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インドネシアの石炭事情と 新鉱業法改正・オムニバス法制定下 における石炭事業者の動向 2021年2月 石炭開発部 佐藤 第3回石炭ブリーフィング

第3回石炭ブリーフィングcoal.jogmec.go.jp/content/300370682.pdfインドネシアの石炭事情と 新鉱業法改正・オムニバス法制定下 における石炭事業者の動向

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  • インドネシアの石炭事情と新鉱業法改正・オムニバス法制定下における石炭事業者の動向

    2021年2月石炭開発部 佐藤 譲

    第3回石炭ブリーフィング

  • 免責事項

    本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)が

    信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、

    機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を

    保証するものではありません。

    また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたもので

    あり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的と

    したものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して

    行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、

    本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用で

    ある旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。

    1

  • 1. インドネシアの石炭資源量・埋蔵量

    2. インドネシアのエネルギー生産・消費動向

    3. インドネシアの石炭生産・輸出動向

    4. インドネシアの石炭国内需要・国内供給義務

    5. 改正新鉱業法

    6. オムニバス法(雇用創出法)

    7. 国内船舶利用義務規制

    8. 本日のまとめ

    本日の報告事項

    2

  • 1.インドネシアの石炭資源量・埋蔵量

    出所:BP Statistical Review of World Energy 2020

    ランク kcal/kg (ADB) 仮想 予測 概測 精測 計 推定 確定 計

    Low < 5,100 418.03 17,721.30 17,057.80 18,471.78 53,668.92 7,521.13 6,942.88 14,464.01

    Midium 5,100 - 6,100 3,288.04 20,721.84 26,272.17 29,617.80 79,899.84 8,247.94 12,094.96 20,342.90

    High 6,100 - 7,100 598.08 5,865.63 2,988.46 3,508.33 12,960.51 1,070.89 1,305.02 2,375.91

    Very High > 7,100 2.06 891.73 931.26 655.27 2,480.32 227.08 194.76 421.84

    4,306.21 45,200.51 47,249.69 52,253.17 149,009.59 17,067.04 20,537.62 37,604.66

    炭 質 資源量(百万トン) 埋蔵量(百万トン)

    インドネシアの品位別石炭資源量・埋蔵量(2019年末時点)

    出典:エネルギー鉱物資源省資料

    国別石炭埋蔵量の比較(2019年) 中発熱量(6,100 kcal/kg)以下の石炭賦存量が圧倒的に

    多く、資源量で見ると、およそ9割を占める。

    6,582

    6,596

    7,514

    7,575

    9,893

    11,525

    25,605

    26,932

    34,375

    35,900

    39,891

    105,931

    141,595

    149,079

    162,166

    249,537

    0 100,000 200,000 300,000

    Canada

    Brazil

    Serbia

    New Zealand

    South Africa

    Turkey

    Kazakhstan

    Poland

    Ukraine

    Germany

    Indonesia

    India

    China

    Australia

    Russia

    US

    単位:百万トン

    世界の総石炭埋蔵

    量:1兆696億

    3,600万トン

    インドネシアの石

    炭埋蔵量は世界の

    総埋蔵量の3.7%を

    占める。

    ※発熱量に基づく石炭品位区分は大統領令2000年13号、政令2003年第45号に基づく 3

  • 2.インドネシアのエネルギー生産・消費動向

    出所:インドネシア エネルギー鉱物資源省“Handbook of Energy & Economic Statistic of Indonesia 2019”

    一次エネルギー消費量は石炭、天然ガスともに大幅増加

    石炭消費は発電用が圧倒的シェアであったが、近年産業需要が増加。

    (2019年は石炭国内消費の約70%が発電用)

    出所:インドネシア エネルギー鉱物資源省”Handbook of Energy & Economic Statistic of Indonesia 2019”

