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© Megazyme 2020 / Biocon Japan 2020 統合型 総食物繊維分析法 INTEGRATED TOTAL DIETARY FIBER ASSAY PROCEDURE K-INTDF 04/20 K- INTDF (用手法 100 回分) AOAC Method 2009.01 & 2011.25 & AACC Method 32-45.01 & 32-50.01 レジスタントスターチ及び 非消化性オリゴ糖も測定対象

統合型 総食物繊維分析法 (0420).pdfAOAC 法2009.01 及び2011.15 で示された統合型分析法には重合度3以上のレジスタントス ターチ(RS)やSDFS(NDOなど)を含む総食物繊維の測定法が記載されています。この分析法

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© Megazyme 2020 / Biocon Japan 2020

統合型

総食物繊維分析法

INTEGRATED TOTAL DIETARY FIBER

ASSAY PROCEDURE

K-INTDF 04/20

K- INTDF (用手法 100回分)

AOAC Method 2009.01 & 2011.25

& AACC Method 32-45.01 & 32-50.01

レジスタントスターチ及び

非消化性オリゴ糖も測定対象

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はじめに - GENERAL INTRODUCTION -

食物繊維(DF)を多く摂取すると便秘、糖尿病、肥満、心疾患等の減少に繋がると一般的に信

じられています1~3。1970年代に Trowell らは食物繊維の定義を発展させ、1976年に

「食物繊維は植物細胞の可食部残渣、多糖類、リグニン及びこれらの関連物質で、ヒトの

消化酵素に抵抗性があるもの」3としました。

この定義では主要な成分としてセルロース、ヘミセルロース、リグニン、ガム、修飾セ

ルロース、粘質物、オリゴ糖、ペクチンとその他ワックス、クチン、コルク質を含みます。

この定義3に基づき、ヨーロッパと米国の共同研究で適切な分析法が開発されました。それが

AOAC 法 985.29(プロスキー法)4,5となり、さらに緩衝液が変更され AOAC 法 991.43 などに発

展していきました4。これら分析法の目的は、植物製品および食品中の全食物繊維含量の正確な

測定でした。より具体的には、澱粉およびタンパク質を加水分解により取り除くための方法論でし

た。脂質は加水分解されない成分の回収に使われた溶剤によって取り除かれました。タンパク質

は全て加水分解されないことが判っていましたので、サンプルを2連で分析し、残渣を回収し重量

を測定後、一方を灰分、もう一方をタンパクの測定に使用します。これらの重量を残渣重量から差

し引きます。またこの分析法では澱粉も全て加水分解されて除去される訳ではないことが判りまし

た。これがいわゆる「レジスタントスターチ(耐性澱粉;RS)」と称されるものの発見に繋がりました。

ここで「RSを測定し食物繊維量に加えるべきか、それとも処理除去して無視すべきか」という問題

が生じました。RSはヒトの小腸で消化されず通過するので、測定し繊維に含めるべきとの合意に

至りました。1990 年代の研究では AOAC 公定法 991.43 がRSを過小評価することが認められ、

代替の分析法が開発・評価されました。これらの新しい分析法の多くは各種RS含量のサンプルに

おいて同様の結果を示しましたが、評価機関の相互評価をクリアできたのはMcCleary らの方法6

のみでした(AOAC 法 2002.02)。またこの方法は回腸造ろう術患者から得られた結果と一致して

いました。

1990 年代半ばには生理的に食物繊維として作用することから難消化性のオリゴ糖(NDO)も

食物繊維として認識されるようになりました。続いてフラクタン(フラクトオリゴ糖FOSも包含)

(AOAC公定法 997.08 と 999.03)7,8、ガラクトオリゴ糖(GOS) (AOAC公定法 2001.03)9、レジ

スタントマルトデキストリン(RMD)(2001.03)10 とポリデキストロース®(AOAC 公定法 2000.11)11

の各測定法が開発されました。これらの分析法はそれぞれを特異的に測定できるので食材開発

者、食品製造業者、分析者の役に立ちました。

しかし、これらを総食物繊維として測定するときに問題が発生しました。特定の炭水化物(レジス

タントスターチ、イヌリン、レジスタントマルトデキストリン等を含む)では、一部だけが AOAC 公定

法 985.29 と 991.43で測定されます。そのため、これらの成分を総食物繊維に加える場合はその

成分を2重にカウントすることになります。これを表わしたものが図1になります。

潜在的な二重計算の問題はRSとNDOを含む新たな総食物繊維測定法開発のきっかけとなり

ました。図2に示したように、この統合型総食物繊維(INTDF)測定法は、AOAC 公定法 2002.02

(レジスタントスターチ)、991.43(総食物繊維)、2001.03(レジスタントマルトデキストリン)を基に

作られました。分析法の理論は McCleary (2007)12 により詳細に検討され、AOAC

Internationalの分析機関の相互評価も問題なく承認されました(AOAC公定法 2009.01)13。

不溶性食物繊維(IDF)、水可溶で 78%エタノールで沈殿する食物繊維(SDFP)、水可溶で

78%エタノール可溶性の食物繊維(SDFS)を分離し測定するために変法が開発され、評価が完

了しました(AOAC 公定法 2011.25)14。SDFPは元々高分子可溶性食物繊維(HMWSDF)と、

SDFSは低分子可溶性食物繊維(LMWSDF)と呼ばれたもので、SDFSは今では難消化性オリ

ゴ糖(NDO)と呼ばれています。

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図1. AOAC公定法 985.29、991.43で測定できる成分と測定できない成分

