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Information-technology Promotion Agency, Japan Software Reliability Enhancement Center Copyright © 2013 IPA, All Rights Reserved Software Reliability Enhancement Center 生産性・品質向上を効率的に進めるための 『ゴール指向経営』 ~「GQM+Strategies®」の活用で組織内の 整合性確保と定量的管理を実現~ 平林 大典 (IPA/SEC) 野村 典文 (伊藤忠テクノソリューションズ株式会社) 2013年11月22日(金) ET2013講演資料

生産性・品質向上を効率的に進めるための 『ゴール …...マーケティング サプライヤー サービス 顧客 ECサイト コールセンター 注文 申込書

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Information-technology Promotion Agency, Japan

Software Reliability Enhancement CenterCopyright © 2013 IPA, All Rights Reserved

S o f t w a r e R e l i a b i l i t yEn h an c emen t Cen t er

生産性・品質向上を効率的に進めるための

『ゴール指向経営』

~「GQM+Strategies®」の活用で組織内の

整合性確保と定量的管理を実現~

平林 大典 (IPA/SEC)野村 典文 (伊藤忠テクノソリューションズ株式会社)

2013年11月22日(金) ET2013講演資料

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目次

1. はじめに:IPA/SECの取り組み

2. GQM+Strategies®の提供する価値と概要

3. GQM+Strategies®の活用例(企業は仮想企業)

4. 最後に

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1. IPA/SECの取組み

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(1) GQM+Strategies®とは?

「GQM+Strategies®」は、以下の3項目の関係の整合性を取ることを実現する手法です。

1. 企業・組織の経営レベルにおける目標

2. 目標を達成するための戦略

3. 実務策定レベルにおける個別戦術(例、IT化)

本手法は、ドイツ フラウンホーファー研究機構のIESE(実験ソフト

ウェアエンジニアリング研究所)にて開発

情報処理推進機構(IPA/SEC)では、2007年10月から2011年3月に

かけてIESEとの共同で、本手法の有効性を確認するために国内企業

数社で試験導入

2011年4月よりWGを設定し、教材の作成やセミナー等の普及を推進

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(2)IPA/SEC WG活動のねらい

企業・組織の経営企画部門、業務部門

および情報システム部門が、IT化計画の

背景およびその期待される成果について

経営レベルに整合性を持って説明できる

ように支援

経営レベルに対して、IT化計画の明確な

評価尺度を提供

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(3) GQM+Strategiesの普及展開活動

最近の主な活動

研究活動:早稲田大学「ゴール指向経営研究会」(鷲崎先生)ITコーディネータ協会「ゴール指向IT経営研究会」

資料公開 :IPA/SECのHPに研修資料を公開

http://sec.ipa.go.jp/reports/20130325.html

講演会:3/23_ITC北海道、6/14_ITC東京コンソーシアム、

7/25_SPES2013、7/27_ITC近畿会、11/16_ITC

千葉ネットワーク、11/22_ET2013、12/7_ITC武蔵野、

12/18_SECセミナー、3/8 or 22_埼玉ITC 等

記事等:日経情報ストラテジー(2013年5月号)に掲載、

SECジャーナル30号/33号に掲載、

ITpro掲載予定(近日中)、書籍出版(現在翻訳中)

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【ご参考】戦略意思決定プロセス強化WGメンバ

以下のメンバーで構成:

-菊島 靖弘、東京海上日動システムズ(株)、主査

-赤坂 幸彦、NTTデータシステム技術(株)

-足立 久美、(株)デンソー

-石谷 靖、(株)三菱総合研究所

-井手 達夫、防衛大学校

-井出 昌浩、(株)クニエ

-岡崎 靖子、日本アイ・ビー・エム(株)

-岸田 智子、(株)クニエ

-斎藤 忍、NTTデータ(株)

-瀧 志保、伊藤忠テクノソリューションズ(株)

-野村 典文、伊藤忠テクノソリューションズ(株)

-鷲崎 弘宣、早稲田大学

担当SEC研究員:新谷 勝利、平林 大典 14名

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2. GQM+Strategies®の提供する価値と概要

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(1) GQM+Strategies®開発の背景(1/3)

