第１０章 受水槽

１０－１

１ 用語の定義

（ １ ） 受 水 槽

受 水 槽 と は 、 給 水 装 置 か ら の 水 を 直 接 受 水 す る た め の 水 槽 を い う 。

（ ２ ） 高 置 水 槽

受 水 槽 か ら い っ た ん 建 築 物 の 屋 上 や 高 所 に 揚 水 ポ ン プ で 揚 水 し 、 自 然 流 下

で 給 水 す る た め に 設 置 さ れ た 水 槽 を い う 。 た だ し 、 自 然 流 下 及 び 増 圧 ポ ン プ

に よ り 直 接 給 水 し て い る 場 合 は 、 こ れ を 受 水 槽 と す る 。

（ ３ ） 貯 水 槽

受 水 槽 と 高 置 水 槽 の 総 称 。

（ ４ ） 簡 易 専 用 水 道

水 道 事 業 の 用 に 供 す る 水 道 か ら 供 給 を 受 け る 水 の み を 水 源 と す る 給 水 方 式

が 受 水 槽 方 式 で あ り 、 こ の 受 水 槽 の 有 効 容 量 （ 受 水 槽 が ２ つ 以 上 の 場 合 は 合

計 ）が 10m 3 を 超 え る も の を い う 。（ 水 道 法 第 ３ 条 第 ７ 項 及 び 水 道 法 施 行 令 第

２ 条 ）

受 水 槽 の 有 効 容 量 が 10m 3 以 下 の 受 水 槽 を 小 規 模 貯 水 槽 水 道 と 呼 称 し 、 維

持 管 理 に つ い て は 、 簡 易 専 用 水 道 に 準 ず る 。

２ 受水槽による給水方式

（ １ ） 高 置 水 槽 式

中 高 層 建 築 物 へ の 給 水 に 適 用 さ れ る も っ と も 一 般 的 な 方 法 で あ り 、 受 水 槽

に 受 水 し た 後 、 ポ ン プ で 高 置 水 槽 へ 汲 み 上 げ 、 そ こ か ら 各 階 へ 自 然 流 下 に よ

り 給 水 す る 方 式 で あ る 。

ま た 、 一 つ の 高 置 水 槽 か ら 適 当 な 水 圧 で 給 水 で き る 高 さ の 範 囲 は 10 階 程

度 な の で 、 高 層 建 物 で は 高 置 水 槽 や 減 圧 弁 を そ の 高 さ に 応 じ て 多 段 に 設 置 す

る 必 要 が あ る 。

１０－２

（ ２ ） ポ ン プ 直 送 式

小 規 模 の 中 層 建 築 物 に 多 く 使 用 さ れ て い る 方 式 で 、受 水 槽 に 受 水 し た 後 で 、

使 用 水 量 に 応 じ て 増 圧 ポ ン プ の 運 転 台 数 の 変 更 や 回 転 数 制 御 に よ っ て 給 水 す

る 方 式 で あ る 。

（ ３ ） 圧 力 水 槽 式

小 規 模 の 中 層 建 築 物 に 多 く 使 用 さ れ て い る 方 式 で 、 受 水 槽 に 受 水 し た 後 、

ポ ン プ で 圧 力 水 槽 に 貯 え 、 そ の 内 部 圧 力 に よ り 給 水 す る 方 式 で あ る 。

３ 受水槽の設置

（ １ ） 受 水 槽 の 設 置 場 所 及 び 設 置 環 境

受 水 槽 の 設 置 に つ い て は 、 建 築 基 準 法 施 行 令 第 129 条 の 2 の 5 の 「 給 水 、