図2. IDF、SDFP、SDFSの個別測定を示した統合総食物繊維分析手順

(Codex準拠)の原理

ガラクトオリゴ糖類

ラフィノース/スタキオース

ポリデキストロース

ファイバーゾル®2

ペクチン

アラビノガラクタン セルロース

β-グルカン

ガラクトマンナン

アラビノキシラン

レジスタントスターチ

イヌリン FOS

サンプル 1.00gを 250mL 容メジウム瓶2連に秤量

マレイン酸緩衝液、膵臓 α-アミラーゼ、AMG添加

トリス塩基性溶液を添加、pHを約 8.2 調整

プロテアーゼ添加

酢酸添加(pH約 4.3 調整)、ソルビトール(内部標準)添加

37℃、16時間振盪しながら反応

100℃、20分加熱、約60℃まで冷却

60℃、30分反応、室温まで冷却

セライト入り濾過器で濾過

IDF 残渣 SDFP+SDFS 濾液

SDFP (沈殿)

1 mL 分取し、CHO定量

4倍量エタノール添加しSDFPを沈殿

SDFS (濾液)

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FOSの完全な測定法並びに非耐性マルトデキストリンの完全除去のためのいくつかの小さな修

正が、McClearyら(2013)15によりなされましたが、RS4(リン酸基と化学的に架橋した澱粉顆粒)

の測定には問題が残っています。

2008 年 11 月にコーデックスの委員会(Nutrition and Foods for Special Dietary Uses)

(CCNFSDU)は食物繊維の定義を確立しました。この定義は国際食品規格委員会(CAC)によっ

て 2009年に承認され(FAO、2009)、国際的なコンセンサスも得ています。

「食物繊維は、ヒト小腸内酵素による加水分解を受けず、10鎖長以上の炭水化物ポリ

マー複合体であり、以下のカテゴリーに属します: 食品中に存在する食用の炭水化物ポ

リマー; 食品原料から物理的、酵素的または化学的手法により得られる炭水化物ポリマ

ーで、所轄官庁に対して一般的に受入れ可能な科学的根拠を示して健康への生理的な恩恵

をもたらすことが示されたもの; 所轄官庁に対して一般的に受入れ可能な科学的根拠を

示して健康への生理的な恩恵をもたらすことが示された合成多糖

a) 植物起原では、リグニンないし細胞壁中の多糖の化合物が含まれ、これが AOAC の食

物繊維重量法(AOAC991.43)で定量した時にリグニンとその他の画分(蛋白の画分、フ

ェノール化合物、ロウ質、サポニン、フィチン酸、クチン質、植物ステロール等)が

植物の多糖と一緒に測定されてしまいます。

b) 3~9個のオリゴマー炭水化物を含めるかどうかは各国の判断に委ねられています」

このブックレットに記載された統合型TDF測定法は 2007 年に発表され12、AOAC を通して分

析機関相互間の評価を完了させ(Method 2009.0113と 2011.2514)、国際食品規格 Type I 法と

して承認されました(2011年 3月)。

用途 - SCOPE -

RSおよびNDO(低分子量可溶性食物繊維; LMWSDF; SDFSとも呼ばれる)を含む食物繊

維を含むあらゆる試料に適用可能です。例えば穀物、果物および野菜、穀物および果物製品お

よび食品などです。

統合型TDF測定キット内容 - ASSAY KIT FOR INTEGRATED TDF -

100検体分析が可能な統合法TDF測定キットを提供しております。

キットには以下のものが含まれます。

ボトル1: 濃縮膵臓α-アミラーゼ(E-PANAA)。4 g、75,000 Ceralpha U/g。

-10℃以下で保存した場合、5年以上安定です。

ボトル2: アミログルコシダーゼ(E-AMGDF)(20mL、3,300 U/mL)。

4℃で3年以上安定です。

ボトル3: 精製プロテアーゼ(E-BSPRT)(10mL、350チロシン U/mL)。

-10℃以下で3年以上安定です。

ボトル4: 液体クロマト用保持時間標準品[マルトデキストリン+マルトース(4:1比) 約 5g]。

室温にて密閉乾燥状態で3年以上安定です。

ボトル5: D-ソルビトール(乾燥品、約 12g)。室温にて密閉乾燥状態で3年以上安定です。

酸洗浄済セライト 545®(G-CELITE)の 100g、500gパッケージ、アンバーライト®FPA53(OH-型)

(G-AMBOH)およびアンバーセップ®200(H+型)(G-AMBH)イオン交換樹脂についても購入可

能です。日本バイオコンまでお問い合わせ下さい。

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A.定義 - PRINCIPLE -

AOAC法 2009.01 及び 2011.15 で示された統合型分析法には重合度3以上のレジスタントス

ターチ(RS)やSDFS(NDOなど)を含む総食物繊維の測定法が記載されています。この分析法

は AOAC 公定法 2002.02、985.29、991.43、2001.03 の特性を組み合わせたものです。サンプ

ルを 250mL キャップ付瓶に準備し、膵臓α-アミラーゼ(PAA)とアミログルコシダーゼ(AMG)を

懸濁液を振盪水浴中で37℃、16時間反応させます(ページ13、図3参照)。または水中スターラ

ー(例 2mag Mixdrive 15®)を使用することも可能です(ページ13、図4)。この工程でレジスタン

トスターチ以外の澱粉は2つの酵素により可溶化・加水分解されグルコースとマルトースになります

が、同時にこれら酵素の副次反応により部分的レジスタントマルトデキストリンも微量生成されます

(この部分的レジスタントマルトデキストリンはHPLCによるSDFS分析の前に加水分解されます)15,17。反応は pH8.2 調整後、一時的な加熱で停止させます。タンパク質は変性し、プロテアーゼ

で分解されます。詳しい分析法は以下に記載した通りです。

i. 不溶性食物繊維(IDF)、高分子量可溶性食物繊維(SDFP)および

低分子量可溶性食物繊維(SDFS)の測定 (AOAC公定法 2011.25) - Insoluble dietary fibre (IDF) and High Molecular Weight Soluble dietary fibre (SDFP) and

