などの犯行につながっているケースも少なからず認められる。 実際,山本・熊谷・杉村(2012)は,受刑者に対して調査を行った結果,暴力事犯者だけでなく,非暴力事犯者にも「暴力リスク」の高い者が多く認められたことを報告している。このように,犯罪者において罪種に限らず,暴力等の粗暴行為や暴力肯定的な価値観については,教育的介入が必要な重大な社会問題であると言える。

1.2 粗暴行為に対する矯正教育の現状粗暴行為に対する矯正教育の現状粗暴行為に対する矯正教育の現状粗暴行為に対する矯正教育の現状 諸外国においては,再犯防止策の効果検証が進んでおり,最も効果をあげているのは認知行動モデルに基づいた介入方法であることが示されている(例えば,Lipsey, 1992)。特に,攻撃行動の低減を目的とした介入では,その効果が高い方法として怒り感情のコントロールに焦点を当てた認知行動的アプローチがあげられている(例えば,Beck & Fernandez,1998)。 日本においては,平成 18 年の「刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律」の施行により,個々の犯罪性に関わる問題に着目し,必要な指導を講じることが規定された。これによって,受刑者に対する矯正処遇として,それまで監獄法で定められていた刑務作業に加え,改善指導(特別改善指導,一般改善指導)と教科指導が規定された。しかし,プログラム内容が指定されている特別改善指導の中には「暴力団離脱指導」の他には暴力の問題に関連したものはなく,受講者は限定的であった。その他,暴力に関わる指導については,認知行動療法やアンガ―マネジメントに基づいた暴力回避プログラム(住田・高野・小西・宮脇,2012)や反犯罪性思考プログラム(髙岸・堀越・勝田・至極,2014)等が施設ごとに一般指導として実施

2

されていた。その後,平成 23 年に一部施設が指定を受けて暴力防止プログラムの開発と効果検証が始まり,平成 24 年 7月に「再犯防止に向けた総合対策」が策定されたことから,「暴力防止プログラム」の試行が始まっている。このように,標準的なプログラムが整えられ,全庁での実施に至ったのは比較的最近のことである。 暴力防止プログラムは,①暴力を振るうことなく施設内・社会内で生活できるよう,非暴力への動機づけを高めること,②暴力へ至る自己のパターンを認識させるとともに,そこから抜け出し,暴力以外の手段により将来の望ましい生活を達成するための方法をあらかじめ準備させること,③暴力を振るうことなく生活するための具体的なスキルについて,刑事施設在所中から実践を通じて身に付けさせることを目的としている。暴力防止プログラムの内容の基盤は,認知行動療法であり,ハイリスク状況の同定,対処するためのコーピングスキルの学習から成っている。このプログラムを通じて,受刑者は暴力の問題性を考え,その背景にある自身の怒り感情に直面することになり,暴力に至りやすい思考の修正や適切な感情表現の練習を試みる。 また,更生保護においても,平成 20 年から暴力傾向を持つ者に対する処遇プログラムが実施されている。これは,犯罪内容に暴力犯罪(殺人,傷害,暴行,強盗など)が含まれているか前歴に暴力犯罪がある仮釈放者あるいは保護観察付執行猶予者が対象となっている。社会学習理論,認知行動理論に基づいて開発されたアンガー・コントロール・トレーニング(Anger Control Training:

ACT)が基盤となっている。内容は,自己の暴力についての分析,怒りや暴力につながりやすい思考の変容を促す,危機場面での対処方法や対人関係の技術をスキルの練習やロールプレイなどを通じて体験的に習得させるものとなっている。

このように犯罪者の暴力に関する教育については,日本では施設内処遇段階においても社会内処遇段階においてもプログラムとして用意されており,施設内から社会につなぐ重要なプログラムと言えよう。 ただし,矯正施設における暴力防止プログラムについては,全庁において実施されるようになった現在においても,改良の余地があるとされている(大栗,2015)。例えば,粗暴犯罪者だけでなく,犯罪者にとって,怒り感情の処理やコントロールの問題は大きく,心理教育的な介入の必要性が指摘されており(山本他,2012),本件事犯のみで対象者を選定することが適当なのか,あるいは他の基準を設けるべきなのかといった課題がある。また,矯正教育プログラムの内容については中・長期的な視点に立った効果検証などの実証研究の必要性も指摘されており(法総合研究所,2009),今後研究が積み重ねられることが期待される。このように,成人矯正において暴力に関する教育プログラムについて,対象者の選定基準やプログラムの内容や運用について改良の余地が残されている。

