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独立行政法人海洋研究開発機構の平成22年度に係る業務の実績に関する評価 全体評価 <参考> 業務の質の向上:A 業務運営の効率化:A 財務内容の改善:A ②平成22年度の評価結果を踏まえた、事業計画及び業務運営等に関して取るべき方策(改善のポイント) (1)事業計画に関する事項 ・研究テーマの絞り込みについて、東日本大震災後の社会状況の変化も踏まえ、社会への還元を意識した中長期的な視点に基づき、一 層のメリハリをつけることが必要である。【項目別-6参照】 ・中期目標達成に向けた22年度の進捗状況が必ずしも明確化されていないため、引き続き達成目標と成果、進捗状況の関連を分かりや すく示すことに努めることが必要である。【項目別-16参照】 (2)業務運営に関する事項 ・職員に対する研修を実施する、アウォード制を導入する、昇級制度にメリハリをつけるなどの業務運営の改善に向けた取組みについて、 今後は、目的とした改善につながったのかを評価することも重要である。【項目別-28、60、86・87参照】 ・契約の競争性・透明性の確保に取り組み契約が適正に行われているが、調達額を低減するための体制が強化されているようには見受 けられず、更なる努力が必要と判断する。【項目別-77参照】 ③特記事項 海洋の放射性物質モニタリングへの貢献など海洋研究開発機構の東日本大震災への対応は高く評価できる。今後とも、自然災害対策な どに資する研究開発を進めるなど一層の社会貢献が期待される。【項目別-45参照】 次世代モデル研究と地球温暖化予測研究の整理統合や、事務所の廃止・縮小を行う等、「平成21年度業務実績評価」及び「独立行政法 人の事務・事業の見直しの基本方針」に適切に対応している。【項目別-6、10、21、71参照】 ①評価結果の総括 ・第2期の中期計画の達成に向けて概ね順調に進捗している。世界的に注目される研究成果があがるとともに、異なる研究領域やプログ ラムに属する研究者による横断的な研究が推進される、研究テーマの明確化と絞り込みが図られるなど、中期目標・中期計画の第2期目 として、総じて事業計画の推進が軌道にのってきたと考えられる。 ・特に、研究船の運用について、計画的なメンテナンスや効率的な運航、適切な安全対策の実施により、高い稼動率を確保していることや 東日本大震災への迅速な対応については高く評価できる。 ・また、業務運営については、リスクマネジメント基本方針の策定や、研修等の開始、他法人との東京事務所の共有化など効率化に取り 組んでいる。 ・前年度の指摘事項を踏まえた改善に取り組んでおり、引き続き、達成目標に対する進捗状況の明確化や中長期を踏まえた戦略に沿っ た事業の展開を図ること、調達額の低減に尽力すべきである。 全体-1

独立行政法人海洋研究開発機構の平成22年度に係る …...独立行政法人海洋研究開発機構の平成22年度に係る業務の実績に関する評価 全体評価

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独立行政法人海洋研究開発機構の平成22年度に係る業務の実績に関する評価

全体評価 <参考> 業務の質の向上:A 業務運営の効率化:A 財務内容の改善:A

②平成22年度の評価結果を踏まえた、事業計画及び業務運営等に関して取るべき方策(改善のポイント)(1)事業計画に関する事項・研究テーマの絞り込みについて、東日本大震災後の社会状況の変化も踏まえ、社会への還元を意識した中長期的な視点に基づき、一層のメリハリをつけることが必要である。【項目別-6参照】・中期目標達成に向けた22年度の進捗状況が必ずしも明確化されていないため、引き続き達成目標と成果、進捗状況の関連を分かりやすく示すことに努めることが必要である。【項目別-16参照】(2)業務運営に関する事項・職員に対する研修を実施する、アウォード制を導入する、昇級制度にメリハリをつけるなどの業務運営の改善に向けた取組みについて、今後は、目的とした改善につながったのかを評価することも重要である。【項目別-28、60、86・87参照】・契約の競争性・透明性の確保に取り組み契約が適正に行われているが、調達額を低減するための体制が強化されているようには見受けられず、更なる努力が必要と判断する。【項目別-77参照】

③特記事項海洋の放射性物質モニタリングへの貢献など海洋研究開発機構の東日本大震災への対応は高く評価できる。今後とも、自然災害対策などに資する研究開発を進めるなど一層の社会貢献が期待される。【項目別-45参照】次世代モデル研究と地球温暖化予測研究の整理統合や、事務所の廃止・縮小を行う等、「平成21年度業務実績評価」及び「独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針」に適切に対応している。【項目別-6、10、21、71参照】

①評価結果の総括・第2期の中期計画の達成に向けて概ね順調に進捗している。世界的に注目される研究成果があがるとともに、異なる研究領域やプログラムに属する研究者による横断的な研究が推進される、研究テーマの明確化と絞り込みが図られるなど、中期目標・中期計画の第2期目として、総じて事業計画の推進が軌道にのってきたと考えられる。・特に、研究船の運用について、計画的なメンテナンスや効率的な運航、適切な安全対策の実施により、高い稼動率を確保していることや東日本大震災への迅速な対応については高く評価できる。・また、業務運営については、リスクマネジメント基本方針の策定や、研修等の開始、他法人との東京事務所の共有化など効率化に取り組んでいる。・前年度の指摘事項を踏まえた改善に取り組んでおり、引き続き、達成目標に対する進捗状況の明確化や中長期を踏まえた戦略に沿った事業の展開を図ること、調達額の低減に尽力すべきである。

全体-1

文部科学省独立行政法人評価委員会科学技術・学術分科会 海洋研究開発機構部会 名簿

【正 委 員】

門 永 宗之助 Intrinsics代表

【臨時委員】

愛 川 展 功 財団法人日本船舶技術研究協会理事長赤 川 泉 東海大学海洋学部海洋生物学科教授大久保 修 平 東京大学地震研究所

高エネルギー素粒子地球物理学研究センター長太 田 英 美 新日鉄エンジニアリング株式会社常任監査役知 野 恵 子 読売新聞東京本社編集委員花 輪 公 雄 東北大学大学院理学研究科教授

全体-2

項目別評価総表

項目名 項目名

21年度 22年度 21年度 22年度

Ⅰ国民に対して提供するサービスその他の業務の質の  向上に関する目標を達成するために取るべき措置

A A  2研究開発成果の普及及び成果活用の促進 -

 1海洋科学技術に関する基盤的技術開発 - -   (1)研究開発成果の情報発信 A

  (1)重点研究開発の推進 - -   (2)普及広報活動 A

    ①地球環境変動研究 A A   (3)研究開発成果の権利化及び適切な管理 A

    ②地球内部ダイナミクス研究 A A 3大学および大学共同利用機関等における海洋に関  する学術研究への協力

A

    ③海洋・極限環境生物圏研究 A A 4科学技術に関する研究開発または学術研究を行う  者等への施設・設備の供用

-

    ④海洋に関する基盤技術開発 A A   (1)船舶および深海調査システム等の共用 S

  (2)統合国際深海掘削計画の総合的な推進 - -   (2)施設・設備の共用 A

    ①IODPにおける地球深部探査船の運用 A A   (3)「地球シミュレータ」の共用 A

    ②深海掘削コア試料の保管・管理および活用支援 A A   (4)地球深部探査船の共用 A

    ③国内における科学計画の推進 B A  5研究者および技術者の養成と資質の向上 A

  (3)研究開発の多様な取り組み - 6情報および資料の収集、整理・分析、加工、保管  および提供

A

    ①独創的・萌芽的な研究開発の推進 A  7評価の実施 A

    ②国等が主体的に推進するプロジェクトに対応する      研究開発の推進

A  8情報公開及び個人情報の保護 A

    ③共同研究及び研究協力 AⅡ業務運営の効率化に関する目標を達成するために  とるべき措置

A

    ④外部資金による研究の推進 A  1組織の編成 A

    ⑤国際的なプロジェクト等への対応 A  2柔軟かつ効率的な組織の運営 A

中期目標期間中の評価の経年変化※ 中期目標期間中の評価の経年変化※

独立行政法人海洋研究開発機構の平成22年度に係る業務の実績に関する評価

B

A

A

A

A

総表-1

項目名 項目名

21年度 22年度 21年度 22年度

 3業務・人員の合理化・効率化 A

Ⅲ予算(人件費の見積もりを含む)、収支計画及び資金  計画

A

 1予算 A

 2収支計画 A

 3資金計画 A

 4自己収入の増加 A

 5固定的経費の節減 A

 6契約の適正化 B

Ⅳ短期借入金の限度額 - -

Ⅴ重要な財産の処分等に関する計画 - -

Ⅵ剰余金の使途 - -

Ⅶその他、主務省令で定める業務運営に関する重要  事項

B A

中期目標期間中の評価の経年変化※ 中期目標期間中の評価の経年変化※

A

備考本法人の業務・マネジメントに係る意見募集を実施した結果、意見は寄せられなかった。

総表-2

【参考資料1】予算、収支計画及び資金計画に対する実績の経年比較(過去5年分を記載)

18年度 19年度 20年度 21年度 22年度 18年度 19年度 20年度 21年度 22年度

35,734 37,190 38,431 38,560 36,337 1,558 1,514 1,317 1,356 1,307

786 810 330 560 450 35,757 40,084 41,720 37,084 37,024

0 9 11 211 3,427 784 789 322 483 433

4,814 2,728 2,766 3,191 1,808 0 9 11 211 2,859

 受託収入 7,506 7,601 4,473 6,211 3,143 7,257 8,200 4,374 6,087 4,081

48,840 48,337 46,010 48,734 45,165 45,357 50,596 47,744 45,221 45,704

18年度 19年度 20年度 21年度 22年度 18年度 19年度 20年度 21年度 22年度

30,887 34,464 36,746 34,353 33,870

32,062 35,329 37,155 34,066 33,107 2,725 12,065 3,231 7,182 3,126

1,038 1,069 1,024 1,087 1,159 3,455 3,123 3,217 2,707 3,034

2,705 12,046 3,207 7,134 3,088 1,508 1,687 2,219 3,202 2,821

2,688 2,811 2,791 5,085 5,174 178 48 338 89 125

30 30 45 270 218

178 43 356 84 117

38,700 51,328 44,578 47,726 42,864 38,753 51,388 45,751 47,532 42,977

53 60 1,173 △ 194 113

- - - - -

前中期目標期間繰越積立金取崩額 - - - 424 78

53 60 1,173 229 192

区分 区分

収入 支出

 運営費交付金  一般管理費

 施設費補助金  事業経費

 補助金収入  施設費

 事業等収入  補助金事業

 受託経費

区分 区分

備考(指標による分析結果や特異的なデータに対する説明等)・平成22年度の補助金収入及び補助金事業の増加は、新たな補助金(地球観測システム研究開発費補助金、最先端研究開発戦略的強化費補助金、高性能汎用計算機高度利用事業費補助金)の交付による。・平成22年度の事業等収入の減少は、事業外収入が減少したことなどによる。・平成22年度の受託収入及び受託経費の減少は、平成21年度に終了した地震・津波観測監視システム構築の受託がなかった(地球観測システム研究開発費補助金となった)ことなどによる。・平成21年度の受託収入の増加は、平成20年度補正予算による受託研究の入金が当該年度にあったことなどによる。・平成21年度の補助金収入の増加は、新たな補助金(研究開発施設共用等促進費補助金)の交付による。・平成20年度の受託収入及び受託経費の減少は、平成19年度に終了した海外試験掘削の受託がなかったことなどによる。

費用 収益

(単位:百万円)

 計  計

 経常費用  運営費交付金収益

  研究業務費  受託収入

  一般管理費  その他収入

  受託費  資産見返負債戻入

  減価償却費  臨時利益

 財務費用

備考(指標による分析結果や特異的なデータに対する説明等)・平成22年度の受託費及び受託収入の減少は、平成21年度に終了した地震・津波観測監視システム構築の受託がなかった(地球観測システム研究開発費補助金となった)ことなどによる。・平成21年度より第二期中期目標期間であることから、前中期目標期間より繰越した積立金の取崩により、収益と費用の計上年度のずれによる損失を相殺している。・平成21年度の受託費及び受託収入の増加は、二会計年度にまたがる受託契約の精算を行ったことによる。・平成21年度の財務費用の増加は、地球シミュレータのリース契約に係る支払利息の増加などによる。・平成20年度の運営費交付金収益は、中期目標期間最終年度の会計処理による運営費交付金債務の全額収益化が含まれる。・平成20年度の臨時損失は地球シミュレータ等の資産の除却損であり、臨時利益は地球シミュレータ等の資産の除却に係る資産見返負債の戻入によるものである。・平成19年度の受託費及び受託収入の増加は、二会計年度にまたがる受託契約の精算を行ったことによる。

 臨時損失

 計  計

総利益(総損失)

(単位:百万円)

純利益(純損失)

目的積立金取崩額

参考-1

18年度 19年度 20年度 21年度 22年度 18年度 19年度 20年度 21年度 22年度

40,316 46,424 42,581 43,026 40,885 46,598 47,941 45,101 48,841 46,268

3,349 10,221 46,442 24,213 26,010 35,734 37,190 38,431 38,560 36,337

1,207 1,068 858 2,522 2,560 7,477 7,569 4,070 6,370 3,175

11,536 7,581 1,366 4,517 6,793 3,387 3,182 2,601 3,911 6,757

799 5,826 38,565 24,070 25,463

786 810 329 560 450

13 5,016 38,235 23,510 25,013

1,609 0 0 0 0

4 △ 9 0 0 0

7,398 11,536 7,581 1,366 4,517

56,408 65,294 91,247 74,278 76,248 56,408 65,294 91,247 74,278 76,248

【参考資料2】貸借対照表の経年比較(過去5年分を記載)

18年度 19年度 20年度 21年度 22年度 18年度 19年度 20年度 21年度 22年度

16,484 12,386 12,622 11,861 13,773 15,574 11,057 12,377 12,145 13,848

93,773 89,119 96,690 88,115 82,015 8,169 9,306 20,345 16,924 16,217

23,743 20,362 32,722 29,069 30,065

84,215 84,215 84,215 84,215 84,215

2,704 △ 2,727 △ 8,453 △ 13,791 △ 19,087

△ 406 △ 346 827 482 596

( 53) ( 60) ( 1,173) ( 229) ( 192)

86,514 81,142 76,590 70,906 65,723

110,257 101,505 109,312 99,975 95,788 110,257 101,505 109,312 99,975 95,788

区分

 翌年度への繰越金   その他の収入

 投資活動による収入

資金支出 資金収入

 業務活動による支出  業務活動による収入

 財務活動による収入

 財務活動による支出   受託収入

区分 区分

  運営費交付金による収入

資産 負債

 資金に係る換算差額

 前年度よりの繰越金 計  計

備考(指標による分析結果や特異的なデータに対する説明等)・平成19~22年度の投資活動による支出及び収入は、定期預金への預入と満期解約が主なものである。・平成22年度の受託収入の減少は、平成21年度に終了した地震・津波観測監視システム構築の受託がなかった(地球観測システム研究開発費補助金となった)ことなどによる。・平成22年度のその他の収入の増加は、新たな補助金(地球観測システム研究開発費補助金、最先端研究開発戦略的強化費補助金、高性能汎用計算機高度利用事業費補助金)の交付による。・平成21年度の財務活動による支出の増加は、地球シミュレータのリース契約に係る支払利息の増加などによる。・平成20年度の受託収入の減少は、平成19年度に終了した海外試験掘削の受託がなかったことなどによる。

区分

 流動資産  流動負債

 固定資産  固定負債

 負債合計

純資産

 資本金

 資本剰余金

 利益剰余金又は繰越欠損金(△) (うち当期未処分利益又は当期未処理損失(△))

 純資産合計

 資産合計 負債純資産合計

備考(指標による分析結果や特異的なデータに対する説明等)・平成22年度の流動資産及び流動負債の増加は、翌会計年度にまたがる受託契約に係る収入支出額を一時的に計上したことなどによる。・平成21年度の流動負債及び固定負債の減少は、地球シミュレータに係るリース債務の返済進捗などによる。・平成20年度の固定資産の増加は、更新後の地球シミュレータの計上等による。・平成20年度の流動負債の増加は、ちきゅう関連の貯蔵品に対する資産見返運営費交付金の計上、更新後の地球シミュレータの短期リース債務、受託研究の前受金の増等による。 固定負債の増加は更新後の地球シミュレータに係る長期リース債務の計上等による。・平成18年度~22年度の資本剰余金の減少は、地球深部探査船「ちきゅう」に係る損益外減価償却累計額の増加等による。

(単位:百万円)

(単位:百万円)

  施設費による収入

  その他の収入

 投資活動による支出

参考-2

【参考資料3】利益(又は損失)の処分についての経年比較(過去5年分を記載) (単位:百万円)

18年度 19年度 20年度 21年度 22年度

53 60 1,173 229 192△ 458 △ 406 △ 346 - -

△ 406 △ 346 - - -

- - 827 229 192

【参考資料4】人員の増減の経年比較(過去5年分を記載)18年度 19年度 20年度 21年度 22年度

79 73 66 62 58158 163 204 195 199365 371 419 437 445161 109 106 116 12488 55 53 50 5077 41 32 25 46162 236 233 261 245

備考(指標による分析結果や特異的なデータに対する説明等)・平成21年度における任期制研究職の主な増加要因は外部資金を財源とする研究者及び若手研究者の採用によるものである。・平成21年度におけるその他(嘱託、スタッフアシスタント等)の主な増加要因は研究支援パートタイマーの増員等によるものである。

(単位:人)

区分Ⅰ 当期未処理損失 当期総利益(当期総損失) 前期繰越欠損金

Ⅱ 次期繰越欠損金

Ⅱ 利益処分額 積立金

出向契約職員その他(嘱託、スタッフアシスタント等)

職種定年制研究職定年制事務・技術職任期制研究職任期制事務・技術職船員

備考(指標による分析結果や特異的なデータに対する説明等)・平成22年度の当期総利益は、自己収入等による資産購入などにともなう一時的な収益の超過及び翌会計年度にまたがる受託契約などから生じる消費税の還付金により生じたものである。・平成21年度の当期総利益は、自己収入等による資産購入などにともなう一時的な利益であり、次年度以降の減価償却費計上等により、将来的には損益の均衡が見込まれる。・平成20年度の当期総利益は、リース資産(更新後の地球シミュレータ等)の計上等にともなう消費税の還付金による自己収入の超過及び中期目標期間最終年度における運営費交付金債務の収益化により生じたもので、この利益により、前年度までの繰越欠損金を解消している。・平成19年度までの繰越欠損金の主な要因について、承継した流動資産(研究用資材など)を消費したことにより生じた損失は、運営費交付金で購入した流動資産に認められている損益均衡の処理が、承継した流動資産には認められていないという独法会計基準上の会計処理の相違によるもので、業務運営上やむを得ないものである。ファイナンス・リースについては、リース期間の総額においては収益と費用が同額であるものの、各年度においては収益と費用は一定ではないため、一時的に損失(又は利益)が生じたものである。

参考-3

項目別-1

独立行政法人海洋研究開発機構の平成22年度に係る業務の実績に関する評価

【(大項目)1】 Ⅰ 国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためにとるべき措

置 【評定】

A 【(中項目)1-1】

1.海洋科学技術に関する基盤的研究開発

【(小項目)1-1-1】 (1)重点研究開発の推進

【1-1-1-①】 ①地球環境変動研究 【評定】 A

H21 H22 H23 H24 H25

【法人の達成すべき目標(計画)の概要】 ・地球温暖化を含む気候変動の要因を明らかにするための観測や解析、古気候の再現を含む総合的な予測モデルの構築と数値実

験を行うことにより、大気、熱・水循環および生態系に与える影響の評価、沿岸海域およびアジア地域における地球環境変動に関

する予測精度の向上、一般社会における気候変動への対策等、地球規模での問題の解決や防災・減災に向けた対策に貢献す

る。 ・全球地球観測システム(GEOSS)等国内外の関係機関と連携した地球環境変動研究を行うことにより、国際的な地球観測計画の策定・実施や気候変動に関する政府間パネル(IPCC)における地球環境問題の検討に貢献する。

A - - - -

【インプット指標】 (中期目標期間) H21 H22 H23 H24 H25 予算額(百万円) 3,228 3,218 - - -

従事人員数(人) 219 212 - - -

*従事人数については本項目に関連する部署の所属人数の合計。(ただし担当者が明らかな場合は当該部署の担当者数をカウント)

複数の項目にまたがる部署については重複して人数をカウントしており、評価書全体での「インプット指標」の合計と職員数は一致しな

い。兼務者は含まない。

評価基準 実績 分析・評価

・ 中期計画の達成に向けて、平成 22 事業年

度の業務運営に関する計画に記載されて

いる事項が達成されているか。

【平成 22 年度計画に記載されている事項の達成状況】

【平成 22 年度計画に記載されている事項の達成状況】

・海洋環境変動研究の研究活動は、初年度に比較し、整理

されて実行されており、多方面にわたり進展が認められる。

まず、インパクトが大きく、質の高い論文が発表されており、

世界に誇れる研究成果が多数生み出されているものと判断

できる。また、本研究において得られたデータや成果は、研

究者のみならず、気象庁や水産庁をはじめ広く一般社会で

活用されている点も評価できる。

項目別-2

<計画記載事項>

(海洋環境変動研究)

海洋環境の根幹である海洋大循環、海洋

生態系、および海洋における物質の輸送

過程等との相互関係を中心に、気候変動

が海洋環境に与える影響とそれらによる複

雑な応答過程を理解することにより、気候

変動に対する海洋の役割を明らかにする。

これにより、将来の気候変動の予測や対

応策の策定に資する。また、全球地球観測

システム(GEOSS)等の国際的な観測計画

の策定に寄与する情報を提供する。

(海洋環境変動研究)

・Argo 全球観測網構築のため、Argo フロートを太平洋、インド洋、南太平

洋に 58 台投入するとともに、データの品質監視・解析を進める。国際 Argo

計画の推進に貢献。

・大深度観測用次世代フロートを製作し、実験室内における動作試験や容

器の耐圧試験などの様々な試験を開始した。

・酸素センサー付きArgo フロートを試験投入し、続流域への集中展開計画

立案へと発展させた。

・フロートデータから中層の流速場を作成し、それを用いて南半球海洋循

環を推定した。

・P21 観測結果をデータブックとして出版。

・大洋縦横断観測結果から南インド洋で人為起源 CO2 が増加していること

を発見した。

・黒潮続流域に設置したブイにより熱フラックスを計測した。

・Argo 流速データの同化などの高度化を施し、4次元同化データセットを更

新した。

・世界全体で起きている現象であるが、購入した機器の故障により、Argo

ブイの投入の一部遅延があった。

・観測研究について、機構に期待されている基盤的観測を着

実に実施している。また、観測データを予測研究に用いるな

ど、研究グループ間の連携に配慮して進めている点も評価

できる

・予測研究について、数値モデルを用いた予測研究結果は、

IPCC(気候変動に関する政府間パネル)や研究者コミュニテ

ィ、漁業関係者など幅広く利活用されていることが認められ

る。また、(1)不確実性の低減を目指した全球地球温暖化予

測研究、(2)局地的な現象や大規模な現象の細部を表現可

能な予測手法の開発研究、(3)数年から数十年程度の短期

的な気候変動の予測と実用化の研究は、我が国の気候変

動の予測に役立つと考えられる。

(海洋環境変動研究)

・Argo フロートを太平洋、インド洋、南太平洋に 58 台投入す

るとともに、観測の高度化、多機能化等にも積極的に取り組

んでおり、研究はほぼ順調に進捗している。

・また、フロートデータは南半球海洋循環の推定等に活用さ

れている。

・Argo 計画や大洋縦横断観測は、国際的な枠組みとして位

置づけられており、機構の取組は、海洋観測研究における

日本の地位の向上に着実につなげられている。

・購入した機器の故障による Argo ブイの投入の一部遅延に

関しては、原因追及と再発防止の努力が必要である。

項目別-3

<計画記載事項>

(熱帯気候変動研究)

様々な時空間スケールを持つ擾乱が現れ

る太平洋からインド洋にかけての熱帯域で

発生する、地球環境変動システムへの影響

が大きい大気・海洋の変動である、エルニ

ーニョ現象、インド洋での類似現象であるダ

イポールモード現象、モンスーン、および大

気の主要な変動であるマッデン・ジュリアン

振動について、各現象とそれらの相互関係

に関する研究を行うことで、全球規模の地

球環境変動に関する予測精度の向上等に

貢献する。

<計画記載事項>

(北半球寒冷圏研究)

海氷変動や永久凍土の融解など地球温暖

化等、気候変動の兆候が現れるとされる北

半球の寒冷圏を対象に、海洋-雪氷-大

気-陸域の相互作用からなる気候システム

の変動と過程を理解し、地球温暖化の寒冷

圏への影響を評価する。

(熱帯気候変動研究)

・インド洋・太平洋の国際的な熱帯係留ブイ網を維持強化した。インド洋で

3基運用体制を確立、国際インド洋ブイ網(RAMA)に貢献した。

・長期・安定的な大気/海洋の観測をめざし、新興国への技術移転・人材

育成と運用参画を推進(SATREPS など)した。アジア地域でブイやレーダ

ー観測網と研究協力を強化した。

・インド洋の国際的な集中観測による MJO 発生機構を対象とするプロセス

研究「CINDY2011」を提案し、国際的に研究機関が参加する国際計画とな

った。

・インドシナ地域の冬季モンスーン時の豪雨現象解明のためフィリピン~ベ

トナムにかけて「環南シナ海集中観測」を実施した。また、西部熱帯太平洋

域において大気/海洋を総合的に観測する PALAU2010 を実施した。

(北半球寒冷圏研究)

・北極海における「みらい」による海洋物理・生物化学観測およびシベリア・

モンゴルにおける雪氷水文観測をほぼ順調に実施した。

・現場観測・衛星データ・解析データを用いて温暖化による北極域寒冷圏

の変化・プロセスおよび影響を明らかにした。

・海洋・陸域生態系と物質循環の変動に関する時系列観測を実施した。

・高解像度モデルを用いた温暖化に対する海洋生態系の応答予測

・大気微量成分四次元データ同化システムを高度化し、地上観測網や衛

星観測データなどを用いた高精度な全球濃度分布推定および地表放出源

強度分布推定法を開発した。

・最終退氷期初期の北太平洋における深層水形成を明らかにした。

・沖縄辺戸岬における低濃度 NO2の連続測定に成功~GEOSS貢献

・北太平洋亜帯域の季節変動を明確にするための海洋観測を行い、船舶

と係留系による生物地球化学データを取得した。

・多くの観測データを取り纏め、北太平洋亜寒帯域の溶存二酸化炭素量

の季節・経年変化についての知見を公表した。

・セジメントトラップ、基礎生産力、天然放射性核種、植物色素等のデータ

ベースを作成し、公表準備を終えた。

(熱帯気候変動研究)

・全球規模の地球環境変動に関する予測精度の向上を図る

ためのインド洋や西部熱帯太平洋域における熱帯係留ブイ

網の維持と強化は、国際的な協力の中で順調に実施され

た。

・国際共同の下、インド洋や南シナ海において船舶を用いた

観測活動が展開され、同地域の気象・気候変動解明に向け

た貴重なデータを得ている。

(北半球寒冷圏研究)

