129
“人育て”から始める観光地域づくり 観光地域づくり人材育成実践ハンドブック 2015 平成 27 年 3 月 観光庁 観光地域振興部 観光地域振興課

“人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

  • Upload
    others

  • View
    0

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

“人育て”から始める観光地域づくり

観光地域づくり人材育成実践ハンドブック 2015

平成 27年 3月

観光庁 観光地域振興部 観光地域振興課

Page 2: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の
Page 3: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

<目次>

1. はじめに ............................................................................................ 1

1.1. 本書の読者、目的、利用場面 .............................................................. 2

1.2. 本書の構成 ................................................................................... 3

2. 観光地域づくりの意味、目指す観光の姿 ....................................................... 4

2.1. 観光地域づくりとは ........................................................................... 4

2.2. 観光地域づくりを進めていく上で大切なこと ................................................. 5

2.3. 観光地域づくりを通じて目指す観光のスタイル ............................................. 7

2.4. 観光地域づくりの中核となる組織 .......................................................... 12

2.5. 観光地域づくりの中核となる人材 .......................................................... 18

2.6. 観光地域づくりの中核となる人材の育成 .................................................. 22

3. 観光地域づくり人材育成事業の企画立案方法 ............................................. 33

3.1. 人材育成を実施する地域の範囲 .......................................................... 33

3.2. 人材育成事業の実施体制 ................................................................ 34

3.3. 人材育成事業の企画立案に求められる視点 ............................................. 39

4. 観光地域づくり人材育成プログラムの構築・実施要領 ...................................... 42

4.1. 取組段階 1 ................................................................................. 42

4.2. 取組段階 2 ................................................................................. 45

4.3. 取組段階 3 ................................................................................. 49

5. 観光地域づくり人材育成プログラムの実施・構成例 ......................................... 56

5.1. 事前準備、当日運営、事後対応 ......................................................... 56

5.2. 取組段階 1 ................................................................................. 76

5.3. 取組段階 2 ................................................................................. 79

5.4. 取組段階 3 ................................................................................. 86

参考資料 ............................................................................................ 111

観光地域づくりの実践例に関する資料 .......................................................... 111

観光地域づくり人材育成実践ハンドブック 2014 についてのフィードバックシート .............. 122

目録 .................................................................................................. 123

図表目録 .......................................................................................... 123

コラム目録 ......................................................................................... 124

重要なキーワードの索引 .......................................................................... 124

Page 4: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の
Page 5: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

1

1. はじめに

我が国を訪れた外国人旅行者数は、平成 25 年度に史上初の 1,000 万人を達成し、

平成 26 年度は 1,300 万人を超えました。「2020 年オリンピック・パラリンピック東

京大会」の開催を契機に 2,000万人の更なる高みを目指すこととしております。その

実現に向けては、我が国の各地域においても、国内外の観光客に魅力を提供できるよ

うにするための「観光地域づくり」の取組が求められます。

国内の各地域においては、観光の重要性に対する認識が深まり、観光振興を通じた

地域活性化のための様々な取組がなされていますが、取組の中核となる人材の育成や、

関係者間の連携が十分でないといったことから、必ずしも成果に結びついていない面

もあります。

本書は、こうした背景を踏まえて、これから観光地域づくり人材育成事業に取り組

む地域、あるいは既に積極的に取り組んでおられる地域において、事業推進の一助と

なることを目的として作成しています。

本書では一般的な観光地域全般で必要となる取組を記載していますが、自らの地域

にとって必要な取組かどうかは、地域の実情に応じて判断することが重要であり、本

書で示した内容を参考として、関係者が地域に適した進め方を自ら作り上げて実施す

ることが求められます。

本書を手がかりとして、観光庁が推進する観光地域づくり人材育成の趣旨に則り、

各地域において主体的に観光地域づくり人材育成事業が企画実施されるようになるこ

とを期待しております。

平成 27年 3月

観光庁 観光地域振興部 観光地域振興課

Page 6: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

2

1.1. 本書の読者、目的、利用場面

(1) 想定している主要な読者

・ 観光地域づくりの中核となる人材を育成する取組(以下、観光地域づくり人材育

成事業)を企画する観光推進組織等(行政機関、観光協会、観光地域づくりプラ

ットフォームなど)の担当者

・ 観光地域づくり人材育成事業の講師等(大学教員、コンサルタント、有識者など)