経営者の声

情報システム部門の声

情報システムの課題を示す声

業務部門の声

■本当にITを活用して業務効率化やビジネス価値創出ができているか不明。

■情報システムの業務実現への寄与度をどうやって示せばよいのかわからない。

■情報システム導入の優先順位が決められず、

業務部門からの要求はどんどん膨れ上がる。

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(1) GQM+Strategies®開発の背景(2/3)

1.経営、事業戦略とIT活用との整合性が取れないまま、

現場の要求の通り、システム要件を決めてしまう。

2.業務部門が、システムを使ってどのような業務を実現

したいのか説明できていない。

3.システム部門が、事業戦略と業務施策とのつながりを

共有できないまま、システムへの要求事項を決めて

しまう。

問題の背景及び要因

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(1) GQM+Strategies®開発の背景(3/3)

何を変えるために、何(どのようなIT)に、どれだけ投資

するのかという道筋を明らかにし、経営陣、業務部門、

情報システム部門が共有する必要

そのためには、以下が重要

①事業目標と業務施策(目標達成のための施策)の

整合性を図る

②システム活用することで実現できる業務(何がどう

変わるのか)を明確にする

③システム化の優先順位及びその効果を示す

問題解決には何が重要か

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(2) GQM+Strategies®グリッドとその特徴(1/2)

GQM+Strategies®グリッドとは、各組織をつなぐ組織目標(ゴール)と戦略を

木構造で表現したもの

『目標連鎖』の見える化

この木構造で、組織間の目標・戦略とのつながりを論理的に確認

最終的には企業/事業の方向性を、事業部門と情報システム部門で共有

目標(Goal)

戦略(Strategies)

目標(Goal)

戦略(Strategies)

目標(Goal)

戦略(Strategies)

整合性が確保されているか

全社

事業部 事業部

本部

目標(Goal)

戦略(Strategies)

測定指標(KPI)

測定指標(KPI)

測定指標(KPI)

システム化テーマ1

システム化テーマ2

システム化テーマ3

測定指標(KPI)

目標Status(状態)

戦略How(状態を実現する

ための施策)

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(2) GQM+Strategies®グリッドとその特徴(2/2)

<特徴1> 各組織上の目標(Goal)を確認する

全社目標(Goal)と全社戦略、それを支える下位組織の目標、戦略(施策)とのつながりを組織構成に合わせて可視化し、その整合性を明示する。これによって企業全体が目標に向かって動く際の齟齬(矛盾)がはっきりする。

<特徴2> 各組織の戦略(施策)の根拠を示す

各組織の戦略を明らかにする際に、その根拠を【事実(Context)】と【仮定(Assumption)】に分けて整理する。【仮定】が多いときには、まだ根拠があいまいで不確か(リスクがある)と判断する。

<特徴3>目標達成度を測るための指標を決める

目標(ゴール)が達成できなかったときには、どの戦略(施策)がまずかったのかを見極める必要がある。そのために目標達成を測る指標を決める。

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(3) IT戦略策定プロセスにおけるGQM+Strategies®の位置付け