Low Molecular Weight Dietary Fiber (SDFS) determination. (AOAC Method 2011.25) -

不溶性食物繊維(IDF)は反応液を濾過回収し、残渣を洗浄・乾燥して計量します。高分子量

可溶性食物繊維(SDFP)は濾液をエタノールまたはメチル化変性アルコール(IMS)で沈殿させ

て回収し、乾燥して計量します。IDFとSDFPの残渣重量はタンパク質・灰分・ブランクの値を補正

し最終的なIDF/SDFPを算出します。SDFP濾別後の水和エタノール濾液は濃縮・脱塩後、H

PLC分析によりSDFSを求めます。

ii. 高分子食物繊維(HMWDF)と低分子食物繊維(SDFS)の総量の測定

(AOAC公定法 2009.01) - ii. Total high molecular weight dietary fibre (HMWDF) and

SDFS determination (AOAC Method 2009.01). - 反応液に4倍量の95%エタノール加えて攪拌します。反応混合物中のSDFPを沈殿させ、懸濁

液を濾過します。濾過器を洗浄、乾燥させ、秤量してHMWDF値(IDFおよびSDFPを含む)を

得ます。HMWDF値は最終的にタンパク質、灰分、ブランク値を差し引き補正します。水和エタノ

ール濾液は濃縮後脱塩し、再濃縮後HPLCにてSDFSを分析します。また、この操作は迅速法

(K-RINTDF) に記載の脱塩法(AOAC法 2017.16)を使用すれば、より簡便に実施出来ます。

この分析に用いられる酵素は非常に高純度で、β-グルカン、ペクチン、アラビノキシランに対す

る活性のコンタミがありません。FOSやGOSのようなNDOは加水分解されません。また、

Polydextrose®や Fibersol-2®の加水分解の程度はメーカー提供の情報と一致しています。

適切な酵素活性があること、逆にあるべきではない酵素活性の混入がないことを確実にするた

めに、以下に示した基質(K-TDFCにて提供)を全工程を通して回収試験します。

酵素のロット更新ごとにテストが必要ですが、使用開始後、半年に1回の確認は必要です。

総食物繊維の統合型分析法

(レジスタントスターチと非消化性オリゴ糖も測定対象)

AN INTEGRATED PROCEDURE FOR THE MEASUREMENT OF TOTAL DIETARY FIBER (INCLUDING RESISTANT STARCH AND

NON-DIGESTIBLE OLIGOSACCHARIDES)

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a) キット中に存在してはならない活性

b) キット中の本質的な活性で、必要な活性が含まれていること

c) 分析値低値はサンプルの含水による影響。AOAC公定法 991.43において酵素無添加にて反応させ

た場合も同様な値が得られます

d) この基質は高濃度のレジスタントスターチを含有します。

この値は、AOAC公定法 991.43によるTDF値(29.3%)よりも高い値です

B.装置 - APPARATUS -

a) ミル-遠心型 12 枚歯で 0.5 mm パスまたは同程度の装置。または実験室レベルの処理

であればサイクロン式でサンプルの過熱を避けるための冷却に必要な通気またはその他の

冷却法があれば可能です。

b) 酵素反応用ボトル-250mL容プラスチック蓋付の広口ガラスボトル

(例 Fisherbrand® FB73219)

c) るつぼ型濾過器-ブフナー型濾過器:Pyrex® 50mL、濾板は細孔粗目、ASTM(米国材

料試験協会)40~60µm、Corning® #32940-50C、または同等のもの。

実験前に4連で下記の準備をしておきます。

i. マッフル炉に入れ 525℃で一晩、残存物を灰化します。取り出す前に炉の温度を

130℃まで冷却し、破損を防ぎます

ii. セライトと灰を吸引除去します

iii. 2%の洗浄液[C(r)]に、室温で1時間浸します

iv. 濾過器を水と蒸留水で洗い流します

v. 最後にアセトン 15 mLを用いて洗浄し、自然乾燥させます

vi. 濾過器に約1gのセライト®を加え、恒量化するまで 130℃で乾燥させます

vii. デシケーター中で約1時間冷却し、セライト®を含む濾過器を秤量・記録します

d) 濾過フラスコ-肉厚の1L容量で吸引用の口があるもの。濾過瓶 (17ページ、図11)

e) ゴムアダプター-るつぼ型濾過器とフラスコの接続に使用します (17ページ、図11)

f) 吸引源-真空ポンプまたはアスピレーター吸引を調節できるもの

g) 恒温水槽-回転式(150rpm)で攪拌が可能な大容量(20-24L)でカバー装着が可能なもの。

37±1℃及び 60±1℃に調節できるもの(Grant® OLS200振盪恒温槽または同等品;

ページ13、図3)。またはメガザイムの恒温水槽(D-TDFBTH)に水中スターラー(例 2mag

Mixdrive 15®)を設置し 30×7mmのスターラーバーを入れ 170rpmで攪拌します

(ページ13、図4)。

h) 天秤-0.1 mg精度の精密天秤

i) オーブン-循環式、103±2℃及び 130±3℃で使用(2台)

j) タイマー

試験基質 分析対象 試料重量(g) 期待回収率%

柑橘類ペクチン ペクチナーゼ c 0.1 87c

大麦β-グルカン β-グルカナーゼ a 0.1 95-100

小麦澱粉 α-アミラーゼ b 1.0 0-1

カゼイン プロテアーゼ b 0.3 0-2

ハイアミロース澱粉 d α-アミラーゼ 1.0 ~ 48

カラマツ ガラクタン ペクチナーゼ c 0.1 ~ 84c

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k) デシケーター-気密式、シリカゲルまたは同等の乾燥剤を使用。

乾燥剤は 130℃の乾熱器で2週間に一度、1晩乾燥させておきます。

l) pH メーター

m) ポジティブディスプレイスメント方式ピペッター (例 Eppendorf Multipette®)

⁃ 5mL Combitip® (AMG 0.1, 0.3mL、プロテアーゼ 0.1mL分注用)

