103
0-1 はじめに 第32回 免震構造設計セミナー in 東京 「 免震建築の基礎的設計から実践的設計、 ・・・されど免震建築 」 主催: CERA 建築構造設計 共催: (社)日本免震構造協会 協賛: 昭和電線ケーブルシステム㈱ 住友金属鉱山シポレックス㈱ ㈱免震テクノサービス ユニオンシステム㈱ 20198231 CERA DESIGN ご了承ください。 ■本セミナーはCPDの対象ではありません。 ■JSCA建築構造士の更新評価点対象では ありません。 ■掲示資料の写真、図は著作権の関係で配布資料 にはないものがあります。 ・携帯は、マナーモードにしてください。 ・非常階段位置をご確認ください。 ・昼食は各自負担お願いします。 会場での食事使用は可能です。 2 配布資料 説明用レジメ 日本免震構造協会 パンフレット 図書購入申込書 各協賛会社パンフレット 3 JSSI 図書購入申込書 1. 免震建築の基本がわかる本 2. 設計者のための免震・制振構造ハンドブック 3. 免震構造 -部材の基本から設計・施工までー 4. 免震部材標準品リスト -2009- 5. 積層ゴムの限界性能とすべり・転がり支承の摩擦特性の現状 6. 免震建築物の技術基準解説及び計算例とその解説 (戸建て免震住宅) 7. 時刻歴応答解析による免震建築物の設計基準・同マニュアル<改訂版> 8. 免震建築物のための設計用入力地震動作成ガイドライン<改訂版> 9. 免震部材の接合部・取付け躯体の設計指針-第2版- 10. 免震建物の建築・設備標準 -2009- 11. 免震構造施工標準 -2017- 12. 免震建物の維持管理基準 -2018- 13. 免震エキスパンションジョイントガイドライン 14. 設計・施工に役立つ問題事例と推奨事例 - 点検業務から見た免震建物 - 15. 免震建築物の耐風設計指針 16. 免震建物の耐火設計ガイドブック 17. 【DVD】大地震に備える ~免震構造の魅力 ~ 18. パッシブ制振構造設計・施工マニュアル-第3版 第1刷- 別冊1:制振部材取付け部の設計事例 20s/1P4

第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

  • Upload
    others

  • View
    2

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

0-1

はじめに

第32回 免震構造設計セミナー in 東京「 免震建築の基礎的設計から実践的設計、

・・・されど免震建築 」

主催: CERA 建築構造設計

共催: (社)日本免震構造協会

協賛: 昭和電線ケーブルシステム㈱

住友金属鉱山シポレックス㈱

㈱免震テクノサービス

ユニオンシステム㈱

2019年 8月 23日

1CERA DESIGN

ご了承ください。

■本セミナーはCPDの対象ではありません。

■JSCA建築構造士の更新評価点対象では

ありません。

■掲示資料の写真、図は著作権の関係で配布資料にはないものがあります。

・携帯は、マナーモードにしてください。

・非常階段位置をご確認ください。

・昼食は各自負担お願いします。

会場での食事使用は可能です。2

配布資料

説明用レジメ

日本免震構造協会 パンフレット

図書購入申込書

各協賛会社パンフレット

3

JSSI 図書購入申込書

1. 免震建築の基本がわかる本2. 設計者のための免震・制振構造ハンドブック3. 免震構造 -部材の基本から設計・施工までー4. 免震部材標準品リスト -2009-5. 積層ゴムの限界性能とすべり・転がり支承の摩擦特性の現状6. 免震建築物の技術基準解説及び計算例とその解説 (戸建て免震住宅)7. 時刻歴応答解析による免震建築物の設計基準・同マニュアル<改訂版>8. 免震建築物のための設計用入力地震動作成ガイドライン<改訂版>9. 免震部材の接合部・取付け躯体の設計指針-第2版-

10. 免震建物の建築・設備標準 -2009-11. 免震構造施工標準 -2017-12. 免震建物の維持管理基準 -2018-13. 免震エキスパンションジョイントガイドライン14. 設計・施工に役立つ問題事例と推奨事例 -点検業務から見た免震建物-15. 免震建築物の耐風設計指針16. 免震建物の耐火設計ガイドブック17. 【DVD】大地震に備える ~免震構造の魅力 ~18. パッシブ制振構造設計・施工マニュアル-第3版 第1刷-

別冊1:制振部材取付け部の設計事例

(20s/1P)

4

Page 2: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

0-2

はじめに

免震セミナー主旨 (30s/1P)

今回も、これから免震構造の設計をされる方を対象に、7話に分けて免震建築の基礎的設計から実践的設計についてポイントを説明します。<第1話>では、免震システムの基本的な設計の流れを説明します。<第2話>では、さらにモデル建物を用いて、告示計算の流れを説明します。<第3話>では、時刻歴地震応答計算の流れを説明し、告示計算の応答結果と比較して相違点について考察します。<第4話>では、全国で耐震改修の工法として免震改修が多くの建物に適用されています。その事例とその検討内容や適用に至った経緯を紹介します。<第5話>では、モデル建物を擬似的に耐力劣化させ、免震改修によって耐震性能がどの程度まで改善されるかを試算します。<第6話>では、告示計算と時刻歴地震応答計算による応答値が大きく異なる応答層せん断力(係数)について、その補正方法について解説します。<第7話>では、想定地震動や長周期地震動などに対するモデル建物の応答結果からその課題を抽出し、その設計対応を提案します。

5

本日のプログラム

はじめに (近年の地震活動と免震建物ほか) ( 9: 20 - 10: 00 )

第1話 免震構造の設計の流れとポイントについて概要の解説 ( 10: 00 10: 50 )

第2話 モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 ( 11: 00 - 12: 00 )

昼 休 (質疑・応答) ( 12: 00 - 13: 00 )

第3話 時刻歴地震応答解析法による設計計算の解説と相違点の比較 ( 13: 00 - 13:50 )

第6話 告示計算法による応答せん断力係数の見直し案と試算 ( 14: 00 - 14: 30 )

第7話 長周期・長時間地震動に対する課題と計算法の提案 ( 14: 30 - 15: 00 )休 憩

第4話 免震改修の利点とは(改修の経緯、耐震性能の向上) ( 15: 10 - 15: 40 )

第5話 免震レトロによる耐震性能の改修試算 ( 15: 40 - 16: 00 )

質疑・応答 ( 16: 00 - 16: 15 )

(予定時間)

(30s/1P)

6

1. はじめに免震建築の設計に必要な情報とは

はじめに(40分/20s/40P)

7

免震建築

地震動・設計波

応答解析

地盤特性維持管理

法律・設計ルート

免震用設備

施工方法・監理

構造解析施主の要望

免震部材建築の納まり

震災歴・防災計画

1.1 地震と日本列島日本列島には多くの地震歴があります。

図-1995年 1年間の発生地震記録(兵庫県南部地震)

日本海溝

相模トラフ

南海トラフ

8フィリピン海プレート

太平洋プレート

北米プレート

ユーラシアプレート

はじめに (20s/P)

Page 3: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

0-3

はじめに

図-2004年 1年間の発生地震記録(新潟県中越地震)

9

新潟中越地震

はじめに (20s/P)図-2011年 1年間の発生地震記録 (東北地方太平洋沖地震)

10

東北地方太平洋沖地震

はじめに (20s/P)

1.2 1923年大正型関東地震(長時間・長周期地震)

東京地震学教室2倍強震計 関東南部 M7.9 震度

図 東京大学 本郷での変位波形記録

1923年関東地震による東京市・本郷における復元変位記録(横田ほか)

はじめに (20s/P)

11

1923関東大震災(M7.9)被害状況

はじめに (20s/P)

12

Page 4: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

0-4

はじめに

1.3 1944年 東南海地震(長時間・長周期地震)

図 東京・大手町で変位記録 横軸:紙送り長さ(cm)

図 東京・大手町で復元変位記録(古村・中村) 横軸:記録時間(秒)

はじめに (20s/P)

13

1944 東南海地震(M7.9?)被害状況

はじめに (20s/P)

出典:「災害教訓の継承に関する専門調査会報告書」H19年3年 中央防災会議14

1968 十勝沖地震 M7.9

はじめに (20s/P)

1953 宮城県沖地震 M7.4

1978宮城県沖地震 M7.4

1995 阪神淡路大震災 M7.2

15

1.4 1950~近年の大地震 2004 新潟県中越地震 M6.8大震度7

はじめに 10s/P

2005 福岡県西方沖地震 M7.0

2011 東北地方太平洋地震 M9.0

16

Page 5: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

0-5

はじめに

2016 熊本大地震 M6.5(前震)~M7.3(本震) 大震度7益子町小谷、益子町杉堂、益子町寺迫、熊本市内

はじめに 20s

熊本城

外観被害なしの建物もある

益子町寺迫:木造住宅

益子町寺迫:鉄骨アパート 17

はじめに (30s/P)

2. 地震動特性の三要素 と 建築構造

18

2.1 長周期地震と震源距離の特性

はじめに (20s/P)

表層地盤の影響

19

表層地盤の影響が大きくなる場合もある

注:直下地震の場合、指向性インパルスのような長周期波もある

2.2 長時間地震と短時間地震の比較

はじめに (20s/P)

-100

0

100

0 50 100 150 200 250 300

Acc(c

m/s2

)

T(sec)

2003.9.26 十勝沖地震(苫小牧HKD129-EW)

大加速度 Max=72.80 cm/s2

大速度 Vmax=33.34 cm/s

-1000

-500

0

500

1000

0 50 100 150 200 250 300

Acc(c

m/s2

)

T(sec)

1995.1.17 兵庫県南部地震 JMA Kobe NS 大加速度 Amax= 818.1 cm/s2

大速度 Vmax= 90.9 cm/s

-1600

-800

0

800

1600

0 50 100 150 200 250 300

Acc(c

m/s2

)

T(sec)

2011.3.11 東北地方太平洋沖地震 MYG013-NS 大加速度 Amax= 1516 cm/s2

大速度 Vmax= 74.7 cm/s

20

Page 6: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

0-6

はじめに

2.3 長時間地震□ と短時間地震□の比較

はじめに (30s/P)

●同じ震災でも長周期地震になるか、短時間地震になるかは観測地によって異なる。●告示H12建告1461の地震動レベルを超える地震動が十分にあり得る。

免震構造の設計が厳しくなる周期帯

21

-500

-300

-100

100

300

500

0 10 20 30 40 50 60

Acc(c

m/s2

)

T(sec)

UE-EW004 加速度波形 Max=433 cm/s2

-120

-90

-60

-30

0

30

60

90

120

0 10 20 30 40 50 60

Vel

(cm

/s)

T(sec)

UECH-EW004 速度波形 Max=113 cm/s

加速度波

速度波

0

50

100

150

200

250

300

350

400

0.0 0.1 1.0 10.0

Sv(

cm

/s)

周期T(sec)

速度応答スペクトル h=0.05

極稀目標pSv

BCJ-L2

UECH-EW(大阪府内陸型)

AT2S-ew(大阪府海洋型)

はじめに (20s/P)2.4 想定直下地震と長周期地震動:想定上町断層地震

22

1964 新潟地震 (M7.5) 液状化による長周期化

3.長周期地震の歴史とその被害

出典:「1964年新潟地震オープンデータ特設サイト」 NIED

はじめに (20s/P)

23

表層地盤による影響

2003 十勝沖地震(M8,震度6弱)、苫小牧市の被害長周期地震による石油タンクの火災で 再注目を受ける

はじめに (20s/P)

24

●一般に遠隔で発生した地震では、 大加速度の発生時刻より遅れて 大変位が生じる。●上部構造の固有周期が長い場合、地盤変位周期に共振して被害を受ける。

表層地盤による影響

Page 7: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

0-7

はじめに

十勝沖地震の長周期振動特性2003年9月26日 震源:北海道十勝沖

M8, 震度6弱

はじめに (20s/P)

25

Tomakomai 長周期化速度波形

・出典:平成23年東北地方太平洋沖地震による建築物被害第1調査(速報) 国土交通省

はじめに (20s/P)

2011.3.11 東北地方太平洋沖地震(M9)概要(その1)

約240秒

26

・出典:平成23年東北地方太平洋沖地震による建築物被害第1調査(速報) 国土交通省

2011.3.11 東北地方太平洋沖地震(M9)概要(その2)距離が増すと加速度は低下するが、測定地(地盤)によって全く異なる地震動となる。

観測地別の加速度スペクトル pSa (cm/s2) h=5%

はじめに (20s/P)

極めて稀地震動の上:第3種地盤下:第2種地盤

極めて稀地震動の上:第3種地盤下:第2種地盤

27

4. 東北地方太平洋沖地震に対する免震建物の性能調査結果(その1)

・出典:平成23年東北地方太平洋沖地震による建築物被害調査報告 国土交通省

はじめに (20s/P)

28

Page 8: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

0-8

はじめに

・出典:平成23年東北地方太平洋沖地震による建築物被害調査報告 国土交通省

図 免震層下部と免震層上部の 大加速度図 免震層下部と免震層上部の 大加速度/入力加速度比

免震有効域

免震有効域

4.1 東北地方太平洋沖地震に対する免震建物の性能調査結果(その2)

はじめに (20s/P)

29

・出典:平成23年東北地方太平洋沖地震による建築物被害第1調査(速報) 国土交通省

A建物

L建物

4.2 東北地方太平洋沖地震(M9)免震建物の被害

はじめに (20s/P)

30

M建物

・出典:平成23年東北地方太平洋沖地震による建築物被害第1調査(速報) 国土交通省

はじめに (20s/P)

31

4.3 東北地方太平洋沖地震(M9)超高層ビル(52階)の被害

:内装、防火戸などの損傷

(52F, 大加速度 126 cm/s2)

(1F, 大加速度 34 cm/s2)

はじめに (20s/P)

32

速度応答スペクトルpSv入力地震動卓越周期約7秒

Page 9: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

0-9

はじめに

関東地方で被害を受けた有史上の地震歴 (M7.0以上を対象)

869年 M8.0 貞観噴火(富士山噴火)

1257年 M7.0 正嘉地震(関東南部)

1293年 M7.1 鎌倉関東地震(永仁鎌倉地震)

1433年 M7.0 相模地震(津波、利根川逆流)

1498年 M8.2 明応地震(東海・東南海地震)

1605年 M7.9 慶長地震(津波、関東から九州)

1633年 M7.0 寛永小田原地震(相模・駿河・伊豆地震)

1649年 M7.1 慶安武蔵地震

1677年 M8.0 延宝房総沖地震(茨城県の津波被害)

1703年 M8.1 元禄関東地震(関東南部で津波被害)

1707年 M8.4 宝永地震・噴火(富士山噴火、南海トラフ連動地震)

1854年 M8.4 安政東海地震(津波、房総半島から四国)

1854年 M8.4 安政南海地震(安政東海地震の翌日)

1880年 M7.0 横浜地震

1894年 M7.0 明治東京地震

1923年 M7.9 関東地震(大正関東地震、関東大震災)

1924年 M7.3 丹沢地震(関東地震の余震)

1930年 M7.3 北伊豆地震

2011年 M9.0 東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)

5. 関東地方で想定される長周期の巨大地震はじめに (20s/P)

33

5.1 全国地震動予測地図の確率論的地震動予測地図(地震調査研究推進本部事務局HP、2018年版)

はじめに (10s/P)

34

補足5-1 主要活断層の評価結果 再来間隔が年オーダーの地震

35

補足5-3 主な海溝型地震の評価結果(発生確率) はじめに

36

Page 10: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

0-10

はじめに

5.1.1 関東地方内陸の活断層と震度6弱以上、30年発生確率 (出典:J-SHIS 地震ハザードステーション)

はじめに(20s/1P)

綾瀬川断層鴻巣ー伊奈区間平均発生間隔 12000年30年発生確率 0%

三浦半島断層群武山断層帯平均発生間隔 1750年30年発生確率 8.4%

伊勢原断層平均発生間隔5000年

越生断層帯平均発生間隔28000年30年発生確率0.11%

深谷断層帯平均発生間隔17500年30年発生確率 0%

立川断層帯平均発生間隔12500年30年発生確率 1.4%

鴨川低地断層帯平均発生間隔 7900年30年発生確率 0.4% 37

三浦半島断層群主部衣笠・北武断層帯平均発生間隔 3400年30年発生確率 0.01%

綾瀬川断層伊奈ー川口区間平均発生間隔 38000年30年発生確率 0.08%

5.1.2 関東地方内陸の活断層(綾瀬川断層伊奈ー川口区間)の破壊による工学的基盤の想定地震波 (出典:J-SHIS 地震ハザードステーション)

はじめに(20s/1P)

38

はじめに(10s/1P)

5.1.3 海溝型地震震源断層と震度6弱以上、30年発生確率

(出典:J-SHIS 地震ハザードステーション)

東北地方太平洋沖地震平均発生間隔600年30年発生確率 0%

大正型関東地震平均発生間隔220年30年発生確率 0%

想定東海地震平均発生間隔88年30年発生確率 66.5%

南海地震、東南海地震、東海地震の広域評価

39

5.1.4 想定相模トラフ巨大地震の長周期地震動予測地図(出典:地震調査研究推進本部HP、2016年試作版)

はじめに (20s/P)

40

Page 11: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

0-11

はじめに

5.1.5 想定相模トラフ巨大地震の長周期地震動予測地図(出典:地震調査研究推進本部HP、2016年試作版)

はじめに (20s/P)

41

5.1.6 想定東海地震の長周期地震動予測地図(出典:中央防災会議HP、2009年「全国地震動予測地図」)

図-1 速度応答スペクトル(周期5秒)分布 図-2 長周期地震動の継続時間分布

はじめに (20s/P)

42

長周期地震動の作成と検討策の発表(H28.6 国住指第1111号):南海トラフ沿い巨大地震を対象に検討地震波の作成と

検討要請、 「基整促波」 (基準整備促進事業による)

43

6. 国の長周期地震への対策 6.1 提案されている長周期地震波の擬似速度応答スペクトルの例

免震構造の設計が厳しくなる周期帯

出典:「長周期地震動と建築物の耐震性」2007日本建築学会

はじめに (20s/P)

44

Page 12: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

0-12

はじめに

一般的に、地震動は、

■震源域が近いほど加速度が高くなる。

■震源域が広範囲になるほど、地震基盤の破壊時間が長びき、長時間・長周期振動となる。

今後、想定される巨大地震動は、このような広域に震源をもち震源距離が割と近い地震動である。

国は、主要都市を対象に長周期地震波を作成し、検討要請。

よって

長周期の固有周期をもつ免震建物は、以下の設計対応が要求される。

1.長周期で共振し設計状態より大きな応答を生じない。

2.長時間の応答による性能変動によって設計状態を超えない。

3.長時間の応答により免震部材が損傷・破損しない。

ここでは、これらの点にポイントを置き解説を進めます。

はじめに (20s/P)

7. 地震動の特性と免震構造の対応

45

はじめに (20s/P)

補足. 政府 地震調査研究推進本部https://www.jishin.go.jp/地震に揺らがない国にする地震本部のHPを活用しよう!

46

はじめに (20s/P)

補足. 政府 地震調査研究推進本部地震に揺らがない国にする地震本部のHPを活用しよう!

47

①観測開始年月日

②観測点名

③加速度波形

④速度波形

⑤変位波形

⑥加速度波形5秒ごとの計測震度

⑦加速度波形フーリエスペクトル

⑧速度応答スペクトル

Next第1話免震構造の計画・設計の流れとポイントについて

48

Page 13: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

1. 免震構造の設計の流れとポイント

1-1

第1話免震構造の計画・設計の流れとポイント

(50分/30s/66p)

1CERA DESIGN

はじめに、図解による免震構造の設計ポイント

基礎免震構造の場合

1.免震構造の設計の流れとポイント

隣地

境界

線(隣

接物

主フレームの設計例地震時:損傷しない許容応力度設計、層間変形1/300以下( RC )

建物形状の設計平面:整形な平面立面:転倒しにくい形状

アスペクト比(< 3.5)

免震部材の設計①建物荷重を安定支持・長期時:少いクリープ・地震時:安定履歴、

引抜、座屈、破断しない・暴風時:安定挙動、残留変形なし②接合部の許容応力度設計

建物位置の設定

擁壁の土圧に対する設計

杭・直接基礎構造の設計例地震時:損傷しない目標:許容応力度設計

入力地震動の設定告示計算:極稀の加速度Sp時刻歴解析:観測波、告示波、

サイト波、長周期地震波

(30s/P)

免震層

2

水平クリアランスの設計地震時に突出を避ける

犬走

水平クリアランスの設計地震時に衝突を避ける

暴風

Step1.近くの免震建物を見学してみる

1.免震構造の設計の流れとポイント (10s/P)

江東区役所(免震レトロ) 九段郵便局(免震レトロ) 東京駅(免震レトロ)

愛知県半田市役所(基礎免震) 東京建設コンサルタント 三菱一号館(丸の内、免震レトロ)3

一般建物 免震建物(実際は地盤が動き、建物がそれほど揺れない)

Step2. 免震効果をイメージしよう

1.免震構造の設計の流れとポイント (10s/P)

4

Page 14: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

1. 免震構造の設計の流れとポイント

1-2

極めて稀れに発生する地震による

免震構造と非免震構造との応答比較RC、7層共同住宅(梁間方向)、基礎免震の例

900

非免震(基礎固定モデル) 免震(免震層スェイばねモデル)

桁行き 方向 大応答加速度

600100500

(20s/P)

5

入力 大加速度

入力 大加速度

非免震(基礎固定モデル) 免震(免震層スェイばねモデル)

桁行き 方向 大応答層せん断力係数

6000.900.40 0.200.10

免震建物の地震応答例 (20s/P)

6

Step3.免震建物の設計の準備計画地の地盤状況の調査・予想地震の調査

1.免震構造の設計の流れとポイント (20s/P)

・地盤、地層分布、支持地盤、液状化予測都道府県のH.P.、 国土地盤情報検索サイトKunijiban通商産業省工業技術院 地質調査所、国立研究開発法人産業技術総合研究所 地質図Navi

・近隣地盤から地層、支持基盤(工学的基盤)の推定工学的基盤の広がりと傾斜(告示2009, 5°以下)

・断層分布、予想地震の規模、被害想定都道府県のH.P.、 J-SHIS(地震ハザードステーション)、

内閣府中央防災会議、政府地震調査研究推進本部のH.P.

7

・地盤・地層分布、断層分布(表層4~5m程度以深)

例:東京地域

出典:「通商産業省工業技術院 地質調査所」

1.免震構造の設計の流れとポイント (20s/P)

新宿

成増礫層

武蔵野礫層

下末吉層

埋立土

8

Page 15: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

1. 免震構造の設計の流れとポイント

1-3

免震構造計画のポイント告示2009 「工学的基盤の傾斜レベル ≦5°(0.087rad)」傾斜地では状況に合わせて加速度増幅率Gsを増幅し対応

1.免震構造の設計の流れとポイント (20s/P)

9

関東地方内陸の活断層分布震度6弱以上、30年発生確率と震度分布(注:色は確率論による発生確率で近接震源の発生確率とは一致しない。出典:J-SHIS 地震ハザードステーション)

関東平野北西縁断層帯平均発生間隔 21500年

三浦半島断層群武山断層帯平均発生間隔 1750年30年発生確率 8.4%

神縄・国府津-松田断層帯平均発生間隔 1050年30年発生確率 4.4%

伊勢原断層平均発生間隔5000年

曽根丘陵断層帯平均発生間隔2500年30年発生確率1.2%

糸魚川-静岡構造線断層帯平均発生間隔1200年30年発生確率 2.5%

立川断層帯平均発生間隔12500年30年発生確率 1.4%

北伊豆断層帯平均発生間隔 1450年30年発生確率 0%

鴨川低地断層帯平均発生間隔 7900年30年発生確率 0.4%

1.免震構造の設計の流れとポイント

10

(20s/P)

関東地方の海溝型地震の震源断層分布震度6弱以上、30年発生確率と震度分布(注:色は確率論による発生確率で近接震源の発生確率とは一致しない。出典:J-SHIS 地震ハザードステーション)

東北地方太平洋沖地震平均発生間隔600年30年発生確率 0%

大正型関東地震平均発生間隔220年30年発生確率 0%

南海トラフ沿いの地震平均発生間隔88年30年発生確率 66.5%

南海地震、東南海地震、東海地震の広域評価

1.免震構造の設計の流れとポイント

11

・東京都の想定巨大地震による震度分布

1.免震構造の設計の流れとポイント (15s/P)

出典:東京都HP H18年「首都直下地震等による東京の被害想定」

NON

東京湾北部地震(M7.3)に震度分布 元禄型関東地震(M8.2)に震度分布

NON

多摩直下地震(M7.3)に震度分布 立川断層帯地震(M7.4)に震度分布 12

Page 16: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

1. 免震構造の設計の流れとポイント

1-4

・東京都の想定巨大地震による震度分布

1.免震構造の設計の流れとポイント (15s/P)

出典:東京都HP 2012(H24年)「首都直下地震等による東京の被害想定」

東京湾北部地震(M7.3)に震度分布 元禄型関東地震(M8.2)に震度分布

多摩直下地震(M7.3)に震度分布 立川断層帯地震(M7.4)に震度分布13

・神奈川県の想定巨大地震による震度分布[相模トラフ]

・大正型関東地震・元禄型関東地震

[南海トラフ]・南海トラフ巨大地震

(東海・東南海・南海連動地震)

・慶長型地震[直下プレート境界型]

・東京湾北部地震・横浜市直下地震

[活断層型]・三浦半島断層群ー鴨川

低地断層帯地震・東京湾内地震

1.免震構造の設計の流れとポイント

出典:横浜市HP 「横浜市地震被害想定 H24 消防局情報技術課」

元禄型関東地震(M8.1) 東京湾北部地震(M7.3)

南海トラフ巨大地震(M9.0) 大正型関東地震(M8.0)

14

Step4.免震化の適正と設計手法を確認

①隣地境界との距離 ---------- (免震層の位置の検討)②免震層の位置計画 --- ( 設計ルート:解析法の検討)③周辺地盤の状況(段差、崖) --- (設計ルート:解析法)④計画地地盤の種類(液状化)

---- (地盤改良、設計ルート)⑤建物高さ 60m以下、or 超える ------ (設計ルート)⑥引き抜きの有無 ------------------------ (設計ルート)

( 目安:アスペクト比3.5以下)⑦建物辺長<100m程度 -------- (位相差入力検討)⑧上部荷重の著しい偏在-- ( ねじれ解析、設計ルート)

著しい不整形な平面形状

1.免震構造の設計の流れとポイント (30s/P)

15 免震建築物の安全上留意する箇所

空隙の発生、挟まれ防止

スペースの確保

0.8m程度以上

Step5. 隣地境界からの距離、水平クリアランスの確保(目安値) ・ビル建築:外壁面から敷地境界まで1.6m程度以上確保

・戸建住宅外壁面から(犬走なし):0.8~1.0m程度以上

1.免震構造の設計の流れとポイント (20s/P)

16

Page 17: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

1. 免震構造の設計の流れとポイント

1-5

免震層の位置 (基礎免震90%) 告示による許容計画

上部構造

免震層

地盤

Type-1 Type-2

上部構造

地盤

免震層

上部構造

地下階

免震層

地盤

Type-3

Step6. 免震部材の置き場所(免震層)の選択

基礎免震構造 中間階免震構造

1.免震構造の設計の流れとポイント (20s/P)

17

免震層の位置 (中間階) 告示の許容範囲外の計画(下部構造の入力地震動が変化して上部構造に伝達される構造)

===== ルート:大臣認定

上部構造

ドライエリア

Type-4

地下階

(下部構造)

地盤

免震層

下部構造

免震層

Type-5

上部構造

地盤

中間階免震構造

1.免震構造の設計の流れとポイント (15s/P)

18

補足1:中間階免震は、必要水平クリアランスを少なく出来る

基礎免震構造 中間階免震構造

1.免震構造の設計の流れとポイント

設計目安約0.6m以上必要

設計目安約1.5m以上必要

(20s/P)

隣地境界

19

設計目安約1.0m以上必要

基礎免震層の具体的イメージ

参考文献JSSI 「免震建築の設計とディーテール」(絶版)JSSI 「免震構造施工標準」

1.免震構造の設計の流れとポイント

目安:H=約0.6m以上、V = 50mm 以上確保

(15s/P)

20

EVシャフト:吊り構造

Page 18: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

1. 免震構造の設計の流れとポイント

1-6

免震建築物の構造計算

指定性能評価機関

応答スペクトル解析法

建築物高さ

敷地地盤種別,免震層の位置

第1種または液状化のおそれのない第2種地盤、基礎免震

60m以下

時刻歴応答解析法

建築確認機関へ

告示第6の構造計算

国土交通大臣の認定

判断

判断

Step7.設計ルートの選定、確認法第20条第1項第1号(60m超える)-- 施行令36条第1項 告示2009号第5(耐久性等関係規定) <----- 大臣認定にも適用法第20条第1項第2号イ-- 施行令81条第2項第1号ロ(限界耐力計算)------ 告示2009号第6

令第36条2項(第7節の2)-- 令第80条の2第二号-- H12建告2009号第4 : 免震建築物の安全上必要な技術基準<-- 大臣認定にも適用(基礎)令第38条第3項-- H12建告2009号第3 : 免震建築物の基礎の構造

液状化のおそれのある第2種地盤、第3種地盤、中間階免震← H12建告2009号第5 ( 第3第二号, 第4第三号ハ)

60m超える ←H12建告2009号第2

告示第6の構造計算(令第81条第2項第一号ロ:限界耐力計算と同等以上)

1.免震構造の設計の流れとポイント (30s/P)

21

構造計算適合判定

解析手法の検討

告示改正平成12年建設省告示第2009号を

平成16年国土交通省告示第1160号、平成25年国土交通省告示第774号で改正

改正の背景(告示第1160号)戸建て住宅等の小規模建築物に対する計画的・構造的な合理化の要望に対応

主な要望・改訂事項1. 風拘束装置の使用可能(条件付き)2. 四号相当の上部構造の構造計算省略

ただし、免震層の設計を行い 下階Co≦0.23. クリアランスの合理的設定、 低値を提示

1.免震構造の設計の流れとポイント (20s/P)

22

補足2: 改正項目の整理

H16告示第1160号(a) 四号建築物相当の建築物の上部構造の構造計算免除(b) 免震層直上の床版の強度・剛性確保(c) 風用拘束装置の設置規定(d) 必要クリアランス数値の合理化( 低値の規定)(e) 免震建築物周囲での落下・はさまれ防止の措置規定(f) 免震建築物の構造計算規定構成の明確化(g) 風圧力に対する免震層の安全性の確認規定の明確化(h) 免震装置(材料)の許容応力度・材料強度の設定法の

合理化H25告示第774号(i) 特定天井の水平震度 : 階にかかわらず 0.5以上

1.免震構造の設計の流れとポイント (20s/P)

23

補足3.告示2009号に明記されていないルールJSSIの出版書籍で標準的な計算方法や基準を提案

①付加モーメントの算定と処理方法

②アンカーボルトの設計方法 --- JSSI 設計基準を参照

③免震部材の変動性能の設定方法

④設計環境気温の設定方法(設計温度は?)

⑤偏心率の定義方法(ひずみレベル?:設計限界変位レベル)

⑥免震層の耐火規定(柱扱いは必要、基礎不要)

⑦維持管理の方法

⑧耐風性能の設定方法(残留変形、疲労が問題?)

