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Best Practice インライン分析測定の活用 化学プラント / 製油所における腐食防止 pH 導電率 溶存 O2 ナトリウム シリカ メトラー・トレド プロセス機器

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インライン分析測定の活用 化学プラント / 製油所における腐食防止

pH 導電率 溶存 O2

ナトリウム シリカ

メトラー・トレド プロセス機器

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2 Chemical and Refining IndustriesMETTLER TOLEDO Best Practice

目次

ページ

インライン分析で腐食を防止 2

化学 / 精製プラント 3

ケーススタディ: 中国最大の石油化学プラントに おける腐食、スケール、堆積物との戦い 3

ケーススタディ: 腐食の問題を克服 – 塔頂コンデンサーの pH 制御 5

ケーススタディ: TNK-BP 社 – インライン pH 分析により脱塩処理を改善 7

エチレン急冷プロセスにおける pH コントロール 9

電力施設 11

光学式 DO 技術の改善 – 発電所で発生する 腐食を最小限に抑制 11

発電所水処理とサイクル化学における導電率測定 16

低導電率サンプルの pH 測定 18

純水処理とタービン保護のためのシリカ測定 20

ナトリウム分析計で水と蒸気の純度を管理 22

インライン分析で腐食を防止腐食はその影響も考慮すると、未然に防ぐことが極めて重要です。故障した機器の修理や交換に多大な費用がかかるだけではなく、それに伴うシステム停止や、環境、そして健康や安全性に対する影響によって失われる多額の損失も発生します。それらを全て合算すると、腐食にかかる年間費用はグローバルベースで 3兆米ドルと見積もられ、その約 25%は製造プロセスと発電設備に関連しているといわれてい ます。

塗装、コーティング、および電気防食などの予防措置は、設備の機械的強度を維持する上で有効なものですが、プロセス機器の内側を保護するには別のアプローチが必要となります。また、防食性の特殊材料でプラント全体を建設するには、途方もない初期費用がかかります。したがって、防食は通常、薬品などによる化学的な処理を基本に実施されます。特殊化学品による効果はプロセス条件に大きく依存して変動するため、化学処理の精度も同様に変化します。このため、コストがかかるものの、安全性の見地から腐食防止剤を過剰投与するという事例が数多くみられます。

本ガイドには、インライン分析が石油・化学プラントや製油所、発電やコージェネレーション施設において、腐食の制御と化学薬品の過剰消費を防ぐ上で重要な役割を果たしている事例が掲載されています。

Publisher / ProductionMettler-Toledo AGProcess AnalyticsIm Hackacker 15CH-8902 UrdorfSwitzerland

ImagesMettler-Toledo AGDreamstime.com

Subject to technical changes

© Mettler-Toledo AG 03/2014

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ns 中国最大の石油化学プラントにおける 腐食、スケール、堆積物との戦い

石油・石油化学精製所での腐食・堆積物によって生じるコストは、世界全体で年間 150億米ドルを超えると見積もられています。冷却水システムのコストを最小限に抑えるために、信頼性の高いインテリジェントな測定システムが活用されています。

大規模な石油化学精製所中国石油化工(Sinopec、シノペック)は、売上高で世界第 2位の化学企業です。同社は、世界 第 5 位のサウジ基礎産業公社(Sabic)と 2009年に Sinopec Sabic Tianjin Petrochemical Plantという共同事業会社を設立し、中国の天津に世界レベルの石油化学施設を有しています。

27億米ドルの建設費用をかけたこの巨大施設では、エチレンクラッカーと 8つの下流ユニットが2010年から稼働しています。この施設は、エチレン、ポリプロピレン、ブタジエン、フェノールなどの化学製品を年間 320万トンも生産しています。

再循環水の品質管理多額の投資が行われたプラントの冷却水システムでは、システムを最適な状態に維持するために、循環水中の腐食や、スケールその他の堆積物を最小限に抑える必要がありました。これを達成するためには、アルカリや酸、殺菌剤などによる処理を行い厳格な水質管理を行う必要があります。試薬の添加は、pHとORP測定により制御されています。ここでは、循環水の ORPを 550mv付近に保ちながら、pH範囲を 6.5~7.5に維持することが求められています。

ただし、水質管理を正しく行っても、総溶解固形分 (TDS)は徐々に増加するため、いずれはブローダウンが必要になります。ブローダウンの開始時期は多くの場合、導電率測定により判断できます。ブローダウンの時期が早すぎても(供給水の処理をより頻繁に行う必要がある)、遅すぎても(配管に沈殿が生じる)、費用が発生するため、正確な導電率センサが不可欠です。

高性能なセンサが鍵を握るプラント試運転中に設置されたインラインの pH、ORP、導電率センサには問題がありました。交換部品の入手が困難で、メンテナンスに時間がかかり、さらに、ラボで行われたサンプル分析によると、センサの測定値が不正確な場合が多いことが確認されました。これらのシステムは初期コストが低いた

め低コストに見えましたが、すぐにその逆であることが明らかになり、より信頼性の高いソリューションの導入が求められることとなりました。そこで、測定が正確でセンサ寿命が長く、低メンテナンスのインラインシステムのサプライヤーとして、メトラー・トレドに打診がありました。

pH/ORP複合センサで測定点の数が減少弊社は pH 測定に最適な製品として、InPro 3250 i プローブを提案しました。InPro 3250 iは、内部加圧された液体電解質が充填封入されており、迅速かつ正確な測定が可能です。付属のプラチナ電極により、1本のセンサで ORP測定も可能で、Sinopec Sabicに大きな利点をもたらしました。これにより、再循環水システムにおける測定ポイントの数を減らすことができました。

ISM® の大きなメリットInPro 3250 i は、メトラー・トレドのインテリジェントセンサマネジメント (ISM)シリーズのセンサです。ISM技術は、プロセスの稼働時間を向上させ、セ

ケース スタディ

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nsンサの取扱いを簡素化し、稼働にかかる費用を削減します。これらの利点はすべて、ISMセンサに埋め込まれたマイクロプロセッサによって実現します。InPro 3250 iでは、マイクロプロセッサがセンサ内で pHを計算し、その値は、安定性の高いデジタル信号で、接続されている変換器に転送されます。マイクロプロセッサには高度な診断アルゴリズムも組み込まれており、センサの「健康状態」データがリアルタイムに提供されるため、ユーザはセンサの校正や交換が必要となる時期を知ることができます。

Sinopec Sabicでは導電率測定においても ISMの機能が重要な役割を果たしました。

1本のセンサがさまざまな用途に対応純水、冷却システム水、化学プロセスの導電率測定では、導電率の範囲が広いため、通常は 3種類の異なるセンサを必要とします。この問題を解決するため、弊社は UniCond®を開発しました。このデジタル導電率センサは、純水から排水、産業用プロセス水まで幅広く測定することができます。