ここでは、IT戦略を策定する際に一般的に用いられるプロセスを例にとって、 GQM+Strategies®を、どのプロセスで活用すれば有効に働くかを示します。

プロセス

主要アウトプット

現状(AsIs)の可視化・技術調査

経営、事業、組織目標の整合性可視化

システム化テーマ設定

ロードマップ策定

IT投資計画書

課題・問題・要望一覧

経営、業務課題の抽出現行システム課題の抽出

GQM+Sグリッドの策定

GQM+Sプロジェクト・アライメント

ロードマップ

システム

化企画

テーマ

ビジネス

データ

アプリ

インフラ

2011年 2012年 2013年 2014年 2015年

×××テーマ

×××テーマ

×××テーマ

××サービス開始××サービス開始

××マスタ整備 ××マスタ整備

××システム運用開始

統合基盤運用開始

統合顧客運用開始

××システム運用開始

××ネットワーク接続

システム

化企画

テーマ

ビジネス

データ

アプリ

インフラ

2011年 2012年 2013年 2014年 2015年

×××テーマ

×××テーマ

×××テーマ

××サービス開始××サービス開始

××マスタ整備 ××マスタ整備

××システム運用開始

統合基盤運用開始

統合顧客運用開始

××システム運用開始

××ネットワーク接続

IT投資計画書

年度 IT投資テーマ 内容 優先度 費用 期待効果スケジュール

2011 統合顧客ITガバナンス次期基幹系システム・・・・・・・・・・

2012 ・・・・・・・・・・

2013 ・・・・・・・・・・

プロジェクト最終報告書

XXXX年XX月XX日

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社

ソリューションビジネス推進本部 コンサルティング1部

御中

システム化制約一覧システムグランドデザイン

基本方針(ToBe)現状(AsIs) GAP分析(制約条件・課題) ToBeの見直し方針#

1

2

3

4

5

6

7

◆資料分析及び現場インタビューによる目標、施策の可視化測定指標の抽出

現場が要望するシステム化テーマ抽出情報システム部門が考えるシステム化テーマ抽出

システム化テーマ一覧

システム企画テーマ

×××システム

×××システム

×××システム

×××システム

×××システム

×××システム

システム企画テーマ

×××システム

×××システム

×××システム

×××システム

×××システム

×××システム

システム化の

目的・狙い

システム化の

目的・狙い

システム化

範囲

システム化

範囲

システム規模(想定)

システム規模(想定)

システム化に向けた

制約事項、課題

(申し送り事項)

システム化に向けた

制約事項、課題

(申し送り事項)

特記事項

(特筆すべき要望など)

特記事項

(特筆すべき要望など)

目標実施時期

※当項目は

ロードマップ策定後に記入

目標実施時期

※当項目は

ロードマップ策定後に記入

システム化企画

オーナー

システム化企画

オーナー

システムグランドデザイン(ToBe)策定

宅配委託先

○○ロジスティックス

調達 商品開発販売

マーケティングサービス 顧客サプライヤー

ECサイト

コールセンター

注文

申込書電話インターネット

受注処理

出荷指示

出荷 売上

商品案内

受注受付

商品案内

受注受付

アフターケア

受注管理

約○○件/月

物流

納品

生産

在庫管理

配送

会計

会計処理

代金回収

売掛管理

支払支払口座振替クレジット

支払

買掛管理

調達計画

発注

販売計画

販売促進

分析 商品分析顧客分析

在庫計画

商品企画

顧客管理

•購入履歴•会話履歴

納品

凡例:情報の流れ物の流れお金の流れ

カタログインターネット新聞・チラシ雑誌 など

個人・法人・販売店など

事業・業務全体構想図

給与システム

コールセンター

統合顧客

会計システム

売上売掛システム

販売管理システム(Web系)

顧客管理

営業支援システム

営業支援

問合せ対応

受注管理

受注、引当

EAIで連携

人事システム

支払データ

人事DB

人事DB給与計算

人事管理EAIで連携

顧客

受注、引当

売上売掛管理

売掛データ

入金予定データ

請求データ

会計、買掛管理

EAIで連携

請求書作成

入金データ

給与システム

コールセンター

統合顧客

会計システム

売上売掛システム

販売管理システム(Web系)

顧客管理

営業支援システム

営業支援

問合せ対応

受注管理

受注、引当

EAIで連携

人事システム

支払データ

人事DB

人事DB給与計算

人事管理EAIで連携

顧客

受注、引当

売上売掛管理

売掛データ

入金予定データ

請求データ

会計、買掛管理

EAIで連携

請求書作成

入金データ

インフラ全体構想図

今までのタスクで抽出した情報を基に、全体構想図を作成

最下位の組織の施策とシステム化テーマの整合性を取り、システム化テーマの優先順位を決める

最終報告書にまとめる

現状調査結果資料

アプリ・データ全体構想図

多くは、BSC(バランス・スコア・カード)等を用いて可視化している。

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3. GQM+Strategies®の活用例(企業は仮想企業)

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(1) GQM+Strategies®策定プロセス

特性化( )