1.3 怒り怒り怒り怒りのコントロールと感情認知のコントロールと感情認知のコントロールと感情認知のコントロールと感情認知 攻撃行動の発生要因の一つとして,怒り感情が指摘されることが多い(例えば,日比野・湯川,2004;Howells,2004)。Michie & Cooke(2006)は,暴力犯罪者に対する調査結果から,敵意や怒りといった感情が強く,暴力犯罪のもっとも強力な予測因子として怒りを指摘している。Howells(2004)もまた,攻撃行動の発生に怒りのコントロールの問題が影響するとしており,犯罪者における粗暴行為に関わる感情として,特に「怒り」は重要な感情と言える。 その一方で,怒り感情については,抑制すればいいというわけではなく,逆に抑制することが攻撃的な認知や行動につながることも指摘されてい

3

る(Buss & Perry,1992)。寳迫・堀越(2009)は,大学生を対象とした調査研究によって,怒り感情の対処方法が攻撃行動に及ぼす影響について検討している。同研究では,怒り感情の表出及び怒り感情の抑制は,攻撃行動に正の影響を怒り感情のコントロールが攻撃行動に負の影響を及ぼすことを明らかにしている。この結果から,怒り感情を喚起した状況において,自身を落ち着かせるような内的なコントロールや適切なかたちでの発散を図る外的なコントロール力が攻撃行動に至らないために必要な力であることがわかる。 ただし,怒り感情のコントロールについては,スキル不足の問題だけではないことが考えられる。例えば,Kennedy-Moore & Watson(1999)は,感情生起から表出までを,第 1段階の「前内省的反応段階」,第2段階の「反応の意識的知覚段階」,第 3段階「反応のラベル付けと解釈の段階」,第 4段階「反応の受け入れ段階」,第 5 段階「社会的文脈の知覚の段階」の 5段階を挙げている。この感情表出の段階に合わせて感情コントロールの過程について考えれば,感情を自覚し,自覚した感情をラベルづけし,そのラベルづけされた感情を,社会的文脈の中でどのように処理するかを決定する,というプロセスが考えられる。すなわち,感情コントロールの問題を考えるにあたっては,感情表出のスキル不足の問題に加えて,感情を自覚しラベリングする段階の言わば感情認知の問題を考える必要があると考えられる。 例えば,前述の「反応のラベル付けと解釈の段階」における問題の一例として,アレキシサイミアが指摘されている(Kennedy-Moore & Watson,

1999)。また,感情コントロールに係る認知的な要素には,自己感情のモニタリング,他者感情のモニタリング,状況のモニタリングの3つの要素があるとされ,特に自己感情のモニタリングには自己の感情に注意を向け,理解する能力的な側面

と自己の感情に注意が向きやすい傾向である志向的な側面が含まれており,これらの側面を包含した概念としてアレキシサイミアが挙げられている(吉田,2007)。

1.4 アレキアレキアレキアレキシサイミアシサイミアシサイミアシサイミア傾向における傾向における傾向における傾向における怒り表現,コ怒り表現,コ怒り表現,コ怒り表現,コントロールントロールントロールントロールの問題の問題の問題の問題 アレキシサイミアは,元来 Sifneos(1973)が心身症者に共通する特徴として提唱した概念であり,失感情症とも邦訳されている。アレキシサイミアは,不活発な情動機能と空想的な世界の貧困さが特徴として指摘されてきてきた。例えば,自らの感情に気付くことや語ることが不得手であり,白昼夢や夢などの空想的な世界が豊かではないため,ストレスフルな状況に直面した時に感情を適切に認知,表現できず,内省や洞察を踏まえて解決策を探るよりも,行為で解決を図ろうとする傾向があるとされている。 アレキシサイミアについては,近年では心身症との関連にとどまらず,ストレス対処,攻撃行動や自傷等の感情統制や社会適応の問題との関連も議論されるようになっている(清瀧,2008;