アナログセンサの測定範囲が狭い理由として、ケーブル容量と抵抗が挙げられますが、UniCond にはこれらの問題がありません。ISM pH センサと同様に、UniCond では、センサ内部で導電率測定とアナログからデジタルへの信号変換が行われるため、

幅広い範囲に対応することが可能です。測定用途に応じて多数のセンサが必要とされるアナログセンサとは違い、UniCond は、あらゆる用途に1 種類のセンサだけで対応できるため、在庫数を抑えるとともに、取扱いの習得にかける時間やコストも削減することができます。

強力でフレキシブルな変換器InPro 3250 i センサと UniCondセンサと共に、Sinopec Sabic はメトラー・トレドの ISM 変換器M800のマルチチャネル・バージョンを選びました。これはマルチパラメータ対応機器で、設置の柔軟性は最高レベルであり、カラータッチスクリーンにより使いやすさも抜群です。M800の iMonitor診断ユーティリティは、センサのメンテナンス時期を予測して、測定に悪影響が出る前に対処方法の詳細情報を確認することが可能です。

信頼性あるソリューションと高度なサービスプラント技術者は、メトラー・トレドの ISMソリューションの信頼性と性能だけではなく、当社のサービス部門が提供するサポートにも非常に満足されました。現在では、安心感のある冷却水処理システムの稼働が実現しています。

www.mt.com/ISM-chem www.mt.com/UniCond

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ns 腐食トラブルの克服塔頂コンデンサーの pH 制御

蒸留塔やコンデンサー配管の腐食は一般的ですが、コストがかかる問題です。プロセス水の pHレベルを最適に維持すれば腐食を大幅に減らすことができますが、プロセス条件が大変厳しいため、非常に堅牢な pH 測定システムが必要とされます。あるアラスカの製油所では、精度が高く長寿命の InPro 4800 i 電極により腐食の制御が大きく改善されました。

過酷な環境蒸留塔のプロセス水は、pH が低くても高くても、コンデンサー配管の腐食を引き起こします。従来、腐食防止剤を適正量投与することで pH 制御が行われていましたが、大きな問題を含んでいます。高い温度と圧力、硫化物の存在や炭水化物による皮膜の形成によって、ほんの数日で pH 電極が使用できなくなる可能性もあります。アラスカのある大手製油所は、塔頂コンデンサーからのサンプルラインに導入した pH 測定システムのメンテナンスに苦労していました。さまざまなメーカーの電極を試しましたが、毎日洗浄や校正を行ってもプローブはほんの1、2 週間しか使用できませんでした。センサのメンテナンスと交換にかかる余分なコストに加えて、腐食防止剤の過剰投入や投入量の不足が発生する懸念があることから、製油所のエンジニアは信頼できるソリューションを探し、メトラー・トレドの InPro 4800 i pH電極、InFit 761eセンサハウジングと M400変換器で構成される評価用測定システムを設置しました。

過酷な環境下における pH 電極防爆認定取得済の InPro 4800 i シリーズには、石油精製に適した多数の特長があります。

• 最高温度 130 °C (266 °F)、最大圧力13 barg (188 psig) まで動作可能

• 電極内部の拡散経路が非常に長く、硫化物、塩、有機および無機酸による汚染に対する高い耐久性

• PTFE 製環状液絡部によりスケール付着を防止

この電極はメンテナンスをほとんど必要とせず、蒸留塔における測定条件下でも高い耐性を示します。センサ名の末尾の「i」は、メトラー・トレドのインテリジェントセンサマネジメント (ISM) 技術を搭載していることを示しています。ISMは、メンテナンス負荷を減らし、取扱いを簡単にするユニークな機能を備えています。

予測診断機能ISM センサは、自身の消耗度合いと校正の必要性をモニタリングします。この情報は、ダイナミックライフタイムインジケータおよび適応校正タイマーとしてM400 変換器に表示されます。これら2つのツールを使うと、電極の状態や性能が通知され、測定精度が低下する前にメンテナンスを行うことができます。

プラグ&メジャー現場でセンサ校正を行うことは煩雑で、しかもアラスカの製油所の技術者にとって、冬季の作業は非常に厳しいものでした。ISM センサなら、快適

ケース スタディ

InPro 4800 i pH 電極の長い拡散経路

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nsな管理室や試験室で校正できるため、この問題も回避できます。PCとUSB 接続ケーブル、メトラー・トレドの iSense センサ管理ソフトウェアを使用すれば、InPro 4800 i を事前校正し、センサを次の使用まで保管できます。センサの交換が必要な場合、現在の電極を事前校正済みの電極と交換するだけで、わずか数秒で再び測定を開始できます。

InFit 761e センサハウジングInFit 761eは、さまざまな材質や Oリング、接続形状、挿入長の選択が可能で、市場で最も用途が広いハウジングの1 つです。耐久性に優れ、厳しい外部環境からセンサを保護します。

M400 2線式変換器M400 2線式変換器は、ISMセンサと従来センサの両方に対応します。簡単なボタン操作と大きなバックライト付きディスプレイによって、直感的な操作が可能です。M400 2線式変換器は、HART通信機能、2 つの設定可能な出力信号および PIDコントロールも備えています。

大幅なコスト削減 メトラー・トレドのシステムを 6ヶ月間試験運用して極めて良好な結果が得られたため、機器の採用が決定しました。製油所の技術者は、InPro 4800 iの過酷なプロセス条件への耐性と、メンテナンスがほとんど必要とならない点に感銘を受けています。これまで 2週間に1回必要だった pH電極の交換頻度は、現在では 2ヶ月に1回のみとなっています。また、センサのメンテナンスや交換を事前に警告してくれる ISM の診断機能も高く評価されています。最も大切なことは、信頼できる連続的な pHデータによって腐食抑制剤の使用量が 10 %低下したことにあります。耐久性に優れた pH 測定システムを必要とされている場合は、こちらから詳細をご覧ください:

www.mt.com/InPro4800 www.mt.com/ISM

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ns TNK-BP社がインライン pH分析により脱塩処理を改善

TNK-BP社では、不適切な脱塩処理が重大な問題を引き起こしていました。メトラー・トレドによって提供された堅牢で信頼性の高いインライン pHシステムにより、脱塩工程が大幅に改善されただけでなく、最終的な製品の品質も向上しています。

主要な生産会社TNK-BP社はロシアを代表する石油会社で、原油生産では世界の上位 10社に入る民間石油会社です。同企業は、ロシア BPの石油・天然ガス資産とAlfa, Access / Renova group (AAR)の石油・天然ガス資産の合弁企業として 2003年に設立されました。

