21
水理学及び同演習 5管路の流れ①(摩擦損失と形状損失) 目標:管水路定流における基本的関係を理解する ・管水路の定流(定常流)に関する基礎式(エネルギー式, 連続式)と摩擦によるエネルギー損失(摩擦損失) ・管路の曲がりの部分などで発生する形状損失

水理学Ⅱ及び同演習hydro/lecture/hydraulics/...水理学Ⅱ及び同演習 第5回 管路の流れ①(摩擦損失と形状損失) 目標:管水路定流における基本的関係を理解する

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水理学Ⅱ及び同演習 第5回 管路の流れ①(摩擦損失と形状損失)

目標:管水路定流における基本的関係を理解する ・管水路の定流(定常流)に関する基礎式(エネルギー式, 連続式)と摩擦によるエネルギー損失(摩擦損失) ・管路の曲がりの部分などで発生する形状損失

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連続の式

管水路定流の基礎式 .constAvQ ==

wRwpz

gv

dxd

0

2

2τ−=

++α

エネルギー(勾配)式

gRIρ=τ0

動水勾配Iを用いた せん断応力

速度水頭 位置水頭 圧力水頭

エネルギー補正係数 (一般には1を使う) w=ρg

径深 エネルギー勾配

42DA π=断面積

直径Dの 円管の場合

442 D

DD

sAR =

ππ==

D

s

Ds π=潤辺

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管水路の摩擦によるエネルギー損失(摩擦損失)

wpz

gvE ++≡2

2

20 8

vfρ≡τ基準線

z

v

wp

A B

gv2

2

比エネルギー Eを定義

dxwR

dxwpz

gv

dxd B

A

B

A ∫∫ τ−=

++ 02

2

エネルギー式を管路に沿う2点(A,B)間で積分

dxRv

gfEEh

B

ABAf ∫=−=

2

8

摩擦損失係数 f を 用いたせん断応力τ0

dxg

vD

fEEhB

ABAf ∫=−=

21 2

4DR =

直径Dの

円管のR

速度水頭に係数がかかった形

一般断面の摩擦損失 円管の摩擦損失

fh

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gvdx

gv

DfhhEEh

B

AfBA 221 22

∑∫∑ ζ+=+=−=

管の曲がりや急拡による エネルギー損失(形状損失)

摩擦損失以外にも,管の曲がりや急拡などによる エネルギー損失がある.この形状損失のことを形状損失と言い,

gvh2

2

ζ=速度水頭に比例定数(ζ)を かけた形で形状損失を表す

管路を流れる全てのエネルギー損失(h)

形状損失の和 摩擦損失

曲がり

急拡

直径D,長さlの単一管路で,十分長くて形状損失が無視できる場合

dxg

vD

fhEEB

AfBA ∫==−2

1 2

gDIf

gRIf

v 28==

lEEI BA −

=

等流の式

エネルギー勾配

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摩擦損失係数fの実用式 Colebrookの式(実用されている市販管のf )から求める

+−=

fRDk

f e

s 7.182log274.1110

管路の流速公式(経験式)から求める

相当粗度 (教科書P109表4-1参照)

2/13/21 IRn

v =Manningの式

H-W(Hazen-Williams)の式 54.063.054.063.0 355.0849.0 ICDICRv ==

(m,s単位)

円管の場合 ( ) 63.063.063.0 4175.04/ DDR ==

等流の式を用いてIを消去して摩擦損失係数fを求める gRIf

v 8=

Manningの式

H-W(Hazen-Williams)の式

3/1

2

3/1

2 5.1248D

nRgnf ==

( ) 15.0167.085.11

849.008.10

vDCgf ⋅=

等流の式

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摩擦損失係数fの式の適用範囲1 Manningの式から求まるfの式

3/1

2

3/1

2 5.1248D

nRgnf ==

流速v(Re数)を含まない

完全粗面に適している (滑面と粗面では,流速分布が異なるため)

gRIgn

RIRn

v6/1

2/13/21==Manningの式

を変形 gRIu =*

摩擦速度

6/16/1

*

=

s

s

kR

gnk

uv相当粗度ksを導入

無次元

+==ϕ≡

Rk

fuv s

2log274.188

10*

完全粗面の対数式 (教科書3.68’(b)より)

流速係数

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ss kR

kD

101010 log66.562.6log221log274.18 +=

++=ϕ

+= 74.1

2log288

10sk

Df

摩擦損失係数fの式の適用範囲2

−==ϕ≡

Rk

fuv s

2log274.188

10*

完全粗面の対数式 (教科書3.68’(b)より)

流速係数

円管R=D/4の場合

完全粗面の対数式(3.68’(b))から求めた流速係数

6/16/1

*

=ϕ≡

s

s

kR

gnk

uvManningの式に

相当粗度ksを 導入した流速係数

この二式が一致する

gnks

6/1

を求める

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摩擦損失係数fの式の適用範囲3

fuv 8*

=

管路や開水路における流れ

の値は一定(~7.66) gn

ks6/1

流速係数ϕ=8~25の範囲

この仮定に基づいた式 (Manning-Stricklerの式)

6/1

*66.7

=

skR

uv 66.7

6/1

=gn

ks

6/1

66.718

=

skRf

3/13/1

216.0136.0

=

=

Dk

Rkf ss

6/1skn ≈

粗度係数nと 相当粗度ksの関係

nとはksの 1/6乗に比例

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摩擦損失係数fの式の適用範囲4 H-Wの式から求まるfの式

( ) 15.0167.085.11

849.008.10

vDCgf ⋅=

流速v(Re数)と相当粗度(ks/D)の関数(式4.12より)

( )

15.015.085.1

017.015.0

017.015.0

85.11

849.008.10

e

s

s

R133.4

vC133.4

kDk

vDCgf

⋅=

ν

ν

=

  

教科書・図4-3とH-W式の比較(moody線図)

Cの大きい約150程度のなめらかな管に対して適合性があるが Manningの式による摩擦係数fがより実用的である.

