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近森会グループ年報 2018 平成最後となった 2018 年は 6 月の大阪北部地震、平成 30 7 月豪雨、 9 月の台風 21 号と北 海道胆振東部地震など大災害が相次ぎました。被災された地域の一日でも早い復興を心からお祈 り申し上げます。浸水した家屋では、衛生状況の悪化や避難所での集団生活により、急性胃腸炎 や破傷風など感染症の流行が懸念されました。ライフラインが止まり、物理的制約が多い中、通 常通りの衛生的な状況を保つことは難しくなります。感染制御に関する正しい知識に基づき、状 況を改善させる対策を講じていく重要性を感じました。 また、平成 30 年度診療報酬改定の感染分野のトピックは、新たな取り組みとして感染制御チ ーム(ICT)の活動に加え、抗菌薬適正使用支援チーム(Antimicrobial Stewardship Teamを組織し、薬剤師を専従として抗菌薬の適正使用への活動 に対して加算が付いたことです。こ のことは、WHO や、日本も取り組んでいる薬剤耐性(AMR)対策推進の大きな原動力となり ました。近森病院でも AST を組織し、活動を行っています。 活動報告 2018年の活動の実際は、感染対策チーム【Infection Control Team以下ICTと略す】(メンバ ーは表1-1参照)やリンクナース(以下LN)を中心に各種サーベイランスやICTラウンドの実施、 職業感染対策を行いました。感染対策委員会(以下ICC)は毎月1回開催されており、メンバー は各部署の代表から構成されています。(表1-21-3参照) 看護部の感染管理体制としては感染管理認定看護師(CNIC)の元、看護部代表者が中心とな LN と共に活動しています。 LN 委員会は毎月 1 回、グループ活動も毎月 1 回開催し、今年度 は感染対策マニュアルの項目の中で特に基本である標準予防策・経路別予防策について、グルー プワークを通して、理解しやすい形にまとめ、自部署での勉強会を開催しました。環境ラウンド は昨年に引き続き実施し、部署で見つけた「いいね!!」について LN 通信を発行しました。 (2) 感染対策で中心的役割のある ICT は感染管理医師(ICD)、感染管理認定看護師(CNIC)、感 染制御認定臨床微生物検査技師(ICMT)、薬剤師(CP)、理学療法士(PT)、管理栄養士(RDで構成されています。週 1 ICT ミーティングを実施しており、院内への情報配信として I.C.T.&A.S.T.WeeklyNews」の編集や耐性菌の発生状況や AST とともに抗菌薬の使用状況、 その他感染症の発生状況について報告し合い、動向調査を実施しています。 1 度の ICT ラウンドは、昨年に引き続き目的をしぼったターゲットラウンドを実施してい ます。(表 3-13-2 参照)全体へのフィードバックについては、院内掲示板を活用し、改善が必 要な点については必要部署へ改善書提出依頼を行っています。 感染対策委員会 感染対策委員長 北村 龍彦

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近森会グループ年報 2018

平成最後となった 2018 年は 6 月の大阪北部地震、平成 30 年 7 月豪雨、9 月の台風 21 号と北

海道胆振東部地震など大災害が相次ぎました。被災された地域の一日でも早い復興を心からお祈

り申し上げます。浸水した家屋では、衛生状況の悪化や避難所での集団生活により、急性胃腸炎

や破傷風など感染症の流行が懸念されました。ライフラインが止まり、物理的制約が多い中、通

常通りの衛生的な状況を保つことは難しくなります。感染制御に関する正しい知識に基づき、状

況を改善させる対策を講じていく重要性を感じました。

また、平成 30 年度診療報酬改定の感染分野のトピックは、新たな取り組みとして感染制御チ

ーム(ICT)の活動に加え、抗菌薬適正使用支援チーム(Antimicrobial Stewardship Team)

を組織し、薬剤師を専従として抗菌薬の適正使用への活動 に対して加算が付いたことです。こ

のことは、WHO や、日本も取り組んでいる薬剤耐性(AMR)対策推進の大きな原動力となり

ました。近森病院でも AST を組織し、活動を行っています。

活動報告

2018年の活動の実際は、感染対策チーム【Infection Control Team以下ICTと略す】(メンバ

ーは表1-1参照)やリンクナース(以下LN)を中心に各種サーベイランスやICTラウンドの実施、

職業感染対策を行いました。感染対策委員会(以下ICC)は毎月1回開催されており、メンバー

は各部署の代表から構成されています。(表1-2、1-3参照)