TNK-BP社は約 50,000人の従業員を擁し、そのほとんどはロシアとウクライナにある 8か所の主要地域に配置されています。2009年の平均生産量は1.69 mboed(原油換算 100万バレル /日)です。

ロシア西部にある TNK-BPの精製子会社の一つは、車両用ガソリン、ディーゼル燃料、ジェット燃料、潤滑油などの高品質な石油製品を幅広く生産しています。

pHの重要性精油所の脱塩処理工程では脱塩装置の pH制御を行うため、排水の pH値をモニタリングしています。しかし、既存の pH電極による不正確な測定結果が下流工程での腐食や堆積物の問題を起こしていたため、その電極の性能と、さら寿命にも満足されていませんでした。このため、同社は、メトラー・トレドに対して、より信頼性が高く、メンテナンスが容易なシステムの提案を求めました。

システムの提案このようなお客様のご要望を受けて、メトラー・トレドは、InPro 4260電極、InTrac 777着脱式ハウジング、および M400変換器の組み合わせを提案しました。

InPro 4260 この電極は、粒子や炭化水素を多く含む最も困難な環境でも正確な pH測定と長い寿命が得られる、固体ポリマー電解質 Xerolyt Extraを特長としています。また、開放式液絡部によりプロセス液と電解質が直接接触します。頻繁に清掃を要するダイアフラムが使用されてないために、目詰まりの可能性が大幅に低減されます。

InTrac 777この着脱式ハウジングは、プロセスを中断することなく電極を洗浄できるフラッシングチャンバーを装備しています。

ケース スタディ

InPro 4260 pH 電極で採用されている Xerolyt EXTRA 固体 ポリマー電解質の開放型液絡部

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nsM400 2線式この 2線式変換器は、過酷なプロセスアプリケーションで正確かつ信頼性の高い連続測定が行えるよう設計されており、精油所の環境に最適です。M400 2線式変換器は HART通信機能を有し、HART上でセンサ診断情報などすべての ISM機能を利用できます。

お客様の満足度このシステムは、長寿命の電極、正確な測定、簡単なメンテナンスという、まさに TNK-BP社が求めているものを提供しています。しかし、それ以上に重要な点として、効率の良い脱塩処理によって、精油所の最終製品の品質が改善されたことが挙げられます。TNK-BP社は大変満足され、メトラー・トレドのシステムをさらに 6台設置する計画を立てています。

精油所での脱塩処理の改善をご検討の場合は、こちらから詳しくご覧ください。 www.mt.com/PRO-pH

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ns ファウリングの防止エチレン急冷プロセスにおける pHコントロール

オレフィンの製造では、ナフサあるいは天然ガスの原料が分解加熱炉で加熱された後、高温の蒸気と混合されて分解されます。これによりさまざまな反応が開始されますが、発生した混合ガスを水で急冷することで反応が停止します。次に、エチレンを含む混合ガスが、複数の加圧と分留を経て分離されます。急冷後のエマルションの形成は、深刻なエマルジョン付着や、効率および製造能力低下の原因となることがあります。

背景エチレンとプロピレンが、重要性が非常に高い基本的な有機化学物質であることは疑いの余地がありません。全世界のエチレン生産量は現在、年間で約1.3 億トンあり、現在も著しく増加し続けています。エチレンの総製造量の半分以上は、ポリエチレンの製造用として使用されています。エチレン製造で最も顕著な成長が見られるのは中東とアジア地域 です。

プロセスオレフィンの製造にはさまざまなプロセスや原材料が使用されますが、現在、飽和炭化水素の熱分解が広く普及している製造方法の一つです。このプロセスは次の 4つの段階に分けられます。

1. 蒸気分解高温に加熱した蒸気と共に、ナフサのような原材料が管状炉に供給されます。ここでは、750 ~ 1,000 °Cの温度環境下で飽和炭化水素が熱分解します。

2. 急冷不要な二次反応を防ぐために、分解された混合 ガスは水による直接急冷によって急速に冷却されます。熱は発生した蒸気により熱交換器で回収されます。

3. 精製プロセスの水と熱分解ガソリンが分離され、炭化水素ガスの加圧と濃縮が行われ、苛性剤による洗浄で硫化水素や二酸化炭素などの酸性ガスが除去されます。

4. 乾燥と低温分留混合ガスが一連の低温分留カラムを通過する前に、氷の形成を防止するためにその混合物を乾燥させる必要があります。

急冷タワー急冷工程では、重いガソリンは急冷タワーを循環する水に混じり、ガス状の化合物はタワー上部から

放出されます。液化ガソリンと水は、タワーの液体槽、またはタワー下部に接続されたオイル /水分離器で分離します。液体槽中の多くの炭化水素は水と同程度の密度を持ち、エマルション形成を引き起こします。エマルションの分解は非常に困難で、冷却水とともに炭化水素がタワー内を循環することがあります。これにより、充填塔 (タワー )への炭化水素の付着が増えるとともに熱の交換効率が低下し、運転停止時間が増加します。

苛性ソーダや有機アミンなどの中和剤を注入して、冷却液の pH 値を適切に維持することにより、エマルションの形成を大幅に防ぐことができます。

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計測システム原材料、特に供給する天然ガスにより、冷却水が大幅に汚染されることがあります。これにより、pH の測定と制御が複雑な問題となります。

InPro 4800 i pH 電極

環状の PTFE 液絡部と非常に長い拡散経路を持つInPro 4800 i pH 電極は、過酷な環境での使用を目的として設計されています。炭化水素混入物や硫化物の付着に対する耐性があり、長期にわたって、高い精度と高速応答が確保されます。

インテリジェントセンサマネジメント(ISM)テクノロジーを特長とするこのセンサは、診断機能をフル装備し、メンテナンスすべきタイミングをユーザーに通知します。

電極に対応する 2線式変換器 M400は、防爆対応で HART 通信機能と ISM診断機能を装備してい ます。

付着が激しい場合、自動洗浄 / 校正システムEasyClean 400を用いることで連続的な運転が可能となり、測定の信頼性を最大限に高めます。

www.mt.com/PRO-petrochem

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Utili

ties 革新的な光学式 DO技術で

発電所における腐食を最小化

発電所のサイクル化学において、重要なシステムにおける腐食と腐食生成物の堆積を最小限に抑えるためには、溶存酸素(DO)を適切に管理することが極めて重要です。多くの発電所で DO測定に隔膜ベースのポーラログラフ式センサが使用されており、理想的な環境においては高い信頼性が得られますが、実際の発電所の環境では課題が残ります。それらの課題は、光学式技術を採用したセンサにより解決することが可能です。発電所において光学式センサの使用が増加している理由は、正にその高い性能と信頼性にあります。

