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46
第4章 調査結果の評価・分析
47
4-1 概要
◇進捗管理の結果や効果の発現状況は、適切に評価・分析し、「市町村バイオマス活用推進計画」
の見直し等に活用することが必要です。
◇本章では、その手法の一例として、SWOT分析を紹介します。
図4.1 調査結果の分析・評価の流れ
【地域の課題等の整理】
【調査結果の整理】
「バイオマス活用プロジェクト」ごとに、進捗管理
結果や効果の発現状況を一覧表等に整理
【SWOT分析】
目標を達成することにとって重要な内外の要因を整理
内部要因 → 市町村の強み、弱み
外部要因 → 市町村外部の機会、脅威
【クロスSWOT分析】
SWOT分析を基に、強み・弱みの内部環境と機
会・脅威の外部環境をクロスさせ、様々な戦略を
検討
進捗管理や効果の発現状況の調査結果を評価・分析し、今後の市町村におけるバ
イオマス活用のさらなる推進に向けた取り組みに活用します。
○○プロジェクト
内部要因 ・人・組織
・地域資源
・情報、ノウハウ等
S 強み
W 弱み
外部要因
・法律、制度
・消費者ニーズ 等
O 機会
T 脅威
内部環境
S W
外部
環境
O 積極的戦略 段階的戦略
T 差別化戦略 防衛戦略
効果発現状況(1~○年目)
自給率 ○%
CO2削減効果 ○t/年
新たな雇用 ○人
住民参加 一部地域で低い
副産物の利用 進んでいない
等
効果の発現状況
プロジェクト
ごとに整理表
を作成
「市町村バイオマス活用推進計画」の見直しへ
P D
A C
P D
A C
P D
A C
進捗管理結果(○年目)
進捗管理結果(2年目)
進捗管理結果(1年目)
進捗管理結果
関連計画の課題
地域の課題
社会情勢の変化
・・・
48
4-2 調査結果の評価・分析
4-2-1 調査結果の整理
◇個々の「バイオマス活用プロジェクト」の進捗管理結果や効果の発現状況を基に、次ページに
示すような一覧表に結果や課題を整理します。次ページより、メタン発酵施設と木質ペレット
利用の例を示します。
◇金額で評価した効果は合算することが考えられますが、単純にすべてを合算すると二重計上と
なる場合がありますので、注意が必要です。
【二重計上となる恐れがある例】
◆バイオマス関連製品の売上を計上する場合
売上額は、製品の製造コスト、関係者の収益等が含まれています。
この時、雇用促進効果で雇用者の人件費等を計上すると二重計上となってしまいます。
◆ペレットの製造者と利用者
ペレットの製造者と利用者の双方がCO2削減効果を計上することはできません。
「バイオマス活用プロジェクト」ごとに、数年分の進捗管理の結果やそれまでの
効果発現状況を一覧表等に整理します。
49
表4.1 メタン発酵プロジェクトの整理例(1/2)
効果 進捗管理結果
及び 効果の発現状況
考察
(プロジェクト担当者が記入)
地域資源
の有効活
用
①バイオマスの
利用率等の向
上
◇受入量の目標達成状況
・家畜排せつ物(目標500t/年)
1年目:30%→5年目:25%
・生ごみ(目標1500t/年)
1年目:60%→5年目:70%
※分別回収が進まない地区
がある
◇エネルギー発生量
・発生熱量(目標30GJ/年)
1年目:95%→5年目:120%
・発電量 (目標400MWh/年)
1年目:95%→5年目:120%
・家畜排せつ物の受入量が減少傾
向にある。畜産農家の離農が要
因の一つと考えられる。
・生ごみの受入量は増加傾向にあ
るが、分別回収が進まない地区
がある。
・発熱量・発電量は目標を達成し
ており、今後は余剰熱や電気の
利用を検討する必要がある。
②バイオマス活
用によるたい
肥やエネルギ
ー等の自給率
の向上
◇発生熱量(目標:1.5%)
1年目:1.2%→5年目:2.0%
※メタン発酵施設内での自給率
1年目:95%→5年目:120%
廃棄物処
理負担の
軽減
③廃棄物処理負
担の軽減
◇生ごみ処理量の削減
(目標1500t/年)
1年目:60%→5年目:70%
◇運営経費の削減
(目標:3,000万円/年)
1年目:55%→5年目:60%
・生ごみの処理負担が軽減され、
本市の廃棄物処分コストが削減
された。
・原油価格の高騰が続いており、
運営経費の削減率は低い。
・余剰熱、余剰電力の活用(再掲)
④農林漁業者等
の廃棄物処理
負担の軽減
・畜産農家の糞尿処理コストの
軽減が図られた(聞き取り調
査より)。
・畜産支援策として、糞尿の買い
取り等が検討できないか?