排 水 そ の 他 の 配 管 設 備 の 設 置 及 び 構 造 」及 び 昭 和 50 年 建 設 省 告 示 第 1597 号

の「 建 築 物 に 設 け る 飲 料 水 の 配 管 設 備 及 び 排 水 の た め の 配 管 設 備 の 構 造 方 法

を 定 め る 件 」（ 最 終 改 正 平 成 22 年 国 土 交 通 省 告 示 第 243 号 ） を 遵 守 す る こ

と 。

（ ２ ） 受 水 槽 の 設 置 に お け る 留 意 事 項

ア 受 水 槽 は 地 上 ま た は 建 築 物 内 の 床 上 に 設 置 す る こ と を 原 則 と す る 。

イ 受 水 槽 は 、 点 検 、 清 掃 、 修 理 が 容 易 で 、 人 の 出 入 り が な い 場 所 に 設 置 す

る こ と 。

ウ や む を 得 ず 人 の 出 入 り の あ る 場 所 に 設 置 す る 場 合 は 、 受 水 槽 に 人 が 容 易

に 近 づ け な い よ う に 、 柵 な ど を 設 け る こ と 。

エ 受 水 槽 上 部 に 、 ポ ン プ 、 ボ イ ラ ー や 機 械 類 な ど を 設 置 し て は な ら な い 。

や む を 得 ず 設 置 す る 場 合 は 、 受 水 槽 に 影 響 が な い よ う に 配 慮 し 、 飲 料 水 を

汚 染 す る こ と の な い よ う に 必 要 な 措 置 を 講 ず る こ と 。

オ 受 水 槽 は 、 し 尿 浄 化 槽 、 汚 水 槽 、 ゴ ミ 汚 物 置 き 場 な ど に 近 接 し て 設 置 し

て は な ら な い 。

カ 受 水 槽 は 天 井 、 周 壁 及 び 底 部 の 全 て の 外 周 面 が 目 視 で き 、 保 守 点 検 が 容

易 に 出 来 る よ う 一 定 の 空 間 を 確 保 で き る こ と 。（ 六 面 管 理 式 ）

キ 地 盤 高 よ り 低 い 場 所 に 受 水 槽 を 設 置 す る 場 合 は 、 雨 水 及 び 汚 水 の 流 入 を

１０－３

防 ぐ 構 造 と す る こ と 。

ク 屋 内 に 受 水 槽 を 設 置 す る 場 合 は 構 造 物 と の 離 隔 等 に つ い て 、 図 １ ０ － １

の と お り と す る 。標 準 的 に ａ 、ｃ ≧ 60c m、ｂ ≧ 100c m、ａ '、ｂ '、ｄ 、ｅ は

保 守 点 検 に 支 障 の 無 い 距 離 と す る 。

１０－４

図 １ ０ － １ 受 水 槽 の 設 置 位 置 （ 屋 内 ）

a

a'

a'

a

a

ae

受水槽周辺の空間を示すために表示

したもので、壁で仕切る必要はない。

平 面 図

汚染物質の流入・浸透

汚染物質の流入・浸透

汚染物質の流入・浸透

汚染物質の流入・浸透

受水槽

ａ，ｃ≧６０ｃｍ 、 ｂ≧１００ｃｍを標準とする。

ａ’、ｂ’、ｄ、ｅは保守点検に支障のない距離とする。

ａ ａ

ｂ

断 面 図

汚染物質の流入・浸透

汚染物質の流入・浸透

汚染物質の流入・浸透

汚染物質の流入・浸透

受水槽

ｃ

ｄ

ｂ'