    37 34 45 53

    62 63 70 75 83

    91 99

    10

    23

    138

    0

    20

    40

    60

    80

    100

    120

    140

    単位

    :百万

    トン

    電力 鉄鋼 セメント・繊維・肥料 紙パルプ その他

    インドネシアの産業別石炭消費量

    38 79

    63

    74 36

    39

    219

    0

    50

    100

    150

    200

    250

    単位

    :百万

    toe

    インドネシアの一次エネルギー消費量

    石炭 石油 天然ガス 水力 地熱 バイオマス等

    4

  • 2.インドネシアのエネルギー生産・消費動向

    出所:インドネシア エネルギー鉱物資源省”Handbook of Energy & Economic Statistic of Indonesia 2019”

    2019年から2028年の石炭火力による発電量は年平均4.9%の割合で増加すると予測。

    政府は、当面、石炭・ガスともに発電能力の拡大を志向するが、環境問題や土地収用に関わる住民の反対、行政の認可手続き遅延など懸念材料も多く、計画通りに進むかは不透明⇒継続的な探査による資源量の確保、坑内掘り技術の導入、内陸部の石炭輸送インフラの整備等が必要

    出所:“2019-2028 Electricity Supply Business Plan”(Rencana Umum Penyediaan Tenaga Listrik – RUPTL)

    5

  • 3.インドネシアの石炭生産・輸出動向

    インドネシアは世界第4位の石炭生産国であり、豪州と並ぶ

    世界最大の石炭輸出国

    インドネシアの2019年の石炭生産量は2015年比で35%増の

    6.16億トン。また、2019年の亜瀝青炭の生産量は5.19億ト

    ンと石炭生産量の84%を占める。

    出所: IEA Coal Information 2020

    168 137 91

    155 316

    519

    79 94 102 117 144

    171 233 249 249

    291 325

    405 451

    492 491 455 463

    495 548

    616

    0

    100

    200

    300

    400

    500

    600

    700

    2000 2002 2004 2006 2008 2010 2012 2014 2016 2018

    インドネシアの石炭生産量の推移

    無煙炭 原料炭 その他瀝青炭 亜瀝青炭単位:百万トン

    出所: IEA Coal Information 2020

    680

    105

    112

    131

    254

    418

    503

    616

    639

    763

    3,470

    0 1,000 2,000 3,000 4,000

    Other

    Kazakhstan

    Poland

    Germany

    South Africa

    Russia

    Australia

    Indonesia

    US

    India

    China

    単位:百万トン

    国別石炭生産量(2019年実績)

