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福岡大学 工学部 建築学科
助教 田中照久
2016年6月7日開催福岡大学 新技術説明会
鋼材とコンクリートをつなぐ革新的な接合デバイスの開発鋼材とコンクリートをつなぐ革新的な接合デバイスの開発
技術シーズの分野 建築・土木
技術シーズの内容鋼材料とコンクリート材料との接合効果において,せん断耐力および剛性を大幅に向上させることができ,生産性・施工性にも優れた革新的ずれ止めを用いた複合構造を提供する.これにより,建築・土木構造物の高強度化・長寿命化・環境負荷低減における手段として幅広く活用できる.
本技術シーズの位置づけ
鋼材とコンクリート間の応力伝達 ⇒ 接合デバイスのずれ止め
鋼 コンクリート
鋼部材 鉄筋コンクリート部材
新素材等
鋼構造 鉄筋コンクリート構造
混合構造
異種材料接合接着作用・摩擦作用・ずれ止めの機械的抵抗作用
S+RC,S+SRC,S+PC,CFT+RC 等
異種部材接合(ずれ止め 等)
材料レベル
部材レベル
構造レベル
RC:鉄筋コンクリートSRC:鉄骨鉄筋コンクリートPC:プレキャストコンクリートCFT:コンクリート充填鋼管
合成構造
合成部材
出典:土木学会:基礎からわかる複合構造-理論と設計-,2012.3 (編集)
建築構造で対象となる接合部位
壁
床 床
基礎梁コンクリート
鋼 杭 杭
梁
柱 柱柱
梁 接合
デバイスずれ止め
1. ずれ止めの現状と課題
2. 本技術シーズ新型ずれ止めの概要
3. ビジネスモデルと実用化事例
ずれ止めの種類と現状
1975年 日本建築学会「合成ばり構造設計施工指針同解説」
鋼製ブロック 溝形鋼
鉄筋 頭付きスタッド
機械的ずれ止め ・・・ 頭付きスタッド を用いることに限定された
ふ
孔あき鋼板ジベル(PBL)
1987年 ドイツのLeonhardtらによって提唱されたずれ止め
●ずれ止め特性→ 頭付きスタッドに比べて剛性が高く,疲労特性に優れる.
せん断抵抗機構
コンクリート
孔あき鋼板
●国内外の土木構造物→ 近年,種々の鋼コンクリート複合構造物に使用されている.
左図の引用文献:鬼頭宏明,園田恵一郎:鋼・コンクリート複合構造,森北出版,2008
相対ずれ変位(mm)
載荷
荷重
P/ 最
大荷
重Pm
ax
0
0.2
0.4
0.6
0.8
1
1.2
0 5 10 15
孔あき鋼板ジベル
頭付きスタッド
荷重 P
コンクリート
H形鋼
押抜きせん断実験剛
柔
従来のずれ止めのずれ挙動
従来のずれ止めの耐力比較
ccscs EFaq 50.頭付きスタッド1本あたりの終局せん断耐力:qs
コンクリートのヤング係数 27800 N/mm2
コンクリートの設計基準強度 Fc21 → 27.2 N/mm2
頭付きスタッドの軸部断面積:軸径 13・16・19・22 mm
材料特性考慮
スタッドの軸径(mm)22191613
0
50
100
150
200
スタ
ッド
1本
あた
りの
終局
せん
断耐
力(kN
)
実験より得られた孔あき鋼板ジベルの最大せん断耐力 50φ
PL-12
PL-9PL-6
鋼板厚さを厚くしても・・・最大せん断耐力は・増大しない・頭付きスタッドと同程度
1. ずれ止めの現状と課題
2. 本技術シーズ新型ずれ止めの概要
3. ビジネスモデルと実用化事例
材料や部材の高強度化および接合部の多種多様化に対応できる高性能のずれ止めの開発が望まれている
突起付き孔あき鋼板を用いたずれ止め
ずれ止めの抵抗機構 → せん断抵抗 + 支圧抵抗
突起
コンクリート
突起付きの孔あき鋼板
生産性・施工性に優れ,かつ高剛性・高耐力を目指した革新的なずれ止め(鋼材とコンクリートの接合デバイス)の開発
新技術 バーリングシアコネクタ
