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第2回 情報伝送工学 簡単な情報伝送システム AM変復調・理論と実際
アナログ伝送
インターホン (低周波伝送)、アナログ携帯電話(高周波伝送)、トランシーバ
デジタル伝送
プリンタケーブル(低周波伝送)、光ファイバ通信, Bフレッツ(光伝送) 、
携帯電話(高周波伝送)、LAN(無線LAN)
情報伝送システムの例
情報伝送システムの基礎
電信→電話 トランシーバ→携帯電話→インターネット(IP)との融合
ラジオ放送→テレビ放送→インターネット(IP)との融合
インターネット
アナログ伝送とデジタル伝送
・アナログ伝送
音声などのアナログ信号をそのまま増幅またはアナログ変調して伝送する方式
・デジタル伝送
アナログ信号をPCMなどにより1,0に変換して伝送する方式
インターホン(低周波伝送機器)のブロック図(アナログ)
図2.1 親器送信、子器受信の場合
マイクスピーカ 低周波増幅器
IN OUTスピーカマイク
平行2線伝送線路
子器親器
図2.2 子器送信、親器受信の場合
スピーカ 低周波増幅器IN OUT マイク
平行2線伝送線路
親器 子器
応用 ・・・ 電灯線を使ったインターフォン
ネットワークを安定維持するため回線設計の重要性
携帯電話網
ケーブルテレビ
低周波伝送とは(アナログ)
音声などの低周波(20Hz~20KHz)を交流信号電圧増幅して、そのまま伝送
音波
マイク
電気信号
低周波増幅器
平行2線
伝送線路の途中で減衰
音波
スピーカ
図2.3 低周波伝送回路
低周波伝送と高周波伝送
Pm[dBm]=-10dBm
Pa=40dBL=-20dB
低周波増幅器
Ps
Ps=Pm+Pa-L=-10+40-20=+10dBm(10mW)
高周波伝送とは
音波
マイク
変調器
低周波信号
高周波増幅器
平行2線や同軸線路(自由空間の場合もあり)
途中で減衰
高周波信号
復調器
高周波発振器
イヤフォン
低周波を高周波に重畳(変調)して、ケーブルや自由空間を伝送
高周波伝送のメリット
・空間伝送が可能(ラジオ放送)
・変調技術による多重化により大容量の情報伝送が可能(テレビ放送)
図2.4 高周波伝送回路
・デメリット
・構成回路が複雑
→デジタルの場合には帯域幅を広げることにより高速通信が可能
変調技術の基礎 振幅変調 Amplitude Modulation(AM)の場合
デジタル通信での低周波および高周波伝送システム
ベースバンド方式(低周波)
デジタル信号をパルス波形として電圧や光の強弱に変換して伝送する方式
コンピュータ NICなど伝送線路
NICなど コンピュータ
ブロードバンド方式(高周波)
デジタル信号を変調して伝送して復調により再度デジタル信号を得る方式であり、
変調および多値化方式によって通信速度が決まる。
コンピュータ NICなど伝送線路
NICなど コンピュータ変調器復調器
変調器復調器
モデム モデム
アナログ変復調の理論と実際変調・復調とは
搬送波に情報(電気信号)を重畳すること
変調の種類(アナログの場合)
AM(Amplitude Modulation)変調 搬送波の振幅を変化(周波数一定)
各変調の特徴
FM(Frequency Modulation)変調 搬送波の周波数を変化(振幅一定)
PM(Phase Modulation)変調 搬送波の位相を変化
AM変調 メリット: 周波数帯域幅が狭い(チャンネルを多く取れる)
デメリット: 音質が悪い(帯域幅が狭く、振幅を変化させる為)
FM変調 メリット: 音質が良い(帯域幅が広く、振幅が変化しない為)
デメリット: 周波数帯域幅が広い(チャンネルを多くとれない)
搬送波(高周波)vcおよび、信号波vsを次式の様に表現してみる。
)sin( tVv ccmc・・・(2.1)
)sin( tVv ssms ・・・(2.2)