    世界の総石炭生産量

    :76.91億トン

    インドネシアの石炭

    生産量は世界の全生

    産量の8%を占める。

    6

  • 3.インドネシアの石炭生産・輸出動向

    174

    73

    207

    299

    43 84

    58

    424 459

    0

    100

    200

    300

    400

    500

    単位

    :百

    万ト

    インドネシアの炭種別石炭輸出量の推移

    無煙炭 瀝青炭(原料炭含む) 亜瀝青炭 褐炭

    石炭国際市況低迷により、生産、輸出は2014~15年

    にかけ減少したが、2016年以降、再度増加。2019年

    の石炭輸出量は4.59億トンと石炭生産量の74.5%を

    占める。

    出所:インドネシア貿易統計

    2020年1月~10月までの石炭輸出量は前年同期比

    ▲14.2%減少の3.29億トン。うち、亜瀝青炭と褐

    炭の合計は前年同期比▲20.6%減少の2.71億トン

    と低品位炭の輸出が大きく減少。

    出所:インドネシア貿易統計

    6 5

    25 23

    7 4

    38 32

    05

    1015202530354045

    2017

    年1

    2017

    年4

    2017

    年7

    2017

    年10

    2018

    年1

    2018

    年4

    2018

    年7

    2018

    年10

    2019

    年1

    2019

    年4

    2019

    年7

    2019

    年10

    2020

    年1

    2020

    年4

    2020

    年7

    2020

    年10

    単位

    :百

    万ト

    インドネシア炭種別石炭輸出量

    無煙炭 瀝青炭(原料炭含む) 亜瀝青炭 褐炭

    7

  • 3.インドネシアの石炭生産・輸出動向

    中国・インド向けともに2000年代後半

    から急増、亜瀝青炭及び褐炭が大きな

    比率を占める。

    韓国向け輸出は低品位炭にシフト

    東南アジア向けも低品位炭を中心に輸

    出量を伸ばしている。出所:インドネシア貿易統計

    57 67 73 89 106

    129

    184 196 201 235

    299

    353 384

    424 408 367 370

    390 429

    459

    0

    200

    400

    600

    単位

    :百万

    トン

    国別石炭輸出量

    中国 インド 韓国 日本 マレーシア フィリピン 台湾 その他

    54 63 70

    85 90 107

    138 146 135 157

    179 172 162 174 148 137 129 108

    79 73

    0

    50

    100

    150

    200

    単位

    :百

    万ト

    瀝青炭の国別輸出量(原料炭を含む)

    日本 インド 中国 韓国 マレーシア 台湾 フィリピン タイ その他

    2 3 3 4 15 22 45 49 65

    78 119

    181 222

    250 260 230 241 281

    349 383

    0

    100

    200

    300

    400

    単位

    :百万

    トン

    亜瀝青炭+褐炭の国別輸出量

    中国 インド 韓国 フィリピン

    マレーシア タイ 台湾 日本

    香港 ベトナム スペイン その他

    8出所:インドネシア貿易統計

  • 3.インドネシアの石炭生産・輸出動向

    出典:エネルギー鉱物資源省資料

    エネルギー鉱物資源省の見通しでは、石炭生産量・輸出量ともに、2030年をピークに減少すると予測。

    一方、国内販売量は2020年の1億5,500万トンから2050年には3億1,700万トンに年平均2.4%の割合で

    増加すると予測。

    0

    200

    400

    600

    800

    2020

    2021

    2022

    2023

    2024

    2025

    2026

    2027

    2028

    2029

    2030

    2031

    2032

    2033

    2034

    2035

    2036

    2037

    2038

    2039

    2040

    2041

    2042

    2043

    2044

    2045

    2046

    2047

    2048

    2049

    2050

    単位:百万トン 輸出量 国内販売量 生産量

    2050年までの石炭生産・輸出・国内販売予測

    2020 2021 2022 2023 2024 2025 2026 2027 2028 2029 2030 2031 2032 2033 2034 2035 2036 2037 2038 2039 2040 2041 2042 2043 2044 2045 2046 2047 2048 2049 2050

    輸出量 441 441 441 441 441 443 445 447 449 451 453 444 435 426 417 408 399 390 381 371 362 353 344 335 326 317 308 299 290 281 272

    国内販売量 155 168 177 184 187 188 196 208 218 219 220 224 228 232 237 241 245 250 255 259 264 269 274 279 284 289 295 300 305 311 317

    生産量 596 609 618 625 628 631 641 655 667 670 673 668 663 658 653 649 644 640 635 631 626 622 618 614 610 606 603 599 595 592 589

    9

  • 4.インドネシアの石炭国内需要・国内供給義務

    国内の発電所に供給される石炭販売価格はFOBベースで1トン当たり最大70USDに設定。石炭

    指標価格(HBA)が70USD/トンを下回った場合、国内発電所向け石炭価格にHBAが適用される。

    2020年12月のHBA価格は同年1月比9.5%減少の59.65USD/トン。HBAの下落により、石炭

    会社の経営の圧迫が懸念される中、中国市場の回復等により、2021年1月はHBA価格が急上昇。

    出所:エネルギー鉱物資源省

    注:HBA :Indonesia Coal Index (ICI), Newcastle Export Index (NEX), Globalcoal Newcastle Index (GCNC), Platt 5900の指標を基に算出