⁃ 25mL Combitip® (0.75M Tris緩衝液 3mL、2 M 酢酸 4mL分注用)

n) 分注器- i. 15±0.5mL (溶媒用)、ii. 40±0.5mL (緩衝液用)

o) メスシリンダー-100mL及び 500mL容量

p) スターラー及びスターラーバー(7×30mm, 一般形状のもの)

q) ゴム製へら 例 VWR International #53801-008 (17ページ、図11)

r) マッフル炉-525±5℃

s) ポリプロピレンカラム-例 Bio-Rad, Econo-PacTM ディスポーザブルカラム (#732-1010)

+ Alltech一方向ストップコック (#211524)(15ページ、図7)

t) 液体クロマトグラフィー装置(LC)-カラムオーブン(90℃加熱)、インジェクションループ

50µL、マルトトリオースとマルトースを分離検出できるものであること。

u) ガードカラム(またはプレカラム)-Waters社 Guard Pak® LC pre-column inserts(part

no. WAT015209)または同等品

v) LCカラム-Waters 社 Sugar-Pak® 6.5×300mm カラム(part no. WAT085188)または

同等品。移動相は蒸留水+Na2CaEDTA (50 mg/L) [C(l)]、

流速 0.5mL/分、温度90℃、30分で全量通過。

w) 検出器-示差屈折率検出器(RI)、50℃で検出

x) 記録計またはコンピューター-ピーク面積の測定

y) 使い捨てシリンジ用フィルター-Millipore Millex® シリンジフィルターユニット 0.45µm

(低タンパク質吸着 Durapore PVDF) 25mmまたは 13mm径、またはその同等品

z) 水用フィルター-Millipore, Durapore® メンブランフィルターHVLP,47mm径

aa) フィルターホルダー-47mm径, 0.45µm, [B(z)]; 大量の水を濾過するためのもの

bb) シリンジ-10mL、使い捨てプラスチック製

cc) シリンジ-Hamilton® 100µL, 710SNRシリンジ

dd) ロータリーエバポレーター-Heidolph社 Laborota®または同等品

ee) 温度計-110℃まで計測可能なもの

C.試薬 - REAGENTS -

a) 95%v/v エタノール (またはメタノール変性アルコール)

b) 78%v/v エタノール -95%エタノール 821mL を 1L 容メスフラスコに入れ、蒸留水で定容、

良く攪拌します。液面を確認し、必要なら再調整します

c) アセトン、試薬グレード

d) アミログルコシダーゼ(AMG)溶液(ボトル2、ページ3)-3,300U/mL 50%v/v グリセロール

溶液-この溶液は粘度が高いのでポジティブディスプレイスメント方式ディスペンサーを用い

て分注します。(注意: 1単位は40℃、pH4.5 において可溶化澱粉から1分間に1マイクロモ

ルの D-グルコースを遊離する酵素量です)。AMG溶液中にはβ-グルカナーゼ、β-キシラ

ナーゼと遊離 D-グルコースは検出されません。4℃または-10℃以下で5年以上安定です。

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e) 膵臓α-アミラーゼ(50U/mL)/AMG(3.4U/mL)-使用する直前に、ブタ膵臓α-アミラーゼ

(ボトル1、ページ3)(75,000 U/g; AOAC 法 2002.01) 0.20g をマレイン酸緩衝液(50mM,

pH6.0+2mM塩化カルシウム+0.02%アジ化ナトリウム) [C(h)] 290mLに加え5分間攪拌後、

AMG溶液[C(d)] 0.3mL を加え攪拌します。この溶液は-10℃以下で2年以上安定です。

f) プロテアーゼ(50mg/mL、350 チロシン U/mL) 50%v/vグリセロール溶液(ボトル3、ページ3)