Manninen, Therman, Suvisaari, Ebeling, Moilanen,

Huttunen, & Joukamaa, 2011; Parker, Taylor, &

Bagby, 1998)。例えば,清瀧(2008)は,アレキシサイミア特性の1つである感情識別の困難さが,攻撃行動に影響を及ぼすことを明らかにしている。Fukunishi, & Rahe(1995)は,同じく感情識別の困難に加えて相手に感情を伝えることの困難さがストレス対処力の貧困さやソーシャルサポートの利用の低さに関連していることを示している。また,Manninen, et al.(2011)は,非行少年のアレキシサイミア傾向が高く,特に感情識別や感情伝達の困難さは,社会的な問題,思考や注意の問題との間に有意な正の相関を認めたことを報告している。

1.4 本研究の目的本研究の目的本研究の目的本研究の目的

4

このように,攻撃行動や粗暴行動の背景にある怒りについて考えるに当たって,その表現やコントロールのスキルの問題だけではなく,その前提にある感情認知の問題について検討する必要がある。 これまで,犯罪者の怒り感情の表現や抑制,コントロールを扱った研究は認められるものの,感情認知特性に着目した研究は少ない。さらに言えば,感情認知特性と怒りの処理方略について,犯罪者特有の傾向についても明らかになっていない。矯正教育における効果の検証においても,怒り表現やコントロールだけではなく,その背景の認知的特性の変化に着目することは,粗暴犯におけるより効果的な教育介入を考える上で重要であると考える。 そこで,本研究では,感情認知特性として特に自己モニタリングにおける能力的,志向的な側面を包含した概念としてアレキシサイミア傾向に注目する。そして,犯罪者におけるアレキシサイミア傾向が怒り感情の表現やコントロールに与える影響の特徴を明らかにする。更に,刑事施設において試行された暴力防止指導について,感情認知特性にも着目した効果検証を行い,今後の矯正教育における課題を検討する。

2222 研究1研究1研究1研究1

2.1 目的目的目的目的 本研究では,受刑者群と大学生及び一般男性からなる対照群に調査を行い,両群の違いを検討し,特に粗暴犯において認められる感情認知の特性及び感情コントロールの特徴を明らかにする。 感情認知特性としてアレキシサイミアを取り上げ,自らの感情に気付くことや語ることの困難さといった能力的側面と,自己や他者の内面への関心の向きやすさといった志向的側面に分けて分析を行う。

2.2 方法方法方法方法

2.2.1 対象者対象者対象者対象者

(1) 対照群 大学生及び刑事施設入所歴のない社会人男性を対象として調査を実施した。分析対象者は,本研究について説明を受けた上で研究協力の同意を得られた者で,記入漏れがなかった 107 名であった。対象者は,18歳から 78歳,平均年齢 33.14歳(SD

= 17.83)であった。

(2) 受刑者群 初犯の受刑者を収容する刑事施設に入所した男性受刑者とした。ただし,精神科医師から精神障害や知的障害を指摘されている者については対象外とした。分析対象者は,本研究について説明を受けた上で同意を得られた者で,すべての調査に対して回答することができた 134 名(粗暴犯 55名,非粗暴犯 79 名)であった。対象者は,21歳から 72歳,平均年齢 39.40歳(SD = 11.58)であった。

2.2.2 調査尺度調査尺度調査尺度調査尺度

(1) 感情認知特性の測定 アレキシサイミア傾向を測定する尺度として,Twenty-item Toronto Alexithymia Scale(TAS-20;Bagby, Parker, & Taylor, 1994)の日本語版(小牧・前田,2015)を使用した。この尺度は,“感情を識別することの困難さ”(difficulty identifying

feelings: 以下,感情識別困難と略記),“感情を他者に語ることの困難さ”(difficulty describing

feelings: 以下,感情伝達困難と略記),そして“外面性志向の思考”(externally-oriented thinking: 以下,外的志向と略記)から構成され,「よくあてはまる」から「全くあてはまらない」の 5 件法による自記式質問紙である。それぞれ得点が高いほど,その傾向が高いことを示すものである。 本研究の調査対象者において,尺度全体のCronbach のα係数は.81 であり,信頼性があるこ