⑨巨大地震に対する対応策(繰り返し性能評定、疲労耐久性評定ほか)

---- 平成28年6月 技術的助言 国土交通省住宅局建築指導課長

「超高層建築物等における南海トラフ沿いの巨大地震による長周期

地震動対策について」(基整促波による検討など)

1.免震構造の設計の流れとポイント (30s/P)

24

Page 19: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

1. 免震構造の設計の流れとポイント

1-7

免震建物に関して1.免震層の高さを免震材料等の点検上支障のないものとする。2.免震材料のみを用いて力の伝達を行う。3.免震材料を検査・点検が容易に行える位置に設ける。4.建物の周囲に安全上支障のある空隙を生じさせない。5.見やすい位置に、免震建物である旨の表示を行う。6.積雪時に免震建築物の変位が妨げられないようにすること。7.必要に応じて免震材料の交換が可能な構造とすること。8.免震層への浸水による免震材料の冠水を防止する。(以下、第6の場合)9.基礎底部は、第1種地盤または第2種地盤に達するものとする。10. 下部構造に階を設ける場合、土圧がその全周に一様作用。

補足4. 誤解されているルール免震建築は、設計ルートに係わらず「耐久性等関係規定」(告示2009号第5)、「技術基準」(告示2009号第4)は適用される。

1.免震構造の設計の流れとポイント (30s/P)

25

Step8: 構造形式を選定する

ラーメンフレーム構造が、免震部材の設置に便利

( 柱下に免震支承1基以上設置 )

・壁式構造の場合、フレームモデルとして、支点荷重を評価する

スパンは、できるだけ大きく

(コストダウン、免震性能アップ(長周期化、浮き上がり防止))

しっかりした架梁

1.免震構造の設計の流れとポイント (15s/P)

ラーメン構造(RC,S,SRC)

壁式構造(WRC,WPC)

26

Step9.上部構造の1次設計用地震力の仮定

予備解析 想定(目安)層せん断力係数

・時刻歴地震応答解析による設計の場合 Co=0.15~0.20 程度

注:近年、設計地震動が大きくなり、ダンパー性能が増しCoが大きくなっている。

・告示2009号第6による設計の場合 Co=0.12~0.15 程度

として、Ai分布以上で1次設計とする。 ただし、Ai分布は不十分

地震時応力解析モデル長期応力解析モデルピン支承鉛直ばね

1.免震構造の設計の流れとポイント (20s/P)

27

10.1 免震部材(材料)に求められる性能

1.荷重支持機能 : 高い鉛直剛性

2.水平方向可動機能 : 低い水平剛性

3.繰り返し耐久機能 : 可逆弾塑性

4.減衰機能 : 履歴エネルギー吸収性

5.対候性能 : 劣化しにくい材料

6.大変形性能 : 高い限界性能

7.経済性 : 適切な価格評価

1.免震構造の設計の流れとポイント (20s/P)

Step10 : 免震部材の種類の調査

28

Page 20: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

1. 免震構造の設計の流れとポイント

1-8

10.2 免震部材(支承材)の種類の調査

■積層ゴム系部材天然ゴム系支承鉛プラグ入り、錫プラグ入り高減衰ゴム系支承

■曲面すべり支承 ■回転機構付すべり支承

■弾性すべり支承

■転がり系支承

1.免震構造の設計の流れとポイント (15s/P)

29

住宅用の免震部材 (転がり支承)

1.免震構造の設計の流れとポイント (15s/P)

30

• 鉛直基本特性 ・水平基本特性

Kv

Kv:鉛直剛性Kd:水平塑性剛性

Qd:降伏荷重

KdQd

-500

-250

0

250

500

-300 -200 -100 0 100 200 300水平変位(mm)

水平

荷重

(kN

)

0

2000

4000

6000

8000

0 1 2 3

鉛直変位(mm)

鉛直

力(k

N)

• せん断弾性率G : ゴム = 4~5(N/mm2), コンクリートG ≒8000 (N/mm2),

Φ800,H400 積層ゴムKv =2700x103(N/mm), コンクリート Kv≒2500x104 (N/mm2),

補足5. 免震部材の限界性能を確認(20s/P)

31

性能試験システム例鉛直アクチュエーター

鉛直ロードセル

すべり支承試験体

水平ロードセル

水平アクチュエーター

補足5-1 免震部材の鉛直・水平性能試験

3.免震構造の設計の流れとポイント (15s/P)

32

Page 21: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

1. 免震構造の設計の流れとポイント

1-9

補足5-2 天然ゴム系積層ゴムの履歴曲線(安定限界)せん断歪み(水平変位)

面圧 100% 200% 300% 400%

0N/mm2

基準条件 破断

15N/mm2

地震時(短期荷重)

30N/mm2

座屈

40N/mm2

-80

-60

-40

-20

0

20

40

60

80

-600 -400 -200 0 200 400 600

-80

-60

-40

-20

0

20

40

60

80

-600 -400 -200 0 200 400 600

-80

-60

-40

-20

0

20

40

60

80

-600 -400 -200 0 200 400 600

-80

-60

-40

-20

0

20

40

60

80

-600 -400 -200 0 200 400 600

-80

-60

-40

-20

0

20

40

60

80

-600 -400 -200 0 200 400 600

-80

-60

-40

-20

0

20

40

60

80

-600 -400 -200 0 200 400 600

-80

-60

-40

-20

0

20

40

60

80

-600 -400 -200 0 200 400 600

-80

-60

-40

-20

0

20

40

60

80

-600 -400 -200 0 200 400 600

-80

-60

-40

-20

0

20

40

60

80

-600 -400 -200 0 200 400 600

-80

-60

-40

-20

0

20

40

60

80

-600 -400 -200 0 200 400 600

-80

-60

-40

-20

0

20

40

60

80

-600 -400 -200 0 200 400 600

0

40

80

120

160

200

240

0 200 400 600

0

5

10

15

20

0 200 400 600

-80

-60

-40

-20

0

20

40

60

80

-600 -400 -200 0 200 400 600

-80

-60

-40

-20

0

20

40

60

80

-600 -400 -200 0 200 400 600

-80

-60

-40

-20

0

20

40

60

80

-600 -400 -200 0 200 400 600

-80

-60

-40

-20

0

20

40

60

80

-600 -400 -200 0 200 400 600

-20

0

20

40

-200 0 200

水平変位[mm]

水平

荷重

[×10

kN]

変形δ荷

重σ

3.免震構造の設計の流れとポイント (30s/P)

33

補足5-3 積層ゴム支承の大変形性状

このイメージは、現在表示できません。

せん断応力 破断 τb 線形限界歪γ≒2.5~3.0

線形限界歪γ≒1.5~2.0 τs 座屈 せん断歪γ 0 γs 4.0≦γb

せん断力:漸増

γ= δ/ h

せん断変形δ

基準圧縮面圧σ:一定

せん断歪

2次形状係数S2=D/Tr (=4.0~5.0)

3.免震構造の設計の流れとポイント (20s/P)

34

補足5-4 積層ゴム支承の圧縮・せん断限界特性

圧縮面圧σ/σcr 1.0

座屈 S2≧5

0.5

S2<3

破断 座屈 0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0

せん断歪γ

基準圧縮面圧σ:一定

せん断歪

3.免震構造の設計の流れとポイント (20s/P)

35

補足5-5 引張限界強度

0

10

20

30

40

0 100 200 300

引張応

力度

引張ひずみ (%)

せん断引張試験500×3.75-26試験体オフセットせん断ひずみ200%

単純引張破断試験500×7-14試験体

破断点(303%) (k

g/cm

2 )図6.1.4 引張試験での履歴特性

tσu=1.0N/mm2

(時刻歴解析時可)

3.免震構造の設計の流れとポイント (20s/P)

36

Page 22: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

1. 免震構造の設計の流れとポイント

1-10

補足5-6 引張荷重-変形関係

0

せん断弾性率Gに相当する引張応力

引張線形限界応力(σty)

引張破断応力(σtb)破断

引張ひずみ1%

引張応力

引張歪

引張線形限界ひずみ(εty)

引張破断ひずみ(εtb)

3.免震構造の設計の流れとポイント (20s/P)

37

補足5-7 限界性能曲線のポイント(H12告示1446号)

認定値:圧縮限界強度 σc 、限界変形 δm、 長期許容面圧 σo/3設計値:鉛直基準強度 σo 、水平基準変形 δu、 設計限界変形 mδd

面圧圧縮限界強度

σo

鉛直基準強度≦ 0.9σc

δu=δm

設計で用いる範囲

σc0.9σc

mδd

σ0/3

面圧

水平変形

圧縮限界強度

σo

鉛直基準強度σo ≦0.9σc

σo /3

δu

設計で用いる範囲

σc

0.9σc

mδd

弾性支承材( mδd≦ 0.8δu )

水平変位すべり・転がり支承材

( mδd≦ 0.9δu )

基礎構造の安定性が必要

σo = -1.0(時刻歴解析時可)

δm

(60s/P)

38

免震部材の基準値

昭和電線電纜式天然ゴム系積層ゴムアイソレータ大臣認定番号 MVBR-0235 3.水平性能(図1)

1.免震材料概要図

4.限界性能の荷重履歴(図2)

2.認定範囲

せん断弾性率 0.29 0.34 0.39 0.44 0.60(N/mm2)

ゴム外径(mm) 300~φ1200 φ300~φ1500ゴム内径(mm) φ15~φ60 φ15~φ751次形状係数 20~40 5.圧縮限界強度(図3)2次形状係数 3.5以上

型式番号解説

δm δ

Kh

(γ=100%相当)

δ0=0δm :基準面圧時限界ひずみ相当変位

Q

(δm,Q1)

(δ0,Q0)

-800

-600

-400

-200

00

200

400

600

800

-600 -400 -200 0 200 400 600

水平変位 (mm)

水平

荷重

(kN

)

Kh

水平

荷重

(kN

)

水平変位(mm)

圧縮限界強度

γ

σ

(γ0,σ0) (γ1,σ1)

γ0 =0γ2 :面圧0時の限界ひずみ

(γ2,σ2)

種別:R45

ゴム材料:G=0.44(N/mm2)

ゴム外径:φ600mmゴム1層厚4.5mm、ゴム層数26層の場合

ゴム径種別(せん断弾性率)

R45-600-4.5×26ゴム厚 ゴム層数

部材姿図

水平性能

圧縮限界強度

10.3 天然ゴム系積層ゴム支承の概要と特性(JSSI標準品リストなどから製品を選択)

認定範囲

(20s/P)

39

昭和電線電纜式天然ゴム系積層ゴムアイソレータ (3/26) G0.39 S2=5.1R40-500-3.75×26 R40-600-4.5×26 R40-700-5.3×26 R40-800-6×26 R40-900-6.8×26 R40-1000-7.5×26 R40-1100-8.3×26 R40-1200-9×26 R40-1300-9.8×26

材料の構成 せん断弾性率 (N/mm2) 0.39 0.39 0.39 0.39 0.39 0.39 0.39 0.39 0.39ゴム外径 (mm) 500 600 700 800 900 1000 1100 1200 1300ゴム内径 (mm) 20 30 35 40 45 50 55 60 65ゴム一層厚 (mm) 3.75 4.50 5.30 6.00 6.80 7.50 8.30 9.00 9.80ゴム層数 (-) 26 26 26 26 26 26 26 26 26ゴム総厚 (mm) 97.5 117.0 137.8 156.0 176.8 195.0 215.8 234.0 254.81次形状係数 (-) 32.0 31.7 31.4 31.7 31.4 31.7 31.5 31.7 31.52次形状係数 (-) 5.1 5.1 5.1 5.1 5.1 5.1 5.1 5.1 5.1内部鋼板厚さ (mm) 3.2 3.2 4.5 4.5 4.5 4.5 4.5 4.5 4.5フランジ外径 (mm) 800 900 1000 1100 1200 1300 1400 1500 1600フランジ厚さ (mm) 25 25 25 30 32 33 33 33 33製品高さ (mm) 251.5 281.0 334.3 362.5 399.3 419.5 440.3 458.5 479.3

面圧=0 (%) 400 400 400 400 400 400 400 400 400基準面圧 (%) 400 400 400 400 400 400 400 400 400

荷重履歴1) (kN)(γ0、σ0) (0,60) (0,60) (0,60) (0,60) (0,60) (0,60) (0,60) (0,60) (0,60)(γ1、σ1) (N/mm

2) (30,60) (30,60) (30,60) (30,60) (30,60) (30,60) (30,60) (30,60) (30,60)

(γ2、σ2) (400,30) (400,30) (400,30) (400,30) (400,30) (400,30) (400,30) (400,30) (400,25)鉛直剛性 Kv (103kN/m) 2070 2450 2810 3280 3630 4090 4450 4910 5060基準面圧 (N/mm2) 15 15 15 15 15 15 15 15 12.5引張限界強度 せん断ひずみ100% (N/mm2) 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0等価剛性 Kh Kh (10

3kN/m) 0.79 0.95 1.09 1.26 1.41 1.58 1.72 1.89 2.04

規定ひずみ (%)製造ばらつき Khのばらつき (%)

経年変化率3) Kh (60年)/(初値) (%)(-10)/(20)(0)/(20)(30)/(20)(40)/(20)(50)/(100)(200)/(100)

クリープひずみの変化率 (%)1):図2参照  2):図3参照  3):経年変化率 初期値に対する60年相当  4):20℃基準10℃刻み  5):100%ひずみ基準

20℃×60年相当

(%)

+15以下-10以上

5以下

+10以下+5以下-5以上-5以上

Kh

圧縮限界強度2)

(%)

Q=Kh×γ×Hr で表される

100±15以内+10以下

鉛直性能

水平性能の変化率

項目

各部の形状、寸法及び寸法精度

限界性能

ひずみ依存性5) Kh

水平性能

温度依存性4)

限界ひずみ

2.形状・寸法

1.ゴム剛性

3.限界ひずみ

4.圧縮限界強度

5.鉛直剛性

6.水平剛性7.各種依存性

8.クリープひずみ

補足6:積層ゴムの諸元を見て選択する(大臣認定 各製品リスト)

1.免震構造の設計の流れとポイント (30s/P)

40

Page 23: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

1. 免震構造の設計の流れとポイント

1-11

10.4 免震部材(ダンパー)の種類の調査

■鋼材ダンパー ■鉛ダンパー■オイルダンパー

■増幅機能付き減衰装置

■摩擦型ダンパー

1.免震構造の設計の流れとポイント (15s/P)

41

補足7 : 鋼材系U型ダンパーの概要と特性(JSSI標準品リストなどから製品を選択)

(20s/P)

認定範囲

依存特性

履歴特性

部材姿図

42

補足8:鋼材系U型ダンパーの諸元を見て選択する(大臣認定 各製品リスト)

1.免震構造の設計の流れとポイント (30s/P)

6.各種依存性

1.型式名称

2.形状・寸法

3.限界変形

4.水平性能

5.ばらつき

43

粘性系ダンパー

粘性・流体系ダンパーの分類

ダンパーの分類、 免震用

せん断抵抗型

流動抵抗型

壁型

多層型

円筒型

10.5 粘性・流体系ダンパーの系列

1.免震構造の設計の流れとポイント (15s/P)

44

流体系ダンパー

Page 24: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

1. 免震構造の設計の流れとポイント

1-12

免震部材の基準値

補足9 : オイルダンパーの概要と特性(JSSI標準品リストなどから製品を選択)

(20s/P)

限界変形

認定範囲

減衰性能

部材姿図

45

補足10:オイルダンパーの諸元を見て選択する(大臣認定 各製品リスト)

1.免震構造の設計の流れとポイント (30s/P)

2.形状・寸法

3.限界変形、速度

6.各種依存性

4.限界抵抗力

5.減衰性能

1.型式名称

46

1.設計条件による要因 設計基準変動率①建物計画地、地域 -- 気温、温度依存 (上限、下限考慮)②建物の荷重、変動荷重-- 面圧依存 (長期荷重で考慮)③地震による変形 -- 変形・歪依存 (設計変形・歪時で考慮)

④地震動の繰り返し ---> 繰り返し依存 (設計回数、吸収エネルギ設定)⑤暴風 による繰り返し ---> 繰り返し依存 (設計回数、吸収エネルギ設定)

2.免震部材固有、製造の要因 上限、下限変動率⑥製造 による変動 ---> +側変化、- 側変化⑦経年 による変動 ---> +側変化、- 側変化⑧ 温度による変動 ---> +側変化、- 側変化

注:設計で扱いにくい要因と変動率、設計条件に沿って設定する②建物の変動荷重による面圧変動率

-- 変動荷重の平均値を長期荷重に加算

④地震動の繰り返し過程においての変動率-- 主動部は変動小、継続部は繰返し考慮

3.免震部材の安定性能変形域

補足11:免震部材の性能変動、要因、設計対応

1.免震構造の設計の流れとポイント (20s/P)

47

10.6 免震部材選定のポイントポイント1:価格の評価ができる製品。

A1:数社の見積りができるものA2:類似製品と性能比較ができるもの

ポイント2:建物の規模、構造上、納まりが可能な製品A1:形状、取り付け方法、および変形時の状態を確認する

ポイント3:目標耐震性能が設定(達成)できる製品A1:必要な基本性能、限界性能が設定されている製品

(JSSI標準リストに掲載されているもの)A2:性能試験結果など技術データが公開されているもの

ポイント4:耐久性能に優れている製品A1:耐久性能試験が行われ、性能が明記されているもの

A2:メンテナンスが容易に可能であるもの

1.免震構造の設計の流れとポイント (20s/P)

48

Page 25: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

1. 免震構造の設計の流れとポイント

1-13

Step11.免震部材を配置する

・平面配置計画のポイント:・免震部材はできるだけ対称配置・積層ゴム系部材は外部エリア・すべり、転がりは内部エリア・ダンパー部材は外部エリア

特に、減衰は外周部に対称配置

・サイズバランス:・支持荷重 ∝ 水平剛性、抵抗

1.免震構造の設計の流れとポイント (20s/P)

49

11.1 免震部材設置例(高層共同住宅)積層ゴム支承と弾性すべり支承

1.免震構造の設計の流れとポイント (15s/P)

50

11.2 免震部材の配置検討例 (第1案)注:積層ゴム支承と弾性すべり支承の鉛直クリープの影響を考

慮しておく。(60年後、⊿δv=3~5mm程度)

1.免震構造の設計の流れとポイント (30s/P)

51

免震部材の配置検討例 (第2案)

1.免震構造の設計の流れとポイント (15s/P)

52

Page 26: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

1. 免震構造の設計の流れとポイント

1-14

免震部材の配置検討例 ( 終案)

1.免震構造の設計の流れとポイント (20s/P)

弾性すべり支承積層ゴム支承

弾性すべり支承

オイルダンパー

53

11.3 配置の基本的手順:まず天然ゴム系積層ゴム支承を置く

(目安値)

積層ゴム径:荷重N <σs xAs 20%程度UPとなる径を選定

σs :積層ゴムの基準(推奨)面圧、 As :積層ゴムの断面積

2次形状係数:S2 > 4.0~5.0、(S2=D/Tr : 直径D/ゴム総厚Tr),

ゴム剛性(標準):G=4.0 N/mm2

テキスト:JSSI免震部材標準リスト 又はメーカーリストから選定

積層ゴム支承

1階梁伏せ図

G G

G G

G G

1.免震構造の設計の流れとポイント (30s/P)

54

11.4 積層ゴム支承のみで免震周期Tf をチェック

■Tf=2π M/Kh

> 4~5 秒(目標レベル)

M = W/g g=980cm/s2

Kh = As・G/Tr= Σkh,i G:せん断弾性係数

積層ゴム総数の水平剛性Kh

4秒程度以上にならない場合

ゴム剛性G4 G3.5、径、スパン、基数調整

積層ゴム すべり支承、転がり支承

δ

Q

積層ゴム 水平剛性

Kh

1.免震構造の設計の流れとポイント (20s/P)

55

11.5 周期調整とダンパー機能の付加

(免震周期、減衰定数)

・周期調整をすべり、転がり支承で行うとした場合、・減衰性能の追加を、

方法1・弾性すべり支承を活用して付加する。方法2・減衰機能付積層ゴムに取り替える。方法3・鋼材系(履歴系)ダンパー部材を付加する。方法4・流体・粘性系ダンパー部材を付加する。

目安 ∑Qy ≒ 0.04xW

ダンパー降伏係数:αs=Qy/W=0.04

Qy:ダンパーの降伏耐力

W:建物地震時重量

1.免震構造の設計の流れとポイント (20s/P)

56

Qy

水平変位δ

水平抵抗力Q

Page 27: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

1. 免震構造の設計の流れとポイント

1-15

方法1.周期調整と減衰部材として弾性すべり支承を追加

摩擦抵抗:Qy = μxNi

摩擦抵抗による履歴エネルギ吸収=減衰効果

μ: すべり摩擦係数 (=0.01~0.12)

Ni : 支持長期荷重(厳密には短期)注) 長期鉛直クリープが少ない。長期荷重の変動あり

すべり支承

Qy

水平変位δ

水平抵抗力Q

1.免震構造の設計の流れとポイント (20s/P)

57

方法2.減衰部材として減衰機能を有する積層ゴム支承に置換

鉛プラグ入り積層ゴム支承LRB

高減衰積層ゴム支承 HRB

錫プラグ入り積層ゴム支承 SnA

Qy = ΣQd, i

注)長期鉛直クリープがやや大きい。

減衰機能付き積層ゴム支承

Kp

水平変位δ

水平抵抗力Q

Qy

水平変位δ

水平抵抗力Q

+=

1.免震構造の設計の流れとポイント (20s/P)

58

減衰部材

Qy

水平変位δ

水平抵抗力Q

方法3.減衰部材として、鋼材系ダンパーを追加

Qy

水平変位δ

水平抵抗力Q

1.免震構造の設計の流れとポイント (20s/P)

53

方法4:減衰部材として流体・粘性系ダンパーを追加

オイルダンパー

粘性系ダンパー

Qy =ΣQd, i +内部剛性ΣKd,i・δ

注: 速度依存抵抗のため時刻歴評価が多い流体系、粘性系ダンパー

Kd

水平変位δ

水平抵抗力Q

+=

ピストン速度 1.0m/s

-1200

-600

0

600

1200

-500 -250 0 250 500

加振変位(mm)

縮み

減衰

力(k

N) 

伸び

Qd

水平変位δ

水平抵抗力Q

1.免震構造の設計の流れとポイント (20s/P)

60

Page 28: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

1. 免震構造の設計の流れとポイント

1-16

補足12:流体系ダンパーの流動抵抗型の動的特性

変位δー抵抗F 履歴曲線(例)

(Memo)■⊿Wとは減衰力C・V = Cωaが1サイクルになす仕事(a:振幅):

⊿W = Cπω・a2

振動しない場合ω= 0 ⊿W = 0

臨界減衰 Cr = 2√(K・M)減衰定数 h = C/Cr

ω =√(K/M)C = 2h・K/ωC = 2h・M・ω

■Wは、フレームなどの剛性kによるポテンシャルエネルギー

W = k・a2/2

■エネルギー消費率⊿W/W= Cπω・a2 /(k・a2/2)= 4hπ

h = ⊿W/(4πW)

実験性能によるCの規定

)0.11.0(

2aWC

π

Q= C・Vβ減衰係数

-800

-600

-400

-200

0

200

400

600

800

-150 -100 -50 0 50 100 150

変位(mm)

荷重

(kN

)

⊿W:ループ面積

Q=C・ωa W

a:振幅

, 減衰定数W

Whπ4

ΔW

(20s/P)

6161

補足13:流動抵抗型の動的特性評価

告示2009号の計算での扱い:

減衰係数 C vi = Q / V eq

Q:減衰力Veq:免震層の等価速度Veq= (2π/Ts)・δs = ω・δsTs ,δs : 設計限界周期、変位

■等価粘性減衰定数 heq

hv = heq = TsΣCvi /(4πM)

ΣCvi : 全ダンパーの性能

ここに、2hω=C/M h=C/(2Mω)ω=2π/Ts

M:上部構造の総質量

大速度Vmax-抵抗Q関係曲線(例)

流体ダンパーの特性値の決定

・ 大減衰力 ;Qmax

・ 減衰係数;C1, C2

・ 限界速度;Vmax

・ リリーフ荷重;Fy、・ リリーフ速度;Vy

Vy

Qy

Veq Vmax

リリーフ荷重

Cvi

Fmax

C1

C2

減衰力

速度

(20s/P)

62

Step12 . 免震性能を簡易法(包絡法)でチェック

「せん断力係数と免震層の変位の関係グラフ」

注:地盤種別を確認しておく 不明時:第2種を仮定

参考文献:P106,「4秒免震への道」、高山峯夫著 理工図書

OUTPUT : 免震層の応答変位; δcm

第2種地盤 Ve=150cm/sOUTPUT :免震層の層せん断力係数CB

INPUT : ダンパーの降伏せん断係数 α ;0.04

INPUT:免震周期Tf=5秒

変位δ

係数α

係数

C B Tf1.免震構造の設計の流れとポイント (30s/P)

63

補足14 : 包絡法の理論概要(1)

[エネルギーの釣合い] 免震層の吸収エネルギー=入力エネルギーWe(t) + Wp(t) = E(t)

ここに、We(t) :積層ゴムの弾性歪エネルギー、Wp(t) :ダンパーの吸収エネルギー

E(t) :地震による入力エネルギー

積層ゴム:弾性、 ダンパー:完全弾塑性とすると、 大変形時の吸収エネルギーは

We(t)= 1/2Kf・δ2maxKf :積層ゴムの水平剛性、 δmax : 大変形

Wp(t)= sQy・sδpsQy:ダンパー降伏せん断力、sδp:累積塑性変形量sδp = χ・δmax χ=8 ( 大変形が発生するまで、

ダンパーの繰り返し回数、統計的平均値)地震による入力エネルギー

E(t) = 1/2 M・V2eVe :1次固有周期Tの構造物への総入力エネルギーの速度換算値

第2種地盤:Ve = 150 (cm/s) , T > 0.75 sec

(20s/P)

64

Page 29: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

1. 免震構造の設計の流れとポイント

1-17

補足14-1 : 包絡法の理論概要(2)

Kfδ2max + 2sQy・χ・δmax - MV2e = 0ここで、sQy = αs ・Mg

-- ダンパー降伏せん断力係数:αs = sQy /MgTf = 2π√( M/Kf) : 積層ゴムのみの水平剛性

δmax=χ・g・αs・T2f [ -1+√((2πVe/(χ・g・αs・Tf))2+1)]/(4π2)

Kf ・δmax = αf ・Mg--- 積層ゴムのせん断力係数:αf =Kf・δmax /Mg

免震層のせん断力係数 α1 = αf+αs

(20s/P)

65

補足14-2 : 包絡法による免震層の性能設計例(第2種地盤:等価速度 Ve=150cm/s)

免震周期-免震層 大変位関係

0.00

1.00

2.00

3.00

4.00

5.00

6.00

7.00

0 10 20 30 40 50 60 70

免震層 大変位δmax(cm)

免震

周期

 T

f (s

ec)

0.05

0.01

0.020.030.04αs=0.1

適値

INPUT免震周期 : Tf = 5.61(秒)ダンパー降伏係数:

αs=0.035

OUTPUT免震層変位 :

δ=37.8cm

(20s/P)

66

補足14-3 : 包絡法による免震層の性能設計(第2種地盤:等価速度 Ve=150cm/s)

ベースシア係数-免震層 大変位関係

0.00

0.05

0.10

0.15

0.20

0.25

0.30

0 10 20 30 40 50 60 70

免震層 大変位δmax(cm)

ベー

スシ

ア係

数α

1

2.5

5.0

4.5

4.0

3.5

3.0Tf=2.0sec

5.5

6.5

6.0

適値

INPUT免震周期 : Tf = 5.61免震層変位 :

δ = 37.8cm

OUTPUT免震層の層せん断力係数:

α1= 0.083

(20s/P)

67

Next第2話モデル建物による告示計算による設計計算の解説

68

Page 30: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

2-1

2.モデル建物による告示計算の解説

第2話

モデル建物を用いた告示計算による

設計計算の解説(平12建告第2009号第6の解説)

CERA DESIGN 1

(60分/30s/90P)

1.限界耐力法を用いた免震層の設計概要

縮約:多自由度系 等価1質点系のモデル

平12建告1457 第7 (安全限界)

卓越周期(1次)の変形モードを用いて縮約する

有効質量 Ms = (Σmi・δsi)2 / (Σmi・δsi2 )

代表変位 ⊿s = (Σmi・δsi2) / (Σmi・δsi)安全限界固有周期 Ts = 2π (M・⊿s/Qs)

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (30s/P)

2

限界耐力計算法 : 動的応答を静的解法に近似

静的変形 動的応答

P = K ・ δ

変形:δ

外力: P

剛性: K

質量: M変形:±δ(t)

M・a(t) + C・V(t) + K・δ(t) = -Mg(t)

剛性: K

質量: M

減衰: C

慣性力 M・a

限界耐力法

M 固有周期

C 減衰効果h

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (30s/P)

外力:地震動P(t)=M・g(t)

3

応答スペクトル=1質点系(h=5%)の地震波 大応答

h =5%

M:質量

水平剛性:K

T=2π M/K減衰を無視した固有周期

減衰効果

固有周期の効果

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (30s/P)

加速度応答スペクトル

4

Page 31: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

2-2

2.モデル建物による告示計算の解説

応答スペクトル法による計算の概要(免震層の復元特性 と地震力の応答スペクトルの関係)

免震層変位:δ δr δs(収束)( δ基準変位) (δr応答変位)

地震力 Qe

設計限界変位 δs

免震層復元特性

平12建告2009 第6、2項5号

Qe=M・Sa(Ts)=M・Z・Fh・Gs・So(Ts)So(Ts)=5.12/Ts --(平12建告1461, 4号)

一方、免震層の設計限界変位δsを仮定すると免震層の水平抵抗Qr、等価剛性Keq=Qm/δsが決り、周期 Ts =2π√( M/ Keq ) - Qe が求まる。設定δs,TsによってQr, Qeが変動するが、

Qm -- Qe に近づけると、δs - 基準変位δ

ここで、 Qe曲線の横軸を変位δで表示する。

Sa(Ts)=ωs2・Sd(Ts) = (2π/Ts)2・δs

Qe= M・Z・Fh・Gs・ (2π/Ts)2・δsQr(δs)

よって、KeqとQe曲線の交点のδsにおいてのみSd=δsと一致し、Qeと釣り合う。

Qe

(60s/P)2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

5

補足1. 加速度応答Sa+変位応答Sd=>変形とせん断力関係

Sd

T

Q =Sa・M

Q

Sd Q = (2π/T)2・M・Sd

定常振動理論

Sa= ω2 ・Sd = (2π/T)2 ・Sd

ω = 2π/T

ω = √ K / M

加速度スペクトルが設定されれば、

周期Tと質量Mで変位応答スペクトルSdが算定される

Sa(既知) Q=Sa・M Sd = Sa/ω2 Q= (2π/T)2 ・M・Sd

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (30s/P)

Sd

Sa

T

6

補足1-1.地震波によるSa-T, Sd-T関係曲線

入力加速度スペクトル Sa(T)

0.0

2.0

4.0

6.0

8.0

10.0

12.0

14.0

16.0

0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0

T (秒)

加速

度ス

ペク

トル

Sa 

(m/s

2)

解放工学的基盤 Sa

El Centro ns L2 h=5%

BCJ-L2 h=5%

告示波h=5%

変位スペクトル pSd(T) = ω2・Sa(T)

0.0

0.2

0.4

0.6

0.8

1.0

1.2

1.4

1.6

1.8

2.0

0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0

T (秒)

変位

スペ

クト

ル S

d 

(m)

解放工学的基盤 pSd

El Centro ns L2 h=5%

BCJ-L2 h=5%

告示波h=5%

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

7

補足1-2. 地震波によるSa-Sd関係曲線

加速度スペクトル  Sa(T) = Sd(T)/ω2

0.0

2.0

4.0

6.0

8.0

10.0

12.0

14.0

16.0

0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0

Sd (m)

加速

度ス

ペク

トル

 S

a (m

/s

2)

解放工学的基盤 pSv

El Centro ns L2 h=5%

BCJ-L2 h=5%

告示波h=5%

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

8

Page 32: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

2-3

2.モデル建物による告示計算の解説

補足2. 告示(H12建告1461)計算法による応答スペクトル( 極稀地震動の工学的基盤So と入力地震動の応答スペクトルSa )

Sa

[Ts > 0.64s が対象 ]

Sa=Z・Fh・Gs・So(Ts) (m/s2)=5.12・Z・Fh・Gs/Ts

(例) 地域係数 :Z = 1.0減衰による低減率:Fh= 0.45 (下限値0.40)

Fh=1.5/(1+10(hd+hv)) 地盤増幅率 : Gs ≧ 1.23

工学基盤の応答スペクトル:So=5.12/Ts (Ts>0.64)

応答

スペ

クト

ルS

a(m

/s2)

周期 Ts(sec)Ts=0.16, 0.64

SoXG

s

xFh

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

Sa=8.0・Z・Fh・Gs

9

補足2-1:建物設計地震荷重の変遷 (出典:NTT BTI 2006)新耐震設計法の加速度応答スペクトルSaから限界耐力計算法のSaの設定経緯

1次設計:Qi=Z・Rt・Ai・Co・Σwi2次設計:Quni=Dsi・Fesi・Qi2次設計時のCBは

i=1の時, Ds=Fes=Z=Ai=1.0とすると

CB =Quni/Σwi =Rt・Co、

ここで、Sa・M=CB・M・GCo=1.0 - Sa=Rt・G第2種地盤 T< 0.6sの場合

Sa=1.0 x980 cm/s2この加速度を基準に

①多質点系有効質量比(限界耐力法の多質点系を1質点系とする換算誤差): 1.1~1.23倍、

② ①の加速度から第2種地盤の平均増幅率:1.5~2.0倍 - Sa=800cm/s2なお、入力速度Sv=Sa・ω=Sa・T/2πより

T=0.6s Sv = 980x 0.6/2π= 94 cm/s

T=1.2s -> Sv =0.8x980x1.2/2π=150cm/s

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

10

Q

δs

-δs Keq

免震層特徴

・バイ・リニアー形のスケルトンに適用される。

履歴特性によって異なるが、包絡線と振幅、

履歴ループ面積が与えられれば決定する

・塑性率μが大きくなると誤差が大きくなる。

補足3 :応答スペクトルに等価線形解析(非線形な履歴ループを等価剛性と等価減衰に分離)