看護部の感染管理体制としては感染管理認定看護師(CNIC)の元、看護部代表者が中心とな

り LN と共に活動しています。LN 委員会は毎月 1 回、グループ活動も毎月 1 回開催し、今年度

は感染対策マニュアルの項目の中で特に基本である標準予防策・経路別予防策について、グルー

プワークを通して、理解しやすい形にまとめ、自部署での勉強会を開催しました。環境ラウンド

は昨年に引き続き実施し、部署で見つけた「いいね!!」について LN 通信を発行しました。(表

2)

感染対策で中心的役割のある ICT は感染管理医師(ICD)、感染管理認定看護師(CNIC)、感

染制御認定臨床微生物検査技師(ICMT)、薬剤師(CP)、理学療法士(PT)、管理栄養士(RD)

で構成されています。週 1 度 ICT ミーティングを実施しており、院内への情報配信として

「I.C.T.&A.S.T.WeeklyNews」の編集や耐性菌の発生状況や AST とともに抗菌薬の使用状況、

その他感染症の発生状況について報告し合い、動向調査を実施しています。

週 1 度の ICT ラウンドは、昨年に引き続き目的をしぼったターゲットラウンドを実施してい

ます。(表 3-1~3-2 参照)全体へのフィードバックについては、院内掲示板を活用し、改善が必

要な点については必要部署へ改善書提出依頼を行っています。

感染対策委員会

感染対策委員長 北村 龍彦

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表 1-1 ICT メンバー・AST メンバー

職種 氏名

医師 北村 龍彦(ICD) ICT・AST *

医師 石田 正之(ICD) ICT・AST *

医師 杉本 和彦(ICD) ICT

医師 白神 実 ICT・AST *

看護師 北村 美樹(CNIC) ICT・AST *専従

看護師 近森 幹子(CNIC) ICT・AST *

薬剤師 筒井 由佳 ICT・AST

薬剤師 高橋 佐和 ICT・AST *専従

薬剤師 岡林 真由 ICT・AST

検査技師 森本 瞳 ICT・AST *

検査技師 吉永 詩織 ICT・AST *

検査技師 吉田 さや佳 ICT・AST *

検査技師 島田 藍 ICT・AST *

理学療法士 前田 秀博 ICT *

理学療法士 川渕 正敬 ICT

作業療法士 田村 美穂 ICT

言語聴覚士 井上 浩明 ICT

管理栄養士 有光 純子 ICT *

*…I.C.T.&A.S.T.WeeklyNews 作成

表 1-2 感染対策委員会メンバー

氏名 職種 部署 役職名 備考

1 近森 正幸 医師 - 院長

2 北村 龍彦 医師 外科 部長 委員長

3 近森 正昭 医師 透析外来 部長

4 杉本 和彦 医師 総合診療科 部長

5 白神 実 医師 内科 部長

6 研修医代表 研修医

7 吉永 富美 看護師 看護部 看護部長

8 近森 幹子 看護師 看護部 副看護部長

9 東野 栄三 看護師 看護部 看護師長

10 中島 久美 看護師 看護部 看護師長

11 町田 清史 看護師 看護部 看護師長

12 北村 美樹 看護師 感染制御部 主任

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13 影山 香 歯科衛生士 看護部

14 筒井 由佳 薬剤師 薬剤部 部長

15 高橋 佐和 薬剤師 薬剤部

16 岡林 真由 薬剤師 薬剤部

17 今村 初子 臨床検査技師 臨床検査部 技師長

18 森本 瞳 臨床検査技師 臨床検査部 主任

19 有光 純子 管理栄養士 臨床栄養部 主任

20 久保 行広 診療放射線技師 画像診断部 主任

21 寺田 文彦 事務 管理部 部長

22 宮下 公将 事務 管理部 主任

23 竹﨑 智博 事務 管理部 課長

24 前田 秀博 理学療法士 リハ部 副部長

25 江口 裕子 理学療法士 理学療法科 主任

26 村上 麻世 臨床検査技師 管理部 主任