5

とが確認された。なお,各下位尺度の信頼性は,感情識別困難.85,感情伝達困難.70,外的志向.55であり,先行研究(例えば,Moriguchi, et al., 2007)と同様に,外的志向で信頼性が低いことが確認されており,解釈には留意する必要がある。 加えて,内容的妥当性を検証するため,一般男性及び女性で TAS-20 においてアレキシサイミア傾向が高かった者(TAS-20 ≧ 59)6 名とアレキシサイミア傾向が低かった者(TAS-20 ≦ 38)6名に対して,Krystal, Giller, & Cicchetti(1986)により作成された 17 項目から成る半構造化面接によるアレキシサイミア評定( Alexithymia

Provoked Response Questionnaire:APRQ)を実施した。その結果,高アレキシサイミア傾向者においては低アレキシサイミア傾向者よりも語られた単語数が多いのに対し,そこに含まれていた感情語彙数は少なく,感情的な表現が少ない傾向や説明的な語りが多くストレス状況において行動化する傾向等のアレキシサイミアの特徴が認められ,TAS-20 によるアレキシサイミア評定は内容的な妥当性を有していると考えられた。

(2) 怒り感情の測定 State-Trait Anger Expression Inventory- Ⅱ(STAXI-Ⅱ;Spielberger, 1999)の邦訳(石原・牧田・佐藤,2005)を使用した。本研究では,特に,STAXI-Ⅱの中の怒りの表出と統制を扱った 4因子について取り上げた。これは,他者や物に怒りを表出するAnger Expression-Out(以下,怒りの表出あるいはAX-O と略記),怒りを抑制し自分の中に押し込める Anger Expression-In(以下,怒りの抑制あるいは AX-I と略記),人や物に怒りを表出しないようにコントロールする Anger

Control –Out(以下,怒りの外的コントロールあるいは AC-O と略記),自分の気持ちを落ち着かせることでコントロールするAnger Control-In(以下,怒りの内的コントロールあるいは AC-I と略

記)の 4 因子構成であり,「まったくあてはまらない」から「ほとんどいつもあてはまる」の 4 件法による自記式質問紙である。それぞれ得点が高いほど,その傾向が高いことを示すものである。 本研究の調査対象者においても,各尺度のCronbach のα係数を算出した。その結果,AX-Oにおいては.83,AX-Iにおいては.70,AC-Oでは.86,AC-I では.88 であり十分な信頼性があると考えられた。

2.2.3 倫理的配慮倫理的配慮倫理的配慮倫理的配慮 調査時に調査協力者に対して,本研究の目的等について説明し,調査について研究以外の目的で使用しないこと,特に受刑者に対しては調査結果により施設内における処遇内容に影響しないこと,個人情報について厳守することを説明し,同意が得られた者のみを調査対象とした。また,一般成人においては,面接調査を承諾した者以外は基本的に無記名で調査を実施し,面接調査の対象となった者については,データをコードナンバーで管理するなどしてデータの匿名化を図った。 なお,本研究については,施設長の了解と名古屋大学大学院教育発達科学研究科研究倫理審査委員会において承認(14-504)を得ている。

2.3 結果結果結果結果

2.3.1 基礎統計量基礎統計量基礎統計量基礎統計量

Figure1 及び 2 は,調査尺度の各下位尺度得点について,対照群と受刑者群の平均値及び t 検定結果を示したものである。 次に,TAS-20 について,小牧・前田(2015)による健常群の参考値に従って,38 点以下を低アレキシサイミア傾向者,59 点以上を高アレキイサイミア傾向者とした。Table 1 は,対照群及び受刑者群における低アレキシサイミア傾向者と高アレキシサイミア傾向者の割合を示した。 この結果から,本研究の対照群においては,やや高アレキシサイミア傾向者の割合が多くなって

6

Figure 1 TAS-20 平均値及び t 検定結果 Figure 2 怒り尺度平均値及び t 検定結果

Table 1 アレキシサイミア傾向者比率

対照群 受刑者群 低アレキシサイミア 4.6 25.4 高アレキシサイミア 25.9 16.4

(%)

いることが分かった。また,受刑者群においてはアレキシサイミア傾向が2極化していることが明らかとなった。

2.3.2 感情認知特性と怒り表現,コントロールと感情認知特性と怒り表現,コントロールと感情認知特性と怒り表現,コントロールと感情認知特性と怒り表現,コントロールとの関連の関連の関連の関連 次に,TAS-20 の下位尺度を独立変数,怒り尺