・北極海における海洋観測や、シベリアやモンゴルにおける

気象雪氷水文観測が充実されており、これまでにないデータ

を得ていることは評価できる。

・とりわけモンゴル凍土観測網を従来の 20地点から 40地点

に強化したことは、今後の凍土融解の実態把握に大きな貢

献をすると考えられる。

・海氷減少に伴うバレンツ海での高気圧強化の後、1週間で

日本を冬季吹き出しが襲うという新知見は、海洋-雪氷-

大気-陸域の相互作用からなる気候システムの変動と、そ

の物理過程を理解する上で興味深い成果である。また、この

成果は、冬季長期予報の精密化に貢献するもので、社会的

にもインパクトの高いものと言える。

項目別-4

<計画記載事項>

(地球温暖化予測研究)

これまでに機構が構築してきた全球気候変

動予測モデルである「地球システム統合モ

デル」をもとに、10 年から 100 年を超える

長期までの全球的気候変動を精度よく予測

できるモデルを構築し検証を行う。これによ

り、長期的な地球温暖化の適応策・緩和策

に資する情報提供を行う。

・外洋からつながる沿岸域の経年変化に関する知見について集積を始め

た。

(地球温暖化予測研究)

・中期計画にある気候変動過程の研究では、重力波パラメタ化を用いない

気候モデルを長期積分し、地球温暖化に伴う赤道成層圏準二年振動

(QBO)への影響を世界で初めて明らかにした。また、東アジアモンスーン

の寒気吹き出しに伴う熱帯擾乱の生成過程を明らかにした。

・地球システム統合モデル(ESM)に係わる気候モデル(MIROC)の開発・

改良では、プロセス解像モデルに基づいた本格的研究の段階に突入し

た。更に、MIROC を用いた古気候再現実験による気候モデルの性能評価

を行った。又、氷床モデルの開発を行った。

・IPCC-AR5 に向けて、代表的濃度経路(RCP)シナリオ作成を分担するとと

もに、土地利用変化排出の整合性の評価を行った。又、メタデータ変換ツ

ールを完成させるなど温暖化予測データ公開サーバの利用環境整備を行

った。更に、我々が開発した ESM を用いて将来環境シナリオ(RCP シナリ

オ)に沿った予測実験を行った結果、以下の成果が得られた。

・全球平均地上気温の産業革命以降の上昇を 2℃以下に抑えるシナリオ

の実現には、今世紀半ば以降化石燃料からの CO2 排出を零とし、更には

大気中の CO2 を回収しなければならないことが判明した。

・ESM を用いた予測実験結果から、これまでは明確になっていなかった中

層大気の温暖化時の変化を初めて明らかにした。温暖化の進行との相互

作用を考慮したオゾンホールの消長の予測、赤道26ヶ月周期変動(QBO)

の予測、中層大気循環の変動の詳細を、メカニズムも含めて捉えることが

できた。

・ESM の炭素循環部分から生ずる不確実性を理解・評価するために

MIROC・LCM を開発し、RCP4.5 についてアンサンブル実験を行い ESM に

よる結果との比較解析を開始した。炭素循環モデルの持つ不確実性の理

解・評価は重要で且つ難しいテーマであるが、MIROC・LCM がそのための

有効なモデルであることを確認した。

・今回開発した ESM は温暖化する中での植物の種類の変化も予測できる

モデルである。モデルは RCP4.5 シナリオについて北方落葉樹林の衰退と

北方常緑樹林の成長を予測している。

(地球温暖化予測研究)

・重力波パラメタ化を用いない気候モデルにより、地球温暖

化に伴う赤道成層圏準二年振動(QBO)への影響を世界で

初めて明らかにしたことは大きな成果である。

・長期気候変化を精度良く再現するため、氷床モデルを開発

するなど、地球システム統合モデル(ESM)の開発に向けた

着実な進展があった。

・代表的濃度経路(RCP)シナリオに沿った予測実験を行い、

全球平均地上気温の産業革命以降の上昇を 2℃以下に抑

えるシナリオを実現するためには、今世紀半ば以降化石燃

料からのCO2 排出を零とし、更には大気中のCO2を回収し

なければならないことを示しており、長期的な地球温暖化の

適応策・緩和策を検討するために重要な知見を得ることに成

功した。

・動的全球植生動態モデルを用いた実験、海域生態系モデ

ルを用いた実験など、地球気候システムを総合的に理解す

るための素過程実験も並行して行われている。それらを統合

し、温暖化による気候システムの変化の解明を目指すことが

望まれる。

項目別-5

<計画記載事項>

(短期気候変動応用予測研究)

人類の社会生活や産業・経済活動に大きな

影響を及ぼす極端な現象や異常気象等の

自然現象を生み出す要因となる気候変動

について、精度の高い数か月から数年規模

の予測研究を行うことにより、社会からの要

請に応える。また、インド洋・太平洋を中心

とするアジア・アフリカ地域などで実証研究

を推進し、研究成果の国際展開を行う。

<計画記載事項>

(次世代モデル研究)

高精度な気候変動予測を実現するために、

超高解像度大気循環モデルや高解像度海

洋大循環モデルをもとに、より高精度な先

端的モデルを構築し、数値実験を行う。

(短期気候変動応用予測研究)

・エルニーニョもどきのアジア域の気候への影響、海面水温の長期トレンド

が短期気候変動の予測可能性に与える影響、大西洋で顕著な結合モデ

ルのバイアスの原因究明、冬季東アジアモンスーンの経年変動、黒潮続

流域での経年変動の予測可能性、などに関する数値実験と結果の解析を

進め、多くの成果を発信した。

・海洋内部波や混合過程などの素過程に関する研究を進めた。

・2009~11 年のエルニーニョおよびラニーニャ現象の予測に成功し、その

結果を広く一般社会へ還元した。

・SINTEX-F2 の最適化を行い、結果の評価検証を進めた。

・SINTEX-F による予測結果データを先進的な穀物モデルと結びつける準

備を進めた。

・準全球の海流予測システム(JCOPE )および海流-潮汐モデル

(JCOPE-T)を完成させ、それらの解析・予測データを実利用者へ提供し

た。

・JCOPE2 へアンサンブルカルマンフィルターを導入、海底摩擦過程の改

良などの高度化を図った。

(次世代モデル研究)

・海氷モデルを高度化した。特にマルチカテゴリーモデルを導入したので、

現実的な熱力学過程(海氷は断熱材として働く・薄い海氷ほど熱が抜け

る)がシミュレーションされるため、海氷の再現精度が大幅に向上した。

・NICAM の領域スケール版を用いた準リアルタイム予報的計算システムを

構築し、5 月から 6 月に実施された集中観測 PALAU2010 において予報デ

ータの観測現場への発信を行った。集中観測 PALAU2008 を対象とした

3.5km 格子全球雲解像数値計算(10 日分)を完了し得られた結果を、季節

内変動、赤道波、台風の観点から雲降水システムの変動を解析した。

・全球雲解像モデルを用いた夏季8年分の7km格子幅の現在気候実験に

おいて、季節内変動や台風の強度について現実的な結果が得られた。こ

れは将来の台風変化の信頼性の向上に寄与するものである。また、雲降

水システム予測の不確実性低減のための物理過程の高度化に関して、上

(短期気候変動応用予測研究)

・「エルニーニョもどき」のアジア域の気候への影響など、短

期気候変動の予測可能性に与える様々な影響が検証され、

多くの知見を得ている。

・とりわけ 2009~11 年にかけて進行したのエルニーニョとラ

ニーニャ現象の予測に成功し、その結果を広く一般社会へ

還元したことは特筆すべき成果である。

・従来の海流予測システムである JCOPE を拡張し、準全球

を対象としたこと、潮汐を組み込んだこと、海底摩擦過程を

改良したことなど、着実な進展があった。

・本研究チームは、観測研究を主体とする研究チーム、地球

シミュレータ内の研究チームと密接な連携をもとに研究を進

めており、今後もこの姿勢を持続すべきである。

(次世代モデル研究)

・地球環境変動研究領域の他のチームと共同し、数値モデ

ルの高度化に向けた試みが多数行われ、着実にモデルの

高度化が進展した。

・具体的に数例を挙げれば、海氷モデルの高度化、準リアル

タイム予報的計算システムの構築、全球ネスト海洋モデルの

構築に成功した。特に、全球雲解像モデルを用いた数値実

験の結果は、季節内変動や台風の強度について現実的な

結果が得られており、台風予報の信頼性向上に役立つこと

はもとより、気候感度の低減に寄与するものである。

項目別-6

・ 「独立行政法人の事務・事業の見直しの基

本方針」において、「研究プロジェクトにつ

いて、優先度を踏まえた上で整理統合を行

い、重点化する。特に、次世代モデル研究

については見直しを行う。(略)」と指摘され

ている点について、適切に対応している

か。

・ 平成 21 年度業務実績評価において「幅広

い研究テーマが設定されており、発散的、

総花的に見える部分もあるため、今後は、

例えば領域長と担当理事の権限と業務の

分担を見直すなど、ひるような体制を整備

し、全体として進むべき方向性についての

明確化と分野間連携を強化することが必

要である。」と指摘した点について、適切に

対応しているか。

層雲のバイアスを CALIPSO 雲量で同定し改良を行った。この結果は気候

感度の不確実性幅の低減に寄与するものである。

・温暖化実験における日本近傍の予測精度を向上させるために、日本近

傍を選択的に高解像度化できる全球ネスト海洋モデルの開発を継続して

行った。今年度は、前年度までに開発された全球ネスト海洋モデルを、大

気モデルと結合させたモデルシステムを開発し性能を検証した結果、ネス

ト領域である日本近傍で黒潮経路等が高精度で再現されており、今後の

温暖化実験における日本近傍の気候変動予測精度の向上の可能性を確

認した。更に、海洋モデルの座標系を従来の双極座標系に加えて、三極

座標系も扱えるように改良した。これにより北極海を除くほとんどの領域

で、観測データ等と親和性の良い緯度経度座標系を使うことが可能になっ

た。

【「独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針」への対応】

5~10 年先に予想されるコンピュータ性能の向上を見越した次世代モデル

研究について、これまでに得られた成果を地球温暖化予測研究に集約化

し、科学的信頼性の高い局地的な温暖化評価に必要となる気候・環境予

測に関するモデル開発を行う内容に見直した。

【平成 21 年度業務実績評価の指摘事項への対応】

研究担当理事のリーダーシップのもと、分野横断型の研究体制から生み

出される学際的な成果と中期目標及び自部門の目標の連鎖を明確にする

ため、領域におけるプログラムの方向性や位置付けを整理するとともに、

プログラム間連携やチーム間連携の強化に努めた。

【「独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針」への対

応】

・次世代モデル研究と地球温暖化予測研究の整理統合集約

化することとし、新チームは気候・環境予測に関するモデル

開発を行うものへと重点化された。今後、気候モデル開発の

一層の迅速な進展が期待される。

【平成 21 年度業務実績評価の指摘事項への対応】

・前年度は一部総花的に見える部分があったものの、今年

度は整理集約化が行われるとともに、ロードマップも検討さ

れた。

・今後は、領域全体での目標の共有化とチーム間や研究者

間の連携を更に進める進める必要がある。また、研究テーマ

の絞り込みについては、社会への還元も意識した中長期的

な視点に基づき、さらにメリハリをつけることも必要である。

・研究の進展に応じて、自己評価と分析を行う必要があり、

その際には、全体として進むべき方向性の再検討にも柔軟

に対応することが望まれる。

項目別-7

(評価の視点)

・ 物質循環研究については、優先度を決め

た上で効率的・効果的な取り組みが行われ

ているか。

・ 震災対応への貢献はどうか。

【物質循環研究についての取組み】

チーム間連携を強化するために、8 つの研究チームを 6 つに再編した。研

究チーム間の理解を促進するため、プログラム付き上席研究員によるレビ

ューセミナ―シリーズを開催した。プログラムとしての研究の方向性を(1)

生態系が関与する二酸化炭素などの物質循環の素過程の観測的研究と

モデル化、および(2)海洋および大気における二酸化炭素などの温室効

果気体の 4次元同化データセットの作成の 2つに整理し、それらの方向性

のもとで各研究チームのロードマップを見直しチーム間連携の強化を図っ

た。

【東日本大震災への対応】

文部科学省の要請を受けて、海域モニタリングならびに放射能濃度のシミ

ュレーションを実施した。

【物質循環研究についての取組み】

・重要度の観点からの集約化は十分なされたと判断する

・また、各研究チームのロードマップを見直して、チーム間の

連携強化を図ったことは評価できる。

【東日本大震災への対応】

・船舶を供出して海域モニタリングを行うとともに、数値モデ

ルによる海域における放射能濃度のシミュレーションを行う

など、突発的な災害対応に迅速かつ柔軟に対応したことは

高く評価できる。

項目別-8

【1-1-1-②】 ②地球内部ダイナミクス研究 【評定】

A

H21 H22 H23 H24

【法人の達成すべき目標(計画)の概要】 日本列島周辺海域、西太平洋域を中心に地震・火山活動の原因、島弧・大陸地殻の進化、地球環境変遷等についての知見を蓄積

するため、地球表層から地球中心核に至る固体地球の諸現象について、その動的挙動(ダイナミクス)に関する研究を行う。これによ

り、巨大海溝型地震・津波への対応等日本近傍における防災・減災に貢献するため、地震・津波・火山活動等についてそれらを引き

起こす基本原理の理解に基づくモデル化と予測・検証を行う。 A - - -

【インプット指標】 (中期目標期間) H21 H22 23 H24 H25 予算額 百万円) 1,301 1,093 - - -

従事人員数(人) 124 130 - - -

*従事人数については本項目に関連する部署の所属人数の合計。(ただし担当者が明らかな場合は当該部署の担当者数をカウント)

複数の項目にまたがる部署については重複して人数をカウントしており、評価書全体での「インプット指標」の合計と職員数は一致しな

い。兼務者は含まない。

評価基準 実績 分析・評価

・ 中期計画の達成に向けて、平成 22 事業年

度の業務運営に関する計画に記載されて

いる事項が達成されているか。

<計画記載事項>

(地球内部ダイナミクス基盤研究)

地球表面から中心核に至るまで地球の構

造・組成とその時空間分布・変動に係る観

測・調査、実験・分析を行い、地球内部の

基本的なダイナミクスの過程を解明する。

【平成 22 年度計画に記載されている事項の達成状況】

(地球内部ダイナミクス基盤研究)

・南海トラフ震源域構造探査により、九州ーパラオ海嶺が南海連動性地震

のセグメント境界であることを明らかにした。

・地震波トモグラフィー像と地球シミュレータによるマントル対流計算から、

滞留スラブの原因を解明した。

【平成 22 年度計画に記載されている事項の達成状況】

・海洋研究開発機構独自の取組みが多方面でなされてお

り、優れた研究が行われていると判断される。

・今後、研究を更に発展させるため、観測研究とシミュレーシ

ョン研究の更なる連携が望まれる。

・また、本領域の研究成果は、防災等に直接的に役立つ内

容が含まれており、社会への還元を進めるため、関連省庁

や地方自治体等との更なる連携が期待される。

・東日本大震災に関連して、本領域の研究が、科学的側面

からの理解にどのように貢献しているのか、国民に分かりや

すく説明していく必要がある。

(地球内部ダイナミクス基盤研究)

・地球浅部(地殻)から深部に至る領域について、観測、室内

実験、数値シミュレーションにより多くの研究成果を得てい

る。また、次項目の地球内部ダイナミクス発展研究と緊密で

適切な連携が行われていると判断できる。

項目別-9

<計画記載事項>

(地球内部ダイナミクス発展研究)

基盤研究の成果を融合させ、地殻活動を把

握するため、沈み込み帯のダイナミクスの包

括的理解を目的とした観測調査研究、科学掘

削で得られた掘削コア試料を用いた研究な

ど、世界をリードする発展的な研究を実施す

る。

・マントルの化学的端成分である HIMU の成因が沈みこんだ海洋性地殻と

マントル物質との最下部マントルでの混合であること、EM1 が大陸地殻形

成の残渣である反大陸地殻とマントル物質との混合であることを明らかに

した。

・液体金属室内実験により、磁場のもとで対流パターンが自発的に逆転す

ることを明らかにした。

・堆積物同位体分析によって白亜紀オントンジャワ海台形成の様相(最初

に海上噴火、次に海底噴火)がわかった。

・世界最高速度GPU-DEMのソフトウェアを開発し、斜面崩壊などに応用し

た。

・自己重力・自由表面をもつ初期地球形成・マントル対流計算手法を開発

した。

(地球内部ダイナミクス発展研究)

・IODP 南海掘削コア分析によって巨大分岐断層の高速スリップ・大地震に

よる付加体での斜面崩壊の証拠、沈み込み前の海洋地殻玄武岩の粘土

鉱物への変成を明らかにした。

・熊野灘のデコルマをすべり面とする超低周波地震が発生していることが

明らかになった。

・構造探査によりオントンジャワ海台の分厚い地殻構造と海台形成後の火

山活動の痕跡が得られた。

・現実的な地震発生過程を説明する階層アスペリティーモデルを提案。

・モホール候補 3地点が国際的に認められた。

・掘削孔近傍の応力状態や掘削コア試料を用いた摩擦・浸透特性につい

て顕著な研究成果を得て国際誌にて多くの査読論文を発表した(筆頭論

文 4編を含めて計 16 編、そのうち Nature に 1 編)。

・南海付加体の類似である房総・江見付加体の断層帯において、地震時

に高温流体との相互作用が起こったことを明らかにした。

・観測により九州ーパラオ海嶺が南海連動性地震のセグメン

ト境界であることを解明したことは、同海域の連動地震の発

生過程を考察する上で大きな前進である。

・自己重力・自由表面をもつ初期地球形成やマントル滞留計

算手法を開発したことは高く評価できる。地球磁場の形成過

程の考察など、今後の発展が期待できる。

・今後、地球浅部から深部に至るまでのダイナミクスを統合

し、新たな地球像の創出を期待する。

(地球内部ダイナミクス発展研究)

・将来地震発生が予想される南海・東南海・東海域を対象と

した研究では、多くの顕著な業績を上げている。とりわけ、海

溝軸近傍での高速滑りの発見や、ゆっくり地震とデコルマの

関係の発見は、海洋研究開発機構の特長が十分に発揮さ

れた成果と認められる。

・特に、IODP 南海掘削コアを分析することで、巨大分岐断層

の高速スリップ・大地震による付加体での斜面崩壊の証拠、

沈み込み前の海洋地殻玄武岩の粘土鉱物への変成を明ら

かにし、地殻活動への理解を深めた。

・また、沈み込み帯のダイナミクスの包括的理解を目的とし

た観測調査研究を房総・江見付加体の断層帯において実施

し、地震時に高温流体との相互作用が起こったことを明らか

にしている。

・ここで得られた成果を、東北地方太平洋沖地震に適用し、

その発生要因を検証することを期待する。

項目別-10

・ 「独立行政法人の事務・事業の見直しの基

本方針」において、「研究プロジェクトにつ

いて、優先度を踏まえた上で整理統合を行

い、重点化する。(略)地震研究について

は、防災科学技術研究所との統合を念頭

に、さらに緊密な連携を進める。(略)」

「(略)地球内部ダイナミクス研究について

は、平成21年11月の事業仕分けの結果を

踏まえ、より一層の効率的・効果的な実施

に進めることとする。」と指摘されている点

について、適切に対応しているか。

・ 平成 21 年度業務実績評価において「今

後は、平成 21 年度実施の事業仕分けの

際の機構の研究は大学でもできるので

はないかとの指摘も踏まえ、独自の成果

について国民にとって分かりやすい研究

成果の発信方法について工夫することが

必要と判断される。」と指摘した点につい

て、適切に対応しているか。

・ 平成 21 年度業務実績評価において「全体

としての統一的な理解に向けて分野間で

協力することも必要と考えられる。」と指摘

した点について、適切に対応しているか。

(評価の視点)

・ 総花的に取り組むのではなく、各個別テー

マが中期目標達成に向けてどう貢献する

のかを明確にした取り組みが行われてい

るか。

【「独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針」への対応】

地震研究については、防災科学技術研究所との統合を念頭に、地震・津

波観測監視システムに係る観測データ等の相互交換に関する協定書を平

成 23 年 3 月 1 日に締結し、平成 23 年度より同協定に基づき両者の地震

観測に係る伝送システムを統合して地震観測データについてリアルタイム

で共有しており、相互連携を進めている。

地球内部ダイナミクス研究については、平成 21 年度の事業仕分けを受

け、平成 22 年度要求額より 202,141 千円を削減したところ。また、平成 22

年度の指摘を受け、研究費のさらなる削減を図り、平成23年度要求額より

19,988 千円を削減した。(平成 23年度予算額は、平成 21年度予算額と比

較して、248,678 千円を削減)

【平成 21 年度業務実績評価の指摘事項への対応】

平成 22 年度は前年度よりも更に、本研究の特徴である、絞り込んだ研究

対象(主たる研究対象は太平洋下のマントル下降流プロセスと上昇流プロ

セス)、大学では困難な研究手段(JAMSTEC 調査船による観測調査や地

球シミュレータを用いた大規模数値シミュレーション)、学際性(地球物理

学・地質岩石学・地球化学研究者が同一テーマで連携)を明確化するよう

努めた。平成 23 年度からは組織を一部改組して、この点を更に明確化す

る。

【平成 21 年度業務実績評価の指摘事項への対応】

領域長の指導のもと、中期目標を達成するために、三つの組織(地球内部

ダイナミクス領域、高知コア研究所および宇宙・地球表層・地球内部の相

関モデリングラボユニット)のそれぞれ異なる得意分野を結合させる方向

性を明確化させ、各分野間の協同を実質的に遂行できるようにはかった。

領域長の指導のもと、研究計画をたてる際に中期計画に沿った毎年度の

計画を立てている。

【「独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針」への対

応】

・防災科学技術研究所とさらに緊密な連携を進めるため、地

震・津波観測監視システムに係る観測データ等の相互交換

に関する協定書を締結し、観測データの伝送システムを統

合しており、相互連携の着実な進展が認められる。

・効率的・効果的な研究の実施を進め、研究予算の削減が

行われた。

【平成 21 年度業務実績評価の指摘事項への対応】

・大学では困難で本機構に期待される研究や学際的な研究

へと取り扱う研究対象を絞り込む努力が認められる。

【平成 21 年度業務実績評価の指摘事項への対応】

・機構内にある3組織(地球内部ダイナミクス領域、高知コア

研究所および宇宙・地球表層・地球内部の相関モデリングラ

ボユニット)の取り組みを有機的に結合させる努力が認めら

れる。

研究計画作成の際に領域長が指導する等の方法により、中

期計画達成過程における各個別テーマの位置付け・貢献内

容を明確化するようになってきている。

項目別-11

【1-1-1-③】 ③海洋・極限環境生物圏研究 【評定】

A

H21 H22 H23 H24

【法人の達成すべき目標(計画)の概要】 海洋を中心とする生物圏について、生物の調査および生態・機能等の研究を行うとともに、資源としての多様な生物における潜在的

有用性を掘り起こし、社会と経済の発展に資する知見、情報を提供する。また、これらの生物圏の大気・海洋や固体地球との相互関

係を理解することで、将来発生し得る地球環境変動の影響評価に貢献する。 A - - - 【インプット指標】 (中期目標期間) H 1 H22 H23 H24 H25 予算額(百万円) 815 813 - - -

従 人員数(人) 124 127 - - -

*従事人数については本項目に関連する部署の所属人数の合計。(ただし担当者が明らかな場合は当該部署の担当者数をカウント)

複数の項目にまたがる部署については重複して人数をカウントしており、評価書全体での「インプット指標」の合計と職員数は一致しな

い。兼務者は含まない。

評価基準 実績 分析・評価

・ 中期計画の達成に向けて、平成 22 事業年

度の業務運営に関する計画に記載されて

いる事項が達成されているか。

<計画記載事項>

(海洋生物多様性研究)

海洋を中心とする生物圏を構成する生物

平成 22 年度計画に記載されている事項の達成状況】

(海洋生物多様性研究)

・日本近海には全海洋生物の 13.5%にあたる 33629 種が生息し,世界トッ

【平成 22 年度計画に記載されている事項の達成状況】

・海洋・極限環境生物圏研究の目標は、生物学者のみでは

達成不可能であり、地球科学諸分野の研究者、さらには装

置開発の技術者との連携が不可欠である。海洋研究開発機

構は、この連携を実現し、ユニークな成果へとつなげてい

る。

・また、海洋研究開発機構独自の基盤技術や設備が本研究

に活かされ、世界第一線の優れた成果を生み出していると

判断できる。

・今後も海洋研究開発機構の特徴を活かした生物・地球科

学分野への貢献が期待できる。

・今後の課題として、極限環境生物学の体系化を目指す取

組みが望まれる。また、福島第一原発事故による海洋汚染

の海洋生物・生態系への影響が懸念されており、本件につ

いての対応方策の検討も望まれる。

(海洋生物多様性研究)

・国際プロジェクトの一環として行なった研究により、日本列

項目別-12

の多様性について、海溝、海山、閉鎖水

域、中・深層域、海洋表層部等において、

生物の多様性を生み出すメカニズム、現在

の生物分布や量を規定する要因を明らか

にするため、海洋生物に特異な進化過程

や生態系の多様な機能に関する研究を行

う。

<計画記載事項>

(深海・地殻内生物圏研究)

地球-生命システムの存続に重要な役割

を果たしている深海底・地殻内等の極限環

境生物圏について、極限環境生物が地球

や生物の進化に果たしてきた影響、生息環

境変動と生物活動の相互関係についての

解明を行う。また極限環境生物および生物

圏の研究を通じてその潜在的有用性を掘り

プクラスの高い種多様性であることを明らかにした.国際プロジェクト

Census of Marine Life の一環として実施。

・深海熱水噴出域に生息する巻き貝(ヨモツヘグイニナ)の繁殖生態で,こ

れまで知られていなかった新型幼生(ワレン幼生)を発見し,また足部の保

育嚢で保育することで幼生の成長を効率よくしていることを発見した。

・鯨骨生物群集に特異的に分布するイガイ科二枚貝が,雄性先熟で性転

換することを明らかにし,短命な鯨骨環境で繁殖効率を高めていることを

示した。

・化学合成生態系のイガイ科二枚貝における共生システムは,非共生状

態からバクテリアの共生へ,沈木に進出した種から熱水域へ,細胞外共生

から細胞内共生へと進化したことを推定できた。

・化学合成細胞内共生菌のゲノム縮小を調べるためにナギナタシロウリガ

イ共生菌の全ゲノム解析を行った。共生菌のゲノムは既知のシロウリガイ

類共生菌より約 1.5 倍でありながら、遺伝子数はほぼ同程度であった。現

在細胞内共生菌のゲノム縮小の新しいモデルの構築を行っている。

・化学合成細菌と無脊椎動物の共生メカニズム解析から,宿主の炭酸脱

水酵素が大量に発現し二酸化炭素の取り込みに重要な役割を担っている

ことを見いだした。

深海生物研究を推進する上で不可欠なラボ内で実験材料を飼育できる基

盤技術として

・飼育用硫黄センサー開発と試験

・シンカイヒバリガイの飼育水槽展開

・水槽用 pCO2 センサーの開発と試験

・メタン・水素濃度を制御したゴエモンコシオリエビの飼育などを整備した。

(深海・地殻内生物圏研究)