受水槽周辺の空間を示すために表示

したもので、壁で仕切る必要はない。

１０－５

４ 受水槽の構造

（ １ ） 受 水 槽 の 材 質

受 水 槽 の 材 質 は 、ガ ラ ス 繊 維 強 化 ポ リ エ ス テ ル（ Ｆ Ｒ Ｐ ）、鋼 板 、ス テ ン レ

ス な ど の 浸 出 に よ り 水 質 に 影 響 を あ た え な い 材 料 を 使 用 し 、 か つ 水 密 性 を 確

保 す る こ と 。

（ ２ ） マ ン ホ ー ル の 設 置

マ ン ホ ー ル は 機 器 の 修 理 が 容 易 に で き る 場 所 に 直 径 60c m 以 上 の 大 き さ と

し て 、 マ ン ホ ー ル 周 囲 か ら 10c m 高 く し て 施 錠 が で き る 構 造 と す る こ と 。

ま た 、 パ ッ キ ン な ど に よ り 密 封 性 を 確 保 し 、 受 水 槽 の 水 を 汚 染 さ せ な い 構

造 の も の と す る こ と 。

（ ３ ） 排 水 設 備 の 設 置

受 水 槽 に は 排 水 設 備 を 設 け 、 完 全 な 排 水 と 清 掃 が で き る よ う に す る こ と 。

た だ し 、そ の 管 末 は 直 接 排 水 管 に 接 続 し な い 間 接 排 水 と し 、排 水 管 口 空 間（ 排

水 管 直 径 の ２ 倍 程 度 最 小 150m m 以 上 ） を 確 保 す る こ と 。

（ ４ ） オ ー バ ー フ ロ ー 管 の 設 置

受 水 槽 に は 、 オ ー バ ー フ ロ ー 管 を 設 け 、 そ の 口 径 は 流 入 量 を 十 分 排 水 で き

る 大 き さ と す る 。た だ し 、そ の 管 末 は 直 接 排 水 管 に 接 続 し な い 間 接 排 水 と し 、

排 水 管 口 空 間 （ オ ー バ ー フ ロ ー 管 直 径 の ２ 倍 程 度 最 小 150m m 以 上 ） を 確 保

す る こ と 。

（ ５ ） 通 気 管 の 設 置

受 水 槽 に は 、 通 気 の た め の 装 置 を 設 け な け れ ば な ら な い 。

（ ６ ） 受 水 槽 内 部

受 水 槽 内 部 に 給 水 設 備 以 外 の 管 及 び 器 具 を 貫 通 さ せ て は な ら な い 。

（ ７ ） 防 虫 網 の 設 置

オ ー バ ー フ ロ ー 管 及 び 通 気 装 置 に は 、 管 端 開 口 部 に 網 （ ス テ ン レ ス 製 が 望

１０－６

ま し い 。）を 取 付 な け れ ば な ら な い 。た だ し 、排 水 、通 気 に 支 障 が な い よ う

に 注 意 す る こ と 。

（ ８ ） 滞 留 水 防 止

受 水 槽 内 の 水 の 滞 留 防 止 の た め 、 流 入 口 と 流 出 口 は 対 称 の 位 置 に 設 置 す る

こ と 。

（ ９ ） 保 守 点 検 な ど の 断 水 防 止

受 水 槽 は 、 清 掃 時 及 び 保 守 点 検 時 の 給 水 を 確 保 す る た め 、 二 槽 式 に す る 等

の 措 置 を 講 じ る こ と 。 た だ し 、 専 用 住 宅 の 小 規 模 貯 水 槽 水 道 に つ い て は 、 こ

の 限 り で は な い 。

（ 10） 断 水 事 故 防 止

受 水 槽 に は 、 満 水 、 減 水 警 報 装 置 を 設 け る こ と 。

（ 11） ボ ー ル タ ッ プ 保 護

受 水 槽 に は 、防 波 管 、波 立 ち 防 止 板 ま た は こ れ に 代 わ る も の を 設 け る こ と 。

（ 12） 清 潔 保 持 の 徹 底

受 水 槽 内 部 に 、 藻 及 び 昆 虫 類 な ど が 発 生 し な い よ う に 管 理 監 視 に 努 め る こ

と 。 な お 、 経 年 劣 化 等 に よ り 水 槽 内 部 に 日 光 が 透 過 す る よ う な 場 合 に は 、 受

水 槽 の 交 換 又 は 透 過 防 止 対 策 を 講 じ る こ と 。

（ 13） ウ ォ ー タ ー ハ ン マ ー の 防 止

受 水 槽 に つ い て は 、 定 水 位 弁 を 使 用 す る 場 合 は ボ ー ル タ ッ プ 等 を 併 用 し 、

過 大 な 水 量 と な る 場 合 は 定 流 量 弁 を 設 置 す る こ と 。 ま た 、 ボ ー ル タ ッ プ を 使