大点剛性法Keq={ 1+γ( μ-1)} K / μここに、γ= Kp / K ,

Kp :塑性剛性, K :初期剛性μ = σmax / σy

heq=0.2 ( 1 1/ √μ)+0.02Te = 2π √(Keq/M)

11

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

ホテル(RC造、10階建)出典:構造設計・部材断面事例集

編集・発行:(財)日本建築防災協会2007

2.モデル建物と設計条件の解説(10分/60s)

CERA DESIGN

選定の理由① 現在法的に必要とされる代表的部材断面② 諸元が明確でモデルとして扱い安い③ 免震構造の計画で難しい1スパン3本柱構成

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

12

Page 33: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

2-4

2.モデル建物による告示計算の解説

建築面積:496m2

延床面積:5359m2

高高さ:37.30m軒高さ:33.4m階 数:地上10階

地下1階搭屋1階

長辺:40.5m,短辺:11.25mアスペクト比:2.97

建物概要 (南立面図)

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

13

建物概要 (基準階平面図)

長辺:5スパン 15室短辺:2スパン 中廊下 2室(仕上げ)

外壁:磁器質タイル貼り室内:ボードの上にクロス貼り

(仮定床荷重)・屋上 :DL=5400 N/m2・客室他 :DL=4300 N/m2・RC階段 :DL=6800 N/m2・ロビー、風除室他: DL=4950 N/m2

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

14

構造概要 (軸組図)

構造種別:RC造架構形式:桁行:純ラーメン構造張間:耐力壁付き

ラーメン構造基礎:杭基礎ここでは杭の設計は扱わない

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

15

構造概要 (基準階梁伏図)

(使用材料)1)普通コンクリート Fc 24 : 搭屋

Fc 27 : 8F 階立上~R階床以下Fc 30 : 6F 階立上~8階床以下Fc 33 : 4F 階立上~6階床以下Fc 36 : 4F 階床以下

2) 鉄筋 D10 ~D16 : SD295AD19 ~D29 : SD345 D32 ~D35 : SD390S13 ~S16 : 785 N/mm2 級 高強度せん断補強筋

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

16

Page 34: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

2-5

2.モデル建物による告示計算の解説

a) 地震地域係数 Z=1.0b) 地盤種別 第2種地盤c) 設計用一次固有周期 T=0.686秒(略算0.02h,h=34.3m)d) 振動特性係数 R=0.996e) 標準せん断力係数 Co=0.2

構造概要 (設計用地震力)

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

17

構造計算ルートの選定

3. 免震建築物の構造計算フロー

免震建築物の構造計算

指定性能評価機関

応答スペクトル解析法

60m超える建築物高さ

敷地地盤種別,免震層の位置

第1種または液状化のおそれのない第2種地盤、基礎免震

液状化のおそれのある第2種地盤、第3種地盤、中間階免震

60m以下

時刻歴応答解析法

建築確認機関へ

告示第6の構造計算

国土交通大臣の認定

判断

判断

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

18

3.1 応答スペクトル法の適用チェック

計算方法 :告示2009号第6申請ルート:確認申請適合条件 :告示2009号

・建物高さ =37.3m< 60m・基礎免震・平坦な地盤、周辺均一な根入れ深さ・液状化の恐れのない第2種地盤以上・工学的基盤の広がり確認*長周期地震対応 (告示設計は対象外)

免震部材 :大臣認定部材

(平12建告第1446号第1第九号)

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

19

1.免震層設置位置の確認と免震部材の選定

4. 免震告示第6の構造計算フロー(その1)

(1) 免震層の位置の確認1) 基礎免震: 下階の直下か剛強な地下階の直上2) 上下一対の床版を有する架構

2. 免震層の復元力特性の設定

NO

(2) 免震材料(部材)の選定1) 免震部材(アイソレータ・ダンパー等)の選定(配置・種類)(指定建築材料:鉛直性能・水平性能・限界性能

等の基準値を有する)

A

(1) 接線周期の確認

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

20

Page 35: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

2-6

2.モデル建物による告示計算の解説

免震層を基礎部位置の基礎免震とする4.1 免震部材の置き場所の選択

基礎免震構造

上部構造■ホテル■10階、地下なし■建物高さ : 37.3m■基準階高 : 3.2m

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

21

免震層

基礎 : 杭基礎■第2種地盤

4.2 支点反力を確認する(Case1,長期荷重)

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

22

4.3 免震部材の配置検討 (Case1)

オイルダンパー

弾性すべり支承積層ゴム支承

錫プラグ入り積層ゴム支承

全支点(柱脚)に免震部材を配置

弾性すべり支承

錫プラグ入り積層ゴム支承積層ゴム支承

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

23

補足4 : 免震部材を配置する上でのポイント

・平面配置計画のポイント:・免震部材は対称配置・積層ゴム系部材は外部エリア・すべり、転がりは内部エリア・ダンパー部材は外部エリア

・サイズバランス:・支持荷重∝水平剛性、抵抗・ダンパー部材は外周部に対称配置

・想定地震力に対する引き抜きの有無と対策

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

24

Page 36: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

2-7

2.モデル建物による告示計算の解説

想定地震力による支点反力から浮上りの有無を確認する

X方向(桁行き)加力時の変動反力

Y方向(梁間)加力時の変動反力

浮上あり : 4405kN-5189 =-784kN

浮上なし : 4405kN-3120 = 1285kN

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

25

4.4 免震部材の配置検討 ( 終案)

オイルダンパー

弾性すべり支承積層ゴム支承

錫プラグ入り積層ゴム支承

引き抜きを無くすため、Y2軸の免震支点を無くし、Y1,Y3列のみに配置なお、今回は告示設計を可能とする前提で引き抜き対応の免震部材は使用していない。

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

26

4.5 支点反力を確認する(Case2、長期荷重)

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

27

想定地震力による支点反力から浮上りの有無を全支点確認する

X方向(桁行き)加力時の変動反力

Y方向(梁間)加力時の変動反力

長期 : 6747kN-4490 =2257kN

更に0.7x6747-4490= 232kN

長期 : 6747kN-3380 = 3367kN

更に0.7x6747-3380= 1343 kN

4.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

28

Page 37: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

2-8

2.モデル建物による告示計算の解説

4.6 免震部材の配置調整免震部材タイプ、必要径、設計径、面圧、基準面圧

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

29

4.7 免震部材(支承材)の選定と諸元

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

30

4.8 限界性能曲線の確認 (H12告示1446号第1第9号)

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

31

弾性すべり支承の限界変形mδdは、積層ゴムの250%ひずみ程度以上とする 。Tr = 185mm - mδd ≧ 185 x 2.5 = 463mm

積層ゴム支承の限界ひずみは、400%のものとし、基準面圧で400% ひずみの圧縮変形性能を有するものを選択することが望ましい。

4.9 免震材料の限界性能曲線と用語(鉛直基準強度σo、 水平基準変形δu (σo/3で決定)、 設計限界変形mδd)

面圧圧縮限界強度

=σo

鉛直基準強度σo = 0.9σc以下

δu

設計で用いる範囲

σc0.9σc

mδd

σ0/3

面圧

水平変形

圧縮限界強度

σo

鉛直基準強度σo = 0.9σc以下

σo /3

δu

設計で用いる範囲

σc

0.9σc

mδd

弾性支承材水平変形

すべり・転がり支承材

基礎構造の安定性が必要

注:ダンパー材料は、設計限界変形mδd、限界速度の確認

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (30s/P)

≦基準面圧

32

Page 38: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

2-9

2.モデル建物による告示計算の解説

5. 免震告示第6の構造計算フロー(その2)

(2) 免震部材の選定

2. 免震層の復元力特性の設定

1) 選定したアイソレータの復元力特性の総和2) 選定したダンパーの復元力特性の総和3) 免震層の復元力特性の設定

3. 免震層の基準変位と地震力の算出

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

33

5.1 免震材料(部材)の水平性能と解析モデル(例)

積層ゴム支承(弾性) 鉛、錫プラグ入り積層ゴム支承他(弾塑性型)

弾性すべり支承

鋼材系ダンパー ・オイル系ダンパー(Q-d)・点線:内部剛性の効果

オイル系ダンパー(Q-V)(C1,C2:バイリニアータイプ)

Kp

水平変位δ

水平抵抗力Q

Qy

δ

Q

K1

K2=0Qy

δ

Q

K1

K2

Qy

δ

Q

K1

K2 or =0

Qd

δ

Q

Vy Veq Vmax

CeC1

減衰力 C2Qy

速度

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

34

5.2 免震層の基本性能のチェック

① 免震周期 Tf=2π M/Kh = 6.65 秒

M = W/g g=980cm/s2

Kh = As・G/Tr= Σkh,i

弾性すべり支承

減衰機能付き積層ゴム支承

流体系オイルダンパー

② 摩擦抵抗:Qy = μxNi = 2956 kN

μ:すべり摩擦係数(=0.075, 基準面圧時、中摩擦タイプ)

Ni : 支持長期荷重(厳密には短期)

積層ゴム支承

③錫プラグ入り積層ゴム支承 SnA

Qy = ΣQd, i = 1680kN (基準性能時)

④オイルダンパー BM

Qy =ΣQd, i +内部剛性ΣKd,i・δ

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

35

5.3 免震層の復元力特性のチェック注:オイルダンパーは減衰特性で入力加速度スペクトルで評価

基準性能状態、免震層の各免震部材の水平抵抗スケルトンカーブ

中摩擦弾性すべり支承

免震層の復元力特性

天然ゴム系積層ゴム

錫プラグ入り積層ゴム支承

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

36

注:安定変形域は

250%~260%歪以下

と考える

Page 39: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

2-10

2.モデル建物による告示計算の解説

補足5 : 免震層の応答に対する性能安全性の予備確認免震部材を設定したら、地震時せん断力を仮定し応答変形をごく簡単に推定。

1. 上部設計せん断力係数 Co ≒ 経験的仮定 0.122. 免震層のせん断力係数 Cm = 0.12 - 0.02 =0.10 3. 免震層のせん断力 Qm = 0.10 x We ( We≒0.95Wt) We : 地震時荷重

= 0.10 x 100600 =10060 (kN) Wt : 長期荷重

4. 免震層の静的推定の基準変位(エネルギー吸収評価なし)δ = (Qm - Qi )/ Ki = (10060 – 5766 )/10.64 = 403mm

Qi = 2956(SB1000)+1680(Sn950)+(500(F1)+260x(0.5-0.25))x2(BM200) (kN)= 2956 + 1680 + 1130 = 5766 (kN)

Ki = 4.88 (RB900) + 5.76 (Sn950) = 10.64 ( kN/mm )5.応答変位の推定

δr = nxδ = 1.1 x 1.3 x 403 = 576 mm < 水平クリアランス+ERR 650n : (ねじれ変動1.1)x(変動性能1.3)+ERR : 施工誤差+土圧による変形など

6.免震部材に対する変形の安全性応答変形 nxδ < mδu = 0.8x免震部材の限界性能 δu・RB積層ゴム支承: 636mm(=0.8x204x390%),Sn積層ゴム支承:590mm・オイルダンパー: 700mm - 0.9x 700=630mm (回転変形考慮)・すべり支承: すべり板のストロークで調整可

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

37

やや変形性能小

6.免震告示第6の構造計算フロー(その3)

(1) 免震層の変位と地震力の算出

1) 設計限界変位(δs≦β・δu)点の設計周期(Ts)の算出

2) 履歴ダンパーによる(又は流体ダンパーによる)等価粘性減衰定数(hd)の算出(δs点)

3) 加速度低減率(Fh)の算出(基準h=0.05)

4) 地盤増幅係数(Gs)の算出 (地盤のN値又はS波の速度、T1, Gs1,Gb)

5) 免震層に作用する地震力の算定(Qe = 5.12M・Fh・Z・Gs/Ts)

3. 免震層の基準変位と地震力の算出

4. 免震層の応答変位、偏心率等の確認

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

38

6.1 設計限界変位δsの算定

1. 各免震材料の限界変形から水平基準変形δuを求める。

2. 免震材料の限界変形曲線から

水平基準変形および設計限界変形mδd

mδd=β・δu

免震層の設計限界変位は免震材料のうち最小値以下

設計限界変位δs ≦ 設計限界変形 [ =min (mδd) ]

[ 低減係数 βの値 ]積層ゴム:0.8

すべり系・転がり系:0.9減衰材,復元材:1.0

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

39

6.2 設計限界固有周期などの算定

上部構造の総質量M、設計限界変位δs、免震層の復元力特性から設計限界固有周期などを算定

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

上部構造の総質量 M [t]= [kN・s2/m]

設計限界変位 δs ≦ min( mδd ) [mm]免震層のせん断力 Qr [kN]

免震層の等価剛性 Keq = Qr / δs [kN/m]

設計限界固有周期 Ts = 2π√(M/Keq) [s]

免震層の等価速度 Veq = 2π・δs / Ts [m/s]

注:振動する復元特性は、等価剛性と減衰特性に分離する。

40

Page 40: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

2-11

2.モデル建物による告示計算の解説

6.3 履歴系減衰材の等価粘性減衰定数hdの算定

履歴系減衰材の減衰定数1サイクル振動で入力されたポテンシャルエネルギー4πWが吸収エネルギー⊿Wに変換した比率

hd = 0.8 Wi / (4 Wi) : 減衰材総計

設計限界変位δs 時の

Wi : 履歴ループ面積 [kN・m]、 Wi : P・ s / 2 [kN・m] P : 装置の耐力 [kN]、 s 装置の変形 [m]

ΔWi Wi Wi

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

41

δs 水平変位

heq

0.8heqhd

hdc

δc

減衰定数 hd

δ

hd’

補足6 : 等価粘性減衰定数hdの特性ある程度の変形まで変形が小さくなるほどhdは大きくなる。

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

42

6.4 等価粘性減衰定数hdの算定と収束計算

hd = 0.8・(ΣΔWi)/(4πΣWi) = 0.282 (基準性能時)

ΣΔWi : 全免震部材吸収エネルギー = 5,432 (kN・m)ΣWi : 全免震部材ポテンシャルエネルギー = 1,228

基準性能時δs= 0.40m hd = 0.255

δs= 0.35m hd = 0.269

δs= 0.31m hd = 0.282設計限界変位 δs=0.31m -- δs= 0.40

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

43

6.5 流体系減衰材の等価粘性減衰定数hvの算定

流体系減衰材

hv=Ts・ Cve,i /(4 )

Ts:設計限界固有周期 [s] Cve:等価減衰係数 [kN・s/m]

Cve=F/VeqF: 減衰力

Veq:免震層の等価速度

Veq=2 s/TsM :上部構造の総質量 [t]

Vy Veq Vmax

リリーフ荷重

Cve

Fy

Fmax

C1

C2

減衰力

速度

流体ダンパーの特性値の決定

・ 大減衰力 ;Fmax・ 減衰係数;C1, C2・ 限界速度;Vmax・ リリーフ荷重;Fy・ リリーフ速度;Vy

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

44

Page 41: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

2-12

2.モデル建物による告示計算の解説

6.6 加速度低減率の算定(平12建告2009第6,建告1457第9)

減衰による加速度低減率Fhを算定

Fh=1.5/(1+10 (hd +hv))

≧ 0.4 (下限値)

hd : 履歴系減衰材の等価粘性減衰定数

hv : 流体系減衰材の等価粘性減衰定数

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

45

6.7 入力地震動スペクトルの導入モデル :1質点系モデル

M

減衰部材等価粘性減衰定数

履歴系 hd流体系 hv

免震層に作用する地震力 Q= Sa (t)・M・Fh加速度低減率(>下限値0.4) Fh=1.5/(1+10(hd+hv))

設計基準時δs = 0.40m -- Fh=0.353 ; hd=0.253, hv=0.072

δs = 0.35m -- Fh=0.369 ; hd=0.267, hv=0.075

δs = 0.33m -- Fh=0.333 ; hd=0.274, hv=0.076

ただし、 Fh ≧ 0.40 (制限下限値に設定)

上限性能時 Fh = 0.328 --- 0.40下限性能時 Fh = 0.346 --- 0.40

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

46

6.8 表層地盤の加速度増幅率の算定(平12建告1457 第10)

Gs = f (Gs1,T1,Ts) ≧1.23 (下限値)

= (Gs1 1) / [(1/1.2T1-0.1)・Ts]

+ Gs1(Gs1-1) / [(1/1.2T1+0.1)・1.2T1]

1.2T1 < Ts : 一般に免震構造の場合

T1 : 表層地盤の一次卓越周期

T1 = 4(ΣHi)2/(Σ(√(Gi(γ)/ρi) Hi)

Gs1 : 一次卓越周期に対する増幅率

Gs1 = 1/(1.57h+α) かつ > 1.2

α = ρe・Vse/ρB・VsB : 波動インピーダンス比

非減衰時:{上層振幅/(2x入射波振幅)}={1/α}

h = Σ(hi(γ)・Wi)/ΣWi : 表層地盤平均減衰定数

Wi = Gi(ui-ui-1)2/2Hi : i層の歪みエネルギー

ρi, Gi(γ),h(γ)、Hi

ρi, Gi(γ),h(γ), Hi

ρB, B(γ)工学的基盤

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (30s/P)

47

6.9 地盤の特性概要(仮想計画地ボーリング柱状図)

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

48杭基礎支持層v

Page 42: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

2-13

2.モデル建物による告示計算の解説

6.10 地盤の特性概要 (地層の諸元と基礎の設定)

卓越周期 T1=Tg=0.331 秒 (S55建告第1793号)- 第2種地盤

表層地盤の一次卓越周期 T1= 0.734 秒 →極稀地震時表層地盤の二次卓越周期 T2(=T1/3)= 0.245 秒波動インピーダンス比 α= 0.120

地盤の減衰定数 h= 0.112 >0.05 OK一次卓越周期に対する増幅率 Gs1= 3.393 >1.2 OK二次卓越周期に対する増幅率 Gs2= 1.550

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

49

6.11 地盤の特性概要 (地層の諸元)

0.00

0.03

0.06

0.09

0.12

0.15

0.18

0.21

0.24

0.27

0.30

0.0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

0.9

1.0

0.00001 0.0001 0.001 0.01 0.1

減衰

定数

h

低減

係数

G/G

0

せん断ひずみ

(学会)砂質土低減係数(試験)粘土低減係数第1層6回収束第2層6回収束第3層6回収束第4層6回収束第5層6回収束第6層6回収束第7層6回収束第8層6回収束第9層6回収束第10層6回収束第11層6回収束第12層6回収束第13層6回収束第14層6回収束(学会)砂質減衰定数"(試験)粘土減衰定数

地層No 地層年代 土質 層厚 深度 平均N値 密度 年代係数 土質係数 換算 手入力 せん断剛性

ボーリングNo1 d(m) H(m) N ρ(t/m3) Yg St Vs(m/s) Vs(m/s) G0(kN/m2)

1 沖積層 中砂 1.50 0.75 5 1.60 1.000 1.066 91 130 0.00 27040

2 洪積層 粘土 1.50 2.25 5 1.40 1.303 1.000 139 160 0.93 35840

3 洪積層 粘土 2.00 4.00 12 1.40 1.303 1.000 181 160 1.00 35840

4 洪積層 粘土 1.70 5.85 4 1.60 1.303 1.000 161 170 0.82 46240

5 洪積層 粘土 1.30 7.35 2 1.60 1.303 1.000 150 170 1.00 46240

6 洪積層 粘土 1.50 8.75 5 1.60 1.303 1.000 182 170 1.00 46240

7 洪積層 粘土 1.00 10.00 9 1.60 1.303 1.000 206 180 0.94 518408 洪積層 粘土 1.70 11.35 6 1.60 1.303 1.000 197 200 0.90 640009 洪積層 細砂 1.30 12.85 32 1.80 1.303 1.086 293 290 0.61 15138010 洪積層 細砂 1.50 14.25 38 1.80 1.303 1.086 308 290 1.00 15138011 洪積層 細砂 1.00 15.50 44 1.80 1.303 1.086 321 290 1.00 15138012 洪積層 粘土 1.00 16.50 12 1.70 1.303 1.000 239 240 1.28 9792013 洪積層 粘土 1.00 17.50 6 1.70 1.303 1.000 215 240 1.00 9792014 洪積層 粘土 0.70 18.35 10 1.70 1.303 1.000 237 240 1.00 9792015 工学的基盤 砂礫 2.00 18.70 60 2.00 1.303 1.153 373 730 0.28 1065800

波動インピーダンス比

杭基礎支持層

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

50

6.12 入力地震動スペクトルの算定

0.64<Ts

卓越周期 T1=0.734 秒, T2=0.245秒,(極稀地震時),減衰定数 h=0.112, 波動インピーダンス比α=1.28 (出力/入力比)1,2次卓越周期に対する増幅率 Gs1=3.393 (>1.20), Gs2=1.550設計基準性能時 Ts=4.37s, Gs =1.297上限性能時 Ts=3.77s, Gs =1.382 下限性能時 Ts=5.03s, Gs =1.228 --- 1.23 (下限制限、採用値)

地表面の加速度応答スペクトルSa(t)=5.12・Z・Gs(t)/Ts

(上限状態:Ts=3.77 s > 0.64s

設計限界変位 0.30m 収束値)

表層地盤による加速度増幅率Gsと採用値(下限値1. 23 )

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

51

補足7 : 工学的基盤から表層地盤での大速度増幅率Gsの分布(参考値)

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

52出典:全国地震動予測地図(地震調査研究本部)

Page 43: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

2-14

2.モデル建物による告示計算の解説

6.13 免震層の地震力(極稀)の算定

Qe= M・Z・Fh・Gs・So(Ts) ------ Fh, Gs, Ts

=5.12 M・Z・Fh・Gs/Ts (免震の場合:0.64≦Ts)

Q e:免震層に作用する地震力

M:上部構造の総質量

Fh:加速度低減率(Fh≧0.40)

Z:地域係数

Gs:表層地盤による加速度増幅率

Ts:設計限界固有周期

So:解放工学的基盤の加速度応答スペクトル

So(Ts)= 5.12 / Ts (免震の場合:0.64≦Ts)

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

53

減衰(hd’+hv)の応答スペクトル

6.14 設計限界変位の更新(収束)による

応答スペクトルの変動関係

設計限界変位

減衰(hd+hv)の応答スペクトル

減衰(hdc+hv)の応答スペクトル

せん断力Q

δuδs 水平変位

免震層の復元力特性

水平基準変形

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

54

6.15 地震層せん断力スペクトルQeの修正Q=5.12・M・Fh・Z・Gs / Ts 修正 Fh=1.5/(1+10hd)

ただし、本計算では、Fhが上限値0.40となるためQの変化はない。

設計限界変位 δs=0.40m Fh=0.40設計限界変位 δs=0.31m Fh=0.40

注:設計限界変位の収束計算によって、等価剛性は高くなるが、応答変位が少なくなり、免震層のせん断抵抗が低下

し、構造設計では優位となる。

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

55 δs

減衰(hd’+hv)の応答スペクトル

設計限界変位

減衰(hd+hv)の応答スペクトル

減衰(hdc+hv)の応答スペクトル

せん断力

δuδsδδc収束値

基準変位

水平変位

Q収束値Qc

Qr免震層の復元力特性

設計限界変位時等価剛性K (1回目)

水平変位

heq

0.8heqhd

hdc

δc

減衰定数 hd

2回目等価剛性K’

δ'

hd’

δ’

3回目等価剛性K’’

水平基準変形

6.16 応答変位δと収束変位δcの関係

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (30s/P)

56

Page 44: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

2-15

2.モデル建物による告示計算の解説

7. 免震告示第6の構造計算フロー(その4)

(1) 免震層の性状確認1) 地震力を等価剛性で除して層間変位

(応答変位δr=1.1α・δ)を算出2) 免震層の偏心率0.03 (3%) 以内3) 減衰装置のせん断力負担分相当のシャー係数

μ≧0.03

(1) 接 線 周 期 の 確 認(Tt)

3. 免震層の基準変位と地震力の算出

4. 免震層の応答変位、偏心率等の確認

5.接線周期の確認

2.5秒以上、但し、高さ13m・軒高9m以下

のもの2秒以上Yes

No

A

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

57

7.1 免震層の応答変位の算定

応答変位δrの算定

免震層の基準変位 δ = Qe(Ts) / Keq(Ts) [m]免震装置(材料)のばらつき、環境および

経年変化に関する増幅係数 α>1.2免震層の代表変位 δ‘r = α・δ [m]免震層の応答変位 δr = 1.1・δ’r [m]

< δs ∴OKただし、免震材料の負側の変動を考慮した免震層の復元力特性を用いた

算定では α=1.0 とし、各変動状態の免震層の復元特性を用いてδrを算定。

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

58

7.2 免震層の基準変位δの算定・収束値変位δcの算定

設計限界変位δsを第1回目の応答変位δr,1とし、δs変位時の応答スペクトルを作成し、等価剛性曲線との釣合い計算を収斂させる

即ち、釣合い交点から基準変位δ,1をもとめ、

基準変位δ,1から応答変位δr,1を求める。

δ r,1=1.1・α・δ,1δ r,1< δ s,1

ならば、 δ s,2 δr,1 とし、繰り返す。

収束値変位 δc = δr,n≦ δ s,n-1---->6.16節の説明図参

α:積層ゴム変動係数≧1.2

係数1.1:ねじれ効果

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

59

7.3 減衰材の負担せん断力の算定

(せん断力負担分相当のシャー係数μ、設計基準状態 )

μ=√{(Qh + Qe)2+2 ε (Qh +Qe) Qv+ Qv2} ・(Qh+ Qv)

/(M ・ g(Qh+Qv+Qe)

≧0.03 (下限条件)

Qh :基準変位時の弾塑性系の減衰材(LRBなど)が負担するせん断力

Qe :基準変位時の復元材(積層ゴムなど)が負担するせん断力

Qv :Vr’(基準変位時の免震層の応答速度)から求まる粘性・流体系減衰材の抵抗力

Vy :流体系の各減衰材の降伏速度の 小値

ε:流体系減衰材の降伏を想定

Vr’ < Vy : ε = 0 、Qh ,Qeと位相差90度Vr’ > Vy : ε = 0.5

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

60

Vy Veq Vmax

ε=0.5

Fy

Fmax

C1

C2

減衰力

速度

ε=0

Page 45: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

2-16

2.モデル建物による告示計算の解説

7.4 設計用層せん断力の算定

Cri= {(Qh + Qe)2+2 (Qh +Qe)・Qv+Qv2} ・{ Ai (Qh+ Qv) +Qe} /[M・g・(Qh+Qv+Qe)]

注:AiがQeに掛かっていない!

Cri:下部構造を除いた部分の一定の高さにおける地震層せん断力係数注:i=1 : 免震層、 i=2 : 1階γ:免震装置(材料)のばらつき、環境・経年変化の変動係数

Qh:基準変位時の弾塑性系の減衰材が負担するせん断力

Qe:基準変位時の復元材が負担するせん断力

Qv: Vr’(基準変位時の免震層の応答速度)から求まる減衰材の抵抗力

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

61

7.5 応答性能の算定 (基準性能(認定性能)時、収束時)

基準性能状態、免震層の水平抵抗スケルトンカーブと地震力による応答解析結果

任意な設計限界変位δs < δu の設定設計限界変位時の等価剛性: Ke設計限界固有周期 =3.971sec

(Ts > 0.64sec)

δr 用の免震材料の変動係数α=1.0Cri 用の免震材料の変動係数γ=1.0

免震層の地震力曲線:QQ=5.12・Gs・M・Z・Fh/Ts=7,110 kN

免震層の基準変位:δδ= Q/ Ke = 0.278 m

接線周期(δ時)=6.153sec > 2.5 s

応答変位δr=0.306 m (=1.1xαx δ, α=1.0)

設計用免震層の地震力:Qiso, ε=0Qiso = Qh(δ)+ Qe(δ) = 8813kN, γ=1.0

免震層の層せん断力係数Cr1=0.088上部構造のベースシャ係数 Cri=0.095

●設計限界変位:δs

減衰hd+hv時の応答スペクトルQ=5.12M・Fh・Z・Gs/Ts

免震層に作用する地震力:Qiso = Qh + Qe

基準変位:δ

○応答変位 δr

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (30s/P)

62

7.6 免震部材の性能変動の設定(その1)1.設計基準状態: 以下の設計建物の条件による変動要因を考慮

面圧依存 (長期荷重で考慮)、変形・歪依存 (設計変形・歪時で考慮)繰り返し依存 (設計回数8程度)、速度依存( 大応答速度で考慮)

2. ばらつき変動(±値) : 製造 誤差、 経年変動、 温度変動3.上限状態、下限状態 = 設計基準状態 + ばらつき変動(+値:上限、ー値:下限 )

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

繰り返し変動特性-10%考慮

63

7.7 免震部材の性能変動の設定(その2)

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

繰り返し変動特性-20%考慮

オイルダンパーの変動性能

64

Page 46: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

2-17

2.モデル建物による告示計算の解説

7.8 免震部材の設計基準時の変動率

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

65

設計3状態区分(標準(認定)性能をベースとし、①建物の設計条件で決定される要因と②ばらつき要因の上限、③ばらつき要因の下限で分類)

①設計基準性能状態=標準性能状態 x ( 1 + 変動率 )・面圧依存性による変動率・変形(歪)依存性による変動率・繰り返し依存性による変動率・速度依存性による変動率

●天然ゴム系積層ゴム(弾性系) 注)東京 温度範囲 2.1℃~30.8℃

入力 標準 設計基準

ΣnK1(kN/m) 4880 -5% 4636

歪み変化 (%) -10%面圧変化 (%) 5%

●弾塑性系積層ゴム(錫プラグ入り積層ゴム支承)入力 標準 設計基準ΣnK1(kN/m) 644000 -21% 508760

ΣnK2(kN/m) 5760 -21% 4550

ΣnQy(kN) 1680 -25% 1260

剛性K1変動 歪み変化 (%) -21%面圧変化 (%) 0%

剛性K2変動 歪み変化 (%) -21%面圧変化 (%) 0%

降伏変動 歪・繰返変化 (%) -25%面圧変化 (%) 0%

●中摩擦系弾性すべり支承入力 標準 設計基準ΣnK1(kN/m) 116400 5% 122220ΣQy(kN) 2957 -10% 2661

剛性K1変動 面圧変化 (%) 5%

降伏変動 面圧変化 (%) 10%速度変化 (%) 0%繰返変化 (%) -20%

●流体系ダンパー入力 標準 設計基準

ΣnC1(kN・s/m) 4000 -5% 3800ΣnC2(kN・s/m) 520 -5% 494ΣnFy(kN) 1000 -5% 950

減衰係数C1,C2変動 繰返変化 (%) -5%

繰返変化 (%) -5%リリーフ荷重Fy変動

7.9 免震部材の上限・下限性能時の変動率

設計3状態区分(標準(認定)性能をベースとし、①建物の設計条件で決定される要因と②ばらつき要因の上限、③ばらつき要因の下限で分類)

②上限性能状態(プラス側変動)=設計基準性能状態 x (1+ 変動率)・経年変化による上限変動率・免震層の温度変化による上限変動率・製造誤差による上限変動率

③下限性能状態(マイナス側変動)=設計基準性能状態 x (1+ 変動率)・経年変化による下限変動率・免震層の温度変化による下限変動率・製造誤差による下限変動率

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

66

7.10 変動性能状態時の免震層の水平抵抗変動

変動性能状態時の免震層の水平抵抗スケルトンカーブ

設計基準状態

下限性能状態

上限性能状態

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

67

7.11 応答性能の算定(免震部材の変動解析)

図-設計基準状態、変動性能状態、免震層の水平抵抗スケルトンカーブと地震力による応答解析結果

・設計限界変位δs上限 δs = 0.30 m下限 δs = 0.36 m

・設計限界固有周期上限 Ts = 3.77sec下限 Ts = 5.03sec

・免震層の地震力:Q上限 Q = 7656 kN下限 Q = 5107 kN

・免震層の基準変位:δ上限 δ = 0.27 m下限 δ = 0.32 m

・応答変位δr 上限 δ = 0.298 m下限 δ = 0.353 m

・免震層の層せん断力係数Cr1上限 Cr1 = 0.095下限 Cr1 = 0.063

・上部構造のベースシャ係数Cri上限 Cri = 0.103下限 Cri = 0.068

0

2000

4000

6000

8000

10000

12000

14000

16000

0.00 0.10 0.20 0.30 0.40 0.50 0.60

せん

断力

(kN

)

変位(m)

応答変位基準変位

下限性能特性

上限性能特性

設計基準特性

免震層地震力Qiso

Qiso:上限時を採用

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (30s/P)

68

Page 47: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

2-18

2.モデル建物による告示計算の解説

7.12 免震層の偏心率計算結果免震材料の水平変形量と偏心率(%)

δ(mm) 400 50 100 200 300 400

小径装置歪% 167 21 42 83 108 167

偏心距離 X(mm) 53 53 53 53 53 53

Y(mm) -47 -63 -29 -29 -40 -47

偏心率 X(%) 0.36 0.59 0.26 0.24 0.31 0.36

Y(%) 0.40 0.50 0.48 0.44 0.42 0.40

固有周期Te(s) 4.55 2.12 2.79 3.60 4.15 4.55

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

69

注:小振動から始まる地震動は小変形でねじれ出すと大変形時にねじれが納まりにくい、よって、小変形時から偏心率を制御することが重要

補足8 : 免震層の偏心率算定と確認 (0.03以下)

.