ここで、vcは搬送波の瞬時値、Vcmは搬送波の振幅(最大値)である。また、ωcは搬送波の角周波数であり、2πfcで表される。(2.2)の情報信号を(2.1)の搬送波に重畳する方法として振幅変調(AmplitudeModulation)がある。すなわち振幅(AM)変調による被変調波をvAMとすると、θ=0の条件においてその振幅は図に示す通り、搬送波の振幅の最大値Vcmを中心に信号波の振幅Vsmで変化させたものであり、数学的には次の様に表すことができる。
)sin( tVVv ssmcmAM の振幅 ・・・(2.3)
振幅変調(AM)の理論
Vcm
Vsm
この式を波形として表してみると
と考える必要がある。そして、さらに vAMはこの振幅がさらにωcの角周波数にて変化するので、上記の式にsin( ωc・t)を掛ければよい。すなわち
tsintsinVVv cssmcmAM ・・・(2.4)
ωcの振幅が変化
振幅Vcmを基準として変化
+Vcm
-Vcm
であるが、実際には搬送波の正弦波成分より-Vcmを基準として
Vsm
+Vcm
-Vcm
Vsm
となり、以下の変調波形が得られる。
音声情報を高周波の振幅変化としてのせる
一例として、fc=1MHz、 fs=100kHz、 vc=1V、 vs=1Vの場合における(2.4)式の計算結果としての各波形を次ページに示す。これより、AM変調では搬送波の周波数は変化せず振
幅のみが変化していることが分かる。
このような性質からも、この変調方式は振幅(AM)変調と呼ばれている。但し、振幅が信
号の周期で正弦状に変化するので周波数領域では搬送波周波数の両端に信号波分の周波数スペクトルが現れることになる。
1
1
vc t( )
3 1050 t
0 1 105
2 105
3 105
1
0
1 1
1
vs t( )
3 1050 t
0 1 105
2 105
3 105
1
0
1
1.987688
1.987688
vAM t( )
3 1050 t
0 1 105
2 105
3 105
2
0
2
図2.8 AM変調波(2.4式)
図2.6 信号波(2.2式)図2.5 搬送波(2.1式)
2
0
vAM1 t( )
3 1050 t
0 1 105
2 105
3 105
0
1
2
図2.7 変調波の振幅成分(2.3式)
コンピュータによるシミュレーション結果
ここで、被変調波形に対して変調度mを定義すると、搬送波と信号の振幅の比として
次式で表される。
cm
sm
V
Vm ・・・(2.5)
変調度mを百分率で表したのものを変調率とあらたに定義すれば、図2.11に示す振幅の幅AおよびBより次式で求められる。
100
BA
BAm [%] ・・・(2.6)100
BA
BAm
以上のことより、たとえば図2.11からAおよびBを読み出すと
501004
2100
0.10.3
0.10.3100
BA
BAm [%]
となり、各変調波形に対して変調率が算出できる。
図2.11 変調率の定義
1.495622
1.495622
vAM t( )
3 1050 t
0 1 105
2 105
3 105
2
1
0
1
2
AB
コンピュータによるシミュレーション
Vcm=Vsmの時m=100%つまり100%以下とするためにはVcm>Vsmである必要
1.987688
1.987688
vAM t( )
3 1050 t
0 1 105
2 105
3 105
2
0
2
図11.1 AM変調波
振幅変調の理論計算例はあらためて図11.1に示す。
そこで、さらに(11.3a)式を展開してみると
tcostcosmVtcosVv cscmccmAM
ttcosttcosmVtcosV scsccmccm 2
1
中心周波数 側波帯
ここで、上式をVcmでくくれば
tcostcosmVv cscmAM 1
を得る。ここでのmは変調度を示し
cm
sm
V
Vm で表される。
・・・(11.3a)
振幅変調波の周波数スペクトルと占有周波数帯域幅
tcostcosmVtcosV scsccmccm 2
1
積ー和の公式
以上のことを踏まえ、今度はAM変調された信号の増幅電圧の周波数領域におけるスペクトル成分について考えると、先の(2.4)式および図2.8で示された時間領域に対する
)sin()sin( ttVVv cssmcmAM
は周波数領域において下図に示す様な波形となる。
