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夏林 有さん(株式会社ツガワ二戸工場)
-整頓のS-
・金型やパンチの管理について、棚に番号と色で識別すること
と、サイズに合わせた穴に戻すようにしている。
・効果として、どこに戻せばいいのか、また、使用中かどうか
が分りやすくなった。
高倉 麻衣さん(株式会社二戸ファッションセンター)
-安全のS(セーフティー)-
・針の混入防止について、部署毎に管理責任者を決め、責任者
を通して危険物の個数や針の本数をカウントしている。
・効果として、安全な状態でメーカーに渡せるようになった。
第8期「県北ものづくり改善塾」第5回研修(報告書)
令和元年 11 月8日(金) コーディネーター 下堀(記)
Ⅰ 日 時 令和元年 10月 23 日(水) 9:30~16:30
Ⅱ 場 所 九戸精密株式会社(九戸村大字江刺家 10‐30‐2)
Ⅲ 内 容
第8期「県北ものづくり改善塾」第5回研修は 10月 23 日、九戸精密株式会社にて塾生 16名
参加の下、グループ討議とプレゼンテーションを行いました。
当日はプレゼンの最終仕上げのため、前回まで取りまとめた内容を確認するとともに、阿部講
師から講義やアドバイスもいただくなど、総仕上げに向かって作業が進みました。
結果、午前 10時 30分からのプレゼンリハーサル、プレゼン準備と進み、午後3時 30分から
は研修会場を提供いただいた九戸精密株式会社様に、貴重な改善提案をプレゼンテーションする
ことができました。
以下、事業の概要を報告いたします。
★ 1 自社の取組事例発表(S自慢)
2
小笠原 早紀さん(株式会社アイソニック軽米事業所)
-清掃のS-
・始業前と作業終了前に、各担当エリアの清掃を行うことと、
異常時にはアンドンを鳴らすことの徹底、及び社内の整理整
頓のチェックをしている。
・効果として、より考えながら改善活動をするようになった。
高橋 外宇悟さん(九戸精密株式会社)
-整頓のS-
・製造指示書について、機械の機種ごとに色分けし、それぞれ
仕分ける方法に変更した。
・効果として、混雑する恐れがなく、次の工程に回せるように
なった。
南舘 英幸さん(株式会社東亜エレクトロニクス)
-見える化(サンプルのS)-
・研磨加工のサンプルについて、前は箱の中にしまっていたが、
今は作業場の壁に「サンプル置き場」を設置し管理している。
・効果として、サンプルをすぐ見られるので、すぐ加工できる
ようになった。
内田 吉紀さん(日本ソーイング株式会社岩手工場)
-作業時間のS-
・上着の背中パーツ工程について、前はメンバーの作業時間に
バラツキがあったが、今は仕事を分配し作業内容を改善した。
・効果として、当社の標準作業時間に近づき、メンバーの作業
時間に差異が無くなった。
城田 波輝さん(二戸地域振興センター)
―整頓のS―
・文書管理について、重要度の高くないもの、簡易でいいもの
については、一度にまとめて回覧するように見直した。
・効果として、文書がバラバラになったり、また、あとで見る
など優先順位も付けやすくなった。
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・本日の「S自慢」を聞いていて、色による「視覚管理」、サイズによる「形跡管理」、工程
バランスによるリードタイムの短縮等は、非常に具体的な取組みなので、今回の改善提案に
盛り込むようにしていただきたい。
・また、できるだけ絵や写真などを使って説明すること(説得力が増します)。
※今回の大テーマ「組立てラインの見える化」のため、他社の事例を写真で紹介。
【運送関係】①トラックから荷降しの際、運転車両から離れる時の掲示(車止めヨシ、など)
⇒トラックの自走など問題が発生しないための自己管理。
②作業エリアのレイアウトと人員配置(日勤、夜勤の表示)⇒管理者が見て「誰が昼いて、
夜は誰がいる等」の把握が一目瞭然。
③朝礼時における変化点管理⇒欠勤がないか、調子の悪い人はいないか等の確認。
④生産進捗管理⇒時間あたり生産進捗の「見える化」。 ※別添資料のとおり
【空圧器関係】①空圧器関係において国内外シェア・ナンバーワンの会社。1 日の伝票処理
37,219枚について、識別(色別)管理を行っている。
②ペーパーレスについて、組立てはバーコードとタブレットにより集約管理されている。
③これからの時代⇒Iotは避けて通れない。今回の提案でも盛り込んでほしい。
【半導体関係】①半導体の製造装置(1個・何百万円)を製造、非常に高付加価値の加工。
②納期もQCTが徹底し、「品質第一主義」、「絶対品質」となっている。
③グループ内3工場で情報を共有し、Iotを活用しながら「絶対品質」を確保している。
★ 2 プレゼンテーションのポイントについて
阿部講師から「プレゼンテーションのポイント」と題した講義がありました。