27 桜木 陽子 事務 感染制御部

28 石田 正之 医師 呼吸器内科 部長 オブザーバー

29 坪井 香保里 医師 外科 部長 オブザーバー

表 1-3 リンクナース委員会メンバー

氏名 職種 部署 役職名 備考

1 町田清史 看護師 救命救急センター 看護師長 委員長

2 前野多希 看護師 5C 病棟

3 近森幹子 看護師 看護部 副看護部長

4 北村美樹 看護師 感染制御部 主任

5 高橋協子 看護師 外来センター 主任

6 長野梢 看護師 手術室

7 刈谷博幸 看護師 透析室

8 澤田実佳 看護師 救命救急センター

9 尾﨑裕美 看護師 放射線科

10 岡﨑裕里佳 看護師 救命救急センター

11 坂本あゆみ 看護師 ICU 病棟

12 池上志穂 看護師 HCU 病棟

13 日浦由美子 看護師 SCU 病棟

14 大島優美 看護師 北館 2 階病棟

15 蝦名玲子 看護師 北館 3 階病棟 10 月~

16 田中真奈美 看護師 北館 4 階病棟

17 掛水泰葉 看護師 北館 5・6 階病病棟

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18 井上有紗 看護師 5B 病棟

19 濱田香澄 看護師 5C 病棟 12 月~

20 濱田千恵 看護師 6A 病棟 主任

21 濱田蕗 看護師 6B 病棟

22 西村梨加 看護師 6C 病棟

23 宮下智子 看護師 7A 病棟

24 青木真美 看護師 8A 病棟 10 月~

25 佐竹千恵 看護師 総合心療センター5階

表 2 2018 年 ICT・AST・LN 活動の実際

◇ICT ミーティングの実施(1 回/週)

院内・院外情報発信、耐性菌発生状況・抗菌薬使用状況把握、感染性胃腸炎、インフルエンザ情報の配信、

咳エチケット対策、ICT&AST ウィークリーニュース発行など

◇耐性菌カンファレンスと AST カンファレンスの実施(1 回/週)

◇アウトブレイク調査(インフルエンザ、カルバペネム耐性腸内細菌科細菌感染症事例等に関する環境調

査の実施)

◇LN 通信の発行(5~12 月)

◇ICT ラウンドの実施(1 回/週)、結果報告(まとめ)、改善策(案)報告

◇手指衛生サーベイランスの実施、結果報告(1 回/月)4 月~12 月

◇2018 年統計報告(細菌統計、感受性検査年次推移、抗生剤使用状況、感染事故、感染症発生状況)

◇院内感染サーベイランス事業

MRSA 動向調査・分析、CD-T、血倍コンタミ菌検出率報告、指定抗菌薬投与患者数・投与量と指定薬剤

使用状況報告、指定抗菌薬の抗菌薬使用密度(AUD)報告、人工呼吸器関連肺炎(VAP)サーベイラン

◇JANIS サーベイランス事業

検査部門、手術部位感染(SSI)部門、全入院患者部門

◇リンクナース:会議(1 回/月)活動報告(リンクナースによる自部署取り組み等)、グループ活動(1

回/月)

◇感染防止対策加算 1,2 の連携 合同カンファレンスの実施

◇感染防止対策地域連携加算 1 同士の連携 相互評価の実施

◇各種ワクチン接種の実施

インフルエンザワクチン準備・実施、B 型肝炎ワクチン実施

◇感染対策マニュアル改訂

◇感染対策物品等使用の検討

ベットパンウォッシャーの設置

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教育活動(研修会参加含む)

1 月

・杏林主催 岡山感染管理セミナー 参加者:CNIC1 名、看護師 1 名

・花王主催 日本感染管理ベストプラクティス“Saizen”研究会 第 5 回高知ワーキング第 3 回

代表世話人:近森病院 外科部長 北村龍彦

アドバイザー:近森病院 感染管理認定看護師 近森幹子

参加者:CNIC1 名、LN6 名、臨床検査技師 2 名

・厚生労働省主催 平成 29 年度院内感染対策講習会 参加者:薬剤師 1 名

・近森病院 ICT 主催 全職員対象感染対策セミナー(下期)

テーマ「あなたは予知できる!?」感染予知訓練(KYK)