用 す る 場 合 は 、 破 損 防 止 の た め 防 波 板 を 設 置 す る こ と 。

（ 14） 雑 用 水 槽 及 び 消 火 水 槽 な ど の 設 置

受 水 槽 の 水 質 保 全 の た め 、 別 途 設 置 す る こ と 。

（ 15） 直 圧 給 水 栓 の 設 置

１０－７

停 電 及 び ポ ン プ の 故 障 な ど の 非 常 時 に 備 え 、 直 圧 給 水 栓 を 設 置 す る こ と 。

た だ し 、 直 圧 給 水 栓 は 受 水 槽 付 近 に 設 置 し 、 流 入 管 か ら 分 岐 す る こ と 。 な

お 、 直 圧 給 水 栓 は 非 常 時 （ 停 電 、 ポ ン プ 故 障 、 受 水 槽 の 清 掃 用 、 水 質 検 査 な

ど ）の み の 使 用 と し 、平 時 は 給 水 設 備 と 連 結 し な い よ う に 十 分 注 意 す る こ と 。

（ 16） 吐 水 口 空 間

受 水 槽 に 給 水 す る 場 合 、水 槽 内 の 水 が 給 水 管 に 逆 流 し な い よ う 次 に 示 す 吐

水 口 空 間 を 確 保 し な け れ ば な ら な い 。

ア 吐 水 口 （ 流 入 管 ） の 呼 び 径 が 25mm 以 下 の 場 合

呼 び 径 近 接 壁 と 吐 水 口 中 心 の 水

平 距 離 （ A）

越 流 面 か ら 吐 水 口 最 下 端

ま で の 垂 直 距 離 （ B）

13m m 以 下 25m m 以 上 25m m 以 上

13m m を 超 え 20mm 以 下 40m m 以 上 40m m 以 上

20m m を 超 え 25mm 以 下 50m m 以 上 50m m 以 上

イ 吐 水 口 （ 流 入 管 ） の 呼 び 径 が 25mm を 超 え る 場 合

種 別 壁 か ら の 離 れ （ C） 越 流 面 か ら 吐 水 口 の 最 下 端

ま で の 垂 直 距 離 （ D）

近 接 壁 の 影 響 が な い 場 合 1 . 7d ’＋ 5m m 以 上

近 接 壁 の

影 響 が あ

る 場 合

近 接 壁 １ 面 の 場

合

3d 以 下 3 . 0d ’以 上

3d を 超 え 5d 以 下 2 . 0d ’＋ 5m m 以 上

5d を 超 え る も の 1 . 7d ’＋ 5m m 以 上

近 接 壁 ２ 面 の 場

合

4d 以 下 3 . 5d ’以 上

4d を 超 え 6d 以 下 3 . 0d `以 上

6d を 超 え 7d 以 下 2 . 0d ’＋ 5m m 以 上

7d を 超 え る も の 1 . 7d ’＋ 5m m 以 上

d： 吐 水 口 の 内 径 (mm ) d ’： 有 効 開 口 （ オ ー バ ー フ ロ ー 管 ） の 内 径 (m m )

＊ 給 水 装 置 の 構 造 及 び 材 質 の 基 準 に 関 す る 省 令 よ り

（ 平 成 9 年 3 月 19 日 厚 生 省 令 第 14 号 ）

（ 最 終 改 正 ： 平 成 26 年 2 月 28 日 厚 生 労 働 省 令 第 15 号 ）

１０－８

（ 17） 副 弁 付 定 水 位 弁

受 水 槽 へ の 給 水 方 式 は 、 吐 水 口 の 口 径 (流 入 管 口 径 )が 25m m 以 上 と な る

場 合 は 副 弁 付 定 水 位 弁 に よ る も の と す る 。

A

C

B又はD越流面中心線

止水面：高水位（HWL）

越流管

ｄ'(内径)呼び径

ｄ(内径)呼び径

受　水　槽

Ｄ Ｂ

Ａ又はＣ

吐出口

d(内径)呼び径

ｄ'(内径)呼び径

吐出口

受　水　槽

越流面中心線

止水面：高水位（HWL） 越流管

中心線

※Ｂ又はＤは、吐出空間を示す。※Ｂ又はＤは、吐出空間を示す。

吐出空間図（吐水口と壁面又は越流面との空間関係図）

吐水口空間

緊急停止水位

満水警報水位

電磁弁閉水位

電磁弁開水位

ポンプ復帰水位

減水警報・空転防止水位

防　波　管

防　波　管

越　流　管

２Ｄ

Ｄ

ストレーナ

定水位弁

ストレーナ

可とう管

マンホール（φ600以上）

施錠必要

通気管（防虫網）

防虫網

可とう管

空気だまりができる配管の場

合は、空気弁を設置すること。

全内容量

貯水容量

有効容量（水道法）

30cm以上

４D

60cm以上

ｄ1.5d

約50cm以

上

1/100勾配 1/100勾配

制御盤へ

ポンプへ

排水口空間

2ｄ’

（参考）　受水槽一般構造図

排水管

ｄ'