・適用範囲の定義・責任の定義・環境/事実の特性化

目標設定・組織構造を特定( )・ギャップ分析の実施

現状の施策、データ等の確認・目標の優先順位づけ・グリッド導出( )プロセスの実施

プロセスの選択・戦略実施の計画・データ収集と分析の仕方の整理・フィードバックの仕組みの定義

モデルの実行・戦略の適用・データの収集と検証・フィードバックセッションの実施

結果の分析・データを分析し、戦略を改定・結果のレビューと伝達・コスト/メリットの分析

パッケージ化と改善・グリッドの適用と改善・間違った仮定の是正・戦略を適応

初期化・コミットメントとリソースの確保

・ GQM+Strategies®適用計画の立案・人材のトレーニング

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(2) 特性化:事例企業プロファイル:化粧品販売

◆会社名: 株式会社 AAA株式会社

◆業種・業態: 化粧品・薬用クリームの開発、販売、通信販売◆売上/経常: 300億/78億◆従業員数: 500名◆連結子会社数: 6社

◆所在地:本社 ・・・ 東京拠点 ・・・ 大阪オフィス、 千葉配送センター店舗 ・・・ 国内カウンター100 カウンター

海外カウンター10 カウンター

◆国内:97%・通信販売:60% (WEB30,DM30)・卸販売:26%・対面販売:11%◆海外:3%

◆現在業界ポジション 中堅で業界での伸び率が高い

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(2) 特性化: 経営計画/経営環境の確認

<経営計画>【経営目標】売上高を前年度比12%(36億)伸ばす。経常は売上高比26%をkeep

【経営戦略】1)商品力強化圧倒的に他社と差別性(高齢者、若年層)のあるメディカルプロダクトの開発

2)既存顧客の深耕既存販路の対応力を強化した上で、複数販路の相乗効果によるお客様のご利用頻度向上

3)新規顧客の獲得 (アジア市場、若年層)

<経営環境>

1)国内の化粧品市場は、平成20年から減少傾向にあり、平成22年度は2.1兆弱。

2)一方、アジア市場は急成長。

国内での成長を見込めないメーカー各社は、アジア圏を中心とした海外市場に力を注いでいる。

3)中国の化粧品市場は堅調に成長しつつある。2008年から 15%の成長率で推移

4)男性団塊ジュニアが40代に突入してきたことを背景に白髪や薄毛対策品の需要が拡大した。

5)メディカルコスメ、敏感肌用化粧品に対する需要は前年度比7%で伸びた。

6)企業側からの一方的な情報発信やマスメディア情報に追随する消費行動は薄れ、消費者主導

の消費動向はより鮮明になってきた。

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(2) 特性化: 適用範囲の定義

【適用範囲】営業部における顧客接点の変革によるトップラインの伸長

【環境】

<適用範囲>営業部(対面やチャネル販売:通信販売は除く)

<システム化の狙い>顧客情報管理の強化

<営業部の目標 >(対面、卸で11億伸ばす)

1)新商品(差別化商品)の販売による売上高 2億2)既存販売網における前年度売上高比 5%増3)新規販売網における新規顧客獲得による売上高 3億

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(3) 目標設定 組織構造の特定

営業部

受発注G

レベル

レベル 卸GプロモーションG営業G

<組織レベルの定義>

経営

ロジスティック部 通信販売部 WEB推進部人事・総務

部財務部

経営企画

対象範囲

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(3) 目標設定 ギャップ分析(現状の問題確認)

現在、情報システム部門は、以下の業務/システムの問題からCRMを再構築したいと要求されています。

主な支援システム

顧客

CRM

通販店舗

店舗支援システム

通販管理定期契約システム

WEB

バックヤード

全社在庫システム

各伝票発行システム

卸・百貨店

卸管理

売上・出荷

受注管理

会計

財務会計

カード売上管理システム

店舗情報システム 外部取込

倉庫管理

商品調達

仕入管理

<システムの問題>1)顧客情報がチャネル別に分散している。2)クレーム情報が顧客情報に統合されていない。

3)購買履歴データは、購入日、商品、金額等のPOSデータしかない。

4)購買履歴データは、売上集計等には活用しているがマーケティングには活用していない。

5)コールセンターでのクレーム対応記録も残しているが、顧客情報と紐付いていない。

6)商品データベースには、商品コード、商品名、値段、原価、成分等のデータしかなく、どのような肌に良いかと

いうような定性情報がない。

<業務の問題>1)美容部員の対応が悪い。適正利用のためのカウンセリングがあまり有効に受けられない。2)お客様の購買履歴や嗜好にあわせた適切なレコメンドができていない。3)商品の組み合わせ利用がよくわからない。4)商品が多すぎて、どれをどの客に勧めればよいかわからない。5)お客様が過去に買ったアイテムがわからない。6)製品情報が仕様や使用方法しかなく、どのような売り方をすればよいかわからない。7)店舗ではポイントは蓄積できるが、他で利用することができない。