2 月

・第1回近森会グループ学術集会

ポスター発表「感染対策チーム(ICT)活動における ICT ラウンド方法変更の成果と課題」

発表者:近森病院 感染管理認定看護師 北村美樹

・日本環境感染学会 参加者:ICD1名、 CNIC2 名

3 月

・高知県主催 平成29年度高知県医療関連感染対策研修会 参加者:CNIC1名、事務 1 名

4 月

・入社式 感染管理に関する研修

講師:近森病院 外科部長 北村龍彦先生

・看護部教育・ICT 主催 医療関連感染に関する新人看護師入職時研修

講師:近森病院 感染管理認定看護師 北村美樹先生

・研修管理委員会・ICT 主催 医師オリエンテーション

テーマ「研修医に必要な感染対策講習・採血レクチャー」

講師:近森病院 感染管理認定看護師 近森幹子先生

感染管理認定看護師 北村美樹先生

・栄養部・ICT 主催 新人管理栄養士対象感染対策の基本

講師:近森病院 臨床栄養部 有光純子先生

・医療安全委員会・ICT 主催 新人職員対象(医師・看護師除く)感染対策、医療安全の研修会

テーマ「感染対策」

講師:近森病院 感染管理認定看護師 北村美樹先生

5 月

・花王主催日本感染管理ベストプラクティス“Saizen”研究会第 13 回セミナー

司会:近森病院 外科部長 北村龍彦

・花王主催 日本感染管理ベストプラクティス“Saizen”研究会四国ブロック第 2 回セミナー

座長:近森病院 外科部長 北村龍彦

発表:近森病院 看護師 池澤友朗

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演題「近森病院救急センター(ER)での血液培養採取の手順書作成」

発表:近森病院 看護師 出原弘貴

演題「CVC(中心静脈カテーテル)の管理~刺入部ドレッシング交換について~」

参加:CNIC2 名、看護師 2 名

6 月

・近森病院 ICT 主催 全職員対象感染対策セミナー(上期)

テーマ「①手指衛生②AST(抗菌薬適正使用支援チーム)の活動」

講師:近森病院 薬剤師 高橋佐和先生

7 月

・花王主催 日本感染管理ベストプラクティス“Saizen”研究会第 6 回高知ワーキング 第 1 回

代表世話人:近森病院 外科部長 北村龍彦先生

アドバイザー:近森病院 感染管理認定看護師 近森幹子先生

・薬剤師会共催 第 33 回高知県感染症研究会

参加:薬剤師 2 名

8 月

・近森病院 ICT 主催 外部委託業者対象感染管理研修

テーマ「外部委託業者に必要な感染管理の基礎知識」

講師:近森病院 外科部長 北村龍彦先生

9 月

・近森病院 ICT 主催 外部委託業者対象感染管理研修

テーマ「給食管理における感染対策」

講師:近森病院 臨床栄養部 有光純子先生

・アステラス製薬株式会社主催 CDI WEB シンポジウム

参加:ICD1 名

・花王主催 日本感染管理ベストプラクティス“Saizen”研究会第 6 回高知ワーキング 第 2 回

代表世話人:近森病院 外科部長 北村龍彦先生

アドバイザー:近森病院 感染管理認定看護師 近森幹子先生

10 月

・看護部教育委員会・ICT 主催 近森病院看護補助者研修

テーマ「看護補助者業務における感染対策」

講師:近森病院 感染管理認定看護師 北村美樹先生

・医療安全対策委員会・感染対策委員会主催 感染対策・医療安全に関する川柳大会

・ICNJ 主催 第 5 回日本感染管理ネットワーク四国支部

参加:CNIC1 名

・薬剤部主催 抗インフルエンザ薬説明会

参加者:ICD2 名、CNIC1 名、薬剤師 4 名

・高知市主催 平成 30 年度 高知市エリア医療関連感染対策研修会

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参加者:ICD1 名、CNIC2 名

11 月

・高知県主催 平成 30 年度 高知医療関連感染対策研修会

参加:ICD1 名、CNIC2 名

・日本感染症学会 西日本地方会学術集会

参加:ICD1 名、医師 1 名、薬剤師 1 名、ICMT1 名

12 月

・近森病院 ICT 主催 全職員対象感染対策セミナー(下期)

テーマ「①職業感染~針刺し切創・血液体液曝露防止~②AMR~抗菌薬を上手に使おう~」

講師:近森病院 感染管理認定看護師 北村美樹先生

薬剤部 高橋佐和先生

・近森病院主催 ひろっぱ講座

テーマ「手洗いについて」

講師:近森病院 感染管理認定看護師 近森幹子先生

感染管理認定看護師 北村美樹先生

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表 3-1 2018 年 ICT ラウンドチェック項目シート