重心(m):Xg, Yg

剛心(m):Xk, Yk

偏心距離(m):ex, ey

回転剛性(kN/m・m )2

応答変位時の偏心率 Rex,Rey

03.0eX

XeX r

eR 03.0

eY

Y

eY re

R

)( mK

KK

KrrY

r

X

reYeX

Xg=Σ(N・X)/ΣN、 Yg=Σ(N・Y)/ΣN

Lx=Σ(K・X)/ΣK、 Ly=Σ(K・Y)/ΣK

弾力半径 rex, rey

Kr=Σ(K・X’2)+Σ(K・Y’2)

ex=|Xg-Lx|、 ey=|Yg-Ly|X’=X-Lx , Y’=Y-Ly

ポイント:Krを大きくする : 建物平面外周に剛性の高い免震部材を配置する。

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

70

6. 上部構造の安全性の確認

(1) 地震を除く荷重(風・雪)に対する安全性の確認1) 上部構造架構の応力の算出2) 断面の応力度の算出3) 許容応力度以内の確認

(2) 地震時における上部構造の安全性の確認

1) 地震層せん断力(Criより算出)による架構応力の算出2) 断面の応力度の算出3) 許容応力度以内の確認4) 各階層間変形角の確認

(1/300、但し、高さ13m・軒高9m以下のもの1/200)

7. 免震部材の安全性の確認

8. 免震告示第6の構造計算フロー(その5)

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

71

補足9 : 風荷重に対する安全性の確認

設計風速Vo(令87条)では降伏させない。

暴風時(令82条の5、1.25xVo)では多少の降伏を許容する。

ただし、免震部材の変動・劣化を考慮した条件で、残留変形を推定し、その変形が大きな場合は戻し方を検討しておく。

δL

tQy

水平変位δ

水平抵抗力Q暴風時

設計風時

免震層の設計方針の例

令82条の5 暴風時

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (30s/P)

72

免震層の復元力曲線

Page 48: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

2-19

2.モデル建物による告示計算の解説

8.1 耐風性能のチェック+免震効果の発生震度の推測

設計風速Vo(令87条)では降伏させない。

暴風時(1.25xVo)では多少の降伏を許容する。

ただし、免震部材の変動・劣化を考慮した条件で、残留変形を推定し、その変形が大きな場合は戻し方を検討しておく。

赤字入力

●設計風に対する免震層の変形

免震層のせん断力Qw = 2609.7 (kN)

免震層の 大水平変形δw = 9 (mm)

免震層の残留変形δL= 0.0 (mm)

*弾性範囲のため

●大規模な暴風に対する免震層の変形

残留変形の推定では、暴風の50%は変動風速が占めるとし、

変動風速による変形は動的振幅を伴うため、残留変形に与える

影響はわずかであるとしている。

免震層のせん断力Qw = 4175.5 (kN)免震層の 大水平変形δw = 20 (mm)免震層の残留変形δL= 0 (mm)

*弾性剛性に比例にて戻る(注) 暴風時はロックキー設定

●免震効果の発生する地震動免震効果の発生変位  約 22 (mm)免震効果の発生荷重  約 4500 (kN)推定入力 大加速度 44.4 (cm/s2)免震効果発生震度階 震度Ⅳ (25~80cm/s2)

暴風時の 大水平残留変形δL= 0 (mm)

0

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

せん

断力

(kN)

変位 (mm)

風荷重と免震層の復元力特性

免震部材特性

免震効果発生点

極稀の暴風時

稀の暴風時

稀予測復元ライン

極稀予想復元ライン

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

73

8.2 応答性能の算定結果(1/2) :チェックポイント

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

74

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

75

8.2 応答性能の算定結果(2/2) :チェックポイント 8.3 上部構造の設計層せん断力の設定

これまで設計層せん断力係数Ciの設定を設計者判断により、ある程度の余裕を持たせ算定値の”1.1~1.2倍程度”が望ましいとしてきた。今回は、次節の地震応答解析結果も包絡

するように1次設計Ciを設計層せん断力係数とする。

地震歴の調査

地域による告示レベルとの相違

地盤特性とモデル化の誤差

目標耐震性能に対する余裕率

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

注:推奨とは告示値を採用する場合で計算値の1.1倍程度

76

地震応答の増幅Ai分布の誤差

1次設計Ci時刻歴地震応答の影響を考慮して決定する

Page 49: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

2-20

2.モデル建物による告示計算の解説

6. 上部構造の安全性の確認

1) 圧縮応力度 ≦ 長期・短期の許容応力度

2) せん断応力度 ≦ 長期・短期の許容応力度以内

3) 上部構造の転倒軸力と鉛直動の和 ≦ 圧縮材料強度

4) 上部構造の転倒軸力と鉛直動の和 ≧ ゼロ(引き抜き状態にならない)

7. 免震部材の安全性の確認

8. 下部構造の安全性の確認

9. 免震告示第6の構造計算フロー(その6)

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

77

9.1 支承材の地震時鉛直荷重に対する検討

地震時の変動軸力の算定

・地震時の変動軸力(NE)は転倒モーメント算定から

または、設計地震力載荷による弾性解析による。

上下動(±0.3G以上)を考慮、

・圧縮検討時 1.3NL+NE < 圧縮強度、

・引張検討時 0.7NL- NE > 引張強度: 0告示上は免震部材(材料)の材料強度以下

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

78

9.2 免震部材の地震応答時の安全性能確認

注) 上下震動の考慮:圧縮側 長期荷重 x 1.3倍引張側 長期荷重x 0.7 倍

0.9σc Fc

鉛直基準強度

1/3Fc

2/3Fc

(10)

0

10

20

30

40

50

60

0 100 200 300 400

圧縮

応力

(N

/m

m2)

水平ひずみ(%)

Sn950 圧縮-変形限界曲線

σc 0.9σc Fc鉛直基準強度

1/3Fc 長期 2/3Fc

1.3N-X 短期 1.3N-Y 短期 0.7N-X 短期

0.7N-Y 短期 引限界張

0.9σc

Fc

鉛直基準強度

1/3Fc

2/3Fc

(10)

0

10

20

30

40

50

60

0 100 200 300 400

圧縮

応力

(N

/m

m2)

水平ひずみ(%)

RB900 圧縮-変形限界曲線

σc 0.9σc Fc鉛直基準強度

1/3Fc 長期 2/3Fc

1.3N+X 短期 1.3N+Y 短期 0.7N-X 短期

0.7N-Y 短期 引限界張

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

79

9.3 免震部材の地震応答時の安全性能確認

注) 上下震動の考慮:圧縮側 長期荷重 x 1.3倍引張側 長期荷重x 0.7 倍

オイルダンパーの安全性確認

・応答変形x1.2 = (353x1.1)x1.2(変形角)= 388 x 1.2 = 466 mm

< 700mm (限界変形)

・免震層の応答速度Vr=0.973 < 1.2m/s (設計限界速度)

0.9σc =Fc

鉛直基準強度

1/3Fc

2/3Fc

0

10

20

30

40

50

60

0 100 200 300 400 500 600

圧縮

応力

(N/m

m2)

水平変形(mm)

SB1000 水平抵抗-変形限界曲線

σc 0.9σc Fc鉛直基準強度

1/3Fc 長期 1.3N-X短期

1.3N-Y 短期 0.7N-X 短期 0.7N-Y 短期

2/3Fc

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

80

Page 50: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

2-21

2.モデル建物による告示計算の解説

(1) 地震を除く荷重(風・雪など)に対する下部構造の安全性の確認1) 下部構造架構の応力の算出2) 断面の応力度の算出3) 許容応力度以内の確認

7. 免震部材の安全性の確認

8. 下部構造の安全性の確認

(2) 地震時における下部構造の安全性の確認

1) 下部構造用のせん断力の算定(上部からのせん断力+地中の震度×2)

2) 断面が短期許容応力度以下

9. クリアランスの確保

10. 免震告示第6の構造計算フロー(その7)2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

81

10.1 地震時の基礎部へ伝達応力Q1:1階の層せん断力

NL+NS+Nv:長期+地震時軸力+上下動

水平変形による付加モーメント

We=土圧+水圧+地震力Ws上部からの伝達荷重

Qp= (Qm + Qb + We)αα:根入れ低減率

免震層の層せん断力

Qm=Σ(Kh・δ+Qd)

基礎重力による慣性力

Qb= k・WbまたはWb・g(t)/G

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

82

Q2:1階床・梁部の水平力

注:低減率αは、設計条件に合わせて検討

10.2 下部構造、基礎部の設計荷重

Qiso = γ・√((Qh+Qe)2+2ε(Qh+Qe)Qv+Qv2)= 8,773 kN

(令第88条第4項に規定する地震力)×2

F = 2・ K・ Wb

H : 地下深さ (m)K > 0.1(1-H/40)・Z

⇒ 設計せん断力Qd > Qiso + F + (擁壁からの荷重)注:“擁壁からの荷重”は、建物周辺に不均等に分布する場合に検討を要する。

基礎構造の安全重視

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

83

10.3 付加曲げモーメントに対する検討

高力ボルト・フランジプレート

・取付けプレートの検討

スタッドボルトのせん断耐力

・引張り耐力の検討

鉄筋コンクリートキャピタル

・フーチング断面検討

つなぎ梁・基礎梁の検討

1

u2

S

1 1

S

QQ

δ

δ

hN

δ

N

h d2

u1h

h d1

2δ基礎梁中心

Z1梁中心

弾性滑り支承天然ゴム系積層ゴム支承

Ms Ms

Ms Ms

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (30s/P)

1F床大梁に作用するMs*天然ゴム系積層ゴム支承

Ms = Ns ×δ1/2 + Q×hu1*弾性滑り支承

Ms = Ns × δ2/2 + Q×hu2

基礎梁に作用するMs*天然ゴム系積層ゴム支承

Ms = Ns×δ1/2 + Q×hd1*弾性滑り支承

Ms = Ns×(δ1-δ2/2)+Q×hd2

84

アンカーボルト

フランジプレート

袋ナット

アンカープレート

フーチング

フランジプレート

フランジプレート

装置高さ h

袋ナット

スタッド

長期荷重時のコンクリート部の圧縮応力状態

袋ナット

アンカーボルト

袋ナット

アンカープレート

下部フーチング

フランジプレート

フランジプレート

装置高さ h水平変形量

δ

スタッド

地震時のコンクリート部の圧縮応力状態

 Xn

 De ;等価柱せい

Page 51: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

2-22

2.モデル建物による告示計算の解説

11. 免震告示第6の構造計算フロー(その8)

8. 下部構造の安全性の確認

1) 免震層変位に0.2m(状況による0.8、0.1)を加算

9. クリアランスの確保

構造計算終了

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

85

(3)「 (1), (2)以外の場合」軒先の例 (2)「 (1), (2)以外の場合」住宅などの例

クリアランスの確保の例(第6,3項5号による構造計算における場合)

建物庇等

10cm以上

地震応答変位

周囲の構造物等

建物壁面

建物

犬走り等

10cm以上

地震応答変位

免震層基礎

GL

建物壁面

建物

犬走り等

10cm以上

地震応答変位

免震層

免震層

基礎

GL周囲の構造物等

11.1 構造計算におけるクリアランスの確保

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

86

地震時に開口の発生禁止

11.2 必要クリアランス δ req の算定

免震層の必要クリアランス(状況により判断, δr:応答変位)

1) 通行の用に供する場合 δ req = δr+0.80 [m]2) 人の通行のある場合 δ req = δr+0.20 [m]3) 上記以外の場合 δ req = δr+0.10 [m]

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

周囲の構造物等

建物壁面

80cm以上

地震応答変位

周囲の構造物等

建物壁面

20cm以上

地震応答変位

周囲の構造物等

周囲の構造物等

(1)「通行のように供する場合」 (2)「人の通行のある場合」

クリアランスの確保の例(第6による構造計算における場合)87

11.3 変形クリアランスの確保

応答変位δr:36.0 cm

設計変位: 40.0 cm

躯体クリアランス:50cm

外壁クリアランス:> 130(=40+40+50)cm

隣地境界

外壁面

設定例

注:隣地境界まで障害物のある場合は、障害物までの距離

注:外壁面位置がキャピタル面と同じ場合

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

88

Page 52: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

2-23

2.モデル建物による告示計算の解説

Ⅲ 免震建築物の耐久性等

1. 免震層は点検可能2. 免震材料は交換可能3. 免震建築物であることの表示4. 積雪時に変位拘束しない5. その他の耐久性等関係規定

Ⅳ 免震層の施工管理

(1) 耐久性等関係規定を満足

竣工後の維持管理

Yes

免震層の設計終了

免震建築物の施工

Ⅴ 免震層及び免震部材の維持管理

12. 免震告示第6の構造計算フロー(その9)

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

89

補足10-1 : 風用(設計外の長周期・巨大地震)拘束装置の取り扱い①地震時応答変位を超える位置に設置・地震時の応答変位を計算した上で応答変位以降の範囲に設置されていることを確認(本告示で対応可)

地震応答変位 風応答変位

ケーブル 控え壁

風用拘束装置の考え方の例

例:拘束装置-1 拘束装置- 2

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

ゴムブロックとRC造拘束台の実例

ゴムブロックとRC造拘束台の実例90

風用拘束装置がある場合の免震層の復元力と風応答変位

Q: 免震層のせん断力免震層の復元力

Q(1.6w)

Q(1.0w)

w 風応答変位免震層の変位

風用拘束装置の復元力

免震装置B(支承材)の復元力

免震装置A(減衰材)の復元力

wo 風用拘束装置が効き始める変位

補足10-2 : 暴風に対する設計の考え方

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

91

Next第3話時刻歴地震応答解析法による設計計算の解説と相違点の比較

92

Page 53: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

3-1

3.時刻歴地震応答解析法の解説

第3話

時刻歴地震応答解析法による設計計算の解説と

告示計算結果との比較

設計ルート : 大臣認定(時刻歴地震応答解析による設計は建物規模によらない)

(準拠基準)

・免震部材 : 平12建告第1446号第1第九号

・外力(地震、風、雪) : 平12建告第1461号の方法

・耐久性等関係規定 : 平12建告第2009号の第5

(参考基準)

設計方針・考え方 : 平12建告第2009号の第1~4,6

1CERA DESIGN

(50分/30s/45P)

地震応答解析による計算概要(2次元質点系モデルの例)

構造減衰 :等価粘性減衰 h=3% (RC造)

注:免震部材は、履歴減衰で評価 減衰 h=0

EL Centro NS (L2 Amax=511cm/s2)

-600

-300

0

300

600

0 10 20 30 40 50 60

Time(sec)

Acc.(cm

/s

2)

-500

-250

0

250

500

0 20 40 60 80 100 120

Acc(c

m/s2

)

T(sec)

L2K-HACHI-EW 加速度波形 Max=-487.9 cm/s2

[m] { y”} +[C]{ y’}+[K]{ y }=-[m]{ yo”}

[m]{ y”} : 慣性力、[C]{ y’}:減衰力、

[C]:減衰係数(=2hωm)、 [K]{ y }: 復元力

[m]{ yo”}: 地震力、{yo”} : 地盤加速度

3.時刻歴地震応答解析法による設計計算の解説 (20s/P)

2

1.建物フレームモデルの作成①支点のモデル

長期・短期荷重時 : ピン支点

但し、

地震荷重時 : 免震部材の鉛直剛性Kv考慮可

(免震部材設定前はピン支点)

注:動的解析モデルとの整合

・ピン支点の場合:免震部材によるロッキングバ

効果を省略したことになるが、安全側評価とし省

略OK。動的解析モデルも省略。

・鉛直バネを設定時は、地震荷重時の免震のKvを適切に低下して評価する。

・動的解析モデルではロッキングバネをセットする。

Kx,Θ = Σ Kv,i ・Xi 2 (KN/m/rad)Ky,Θ = Σ Kv,i ・Yi 2 (KN/m/rad)

解析ソフト:3次元モデル:SuperBuild-SS3使用

3.時刻歴地震応答解析法による設計計算の解説 (20s/P)

支点:ピン

3

2. 設計Ciの設定(仮定)のフロー

[解析モデル作成]設計Ciの想定、1次設計、部材断面設定

[ 荷重増分解析 ]設計Ciから水平地震荷重の設定

[ 振動解析モデル作成 ]水平復元力特性の設定

[ 地震応答解析 ]設計地震波による地震応答解析

[ 設計Ci分布の再設定 ]大応答層せん断力係数を包絡

[設計クライテリア]上部構造、免震層、免震部材

[Ciの修正]応答Ci+αを修正Ciに設定

END

OKNG

3.時刻歴地震応答解析法による設計計算の解説 (30s/P)

[設計クライテリアの設計]極稀な地震に対する損傷具合・安全性

Reset

ここでは、OK 前の [ 地震応答解析 ]を[ 予備(応答)解析 ]という。

4

Page 54: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

3-2

3.時刻歴地震応答解析法の解説

②設計Ci を想定、1回目は、Ai分布利用

・予備解析を繰り返し収斂

本設計では、このCiを設計用とする。

・上限性能に対して設定する。

・原則、X,Y方向別に設定する。

0.610 (RF)

0.360 (10F)

0.330 (9F)

0.300 (8F)

0.270 (7F)

0.250 (6F)

0.220 (5F)

0.200 (4F)

0.170 (3F)

0.150 (2F)

0.125 (1F)

0.120 (B1F)

2.1 設計Ciの設定(仮定)

0

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

0.00 0.20 0.40 0.60 0.80

階数

X,Y方向層せん断力係数Ci

設計用層せん断力係数Cdi

予備応答結果(L2X-P)

予備応答結果(L2Y-P)

3.時刻歴地震応答解析法による設計計算の解説 (20s/P)

やや+α不足

5

3.上部構造の荷重増分解析

図 各層のスケルトン曲線

上部構造フレームの荷重増分解析

1.水平荷重増分条件:

設計Ciの分布による

・予備応答解析後Ciを修正

・1次設計荷重x2.5倍程度で加力

2.支点は便宜上、ピン支点とした。

3.Ds判定時の層間変形角例

X方向:1/50, Y方向:1/70

4.保有水平耐力の確認

X方向:1/70, Y方向:1/100

注1:浮き上がりは生じる場合は、支承の引き抜き限界を耐力限界とする。

注2:荷重増分過程においてせん断破壊、脆性破壊は生じていないことを確認する。発生している場合、出来るだけ補正する。

万一、擁壁衝突が生じた場合の性能推定のため。

X方向(桁行)

Y方向(桁行)

3.時刻歴地震応答解析法による設計計算の解説 (20s/P)

6

3.1 上部構造の荷重増分解析とヒンジ図

①荷重増分解析した修了時のフレームのヒンジ発生状況:梁降伏先行

②Y方向加力時、支点のない節点1F梁、柱にヒンジの無いことを確認。

③ヒンジ発生 大ステップの確認: X方向 梁36step, Y方向 梁48step

保有耐力時 X方向(桁行) 保有耐力時 Y方向(桁行)

3.時刻歴地震応答解析法による設計計算の解説 (20s/P)

7

図 各層のQ-δ曲線を用いたスケルトン曲線(Tri-Linear)

注:柱の軸変形による曲げ剛性は無視

等価せん断型スケルトンにモデル化。

高層建物では、軸変形による曲げ剛を

考慮する。

第3勾配設定用の指定層間変形角

X方向 : 1/100程度

Y方向 : 1/200~ 終ステップ

注:予備解析から 大応答層間変形を予期して、弾性モデル(1次剛性のみ)とする場合もあり得る。

3.2 振動解析モデルの作成(各層のスケルトンカーブの設定例)

X方向(桁行)

3.時刻歴地震応答解析法による設計計算の解説 (20s/P)

Y方向(梁間)

Page 55: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

3-3

3.時刻歴地震応答解析法の解説

補足1:振動解析モデルの作成(履歴ループのモデル化(RC構造))

Q

δ

面積等置点

k3Q3(Qp)Q2(Qy)

Q1(Qc)k2

k1

δ1(δc)

δ2 δ3(δy) (δp)

αk1:割線剛性

K1

K2

Kf

K3

Q

δ

Q2

Q1

δ2 δmδ1

4.02m

212Q1QKf 0 .35α= 0.4

トリ・リニアー型モデルの例・初期剛性K1= Ko・Q1 :0.9K1(α=0.9)剛性との交点・K3 :指定層間変位での接線剛性・Q2:等価面積となる第3勾配上の耐力・K2:等価面積となる勾配

履歴ルールの例・Degrading-Tri-Linear型(武田モデル)

3.時刻歴地震応答解析法による設計計算の解説 (20s/P)

面積A面積B

面積C

等価:面積B = A+C

9

4. 振動解析モデル(2次元集中質点系モデル)

構造減衰 :等価粘性減衰 h=3% (RC造)階高:構造階高(解析モデルの階高)とする。注:免震部材は、履歴減衰で評価 粘性減衰 h=0 とする。

階 階高さ 各階重量 減衰特性

(㎝) (kN) (%)

PH1 582RF 350.0 738910F 320.0 68709F 315.0 7112

8F 315.0 7482 等価粘性減衰

7F 320.0 7484 h=3%6F 320.0 7563 (瞬間剛性比例) 履歴則:武田モデル

5F 320.0 7617 (荷重増分解析結果参照)

4F 320.0 78593F 325.0 7939

2F 325.0 8553

1F 430.0 12463B1F 485.0 14353

免震層 250.0 履歴減衰

スケルトンモデル:標準トリ・リニアー型

復元力特性

3.時刻歴地震応答解析法による設計計算の解説 (20s/P)

運動式は重量W(kN)を質量W/Gで扱う。電算プロはW入力

10

方法:免震部材タイプ別のモデル化

天然ゴム系積層ゴム

( リニア )

弾性すべり支承

(標準バイ・リニア)

5.1 免震層のモデル化

錫プラグ入り積層ゴム支承

(標準バイ・リニア、又は

専用ループモデル)

Kp

水平変位δ

Q

Qy

δ

Q

K1

K2=0Qy

δ

QK2

Vy Veq Vmax

Cvi

Qy

C1

C2減衰力

速度

3.時刻歴地震応答解析法による設計計算の解説 (20s/P)

表- 免震層の解析モデル例 (各タイプ基数分、標準性能時)

免震部材 型式解析モデル 1次水平剛性 2次水平剛性 降伏荷重

(kN/mm) (kN/mm) (kN)

天然ゴム系積層ゴム支承 RB900 リニアーモデル 4.88 4.88 0

錫プラグ入り積層ゴム支承 Sn950 弾塑性モデル 644.00 5.76 1680弾性すべり支承 SB1000 完全弾塑性モデル 122.22 0.00 2602

内部剛性 1次減衰係数C1 2次減衰係数C2

(kN/mm) (kN・s/mm) (kN・s/mm)オイルダンパー BM200-2C バイリニア形 60.00 4.00 0.52

オイルダンパー

(バイ・リニア、又は

専用ループモデル)

11

5.2 免震層の復元力特性のチェック注:オイルダンパーは減衰特性で別途評価

基準性能状態、免震層の各免震部材の水平抵抗スケルトンカーブ

中摩擦弾性すべり支承

免震層の復元力特性

天然ゴム系積層ゴム

錫プラグ入り積層ゴム支承

3.時刻歴地震応答解析法による設計計算の解説 (20s/P)

注:審査の重要チェック事項

・限界変形は、著しいハードニングを弾性解析の限界として260~280%歪以下とする。

Ex. Tr x 2.8 =184x2.6 =478mm何れにしろ、時刻歴解析では、メーカの実験結果を確認して設定する。一般に告示第6の設計限界変形より小さくする。

・安定変形域は、限界変形の1/2 ~2/3(130%~200%)歪程度以下とする。

12

Page 56: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

3-4

3.時刻歴地震応答解析法の解説

6. 免震部材の設計基準時の変動率

設計3状態区分(建物の設計条件で決定される要因Aとばらつき要因Bによる分類、標準(認定)性能をベースとして、①建物の設計条件で決定される要因A と②ばらつき要因B による上限変動率、③ばらつき要因B による下限変動率で分類)

①設計基準性能状態=標準(認定)性能x(1+A 変動率)

②上限性能状態(プラス側変動)=設計基準性能x(1+B 変動率)

③下限性能状態(マイナス側変動)=設計基準性能x(1- B 変動率)

標準性能:認定性能(100%歪、基準変形、20°C)

①設計基準性能状態の変動要因・面圧依存性による変動率・変形(歪)依存性による変動率・繰り返し依存性による変動率・速度依存性による変動率

3.時刻歴地震応答解析法による設計計算の解説 (20s/P)

●天然ゴム系積層ゴム(弾性系) 注)東京 温度範囲 2.1℃~30.8℃

入力 標準 設計基準

ΣnK1(kN/m) 4880 -5% 4636歪み変化 (%) -10%

面圧変化 (%) 5%

●弾塑性系積層ゴム(錫プラグ入り積層ゴム支承)入力 標準 設計基準ΣnK1(kN/m) 644000 -21% 508760

ΣnK2(kN/m) 5760 -21% 4550

ΣnQy(kN) 1680 -25% 1260

剛性K1変動 歪み変化 (%) -21%面圧変化 (%) 0%

剛性K2変動 歪み変化 (%) -21%面圧変化 (%) 0%

降伏変動 歪・繰返変化 (%) -25%面圧変化 (%) 0%

●中摩擦系弾性すべり支承入力 標準 設計基準ΣnK1(kN/m) 116400 5% 122220ΣQy(kN) 2957 -10% 2661

剛性K1変動 面圧変化 (%) 5%

降伏変動 面圧変化 (%) 10%速度変化 (%) 0%繰返変化 (%) -20%

●流体系ダンパー入力 標準 設計基準

ΣnC1(kN・s/m) 4000 -5% 3800ΣnC2(kN・s/m) 520 -5% 494ΣnFy(kN) 1000 -5% 950

減衰係数C1,C2変動 繰返変化 (%) -5%

繰返変化 (%) -5%リリーフ荷重Fy変動 13

6.1 免震部材の上限・下限性能時の変動率

②上限性能状態の変動要因・経年変化による正の変動率・免震層の温度変化による正の変動率・製造誤差による正の変動率

③下限性能状態の変動要因・経年変化による負の変動率・免震層の温度変化による負の変動率・製造誤差による変動率

3.時刻歴地震応答解析法による設計計算の解説 (20s/P)

●天然ゴム系積層ゴム(弾性系) 注)東京 温度範囲 2.1℃~30.8℃

入力 設計基準 +変動 -変動

ΣnK1(kN/m) 4636 32% 6120 -19% 3755経年変化  (%) 10% 0%温度変化  (%) 7% -4%製造誤差  (%) 15% -15%

●弾塑性系積層ゴム(錫プラグ入り積層ゴム支承) 注)東京 温度範囲 2.1℃~30.8℃

入力 標準 +変動 -変動

ΣnK1(kN/m) 508760 29% 656300.4 -20% 407008ΣnK2(kN/m) 4550 29% 5870 -20% 3640ΣnQy(kN) 1260 35% 1701 -26% 932

経年変化  (%) 10% 0%剛性K1変動 温度変化  (%) 4% -5%

製造誤差  (%) 15% -15%経年変化  (%) 10% 0%

剛性K2変動 温度変化  (%) 4% -5%製造誤差  (%) 15% -15%経年変化  (%) 5% 0%

降伏変動 温度変化  (%) 10% -6% 製造誤差  (%) 20% -20%

●中摩擦系弾性すべり支承 注)東京 温度範囲 2.1℃~30.8℃

入力 設計基準 +変動 -変動

ΣnK1(kN/m) 122220 47% 179663 -23% 94109ΣQy(kN) 2661 20% 3194 -20% 2129

経年変化  (%) 20% 0%剛性K1変動 温度変化  (%) 7% -3%

製造誤差  (%) 20% -20%経年変化  (%) 0% 0%

降伏変動 温度変化  (%) 0% 0% 製造誤差  (%) 20% -20%

●流体系ダンパー 注)東京 温度範囲 2.1℃~30.8℃

入力 標準 上限変動 下限変動

ΣnC1(kN・s/m) 3800 20% 4560 -20% 3040ΣnC2(kN・s/m) 494 20% 592.8 -20% 395.2ΣnFy(kN) 950 20% 1140 -20% 760

減衰係数C1,C2変動 温度変化  (%) 5% -5%製造誤差  (%) 15% -15%温度変化  (%) 5% -5% 製造誤差  (%) 15% -15%

リリーフ荷重Fy変動14

6.2 変動性能状態時の免震層の水平抵抗変動

変動性能状態時の免震層の水平抵抗スケルトンカーブ

設計基準状態

下限性能状態

上限性能状態

3.時刻歴地震応答解析法による設計計算の解説 (20s/P)

15

7. 設計地震波の想定と準備参考基準:平12建告第1461号の方法

1.観測地震波 : 地震時に表層で記録された表層波(兵庫県南部地震、東北地方太平洋沖地震なども含まれる)

2.告示波 : 工学的基盤波平12建告第1461号四の方法(解放工学的基盤で設定された加速度応答スペクトルと

計画地の表層地盤の特性を用いた自由地盤応答解析で算定する)

3.サイト波 : 活断層の破壊、海溝プレート境界のすべり、破壊

を想定した計画地に影響のある地震波(活断層の破壊と伝播過程をモデル化してシミュレーション、

政府機関:中央防災会議やハザードステイションが主要想定地震波を公開中)

4.その他 : 長周期地震検討地域の場合、「基整促波」の検討(免震部材の入力エネルギーと性能低下率を評価する)

「基整促波」:H20年度より建築基準整備促進事業を活用し、既往の観測地震記録に

基づく長周期地震動の評価手法の検討と長周期地震動を考慮した設計地震動の作成手法の検討による建物に影響を与える0.1~10秒の広い周期成分の設計用長周期地震動

3.時刻歴地震応答解析法の設計事例による解説 (20s/P)

16

Page 57: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

3-5

3.時刻歴地震応答解析法の解説

補足2:観測波、告示波、サイト波の意義

観測波 : 実地震動の地表観測波 == 使用歴から慣例化、実地震の意義大、計画地と関係が希薄告示波 : 工学基盤で規定の地震動を設定し、計画地地盤特性で増幅率を

算定し、表層地震波を算定 == 統計的意義、計画地の表層地盤特性考慮サイト波: 近接する断層、プレートの破壊による想定地震動 == リスク管理、表層地盤特性考慮

地震波動伝播の模式図

震源基盤(Vs>3000m/s)

工学的基盤(Vs>400m/s,N>50, T>5m)

表層地盤(Vs<400m/s )

波動伝播震源: ①内陸地殻内地震

②プレート境界地震③スラブ内地震

解放工学的基盤Vs > 400m/s, N > 50, T > 5m

実地震の表層観測波

告示:想定地震動の基盤波設定

告示:表層波算定

サイト:地震基盤の破壊パターン設定

サイト:工学的基盤まで伝達した地震

基盤波算定

告示:表層波算定

3.時刻歴地震応答解析法による設計計算の解説 (20s/P)

17

7.1 観測地震波(日本建築センター、気象庁、観測ネット)

1.代表的に使用されている地震波

レベル1(稀地震相当) :Vmax=20~25kine (cm/s) に基準化

レベル2(極稀地震相当):Vmax=40~50kine (cm/s) に基準化

El Centro NS T=53.6sImperial Valley地震(1940.5.18, M7.1)NS, Amax=341.7gal, Vmax=33.4kineTaft EW T=54.4sKern Country地震(1952.7.21 M7.7) EW, Amax=175.9gal , Vmax=17.7kineHachinohe NS , EW T=36.0s十勝沖地震(1968.5.16 M7.8)NS, EWAmax=225.0, 182.9gal , Vmax=34.1, 35.8 kineHachinohe NS , EW(解析補正波 T=234s 翠川他) 十勝沖地震(1968.5.16 M7.8)NS, EWAmax=231.0, 181.2gal , Vmax=32.8, 36.6 kineJM-Kobe NS T=80.0s兵庫県南部地震(1995.1.17 M7.3 )NS, Amax=818.0gal , Vmax=90.9kine

