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植物由来の高分子物質を利用した抗ウイルス自然免疫の活性化：
ヒト、家畜に於ける応用の可能性
京都大学ウイルス・再生医科学研究所
藤田 尚志
自然免疫とは・・・病原体侵入に即時対応する防御システム
二本鎖RNAの認識によって、抗ウイルス作用をもつIFN-βの産生が誘導され、ウイルスの感染・増殖が抑制される
受容体
IFN-β
ウイルス認識
IFN-β遺伝子活性化
IFN-β 産生
IFN-β 認識
抗ウイルス遺伝子活性化
抗ウイルス蛋白質産生
阻害ウイルス感染
ウイルス
ウイルス
二本鎖RNA
ISG56CXCL10
背景① 自然免疫機構
パプリカ・ピーマン 稲
IFN-β
ピーマン内在性二本鎖RNAによる免疫機構活性化と、ウイルスに対する感染・増殖抑制効果、種々の病気への効果の検討
健康食品、医薬品開発を視野に研究を行う
ウイルス感染阻害？ピーマン摂取
Endornavirus
dsRNA
1. ウイルス由来長鎖dsRNA2. 種子や花粉を介して次世代に
伝達(水平伝播はしない）3. 宿主に病原性を示さない
背景② ピーマン内在性二本鎖RNA
研究目的
14.7 kb
S1 Nuclease 0 15 30 45 60 (min)
14.7 kb
DNaseⅠ
RNaseⅢ + +
++- -
- -
S1 Nuclease: 一本鎖DNA、一本鎖RNAを分解RNaseⅢ： 長鎖のRNAを分解(
ピーマンには長鎖二本鎖RNAが存在する
自然免疫系活性化作用
Length: 4.08±0.65 μm(N=57)
GP-dsRNA （原子間力顕微鏡による観察）
010002000300040005000600070008000
rela
tive
IFN
-β m
RN
A le
vel.
mock poly(I:C) BPEV RNA
0
20
40
60
80
100
Fold
indu
ctio
n
ISG56
0
50
100
150
200
250
300
Fold
indu
ctio
n
CXCL10
mockKyosuzu; BPEV (+)Miogi; BPEV (-)
二本鎖RNAを持つピーマン（京鈴）において自然免疫系誘導効果が見られた
自然免疫系活性化作用
0
50
100
150
200
0.0005 0.0015 0.0025 0.0035 0.0045
mRN
A 発
現量
（倍
）
IFN-β1
- GP total RNA
01020304050607080
0.0005 0.0015 0.0025 0.0035 0.0045
ISG56
- GP total RNA
自然免疫系活性化作用
24時間肺の回収
経鼻投与
GP RNA
ピーマン内在性二本鎖RNA投与により自然免疫活系性化効果が見られた
0102030405060708090
100
0 5 10 15 20 25
生存
率(%
)
感染後（日）
インフルエンザウイルス（IAV）感染抑制効果
H1N1ウイルス
経鼻投与
GP RNA or 水
IAV感染
生存率の観察
ピーマン
水
day-1 day0 day1
W→W water IAV waterGP→GP Green Pepper IAV Green PepperNC water water water
W→W: n=7GP→GP: n=7NC: n=4
02468
101214161820
0 5 10 15
wei
ght (
g)
感染後（日）
体重
W→W
GP→GP
NC
GP RNA の抗インフルエンザ効果
0102030405060708090
100
0 10 20
生存
率(%
)
感染後（日）
dsRNA (-)
dsRNA (+)
P<0.005
２種類の自然免疫センサーが関与
0
20
40
60
80
100
120
0 5 10 15 20 25
surv
ival
rate
(%)
days postinfection
water
GP
ダブルノックアウトマウス（MDA5ko, TRIFko）インフルエンザウイルス感染
0
20
40
60
80
100
120
0 5 10 15
生存
率(%
)