商品DB

クレーム情報

受注DB売上DB

顧客DB顧客DB

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(3) 目標設定:GQM+Strategies®グリッド導出プロセス

戦略の詳細化(refinement)は可能?*1)

CA: 一般的な事実&仮定の導出1. 一般的事実の収集2. 基となる仮定の特定

TG: トップレベル目標の定義1. 当初の潜在的高レベル目標の特定*

2. 目標の優先順位をつけ最も重要なものを選択*

3. 選択された目標を正式化*

S: 戦略の決定1. 各目標の潜在的戦略をブレーンストーミング*

2. 戦略の決定*

G: 目標の定義1. 戦略の示唆を導出*

2. 潜在的目標の特定*

3. 最も有望なゴールを選択*

4. 選択された目標を正式化*

[はい]

[いいえ]次のレベルで目標は定義されてい

M: GQM グラフの定義1. 選択された各目標の

GQM目標を適切なレベルで定義

2. 目標を評価するため、GQMグラフを特定

3. 解釈モデル間の関係を特定

[はい]

[いいえ]

測定データ目標と戦略

終了終了

経営環境/事実の特性化、適用範囲とその組織レベルの抽出が終了したら、いよいよ、GQM+Strategies®グリッド導出のプロセスに入ります。以下に導出のプロセス概要を示します。

*1)「戦略の詳細化は可能?(Can strategies be refined?)」とは、さらに階層化していくという意味

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(3) 目標設定: GQM+Strategies® グリッドの整理(トップレベル)

まず最初に、特性化プロセスで得た経営戦略、経営環境、営業戦略等の情報をもとに、トップレベルのゴール、戦略をGQM+Strategies® グリッドにしたがって整理してみます。以下に示すように整理すると、今回の適用範囲である営業部の目標(ゴール)と戦略が見えてきます。

Strategy:S1

商品力強化 (圧倒的に他社と差別性のあるメディカルプロダクトの開発)

経営戦略

Goal: G3

新商品(差別化商品)の販売による売上高

2億

Strategy:S2既存顧客の深耕 (既存販路の対応力を強化した上で、複数販路の相乗効果によるお客様のご利用

頻度向上)

Strategy:S15

新規顧客の獲得(アジア市場、若年層)

Goal: G4

既存販売網における前年度売上高5%増

Goal: G5

新規販売網における新規顧客獲得による

売上高 3億

新商品(アンチエージング)の対面販売による販

売強化

Strategy: S4

商品の組み合わせ(セット)販売による顧客への

統合価値の提供

Strategy: S15

ドラッグストア販路開拓

Strategy: S6

コンビニ販路開拓

Strategy: S7

中国での新設カウンタを設置

Strategy: S8

営業部のゴールと戦略 測定指標

(後述)

測定指標

測定指標(後述)

測定指標

測定指標(後述)

測定指標

年齢別、性別ごとのマーケティング強化

Strategy: S9

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(3) 目標設定: 事実と仮定の整理

戦略

商品の組み合わせ(セット)販売による顧客への統合価値の提供

事実/仮定

既存販売網における前年度売上高5%増

目標(ゴール) <事実>

・メディカルコスメ、敏感肌用化粧品に対する需要は

前年度比7%で伸びた。

・当社の製品の特徴は、肌トラブルにやさしい化粧品。

・ユーザは化粧品の組合せによるトラブルを気にして

いる。(アンケートによると70%の人が相性を気に

している)

・アンチエージングに関するスキンケア商品市場は前年度比約4.6%の伸びを示す。

<仮定>

・化粧品の相性によって肌に合わない人も多い。

(アトピーの人など)

事業に関するゴールや戦略(事業施策)は、事業部門にインタビュー等を通して確認していきますが、その際に重要なことは、必ず、ゴールや戦略を決めた「根拠(事実と仮定を分けて整理する)」を確認しておくことです。なぜならば、事業部門自身が、根拠の薄いゴール、戦略を策定している可能性もあるからです。もし、事業部門が「根拠」を示せない場合には、聞き出したゴール、戦略が正しいかどうかわかりませんので、システム部門から、そのことを指摘してあげることで、事業戦略の誤りを防ぐこともできます。

【戦略の根拠】

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(3) 目標設定: 測定データの定義

目標(ゴール)が決まりましたら、事業部門とともにゴール達成の測定データを定義します。戦略を実行していったときに、何を持ってゴールを達成できたと判断するのかという定量値は、必ず存在するはずです。したがって、それを確認して定義します。以下の例で説明しますと、まず①評価する内容を明らかにして、②次に測定のベースラインを確認します。③そして測定値を明らかにします。④最後に、何をもって達成と判断するのか、判断基準を決めます。

既存販売網における今年度末売上高は?