2.近年発生した大地震の観測波 (強震観測網 K-NET, KiK-net を利用)

3.時刻歴地震応答解析法の設計事例による解説 (20s/P)

18

7.2 観測地震波の時刻歴波形

図1. EL Centro 1940 NS成分 記録値Amax=341.7cm/s2,Vmax=33.4cm/s,Dmax=10.9cm, UD成分Amax=206.4,

図2. TAFT 1952 EW成分 記録値 Amax=176.0cm/s2, Vmax=18.0cm/s, Dmax= 4.7cm, UD成分Amax=102.9

図3. Hachinohe 1968 NS成分 修正波 Amax=231.02cm/s2,Vmax=32.8cm/s,Dmax=10.3cm, UD成分Amax=113.7

-200

-100

0

100

200

0 10 20 30 40 50 60

Acc(

cm/s2

)

T(sec)

Taft EW 加速度波形Max=176.0 cm/s2

-300

-200

-100

0

100

200

300

0 50 100 150 200

Acc

(cm

/s2)

T(sec)

Hachinohe NS 加速度波形 Max=231.0 cm/s2

3.時刻歴地震応答解析法による設計計算の解説 (20s/P)

19

7.3 観測地震波の応答スペクトル(h=5%)赤線 参考波:JMA-KOBE NS (本設計例では不採用 )

加速度応答スペクトル h=0.05,50kine基準化、JMA-kobe原波

0

500

1000

1500

2000

2500

3000

0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0

周期T(sec)A

cc(c

m/s2

) EL CENT NS

HACHI NS

TAFT EW

JMA-kobe NS

速度応答スペクトル h=0.0550kine基準化、JMA-kobe原波

0

50

100

150

200

250

300

0.0 1.0 2 .0 3 .0 4.0 5 .0

周期T(sec)

Vel(c

m/s)

EL CENTRO NS

HACHI NS

TAFT EWJMA-kobe NS

変位応答スペクトル h=0.0550kine基準化、JMA-kobe原波

0

20

40

60

80

100

0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0

周期T(sec)

Dis

 (c

m)

EL CENTRO NS

HACHI NS

TAFT EW

JMA-kobe NS

3.時刻歴地震応答解析法による設計計算の解説 (20s/P)

20

Page 58: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

3-6

3.時刻歴地震応答解析法の解説

7.4 告示波の時刻歴波形(極めて稀に発生するレベル)

適用基準:平12建告第1461号の方法

3.時刻歴地震応答解析法による設計計算の解説 (20s/P)

位相:八戸港湾記録NS成分

位相:想定東京湾北部地震EW成分

位相:乱数波

21

7.5 告示波の応答スペクトル(h=5%)適用基準:平12建告第1461号の方法特徴:計画地の表層地盤の周期特性が反映される。

3.時刻歴地震応答解析法による設計計算の解説 (20s/P) 22

補足3:告示波の作成 :平12建告第1461号四の方法

0

100

200

300

400

500

600

700

800

900

0.0 1.0 2 .0 3.0 4.0 5.0

周期(sec)

Sa(

cm

/se

c2)

告示(L1)

告示(L2)

L2 工学的基盤の目標加速度スペク トルと収束過程計算

0

200

400

600

800

1000

1200

0.0 0.1 1.0 10.0

周期T(sec)

加速

度S

a(c

m/s2)

目標スペクトル

位相波のスペクトル

収束1回目

収束9回目

終回

表 層 加速 度 波

-400

-200

0

200

400

0 10 20 30 40 50 60 70

時間T(s)

加速

度A

cc(c

m/s2)

表層波

+位相波(観測波)

乱数位相波

包絡関数

表 層 加速 度 波

-400

-200

0

200

400

0 10 20 30 40 50 60 70

時間T(s)

加速

度A

cc(c

m/s2)

表層波

自由地盤応答解析(液状化考慮可)

A(ω) x Gs(ω)+フーリエ逆変換

表層地盤波(基礎底面)

工学的地盤面波

収束計算

*1:逆変換、*2:フーリエ変換STEP1

STEP3 STEP3

STEP2

3.時刻歴地震応答解析法による設計計算の解説 (20s/P) 23

告示1461号四 *1

*2

7.6 サイト波の時刻歴波形(極めて稀に発生するレベル)

注:一般に、サイト波は極めて稀に発生する地震として選択し、再現期間500相当と震度 相当レベルの2面で決定する。

3.時刻歴地震応答解析法による設計計算の解説 (20s/P)

24

東京湾北部地震のサイト波 (工学的基盤波は、東京都が提供)

大正型関東地震のサイト波 (工学院大学 久田嘉章先生の基盤スペクトルを適用)

Page 59: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

3-7

3.時刻歴地震応答解析法の解説

7.7 サイト波の応答スペクトル(h=5%)特徴:計画地の表層地盤の周期特性が反映される。

3.時刻歴地震応答解析法による設計計算の解説 (20s/P)

25

補足4 : 関東エリアの公開サイト(基盤)波(中央防災会議からの公開データ)

1.南海トラフ沿い地震(東海・東南海・南海地震)について地震発生ケース :想定東海、想定東海+東南海+南海(基整促波など)

2.首都直下地震について

・地震発生ケース: プレート境界茨城県南部、プレート境界多摩

伊勢原断層帯、関東平野北西縁断層帯、

神縄・国府津-松田断層帯

都心西部直下、東京湾北部、立川断層帯

3.時刻歴地震応答解析法の設計事例による解説 (20s/P)

26

補足5 : サイト波:計画地で発生予想される地震波

出典:「 新の地盤震動研究を活かした強震波形の作成法」 日本建築学会参考:「埼玉県公共施設のための耐震診断・耐震補強マニュアル付録2 関東平野を対象とした地震基盤及び解放工学的基盤における設計用地震動の設定方法について」 埼玉設計監理協会

計画地点周辺で発生する地震の調査

内陸地殻内地震(活断層)

強震動の予測手法の選択理論的方法、経験的グリーン関数法、統計的グリーン関数法、ハイブリッド法

設計対象地震の選定(発生確率参照)

プレート境界地震 スラブ内地震

ユーラシアプレート、フィリピン海プレート

断層モデルの設定・破壊シナリオの設定

解放工学的基盤の強震波形参照:ハザードマップステーション(基盤の速度波を利用)

3.時刻歴地震応答解析法の設計事例による解説 (20s/P)

27

補足6 : 翠川・小林の方法の概念図

計算された応答包絡形

Time

重ね合わせ

各断層小要素からの

時間を考慮したパルス

I0 IS

dsource+dx TimeTime

I’i

経験式より得られる

応答包絡形

d’s+d’x

参考文献)翠川三郎ほか:地震断層を考慮した地震動スペクトル,日本建築学会論文報告集第282号

L (km)

W(km)

断層中心(破壊開始点)との距離 X

評価ポイント

断層面

断層小要素からの距離 Xi

ΔL

ΔW

3.時刻歴地震応答解析法の設計事例による解説 (20s/P)

断層パラメータから設定した入射波速度スペクトル

28

Page 60: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

3-8

3.時刻歴地震応答解析法の解説

補足7 : ハイブリッド合成法概要図3次元的形状と破壊伝播を考慮できる断層モデルと波動伝播を考慮できる地下構造モデルを用いる短周期成分を計算する統計的グリーン関数法と長周期成分を計算する差分法の組み合わせ方法

出典)全国地震動予測地図,地震調査推進本部

3.時刻歴地震応答解析法の設計事例による解説 (20s/P)

29

7.8.1 長周期地震波の時刻歴波形(H28.6国住指第1111号、関東エリア検討波:KA1波(工学的基盤波、

公開波(別紙2付録1)))

3.時刻歴地震応答解析法による設計計算の解説 (20s/P)

関東の検討対象エリアと簡略化スペクトル(pSvスペクトル h = 5 %)

主動時間=190s (約3.2分)

工学的基盤波 Amax=45.5cm/s2 Vmax=80cm/s

30

3.時刻歴地震応答解析法による設計計算の解説 (20s/P)

加速度応答スペクトル(h5%) 速度応答スペクトル(h5%) 変位応答スペクトル(h5%)

主動時間=160s (約2.5分)

表層波 KA1 Amax=61.1cm/s2 Vmax=16.7cm/s

7.8.2 長周期地震波の時刻歴波形(関東エリア検討波:KA1波(表層波:モデル建物地盤による)、

参考:地震波YCY311は、計画地観測波の位相を用いた大正関東地震)

31

7.9 設計地震波の設定と諸元1.観測地震波 : 標準観測波 3波 (50cm/s 基準)

2.告 示 波 : 異なる位相 3波 (ここでは、稀レベル省略)

3.サ イ ト波 : 首都直下地震(東京湾北部地震)、大正型関東地震

4. 長周期地震動: 基整促波 KA1 (基盤波)-- 表層波 F-KA1

3.時刻歴地震応答解析法による設計計算の解説 (20s/P)

表-入力地震波の諸元

適用地震波

解析条件 観測データ値、入力レベル

地震波名 観 測時間刻(sec)

継続 時間 (sec)

解析時間刻

(sec)

計算時間(sec)

大加速度(cm/s2)

レベル1相当(cm/s2)

レベル2相当(cm/s2)

観測波

EL CENTRO NS El Centro NS 1940 0.02 53.7 0.001 53.7 341.7 255.4 510.8HACHINOHE NS 八戸 NS 1968 0.01 36.0 0.001 36.0 225.0 175.1 350.2

TAFT EW Taft EW 1952 0.02 54.4 0.001 54.4 175.9 248.4 496.8

告示波

L2K-HACHI-NS 八戸位相告示波 0.01 234.0 0.001 234.0 450.9 - 450.9L2K-TKYBN-EW 東京湾北部位相告示波 0.01 120.0 0.001 120.0 577.5 - 577.5

L2K-RAN 乱数告示波 0.01 120.0 0.001 120.0 490.0 - 490.0

サイト波

TKYBN-NS 東京湾北部地震 0.01 163.0 0.001 163.0 431.9 - 431.9TKANTO 大正型関東地震 0.01 120.0 0.001 120.0 471.9 - 471.9

F-KA1(表層波) 関東エリア長周期地震 0.02 640.0 0.001 640.0 61.1 - 61.132

Page 61: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

3-9

3.時刻歴地震応答解析法の解説

8.1 時刻歴地震応答解析 (ダランベールの運動方程式を解く)

[m] { y”} +[C]{ y’}+[K]{ y }=-[m]{ yo”}

ここに [m]{ y”} : 慣性力 [m] : 質量{ y”} : 相対加速度

[C]{ y’} : 減衰力、 [C] : 構造減衰マトリクス= 2・h1/ω1・[K]

{ y’} : 相対速度[K]{ y }: 復元力、 [K] : 瞬間剛性マトリクス

{ y } : 相対変位-[m]{ yo”}: 地震力、{yo”} : 地盤加速度{ y”+yo”} : 絶対加速度

層せん断力 Qi = ΣMi・{ y”+yo”}層間変形 ⊿yi = yi+1 – yi

3.時刻歴地震応答解析法の設計事例による解説 (30s/P)

水平剛性K

h減衰定数

質点M

基礎部

KrKh Cr

支持地盤

33

[ Newmarkのβ法 : t時刻のデータで⊿t 秒後の釣り合い状態を推定する ]

(アナログ波形を微小に刻んだ波形で近似) (加速度の推定)

Step1.加速度の推定:

y”n+1= ([m]+(⊿t/2) [C]+ β(⊿t)2 [K]) -1 (-[m] yo”n+1-[C]( y’n+(⊿t/2) y”n+1)-[K] ( y’n+ ⊿t y’n+(1/2-β) (⊿t)2 y”n)

Step2.速度の推定: y’n+1 = y’n + ⊿t/2( y”n +y”n+1)

Step3.変位の推定: yn+1 = yn +⊿t・y’n +⊿t2/2・y”n +β⊿t3・(y”n+1 – y”n)/⊿t

β : 加速度変化の仮定定数:線形加速度法の場合:1/6 , 平均加速度法の場合:1/4免震構造の場合、免震部材の非線形特性が厳しく。 推奨値⊿t =0.001(秒)

3.時刻歴地震応答解析法の設計事例による解説 (30s/P)

8. 2時刻歴地震応答解析(ダランベールの運動方程式を解く)

34

(X方向) (Y方向)大応答加速度(上限性能時)

9. 時刻歴地震応答解析結果(その1)

3.時刻歴地震応答解析法による設計計算の解説 (20s/P)

35

(X方向) (Y方向)大応答層せん断力係数 (上限性能時)

9.1 時刻歴地震応答解析結果(その2)

3.時刻歴地震応答解析法による設計計算の解説 (20s/P)

告示波L2K-RAN2告示波

L2K-TKYBN-EW

36

Page 62: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

3-10

3.時刻歴地震応答解析法の解説

(X方向) (Y方向)大応答変位 (下限性能時)

9.2 時刻歴地震応答解析結果(その3)

3.時刻歴地震応答解析法による設計計算の解説 (20s/P)

告示波L2K-TKYBN-EW

告示波L2K-TKYBN-EW

37・限界変形270%歪以下の確認

Ex. Tr x 2.7 =184x2.7 =497mm(X方向) (Y方向)

大応答層間変位と層せん断力関係 (上限性能時)

9.3 時刻歴地震応答解析結果(その4)3.時刻歴地震応答解析法による設計計算の解説 (20s/P)

38

例:設計せん断ラインを入れるとクライテリアの確認が容易

ここは、仮のライン

9.4 免震層の変形の様子(変位時刻歴波形)

告示波 L2K-RAN2

告示波 L2K-TKYBN-EW

告示波 L2K-HACHI-NS

3.時刻歴地震応答解析法による設計計算の解説 (20s/P)

39

注:直下地震は、指向性パルスの特性があり、応答変形が大きくなる傾向がある

補足8 : 告示波L2K-TKYBNの変位が何故大きくなるのか?告示波は位相波によって減衰の影響が異なる特性がある。L2K-TKYBN-EW は繰り返し波形がないため、減衰の影響を受けにくい地震波。

各地震波の応答スペクトルh=2%,5%,15% の応答値比較

0

30

60

90

120

150

0.0 0.1 1.0 10.0

Dis

p(c

m)

周期T(sec)

変位応答スペクトル h=0.02 と 0.15 (極稀レベルの告示波)

L2K-HACHI-NS h=2%

L2K-TKYBN-EW h=2%

L2K-RAN2 h=2%

極稀基盤 pSd

L2K-HACHI-NS h=15%

L2K-TKYBN-EW h=15%

L2K-RAN2 h=15%

減衰影響小

3.時刻歴地震応答解析法による設計計算の解説 (20s/P)

減衰影響大

40

h=5%

Page 63: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

3-11

3.時刻歴地震応答解析法の解説

補足9 : オイルダンパーの作動確認

オイルダンパー BMの変形-抵抗関係

Kd

水平変位δ

水平抵抗力Q

+=

ピストン速度 1.0m/s

-1200

-600

0

600

1200

-500 -250 0 250 500

加振変位(mm)

縮み

減衰

力(k

N) 

伸び

Qd

水平抵抗力Q

水平変位δ

Vy Veq Vmax

リリーフ荷重

Cvi

Qy

Fmax

C1

C2

減衰力

速度

大速度Vmax-抵抗Q関係曲線(例)

3.時刻歴地震応答解析法による設計計算の解説 (20s/P)

41

入力地震波 X方向(桁行方向) Y方向(梁間方向)δm(mm) C1 δm(mm) C1

El Centro NS (510gal) 176 0.086 178 0.082Hachinohe NS (350gal) 162 0.080 179 0.082Taft EW (497gal) 218 0.084 226 0.083L2K-HACHI-NS (450gal) 197 0.083 228 0.086L2K-TKYBN-EW (577gal) 456 0.099 Max: 481 Max:0.099L2K-RAN (490gal) 282 0.085 296 0.087TKYBN-NS (432gal) 190 0.087 183 0.093TKANTO (472gal ) 248 0.093 269 0.098F-KA1 (61gal ) 102 0.058 101 0.053

ここに、 C1 :上限性能状態、B1階の 大応答層せん断力係数δm :下限性能状態、免震層の 大応答変位

注:この時点で、基整促波F-KA1による免震部材の繰返性能低下は評価していない。

10.時刻歴地震応答解析結果一覧3.時刻歴地震応答解析法による設計計算の解説 (20s/P)

42

補足10 : 計算例による時刻歴地震応答計算(応答結果の比較 : 応答変形に変化が大きい)

計算方法 免震層の変形

(mm)1階のCi

包絡法(エネルギー法)

地盤:第2種、Ve=150370 0.077

(=1.1xα1)

告示計算の結果

Gs=1.23, 極稀地震Sa

(下限性能時)基準変位:321応答変位:353

γ=1.0 : 0.078(上限性能時)

γ=1.23 : 0.095

時刻歴解析結果

レベル2(極稀地震相当)

(下限性能時)X: 102~282,456Y: 101~269,481

(上限性能時)

X: 0.055~0.099Y: 0.053~0.099

3.時刻歴地震応答解析法による設計計算の解説 (20s/P)

43

11. 上部構造の設計層せん断力の再設定結果、本設計では、X,Y方向の 大応答層せん断力係数が近似しているため、両方向の値を包絡する層せん断力係数を設計値とする。注:告示による応答は、大きくことなる。

(応答層せん断力係数の考察)告示より大きく増幅した要因として、免震層直上層(上部構造)の水平剛性Ko と 免震層ダンパーの初期剛性Ksの比X方向 : Ko/Ks =668040/7660=87

<100Y方向 : Ko/Ks = 69580/7660= 9

<100 Ko/Ks > 100 が好ましい。

高次モードの卓越を抑える。

3.時刻歴地震応答解析法による設計計算の解説 (20s/P)

0

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

0.00 0.20 0.40 0.60 0.80

階数

X,Y方向層せん断力係数Ci

告示計算によるCri

設計用層せん断力係数Cdi

地震応答結果(L2X-P)

地震応答結果(L2Y-P)

1次設計Ci

地震応答P:上限状態

44

Page 64: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

3-12

3.時刻歴地震応答解析法の解説

補足11:免震構造の耐震目標の確認・修正「目標クライテリアの各項目と応答値、

告2009号第2項三号耐久性関係規定のチェック」ただし、告示2009の第6による場合は、レベル2のみが対象

構造部区分 レベル 1

(稀に発生する地震動)

レベル 2

(極めて稀に発生する地震動)

応 力 短期許容応力度以内 短期許容応力度以内 上部構造

層間変形角 1/500 以内 1/200 以内

層間変位 200mm 以内 500mm 以内

せん断歪み 100%以内 250%以内

面圧(圧縮側) 短期許容面圧以内 *1 圧縮限界強度以下 免震層

(引張側) 引張り力を生じない 有害な引張り力を生じない

(面圧:-1.0N/mm2以上)

躯体 応 力 短期許容応力度以内 短期許容応力度以内

支持力 短期許容支持力以内 短期許容支持力以内

下部構造

杭 応 力 短期許容応力度以内 短期許容応力度以内

ここに、*1:短期許容面圧は、平 12建告示 2009 号に準じ、(0.9x 圧縮限界強度)×2/3 とする。

免震層の水平クリアランス 550mm -- 600mm 以上

3.時刻歴地震応答解析法による設計計算の解説 (20s/P)

45

= 270% 以内

12. 免震層の応答計算後の設計処理

■設計層せん断力(係数)に対してA1.短期許容応力度設計となることを確認

(一般的な目標、告示2009号第6 は必須)

A2. 大層間変形角 < 目標値 の確認A3.P-δ効果による付加モーメントMを考慮注:地震時の支点反力が変動するため引き抜きの再チェックが必要

A4.地下構造、基礎の設計用水平力の割り増しA5.免震部材の取り付け部、擁壁の許容設計

■設計水平・鉛直クリアランスに対してA6.水平応答変形に対する水平クリアランスの確保A7.免震用設備継ぎ手の採用と設計■製品管理、維持管理、取り換えにおいてA8.維持管理体制等の作成A9.その他--→ 特記仕様書に記述

3.時刻歴地震応答解析法による設計計算の解説 (20s/P)

46

Ⅲ 免震建築物の耐久性等

1. 免震層は点検可能2. 免震材料は交換可能3. 免震建築物であることの表示4. 積雪時に変位拘束しない5. その他の耐久性等関係規定

Ⅳ 免震層の施工管理

(1) 耐久性等関係規定を満足

竣工後の維持管理

Yes

免震層の設計終了

免震建築物の施工

Ⅴ 免震層及び免震部材の維持管理

補足12 : 時刻歴解析にも適用するH12建告2009第3

2.モデル建物を用いた告示計算による設計計算の解説 (20s/P)

47

Next.第6話告示計算法による応答せん断力係数の見直し案と試算

48

Page 65: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

4-1

4.免震改修の利点とは

第4話4.免震改修の利点とは

改修の経緯、耐震性能の向上

1. 耐震改修としての免震改修の普及状況2. 耐震改修としての免震改修の検討課題3. 免震改修における等価Is値の求め方ほか

CERA DESIGN

(30分/30s/20P)

1

4.1 身近にある免震改修建物(免震レトロ)(20s/P)

立教大学 諸聖徒礼拝堂 九段郵便局(レトロ) 東京駅(免震レトロ)

江東区役所(免震レトロ) 東京建設コンサルタント 三菱一号館(復元建物、丸の内) 2

4.免震改修の利点とは

4.2 免震改修施工事例(愛知県合同庁舎B1階)

4.免震改修の利点とは (20s/P)

3

4.3 免震改修施工事例(東北大学医学部1階)

(20s/P)

4

4.免震改修の利点とは

Page 66: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

4-2

4.免震改修の利点とは

[ 中間階免震工法の評価点 ]①移転しないで工事が可能なため

:移転費用や仮庁舎費等のトータルコストを低減②工事中の執務が継続可能、利用者へのサービス確保③免震構造としての耐震性能。:防災拠点としての安全性が高い

震災後の庁舎機能の継続が可能

出典:TaisinNet 特集:免震レトロフィットの現場:愛媛県庁第一別館

(30s/P)

5

4.免震改修の利点とは

4.4 免震改修施工事例(愛媛県庁舎第一別館)

[ 地下1階免震部材配置図 ]

出典:TaisinNet 特集:免震レトロフィットの現場:愛媛県庁第一別館

[ 地下1階柱免震部材設置 ]

(30s/P)

6

4.免震改修の利点とは

4.5 日本銀行本店本館(S49重要文化財)免震レトロ2016.10~2019.8 (工事期間、 現在2019 夏 竣工)出典:日本銀行 公表資料 2017.03

(20s/P)

7

[ 基礎免震工法の評価点 ]①石積れんが造の上部構造を一体化しまるごと免震構造を適用可能とした。 文化財の保存②工事中の執務が継続可能③東日本大震災から見直した首都直下型地震に対し耐震性強化した。震度7に対応。④通貨・金融システムの安定:中央銀行の役割

本館 1896年(明治29)完成 築121年設計者:辰野金吾、 石積れんが造 、地上3階、地下1階免震構法 : 新設土台と既存コンクリート土台間に免震層を設置、免震装置 : 108基

旧館 1938年(昭和13)完成設計者:長野宇平治、 SRC造 、地上5階、地下4階免震工事 : H18~H21

4.免震改修の利点とは

4.6 耐震改修としての免震改修の長所・短所

①業務継続 :敷地移転しないで工事が可能か?移転費用や仮庁舎費等のトータルコストは?

・工事中の執務が継続可能か?・補強後も執務スペースが確保されるか?・震災後の業務継続が可能か?

②必要耐震性:Isの判断で防災拠点として充分か?・従来の柱、壁補強で充分か?

③改修or新築:補強経費と新築経費の比較。・免震新築 > 耐震新築 > 免震改修 > 耐震改修

④防災拠点として設備機能の拡張:・改修工事では設備機能の拡充がやや難しい。

⑤その他

[ 耐震改修・免震改修で検討される主な課題 ]

(30s/P)

8

4.免震改修の利点とは

Page 67: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

4-3

4.免震改修の利点とは

例1.埼玉県 K市 出典:K市HP

建物概要:S47年築 地上5階 RC造,SRC造複合

耐震化の目的:災害対策本部(防災拠点)、行政情報の保持

耐震診断結果:目標ISO値 0.75 Is値 0.16~0.66

(20s/P)

9

4.免震改修の利点とは

A案 耐震補強(鉄骨ブレース) 機能維持不可

・ブレース,耐震壁の設置(有効面積の減少) 28.1億円

B案 耐震補強(免震装置配置) 機能維持可能

・免震装置の配置(有効面の変化なし) 32.4億円

C案 建替え(現用地) 機能維持不確定

D案 建替え(既存公共用地)機能維持不確定

・耐震基準による新建築物・液状化,川の氾濫対策が可能 42.6億円

E案 建替え(免震構造) 機能維持可能

・免震構造による新建築物・液状化,川の氾濫対策が可能 44.6億円

例1.埼玉県 K市の検討概要(別紙参照)

(30s/P)

10

4.免震改修の利点とは

例2.千葉県 I市 出典:I市HP

建物概要:S34年築(第1舎) S46築(第2庁舎) S54年築(第3庁舎)

地下1階,地上6階 RC+S造

耐震化の目的: 災害対策本部(防災拠点)

耐震診断結果:目標ISO値 0.9 以上 第1舎 Is値 0.33、第2舎 Is値 0.34

第3舎 Is値 0.94 (補強済)

(10s/P)

11

4.免震改修の利点とは

第1庁舎 補強後基礎(杭工事)必要のため、

耐震基準による新規建物

・耐震基準による

・目標ISO値 0.9以上

・液状化対策 ・機能維持不確定

第2庁舎 耐震補強による目標達成は困難のため、

免震構造採用による新規建物

・免震装置(中間層免震)の配置

・機能維持可能

第3庁舎 2009年耐震補強済

・鉄骨ブレス,耐震壁

・機能維持不確定

例2.千葉県 I市の検討概要(別紙参照)(10s/P)

12

4.免震改修の利点とは

Page 68: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

4-4

4.免震改修の利点とは

例3.長野県 N市 出典:N市HP

建物概要:S40年築(第1舎) 地下1階,地上8階 SRC造

耐震化の目的: 災害対策本部(防災拠点)

耐震診断結果:目標ISO値1.0 以上 第1舎 Is値 0.23

(10s/P)

13

4.免震改修の利点とは

A案 耐震補強(鉄骨ブレース) 機能維持不可

・ブレース,耐震壁の設置(有効面積の減少) 18.8億円

B案 耐震改修(基礎免震)+リニューアル 機能維持可能

・免震装置の配置(有効面の変化なし) 15.6+38.7億円

・工事中移転不要

C案 免震構造採用して建替え(現用地)機能維持可能

・免震装置の配置 50.3億円

・耐用年数100年を目標

D案 既存公共用地の利用 機能維持不可

・施設の有効活用 3.5億円

・本庁機能分散化

例3.長野県 N市の検討概要(別紙参照)

(30s/P)

14

4.免震改修の利点とは

構造計算ルートの選定

補足: 免震建築物の構造計算フロー

免震建築物の構造計算

指定性能評価機関

応答スペクトル解析法

60m超える建築物の高

敷地地盤種別,免震層の位置

第1種または液状化のおそれのない第2種地盤、基礎免震

液状化のおそれのある第2種地盤、第3種地盤、中間階免震

60m以下

時刻歴応答解析法

建築確認機関へ

告示第6の構造計算

国土交通大臣の認定

判断

判断

設計ルート : 大臣認定 or 耐震評定(時刻歴地震応答解析による設計)

建物規模は、告示2009号第6による計算が

可能であるが、既存建物の許容設計ででき

る確証が難しい

準拠基準 :

免震部材 : 平12建告第1446号第1第九号

外 力 : 平12建告第1461号の方法

設計方針・考え方: 平12建告第2009号第6の方法

耐震改修の計画認定所管行政庁 = 第三者機関

(耐震改修促進法:第17条、第22条)

所管行政庁に報告

(30s/P)

15

4.免震改修の利点とは

4.7 免震改修に有効な工法:柱頭・杭頭免震構造

出典:「免震構造設計指針 」 2013 P.230 日本建築学会

(特徴の長所)・免震レトロフィットには、 必須な工法・免震層のない空間とその経済性・掘削土量の削減などの経済性

(特徴の短所)

・免震部材の性能と上下構造部材の剛性が与える影響の評価重要

・免震部材の回転角と水平剛性の低下の評価・など

(30s/P)

16

4.免震改修の利点とは

Page 69: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

4-5

4.免震改修の利点とは

4.8 中間階免震には免震部材の耐火被覆が必須

(20s/P)

17

4.免震改修の利点とは

4.9.1 免震改修における等価Is値の求め方について

Qm

Qo

Iso : 上部構造の必要耐震構造性能値Iso‘ : 免震化した上部構造の

必要耐震構造性能値

Iso‘ = Iso / n = 0.6/4.0 = 0.15 (例)n = Qo / Qm = 4.0

1.免震建物の耐震性能評価は、地震応答解析によることが原則

2.「既存鉄筋コンクリート造建築物の免震・制震による耐震改修ガイドライン」(財)日本建築防災協会編 の提案では、必要Iso(=Iso’) を免震層通過前後の入力地震動の低減係数nを用いて算定する。

課題:・免震構造の固有周期は、変形により変化する。・地震応答計算をしなければQmが求まらない。・検討地震波の適正判断が必要

計算例 次頁参照

(30s/P)

18

4.免震改修の利点とは

改良案: 告示応答スペクトルによる算定方法免震建物のIs値 = (免震化前の建物 Is) / n

例: 2.63 = 0.42 / 0.16 >> 0.6

免震層応答変位:δr

・耐震構造物の入力地震動Qe=M・Z・Fh・Gs・So(Ts)

・免震上部構造物の入力地震動Qe’=M・Z・Fh’・Gs’・So(Ts’)

n = Qe’/ Qe (例計算↓)

= Cf・Cg・Cs = 0.6x0.70x0.38

= 0.16ここに

Cf = Fh’/ Fh = 0.6

Cg = Gs’(Ts’)/Gs(Ts) = 1.23/1.75= 0.70

Cs = So(Ts’)/So(Ts) = 300/800

= 0.38

Fh’/Fh =[1.5/(1+10(15%)]/[1.5/(1+10(5%))]=0.6

4.9.2 免震改修における等価Is値の求め方の提案

地震力 Qe

免震層復元力特性曲線

Qr(δr)Qe’

Qe

(30s/P)

19

4.免震改修の利点とは

Next第5話モデル建物を用いた免震改修の試計算

20

Page 70: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

5-1

5.免震改修モデルの設定と応答

第5話 免震レトロによる耐震性能の改修試算(20分/30s/26P)

既存建物を免震構造化によって耐震改修の可能性

と課題をシミュレーションする。

同じモデル建物を用いて

・建物の模擬劣化 : 鉄筋本数とコンクリート強度変更

・免震化の模擬 : モデル建物に免震層を設定

・ 免震層の設計

・地震応答解析 : 時刻歴地震応答解析

・目標耐震性能 : 補強なしで設定できる目標と比較

CERA DESIGN 1

5.免震改修による耐震性能の改修試算構造種別:RC造、架構形式:桁行:純ラーメン構造張間:耐力壁付きラーメン構造基礎:杭基礎A案 :免震層を1階柱頭

長所)・地下の掘削が不要・地上のため工事が容易短所)・1階の使用空間が制限・1階機能の移転必要・1階柱、上下階梁の要補強・工事中の補強が必要

B案 :免震層をB1階柱頭長所)・1階機能の移転不要・工事中の補強が小規模短所)・地下の半分掘削が必要・地下のため工事が難しい・設備機器の移動が多い(共通)工事中の地震対策が重要

B案

A案

1. 免震層位置の選択

(30s/P)

2

C案

A,B案:中間階免震、C案:基礎免震(ここでは対象外とする)

3. 免震層の設定とその特徴(立面)

基礎免震構造

B案 :免震層をB1階柱頭特徴)・中柱に免震部材を設けない場合

:告示計算対応可となる。・B1階柱頭に免震部材を挿入・免震部材の耐火被覆が必要・1階床梁を補強(付加モーメント対応)・B1階柱(室内方向)の補強・建物周囲にドライエリア新設

短辺幅:約 0.75m(水平クリアランス)深さ :GL-約 2.5m

・犬走りスラブ新設・工事中の補強は外周壁を利用

免震層

5.免震改修による耐震性能の改修試算 (30s/P)

3

4. 免震部材の配置とその特徴

中間階免震では、既存物との緩衝を減らすために、水平変形量をできるだけ抑えることがポイント

B案 :免震層をB1階柱頭特徴)・免震部材(支承材)の耐火被覆が必要 : 注)耐火被覆認定と適用免震部材

・水平変形を少なくする- オイルダンパー追加 - 免震部材を小口径化・中柱に免震部材を設けない場合 : フェールセイフ機能として使用・建物周囲にドライエリア新設 : 点検スペースとして使用・工事中地震による水平変形の拘束必要 : 補強は外周壁を利用