排水口空間 最小は150mm以上とする最小は150mm以上とする

（寸法については別記）

ボールタップ

L.L.W.L

L.W.L

H.W.L

H.H.W.L

１０－９

５ 高置水槽の構造

（ １ ） 高 さ

高 置 水 槽 の 高 さ は 、 給 水 用 具 が 円 滑 に 作 動 す る 水 圧 が 得 ら れ る よ う に 配 慮

す る こ と 。

（ ２ ） 容 量

高 置 水 槽 の 容 量 は 、 １ 日 の 計 画 給 水 量 の １ 割 を 標 準 と す る 。

（ ３ ） 直 結 の 禁 止

高 置 水 槽 に は 、 給 水 設 備 以 外 の 設 備 と 直 結 さ せ て は な ら な い 。

（ ４ ） 設 置 場 所 ・ 構 造

高 置 水 槽 は 、 衛 生 的 で 点 検 清 掃 管 理 な ど 容 易 か つ 安 全 な 場 所 に 設 置 し 、 強

度 及 び 耐 水 性 に 優 れ 、 風 圧 及 び 地 震 に 対 し て も 十 分 な 対 策 が 講 じ ら れ て い な

け れ ば な ら な い 。

（ ５ ） 材 質

そ の 他 、 材 質 に つ い て は 受 水 槽 に 準 じ る 。

（ ６ ） 維 持 管 理 へ の 配 慮

給 水 設 備 の 配 管 は 、 修 理 及 び 改 造 な ど の 維 持 管 理 を 容 易 に 行 う こ と が で き

る よ う に す る こ と 。

（ ７ ） 止 水 栓 の 設 置

各 階 な ど 主 要 な 部 分 の 分 岐 に は ゲ ー ト バ ル ブ を 設 置 す る こ と 。

（ ８ ） 揚 水 ポ ン プ な ど の 管 理 点 検

揚 水 ポ ン プ 及 び 増 圧 装 置 は 、 非 常 時 に 迅 速 に 対 応 で き る 業 者 を 選 定 し 、 設

置 者 の 責 任 に お い て 定 期 的 に 点 検 整 備 を 行 う こ と 。

１０－１０

（ ９ ） 汚 染 事 故 の 防 止

給 水 設 備 は 、 汚 染 物 質 の 内 部 又 は 下 部 に 埋 設 し な い こ と 。 受 水 槽 及 び 高 置

水 槽 内 部 に 給 水 設 備 以 外 の 管 及 び 器 具 を 貫 通 さ せ て は な ら な い 。

（ １ ０ ） 破 損 事 故 の 防 止

給 水 設 備 は 、 逆 流 、 停 滞 水 や ウ ォ ー タ ー ハ ン マ ー を 生 じ な い よ う 必 要 な 防

止 措 置 を 講 じ な け れ ば な ら な い 。 ま た 、 凍 結 、 結 露 、 浸 食 や 電 食 に つ い て も

同 様 と す る 。

（ １ １ ） 空 気 弁 の 設 置

給 水 設 備 は 、停 滞 空 気 の 生 じ る 恐 れ の あ る 場 合 は 、空 気 弁 な ど を 設 置 し て 、

こ れ を 排 除 す る 措 置 を 講 じ な け れ ば な ら な い 。

（ １ ２ ） 給 水 設 備 の 明 示

給 水 設 備 に は 、 配 管 種 別 及 び 流 水 方 向 な ど の 表 示 を 行 い 、 他 の 設 備 と 明 瞭

に 識 別 が で き る 措 置 を 講 じ な け れ ば な ら な い 。

（ １ ３ ） 給 水 系 統 の 分 離

薬 品 類 な ど が 逆 流 す る 恐 れ の あ る 器 具 を 設 置 す る 場 合 は 、 給 水 設 備 と 完 全

に 分 離 し て 別 系 統 と し な け れ ば な ら な い 。

６ 受水槽への給水

受 水 層 へ の 給 水 量 は 、受 水 槽 の 容 量 と 使 用 水 量 の 時 間 的 変 化 を 考 慮 し て 定 め な

け れ ば な ら な い 。 一 般 に 受 水 槽 へ の 単 位 時 間 あ た り の 給 水 量 は 、 一 日 あ た り の 計

画 使 用 水 量 を 使 用 時 間 で 除 し た 水 量 と す る 。

計 画 一 日 使 用 水 量 は 、 建 物 種 類 別 単 位 給 水 量 ・ 使 用 時 間 ・ 人 員 を 参 考 と す る と

と も に 、 当 該 施 設 の 規 模 と 内 容 、 給 水 区 域 内 に お け る 他 の 使 用 実 態 等 を 十 分 に 考

慮 し て 設 定 し な け れ ば な ら な い 。

１０－１１

（ １ ） 計 画 一 日 使 用 水 量 の 算 定 方 法

ア 使 用 人 員 か ら 算 出 す る 方 法

１ 人 １ 日 あ た り 使 用 水 量 （ 表 １ ０ － １ ） ×使 用 人 員

イ 使 用 人 員 が 把 握 で き な い 場 合