    65.9359.65

    75.84

    0

    20

    40

    60

    80

    100

    120

    140

    2010年

    1月

    2010年

    7月

    2011年

    1月

    2011年

    7月

    2012年

    1月

    2012年

    7月

    2013年

    1月

    2013年

    7月

    2014年

    1月

    2014年

    7月

    2015年

    1月

    2015年

    7月

    2016年

    1月

    2016年

    7月

    2017年

    1月

    2017年

    7月

    2018年

    1月

    2018年

    7月

    2019年

    1月

    2019年

    7月

    2020年

    1月

    2020年

    7月

    2021年

    1月

    インドネシア:石炭指標価格 (HBA)発熱量6,322kcal/kg GAR,全水分=8%,全硫黄=0.8%,灰分=15%

    USD/トン

    10

  • 4.インドネシアの石炭国内需要・国内供給義務

    コロナ禍後の国内石炭需要見通し(2020年7月時点)

    PLTUの石炭需要が減少。一方、冶金・精錬産業、

    製紙業界などにおける石炭需要の増加。窯業、ク

    ロール・アルカリ業界などからの石炭需要の追加

    出典:エネルギー鉱物資源省資料

    最終ユーザーコロナ禍前の

    2020年計画数量コロナ禍後の

    2020年計画数量

    PLTU PT PLN Group(電力)

    108,926,112 87,593,112

    冶金・精錬等 16,522,511 23,985,943

    肥料産業 1,733,110 1,437,001

    セメント産業 14,545,630 15,396,083

    織物産業 6,543,547 6,543,547

    製紙業 6,644,677 9,500,000

    練炭産業 10,530 3,600

    窯業 0 206,000

    石油化学産業 0 7,000

    アルカリ塩素産業 0 948,000

    その他 73,889 0

    合計 155,000,006 145,620,286

    注:PT PLN Group = PT PLN(国営電力会社)のPLTU(火力発電所)群を指す。

    国内石炭需要計画(コロナ禍前後の対比)

    2020 2021 2022 2023 2024

    PLN(電力) 109.00 121.00 129.00 135.00 137.00

    冶金・精錬等 16.52 16.72 16.63 16.66 16.73

    肥料 1.73 1.73 1.73 1.73 1.73

    セメント 14.54 15.02 15.49 15.99 16.65

    繊維 6.54 6.54 6.54 6.54 6.54

    製紙 6.64 7.11 7.61 8.14 8.71

    合計 155.00 168.13 177.02 184.08 187.38

    国内石炭市場のポテンシャル(コロナ禍以前の見通し)

    出典:エネルギー鉱物資源省資料単位:千トン 11

  • 4.インドネシアの石炭国内需要・国内供給義務

    76 86 91

    97

    115

    138

    計画値146

    (変更前:155)