機械加工技術のバーリングプレス加工を活用したずれ止め
バーリング加工とは・・・鋼板にあけた下孔の縁を立ち上げ突起(フランジ)を作る加工
使用例:ネジ孔,配管継手部,自動車駆動系の強度部品,等
突起(フランジ)下孔
鋼板
パンチ ダイ
バーリング鋼板のプレス加工工程
コンクリート
鋼材
新型ずれ止め
溶接
バーリングシアコネクタの基本形状
バーリング鋼板の形状寸法
5050
100
200100 100
50φ
hf6
(単位 : mm)
SS400
鋼板厚さ t
バーリング径 dp
突起高さ hf
: 6 mm
:50 mm
: 0, 6, 9, 12, 15 mm
6
9
12
15 mm
0
バーリングシアコネクタの優位性
0
100
200
300
0 2 4 6 8 10
突起なし : 従来の孔あき鋼板ジベルPBL (孔径50mm,板厚12mm)
初期剛性はPBL と同等以上:剛性大※従来型ずれ止めスタッド の4.0~6.0倍
バーリングコネクタ の最大耐力は,PBL の約1.6~2.2倍である
土木最小厚さ推奨値
板厚半分コスト削減可
Q Q
作用
せん
断力
Q(kN
) 6912
15バーリング径50mm
板厚 6mm
新型ずれ止めバーリングシアコネクタ
鋼材とコンクリート間の相対ずれ変位 (mm)
バーリング加工間隔の影響作
用せ
ん断
力Q
(kN
)
ずれ変位 (mm)
0
100
200
300
400
500
0 2 4 6 8 10
加工間隔
@300@250@100@150@200
間隔(mm)
Q Q初期のずれ剛性:間隔の影響なし
最大耐力:間隔の影響なし
繰り返し荷重(地震力)に対する効果
孔あき鋼板ジベル
頭付きスタッド
バーリングシアコネクタ Q Q
繰り返し荷重
0
100
200
300
400
500
0 1 2 3 4 5
荷重
Q (
kN)
ずれ変位 δ (mm)
0
100
200
300
400
500
0 1 2 3 4 5
荷重
Q (
kN)
ずれ変位 δ (mm)
0
100
200
300
400
500
0 1 2 3 4 5
ずれ変位 δ (mm)
荷重
Q (
kN)
Q Q繰り返し荷重
Q Q繰り返し荷重
バーリングシアコネクタの最大荷重 → 従来型ずれ止めの約2.25倍
軸径 22φ長さ 100mm
板厚 12mm孔径 50mm
板厚 6mm孔径 50mm突起高さ 15mm
孔に貫通させた鉄筋のずれ止め効果
0
200
400
600
800
0 2 4 6 8 10
繰り
返し
作用
せん
断力
Q(kN) 貫通鉄筋あり
貫通鉄筋なし
鋼板厚さ6mmバーリング径50Φmm突起高さ15mm加工間隔150mm
貫通鉄筋D10 → 耐力よりもずれ変形性能の改善に効果大
ずれ変位 δ (mm)Qmax 5%増大
最大荷重の90%以上保持
ずれ変位 δ (mm)
Q Q
鉄筋D10
従来型ずれ止め
ずれ止め数の大幅な低減
接合部の剛性不足解消
建設費用の低コスト化
力学的に合理的な設計
施工の簡素化・工期短縮
構造物の高度化・長寿命化
地球環境への負荷低減
耐力 大
剛性 大約4.0 ~6.0倍
約1.6~5.0倍
新型ずれ止め高耐力・高剛性
コンクリート
鋼(鉄骨)鋼板・形鋼・鋼管等
新型ずれ止め
頭付きスタッド
孔あき鋼板ジベル
約1.4倍
約2.0倍以上
鋼材量50%以上削減
板厚12mm孔径50mm
軸径13~22φ 板厚
6mmバーリング径50mm突起高さ15mm
鋼材 コンクリート
ずれ止め必要不可欠
★
耐力 大
剛性 大
・ 超高層建築物の長周期地震問題に対応できる接合技術開発
・ 高耐震補強の低コスト化技術開発
・ 巨大地震・大津波に耐える新ハイブリット構造システムの開発
これまで不可能とされていた新しい接合技術開発が実現できる!