・「ちきゅう」による IODP 沖縄トラフ熱水海底下微生物圏掘削を行い、世界

初的成果を幾つも挙げた。

・暗黒のエネルギー循環系における「第2のエネルギー源」である海底電

気ポテンシャルについて、「熱水チムニー発電現象」を発見した。

・地下温泉系における分離不可能の性状未知アーキアとして君臨するアイ

グアーカエオータの機能や生態学的役割を、メタゲノムにより明らかにする

ことに成功した。

島近海には非常に多様な生息環境が存在し、生物多様性の

ホットスポットであることを示したことは、重要な成果と評価で

きる。

・極限環境に生息する海洋生物に特異な生態と機能に関す

る多様な研究が実施された。その結果、深海熱水噴出域に

生息する巻き貝(ヨモツヘグイニナ)が足部の保育嚢で保育

することで幼生の成長を効率よくしていることや、鯨骨生物

群集に特異的に分布するイガイ科二枚貝が雄性先熟で性転

換することで短命な鯨骨環境で繁殖効率を高めていることが

明らかになるなどの成果が上がっている。

・深海生物の生態を詳細に観察するために不可欠な基盤技

術として、飼育水槽の開發や測定センサーの開発が進めら

れており、さらなる研究の発展ための準備がなされている。

(深海・地殻内生物圏研究)

・さらに機構が有する研究船、掘削船を効果的に利用して、

深海底・地殻内等の極限環境生物圏について、地上の40万

倍の重力下で生きる生物の発見や、特殊な機能をもつ有用

酵素の発見など、想像を超えた生態系が次々と明らかにさ

れている。

・海域のほか、菱刈金山地下温泉系での探査により、地球

始原生物に関する重要な情報を得ている。

項目別-13

起こし、積極的に産業への応用を行う。

・菱刈金山の地下温泉系における分離不可能の性状未知バクテリアのほ

ぼ全ゲノムをメタゲノムにより明らかにすることに成功した。その結果未培

養好熱性バクテリアが、古い起源の酢酸生成経路を有する水素資化性独

立栄養微生物であることが示唆された。さらに、始源的バクテリアが酢酸

生成代謝から始まったとする最古の生態系仮説を裏付ける分子証拠とな

った。

・地球の40万倍を超える高い重力の下でも微生物が生育することを発見。

地球よりもはるかに大きな重力の下での(微)生物の振る舞いを初めて明

確にした。

・深海性放線菌から DNA、RNA を効率よく分解したり、DNA は分解するが

RNA は分解しないといった機能をもつ有用酵素を発見し、特許出願した。

・深海性酵母 Pseudozyma hubeiensis SY62 株が効率的に糖脂質型新規

バイオサーファクタント(生体由来の界面活性物質)を大量に生産すること

を見いだし、その生産に成功した。

・高圧、低温下の条件で生分解性プラスチックを効率的に分解できる分解

菌の分離に成功し、2 種の新種の好圧性細菌を見いだした。 さらに、新規

の優しいバイオポリマーを生産する微生物を発見した。特許取得済み。

・最先端研究基盤事業の一環として、「ちきゅう」を用いた下北八戸沖石炭

層生命圏掘削調査を統合国際深海掘削計画(IODP)と連携して実施する

計画を策定した。航海実施に向けた国際乗船研究者チームの構築準備と

「ちきゅう」の掘削・船上分析能力の強化を実施。

・地球上で最も海洋表層中の光合成基礎生産量の低い南太平洋環流域

における地下生命圏掘削調査(IODP Exp. 329)に参加し、海洋地殻の約

半分を占める超貧栄養海底下が酸化的であり、極めて少ない微生物バイ

オマスから構成される生命圏であることを見出した。

・超高感度二次イオン質量分析計を用いた単一細胞研究により、海底下

深部生命の多くが、エネルギー欠乏による同化代謝不全状態であり、エネ

ルギー添加により同化活性および生育を復元できることを実証した。

・海底堆積物内の微生物バイオマスを高速・高感度・高精度に定量するた

め、フローサイトメトリーを用いた新しい計測手法を開発した。

・海底堆積物からバイアスの少ない環境 DNA 抽出法やナノレベルの遺伝

子定量法を新規に開発した。

・ある種の深海性酵母が効率的に界面活性物質を生成する

ことを見出したこと、その生産に成功したこと、高圧・高温化

でプラスティックを効率よく分解する菌の分離に成功したこと

など、将来の産業応用が期待される成果も得ている。また、

これらの成果について特許を取得している。

・微生物の量を高感度・高精度で測る新しい計測手法や堆

積物からのDNA抽出法、ナノレベルの遺伝子定量法の開発

が行われており、さらなる研究の進展を行うための取り組み

が着実に推進されている。

項目別-14

<計画記載事項>

(海洋環境・生物圏変遷過程研究)

地球内部・大気・海洋の変動と生息環境の

変遷等との関連について、地球-生物-環

境の相互作用に着目し、古環境の検討・復

元を行う。これにより、海洋環境と生物圏の

形成・変遷過程を解明するとともに、現在お

よび将来発生し得る地球環境変動の影響

評価に資する。

(評価の視点)

・様々な新発見という成果が社会へどう貢献

しているか。

(海洋環境・生物圏変遷過程研究)

・深海底における 13C ラベル実験と、古細菌が膜脂質として合成するテトラ

エーテル脂質の分析から、脂質リサイクルという新しい代謝プロセスを発

見した。

・南極ロス海堆積物中に含まれる脂肪酸の放射性炭素年代から、後氷期

における西南極氷床の融解が完新世に断続的に起きていたことを見出し

た。

・非破壊コアロガーTatscan を用いて、IODP で採取されたベーリング海等

の海底堆積物の超高時間解像度での気候変動の記録を解析した。

・マリアナ海溝チャレンジャー海淵の水深 10,900m の海底で、ハイビジョン

ビデオ撮影、海底表層未撹乱試料の採泥と堆積物中の溶存酸素濃度の

センサーを用いた現場観測に成功した。

・環境を模した実験を行い、浮遊性有孔虫類が海洋酸性化した条件下で

あっても、細胞内の pH を 9 以上に保っていることを明らかにした。

・JAMSTEC で開発したアミノ酸を用いた生態系解析法を用いて、相模湾で

採取された様々な生物についてその栄養段階(TL)の推定を行い、食物網

解析を行った。現在、光合成生態系だけでなく、初島沖冷湧水サイトの試

料を中心に化学合成生態系についても解析を進めている。

・表面電離質量分析法を用いた高精度ホウ素同位体分析法が確立され

た。

【様々な発見という成果が社会へどう貢献しているか】

基礎的な研究があって、はじめて社会貢献が可能になる。私達は、常に、

社会の動きに注意しており、産業界などとの交流の場には出席し、情報交

換を行っている。以下、基礎が社会貢献に繋がっている例を示す。

1) 日本周辺海域は、世界でも有数の海洋生物多様性が高い海域である。これらの成果を担うデータベース(BISMaL)がある。長期的なデータベ

ースの蓄積が、海洋環境影響評価を可能にしており、環境省環境推

進費の研究に繋がっている。

2) 深海、高温、貧栄養海域などに広がる極限的な環境への適応を調査する中から、たとえば高温で活性を保つことが可能な酵素が発見でき

る。この酵素から、高温で使用できる酵素の開発が可能になる。貧栄

(海洋環境・生物圏変遷過程研究)

・地球の古環境が保存されているとされている、深海底にお

いて研究が行われ、新しい脂質の代謝プロセスが発見され

た。生物の代謝活動に新しい概念を持ち込むプロセスが発

見されたという点で、画期的な発見といえる。

・過去の地球・海洋変動の研究に関して、南極氷床の融解

が断続的におきていたこと、浮遊性有孔虫類が海洋酸性化

した条件下であっても細胞内のpHを9以上に保っていること

などが発見されており、海洋環境と生物圏の形成・変遷過程

の解明に向けた進捗が認められる。

・環境変遷について多くの知見が得られているが、今後、ど

の地質年代にターゲット絞り集中的に解明するか、という検

討が必要と考えられる。

【様々な発見という成果が社会へどう貢献しているか】

・基礎的研究を実施しているが、常に社会の動きを注視し、

産業界との交流を進め、情報交換していると認められる。

・今後、いっそう社会貢献を促進するため、研究で発見したも

のを産業に結びつける仲介役となる人材育成・登用につい

て検討する必要があると考えられる。

項目別-15

養海域では、セルロース、リグニンを分解できる微生物が高い確率で

発見されている。これらの微生物スクリーニングから、セルロース培地

や新素材の開発と産業化を進めている。

3) さまざまな分析解析手法、センサー類、培養システムの開発を行った。この手法を用い、今まで検出することができなかった、たとえば窒素安

定同位体を用いた食物連鎖網の推定が可能になった。この手法を用

いると、生態系における生物濃縮過程の理解、生態系機能の議論と

応用などがどんどんできるようになる。

以上のように、多くの基礎的研究は、短期的にも、中長期的にも社会

貢献に繋がっていると考えている。

項目別-16

【1-1-1-④】 ④海洋に関する基盤技術開発 【評定】

A

H21 H22 H23 H24

【法人の達成すべき目標(計画)の概要】 海上・海中・海底・地殻内等の多様な環境下における調査・観測を行うための機器等の開発を行う。特に、国家基幹技術である「海洋

地球観測探査システム」の構築に向け、深海底や地殻内等の海底下深部での調査研究に必要な観測探査技術開発を行う。また、プ

レート境界域における地震等の地殻変動の把握および深海底環境変動を海中・海底において継続して観測するための技術開発を

行う。さらに、海洋科学技術以外の研究開発分野や産業への応用等を見据えた先進的な基盤技術の開発を行う。 A - - -

【インプット指標】 (中期目標期間) H21 H22 H23 H24 H25 予算額(百万円) 2,832 2,573 - - -

従事人員数(人) 111 103 - -

*従事人数については本項目に関連する部署の所属人数の合計。(ただし担当者が明らかな場合は当該部署の担当者数をカウント)

複数の項目にまたがる部署については重複して人数をカウントしており、評価書全体での「インプット指標」の合計と職員数は一致しな

い。兼務者は含まない。

評価基準 実績 分析・評価

・ 中期計画の達成に向けて、平成 22 事業年

度の業務運営に関する計画に記載されて

いる事項が達成されているか。

<計画記載事項>

(先進的海洋技術研究開発)

多様化する海洋研究に対応可能な先駆的

技術に関する研究やこれらシステムの融

合を行い、海洋における未知領域を探査、

利活用するための先進的な研究開発を行

【平成 22 年度計画に記載されている事項の達成状況】

(先進的海洋技術研究開発)

・11,000m 級海底地震計用耐圧容器の耐圧特性実証試験、高速通信シス

テムの海域での人工衛星通信試験、深海用リチウムイオン電池の海域試

験、データ取得システム等の開発、二酸化炭素小型計測装置の試作試験

を実施し、計画記載事項を達成した。

【平成 22 年度計画に記載されている事項の達成状況】

・地球深部探査船「ちきゅう」をはじめとし、海洋研究開発機

構の施設・設備を十分に活かすために必要な基盤技術の開

発が実施されたと評価できる。

・例えば、全周囲画像システム、燃料電池の開発、INS 国産

化など、興味深い技術開発が行われた。

・中期計画に沿った成果は認められるものの、各項目の進

捗が中期目標・中期計画期間全体の中での達成度にどのよ

うに位置づけられるかが不明確であり、中期目標・計画全体

を見通した事業の推進が必要である。

(先進的海洋技術研究開発)

・海洋における未知領域を探査・利活用するための先進的な

研究開発が進められている。

・11,000m 級海底地震計用耐圧容器の耐圧特性実証試験、

高速通信システムの海域での人工衛星通信試験、深海用リ

項目別-17

う。具体的には、人工衛星や水中音響等を

用いたハイビジョン映像データを送信可能

とする超高速・大容量通信・測位・テレメトリ

(遠隔測定)技術、7,000m以深での高水

圧・低温の大水深環境下における観測を

可能とする高強度軽量新材料、海上・海中

にて充放電を可能とすることにより長期観

測機器等に電力を供給する新たな電力源

システムの要素技術、水中観測機器で多

様なデータを高品質に収集し、個体選別を

可能とする制御システムの要素技術、観測

現場においてセンサーを利用し自律的に

計測・判断するシステムの要素技術等を研

究開発する。

<計画記載事項>

(「ちきゅう」による世界最高の深海底ライザ

ー掘削技術の開発)

国家基幹技術である「海洋地球観測探査

システム」に位置づけられる次世代海洋探

査技術として、「深海底ライザー掘削技術」

の開発を推進し、地球深部探査船「ちきゅ

う」が所期の研究成果を挙げるための科学

掘削や我が国の国益に資する掘削活動等

を、安全かつ効率的に実施するための運

用および機器・システムに係る技術開発を

行う。

(「ちきゅう」による世界最高の深海底ライザー掘削技術の開発)

(1) 大深度掘削技術

・12,000m 級ドリルパイプの実現のため、ドリルパイプ(S155 管)の工業生

産性を確認した。また、S160 管の実現のために新規鋼を用いて管体を試

作し、ジョイント部の所要強度発現のための熱処理条件に関するデータを

取得した。

・コア採取の大深度化にともなう耐熱技術開発として、高温用コアバーレル

の 300℃対応材料調査のほか、高温用泥水(250℃対応)の詳細な試験を

行った。

・泥水駆動型コアバーレルについて、タービンモーター及び減速機を含む

実機サイズの性能確認試験及び岩石試料を用いたコアリング確認試験を

行い課題を抽出した。

(2) 大水深掘削技術

・強潮流下でのライザーの疲労をリアルタイムで評価、監視するシステムを

開発するため加速度計の設置方法等の検討及びライザー挙動データの解

析を行った。また、ドリルストリングの渦励振を低減するため、ロープ、ケー

ブルを取り付け、その効果を水槽試験で確認し、長期孔内観測システム設

置時に実機適用を行った。

チウムイオン電池の海域試験、データ取得システム等の開

発、二酸化炭素小型計測装置の試作試験等、海洋研究に

対応可能な先駆的技術に関する研究に進展があった。

(「ちきゅう」による世界最高の深海底ライザー掘削技術の開

発)

・地球深部探査船「ちきゅう」が所期の研究成果を挙げるた

めに不可欠な深海底ライザー掘削技術について、4 つの項

目にわたり開発が行われた。

・大深度掘削技術では、ドリルパイプの生産工程の確認、高

温用コアバーレル材料の調査、泥水駆動型コアバーレルの

性能試験が行われた。

・大水深掘削技術では、強潮流下でのライザーの疲労をリア

ルタイムで評価・監視するシステムの開発などを行なった。

また、「ちきゅう」の位置データの信頼性向上のための改善を

行なった。

・深部掘削孔内計測技術では、種々の事前準備を行い、

EXP332 において C0002 ライザーレス孔への長期孔内観測

システムの設置に成功している。

・極限環境保持採取技術では、ゲルコアバーレルの設計が

終了した。

・掘削技術の向上を図ろうとする海洋研究開発機構の取り

項目別-18

<計画記載事項>

(次世代型深海探査技術の開発)

国家基幹技術である「海洋地球観測探査シ

ステム」に位置づけられる「次世代型深海探

査技術の開発」を推進するため、以下の技

術開発を行う。これにより、地球環境、地殻

変動等の解析に必要な海洋データの取得、

詳細な海底地形図の作成、海洋資源の探

査等に資する。

<計画記載事項>

(総合海底観測ネットワークシステム技術開

発)

ケーブルで結んだ多数のセンサーから構成

されるリアルタイム総合海底観測システム

に関する研究開発およびそれらの運用を行

・「ちきゅう」のDPS機能に関して、音響測位装置のアップグレードを行い位

置データの信頼性の改善を行ったほか、ユーザーインターフェースの操作

性の改善を行いオペレータの負荷低減を実現した。

(3) 深部掘削孔内計測技術

・ライザーレス孔用長期孔内観測システムについて、孔口装置(CORK

Head)、ケーブルプロテクタ等各種構成要素の改良設計・製作・組立・性能

試験を行った。また、「ちきゅう」による設置オペレーションに必要となるツ

ール類、手順書等を整備し、EXP332 において C0002 ライザーレス孔への

長期孔内観測システムの設置に成功した。

・ライザー孔用長期孔内観測システムについて、3.5km 用テレメトリシステ

ム実験機に接続可能なセンサインターフェースユニットを製作し、ライザー

レス孔用孔内センサを組み合わせたシステム統合試験の準備を行ったほ

か、1.6km 用テレメトリシステムの設計を行った。

(4) 極限環境保持採取技術

・ゲルコアバーレルプロトタイプの設計を行うとともに、ゲル被覆機構上の

制約条件について整理した。

(次世代型深海探査技術の開発)

・合成開口ソナー、新型高効率燃料電池、小型高精度慣性航法装置、空

間分散CPUシステム及び長距離・高速音響通信技術の海域試験、高強度

浮力材の設計・製法技術の確立・試験評価、高強度軽量ケーブル新二次

ケーブル及び複合式クローラシステムの海域試験、作業システムの制御

開発試験、広視野角画像システムの試験評価等を実施し、計画記載事項

を達成した。

(総合海底観測ネットワークシステム技術開発)

・海底ケーブルの水中修理技術について、実海域試験を実施し、障害を再

現した試験用サンプルケーブルで機器の動作確認を行い、修復に成功し

た。また、既存システムの保守用部品については旧データのデジタル化を

図り、継続的な運用・データ管理の推進を行った。技術開発並びにシステ

ム運用は順調であり、年度計画は達成された。

組みが認められる。

(次世代型深海探査技術の開発)

・次世代型巡航探査機(AUV)と次世代型無人探査機(ROV)

の開発は、海洋資源調査、海洋環境調査において不可欠で

あり、科学的意義は大きい。平成22年度は、当初計画通り、

種々の装置の開発が行われており、順調に進捗していること

が認められる。

(総合海底観測ネットワークシステム技術開発)

プレート境界域における地震等の地殻変動および深海底環

境変動を海中・海底において、継続的に観測することを可能

とするための技術開発である。平成 22 年度、海底ケーブル

の水中修理技術の実海域実験を行い、目的を達成してい

る。

項目別-19

う。これにより、プレート境界域における地

震等の地殻変動および深海底環境変動を

海中・海底において、継続的に観測すること

を可能とする。

<計画記載事項>

(シミュレーション研究開発)

海洋科学技術に関する基盤的研究開発の

推進のため、他の研究分野への応用を見

据え、必要とされるシミュレーション手法や

データ処理技術等の研究開発を行う。

(評価の視点)

・ 中期計画に示される、最終達成目標に向

けて、本年までの進捗状況はどうか。

(シミュレーション研究開発)

・MSSG モデルに新たな放射スキームや海洋混合スキームを導入し、マル

チスケールシミュレーションとして、都市スケールの現象やオイルピル拡散

等を検証し、高精度予測が可能になったことを確認した。

・海洋地球科学分野における高品位な表現技法として、新しい表現・情報

発信手法「EXTRAWING」の開発を行った。

・高解像度・長期シミュレーションデータセットの構築の一環として、

OFES/AFES/CFES の計算コードを改良し、各モデル群の精度向上を行っ

た。

・データ同化システムを用いた全球大気再解析データセットから、機構等

が実施する観測の影響評価を行える、観測システム構築の準備を整え

た。

・連携機関との共同研究等を通し、産業界への波及に向けた取り組みを積

極的に実施した。

【最終達成目標に向けて、本年までの進捗状況はどうか】

(先進的海洋技術研究開発)

・海洋における未知領域を探査・利活用するための技術として、人工衛星

を利用した遠隔制御システム、7,000m 以深の大深度での観測を可能とす

る観測機器用の高強度構造材の研究開発、水中観測機器で多様・高品質

なデータを収集して固体選別を可能とする制御システムの要素技術の開

発、観測現場において自律的に計測・判断するシステムの要素技術の開

発を実施するなど、最終達成目標に向けて、研究開発は予定通り進捗し

た。

・「ちきゅう」による世界最高の深海底ライザー掘削技術の開発、次世代型

深海探査技術の開発、総合海底観測ネットワークシステム技術開発、シミ

ュレーション研究開発の具体的な内容は、本項目の上記と同じ。

(シミュレーション研究開発)

・新しい表現・情報発信手法「EXTRAWING」の開発など、海

洋科学技術に関する基盤的研究開発の推進のために必要

なシミュレーション手法やデータ処理技術等の研究開発が進

展した。得られた研究開発成果の意義は高く、進捗状況は

良好である。

・また、本課題では、13件の課題でシミュレーション手法の産

業応用を図るなど、社会還元への努力が認められる。

【最終達成目標に向けて、本年までの進捗状況はどうか】

・先進的海洋技術研究開発、「ちきゅう」による世界最高の深

海底ライザー掘削技術の開発、次世代型深海探査技術の

開発、総合海底観測ネットワークシステム技術開発、シミュ

レーション研究開発の各開発において、中期計画全体での

達成目標に向けて、全般的に計画に沿った進捗が認められ

る。

・さらに今後は、中期計画に定められる 5年間の研究開発計

画に対して、各研究開発が現時点においてどのような進捗

状況にあるか、全体計画の中での位置づけをわかり易く示

すことも重要である。

項目別-20

【(中項目)1-1】 1.海洋科学技術に関する基盤的研究開発 【(小項目)1-1-2】 (2)統合国際深海掘削計画(IODP)の総合的な推進

【1-1-2-①】 ①IODPにおける地球深部探査船の運用 【評定】 A

H21 H22 H23 H24 H25

【法人の達成すべき目標(計画)の概要】 IODPにおいて地球深部探査船「ちきゅう」の安全かつ効率的な運用を実施する。

A - - - -

【インプット指標】 ( 期目標期間) H21 H 23 24 H25 予算額(百万円) 10,737 9,764 - - -

従事人員数(人) 73 68 - - -

*従事人数については本項目に関連する部署の所属人数の合計。(ただし担当者が明らかな場合は当該部署の担当者数をカウント)

複数の項目にまたがる部署については重複して人数をカウントしており、評価書全体での「インプット指標」の合計と職員数は一致しな

い。兼務者は含まない。

評価基準 実績 分析・評価

・ 中期計画の達成に向けて、平成 22 事業年

度の業務運営に関する計画に記載されて

いる事項が達成されているか。

<計画記載事項>

IODP において地球深部探査船「ちきゅう」

の安全かつ効率的な運用を実施する。

【平成 22 年度計画に記載されている事項の達成状況】

・超深度ライザー掘削の作業準備として孔口装置を設置し、南海トラフ地

震発生帯掘削計画のステージ 3 に着手したことは、全体計画の着実な進

捗を示すものである。

・100 年~150年の間隔でマグニチュード 8 クラスの地震を引き起こす東南

海地震震源域において、水深 1,937.5m(海底下約 1,000m)の深さに最初の

長期孔内観測装置の設置に成功した。これによりリアルタイム長期孔内計

測に資する観測技術が確立された。

・沖縄トラフでは海底下に広がる熱水帯構造と熱水変質帯及び海底下の

熱水の滞留を発見した。また、熱水の作用により生成された多様な硫化鉱

物(黒鉱)の採取に世界で初めて成功し、海底熱水鉱床の成因解明と今後

の資源開発に繋がる成果が得られた。

・東日本大震災に伴う津波による被災のため、下北八戸沖石炭層生命圏

掘削を除く 4研究航海(約 5 カ月)を実施した。しかしライザー掘削としての

下北八戸沖掘削計画については延期せざるを得なかった。

【平成 22 年度計画に記載されている事項の達成状況】

・地球深部探査船「ちきゅう」による科学掘削について、5 回

の予定が4回となったが、これは東北地方太平洋沖地震・津

波による船舶損傷が原因であり、全体としては、年度を通し

て安全かつ効率的な運用が行われたと認めることができる。

・「ちきゅう」の活用により、東南海地震想定域において、水

深 1,937.5m(海底下約 1,000m)の深さに長期孔内観測装置

の設置が行われた.これによりリアルタイム長期孔内計測に

資する観測技術が確立されたことは、大きな成果である。

・沖縄トラフでの掘削で、海底下に広がる熱水帯構造と熱水

変質帯及び海底下の熱水の滞留を発見したことは、海底資

源開発にもつながる成果として評価できる。

・「ちきゅう」の運営において、海外企業との技術協力が実施

されており、かつ日本人技術者の技術力向上を意図してい

ることは評価できる。

項目別-21

・ 「独立行政法人の事務・事業の見直しの基

本方針」において、「深海地球ドリリング計

画推進(略)については、平成21年11月の

事業仕分けの結果を踏まえ、より一層の効

率的・効果的な実施に進めることとする。」

と指摘されている点について、適切に対応

しているか。

・ 平成 21 年度業務実績評価において「外部

収入を増やして国費投入を減額すべきとの

平成 21 年度の事業仕分けの指摘を踏ま

え、予算の効率的な執行に取り組んでいる

・研究設備及び J-CORES の改良、IODP 乗船研究者に対するソフトウェア

の講習を行うなど、積極的に対応した。

・特別公開及び一般公開、教員や学芸員を対象とした船内見学会を実施

した。更にウェブ・ブログを活用した「ちきゅう TV」では、最多で月間約12

万回がダウンロードされ、iTunes ベストビデオポッドキャストにノミネートさ

れるなど高い評価を受けた。

・12,000m級ドリルパイプの工業生産性を確認したほか、耐熱技術開発と

しての 250℃対応泥水の試験や 300℃対応コアバーレルの調査を行なっ

た。また泥水駆動型コアバーレルについては実機サイズ試作機による性

能確認試験を行なった。

・渦励振に対する技術改善と実機適用を行なうとともに、長期孔内計測用

の振動に弱い様々なセンサ装置の設置に世界で初めて成功した。また、

強海流下でのライザー挙動解析を行なうとともに、ライザーの疲労をリア

ルタイムで評価・監視するシステムの開発に着手した。

・運用体制の日本化を推進するとともに休業災害ゼロを達成する等、世界

最高の深海底ライザー掘削技術の開発の推進と着実な運用技術の蓄積

が行われている。

【「独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針」への対応】

深海地球ドリリング計画推進については、平成 21 年度の事業仕分けを受

け、日米を中心とする 24 カ国が参加する国際約束(統合国際深海掘削計

画)に反しない範囲で運航関連経費などを削減し、平成22年度要求額より

539,014 千円を削減したところ。また、平成 22 年度の指摘を受け、同国際

約束の履行に支障のない範囲で、国内研究者に対する支援体制を見直す

とともに、外国人掘削要員から人件費単価の安い日本人掘削要員への変

更をより一層進めるなどにより、平成 23 年度要求額より 202,569 千円を削

減した。(平成 23 年度予算額は、平成 21 年度予算額を比較して、

1,862,134 千円を削減)

【平成 21 年度業務実績評価の指摘事項への対応】

平成22年度においてJOGMECからメタンハイドレート事前調査としての掘

削を受託し、23 年度においては海外での油ガス田掘削を獲得する等、外

部収入の増加が見込まれている。また、23、24年度のメタンハイドレート産

【「独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針」への対

応】

・運航関連経費の削減や、合理化等による掘削経費の削減

の努力が認められる。

【平成 21 年度業務実績評価の指摘事項への対応】

・平成 22 年度石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)