阿部講師の講義 講義の内容に聞き入る塾生
○講義の主な内容
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★ 3 グループ討議、プレゼン・リハーサル
□ Aチーム(WAAA(ダブルトリプルA))
チーム名「WAAA」は、グループ討議において「クリーンルーム内に紙ベースの記録類、表
示が多い。-ペーパーレス化-」という改善テーマについて、全体で協議しました。
討議の中では、各記録類に紙が多く使用されていることに注目し、①紙を使う必要のないもの
に紙が使用されている、②クリーンルーム内で使用している紙がクリーンペーパーではない-
ことを問題点として洗い出しました。
最終的には、現在クリーンルーム内で使用されている記録類 13 種類について仕分け、改善に
よる効果も金額ベースで表し、プレゼン資料を仕上げました。
□ Bチーム(team SHOJI神(しょうじがみ))
チーム名「team SHOJI神」は、グループ討議において「各工程で生産進捗表示が少なく、
進捗管理に時間がかかる」という改善テーマについて協議しました。
最終的には、①ホワイトボードに書き込み、『見える化』する(機種、目標数、生産数、実績
数など)、②モニター、タブレットで進捗管理、情報の共有化を図る-というプレゼン資料を仕
上げました。
短時間でしたがリハーサルを行い、プレゼンの時間を待ちました。
Bチームのグループ討議、リハーサル
Aチームのグループ討議、リハーサル
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□ Cチーム(すのこ)
チーム名「すのこ」は、グループ討議において「各部品の居場所が分りにくい」という改善テ
ーマについて協議しました。
討議の中では、改善テーマに加えて、プローブ製品課のレイアウトの流れに注目し、最終的に
は①レイアウトの変更、②棚に部材、品種名などの表示をする、③部材供給を後追い方式にする
-というプレゼン資料を仕上げ、プレゼンの時間を待ちました。
★ 4 プレゼンテーション
午後3時 30分、いよいよ本番のプレゼンテーションが始まりました。
会場には、取締役工場 及川 直也 氏、プローブ製品課長/品質管理課長 金谷 直人 氏、塾生派遣
企業のミドリ久慈衣料株式会社 取締役社長 川代 利幸 氏にも出席いただき、真剣に耳を傾けていま
した。
Cチームのグループ討議、リハーサル
改善提案に聞き入る関係者と発表風景
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□ Aチーム(WAAA(ダブルトリプルA))
Aチームの発表は、リーダーの野上優也さん、副リーダーの久慈道一晃さん、高橋外宇悟さんが
行いました。
-改善テーマ-
クリーンルーム内に紙ベースの記録類、表示が多い。-ペーパーレス化-
-現 状-
各記録類に紙が多く使用されている。
-問題点-
①紙を使う必要のないものに紙が使用されている。
②クリーンルーム内で使用している紙がクリーンペーパーじゃない。
-現在CR内で使用されている記録類13種類と使用枚数(月)-
① 製造指示書(1,250 枚) ⑦ マイクロライン稼動記録(8枚)
② 現品票(1,250 枚) ⑧ メンテ記録(0枚)
③ 組合せ確認表(21枚) ⑨ 日常点検記録(22 枚)
④ 定期検査記録(1,250 枚) ⑩ 作業日報(11 枚)
⑤ 受入データ(60枚) ⑪ 部材使用記録(30 枚)
⑥ 自動検査稼動記録(37枚) ⑫ 出荷リスト(4枚) ⑬ メモ(?枚)
Aチーム リ ー ダ ー 野 上 優 也 :株式会社ツガワ二戸工場
副リーダー 久慈道 一 晃 :株式会社岩本電機
書 記 高 倉 麻 衣 :株式会社二戸ファッションセンター
小笠原 早 紀 :株式会社アイソニック軽米事業所
高 橋 外宇悟 :九戸精密株式会社
南 舘 英 幸 :株式会社東亜エレクトロニクス
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-改善案(全13種類の仕分け)-
【紙として残すもの】
製造指示書 1枚にして使用
現品表
部材使用記録 CP使用
メンテ記録 1枚にして使用
日常点検記録
作業日報
組合せ確認表
【ペーパーレス化PC活用、タブレット活用】
マイクロライン稼動記録(PC)
自動検査稼動記録(PC)
出荷リスト(タブレット)
受入データ(PC)
定期検査記録(タブレット)
メモ - 紙をラミネートして使用
-効果とまとめ-
・13種類から5種類に削減
・1,568枚使用していたものを、
64枚に削減することができる。(1,504枚の減)
・従来の紙を使用した場合の効果金額
1,098円 → 45円(1,053円の減)※A4 1枚 0.7円
・クリーンペーパーを使用した場合
45円 → 256円(211円の増)※A4 1枚 4円