図2.10 AM変調波の周波数領域波形
周波数
振幅
0 ωc ωc +ωsωc-ωsωs
Vcm
Vsm
cmVm
2cmVm
2
40kHz
最大音声周波数が20kHzならチャンネル帯域幅は40kHz
すなわち、AM変調ではωcを中心として左右にωs離れた周波数にスペクトルが現れる。ここでmは変調度であり、先に示した通り時間領域における搬送波と信号の振幅の比と
してあらためて次式で表される。
cm
sm
V
Vm
さらに、変調度mを百分率で表したのもが変調率であり、振幅の幅AおよびBより次式で
求められる。
100変調率
BA
BA [%]
この波形を横軸を周波数として表せば右図の様に2fsなる
帯域幅を持つ周波数波形となることが分かる。つまり、最大音声周波数が2倍になると帯域幅も2倍必要であること
が理解できる。
電圧
(振
幅)
cmV2
1cmV
2
1
cmV
cfsc ff sc ff
占有周波数 帯域幅
40kHz
最大音声周波数が20kHzならチャンネル帯域幅は40kHz
図はベース変調回路の原理図を示しており、トランジスタのベース・エミッタ間にトランスTを介して搬送波vcと信号波vsを加える。
ベース回路で搬送波vcと信号波vsが合成されてトランジスタのベース・エミッタ間電圧は
vbeとなるが、VBE-IB特性のカットオフ点以下ではベース電流ibは流れないのでibはvbeを整
流した形となる。
ベース電流ibによりコレクタ電流icが流れると、コレクタに接続された搬送波の周波数で同調するLC並列同調回路の働きにより負側が再現されて出力に被変調波形が得られる。
CAは搬送周波数に対するバイパスコンデンサ、CAは搬送波と信号波に対するバイパス
コンデンサである。
振幅変調回路の実際
ベース変調回路
トランジスタによるベース変調回路
+Vcc
E
IB C
IE
RB
B
RA
RE Ci
C1
vs CA
L1
T
L2
逆相
同相
L1
T
L2
CE
vc
搬送波
信号波
トランジスタを用いたAM変調回路の実際
振幅変調回路の基本として搬送波はベース・エミッタ間に、信号波はベース、エミッタ、コレクタのいずれかに加える。この信号波の加え方により、ベース変調回路、エミッタ変調回路、コレクタ変調回路の3つが考えられるが、ここではベース変調回路とコレクタ変
調回路の構成法について説明する。
ベース振幅変調回路
ベース変調回路は図2.12に示す通り、トランジスタのベース・エミッタ間にトランスTを介して搬送波vcと信号波vsを加える。なお、トランジスタはB級およびC級動作となるようにバイアス抵抗で動作点を決定している。ベース回路で搬送波vcと信号波vsが合成されてトランジスタのベース・エミッタ間電圧はvbeになるが、図2.13に示す様にVBE-IB特性のカットオフ点以下ではベース電流ibは流れないので、ibはvbeを整流した波形となる。
ベース電流ibの作用によりコレクタ電流icが流れると、コレクタに接続された搬送波の周波数でLC並列同調回路の働きにより負側が再現されて出力に被変調波形が得られる。CAは搬送周波数に対するバイパスコンデンサ、CEは変調波の搬送波と信号波に対する
バイパスコンデンサである。
図2.12 ベース振幅変調回路
vc
vs
vAM i b
vbe=vc+vs
CA
合成信号入力
i bc+IB+ibs
搬送波(キャリア)
信号波
同調して出力
C
EB
VCC
RB
RA
搬送波の振幅が信号波に応じて変化する
CE
CL
LCfc 2
1
IC+ic
音声入力による低周波振幅変化
高周波 バイアス
誘導性結合
VBE
IB
交流バイパス
VsによるVRAの変化がA
RAB R
VI なる関係によりIBの変化ibsに
時間領域と周波数領域
これまで取り扱ってきた波形は、時間軸に対して電圧(振幅)がどの様に変化するかを考察する時間領域での波形解析であったが、高周波では、ある周波数における振幅値がいくらかを議論することが多い。そこで時間領域と周波数領域での波形の取り扱い法について、数学的な整理をしておく。まず、先の搬送波(高周波)