単 位 床 面 積 あ た り 使 用 水 量 (表 １ ０ － １ )×延 床 面 積

ウ そ の 他

類 似 施 設 の 使 用 実 績 等 に よ る 積 算

（ ２ ） 受 水 槽 へ の 給 水 量 の 決 定

受 水 槽 へ の 給 水 量 は 次 の と お り と す る 。

時 間 あ た り 給 水 量 ＝計 画 一 日 使 用 水 量

一 日 使 用 時 間

た だ し 、 時 間 あ た り 計 画 使 用 水 量 が 上 式 で 求 め た 時 間 あ た り 給 水 量 を 上 回

る 場 合 は 時 間 あ た り 計 画 使 用 水 量 を 時 間 あ た り 給 水 量 と す る 。（ 短 時 間 に 大 量

の 水 を 必 要 と す る 場 合 等 ）

（ ３ ） 給 水 管 口 径 の 決 定

（ ２ ）で 求 め た 時 間 あ た り 給 水 量 を 基 に 水 理 計 算 を 行 い 、条 件 を 満 足 す る 口

径 の ボ ー ル タ ッ プ ま た は 定 水 位 弁 を 選 定 す る と と も に 、 給 水 管 の 口 径 を 決 定

す る こ と 。

ボ ー ル タ ッ プ 及 び 定 水 位 弁 の 吐 出 量 及 び 損 失 抵 抗 は 、各 メ ー カ ー の 仕 様 表 か

ら 求 め る こ と 。

（ ４ ） 量 水 器 口 径

量 水 器 の 口 径 は 、（ ２ ）で 求 め た 時 間 あ た り 給 水 量 が 、量 水 器 の 適 正 流 量 範

囲 内 に あ る 量 水 器 の 口 径 と す る こ と 。

（ ５ ） 受 水 量 の 調 整

受 水 槽 の 容 量 は 、使 用 水 量 に よ っ て 定 め る が 、配 水 管 の 口 径 に 比 べ 単 位 時

間 当 た り の 受 水 量 が 大 き い 場 合 に は 、配 水 管 の 水 圧 が 低 下 し 、付 近 の 給 水 に

１０－１２

支 障 を 及 ぼ す こ と が あ る 。こ の よ う な 場 合 に は 、定 流 量 弁 や 減 圧 弁 を 設 け て

時 間 あ た り の 受 水 量 を 調 整 し な け れ ば な ら な い 。ま た 、配 水 管 の 水 圧 が 高 く 、

必 要 と す る 時 間 あ た り 給 水 量 以 上 に 受 水 量 が 多 い 時 は 、受 水 槽 へ の 流 入 時 に

給 水 管 を 流 れ る 流 量 が 過 大 と な っ て 、水 道 メ ー タ の 性 能 、耐 久 性 に 支 障 を 与

え た り 、給 水 管 内 の 流 速 が 過 大 と な り 、定 水 位 弁 等 の 開 閉 時 に ウ ォ ー タ ー ハ

ン マ ー が 発 生 す る 恐 れ が あ る た め 、減 圧 弁 、定 流 量 弁 等 を 設 置 し 、時 間 あ た

り の 受 水 量 を 適 正 な 流 量 と な る よ う 調 整 し な け れ ば な ら な い 。

（ ６ ） 受 水 槽 及 び 高 置 水 槽 の 容 量 の 決 定

ア 受 水 槽 容 量 は 計 画 一 日 使 用 水 量 の ４ ／ １ ０ ～ ６ ／ １ ０ を 標 準 と す る 。

イ 受 水 槽 容 量 は 受 水 槽 有 効 容 量 と す る 。 受 水 槽 有 効 容 量 は 、 定 水 位 弁 等 の

流 入 バ ル ブ が 閉 じ ら れ る 設 定 水 位 と 流 出 管 上 面 か ら 流 出 管 の 口 径 の １ ． ５

倍 の 距 離 を と っ た 水 位 と の 差 を 有 効 高 さ と し 、 こ の 有 効 高 さ と 受 水 槽 の 平

面 積 を 乗 じ た も の と す る 。

ウ 高 置 水 槽 の 容 量 は 計 画 一 日 使 用 水 量 の １ ／ １ ０ を 標 準 と す る 。

１０－１３

表 １ ０ － １ 建 物 種 類 別 単 位 給 水 量 ・ 使 用 時 間 ・ 人 員 表

（ 社 ） 空 気 調 和 ・ 衛 生 工 学 会 ： 空 気 調 和 衛 生 工 学 便 覧 第 １ ４ 版 、 第 ４ 巻 、 ｐ １ １ ３ （ 平 ２ ２ ）

注 １ ） 単 位 給 水 量 は 設 計 対 象 給 水 量 で あ り 、 年 間 １ 日 平 均 給 水 量 で は な い 。

注 ２ ）備 考 欄 に 特 記 の な い 限 り 、空 調 用 水 、冷 凍 機 冷 却 水 、実 験 ・ 研 究 用 水 、プ ロ セ

ス 用 水 、 プ ー ル ・ サ ウ ナ 用 水 等 は 別 途 加 算 す る 。 注 ３ ） 数 多 く の 文 献 を 参 考 に し て 表 作 成 者 の 判 断 に よ り 作 成 。