(2) 本書の目的

・ 観光庁が推進する観光地域づくり、及び観光地域づくり人材育成事業の意義や目

指す姿が、読者に理解されること(更に、対象者を通じて、地域の観光地域づく

り関係者にも理解が広まること)

・ 観光地域づくり人材育成事業を企画立案、検討する際の基本的な考え方が、読者

に理解されること

・ 観光地域づくり人材育成事業を進める際の具体的な実施例が理解され、実際の事

業実施にあたって活用または応用されること

(3) 想定される利用の場面

・ 観光地域づくり人材育成事業を新規に立ち上げる際に、または見直しを図る際に

企画担当者やコアメンバーの意識共有や、事業内容、実施手順を検討するための

基礎資料とする

本書をご活用される際の注意事項

・ 本書に掲載されている観光庁の施策や事業、紹介している各事例、掲載している人

物の肩書は平成 27 年 3 月現在(※ケース動画の人物の肩書は撮影当時、コラムで

紹介している事例内の人物の肩書は取材当時)のものですので、ご注意ください。

・ 観光庁の施策や事業についての最新の情報は、観光庁ホームページをご覧いただく

か、下記担当課までお問い合わせください。

観光地域振興部 観光地域振興課

〒100-8918 東京都千代田区霞が関 2-1-3

電話:03-5253-8111(内線 27-719) FAX:03-5253-8930

Page 7: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

3

1.2. 本書の構成

本書は、観光地域づくり人材育成事業を実施する際の流れに沿って、以下のように

構成しています(図表 1-1)。

特に、冒頭の「観光地域づくりの意味、目指す観光の姿」は、本書を活用して観光

地域づくり人材育成事業を実施される際には基本となる内容ですので、まず目を通さ

れることをお勧めします。

図表 1-1 本書の構成

観光地域づくりの意味、目指す観光の姿

観光地域づくり人材育成事業の企画立案方法

観光地域づくり人材育成プログラムの構築・実施要領

取組段階1の人材育成プログラム構築・実施要領

観光地域づくり人材育成プログラムの実施・構成例

・観光地域づくりの考え方や推進する上で必要となる組織、人材について説明しています。

取組段階1の標準プログラム実施・構成例

取組段階2の標準プログラム実施・構成例

取組段階3の標準プログラム実施・構成例

・観光地域づくり人材育成事業を企画・立案する際の実施体制、重要となる視点を説明しています。

・観光地域づくり人材育成プログラムを構築する際の実施要領(プログラム構成の考え方、構成方法、育成すべき能力、参集する人材像など)を、取組段階ごと(1~3)に説明しています。

取組段階2の人材育成プログラム構築・実施要領

取組段階3の人材育成プログラム構築・実施要領

・観光地域づくり人材育成プログラムを構築する際の実施・構成例(実施準備・当日運営の考え方、標準プログラムの開催概要、実施体制、プログラム構成例など)を、取組段階ごと(1~3)に説明しています。

Page 8: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

4

2. 観光地域づくりの意味、目指す観光の姿

2.1. 観光地域づくりとは

国内では、人口減少、少子高齢化が進み、一方では経済のグローバル化によって、

国際競争が激化していく厳しい時代の中で、今こそ原点に立ち戻り、地域の誇りに来

訪者が触れることができるような観光のあり方が求められています。

それは、地域に息づく暮らし、自然、歴史、文化等を最大限活用し、住まう人にと

っても、訪れる人にとっても心地よい空間、また訪れたいと思う地域づくりを進めて

いくことによって実現されるものです。このことは、観光立国の基本理念「住んでよ

し、訪れてよしの国づくり」としても謳われています(図表 2-1)。

図表 2-1 「住んでよし、訪れてよしの国づくり」(抜粋)

観光立国の基本理念は、「住んでよし、訪れてよしの国づくり」を実現することにあ

る。日本に住む全ての人々が、自らの地域社会や都市を愛し、誇りをもち、楽しく幸せ

に暮らしているならば、おのずとだれしもがその地を訪れたくなるものである。観光立

国を契機にして、美しい日本の再生、都市の活性化、新しい地域文化の創造などをより

積極的に推進することによって、「くらしといのちの輝き」を発揮することが可能にな

る。

出典:「観光立国懇談会報告書」(平成 15年 4月 24日)