測定値

戦略

商品の組み合わせ(セット)販売による顧客への統合価値の提供

既存販売網における前年度売上高5%増

目標(ゴール)

既存販売網における前年度末売上高は111億

測定のベースライン

既存販売網における前年度売上高5%増を評価する

何を評価するか

IF M4.2/ M4.1 >=1.05 THEN OK ELSE FAILED

達成の判定基準

事実/仮定

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(3) 目標設定: 事業部門へのインタビュー時のワークシート

目標(ゴール)と測定指標は、以下のワークシートを使って定義します。まず目標(ゴール)を決めるときに、忘れてしまう要素が、期限(いつまでに)、責任範囲、制約、他の目標との関係です。これが明確になっていないと、システムを開発する際に、スコープや期限が作る側の都合で決まってしまいます。また測定指標を決める際には、測定値を判断するための要素が明確になっていなければなりません。②のワークシートでその要素を明確にします。

1.活動(どうしたいか) 増加させる

2.フォーカス(何を) 前年度売上高比率

3.対象(改善対象となるもの) 既存販売網

4.定量値(どのぐらい) 5%

5.期間(いつまでに) 来年度末までに

6.責任範囲 営業部長

7.制約(制限) コストは維持

8.他の目標との関係 特になし

対象(何に対して)

既存販売網の売上高

目的 内容(Quality Aspect) 責任範囲 背景(事実と仮定)

評価今年度末までに前年度売上高比を5%増加させる。

営業部長事実と仮定を参照

解釈モデルを作るための質問(Quality Focus) 変動要素(Variation Factors)

既存販売網における今年度末売上高は? 特になし

ベースライン(基準) 変動要素がベースラインに及ぼす影響

既存販売網における昨年度末売上高=111億

解釈モデル(測定目標)

特になし

今年度末売上高/昨年度末売上高>=1.05

① 目標(ゴール)の定義シート② 測定指標(KPI又はKGI)の定義シート

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(3) 目標設定 GQM+Strategies® グリッドの作成

プロモーションG

全社

Goal: G2

経常は売上高比26%をkeep

GQM Goal: GQM2

今年度経常利益

GQM Metric: M2.2

今年度経常利益

GQM Question: Q2.1

昨年度経常利益

GQM Metric: M2.1

昨年度経常利益=78億

経常は売上高比26%をkeepを

評価する

GQM Question: Q2.2

Goal: G12

ユーザ会を活かしたプロモー

ショ ン

GQM Question: Q12.1

ユーザ会会員数は

GQM Metric: M12.1

ユーザ会会員数>=1万人

GQM Goal: GQM12

ユーザ会を活かしたプロモー

ショ ンを評価する

Strategy: S21

既存ユーザ会の拡張

Strategy: S22

新ユーザ会(ネットユーザ会)

の開設

プロモーションGGoal: G11

年齢層や肌質に合わせた効果

的な商品セット(組み合わせ)

の開発

GQM Question: Q11.1

年齢層や肌質に合わせた効果

的な商品組み合わせパッケー

ジ数は

GQM Metric: M11.1

年齢層や肌質に合わせた効果

的な商品組み合わせパッケー

ジ数>=10

GQM Goal: GQM11

年齢層や肌質に合わせた効果

的な商品組み合わせの開発を

評価する

Strategy: S16

プロファイリングによる顧客特

徴別の嗜好、肌に関する悩み

データの整備

Strategy: S17

SNS等によるクチコミ情報分析

プロモーションGGoal: G9

顧客特徴別(年齢別、性別)の

プロモーショ ン(宣伝)の作成

GQM Question: Q9.1

顧客特徴別(年齢別、性別)の

プロモーショ ン(宣伝)数は

GQM Metric: M9.1

顧客特徴別(年齢別、性別)の

プロモーショ ン(宣伝)数は>=20

GQM Goal: GQM9

顧客特徴別(年齢別、性別)の

プロモーショ ン(宣伝)の作成を

評価する

Strategy: S18

複合メディア(TV、ネットTV等)