度の下位尺度を従属変数としたパスモデルを作成し,対照群と受刑者群それぞれにパス解析を施し,標準回帰係数が有意でないパスを外して繰り返し分析した。なお,適合度を示す値として,GFI は.90以上,AGFI は.90 以上(Hu & Bentler, 1999),RMSEA は.080未満 (Browne & Cudeck, 1993)を基準とした。

Figure 3 及び 4 は,対照群及び受刑者群におけるパス解析結果である。各モデルの適合度は,対照群ではχ2 = 15.85(p = .20),GFI = .96,AGFI

= .91, RMSEA = .055,受刑者群ではχ2 = 10.20(p

Figure 3 パス解析結果(対照群) Figure 4 パス解析結果(受刑者群)

Note: 標準回帰係数は 1%水準で有意であったもののみを示した。太いパスは受刑者だけに認められたパスである。

7

= .18),GFI = .98,AGFI = .92,RMSEA = .059であった。上述した基準と照らして,本研究におけるモデルの適合度は一定水準を満たしていると解釈した。 パス解析の結果,受刑者では,感情識別困難及び感情伝達困難といった感情認知における能力的な側面が怒り表現,抑制に影響するという特徴が明らかとなった。 また,対照群と受刑者群に共通して,外的志向の思考から怒りのコントロールへの負の影響が認められた。それでも,両群の決定係数や標準回帰係数を比較すると,受刑者群においてその影響が大きいことが予測された。 次に,受刑者の罪種について粗暴犯と非粗暴犯に分け,TAS-20 及び怒り尺度得点について t 検定を行った。各尺度の平均値及び検定結果をFigure5 及び 6 に示した。なお,本研究の罪種の分類にあたっては,警察白書における粗暴犯である暴行,傷害,脅迫,恐喝,凶器準備集合の他,犯行場面において他者あるいは物に対する攻撃行動が伴っている殺人,強盗,放火,暴力行為等処罰ニ関スル法律違反,器物損壊も含めている。

2.4 考察考察考察考察 本研究結果から,受刑者群と対照群を比較した場合,対照群においてアレキシサイミア傾向が高

いこと,受刑者群において怒り表現の得点が低く,コントロール得点が高いという結果であった。これは,施設内に収容されている受刑者群において,適応的あるいは防衛的な回答が得られたことによる影響が大きいのではないかと推察され,平均得点だけでは単純に比較しがたいと考える。 加えて,アレキシサイミア傾向については,若年者で高い傾向を示すことが知られており(Moriguchi, et al., 2007),本研究の対照群において 18 から 19歳の割合が 49.5%と高いことが,影響していると考えられた。加えて,本研究の対照群においては,若干高アレキシサイミア傾向者の割合が高いことも本研究結果に影響したと考えられた。よって,今後,対照群と受刑者群の年齢構成を同様にするなどの工夫をした上で検討する必要があると考える。 次に,受刑者群において,感情認知特性の中でも,特に,能力的な側面である感情識別困難及び感情伝達困難が怒り表現に影響するという特徴が明らかとなった。 本研究結果と同様に,10 代の一般少年及び非行少年においても,感情識別困難や感情伝達困難といった感情認知特性の能力面の問題が怒り表出や抑制に影響するという特徴が認められている(反中・雨宮・寺井・梅沢,2015;Figure7-8参照)。

Figure 5 粗暴犯と非粗暴犯のTAS-20得点の差 Figure 6 粗暴犯と非粗暴犯の怒り尺度得点の差

8

Figure 7 パス解析結果(一般少年) Figure 8 パス解析結果(非行少年)

Note: 反中他(2016)の結果を本稿用に改編したものである。標準回帰係数は 1%水準で有意であったもののみを示した。

すなわち,犯罪性が認められない集団においても,10 代のような心身ともに発達途上にある年代においては,感情認知の能力的な側面が怒り表現や抑制に影響するが,発達に伴ってそうした影響は喪失していくことが考えられる。一方で,外的志向の思考のような志向面の問題が与える影響は,年齢や集団に限らず安定して認められるものと考えられる。 一方,成人受刑者においては,感情認知の能力的側面が不適切な怒り表現に影響しており,感情発達の未熟さの問題が指摘できるだろう。加えて,受刑者群における特徴を見ると,感情識別の困難さが高まるほど怒り表出にも抑制にも影響していることが分かった。これは,一見すると矛盾する結果に見える。しかし,喚起された状況において,怒りを表出しなかったとしても,その怒りが維持されれば,攻撃的な反応を示しやすく,対人関係の悪化を招くことが指摘されている(Zilliman,