から掘削業務を受託することで、外部収入の増加がはから

れており、21 年度実績評価の指摘への対応が為されている

項目別-22

ものの、外部収入の増加については、一層

の努力が必要である。」と指摘した点につ

いて、適切に対応しているか。

(評価の視点)

・ 深海底ライザー掘削技術を含めた地球深

部探査船の運用技術が日本に蓄積されて

いるか。

・ IODP として設定した各航海の目標が達成

されているか。

出試験の受託についても検討を進めている。

【地球深部探査船の運用技術が日本に蓄積されているか】

運航部門の要である Dynamic Positioning Operator については 2009 年に

100%日本化を達成している。また、掘削部門の上位 1位、2位のOIM及び

Tool Pusherについても50%の日本化を達成している。これに伴い運用マニ

ュアル等が経験と技術を踏まえたものに更新される形で蓄積されてきてい

る。

【IODP として設定した各航海の目標が達成されているか】

Exp.326

ケーシングパイプ脱落があったものの、航海期間内に予定されていた作業

をすべて完了し、次年度以降の大深度掘削の準備が整った。

Exp.331

コア試料採取が困難であることは当初より想定されていた。その状況の中

で科学成果を最大にするために、共同首席研究者の要望に柔軟に対応

し、当初予定されていた本サイトに加えて予備サイトでも掘削を行った。こ

れにより、「熱水湖」の全体像を把握することに役だった。

黒鉱の発見など、熱水系の物質循環において新たな発見があった。

Exp.332

航海期間内に予定されていた作業をすべて完了し、15 ヶ月にわたる孔内

計測データ回収に成功するとともに、南海掘削のマイルストーンとなる長

期孔内モニタリング用の機器の設置に成功した。

Exp.333

悪天候のためC0012で予定深度に達することができなかったものの、航海

期間内に予定されていた作業をほぼすべて完了し、良質のコア試料と温

度計測データを入手した。今後、Exp.322 の成果と合わせて、地震発生帯

へ運び込まれる物質とその状態を完全に解明できるはずである。

ことが確認された。

【地球深部探査船の運用技術が日本に蓄積されているか】

・運航部門においては、日本人技術者が順調に育成されて

いる。運航スタッフが全て日本人となったことは、運用技術が

日本に蓄積されたことを端的に示すものである。掘削部門に

おいても、日本人技術者が着実に養成されている。

・「ちきゅう」の運航において育成された日本人技術者は、民

間でも活躍しており、民間への波及効果も見られる。

【IODP として設定した各航海の目標が達成されているか】

・4 航海の掘削で一部予定深度には達しなかったものの、当

初の目的は概ね達成されている。また、南海トラフにおいて

長期孔内モニタリング用の機器を設置する等の進展があり、

今後の科学的成果が期待できる。

項目別-23

【1-1-2-②】 ②深海掘削コア試料の保管・管理および活用支援 【評定】

A

H21 H22 H23 H24

【法人の達成すべき目標(計画)の概要】 高知大学との連携・協力により、「高知コアセンター」を適切に管理運用する。また、地球深部探査船「ちきゅう」等で得られた掘削コア

試料を保管・管理・活用し、生命・地球科学研究の推進を支援するとともに、国内外の研究者コミュニティや科学掘削計画プログラム

との連携を実施する。 A - - - 【インプット指標】 (中期目 間) H21 H22 H23 H24 H 5 予算額(百万円) 207 207 - - -

従事人 数 人) 32 22 - -

*従事人数については本項目に関連する部署の所属人数の合計。(ただし担当者が明らかな場合は当該部署の担当者数をカウント)

複数の項目にまたがる部署については重複して人数をカウントしており、評価書全体での「インプット指標」の合計と職員数は一致しな

い。兼務者は含まない。

評価基準 実績 分析・評価

・中期計画の達成に向けて、平成 22 事業年

度の業務運営に関する計画に記載されてい

る事項が達成されているか。

<計画記載事項>

高知大学との連携・協力により、「高知コア

センター」を適切に管理運用する。また、地

球深部探査船「ちきゅう」等で得られた掘削

コア試料を保管・管理・活用し、生命・地球

科学研究の推進を支援するとともに、国内

外の研究者コミュニティや科学掘削計画プ

ログラムとの連携を実施する。

【平成 22 年度計画に記載されている事項の達成状況】

・高知コアセンターの高度分析機器群について高知大学と機器利用情報

の一元化を図ることによりスケジュール管理の徹底等による利用者の利

便性を高める等の効率的な運用及び維持管理を行った。

・高知コアセンターは高知大学と当機構の共同運営により、国際科学の国

内掘削科学の拠点として、科学支援内容の充実,支援機器の拡充を図っ

ており、IODPのプレ・ポストクルーズトレーニングやJDESCコアスクールの

支援など定常化した支援活動が行われている。

・Exp.331,333 航海で採取された総延長 2.5kmのコア試料を保管庫に搬入

した。

・IODP 航海で 161 件、レガシーコア 68 件のサンプルリクエストを受けつけ

評価・採取・発送を行った。

・コアキュレーションにおいては、国内外からのリクエストに適切に対応す

るとともに、新たに微生物凍結作業のルーチン化や、コアの可視化を目的

としたシステム(Virtual Core Library)をウェブ上で開始した。

【平成 22 年度計画に記載されている事項の達成状況】

・IODP 等の活動で採取された海底深部の地質サンプル(コ

ア)の管理・活用が適切に行われていることが認められる。

・コアスクールの取り組みは若手人材の育成に資するものと

して評価できる。

項目別-24

【1-1-2-③】 ③国内における科学計画の推進 【評定】

A

H21 H22 H23 H24

【法人の達成すべき目標(計画)の概要】 我が国における IODP の総合的な推進機関として、研究課題を提案するなど積極的に参画するとともに、計画の主導国としてふさわしい研究成果が質・量ともに我が国から発信されるよう、乗船研究や科学計画の立案について、関連する国内研究者を支援する。

B - - - 【インプット指標】 (中期目標期間) H21 H22 H 3 H 4 25 予算額(百 円) 360 360 - - -

従 人員数(人) 19 22 - - -

*従事人数については本項目に関連する部署の所属人数の合計。(ただし担当者が明らかな場合は当該部署の担当者数をカウント)

複数の項目にまたがる部署については重複して人数をカウントしており、評価書全体での「インプット指標」の合計と職員数は一致しな

い。兼務者は含まない。

評価基準 実績 分析・評価

・中期計画の達成に向けて、平成 22 事業年

度の業務運営に関する計画に記載されてい

る事項が達成されているか。

<計画記載事項>

我が国における IODP の総合的な推進機

関として、研究課題を提案するなど積極的

に参画するとともに、計画の主導国としてふ

さわしい研究成果が質・量ともに我が国から

発信されるよう、乗船研究や科学計画の立

案について、関連する国内研究者を支援す

る。

・平成 21 年度業務実績評価において「IODP

全体の中で、日本国内からの研究提案が十

分ではないという実態があり、我が国の国際

的プレゼンスを高めるための一層の工夫・努

力が必要と判断される。」と指摘した点につい

て、適切に対応しているか。

【平成 22 年度計画に記載されている事項の達成状況】

・IODP科学諮問組織(SAS)や ICDP委員会(国際陸上科学掘削計画)の支

援を適切に行うなかで、日本の国際的なプレゼンスを高めた。

・IODP 国内科学計画の推進について、積極的に科学支援を行い、計画提

案に関するワークショップの開催も日、米、欧において活発に実施されて

いる。

【平成 21 年度業務実績評価の指摘事項への対応】

・IODP に関する日本からの掘削提案を増やすため、IODP 掘削提案フィジ

ビリティ研究制度を立ち上げた。

・IODP に関する研究成果(論文)を増やすために、新たにワークショップや

IODP 乗船後研究支援制度によるサポートを行った。

【平成 22 年度計画に記載されている事項の達成状況】

・我が国が IODP の主導国として十分なプレゼンスを示して

いけるように、IODP における乗船研究の立案や科学計画の

立案について、関連する国内研究者を支援しており、中期計

画に沿った取り組みが確認された。

・日本の研究者が呼びかけた震災後の緊急掘削調査の提

案は国際的な研究課題の検討へ発展しており、IODP におけ

る日本のプレゼンスが発揮されていると評価できる。

【平成 21 年度業務実績評価の指摘事項への対応】

・国内では、IODP の科学計画の推進に向けて、各種ワーク

ショップの開催や研究支援が行われており、取り組みの進展

が認められる。

項目別-25

(評価の視点)

・会議開催等、推進活動は効果を挙げている

か。

【会議開催等、推進活動の効果】

委員会については、J-DESCとの調整及び連携強化が図られている。検討

会についてはオールジャパンの見地から検討を進めることができ、我が国

としての次期計画の立案に資することができる。

【会議開催等、推進活動の効果】

・委員会において、活発な議論が行われていることが(議事

録により)確認され、同時に、IODP において、日本人研究者

による研究提案の採択率が上がっていることから、効果を上

げていると判断される。

項目別-26

【(中項目)1-1】 1.海洋科学技術に関する基盤的研究開発 【(小項目)1-1-3】 (3)研究開発の多様な取り組み

【1-1-3-①】 ①独創的・萌芽的な研究開発の推進 【評定】 A

H21 H22 H23 H24 H25

【法人の達成すべき目標(計画)の概要】 基盤的な研究のうち、将来研究ニーズが高まると考えられる研究課題について、独創的な研究開発を継続する。また、重点研究開

発領域における成果を統合し体系化を行うとともに、新たな視点による知見の融合によって、海洋科学の新しい体系の構築のための

独創的な研究課題を開拓するとともに、研究成果の社会への応用に貢献する。このために、新たな研究プロジェクトを創出するため

の体制を構築し、独創的な次期プロジェクトの萌芽となることを目指す研究開発について、競争的な環境の下に推進し、研究と社会と

の相互啓発および持続的連携によりイノベーションの実現を目指す研究を実施する。 B - - - -

【インプット指標】 (中期目標 間) H21 H22 H23 24 H25 予算額(百万円) 61 55 - - -

従 人員数 人) 11 12 - - -

*従事人数については本項目に関連する部署の所属人数の合計。(ただし担当者が明らかな場合は当該部署の担当者数をカウント)

複数の項目にまたがる部署については重複して人数をカウントしており、評価書全体での「インプット指標」の合計と職員数は一致しな

い。兼務者は含まない。

評価基準 実績 分析・評価

・ 中期計画の達成に向けて、平成 22 事業年

度の業務運営に関する計画に記載されて

いる事項が達成されているか。

<計画記載事項>

基盤的な研究のうち、将来研究ニーズが高

まると考えられる研究課題について、独

創的な研究開発を継続する。また、重点研

究開発領域における成果を統合し体系化

を行うとともに、新たな視点による知見の

融合によって、海洋科学の新しい体系の構

築のための独創的な研究課題を開拓する

とともに、研究成果の社会への応用に貢献

する。このために、新たな研究プロジェクト

を創出するための体制を構築し、独創的な

【平成 22 年度計画に記載されている事項の達成状況】

・限られた予算の中、機構内の競争的研究資金制度であるアウォード制度

を適切に運用した。

・またアウォード制度と並行して、既存の研究組織に捉われない組織・分

野横断型の制度として「ラボシステム」を運用している。

・機構が行っている活動と社会との関わりを一層強化するための具体的な

方策を明らかにするため、「環境・社会システム統合研究フォーラム」として

2つの話題で計7回の会合を実施し、外部有識者との意見交換を通じて機

構がとるべき行動を示唆頂いた。また、その内容を報告書としてまとめ、職

員が参照できるようにしている。

【平成 22 年度計画に記載されている事項の達成状況】

・海洋研究開発機構独自の制度であるアウォード制度は、成

果を上げていると認められる。ラボシステムのひとつである

「システム地球ラボ」は優れた業績を上げており、評価でき

る。

項目別-27

次期プロジェクトの萌芽となることを目指す

研究開発について、競争的な環境の下に

推進し、研究と社会との相互啓発および持

続的連携によりイノベーションの実現を目

指す研究を実施する。

(評価の視点)

・ 独創的・萌芽的な研究開発の推進は十分

効果的に実施されているか。

【独創的・萌芽的な研究開発の推進は十分効果的に実施されているか】

・アウォード制度で採択された課題については、毎年の研究成果報告書が

提出され、推進委員会が評価を行うとともに、次年度の研究内容について

も計画案に基づき評価・コメントを行い、研究の方向性について指導を行っ

ている。

・「ラボシステム」について、組織や専門の枠に捉われない組織・分野横断

型の制度を整えることで、研究者がこれまで蓄積してきた様々な知見を多

方向からの視点で自由に融合させる環境が提供された。これにより、特に

深海底下に広がる微生物圏と地質、化学の相互作用や生態系誕生の謎

の解明に向けた学際的な研究による成果が上がっているほか、研究成果

の社会への応用の実現を目的とした「アプリケーショラボ」においても、国

内のみならず南アフリカ等海外とも連携し地域的な気候変動予測研究を

進めるなど着実な進捗が見られる。

【独創的・萌芽的な研究開発の推進は十分効果的に実施さ

れているか】

・アウォード制度については、結果についてのフォローを行っ

ている。また、ラボシステム、アプリケーションラボについても

目的とした成果があがっている。

項目別-28

【1-1-3-②】 ②国等が主体的に推進するプロジェクトに対応する研究開発の推進 【評定】

A

H21 H22 H23 H24

【法人の達成すべき目標(計画)の概要】 巨大海溝型地震のリアルタイムモニタリングシステムの開発や IPCC 第5次評価報告書への対応等、国等が主体的に推進する研究開発プロジェクトにおいて、機構として貢献が期待される研究開発課題について、研究領域とは別に体制を構築し、迅速的かつ集

中的に対応する。 B - - - 【インプット指標】 ( 期目標期間) H21 H 2 23 H24 H25 予算額(百 円) 受託研究等

2,854 の内数

受託研究等

2,729 の内数

- -

従事人員数(人) - -

*従事人数については本項目に関連する部署の所属人数の合計。(ただし担当者が明らかな場合は当該部署の担当者数をカウント)

複数の項目にまたがる部署については重複して人数をカウントしており、評価書全体での「インプット指標」の合計と職員数は一致しな

い。兼務者は含まない。

評価基準 実績 分析・評価

・中期計画の達成に向けて、平成 22 事業年

度の業務運営に関する計画に記載されてい

る事項が達成されているか。

<計画記載事項>

巨大海溝型地震のリアルタイムモニタリング

システムの開発や IPCC 第5次評価報告書

への対応等、国等が主体的に推進する研

究開発プロジェクトにおいて、機構として貢

献が期待される研究開発課題について、研

究領域とは別に体制を構築し、迅速的かつ

集中的に対応する。

【平成 22 年度計画に記載されている事項の達成状況】

・我が国における海洋資源・エネルギー確保の重要性について、機構とし

て積極的に取り組むために、経営者を中心として研究部門・開発部門・経

営管理部門が一体となり「海底資源研究プロジェクト」の立ち上げに向けて

所要の準備を行った。

・IPCC 貢献地球環境予測プロジェクト:平成 22 年度は本計画の中心的な

数値実験を実施し、結果の解析、成果のとりまとめを順次行った。本プロジ

ェクトでは、現時点で世界でも類をみない植生動態モデルを内蔵した気候

システム統合モデル(ESM)などの世界的に優れたモデルを開発しており、

これらを用いた将来予測からは科学的に興味深い結果が得られたほか、

炭素循環モデルを内蔵する ESM による 20 世紀気候変動の再現性が、気

候モデルによるものよりもよいこと、RCPシナリオに関して土地利用変化の

影響も大きいことなど、興味ある結果が示されている。また、国際協力にも

積極的に取り組んだ。

・地震津波・防災研究プロジェクト:地震・津波観測監視システムにおいて

は紀伊半島沖熊野灘に海底ケーブル及び観測装置の敷設作業を順調に

【平成 22 年度計画に記載されている事項の達成状況】

・IPCC 第 5 次評価報告書に対する対応については、着実な

進展が認められる。

・他の IPCC取り組み機関との役割分担は妥当である。

・地震・津波観測監視システム(DONET)の着実な進捗が認

められる。本システムで取得されたデータは、防災科学技術

研究所および気象庁に提供されており、研究・防災面で貢献

している。

・地震・津波観測監視システムをより有効に活用し、本システ

ム構築の目標を達成していくためには、関係機関とさらに緊

密な連携を図っていくことが重要である。

項目別-29

進め、さらに、東海・東南海・南海地震の連動性評価研究等、文部科学省

からの受託事業においても、地殻構造探査、地殻活動評価、シミュレーシ

ョン高度化、断層モデル構築に有用なデータの取得等、有意な成果を得る

ことができており、全体として計画は達成されたと考える。

項目別-30

【1-1-3-③】 ③共同研究および研究協力 【評定】

A

H21 H22 H23 H24

【法人の達成すべき目標(計画)の概要】 国内外の大学、企業、研究機関等との連携により有益な成果が期待できる場合に、機関連携、共同研究等の適切な連携協力関係を

構築する。 B - - -

【インプット指標】 (中期目標期間) H21 H22 H23 H24 H25 予算額(百万円) 事 業 経 費

39,738の内数 事 業 経 費

37,257の内数 - - -

従事人員数(人) 4 5 - - -

*従事人数については本項目に関連する部署の所属人数の合計。(ただし担当者が明らかな場合は当該部署の担当者数をカウント)

複数の項目にまたがる部署については重複して人数をカウントしており、評価書全体での「インプット指標」の合計と職員数は一致しな

い。兼務者は含まない。

評価基準 実績 分析・評価

・中期計画の達成に向けて、平成 22 事業年

度の業務運営に関する計画に記載されてい

る事項が達成されているか。

<計画記載事項>

国内外の大学、企業、研究機関等との連携

により有益な成果が期待できる場合に、機

関連携、共同研究等の適切な連携協力関

係を構築する。

(評価の視点)

・共同研究及び研究協力の内容は機構のミッ

ションに沿ったものになっているか。

【平成 22 年度計画に記載されている事項の達成状況】

・共同研究の件数は、新規、継続課題とも前年度を上回り、計 83 件と大幅

に増加した。契約相手方は90機関にのぼり、新規契約相手数は前年度の

1.8 倍となった。また、機動的に共同研究を実施するため契約手続きやフロ

ーを所内へ明示するとともに、事務手続きの迅速化に努めた。

・国内においては、新たに1件の機関連携協定、2 件の連携大学院協定を

締結し、機関間の連携強化を図ったほか、協議会・交流会を積極的に実施

した。

・国外については19の海外研究機関と機関間連携協定(MOU)を締結して

いるほか、66 機関と実施協力協定(IA)を締結している。

【共同研究及び研究協力の内容と機構のミッション】

共同研究は関係機関との協力により機構業務を効果的・効率的に遂行す

るためのものであるとともに、外部機関が機構の資源(人、物)を活用する

などして国や研究分野の全体のレベルの向上に貢献しており、機構のミッ

ションに合致している。

【平成 22 年度計画に記載されている事項の達成状況】

・平成 22 年度、共同研究の件数が大幅に増加している。

・これらの共同研究は,海洋研究開発機構と相手方との双

方にとって有益なものとなっていると判断される。

【共同研究及び研究協力の内容と機構のミッション】

・共同研究及び研究協力の内容は、海洋研究開発機構の使

命に合致したものであると認められる。

項目別-31

【1-1-3-④】 ④外部資金による研究の推進 【評定】

A

H21 H22 H23 H24

【法人の達成すべき目標(計画)の概要】 文部科学省等の政府機関、独立行政法人、国立大学法人、その他公益法人等が実施する競争的資金をはじめとする各種公募型研

究への応募を積極的に行う。これにより、国、民間企業等からの委託費、補助金等の研究資金を積極的に導入し、海洋科学技術 に関わる多様な研究開発を実施する。その際、研究資金の適正な執行を確保するよう適切な体制を整備するとともに、必要な方策を

講じる。 B - - -

【インプット指標】 (中期目標期間) H21 H22 H23 H24 H25 予算額(百万円) 事 業 経 費

39,738の内数 事 業 経 費

37,257の内数- -

従事人員数(人) 8 7 - - -

*従事人数については本項目に関連する部署の所属人数の合計。(ただし担当者が明らかな場合は当該部署の担当者数をカウント)

複数の項目にまたがる部署については重複して人数をカウントしており、評価書全体での「インプット指標」の合計と職員数は一致しな

い。兼務者は含まない。

評価基準 実績 分析・評価

・中期計画の達成に向けて、平成 22 事業年

度の業務運営に関する計画に記載されてい

る事項が達成されているか。

<計画記載事項>

文部科学省等の政府機関、独立行政法人、

国立大学法人、その他公益法人等が実施

する競争的資金をはじめとする各種公募型

研究への応募を積極的に行う。これにより、

国、民間企業等からの委託費、補助金等の

研究資金を積極的に導入し、海洋科学技術

に関わる多様な研究開発を実施する。その

際、研究資金の適正な執行を確保するよう

適切な体制を整備するとともに、必要な方

策を講じる。

・「独立行政法人の事務・事業の見直しの基

【平成 22 年度計画に記載されている事項の達成状況】

・外部資金課題数は前年度に比べ110%、獲得額は148%であり大幅に増

加した。科研費の新規課題採択率は 31%となり、平均(22%)を大きく上回

った。

・競争的資金に措置されている間接経費は、研究代表者自らが使途計画

を作成し研究環境の充実などに配分、より積極的な外部資金獲得のイン

センティブになっている。

・研究開発、産業連携等幅広い分野において、政府、民間企業などから、

ODA を含む競争的研究資金、委託費、補助金、その他民間助成金など多

様な資金を獲得した。

・外部資金の不正使用を防ぐ取り組みとして、文部科学省制定ガイドライン

に対応した機構内の体制、規程類、不正防止計画に基づき、各種外部資

金制度の理解浸透のための所内説明会等を実施している。

→「1-1-2-① IODP における地球深部探査船の運用」に記載

【平成 22 年度計画に記載されている事項の達成状況】

・外部資金による取組みは、海洋研究開発機構の本来のミッ

ションの推進につながるように十分な配慮のもとで実施され

ており、運営費交付金による研究と外部資金による研究の

整合性を図りつつ、外部資金を増加させている点で評価でき

る。

項目別-32

本方針」において、「深海地球ドリリング計画

推進(略)については、平成21年11月の事業

仕分けの結果を踏まえ、より一層の効率的・

効果的な実施に進めることとする。」と指摘さ

れている点について、適切に対応している

か。

(評価の視点)

・外部資金は機構のミッションに沿った使われ

方をしているか。

【外部資金の使途と機構のミッション】

運営費交付金事業は、機構の中期計画の達成のための事業であるが、こ

れを推進するにあたって必要とされる基礎的な知見やデータ等を得るた

め、もしくは運営費交付金事業で得られた成果を応用・発展させるために

競争的資金応募課題の実施しており、この整合性は事業の推進を担って

いる上長が確認しつつ進めている。

【外部資金の使途と機構のミッション】

・外部資金を活用した研究については、研究者からのボトム

アップを維持しつつ領域長が確認するというシステムが導入

されている。本システムは機構のミッションと外部資金の活

用の適正なバランスをとる観点から効果的である。

項目別-33

【1-1-3-⑤】 ⑤国際的なプロジェクト等への対応 【評定】

A

H21 H22 H23 H24

【法人の達成すべき目標(計画)の概要】 世界気候研究計画(WCRP)、地球圏-生物圏国際協同研究計画(IGBP)等の国際的な科学計画および全球地球観測システム(GEOSS)等の国際的取り組みに適切に対応することが可能な協力体制を強化することにより、海洋科学技術分野における我が国を代表する機関として、国際的に大きな役割を果たす。 B - - - 【インプット指標】 ( 期 標期間) H21 H22 2 H2 H 5 予 額 百万円) 事 業 経 費

39,738の内数の内数

事 業 経 費

37,257の内数

- -

従 人員数 人) 12 11 - -

*従事人数については本項目に関連する部署の所属人数の合計。(ただし担当者が明らかな場合は当該部署の担当者数をカウント)

複数の項目にまたがる部署については重複して人数をカウントしており、評価書全体での「インプット指標」の合計と職員数は一致しな

い。兼務者は含まない。

評価基準 実績 分析・評価

・中期計画の達成に向けて、平成 22 事業年

度の業務運営に関する計画に記載されてい

る事項が達成されているか。

<計画記載事項>

世界気候研究計画(WCRP)、地球圏-生物

圏国際協同研究計画(IGBP)等の国際的な

科学計画および全球地球観測システム

(GEOSS)等の国際的取り組みに適切に対

応することが可能な協力体制を強化するこ

とにより、海洋科学技術分野における我が

国を代表する機関として、国際的に大きな

役割を果たす。

また、アラスカ大学との国際北極圏研究セ

ンター(IARC)における研究協力や、ハワイ

大学との国際太平洋研究センター(IPRC)に

おける研究協力をはじめとして、海外の主

【平成 22 年度計画に記載されている事項の達成状況】

・国際関係業務を円滑かつ戦略的に推進するため、国際関係業務連絡委

員会を5回開催し、関連国際動向の情報共有を行い、国際関係業務に係

る連絡調整及び今後の国際展開の仕方について検討を行った。

・国際動向の調査として米国主要機関(ウッズホール海洋研究所、スクリプ

ス海洋研究所、米国海洋大気庁)の最新動向を調査すると共に、今後の

協力関係構築についての意見交換を行った。また、ブラジル SECIRM、ベト

ナム科学技術院からの要請に基づき、それぞれの関係機関を訪問し、新

たな協力関係構築のための具体的要望を聴取すると共に、今後の方向性

について意見交換を行った。

・アラスカ大学国際北極圏研究センター(IARC)及びハワイ大学国際太平

洋研究センター(IPRC)との研究協力に関する共同研究協定に基づき、実

施取り決めの年度更新を行い、それぞれ共同研究テーマを推進した。ま

た、同協定により設置された運営に係る委員会をそれぞれ 2回及び1回開

催し、研究協力活動全般の運営・進捗等を検討した。

・海外研究機関との協力のため、平成22年度末現在19機関と協定を締結

【平成 22 年度計画に記載されている事項の達成状況】

・積極的な取組みが行われており、国際化の推進が図られ

ていると評価できる。

・例えば、「国際関係業務連絡委員会」が設置され、連絡調

整、情報交換が活発に行われている。また、国外の主要機

関を訪問調査し、活発な意見交換を行っている様子が見ら

れる。

・また、共同研究協定に基づき、アラスカ大学国際北極圏研

究センター(IARC)、ハワイ大学国際太平洋研究センター

(IPRC)との共同研究を着実に進めている。

・これらの取組みの効果については、今後、成果を評価・検

証する必要がある。

・東京大学海洋アライアンスと共同し、勉強会を開催するとと

もに、海洋科学調査をめぐる法的諸問題に関する研究報告

書をまとめたことは評価できる。

項目別-34

要な海洋研究機関等と研究協力協定に基

づき、国際的な研究協力・交流を積極

的に進めるとともに、双方向の研究者交流

や人材育成を実施する。

一方、我が国の政府間海洋学委員会(IOC)