積層ゴム支承i

錫プラグ入り積層ゴム支承i

オイルダンパー

5.免震改修による耐震性能の改修試算 (30s/P)

4

Page 71: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

5-2

5.免震改修モデルの設定と応答

5. 模擬劣化処理

(鉄筋のサイズダウン)2)鉄筋の強度、本数は、変更なし、 梁、柱の主鉄筋径を1サイズ下げる。

D 25 (507 mm2) ---- D 22 (387 mm2) : -23%D 29 (642 mm2) ---- D 25 (507 mm2) : -21%D 32 (794 mm2) ---- D 29 (642 mm2) :-19%D 35 (957 mm2) ---- D 32 (794 mm2) :-17%

コンクリート強度(N/mm2) 耐震モデル 模擬劣化モデル 低下率

搭屋 24 18 -25%8F 階立上~R階床以下 27 21 -15%6F 階立上~8階床以下 30 22 -27%4F 階立上~6階床以下 33 25 -24%4F 階床以下 36 27 -25%

(コンクリートの劣化 )

5.免震改修による耐震性能の改修試算 (30s/P)

なお、経年指標T: 評価を省略、 形状指標SD:免震化で偏心率を改修5

6. 復元力特性曲線から見た耐力低下の程度

5F Qu = 16747kN (-17.5%)4F Qu = 18579 kN (-16.3%)

( 劣化モデル )( 耐震モデル(劣化前))

5F Qu = 20296 kN4F Qu = 22186 kN

5.免震改修による耐震性能の改修試算 (20s/P)

6

[本設計モデルの1次設計Ci ]予備解析後、極稀地震レベルの応答に対し

許容設計が難しいと判断し、ここでは告示計

算の結果から仮に設定する。

この層せん断力に対し許容応力の確認が

必要であるが、紙面上省略する。

0.700 (RF)

0.270 (10F)

0.240 (9F)

0.220 (8F)

0.210 (7F)

0.200 (6F)

0.190 (5F)

0.180 (4F)

0.170 (3F)

0.160 (2F)

0.150 (1F)

7.設計層せん断力係数 C i の設定注:設定Ciで1次設計が可能であることが前提であるが、劣化後の検証は省略する。

5.免震改修による耐震性能の改修試算 (30s/P)

塔屋階

7

8. 設計Ci による支点反力から浮上りの有無を全支点確認

X方向(桁行き)加力時の変動反力

Y方向(梁間)加力時の変動反力

長期 : 5642kN-3693 =1949kN更に0.3G考慮0.7x5642-3693= 256 kN >0 OK

長期 : 5456kN-2936 = 2520kN更に0.3G考慮0.7x5456-2936= 883 kN >0 OK

5.免震改修による耐震性能の改修試算 (20s/P)

8

Page 72: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

5-3

5.免震改修モデルの設定と応答

9. 免震部材(支承材)の選定と諸元

免震部材種類 積層ゴム 錫プラグ入積層ゴム 免震部材種類 オイルダンパRB800 Sn900 BM200

想定メーカ SWCC 住金シポレックス 想定メーカ 日立オートモーチブ

認定記号 R40-800-6.0x30 SnA40-900-6.8x26 認定記号 BM200-2C

すべり材径 mm - - 外シリンダー径   (mm) 356

有効ゴム径 mm 800 900 ロッド外径      (mm) 140中心口径 mm 40 180ゴム層厚 mm 6 6.8ゴム層数 30 26ゴム総厚 mm 180 176.81次形状S1 31.7 26.52次形状S2 4.4 5.1

ゴムG N/mm2 0.39 0.39

水平1次剛性 kN/mm 1.09 151水平2次剛性 kN/mm 1.09 1.35ゴム有効断面積 mm2 501398 610726すべり材有効断面積 mm2 - -

基準面圧(ゴム部) N/mm2 12 15

設計平均支持荷重 kN - -

設計摩擦係数 - - 1次減衰係数 C1(kN・s/m) 2000

設計降伏(切片)荷重 kN - 377 2次減衰係数 C2(kN・s/m) 260

認定鉛直剛性 Kv kN/mm 6020 5070 リリーフ速度 Vl (m/s) 0.25

設計基準変形(200%) mm 360 353.6 リリーフ減衰力 Fl (kN) 500

鉛直剛性低下率 0.460 0.529 限界速度 Vmax (m/s) 1.20

変形時鉛直剛性 kN/mm 2769 2680 大抵抗力 Fmax (kN) 747引張耐力(1N/mm2) kN 501 611 限界変形δmax (mm) 700

圧縮限界強度(200%時) N/mm2 28.0 60.0 C1,C2 の製造ばらつき ±15%圧縮限界耐力 kN 14039 36644 温度変化(-10~60℃) ±5%

 

5.免震改修による耐震性能の改修試算 (20s/P)

9

10. 免震部材の配置調整免震部材タイプ、必要径、設計径、面圧、基準面圧

注) 短期変動荷重は引き抜き方向荷重を表示している

支持荷重, Fw kN

短期変動荷重(X,Y) kN

長期・基準面圧 N/mm2

必要積層ゴム径 mm

設計径φ mm

鉛直剛性 kN/mm

RB800 Sn900 Sn900 BM200-700-2C Sn900 Sn900 RB800 支持荷重, Fw kN 5456 7 8173 8 9081 9 (2基) 16 8356 10 8135 11 5423 12 52759

短期変動荷重(X,Y) kN 3205 3695 93 3883 322 3851 452 3793 10 3721 3253 3472長期・基準面圧 N/mm2 10.90 12.00 12.90 15.00 14.30 15.00 13.20 15.00 12.80 15.00 10.80 12.00必要積層ゴム径 mm 798 898 899 898 900 800

設計径φ mm 800 900 900 900 900 800鉛直剛性 kN/mm 6020 5070 5070 5070 5070 6020

Y3 11250 0 11250 8025 11250 16175 11250 20250 11250 24325 11250 32475 11250 40500 11250

BM200-700-2C BM200-700-2C支持荷重, Fw kN (2基) 13 (2基) 14

短期変動荷重(X,Y) kN

長期・基準面圧 N/mm2

必要積層ゴム径 mm

設計径φ mm

鉛直剛性 kN/mm

Y2 6940 8025 6940 32475 6940 RB800 Sn900 Sn900 BM200-700-2C Sn900 Sn900 RB800

支持荷重, Fw kN 5642 1 7739 2 7764 3 (2基) 15 7732 4 7749 5 5531 6 49906短期変動荷重(X,Y) kN 2936 3693 285 3886 168 3850 284 3793 354 3724 2982 3470

長期・基準面圧 N/mm2 11.30 12.00 12.20 15.00 12.20 15.00 12.20 15.00 12.20 15.00 11.00 12.00必要積層ゴム径 mm 797 899 900 898 899 800

設計径φ mm 800 900 900 900 900 800鉛直剛性 kN/mm 6020 5070 5070 5070 5070 6020

Y1 0 0 0 8025 0 16175 0 20250 0 24325 0 32475 0 40500 0柱芯寄り 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

X1 0 X2 8025 X3 16175 X3-4 20250 X4 24325 X5 32475 X6 40500 102665

0 総重量Wt= 102665

5.免震改修による耐震性能の改修試算 (20s/P)

10

方法:免震部材タイプ別のモデル化

天然ゴム系積層ゴム

( リニア )

11.免震層のモデル化

錫プラグ入り積層ゴム支承

(標準バイ・リニアまたは専用履歴モデル)

Kp

水平変位δ

QQy

δ

Q

K2

Vy Veq Vmax

Cvi

Qy

C1

C2減衰力

速度

オイルダンパー

(バイ・リニア)

表- 免震層の解析モデル例 (各タイプ基数分、標準性能時)

免震部材   型式 1次水平剛性 2次水平剛性 降伏荷重

(kN/mm) (kN/mm) (kN)

天然ゴム系積層ゴム支承 RB800 リニアーモデル 4.36 4.36 0

錫プラグ入り積層ゴム支承 Sn900 弾塑性モデル 1208.00 10.80 3016

内部剛性 1次減衰係数 2次減衰係数

(kN/mm) (kN・s/mm) (kN・s/mm)

オイルダンパー BM200-2C バイリニア形 120.00 8.00 1.04

解析モデル

5.免震改修による耐震性能の改修試算 (20s/P)

11

12. 免震層の復元力特性の確認 (図化)

5.免震改修による耐震性能の改修試算 (10s/P)

12

免震層の復元力特性

限界変形:弾性解析の限界として260%歪とする。

Ex. Tr x 2.6 =177x2.6 =460mm

Page 73: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

5-4

5.免震改修モデルの設定と応答

13. 耐風性能のチェック

方針例:設計風速Vo(令87条)では降伏させない。

暴風時(1.25xVo)では多少の降伏を許容する。

ただし、免震部材の変動・劣化を考慮した条件で、残留変形を推定し、

その変形が大きな場合は戻し方を検討しておく。

赤字入力

●設計風に対する免震層の変形

免震層のせん断力Qw = 2232.8 (kN)

免震層の 大水平変形δw = 3 (mm)

免震層の残留変形δL= 0.0 (mm)

*弾性範囲のため

●大規模な暴風に対する免震層の変形

残留変形の推定では、暴風の30%は変動風速が占めるとし、

変動風速による変形は動的振幅を伴うため、残留変形に与える

影響はわずかであるとしている。

免震層のせん断力Qw = 3572.4 (kN)

免震層の 大水平変形δw = 37 (mm)免震層の残留変形δL= 4 (mm)

*弾性剛性に比例にて戻る(注) 暴風時はロックキー設定

●免震効果の発生する地震動免震効果の発生変位  約 5 (mm)免震効果の発生荷重  約 2550 (kN)推定入力 大加速度 30.2 (cm/s2)免震効果発生震度階 震度Ⅳ (25~80cm/s2)

暴風時の 大水平残留変形δL= 4 (mm)

0

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

せん

断力

(kN)

変位 (mm)

風荷重と免震層の復元力特性

免震部材特性

免震効果発生点

極稀の暴風時

稀の暴風時

稀予測復元ライン

極稀予想復元ライン

5.免震改修による耐震性能の改修試算 (20s/P)

13

14. 上部構造の荷重増分解析

図 各層のスケルトン曲線

上部構造フレームの荷重増分解析

1.水平荷重増分条件:

設計Ciの分布で加力

( 予備応答解析後Ciを修正)

2.支点は便宜上、ピン支点とした。

3.Ds判定時の層間変形角

X方向:1/50, Y方向:1/70

4.保有水平耐力の確認

X方向:1/70, Y方向:1/100

注:荷重増分過程においてせん断破壊、脆性破壊は無かった。

免震構造でも、免震層の衝突時を想定し、フレームの余力を確保しておく。

Y方向(桁行)

X方向(桁行)

5.免震改修による耐震性能の改修試算 (10s/P)

14

図 各層のQ-δ曲線を用いたスケルトン曲線(Tri-Linear)

注:柱の軸変形よる曲げ剛性は省略、

等価せん断型スケルトンでモデル化した。

第3勾配設定用の指定層間変形角

X方向 : 1/100程度

Y方向 : 1/200~ 終ステップ

15. 振動解析モデルの作成(各層のスケルトンカーブの設定)

Y方向(桁行)

X方向(桁行)

5.免震改修による耐震性能の改修試算 (20s/P)

15

16. 振動解析モデル(2次元集中質点系モデル)

構造減衰 :等価粘性減衰 h=3% (RC造)注:免震部材は、履歴減衰で評価 減衰 h=0 とする。

   表-1 上部構造モデルの諸元

階 階高さ 各階重量 減衰特性

(㎝) (kN) (%)

PH1 582RF 350.0 726910F 320.0 68709F 315.0 69928F 315.0 7362 等価粘性減衰

7F 320.0 7375 h=3%6F 320.0 7455 (瞬間剛性比例) 履歴則:武田モデル

5F 320.0 7508 (荷重増分解析結果参照)

4F 320.0 77513F 325.0 78312F 325.0 8415

1F 430.0 10400免震層 250.0 履歴減衰のみ

復元力特性

スケルトンモデル:標準トリ・リニアー型

5.免震改修による耐震性能の改修試算 (20s/P)

16

Page 74: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

5-5

5.免震改修モデルの設定と応答

(耐震モデル) (劣化モデル)大応答加速度(上限性能時、X方向)

17. 時刻歴地震応答解析結果

5.免震改修による耐震性能の改修試算 (20s/P)

17(耐震モデル) (劣化モデル)

大応答加速度(上限性能時、Y方向)

17.1 時刻歴地震応答解析結果

5.免震改修による耐震性能の改修試算 (20s/P)

18

(耐震モデル) (劣化モデル)大応答層せん断力係数 (上限性能時、X方向)

17.2 時刻歴地震応答解析結果

5.免震改修による耐震性能の改修試算 (20s/P)

19

(耐震モデル) (劣化モデル)大応答変位 (下限性能時、X方向 Y:省略)

17.3 時刻歴地震応答解析結果

5.免震改修による耐震性能の改修試算 (20s/P)

20

注:劣化モデルはB1階の重量が少なくなっている効果が大きい。

告示波L2K-TKYBN-EW

34 cm

告示波L2K-TKYBN-EW

46 cm

Page 75: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

5-6

5.免震改修モデルの設定と応答

(耐震モデル) (劣化モデル)大層間変形角 (上限性能時、X方向)

17.4 時刻歴地震応答解析結果

5.免震改修による耐震性能の改修試算 (20s/P)

21

入力地震波 X方向(桁行方向) Y方向(梁間方向)δm(mm) C1 δm(mm) C1

El Centro NS (510gal) 133 0.091 127 0.092Hachinohe NS (350gal) 183 0.095 179 0.095Taft EW (497gal) 147 0.086 146 0.091L2K-HACHI-NS (450gal) 221 0.105 217 0.104L2K-TKYBN-EW (577gal) 336 0.109 334 0.116L2K-RAN (490gal) 246 0.093 242 0.104TKYBN-NS (432gal) 123 0.096 124 0.099TKANTO (472gal ) 233 0.096 227 0.103

ここに、 C1 :上限性能状態、1階の 大応答層せん断力係数δm :下限性能状態、免震層の 大応答変位

18. 時刻歴地震応答解析結果一覧

5.免震改修による耐震性能の改修試算 (20s/P)

22

今回、模擬劣化モデルを用いて、上部構造の補強をしないことを条件で、免震改修設計を行った結果、① 1次設計層せん断力係数では、極稀レベルの地震応答に対し、許容応力度設計は難しい。(ただし、1次設計Ciは、告示計算のCiで許容応力度を満たすと仮定し設定した。)

②耐震目標としては、どこかの層で初めて塑性ヒンジを発生した時点を建物の弾性限界耐力とした場合、すなわち建物の損傷が大きくなる起点を限界とした場合、免震化によって建物に大きな損傷が生じないようにすることができる可能性が十分にあると言える。③改めて、設計目標は、稀に発生する地震動で許容応力度以内、極めて稀に発生する地震動に対し弾性限界耐力以内とする。(注:長期時設計は別途必要)

19. 上部構造の設計目標の再設定

5.免震改修による耐震性能の改修試算 (30s/P)

23

NEXT

おわりご清聴ありがとうございました。

24

Page 76: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

5-7

5.免震改修モデルの設定と応答

13. 包絡法による免震層の性能設計

(第2種地盤:等価速度Ve=150cm/s)

INPUT免震周期 : Tf = 5.09sダンパー降伏係数:αs=0.071

免震層変位 :δ=19.7cm

免震層の層せん断力係数:α1= 0.102

5.免震改修による耐震性能の改修試算(20s/P)

25

9.1 限界性能曲線の確認(H12告示1446号第1第9号)

5.免震改修による耐震性能の改修試算 (10s/P)

26

注:オイルダンパーの限界性能は、限界変形、限界速度、限界抵抗力で規定している。

(X方向) (Y方向)大応答層間変位と層せん断力関係 (上限性能時)

18.5 時刻歴地震応答解析結果

5.免震改修による耐震性能の改修試算 (20s/P)

27

補足.免震改修モデルによる地震応答計算(設計基準状態の応答結果の比較)

計算方法 免震層の変形

(mm)1階のCi

包絡法(エネルギー法)

地盤:第2種、Ve=150197

(設計基準時)

0.112(=1.1xα1:推定1階)

告示計算の結果

Gs=1.23, 極稀地震Sa

基準変位:308(設計基準時:284)

応答変位:339

γ=1.0 : 0.107

γ=1.24 : 0.133

時刻歴解析結果

レベル2(極稀地震相当,設計基準状態)

X: 120~259Y: 110~277

X: 0.067~0.116Y: 0.070~0.109

5.免震改修による耐震性能の改修試算 (20s/P)

28

Page 77: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

5-8

5.免震改修モデルの設定と応答

構造計算ルートの選定

補足: 免震建築物の構造計算フロー

免震建築物の構造計算

指定性能評価機関

応答スペクトル解析法

60m超える建築物の高

敷地地盤種別,免震層の位置

第1種または液状化のおそれのない第2種地盤、基礎免震

液状化のおそれのある第2種地盤、第3種地盤、中間階免震

60m以下

時刻歴応答解析法

建築確認機関へ

告示第6の構造計算

国土交通大臣の認定

判断

判断

設計ルート : 大臣認定 or 耐震評定(時刻歴地震応答解析による設計)

建物規模は、告示2009号第6による計算が

可能であるが、既存建物の許容設計ででき

る確証が難しい

準拠基準 :

免震部材 : 平12建告第1446号第1第九号

外 力 : 平12建告第1461号の方法

設計方針・考え方: 平12建告第2009号第6の方法

耐震改修の計画認定所管行政庁 = 第三者機関

(耐震改修促進法:第17条、第22条)

所管行政庁に報告

5.免震改修による耐震性能の改修試算 (30s/P)

29

(X方向) (Y方向)大層間変形角 (上限性能時)

18.3 時刻歴地震応答解析結果

5.免震改修による耐震性能の改修試算 (20s/P)

30

(X方向) (Y方向)大応答層せん断力係数 (上限性能時)

18.1 時刻歴地震応答解析結果

5.免震改修による耐震性能の改修試算 (20s/P)

31

(X方向) (Y方向)大応答変位 (下限性能時)

18.2 時刻歴地震応答解析結果

5.免震改修による耐震性能の改修試算 (20s/P)

32

Page 78: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

5-9

5.免震改修モデルの設定と応答

23. 免震層の応答計算後の設計処理

A1. 大応答層せん断力 ≦ 耐震目標値となることを確認A2. 大層間変形角 と 耐震目標( ≦ 1/300程度)の確認A3.P-δ効果による付加モーメントMに対する梁の補強A4.水平変形と水平クリアランスの確保A5.地下構造、基礎の設計用水平力の割り増しA6.免震部材の取り付け部、擁壁の許容設計A7.免震用設備継ぎ手の設計A8.維持管理事項(耐火被覆材の追加)の作成A9.その他

5.免震改修による耐震性能の改修試算

33[ 地下1階免震部材配置図 ]

出典:TaisinNet 特集:免震レトロフィットの現場:愛媛県庁第一別館

[ 地下1階柱免震部材設置 ]

2-1. 免震改修施工事例

5.免震改修による耐震性能の改修試算 (10s/P)

34

22. 免震部材の地震応答時の安全性能確認

注) 上下震動の考慮:圧縮側 長期荷重 x 1.3倍引張側 長期荷重x 0.7 倍

5.免震改修による耐震性能の改修試算

35

2-2. 免震改修施工事例(愛知県合同庁舎B1階)

5.免震改修による耐震性能の改修試算 (20s/P)

36

Page 79: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

5-10

5.免震改修モデルの設定と応答

2-3. 免震改修施工事例(東北大学医学部1階)

65.免震改修による耐震性能の改修試算 (20s/P)

37

2-4. 免震部材の耐火被覆適用例

5.免震改修による耐震性能の改修試算 (20s/P)

38

2-5. 免震部材の耐火被覆仕様例(2時間、3時間耐火)

出典:ニチアス㈱H.P., 日本インシュレーション㈱H.P.

5.免震改修による耐震性能の改修試算 (30s/P)

39

2-4. 免震改修施工事例(九段郵政宿舎)5.免震改修による耐震性能の改修試算 (20s/P)

40

Page 80: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

5-11

5.免震改修モデルの設定と応答

21. 想定地震力による支点反力から浮上りの有無を全支点確認

X方向(桁行き)加力時の変動反力

Y方向(梁間)加力時の変動反力

長期 : 5448kN-3213 = 2235kN更に0.7x5448-3213= 600 kN

長期 : 5650kN-4047 =1603kN更に0.7x5650-4047= -92 kN ( < 0 )ややNG

5.免震改修による耐震性能の改修試算

41

補足:免震構造の耐震目標の確認・修正「目標クライテリアの各項目と応答値、

告2009号第2項三号耐久性関係規定のチェック」ただし、告示2009の第6による場合は、レベル2のみが対象

5.免震改修による耐震性能の改修試算

42

A3. 反力・応力の伝達と断面設計

Q1:1階の層せん断力

NL+NS+Nv:長期+地震時軸力+上下動

水平変形による付加モーメント

基礎重力による慣性力

Qb= k・WbまたはWb・g(t)/G

土圧+水圧+地震力

Ws +We上部からの伝達荷重

Qp= (Qm + Qb + We)αα:根入れ低減率

免震層の層せん断力

Qm=Σ(Kh・δ+Qd)

耐火被覆材

5.免震改修による耐震性能の改修試算

43

A4. 変形クリアランスの確保

算定変位:42.6 cm

設計変位: 45.0 cm

躯体クリアランス:55cm

外壁クリアランス:> 155(50+50+55)cm

隣地境界

外壁面

凡 例

注:隣地境界まで障害物のある場合は、障害物までの距離

注:外壁面位置がキャピタル面と同じ場合

耐火被覆材の変形域を考慮して確保。既存設備、仕上げ材との緩衝を無くす。

5.免震改修による耐震性能の改修試算

44

Page 81: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

5-12

5.免震改修モデルの設定と応答

Next.第6話

45

Page 82: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

6. 告示計算法による応答せん断力係数の見直し案と試計算

6-1

[ 試算ケース の結果]1) 基本モデルは告示計算をしたモデルとする

2) 塔屋重量は 上階に含め、塔屋高さを除いた場合

0

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

0.00 0.50

階数

X,Y方向層せん断力係数Ci

増幅後(塔屋層高さ無視)

増幅後の層せん断力係数Cdi

予備応答結果(L2X-P)

予備応答結果(L2Y-P)

告示計算結果

第6話 (30分/30s/41P)

6.告示計算法(H12建告2009号第6)による応答層せん断力係数の見直し案と試計算(告示計算値の補正方法)

建築研究資料 No.162 の概要紹介(平成26年8月 独立行政法人建築研究所)

補正された応答層せん断力係数

1

6.1 建築研究資料 No.162 の概要紹介平成26年8月 独立行政法人建築研究所

その主旨:

■H12建告2009号が施行されて15年が経過した。

その間、免震部材が多様化し、免震部材の特性によって上部構造の応答に大差が生じる恐れがある。

■2009号は上部構造を1質点とし免震層の等価剛性と等価粘性減衰定数でモデル化するため上部構造の応答を直接評価できない。

■時刻歴解析の結果と大差が生じる場合がある。

地震応答に影響の大きいパラメータを設定し、2009号

の計算と時刻歴応答計算を通して応答特性の比較評価

層せん断力係数の設定方法を提案

出典: 建築研究資料 No.162 平成26年8月 独立行政法人建築研究所

6.告示計算法(H12建告2009号第6)による応答せん断力係数の見直し案と試計算 (30s/P)

2

建築研究資料 No.162 の概要

第1章 はじめに : 背景、目的

第2章 免震建築物の設計用地震層せん断力係数の実情調査

第3章 免震建築物の地震応答特性の比較検討

第4章 免震建築物の設計用地震層せん断力係数設定法(案)

第5章 まとめ

出典: 建築研究資料 No.162 平成26年8月 独立行政法人建築研究所

6.告示計算法(H12建告2009号第6)による応答せん断力係数の見直し案と試計算 (20s/P)

概要紹介の目的

1.実情調査 = 設計物件と参照対比、比較評価が可能

2.比較検討 = 告示計算と地震応答の違いを特性から把握

3.設計用層せん断力係数設定法= 設計精度を向上3

調査対象

平均階数: 9.3階数: 1 ~20平均軒高:34.2m軒高:2.73~59.6m

第2章 免震建築物の設計用地震層せん断力係数の実情調査2-3 調査結果2005年~2008年のビルディングレターの性能評価シートにある高さ 60m以下の時刻歴応答解析された免震建物 121件

出典: 建築研究資料 No.162 平成26年8月 独立行政法人建築研究所

6.告示計算法(H12建告2009号第6)による応答せん断力係数の見直し案と試計算 (20s/P)

4

Page 83: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

6. 告示計算法による応答せん断力係数の見直し案と試計算

6-2

構造種別 RC : 97, S: 17 , SRC,PC : 7 計121 地盤種別 第1種:12, 第2種:82, 第3種:13上部構造固有周期(中央値) RC:0.6~0.8s, S: 1.2s, SRC,PC: 0.7~1.1s

出典: 建築研究資料 No.162 平成26年8月 独立行政法人建築研究所

6.告示計算法(H12建告2009号第6)による応答せん断力係数の見直し案と試計算 (20s/P)

5

免震部材種別 適用件数積層ゴム支承 : 天然ゴム系: 65, 鉛プラグ入り:71, 高減衰系:21 すべり・転がり支承 : 弾性すべり:44, 直動転がり:16, 転がり:5, 剛すべり:5ダンパー : 鋼材系:18, 鉛系:13, 摩擦: 2, オイル系: 32

出典: 建築研究資料 No.162 平成26年8月 独立行政法人建築研究所

6.告示計算法(H12建告2009号第6)による応答せん断力係数の見直し案と試計算 (20s/P)

6

免震部材のモデル化天然ゴム系積層ゴム支承 : 線形 : 18 /20 , マルチリニア: 2/20 弾性すべり・剛すべり支承 : バイ・リニアー

直動転がり、剛すべり支承 : バイ・リニアー、剛塑性モデル

弾塑性ダンパー : バイ・リニアー

オイルダンパー : 速度C-減衰Q関係をバイリニアー

鉛プラグ入り積層ゴム支承 : 4種類専用モデル

高減衰積層ゴム支承 : 4種類専用モデル

出典: 建築研究資料 No.162 平成26年8月 独立行政法人建築研究所

6.告示計算法(H12建告2009号第6)による応答せん断力係数の見直し案と試計算 (20s/P)

7

上部構造の減衰上部構造の減衰種別 : 瞬間剛性比例型、 初期剛性比例型、 レイリー減衰

[C] = (2h/ω)[K] 、 [K] [Ko] 、 [C] = a[M]+b[K]

[基礎固定時の1次振動モードに

対する上部構造の減衰定数]

出典: 建築研究資料 No.162 平成26年8月 独立行政法人建築研究所

6.告示計算法(H12建告2009号第6)による応答せん断力係数の見直し案と試計算 (20s/P)

8

Page 84: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

6. 告示計算法による応答せん断力係数の見直し案と試計算

6-3

設計用地震層せん断力係数の傾向下階のCi : 0.08~0.16 上階/ 下階 : 1~4倍 (例、 下階 Ci=0.1 -- 上階 Ci =0.40 )上階/ 下階 : 上部構造の1次固有周期が増すと大きくなる

[ 下階 Ci ] [ 上階 / 下階 ] [ 上階/ 下階と

上部構造の1次固有周期]

出典: 建築研究資料 No.162 平成26年8月 独立行政法人建築研究所

6.告示計算法(H12建告2009号第6)による応答せん断力係数の見直し案と試計算 (20s/P)

9

レベル2地震時応答極めて稀に入力地震波 : 観測波 , 告示波(H12年建告1461号), サイト波

免震部材のばらつき(変動要因)考慮

出典: 建築研究資料 No.162 平成26年8月 独立行政法人建築研究所

1.免震層の 大変位 : 13.2~52.6cm [平均値:35.8cm]

2.免震層の 大応答層せん断力係数

: 0.061 ~0.255[平均値:0.133]

6.告示計算法(H12建告2009号第6)による応答せん断力係数の見直し案と試計算

*発生地震波 : 告示波

*発生地震波 : 告示波

(20s/P)

10

レベル2地震時応答極めて稀に入力地震波 : 観測波 , 告示波(H12年建告1461号), サイト波

免震部材のばらつき(変動要因)考慮

出典: 建築研究資料 No.162 平成26年8月 独立行政法人建築研究所

3.頂部の 大絶対加速度

: 89 ~559cm/s2 ,[平均値:252cm/s2 ]

4.免震層の 大変位と頂部絶対加速度の関係

== 相関性は明白でない

6.告示計算法(H12建告2009号第6)による応答せん断力係数の見直し案と試計算

*発生地震波 : 告示波

(20s/P)

11

レベル2地震時応答極めて稀に入力地震波 : 観測波 , 告示波(H12年建告1461号), サイト波

免震部材のばらつき(変動要因)考慮

出典: 建築研究資料 No.162 平成26年8月 独立行政法人建築研究所

6.免震層の 大Coと

応答Ct / Co の関係

== 逆比例の傾向

7.上部構造の1次固有周期と

応答Ct / Co の関係

比例の傾向

5.層せん断力係数の高さ方向比

==応答Ct/Co=1.5~2.5(中央値)~4.5ここで、Ct /Co: 上階C t / 免震層Co

Ct ≒a/g , a: 上部 大加速度, g:重力加速度

■免震層 大変形 と Ct/Co相関性は明白でない

6.告示計算法(H12建告2009号第6)による応答せん断力係数の見直し案と試計算 (20s/P)

12

Page 85: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

6. 告示計算法による応答せん断力係数の見直し案と試計算

6-4

各免震部材の特性変動要因:

①製造ばらつき : 加工寸法誤差、ゴム・鋼材・オイルなどの材料物性の誤差

②環境温度 : 免震層など設置場所の年間の 低・ 高月別平均などで評価。

・一般に、ゴムの剛性は温度が高いと柔らかく、低いと硬くなる。

すべり材(四フッ化エチレン)の摩擦は温度が高いと低く、低いと高くなる。

③経年劣化 : ゴム材など劣化促進試験で評価、 鋼材は防錆処理とメンテナンス対応

・一般に、ゴムの剛性は劣化すると硬くなる。

④面圧依存性 : 支承材の特性、支持荷重で評価。 水平剛性、摩擦係数が変動。

・一般に、ゴムの剛性は面圧が高いと柔らかく、低いと硬くなる。

すべり材(四フッ化エチレン)の摩擦は面圧が高いと低く、低いと高くなる。

⑤速度依存性 : すべり支承の摩擦係数、粘性、粘弾性ダンパーの粘度など

一般に、摩擦係数は速度が高くなると増加する。

⑥ひずみ依存 : 積層ゴム系支承に見られ、減衰機能を有する部材が依存性が大きい。

⑦繰り返し依存 : すべり支承の摩擦係数、減衰機能を有する部材に見られる。

2-3-3 免震部材種別による水平特性の変動に関する調査結果

6.告示計算法(H12建告2009号第6)による応答せん断力係数の見直し案と試計算 (25s/P)

13

3-2 解析パラメータの設定

1.上部構造モデル:

(基本) 7階、14階、 (階高さ:3.5m, 60m以下) 2ケース

(追加) 3階、5階、20階 3ケース

・基礎固定時の建物1次周期To = η・H, H=3.5m x 階数, η =0.02,0.03,0.04・質量分布 : 各階一定

・剛性分布 : 台形分布( 上階0.4, 下階1.0 )・減衰定数 : h=2% (又は3%), 剛性比例型

第3章 免震建築物の地震応答特性の検討3-1 目的:上部構造・免震部材の解析モデルとその諸元・パラメータを設定し、地震応

答解析を行い、告示2009号第6の計算結果を比較し、その変化を評価。ここで、(基本):基本解析ケース、 (追加): 追加解析ケース

2.振動モデル : 集中質点せん断型ばね系

出典: 建築研究資料 No.162 平成26年8月 独立行政法人建築研究所

6.告示計算法(H12建告2009号第6)による応答せん断力係数の見直し案と試計算 (25s/P)

14

3.免震層の特性 :バイリニア型の復元力特性(線形弾性要素+完全弾塑性要素)

・線形弾性要素 : 剛性 Ko, 弾性接線周期 T2= 2π√(M/Ko)

= 2.5s, 4.0s, 6.0s 3ケース

・完全弾塑性要素: 降伏せん断力係数 αy = Fy / W ,( Fy: 降伏せん断力)