溶存酸素センサアプリケーションの概要 溶存酸素の制限値とその理論的根拠は、EPRI、ASME、VGBおよびその他の組織で制定された、多くのガイドラインにおいて明確に謳われています。[1,2,3] この値は、水の化学処理方法やボイラーのタイプ、動作圧力や設備の材質を基に慎重に設定されています。

溶存酸素を管理するために用いられる、供給水にの基本的な化学的処理方法として、酸化と還元の 2つがあります。供給水システムに銅が使用されており供給水を高品質に維持できない場合、あるいはそのいずれかの条件が当てはまる場合には、還元状態を維持しなければなりません。このような環境下では、腐食を防止するために溶存酸素を非常に低い ppbレベルで管理する必要があります。2番目の手法は、適切なレベルの酸化を用いることです。この方法は、供給水が高品質で、供給水システムが酸化により不動態化できる鉄合金製である場合にのみ使用できます。サイクルにおいて溶存酸素を低レベルに維持するため、メークアップ水は脱気処理されて、復水装置のホットウェルに酸素が侵入するのを防止します。

発電所によっては、サイクル化学アプリケーションに加えて、銅の腐食を最小限にするために発電機固定子冷却水の溶存酸素を測定および管理しています。

サイクル化学還元による揮発性物質処理、(AVT-R)は、供給水配管などに銅が使用されており供給水の品質が低い場合、もしくはそのいずれかの場合に必要です。AVT-Rでは、還元により金属表面に銅酸化被膜を形成させるために溶存酸素濃度を一桁の低い ppbレベルに減少させることを目的として、脱気と還元剤(ヒドラジンあるいはその他の還元用アミン)の

添加が行われます。これらの低溶存酸素環境下では、還元剤の供給速度を管理する上で、精度、感度、安定性および信頼性が鍵となります。溶存酸素測定が不正確であれば、還元剤が過剰に供給され、経済的な損失のみならず、不要な副作用が発生する可能性が高まります。さらにこれらが、流れ加速型腐食や重大なトラブルの引き金となる可能性があることです。そのため、このアプリケーションでは、還元状態が過剰とならないよう、酸化還元電位の測定も推奨されます。

配管などが鉄製の場合は、酸化による揮発性物質処理 (AVT-O)が極めて効果的です。還元剤は使用されず、弱い酸化環境が青色のマグネタイト (Fe3O4) 被膜上への赤色の水酸化鉄 (FeOOH)の形成を促進します。この組み合わせによって、最も耐久性に優れた表面状態となり、腐食の最小化が図れます。これを実現するために、脱気と供給水ヒーターベントの調整によって溶存酸素濃度が管理されます。

AVT-O 処理では、装置全体を不動態化するのに十分な酸素が供給されない場合があります。酸化状態を保つために供給水ヒーター前に酸素を供給する酸素処理 (OT) によって、緩やかな酸化状態が

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12 Chemical and Refining IndustriesMETTLER TOLEDO Best Practice

Utili

ties 維持されて、FeOOH形成による不動態化が供給水

システム全体に渡って行われます。正しい運転を確実に行うには、信頼性の高い溶存酸素測定が不可欠です(30 – 150 ppbの範囲)。

固定子冷却水冷発電機固定子による効率的な発電の可否は、固定子の状態に依存します。冷却水を適正にモニタリングし処理することで、銅の腐食や腐食生成物によるファウリングを最低限に抑制できます。適正に管理されないと、銅酸化物の堆積が起こり固定子軸の流路を制限するなどの影響が出る恐れがあります。堆積から生じる影響は、固定子の圧力低下から、重大な効率の損失、さらには固定子軸を永久的に損傷させるホットスポットに至るまで多岐に及びます。

図 1に示す通り、銅の腐食率は溶存酸素濃度に強い影響を受け、pHおよび温度も多大な影響を及ぼします。これらの関係について様々な研究が行われており、近年これら 3つの重要なパラメータをモニタリングする必要性についての理解が高まっています。さらには、電気的なフラッシュオーバーを防止したり、腐食を最小限に抑制したりするには、導電率を極めて低いレベル(一般的には 3 μS / cm未満)に維持する必要があります。

図 1に示す通り、非常に低い濃度または非常に高い濃度において腐食は抑制されるのに対して、 中程度の濃度では起こりやすくなることから、溶存酸素による影響は常に一定ではないことがわかります。このことから、溶存酸素濃度を< 20 ppb または > 2,000 ppbとすることが腐食の抑制にとって最適条件であるといえます。これらの間の濃度は銅の腐食を急激に促進するため、この領域に逸脱しないように厳しく制御することが重要です。pH8~9へのわずかな上昇も腐食を防止する上で非常に効果があり、この酸素のモニタリングと制御を実施するプラント数は年々増加しています。

正しい状態を維持するには、連続的かつ信頼のおける溶存酸素測定が鍵となります。低溶存酸素の制御を行っている発電機の場合、溶存酸素測定を行うことで、空気が純水装置または循環システムの他の装置からシステムへ侵入して、溶存酸素レベルを腐食領域まで上昇させていないかどうかを確認できます。高溶存酸素の制御を行っている発電機の場合、溶存酸素測定を行うことで、発電機コア内の水素ガスが冷却剤の酸素を置換しておらず、また腐食しやすい酸素濃度まで低下していないことを確認できます。

腐食率 [mg/m2 日あたり]

pH=7

pH=8 pH=8.5

0

10

20

30

40

50

60

70

80

溶存酸素 [ppb]

20 30 40 50 100

200

300

400

500

1000

2000

3000

4000

5000

図 1: 溶存酸素と pHによって影響を受ける銅の腐食率(グラフ出典 Power Plant Chemistry )

溶存酸素 [ppb]

温度 (°C)

00

2

4

6

10

12

14

16

5 10 15 20 25 30 35 40 45 50

図 2: 溶存酸素の溶解性

低溶存酸素濃度を保つ場合、測定機器の要件として、溶存水素の影響を受けないことが求められます。これは、ポーラログラフ式センサに見られる一般的な問題です。ポーラログラフ式センサは水素に対してネガティブな反応をし、読み取り値の間違いやセキュリテイ上のエラーを起こすことがあります。

メークアップ (補給 )水の処理 貯蔵タンクや復水装置のホットウェルにおいては溶存酸素レベルは可能な限り低く保たれていますが、最終的に補給水がそこに到達する前に、補給水自体の溶存酸素をモニタリングすることが重要です。脱気処理は、補給水処理において極めて重要であり脱気処理のパフォーマンスをモニタリングするためには、溶存酸素測定は不可欠です。応答の早いセンサであれば、大量の空気がホットウェルへ到達する前に、脱気処理の不具合をユーザーへ直ちに警告できます。