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例題4.1について m2.1=H

v鋳鉄管の長さl=1000m 直径D=80cm

新しい鋳鉄管 相当粗度ks=0.3mm Manningの粗度係数n=0.012 動水勾配I=H/l

gRIf

v 8=

管内流速vと摩擦損失係数fを求める

+−=

fRDk

f e

s 7.182log274.1110

Colebrookの式

ν=

vDRe

Reynolds数 等流の式

ν⋅

=DgDI

vgDIvDfvDfRe

22

( )

ν+−=

DgDIDk

fs

27.182log274.11

10

変形したColebrookの式からfを求める

gRIf

v 8=等流の式でvを求める

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例題4.2について

相当粗度ksの値を求める

コンクリート管の粗度係数n=0.014として, Manning-Stricklerの式より

66.76/1

=gn

ks

( )666.7 gnks ×=

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問4.1について1 円管,正方形,長方形断面でそれぞれ同じ断面積Aの 場合の流量の違いを求める

Manningの式

2/13/21 IRnA

Qv ==

流量Q

AIRn

AvQ 2/13/21==  

流量の違いはR2/3の違い

Aa

a2

長方形

A

A

A

正方形

DA円管

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問4.1について2 円管,正方形,長方形断面のそれぞれの経深をR1,R2,R3とする

Aa

a2

長方形

A

A

A

正方形

DA円管

4

2DA π=

π=

AD 4 π=

21AR

442A

AAR ==

22aA =

2/Aa = 62

2/63A

AAR ==

( ) 3/13/2

3/21 2

1 AR

π=

( ) 3/13/2

3/22 4

1 AR

=

( ) 3/13/2

3/23 6

2 AR

=

0.430 (円管との比1)

0.397(円管との比0.923)

0.382(円管との比0.888)

円管が最も 流れやすい

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形状損失(形状係数)

管の曲がりや断面の急変によるエネルギー損失

断面の変化によって渦や二次流が発生し, この変化によってエネルギー損失hが発生

gvh2

2

ζ=

形状係数

速度水頭に比例係数がかかるような形で表す

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急拡大部のエネルギー損失

gvh sese 2

2

ζ=

急拡大による損失 管の断面積がA1→A2に急拡大

1A 2Av

2

2

11

−=ζ

AA

se

急拡大部の 形状係数

教科書P.105例題(3.5)より

急拡大部 の損失

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出口のエネルギー損失

gvh oo 2

2

ζ=

出口での損失

A2が無限大(∞)として

1Av

2

2

11

−=ζ

AA

se

急拡大部の形状係数

021 →AA 1≅ζo

出口の形状係数

出口の損失

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急縮小部のエネルギー損失

gvh scsc 2

22ζ=

急縮小による損失 管の断面積がA1→A2に急縮小 (流水断面が一度CA2まで縮小)

22

2

2 111

−=

−=ζ

CCAA

sc

急縮小部の 形状係数

急拡大の損失係数に 速いほうの流速v2で定義

急縮小部 の損失

1A2A

1v 2v2CA

縮流後の拡大部(減速部) (CA2~A2)に損失が生じる (急拡大の損失と同じ考え方)

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入口部のエネルギー損失 入口損失 急縮部のA1→∞に相当

2A1v 2v

A1→∞

gvh

ee 2

2

2ζ=

入口部の 形状係数

入口部 の損失

ζeは入口部の形によって異なる(教科書p.113)

5.0=ζe 25.0 )(2.0

)(1.0方形

円形05.0~01.0 0.1

θ

θ+θ+

2cos2.0cos3.05.0

角端 隅切り 丸味つき ベルマウス 突出し

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管の断面積の漸変(漸拡)

1v 2v1D

2D

θ

漸拡の損失

gv

gv

AA

gvvh

segege

gege

221

221

21

2

2

1

22

21

ζζ=

−ζ=

−ζ=

急拡の損失係数ζseに漸拡(角度θ) の効果を表す係数ζgeをかける形

教科書図4.8

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曲がりおよび屈折

屈折による損失

曲がりによる損失

θ r gvh bbb 2

2

21ζζ=v

曲率半径ρと管径Dの 比(ρ /D)によって決まる

中心角θとθ=90oの場合の 損失の比によって決まる

教科書図4.9

Weisbachの比較的小さい円管の実験

gvh bebe 2

2

ζ=2

sin05.22

sin946.0 42 θ+θ=ζbe

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バルブ

バルブによる損失

スフェリカルバルブ 水力発電設備の水車入口弁として 高落差用の場合に使用

スルース弁 仕切り弁ともいう

バタフライ弁 円板状の弁体が回転する構造 流れの方向に対する弁体の角度を変えて 流量または圧力を調整

教科書p.115の表4.3