に関する取り組みを支援する体制を整備

し、また、海洋法に関する国際連合条約

(UNCLOS)、生物の多様性に関する条約

(CBD)、気候変動に関する国際連合枠組条

約(UNFCCC)等を背景とした国際動向を把

握し、関連情報を集約・分析する体制を整

備するとともに、地球規模の課題の解決に

対し、機構の活動による知見の活用等科学

技術的側面から貢献していく。

・平成21年度業務実績評価において「国際的

なプロジェクトの対応については、(略)中国

をはじめとするアジア諸国の台頭を鑑みる

と、国際戦略の重要性は増しており、トップが

リーダーシップを発揮し、機構内で取り組む

方向をまとめるなどの工夫・努力が早急に必

要と判断される。」と指摘した点について、適

切に対応しているか。

している。平成22年12月にラモント・ドハティ地球観測研究所(LDEO)との

研究協力協定を更新した。また、平成 22 年 8 月には韓国海洋研究所

(KORDI)と MOU に基づく定期協議を実施した。

・アメリカ大気海洋庁(NOAA)長官補、インドネシア技術評価応用庁

(BPPT)事務次官、ユネスコ政府間海洋学委員会(IOC)事務局長等、海

外の政府・研究機関等からの来訪者(計 24 件)があり、施設見学、意見交

換等を行った。

・国際会議等における機構紹介として、地球観測に関する政府間会合(G

EO)第7回本会合及びGEO閣僚級会合(平成 22年 11月、中国・北京)等

での展示協力を実施した。

・平成22年5月28日に第3回 IOC 協力推進委員会を開催するとともに、

同委員会に設置された WESTPAC 分野、海洋観測・気候変動分野、海洋

情報・データ分野の3つの専門部会を計3回開催し、各専門分野における

専門家による意見交換を実施した。

・平成22年6月より9月まで、国際法の専門家及び海洋研究関係者から

構成される勉強会を東京大学海洋アライアンスと共催することを通じて、

上記海洋アライアンスによる海洋科学調査をめぐる法的諸問題に関する

研究報告書の作成に貢献した。

【平成 21 年度業務実績評価の指摘事項への対応】

・国際戦略を検討するため、担当理事の指示のもと所内委員会を設置し、

検討を開始した。同委員会では当機構における国際戦略の在り方につい

て議論を進め、今後の国際展開の検討に向けて、包括的協力協定を締結

している米国の3つの主要な研究機関や、アジア海外機関を訪問するなど

動向調査等を行った。国際展開の在り方については今後提言として取りま

とめることとしている。

・南米における調査航海といった新規プロジェクトの実現に向けて、多くの

対外調整を進めるなど、積極的に取り組んでいる。

【平成 21 年度業務実績評価の指摘事項への対応】

・組織内に本事案検討のための委員会を設置して議論を進

めるとともに、各国の主要機関を訪問するなど、一歩進んだ

取り組みが行われた。

・先進国と開発途上国と対象を分けて、それぞれに応じた協

力活動を展開した。

項目別-35

【(中項目)1-2】 2.研究開発成果の普及および成果活用の促進

【(小項目)1-2-1】 (1)研究開発成果の情報発信 【評定】 A

H21 H22 H23 H24 H25

【法人の達成すべき目標(計画)の概要】 研究開発の成果を論文や報告等としてまとめ、国内外の学術雑誌に年間平均 960 報以上(平成 16 年度から平成 19 年度までの年平均:958 報)発表する。なお、論文については研究開発の水準を一定以上に保つため、査読論文の割合を7割(平成 16 年度から平成 19 年度までの平均:72%)以上とする。また、当機構独自の査読付き論文誌を年2回発刊し、インターネットから閲覧できる形で公開する。 得られた成果を積極的に社会へ情報発信するため、国際シンポジウム、研究成果発表会、各種セミナー等を中期目標期間中に 500件以上(平成 16年度から平成 19年度までの4年間の実績:461件)開催する。

A - - - -

【インプット指標】 (中期目標期間 H21 H22 H23 H24 H25 決算額(百万円) 海洋科学技

術理解増進

309の内数

海洋科学技

術理解増進

306の内数

- - -

従事人員数(人) 15 15 - - -

*従事人数については本項目に関連する部署の所属人数の合計。(ただし担当者が明らかな場合は当該部署の担当者数をカウント)

複数の項目にまたがる部署については重複して人数をカウントしており、評価書全体での「インプット指標」の合計と職員数は一致しな

い。兼務者は含まない。

評価基準 実績 分析・評価

・ 中期計画の達成に向けて、平成 22 事業年

度の業務運営に関する計画に記載されて

いる事項が達成されているか。

<計画記載事項>

研究開発の成果を論文や報告等としてまと

め、国内外の学術雑誌に年間平均 960 報

以上(平成 16 年度から平成 19 年度までの

年平均:958 報)発表する。なお、論文につ

いては研究開発の水準を一定以上に保つ

ため、査読論文の割合を7割(平成 16 年

度から平成 19 年度までの平均:72%)以

上とする。また、当機構独自の査読付き論

文誌を年2回発刊し、インターネットから閲

【平成 22 年度計画に記載されている事項の達成状況】

・論文発表数 1,237 報、学会発表数 1,772 件と、ともに前年度を上回り、さ

らに論文の査読率が 78%に至るなど中期計画を達成した。また、トムソンロ

イター社のWeb of Science収録誌への掲載数も前年度を上回るなど、質も

向上した。

・機構独自の査読付論文誌「JAMSTEC-R」を 2 号発行し、インターネットで

公開した。

・研究交流情報誌「INNOVATION NEWS」を引き続き発行、研究開発成果

の社会への発信、還元に取り組んだ。

・シンポジウム、セミナー等を 169 件開催し中期計画の目標件数を上回っ

たうえ、各拠点においても出前授業やセミナー開催等により地域住民への

情報発信及び研究開発成果の理解増進に努めた。

・学術機関リポジトリの運用により外部への研究開発成果の発信に取り組

【平成 22 年度計画に記載されている事項の達成状況】

・本事項では数値目標を掲げているが、いずれの項目でも目

標以上の成果を挙げている。

・論文の被引用数の多さは、論文の質の代替指標となってい

ると思われ、研究業績の発表は、質・量ともに十分と判断さ

れる。

項目別-36

覧できる形で公開する。

得られた成果を積極的に社会へ情報発信

するため、国際シンポジウム、研究成果発

表会、各種セミナー等を中期目標期間中に

500 件以上(平成 16 年度から平成 19 年度

までの4年間の実績:461 件)開催する。

んだ。

項目別-37

【(小項目)1-2-2】 (2)普及広報活動 【評定】

A

H21 H22 H23 H24

【法人の達成すべき目標(計画)の概要】 a.プレス発表やインターネットを活用し、研究の必要性や研究成果等の情報発信を国内外に対し積極的に行う。ウェブサイトの運用については、週1回以上更新し、年間アクセス 820万件以上(平成 16年度から平成 19年度までの平均:815万件/年)の閲覧を確保する。

b.速報性を有する情報を掲載した刊行物を年 12回発行する。 c.研究成果等の詳細情報を一般国民が理解しやすい内容で掲載した広報誌を年6回発行する。 d.各拠点の施設・設備の一般公開を年1回以上開催する。保有船舶の一般公開についても自治体等との連携において適宜開催する。各拠点については、見学者を常時受け入れ、機構全体で1年あたり 28,000人以上(平成 16 年度から 19 年度までの年平均:27,739 人)受け入れる(船舶の一般公開での見学者数を除く)。各展示施設の展示内容は、最新の研究開発成果を取り入れ、随時充実させる。

e.研究成果を活用し、海洋に関する理解を増進させるため、船舶の活用等により青少年から大学生等に対する教育研修プログラムを充実し、人材育成に積極的に取り組むとともに、科学館・博物館等と連携した一般向けセミナーや出前授業等を通じ、海洋に関

する理解の増進、海洋科学技術の普及・啓発活動を効率的・効果的に実施する。

A - - -

【インプット指標】 (中期目標期間) H21 H22 H 3 2 H25 予 額 百万円) 海洋科学技

術理解増進

309の内数

海洋科学技

術理解増進

306の内数

- -

従事人員数(人) 29 28 - - -

*従事人数については本項目に関連する部署の所属人数の合計。(ただし担当者が明らかな場合は当該部署の担当者数をカウント)

複数の項目にまたがる部署については重複して人数をカウントしており、評価書全体での「インプット指標」の合計と職員数は一致しな

い。兼務者は含まない。

評価基準 実績 分析・評価

・中期計画の達成に向けて、平成 22 事業年

度の業務運営に関する計画に記載されてい

る事項が達成されているか。

<計画記載事項>

a.プレス発表やインターネットを活用し、研究

の必要性や研究成果等の情報発信を国内外

に対し積極的に行う。ウェブサイトの運用につ

【平成 22 年度計画に記載されている事項の達成状況】

・ホームページにより研究成果等の情報発信を行った。ウェブサイトは週 1

回以上更新し、年間アクセス数は約 1,189 万件であった。

・「JAMSTEC ニュース なつしま」を年 12 回刊行した。

・一般向け海と地球の情報誌「Blue Earth」を年 6 回発行した。このほか特

別号を 1回発行した。

・各拠点の施設一般公開を各年 1 回実施した。また、見学者の受け入れも

【平成 22 年度計画に記載されている事項の達成状況】

・ウェッブサイト、情報誌、施設の一般公開など、多様な手段

と媒体で海洋開発研究機構の活動を広く周知・公表している

と認められる.

・NHK で特集が組まれたが、そのようなメディアへの露出は

インパクトがあり、若い世代の海洋への興味喚起へと繋がる

ため、今後も積極的に機会を見出していくことが望まれる。

項目別-38

いては、週1回以上更新し、年間アクセス 820

万件以上(平成 16年度から平成 19年度まで

の平均:815 万件/年)の閲覧を確保する。

b.速報性を有する情報を掲載した刊行物を年

12 回発行する。

c.研究成果等の詳細情報を一般国民が理解

しやすい内容で掲載した広報誌を年6回発行

する。

d.各拠点の施設・設備の一般公開を年1回以

上開催する。保有船舶の一般公開について

も自治体等との連携において適宜開催する。

各拠点については、見学者を常時受け入れ、

機構全体で1年あたり28,000人以上(平成16

年度から 19 年度までの年平均:27,739 人)

受け入れる(船舶の一般公開での見学者数

を除く)。各展示施設の展示内容は、最新の

研究開発成果を取り入れ、随時充実させる。

e.研究成果を活用し、海洋に関する理解を増

進させるため、船舶の活用等により青少年か

ら大学生等に対する教育研修プログラムを充

実し、人材育成に積極的に取り組むとともに、

科学館・博物館等と連携した一般向けセミナ

ーや出前授業等を通じ、海洋に関する理解

の増進、海洋科学技術の普及・啓発活動を

効率的・効果的に実施する。

・平成 21 年度業務実績評価において「今後

は、数値目標の達成だけではなく、広報内容

の質の吟味や受け手の要望への対応等が必

要と考えられる。」と指摘した点について、適

切に対応しているか。

随時実施した。見学者数は合計 37,059 名。

・延べ 5 船の船舶一般公開を実施し、21,364 名の来場者があった。

・初島の海洋資料館を通年開館(火曜定休)し、来館者は 10,193 名であっ

た。

・研究成果を活用し、スーパーサイエンスハイスクールへの協力(見学等

受け入れ、講師派遣)、高校生向けの職場体験学習研修プログラム等を

実施した。また、講演会やセミナー、本部・拠点周辺等での出前授業、機

構の船舶を活用した博物館・水族館との広報連携航海等を実施することに

より、幅広い世代に対する海洋科学技術の普及活動と人材育成活動を行

った。

・第 13 回全国児童「ハガキにかこう海洋の夢絵画コンテスト」を実施し

29,319 点の応募があった。

・「海と地球の研究所セミナー」(一般向けセミナー)、「夏休み子ども実験

教室」、地元自治体と協力したサイエンスカフェ、科学館などへのイベント・

展示等協力等を通じた普及・広報活動を行った。

・67件のプレス発表を行い、内容については英語版を含めインターネットで

公開するとともに、研究成果の内容については理解増進を図るため、解説

ページをインターネットに掲載した。

【平成 21 年度業務実績評価の指摘事項への対応】

・機構における広報活動を効果的・戦略的に行うべく、普及・広報委員会に

おいて「普及・広報の進め方」(広報戦略)を策定し、同委員会の下に「広

報エクステンション部会」を設置するなど、これまでの活動を検証し効果的

に実施するために必要な基盤づくりを行った。

・横浜研究所地球情報館公開セミナー等の実施にあたっては、アンケート

調査や地元担当者との意見交換を通じ、ニーズに応じた企画となるよう努

めた。

・また、閲覧数等で受け手の反応を確認できる Youtube など新たな広報ツ

ールの活用なども行っている。

・研究開発機構で、若い世代の興味を増進する取り組みなど

について「普及・広報の進め方」(広報戦略)を策定し、必要

な基盤づくりを行っている点が評価できる。

・「ちきゅう」の存在や海洋研究開発機構の研究等が一般国

民に浸透してきたと思われる面もあり、普及啓発事業の効果

と考えられる。

・一方、それぞれの手法が、どのような層にどのような効果を

及ぼしているのか分析することも必要である。

【平成 21 年度業務実績評価の指摘事項への対応】

・広報の質の吟味、受け手の要望への対応についても積極

的に取り組んでいるといえる。

・「広報エクステンション部会」を設置したことで広報活動がど

のように変わったかの分析が必要である。

項目別-39

(評価の視点)

・刊行物の内容は、想定される読者層に応じ

て十分に工夫されているか。

・活動の受け手の反応はフィードバックされて

いるか。

【刊行物の内容及び受け手の反応のフィードバック】

・関係機関や賛助会を主な対象とし速報性を有する「なつしま」、一般向け

に理解しやすい内容で研究開発の成果を解説する広報誌「Blue Earth」を

それぞれ使い分け、目的・対象に応じた情報発信を行っている。

・横浜研究所地球情報館公開セミナー等の実施にあたっては、アンケート

調査や地元担当者との意見交換を通じ、ニーズに応じた企画となるよう努

めた。《再掲》

・また、閲覧数等で受け手の反応を確認できる Youtube など新たな広報ツ

ールの活用なども行っている。《再掲》

【刊行物の内容及び受け手の反応のフィードバック】

・特にセミナーや講演会、サイエンスカフェの開催にあたって

は、アンケートや、協力関係にある科学館・教育委員会等と

の緊密な連携などを通じ、ニーズに応じた企画となるような

努力は見られる。今後もニーズの把握、反応のフィードバッ

クの努力を続け、ニーズに応じた効果的な普及啓発活動に

努めていくことが求められる。

項目別-40

【(小項目)1-2-3】 (3)研究開発成果の権利化および適切な管理 【評定】

A

H21 H22 H23 H24

【法人の達成すべき目標(計画)の概要】 知的財産の質を維持し活用するため、また、機構の有する研究開発成果の産業応用を見据え、国内外を合わせて5年後には年間

35 件以上(平成 16 年~19 年度の年平均:32 件)の特許出願を行うとともに、出願特許の質を向上させるための取り組みを実施する。その際、民間企業との共同研究開発等を積極的に行う。取得特許等については一定期間毎にその実施可能性を検証し、維持の

必要性を見直す等効率的な維持管理を行う。得られた研究開発成果に付加価値をつけ、社会や国民経済に還元するための取り組

みを積極的に行う。これについて、新たな社会的価値や経済的価値を生み出すイノベーションを創出するため、以下の取り組みを行

う。 a. 産業界や自治体、大学等の研究機関との積極的な交流を通じた研究成果の産業利用等を促進させるための取り組みを行う。 b. 知的財産収入等を新たな研究開発に投入することで、更なるイノベーションの創出につながる取り組みを実施する。また、研究者に適切なインセンティブを与えることで、機構の研究開発活動を活性化させる。

c. 研究開発成果を活用した「JAMSTEC ベンチャー」の支援強化など、研究成果の社会への還元による社会貢献の手法の多様化を実施する。 一方、深海底をはじめとする極限環境から得られた微生物等を中期目標期間最終年度までに 11,500 株以上保管する(平成 19 年度末実績:6,800 株)。得られた菌株・DNA 等の貴重なバイオリソースの保存・管理を行い、適切な取り決めの下で提供することにより、経済社会活動の発展や国民生活の質の向上に貢献する。

A - - -

【インプット指標】 (中期目標期間) H21 H22 H23 H24 H25 予算額(百 円) 4 4 - - -

従事人員数(人) 7 8 - - -

*従事人数については本項目に関連する部署の所属人数の合計。(ただし担当者が明らかな場合は当該部署の担当者数をカウント)

複数の項目にまたがる部署については重複して人数をカウントしており、評価書全体での「インプット指標」の合計と職員数は一致しな

い。兼務者は含まない。

評価基準 実績 分析・評価

・中期計画の達成に向けて、平成 22 事業年

度の業務運営に関する計画に記載されてい

る事項が達成されているか。

<計画記載事項>

知的財産の質を維持し活用するため、また、

機構の有する研究開発成果の産業応用を見

据え、国内外を合わせて5年後には年間 35

件以上(平成16年~19年度の年平均:32件)

【平成 22 年度計画に記載されている事項の達成状況】

・特許出願件数は 42 件であり、前年度より増加した。

・知的財産収入は、29,149 千円であった。このうち特許、プログラム著作

物、一部著作権については、50%を発明者に報償金として支払った。

・研究開発活動等の推進に必要な経費として知的財産収入の 25%(上限)

を配分する仕組みを活用し、研究者及び技術者等の知的財産取得に対す

るインセンティブ向上を図った。

・「実用化展開促進プログラム」など機構の研究成果の実用化支援につい

【平成 22 年度計画に記載されている事項の達成状況】

・特許出願数は中期計画を達成している。

・研究者及び技術者等の知的財産取得に対するインセンティ

ブ向上を図る仕組みが機能し始めているように思われる。

・企業の具体的なシーズやニーズに機構のシーズを活用し

て実用化を図る「戦略的連携タイプ」は有効であり、評価でき

る。

項目別-41

の特許出願を行うとともに、出願特許の質を

向上させるための取り組みを実施する。その

際、民間企業との共同研究開発等を積極的

に行う。取得特許等については一定期間毎

にその実施可能性を検証し、維持の必要性

を見直す等効率的な維持管理を行う。

得られた研究開発成果に付加価値をつ

け、社会や国民経済に還元するための取り

組みを積極的に行う。これについて、新たな

社会的価値や経済的価値を生み出すイノベ

ーションを創出する。

一方、深海底をはじめとする極限環境から得

られた微生物等を中期目標期間最終年度ま

でに 11,500 株以上保管する(平成 19 年度末

実績:6,800 株)。得られた菌株・DNA 等の貴

重なバイオリソースの保存・管理を行い、適

切な取り決めの下で提供することにより、経

済社会活動の発展や国民生活の質の向上に

貢献する。

ては、平成 22 年度より、企業の具体的なシーズやニーズに機構のシーズ

を活用して実用化を図る「戦略的連携タイプ」という区分を設け、開発支援

を行っており、早期の商品化・事業化を目指して開発支援を行っている。

・ JAMSTECベンチャー第 1号は、(株)フォーキャストオーシャンプラスとし

て発展的改組が行われたが、継続してソフトウェアの使用許諾やスーパー

コンピュータの使用料減額など優遇措置をベンチャー支援として実施して

いる。

・深海生物やシミュレーション可視化画像などの画像等をテレビ番組や書

籍・雑誌向けに計 432 件提供し、海洋地球科学の理解増進に寄与するな

ど、社会貢献活動を実施した。また、「しんかい 6500」のブロック玩具や深

海生物の写真集が電子書籍化されるなど機構のコンテンツを活用した商

品化の事例が増え、それに伴う知的財産収入も増加した。

・深海底をはじめとする極限環境から得られた微生物等を、適切に保存・

管理している(平成 22 年度末現在:9,000 株)

・得られた株菌・DNA 等の貴重なバイオリソースの保存・管理を行った。

項目別-42

【(中項目)1-3】 3.大学および大学共同利用機関における海洋に関する学術研究への協力 【評定】

A

H21 H22 H23 H24 H25

【法人の達成すべき目標(計画)の概要】 東京大学海洋研究所との緊密な連携・協力により、学術研究の特性に配慮した研究船・深海調査システム等の運航・運用の計画を

作成し、これに基づいた運航・運用を行う。 機構が保有する7隻の船舶において実施される学術研究の課題の申請受付・審査・決定に関する業務の東京大学海洋研究所への

一元化が円滑に実施されるよう、同所への必要な協力を行う。また、業務全体の効率化を図るため、予算および要員も含め、関係組

織および業務実施のあり方について検討し、その結果を踏まえ、必要な措置を講ずる。 その他、必要に応じ、大学および大学共同利用機関における海洋に関する学術研究に関し協力を行う。

A - - - -

【インプット指標】 (中期目標期間 H21 H22 H23 H24 H25 予算額(百万 ) 1,419 1,395 - - -

従事人員数 人) 77 89 - - -

*従事人数については本項目に関連する部署の所属人数の合計。(ただし担当者が明らかな場合は当該部署の担当者数をカウント)

複数の項目にまたがる部署については重複して人数をカウントしており、評価書全体での「インプット指標」の合計と職員数は一致しな

い。兼務者は含まない。

評価基準 実績 分析・評価

・中期計画の達成に向けて、平成 22 事業年

度の業務運営に関する計画に記載されてい

る事項が達成されているか。

<計画記載事項>

東京大学海洋研究所との緊密な連携・協力

により、学術研究の特性に配慮した研究船・

深海調査システム等の運航・運用の計画を

作成し、これに基づいた運航・運用を行う。

機構が保有する7隻の船舶において実施

される学術研究の課題の申請受付・審査・

決定に関する業務の東京大学海洋研究所

への一元化が円滑に実施されるよう、同所

への必要な協力を行う。また、業務全体の

効率化を図るため、予算および要員も含

め、関係組織および業務実施のあり方につ

【平成 22 年度計画に記載されている事項の達成状況】

・学術研究船については、「学術研究船運航連絡会」を通じて東京大学大

気海洋研究所と「淡青丸」「白鳳丸」の運航整備や両船での研究者支援に

関し意識の共有化を図るなど、適切に連携を行った。また、大学共同利用

機関である東京大学大気海洋研究所におかれた「研究船共同利用運営

委員会」が策定した運航計画に基づき、円滑な運航、適切な船体保守・整

備、観測員支援を行い、「淡青丸」は 286 日、「白鳳丸」は 299 日の運航日

数を確保し、学術研究船として十分役割を果たした。このことから、計画記

載事項は達成された。

【平成 22 年度計画に記載されている事項の達成状況】

・学術研究船「淡青丸」と「白鳳丸」は年間 300 日近く供用さ

れており、学術研究船として十分役割を果たしたと言え、学

術研究への協力がなされている。

・燃料代の高低に依存しない安定した運航を可能とする対策

の検討が必要である。

項目別-43

いて検討し、その結果を踏まえ、必要な措

置を講ずる。

その他、必要に応じ、大学および大学共同

利用機関における海洋に関する学術研究

に関し協力を行う。

項目別-44

【(中項目)1-4】 4.科学技術に関する研究開発または学術研究を行う者等への施設・設備の供用

【(小項目)1-4-1】 (1)船舶および深海調査システム等の供用 【評定】 S

H21 H22 H23 H24 H25

【法人の達成すべき目標(計画)の概要】 機構が保有する7隻の研究船(地球深部探査船「ちきゅう」を除く。)、有人および無人深海調査システム等を整備し、自らの研究開発に効率的に使用するとともに、各船舶の特性に配慮しつつ、研究開発等を行う者の利用に供する。各船の運航業務については、大

学および大学共同利用機関における海洋に関する学術研究への協力に配慮しつつ、研究開発に必要な運航日数を確保する。 A - - - -

【インプット指標】 (中期目標期間) H21 H22 H23 H24 H25 決算額(百万円) 8,935 8,869 - - -

従事人員数 人) 88 101 - - -

*従事人数については本項目に関連する部署の所属人数の合計。(ただし担当者が明らかな場合は当該部署の担当者数をカウント)

複数の項目にまたがる部署については重複して人数をカウントしており、評価書全体での「インプット指標」の合計と職員数は一致しな

い。兼務者は含まない。

評価基準 実績 分析・評価

・ 中期計画の達成に向けて、平成 22 事業年

度の業務運営に関する計画に記載されて

いる事項が達成されているか。

<計画記載事項>

機構が保有する 7 隻の研究船(地球深部

探査船「ちきゅう」を除く。)、有人および無

人深海調査システム等を整備し、自らの研

究開発に効率的に使用するとともに、各船

舶の特性に配慮しつつ、研究開発等を行う

者の利用に供する。各船の運航業務につ

いては、大学および大学共同利用機関に

おける海洋に関する学術研究への協力に

配慮しつつ、研究開発に必要な運航日数

を確保する。

【平成 22 年度計画に記載されている事項の達成状況】

・研究船の運用については、研究者から利用課題を公募し、有識者からな

る「海洋研究推進委員会」による選定等により、運航計画を策定した。老朽

化対策のための整備期間等が必要となる中で、一元的な管理体制の下、

課題の実施時期や実施海域を調整しつつ、安全を最優先として効果的・

効率的な運航に努め、7 船計 1,963 日と運航日数を昨年度より増やし、研

究開発への利用に適切に供した。

・研究船の安全・保安体制の確立のために、船毎に定めた安全管理シス

テムを常に更新するとともに、海賊出没周辺海域を航行する際には船上・

陸上において海賊対策を実施した。さらに安全運航に関する定期的な意

見交換会等を通じて各船・乗組員に対する安全対策の知見等の共有化を

図り、事故・トラブルによる運航停止“ゼロ”を実現し、海洋における研究活

動の促進に貢献した。

・ 外部資金の獲得に努め、4 船計 99 日の運航日数を確保した。

・「しんかい 6500」の水中カメラのハイビジョン化など利用者の要望に答え

るべく機能向上を図るとともに、「ハイパードルフィン」の潜航深度 4,500m

【平成 22 年度計画に記載されている事項の達成状況】

・各船舶のメンテナンスを計画的に行った結果として、前年度

以上の長い日数を、故障による欠航もなく安全に運航でき、

高い稼働率となっていることは高く評価できる。

・深海調査システムの供用において、水中カメラのハイビジョ

ン化を行うなど、最高レベルの支援を行う意識を有している。

項目別-45

(評価の視点)

・ 震災対応への貢献はどうか。

化や「かいよう」にも搭載可能とするための整備を行い、地震・津波観測監

視システム構築に対応した。

・観測技術員並びに船側の協力体制により質の高い研究者支援を行っ

た。さらに、太平洋・インド洋でブイを運用して得られたデータを WEB で公

開するなど国際的な役割を果たした。

・これらのことから、計画記載事項は達成された。

【東日本大震災への貢献】

・東日本大震災に係る緊急調査等として、三陸沖において地震計設置・海

底下構造探査・海底地形調査を、相馬沖で海域モニタリング調査を実施す

るなど、現有の能力を有効に活用し、迅速かつ適切に、震災対応へ貢献し

た。

【東日本大震災への貢献】

・東日本大震災時には船舶を出して各種調査を行うなど、柔

軟で迅速な対応を行った。突発的な災害への海洋研究開発

機構の対応の柔軟性が示された。このような東日本大震災

時の各船舶の柔軟な稼働は、運航関係者の震災対応への

意識の高さの表れといえる。

評定の根拠(A評定との違い) 【定量的根拠】

平成 22 年度において、下記の通り、機構が保有する 7隻ともに年間 300 日近い運航を達成しており、非常に高い稼働率であり、S評定に値する。

なつしま:274 日/年

かいよう:244 日/年

よこすか:277 日/年

かいれい:284 日/年

みらい :299 日/年

淡青丸 :286 日/年(過去 5年間で最長の運行日数)