本書のタイトルにもある「観光地域づくり」とは、この「住んでよし、訪れてよし」

を実現していくための活動のことで、そのことによって、住まう人たちの人間性を豊

かにし、経済力を含めた地域力を高めていくと同時に、訪れる人たちの精神的充足を

養うことを目指すものです。

具体的には、幅広い関係者が、多様な地域資源を活用しながら、観光を軸とした地

域づくりを行っていくことで、言い換えると、地域の人々と来訪者が触れ合う場を提

供し、地域の応援団を増やしていく取組ともいえます。

観光地域づくりを進めていく上では、これまでの観光の概念から脱却し、観光地域

づくりという考え方へ、まずは自分自身から、徐々に地域に住まう人たちを巻き込み

ながら、意識を転換していくことが大切です。

Page 9: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

5

2.2. 観光地域づくりを進めていく上で大切なこと

観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが 2 つあります。「一見さん相手の

観光からの脱却」と、「観光スタイルの転換」です。

(1) 一見さん相手の観光からの脱却

これまでの観光振興は、ともすれば「とにかく一度お客さんに来てもらう」ことを

重視する側面がありました。しかし、国内の人口は減少傾向にあり、旅行消費額の 9

割を占める国内旅行市場(図表 2-2)は、どんどん小さくなっています。

一方で、成長市場といわれている台湾、香港といった東アジアの地域から日本に来

訪する方は、7~8割の方がリピーター(2回以上日本に来たことがある人)です(図

表 2-3)。つまり、これからの観光は、何度でもその地域に来てみたいと思ってもらう

こと、ひいては、地域の応援団となってもらうことを意識しなければなりません。

図表 2-2 国内における旅行消費額(平成 24年度)

図表 2-3 訪日外国人旅行者の特性

項目 単位

訪日客全体

韓国

台湾

中国

香港

タイ

シンガポール

豪州

米国

カナダ

英国

フランス

ドイツ

マレーシア

インド

ロシア

訪日外客数 千人

8,351 2,382 1,390 942 550 192 168 242 768 168 207 148 126 106 67 66

観光目的比率 % 72.4 79.4 91.0 45.6 93.3 74.8 81.7 80.6 61.7 78.1 60.0 61.5 43.7 66.6 33.3 63.5

リピーター比率 (観光客)

% 50.8 50.9 72.1 13.4 79.0 50.5 51.1 30.9 31.1 31.0 16.4 21.0 29.5 38.3 ※1 39.1

平均滞在日数 日 10.6 6.8 9.7 13.9 6.5 14.5 7.5 7.0 12.6 9.0 9.3 15.3 10.9 11.0 19.0 19.5

旅行支出額(旅行1

回当たり総額)

円 24.2 13.4 18.5 20.0 22.7 19.3 25.2 29.0 33.2 29.1 35.1 32.4 32.7 23.8 32.2 27.7

1日当たり国

内消費額※2

円 1.1 1.0 1.2 0.9 2.2 0.7 1.2 1.2 1.2 1.1 1.4 1.1 1.0 0.9 0.9 0.7

出典:JNTO統計、訪日外客実態調査、訪日消費動向調査 2007-2008

※1 インドの観光客リピーター比率は基となる調査のサンプル数の制約から算出できませんでした。

※2 1日当たり国内消費は旅行前に支出した航空運賃やツアー費などを含まない、日本到着後に支出さ

れた金額です。

日本人国内宿泊旅行

15.3兆円(68.2%)

訪日外国人旅行

1.3兆円(5.7%) 日本人海外旅行(国内分)

1.4兆円(6.3%)

日本人国内日帰り旅行

4.4兆円(19.8%)