表 3-2 ICT ラウンド順路

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感染症発生報告

感染症発生(報告)状況及び細菌統計は表 4~7、図 1~5 に示しています。一類・三類感染症

の報告はありませんでしたが、二類感染症の結核、五類感染症の侵襲性肺炎球菌感染症や侵襲性

インフルエンザ菌感染症、カルバペネム耐性腸内細菌科細菌感染症の報告数が多い傾向にありま

す。MRSA 報告数は 57 件と昨年(48 件)から増加し、全国の定点当たりの月別定点当たり報告数

を比較しても(表 5 図 3-1)増加傾向です。

表 4 感染症発生(報告)状況

表 5 感染症発生動向調査報告

感染症発生動向調査報告 〜メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症の発生動向〜 MRSA報告数(件) 2018/1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 平均全国 総数 1351 1317 1399 1268 1360 1307 1292 1404 1273 1385 1349 1340 1337.1

定点当り 2.85 2.77 2.93 2.65 2.85 2.72 2.69 2.94 2.66 2.89 2.82 2.80 2.8高知県 総数 20 20 19 13 10 20 14 14 15 7 25 21 16.5

定点当り 2.50 2.50 2.38 2 2.00 3.25 2.13 1.75 1.88 0.88 3.13 2.63 2.3高知市 総数 13 14 13 16 16 26 17 10 11 5 19 16 14.7

定点当り 1.00 2.80 2.60 2.60 2.00 4.00 2.80 2.20 2.20 1.00 3.80 3.20 2.5近森病院 報告数 4 4 5 2 6 9 5 3 4 3 10 2 4.8

   感染症二類感染症 計

月MRSA PRSP MDRP

細菌性髄膜炎

無菌性髄膜炎

マイコプラズマ肺炎

感染性胃腸炎(病原

体がロタウイ ルスに

限る )

結核(結核性胸膜炎含む)

重症熱性

血小板減

少症候群

日本紅斑熱

レジオネラ症

アメーバ赤痢

後天性免疫

不全症候群

カ ルバペネム耐

性腸内細菌科細

菌感染症

バン コマイ シン

耐性腸球菌感染

侵襲性イ ン フル

エンザ菌感染症

侵襲性肺

炎球菌感

染症

水痘(入院

例に限る)梅毒 破傷風

劇症型溶血

性レンサ球

菌感染症

クロイツフェ

ルト・ヤコブ

播種性クリプ

トコックス症

リン菌感染症

クラミジア尿道炎

(件数)

1月 4 2 1 1 1 92月 4 1 1 1 2 93月 5 1 64月 2 1 1 1 55月 6 1 1 1 1 106月 9 1 107月 5 1 1 1 1 98月 3 2 1 69月 4 2 1 1 8

10月 3 2 511月 10 1 1 1 1312月 2 1 3

計 57 1 0 3 1 2 1 5 1 1 1 2 1 5 0 4 5 1 0 0 2 0 0 0 0 93*疑似感染症含む *発生日不明の場合は検体採取日or報告月で集計*感染症発生報告書より集計*一類、三類感染症報告なし

STD五類感染症(定点把握) 四類感染症 五類感染症

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図 1 月別感染症発生(報告)状況

図 2 感染症発生(報告)状況年次推移(2009~2018)

図 3-1 MRSA 報告数の比較(全国・高知県・高知市・近森病院)

~月別定点当たりの報告数~

図 3-2

MRSA 発生感染症の発生動向(年次推移)