感染後（日）
8.0
10.0
12.0
14.0
16.0
18.0
20.0
0 5 10 15
体重
(g)
感染後（日）
GP
Water
H5N1 高病原性ウイルス
インフルエンザウイルス（IAV）感染抑制効果
0102030405060708090
100
0 5 10 15
生存
率(%
)
感染後（日）
脳心筋炎ウイルス（EMCV）感染抑制効果
ピーマン
水
ピーマン内在性二本鎖RNA投与によりインフルエンザウイルス、脳心筋炎ウイルス感染抑制効果が見られた
経鼻投与
GP RNA or 水
EMCV感染
生存率の観察
腫瘍増大抑制効果
腹腔内投与
GP RNA or PBS
B16-F10細胞播種
腫瘍の大きさの測定
PBSピーマン
ピーマン内在性二本鎖RNA投与により腫瘍増大抑制効果が見られた
多発性硬化症（MS）
ミエリン鞘が損傷する炎症性疾患
ミエリンの欠損を誘導し、神経伝達が阻害される
発祥の原因は不明環境、遺伝的要因が関与インターフェロン- 投与が治療効果を示す完治は困難 再発
実験的自己免疫性脳脊髄炎（EAE）
免疫後約２週間で臨床症状を呈する
病態スコア0 : 症状なし1 : 尾トーシス低下2 : 尾完全麻痺3 : 歩行異常4 : 後肢完全麻痺
実験的自己免疫性脳脊髄炎（手技）
発症前にピーマンRNAを経鼻投与
C57/BL6 6weeks ♀
① ② ③ ④ ⑤ ⑥
2days 5 days 1 1 4 4sacrifice
①・・・MOG 200 g, p-toxin 500ng②・・・p-toxin 500ng③④⑤⑥・・・ water 300 l
GP RNA (京鈴) 300 g
symptom onset
(methods)
i.n. administration(n=4)
病態スコア0 : 症状なし1 : 尾トーシス低下2 : 尾完全麻痺3 : 歩行異常4 : 後肢完全麻痺
多発性硬化症モデルマウス（EAE）への効果
0
0.5
1
1.5
2
2.5
0 5 10 15 20 25 30
病態
スコ
ア
接種後（日）
ピーマン
水
ピーマン内在性二本鎖RNA投与により多発性硬化症モデルマウスでの病態進行抑制効果が見られた
結論
• IFN応答を活性化
• IAV、EMCVなどウイルス感染を抑制
• 腫瘍の増大を抑制
• 多発性硬化症の病状進行を抑制
ピーマン内在性二本鎖RNAの効果
本技術の特徴と想定される用途＜特徴＞
• 我々が常食している農作物由来の成分であり、安全性が高い
• 米糠は本邦では副産物として大量、かつ安価に利用できる
• ワクチンではないので様々なウイルスに対して広く効果が期待できる
＜用途＞
◎ウイルス感染予防効果のある健康食品や医薬品などへの応用
◎高病原性トリインフルエンザウイルスなどのウイルスへの抵抗性を高める動物飼料、あるいは添加物として
本技術に関する知的財産権
• 発明の名称 ：免疫賦活因子産生促進用組成物
• 国内優先権優先出願番号：特願2017-021008• 国内優先権優先出願日 ：2017/02/08
• 出願人 ：京都大学
• 発明者 ：藤田尚志、加藤博己、中崎鉄也
• 補足 2016/08/02に基礎出願
お問い合わせ先（必須）
京都大学内
関西TLO（株）京大事業部門
清水 基宏（しみず もとひろ）
ＴＥＬ０７５－７５３－９１５０
ＦＡＸ０７５－７５３－９１６９
e-mail [email protected]
10
12
14
16
18
20
22
24
0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60
wei
ght (
g)
day
water
GP
weight
長期間投与の検討
0
100
200
300
400
500re
lativ
e m
RNA
expr
essi
on
(fold
)IFN-β1
wateNC GPPC0
10
20
30
40
50
60 ISG56
waterNC GPPC
0
2
4
6
8
10
12
rela
tive
mRN
A ex
pres
sion
(fo
ld)
TNF-a
waterNC GPPC
mRNA expression level in lung
side effect