建物種類 単位給水量

（１日当）

使用

時間

〔ｈ/日〕

注 記 有効面積当りの

人員など

備 考

戸 建 て 住 宅

集 合 住 宅

独 身 寮

200～400L/人

200～350L/人

400～600L/人

10

15

10

居住者１人当たり

居住者１人当たり

居住者１人当たり

0.16 人/㎡

0.16 人/㎡

官 公 庁 ・ 事 務 所

60～100L/人

9

在勤者一人当たり

0.2 人/㎡

男子 50L/人、女子

100L/人、社員食堂・テ

ナントなどは別途加算

工 場

60～100L/人

操業

時間

+1

在勤者一人当たり

座作業 0.3 人/㎡立

作業 0.1 人/㎡

男子 50L/人、女子

100L/人、社員食堂・シ

ャワーなどは

別途加算

総 合 病 院

1500～3500L/床

30～60L/㎡

16

延べ面積１㎡当たり

設備内容などにより

詳細に検討する

ホ テ ル 全 体

ホ テ ル 客 室 部

500～6500L/床

350～450L/床

12

12

同上

客室部のみ

保 養 所 500～800L/人 10

喫 茶 店

飲 食 店

社 員 食 堂

給 食 セ ン タ ー

20～35L/客

55～130L/店舗㎡

55～130L/客

110～530L/店舗㎡

25～50L/食

80～140L/食堂㎡

20～30L/食

10

10

10

10

店舗面積には 厨房

面積も含む

同上

同上

厨房で使用される水量

のみ、

便所洗浄水などは別途

加算同上

同上

定性的には、軽食・そ

ば・和食・洋食・中華

の順に多い

同上

同上

デ パ ー ト

ｽ ｰ ﾊ ﾟ ｰ ﾏ ｰ ｹ ｯ ﾄ

15～30L/㎡ 10

延べ面積１㎡当たり

従業員分・空調用水を

含む

小 ・ 中 ・普通

高 等 学 校

大 学 講 義 棟

70～100L/人

2～4L/人

9

9

（生徒+職員）

１人当り

延べ面積１㎡当たり

教師・従業員分を含む。

プール用水（40～100L/

人）は別途加算

実験・研究用水は別途

加算

劇 場 ・ 映 画 館 25～40L/㎡

0.2～0.3L/人

14 延べ面積１㎡当たり

入場者１人当たり

従業員分・空調用水を

含む

タ ー ミ ナ ル 駅

普 通 駅

10L/1000 人

3L/1000 人

16

16

乗客 1000 人当たり

乗客 1000 人当たり

列車給水・洗車用水は

別途加算

従業員分・多少のテナ

ント分を含む

寺 院 ・ 教 会 10L/人 2 参会者１人当たり 常住者・常勤者分は別

途加算

図 書 館 25L/人 6 閲覧者１人当たり 0.4 人/㎡ 常勤者分は別途加算

１０－１４

表 １ ０ － １ は 、参 考 資 料 と し て 掲 載 し た も の で あ り 、こ の 表 の 建 物 種 類 に

な い 業 態 等 に つ い て は 、使 用 実 態 及 び 類 似 し た 業 態 等 の 使 用 水 量 実 績 等 を 調

査 し て 算 出 し な け れ ば な ら な い 。 な お 、 実 績 資 料 等 が な い 場 合 に お い て は 、

用 途 別 及 び 使 用 給 水 用 具 ご と に 使 用 水 量 を 積 み 上 げ て 算 出 し な け れ ば な ら

な い 。

７ 給水設備の維持管理

受 水 槽 方 式 に よ る 給 水 設 備 の 維 持 管 理 に つ い て は 、 そ の 管 理 責 任 者 が 以 下 の

項 目 に つ い て 行 う こ と 。

（ １ ） 給 水 開 始 時 の 水 質 検 査

給 水 を 開 始 し よ う と す る 時 は 、 給 水 栓 の 水 を 公 的 機 関 に お い て 、 水 質 検 査

及 び 残 留 塩 素 測 定 を 行 う こ と 。

（ ２ ） 保 守 点 検 ・ 清 掃 ・ 立 入 検 査

給 水 設 備 の 定 期 的 な 保 守 点 検 及 び 清 掃 を 行 う こ と 。 簡 易 専 用 水 道 に お い て

は 、 公 的 機 関 に お い て 法 定 の 立 入 検 査 を 受 検 し 、 規 模 を 問 わ ず 貯 水 槽 に つ い

て は １ 年 以 内 ご と に １ 回 以 上 の 清 掃 を 実 施 す る こ と 。

（ ３ ） 残 留 塩 素 の 保 持

受 水 槽 以 降 の 給 水 栓 に お け る 水 の 残 留 塩 素 濃 度 が 0 . 1m g /L 以 上 を 保 持 す る

よ う に 努 め る こ と 。

（ ４ ） 水 質 検 査 の 励 行

法 令 等 で 定 め る も の の 外 、 水 質 監 視 の た め 水 質 検 査 を 定 期 的 に 実 施 す る こ

と が 望 ま し い 。 ま た 、 給 水 栓 に お け る 水 質 （ 色 ・ 濁 り ・ 臭 い ・ 味 な ど ） の 異