白鳳丸 :299 日/年(過去 5年間で最長の運行日数)

【定性的根拠】

・効果的・効率的な運航に努め、また、計画的なメンテナンスにより長期間にわたって故障等のトラブルなく運航し、研究開発への利用に迅速かつ適切に供したことは高く評価できる。

・東日本大震災の際には、社会的要請に対して柔軟に対応し、迅速に緊急調査を実施しており、突発的な災害対応における海洋研究開発機構の重要性も示された。東日本大震災時の

各船舶の柔軟な稼働は、運航関係者の震災対応への意識の高さの表れといえる。

これらの取り組みは、科学的・社会的な要請に対して、通常求められている水準を超える貢献であると認められ、S評定に値する。

項目別-46

【(小項目)1-4-2】 (2)施設・設備の供用 【評定】

A

H21 H22 H23 H24

【法人の達成すべき目標(計画)の概要】 潜水訓練プール等の試験研究施設・設備を整備し、自らの研究開発に効率的に使用するとともに、研究開発等を行う者の利用に供

する。 A - - -

【インプット指標】 (中期目標期間) H21 H22 H23 H24 H2 予算額(百万円) 490 485 - - -

従事人員数(人 6 6 - - -

*従事人数については本項目に関連する部署の所属人数の合計。(ただし担当者が明らかな場合は当該部署の担当者数をカウント)

複数の項目にまたがる部署については重複して人数をカウントしており、評価書全体での「インプット指標」の合計と職員数は一致しな

い。兼務者は含まない。

評価基準 実績 分析・評価

・ 中期計画の達成に向けて、平成 22 事業年

度の業務運営に関する計画に記載されて

いる事項が達成されているか。

<計画記載事項>

潜水訓練プール等の試験研究施設・設備

を整備し、自らの研究開発に効率的に使用

するとともに、研究開発等を行う者の利用

に供する。

【平成 22 年度計画に記載されている事項の達成状況】

・高圧実験水槽、分析ラボ、マシンショップ等の各施設・設備について適切

に維持管理し、ダウンタイムも殆ど無く、効率的に運用した。

・「しんかい 6500」の機能向上、「かいこう 7000-Ⅱ」の光ロータリージョイン

ト等の高圧下試験、次世代海洋探査機の要素技術開発、老朽化した電子

顕微鏡の更新を行うなど、内外の研究開発を行う者等の利用に供した。

・このことから、計画記載事項は達成した。

【平成 22 年度計画に記載されている事項の達成状況】

・計画的に実施されていると思われるが、施設・設備の供用

日数の目標や適切と考える目途を設定した上で供用するこ

とが必要である。

項目別-47

【(小項目)1-4-3】 (3)「地球シミュレータ」の供用 【評定】

A

H21 H22 H23 H24

【法人の達成すべき目標(計画)の概要】 「地球シミュレータ」を効率的に運用し、運用経費を抑制するとともに、システム運用環境の改善を進めることで利便性を向上させ、利

用者へは利用情報、技術情報を適宜提供し、円滑な利用環境の構築を進める。また、民間企業、大学、公的機関等の利用を拡大す

るとともに、これら利用者との共同研究を積極的に推進する。特に民間等による有償利用については、外部資金の拡大に向けた利

用促進のため、利用者への技術支援、技術研究、環境の改善等複合的なアプローチを行う。 A - - -

【インプット指標】 (中期目標期間) H 1 H22 23 H24 H25 予算額 百万円 4,613 4,310 - -

従事人 数(人) 23 24 - - -

*従事人数については本項目に関連する部署の所属人数の合計。(ただし担当者が明らかな場合は当該部署の担当者数をカウント)

複数の項目にまたがる部署については重複して人数をカウントしており、評価書全体での「インプット指標」の合計と職員数は一致しな

い。兼務者は含まない。

評価基準 実績 分析・評価

・ 中期計画の達成に向けて、平成 22 事業年

度の業務運営に関する計画に記載されて

いる事項が達成されているか。

<計画記載事項>

「地球シミュレータ」を効率的に運用し、運

用経費を抑制するとともに、システム運用

環境の改善を進めることで利便性を向上さ

せ、利用者へは利用情報、技術情報を適

宜提供し、円滑な利用環境の構築を進め

る。また、民間企業、大学、公的機関等の

利用を拡大するとともに、これら利用者との

共同研究を積極的に推進する。特に民間

等による有償利用については、外部資金

の拡大に向けた利用促進のため、利用者

への技術支援、技術研究、環境の改善等

複合的なアプローチを行う。

【平成 22 年度計画に記載されている事項の達成状況】

・ジョブスケジュールなどの調整を行い、地球シミュレータの効率的な運用

に努め、ノードは 91%以上の利用がされるなど、十分な計算資源を提供し

た。

・利用説明会・講習会の実施、各種手引書・技術資料の整備、プログラミン

グ等技術支援としてのテクニカル窓口の設置、e ラーニングシステムでの

過去の講習会の模様の配信、ファイル転送サービスの整備など、利用者

の利便性向上を積極的に推進した。

・文部科学省の先端研究施設共用促進事業および連携機関との共同研

究等を通して「地球シミュレータ産業戦略利用プログラム」を実施し、共用

促進事業においては、合計13件(内新規4件)の利用課題を選定し技術支

援を実施した。また、成果専有型有償利用においても、産業界への積極的

な利用開拓を行い、新規利用拡大を実現した。また、社会への還元も積極

的に行っている。

【平成 22 年度計画に記載されている事項の達成状況】

・稼働率 90%以上を維持していることは評価できる。

・産業界への積極的な広報、並びに利用開拓の努力は高く

評価でき、社会への還元も積極的に行われているといえる。

・海洋研究開発機構にとって、次はどのようなコンピュータの

導入が適切かということについても、検討を始めるべき。

項目別-48

【(小項目)1-4-4】 (4)地球深部探査船の供用 【評定】

A

H21 H22 H23 H24

【法人の達成すべき目標(計画)の概要】 統合国際深海掘削計画(IODP)における国際運用に供するとともに、地球深部探査船「ちきゅう」の運用に資する技術をより一層の蓄積させることを目的に、科学掘削の推進に影響を及ぼさない範囲で、海洋科学技術の推進に資すると認められる場合において、作

業の安全性や経済性などを考慮のうえ、外部資金による資源探査のための掘削等を実施する。 A - - - 【インプット指標】 (中期目標期間) H21 H22 H23 H24 H25 予算額 (百万円) 1,601 1,016 - - -

従事人 数(人) 26 25 - - -

*従事人数については本項目に関連する部署の所属人数の合計。(ただし担当者が明らかな場合は当該部署の担当者数をカウント)

複数の項目にまたがる部署については重複して人数をカウントしており、評価書全体での「インプット指標」の合計と職員数は一致しな

い。兼務者は含まない。

評価基準 実績 分析・評価

・ 中期計画の達成に向けて、平成 22 事業年

度の業務運営に関する計画に記載されて

いる事項が達成されているか。

<計画記載事項>

統合国際深海掘削計画(IODP)における国

際運用に供するとともに、地球深部探査船

「ちきゅう」の運用に資する技術をより一層

の蓄積させることを目的に、科学掘削の推

進に影響を及ぼさない範囲で、海洋科学技

術の推進に資すると認められる場合にお

いて、作業の安全性や経済性などを考慮

のうえ、外部資金による資源探査のための

掘削等を実施する。

(評価の視点)

・ 「IODP における国際運用」は目的を達成し

ているか。

【平成 22 年度計画に記載されている事項の達成状況】

・科学掘削とのバランスを考慮しつつ、外部資金獲得と国内での海底資源

探査のため、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構からの外部

委託として、資源探査(東海沖メタンハイドレート事前調査)を実施した。日

本周辺での炭化水素資源探査に貢献するとともに、外部収入を得たこと

は、科学掘削を含む「ちきゅう」の安定的な運用に寄与した。

・南海トラフ地震発生帯掘削計画はステージ1から4までの段階中ステー

ジ3に着手したほか、孔内計測装置の設置にも成功した。沖縄においては

黒鉱の採取に成功する等、科学的成果も得られており国際運用の目的を

【平成 22 年度計画に記載されている事項の達成状況】

・中期計画に基づき、IODP における国際運用に加えて外部

委託による資源掘削が実施された。得られた収入は、「ちき

ゅう」の安定的運行に寄与したといえる。しかしながら、資源

掘削の実施においては、「ちきゅう」の本来の目的である科

学掘削とのバランスをよく考えて実行すべきである。

・科学的成果も得られており国際運用の目的を着実に達成

しているといえる。

項目別-49

・外部資金による資源探査のための掘削等

の実施が IODP における地球深部探査船

の国際運用を圧迫していないか。

着実に達成している。

・科学掘削の推進に影響を及ぼさない範囲で作業の安全性と経済性を考

慮して資源掘削を実施している。得られた資金及び経験は科学掘削の推

進に寄与しており国際運用を圧迫はしていない。

・必要な国際運用期間は確保されており、また、外部資金に

よる資源探査のための掘削等の実施によって得られる経験

は、科学掘削の推進に役立っていると判断される。

・外部資金による掘削と海洋研究開発機構の研究目的の掘

削のバランスについて、考え方を整理しておく必要がある。

項目別-50

【(中項目)1-5】 5.研究者および技術者の養成と資質の向上 【評定】

A

H21 H22 H23 H24 H25

【法人の達成すべき目標(計画)の概要】 海洋科学技術に係わる研究者および技術者を養成し、その資質を向上させるための取り組みを積極的に推進し、機構の研究機関と

しての機能を強化する。具体的には、 a. 研究者等を国内外の研究機関、大学等に一定期間派遣し、在外研究等を行わせるとともに、機構も他の研究機関からの研究員を積極的に受け入れる。

b. 研究者の流動性の確保等に関する諸制度や連携大学院制度を活用し、博士号を取得した若手研究者や大学院生を積極的に受け入れ、機構の研究活動に参加させることにより、海洋科学技術に係わる将来の研究人材を育成するとともに、機構における研

究開発を活性化させる。 c. 産業界等との研究者・技術者の人材交流や、機構が有する技術を活用した研修を積極的に行う。海洋科学技術を担う人材養成のための各種講習等に講師を積極的に派遣する。

d. 海洋科学技術に関し卓越した技術を有する者を指導者とした技術研修制度を活用し、高度な知識・技術を習得させることにより、船上・陸上で研究支援を行う技術員の技術を向上させ、海洋科学技術分野の技術者の組織的な養成を積極的に実施する。

A - - - -

【インプット指標】 (中期目標期間) H21 H22 H23 H24 H25 予算額(百万 ) 海洋科学技

術理解増進

309の内数

海洋科学技

術理解増進

306の内数

- - -

従事人員数(人) 60 59 - - -

*従事人数については本項目に関連する部署の所属人数の合計。(ただし担当者が明らかな場合は当該部署の担当者数をカウント)

複数の項目にまたがる部署については重複して人数をカウントしており、評価書全体での「インプット指標」の合計と職員数は一致しな

い。兼務者は含まない

評価基準 実績 分析・評価

・中期計画の達成に向けて、平成 22 事業年

度の業務運営に関する計画に記載されてい

る事項が達成されているか。

<計画記載事項>

海洋科学技術に係わる研究者および技術

者を養成し、その資質を向上させるための

取り組みを積極的に推進し、機構の研究機

関としての機能を強化する。

【平成 22 年度計画に記載されている事項の達成状況】

・日本学術振興会の制度を活用し職員 3 名を海外機関へ派遣したほか、

機構の研究開発に寄与する高度な知識取得を目的とした「在外研究員制

度」により 2 名を海外研究機関へ派遣、新規 2 名を次期派遣者として選考

するなど、組織として海外研究機関おける活動を継続的に支援した。ま

た、専門分野における技能の開発・習得を目的としたオーストラリア政府

奨学金により、事務系職員1名の豪州研究機構への派遣が決定した。

・新規 2 校を含む 17 の大学等との連携大学院を継続的に実施し延べ 54

【平成 22 年度計画に記載されている事項の達成状況】

・大学と積極的に連携して若い研究者を育成する姿勢は評

価できる。

・また、JAMSTECインターンシップとして全国から学生を受け

入れ、研究職ではない海事職や海技職を目指す学生にも配

慮していることは評価できる。

項目別-51

名の機構研究者が大学院教員等として教育研究活動に従事し、計 145 名

の研究生の受入れ等を通して若手人材の育成に貢献した。また、

JAMSTEC インターンシップとして、全国の大学から学生を 44 名を受け入

れ、このうち、海事職・海技職を目指す学生に対しては機構船舶を使用し

た船上での就業体験を実施した。

・平成21年度に検討した海洋科学技術に係る将来の研究人材育成プログ

ラム案に沿って、博士課程の学生を対象としたジュニア研究員制度に関し

て連携相手先となっている大学との調整を進めるとともに、予算化に向け

た検討を行った。

・関係者間の情報共有や意見交換を通じて技術向上を図る「MIND」を平

成22年度中に7回開催するなど、研究者・技術者の養成を確実に行った。

・潜水技術研修の受け入れ人数はほぼ横這いであり、定員の約 9 割(374

名)となった。ヘリコプター水中脱出訓練は、外部の受講希望者も多く、定

員の 9 割以上(315 名)に達した。また職員の技能向上を目指した海洋技

塾についても引き続き実施した。

項目別-52

【(中項目)1-6】 6.情報および資料の収集、整理・分析、加工、保管および提供 【評定】

A

H21 H22 H23 H24 H25

【法人の達成すべき目標(計画)の概要】 海洋科学技術に関する図書・雑誌等の資料を広く収集・整理し、研究者はもとより、一般利用者が利用しやすい形での情報提供を実

施する。機構が取得する各種データやサンプル等に関する情報等の体系的な収集、整理・分析、加工、保管を行い、円滑な公開・流

通を実施する。このため、必要な基本方針等を整備するとともに、海洋生物研究成果に関する総合的なデータベースなど、研究者の

ニーズや教育・社会経済分野等のニーズに対応した情報処理提供のシステムを構築する。 A - - - -

【インプット指標】 (中期目標 間) H21 H22 H23 H24 H25 決算額(百万円) 1,423 1,409 - - -

従 人員数 人) 69 56 - - -

*従事人数については本項目に関連する部署の所属人数の合計。(ただし担当者が明らかな場合は当該部署の担当者数をカウント)

複数の項目にまたがる部署については重複して人数をカウントしており、評価書全体での「インプット指標」の合計と職員数は一致しな

い。兼務者は含まない

評価基準 実績 分析・評価

・中期計画の達成に向けて、平成 22 事業年

度の業務運営に関する計画に記載されてい

る事項が達成されているか。

<計画記載事項>

海洋科学技術に関する図書・雑誌等の資料

を広く収集・整理し、研究者はもとより、一般

利用者が利用しやすい形での情報提供を

実施する。

機構が取得する各種データやサンプル等に

関する情報等の体系的な収集、整理・分

析、加工、保管を行い、円滑な公開・流通を

実施する。このため、必要な基本方針等を

整備するとともに、海洋生物研究成果に関

する総合的なデータベースなど、研究者の

ニーズや教育・社会経済分野等のニーズに

対応した情報処理提供のシステムを構築す

る。

【平成 22 年度計画に記載されている事項の達成状況】

・学術誌の高騰と予算逼迫の中、ほぼ計画通り図書資料購入を行った。

・海洋データ管理業務、データ統合・提供システムの整備、海洋生命情報

バンクの整備、付加価値・実利用データ創成高次処理システムの構築、

GODACを通じた地球環境変動情報の公開・利用促進等は、計画通り実行

するとともに、情報や資料の収集、検索可能にするためのメタデータ作成、

保管、インターネットなどを通じたデータ提供等、中期計画の項目を達成し

ている。

・付加価値・実利用データの作成では、海洋・大気・低次生態系結合同化

プロダクトの作成と、関連機関との連携による 1 年生魚種の漁場探索及び

資源変動予測の基本技術を開発した。

・データ公開システムについては、ユーザーアンケート調査の実施や学会・

シンポジウム等での積極的なサイト紹介による研究者との直接の意見交

換等によりユーザーの実態把握を進め、各種データ公開システムの機能

強化に反映させた。また、新たに BISMaL のメタデータに国際標準の

DarwinCore 形式を採用し、システム間連携機能を整備して、OBIS/IODE

へデータ提供を開始した。

【平成 22 年度計画に記載されている事項の達成状況】

・情報や資料の収集、メタデータの作成など、データベースの

整備を順調に行っていると判断する。

・データベースの構築にあたっては、提供する対象を研究者

向けと一般国民向けのどちらを重要とするか、提供する情報

及び資料の位置づけを明確にすることが必要である。

項目別-53

【(中項目)1-7】 7.評価の実施 【評定】

A

H21 H22 H23 H24 H25

【法人の達成すべき目標(計画)の概要】 柔軟かつ競争的で開かれた研究開発環境の実現や経営資源の重点的・効率的配分に資するため、外部の専門家等の評価者により

事前・事後に研究課題評価を実施する。5年以上の研究開発期間を有する課題等については、中間評価を実施する。また、外部の

有識者等により、研究船等の施設・設備の費用対効果も含めた機構の運営全般について定期的に評価を実施する。評価結果は公

表するとともに、研究開発組織や施設・設備の改廃等を含めた予算・人材等の資源配分に反映させる等、研究開発活動等の活性

化・効率化に積極的に活用する。 A - - - -

【インプット指標】 (中期目標期間) H21 H22 H23 H24 H25 予算額(百万円) 12 11 - - -

従事人 数(人) 3 3 - - -

*従事人数については本項目に関連する部署の所属人数の合計。(ただし担当者が明らかな場合は当該部署の担当者数をカウント)

複数の項目にまたがる部署については重複して人数をカウントしており、評価書全体での「インプット指標」の合計と職員数は一致しな

い。兼務者は含まない

評価基準 実績 分析・評価

・中期計画の達成に向けて、平成 22 事業年

度の業務運営に関する計画に記載されてい

る事項が達成されているか。

<計画記載事項>

柔軟かつ競争的で開かれた研究開発環境

の実現や経営資源の重点的・効率的配分

に資するため、外部の専門家等の評価者

により事前・事後に研究課題評価を実施す

る。5年以上の研究開発期間を有する課題

等については、中間評価を実施する。また、

外部の有識者等により、研究船等の施設・

設備の費用対効果も含めた機構の運営全

般について定期的に評価を実施する。

評価結果は公表するとともに、研究開発

組織や施設・設備の改廃等を含めた予算・

人材等の資源配分に反映させる等、研究開

【平成 22 年度計画に記載されている事項の達成状況】

・平成 22年 6月に実施した外部有識者で構成される機関評価会議におい

て決定された機構全体の業務の実績に係る自己評価をふまえ、文部科学

省独立行政法人評価委員会、総務省政策評価・独立行政法人評価委員

会における業務の実績評価等へ対応した。

・自己評価結果についてはホームページ等を通じて公表した。

・評価における指摘事項については各担当部署にフィードバックし、研究

活動の活性化や業務の改善等に活用した。

【平成 22 年度計画に記載されている事項の達成状況】

・機関評価やその結果の公表を実施しており、計画にそった

着実な実施が確認された。

・また、文部科学省独立行政法人評価委員会海洋研究開発

機構部会においても、委員からの質問に対して丁寧に回答

し、実績や研究の必要性、社会的意義等の説明が年々わか

りやすくなっている。

項目別-54

発活動等の活性化・効率化に積極的に活

用する。

・平成 21 年度業務実績評価において「管理・

運営に関する評価について、外部専門家に

よる評価の充実が必要と考えられる。」と指

摘した点について、適切に対応しているか。

(評価の視点)

・必要にして十分な評価体系となっているか。

・目標の定量化をベースとした評価の定量化

が進められているか。

【平成 21 年度業務実績評価への対応】

・新たに民間企業の経営者を評価会議委員に委嘱するなど、評価体制の

充実化に努めた。

【評価体系及び評価の定量化】

・機構の活動の目標となる中期計画においては、可能なものについては定

量的目標を示している。しかし、研究開発においては成果の定量化が困難

であり、定量的目標の設定および評価の定量化は困難である。

【平成 21 年度業務実績評価への対応】

・海洋研究開発機構内部の評価委員会において、新たな評

価会議委員を委嘱するなど、評価体制の充実に努めている

と判断される。

【評価体系及び評価の定量化】

・自己評価や文部科学省独立行政法人評価委員会、総務省

政策評価・独立行政法人評価委員会等、各種の評価の重複

があると思われ、役職者以外の一般事務職員や研究者の視

点からも、評価のあり方を分析し、作業の軽減を図ることが

重要である。

・定量的表現に努めるよう努力していると判断されるが、いっ

そうの努力が望まれる。

項目別-55

【(中項目)1-8】 8.情報公開および個人情報保護 【評定】

A

H21 H22 H23 H24 H25

【法人の達成すべき目標(計画)の概要】 独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(平成 13年法律第 145号)に則り、積極的に情報提供を行う。また、独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律(平成 15 年法律第 9 号)に則り、個人情報を適切に取り扱う。独立行政法人整理合理化計画(平成 19年 12月 24日閣議決定)を踏まえ、業務・人員の合理化・効率化に関する情報公開を行う。 A - - - -

【インプット指標】 (中期目標期間) H21 H22 H23 H24 H25 予算額(百万円) 運営費交付

金 45,242の内数

運営費交付

金 41,095の内数

- - -

従事人員数(人) 11 13 - - -

*従事人数については本項目に関連する部署の所属人数の合計。(ただし担当者が明らかな場合は当該部署の担当者数をカウント)

複数の項目にまたがる部署については重複して人数をカウントしており、評価書全体での「インプット指標」の合計と職員数は一致しな

い。兼務者は含まない

評価基準 実績 分析・評価

・中期計画の達成に向けて、平成 22 事業年

度の業務運営に関する計画に記載されてい

る事項が達成されているか。

<計画記載事項>

独立行政法人等の保有する情報の公開に

関する法律(平成 13 年法律第 145 号)に則

り、積極的に情報提供を行う。

また、独立行政法人等の保有する個人情報

の保護に関する法律(平成 15 年法律第

59 号)に則り、個人情報を適切に取り扱う。

独立行政法人整理合理化計画(平成 19 年

12 月 24 日閣議決定)を踏まえ、業務・人員

の合理化・効率化に関する情報公開を行

う。

【平成 22 年度計画に記載されている事項の達成状況】

・情報公開体制については、独立行政法人等の保有する情報の公開に関

する法律に則り、ホームページにより積極的に情報提供を行った。また、

マスメディア等からの問合せに対しては、報道室や関連部署と密接に連携

し対応した。また、開示請求への的確な対応を目指し公文書管理法の概

要と文書管理に関する研修を2回実施し、機構内の体制を強化するととも

に公開情報については適時更新している。(平成22年度情報公開 開示

請求件数:0件。)

・独立行政法人整理合理化計画を踏まえ、業務・人員の合理化・効率化に

関してホームページにより情報公開を行った。

・個人情報保護についての内容理解を含め、適切な個人情報の管理に資

するため、4回の研修を行い、機構内の体制強化に努めた。(平成22年度

の保有個人情報開示請求件数:0件。)

【平成 22 年度計画に記載されている事項の達成状況】

・積極的な情報提供、個人情報の適切な取扱、業務・人員の

合理化・効率化に関する情報公開は、計画通り進捗してい

る。

項目別-56

【(大項目)2】 Ⅱ 業務の効率化に関する目標を達成するためにとるべき措置 【評定】

A

【(中項目)2-1】 1.組織の編制 【評定】 A

H21 H22 H23 H24

【法人の達成すべき目標(計画)の概要】 理事長の強力なリーダーシップの下、研究開発能力、事業企画能力を含む経営・管理能力の強化に取り組む。具体的には、 a. 理事長の意思を適確に反映し経営企画機能を担う組織を整備し、機構の経営や研究戦略の策定、人的資源を含む経営資源の配分に関する総合調整を行う。

b. 国内外の研究機関や大学、産業界等の連携、協力を積極的に行うための組織・体制を整備する。 c. 業務の重複や非効率な業務を排除し、機動的かつ効率的な業務を行うため、柔軟な組織・体制を整備する。 d. 業務遂行における安全性と信頼性を確保するための組織・体制を整備する。 e. 研究に対する業務支援を合理的かつ効率的に実施するための組織・体制を整備する。 f. 監査機能、内部統制、ガバナンスの強化に向けた組織・体制を整備する。 g. 平成 22年度末までに、独立行政法人防災科学技術研究所と統合するため必要な組織・体制を整備する。

A (大項目 2の評価)

- - -

評価基準 実績 分析・評価

【法人の長のマネジメント】

(リーダーシップを発揮できる環境整備)

・ 法人の長がリーダーシップを発揮できる環

境は整備され、実質的に機能しているか。

(法人のミッションの役職員への周知徹底)

・ 法人の長は、組織にとって重要な情報等に

ついて適時的確に把握するとともに、法人

のミッション等を役職員に周知徹底してい

【リーダーシップを発揮できる環境の整備状況と機能状況】

予算・人員等の資源配分を業務実施計画の作成にあたっては、各部門か

らのヒアリングを通じ、前年度の実績・担当理事の評価も踏まえ、理事長

が決定することとしている。

【組織にとって重要な情報等についての把握状況】

理事長及びそれを補佐する理事を長とする各種機構業務遂行に係る会議

を定期的に実施しており、組織に関する重要な情報を適時的確に把握で

きる体制としている。

【役職員に対するミッションの周知状況及びミッションを役職員により深く浸

透させる取組状況】

理事長及びそれを補佐する理事を長とする各種機構業務遂行に係る会議

を定期的に実施しており、組織に関する重要な情報を適時的確に把握す

【法人の長のマネジメント】

(リーダーシップを発揮できる環境の整備状況と機能状況)

・法人の長がリーダーシップを発揮できるように、予算・人員

等の資源配分の業務実施計画の作成においては、前年度

の実績・担当理事の評価も踏まえ、理事長が決定する体制

が組まれていることが認められる。

(法人のミッションの役職員への周知徹底)