1971)。このことから,感情識別困難の高さは,いずれにしても非建設的な怒り表現を助長する因子と考えられる。 更に,粗暴犯と非粗暴犯で各下位尺度得点を比較すると,感情伝達困難には差はないが,粗暴犯のほうが感情識別の困難さは高く,自身の感情へ

の注意が向きにくいことが明らかとなった。すなわち,特に粗暴犯においては,感情識別の困難さが怒りの不適切な表現や抑制を高め,外的志向の思考の高さがコントロールを悪くすると予測できる結果が得られたと言えよう。 以上を踏まえると,感情認知における志向面の問題は発達の影響を受けず,一定して怒りのコントロールを阻害する特性であり,どのような集団を対象とした場合であっても介入が期待される特性であると考える。しかし,粗暴性の問題を抱える受刑者を対象としたプログラムを構成する場合,感情への気付きや識別力の向上を狙った介入も必要になると考えられる。

3333 研究2研究2研究2研究2

3.1 目的目的目的目的 刑事施設で行われた暴力防止指導について,感情認知特性と怒り表現,統制の問題に対する効果について明らかにし,今後の粗暴犯に対するプログラムの改善点等を検討する。

3.2 方法方法方法方法

3.2.1 暴力防止指導について暴力防止指導について暴力防止指導について暴力防止指導について 暴力防止指導は,認知行動療法を基盤とし,ワークを使用しながらグループワーク形式で実施す

9

るプログラムである。暴力事犯者を中心に暴力を振るうことなく生活することへの動機づけを高め,そのための具体的なスキルを,実践を通じて身に付けさせることを目的としている。 暴力防止指導の単元構成は,Table 2 に示したとおりである。内容は,暴力に至るステップとして,個人内の状態や生理的な反応,思考・感情,暴力肯定的な認知があり,行動に至る,その結果があって,更に考え方や信念に影響することが図により簡単に示される。各単元で,その怒りのステップを基に,ハイリスク状況の同定や,対処するためのコーピングスキルの学習等が取り入れられている。

1単元あたり 120分,全 12単元であり,週に 1回指導を行った。また,暴力防止指導の開始前には,個別に面接が行われており,動機付けが行われている。その中で,過去の粗暴行為について振り返らせ,ワークシートに「誰」に対して「どのような状況」で「どのような行動」をとったのか,

Table 2 暴力防止指導の内容 単元 内容 1 オリエンテーション 2 暴力のステップと危険な状況① 3 暴力のステップと危険な状況② 4 怒りの管理① 5 怒りの管理② 6 怒りや暴力につながる考え方① 7 怒りや暴力につながる考え方② 8 怒りや暴力につながる考え方③ 9 効果的なコミュニケーション① 10 効果的なコミュニケーション② 11 まとめと将来思考の目標設定① 12 まとめと将来思考の目標設定②

そして「結果」について記入する課題を与えている。その課題については,単元 11 及び 12 で取り上げ,怒りのステップを作成させ,それぞれのステップにおける対処方法をグループで話し合い,今後の目標や対処方法の獲得への動機づけをした。 なお,本研究で用いた暴力防止指導の内容は,現在刑事施設で行われている暴力防止プログラムとは,内容構成や単元数,指導時間は異なる。

3.2.2 調査対象者調査対象者調査対象者調査対象者 初入の受刑者を主として収容する刑事施設に入所している男性受刑者のうち,暴力防止指導 12単元すべてを受講できた 28 名とした。なお,精神障害,知的障害を有している者については対象外としている。なお,本研究における対象者の中には性犯罪者は含まれていなかった。

3.2.3 調査尺度調査尺度調査尺度調査尺度 研究 1 と同じく,感情の認知特性についてはTwenty-item Toronto Alexithymia Scale(TAS-20;Bagby, Parker, & Taylor, 1994)を,怒り尺度には,State-Trait Anger Expression Inventory-Ⅱ(STAXI-Ⅱ;Spielberger, 1999)の日本語版(石原・牧田・佐藤,2005)の怒りの表現及び統制に関する項目を,指導の前後に実施した。