本技術シーズの効果
本技術シーズの応用分野
多種多用な部材・接合部の技術開発 ⇒ 新構造システムの構築
合成梁
鉄骨梁材とコンクリート系柱材の接合
合成壁
合成柱
床
鉄骨系柱材とRC基礎の接合
梁柱
梁
梁
柱 柱RC壁
RC基礎
柱
鉄骨系柱と床スラブの接合
床
柱
骨組と壁の接合
バーリングシアコネクタを用いた合成梁
純鉄骨梁の降伏モーメント (計算値)
純鉄骨梁の全塑性モーメント(計算値)
P P
1.5m 1m 1.5m
M = 1.5・P (kN・m)
合成梁の曲げ剛性Kc純鉄骨梁Ks(計算値)の約3.4倍
0
100
200
300
400
500
0 5 10 15 20 25 30
1/300 1/200 1/100 1/50
載荷
モー
メン
トM
(kN
・m)
載荷点のたわみ量 δ (mm)
曲げ剛性Kc
Ks
個数6(@250)
個数3(@500)
H‐350x175x7x11(SS400)
バーリング間隔の適用範囲検証実験より,100mm~750mm
実大実験により,鉄骨梁と鉄筋コンクリート床スラブを一体化できることを実証した
梁の曲げ載荷実験
鉄骨梁
RC床
(rad)
新技術の接合法に期待される効果の一例
鉄骨系部材 コンクリート系部材
ずれ止め量だけでなく鉄骨・コンクリートも含めた材料の大幅な低減が期待できる
鋼材(鉄骨)量コンクリート量ずれ止め数溶接量
溶接あり無溶接
鉄骨系部材
コンクリート系部材
従来型ずれ止めを使用した場合 新型ずれ止めを使用した場合
1. ずれ止めの現状と課題
2. 本技術シーズ新型ずれ止めの概要
3. ビジネスモデルと実用化事例
ビジネスモデルの構築
A 鉄鋼・建材メーカー(営業・開発)
B プレス加工業者(製造)
鉄骨ファブリケーター
建設会社(元請)
構造設計事務所,建設会社(工事管理者)
$
工事発注 ④新型ずれ止めを取り付けた部材の納入
工事現場
新型ずれ止め(製品事業者)
コンクリート
鋼(鉄骨)鋼板・形鋼・鋼管等
新型ずれ止め
①新型ずれ止めを用いた構造図,加工図等の掲示$
③新型ずれ止めの納入
設計
施工
製品
これまでの実用化実績(2件)
2014年度:F工場建築 増築工事
2015年度:M学校建築 改築工事
福岡大学(田中照久)
$
共同研究
②新型ずれ止めの発注
$
更なる実用化に向けた課題
基礎研究(科研費等より2016年~2018年の3年間で実施)1. 2列平行配置の設計法2. ずれ止め特性を活かした鉄筋の配筋法3. 引き抜き力に対するずれ止め特性4. 高強度コンクリートへの適用性
応用研究(企業様への期待)5. 建築・土木構造物を対象としたあらゆる接合部の検証実験6. 土木構造物を対象とした疲労実験
生産性向上に向けた課題(企業様への期待)7. 複数個同時にバーリング加工するためのプレス機と金型8. 閉断面の鋼管の内側・外側にバーリング加工する技術
鋼材
コンクリート
鉄筋
バーリングシアコネクタ
固定
荷重
本技術に関する知的財産権
発明の名称:複合構造
出願番号 :国内2012-151625:外国 PCT/JP2013/068238(米国,中国)※JSTの国際特許出願支援制度に採択
出願人 :福岡大学
発明者 :田中照久,堺純一
お問い合わせ先
福岡大学 研究推進部 産学官連携センター担当コーディネーター 川上 由基人
TEL :092-871-6631(内線2806) FAX :092-866-2308 e-mail :[email protected]
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