    0

    50

    100

    150

    200

    2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020

    DMO実績の推移

    Targ

    et

    出典:エネルギー鉱物資源省資料

    国内供給義務(DMO):国内の炭鉱会社に年間石炭生産量の少なくとも25%を発電やその他の産業を含めた

    国内市場への割り当ての義務化。

    2020年の石炭生産量は5.58億トンとなり、同年の生産目標(5.5億トン)を上回る。一方、DMOは国内需

    要の停滞により、変更後計画値(1.46億トン)よりも更に低い1.32億トンに留る。

    単位:百万トン

    86 91 97 115 138 132

    375 365 364

    442 478

    426

    461 456 461

    557 616

    558

    0

    100

    200

    300

    400

    500

    600

    700

    2015 2016 2017 2018 2019 2020

    輸出向け数量

    DMO実績

    2020年実績生産量:5.58億トンDMO:1.32億トン

    石炭生産・DMO実績の推移

    出典:エネルギー鉱物資源省資料 12

    単位:百万トン

  • 5.改正新鉱業法

    【インドネシア鉱物石炭法2020年3号「改正新鉱業法」制定に至る背景】

    鉱物石炭法2009年4号は、石炭採掘事業者の操業期間延長に関する申請を政府が却下できるなど、長期的な視

    点で操業計画の策定・実行する事業者の実態に対応できていなかった。そこで、石炭採掘事業者に法的確実性を

    与え、石炭採掘事業の継続を保証し、国家歳入の増加等、インドネシアの国益を最大化させるため「鉱物石炭法

    2020年3号」の法案が2020年5月に国会で可決。

    【「改正新鉱業法」に関わる主なポイント】

    (1)鉱業事業許可の契約ベースからライセンスベースへの切り替えと操業期間の延長を保障。

    ・具体的には、炭鉱労働契約CCoW(若しくはPKP2B)の特別鉱業事業許可(IUPK)への切り替えが保障され

    る。(第169A条)また、IUP(鉱業許可)・IUPK保有事業者の操業期間は最長20年間付与し、要件を充足する

    限り1回10年間で2回の延長を保証。

    改正前:最長20年間の付与及び1回10年間で2回の延長が“可能”⇒IUP保有事業者が自らの適正採掘を証明でき

    ない場合、政府はその事業者からの操業期間延長申請の却下が可能であった。

    更に下流の施設も開発したIUP・IUPK事業者の場合は最長30年間の操業期間を付与及び1回10年間で無制限の

    更新が保証される。(第36条(1)項b、第47条、第83条)

    13

  • 5.改正新鉱業法

    PKP2Bは、第一世代(9社)、第二世代(11社)、第三世代(48社)の計68社に付与

    生産規模の大きいPKP2B事業者をIUPKとして操業の継続を保証。国家歳入の増加を図る。

    注:PT PLN Grup = PT PLN(国営電力会社)のPLTU(火力発電所)群を指す。出典:エネルギー鉱物資源省出典:Indonesian Coal Book 2020/2021

    188 210 230 258 270

    301 308 296 289 302 321 360

    48 48 45

    96 137

    120 151 166 168 159

    236 256

    235 258 275

    353

    408 421 458 462 456 461

    558

    616

    0

    200

    400

    600

    800

    2008 2010 2012 2014 2016 2018単位:百万トン

    PKP2B及びIUPの石炭生産量の推移

    PKP2B 合計(PTBAを含む) IUP 合計

    ※Kalsel:South Kalimantan Kaltim:East Kalimantan

    (*1)

    (*1) 内訳:生産段階:60社、探査段階:7社、閉山した炭鉱会社:1社

    第1世代のPKP2B事業者 PKP2B有効期限

    企業名 酒州ステージ

    面積 (ha) 開始 終了

    1PT AdaroIndonesia

    Kalsel 操業中 35,801 19-Oct-1992 18-Oct-2022

    2PT ArutminIndonesia

    Kalsel 操業中 57,107 02-Nov-1990 01-Nov-2020

    3 PT Berau Coal Kaltim 操業中 118,400 27-Apr-1995 26-Apr-2025

    4PT lndomincoMandiri

    Kaltim 操業中 24,121 05-Oct-2000 31-Mar-2028

    5PT Kaltim Prima Coal

    Kaltim 操業中 90,938 01-Jan-1991 31-Dec-2021

    6PT Kendilo Coal Indonesia

    Kaltim 操業中 1,869 16-Sep-1989 15-Sep-2019

    7PT Kideco Jaya Agung

    Kaltim 操業中 50,921 14-Mar-1993 13-Mar-2023

    8PT Multi HarapanUtama

    Kaltim 操業中 39,972 02-Apr-1992 01-Apr-2022

    9 PT Tanito Harum Kaltim 操業中 35,757 15-Jan-1989 14-Jan-2019

    14

  • 5.改正新鉱業法

    IUP保有事業数は1,092社。 大部分がカリマンタン島とスマトラ島に位置。

    インドネシアの地域別IUP保有事業者数

    出典:Indonesian Coal Book 2020/2021

    スマトラ島

    マレーシア

    ジャワ島

    カリマンタン島

    スラウエシ島

    ニューギニア島

    出典:CIA Website

    インドネシア行政区分図

    スマトラ島

    アチェ特別州 8 0.7%

    北スマトラ州 1 0.1%

    リアウ州 24 2.2%

    西スマトラ州 38 3.5%

    べンクル州 25 2.3%

    ジャンビ州 98 9.0%

    南スマトラ州 133 12.2%

    327 29.9%

    ジャワ島 バンテン州 1 0.1%

    カリマンタン島

    西カリマンタン州 4 0.4%

    北カリマンタン州 27 2.5%

    東カリマンタン州 355 32.5%

    中部カリマンタン州 191 17.5%

    南カリマンタン州 177 16.2%

    754 69.0%

    スラウェシ島

    西スラウェシ州 3 0.3%

    南スラウェシ州 5 0.5%

    8 0.7%

    ニューギニア島 西パプア特別州 2 0.2%

    合計 1,092 100.0%

    (*1)