従来の使用枚数の約96%削減できるため、クリーンペーパーを採用しても
改善前より費用を抑えることが可能です。
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□ Bチーム(team SHOJI神(しょうじがみ))
Bチームの発表は、リーダーの夏林有さんと、野里幸生さんが行いました。
-改善テーマ-
各工程で生産進捗表示が少なく、進捗管理に時間がかかる
-現 状-
管理室から現場まではエアーシャワー室を通って移動し、検査室のPCのデータ収集と検
査員からのヒヤリング、マイクロライン室の生産進捗状況の確認に7分を要している。
-問題点-
①進捗表示が少ない。
②1日の目標を掲示していない。
-改善案-
ホワイトボードを使用し、以下を表示する。
①機種
②1日の目標
③1日の生産数
Bチーム リ ー ダ ー 夏 林 有 :株式会社ツガワ二戸工場
副リーダー 坂 下 巴 :株式会社アイソニック軽米事業所
書 記 工 藤 勉 :株式会社三和ドレス
障子上 甲 斐 :ミドリ久慈衣料株式会社
野 里 幸 生 :株式会社岩手芝浦電子
城 田 波 輝 :二戸地域振興センター
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機種 A B C D E
月産目標数
前日生産数
累計(実績数)
日産目標数
日産実績数
-改善案-
タブレット・モニターで進捗管理、情報の共有化
・メリット:情報を共有化し易い
移動時間の削減
他業務への応用
・デメリット:初期投資費用の回収
-改善効果-
現 状
・管理者: 7分×20日 ⇒ 1.3h/月
・検査員:50分×20日 ⇒16.6h/月
(5名×10回×20日)
改善後
・管理者: 3分×20日 ⇒1h/月
・検査員: 1分×20日×5名 ⇒1.66h/月
改善後(モニター・タブレット)
・管理者:30秒×20日 ⇒0.17h/月
・検査員:1.6秒×20日 ⇒0.5h/月
○メリット・デメリット2案の比較
ホワイトボード活用
・メリット ⇒ 初期投資不要
今すぐ出来る。
・デメリット ⇒ 集計に多少の時間を要する。
モニター・タブレット活用
・メリット ⇒ 集計に時間を要しない。
他の用途にも展開出来る。
例)動画手順書
作業指示書
設備とリンクさせる(Iot)。
・デメリット ⇒ 初期投資が発生する。
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□ Cチーム(すのこ)
Cチームの発表は、リーダーの米田健二さんが行いました。
-改善テーマ-
各部品の居場所が分りにくい
-現 状-
①受け入れの棚、工程近くの棚に入っている部品が把握できていない。
②棚に入っている物の表示が少ない。
-改善案-
①レイアウトを変更する。
②棚に部材、品種名などの表示をする。
③部材供給を後追い方式にする。
【棚に部材、品種名などの表示をする】
提案前
・部品(バレル、プランジャー、スプリング)が一緒に入っている。
・自動機部品と手動機部品が一緒に入っている。
・部材棚の部品の種類、品番などの表示が少ない。
提案後
・量産品とその他を分ける(手動機部品等)。
・部品名の表示(バレル、プランジャー、スプリング等)
Cチーム リ ー ダ ー 米 田 健 二 :コイルテック株式会社
副リーダー 内 田 吉 紀 :日本ソーイング株式会社岩手工場
書 記 中 野 紗由里 :岩手モリヤ株式会社
向 川 貴 也 :九戸精密株式会社
民部田 郁 :株式会社東亜エレクトロニクス
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・部品箱に部材を入れる。
・仕切りを設ける・・・手前から順番に使用する。
・部材と棚の関連付けをし、部材管理のルール化をする。
【レイアウトの変更をする】
提案前
・工程間の移動で、行ったり来たりの動きがある。
・部材の棚が多数ある。
提案後
・非生産エリアを一区画に変更する。
・量産ラインを一直線に配置する(部材の見える化)。
・部材棚を一ヶ所にまとめる。
-改善効果-
【棚に部材、品種名などの表示をする】
部材を探す時間を短縮できる。
部材管理がしやすくなる。
改善前 改善後
部材取り出し
時間 約30秒 ⇒ 約10秒
【レイアウトの変更をする】
移動距離の短縮が見込める。
部材棚を一ヶ所にすることで、部材の供給がスムーズになる。
次工程の部材棚 改善前 改善後
までの移動時間
一番長い距離 約1分 ⇒ 約30秒
での比較
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★ 5 感 想
改善提案の発表後、取締役工場長 及川 直也 氏、プローブ製品課長/品質管理課長 金谷 直人 氏、
塾生派遣企業のミドリ久慈衣料株式会社の取締役社長 川代 利幸 氏 から感想をいただきました。