tsinVv ccmc を考えると、この式はωc(=2πfc)等の各周波数に関する変数が1つだけであるから、あきらかに単一の周波数成分のみをもつ時間波形である。つまり、図2.9に示す正弦波は周波数領域では図2.10の様に表すことができる。この単一周波数の振幅をスペク
トルと呼ぶ。
time
Am
plitu
de
0
図2.9 時間領域波形
frequency
Am
plitu
de
0
図2.10 周波数領域波形
波形の時間と周波数との数学的関係は、フーリエ変換および逆フーリエ変換により得ることができる。
AM変調波形が図2.10の様なスペクトル成分を持つことを、時間領域にて確認する。そのため先の式(2.4)を角周波数成分に分解することを考える。すなわち
tsintsinVVv cssmcmAM
tsintsinmV cscm 1
となり、 ω=2πfであるから与式はさらに
tfsintfsinmV cscm 221
)2sin()2sin()2sin( tftfmVtfV cscmccm
)sin()sin(1 ttV
VV cs
cm
smcm
と展開出来るので、第2項についてはさらに変形できて
tfsintfsinmV sccm 22
tftfcostftfsinmV scsccm 2222
2
1
)22cos(2
)22sin(2
tftfmV
tftfmV
sccm
cscm
となるので、結局(2.11)式は
・・・(2.11)
・・・(2.4)
積→和の公式
tftfcosmV
tftfsinmV
tfsinV sccm
cscm
ccm
222
222
2
tffcosmV
tffsinmV
tfsinV sccm
cscm
ccm
22
22
2
・・・(2.12)
周波数スぺクトルの占有周波数帯域幅(信号周波数変化時)
と分離される。この式より、被変調波形は搬送波成分のfcと上側波成分のfc + fs 、下側波成分のfc - fs の3つの周波数成分を持つ正弦波の線形結合であることはあきらかである。なお、この上側波と下側波の周波数範囲は2 fsであり、この周波数範囲を
占有周波数帯域幅という。
図2.11 AM変調波の周波数領域波形
周波数
振幅
0 fs0 fsm fc-fsm fc-fs0 fc fc+fsm fc+fs0
一般に、音声信号などは多くの周波数成分を含んでいるので、上側波と下側波もある周波数幅を持つことになり、その時のスペクトルは図2.11の様になる。なお、音声信号がfso~fsmまで変化する場合には、以下の様に変調波も周波数帯域を持つことになる。
周波数が搬送波から変化すると幅が広がるVcm
cmVm
2cmVm
2
音声周波数の変化範囲
振幅変調波の電力
通信や放送に利用する電気信号は一般にMHz以上の高周波電磁界であり、この信号
の電圧および電流を分離して観測することは難しい。そこで、放送・通信機器は信号を電力として取り扱いシステムおよび回線設計を行っている。
そこで、先に得た(2.12)式の3つのスペクトル成分の電力比について考えてみる。負荷の抵抗値をR[Ω]とすれば、搬送波電力PC、上側波電力PC+S=PS1、下側波電力PC+S=PS2はそれぞれ次式で求められる。すなわち、まずIcmおよびVcmの実効値の積より搬送波の電
力が求められるから
R Vcm
Icm
R
VV
R
VV
R
VIP cmcmcmcmcmcm
C 22
1
22
1
22
22
・・・(2.13)
22
221
2221
cmcmsmsm
SS
Vm
Vm
R
VIPP
・・・(2.14)
を得る。したがって、被変調波の全電力Pは次式により求められる。
R
Vm
R
VPPPPPP cmcm
ScSSc 422
222
121 ・・・(2.15)
1:m2/2であり、100%変調時においても信号波の成分を含む側波帯の電力は全電力の1/3程度となることから、大部分は搬送波電力として消費されることになる。このため、搬
送波を抑圧してこの部分の消費電力を無くした“搬送波抑圧変調”という方式も良く用いられている。
例題 単一周波数の正弦波で50%変調した被変調波の搬送波電力と両側波電力を 求めよ。但し、被変調波の全電力は100Wとする。
まず、全電力は(2.15)式より
CP.