酸素溶解度上述の重要なアプリケーションでは、幅広い範囲で酸素測定に高い精度と信頼性が求められますが、特に低濃度領域において高いレベルの測定性能が求められます。酸素測定用の分析機器は数多く存在するため、精度、安定性、低メンテナンス性などのバランスを考えて最適な機器を慎重に選ぶ必要があります。現在利用されている技術について検討するために、酸素溶解度についての基礎を解説し

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13Chemical and Refining Industries METTLER TOLEDO Best Practice

Utili

ties ます。

図 2に示す通り、ある大気圧における水への酸素溶解度は温度に依存します。グラフ曲線から推測した場合、100 °C での溶解度は、沸騰時の水蒸気圧が 1気圧になるためゼロになります。水に対する気圧が増加した場合、曲線全体は上にシフトします。その逆の作用として、脱気器はすべての溶存ガスを取り除くために、真空圧や温度上昇を利用しています。

従来の溶存酸素センサの動作従来の電気化学的な溶存酸素センサは、センサの電解液をサンプルから隔離するポリマー膜の気体透過性を利用しています。この隔膜を通して、酸素は被検液中から電極内の電解液中に移動し反応しますが、電極内に被検液が混入することはありません。このような設計では、電気化学環境が上手く管理された、汚染のない状態で維持されます。図 3は、電気化学的な溶存酸素センサの先端部分を示しており、下部の水色部分が被検液、その上には PTFE層、シリコン、ステンレススチール製メッシュ 膜、カソードおよびプローブ内の電解液が描かれています。

膜を通る酸素の拡散率は、サンプル内の酸素の分圧に比例します。膜厚と材質も拡散率に影響しますが、固定値でありその特性は校正と温度補正で考慮されます。

膜を透過する酸素分子は、カソードで化学反応を起こし、サンプルの酸素量に直接比例して電流が発生します。電流は酸素分圧に比例する測定信号であるため、少なくとも一定温度においては溶存酸素の濃度も算出することが可能です。

温度が変化する測定環境において分圧から濃度を算出するには、図 2に示す関係を基に信号を補正する必要があります。すなわち、分圧で示される水中の溶存酸素濃度は、温度に依存しています。測定値を温度補正するために、抵抗温度検出器 (RDT)信号が使用されます。これらの詳細な背景については、ASTM規格に記載されています。[4]

カソード

スチールメッシュ

シリコン

電解液層

O2 O2O2

O2

PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)

図 3: ポーラログラフ式溶存酸素センサの構造図

ポーラログラフ式センサの限界電気化学測定技術は広く使用されていますが、多くの課題があることも事実です。同センサの限界を確認することで、新しい技術の利点に対する理解度が深まります。

膜ベースの溶存酸素センサには通常、高濃度サンプルから低濃度サンプルへ切り替えた場合の応答の遅れがあります。これは、空気校正、スタートアップ、あるいは高濃度の溶存酸素に晒される間に電解液に残った酸素が膜から拡散したり、あるいはカソードやガード電極で消費されるのに長い時間を要することに起因します。したがって、高溶存酸素を測定していると、センサを溶存酸素濃度の低いサンプルに戻した後でも直ぐには変化しません。いくつかのアプリケーションで溶存酸素を管理する必要がある場合、大気校正の後、測定値が通常のレベルに戻るのを待つことはユーザーにとって大きな時間の無駄となってしまう場合があります。また、プラント運用の開始中に、最大圧力に進む前に供給水を脱気処理して受容可能なレベルにする必要があるときにはコストがかかってしまいます。反応の遅い溶存酸素センサによってプラントの運転開始が遅れた場合、途方もない量の燃料が無駄になり、溶存酸素センサの性能満足のいく状態に達するまで、電力販売の機会は失われることになります。

低い流速で従来の酸素センサを用いた場合、大量の酸素が膜を通過して、膜に隣接した被検液から酸素が容易に消費されます。これにより、真の値よりも低い測定値が得られることになります。同じ影響が膜のファウリングにも起こります。すなわち、従来のプローブは被検液中の酸素を消費するために被膜に対して極めて敏感で、被膜が形成されるにつれてマイナスの誤差が徐々に増加してゆきます。従来型のセンサが流速と流通ハウジングのデザインに影響を受けやすいのは、これらの問題に起因しています。溶存水素は、ほとんどの膜ベースのポーラログラフ式溶存酸素センサの動作に悪影響を及ぼします。水素は発電所の固定子用冷却水や原子力発電所のサンプル水にしばしば存在し、溶存酸素の測定を阻害したり、測定値がマイナスにな

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14 Chemical and Refining IndustriesMETTLER TOLEDO Best Practice

Utili

ties るなどの現象を引き起こします。

しかしながら、ポーラログラフ技術に関して最も重要視されている課題は、センサのメンテナンスと校正に費やされる費用とその頻度にあります。発電所では一般的に、このタイプのセンサは測定性能の劣化に合わせて月1回程度の膜交換と校正が必要です。センサタイプにもよりますが、メンテナンスにはセンサを分解するための専用ツール、有害な化学薬品による洗浄、電極の研磨や、個人差が出る可能性のある膜などの部品の再組立てなどが含まれます。現在多くの企業でメンテナンス費用の削減を図ろうと努力をしており、高い頻度で実施されるメンテナンスに伴い必要とされる稼働停止時間や追加コスト、そして大きな人件費は無視することができないものとなっています。

光学式センサ技術約 10年前、ppb レベル測定用の第 1世代の光学式溶存酸素センサが発電所向けに導入されました。このセンサは、蛍光消光という現象を利用して溶存酸素を正確に測定します。蛍光とは、物質が一定の波長(色)の光を吸収し、そのすぐ後で異なる波長の光を放出する現象です。

蛍光消光とは、他の物質(消光剤、この場合は酸素)によって引き起こされる蛍光の減少を意味します。消光の度合いは、サンプル中に存在する酸素量に依存し、光の吸収と放出の間の位相のずれを測定することで定量化されます。

観察される位相のずれは、図 4に示す通り、酸素の濃度に直接関係します。しかし、濃度曲線は、ポーラログラフ式センサのように線形ではなく、シュテルン -フォルマーの式に従います。蛍光の強度と寿命を注意深く測定することにより、光学式センサはサンプルの酸素濃度を正確に算出できます。

0

0.2

0.4

0.6

0.8

1

% 酸素 (空気と比較)