新産業の
創出、既
存産業の
活性化
⑤バイオマス関
連産業・雇用
等の創出
・メタン発酵施設において5名
雇用した(全員市内在住者)。
・将来的には民間事業者に施設管
理を委託したい。
農林漁業
の振興
⑥農畜産物のブ
ランド化
・計画では想定していない。
・消化液を液肥利用しているが、
進まないのが現状
・たい肥利用と合わせてバイオマ
ス農産物への消化液利用を推進
したい。
⑦バイオマス関
連製品の地域
内利用の拡大
・計画では想定していない。
・上記の取り組みにより、農産物
のブランド化を目指す。
50
表4.1 メタン発酵プロジェクトの整理例(2/2)
効果 進捗管理結果
及び 効果の発現状況
考察
(プロジェクト担当者が記入)
住民等の
環境意識
の向上
⑧住民参加の促
進
・生ごみ(目標1500t/年)
1年目:60%→5年目:70%
※A地区の回収率が低い
1年目:30%→5年目:32%
・分別回収に対する住民の協力が
得られつつある。
・A地区では分別回収が進まず対策
が必要
⑨環境学習の推
進
・地区内の5つの中学校の2年
生が毎年施設見学を実施
・分別回収の重要性や環境問題
への関心が高まった等の意
見が聞かれている。
・他の学校等でも実施したいが、
職員が不足。
視察者の
増加等
⑩視察者等の増
加
・毎年30人程度の視察者が来市 ・職員が対応に追われ本来業務に
支障が出ている。
⑪市町村の知名
度向上
・把握していない。
※平成○年○月○日に、報道番組
で本施設が紹介され、その後視
察者が増えた
・新幹線駅から近いため、ほとん
どの視察者が日帰りで帰ってし
まう。
悪臭・水
質汚染等
の軽減
⑫生活環境や自
然環境の保全
・糞尿の運搬時に、資源の荷こ
ぼれがあり、住民から一部苦
情が聞かれた。
・車両荷台へのシート装着の徹底、
運搬ルートの変更等、対応策を
早急に検討することが必要。
耕作放棄
地の減少
⑬耕作放棄地の
減少
・把握していない。 ・農産物のブランド化により、農
業の活性化が図られれば、耕作
放棄地は減少する可能性が考え
られる。
森林の保
全
⑭森林の保全 (該当なし) (該当なし)
⑮CO2固定量の
増加
(該当なし) (該当なし)
二酸化炭
素排出量
の削減
⑯二酸化炭素排
出量や化石資
源使用量の削
減
・二酸化炭素削減(目標30t/年)
1年目:70%→5年目:80%
・重油の使用量削減
(目標30kL/年)
1年目:70%→5年目:80%
・化石燃料使用量は明らかに減少
しており、その効果をPRする必
要がある。
⑰排出権取引に
よる収益
・排出権取引は行っていない。 ・国内排出量取引制度を活用し、
運営経費をさらに削減したい
が、具体的な手続きが不明。
その他 ⑱災害時のエネ
ルギー・食料
の確保
・災害時用のエネルギー確保は
行っていない。
・メタンガスの一部をボンベに充
てんし、非常用燃料として活用
する研究を進めたい。
⑲研究開発の推
進
・研究開発は特に行っていな
い。
51
表4.2 木質ペレット利用プロジェクトの整理例(1/2)
効果 効果項目 進捗管理結果
及び 効果の発現状況
考察
(プロジェクト担当者が記入)
地域資源
の有効活
用
①バイオマスの
利用率等の向
上
◇受入量の目標達成状況
・製材所廃材(目標100t/年)
1年目:70%→5年目:95%
・林地残材(目標20t/年)
1年目:10%→5年目:30%
◇ペレット製造量
(目標120t/年)
1年目:72%→5年目:90%
・製材所廃材は比較的多くの業者
の協力を得られ目標を達成しつ
つある。
・林地残材の利用は進んでいない。