P
2
501100
2
W88881251
100.
.PC
となる。また、両側波電力は(2.14)式より
W55588884
50
4
22
21 ...
Pm
PP cSS
となる。次に、変調された側波帯としての信号波についても実効値としてR
VI より
2.12式および図2.11より
となるので搬送波は
cccm
cm
Pm
Pm
R
VmVm
R
2222
2
248221
となる。
cmsm Vm
V 2cm
smsm V
m
RR
VI
2
1
Ccm P
m
R
Vm
21
221
222
これより、搬送波と両側波帯の電力との比は cS Pm
P 42
1 2
1 より 12
2
1
m
P
P
C
S となるので
搬送波電力PCは 電流の実効値電圧の実効値
フーリエ変換は、電子工学においては主に、ある任意の時間信号が周波数領域でどうなるを解析するためによく用いられている。 フーリエ変換の定義式は、ある連続な関数f(t)において、角周波数をω=2πf とする時
なお、j は虚数単位であり、j2=-1となる。 角周波数をω=2πfで表す。この式が周波数と時間関数との関係を表している。つまり、両者は独立したものでは無い。 立ち上が
りの速い信号には高周波が含まれており、ゆっくり変化した信号には低周波が含まれる、という事である。
ここで重要な関数が、δ関数(デルタ関数≒インパルス)である。インパルスは、時間t=0 に於いてのみ値を持つので、その値を1とすると
であり、全ての周波数で一様に値1を持つことを表している。 つまり、振幅も位相も、全
周波数帯域において周波数特性がフラットである。なお、この計算は純粋数学的には誤った解釈(δ関数は本来‘超関数’であり、上式は成り立たない)が、信号解析などで
はこの関数の利便性のため、しばしば用いられる。言い換えると、インパルス応答が解れば、それをフーリエ変換する事で信号の複素周波数特性(つまり、振幅と位相)が分かることになる。ここで、純粋な正弦波をフーリエ変換すると下図のようになる。
dtetfF tj )()(
time
Am
plitu
de
0
図2.9 時間領域波形
frequency
Am
plitu
de
0
図2.10 周波数領域波形
11)( 0
dteF j
で表される。また、元関数に対する逆変換は次式となる。
deFtf tj)(
2
1)(
・・・(2.8)
・・・(2.9)
・・・(2.10)
周波数変調(FM)の理論
音声振幅(電圧)の変化を周波数変化とする方式
電波
振幅一定なので電力は変化せず高音質
電圧
周波数
FM変調波
A:音声振幅が+最大時に周波数高B:音声振幅がー最大時に周波数低
A B
音声周波数の変化は周波数の粗密の違いとして表れる
フーリエ変換の計算例(正弦・余弦関数のフーリエ変換)
dtej
eedtektF tj
jktjkttj
2)sin()(
・・・(2.10a)
dteej
dteej
tjjkttjjkt
2
1
2
1
dte
jdte
jtkjtkj
2
1
2
1
kkj
)sin()( kttf のフーリエ変換
)cos()( kttf のフーリエ変換
kkdtektF tj
)cos()(
sinの場合と同様に考えれば
となる。
・・・(2.10b)となる。
大石進一,“フーリエ解析”,岩波書店, pp. 98-99, 1989.より
)sin()cos()sin()cos( ktjktktjktee jktjkt
)sin(2 ktj より
jktjkt eej
kt 2
1)sin( なる関係が得られるので
位相がずれた状態
そこで、まず信号波の振幅に応じて変化する搬送波の角周波数の量ωcだけを考えて比例定数kで表すと、振幅に対応した角周波数の変化分は