・定期会議により、法人の長が、組織にとって重要な情報等

について適時的確に把握するとともに、法人のミッション等を

役職員に周知するシステムが確認された。

項目別-57

るか。

【監事監査】

・ 監事監査において、法人の長のマネジメン

トについて留意しているか。

・ 監事監査において把握した改善点等につ

いて、必要に応じ、法人の長、関係役員に

対し報告しているか。その改善事項に対す

るその後の対応状況は適切か。

るとともに、意見交換や対処指示を可能とする体制としている。

【監事監査における法人の長のマネジメントに関する監査状況】

・理事長が出席している重要な会議に出席して情報の収集を行い、経営者

の考え等の把握を行っている。又、必要に応じて理事長に意見を述べてい

る。

【監事監査における改善点等の法人の長、関係役員に対する報告状況】

・理事長及びそれを補佐する理事を長とする機構業務遂行に係る会議に

おいて監事監査の結果について報告している。

【監事監査における改善事項への対応状況】

・監査結果について指摘等があつた場合は、指摘担当部署へ指摘事項に

ついて文書で通知し、改善状況等について文書で回答を行っている。

【監事監査における法人の長のマネジメントに関する監査状

況】

理事長等を長とする会議において監事監査の結果について

報告するとともに、監査結果について指摘等があった場合

は、指摘担当部署へ指摘事項について文書で通知し、改善

状況等について文書で回答を行うなど、関係役員への周

知、改善への対応は、適切に行われている。

項目別-58

【(中項目)2-2】 2.柔軟かつ効率的な組織の運営 【評定】

A

H21 H22 H23 H24

【法人の達成すべき目標(計画)の概要】 事業の開始に際しては、適切な資源配分の観点から、その目的と意義および研究開発の内容、リスクの低減策、コストの最適化、

スケジュールなどについて、経営の観点から判断を行う。事業の開始後も、評価等を通じ定期的に進捗状況を確認することにより、コ

ストの増大を厳しく監視し、計画の大幅な見直しや中止を含めた厳格な管理を行うとともに、その進捗状況や成果、研究の必要性等

を国民に分かりやすい形で示す。また、計画の見直しや中止が生じた場合には、経営層における責任を明確化するとともに、原因究

明と再発防止を行う。

一方、外部の専門的な能力を活用することにより高品質のサービスが低コストで入手できるものについては、外部委託を積極的に

活用するなど、業務の効率化と経費の節減を行う。

競争的環境の実現と効率的な資源配分の実施のため、職員の業務に関する評価を適正に行い、その評価結果をその後の資源の

配分に反映させるとともに、職務、職責および業績に応じた適切な職員の処遇を行う。

- - -

評価基準 実績 分析・評価

(組織全体で取り組むべき重要な課題(リス

ク)の把握・対応等)

・ 法人の長は、法人の規模や業種等の特性

を考慮した上で、法人のミッション達成を阻

害する課題(リスク)のうち、組織全体として

取り組むべき重要なリスクの把握・対応を

行っているか。

【組織全体で取り組むべき重要な課題(リスク)の把握状況】

・リスクマネジメント基本方針、リスクマネジメント規程等関連諸規程を定

め、リスクマネジメント委員会(理事を筆頭としたメンバーから成り、監事が

オブザーバーとして参加)を設置し、リスクマネジメント推進体制を整備し

た。

・平成24年度からのリスクマネジメントの定常運用に向け、リスクマネジメ

ント委員会の審議・承認に基づき、平成22年度はパイロット部署(3部署)

において機構をとりまくリスクを抽出し、想定リスク一覧表を作成するととも

に、発生可能性及び影響度からリスクの評価を実施し、重要度の高いリス

クを把握した。

・また、各部署において指定されたリスクマネジメント推進担当者が、パイ

ロット部署の想定リスク一覧表をもとに改めてリスクの抽出を行うことによ

り、想定リスク一覧表の網羅性を高めた。こうして作成された想定リスク一

覧表については、リスクマネジメント委員会への報告後、理事長をはじめと

する役職員に報告された。

・リスクのある船舶の行動、観測活動については研究安全委員会において

審議し安全に関する評価を行っている。平成22年度は157件を審議した。

また、「ちきゅう」については掘削安全委員会で安全評価を実施した。

【組織全体で取り組むべき重要な課題(リスク)に対する対応状況】

・パイロット部署におけるリスク評価結果を踏まえ、優先的に対応すべきパ

・リスクマネジメントの推進体制が整備され、また各職員の業

務実績及び発揮能力を次年度の昇級及び昇格に反映する

ことによる業務へのインセンティブの付与等、メリハリの効い

た組織運営が図られるようになってきていると評価できる。

今後は、目的とした改善につながったのかを評価することも

重要である。

【組織全体で取り組むべき重要な課題(リスク)の把握状況】

リスクマネジメント基本方針、リスクマネジメント規程等関連

項目別-59

・ その際、中期目標・計画の未達成項目(業

務)についての未達成要因の把握・分析・

対応等に着目しているか。

(内部統制の現状把握・課題対応計画の作

成)

・ 法人の長は、内部統制の現状を的確に把

握した上で、リスクを洗い出し、その対応計

画を作成・実行しているか。

(評価の視点)

・組織長の権限は明確に規定されているか。

イロット部署のリスク(3課題)について、リスク対応計画(案)を策定した。

・安全管理に関するリスクについては、8件のリスクアセスメントを実施し

た。

【未達成項目(業務)についての未達成要因の把握・分析・対応状況】

・パイロット部署におけるリスク評価結果を踏まえ、優先的に対応すべきリ

スクについては、未達成要因の把握、分析を行った上でで、リスク対応計

画(案)を策定した。

【内部統制のリスクの把握状況】

・平成21年度の専門家による「機構におけるリスクマネジメントの推進状

況についての現状調査及び評価」に基づき、平成22年度は、上記のとお

り、リスクマネジメントを推進した。

・22年度末には、パイロット部署及びリスクマネジメント推進担当者による

リスクの抽出により、合計121項目のリスクから構成される想定リスク一

覧が作成され、機構における多様なリスクが、組織として把握されたことか

ら、リスクマネジメントの推進状況のレベルが向上しているとの評価を、専

門家より受けた。

【内部統制のリスクが有る場合、その対応計画の作成・実行状況】

内部統制としてのリスクマネジメントの取り組みは、平成22年度において

は、機構全体で想定されるリスクのうち、優先的に対応すべき3つについ

て対応計画(案)を策定したが、その他のリスクについても、通常業務の中

で各部署において対応しているところである。

独立行政法人通則法に則り、諸規程を整備している。

諸規程を定め、リスクマネジメント委員会を設置、また、部署

を選んで実施するパイロットなど、リスクマネジメント推進体

制の整備が行われており、理事長を中心として、法人のミッ

ション達成を阻害する課題(リスク)のうち、組織全体として取

り組むべき重要なリスクの把握・対応を行っていると評価で

きる。

【未達成項目(業務)についての未達成要因の把握・分析・

対応状況】

・優先的に対応すべきリスクについて、未達成要因の把握、

分析の上で、リスク対応計画(案)が策定されている様子が

認められた。

【内部統制のリスクの把握状況】

法人の長が、内部統制の現状を的確に把握した上で、リスク

を洗い出し、その対応計画を作成・実行する目的で、22年

度末に、合計121項目のリスクから構成される想定リスク一

覧が作成され、また、優先度の高いリスクから順次対応計画

が策定されるなど、内部統制のリスクの把握が進んでいるこ

とが認められる。

【内部統制のリスクが有る場合、その対応計画の作成・実行

状況】

想定リスクのうち、優先的な対応が必要と認められる3つに

ついて対応計画(案)が策定されてきており、着実な取り組み

が確認された。

・組織長の権限について、適切な規定がなされている。

項目別-60

【(中項目)2-3】 3.業務・人員の合理化・効率化 【評定】

A

H21 H22 H23 H24

【法人の達成すべき目標(計画)の概要】 (1) 各種事務手続きの簡素化・迅速化および電子化をより加速し、経費節減や事務の効率化および合理化を行うことで、機構の業

務を効率的に実施する。なお、受託事業収入で実施される業務についても業務の効率化を行う。 (2) 業務運営全般に係る経費の見直しを行い、その節減を行うとともに、国において実施されている行政コストの効率化を踏まえ、中

期目標期間中、一般管理費(人件費を含み、公租公課を除く。)について、平成 20年度に比べその 15%以上を削減する。その他の業務経費については中期目標期間中、既存事業の徹底した見直しを行い、毎事業年度 1%以上の業務の効率化を行う。

(3) 「簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律」(平成 18年法律第 47号)において削減対象とされた人件費については、平成 22年度までに平成 17年度と比較し 5%以上削減するとともに、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針 2006」(平成 18年 7月 7日閣議決定)に基づき、人件費改革の取り組みを平成 23年度まで継続する。但し、以下の人員に係る人件費は、上述の人件費改革における削減対象から除外する。 ○競争的研究資金または受託研究もしくは共同研究のための民間からの外部資金により雇用される任期制職員 ○国からの委託費または補助金により雇用される任期制研究者 ○運営費交付金により雇用される任期制研究者のうち、国策上重要な研究課題(第三期科学技術基本計画(平成 18年 3月 28日閣議決定)において指定されている戦略重点科学技術をいう。)に従事する者および若手研究者(平成 17年度末において 37歳以下の研究者をいう。)また、今後の人事院勧告を踏まえた給与改定分についても削減対象から除く。

役員の報酬および職員の給与等については、「独立行政法人整理合理化計画」(平成 19年 12月 24日閣議決定)を踏まえ、その業績および勤務成績等を一層反映させる。理事長の報酬については、文部科学事務次官の給与の範囲内とする。役員の報 酬については、個人情報の保護に留意しつつ、個別の額を公表する。職員の給与基準については、機構の業務を遂行する上で

必要となる事務・技術職員の資質、年齢構成、学歴構成、人員配置、役職区分、在職地域等を検証し、国からの財政支出の大 きさ、累積欠損の存在、類似の業務を行っている民間企業との比較等を考慮した上で、国民の理解を得られる水準とするととも に、これを維持する合理的な理由がない場合には必要な措置を講じる。また、事務・技術職員の給与については、平成 22年度におけるラスパイレス指数を 116.4未満とし、検証や取り組みの状況については公表する。

(4) 事業等の見直しについては、「独立行政法人整理合理化計画」(平成 19 年 12月 24 日閣議決定)等に基づき、以下について着実に実施する。 a. むつ研究所については、宿泊施設を廃止した研究交流棟の当該箇所に研究所事務所の共通管理部門を移設し事務棟を廃止する。

b. 今後展開予定の「地震・津波観測監視システム」の運用開始に対応して、室戸岬沖海底ネットワークシステムを廃止する。 c. 学術研究船「白鳳丸」および「淡青丸」については、そのうち 1隻についてその運航業務の外部委託を行う。 d. 機構が保有する 7 隻の船舶において実施される学術研究の課題の申請受付・審査・決定に関する業務の東京大学海洋研究所への一元化が円滑に実施されるよう、同所への必要な協力を行う。また、業務全体の効率化を図るため、予算および要

員も含め、関係組織および業務実施のあり方について検討し、その結果を踏まえ、必要な措置を講ずる。

- - -

項目別-61

(5) 既存事業の徹底した見直しを行い、業務の効率化を行う。一方、外部研究資金、企業等からの受託収入、特許実施料収入、施

設・設備の供用による対価収入等を計画的に活用する。特に、運用に多額の経費を要する地球深部探査船「ちきゅう」について

は、外部委託の活用、国際資金の効果的な活用等により、その経費を検証し、効率的な運用を行う。 評価基準 実績 分析・評価

【総人件費改革への対応】

・ 取組開始からの経過年数に応じ

取組が順調か。また、法人の取

組は適切か。

【一般管理費の削減状況】

(単位:千円)

21 年度予算 22 年度予算 削減割合

物件費(管理系) 876,498 867,138 -

人件費(管理系) 673,078 651,540 -

一般管理費合計 1,549,576 1,518,678 ▲2.0%

*公租公課は除く。

【事業費の削減状況】

(単位:千円)

22 年度予算 22 年度実績 削減割合

物件費(事業系) 37,246,748 34,790,161 -

人件費(事業系) 2,491,662 2,466,745 -

事業経費合計 39,738,410 37,256,906 ▲6.2%

*「削減割合」は対 H21 比の予算額

【総人件費改革への対応】

(単位:千円)

17 年度実績 22 年度実績

人件費決算額 5,802,460 4,544,452

対 17 年度人件費削減率 - △21.7%

対 17 年度人件費削減率

(補正値) - △18.5%

※数字は「独立行政法人海洋研究開発機構の役職員の報酬・給与等について」

一般管理費、事業費の削減が適切に実施されたと判断される。

【総人件費改革への対応】

・5年前に比較して、目標値を上回る21.7%の人件費の削減が行

われており、適切かつ順調に取り組みがなされていると判断さ

れる。

項目別-62

【給与水準】

・ 給与水準の高い理由及び講ずる

措置(法人の設定する目標水準

を含む)が、国民に対して納得の

得られるものとなっているか。

・ 法人の給与水準自体が社会的な

理解の得られる水準となっている

か。

・ 国の財政支出割合の大きい法人

及び累積欠損金のある法人につ

いて、国の財政支出規模や累積

欠損の状況を踏まえた給与水準

の適切性に関して検証されてい

るか。

【諸手当・法定外福利費】

・ 法人の福利厚生費について、法

人の事務・事業の公共性、業務

運営の効率性及び国民の信頼確

保の観点から、必要な見直しが

行われているか。

より抜粋

【ラスパイレス指数(平成 22 年度実績)】

○事務・技術職員: 114.1

○研究職員: 96.1

当機構のラスパイレス指数の分析を通して、職員の学歴の妥当性、管理職比

率、海運業界、造船・重機業界等民間企業の平均給与との比較等を総合的に行

い、適正な給与水準を維持できるよう務めた。また、国民の理解を得る給与水準

を維持するため、人事院勧告に準じた給与改正(本給等の引下げ及び期末手当

の支給月数の引下げ)を速やかに行うとともに、特別昇給についても廃止した。

また、管理職の職員数についても削減を行った。

【福利厚生費の見直し状況】

・22 年度をもって本部および横浜研究所の食堂運営費の支出を廃止し、法定外

福利費を削減した。

【ラスパイレス指数(平成 22 年度実績)】

・ラスパイレス指数の分析を通して、適切な給与水準とするよう

な取り組みが行われている。

・人事院勧告に準じた給与改正(本給等の引下げ及び期末手

当の支給月数の引下げ)を速やかに行うとともに、特別昇給を

廃止、管理職の職員数を削減するなど、給与水準について、社

会的な理解が得られる方向へと変更が加えられている。

【諸手当・法定外福利費】

・本部および横浜研究所の食堂運営費の支出を廃止するなど、

法人の福利厚生について必要な見直しが行われたことを確認

できた。

項目別-63

【(大項目)3】 Ⅲ 予算(人件費の見積もり等を含む。)、収支計画および資金計画 【評定】

A 【(中項目)3-1】 1.予算 【評定】

A H21 H22 H23 H24

【法人の達成すべき目標(計画)の概要】

- - -

評価基準 実績 分析・評価

【収入】

【平成 22 年度収入状況】 (単位:百万円)

収入 予算額 決算額 差引増減

備考

運営費交付

36,337 36,337 0

施設費補助

950 450 500 ※1

補助金収入 1,510 3,427 △1,918 ※2

事業等収入 2,439 1,808 631

受託収入 2,319 3,143 △824 ※3

計 43,554 45,165 △1,611

*各欄積算と合計欄の数字は、四捨五入の関係で一致しない。

【主な増減理由】

※1 一部事業を翌年度に繰り越したことによる。

※2 補助事業の増加による。

※3 受託事業の増加による。

・予算の執行状況等について月ごとに役員に報告するなど、

予算執行を厳格に管理する努力が見られる。

・財務内容は適切と評価できる。

・事業等収入について、予算額に対して決算額が少なくなっ

ているのは、主に地球シミュレータ利用収入が予算額に満た

なかったためである。

項目別-64

【支出】

【平成 22 年度支出状況】 (単位:百万円)

支出 予算額 決算額 差引増減

備考

一般管理費 1,519 1,307 212

(公租公課を除

いた一般管理

費)

935 935 0

う ち 、 人件費

(管理系)

652 474 178

うち、物件費 283 461 △178

公租公課 584 372 212

事業経費 37,257 37,024 233

う ち 、 人件費

(事業系)

2,467 2,515 △48

うち、物件費 34,790 34,509 281

施設費 950 433 517 ※1

補助金事業 1,510 2,859 △1,350 ※2

受託経費 2,319 4,081 △1,761 ※3

計 43,554 45,704 △2,150

*各欄積算と合計欄の数字は、四捨五入の関係で一致しない。

【主な増減理由】

※1 一部事業を翌年度に繰り越したことによる。

※2 補助事業の増加による。

※3 受託事業の増加による。

項目別-65

【(中項目)3-2】 2.収支計画 【評定】

A

H21 H22 H23 H24

【法人の達成すべき目標(計画)の概要】

A - - -

評価基準 実績 分析・評価

【収支計画】

【平成 22 年度収支計画】 (単位:百万円)

区分 計画額 実績額 差引増減額

費用の部

経常費用

業務経費

一般管理費

受託費

減価償却費

財務費用

臨時損失

38,780

29,599

1,519

2,319

5,342

218

0

42,529

33,107

1,159

3,088

5,174

218

117

△3,749

△3,508

360

△769

168

0

△117

収益の部

運営費交付金収益

受託収入

その他の収入

資産見返負債戻入

臨時利益

純利益/純損失(△)

前中期目標期間繰越積立

金取崩額

目的積立金取崩額

総利益

31,732

2,319

2,439

2,457

0

△50

50

0

0

33,870

3,126

3,034

2,821

125

113

78

0

192

△2,138

△807

△595

△364

△125

△163

△28

0

△192

【主な増減理由】

固定資産の取得実績額が計画額算定時の予測を下回ったため、その分

費用に計上される額が増加し、同時に見合いの収益も増加した。また受託

事業が当初見込を上回ったため、受託費と受託収入が増加した。

・計画額と実績額が異なる主な原因は、固定資産の取得実

績額が計画額算定時の予測を下回ったこと、受託事業が当

初見込を上回ったことによる。

・財務内容は適切と評価できる。

項目別-66

【(中項目)3-3】 3.資金計画 【評定】

A

H21 H22 H23 H24

【法人の達成すべき目標(計画)の概要】

- - -

評価基準 実績 分析・評価

【資金計画】

【平成 22 年度資金計画】 (単位:百万円)

区分 計画額 実績額 差引増減額

資金支出

業務活動による支出

投資活動による支出

財務活動による支出

翌年度への繰越金

35,218

5,054

2,782

0

40,885

26,010

2,560

6,793

△5,667

△20,956

222

△6,793

資金収入

業務活動による収入

運営費交付金収入

補助金収入

受託収入

その他の収入

投資活動による収入

施設整備費収入

その他の収入

財務活動による収入

前年度よりの繰越金

36,337

1,510

2,319

2,439

450

0

0

0

36,337

3,917

3,175

2,840

450

25,013

0

4,517

0

△2,407

△856

△401

0

△25,013

0

△4,517

【主な増減理由】

定期預金による資金運用を行ったため、投資活動による支出及び収入が

増加した。補助事業及び受託事業が当初見込を上回ったため、業務活動

による支出及び収入が増加した。

・資金計画は適当であると認められる。

項目別-67

【(中項目)3-4】 4.自己収入の増加 【評定】

A

H21 H22 H23 H24

【法人の達成すべき目標(計画)の概要】 外部研究資金として国、他の独立行政法人、企業等多様な機関からの競争的資金をはじめとする資金の導入をする。また、国、他

の独立行政法人、企業等からの受託収入、特許実施料収入、施設・設備の供用による対価収入等自己収入の増加に向けた取り組

みを実施する。 自己収入額の取り扱いにおいては、各事業年度に計画的な収支計画を作成し、当該収支計画により運営する。

- - -

評価基準 実績 分析・評価

【財務状況】

(当期総利益(又は当期総損失))

・ 当期総利益(又は当期総損失)の発生要

因が明らかにされているか。

・ また、当期総利益(又は当期総損失)の発

生要因は法人の業務運営に問題等がある

ことによるものか。

(利益剰余金(又は繰越欠損金))

・ 利益剰余金が計上されている場合、国民

生活及び社会経済の安定等の公共上の見

地から実施されることが必要な業務を遂行

するという法人の性格に照らし過大な利益

となっていないか。

・ 繰越欠損金が計上されている場合、その

解消計画は妥当か。

【当期総利益(当期総損失)】

191,594,796 円

【当期総利益(又は当期総損失)の発生要因】

当期総利益は、独立行政法人会計基準等に則って会計処理をした結果、

収益と費用の計上年度のずれによって一時的に利益が発生したものであ

る。なお将来的には損益の均衡が見込まれる。

【利益剰余金】

595,668,401 円

利益剰余金は現金を伴うものではなく、独立行政法人会計基準等に則っ

て会計処理を行った結果、発生したものである。

【繰越欠損金】

該当なし

【解消計画の有無とその妥当性】

該当なし

【解消計画に従った繰越欠損金の解消状況】

該当なし

【財務状況】

・当期総利益(又は当期総損失)の発生要因が明らかにされ

ており、会計手続き上利益が発生していること、また、当期

総利益(又は当期総損失)の発生要因は法人の業務運営に

問題等があることによるものではないことが、明らかになって

いることが確認された。財務内容は適切と評価できる。

・利益剰余金は 595,668,401 円であり、これは、独立行政法

人会計基準等に則って会計処理を行った結果、発生したも

のである。現金は伴っていない。法人の業務運営等に問題

があることにより利益剰余金が発生しているものではないこ

とが確認された。

項目別-68

・ 当該計画が策定されていない場合、未策

定の理由の妥当性について検証が行われ

ているか。さらに、当該計画に従い解消が

進んでいるか。

(運営費交付金債務)

・ 当該年度に交付された運営費交付金の当

該年度における未執行率が高い場合、運

営費交付金が未執行となっている理由が

明らかにされているか。

・ 運営費交付金債務(運営費交付金の未執

行)と業務運営との関係についての分析が

行われているか。

【解消計画が未策定の理由】

該当なし

【運営費交付金債務の未執行率(%)と未執行の理由】

未執行率:5.1%

事業の進捗に応じて柔軟な予算執行を行ったこと及び東日本大震災に伴

って契約の履行期限を延長する等の措置を講じたことなどが、未執行の主

な発生要因である。

【業務運営に与える影響の分析】

年度開始後に予定よりも期間を要すること等が明らかとなった案件がある

場合には、業務運営に与える影響を個別に分析し、重大な影響がないこと

を確認した上で、柔軟な予算執行を行っている。

・運営費交付金債務の未執行率5.1%の理由が明らかにさ

れており、妥当と認められる。

・運営費交付金債務について、業務運営に与える影響の重

大さを個別に分析した上で予算執行が行われていおり、運

営費交付金債務と業務運営との関係についての分析と対策

が適切に行われていることが認められる。

項目別-69

【(中項目)3-5】 5.固定的経費の節減 【評定】 A

H21 H22 H23 H24

【法人の達成すべき目標(計画)の概要】 管理業務の節減を行うとともに、効率的な施設運営を行うこと等により、固定的経費の節減をする。

A - - - 評価基準 実績 分析・評価

【実物資産】

(保有資産全般の見直し)

・ 実物資産について、保有の必要性、資産

規模の適切性、有効活用の可能性等の観

点からの法人における見直し状況及び結

果は適切か。

・ 見直しの結果、処分等又は有効活用を行う

ものとなった場合は、その法人の取組状況

や進捗状況等は適切か。

【実物資産の保有状況】

① 実物資産の名称と内容、規模

② 保有の必要性(法人の任務・設置目的との整合性、任務を遂行する手

段としての有用性・有効性等)

・横須賀本部

敷地面積:約 6.6 万㎡

機構の本部機能を有し、主要な研究分野のうち、地球環境変動研究、海

洋・極限環境生物圏研究、地球内部ダイナミクス研究、海洋に関する基盤

技術開発等を行っており、高圧水槽等の大型設備を備えている。また、機

構が保有する海洋調査船が入港する岸壁および潜水調査船や無人探査

機などの深海調査システムの整備場を備え、研究資器材の積み込みや、

深海調査システムの整備、搭載を円滑に行うことが可能となっている重要

な研究活動拠点である。

・横浜研究所

敷地面積:約 3.3 万㎡

スーパーコンピュータ「地球シミュレータ」を備え、機構の主要な研究分野

の一つである地球環境変動予測研究をはじめとしたシミュレーション研究

の拠点となっている。また、機構は統合国際深海掘削計画(IODP)の総合

推進機関であるが、地球深部探査船「ちきゅう」の運用を担当する部門も当

該施設にあり、重要な研究活動拠点である。

・むつ研究所

敷地面積:約 1.3 万㎡

海洋地球研究船「みらい」の母港であり、また北極海や北太平洋観測の拠

点として、港湾設備や大型観測機器や精密計測機器の保守整備設備を備

えており、重要な研究活動拠点である。

・高知コア研究所

敷地面積:1.6 万㎡

【実物資産】

・実物資産の保有の必要性の見直しは厳しく行われており、

その結果は機構の使命に照らして妥当と判断される。見直し

の結果として、ワシントン事務所の22年度末廃止が決定され

ている。

・見直しの結果、海外事務所の廃止等が決定されたが、これ

らの手続きは、円滑に行う努力がなされている。また、有効

活用を決定された資産については、当機構の目的を達成す

るために有効に活用されている。総じて、取り組み状況は適

切と認められる。

項目別-70

機構は統合国際深海掘削計画(IODP)の日本における総合的推進機関で

あり、高知大学と機構の高知コア研究所が共同運営している「高知コアセ

ンター」は「ちきゅう」をはじめとした掘削船によって得られたコア資料の保

管分析を行う国際拠点として機能している。コアの保管庫、研究施設等を

備えている IODP 事業には必要不可欠な拠点である。

・国際海洋環境情報センター

敷地面積:約 0.5 万㎡

当該施設は名護市が推進する沖縄県北部地域での情報通信関連企業の

誘致、雇用創出及びマルチメディア分野の人材育成促進事業の一環として

「沖縄北部振興事業」により整備された施設で、機構の保有する船舶によ

る研究航海等で得られた貴重な深海映像や論文等のデジタル化、整理保

存(デジタルアーカイブ)や、海洋・地球環境情報の収集・加工・提供を行っ

ており、研究者のみならず教育・社会経済分野等のニーズに対応した重要

な情報発信拠点である。

・東京事務所

延床面積:約 960 ㎡

機構の業務遂行上、密接な連携が必要となる各種政府機関、民間企業、

報道機関、大使館等との連絡調整のための拠点。

・ワシントン事務所

延床面積:約 177 ㎡

機構が実施する地球環境変動研究や深海掘削計画等において、重要な

パートナーであるNOAAやNSF等米国政府機関や研究機関等米国に点在

する関係機関との連絡・連携拠点。平成 22 年度末をもって廃止。

・陸上観測局舎他

相模湾や十勝沖、東海沖、室戸沖等の深海底に設置した地震等のリアル

タイム観測システムのデータを受信、蓄積する陸上観測局舎等

・保有船舶及び深海調査システム

全地球規模の海洋に関する観測・調査を実施するために、地球深部掘削

船「ちきゅう」を初め、様々な観測・調査能力を有する船舶及び学術研究船

を 8 隻保有するとともに、これらの船舶に搭載する多様な深海調査システ

ムを保有する。

項目別-71

・ 「勧告の方向性」や「独立行政法人の事務・

事業の見直しの基本方針」等の政府方針

を踏まえて処分等することとされた実物資

産について、法人の見直しが適時適切に

実施されているか(取組状況や進捗状況等

は適切か)。

③ 有効活用の可能性等の多寡

我が国の海洋研究の発展のために、船舶、深海調査システム、地球シミュ

レータ等について、大学等の学術研究関係者に可能な限り供用するなど、

最大限有効活用に努めているところ。

④ 見直し状況及びその結果

・横須賀本部

機構の事業実施に不可欠であり、処分、統合、共用化は不可。

・横浜研究所

機構の事業実施には不可欠であり、処分、統合、共用化は不可。

・高知コア研究所

当機構の実施事業のみならず IODP の推進には必要不可欠な事業所であ

るため処分、統合、共用化は不可。

・むつ研究所

機構の事業実施には不可欠であり、処分、統合、共用化は不可。

・国際海洋環境情報センター

機構の事業実施には不可欠であり、処分、統合、共用化は不可。

・陸上観測局舎他

機構の事業に必要な観測の継続に必要であるため処分は不可。

・保有船舶及び深海調査システム

いずれの船舶、システムも機構の事業に必要であるため処分は不可。

「独立行政法人合理化計画」、「勧告の方向性」、「独立行政法人の事務・

事業の見直しの基本方針」等政府方針を踏まえ、以下の見直しを行うこと

とした。

・東京事務所(西新橋)については現在の事務所を廃止し、一部会議室の

共用化を図るなど、事務所に係る規模・経費を合理化して縮小したものと

する。

・ワシントン事務所は廃止する。

・むつ研究所のうち事務棟を廃止する。

・室戸岬沖海底ネットワークシステムについて、廃止を検討。

・事務所の廃止・縮小について、速やかに具体的な対応を行

っており、実物資産について、法人の見直しが適時適切に実

施されている。

項目別-72

(資産の運用・管理)