常 を 認 め た と き は 、 速 や か に 水 質 検 査 を 行 う こ と 。

（ ５ ） 設 置 管 理 者 に よ る 定 期 点 検

有 害 物 質 、 汚 水 や 汚 物 に よ る 水 質 汚 染 を 防 止 す る た め 、 管 理 責 任 者 の 責 任

に よ る 週 １ 回 以 上 の 点 検 を 行 い 、 異 常 を 発 見 し た 場 合 は 必 要 な 措 置 を 講 じ る

１０－１５

こ と 。 ま た 、 地 震 、 凍 結 、 大 雨 、 雷 な ど 天 候 の 異 常 が あ っ た 場 合 も 速 や か に

点 検 を 行 う こ と 。

（ ６ ） 給 水 停 止 と 広 報 周 知

供 給 す る 水 が 、 人 の 健 康 を 害 す る 恐 れ が あ る と 知 っ た 時 は 、 直 ち に 給 水 を

停 止 し 、 そ の 水 の 使 用 が 危 険 で あ る 旨 を 使 用 者 に 周 知 し な け れ ば な ら な い 。

（ ７ ） 関 係 書 類 な ど の 整 備 保 管

給 水 設 備 の 維 持 管 理 に 関 し 、 必 要 な 書 類 及 び 図 面 な ど を 、 い つ で も 利 用 で

き る よ う に 整 理 保 存 す る こ と 。

ア 施 設 の 配 置 及 び 配 管 系 統 を 明 ら か に し た 図 面 （ 永 久 保 存 ）

イ 受 水 槽 周 辺 の 構 造 と 配 置 を 明 ら か に す る 平 面 図 （ 永 久 保 存 ）

ウ 水 槽 の 掃 除 の 記 録

清 掃 報 告 書 ・ 清 掃 作 業 写 真 ・ 水 質 検 査 結 果 報 告 書 等 （ ５ 年 間 保 存 ）

エ そ の 他 必 要 な 帳 簿 や 書 類

（ ８ ） 給 水 設 備 表 示 板 の 設 置

集 合 住 宅 な ど 多 数 の 使 用 者 が 存 在 す る 施 設 に お い て は 、 断 水 又 は 故 障 時 の

連 絡 先 を 明 示 し た 給 水 設 備 表 示 板 を 建 築 物 の 入 り 口 な ど の 使 用 者 の 目 に 付 き

や す い 場 所 に 設 置 す る こ と 。

給 水 設 備 維 持 管 理 者 の お 知 ら せ

こ の 建 築 物 の 水 道 は 、 受 水 槽 及 び こ れ に 類 す る 給 水 設 備 に よ る も の で 、

停 電 や 揚 水 ポ ン プ の 故 障 時 に は 断 水 す る こ と が あ り ま す 。

故 障 、 そ の 他 異 常 が 認 め ら れ た 際 に は 、 下 記 の 給 水 設 備 維 持 管 理 者 へ 連

絡 し て く だ さ い 。

給 水 設 備 維 持 管 理 者

住 所 〇 〇 〇 市 〇 〇 町 〇 － 〇 － 〇

氏 名 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇

電 話 番 号 〇 〇 〇 〇 － 〇 〇 － 〇 〇 〇 〇

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（ ９ ） 鍵 の 保 管 に つ い て

第 三 者 が 容 易 に 立 ち 入 る こ と が で き な い よ う に 鍵 を 設 置 し 、 管 理 者 等 が 大

切 に 保 管 す る こ と 。 な お 、 緊 急 時 に は 連 絡 及 び 鍵 の 引 き 渡 し が で き る よ う に

し て お く 。

（ １ ０ ） 小 規 模 受 水 槽 の 維 持 管 理

合 計 有 効 容 量 が 10m 3 以 下 の 小 規 模 受 水 槽 の 維 持 管 理 に つ い て も 上 記 に 準

じ て 行 う こ と 。

８ 設置の届出

（ １ ） 届 出 書

添 付 書 類 を 含 め て 、 各 ２ 部 提 出 と す る 。

ア 受 水 槽 容 量 が 10m 3 を 超 え る 場 合 は 「 簡 易 専 用 水 道 設 置 届 出 書 」 を 提 出

す る 。

イ 受 水 槽 容 量 が 10m 3 以 下 場 合 は 「 小 規 模 貯 水 槽 水 道 設 置 届 出 書 」 を 提 出

す る 。

（ ２ ） 届 出 書 の 提 出

給 水 申 込 書 の 提 出 の 際 、 同 時 に 提 出 す る 。

（ ３ ） 添 付 書 類

ア 位 置 図 （ 市 全 図 ・ 住 宅 地 図 ）

イ 水 理 計 算 書

ウ 平 面 図

エ 各 階 平 面 図

オ 立 体 図

カ 受 水 槽 ・ 高 置 水 槽 の 詳 細 図 面

キ そ の 他 、 必 要 書 類

（ ４ ） 完 成 検 査

原 則 と し て 、 給 水 工 事 の 完 成 検 査 と 同 時 に 行 う 。

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