= 0.03, 0.05, 0.07, 0.10 4ケース

: 降伏変位 de = 0.1cm, 1.0cm, 3.0cm 3ケース

(追加)粘性減衰の追加

全解析ケース: 2x3x2x3x4x3=432ケース出典: 建築研究資料 No.162 平成26年8月 独立行政法人建築研究所

6.告示計算法(H12建告2009号第6)による応答せん断力係数の見直し案と試計算 (20s/P)

15

4.入力地震動 :(基本)極めて稀に発生する地震(レベル2) 各3波 / 地盤種別(①~③)位相特性:一様乱数、包絡特性:BCJ レベル2 120秒、 全9(3x3)波

(追加) 観測波

地盤種別 : ① Gs=1.23 一定の地盤

② 第2種地盤から算定Gs③ 異なる第2種地盤から算定Gs ② 第2種地盤から算定Gs

③ 異なる第2種地盤から算定Gs

6.告示計算法(H12建告2009号第6)による応答せん断力係数の見直し案と試計算 (30s/P)

16

Page 86: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

6. 告示計算法による応答せん断力係数の見直し案と試計算

6-5

4.入力地震動 : 波形と諸元

① Gs=1.23 一定の地盤 ② 第2種地盤から算定Gs③ 異なる第2種地盤から算定Gs

(長周期タイプ)

出典: 建築研究資料 No.162 平成26年8月 独立行政法人建築研究所

6.告示計算法(H12建告2009号第6)による応答せん断力係数の見直し案と試計算 (10s/P)

17

3-3-1 基本モデルの地震応答結果基本モデル:2ケースの結果 免震層の特性

層数 周期To 減衰h 接線周期T2 降伏せん断係数 降伏変位

ケース1 7 0.03H 2% 4.0s 0.03 3.0cmケース2 7 0.03H 2% 4.0s 0.05 0.1cm

6.告示計算法(H12建告2009号第6)による応答せん断力係数の見直し案と試計算

Qy

水平変位δ

水平

抵抗

力Q

ケース1の復元ライン

ケース2の復元ライン

(20s/P)

告示地震応答

(ケース1) (ケース2)

18

3-3-2 解析パラメータを変えた結果 (入力地震:第2種地盤短周期)

[免震層の変位]地震応答による 大変位 : 0.1 ~0.4m免震層の降伏せん断力係数αy : 小さいほど変位は大きくなる。

(告示計算との差が大きくなる傾向)

・Toが大きくなると、T2が小さく、αy が小さいほど差が大きくなる:告示変位 > 応答解析変位

上部構造7層,h2%, αy-免震層変位関係図 (点線:告示、実線:応答解析結果)

[免震層の性能パラメータ表示]基礎固定上部建物の1次固有周期 To弾性接線周期 T2 : 2.5s - t25, 4.0s - t40, 6.0s - t60降伏せん断力係数αy : 0.03 - a03, 0.05 - a05, 0.07 - a07, 0.10 - a10降伏変位 de : 0.1cm- d0, 1.0cm- d1 , 3.0cm - d3

6.告示計算法(H12建告2009号第6)による応答せん断力係数の見直し案と試計算

αy低下

Qy

水平変位δ

水平

抵抗

力Q

理想の復元ライン

t25 t60

(30s/P)

地震応答 告示

t 25

t 60

19

[層せん断力係数]地震応答による 上階Ci : 0.2 ~0.8降伏せん断力係数αy が大きく降伏変位deが小さいほど大きくなる。

(告示計算との差が大きくなる傾向)

・αy が大きく、降伏変位deが小さいほど差が大きく :告示Ci < 応答解析Ci

上部構造7層,h2%, 層- 大層せん断力係数Ci 関係図 ( 点線:告示、実線:応答解析結果)

[免震層の性能パラメータ表示]弾性接線周期 T2 : 2.5s - t25, 4.0s - t40, 6.0s - t60降伏せん断力係数αy : 0.03 - a03, 0.05 - a05, 0.07 - a07, 0.10 - a10降伏変位 de : 0.1cm- d0, 1.0cm- d1 , 3.0cm - d3

3-3-3 解析パラメータを変えた結果 (入力地震:第2種地盤短周期)

出典: 建築研究資料 No.162 平成26年8月 独立行政法人建築研究所

6.告示計算法(H12建告2009号第6)による応答せん断力係数の見直し案と試計算

a05 a07d0 d3

Qy

水平変位δ

水平

抵抗

力Q

理想の復元ライン

(30s/P)

告示

地震応答

αy増加

de減少

20

Page 87: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

6. 告示計算法による応答せん断力係数の見直し案と試計算

6-6

3-3-4 解析パラメータを変えた結果 (入力地震:第2種地盤長周期)

[免震層の変位]地震応答による 大変位 : 0.2 ~0.5m免震層の降伏せん断力係数αy : 小さいほど変位は大きくなる傾向があるが

T2が大きくなると、その傾向がなくなる。

(告示計算との差が大きくなる傾向)

・T2が小さく、αy が小さいほど差が大きく :告示の変位 > 応答解析の変位

上部構造7層,h2%, αy-免震層変位関係図 (点線:告示、実線:応答解析結果 (長周期))

[免震層の性能パラメータ表示]弾性接線周期 T2 : 2.5s - t25, 4.0s - t40, 6.0s - t60降伏せん断力係数αy : 0.03 - a03, 0.05 - a05, 0.07 - a07, 0.10 - a10降伏変位 de : 0.1cm- d0, 1.0cm- d1 , 3.0cm - d3

6.告示計算法(H12建告2009号第6)による応答せん断力係数の見直し案と試計算

Qy

水平変位δ

水平

抵抗

力Q

理想の復元ライン

t25 t40 t40 t60

(30s/P)

地震応答

告示

t 25 --- t 40

αy低下

21

[層せん断力係数]地震応答による 上階Ci : 0.1 ~0.8降伏せん断力係数αy が大きく降伏変位deが小さいほど大きくなる。

(告示計算との差が大きくなる傾向)

・αy が大きく降伏変位deが小さいほど差が大きく、弾性接線周期T2が大きく

なるとその傾向が大きくなる。 :告示Ci < 応答解析Ci

上部構造7層,h2%, 層- 大層せん断力係数Ci 関係図( 点線:告示、実線:応答解析結果(長周期))

[免震層の性能パラメータ表示]弾性接線周期 T2 : 2.5s - t25, 4.0s - t40, 6.0s - t60降伏せん断力係数αy : 0.03 - a03, 0.05 - a05, 0.07 - a07, 0.10 - a10降伏変位 de : 0.1cm- d0, 1.0cm- d1 , 3.0cm - d3

3-3-6 解析パラメータを変えた結果 (入力地震:第2種地盤長周期)

t25, a05 t40 ,a03 t40,a05 t60,a05

出典: 建築研究資料 No.162 平成26年8月 独立行政法人建築研究所

6.告示計算法(H12建告2009号第6)による応答せん断力係数の見直し案と試計算

a05 a03t25 t40

t40 t60

(30s/P)

告示

地震応答

22

[免震層の変位]地盤周期が長周期ほど変位が大きくなり2倍程度になる。その他の傾向は同じ。

[層せん断力係数]応答解析では地盤の周期の違いによる差は大きくないが、

告示計算では、

弾性接線周期T2 が小さいと、長周期地震に対し免震効果が低下し、下層で差が大きくなる。

弾性接線周期T2 が大きいと、短・長周期地震に対し免震効果が等しく、大きな差が生じない。

(長周期地震に対し告示計算との差が大きくなる傾向)

・T2が小さくなると下層で : 告示Ci > 応答解析Ci

・T2が大きくなると上層で : 告示Ci < 応答解析Ci となる傾向を示す。

上部構造7層,h2%, 層- 大層せん断力係数Ci 関係図 ( 点線:告示、実線:応答解析結果)

3-3-7 解析パラメータを変えた結果(長周期と短周期の地盤周期の比較)

t25, a05 (短) t25,a05 (長) t60 ,a05 (短) t60,a05 (長)

6.告示計算法(H12建告2009号第6)による応答せん断力係数の見直し案と試計算 (30s/P)

地震応答

告示

23

4-1 免震構造物の地震力分布に関する既往の基準類や研究

A. 一定地震力分布 (SEAONC1986, UBC91)第i層に作用する地震力 Fi = Vb・(mi/Σmj) , Vb:免震層の地震力

B. 逆三角形分布 (UBC94,97,FEMA273)第i層に作用する地震力 Fi=Vb・(mi・hi)/Σ(mj・hj) , hi:基礎からの高さ

C. 非線形免震層に対して高次モード考慮分布 (Andrino & Carr 1991)第i層に作用する地震力 Fi=Vb・(mi・hiP)/Σ(mj・hjP) , P:回帰パラメータ

C. 非線形免震層に対して高次モード考慮分布 (菊地、大澤ら 2005)Ai’=1+k1(1-αi)+k2(1/√αi - αi) +k3(1-αi)2

k1,k2 :上部構造の固有周期によるパラメータ、k3: 地盤条件によるパラメータ

C. 非線形免震層に対して高次モード考慮分布 (免震構造設計指針 2005)Ai=1+(1 / √(a・αi ) a・αi ) 2T/(1+3T)

a = 3.1238 0.1238 bs 1 bs < 10,

a = 2.0127- 0.0127bs 10 bs < 80,

a = 1.0 80 bs , bs = (上部構造の第1層の剛性) / (ダンパー剛性)H12建告1452 と同じ

第4章 免震建築物の設計用地震層せん断力係数設定法(案)

出典: 建築研究資料 No.162 平成26年8月 独立行政法人建築研究所

6.告示計算法(H12建告2009号第6)による応答せん断力係数の見直し案と試計算 (30s/P)

24

Page 88: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

6. 告示計算法による応答せん断力係数の見直し案と試計算

6-7

免震構造物の地震力分布に関する既往の基準類や研究

C. 非線形免震層に対して高次モード考慮分布(小林正人らの方法)ダンパー種別の増幅率の提案

γ・ √((Qh+Qe)2+2ε(Qh+Qe)Qv+Qv2 ) Ai(sβi Qh+ sβi Qv) + QeC i= ------------------------------------------------- ・ --------------------------------

M・g Qh+Qv+Qesβi : 履歴型ダンパーに対する増幅率

hβi : 流体型ダンパーに対する増幅率

Qh : 履歴型支承・ダンパーの水平力

Qe : 弾性支承材の水平力

Qv : 流体系ダンパーの水平力

Ai=1+(1 / √αi αi ) ・2T/(1+3T) H12建告1452

出典: 建築研究資料 No.162 平成26年8月 独立行政法人建築研究所

6.告示計算法(H12建告2009号第6)による応答せん断力係数の見直し案と試計算 (20s/P)

Qe増幅なし

Qh, Qvの増幅

25

4-2 地震層せん断力係数設定法の提案4-2-1 設定法の基本的な考え方

1) 上部構造の地震層せん断力係数は、告示2009号で求めた値に対し

て免震建築物の解析パラメータに応じて割増率として設定する。

2)上部構造の地震層せん断力係数は、解析パラメータの値に応じて設定する。

手法1:告示2009号の地震層せん断力分布算出法に則り、上部構造の

地震層せん断力係数の増幅は、免震層の減衰材が負担する

地震層せん断力分に対してのみ割増率αを乗じる。= 設定法1

手法2:告示2009号の手法を用いない。上部構造の各層の増幅率βを

解析パラメータの値に応じて算定し、免震層の地震層せん断力

係数Coに乗じる。 = 設定法2、設定法3

出典: 建築研究資料 No.162 平成26年8月 独立行政法人建築研究所

6.告示計算法(H12建告2009号第6)による応答せん断力係数の見直し案と試計算 (20s/P)

26

A 設定法1

[手順]1) 免震層の復元力特性と上部構造モデルを仮定

2) 上部構造の基礎固定時の1次周期To の算定(To=0.02h :RC造, =0.03h:S造)3) 告示2009号の免震層の変形、各層のせん断係数C i の算定

4) 免震層の復元力特性から Teq / To, T1 / To の算定T1 : 免震層初期剛性による周期、 Teq : 免震層の応答 大変形に基づく等価周期

5) Teq/To, T1/To , Ci により 上階の割増率αt を算定。(免震層と 上階を結ぶ直線)

0 < T1/To 0.5 αt =1.61+ 0.31(Teq/To)0.5 < T1/To 1.5 αt =1.60+ 0.19(Teq/To)1.5< T1/To 3.0 αt =1.33+ 0.084(Teq/To)3.0< T1/To 5.0 αt =0.94+ 0.018(Teq/To)

出典: 建築研究資料 No.162 平成26年8月 独立行政法人建築研究所

6.告示計算法(H12建告2009号第6)による応答せん断力係数の見直し案と試計算 (30s/P)

27

αt αc

Teq /To Teq /To

A 設定法1

[検討建物モデル7層、14層、中間層、 上層の結果]

出典: 建築研究資料 No.162 平成26年8月 独立行政法人建築研究所

左図:告示2009の結果、右図 設定法1の割増後

入力波:第2種地盤卓越周期(短) 入力波:第2種地盤卓越周期(長)

6.告示計算法(H12建告2009号第6)による応答せん断力係数の見直し案と試計算 (10s/P)

28

Page 89: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

6. 告示計算法による応答せん断力係数の見直し案と試計算

6-8

補足 3-4 解析結果の分析

3-4-1 パラメータと応答値との対応

(1)免震層のバイリニア型復元力特性の影響

・応答 大変形による等価周期 Teq (秒)・初期剛性に対する周期 T1 (秒), 上部構造基礎固定1次周期 To (秒)・応答 大変形に対する非線形係数 NL= Ah/(4SbXb) =Qy/Sb –Xy/Xb, NL=0 : 線形

よって、等価減衰定数 heq = (2/π)・NL

出典: 建築研究資料 No.162 平成26年8月 独立行政法人建築研究所

6.告示計算法(H12建告2009号第6)による応答せん断力係数の見直し案と試計算

29

B 設定法2[手順]1) 免震層の復元力特性と上部構造モデルを仮定

2) 上部構造の固有周期To の算定 (To=0.02h :RC造, =0.03h:S造)3) 告示2009号の免震層の変形、各層のせん断係数Ci の算定

4) 免震層の復元力特性から T1/To, 非線形係数NL の算定

5) T1/To , NL により 上階の割増率βt を算定。(免震層と 上階を結ぶ直線)

0 < T1/To 0.5 βt =2.19+ 3.95 NL0.5 < T1/To 1.5 βt =2.31+ 3.34 NL1.5< T1/To 3.0 βt =1.66+ 2.58 NL3.0< T1/To 5.0 βt =1.04+ 1.59 NL

出典: 建築研究資料 No.162 平成26年8月 独立行政法人建築研究所

6.告示計算法(H12建告2009号第6)による応答せん断力係数の見直し案と試計算 (20s/P)

30

βt βc

NL NL

B 設定法2 : 増幅率βt を考慮(補正)

[検討建物モデル7層、14層、中間層、 上層の結果]

出典: 建築研究資料 No.162 平成26年8月 独立行政法人建築研究所

左図:告示2009の結果、右図 設定法2の割増後

入力波:第2種地盤卓越周期(短) 入力波:第2種地盤卓越周期(長)

補正

6.告示計算法(H12建告2009号第6)による応答せん断力係数の見直し案と試計算 (20s/P)

補正

補正 補正

31

C 設定法3[手順]1) 免震層の復元力特性と上部構造モデルを仮定

2) 上部構造の固有周期To の算定 (To=0.02h :RC造, =0.03h:S造)3) 告示2009号の免震層の変形、各層のせん断係数Ci の算定

4) 免震層の復元力特性から To, 非線形係数NL の算定

5) To , NL により 上階の割増率βt を算定。(免震層と 上階を結ぶ直線)

0 < To 0.375 βt =1.32+ 3.87 NL0.375 < To 1.125 βt =1.015 + 0.813 To + (3.60 + 0.72To) NL1.125 < To 1.75 βt =1.426 + 0.448 To + (4.23 + 0.16To) NL1.75 < To 2.0 βt =2.21+ 4.51 NL

出典: 建築研究資料 No.162 平成26年8月 独立行政法人建築研究所

6.告示計算法(H12建告2009号第6)による応答せん断力係数の見直し案と試計算 (20s/P)

32

Page 90: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

6. 告示計算法による応答せん断力係数の見直し案と試計算

6-9

目的:増幅率βtのばらつきを考慮したβtの回帰式を求める。

出典: 建築研究資料 No.162 平成26年8月 独立行政法人建築研究所

4-5-3 平均値からのばらつきを考慮した平面回帰式 (設定法2)

Ct / Co (平均+σ)、 βt = -0.72 ( T1/To) + 7.0 heq + 3.2 , 1.0以下時は1.0 (4.5-40)Cm/ Co (平均+σ)、βm = -0.23 ( T1/To ) + 2.2 heq +1.7 , 1.0以下時は1.0 (4.5-41)

ここに、heq = 2/π・NL , m : 中間階

6.告示計算法(H12建告2009号第6)による応答せん断力係数の見直し案と試計算 (15s/P)

33

ばらつきを考慮したβtと地震応答解析結果との比較

出典: 建築研究資料 No.162 平成26年8月 独立行政法人建築研究所

4-5-3 平均値からのばらつきを考慮した平面回帰式 (設定法2)6.告示計算法(H12建告2009号第6)による応答せん断力係数の見直し案と試計算 (15s/P)

34

6.2 提案式( 平面回帰式の設定法2 )による試算

モデル建物による告示2009号第6 計算結果に適用

[手順]1) 免震層の復元力特性と上部構造モデル : モデル建物を使用

2) 上部構造の固有周期To の算定 (To=0.02h :RC造, =0.03h:S造)3) 告示2009号の免震層の変形、各層のせん断係数Ci の算定

4) 免震層の復元力特性から初期剛性による固有周期 T1の算定

5) 免震層の基準変位δ時の定常ループ時の等価減衰定数heqの算定

・heq はバイリニア型復元特性によるもののみ考慮

6) 粘性系減衰材によるheq が20% を超える場合は増幅を考慮

7) 免震層の基準変位δ時の地震層せん断力、層せん断力係数Co算出

8) T1/To , heq により 上階の割増率βt を算定。

9) 当該層の重量に各層の増幅率と免震層の地震層せん断力係数を

乗じて各層の地震層せん断力を算定

出典: 建築研究資料 No.162 平成26年8月 独立行政法人建築研究所

Qi = βt x Co x mi

6.告示計算法(H12建告2009号第6)による応答せん断力係数の見直し案と試計算 (20s/P)

35

[ 試算ケース ]1) 基本モデルは告示計算をしたモデルとする

塔屋を1層とし、固有周期To=0.02h :RC造

2) 塔屋重量は 上階に含め、塔屋高さを除いた場合

3) 上部構造の固有周期Toを固有値解析で算定した場合

4) 免震層の初期剛性K1 を0.8倍し柔らかくした場合(heqは一定仮定)

5) 免震層の初期剛性K1 を1.2倍し硬くした場合 (heqは一定仮定)

6) 等価減衰定数 heq に流体オイルダンパーのhvを付加し考慮

設定法2の増幅率βt の算定 (上限状態)基本

モデル塔屋なし

固有解析X

固有解析Y

0.8xK1 1.2xK1 Heq=hd+hv

・免震層の初期剛性 K1 = (kN/m) 842083 842083 842083 842083 673667 1010500 842083

・上部構造の総質量 M = (t) 10205 10205 10205 10205 10205 10205 10205・免震層の初期剛性による固有周期 T1 = (S) 0.69 0.69 0.69 0.69 0.77 0.63 0.69・免震層の基準変位 δ = (m) 0.27 0.27 0.27 0.27 0.27 0.27 0.27・免震層の設計限界変位時の等価減衰定数heq=

(=hd )hvは20%以下無視0.281 0.281 0.281 0.281 0.281 0.281 0.357

・基礎固定時の上部構造1次固有周期 To =(=0.02H )

(s) 0.83 0.759 0.608 0.541 0.83 0.83 0.83

・ 上階の増幅率(平均+σ)βt=-0.72(T1/To)+7.0heq+3.2= 4.571 4.513 4.350 4.249 4.500 4.623 5.102

・中間階の増幅率(平均+σ)βm=-0.23(T1/To)+2.2heq+1.7= 2.128 2.109 2.057 2.025 2.105 2.144 2.295

6.告示計算法(H12建告2009号第6)による応答せん断力係数の見直し案と試計算 (20s/P)

36

Page 91: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

6. 告示計算法による応答せん断力係数の見直し案と試計算

6-10

[ 試算ケース の結果]1) 基本モデルは告示計算をしたモデルとする

2) 塔屋重量は 上階に含め、塔屋高さを除いた場合

3) 上部構造の固有周期Toを固有値解析で算定した場合

X方向(桁行):To =0.608 秒、Y方向(梁間):To =0.541 秒、

0

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

0.00 0.20 0.40 0.60 0.80

階数

X,Y方向層せん断力係数Ci

増幅後(塔屋層高さ無視)

増幅後の層せん断力係数Cdi

予備応答結果(L2X-P)

予備応答結果(L2Y-P)

告示計算結果

0

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

0.00 0.20 0.40 0.60 0.80階

X,Y方向層せん断力係数Ci

増幅後の層せん断力係数Cdi

固有値解析X方向To=0.608s

固有値解析Y方向To=0.541s

告示計算結果

6.告示計算法(H12建告2009号第6)による応答せん断力係数の見直し案と試計算 (15s/P)

37

[ 試算ケース の結果]4) 免震層の初期剛性K1 を0.8倍し柔らかくした場合(heqは一定仮定)

5) 免震層の初期剛性K1 を1.2倍し硬くした場合 (heqは一定仮定)

6) 等価減衰定数 heq に粘性ダンパーのhvを付加し考慮

0

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

0.00 0.20 0.40 0.60 0.80

階数

X,Y方向層せん断力係数Ci

増幅後の層せん断力係数Cdi

0.8xK1の場合

1.2xK1の場合

告示計算結果

0

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

0.00 0.20 0.40 0.60 0.80

階数

X,Y方向層せん断力係数Ci

増幅後のCdi (heq=hd)

増幅後のCdi (heq=hd+hv)

告示計算結果

6.告示計算法(H12建告2009号第6)による応答せん断力係数の見直し案と試計算 (15s/P)

38

補足:「上部構造に対するダンパーの剛性比率(bs=ko/Ks)」

αf+αs+αsi: 理論による解析モデルの層せん断力係数αsi : ダンパーによる層せん断力係数の増幅αf : 積層ゴムの負担する層せん断力係数αs : ダンパーの負担する層せん断力係数

bs : 上部構造に対するダンパーの剛性比率(=ko/Ks)ko : 上部構造の第1層のせん断ばね定数Ks : ダンパー(履歴ダンパー)の水平ばね定数・X方向(桁行):bs=15 ( < 100) 上部構造の水平剛性が低い建物・Y方向(梁間):bs=208 ( > 100) 上部構造の水平剛性が高い建物

X方向(桁行)による応答層せん断力係数(αf=0.046, αs=0.034, bs=15 )

1

2

3

4

5

6

7

8

0.00 0.05 0.10 0.15 0.20

応答層せん断力係数αi

階 i

αf+αs+αsi

地震応答結果

告示計算結果

αf=0.046

Y方向(梁間)による応答層せん断力係数(αf=0.046, αs=0.034, bs=206 )

1

2

3

4

5

6

7

8

0.00 0.05 0.10 0.15 0.20

応答層せん断力係数αi

階 i

αf+αs+αsi

地震応答結果

告示計算結果

αf=0.046

6.告示計算法(H12建告2009号第6)による応答せん断力係数の見直し案と試計算 (20s/P)

39

Next. 第7話

40

Page 92: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

7-1

7. 長周期・長時間地震動に対する課題と計算法の紹介

7.2 時刻歴地震応答、告示計算法では地震の長時間継続による免震部材の性能変動を評価し難い。

対応 : 免震部材の繰り返し変形試験結果から吸収エネルギーと性能変動率を確定し、免震層の累積変形距離や入力地震エネルギーを用いて設計変動率(特に、下限状態)を設定する。

7.1 告示計算法で、地震動を応答スペクトルによって評価できるか。

任意な地震波やインパルスを含む波形、長周期な波形は考慮できるか。

対応 : 任意な地震波の包絡スペクトル、Sa-Sdスペクトルを用いて検討する。

7.長周期・長時間地震動に対する課題と計算法の紹介

本話では、告示計算で長周期・長時間地震動に対してどのように対応できるかを以下の2つの課題をあげ検討します。

(30分/30s/48P)

1

7.1 応答スペクトルによって地震動を評価する方法

H12建告2009号第6 では、H12建告1461号四項に設定された

“加速応答スペクトル”と限界耐力の算定方法を用いて応答計算を行う。

即ち、“告示波”といわれる地震動を入力としている。

同様に、観測波、模擬(人工)地震波、想定地震動を用いた検討を行うため

には、以下の2つの方法が考えられる。

ただし、方法2は、計算精度に問題があり、推奨できない。

方法1.包絡倍率法(仮称)

対象地震動の加速度(速度)応答スペクトルS*を求め、想定する免震周期

域で告示の加速度(速度)応答スペクトルSoで概ね包絡するようにN倍する。

その倍率Nを告示計算法の地震力に乗じる。

So x N ≧ S*(t) 、 N:正の実数、 t :免震周期(約1.0~6.0s)

方法2.対象地震動のSa-Sdスペクトル法(仮称)

告示計算では加速度応答スペクトルSaの座標を(加速度- 周期(T))から

(加速度-変位)としたSa-Sdスペクトルを使用している。対象地震動も同様

にSa-Sdスペクトルを求め、そのスペクトルを用いて告示計算を行う。2

(30s/P)

方法1.包絡倍率法(仮称)の計算例1対象地震動の加速度(速度)応答スペクトルを求め、想定する免震周期域で告示の

加速度(速度)応答スペクトルがある程度包絡するようにN倍する。

その倍率Nを告示計算法の地震力に乗じる。

山崎断層帯南東部(兵庫県)破壊 想定震度分布

告示基盤の加速度Saの2倍と山崎断層帯の表層Sa

N=2.0

2倍

免震周期域

計画地の工学的基盤の加速度波形

7.1 応答スペクトルによって地震動を評価する方法

3

(20s/P)

想定大規模地震と告示波の擬似速度スペクトルpSv比較

出典:「免震構造設計指針 」 2013 P.230 日本建築学会

方法1.包絡倍率法(仮称)の計算例2対象地震動の速度応答スペクトルpSv を求め、想定する免震周期域で告示の速度応答

スペクトルpSvがある程度包絡するように速度を大きくし、その倍率を告示計算法の

地震力に乗じる。

告示スペクトルH12建告1461号四基盤波:Spv=81cm/s

表層波:pSv=NxGsx81(第2種地盤 NxGs=2.0の場合)

告示スペクトル

関東地震2

東海東南海1

免震周期域

東海東南海2

関東地震1

7.1 応答スペクトルによって地震動を評価する方法

地震波名Amax(cm/s2)

Vmax(cm/s)

Dmax(cm)

時間(s)

関東波1(TS-TOK-NS) 244 24.6 14.9 200

関東波2(TS-YKL-NS) 499 43.3 45.3 200東海東南海波1 (A-NST-EW) 117 27.8 12.6 250東海東南海波2 (A-SJB-EW) 187 48.2 22.1 250

4

(20s/P)

Page 93: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

7-2

7. 長周期・長時間地震動に対する課題と計算法の紹介

方法2.Sa-Sdスペクトル法の概要Sa-Sd曲線は、加速度応答スペクトルSaと変位応答スペクトルSd を用いて、同じ周期時

のSa,Sd値をそれぞれ縦軸、横軸としてグラフに表示したものである。

JMA-KOBE: 兵庫県南部地震

MYG013: 東北地方太平洋沖地震(仙台市)観測波:代表3波 (50kine 基準化)

想定東海東南海南海地震(名古屋市)

想定南関東地震(東京新宿)

十勝沖地震2003(苫小牧市)

東北地方太平洋沖地震(新宿)

7.1 応答スペクトルによって地震動を評価する方法

5

0.0

5.0

10.0

15.0

20.0

25.0

30.0

0.01 0.10 1.00 10.00

加速

度ス

ペク

トル

Sa

(m/s2

)

T (秒)

入力加速度スペクトル Sa(T)

JMA-KOBE-NS h=5%

MYG013-NS h=5%

EL CENTRO-NS(L2)

TAFT-EW(L2)

HACHINOHE-NS(L2)

L2K-RAN2(TSB)

想定東海東南海南海(名古屋市)

想定南関東地震

十勝沖地震(苫小牧)HDK129-EW

東北地方太平洋沖地震(新宿)

告示表層波(Gs1.23~3.39考慮)

0.0

0.2

0.4

0.6

0.8

1.0

1.2

1.4

1.6

1.8

2.0

0.01 0.10 1.00 10.00

変位

スペ

クト

ルSd

(m)

T (秒)

擬似変位スペクトル pSd(T) = ω2・Sa(T)

JMA-KOBE-NS h=5%

MYG013-NS h=5%

EL CENTRO-NS(L2)

TAFT-EW(L2)

HACHINOHE-NS(L2)

L2K-RAN2(TSB)

想定東海東南海南海(名古屋市)

想定南関東地震

十勝沖地震(苫小牧)HDK129-EW

東北地方太平洋沖地震(新宿)

告示表層波(Gs1.23~3.39考慮)

(20s/P)方法2.Sa-Sdスペクトル法による計算用地震波モデル建物の告示計算に下記の3波を適用した事例を以下に示す。

東北地方太平洋沖地震の代表観測波(仙台市 MYG013-NS) : 長時間地震波の代表

想定東海・東南海・南海地震(名古屋市 N-Triple-NS) : 長周期・長時間地震波の代表

告示波 極稀 (位相:乱数 L2K-RAN2): モデル建物の検証計算用

0.0

5.0

10.0

15.0

20.0

25.0

30.0

0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0

加速

度ス

ペク

トル

Sa

(m/s2

)

Sd (m)

Sd-Saスペクトル

MYG013-NS h=5%

想定東海東南海南海(名古屋市)

告示波L2K-RAN2

告示基盤波

告示表層波(Gs=1.23~3.39考慮)

免震評価域

7.1 応答スペクトルによって地震動を評価する方法

6

(20s/P)

方法2.Sa-Sdスペクトル法による計算用地震波免震評価域の告示スペクトル(x Gs)値との拡大比較図

告示スペクトルは、告示H12建告1461 号の極めて稀に発生する地震動の解放工学的基盤の加速度応答スペクトル(h=5%)にモデル建物が計画した表層地盤の加速度増加率

Gsを掛けて考慮している。

0.0

1.0

2.0

3.0

4.0

5.0

0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0

加速

度ス

ペク

トル

Sa

(m/s2

)

Sd (m)

Sd-Saスペクトル

MYG013-NS h=5%

想定東海東南海南海(名古屋市)

告示波L2K-RAN2

告示基盤波

告示表層波(Gs=1.23~3.39考慮)

7.1 応答スペクトルによって地震動を評価する方法

7

(20s/P)方法2.Sa-Sdスペクトル法による計算用地震波入力波となる3波の加速度時刻歴波形を以下に示す。

東北地方太平洋沖地震の代表観測波(仙台市 MYG013-NS)

想定東海東南海南海地震(名古屋市 N-Triple-NS)

告示波 極稀 (位相:乱数 L2K-RAN2)

7.1 応答スペクトルによって地震動を評価する方法

8

(20s/P)

Page 94: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

7-3

7. 長周期・長時間地震動に対する課題と計算法の紹介

方法2.Sa-Sdスペクトル法による

東北地方太平洋沖地震(MYG013-NS)の計算結果モデル建物の告示計算の入力加速度スペクトルに観測波(MYG013-NS)を適用。

[告示波による告示計算結果]

時刻歴解析結果に比べ、

・免震層の変形はかなり小さくなっている。

・1階の層せん断力係数は30%程度小さくなっている。

特徴:

①Sa-Sdスペクトル形状の凹凸の影響を受け易い。

②逆勾配の地震力では免震層の変位は

下限状態が 大とは限らない矛盾が生じる。

入力地震波 X方向(桁行方向) Y方向(梁間方向)δm(mm) C1 δm(mm) C1

時刻歴 MYG013-NS (1516gal) 413 (428 ) 0.115 417 (409) 0.113

告示方法 MYG013-NS (1516gal) 144 (167) 0.087 144 (167) 0.087ここに、 C1 :上限性能状態、1階の 大応答層せん断力係数

δm :下限性能状態、免震層の 大応答変位 ( )値は上限状態の 大応答変位

0

2000

4000

6000

8000

10000

12000

0.00 0.05 0.10 0.15 0.20 0.25 0.30 0.35 0.40

せん

断力

(kN

)

変位(m)

告示基準Sp

上限性能特性

下限性能特性

大応答変位

免震層地震力Qiso

設計基準特性

7.1 応答スペクトルによって地震動を評価する方法

9

(20s/P)

