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スイカ炭疽病の効果的な防除法
生物資源グループ 濱田亜矢子
石川県でのスイカ生産(出荷額第1位)
l 3月 l 4月 l 5月 l 6月 l 7月 lハウス 定植 収穫
大型トンネル中型トンネル
5月下旬~ トンネル除去梅雨時期に雨にあたるため、炭疽病に罹りやすい
金沢市かほく市
羽咋市
中型トンネル作型
スイカ炭疽病
葉の病斑
茎の病斑 果実の病斑
全滅した圃場
生産者が最も懸念しているスイカの重要病害
スイカ炭疽病菌
Colletotrichum orbiculare
0.02㎜
スイカの葉
スイカ炭疽病の伝染環
発病
スイカ炭疽病菌
被害拡大
感染
薬剤による防除
薬剤による防除
発生をゼロに抑えるためには、薬剤の特性に応じた効果的な防除が不可欠
薬剤の特性~予防効果と治療効果~
スイカ炭疽病菌の胞子
菌糸
予防効果:胞子の発芽を抑制→感染を抑える
治療効果:①菌糸の伸長を抑制②胞子の形成を抑制→感染の拡大を抑える
スイカ炭疽病の伝染環
発病
スイカ炭疽病菌
被害拡大
感染
治療効果の高い薬剤
予防効果の高い薬剤
発生をゼロに抑えるためには、薬剤の特性に応じた効果的な防除が不可欠
茎葉での予防効果
薬剤散布 菌接種 発病調査
1週間後薬剤が乾いてから
スイカ炭疽病菌の胞子
97 94 90 8578
6050
30
0
50
100
M S・M TPN P・B D・T Dif IA IT・P
防除価
供試薬剤
茎葉での予防効果
感染を抑える効果が高い
M:マンゼブ水和剤、S・M:シメコナゾール・マンゼブ水和剤、TPN:TPN水和剤、P・B:ピラクロストロビン・ボスカリド水和剤、D・T:ジエトフェンカルブ・チオファネートメチル水和剤、Dif:ジフェノコナゾール水和剤、IA:イミノクタジンアルベシル酸塩水和剤、IT・P:イミノクタジン酢酸塩・ポリオキシン水和剤
茎葉での治療効果
菌接種 薬剤散布 発病調査
24時間後 1週間後
48
3328 26 23
17 156
0
50
100
IT・P P・B Dif D・T M IA S・M TPN
防除価
供試薬剤
茎葉での治療効果
一定の治療効果が認められた
予防効果の高い剤は治療効果は低い
いずれの薬剤も感染の拡大を抑制える効果は低かった
M:マンゼブ水和剤、S・M:シメコナゾール・マンゼブ水和剤、TPN:TPN水和剤、P・B:ピラクロストロビン・ボスカリド水和剤、D・T:ジエトフェンカルブ・チオファネートメチル水和剤、Dif:ジフェノコナゾール水和剤、IA:イミノクタジンアルベシル酸塩水和剤、IT・P:イミノクタジン酢酸塩・ポリオキシン水和剤
果実での予防効果
薬剤散布 菌接種 発病調査
2週間後
病斑数を調査
薬剤が乾いてから
スイカ炭疽病菌の胞子
99 93 87
6655 53 49
50
50
100
IT・P P・B IA TPN S・M D・T M Dif
防除価
供試薬剤
果実での予防効果
感染を抑える効果が高いこの2剤は茎葉での治療効果も高い
茎葉で予防効果が高くても果実での予防効果は低い
M:マンゼブ水和剤、S・M:シメコナゾール・マンゼブ水和剤、TPN:TPN水和剤、P・B:ピラクロストロビン・ボスカリド水和剤、D・T:ジエトフェンカルブ・チオファネートメチル水和剤、Dif:ジフェノコナゾール水和剤、IA:イミノクタジンアルベシル酸塩水和剤、IT・P:イミノクタジン酢酸塩・ポリオキシン水和剤
果実での治療効果
菌接種 薬剤散布 発病調査
1週間後
病斑数を調査
スイカ炭疽病菌の胞子
4日後
いずれの薬剤も果実での治療効果は認めれなかった
まとめ
予防効果の高い薬剤 治療効果の認められる薬剤
茎葉マンゼブTPNシメコナゾール・マンゼブ
イミノクタジン酢酸塩・ポリオキシンピラクロストロビン・ボスカリド
果実イミノクタジン酢酸塩・ポリオキシンピラクロストロビン・ボスカリド
なし
古い剤でも効果が高い
この2剤は
果実での予防効果も高い
予防剤の耐雨性
薬剤
散布
降雨
処理菌接種
発病
調査
1週間後薬剤が乾いてから
スイカ炭疽病菌の胞子
○調査した薬剤マンゼブTPNピラクロストロビン・ボスカリド
降雨による防除効果の低下
マンゼブやTPNは耐雨性が高いピラクロストロビン・ボスカリドは降雨により防除効果が低下し、のべ180㎜の雨で効果が半減する
(マンゼブ)
(ピラクロストロビン・ボスカリド)
降水量:約20~30㎜/h
0
50
100
0 3 6 9 12 15 18
防除価
降水時間(h)
M
TPN
P・B
トンネル除去後から発病まで
• マンゼブ→10日に1回
• TPN→10日に1回
初発直後
• イミノクタジン酢酸塩・ポリオキシン
• ピラクロストロビン・ボスカリド→のべ180㎜の降水量を目安に次の防除を検討
果実
• イミノクタジン酢酸塩・ポリオキシン
• ピラクロストロビン・ボスカリド
スイカ炭疽病の効果的な防除法
ただし、ピラクロストロビン・ボスカリドは耐性菌の発達する恐れがあるため、蔓延後は使用しない
基本的には、効果の高い予防剤のローテーション防除で発生を抑える