    (*1) 内訳:生産段階:1,082社(商業生産に至っていないものを含む)、探査段階:10社

    15

  • 5.改正新鉱業法

    (2)IUPやIUPKによる許可のもとで操業する法人について、外国企業が株式を保有する場合における

    株式保有規定が改定された。

    具体的には次の内容(第112条)

    ・株式を外国人が所有する生産活動段階のIUP又はIUPK保有事業者である企業は、中央政府、地方政府、地域所

    有企業及び/あるいは国内民間企業に加えて、国有企業に対し、段階的に51%の株式の売却を行う義務を負う。

    ・さらに、中央政府は、大臣を通じて州政府、県/市政府、国有企業/あるいは地域所有企業と

    共同で、株式売却のスキームと購入する株式の構成割合を調整することができる。

    (段階的な株式売却ができない場合、インドネシア証券取引所を通じて株式売却が行われる。)

    【今回の新鉱業法改正が、インドネシア企業と株式保有を共にする日本企業に与える影響】

    ・インドネシア企業がパートナーである日本企業側の株式保有割合が少ない場合、「改正新鉱業法関連の施行

    規則等が株式シェアに直接影響を及ぼす」というよりも、「IUPKへ切り替える際の経営方針の変更等が株式

    シェア等に何らかの影響を及ぼす可能性がある」という方が実態に近い。

    ・経営方針のみならず、今後のキャッシュフロー(埋蔵量・マインライフ)にも影響があるため、事業規模へ

    の影響や日本企業とのパートナーシップのあり方に注視が必要。但し、具体的な影響を明らかにするためには、

    今後1年以内に制定・改正される予定の施行規則も考慮する必要がある。16

  • 6.オムニバス法(雇用創出法)

    【インドネシア・オムニバス法(雇用創出法)「2020年第11号」制定に至る背景】

    石炭はインドネシアの最も重要な輸出鉱物であり、政府は石炭産業からの税収に大きく依存。一方で、国際的

    な石炭需要の低迷と石炭価格の下落により、国内の石炭事業者の経営は悪化している。

    そこで、政府は石炭事業者に対してロイヤルティー免除等のインセンティブを与え、石炭開発・利用を推進

    することにより、国内の石炭需要を維持し、継続的な税収増加を図ることを目的として、オムニバス法を制定。

    2020年11月にジョコ大統領が署名し、施行された。

    「オムニバス法(雇用創出法)に関わる主なポイント】

    (1)国内で石炭加工を行うことを条件として、石炭採掘事業者のロイヤルティーの免除が”できる”旨を規定。

    ・国内で石炭の付加価値活動(改正新鉱業法第102条2項に規定する活動)を高めたIUP、IUPK、及びPKP2Bか

    らの切り替えを行うIUPK事業者が石炭開発および/あるいは利用を伴う生産・操業段階にある場合、ロイヤル

    ティー比率を0%にすることが”できる”旨を規定。

    (雇用創出法第39条1項)

    17

  • 6.オムニバス法(雇用創出法)

    石炭の開発は(a)石炭の高品質化(石炭改質)、(b)石炭ブリケットの製造、(c)コークス製造、(d)石炭液化、

    (e)石炭ガス化(石炭地下ガス化を含む)、(f)石炭・水混合燃料。また、石炭利用は、坑口発電所の建設が

    含まれる。(改正新鉱業法第102条2項)