-この溶液は粘性があるので、ポジティブディスプレイスメント方式ディスペンサーを用いて分

注します。プロテアーゼはα-アミラーゼ活性を有してはならず、β-グルカナーゼおよびβ-キ

シラナーゼ活性も本来有してはいけません。提供されたボトルのまま使用します。

4℃で3年以上安定です。

g) 蒸留水

h) マレイン酸緩衝液-50mM、pH6.0+2mM塩化カルシウム+0.02%アジ化ナトリウム

マレイン酸 11.6g を 1600ml の蒸留水に溶解し、4M(160g/L)水酸化ナトリウム溶液で pH

6.0 に調整します。塩化カルシウム(CaCl2・2H2O) 0.6g とアジ化ナトリウム 0.4g を加えて 2L

に定容します。4℃で1年以上安定です。

i) 0.75M トリス緩衝液-トリス緩衝液(B-TRIS500)90.8gを蒸留水 800mLに溶解し、1Lに定

容します(pH約 10.5)。室温で1年以上安定です。

j) 2M 酢酸溶液-氷酢酸(Fluka 45731 または同等品)115mLを 1Lに定容します。

室温で1年以上安定です。

k) 150mM塩酸-濃塩酸(37%v/v、12M;Sigma 258148または同等品)25mLを蒸留水1.9L

に添加し、2.0Lに定容します。室温で3年以上安定です。

l) Na2CaEDTA(50mg/L)含有蒸留水-1L 容メジウム瓶に Na2CaEDTA 50mg を秤量し、蒸

留水1Lで溶解します。試薬は毎週更新し使用前に0.45mmフィルター[B(z)]で濾過します。

m) 0.02%w/vアジ化ナトリウム-アジ化ナトリウム 0.2gを蒸留水 1Lに攪拌して溶解します。

室温で2年以上安定です。

n) D-グルコースLC標準(5,10,20mg/mL)-高純度(> 99.5%)の D-グルコース(Sigma

G5767 または同等品)を 0.5, 1.0, 2.0gずつ精秤し、それぞれ 100mL容メスフラスコに入れ

ます。各フラスコに内部標準[C(o)] 10mL をピペットで加え、0.02%アジ化ナトリウム溶液

[C(m)]で定容します。溶液を 100mL容メジウム瓶に移します。室温で1年間安定です。

o) D-ソルビトール(SugarPak®カラムの内部標準)-100mg/mL、0.02%アジ化ナトリウム溶液

分析用グレード(> 99%)のD-ソルビトール(3ページ、ボトル5)10gを 100mL メスフラスコ

に量り入れ、0.02%(w/v)アジ化ナトリウム溶液[C(m)] 80mL に溶解し、同溶液で定容します。

よく混ぜます。室温で2年以上、-10℃以下で4年以上安定です。

p) LC保持時間標準-LC分析により重合度3以上のオリゴ糖からなることが既知のコーンシロッ

pH調整前にアジ化ナトリウムを加えないでください。酸性下では毒性のあるガスを生じます。

アジ化ナトリウムとマレイン酸はMSDSを読み、適切に防護措置を行って取り扱って下さい。

CAUTION

酸性溶液にアジ化ナトリウムを加えないでください。酸性下では毒性のあるガスを生じます。

アジ化ナトリウムはMSDSを読み、適切に防護措置を行って取り扱って下さい。

CAUTION

アジ化ナトリウムはMSDSを読み、適切に防護措置を行って取り扱って下さい。

CAUTION

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プ(DE 25;松谷化学工業㈱社製)にマルトースを4:1(w/w)の比で配合した標準品。オリゴ糖

混合標準品(ページ3、ボトル4)2.5gを 0.02%アジ化ナトリウム溶液[C(m)] 80mLに溶解し、

100mLのメスフラスコに移します。内部標準[C(o)] 10mLをピペットで加え、0.02%アジ化ナ

トリウム溶液[C(m)]で定容します。溶液を 50mL容ポリプロピレン貯蔵ボトルに移します。室温

で1年以上、-10℃以下で4年以上安定です。

q) pH標準-pH4.0,7.0, 9.0の緩衝液

r) 洗浄液-Micro-90®(International Products Corp.、USA)または相当品。

脱イオン水で2%溶液を調製します。

s) 混合床イオン交換樹脂-

1. m-1-Amberlite®FPA53(OH-)樹脂(Rohm and Haas、France SAS)(G-AMBOH)

約 4g。イオン交換容量 1.6meq/mL(分)または同等物(R-OH 交換容量データはメーカ

ーが提供)。

2. m-2-Ambersep®200(H+)樹脂(Rohm and Haas)(G-AMBH)約 4g

イオン交換容量:1.6meq/mL(最小)または同等物。

使用直前に2種類の樹脂を混合し、Bio-Rad ディスポーカラム[B(s)]に充填します(15ページ、図7参照)。充填後、樹脂の上に脱脂綿を軽く詰め、蒸留水 20mLで洗浄します。

t) セライト®-酸処理及び洗浄済みもの (G-CELTE)

D.サンプルの準備 - PREPARATION OF TEST SAMPLES -

食べる状態、すなわちベーキングミックスを調製して焼き、パスタを茹でるなどの処理済みのサ

ンプルを採取して準備します。脂質が 10%を超える場合、AOAC 985.29 法に準じて脱脂します。

水分の多いサンプル(25%以上)は、凍結乾燥するのが望ましいです。粉砕ミル[B(a)]で約50gを

粉砕して、0.5mm の篩を通します。広口のプラスチック瓶に移し、蓋をして反転させて良く振り混

ぜます。乾燥剤を入れて保管して下さい。

E.酵素の純度 - ENZYME PURITY -

望まれない酵素活性がなく、かつ必要な酵素活性が充分であることを確認するために、酵素ロ

ットが変わるたび、または酵素が前回検定から6ヶ月以上経過した場合、標準基質(K-TDFC)で

検定を行って下さい。

F.酵素消化 (AOAC公定法 2009.01と 2011.25)

- ENZYME DIGESTION OF SAMPLES -

1. ブランク

分析ごとに、試薬の残渣への影響を評価するためにブランク2点を同時に分析して下さい。

2. サンプル

a) 重量測定(2連)-1.000±0.005 g のサンプルを精秤し、250mL 容広口ボトル[B(b)]

に入れます。

b) 酵素の添加-試料を 1.0mL のエタノールで湿らせ、膵α-アミラーゼ/AMG混合物

[C(e)] 40mL を添加します。ボトルに蓋をして振とう反応槽 [B(g)]に移し、ボトルをバ

ネで固定します。または、7×30mm のスターラーバーを入れ、水中スターラー[B(g)]

を使用します(13ページ、図3および4)。

c) 膵α-アミラーゼ/AMGとの反応-振盪水浴中で37℃、150rpm で振盪しながら正

確に16時間(例 17時~9時)、または水中スターラーを用い 170rpm で反応させます。

Page 10: 統合型 総食物繊維分析法 (0420).pdfAOAC 法2009.01 及び2011.15 で示された統合型分析法には重合度3以上のレジスタントス ターチ(RS)やSDFS(NDOなど)を含む総食物繊維の測定法が記載されています。この分析法

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d) pH8.2(pH 7.9-8.4)調整、α-アミラーゼ/AMG の不活性化-16時間後、振とう水槽