(1)取締役工場長 及川 直也 氏
・「WAAA」のペーパーレス化について、PCで入力しモニターで表示する方法と、その効果も
金額で提示されており、良い提案だったと思います。
・「SHOJI神」の進捗管理について、具体的に掘り下げた提案でした。欲を言えばプラス効果
を金額ベースで出してほしかったと思います。
・「すのこ」のレイアウト変更について、素晴らしい提案をいただきました。ただ、現状分析につ
いて、なぜレイアウト変更なのか、また、費用等についても出してほしかったと思います。
・総合的には、短期間でここまで仕上げていただき、素晴らしい内容だったと思います。この提案
については我々も検討し、実施する方向で詰めたいと思います。
・皆さんも自社に戻ってから現場を確認し、水平展開していただきたい。そうすれば全体的な相乗
効果として、県北地域のものづくり企業がさらに向上していくことは、素晴らしいことだと思い
ますので、よろしくお願いします。
(2)プローブ製品課長/品質管理課長 金谷 直人 氏
・「WAAA」について、現在の記録類を統合する案と、パソコン・タブレットの活用案をいただ
きました。統合できるものは統合し、少しでも削減できるよう取組んでいきたいと思います。
・「SHOJI神」について、「管理者が見たい情報が、実際は現場は余り重要視していなかった。
自分たちが活用できないから定着しなかった」という発表があり、まさに「そのとおり」と感じ
ましたので、何が情報として必要なのか、再度見直しをかけて改善したいと思います。
・「すのこ」について、まさに我々が抱えている問題であり、スペースが限られている中で設備や
人か増えて、全体の流れを見たレイアウトになっていませんでした。現在、仕事の関係上、早急
なレイアウト変更が課題としてあり、今回の改善案を参考にさせていただきます。
(3)ミドリ久慈衣料株式会社 取締役社長 川代 利幸 氏
・今日の発表で感じたことは、全て工場長さんがお話したとおりです。実質3回の研修において、
現状を把握し対策を立案したことは、本当に素晴らしい活動だったと思います。
★ 6 講 評
プレゼンテーションの総括とまとめとして、阿部講師から講評をいただきました。
講師 阿部 昌明 氏
・今日の発表を聞いていて、短期間にもかかわらずうまく仕上がったな、という印象です。
・特に「すのこ」については、「生産改善」よりも「生産改革」という高いレベルの発表でした。
バラバラになっていた工程を一直線にすると、流れがあるので棚が必要なくなり、さらにスペー
スも空いて設備導入も可能となることから、少しずつでも工程を改善して「組立工場の見える化」
アップを達成してください。
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・「WAAA」について、使用枚数をあれだけ減らせることは本当に素晴らしい提案でした。PC・
タブレットを活用し、枚数をゼロにするという更に高い目標を持てば、本当のペーパーレス工場
もできると思います。
・「SHOJI神」について、ホワイトボードの活用は即実行でき、また、タブレットの活用は
初期投資はかかりますが、ランニングコストは下がります。是非、Iotを目指して、PC・タ
ブレットを活用し入力ソフトのノウハウを蓄積していけば、どういう生産管理が会社として一番
良いのかが見えてきますので、非常に良いと思います。
取締役工場長 及川 直也 氏 プローブ製品課長/品質管理課長 金谷 直人 氏
ミドリ久慈衣料㈱取締役社長 川代 利幸 氏 講師 阿部 昌明 氏
★ 最後に、高橋主任から第6回研修(工場見学 11/8)、及び第7回研修(11/20)の事務連絡を
行い、改善塾第5回研修を終了しました。
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Ⅳ 事務局あとがき
今回の研修では、講師の阿部様から、本番のプレゼンテーションに向けた講義及び適切な
助言・アドバイスをいただき、心より感謝申し上げます。
また、会場を提供いただいた九戸精密株式会社様には、工場内の見学や研修会場の確保など、
本当にお世話になりました。改めて御礼申し上げます。
次回第6回研修(11/8)は、先進企業の工場見学です。
青森県三戸郡南部町の「多摩川ハイテック㈱福地第一工場」と、上北郡七戸町の「㈱サンヨー
ソーイング青森工場」の2社を訪問し、先進的な技術・技能や生産工程、及び品質マネジメント
等の取組みについて研修する予定です。
最終の第7回研修(11/20)は、九戸精密株式会社様から改善提案に対する実施結果の報告と
改善後の現場確認、及び修了式を行う予定です。
今期改善塾も残すところあと2回となりました。塾生の皆さんには、より積極的に取り組んでいた
だくことを期待しています。
以上
プレゼン後の集合写真(阿部講師のホッとした表情が印象的です!)