3.3 結果結果結果結果 暴力防止指導の効果を検証するため,怒り尺度得点及び TAS-20 について対応のある t 検定を行った(Figure 9,10)。 本研究の結果,暴力防止指導後に,アレキシサイミア傾向が低下する傾向が認められた。また,アレキシサイミア傾向の中でも,感情伝達困難と外的志向の思考に変化が認められたものの,感情識別困難には変化は認められなかった。怒り尺度得点では,指導後には怒りの表出得点が有意に低下するとともに,怒りのコントロールの 2因子で得点の上昇が認められる結果が得られた。 次に,各下位尺度得点の変化の関係性を調べる

10

Figure9 アレキシサイミア尺度における効果 Figure10 怒り尺度における効果

Table 3 各尺度得点の変化量におけるPearson の積率相関分析結果

AX-O AX-I AC-O AC-I

TAS-20 .57** -.01 -.44** -.36** 感情識別困難 .53** .04 -.24 -.07 感情伝達困難 .49** -.09 -.52** -.38* 外的志向 .25 -.01 -.32+ -.49**

**: p < .01, *: p < .05, +: p < .10

ため,各尺度得点の変化量についてPearson の積率相関係数を算出した(Table 3)。各下位尺度の変化量は,暴力防止指導開始前の各下位尺度得点から指導終了後の各下位尺度得点を減じたものを指導による変化量とした。なお,各下位尺度の変化量は,アレキシサイミア尺度得点及び怒り表出,抑制の得点はプラスであれば,怒りのコントロールの2尺度についてはマイナスであれば改善方向に尺度得点が変化したとみなした。 相関分析の結果,アレキシサイミア得点の変化量との間に怒りの表出及び怒りコントロールとの間で有意な相関関係が認められた。下位尺度に注目すると,感情識別困難及び感情伝達困難と怒り

表出の間に正の相関関係が認められており,感情識別や伝達の困難さが改善傾向を示すと不適切な怒り表出の傾向も減ることを示す結果を得ている。また,怒りのコントロールについては,感情伝達困難と外的志向との間に負の相関関係が認められており,感情伝達の困難さや思考面の変化が認められると怒りのコントロールも改善する関係にあることが明らかとなった。一方で,暴力防止指導におけるアレキシサイミア各下位尺度の変化と怒りの抑制との間には有意な相関関係は認められなかった。

3.4 考察考察考察考察 本研究結果では,怒り尺度得点で他者や物に怒

11

りを表出する怒り表出得点が有意に低下していた。一方で,怒り抑制得点に有意な変化は認められなかったことに加え,アレキシサイミア尺度では感情を他者に語ることの困難さが有意に低下していた。更に,人や物に怒りを表出しないようにコントロールする怒りの外的コントロール得点と自分の気持ちを落ち着かせることでコントロールする怒りの内的コントロール得点が有意に高くなっていた。 以上から,受講者は暴力防止指導を通じて,単純に怒りの表出を抑えることではなく,適切に自分の考えや気持ちを相手に伝えるスキルを身に付けることができたと感じていると推察できる。また,暴力防止指導では表現のスキルの習得だけではなく,怒りが喚起された状況において,いったんその場を離れる等のタイムアウト法や自分を落ち着かせるために深呼吸をすることやカウントアップといった方法も教示していることから,怒りの内的コントロールの変化にも寄与したと考えられる。 また,外的志向得点も低下の傾向を示した結果を考慮すると,暴力防止指導ではスキルの習得だけではなく,志向面の変化にも寄与したと考えられる。暴力防止指導による教育的介入により,繰り返し出来事の中での自分の感情面に着目したことで,多少なりとも物事の感情面に注目する志向性が受講者の中で涵養されたのではないかと考えられる。 アレキシサイミア傾向の中でも志向的な側面については,共感性の欠如との関連について指摘される(Goleman, 1995)。岡本・河野(2010)は,非暴力的犯罪群に比べて暴力的犯罪群は,共感性の中でも他者の立場になって物事が考えにくいという特徴があり,それが暴力的な犯罪に至った要因の一つとして指摘している。こうした他者視点の取得の困難さと感情や行動のコントロールとの