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細菌年報

当院の細菌検査統計で黄色ブドウ球菌(MRSA、MSSA)の検出状況(表 6 図 4)は MRSA、

MSSA ともに昨年と同様でした。ESBLs(基質特異性拡張型 β ラクタマーゼ)産生菌と BLNAR の

検出率(表 7)は国内検出率と近い値を推移しています。MDRP、PRSP の検出率は国内検出率

と比較し、低い値を推移しています。一方、CRE の検出率は昨年より低下したものの、国内検

出率と比較して高い値で推移していますが、CPE(カルバペネマーゼ産生腸内細菌科細菌)検

出率は 0.3%と減少傾向です。今後も細菌検査室と密に連携を図り、耐性菌の検出時は細菌検査

室から直ちに主治医と ICD、CNIC に連絡をし、必要時には環境調査や保菌調査等を実施し、

耐性菌の抑制に努めていきます。

表 6

表 7 耐性菌出現割合

国内検出率:院内感染対策サーベイランス事業(JANIS)より

★ESBLs ※E.coli+P.mirabiris+K.pneumoniae+K.oxytoca

国内検出率:約20%(E.coli)1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 平均

2014年 20.7% 22.0% 24.0% 16.5% 16.1% 20.5% 26.3% 12.8% 16.7% 21.8% 19.0% 16.3% 16.6%2015年 20.0% 18.3% 18.7% 20.4% 22.1% 26.6% 20.2% 20.4% 17.5% 24.8% 14.4% 18.9% 17.0%2016年 23.3% 27.1% 20.7% 22.7% 17.8% 19.2% 19.5% 15.1% 17.6% 17.4% 20.2% 14.3% 17.2%2017年 17.4% 9.6% 19.0% 27.9% 24.3% 22.0% 19.8% 12.8% 18.9% 21.8% 21.5% 23.7% 17.0%2018年 23.0% 25.3% 27.8% 16.4% 25.4% 23.2% 14.5% 16.4% 20.6% 19.3% 15.9% 13.2% 19.5%

★MDRP 国内検出率:約3%1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 平均

2014年 6% 0% 0% 0% 8% 0% 0% 0% 0% 0% 0% 0% 1.3%2015年 0% 0% 0% 0% 0% 0% 0% 0% 0% 0% 0% 0% 0%2016年 0% 0% 0% 0% 0% 0% 6% 0% 0% 0% 0% 0% 0.5%2017年 0% 0% 0% 0% 0% 3% 0% 0% 0% 0% 0% 0% 0.3%2018年 0% 0% 0% 0% 0% 0% 0% 0% 0% 0% 0% 0% 0.0%

★PRSP 国内検出率:約45%

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 平均

2014年 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0%

2015年 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0%2016年 0.0% 0.0% 14.3% 0.0% 16.7% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 3.0%2017年 0.0% 16.7% 25.0% 0.0% 11.1% 33.3% 0.0% 20.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 9.8%2018年 0.0% 11.1% 0.0% 16.7% 50.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 6.7%

★BLNAR 国内検出率:約30%1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 平均

2014年 0.0% 25.0% 33.3% 66.7% 40.0% 0.0% 16.7% 25.0% 33.3% 40.0% 22.2% 0.0% 25%2015年 12.5% 25.0% 22.2% 22.2% 0.0% 33.3% 66.7% 40.0% 28.6% 0.0% 20.0% 27.3% 30.9%2016年 40.0% 28.6% 25.0% 7.7% 33.3% 66.7% 16.7% 20.0% 8.3% 25.0% 25.0% 0.0% 23.1%2017年 20.0% 14.3% 20.0% 14.3% 20.0% 54.5% 14.3% 22.2% 8.3% 22.2% 27.3% 30.8% 25.0%2018年 20.0% 50.0% 44.4% 0.0% 20.0% 14.3% 54.5% 10.0% 28.6% 37.5% 25.0% 0.0% 31.1%

★CRE(カルバペネム耐性腸内細菌) 実患者数 ( )はCPE件数 国内検出率:約0.2%1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 合計 CRE検出率 CPE検出率 CRE中のCPE検出率

2015年 3(1) 2(1) 3(1) 1(0) 2(2) 1(1) 1(1) 2(2) 0 2(2) 1(1) 0 18(12) 1.4% 0.9% 66.7%

2016年 0 0 1(1) 3(1) 3(1) 2(2) 2(2) 1(1) 3(2) 4(0) 0 3(1) 22(12) 1.4% 0.8% 54.5%

2017年 4(1) 2(0) 1(0) 1(1) 1(1) 2(0) 2(0) 3(0) 5(2) 1(1) 3(0) 0 25(7) 1.7% 0.5% 28.0%

2018年 1(1) 1(1) 0 0 1(1) 1(0) 2(0) 2(1) 2(0) 5(1) 0 0 16(5) 1.1% 0.3% 33.3%

年度別黄色ブドウ球菌検出状況(件数) ※2013年1月統計から近森病院のみの集計

2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年MRSA 442 421 328 275 213 222 250 259 220 215MSSA 230 221 197 216 287 285 289 334 306 303

合計 672 642 525 491 500 507 539 593 526 518

年度別黄色ブドウ球菌検出状況(%)2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年

MRSA 65.8 65.6 62.5 56.0 42.6 43.8 46.4 43.7 41.8 41.5MSSA 34.2 34.4 37.5 44.0 57.4 56.2 53.6 56.3 58.2 58.5

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図 4 年度別黄色ブドウ球菌検出状況(MRSA/MSSA 件数)