林業の不振が解消できていな
い。
②バイオマス活
用によるたい
肥やエネルギ
ー等の自給率
( 地 産 地 消
率)の向上
◇暖房の必要熱量
(目標:5%)
1年目:1%→5年目:4%
・公共施設を中心とした利用のた
め、市町村全域における自給率
はわずかであるが、今後一般住
宅等への導入や他市町村への供
給により、自給率の向上を図り
たい。
廃棄物処
理負担の
軽減
③廃棄物処理負
担の軽減
◇廃棄物処理量の削減
(目標100t/年)
1年目:70%→5年目:95%
・製材所廃材の多くは、従来から
有効利用されていたため、大き
な負担軽減にはつながっていな
い。
④農林漁業者等
の廃棄物処理
負担の軽減
(該当なし) (該当なし)
新産業の
創出、既
存産業の
活性化
⑤バイオマス関
連産業・雇用
等の創出
・市内のペレットストーブメー
カーの売上が向上。
・林業従事者を増やし、林地残材
の活用を進める必要がある
・森林から木材を安価に安定的に
搬出する仕組みが必要
農林漁業
の振興
⑥農畜産物のブ
ランド化
・計画では想定していない。
・燃焼灰を利用したいという農家
がいる。灰の成分分析を行い、
試験的に実施する予定
⑦バイオマス関
連製品の地域
内利用の拡大
・計画では想定していない。
・林業振興のため、公共施設等に
本市産木材を利用してはどうか
住民等の
環境意識
の向上
⑧住民参加の促
進
・計画では想定していない。
・市民から自宅にペレットスト
ーブを導入したいとの問い
合わせがあった
⑨環境学習の推
進
・公共施設にペレットストーブ
の導入を推進
(目標:5年目までに15台)
1年目:2台→5年目:20台
・ほとんどの公共施設に1台以上の
ペレットストーブが導入され
た。
52
表4.2 木質ペレット利用プロジェクトの整理例(2/2)
効果 効果項目 進捗管理結果
及び 効果の発現状況
考察
(プロジェクト担当者が記入)
視察者の
増加等
⑩視察者等の増
加
・視察者はなし。
⑪市町村の知名
度向上
・把握していない。
悪臭・水
質汚染等
の軽減
⑫生活環境や自
然環境の保全
(該当なし) (該当なし)
耕作放棄
地の減少
⑬耕作放棄地の
減少
(該当なし) (該当なし)
森林の保
全 ⑭森林の保全
・森林保全面積(目標5ha/年)
1年目:20%→5年目:25%
※3年目には台風により損壊し
た林道が多く、補修に時間と
コストを要している。
・林業振興対策が必要
⑮CO2固定量の
増加
・保全対象林の面積が少なく
ほとんど固定されていない。
二酸化炭
素排出量
の削減
⑯二酸化炭素排
出量や化石資
源使用量の削
減
・二酸化炭素削減(目標30t/年)
1年目:70%→5年目:80%
・重油の使用量削減
(目標30kL/年)
1年目:70%→5年目:80%
・化石燃料使用量は明らかに減少
しており、その効果をPRする必
要がある。
⑰排出権取引に
よる収益
・排出権取引は行っていない。
その他 ⑱災害時のエネ
ルギー・食料
の確保
・ペレットの一部を災害用とし
て常時ストックしている。
・停電時にも利用可能なペレット
ストーブの導入が必要
⑲研究開発の推
進
・研究開発は特に行っていな
い。
53
4-2-2 地域の課題等の整理
◇バイオマス活用は、地域住民の生活や市町村内の事業者、行政等の多くの関係者の参加が必要
です。このため、市町村が抱える様々な課題とも関連します。
◇また、災害や原油価格の高騰等、社会情勢もバイオマス活用には影響します。
◇「市町村バイオマス活用推進計画」の見直しを検討する際には、このような地域の課題や社会