から全てのサンプルボトルを取り出し、直ちに 0.75M トリス緩衝液[C(i)] 3.0mLを添加

して反応を停止させます(水槽が1台だけの場合は、水浴の温度をプロテアーゼ反応

のために60℃に上げておきます)。ボトルの蓋を少し緩め、すぐにボトルを沸騰水浴

(95-100℃;振盪せず)に置き、時々軽く振り混ぜながら20分間加熱します。温度計を

用い、ボトル内容物の最終温度が90℃以上であることを確認します(1本のボトルを点

検すれば十分です)。

e) 冷却-温水浴からサンプルボトルを全て取り出し(適切な手袋を使用)、約60℃まで冷

却します。

f) プロテアーゼ処理-プロテアーゼ溶液[C(f)] 0.1mL をポジティブディスプレイメント方

式ディスペンサー(溶液は粘性が高い)で加えます。60℃で30分間反応します。

g) pH 調整-2M 酢酸[C(j)] 4.0mL を各ボトルに加え、混合します。これにより、最終的

な pHがおよそ 4.3になります。

h) 内部標準-D-ソルビトール内部標準溶液(100mg/mL)[C(o)] 1.0mLを各ボトルに加

え、良く混合します。

i) HMWDF/SDFS(AOAC 法 2009.01)定量のため、ステップ[G(a)]に進みます。また

はIDF/SDFP/SDFS(AOAC法 2011.25)定量のためにステップ[H(a)]に進みます。

G.HMWDFの定量(IDFとSDFP): ( AOAC法 2009.01): - DETERMINATION OF HMWDF (IDF plus SDFP): -

a) SDFP沈殿処理-サンプルを60℃に予熱し、別途60℃に予熱した 95%EtOH 192mL

(容量は室温で測定)を加えます。十分に混合し、室温で60分間放置して沈殿物を形成さ

せます。

b) 濾過準備-セライト®入り濾過器(5ページ、[B(c)])を 0.1mg の精度で精秤します。洗浄瓶

から 78%EtOH 15mLを添加して濾過器中のセライト®を濡らし、分散させます。濾過器に

吸引を加えて、セライトをガラス濾板上に均一に引きます(17ページ、図11参照)。

c) 濾過-酵素消化物沈殿[G(a)]を濾過器を通して真空引きします。78%EtOH [C(b)]入りの

洗浄瓶を用い、瓶内の残りの沈殿物を全て濾過器に移します。

濾液と洗浄液を回収し、10ページのステップ[I(a)]に進み、SDFSを測定します。

d) 洗浄-78%EtOH、95%EtOH、アセトンの各 15mLで2回ずつ、順次洗浄します。

e) 乾燥-残渣入り濾過器を 105℃のオーブンで一晩乾燥させます。強制循環型オーブンを

使用する場合、乾燥したサンプルの飛散損失を防ぐために濾過器をアルミホイルで軽く覆

うと良いです。

f) 冷却-濾過器をデシケータ内で約1時間冷却します。食物繊維残渣とセライト®入り濾過器

の重量を0.1mgの精度で精秤します。風袋重量、すなわち乾燥した濾過器とセライト®の重

量を差し引き、残渣重量を得ます。

g) タンパク質および灰分の測定-濾過器の一方の残渣をタンパク質について、他方の残渣

を灰分について分析します。残渣のタンパク質は Kjeldahl法または燃焼法を用います

(注意>燃焼法の場合、サンプルから揮発したセライト®が装置のラインを詰まらせることが

あります)。タンパク質の重量(mg)を算出するのに何れの場合も係数 6.25 を使用します。

灰分分析のために残渣入り濾過器を 525℃で5時間、燃焼させます。デシケータ中で冷却

し、0.1mgの精度で精秤します。濾過器とセライト®の重量を差し引いて灰分を求めます。

h) HMWDFの算出-平均残渣重量から灰分とタンパク質量を差し引き、HMWDF算出のた

めにステップ[J]に進みます。

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H.IDFとSDFPの分別定量 (AOAC公定法 2011.25)