・ 資産の活用状況等が不十分な場合は、原

因が明らかにされているか。その理由は妥

当か。

・ 実物資産の管理の効率化及び自己収入の

向上に係る法人の取組は適切か。

【金融資産】

(保有資産全般の見直し)

・ 金融資産について、保有の必要性、事務・

事業の目的及び内容に照らした資産規模

は適切か。

⑤ 処分又は有効活用等の取組状況/進捗状況

・東京事務所(西新橋)については廃止し、平成 23 年 3 月、日本原子力研

究開発機構、理化学研究所と同一のビル内に移転し、一部会議室の共用

化を図るなど、事務所に係る規模・経費を合理化して縮小した。

・ワシントン事務所については、平成 23 年 3 月末に廃止した。

・むつ研究所のうち事務棟を日本原子力研究開発機構に返却し、保有資

産の事務棟に付属する部分について譲渡した。

・室戸岬沖海底ネットワークシステムについて、今後展開予定の地震・津波

観測監視システムの当該海域での運用開始に対応した廃止を検討。

⑥ 政府方針等により、処分等することとされた実物資産についての処分

等の取組状況/進捗状況

同上

⑦ 活用状況が不十分な実物資産の有無とその理由

無し

⑧ 実物資産の管理の効率化及び自己収入の向上に係る法人の取組

「ちきゅう」について、掘削、運用技術の一層の向上を目的に、外部資金に

よる資源探査のための掘削を積極的に実施するとともに、地球シミュレー

タについて、民間企業の有償利用等、外部資金の拡大に努めているとこ

ろ。

【金融資産の保有状況】

①金融資産の名称と内容、規模

現金及び預金

②保有の必要性(事業目的を遂行する手段としての有用性・有効性)

年度末時点で保有する現金及び預金は未払金や預り金などの債務返済

が主な保有目的である。期中も資金繰り計画に基づいて運営費交付金の

交付を受けており、常に業務の進捗に応じた適切な規模の資金を保有して

いる。

・見直しの結果、必要性が再確認された資産については、有

効に活用されている。

・実物資産の管理の効率化及び自己収入の向上に係る法人

の取組みは適切に行われており、実際に、外部資金の獲得

件数が増加するなど、自己収入の向上が認められる。

【金融資産の保有状況】

・金融資産の内容は現金と預金であり、未払金や預り金など

の債務返済を主な目的として保有されているが、金融資産の

規模は適切である。

・機構の活動において、米ドルで支払う場合も多いため、為

替変動の影響を最小限とする方策について検討を開始する

必要がある。

項目別-73

・ 資産の売却や国庫納付等を行うものとなっ

た場合は、その法人の取組状況や進捗状

況等は適切か。

(資産の運用・管理)

・ 資金の運用状況は適切か。

・ 資金の運用体制の整備状況は適切か。

・ 資金の性格、運用方針等の設定主体及び

規定内容を踏まえて、法人の責任が十分

に分析されているか。

③ 資産の売却や国庫納付等を行うものとなった金融資産の有無

該当なし

④ 金融資産の売却や国庫納付等の取組状況/進捗状況

該当なし

【資金運用の実績】

銀行預金への預け入れ

(四半期単位で交付される運営費交付金の入金時に、以降3ヶ月の支払計

画に基づき、運転資金の一時的運用として普通預金から1~3ヶ月の定期

預金に預け替えを行っている。)

【資金運用の基本的方針(具体的な投資行動の意志決定主体、運用に係

る主務大臣・法人・運用委託先間の責任分担の考え方等)の有無とその内

容】

独立行政法人通則法第47条1項2号の「銀行その他主務大臣の指定する

金融機関への預金」の規定に基づき実施している。

【資産構成及び運用実績を評価するための基準の有無とその内容】

該当なし。

【資金の運用体制の整備状況】

会計事務規則に基づき、出納命令役が定期預金への預け入れを決定して

いる。

【資金の運用に関する法人の責任の分析状況】

銀行預金への預け入れであり、元本保全の確保と独立行政法人通則法第

47条1項2号の規定に沿った運用を行っている。

・適切な規定に基づき実施されており、資金の運用状況は適

切といえる。

・適切な規則に基づいて実施しており、資金の運用体制の整

備状況は適切といえる。

・法人の責任が十分に分析され、適切な運用が行われてい

る。

項目別-74

(債権の管理等)

・ 貸付金、未収金等の債権について、回収

計画が策定されているか。回収計画が策

定されていない場合、その理由は妥当か。

・ 回収計画の実施状況は適切か。ⅰ)貸倒

懸念債権・破産更生債権等の金額やその

貸付金等残高に占める割合が増加してい

る場合、ⅱ)計画と実績に差がある場合の

要因分析が行われているか。

・ 回収状況等を踏まえ回収計画の見直しの

必要性等の検討が行われているか。

【知的財産等】

(保有資産全般の見直し)

・ 特許権等の知的財産について、法人にお

ける保有の必要性の検討状況は適切か。

・ 検討の結果、知的財産の整理等を行うこと

になった場合には、その法人の取組状況

や進捗状況等は適切か。

【貸付金・未収金等の債券と回収の実績】

貸付金については該当なし。

未収金については主に国等からの受託に関わるものであり、請求書の発

行により回収を行っている。

【回収計画の有無とその内容(無い場合は、その理由)】

貸付金がないため回収計画はない。なお、未収金については請求書発行

日の翌月末日を納入期限とし回収を行っている。

【回収計画の実施状況】

該当なし。

【貸付の審査及び回収率の向上に向けた取組】

貸付については該当なし。

【貸倒懸念債権・破産更生債権等の金額/貸付金等残高に占める割合】

該当なし。

【回収計画の見直しの必要性等の検討の有無とその内容】

該当なし。

【知的財産の保有の有無及びその保有の必要性の検討状況】

・特許権登録後7年以上が経過している案件について、保有の必要性を検

討し、以下の理由がない場合は、原則放棄とする方針を決めた。

a)第三者への実施が行われている

b)研究成果の社会還元のため機構が保有している必要がある

【知的財産の整理等を行うことになった場合には、その法人の取組状況/

進捗状況】

・権利化後 7 年以上経過している特許権については随時必要性を検討し、

整理を行った。

・整理の結果、放棄した特許権は平成 22 年度実績で 5件。

・未収金については主に国等からの受託に関わるものであ

り、妥当性が認められる。

・知的財産の整理は期間や条件など一定の方針を定めて適

切に行われている。

・知的財産の整理のため放棄した特許権は7件であるが、知

的財産の活用方針を明確にした上での決定であり、その方

法は適切と評価できる。

項目別-75

(資産の運用・管理)

・ 特許権等の知的財産について、特許出願

や知的財産活用に関する方針の策定状況

や体制の整備状況は適切か。

・ 実施許諾に至っていない知的財産の活用

を推進するための取組は適切か。

・平成 23 年度以降も同様の方針で整理を行う。

【出願に関する方針の有無】

・「知的財産に関する基本的な考え方」を策定している。(平成17年 1月 25

日制定)

【出願の是非を審査する体制整備状況】

・知的財産権に関する方針を決める知的財産委員会の下部組織として専

門部会を設置し、出願の是非を審議している。

【活用に関する方針・目標の有無】

・「知的財産に関する基本的な考え方」(平成 17 年 1 月 25 日制定)。

【知的財産の活用・管理のための組織体制の整備状況】

・知的財産管理・活用の担当部門として、事業推進部推進課を設置

・方針を定める知的財産委員会を設置。

【実施許諾に至っていない知的財産について】

① 原因・理由

・海洋、特に深海環境に特化した技術が多いため、市場に乏しい。

・基本的な特許や研究に必要な特許が多く、製品化につながる特許が少な

い。

・産業界とのギャップを埋める技術開発が十分にできていない。

② 実施許諾の可能性

・機構内の競争的資金制度「実用化展開促進プログラム」にて、未利用知

的財産の実用化のための開発を実施しており、実施許諾の可能性を高め

る取り組みを実施した。

③ 維持経費等を踏まえた保有の必要性

・将来性と維持経費を踏まえ、権利化後 6年は原則保有とした。

④ 保有の見直しの検討・取組状況

・権利化後 7 年を経過したものは、実施の有無などを考慮し、随時保有の

是非を検討することとした。

・「知的財産に関する基本的な考え方」が平成 17 年に制定さ

れており、また、出願の是非の審議や、管理活用のための組

織体制も整備され、知財の活用が適切に行われている。

・知的財産のうち実施許諾に至っていないものについて、自

己分析が適切になされており、これに関して、機構内での実

用化展開促進プログラムや自治体への活用プログラムの売

り込みなど、実施許諾に至っていない知的財産の活用の推

進をするための取組みがなされていることが確認された。

項目別-76

⑤ 活用を推進するための取組

・展示会等での宣伝や、自治体等の知的財産活用プログラムへの売り込

みを行った。

・企業と技術交流会を開催した。

項目別-77

【(中項目)3-6】 6.契約の適正化 【評定】

B

H21 H22 H23 H24

【法人の達成すべき目標(計画)の概要】 「独立行政法人整理合理化計画」を踏まえ、機構が締結する契約については、真にやむを得ないものを除き、原則として一般競争入札等に

よることとし、随意契約によることができる限度額等の基準を国の基準と同等とし、契約の適正化を行うこととする。また、随意契約見直し計画

を踏まえ、複数年度契約の導入をするとともに、その取り組み状況をウェブサイトにて公表する。 また、内部監査および第三者による契約をはじめとする会計処理に対する適切なチェックを行う。

- - -

評価基準 実績 分析・評価

【契約の競争性、透明性の確保】

・ 契約方式等、契約に係る規程類

について、整備内容や運用は適

切か。

・ 契約事務手続に係る執行体制

や審査体制について、整備・執

行等は適切か。

【契約に係る規程類の整備及び運用状況】

一般競争入札における公告期間、指名競争入札限度額、予定価格の作成・省略に関する定め

については、国の基準と同等とし、契約事務規則において明記している。

また、総合評価落札方式や随意契約確認公募についての要領・マニュアルの整備を行い、適切

に運用し、透明性・公平性を確保している。

【執行体制】

契約業務については、担当者19名で行っており、平成22年度における契約件数9,518件(変更

契約等含まない)を締結した。

【審査体制】

概算金額が 3,000 万円以上の契約については、「契約審査委員会」において、随意契約の妥当

性について事前に審査を行っている。

さらに、契約締結後には、随意契約限度額以上(一般競争入札を含む 644件)の契約について、

「契約監視委員会」による事後評価を実施している。

【契約監視委員会の審議状況】

契約状況の点検・見直しについて、契約監視委員会にて随意契約限度額以上(一般競争入札を

含む 644 件)の契約について検討を行った。

【契約の競争性、透明性の確保】

・契約方式等、契約に係る規程類について、整備

や運用は適切に行われている。

・契約の適正化の努力はなされているが、その結

果がより安価で購入するなどの調達コストの削減

に必ずしもつながっていないことと考えられる。コ

ストダウンに取り組むためには、契約の適正化だ

けでは不十分であり、調達努力が不可欠であり、

その点に関しては、さらなる努力が必要である。。

・監視委員会の設置等、契約事務手続きに係る

体制は適切に管理されているといえる。

項目別-78

【随意契約等見直し計画】

・ 「随意契約等見直し計画」の実

施・進捗状況や目標達成に向け

た具体的取組状況は適切か。

【個々の契約の競争性、透明性の

【随意契約等見直し計画の実績と具体的取組】

①平成 20 年度実

②見直し計画

(H22年 4月公表)

③平成 22 年度実

②と③の比較増減

(見直し計画の進捗

状況)

金額

(千円)

金額

(千円)

金額

(千円)

件数 金額

(千円)

競 争

性 の

あ る

契約

433 43,455,450 561 45,078,118 372 8,426,559 -189 -36,651,559

336 37,350,674 474 39,475,757 322 7,132,125 -152 -32,343,632

争、

97 6,104,776 87 5,602,361 50 1,294,433 -37 -4,307,928

競 争

性 の

な い

随 意

契約

218 4,171,092 90 2,548,424 272 3,945,870 182 1,397,446

合計

651 47,626,542 651 47,626,542 644 12,372,429 -7 -35,254,113

【原因、改善方策】

平成 20 年度とは調達内容が異なるため、単純な比較は出来ないが、海洋分野の研究機器等

は、海中・船上で使用するものが多く、その特殊性により、調達可能な業者が限られていること

から、競争性の確保が出来ない。なお、契約監視委員会において事後評価を受けているが、契

約方式の見直しを指摘されたことはない。

【随意契約等見直し計画】

・具体的な努力として、「契約監視委員会」による

点検・見直しが行われ、「随意契約等見直し計

画」(H22.4 公表)が策定されている。

・本計画に沿った取り組みが適切に進められてい

ることが認められた。

・随意契約については、20 年度と比べて契約総

額が著しく異なるので、単純な比較はできない

が、随意契約理由の精査や随意契約事前確認

公募を実施するなど、公平性・透明性を確保して

おり、妥当と認められる。

項目別-79

確保】

・ 再委託の必要性等について、契

約の競争性、透明性の確保の観

点から適切か。

・ 一般競争入札等における一者

応札・応募の状況はどうか。そ

の原因について適切に検証され

ているか。また検証結果を踏ま

えた改善方策は妥当か。

【関連法人】

【再委託の有無と適切性】

再委託による契約は無い

【一者応札・応募の状況】

①平成 20 年度実績 ②平成 22 年度実績 ①と②の比較増減

件数 金額

(千円)

件数 金額

(千円)

件数 金額

(千円)

競争性のある契

約 433 43,455,450 372 8,426,559 -61 -35,028,891

う ち 、一者

応札・応募

となった契

312 42,056,892 207 5,541,898 -105 -36,514,994

一般競争契

約 336 37,350,674 322 7,132,125 -14 -30,218,549

指名競争契

約 0 0 0 0 0 0

企画競争 0 0 0 0 0 0

公募 88 6,068,438 33 1,123,566 -55 -4,944,872

不落随意契

約 9 36,338 17 170,868 8 134,530

合計 433 43,455,450 372 8,426,559 -61 -35,028,891

【原因、改善方策】

一者応札の割合については改善されている。

【一般競争入札における制限的な応札条件の有無と適切性】

入札参加資格の等級制限等は設けていない。

・20 年度との比較では、契約総額が著しく異なる

ため比較が難しいが、割合としては、一者応札・

応募の減少が認められ、改善のため適切に対応

した。

項目別-80

・ 法人の特定の業務を独占的に

受託している関連法人につい

て、当該法人と関連法人との関

係が具体的に明らかにされてい

るか。

・ 当該関連法人との業務委託の

妥当性についての評価が行わ

れているか。

・ 関連法人に対する出資、出え

ん、負担金等(以下「出資等」と

いう。)について、法人の政策目

的を踏まえた出資等の必要性の

評価が行われているか。

【関連法人の有無】

【当該法人との関係】

関連公益法人

【当該法人に対する業務委託の必要性、契約金額の妥当性】

平成 22 年度において業務委託は行っていない。

機構は当該法人に対し、賛助会費の支出を行っている。

【委託先の収支に占める再委託費の割合】

業務委託を行っていない。

【当該法人への出資等の必要性】

むつ研究所の地元地域における環境科学に関する一層の理解を深めるために機構が開催する

行事(一般公開、シンポジウム等)への協力や、放射性物質計測等に関する技術指導等を受け

るためにも、当該法人への賛助会費の支払いは必要である。

・関連公益法人への賛助会費は、むつ研究所が

開催する行事への協力を求めるため及び放射性

物質計測等に関する技術指導等を受けるためで

あり、必要性について評価が行われていると認め

られる。

項目別-81

【(大項目)4】 Ⅳ 短期借入金の限度額 【評定】

H21 H22 H23 H24

【法人の達成すべき目標(計画)の概要】

短期借入金の限度額は93 億円とする。短期借入金が想定される事態としては、運営費交付金の受入れの遅延、受託業務に係る

経費の暫時立替等がある。 - - - -

評価基準 実績 分析・評価

・ 短期借入金は有るか。有る場合は、その額

及び必要性は適切か。

【短期借入金の有無及び金額】

該当なし

【必要性及び適切性】

該当なし

項目別-82

【(大項目)5】 Ⅴ 重要な財産の処分または担保の計画 【評定】

H21 H22 H23 H24

【概要】 なし

- - - - 評価基準 実績 分析・評価 ・ 重要な財産の処分に関する計画は有るか。ある場合は、計画に沿って順調に処分

に向けた手続きが進められているか。

【重要な財産の処分に関する計画の有無及びその進捗状況】 該当なし

項目別-83

【(大項目)6】 Ⅵ 剰余金の使途 【評定】

A

H21 H22 H23 H24

【法人の達成すべき目標(計画)の概要】

決算において剰余金が生じたときは、重点研究開発その他の研究開発、設備の整備、広報・情報提供の充実の使途に充てる。

- - - - 評価基準 実績 分析・評価

・ 利益剰余金は有るか。有る場合はその要

因は適切か。

・ 目的積立金は有るか。有る場合は、活用

計画等の活用方策を定める等、適切に活

用されているか。

【利益剰余金の有無及びその内訳】

利益剰余金:595,668,401 円

(内訳)

175 百万円・・・前中期目標期間繰越積立金

229 百万円・・・積立金

192 百万円・・・当期未処分利益

【利益剰余金が生じた理由】

前中期目標期間繰越積立金は第1期中期目標期間が終了した平成 20 年

度決算において文部科学大臣の承認を経て計上した積立金であり、承認

申請の内容通りに取崩しを行うもの。

積立金は平成 21 年度に生じた利益相当額であるが、その発生要因は独

法会計基準等に則って会計処理を行った結果、収益と費用の計上年度の

ずれによって一時的な利益が発生したもの。

当期未処分利益は平成 22 年度に生じた利益であり、その発生要因は独

法会計基準等に則って会計処理を行った結果、収益と費用の計上年度の

ずれによって一時的な利益が発生したもの。

【目的積立金の有無及び活用状況】

該当なし

利益剰余金:595,668,401 円の発生の理由は独法会計基準

等に則って会計処理を行った結果、収益と費用の計上年度

のずれによって一時的な利益が発生したことである。

余剰金発生要因は適切と認められる。

項目別-84

【(大項目)7】 Ⅶ その他の業務運営に関する事項 【評定】

A

H21 H22 H23 H24

【法人の達成すべき目標(計画)の概要】 1.施設・設備に関する計画

2.人事に関する方針

3.能力発揮の環境整備に関する事項

4.中期目標期間を超える債務負担 B - - -

評価基準 実績 分析・評価

【施設及び設備に関する計画】

・ 施設及び設備に関する計画は有るか。有

る場合は、当該計画の進捗は順調か。

【人事に関する計画】

・ 人事に関する計画は有るか。有る場合は、

当該計画の進捗は順調か。

・ 人事管理は適切に行われているか。

【施設及び設備に関する計画の有無及びその進捗状況】

何をもって適切と言っているのか?計画の進捗と関係ないのでは?

・全ての船舶・深海調査システムについて、5ヶ年で整備を実施すべき主要

整備計画リストを作成、定期的にリストを見直しつつ、安全を最優先としな

がら優先度の高いものから整備を実施した。また、検査工程の見直しや一

部船舶の定期検査年度の繰り上げを行い、年度毎の費用の平準化を図っ

た。なお、船舶等の長期的な更新計画については、技術企画室が中心と

なって所内で案を作成するなど検討を行った。

・建屋については計画に従い、照明・空調換気・給水設備等を更新、修繕

し、機能や耐候性の向上、省エネ化を図った。

・施設設備や資産については有効に活用されており、今後の見通しも踏ま

えたうえで見直しも行っている。

【人事に関する計画の有無及びその進捗状況】

・ 常勤職員の削減状況

中期計画に定められた期末職員数を達成するため職員を削減した。

・ 常勤職員、任期付職員の計画的採用状況

年度当初に採用計画を策定し、定められた人件費枠の中で計画的に採用

を行った。

・ 危機管理体制等の整備・充実に関する取組状況

事故・トラブルの内容・レベルに応じた対応がとれるよう、リスクマネジメン

トの実施、実施体制及びマニュアルの整備、必要に応じた訓練の実施、職

員への情報展開を実施している。

【施設及び設備に関する計画】

・施設及び設備に関する計画は存在し、それらは、順調に進

捗していることが認められた。

・全ての船舶・深海調査システムについて、5 ヶ年で整備を実

施すべき主要整備計画リストが作成されている。また、検査

工程の見直し等により、年度毎の費用の平準化が図られて

いる。

【人事に関する計画】

・人材育成について、「職員育成基本計画」が平成21年度に

策定されており、平成 22 年度は本計画に基づいて具体的に

研修等の立案・実施が進められている。したがって、人事に

関する計画は存在し、当該計画の進捗は順調に進んでいる

と認められる。今後は、目的とした改善につながったのかを

評価することも重要である。

・教育、研修、女性職員の支援などの、中期計画一期の頃

から継続してきた取り組みが軌道に乗ってきている点が評価

できる。

項目別-85

【能力発揮の環境整備に関する計画】

・ 能力発揮の環境整備に関する計画は有る

か。有る場合は、当該計画の進捗は順調か。

(評価の視点)

・ 職務(研究含む)遂行に必要な能力を規定

した上で取り組んでいるか。

【中期目標期間を超える債務負担】

・ 中期目標期間を超える債務負担は有る

か。有る場合は、その理由は適切か。

【積立金の使途】

・ 積立金の支出は有るか。有る場合は、その

使途は中期計画と整合しているか。

・ 平成 21 年度業務実績評価において「施設

については、東京事務所の統合や組織の

枠を超えた共有化など、行政刷新会議の

指摘を踏まえた対応について検討が必要

と考えられる。」と指摘した点について、適

切に対応しているか。

・ 平成 21 年度業務実績評価において「老朽

【能力発揮の環境整備に関する計画の有無及びその進捗状況】

今中期計画における「職員育成基本計画」を策定し、「在外職員派遣」、

「階層別研修」などの育成施策を実施している。

平成 19 年 4 月より運用している人事制度の中で、各職種の定義を定め、

必要な要件や能力基準を定めている。

【中期目標期間を超える債務負担とその理由】

中期目標期間を超える海洋科学技術等の研究開発に係る業務を推進す

る上で、継続性や資金計画への影響等から合理的と判断されるものにつ

いて行っている。

【積立金の支出の有無及びその使途】

積立金の支出は無い

・東京事務所(西新橋)については廃止し、平成 23 年 3 月末までに、日本

原子力研究開発機構、理化学研究所と同一のビル内に移転し、一部会議

室の共用化を図るなど、事務所に係る規模・経費を合理化して縮小した。

・施設設備整備計画の一環として、船舶等の整備計画について、所内で案

【能力発揮の環境整備に関する計画】

・平成21年度に構築された「世界をリードする研究者」を育て

る”研究領域体制”が運用されている。

・機構職員の個別のスキルを向上させるための研修(ロジカ

ルシンキング及びプレゼンテーション)が新たに開始されて

いる。

・メンタルヘルス研修が強化された。

このように、能力発揮の環境整備に関する計画は存在し、計

画は順調に進められていることが認められる。

また、平成19年4月より運用している人事制度の中で、各職

種の定義が定められ、必要な要件や能力基準が定められて

おり、職務遂行に必要な能力を規定した上で取り組んでいる

ことが認められた。

【中期目標期間を超える債務負担】

・合理的な理由のある場合にのみ、実施されている。

・事務所に係る規模・経費の縮小について、具体的な対応を

行っている。

・施設設備整備計画に関する指摘への対応について着実な

項目別-86

化が進む船舶については、関係機関、コミ

ュニティと連携を図りつつ、新船建造も視

野にいれた長期的な整備を図っていくこと

が必要と判断される。」と指摘した点につい

て、適切に対応しているか。

・ 平成 21 年度業務実績評価において「人材

育成についても、具体的な目標を設定する

などして、長期的な視野に立った育成を実

施することが必要と判断される。」と指摘し

た点について、適切に対応しているか。

・ 平成 21 年度業務実績評価において「人事

面ではワークライフバランスや女性の活用

等、取組の必要性は意識されているが、具

体的な成果が期待できるまでに至っていな

い。特に女性の採用、登用については、数

値目標を設定するなど、積極的に取り組む

べきと考えられる。」と指摘した点につい

て、適切に対応しているか。

を作成するなど検討を行った。

・平成 19 年 4 月より、「優秀な人材の確保、適切な職員の配置、職員の資

質の向上、若手研究者の育成、流動性の向上、定年制職員と任期制職員

の一体的管理の確立等を配慮した統一的・一体的な人事制度及び人事管

理システムを確立する。」ための人事制度を運用しており、当該制度の中

で、海洋機構が求める人材像として以下の 4点を挙げている。

①それぞれの分野・領域において高度な専門性を有し、世界をリードしうる

人材

②課題を解決するための主体的かつ創造的な行動及び柔軟な発想の可

能な人材

③社会からの要請を的確に把握できる人材

④次代を担う人材を指導・育成できる能力を持つ人材

上記人材像が長期的な育成の視点となるが、中短期的には中期計画期

間にあわせて「人材育成基本計画」を定め、具体的な施策を実施している

ところ。

・仕事と子育ての両立を可能にし、働きやすい環境をつくることを目標に、

次世代育成支援対策推進法に基づく独立行政法人海洋研究開発機構

第 2期一般事業主行動計画を策定した。

・ワーク・ライフバランスの促進や育児・介護を行う職員の支援の一環とし

て、労使間で協調のうえ、年次有給休暇の半日単位での取得を可能とす

る制度を新設した。

・機構は職員の採用にあたって、“海洋科学技術のCOE”を目指す機構と

して、男女、国籍の区別無く、優秀な人材の採用、登用を旨としており、男

女の比率などを考慮することはない。ただし、機構の制度として、育児休業

制度や当該休業に伴う任期制職員の雇用期間延長制度等を設けており、

女性職員の支援を積極的に行っている。

取り組みが認められた。

・人事制度の中で、求める人材像を設定しており、また、人

材育成基本計画も定めている。

・育児休業制度や当該休業に伴う任期制職員の雇用期間延

長制度等は、女性の採用、登用の促進に向けた積極的な取

り組みとして、評価できる。