型コマーシャル作成

Strategy: S20

SNS、Twitterを活用したクチコミ

による宣伝

営業GGoal: G6

新商品(アンチエージング)の

対面販売による売上高 2億

GQM Question: Q61

新商品(アンチエージング)の

対面販売による売上高は

GQM Metric: M6.1

新商品(アンチエージング)の

対面販売による売上高>=2億

GQM Goal: GQM6

新商品(アンチエージング)の

対面販売による売上高 2億を

評価する

Strategy: S10

対面窓口の販売員への美容

知識や新商品(アンチエージン

グ)のデータ整備

営業GGoal: G7

既存顧客リピート率 5%増加

GQM Metric: M7.2

今年度既存顧客リピート率

GQM Question: Q7.1

昨年度既存顧客リピート率は

GQM Metric: M7.1

昨年度既存顧客リピート率

=70%

GQM Goal: GQM7

既存顧客リピート率 5%増加を

評価する

今年度既存顧客リピート率は

GQM Question: Q7.2

Strategy: S12

プロファイリングに合わせた美

容相談の実施

Strategy: S13

ユーザ会への勧誘

営業G

Goal: G8

既存顧客単価 前年度比20%

増加

GQM Metric: M8.2

今年度顧客単価

GQM Question: Q8.1

昨年度既存顧客単価

GQM Metric: M8.1

昨年度既存顧客単価=12000

円GQM Goal: GQM8

既存顧客単価 前年度比20%

増加を評価する

今年度既存顧客単価

GQM Question: Q8.2

Strategy: S14

年齢層や肌質に合わせたスキ

ンケア商品のセット販売

Strategy: S15

商品セットの売り方、勧め方が

わかるデータ整備

Strategy: S11

顧客プロファイリングの作成

営業

Goal: G3

新商品(差別化商品)の販売に

よる売上高 2億

GQM Question: Q3.1

新商品(差別化商品)の販売

による売上高は

GQM Metric: M3.1

新商品(差別化商品)の販売

による売上高>=2億GQM Goal: GQM3

新商品(差別化商品)の販売に

よる売上高 2億を評価する

Strategy: S4

新商品(アンチエージング)の

対面販売による販売強化

営業

Goal: G4

既存販売網における前年度売

上高5%増

GQM Metric: M4.2

既存販売網における今年度売

上高は

GQM Question: Q4.1

既存販売網における前年度売

上高は

GQM Metric: M4.1

既存販売網における前年度売

上高は=111億GQM Goal: GQM4

既存販売網における前年度売

上高5%増を評価する

既存販売網における今年度売

上高は

GQM Question: Q4.2

Strategy: S15

商品の組み合わせ(セット)販

売による顧客への統合価値の

提供

営業Goal: G5

新規販売網における新規顧客

獲得による売上高 3億

GQM Question: Q5.1

新規販売網における新規顧客

獲得による売上高は

GQM Metric: M5.1

新規販売網における新規顧客

獲得による売上高>=3億

GQM Goal: GQM5

新規販売網における新規顧客

獲得による売上高 3億を評価

する

Strategy: S7

コンビニ販路開拓

Strategy: S6

ドラッグストア販路開拓

Strategy: S9

年齢別、性別ごとのマーケティ

ング強化

Strategy: S8

中国での新設カウンタを設置

全社

Goal: G1

売上高を前年度比12%伸ばす 今年度全社の売上高

GQM Metric: M1.2

今年度全社の売上高

GQM Question: Q1.1

昨年度全社の売上高

GQM Metric: M1.1

昨年度全社の売上高=300

GQM Goal: GQM1

全社の売上げ12%向上を評価

する

GQM Question: Q1.2

Strategy: S2

既存顧客の深耕 (既存販路

の対応力を強化した上で、複

数販路の相乗効果によるお客

様のご利用頻度向上)

Strategy: S1

商品力強化 (圧倒的に他社と

差別性のあるメディカルプロダ

クトの開発)

Strategy: S15

新規顧客の獲得

(アジア市場、若年層)

IF M1.2/ M1.1 >=1.12 THEN OK ELSE FAILED

GQM Interpretation

C&A: C&A:

C&A: C&A: C&A: IF M3.1 THEN OK ELSE FAILED

GQM Interpretation

IF M4.2/ M4.1 >=1.05 THEN OK ELSE FAILED

GQM Interpretation

IF M5.1 THEN OK ELSE FAILED

GQM Interpretation

C&A: G7=>S11

C&A: G8=>S14

IF M7.2/ M7.1 >=1.05 THEN OK ELSE FAILED

GQM Interpretation

IF M8.2/ M8.1 >=1.2 THEN OK ELSE FAILED

GQM Interpretation

C&A: IF M6.1 THEN OK ELSE FAILED

GQM Interpretation

IF M9.1 THEN OK ELSE FAILED

GQM Interpretation

C&A: G9=>S18

IF M12.1 THEN OK ELSE FAILED

GQM Interpretation

C&A: G12=>S21

C&A: G11=>S16

IF M11.1 THEN OK ELSE FAILED

GQM Interpretation

C&A:

C&A: C&A: C&A:

C&A: C&A: G7=>S13

C&A: G8=>S15

C&A: G9=>S20

C&A: G12=>S22

C&A: G11=>S17

IF M2.2/ M2.1 >=1.26 THEN OK ELSE FAILED

GQM Interpretation

今回の適用範囲である営業部の「顧客接点の変革によるトップラインの伸長」に関するGQM+Strategies® グリッドが整理できました。事業部門へインタビュー(またはワークショップ)をしながら整理してきたものです。さて、これからいよいよ、このGQM+Strategies® グリッドの戦略に合わせたシステム化テーマを決めていくことになります。その際に、重要になるのは、より具体的な事業部門の戦略(施策)です。

事業部門の戦略を具体的に表現しているのは、一番末端の戦略になります。

その戦略は、上位の戦略との整合性が取れていなければなりません。

GQM+Strategies® グリッド

は、その整合性を可視化します。

したがって、システム化テーマ(システムで何の戦略を支援していくのか)を考える際には、一番末端の戦略の全体を見渡して、考えていくことになります。

別紙1参照

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GQM+Strategies®プロジェクト・アライメント・マトリックスを使って、システム化テーマの優先順位を考えてみます。

参考:システム化テーマの評価

参照戦略IDと価値

プロジェクト

S1対面窓口の販売員への美容知識や新商品(アンチエージング)のデータ整

S2顧客のプロファイリングの作成

S3プロファイリングに合わせた美容相談の実施

S4ユーザ会への勧

S5年齢層や肌質に合わせたスキンケア商品のセッ

ト販売

S6商品セットの売り方、勧め方がわかるデータ整

S7プロファイリングによる顧客特徴別の嗜好、肌に関する悩みデー

タの整備

プロジェクトの目標(ゴール) コスト 200 500 500 50 300 300 300 # 価値/コスト

顧客情報DBの統合 店舗、WEB、通販の顧客情報を統合

¥20,000,000 0 0 100 0 100 100 0 3 15.0

商品データベースの充実 ¥10,000,000 200 0 100 0 100 200 100 5 70.0

顧客カルテシステム ¥50,000,000 200 200 200 0 200 100 200 6 22.0

購買履歴システム ¥50,000,000 100 100 100 50 200 100 0 6 13.0

WEBによる美容相談窓口ページ ¥20,000,000 0 50 100 50 100 100 100 6 25.0

ポイント管理システム ¥30,000,000 0 50 0 50 0 0 0 2 3.3

顧客情報の連携 ¥30,000,000 0 0 0 100 200 200 200 4 30

# 3 4 5 4 6 6 4

※上記は例であり精査したものではありません

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4. 最後に

情報システムを開発する際に、多くの企業は経営、事業部門の要求に応じて、中期的なテーマを決め計画を立てています。しかし、その内容は漠然としたものであり、ほとんどの企業が、齟齬が無く共有できているとは言えない状況にあります。

本方法論は、まず経営、事業部門の目指している目標、戦略を明確にし、それを経営、事業部門、情報システム部門で共有します。

その後、目標、戦略を支えるためのシステム化テーマとその優先順位を決め、システム投資の中期計画を立案していくための有効なツールです。是非とも、この方法論をご活用いただき、戦略的なIT投資を実現いただくように願っております。

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ご清聴ありがとうございました

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