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令和元年度 環境浄化技術Ⅰ&衛生工学Ⅰ 第6回目 5月21日 講義HP(今井担当): http://ds.cc.yamaguchi-u.ac.jp/ ~imai/kankyojouka/kankyojouka.html

第6回目 - Yamaguchi Uds.cc.yamaguchi-u.ac.jp/~imai/kankyojouka/jousui_06.pdf · 逆浸透法は、浸透圧に逆らって、逆に水溶液中の水を半透膜を介 して水側に移動させることによって、溶質と水とを分離させる方法

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  • 令和元年度

    環境浄化技術Ⅰ&衛生工学Ⅰ

    第6回目5月21日

    講義HP(今井担当):http://ds.cc.yamaguchi-u.ac.jp/

    ~imai/kankyojouka/kankyojouka.html

  • 膜分離: 分離膜とは1

    物質を分離する技術には、専門用語でいうと「蒸留」や「晶析」、「抽出」などいろいろなものがある。これらの分離技術のうち膜を用いて物質を分離する膜分離プロセスに使用される膜を分離膜という。膜表面に開いた穴の孔径や膜に対する物質の溶解度差等を利用して、液体や気体の中に含まれている粒子の除去や、溶液または溶液中に溶け込んでいる物質のろ過、濃縮、精製など、様々な分離操作を行うことができる。

    分離膜の例:コーヒーをフィルターを使って淹れる

  • 2膜ろ過

    有機もしくは無機の多孔質のフィルターに原水を通すことで、主としてふるい分けを原理とした懸濁質の除去を行う処理

    ・粘度、細菌、プランクトン等の懸濁物質・鉄、マンガン等の不溶解性

    濁度、細菌、原虫等はほぼ100%の除去が可能

  • 3

    膜ろ過 種類

    膜を分離対象粒子の大きさから分類すると4つに分けられる

    (目の粗さ)精密ろ過膜>限外ろ過膜>ナノろ過膜>逆浸透膜

    MF UF NF RO

  • 膜による分離法4

    膜分離

    イオン交換膜法

    キレート樹脂法

    拡散透析法

    精密ろ過法

    限外ろ過法

    逆浸透膜法

    ・イオン性物資の分離を対象・電位差を駆動力

    ・一般の微粒子の分離を対象・圧力を駆動力

    ナノろ過法

  • 5

    膜ろ過 原理

    圧力差を利用した分離

    MF膜は、分画径が0.5~0.03程度の膜で、浮遊物質やコロイド、細菌等が除去対象物となる

    UF膜は、0.001μm~0.01μm程度の孔径を有し、コロイドや高分子の有機物が除去対象

    RO膜は、濃厚溶液と希釈溶液を膜で仕切り、濃厚溶液側に浸透圧より大きな圧力を加えて水分子のみ移行させる。食塩のような無機塩類を除去する

  • 6

    膜ろ過 ろ過方式

    ろ過方式には全量ろ過方式とクロスフローろ過方式とがある

    全量ろ過方式は膜供給水の全量をろ過する方式であり、従来の砂ろ過と同じ方式。砂ろ過と同じように定期的に洗浄を行う。

    クロスフローろ過方式は膜面に対し平行な流れを作ることで膜供給水中の懸濁物質やコロイドが膜面に堆積する現象を抑制しながらろ過を行う方式。一般に限外ろ過ではクルスフローろ過方式が採用されている。

  • イオン交換膜法7

    膜状をしたうすい合成樹脂の空隙に、多くの交換基を付着させたもので、陽イオンのみを通過させるカチオン交換膜と陰イオンのみを通過させるアニオン交換膜とがある。また、不均質膜、半均質膜、均質膜の3種類があり、イオンの選択透過性を有していることが大きな特徴である。

    例:海水、かん水の脱塩、排水の高度処理、塩の回収 海水の脱塩

  • キレート樹脂法、拡散透析法

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    特殊なイオン交換樹脂

    重金属などの除去水銀、金、銀、6価クロムなどをキレート結合によって選択的に吸着する能力を持つ

    強酸、強アルカリの濃度差による選択透過性を利用して酸、アルカリを分離回収するのに用いられている。

  • 精密ろ過9

    マイクロフィルターやメンブランフィルターといった孔径0.1~10μmのセ

    ルロース、ナイロン、ポリプロピレン系の空孔率の大きい薄膜によるろ過であり、ろ過にあたって、薄膜の機械的強度を補強する工夫が必要である。

    精密ろ過では、微細な懸濁物質や微生物の除去が対象になる。

    マイクロフィルター

    メンブランフィルター

    使用用途)ボイラー用水、超純水などの工業用水の前処理

  • 限外ろ過法10

    コロイド領域の1~5,000nm(10-9m)程度の高分子や微生物を除去するものであり、ポリスルホン、ポリオレフィン、ポリアミドなどよりなる膜が使用されている。膜の分離性能は膜によって阻止される溶質粒子の分子量、すなわち分画分子量10,000~50,000程度の膜が通常使用されている。

    圧力半透膜半透膜

    原液 濃縮液 ろ過液

  • 逆浸透法

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    真水

    海水

    半透膜

    真水

    海水半透膜

    圧力(浸透圧)

    そもそも浸透圧とは・・・水を透過させるが溶質を透過させない半透膜を介して水と水溶液とを接触させると、水が半透膜を透過して水溶液側に移動する圧力である。

    浸透現象により半透膜の両側の水面の差ができるが、水面の差がある値になると真水の移動は止まる(浸透平衡)。

  • 逆浸透法 12

    真水 海

    半透膜

    真水

    海水半透膜

    圧力圧力

    (浸透圧)

    逆浸透法は、浸透圧に逆らって、逆に水溶液中の水を半透膜を介して水側に移動させることによって、溶質と水とを分離させる方法である。逆浸透法では1~10Å(10-10m)の範囲の低分子の溶質を分離させる。逆浸透法のろ過装置は、基本的に限外ろ過と同じであるが、ろ過圧力は高く、15~40kg/cm2程度で操作されている。

    また、逆浸透膜には、アセチルセルローズ、ポリアミドなどが使用されている。

    浸透圧以上の圧力

    使用用途)海水の脱塩、淡水化、純水製造の前処理、排水の再利用などに利用されている。

  • 各ろ過膜の分離特性

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    参考文献:http://www.ngk.co.jp/academy/course01/03.html

  • 第6回宿題

    上水道における膜ろ過法の導入実例について、調べてまとめよ。(どの様なところに導入されているか、導入の経緯など)

    (A4用紙に記入し、次回講義時に提出)