Page 10: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

6

(2) 観光スタイルの転換

もう 1 つは、名所・旧跡を回る「スポット型観光」から、「地域の人々と来訪者が

触れ合うことのできる観光」のスタイルへ転換を図っていくことです。

地域に来訪する人々の嗜好も、名所・旧跡を回る、いわゆる物見遊山的な観光から、

地域の生活や文化を味わうパターンに変わってきています。これによって、これまで

は観光資源と思われていなかったものやことも、魅力があると思われるようになって

きたのです。

つまり、もはや一部の名所・旧跡だけではなく、地域の生活や文化が感じられるよ

うな多様な地域資源を活用していくことが求められるようになってきたといえます。

コラム 1 来訪者と地域が長く結び付くために

観光庁は、「観光地の魅力向上に向けた評価手法調査事業」で、全国 50 地域(全国

で 13万票)において、調査対象地域に来訪した観光客を対象に、どのようなことが再

来訪(リピート)意向につながるかを調査しました。

その結果、来訪者の満足度を上げたからといって、必ずしも再来訪にはつながらない

こと、「再来訪意向」につながる要素として、来訪者にとって、その地域が、「特別な」

「大切にしたい」「今後、期待に応えてくれる」といった存在として認めてもらえるか

が重要であることが見えてきました。

このことは、“来訪者”と“地域住民”のつながりが非常に重要であることを示唆し

ています。

「非サービス品質・価値」と「満足度、紹介・再来訪意向」との相関係数の昇順

満足度 紹介意向 再来訪意向

良い思い出ができた 1 1 10

癒された 2 3 4

リフレッシュができた 3 5 6

心が豊かになった 4 1 5

今後、期待に応えてくれる 5 4 3

わくわくした 6 7 8

ゆっくりできた 7 10 7

大切にしたい 8 6 2

良いイメージ 9 8 9

特別な存在 10 9 1

特別な扱い 11 11 11

※表の「1、2、3(※黒の網掛け)」は相関係数が高い項目、「9、10、11(グレーの網掛け)」は相関係数

が低い項目です。

出典:観光庁 「観光地の魅力向上に向けた評価手法調査事業 報告書」

http://www.mlit.go.jp/common/000118452.pdf

Page 11: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

7

2.3. 観光地域づくりを通じて目指す観光のスタイル

つまり、観光地域づくりを通じて目指す観光のスタイルは、来訪者が、地域に留ま

り、地域における人や文化との体験を中心にしながら、地域の住民との交流を促進す

るものです。このような観光を「滞在交流型観光」と呼びます。

(1) 滞在交流型観光を実現するための取組

滞在交流型観光を実現するためには、主に以下の 3つの取組が重要です(図表 2-4)。

本書は、このうち、特に「3.地域と来訪者をつなぐ活動体の形成を目指す取組」に

資する人材を育成することに主眼が置かれています。

図表 2-4 滞在交流型観光の実現するための 3 つの取組

1.地域の魅力を来訪者に体感させる取組

地域の DNA1を探し、地域のコンセプトを明確化した上で、「滞在コンテンツ2の磨き

上げ」、「滞在プログラム3の提供」などを行うことを通じて、来訪者に地域独自の価値

を提供することを目指す取組です。

2.来訪者と地域が長く結びつくための取組

“来訪者”と“地域住民”のつながりをつくることによって、来訪者が、その地域の

ことを、「特別な存在」、「大切にしたい」「今後、期待に応えてくれる」と感じて、認め

てもらうことを目指す取組です。

3.地域と来訪者をつなぐ活動体の形成を目指す取組

“来訪者“と“地域住民”とをつなぎ、双方の満足度を高められるような取組を持続

的にマネジメントする活動体の形成を目指す取組です。

1 地域の誇りとなる産業、伝統、文化、景観、自然環境、生活様式、食等を結びつける幹となるもので、他の地域と

差別化できるものを地域のDNAと呼びます。地域のDNAを磨きあげ、差別化することによって、地域のブランド化にもつ

ながります。 2 来訪者に対して、滞在する際の魅力要素として提供できる状況にある 1つ 1つの資源のことを滞在コンテンツと呼びま

す。 3 滞在コンテンツを組み合わせて、来訪者の滞在時の過ごし方を提案するものを滞在プログラムと呼びます。

Page 12: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

8

コラム 2 観光圏

「観光圏」とは、自然、歴史、文化等において密接な関係のある観光地を一体とした

区域で、その観光地同士が連携して 2泊 3日以上の滞在交流型観光に対応できるよう、

観光地の魅力を高めようとする区域を指します。

観光庁では、平成 20年に制定された「観光圏の整備による観光旅客の来訪及び滞在

の促進に関する法律」(観光圏整備法)に基づき、各種法律の特例などにより観光圏の

形成を支援し、国際競争力の高い魅力ある観光地域づくりを推進しています。

出典:観光庁ホームページ(平成 27年 3月現在)