情勢の変化にも対応しなければなりません。そこで、市町村内の関係部署と連携し、各種課題
等を整理しておくことが必要です。
バイオマス活用に関連する地域の課題や社会情勢の変化等を整理します。
54
4-2-3 評価・分析
(1)SWOT 分析
◇前述したプロジェクトごとの調査結果の一覧表、地域の課題等を踏まえ、SWOT分析を実施し、
市町村におけるバイオマス活用に関連する強み、弱み、機会、脅威を明らかにします。
表4.3 SWOT分析の例
(市町村内)
内部要因
強み(strengths)
◇豊富なバイオマス資源
◇バイオマス活用施設が整備済み
◇視察者が増加している
◇環境問題に関心のある市民の増加
◇良質な農産物が収穫できる風土
弱み(weakness)
◇バイオマス資源が広範囲に存在
◇副産物の処理に費用を要している
◇職員のバイオマスに関する知見が不足
◇農林水産業の担い手の高齢化と減少
◇森林の荒廃、耕作放棄地の増加
◇厳しい市の財政事情
(市町村外)
外部要因
機会(opportunities)
◇安全安心な農産物への関心の高まり
◇全国的な就農希望者の増加
◇再生可能エネルギーへの注目
◇国の固定価格買い取り制度の導入
脅威(threats)
◇原油価格の高騰
◇環境規制の強化
◇豪雨災害による大量の廃棄物の発生
◇大震災への備え
◇SWOT分析の概要は以下の通りです。
個々の「バイオマス活用プロジェクト」の進捗状況と効果発現状況、地域の課題等
を整理した結果を用いて、目標を達成することにとって重要な内部要因(強み・弱み)
と外部要因(機会・脅威)を整理するSWOT分析と、その結果に基づき、強み・弱
み・機会・脅威をクロスさせ、様々な戦略を検討するクロスSWOT分析を行います。
【SWOT分析】
■SWOTとは、強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会
(Opportunity)、脅威(Threat)の頭文字を取ったもので
す。主体的に解決できるSとWに対し、OとTは周囲環
境として受け入れざるを得ない要素です。
■SWOT分析は、外部環境(機会・脅威)の変化に対応し、
自らの内部要因(強み・弱み)を分析しながら、自らの地
域の成長と発展のために自らのミッション(使命)・ビジ
ョン(将来像)・戦略課題を導く方法論で、新たな戦略構
築に用いるマーケティング分析手法です。
【SWOT分析の概念表】
内部要因
・人・組織 ・地域資源
・情報、ノウハウ等
S 強み
W 弱み
外部要因
・法律、制度 ・消費者ニーズ 等
O 機会
T 脅威
55
(2)クロス SWOT 分析
◇次にクロスSWOT分析を実施し、市町村におけるバイオマス活用に関する戦略を検討します。
表4.4 クロスSWOT分析の例
内部環境(経済性、ノウハウ、人・組織等)
強み(strengths)
◇豊富なバイオマス資源
◇バイオマス活用施設が整備済み
◇環境問題に関心のある市民の増加
◇良質な農産物が収穫できる風土
弱み(weakness)
◇バイオマス資源が広範囲に存在
◇市職員のバイオマスに関する専門知
識の不足
◇副産物の処理に費用を要している
◇農林水産業の担い手の高齢化と減少
◇森林の荒廃、耕作放棄地の増加
◇厳しい市の財政事情
外部環境(
社会経済環境、地域住民意向等)
機会(opportunities)
◇安全安心な農産物への関心の
高まり
◇全国的な就農希望者の増加
◇再生可能エネルギーへの注目
◇国の固定価格買い取り制度の
導入
■強みを活かし、
強化し伸ばす戦略