フェーズシフト

20%0% 40% 60% 80% 100% 120% 140%

図 4: 光学式溶存センサの応答

第 1世代の光学式溶存センサには、光感受性物質(クロモフォア)の寿命、低濃度領域の感度、そし

て信頼性の面で限界がありました。その後の開発の結果、第 2世代のセンサはあらゆる領域において優れた性能を発揮しています。

メトラー・トレドの純水向け光学式溶存酸素センサは、この技術をベースに、簡単に交換可能なユニットの使用、クロモフォアを固定したセンシング素子 OptoCapも含めて、最新の技術が搭載されてい ます。

図 5に示す通り、青緑光が LEDで生成されて、光ファイバーケーブルを介して、OptoCap内のクロモフォアに到達します。戻りの赤色蛍光もまた、光ファイバーを通って光検出器に到達します。2つの光信号間のタイミングと強度(位相のずれ)を基に、高精度の溶存酸素値が求められます。

応答時間は、ポーラログラフ式センサと比較して4~5倍速くなります。電解液が不要でメンテナンスは簡単で、さらに頻度も大幅に低減されます。純水用光学式溶存酸素センサに必要なのは、年1回のOptoCapの交換のみとなります。

純水用光学式溶存酸素センサは応答が非常に速く、大気校正はシンプルで時間もほとんどかかりません。さらに、プロセス校正により、プラントの運転を中断させることなく、センサ性能の最適化が可能になります。

マルチパラメータ、マルチチャンネル機器 光学式技術によって提供される利点に加えて、測定機器も改善されています。変換器は1台で溶存酸素測定に加えカチオン導電率、pH、ORPの追加チャンネルを組み込むことも可能です。

この機能は、溶存酸素の制限値がカチオン導電率レベルに依存する酸素処理のような、水の化学処理を成功させる上で、複数の測定が不可欠な場合に特に便利です。1台の変換器で複数の測定を同時に行うことで、制御盤上の限られたスペースで測定センサ数を最大化して、測定コストを削減することができます。

まとめ溶存酸素レベルの管理は、発電所においてなくてはならないものです。信頼性が極めて高い光学式溶存酸素測定技術が開発され、稼働停止時間を短縮したり、高価な装置が腐食するリスクを低減するなどのメリットをもたらしています。メンテナンスの頻度と複雑さが低減されたことで、人件費が節約され、水処理システムは長期間効率良く運用されるようになり、結果として運用コストの削減を実現できます。応答時間が大幅に短縮され、電気化学セ

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ties

ンサの場合のように電解液中の溶存酸素レベルが安定するまで待つ必要がないため、迅速なスタートアップが可能となります。さらに、溶存酸素測定の信頼性が向上したことで、サイクル化学および超純水システムが不安定になった場合でも、安心して対応を行うことができます。

参考文献1. “Comprehensive Cycle Chemistry Guidelines for Fossil Plants,”

1021767, Electric Power Research Institute, Palo Alto, CA (2011).

2. “Consensus on Operating Practices for the Control of Feedwa-ter and Boiler Water Chemistry in Modern Industrial Boilers,” (1994).

“Consensus on Operating Practices for Control of Water and Steam Chemistry in Combined Cycle and Cogeneration,” (2012).

“Consensus on Operating Practices for the Sampling and Monitoring of Feedwater and Boiler Water Chemistry in Modern Industrial Boilers” (2006).

American Society of Mechanical Engineers, New York. 3. “VGB-Standard, Feedwater, Boiler Water and Steam Quality for

Power Plants / Industrial Plants,” VGB-S-010-T-00;2011-12.EN. 4. Standard Test Method for On-Line Measurement of Low-Level

Dissolved Oxygen in Water, ASTM International D5462-13, W. Conshohocken, PA.

www.mt.com/thornton-do

励起 LED

光学式フィルタ

センサヘッド

センサシャフト

OptoCap

光ファイバー

キャップスリーブ

温度センサ

O リング

メディア

金属製本体 ガラス

光層(クロモフォア)

光学的分離 (黒シリコン)

検出器 比較 LED

図 5: 純水向け光学式溶存酸素センサの構造と測定原理

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メークアップ水の測定逆浸透膜を使用したメークアップ水処理システムのモニタリングと制御には、供給水や精製後の水を測定するために複数の導電率センサが必要となります。供給水として海水を使用すると導電率は特に高くなり(約 50 mS/cm)、通常高いセル定数のセンサか、4極式または誘電式導電率センサが必要となります。

水が ROシステムを通過するに従い溶解しているミネラル分濃度と導電率は低下し、より多くの測定点を必要とします。通常は次第にセル定数の低いセンサが必要となります。最終的に、導電率の最終表示値である < 0.06 μS / cmで脱イオン水が生成されます。この測定には、多くの場合非常に低いセル定数が必要となります。ROシステムの入口から出口に至るまでに、導電率は 6桁ほど低下します。水の純度に関するガイドラインと規格に準拠していることを証明するために、最終の RO処理水を高い精度で測定することが不可欠です。水処理を外注している場合、契約時の規格を達成しているか検証するために、信頼性の高い継続的な測定が必要になります。

1本のセンサにすべて統一以上のすべてを同じモデルの導電率センサ1本で測定できる技術が、インテリジェントセンサマネジメント (ISM®) 技術です。UniCond® 導電率センサ(ISM機能付き)は、測定回路、校正データメモリおよびアナログからデジタルへの信号変換回路を全てセンサ内に内蔵しており、ケーブルの抵抗と静電容量の影響もありません。測定回路には内部自動レンジ調整機能が含まれており、かつてないほどの幅広いレンジ対応能力を実現しました。センサからはデジタル信号のみが出力されるため、ケーブルが長い場合でも導電率や温度測定値が影響を受けることはありません。

すべての UniCondセンサの校正データは内蔵メモリに保存されるため、センサや変換器を交換して

も、データを失ったり混同したりすることは決してありません。センサ内蔵測定回路とメモリにより、工場出荷時の校正精度と設置時の精度が同じとなります。ケーブルの長さや敷設経路が性能に悪影響を与えることはなく、常に正しい校正データを使用できます。

サイクル化学 (Cycle Chemistry)測定多くのサイクル化学サンプルには、プラントの立ち上げ時や負荷変動中に放出された腐食物粒子が含まれています。従来の導電率センサを純水測定に使用していると、これらの粒子が電極の間に詰まってしまうことがあります。これにより、センサの部分的な短絡が発生したり、誤って導電率を高く測定してしまう場合があります。UniCondセンサの電極間隔は、純水測定用の他の導電率センサに比べてかなり広くなっています。そのため、UniCondセンサは腐食物粒子の存在下でも性能を損なうことなく動作が可能です。