    ロイヤルティーの支払いを0%にできるという”できる規程”。石炭利用のみでもロイヤルティー免除の対象と

    なるかは、今後大臣令(大臣規則)で決めることになると推測される。

    (2)石炭開発および/あるいは利用の義務はPKP2Bから切り替えを行うIUPKにのみ適用

    ・PKP2Bから切り替えのIUPK事業者は、“法令の規定”に従って国内で石炭の開発および/あるいは利用活動を

    行わなければならないと規定。(義務)(改正新鉱業法169A条4項)

    ・他方、生産活動段階の石炭IUP・IUPK保有事業者は、石炭開発および/あるいは利用が”できる”と規定

    (裁量/選択制)(改正新鉱業法102条2項)

    発電用化石燃料の使用が環境問題となる中、エネルギー転換の現実を考えると、坑口発電所建設のみの場合、

    継続IUPKやロイヤルティー免除等のインセンティブの対象になるとは考えにくい。石炭採掘に加え、石炭

    開発・利用の両方を行っていく必要があると考えられる。

    18

  • 6.オムニバス法(雇用創出法)

    (3)付加価値税(VAT)の免除対象から石炭が除外。鉱脈から直接採集されるその他の鉱山物は非課税

    ・石炭事業者がVAT登録を行うことにより、付加価値関連の事業機会を政府により特定。施行規制等の実施状

    況を監視。

    ・下流施設を開発した石炭事業者からの税収のほか、操業許可が延長された場合、政府の継続的な増収へとつ

    ながる。

    【今回のオムニバス法制定が日本企業に与える影響】

    政府は増収を目的に、低品位炭の有効活用への取組を推進する一方、石炭の下流産業のインフ

    ラ開発には高額な投資や技術開発が必要であり、ロイヤルティー免除等のインセンティブはあ

    るものの、付加価値化義務の適用は困難だと推測できる。

    技術的支援・資金援助等による下流事業への日本企業参入の可能性が期待できる。一方、銀行

    等が石炭開発に係る融資を忌避する現状において、金融機関等の動向も引き続き注視する必要

    がある。19

  • 企業 下流事業の開発事例

    石炭化学プロジェクト

    コンソーシアム

    PT.Bukit Asam(PTBA)、

    PT.Pertamina、Air Product

    &Chemicals Inc (APD)

    ・PTBA、Pertamina(国営石油会社)及びAPD(米国・ガス会社)が共同でSumatra

    州Tanjung Enimで進める石炭・ジメチルエーテル製造計画が国家戦略プロジェクトと

    して採択。総投資金額:約21億USD。

    ・650万トン/年の石炭(GAR 3,700 kcal/kg)から140万トン/年のジメチルエーテルの

    生産を2024年に開始予定。

    PT.Arutmin Indonesia(PT.Bumi

    Resources の子会社)

    ・南Kalimantan州Pulau Laut島のバルク・ターミナルにて、石炭からメタノールを製

    造するF/Sの最終段階。

    ・年間600万トンの石炭(GAR3,700lcal/kg)から280万トンのメタノールの生産を

    2026年に開始予定。

    石炭地下ガス化(USG)プロジェクト

    PT.Medco Energi Mining 、

    Phoenix Energi、PT.Indominco、

    PT. Kideco Jaya Agung

    ・PT.Medco Energi Mining International及びPhoenix Energi(米国・再エネ事業会

    社)は北 Kalimantan州にて、PT.Indominco 及び PT.Kideco Jaya Agungは東

    Kalimantan州にて、USGのパイロット・プロジェクトを実施

    6.オムニバス法(雇用創出法)

    20

  • 企業 下流事業開発の事例

    コークス製造

    PT.Megah Energi

    Khatulistiwa

    (Harita GR 子会社)

    ・北Kalimantan州Bulunganにて年間100万トン(50万トン:GAR3,100

    kcal/kg+50万トン:GAR6,300kcal/kg)の石炭から60万トンのセミコークスと5万トン

    のコールタールを製造。・2026年と2028年に2基のコークス製造工場の追加建設を予

    定(生産能力はそれぞれ年間100万トン)。

    石炭の高品質化(石炭改質)

