“Suica”が世界を変える...2019.12.15_蔵前工業会埼玉支部講演 Copyright 2019 JR East Mechatronics Company. All rights reserved 3 国鉄改革とは？私から見た国鉄改革とは

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JR東日本メカトロ二クス㈱

取締役会長椎橋章夫

2019年12月15日

“Ｓｕｉｃａ”が世界を変える！－新しい社会インフラ創造への挑戦－

（レジュメ）


膨大な借金で経営が破綻

「国鉄改革」へ

国鉄（日本国有鉄道）の問題点は…

・経営管理の限界を超えた

巨大全国組織

・全国画一的な運営

・競争意識の欠如日本国有鉄道

「国鉄改革」（1987年）；旧国鉄⇒旅客6社と貨物1社に分割

○営業成績・社員数約５２，６００人・収入約１兆９千億円

○鉄道事業・駅数約１，７００駅・利用者約１６００万人／日

（世界最大）

○生活サービス事業・ショッピングセンター・駅中の店「エキュート」・ホテル等

東京

大阪

JR東日本

JR北海道

JR東海

JR四国JR九州

JR西日本

「国鉄」から「JR」へ


国鉄改革とは？

私から見た国鉄改革とは⇒まさか会社が潰れるとは・・・

・先ず驚いたことは

・意識改革⇒価値観が１８０度変わった

利益＝収入ー経費企業理念⇒指針の唱和、会社（法人）としての行動

・自立と自律⇒一人称が主体「私が変われば会社が変わる！」

何でもやって見よう！チャレンジ精神

やがてSuicaが誕生

ＪＲ東日本の事業ドメインは「鉄道業」でも「輸送業」でもない

総合技術サービス産業


「乗車券」のＩＣ化が意味するもの

鉄道事業

⇒乗車券は、対価の証票に過ぎない。しかし、乗車券のＩＣ化によって・・・

乗車券のＩＣ化は、ビジネス全体に革新(拡張性）をもたらした

媒体（カード等）

乗車券

電子

バリュー

拡張領域

個別認証機能

ネットビジネスへの

拡張性

事業エリアの

拡張性

サービスの

拡張性

ＩＣチップ

認証ビジネスへの活用（例）入退館ビジネス

マンションキー

マーケティングへの活用（例）ポイント

更なるビジネス展開

媒体ビジネスへの活用

（例）ｸﾚｼﾞｯﾄｶｰﾄﾞとの一体化

携帯電話との一体化

（他の媒体にＩＣ機能を提供）

決済ビジネスへの活用

電子マネー事業等

Ａ地点Ｂ地点（旅客・貨物）

鉄道事業の中の「改札」という、たった一つのプロセスの１００年来の改革

思わぬ発展へ⇒改革には多大なエネルギーが必要！


ICカードと読み取り機の開発

基礎の研究と開発

３次

開発

92 93 94 95 96 97

夢のカードへの挑戦（ICカードと対応改札機の開発）

Suica PTの推進

２次

開発

１次開発

～87 to 91 98 99 to 01

実用システム

の開発・導入

ＪＲ東日本の鉄道用ＩＣカード開発の歴史

第１次試験

第２次試験

第３次試験評

価

実用化システム導入

開発から実用化までに16年かかった！

▼役員会で承認▼プロジェクト設置


タッチタッチ

ゴー

Suicaの使い方「タッチ＆ゴー」の誕生

ICカードの通信範囲半径10㎝の半球状

電波は目に見えないため、わかりにくい

《実験で分かったもう一つのこと》

「非接触」「見せる」「かざす」 ⇒ “タッチ＆ゴー”