◆バイオマス関連製品を活用した農
畜産物の品質向上、ブランド化
◆農林業振興施策の担い手の育成
◆普及啓発の実施
◆余剰電力の売電や環境価値の販
売による経費節減
■弱みを克服し、
補強し伸ばす戦略
◆地域住民等の協力を得て、安価に
効率よくバイオマス資源の収集拡大
を図る仕組みの構築
◆副産物の農業利用策の検討
◆普及啓発の実施(再掲)
◆地域産木材の利用機会の拡大
◆視察者の受け入れと観光振興
脅威(threats)
◇原油価格の高騰
◇環境規制の強化
◇豪雨災害の頻発による大量の
廃棄物の発生
◇大震災への備え
■強みを活かし、
脅威を回避する戦略
◆余剰電力の売電や環境価値の販
売による経費節減(再掲)
◆地域住民の協力の下、廃食用油の
バイオ燃料化プロジェクトの開始
◆災害時にも対応できるバイオマス活
用システムの構築
■脅威を避け、
徐々に撤退する戦略
◆バイオマス活用規模の見直しやプロ
ジェクトの中止
56
◇クロスSWOT分析の概要は以下の通りです。
■分析上の留意点
◇SWOT分析、クロスSWOT分析は、例に示したように課題や現状等を箇条書きで抽出・分類し、そ
の中から戦略を導き出すものです。特別な専門知識は不要ですが、現状をよく理解することが
重要です。このため、分析作業は、一人で行うよりも複数の関係者が意見やアイデアを出し合
いながら進めていくことでよりよい結果が得られると考えます。
【クロスSWOT分析】
■SWOT分析で得られた、組織外部環境の機会、脅威と、その組織が内部に持つ強み、弱みの4つ
の要因を組み合わせて、状況を分析し戦略立案を行う方法です。
■下表にオレンジ部分がSWOT分析の結果です。これらの結果のクロスする部分を、「強みを機会に生
かす(強み×機会=積極的戦略)」、「弱みにより事業機会を逃さない(弱み×機会=段階的施策)」、
「強みで脅威を回避するまたは事業機会を創出する(強み×脅威=差別化戦略)」、「弱みと脅威
の鉢合わせによる環境悪化を防ぐ(弱み×脅威=防衛対策)」、といった課題(戦略)として捉える
ことで、問題と課題(戦略)の関連性を明らかにするものです。
内部環境(経済性、ノウハウ、人・組織等)
S 強み W 弱み
(
社会経済環境、地域住民意向等)
外部環境
O
機会
■積極的戦略(強み×機会)
強みを活かして、強化し伸
ばす戦略
■段階的戦略(弱み×機会)
弱みを克服して、補強し伸
ばす戦略
T
脅威
■差別化戦略(強み×脅威)
強みを活かし、脅威を回避
する戦略
■防衛対策(弱み×脅威)
脅威を避け、徐々に撤退す
る戦略
【参考事例:バイオマスタウ
Q:バイオマスタウン構想が計
◇バイオマスタウン構想の取
決が必要」が も多く、次
◇「予定より大幅に遅れてい
用に関する方針が定まって
図4.2 バイオ
出典:平成20年度バイオマス資
※平成20年11月28日までにバイ
状についてのアンケート調査
資源収集、副産物処理等の課題
採算性が確
施設の整備や運営に要する資金が確
地域住民、民間企業との合意形成
行政内部の合意形成
市町村合併の影響により方針が定ま
行政内部における担当部局化が明確
57
ウンへのアンケート調査結果(平成20年度)】
計画よりも遅れている理由
取組が遅れている理由は、「資源収集、副産物処
次いで「採算性が確保できない」となっています
いる」市町村では、「市町村合併の影響によりバ
ていない」も多くなっています。
オマスタウン構想が遅れている理由(複数回答)
資源活用促進事業報告書より
イオマスタウン構想が公表された159市町村を対象に、バイオ
査を実施し、149市町村(94%)から有効回答を得ている。