smVk ・・・(11.4)
となる。これより、FM変調による搬送波の角周波数変化量ωFMは、この最大角周波数
変化量を用いて信号の周波数変化分も掛けた次式で表すことができる。
tcos sccFM ・・・(11.5)
最大の角周波数変化量
中心角周波数
音声の時間に対する周波数変化
この式より、ωFMはωcを中心として信号の振幅の変化に応じて最大±Δω[rad/s]変化することが分かる。このΔωをあらためて最大角周波数偏移といい、 ωFMは時間によって
瞬時に変化する角周波数の値でもあるから瞬時角周波数という。
t
FMFM dt0
を計算すれば求められる。すなわち
・・・(11.7)
なる関係がある。よって、(11.6)式のうちθFMはこの関係式の両辺をtで積分して
dt
d FMFM
tsinVv ccmc
tcosVv ssms
FMは搬送波の周波数を信号波の振幅に比例して変化させる変調方式である。以下の搬送波および信号波を示す(11.1)および(11.2)式を考えると、ωcおよびωsはそれぞれ搬送
波、信号波の角周波数である。
一方、FM変調波形vFMは振幅Vcmは一定として周波数の変化に伴う瞬時位相角(電波の
速度)θFMの時間変化として
と定義される。一方、瞬時角周波数と瞬時位相角には
FMcmFM sinVv ・・・(11.6)
瞬時位相角の傾き(時間変化)が瞬時角周波数
・・・(11.1)
・・・(11.2)
定数
たとえばk=100ならVsm=1Vの時⊿ω=100[rad] ⊿f=100/2π[Hz]
角周波数
音声周波数がVsmの場合のみ
が得られるので、この位相変化θFMを(11.6)式に代入すると、FM波は次式で表すことが
できる。
tsintsinV s
sccm
・・・(11.8)
ここで、Δω/ωsを変調指数といい、これをmfとすれば次式が得られる。
ssf f
fm
・・・(11.9)
θFM
t t
scFMFM dttdt0 0
))cos((
)sin()sin(0
tttt ss
c
t
ss
c
・・・(11.7)
信号周波数
周波数変化量
Δfは搬送波周波数fcからFM波の周波数がどれだけ偏移するかを表しており、大きさは信号波の振幅Vsmに比例し、このΔfを最大周波数偏移という。なお、変調指数は最大周波数偏移だけでなく、信号波の周波数によっても変化する。変調指数mfを(11.7)式に代入すれば、FM波は
)sin(sin tmtVv sfccmFM ・・・(11.10)
となる。そこで、実際に搬送周波数に信号周波数をFM変調した場合の被変調波を図11.2に示す。この図より、信号波の入力によりキャリア周波数が±Δω変化した場合に、
キャリア周波数の粗密になって現れることが分かる。
(11.5)式を代入
t
ss
ccmFM tsintsinVv0
中心周波数ωcが音声信号振幅Vsm
と音声周波数ωsに対応して変化
図11.2 FM変調波
各種変調波形のgif動画
角周波数の時間変化
)sin(sin tmtVv sfccmFM
一例として、fs=1Hz、fc=10HzでのFM変調波形のシミュレーション結果を示す。
t 0 0.001 2 fcc 10 fss 1
fc t( ) sin 2 fcc t( )
fs t( ) sin 2 fss t( )
fm t( ) sin 2 fcc( ) t1
2 0
t
tsin 2 fss t( ) d
1
1
fc t( )
20 t0 0.5 1 1.5 2
1
0
1
1
1
fs t( )
20 t0 0.5 1 1.5 2
1
0
1
0.999989