抗菌薬年報

抗菌薬に関する統計では、カルバペネム系・セフェム系抗菌薬(注射)の使用状況と MRSA

検出率(表 8 図 5)には、明らかな相関関係は見られませんでした。2018 年4月より抗菌薬

適正使用支援チーム【Antimicrobial Stewardship Team 以下 AST と略す】(メンバーは表1参

照)を立ち上げ、専従の薬剤師が病棟担当薬剤師と連携して指定抗菌薬のモニタリングを行い、

より一層抗菌薬の適正使用に努めるための活動を開始しました。必要時には ICD、呼吸器内科

医師の助言を仰ぎ、継続してモニタリングを行い、早期のデ・エスカレーションに努めています。

表 8

図 5 2018 年カルバペネム系第三セフェム系抗菌薬(注射)の使用状況と MRDA との相関グラ

2018年 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 平均

第三セフェム世代率 31.1% 23.7% 32.0% 30.2% 27.9% 25.8% 29.8% 27.3% 33.1% 31.4% 33.3% 31.0% 29.7%

カルバペネム系率 17.4% 24.9% 18.4% 14.9% 20.8% 18.7% 21.9% 15.4% 22.2% 15.2% 17.3% 20.8% 19.0%

MRSA検出率 43.5% 31.4% 48.7% 27.8% 53.8% 46.2% 48.8% 37.5% 37.0% 41.9% 50.9% 30.2% 41.5%

MRSA実患者数 10 9 16 10 18 16 17 11 14 10 28 7 13.8

MRSA活動性 4 4 5 2 6 9 5 3 4 3 10 2 4.8

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薬剤感受性率

薬剤感受性率(アンチバイオグラム)の推移では、腸内細菌科のセフェム系薬感性率が全体的

に低下傾向であり、ESBL などの耐性菌検出率増加に伴うものと考えられます。また、E.coli

の LVFX 感性率は年々低下しています。これは全国的にも同様の傾向であり、今後も感性率を

注視していく必要があります。(図 6-1~6-12)

図 6 薬剤感受性率

0 20 40 60 80 100

MPIPC

PCG

ABPC

CEZ

CTM

CMZ

CAZ

CPZ/SBT

IPM

MEPM

GM

ABK

EM

CLDM

MINO

FOM

LVFX

VCM

TEIC

LZD

MRSA

2016 2017 2018

0 20 40 60 80 100

MPIPC

PCG

ABPC

CEZ

CTM

CMZ

CAZ

CPZ/SBT

IPM

MEPM

GM

ABK

EM

CLDM

MINO

FOM

LVFX

VCM

TEIC

LZD

MSSA

2016 2017 2018

0 20 40 60 80 100

ABPC

PIPC

ABPC/SBT

CEZ

CTM

CMZ

CTX

CAZ

CTRX

CFPM

CPZ/SBT

IPM

MEPM

GM

AMK

MINO

FOM

CPFX

LVFX

P.aeruginosa

2016 2017 2018

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

ABPC

PIPC

ABPC/SBT

CEZ

CTM

CMZ

CTX

CAZ

CTRX

CFPM

CPZ/SBT

IPM

MEPM

GM

AMK

MINO

FOM

CPFX

LVFX

E.coli

2016 2017 2018

0 20 40 60 80 100

ABPC

PIPC

ABPC/SBT

CEZ

CTM

CMZ

CTX

CAZ

CTRX

CFPM

CPZ/SBT

IPM

MEPM

GM

AMK

MINO

FOM

CPFX

LVFX

P.mirabilis

2016 2017 2018

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

ABPC

PIPC

ABPC/SBT

CEZ

CTM

CMZ

CTX

CAZ

CTRX

CFPM

CPZ/SBT

IPM

MEPM

GM

AMK

MINO

FOM

CPFX

LVFX

K.pneumoniae

2016 2017 2018

図6‐1 図6‐2

図6‐3 図6‐4

図6‐5 図6‐6

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血流感染(BSI)年次推移

血流感染(BSI)年次推移は図 7-1 に示す通りで、依頼数、陽性数、陽性率は低下しました。

コンタミ菌の検出率は、2015 年以降低下傾向でついに理想とする 3%以下に達しました。2017

年に取り組んだ ER における血培採取の手順に関する感染管理ベストプラクティスの活動によ

る成果の表れだと考えられます。(図 7-2)