UniCondセンサは、サイクル化学サンプルにおいて特に正確な測定を実施できます。セル定数と温度の校正は ASTMおよび NISTにトレース可能であり、出荷時と運転時における高い精度の校正を保証し

発電所における導電率測定水処理およびサイクル化学における測定

発電所における水処理システムで使用される原水から超純水までの導電率測定には、それぞれの水のレベルに合ったセンサが必要とされるのが一般的でした。新しいセンサ技術により、幅広い範囲を1本のセンサで測定できるようになり、同時により高い精度を達成できるようになりました。

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Utili

ties ます。内蔵の測定回路とセンシング部はシステムと

して一体で校正されるため、設置によって生じる変化はありません。そのため業界屈指の精度を達成しています。ISM機能を搭載した UniCond導電率センサ技術は、供給水とサイクル化学測定において最高のパフォーマンスを提供します。

www.mt.com/UniCond

導電率センサ:電極間隔が小さい従来の電極(左) / 電極間隔の広いUniCondセンサ(右)

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18 Chemical and Refining IndustriesMETTLER TOLEDO Best Practice

Utili

ties 低導電率サンプルの

pH測定

発電所サイクル化学 (Cycle Chemistry)におけるガイドラインや規格では、貴重な部材の腐食を最小限に抑えるために、pHは非常に狭い範囲に収まるように指定されています。また、メークアップ水処理システムでは、直列 2段の逆浸透法で 2つの逆浸透膜間の pHを注意深く制御し、性能を最適化します。どちらの場合においても、低導電率という困難な条件下で、pHを正確に測定する必要があります。

背景 高純水の pH測定は、枝配管から、大気開放のドレインへ通じる流通ハウジング内へサンプルを導き、実施する必要があります。これにより、この測定を不安定にする最大の原因である、空気との接触による汚染を防ぎ、比較電極の液絡部におけるサンプル圧力を一定かつ最小に保つことが可能となります。

一般的に、電気的なノイズから遮蔽するためにステンレス製のハウジングが使用されます。測定に必要な低い流量でサンプル測定の遅延 (時間的なずれ )が発生するのを最小限に抑え、同時に高価な高純水の廃棄量を最小限に抑えるために、サンプリング用の枝配管直径を非常に小さくする必要があります。サンプル水の純度が高くなるほど(特に導電率が50μS / cmを下回る場合)、測定はより困難になります。このような条件下ではガラス膜と比較電極との間の電気抵抗が高く、比較電極の液絡部における電位はより変化しやすくなり、流通ハウジングや電極の表面に発生する流動電位・静電荷は増加します。そして一般的に、測定値はより多くのノイズを含むようになります。また、標準液と高純水では液絡部におけるイオン強度に大きな差があるため、標準液による校正と純水測定値に顕著な差が発生する可能性があります。

更に、流通ハウジングの容積に対するサンプル流量についても考慮する必要があります。比較的大容量のハウジング(pH測定と比較電極、温度補正用のセンサがそれぞれ独立している場合に必要とされるような)を使用すると、サンプル中の腐食生成物やイオン交換樹脂粒子は流通ハウジング内に付着し堆積する傾向があり、そこでイオン性物質の吸脱着が起こります。結果として応答の遅延が発生し、性能と精度に悪影響を及ぼします。

代替策として、pH測定と比較電極、温度補正センサが1本になった一体型のプローブを用いると非常に容積の小さなハウジングを使用することができ、サンプルの流れと共に押し出されることで粒子が堆積するのを防ぎます。その結果、応答が非常に速くなります。

オプション 空気に触れない密封型の低容量流通ハウジングや一体型の電極といった基礎的な設計に加え、さまざまな比較電極システムの選択が可能です。例えば、ゲル、加圧ゲル、液体電解質が充填されたタイプなどが挙げられます。

ゲル充填タイプの電極は、液絡部の電位がサンプルの種類によって非常に多大な影響を受け、結果として校正時と測定値の間に 0.5pHまたはそれ以上のずれが発生するため、高純水の測定には適していません。

加圧ゲル充填タイプの電極は、少量の塩化カリウムゲルを注入することによって、比較電極液絡部の電位の安定性が向上しています。メトラー・トレドのpHure センサ™システムは、このタイプの電極を採用しています。1年間の製品寿命期間を通じて、時折校正を行う程度でそれ以外のメンテナンスを必要としません。

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Utili

ties

pHure センサ(加圧ゲル充填リファレンスシステム)

液体電解質タイプの電極は、液絡部から電解液を安定して流出させることによって、最高の測定精度を提供します。定期的に電解液を補充する必要がありますが、これにより数年の製品寿命を維持できます。メトラー・トレドの pHure センサ LE は上記のタイプで、加えて便利な標準液校正用コンテナが付属しています。

pHure センサ LE(液体電解質比較電極システム)

インテリジェントセンサマネジメントメトラー・トレドの pHureセンサ電極には、インテリジェントセンサマネジメント(ISM®)機能が搭載されています。この技術は、迅速でエラーのないプラグ&メジャー起動、電極に内蔵されたマイクロプロセッサによる高品質の信号、出荷時校正やユーザー校正データのセンサへの保存、リアルタイムの予測診断など、多くの価値ある機能を提供します。

これらのセンサは、ASTM規格 D5128、「低導電率水のオンライン pH測定のための試験方法」に準拠しています。

www.mt.com/PRO_power

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Utili

ties 純水処理とタービン保護のための

信頼性が高いシリカ測定

背景 シリカはあらゆる供給水に存在するため、膜分離およびイオン交換、もしくはそのいずれかを用いて除去する必要があります。シリカは、イオン交換によって極めて緩やかに捕捉される陽イオン汚染であり、陰イオンまたは混床式イオン交換器で破過が発生します。

陰イオン交換直後のメークアップ水処理におけるシリカのモニタリングは、再生開始の判断のために非常に重要です。シリカの破過の検出により、単床式イオン交換器に比較してより高価で時間がかかる混床式イオン交換器の再生頻度を下げることで、運転停止に伴い発生する運用コストを削減できます。

混床式脱イオン装置で処理した後のメークアップ水の品質は、低 ppbレベルのシリカ濃度まで極めて敏感にモニタリングできます。シリカの導電率はごくわずかであるため、導電率測定で検出することはできません。

シリカは蒸気で揮発し、除去するのが極めて困難なケイ酸塩として高圧タービンブレードに堆積します。タービンにおいては、わずかな厚さのケイ酸塩でもその能力と効率を低下させて、発電容量と効率の不均衡を引き起こし、ブレードが外れる場合もあります。シリカはまた、熱交換器表面にも堆積し、発電所で使用されている部品の熱効率を低下させます。