0.999994
fm t( )
20 t0 0.5 1 1.5 2
1
0
1
振幅は変化しない
位相変調(PM)の理論
PM波は搬送波の位相を信号波の振幅に比例して変化させる方式である。よって、先の搬送波および信号波を示す(11.2)および(11.2)式において無変調時の搬送波の位相角はωc・tであるから、信号波の振幅に応じて変化する位相を比例定数kで表すと
smVk ・・・(11.11)
となる。よって、PM変調による瞬時位相角θPMは次式で表すことができる。
)cos( tt scPM ・・・(11.12)
また、瞬時角周波数ωPMはω=dθ/dtの関係より次式を得る。
)sin( tsscPM ・・・(11.13)
このΔθは位相偏移の最大値を表しており、PM波の最大位相偏移と呼ぶ。また、最大位相偏移をPM波の変調指数といい、これをmpで表せば、
pm ・・・(11.14)
となる。これより、PM波は(11.6)式に(11.11)式を代入すれば次式で表すことができる。
)cos(sin tmtVv spccmPM ・・・(11.15)
そこで、PM波における信号波、角周波数の偏移および非変調波形の例を図11.3に示す。これよりまず、瞬時角周波数を示す(11.5)式と(11.12)式とを比較すると最大角周波数偏移ΔωとωsΔθとが対応しており、信号波vsによる周波数偏移の位相がπ/2[rad]だけPM波が進んでいることから、ωFMとωPMの性質は同じであるといえ
る。
さらに、瞬時位相角を表す(11.6)式と(11.11)式とを比較すると、最大位相偏移を
表す変調指数Δω/ωsとΔθが対応しており、信号波による位相偏移の位相がπ/2だけPM波の方が進んでいるだけで、θFMとθPMとの性質は同じとなる。以上のことより、FM波とPM波とは、位相がπ/2だけ異なるだけで、同じ性質の変
調波であると言える。
sinかcosかの違い
図11.3 PM変調波
FM波の側波帯と帯域幅
FMの場合における側波帯および帯域幅について考えてみると、まずFM変調波を表
す
)sin(sin tmtVv sfccmFM ・・・(11.10)
は、三角関数の加法定理である
sincoscossinsin
を用いることにより
)sin(sin tmtVv sfccmFM
・・・(11.10)
)sin(sin)cos()sin(cos)sin( tmttmtV sfcsfccm
となる。この式において、cos(mf・sin(ωst))、sin(mf・sin(ωst))のように余弦関数と正弦
関数の変数が三角関数になっている関数をベッセル関数という。ベッセル関数に関する以下の2つの公式
012 )12(sin)(2)sin(sin
nsfnsf tnmJtm
0
20 )2cos()(2)()sin(cosn
sfnfsf tnmJmJtm
・・・(11.11)
を用いて(11.10)式を更に展開すれば、次式を得る。
ttmJtmJVv scscfcfcmFM )sin()sin()()sin()( 10
ttmJ scscf )2sin()2sin()(2
ttmJ scscf )3sin()3sin()(3
ttmJ scscf )4sin()4sin()(4
・・・・・ ・・・(11.12)
これより、FM波は搬送波の周波数ωcを中心として上下に信号波角周波数ωsの間隔で(ωc±ωs)、 (ωc±2ωs)、 (ωc±3ωs)、 (ωc±nωs)・・・の無限の側波帯を生じ
ることが分かる。
mfに対して変化する値(関数)
中心周波数
定数(振幅係数)
また、J0(mf)、 J1(mf)、J2(mf)・・・は各側波の振幅の大きさを表しており、この値は図11.4に示すベッセル関数のグラフから求めることができる。