https://www.mlit.go.jp/kankocho/shisaku/kankochi/seibi.html

Page 13: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

9

コラム 3 観光地域ブランド確立支援事業

観光庁では、国内外から選好される国際競争力の高い魅力ある観光地域を形成するた

め、地域の「ブランド」の確立を通じた日本の顔となる観光地域づくりについて支援を

実施しています。

出典:観光庁ホームページ

https://www.mlit.go.jp/kankocho/shisaku/kankochi/brand.html

Page 14: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

10

(2) 観光地域づくりの担い手

観光地域づくりに取り組むためには、従来の観光振興の取組のように、行政や観光

協会、観光産業の関係者等の一部の人たちだけで取り組むのではなく、幅広く地域の

方々の参加を得て、取組の担い手になっていただくことが重要です。

観光地域づくりには 3つの壁(図表 2-5)があるといわれていますが、これらを越

えて、協働していくことが課題となります。

図表 2-5 観光地域づくりの 3 つの壁

官と民の壁 行政と民間事業者が、お互いに役割分担をしながら、一つの方向に向

かって進んでいけるようにする

地域の壁 自治体の枠を越えて、地域同士が連携をしながら、取組を進めていけ

るようにする

産業・住民の壁 既存の観光産業(宿泊施設・観光施設など)と他産業・住民の意識を

合わせられるようにする

幅広く地域の方々が参加・連携することで、これまで観光関係者だけでは対応が難

しかった複雑な地域課題に取り組んだり、より戦略的・俯瞰的に地域の観光をマネジ

メントすることにもつながります。この際、幅広く地域の方々が参加・連携すること

は容易ではありません。このため、後述するように、連携の中核となる組織と人材が

必要となってくるのです。

図表 2-6 観光地域づくりにおける多様な主体の連携のイメージ

Page 15: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

11

コラム 4 多様な主体が参加する観光地域づくりに向けた取組

平成 27年 2月、観光庁は、高崎経

済大学の協力のもと、群馬県沼田市

において、多様な主体が参加するワ

ークショップを開催しました。

本ワークショップには、宿泊施設、

飲食施設、観光施設、小売店(土産

屋)などの観光関連業者に加え、金

融関係、デザイン会社、農業関係者

(果樹園)、FM 会社など、幅広い業

種の人が参加し、参加者数は総勢 50

名以上となりました。

最初に、横浜商科大学の羽田教授

が「観光地域づくりに向けた体制強

化について考える」と題する講義を

行い、その後参加者が8グループに

分かれ、3グループが「グループテ

ーマⅠ:老神温泉地域の観光をとお

した活性化方策と進め方を探る」に

ついて、5グループが「グループテ

ーマⅡ:沼田市における観光を軸と

した異業種間連携の方策と進め方を

探る」について、それぞれ議論を行

いました。グループ分けでは、同業者が固まらないように配慮し、その結果異業種間で

の意見交換・議論が活発に行われました。

参加者からは、「観光関連業者以外の人が観光について考えることができた」「異業種

交流が行えたことに意義を感じた」などの意見が出され、今後の継続的な開催を要望す

る声も多く聞かれました。観光の裾野の広さを実感できたワークショップとなりまし

た。

講師:羽田耕治氏(横浜商科大学教授)

大野正人氏(高崎経済大学教授)