0% 20% 40%
題解決が必要
確保できない
確保できない
成が図れない
成が図れない
まっていない
確化されてい…
その他
47%
41%
38%
19%
13%
1%
8%
12%
8%
10%
3%
1%
7%
6%
予定より遅れてい
予定より大幅に遅
理等の課題解
す。
イオマス利活
(n=86)
オマスタウンの現
60%
10%
いる
遅れている
58
4-2-4 「市町村バイオマス活用推進計画」の見直しへ
◇クロスSWOT分析で示した戦略は、下表のように「市町村バイオマス活用推進計画」の見直しに
より対応する戦略、関連施策により支援する戦略に分類されます。
◇各戦略について、市町村の関連計画、予算、人員等を勘案し、優先順位を付けた上で実施の可
否を検討します。
表4.5 「市町村バイオマス活用推進計画」の見直し等の検討例
対策 戦略 優先順位 採用
「市町村バイオマス活用推進計画」の見直し
「バイオマス活用
プロジェクト」の
見直し
◆余剰電力の売電や環境価値の販売によ
る経費節減の検討 高 ○
◆バイオマス活用規模の見直しやプロジ
ェクトの中止 低
新たな「バイオマ
ス活用プロジェク
ト」の構築
◆バイオマス関連製品を活用した農畜産
物の品質向上、ブランド化 高 ○
◆地域住民等の協力を得て、安価に効率
よくバイオマス資源の収集拡大を図る
仕組みの構築
高
◆普及啓発の実施 高 ○
◆視察者の受け入れと観光振興 中
◆副産物の農業利用策の検討 高 ○
◆地域住民の協力の下、廃食用油のバイ
オ燃料化プロジェクトの開始 中
◆災害時にも対応できるバイオマス活用
システムの構築 低
関連施策による支援 ◆農林業振興施策の担い手の育成 高
◆地域産木材の利用機会の拡大 高 ○
クロスSWOT分析の結果を基に、「市町村バイオマス活用推進計画」の見直しや関
連施策の実施・強化等の対策を検討します。
59
4-3 その他の調査結果の活用(地域への情報発信)
◇市町村の計画や事業として「市町村バイオマス活用推進計画」を進めるからには、進捗状況や
計画を進めた結果を地域に報告する必要があります。
◇ここでは、主に市町村が広報やインターネットを通じて、地域住民にバイオマスの取り組み状
況を報告した事例を紹介します。
【参考事例①:バイオマスの取り組みに対する受賞の報告】
◇バイオマス活用の先進地である岩手県葛巻町では、平成18年度にバイオマス利活用優良表
彰で農林水産大臣賞を受賞しており、その結果を町民に報告しています。
出典:広報くずまき(平成19年2月1日)
バイオマス活用の取り組みの状況、進捗管理結果、把握した効果については、わ
かりやすく整理し、地域に報告することが重要です。ここでは、その事例を紹介し
ます。
60
【参考事例②:バイオマス施設の稼働状況の報告】
◇埼玉県秩父市では、木質バイオマス発電所が順調に稼働していることを市のホームページ
で市民に報告しています。
出典:秩父市ホームページ
61
【参考事例③:バイオマスに関する活動全般の報告】
◇木質バイオマスをはじめとする多くのバイオマス活用を行っている岡山県真庭市では、市
のバイオマスの取り組みや活動報告を専用のサイトで報告・PRしています。
出典:バイオマスタウン真庭(真庭市ホームページ)
62
【参考事例④:バイオマスに関する普及啓発のPR】
◇新潟県胎内市では、バイオマスについて市民の理解を深めるための講演会を企画し、その
案内をバイオマスの概要とともに広報で紹介しています。
上:バイオマスの概要
右:講演会案内
出典:市報たいない2007年3月1日