0 20 40 60 80 100

ABPC

PIPC

ABPC/SBT

CEZ

CTM

CMZ

CTX

CAZ

CTRX

CFPM

CPZ/SBT

IPM

MEPM

GM

AMK

MINO

FOM

CPFX

LVFX

K.oxytoca

2016 2017 2018

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

ABPC

PIPC

ABPC/SBT

CEZ

CTM

CMZ

CTX

CAZ

CTRX

CFPM

CPZ/SBT

IPM

MEPM

GM

AMK

MINO

FOM

CPFX

LVFX

E.cloacae

2016 2017 2018

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

ABPC

CTRX

CFPM

IPM

MEPM

ABPC/SBT

AZM

CAM

LVFX

H.influenzae

2016 2017 2018

0 20 40 60 80 100

PCG

CEZ

CTM

CMZ

CAZ

CPZ/SBT

CTRX

EM

MINO

IPM

MEPM

LVFX

VCM

S.pneumoniae

2016 2017 2018

0 20 40 60 80 100

ABPC

PIPC

ABPC/SBT

CEZ

CTM

CMZ

CTX

CAZ

CTRX

CFPM

CPZ/SBT

IPM

MEPM

GM

AMK

MINO

FOM

CPFX

LVFX

K.aerogenes

2016 2017 2018

0 20 40 60 80 100

ABPC

PIPC

ABPC/SBT

CEZ

CTM

CMZ

CTX

CAZ

CTRX

CFPM

CPZ/SBT

IPM

MEPM

GM

AMK

MINO

FOM

CPFX

LVFX

C.freundii

2016 2017 2018

図6‐7 図6‐8

図6‐9図6‐10

図6‐11図6‐12

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図 7-1 BSI 依頼総数に対する血液培養・CV カテーテル陽性件数

図 7-2 血液培養年次依頼数・陽性率、血培コンタミ率

CD トキシン年次推移

抗菌薬起因性下痢に関するクロストリディウム感染の判定にはCDトキシンとGDH抗原を測

定しています。2014~2017 までは 10.0%以下で推移していましたが、2018 年は CD トキシン

陽性率の上昇が見られました。(図 8)

図 8 CDT 年次依頼数・陽性率

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サーベイランス事業

サーベイランスに関して、JANIS 厚生労働省 院内感染対策サーベイランスは検査部門、手

術部位感染(SSI)部門、全入院部門を実施しています。その他、呼吸ケアチーム(RCT)協力

の元、呼吸器感染(VAP)サーベイランスを ICU 対象に実施しています。

また、CNIC による病棟における直接観察法の手指衛生サーベイランスも継続して行われてお

り、プロセス面での感染対策の向上に努めています。全部署平均では 2017 年度よりやや低下し

ました。次年度では、再び上昇を目指して、感染対策の基本である手指衛生の強化に努めていき

ます。(図 9)

図 9 手指衛生遵守率 2015~2018 年度

近森病院の針刺し切創・血液体液曝露発生については 32 件(昨年 34 件)と横ばいでした。

エピネット日本版サーベイランス 2015 年(JES2015)**によると 400~799 病床規模の針刺し

切創発生率は 100 床あたり 6.7 件と報告されおり、稼働病床数 452 床(心療センター除く)の

当院では、100 床あたりの感染事故発生件数は 7 件と多い結果となっています。職種別では、医

師が最も多く、手術中の事例が多く見られました。(図 10-18)

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その他

ワクチンプログラムでは、安全衛生委員会と協力し、職員のインフルエンザ、B 型肝炎の予防

接種を実施しています。(詳細は安全衛生委員会年報参照)

診療報酬制度では感染防止対策加算 1 と地域連携加算を算定していますが、2018 年度より新

たに抗菌薬適正使用支援加算を算定しています。昨年同様、感染防止対策加算 2 を算定してい

る近森リハビリテーション病院と年 4 回の合同カンファレンスや高知県の感染防止対策加算 1

を算定している病院との相互訪問を実施しました。2018 年度は、あき総合病院といずみの病院

の ICT による訪問・評価を受け、新たな視点での指摘や助言を頂き、今後の感染対策の改善活

動の一助となりました。また、近森病院の ICT は土佐市民病院といずみの病院を訪問・評価を

行い、当院にとっても参考になる場面があり非常に有益でした。

高知県医療関連感染対策地域支援ネットワーク事業においては高知市エリアの拠点病院とし

て参加しており、会議や研修会への講師として出席しています。医療関連感染の相談対応など高

知県内の医療機関と連携し、高知県全体が安全・安心で質の高い医療を提供していけるように努

めてまいります。

<参考文献>

**エピネット日本版サーベイランス 2015 年(JES2015)

※ 表や図について、一部近森リハビリテーション病院、オルソリハビリテーション病院のデー

タを含みます。