主催:観光庁(協力:高崎経済大学)

http://www.tcue.ac.jp/

グループワークの様子

発表の様子

Page 16: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

12

2.4. 観光地域づくりの中核となる組織

(1) 観光推進組織における機能の変遷

観光推進組織として一般に知られる「観光協会(Tourism Organization)」は、約

半世紀前から法人格を持った組織がみられるようになりました。

初めの頃は、主に余暇旅行(観光客=Tourist)を対象としたプロモーションを行う

組織でしたが、国際的にみると、1980年代以降では、余暇での旅行に加えて、業務や

MICE4、親族・友人訪問(Visiting Friends and Relatives:VFR)、その他の個人的

用事などの色々な需要(訪問客=Visitor)を対象として現地での受入対応を行う「CVB

(Convention and Visitors Bureau)」としての機能を持つようになります。

その後、2000年代以降は、世界的な市場環境や観光行動の変化に対応するため、地

域外に対してはマーケティング(ブランティング)力を発揮し、地域内に対しては観

光産業に加え、地域コミュニティ、環境、文化等の調整を行う「DMO(Destination

Management / Marketing Organization)」の機能も求められるようになってきてい

ます。

このように、今日の観光推進組織は約半世紀前の法人化、1980年代の現地での訪問

客に対する受入対応などの CVB機能の付加、そして、2000年代の観光地としてのマ

ネジメントやマーケティング(ブランディング)といった DMO機能の付加と、大き

く分けて 3つの変化を経てきています(図表 2-7)が、我が国の状況を見てみますと、

実体としては多くの組織が CVBの機能すら持っていないのが現状です。

更に、DMO 機能となると、中長期的な時間軸でマーケティングを行うことができ

る安定性や、地域の幅広い方々と一緒に事業を進めていくマネジメントの機能が必要

となります。しかし、観光協会の多くは、中長期的な事業展開が難しく、幅広い方々

とのつながりは弱いのが実情です。背景には、観光協会の成り立ちやガバナンス、資

金調達、地域での人間関係など、さまざまな原因が挙げられますが、短期間で DMO

の機能を持った組織に転換していくのは、更に時間がかかると思われます。

また、日本の観光地域づくりは、観光分野だけではなく、いわゆる「地域づくり」

との関係性が強いころが特徴で、こうした課題へも対応することが必要です。そのよ

うな背景や、前述したような海外での流れを踏まえると、我が国の観光地における今

日的な課題にも対応した観光推進組織の必要性が高まってきているといえます。次の

ページでは、そうした役割や機能を持った組織として観光庁が提示している「観光地

域づくりプラットフォーム」について解説します。

4 企業等の会議(Meeting)、企業等の行う報奨・研修旅行(Incentive Travel)、国際機関、団体、学会等

が行う国際会議(Convention)、イベント、展示会、見本市(Event / Exhibition)の頭文字をとって、MICE

(マイス)と呼びます。

Page 17: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

13

図表 2-7 国際的にみた観光推進組織の呼称と機能・役割の変遷

観光地域としてのマネジメント観光地域としてのマーケティング(ブランディング)

「観光客」を対象としたプロモーション

「訪問客」を対象としたプロモーション

現地での「訪問客」の受け入れ対応

「訪問客」を対象としたプロモーション

現地での「訪問客」の受け入れ対応

観光協会(Tourism

Organization)

Convention and Visitors Bureau

(CVB)

Destination Management/Marketing

Organization(DMO)

(=観光地域づくりプラットフォーム)

組織としての呼称 機能・役割

機能・役割が受け入れ対応等の現地業務へと拡大(対象も「観光客」からMICE等含む「訪問客」へと拡大)

機能・役割がより上位の

レベルへと拡大

プロモーションを担う組織として法人化

Page 18: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

14

(2) 観光地域づくりの中核となる組織

観光庁は、こうした観光推進組織の変遷を踏まえて、観光地域づくりの中核となる

新たな組織体のあり方として、「観光地域づくりプラットフォーム」という概念を提示

しました。

観光地域づくりプラットフォームとは、地域と来訪者をつなぎ、双方の満足度を高

められるような取組を持続的にマネジメントする組織体のことと定義されます。

観光地域づくりプラットフォームに求められる機能は多岐に渡ります(図表 2-8)