-40

-30

-20

-10

0

10

20

30

40

0 50 100 150 200 250 300

Dis

p (

cm

)

T(sec)

MYG013-NS 変位波形 Max=32.55 cm

[ MYG013-NS結果の考察 ]

図1, 図2 の90秒近辺に見られるようなスパイク状の変形に対して、時刻歴解析では免震層の変形がかなり大きくなっている。

このような1サイクルを構成しない振動は、Sa-Sdスペクトル曲線で適切に評価されていないと

考えられる。即ち、告示計算では、その影響のない領域で算定し、応答変位が適切に評価されていない。または減衰の評価が告示計算が大きく評価し過ぎているためとも推測している。

図1. 免震層の層間変位の時刻歴波形(上限状態、X方向)

図2. 東北地方太平洋沖地震 仙台観測波MYG013-NSの変位時刻歴波形

7.1 応答スペクトルによって地震動を評価する方法

10

(20s/P)

方法2.Sa-Sdスペクトル法による

想定東海・東南海・南海地震(N-Triple-NS)の計算結果モデル建物の告示計算の入力加速度スペクトルに模擬地震波(N-Triple-NS)を適用。

[告示波による告示計算結果]

時刻歴解析結果に比べ、

・免震層の変形は約20mm小さくなっている。

・1階の層せん断力係数は30%程度大きくなっている。

特徴:

①Sa-Sdスペクトル形状の凹凸の影響を受け易い。

②逆勾配の地震力では免震層の変位は

下限状態が 大とは限らない矛盾が生じる。

入力地震波 X方向(桁行方向) Y方向(梁間方向)δm(mm) C1 δm(mm) C1

時刻歴 N-Triple-NS (161gal) 260 (163) 0.077 260 (166) 0.077告示方法 N-Triple-NS (161gal) 240 (294) 0.102 240 (294) 0.102

0

2000

4000

6000

8000

10000

12000

14000

0.00 0.10 0.20 0.30 0.40 0.50 0.60

せん

断力

(kN

)

変位(m)

上限性能特性

下限性能特性

大応答変位

免震層地震力Qiso

設計基準特性

告示基準Sp

7.1 応答スペクトルによって地震動を評価する方法

11ここに、 C1 :上限性能状態、1階の 大応答層せん断力係数δm :下限性能状態、免震層の 大応答変位 ( )値は上限状態の 大応答変位

(20s/P)

-10

-8

-6

-4

-2

0

2

4

6

8

10

0 50 100 150 200 250

Dis

p (c

m)

T(sec)

N-TRIPLE-NS 変位波形 Max=5.6 cm

図4. 想定東海・東南海・南海地震波の変位時刻歴波形

図3. 免震層の層間変位の時刻歴波形(上限状態、X方向)

[L2K-Triple-NS 結果の考察]

図3, 図4 には著しいスパイク状の変形はなく、時刻歴解析と告示計算は免震層の変形がほぼ同じ程度となっている。

層せん断力係数は、告示計算が大きくなっている。これは逆勾配のSa-Sdスペクトルに

なっているため、変形と荷重が比例する傾向となる領域でのみ釣合い計算を行った影響によるものと推測している。

7.1 応答スペクトルによって地震動を評価する方法

12

(20s/P)

Page 95: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

7-4

7. 長周期・長時間地震動に対する課題と計算法の紹介

方法2.Sa-Sdスペクトル法による告示波(L2K-RAN2)の計算結果モデル建物の告示計算の入力加速度スペクトルに告示波(L2K-RAN2)を適用。

[告示波による告示計算結果]

時刻歴解析結果に比べ、

・免震層の変形は約44mm小さくなった。

・1階の層せん断力係数は

0.01大きくなった。

特徴:

①波形の凹凸の影響を受け易い。

②各波に対応する計算が煩雑となる。

入力地震波 X方向(桁行方向) Y方向(梁間方向)δm(mm) C1 δm(mm) C1

時刻歴計算 L2K-RAN2(490gal) 298 0.082 296 0.080告示方法 L2K-RAN2(490gal) 254 0.092 254 0.092

ここに、 C1 :上限性能状態、1階の 大応答層せん断力係数δm :下限性能状態、免震層の 大応答変位

0

2000

4000

6000

8000

10000

12000

0.00 0.10 0.20 0.30 0.40 0.50 0.60

せん

断力

(kN

)

変位(m)

告示基準Sp

上限性能特性

設計基準特性

下限性能特性

免震層地震力Qiso

下限状態の応答変位

7.1 応答スペクトルによって地震動を評価する方法

13

(20s/P)

-30

-20

-10

0

10

20

30

0 20 40 60 80 100 120

Dis

p (c

m)

T(sec)

L2K-RAN2 変位波形 Max=17.2 cm

[L2K-RAN2 結果の考察]

図1, 図2 には著しいスパイク状の変形はなく、時刻歴解析と告示計算は免震層の変形は大きな違いはない。

層せん断力係数は、告示計算がやや大きくなっているが、入力加速度スペクトルの凸凹による影響と思われる。Sa-Sd曲線は変形と荷重は逆比例の傾向となって告示計算法のルールに適している。

図1. 免震層の層間変位の時刻歴波形(上限状態、X方向)

図2. 極稀の告示波(乱数位相)の変位時刻歴波形

7.1 応答スペクトルによって地震動を評価する方法

14

(20s/P)

少ない検証結果ではあるが、Sa-Sdスペクトル法には、以下の特徴を有すると言える。

①任意な地震波の応答を告示計算において用いることは技術的には可能。

②免震周期帯のみで釣合い状態を考慮するため、他の周期帯の影響を考慮できない。

・インパルス波を含む地震波の応答は周期帯が狭いため評価し難い。

・長周期成分の強い地震波であっても免震周期帯を外れるとその影響は考慮し難い。

③入力加速度スペクトルSaを用いた解法は、免震建物の1次周期帯を算定範囲とすると同時に、この周期で定常振動をすることを前提としている。

そのため、免震層の減衰定数は1サイクル分を考慮しているが、インパルス波などを含む地震応答では定常振動しないため減衰効果が出難い。告示計算は定常振動として評価するため減衰を高く見做しているため、減衰による低減率 Fhを適切に評価する必要がある。

④H12建告2009号では、Fh >0.4 : 低減率を過剰評価しない規則があり、応答値と異なる要因となっている。

⑤入力加速度スペクトルが右下がりとなる周期帯では、上限状態は免震層の変形が少なく、層せん断力は大きくなるが、任意な地震波では告示波と逆の傾向を示すことがある。

⑥任意地震波のSa-Sdスペクトルはスムーズな曲線ではないため、応答変化が大きく、計算精度の影響も受けやすくなる。

方法2.Sa-Sdスペクトル法(仮称)の特徴

7.1 応答スペクトルによって地震動を評価する方法

15

(30s/P) 7.2 長周期・長時間地震動を評価する方法の提案

ここまで、地震動の評価を応答スペクトルによって行い、時刻歴解析に近い

結果を導く方法について検討・考察してきました。

しかし、応答スペクトルでは地震の継続時間による影響は考慮できていない。

時刻歴解析でも、免震部材や建物部材の劣化を考慮することは容易ではない。

そのため、従来から大地震時に免震部材は5~8サイクル程度の繰り返しが

伴うとして、設計者判断により繰り返しによる性能変動を考慮した設計を行って

いる。

免震材料認定(H12建告1446号)では40回の繰り返し試験を行い3回目の性能

を基準として長時間継続する地震による変動率を求め性能変動(低下)を考慮し

てきたが、長周期・長時間地震にはやや不十分。

・建築研究資料 No.170 「免震部材の多数回繰り返し特性と免震建築物の地震応答性状への影響に関する研究」April 2016

第6部 繰り返し依存性を簡易的に取り組むための手法の検討

7.2.1 長周期・長時間地震動に対する従来の対応

16

(30s/P)

Page 96: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

7-5

7. 長周期・長時間地震動に対する課題と計算法の紹介

補足 7.2.1(1) 累積変形から推定した性能変動と応答性能

従来の検討方法では、累積変形による変動率を手計算で極簡易に

以下ように推定していた。

(設定: 東海・東南海・南海地震を想定)

・長時間地震の主動波継続時間 : 200秒と仮定

・モデル建物の限界固有周期(上限状態) : 3.5 秒

・免震層の平均繰り返し変形 : 大応答変形(260mm)の半分程度と仮定

・1方向の累積変形距離 L :200 / 3.5 x 4 x 0.26 / 2 = 29.7 -- 30 (m)

(中摩擦弾性すべり支承の変動率)

L / (試験振幅 x 4 ) = 30 / ( 0.2 x 4 ) = 37.5 cycle -- 40cycle

試験結果グラフから変動率(低下率) = 約 35%

(錫プラグ入り積層ゴム支承の変動率)

L / (試験振幅 x 4 ) = 30 / (0.06 x 4) = 125 cycle -- 130 cycle

試験結果グラフから変動率(低下率) Qd = 約27%, K2 = 約15%

7.2 長周期・長時間地震動を評価する方法の提案

17

(30s/P) 7.2.2 長周期・長時間加振による免震部材の性能変動

(簡易な推定方法)

方法1.地震中の変形距離(累積変形)による変動率の推定(仮:累積変形推定法)

方法2.入力地震による吸収エネルギーから変動率の推定(仮:吸収エネルギー推定法)18

(20s/P)

7.2.3(1) 高減衰積層ゴム支承の例繰り返し加振試験による力学特性変化の評価例

7.2 長周期・長時間地震動を評価する方法の提案

出典: 建築研究資料 No.170 「免震部材の多数回繰り返し特性と免震建築物の地震応答性状への影響に関する研究」 19

Keq, Heq, U(降伏荷重特性比)共に繰り返しで低減し、長周期・長時間地震応答では30%程度以上の低減が予想される。

(20s/P)7.2.3(2) 鉛プラグ入り積層ゴム支承の例

繰り返し加振試験による力学特性変化の評価例

7.2 長周期・長時間地震動を評価する方法の提案

出典: 建築研究資料 No.170 「免震部材の多数回繰り返し特性と免震建築物の地震応答性状への影響に関する研究」 20

Kd(2次剛性)は低減が少なく, Qd(降伏荷重)は繰り返しで低減し、長周期・長時間地震応答では35%程度以上の低減が予想される。

(20s/P)

Page 97: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

7-6

7. 長周期・長時間地震動に対する課題と計算法の紹介

7.2.3(3) 高減衰ゴム支承と鉛プラグ入り積層ゴム支承の例吸収エネルギーによる特性値の低下率の評価結果

出典: 建築研究資料 No.170 「免震部材の多数回繰り返し特性と免震建築物の地震応答性状への影響に関する研究」

高減衰積層ゴム支承 鉛プラグ入り積層ゴム支承の変動率

低下率 kmin と 鉛プラグ単位体積当たりの全履歴吸収エネルギーWp : Wp/Vp の関係

Ck = Keq (補正後)/ Keq (補正前) < 1.0Ch = Heq (補正後)/ Heq (補正前) < 1.0

Ck = -0.0073(E/v)+1.0 (E/V 10.0 N/mm2)Ck = -0.0025(E/v)+0.952 (E/V > 10.0 N/mm2)Ch = -0.0039(E/v)+1.0 (E/V 10.0 N/mm2)Ch = -0.0016(E/v)+1.0 (E/V 10.0 N/mm2) E : 累積吸収エネルギー(プログラムで算定)、

V : 等価ゴム体積

Kmin = Qd ( 小値)/ Qd (設計値) < 1.0

Kmin = -0.06+1.25・exp [ - Wp/Vp x 1/360]

なお、鉛プラグ径による補正式 (各メーカ提案)

Wp : 履歴吸収エネルギ(プログラムで算定)、Vp : 鉛プラグの等価体積

7.2 長周期・長時間地震動を評価する方法の提案

21

(30s/P)

7.2.3(4) 錫プラグ入り積層ゴム支承吸収エネルギーによる特性値の低下率の評価結果

錫プラグ入り積層ゴム支承 (例:周期5秒、200%の場合) 出典: 免制震ディバイスほか 評定書

ここに[降伏応力の低減率τp / τpoの算定]

τp / τpo = ζ / [ 1+ α ・ E / Vp ] β >0.2

E: 累積吸収エネルギー (プログラムで算定)Vp:錫プラグ体積

ζ : せん断歪み影響係数

α, β : プラグ径の影響係数

[錫プラグ温度の限界確認]Tp = Φ1 [ E / Vp ] Φ2

+20 {E / Vp < ε}

Tp = Φ3 [ E / Vp ] Φ2+Φ4 {E / Vp > ε}

ただし、Tp < 190 Φi : 周期・プラグ径の影響係数

ε : 判別値

7.2 長周期・長時間地震動を評価する方法の提案

22

(20s/P)

出典:「長周期地震動に対する免震建築物の安全性検証方法に関する検討」建築研究所他

7.2 長周期・長時間地震動を評価する方法の提案

7.2.4(1) 高摩擦弾性すべり支承・中摩擦弾性すべり支承温度上昇による力学特性変化の評価例

図. 中摩擦弾性すべり支承の繰り返し試験結果例 23

Qd(降伏荷重, 摩擦係数)は繰り返しで低減し、長周期・長時間地震応答では40%程度以上の低減が予想される。

(20s/P)7.2.4(2) 高摩擦弾性すべり支承と中摩擦弾性すべり支承

吸収エネルギーによる特性値の低下率の評価例

出典: 昭和電線ケーブルシステム 評定書

高摩擦系弾性すべり支承 (摩擦係数:0.094~0.105) 中摩擦系弾性すべり支承 (摩擦係数:0.075~0.081)

すべり板温度 T = 0.0117 x E+20 (E < 6000 kN・m/m2)T = 0.0066 x E+50.294 (E > 6000 kN・m/m2)

すべり板温度 T = 0.0117 x E+20 (E < 6000 kN・m/m2)T = 0.0066 x E+50.294 (E > 6000 kN・m/m2)

低下率 α = 1.0 ( 20 < T < 41 )α = -0.280 x Ln(T) + 2.0398 ( T > 41 )

低下率 α = 1.0 ( T < 47 )α = -0.360 x Ln(T) + 2.3861 ( T > 47 )

7.2 長周期・長時間地震動を評価する方法の提案

24

応答プログラムで算定

(30s/P)

Page 98: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

7-7

7. 長周期・長時間地震動に対する課題と計算法の紹介

7.2.5 繰り返し変形による性能変動の少ない免震部材

①天然ゴム系積層ゴム支承

③オイルダンパー (累積変形80m試験) ②低摩擦弾性すべり支承 (摩擦係数: 0.010 )

①天然ゴム系積層ゴム支承、 ②低摩擦弾性すべり支承、 ③オイルダンパー

7.2 長周期・長時間地震動を評価する方法の提案

出典: 建築研究資料 No.170 「免震部材の多数回繰り返し特性と免震建築物の地震応答性状への影響に関する研究」

25

(30s/P)

[検討対象] 1.対象区域内で超高層建築物等を大臣認定により新築する場合

免震建築物:長時間の繰り返しの累積変形により免震材料の特性が変化する可能性が指摘されており、法第20条第1項第一号(大臣認定)の審査に際して安全性の検証を行う。

免震建物規模:地階を除く階数3を超える建物

2.対象区域内の既存の超高層建築物等について

免震建築物:安全性の再検証が望ましい。

7.2.6 平成28年6月 技術的助言 国土交通省住宅局建築指導課長

「超高層建築物等における南海トラフ沿いの巨大地震による長周期地震動対策に

ついて」-- [基整促波]、「累積変形による免震材料の特性変化考慮を推奨」・建築研究資料 No.170 「免震部材の多数回繰り返し特性と免震建築物の地震応答性状への影響に関する研究」

April 2016

7.2 長周期・長時間地震動を評価する方法の提案

26

告示設計は対象外でいいか?

告示設計は対象外でいいか?

(30s/P)

7.2.7(1) 平成28年6月 技術的助言 国土交通省住宅局建築指導課長

「超高層建築物等における南海トラフ沿いの巨大地震による長周期地震動対策の対象区域

と各区域における疑似速度応答スペクトル」 注:長周期波は基盤波を表層波としても良い。

出典 技術助言 別紙出典: 建築研究資料 No170 P. -1-2-9

7.2 長周期・長時間地震動を評価する方法の提案

三連動地震を想定した長周期地震動例

上図 OS1,SZ1,CH1 公開基盤波の速度応答スペクトル

免震対象域

27

(30s/P)

7.2.7(2) 平成28年6月 技術的助言 国土交通省住宅局建築指導課長

超高層建築物等における南海トラフ沿いの巨大地震による長周期地震動対策の

対象区域の基盤加速度波形と基盤変位波形 出典: 建築研究資料 No170 P. -1-2-3, P. -1-2-7

7.2 長周期・長時間地震動を評価する方法の提案

注:加速度は大きくないが、地盤変形が大きくなる。

28

変形は加速度が低下しても大きくなる

変形は加速度が低下しても大きくなる

(30s/P)

Page 99: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

7-8

7. 長周期・長時間地震動に対する課題と計算法の紹介

7.2.8 累積吸収エネルギーから推定した性能変動と応答性能

各免震部材の変動率を考慮した「1質点系モデル」による応答評価結果の紹介

(解析モデル:初期の状態)

・免震周期Tf = 4.0s , ダンパー負担せん断係数αs = 0.030~0.035

(入力地震動)

7.2 長周期・長時間地震動を評価する方法の提案

大阪・此花 : 南海地震 ==

愛知・津島 : 東海・東南海連動地震 ==

名古屋 : 東海・東南海連動地震 ==

東京・新宿 : 東海・東南海連動地震 ==

出典: 建築研究資料 No.170 「免震部材の多数回繰り返し特性と免震建築物の地震応答性状への影響に関する研究」29

(30s/P)

7.2.8(1) 累積吸収エネルギーから推定した性能変動と応答性能

免震システム別の1質点系モデルの応答評価結果の紹介。

(鉛プラグ入り積層ゴム支承のシステム)

7.2 長周期・長時間地震動を評価する方法の提案

結果、大阪、愛知の地域では、変形の増幅率大きくなっているが、関東は増幅していない。

入力倍率が増加しても、水平変位応答倍率は比例して増加しない。

出典: 建築研究資料 No.170 「免震部材の多数回繰り返し特性と免震建築物の地震応答性状への影響に関する研究」

固有周期の変動が原因か?入力比 1.00 -- 24.2/20.4 = 1.18

1.25 -- 39.4/30.2 = 1.301.50 -- 57.5/41.8 = 1.38

30

入力比 1.00 -- 4.0/3.6 = 1.111.25 -- 5.5/6.7 = 0.831.50 -- 8.6/10.0 = 0.86

(30s/P)

7.2.8(2) 累積吸収エネルギーから推定した性能変動と応答性能

(高減衰積層ゴム支承のシステム)

7.2 長周期・長時間地震動を評価する方法の提案

結果、大阪の地域では、変形の増幅率が大きくなっているが、関東は増幅していない。

入力倍率が増加しても、水平変位増加率は比例して増加しない。� 低下率が緩和傾向になるためか?

出典: 建築研究資料 No.170 「免震部材の多数回繰り返し特性と免震建築物の地震応答性状への影響に関する研究」

入力比 変位増加率比1.00 -- 201.0/113.4 = 1.771.25 -- 333.4/255.4 = 1.311.50 -- 442.0/361.6 = 1.22

31

入力比 変位増加率比1.00 -- 104.8/102.8 = 1.021.25 -- 144.7/142.6 = 1.011.50 -- 173.4/173.4 = 1.00

(30s/P)

7.2.8(3) 累積吸収エネルギーから推定した性能変動と応答性能

(天然ゴム系積層ゴム支承+高摩擦弾性すべり支承のシステム)

7.2 長周期・長時間地震動を評価する方法の提案

結果、各地域とも変形の増幅率(1.00~1.36)が大きくなっている。

入力倍率が増加しても、免震層変位増加倍率、累積すべり変位増加率は増加しないでほぼ一定になるっている。(等価エネルギー速度Veは、ほぼ一定値で依存性の考慮・無視による影響はない。)

出典: 建築研究資料 No.170 「免震部材の多数回繰り返し特性と免震建築物の地震応答性状への影響に関する研究」

入力比 免震層変位増加率1.00 -- 20.9/16.6 = 1.26 1.25 -- 31.4/25.2 = 1.241.50 -- 43.0/33.5 = 1.28

入力比 累積すべり変位増加率1.00 -- 8.09/ 5.93 = 1.36 1.25 -- 12.44/ 9.70 = 1.281.50 -- 17.76/13.66 = 1.30

32

入力比 免震層変位増加率1.00 -- 3.9/3.9 = 1.0 1.25 -- 6.6/4.8 = 1.381.50 -- 10.5/7.7 = 1.36

入力比 累積すべり変位増加率1.00 -- 0.66/0.56 = 1.78 1.25 -- 1.18/0.95 = 1.241.50 -- 1.87/1.46 = 1.28

(30s/P)

Page 100: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

7-9

7. 長周期・長時間地震動に対する課題と計算法の紹介

7.2.8(4) 累積吸収エネルギーから推定した性能変動と応答性能(天然ゴム系積層ゴム支承+低摩擦弾性すべり支承+粘性ダンパーのシステム)

7.2 長周期・長時間地震動を評価する方法の提案

結果、各地域とも変形の増幅率(1.15~1.42)が大きくなっている。関東はやや低いが1.23~1.30となっている。

入力倍率が増加しても、免震層変位増加倍率、累積すべり変位増加率もほぼ増加しないでほぼ一定。

(等価エネルギー速度Veは、ほぼ一定値で依存性の考慮・無視による影響はない。)

出典: 建築研究資料 No.170 「免震部材の多数回繰り返し特性と免震建築物の地震応答性状への影響に関する研究」

入力比 免震層変位増加率1.00 -- 8.57/7.44 = 1.15 1.25 -- 14.1/10.5 = 1.341.50 -- 21.5/15.1 = 1.42

入力比 累積すべり変位増加率1.00 -- 2.03/ 1.43 = 1.42 1.25 -- 3.58/ 2.59 = 1.381.50 -- 5.49/4.06 = 1.35

33

入力比 免震層変位増加率1.00 -- 6.10/4.95 = 1.23 1.25 -- 10.0/7.68 = 1.301.50 -- 14.0/11.1 = 1.27

入力比 累積すべり変位増加率1.00 -- 4.06/3.75 = 1.08 1.25 -- 5.98/5.16 = 1.161.50 -- 8.06/6.80 = 1.18

(30s/P)

7.2.9 モデル建物(第2話前掲)を用いた基整促波による免震部材の性能変動を考慮した応答解析結果

1.性能変動を考慮した対象免震部材:

錫プラグ入り積層ゴム支承 :SnA40 - 950 -7.1x26 プラグ径Φ190 4基

中摩擦弾性すべり支承 :SB80 -1000 7x3 基準摩擦係数 0.075

7.2 長周期・長時間地震動を評価する方法の提案

2.基整促波 関東地域基盤波 B-KA1、 表層波 F-KA1静岡地方基盤波 B-SZ1 、中京地方基盤波 B-CH1、 大阪地方基盤波 B-OS1

34

(20s/P)

7.2 長周期・長時間地震動を評価する方法の提案

注:加速度は大きくないが、地盤変形が大きくなる。

3.基整促波形

関東地域表層波 F-KA1 大阪地方基盤波 B-OS1

F-KA1 Acc. max = 45.6 cm/s2 B-OS1 Acc. max = 262.8 cm/s2

F-KA1 Vel. max = 16.7 cm/s B-OS1 Vel. max = 46.6 cm/s

F-KA1 Disp. max = 12.1 cm B-OS1 Disp. max = 39.5 cm

35

(20s/P)

7.2.9(1) 免震部材の吸収エネルギー算定と低減率の算定

[ F-KA1地震動に対するX方向、下限性能時の吸収エネルギーと低減率]

7.2 長周期・長時間地震動を評価する方法の提案

錫プラグ入り積層ゴム支承 中摩擦弾性すべり支承

36

(20s/P)

Page 101: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

7-10

7. 長周期・長時間地震動に対する課題と計算法の紹介

7.2.9(1) 免震部材の吸収エネルギー算定と低減率の算定7.2 長周期・長時間地震動を評価する方法の提案

[ B-OS1地震動に対するX方向、下限性能時の吸収エネルギーと低減率]

錫プラグ入り積層ゴム支承 中摩擦弾性すべり支承

37

(20s/P)

7.2.9(3) 低減率を考慮した免震層の応答変位

[ B-OS1に対する 大応答変位 57.1cm]

7.2 長周期・長時間地震動を評価する方法の提案

F-KA1

[ F-KA1に対する 大応答変位 10.7cm]

[ 低減前の吸収エネルギー

算定用の 大応答変位]・F-KA1 : 大応答変位 10.4 cm・B-OS1 : 大応答変位 31.9 cm

B-OS1

38

(20s/P)

7.3 免震構造の長周期地震動対策のポイント長周期地震動に対する免震建物の検討において設計に必要なポイントを探る。

①検討地震波として 「基整促波」を選択するが、検討地域によって地震動レベル差が大きく適切な選定が必要。対象地域外でも、長時間の検討波はあり、法対応外でも設計対応が望まれる。

②ダンパー量αs は、0.04 程度以上が望まれる、低減率の少ないものが望まれる。③免震クリアランスを実用変位(50cm前後)に抑えるものの、余裕を設けた設計を行う。

④増設するダンパーは、免震周期に影響が少なく、性能変動が少ない流体系が有効である。

⑤累積変形量、吸収エネルギー量によって性能変動が大きな免震部材は、低下率を評価し、免震層の 大変形量を推定し、水平クリアランス、限界変形を設定する。

⑥ばらつき変動要因の扱い長周期地震の検討の主な目的は、“免震層・免震部材の変形量増大の評価”、

“免震部材の疲労限度の評価”にあることから、下記の状態で検討する。・変形量の評価時:下限状態(剛性がソフトな状態)「繰り返し変動」は、以下のどちらかで考慮する。

設計変動要因:[面圧依存]+[変形(歪)依存]+[繰り返し依存(長周期地震時)]ばらつき要因 :[製造誤差]+[経年変化]+[温度変化]+[長周期繰返変動]・疲労限度の評価時:上限状態(ハード状態)および下限状態(ソフト状態)

7.3 免震構造の長周期地震動対策のポイント

39

(30s/P)

7.3.1 方法1.累積変形量による変動率の推定法

製造メーカーは、[免震部材の繰り返し試験結果]から、・繰り返し変形と回数から移動量を求め、累積変形量ごとに基準性能に対する変動率を設定する。

設計者は、[地震応答計算]から、・設計地震動の主動部分で免震層の累積変形量を算定し、実験値と比較し、各免震部材の変動率を

推定し、その状態で応答計算を行う。

[精算評価方法] :この方法では、変動率γを累積変形量Rの関数として免震部材毎に時刻歴で評価する。

[簡易評価方法] :この方法では、変動率を考慮しない状態(γ=0)で応答累積変形量Ro を計算する。

このRo に相当する変動率γ1を図2 から求め、初期変動率値として応答変位を求める。

(補足) この方法では低減しない状態でRoを算定しているため図2の▽部分の相当エネルギーを

過剰に評価しており、▽を評価していなければRoがその分増加する。また変動率γ1でR1を算定すると

吸収エネルギ(▽) を無視しているため、R1の算定では▽と▽は相殺している。よって、同じ地震動に

対し吸収エネルギ一ー定とすれば、初期計算の相当吸収エネルギーAoとγ1の吸収エネルギーA1は

ほぼ等しくなると考えられる。Ao=(1-γo)x Ro、A1=(1-γ1)x R1の関係からR1 = Ao / (1-γ1) で R1を推定できる。

累積変形量 R(m) =4 n ・D

n : 回数、 D:加振振幅(m)

R=4n・D

図1. 性能変動率と繰り返し回数関係

繰り返し回数n

変動

率γ

1.0

0

大低

減率

γmax

累積変形量R(m)

図2. 性能変動率と繰り返し累積変形関係

変動

率γ

1.0

0R1Ro

7.3 免震構造の長周期地震動対策のポイント

40

Ao

AoA1

γ1

(30s/P)

Page 102: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

7-11

7. 長周期・長時間地震動に対する課題と計算法の紹介

7.3.2 方法2.入力地震動による吸収エネルギーによる推定法

製造メーカーは、[免震部材の繰り返し試験結果]から・水平抵抗力と変形量から温度上昇、仕事量(吸収エネルギー)を求め、吸収エネルギーごとに

基準性能に対する変動率を設定する。

設計者は、[地震動応答計算]から・設計地震動の主動部分で各免震部材の吸収エネルギーを算定し、実験値と比較し、変動率を

推定し、その状態で応答計算を行う。

[精算評価方法] :この方法では、変動率γを吸収エネルギーEの関数として免震部材毎に

時刻歴で評価する[簡易評価方法] :この方法では、変動率を考慮しない状態(γ=0)で応答累積吸収エネルギーEを

計算する。このE に相当する変動率γ1を図2 から求め、初期変動率値として応答変位を求める。

(補足) 前ページに同じ

吸収エネルギー E (kN・m) = Σ δ i・Qi

または、比熱x測定温度(周辺放熱考慮)

E=Σδ・Q

図1. 性能変動率と繰り返し回数関係

繰り返し回数n

変動

率γ

1.0

0

大低

減率

図2. 性能変動率と吸収エネルギー関係

累積吸収エネルギーE(kN・m)

変動

率γ

1.0

0

7.3 免震構造の長周期地震動対策のポイント

AoA1

41

Ro

γ1

R1

(20s/P)

補足1: 過酷な地震動に対する免震構造の対応

過酷な地震動(元禄関東地震、上町断層波など)

-500

-300

-100

100

300

500

0 10 20 30 40 50 60

Acc(c

m/s2

)

T(sec)

UE-EW004 加速度波形 Max=433 cm/s2

-120

-90

-60

-30

0

30

60

90

120

0 10 20 30 40 50 60

Vel

(cm

/s)

T(sec)

UECH-EW004 速度波形 Max=113 cm/s

-60-50-40-30-20-10

0102030405060

0 10 20 30 40 50 60

Dis

p (cm

)

T(sec)

UECH-EW004 変位波形 Max=55 cm

42

(20s/P)

0

1000

2000

3000

0.0 0.1 1.0 10.0

Sa(

cm

/s2

)

周期T(sec)

加速度応答スペクトル h=0.05

極稀目標Sa

BCJ-L2

UECH-EW(大阪府内陸型)

AT2S-ew(大阪府海洋型)

0

50

100

150

200

250

300

350

400

0.0 0.1 1.0 10.0

Sv(

cm

/s)

周期T(sec)

速度応答スペクトル h=0.05

極稀目標pSv

BCJ-L2

UECH-EW(大阪府内陸型)

AT2S-ew(大阪府海洋型)

補足1.1 上町断層波の応答スペクトル

0

30

60

90

120

150

0.0 0.1 1.0 10.0

Sd

(cm

)

周期T(sec)

変位応答スペクトル h=0.05

極稀目標pSd

BCJ-L2

UECH-EW(大阪府内陸型)

AT2S-ew(大阪府海洋型)

43

(20s/P)

・ 大応答変位(免震層)上町断層波 : 98 cmEl Centro NS : 19 cm

・ 大応答層せん断力係数上町断層波 Co = 0.25~0.35El Centro NS Co = 0.09~0.22

100cm Co=0.25

補足1.3 上町断層波によるRC4階建物の応答計算例

44

(20s/P)

Page 103: 第32回免震構造設計セミナー ご了承ください。cera.world.coocan.jp/sakusaku/32th-semina.pdf · 10. 免震建物の建築・設備標準-2009-11. 免震構造施工標準-2017-12

7-12

7. 長周期・長時間地震動に対する課題と計算法の紹介

補足1.2 衝突解析方法例の概要

擁壁の衝突部と水平加力に対する解析モデル例

45

衝突衝撃の緩和策内側タテ筋 弱配筋化

衝突衝撃の緩和策防舷材や特殊な減衰材の設置

(30s/P)

補足1.4 E-defence の免震建物の衝突試験

・H25年8月27日 兵庫耐震工学研究センター

46

地震波 JMA-KOBE をN倍し衝突を誘発・衝突によりEXPプレートの破損あり・擁壁の破損あり・建物には大きな損傷はわずか。

(20s/P)

7.4 免震建物の耐震性能の限界はどこに(想定限界)

出典:中央防災会議 首都直下地震被害想定(概要)

免震建築物の耐震性能イメージ[免震層の限界性能]・ハードニング、・限界変形、破断[水平クリアランス不足]・擁壁との衝突

△ 旧築年(S45以前)□ 中築年(S46~S55)◇ 新築年(S56以降)

47

(30s/P)

Next.第4話

免震改修の利点とは

48