シリカは冷却水に常に存在するため、感度の高いppbレベルのシリカ測定がコンデンサーのわずかな漏洩の検出や復水脱塩装置の使用されます。前述の通り、導電率ではシリカを検出できないため、シリカ測定では高い感度が必要となります。

連続的なインラインのシリカ測定は、使用済みイオン交換樹脂と蒸気のキャリーオーバーによる汚染からの保護という観点でも最も効果的な手段です。

シリカ測定一貫性のある結果を得るために、正確なシリカ測定には注意が必要です。測定は、シリカによって変色するモリブデン試薬を使用し、吸光度を測定することにより行います。高い感度を実現するために、還元剤を加えて、色の変化を強化します。色の変化が完全になるように、十分な反応時間を取ります。リン酸塩もまたモリブデンに反応するため、リン酸塩が使用されるボイラードラムでは、その影響を防ぐために、3番目の試薬を加えます。また、サンプル自体の透明度や色の変化に対してドリフトなしに対応する必要があります。

ソリューションメトラー・トレドのシリカ分析装置 2800Siの設計は、これらの難しい測定にも対応できるよう最適化されています。各測定サイクル毎に自動ゼロ点再調整を行うことで、サンプルの色や透明度のいかなる変化にも対応できます。次に、2800Si は反応に適正な量の試薬を自動計量して、測定を実施します。自動洗浄が完全に終了した後、ユーザが設定した時間に基いて測定サイクルを繰り返します。測定サイクルの設定が可能となったことで、測定間隔と試薬消費のバランスを最適化することができます。

ボイラー供給水に存在するシリカにより、タービンへの堆積物が速い速度で形成されていきます。シリカは非稼働中のクリーニングでのみ除去できることから、水サイクルにシリカが侵入するのを防ぐことが最善策となります。

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21Chemical and Refining Industries METTLER TOLEDO Best Practice

Utili

ties 2800Siは、ユーザーが設定した間隔で無人の自動

スパン校正を実施することが可能です。本装置では調整や取扱いが容易な高濃度の標準液が使用され、校正に適した低濃度に自動的に希釈されます。

メトラー・トレドのシリカ分析装置 2800Siは、外部環境から試薬容器やその他の部品を保護するために、完全密閉型のキャビネットを使用しています。

www.mt.com/thornton-silica

メトラー・トレドのシリカ分析装置 2800Si

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22 Chemical and Refining IndustriesMETTLER TOLEDO Best Practice

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ties ナトリウム分析装置により

水と蒸気の純度をモニタリング

背景 ナトリウムは供給水の中で最も一般的な陰イオンの1つであり、膜分離、蒸留、あるいはイオン交換を用いて除去する必要があります。ナトリウムイオンは、陽イオン交換によって極めて緩やかに捕捉される陽イオンであるため、陽イオン交換樹脂でいち早く破過が発生します。

陽イオン交換直後のメークアップ水処理におけるナトリウムのモニタリングは、再生開始を判断するための重要なパラメータとなります。ナトリウム破過を素早く検出して運転を停止させることで、単床式イオン交換器に比較してより高価で時間がかかる混床式イオン交換器再生の頻度を下げることとなり混床式イオン交換器に加わる負荷を削減できます。

混床式イオン交換器で処理した後のメークアップ水の品質は、低 ppbレベルのナトリウム濃度まで極めて敏感にモニタリングできます。ナトリウムは一般的にイオン汚染の代表的物質であり、低導電率水中で低濃度レベルのナトリウムを精度よく測定することで、蒸気 /水サイクルに供給する純水の品質を確実に保証することができます。ナトリウムはさまざまな種類の腐食の要因となるため、その測定は非常に重要です。

水酸化ナトリウムは、他のナトリウム塩よりも揮発性が高く、蒸気によりキャリーオーバーされるナトリウムの主な由来物質となる場合があります。

腐食メカニズムには、苛性脆化と応力腐食があり、低圧タービンのブレードやその他の装置の隙間などに接触する最初の凝縮水中でアルカリ濃度が著しく濃縮されるにつれて悪化していきます。蒸気中の汚染物質のキャリーオーバーを最小化するために、ボイラー操作が適切になされているかのモニタリングに多大な努力が払われています。また別の領域の問題として、ボイラー配管中の苛性ガウジングもあります。

ナトリウムは常に冷却水に存在するため、コンデンサーの微量な漏れを検出するため、極めて高感度な ppbレベルのナトリウム測定が行われます。この

感度は、陽イオン導電率よりもはるかに高いものとなります。例えば、0.2 ppb のナトリウム (NaClとしては 0.5 ppb) が混入した場合の導電率の上昇は、わずか 0.001 μS / cmで検出は困難です。汚染の早期発見により、コンデンサーの漏れが拡大して深刻な問題が発生する前に、是正措置を計画することが可能になります。

ナトリウム測定の課題正確な微量レベルのナトリウム測定を行い一貫性のある結果を得るためには、多くの注意が必要です。測定では、イオン選択電極、比較電極を使用し、ナトリウムのみに応答するようにサンプル調整を行います。また、水素イオンの影響を抑えるためにサンプルの pHを上昇させます。さらに設計上、測定前に比較電解液がサンプルを汚染するのを防ぐために、比較電極をナトリウム電極の下流に設置することが重要です。その他の課題として、低濃度の標準液は汚染の影響を受けやすく、低濃度領域の校正が困難であるという点があります。

ソリューションメトラー・トレドのナトリウム分析装置 2300Naは、計測に関する幅広い経験に基づいて設計されています。電極はナトリウムイオンへの高い選択性をもち、さらにジイソプロピルアミン試薬を使用することでさらに選択性を高めます。また、pH測定を行うことで、適切な試薬添加が実際に行われていることを確認し、pHが低い場合にアラームを出すことが可能です。効率の観点から、比較電極はナトリウムと pH測定の両方に用いられています。

水や蒸気中のナトリウムの自動オンライン分析は、発電所の純水システムと蒸気タービンに損害を招く腐食や堆積物を防止するのに役立ちます。

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23Chemical and Refining Industries METTLER TOLEDO Best Practice

Utili

ties さらに、2300Naは無人の自動校正が可能で、校

正には調整や取扱いが容易な高濃度の標準液が使用されます。標準液は、校正に適した濃度まで自動的に希釈されます。また、既知量添加法を採用しており標準液を複数回添加し、アナライザを完全に校正することができます。

メトラー・トレドの 2300Na は、設置する環境に応じて完全密閉型キャビネットと半密閉型の 2つのタイプから選択することが可能です。

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メトラー・トレド株式会社プロセス機器事業部〒110-0008 東京都台東区池之端 2-9-7 池之端日殖ビル1FTEL: 03-5815-5512FAX: 03-5815-5522

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