- DETERMINATION OF IDF and SDFP SEPARATELY -

IDF a) 濾過設定-セライト®入り濾過器(5ページ、[B(c)])}を 0.1mgの精度で精秤します。洗浄瓶

から 78%EtOH[C(b)] 15mL を添加して濾過器中のセライト®を濡らし、分散させます。濾

過器に吸引を加えて、セライトをガラス濾板上に均一に引きます(17ページ、図11参照)。

b) 濾過-酵素消化物沈殿[F(h)]を濾過器を通して真空引きします。60℃の蒸留水入りの洗

浄瓶を用い、反応瓶を最小量の水(約 10mL)ですすぎ、ゴム製へらで容器の側壁から沈

殿物を全て回収します。この懸濁液を濾過器に移し、吸引濾過します。60℃の温水 10mL

で再び瓶を洗浄し、濾過器に移します。濾液と洗浄液を集め、容量を 70mL に調整し、

SDFP [H(f)]およびSDFS [I(a)]を測定するために保存します。

c) 洗浄-78%EtOH、95%EtOH、アセトンの各 15mLで2回ずつ、順次洗浄します。

洗液は廃棄します。

d) 乾燥-残渣入り濾過器を 105℃のオーブンで一晩乾燥させます。

e) 冷却-濾過器をデシケータ内で約1時間冷却します。IDF残渣とセライト®入り濾過器の重

量を 0.1mgの精度で精秤します。風袋重量、すなわち乾燥した濾過器とセライト®の重量を

差し引き、残渣重量を得ます。12ページ、ステップ[J]を参考にIDFを算出します。

SDFP f) SDFPの沈殿-各サンプルの濾液(約 70mL)を60℃に予熱し、あらかじめ60℃に予熱し

た 95%EtOH [C(a)] 280mL(室温で液量測定)を十分に混合します。室温で60分放置し、

沈殿物を形成させます。

g) SDFPとSDFSの回収-9ページのステップ[G(b)]〜[G(h)]に従って実施します。

h) SDFSの定量-10~11ページのステップ[I(a)]〜[I(f)]に従って実施します。

I.SDFSの定量 - DETERMINATION OF SDFS -

注意1> INTDF法の完成と公開後にTDF測定のための改良法、すなわち迅速型TDF測定法

(AOAC 公定法 2017.16; メガザイムキット K-RINTDF)が開発されました。分析を簡素化

し、より生理的に近い結果を得るため、本改良法を使用されることを強くお勧めします。

注意2> 適切に脱塩することがSDFSの良質なクロマトグラムを得るために大変重要です。

SDFSクロマトグラムの塩の出現パターンを確認するために、塩化ナトリウム 10mg を蒸留水

9mLに溶解し、100mg/mL LC内部標準液[C(o)] 1mLを加えます。次にステップ[I(c)]から続け

ます(塩のピークは脱塩が不十分な場合にのみ現れます)。

使用する樹脂が十分な脱イオン能力を有することを証明するために、塩化ナトリウム 10mg を蒸

留水1mLに溶解し、100mg/mL LC内部標準液[C(o)] 1mLを加えます。次にステップ[I(b)]の、

「この溶液 2mL を調製直後の…」のところから続けます。この溶液のLCクロマトグラムは、重合度3

以上の炭水化物に相当する保持時間にピークを示さないはずです。

a) 濾液の回収と濃縮-濾液サンプル2点[G(c)]のうち片方は流失の場合やSDFSデータが2

連で必要な場合に備えて保管しておきます。もう片方の濾液[G(c)]の半量を 500mL のエ

バポレーターフラスコに移し、60℃の真空下で蒸発乾固させます。

b) 試料の脱イオン化-蒸留水 5mL をエバポレーターフラスコに添加し、約2分間良く振り混

ぜて試料を溶解させます。溶液を 20mL 蓋付ポリプロピレン容器に移します。この溶液

2mLを、調製直後のアンバーライト FPA53(OH-型)および Ambersep 200(H+型)[C(s)]

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を 4gずつ含む混合床 Bio-Rad使い捨てカラム[B(c)](15ページ、図7を参照)に添加しま

す。流速 1.0mL/分で通液し、100mL 容メジウム瓶に受けます。サンプルが樹脂内に入

ったら、2mLの蒸留水を加え浸透させます。次に蒸留水 20mL をカラム上部に添加し、流

速 1.0mL/分で溶出を続けます。溶出液を 250mL丸底型エバポレーターフラスコに移し、

60℃の真空下で蒸発乾固させます。フラスコに 2mL の蒸留水を加え、フラスコを約2分間

振り混ぜて糖質を再溶解させます。パスツールピペットを使用して、溶液をポリプロピレン貯

蔵容器に移します。

c) LC分析用サンプル調製-溶液を 10mL の使い捨て注射器[B(bb)]に移し、0.45µm フィ

ルター[B(y)]で濾過します。100µL 容LC用ガラスシリンジ[B(cc)]を使用して液体クロマトグ

ラフ[B(t)]の 50µL インジェクションループを満たします。この分析は2回実施します。

カラム:Waters Sugar-Pak®(6.5×300mm)。溶媒:Na2Ca-EDTA(50mg/L)を含む蒸留

水、流速:0.5mL /分、温度:90℃。

d) D-グルコースの応答係数の決定-D-グルコースは、SDFSを構成する非消化性オリゴ糖

の応答係数と同等の屈折率(RI)を示すので、D-グルコースを用いて較正し、応答係数は、

SDFS量を決定するために使用されます。100µL容LCシリンジを用い、各標準D-ソルビト

ール/D-グルコース溶液で 50µL インジェクションループを満たします。この分析は3回実

施します。

D-グルコースおよび内部標準のピーク面積の値を3つのクロマトグラムから取得します。

D-グルコース/D-ソルビトールの質量比(X軸)に対する D-グルコース/D-ソルビトールの

面積比(Y軸)で得られた傾きの逆数が「応答係数」です。3点の平均から平均応答係数

(通常、D-ソルビトールに対し 0.97)を決定します。

応答係数(Rf) = (PA-IS)/(PA-Glu) × (Wt-Glu/Wt-IS)

ここで PA-IS = 内部標準液のピーク面積 (D-ソルビトール)

PA-Glu = D-グルコースのピーク面積

Wt-Glu = 標準液中の D-グルコースの質量

Wt-IS = 標準液中の D-ソルビトールの質量

e) LMWSDF定量におけるクロマトグラムの面積較正-100µLの LCシリンジ[B(cc)]を使用

し、保持時間標準品[C(p)]で 50µLインジェクションループを満たします。この分析は2回実

施します。2糖と3糖のオリゴ糖(マルトースと3糖以上のオリゴ糖)の境界点を決定します

(ページ17、図10を参照)。

f) 試料抽出物クロマトグラムにおけるSDFS(PA-SDFS)と内部標準(PA-IS)のピーク面積

の決定-試料抽出物[I(c)]をLCに注入します。2糖と3糖の境界点より大きな重合度のピ

ーク領域を全て PA-SDFS として記録します。内部標準のピーク面積を PA-IS として記録

します。

N O T E :

インラインでの脱塩法が公開されています17。この方法は便利ですが、ディスポーザブル

脱塩カートリッジは高価で、1つのカートリッジで少数のサンプルしか脱塩することができま

せん。

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J.HMWDF、IDFおよびSDFP値の算出

- CALCULATIONS FOR HMWDF, IDF and SDFP -

ブランク(B) の測定(mg)

=𝐵𝑅1 + 𝐵𝑅2

2− 𝑃𝐵 − 𝑃𝐴

ここで BR1・BR2 = ブランク2検体分の残渣重量 (mg)

PB・PA = タンパク質と灰分の重量 (mg)

HMWDF, IDF, SDFP (mg/100g) の算出

=

𝑅1 + 𝑅22

− 𝑃𝐵 − 𝑃𝐴 − 𝐵

𝑀1 + 𝑀22

× 100

ここで R1, R2 = 2検体M1、M2の残渣重量 (mg)

M1, M2 = サンプル1,2の試料重量 (g)

PB, PA = タンパク質と灰分の重量 (mg)

HMWDF (%) = HMWDF (mg/100g) /1000

IDF (%) = IDF (mg/100g) /1000

SDFP (%) = SDFP (mg/100g) /1000

K.SDFSの算出 - CALCULATIONS FOR SDFS -

SDFS (mg/100g)