    PT.ZJG Resources

    Technology

    ・Kaltara州Bulunganにて年間10万トンの石炭ブリケットを製造。

    2024年、2026年、2028年に石炭改質施設の追加建設を予定(生産能力はそれぞれ年

    間150万トン)。

    石炭ブリケット製造

    PT.Bukit Asam ・南Sumatra州にて、年間3万~4万トンの石炭から1万~2万トンの石炭ブリケットを

    製造。2026年と2028年にブリケット製造工場の追加建設を予定 (生産能力はそれぞれ

    年間2万トン)。

    6.オムニバス法(雇用創出法)

    21

  • 7.国内船舶利用義務規制

    【インドネシア商業大臣規則2020年40号の制定に至る背景】

    商業大臣規則2017年82号においては、特定品目(石炭など)の輸出に関わる国内の船舶会社及び保険会社

    利用に関する法的根拠が明確でなかった。そこで、国内の船舶会社及び保険会社に確実な事業機会を与えるた

    め、従前の規則を撤回・無効化し「商業大臣規則2020年40号」を2020年5月1日に施行した。

    【「商業大臣規則2020年40号」の主なポイント】

    ➢ 石炭の輸出業者に対する国内船舶会社及び国内保険会社の利用義務の規定が明確化された。

    ・具体的には、石炭の輸出業者に対して、載貨重量トン数(DWT)が最大15,000トンの船舶を用いる場合、

    インドネシア船舶の利用義務が課せられた。(第3条1項)

    その後、修正規則の制定により「10,000DWTまでの船舶」へと規制が緩和された。(2020年7月15日施行)

    (旧規則:載貨重量に関する規定なし。)

    ※ただし、商業大臣規則2020年40号で規定する特定品目(石炭など)の輸出業者に対する国内保険会社の利

    用義務に関しては、商業大臣規則2017年82号の改正により、2019年6月より完全実施されている。

    22

  • 7.国内船舶利用義務規制

    ◆インドネシア国内船舶の現状

    インドネシア石炭協会(APBI)の報告によると、 国内貨物船(石炭運搬用)すべてを合わせた総載貨重量

    トン数はわずか3.5百万トン。一方、インドネシアから輸出される石炭の量は毎月30~40百万トンに達する。

    さらに、国内のばら積み貨物船109隻のうち78隻は建設から15年以上を経過しており、これらの船は経過

    年数に厳しい基準を設けている国では停泊できない。

    【商業大臣規則2020年40号の制定が、日本の石炭需要家に与える影響】

    日本の石炭需要家が使用する大半の船舶(スープラマックス:50,000DWT級、パナマックス:70,000DWT

    級)は規制対象外となるが、10,000DWT以下の小型船舶を利用する場合、実害があり得る。

    WTO協定及び日インドネシア経済連携協定との整合性に反する可能性。将来的に、インドネシアの船舶会

    社が力をつけてきた場合、載荷重量トン数の上限値の引き上げや海運価格の上昇、他種貨物へ規制が適用さ

    れる懸念が残る。

    今後の施行規則等の改正次第では、インドネシアからの石炭調達の断念及び他国に石炭調達を求める等、

    日本とインドネシア間の貿易にマイナスの影響を与える可能性もあり、引き続き、注視していく必要がある。

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  • 8.本日のまとめ

    インドネシアの石炭事業者の経営は、国際的な石炭需要の低迷と石炭価

    格の下落により悪化。エネルギー鉱物資源省は2021年から少なくとも

    2024年までの間、石炭輸出は年間4.4億トンで停滞すると予測。

    一方、国内では電力需要の増加を背景に、石炭の生産・消費は2019年

    から10年間は増加の見通し。

    新鉱業法の法改正とオムニバス法制定は、国内石炭産業の強化及び外国

    企業参入の可能性につながるが、労働問題や環境問題、金融機関の動向

    も同時に考慮する必要がある。

    石炭事業に関連する国内の事業者の利益を損なわないための法規制も、

    船舶・保険を始めとして、今後さらに整備されていくと考えられる。

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  • ご視聴ありがとうございました。

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