図11.5は(11.12)式とベッセル関数のグラフから求めたFM波の側波帯の周波数スペクトル分布の一例であり、Δf=50kHz、fs=10kHz、すなわちmf=5[rad]の場合におけるものである。各スペクトルの間隔は10kHzであり、第9次以上の側波は第8次以内の側波に比べて振幅が小さい為に省略している。図(a)の振幅値の絶対値をとったものが図(b)である。
一般に、FM波の側波振幅は次数nが大きくなると小さくなる。そこで、全放射電力の99%を含む周波数範囲B[Hz]を占有周波数帯域幅として次式の近似式で計算できる。
図11.4 ベッセル関数のグラフ
)(2)1(2 ffmfB sfs ・・・(11.13)
mf=5radの場合の振幅値を図11.5にプロット
mf=0.5の場合J0(0.5)=0.94J1(0.5)=0.24J2以降は
無視できる
Sf f
fm
周波数変化量
信号周波数
図11.5 FMの周波数帯域幅
図11.6 FMの周波数帯域幅2
なお、mf=0.5の場合、ベッセル関数のグラフよりJ0(0.5)=0.94、 J1 (0.5)=0.24は記入しJ2 (0.5)以後は無視すれば、図11.6に示
すような周波数スペクトルとなる。つまり、FM変調での帯域幅は信号周波数fsの2倍に比例して変化することが分かる。
絶対値をとって
音声振幅に応じてこの分だけ周波数が変化する
音声周波数が高くなるとこの幅が広がる
fc fc+fsfc-fs
0
0.2
0.4
0.6
0.8
1.0
直接FM変調回路
+Vcc
E
C
RB
B
RA
RE
C1
(vFM)
CE
L1
L2
FM出力
C2マイクロホン
C
下図に示すように、発振器の同調回路にコンデンサマイクを直接接続すれば音声信号の大きさに比例して静電容量Cが変化することにより、直接FM波を得ることができる。すなわち、トランジスタは発振と変調を兼ねた働きをしており、LC発振回路はハートレー形
となっている。
下図は可変容量ダイオードを用いたFM回路を示している。可変容量ダイオード(VCD)に逆方向の電圧を加えると、pn接合部に生ずる空乏層の幅が変化し電極間容量も変化
する。すなわち、可変容量ダイオードの容量が信号波に応じて変化するから、発振回路を構成する同調回路と並列に接続することにより同調回路のキャパシタンスが変化してFM変調が得られる。
RBE
CB
RA
RE
C1
C2L FM出力 C4
+Vcc
信号波 入力
C5
C3
R4
R5
VCD
可変ダイオードを用いたFM変調回路
LCの共振周波数が変化
C3とC4が並列接続より
発振周波数が変化
容量変化
電圧源 バイパスコンデンサ
FM波の復調回路
FM波を復調する代表的な回路として、フォスター・シーレー周波数弁別回路と比(レシオ)検波回路がある。そのほか、今日ではIC化の技術によりパルスカウント復調方式、PLL復調方式などが一般的である。
(a) フォスター・シーレー周波数弁別回路
下図の回路図に示す回路は、1次側のL1、C1と2次側のL2、C2はともにFM波の中心(中間)周波数f0に同調している。L3の両端の電圧は結合トランスの1次側電圧v1とほぼ等しく同相で、2次側に発生する電圧v2は1次側の電圧v1と90°の位相差が保たれている。
例題
図の回路では無変調時の1次側電圧v1と2次側電圧v2の位相差が90°に保たれる
ことを示せ
大類著 “アナログ電子回路” 日本理工出版会 pp.262より
vo
R1
R2
D1
D2
va
vb
C3
C4
+
+
-
-
v122v
22v
(a) 回路 (b) 等価回路