= Rf × (Wt-IS, mg) × (PA-SDFS)/(PA-IS) × 100/M

ここで Rf 応答係数(11ページ参照)。

Wt-IS 試料混合物(100mg)に添加した内部標準溶液 1mL中の内部標準量(mg)

PA-SDFS SDFSのピーク面積

PA-IS 内部標準(D-ソルビトール)のピーク面積

M LCで分析した試料の質量(g; M1またはM2の何れか)

L.統合TDFの算出 - CALCULATION OF INTEGRATED TDF -

統合TDF(%) = HMWDF(%) + SDFS(%)

N O T E : 上記は、メガザイムウェブサイト(www.megazyme.com)の各製品ページから

ダウンロード可能な Megazyme Mega-CalcTMを使用することで簡単に計算できます。

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図3. 振盪恒温水槽中でのサンプル反応状態(回転振盪) Grant® OLS200を用い 37℃で反応

図4. 水中スターラーを用いた反応状態 メガザイムの専用恒温水槽(D-TDFBTH)に水中スターラーを沈めて反応。

このスターラーの場合、37℃で攪拌制御下(170rpm)、15サンプルまで反応が可能

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図5. トウモロコシ澱粉(RMS)、ハイアミローストウモロコシ澱粉(HAMS)および

ジャガイモ澱粉(PS)のα-アミラーゼ/AMGによる37℃での加水分解速度

(および見掛け上のレジスタントスターチ量) Grant®OLS 200振盪反応槽で 150rpm回転振盪する場合(図3)、水浴中で 170rpm

で水中スターラー攪拌させる場合(図4)について検証した。その結果、HAMSとRMSの値

は攪拌方法によらずほぼ同じであった。 註>これは、ジャガイモ澱粉以外の全ての澱粉で

見られる傾向で、顆粒構造が脆弱であるためと考えられる。

図6. Raftilose P-95®について、水溶液を直接(A)、または統合TDF分析手順に

よりSDFSとして回収した場合(B)のHPLC解析パターン カラム:Waters Sugar-Pak®(6.5×300mm)。 溶媒:Na2Ca-EDTA(50mg/L)を含む蒸

留水。流速:0.5mL/分; 温度:90℃。 註>フラクトリゴ糖の分解は認められない。またF3

(加水分解されたイヌリンからのフラクトトリオース)がスクロース(ラクトースと同じ位置)の後に

溶出することにも注意。またF3を含むサンプルの分析には、HPLC前に別途前処理が必要

(17ページ、図10、E-SUCRBG のデータシートも参照)。

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図7. 混合床樹脂によるサンプルの脱イオン処理 GilsonMinipuls®ポンプを使用し、Bio-Rad、Econo-Pac®ディスポーザブルカラム

[Amberlite®FPA53(OH-)約4gと Ambersep®200(H+)約4gとの混合床] で処理

図8.D-ソルビトールとフラクトオリゴ糖の混合床樹脂カラムからの溶出 双方とも同じ挙動を示し、炭水化物は全て 20mLで溶出されることに注目

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図9.HMWDF(IDF+SDFP)およびSDFSの分析手順 IDFとSDFPを別々に測定する場合は、エタノール添加前に反応混合物をろ過する。フィルタ

ー上の残渣はIDFとなる。4倍量のエタノールを瀘液に添加してSDFPを沈殿させ、セライト入りフ

ィルターで回収する。濾液にはSDFSが含まれる。

サンプル(1.000g)を、2連で準備

α-アミラーゼ/AMG入りマレイン酸緩衝液 (pH6.0) 40mLを添加

水中スターラー又は振盪水浴で試料を攪拌しながら、37℃で16時間反応

0.75M トリス緩衝液 3mL 添加 (最終 pH約 8.2)

95~100℃の湯浴中で20分間加熱

60℃まで冷却

プロテアーゼ溶液 100µL 添加

60℃の湯浴中で30分間反応

湯浴から取り出す

2M酢酸 4mL と内部標準 1mL を添加し攪拌

(最終 pHは約 4.3)

60℃に予熱した 95%エタノール 192mLを添加

沈殿処理

るつぼ型ガラスフィルターでろ過

沈殿乾燥

残渣(2個)

タンパク測定 灰分測定

高分子食物繊維

(HMWDF)

濾液の回収

SDFS定量

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図10. マルトデキストリン、マルトース、D-ソルビトールとグリセロールのクロマト

グラム: Waters Sugar-Pak®(6.5×300mm); 溶媒:Na2Ca-EDTA(50mg/L)を含む

蒸留水、流速:0.5mL/分; 温度90℃。約7.5分の縦の赤棒は、2糖(マルトース)と3糖

(それ以上のマルトデキストリン)との境界を示す。 註>エンドイヌリナーゼまたは酸によりイ

ヌリンを加水分解して生成したフラクトシルトリサッカライドF3は、マルトースの後に溶出する

(上図の矢印F3、並びに図6参照)。HPLCパターンから容易に検出できるこのオリゴ糖を

含有する試料は、スクラーゼ/マルターゼ/β-ガラクトシダーゼでの前処理が必要です。

詳細は日本バイオコンにお問い合わせ戴くか、McCleary らの文献14をご参照下さい。

図11. 食物繊維の濾過状況 吸引瓶、濾過器、ゴム製アダプター、減圧装置など。

サンプル瓶の上にゴムへら付ガラス棒が見える

濾過器

ゴムアダプター

ゴムへら付

ガラス棒

減圧装置

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quantitation of low-molecular-weight dietary fiber from high-molecular-weight

dietary fiber filtrates using liquid chromatography. J. AOAC Int., 93, 234-242.

Page 20: 統合型 総食物繊維分析法 (0420).pdfAOAC 法2009.01 及び2011.15 で示された統合型分析法には重合度3以上のレジスタントス ターチ(RS)やSDFS(NDOなど)を含む総食物繊維の測定法が記載されています。この分析法

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