‘呼び名’ でユーザの行動は大きく変わる「メンタルモデル」

処理時間 0.2秒の壁


夢のカードへの挑戦（まとめ）

ＩＣ乗車券システムの開発⇒真のサービスとは・・・

・高速で正確で安定したシステム⇒相反するニーズへの挑戦

・「提供する側の視点」から「使う人の視点」へ⇒本当のサービスへの挑戦（お客様、社員、社会）

・人間と機械の関係（マンマシン・インターフェイス）⇒全く新しい商品の利用法をどう伝えるか？

タッチ＆ゴー振り返り処理リーダ／ライタ・カバーのデザイン等

・「あらゆる利用ケースを想定しシステムを開発」⇒想定外には対応できない！

最初は2人で始まったプロジェクト・・・やがて２００人の体制へ！


Ｓｕｉｃａプロジェクトの推進（まとめ）

・投資額は４６０億円 ⇒役員を説得（ＩＣカード展開の基本的考え方）

⇒３重の同心円⇒鉄道を中心に順次拡大⇒将来性の可能性大

・どうやって進めるか？ ⇒プロジェクト体制の整備⇒業務改革はトップダウン（主査：副社長）

・システムを愚直に検証（２２８００件と５５０万件）・首都圏一斉導入

⇒一夜で機器約１万台をＩＣ化する方法は？⇒Ｓｕｉｃａを当日まで発売しない？

・導入まで続いたトラブル対応⇒海外からのトラブル⇒導入が約１年遅れる（良かった？）⇒リライト技術は最後まで難関だった⇒開業３日前のトラブル（浅草橋・倉賀野事件）⇒全てのシステムを再び愚直に検証する（前日の夜２０時に終了）

最初は2人で始まったプロジェクト・・・やがて２００人の体制へ！


銀行他クレジット会社他鉄道会社

鉄道機能を武器に部外へ展開ビューICカードビューICカード

グループ企業

ICカード展開の基本的な考え方

◆鉄道ICカードを中心とし、グループ企業、さらに外部へと順次展開を進める。

鉄道事業

鉄道ICカード鉄道ICカード

鉄道ICカードが中心定期券+SFの機能拡大

ビューICカードに鉄道機能を付加

→グループ内へ展開

複合化複合化

（役員説明資料）


10種類のIC乗車券（電子マネー含む）相互利用！

１事業者

鉄道54駅

15事業者

鉄道966駅

104事業者

鉄道1,294駅

1事業者

鉄道149駅

10事業者

鉄道399駅

④JR 東海（TOICA）

①JR北海道（Kitaca）

②JR東日本（Suica）

1事業者

鉄道35駅

⑧福岡市交通局（はやかけん）

⑤トランパスIC協議会（manaca）

33事業者

鉄道643駅

⑥JR 西日本・四国（ICOCA）

③パスモ（PASMO）

7事業者

鉄道298駅

⑩JR 九州（SUGOCA）

55事業者

鉄道1,078駅

⑦スルッとKANSAI協議会（PiTaPa）

21事業者

鉄道72駅

⑨西日本鉄道（nimoca）

2013年３月２３日スタート

⇒計 248事業者の相互利用ネットワーク⇒鉄道4,977駅、バス約50,000台

⇒電子マネー利用58万店舗⇒発行枚数1億3000万枚超

新潟交通（りゅーと）

札幌市交通局等（SAPICA）

片利用

どのIC乗車券でも全国で利用可能に！

２０１９年１月末現在

仙台市交通局等（icsca）2016年3月

仙台圏限定相互利用


古代ラテン語では「move」と「mobile」は語源が同じmove:

交通系ICチケットSuicamobile:携帯電話

非接触ICチップを搭載（Suica用にイニシャライズ）

2006年1月28日モバイルSuicaサービス開始：定期、乗車券、電子マネー

2008年3月モバイルSuica特急券サービス：新幹線対応エクスプレス予約ICサービス開始

会員数；約775万人（2019.7月末現在）

2010年3月オートチャージサービス開始2011年7月 Android スマートフォン対応

Suica付携帯電話｢ﾓﾊﾞｲﾙSuica｣とは？

「改札」プロセスの革新「出札」(指定券購入)プロセスの改革革新の連鎖

2016年10月 iPhone 対応

＋通信機能

画面表示


Suica情報をベースにした新しいビジネス

全生活情報の蓄積（移動情報・決済情報・買い回り情報etc…）

グループ企業やグループ以外の企業

提携企業

お客さま

①情報ソリューション提供

商品/サービス商品/サービス

ToCＴｏＢ

ＩｎＢ

（グループ外企業向けサービス）（「個客」向け

サービス）

（グループ内活用）③情報

②情報

★Suica情報の特徴

１．強大な情報データベース

２．お客様の生活・行動情報

３．IDナンバー別に管理

情報ビジネスの展開へ

○移動情報・決済情報を組み合わせた新しいサービスの創出

○マーケティング・ソリューションビジネスの展開

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第1次インフラ（社会基盤）

第2次インフラ（生活基盤）

目的生きるためのインフラ豊かさのためのインフラ

方向供給者の視点⇒技術志向

利用者の視点⇒サービス指向

利用者不特定多数のユーザー特定のユーザー

特長個別のサービスを提供統合したサービスを提供

対象生活必需品生活を向上するサービス

“第２次インフラ”の定義とその方向

「第２次インフラ」の定義

今後「第２次インフラ」によるイノベーションが進展

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RAS（既存:J-Mups）

その他サービス見守りサービス

リレーションシップ ID rId5 のイメージパーツがファイルにありませんでした。

クラウド型ID認証システム

レコメンド対応

媒体フリーサービス

スマホ・QR・ウェアラブル連動

その他のサービス

親子送金

決済関係

ポイントサービス商品券利用

リアル店舗決済

デジタルチケット関係

アミューズメント入場チケッティング

特急券・企画券

ECサイト

チケット事業者等

クレチャージ送金手配等

他システムとの連携

会員登録

ID連携

決済

ICカードタッチで、カードIDとリンクさせたサービスを提供

認証

▶クラウド（サーバ管理）型ID認証システムによる各種サービスの統合

eMoneyサーバ

カードIDの登録

クラウド型Suicaシステムの展開


改札機利用引き取り購入・決済

STEP3

有効期限有効区間

書読

読

チケット情報カードIDi

カードIDi

現状（媒体依存型）

STEP1 STEP2

購入・決済

STEP1

+

新ID認証チケットサービス

改札機利用

STEP2オンライン照会

チケット引き取り不要

新幹線チケットサービス「e-チケット」[事前購入方式]

クラウド型Suicaシステム（新しい新幹線チケットサービス）

データ連携ID認証システム

2019年度末サービス開始！


将来現在過去

ID認証システム

読

カードIDi

オンライン照会

チケット情報カードIDi +

紙媒体ＩＣカードＩＤ認証システム各種ID（デジタルチ

ケット・生体）認証などID認証システム

オンライン照会

現金決済電子決済

モビリティ革命MaaS（Mobility as a Service)

に対応可能な基盤インフラ

チケッティングシステムの改革の方向

ID認証システム

各種認証IDi

認証ID + サービス情報

⇒クラウド型システムに対応した新しい社会システムの開発を推進


参考資料「変革2027」（「JR東日本グループ経営ビジョン変革2027」より抜粋）


まとめ（進化した「新しい社会インフラ」の創造！）これまで・日本の鉄道・バスのIC乗車券システム⇒世界最大のICネットワークインフラ・この大規模インフラへ新規サービスを付加⇒多大な時間とコストが必要・「Simple & Easy」なシステムの実現が必要

⇒システム上流に新しいインフラを構築

これから・2020年の「オリンピック・パラリンピック東京大会」⇒訪日外国人の増加・オリンピック後も使える次世代システムの導入⇒ビジネスチャンスでもある・クラウド型ID認証システムの構築による、進化した新しい社会インフラの創造・モビリティ革命MaaS（Mobility as a Service) にも対応可能な基盤インフラ

まとめ「Suica」の本質は「徹底した顧客志向のサービス」である⇒”ICカード“ではない

⇒「クラウド型ID認証システム」が目指すモノも同様である⇒つかう人の視点、つくる人の視点 ⇒利用シーン思い描く

「人」と「技術」の融合による「革新的な技術サービスの創造」⇒社会に貢献

進化した「新しい社会インフラの創造」を目指して！

「クラウド型ID認証システム」の構築


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異種統合型自律分散システムアーキテクチャー

時間差の異種ＤＦ

必要な情報を必要な時に自律的に送信、収集、処理するため

時間差でデータ処理

自律性安定

異種；処理の高速性ニーズ；情報の信頼性

異種の手段・システム

制御/情報、有線／無線

高負荷トランザクション情報システムﾌｫｰﾙﾄﾄﾚﾗﾝｽ性拡張性保守性

DF２ (Data Field）

DF3 (Data Field）

・・・

・・・

センタ・サーバ

データ蓄積:大

カード

R/W端末（ＧＷ）

DF1

サーバ（ＧＷ）

データ蓄積:少

データ蓄積:中DF2:端末とサーバ間

中速処理

DF3:サーバとセンタサーバ間低速処理

DF1:カードと端末間高速処理無線通信

Content Code Data

・・・

・・・・・・

・・・制御システム

情報システム

DF：Data Field


「Suicaプロジェクト」で思ったこと

• 第一は「お客様に良い（便利）もの」であること。• 会社（社員含む）にも良いものであること。• 更に、社会（世の中）にも良いものであること。

プロジェクト成功の喜び

・お客様(5000万人超）が喜んで利用してくれた。

・技術的に世界一のＩＣカードシステムを構築できたこと。

人間だけが持つ特権○他の人に「サービスする（人に尽くす）喜び」

○モノを「つくる（創造する）喜び」

夢を持て！夢は必ず叶う！

おわりに

Documents

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