間には正の相関があることが明らかにされている(Eisenberg, Fabes, Murphy, Karbon, Maszk,

Smith, O’Boyle, & Suh, 1994)。本研究では,共感性を扱っていないので推測の域を出ないものの,暴力防止指導の中で物事の感情面に着目するよう促す内容を繰り返し指導されたことで,他者感情を想像する様な共感的な理解力にも影響し,感情をコントロールすることが動機づけられたと考えることもできる。本研究の研究 1 では,外的志向の思考が怒りのコントロールを悪くする要因と予測する結果を得ていることや外的志向の思考の変化量と怒りのコントロール尺度得点の変化量との有意な相関関係を踏まえると,少なくとも,暴力防止指導によって外的志向が緩和されたことが怒りのコントロールに影響したと考えられる。 このように,刑事施設における暴力防止指導によって,感情認知の特性の一部が変化し,それに伴って怒りをコントロールしようとする傾向が高まり,不適切な怒り表現を減らすことができるという一定の効果が得られていると考えることができる。 しかし,暴力防止指導によって感情認知特性における感情識別困難の改善は認められなかった。研究 1 の結果においては,受刑者群における特徴として感情識別困難が怒りの不適切な表出に影響するという結果を得ている。これを踏まえると,暴力防止指導によってスキルとして適切な表現方法や感情コントロールを身に付けることができても,自身の内面の感情状態に気付く力は涵養されておらず,実際の生活場面では危険状況を早めに察知し,適切な対処を講じたり危険状況を早期に回避するといった対処をすることが難しいのではないかと予想される。 よって,暴力防止指導については,これまでのプログラムに加えて,受講者の感情や体感を識別する力を涵養するプログラムを加える必要がある

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と考える。暴力防止指導においても、第 2,3 単元で攻撃行動に至るプロセスとして生理反応や感情への気づきについて扱っているものの,特に,高アレキシサイミア傾向者においては自身の過去の体験に照らして理解することが難しかった可能性がある。 また,アレキシサイミア傾向者に関して言えば,感情の気づきが低下していることに加えて,身体感覚の気づきが低下している場合が多いことが指摘されており(Ikemi, Y & Ikemi, A, 1986),それ故に,心理療法的なアプローチよりも心身医学的なアプローチが必要であると言われている(竹林・神原・志田,2011)。したがって,指導プログラムの中で,バイオフィードバック等の手法を用いて,自身の感情と体感について視覚的にフィードバックを受けられるような体験を取り入れることも有益であろう。

4444 総合考察及び今後の課題総合考察及び今後の課題総合考察及び今後の課題総合考察及び今後の課題 本研究によって,成人犯罪者において,感情認知の特性の能力的な側面である感情識別困難が怒りの不適切な表現を促進しているという特徴が明らかとなった。しかし,認知行動療法を基盤とした暴力防止指導ではその感情識別困難に対する教育効果が認められなかった。よって,今後の暴力防止指導については,これまでのプログラムに加えて,受講者の感情や体感を識別する力を涵養するプログラムを加える必要もあると考えた。 次に,本研究の限界と今後の課題について触れる。第一に,本研究における暴力防止指導の効果の検証については,指導自体が刑事施設における処遇の一環として行われているため,統制群を設けることが難しく,調査対象者内の前後比較のみとなっている。そのため,本研究結果で得られた指導前後の変化には, 指導による効果だけではなく,刑事施設内の他の処遇の影響や時間の経過に

よる状況の変化等の影響が出ている可能性は考慮しなければならない。加えて,本研究では,暴力防止指導の開始前と終了時にしか調査を行っていないことから,時間経過による指導の定着については触れることができない。したがって,今後は,指導終了時から一定期間を経た段階でも調査を実施し,指導の定着度を見る等の研究デザインの工夫が必要である。 次いで,受刑者群において,TAS-20 における低アレキシサイミア傾向の比率も高かったことは無視できない。今後は,対象者数を増やした上で,低アレキシサイミア傾向を示す受刑者の問題性についても検討する必要がある。アレキシサイミア傾向の高低によって,能力や性格等の資質面の違いや,顕在化しやすい問題の違い,教育効果の違いなども検討していく必要があろう。 最後に,本研究の対象者は男性に限られている。日本人におけるアレキシサイミア傾向には,一定の性差が認められることが知られており(Moriguchi et al., 2007;反中・寺井・梅沢,2015),女性では感情認知特性の怒り表現・コントロールへの影響が異なることが予測される。よって,今後は,女性も対象とした調査も実施し,性別により介入方法や用いる教材に違いを持たせること等について慎重に考察したい。

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