が、特に重要なのは以下の 7つの機能であるとしています。

1.観光地域づくり実施基本方針の作成

2.マーケティングの実施

3.地域の特性を活かした滞在コンテンツづくり

4.地域外の顧客に対する滞在プログラムの提案

5.販売促進活動の実施

6.来訪者及び市場に対するワンストップ窓口5づくり

7.各機能の提供に係るマネジメント

観光地域づくりプラットフォームに求められるのは、滞在コンテンツや滞在プログ

ラムを具体的につくり、それを観光客に提供していくという「目に見える実務」を行

っていくことで、地域内での認知や協力者を増やし、活動のひろがりを生むとともに、

DMO の基礎機能である観光地域としてのマネジメントやマーケティングを本格的に

展開していくことです。

そして、前述の「観光地域づくりの 3つの壁(図表 2-5)」を乗り越えることも期待

されます。

5 ワンストップ窓口とは、複数のサービスを 1 つの窓口で対応できるような機能のことを指します。

Page 19: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

15

コラム 5 観光地域づくりプラットフォームの実践例

○「一般社団法人雪国観光圏」の設立

観光圏への申請をきっか

けに、広域連携による各種事

業展開を目指して、平成 20

年 10 月に「雪国観光圏推進

協議会」が官民共同で立ち上

げられました。その後、平成

23 年 4 月に観光庁の「プラ

ットフォーム支援事業」を通

じて、地域内の着地型旅行商

品の提供者と市場(旅行会

社、旅行者)をつなぐワンス

トップ窓口となる「雪国観光舎」が民間主体により立ち上げられます。その後、取組の

更なる推進に向け、平成 25年 4月「一般社団法人雪国観光圏」として法人設立されま

した。現在も観光圏にかかる事業を推進する事業者やサポーター会員を構築しながら事

業が進められています。

○「3つの壁」に挑む取組

雪国観光圏では、全長

280km、3 県 7 市町村をつな

ぐ歩く道「スノーカントリー

トレイル(SCT)」を整備して

います。古道や街道、登山道

等を道普請しつつ活用し、温

泉地と温泉地をつなぐ周回ル

ートとなっています。

トレイルの整備や維持管理

には、右記のように地域、産

業・住民、官民の様々な協力が必要であり、雪国観光圏では、本事業を「地域連携の教

科書」と評し、これらの間にある壁を 1つ 1つ乗り越えて、整備を進めています。

出典:一般社団法人雪国観光圏 代表理事 井口智裕氏より提供

http://snow-country.jp/

事業A 事業B 事業C

関係市町村新潟県

雪国観光圏パートナー企業

事業サポーター会員(各事業の事業参画事業者)

民間事業者 民間事業者 民間事業者

委託

負担金

支援

委託 委託

雪国観光圏推進協議会

観光庁

補助金新潟県

連携

行政の統一窓口機能

民間の統一窓口機能

ツール・ド・スノーカントリー

地域振興

レジャー 自然保護

SNOW

COUNTRY

TRAIL

•自然体験型観光

•宿泊・滞在需要喚起

•地域連携

•地元(食)材を利用した商品開発

•山岳古道の復活修復

•環境教育・自然体験活動

•モニタリング

•SOS(カーボンオフセット)

•森林間伐

•インタープリター育成

•ガイド活動の活性化

•生物多様性保全活動

•日本発、国際基準のレース開催

•海外/国内一流選手との交流

•日本の各トレイルとの連携

•ウルトラトレイル・ド・モンブランへの

選手派遣

•国民・地域住民の健康・体力づくり

•自然志向のライフスタイル提案

•トレッキング需要

•定期的市民イベント開催

•Run & Walkイベント

•アウトドアフィールドととしての魅力向上

官公庁 自治体トレイル協議会各種スポーツ団体

企業 地域コミュニティメディアボランティア

Page 20: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

16

図表 2-8 観光地域づくりプラットフォームの機能図

※点線枠の機能は特に重要なものです。

意思決定の仕組構築地域が目指す将来像の実現に向けて自律的に意思決定できる仕組を構築する

参加・連携の促進

 地域の魅力づくりへの住民参加を促し、観光地域づくりに取り組む多様な主体の実質的な連携を促進する

①住民の意識啓発・参加促進住民が地域の魅力に直接触れ、地域の魅力づくりの取組に意見を言える機会を様々な形で創出し、参加を促す

②官民の連携促進行政と民間主体とが役割分担して観光地域づくりに効果的に取り組めるよう調整する

③産業間の連携促進農林水産業をはじめ商工業の関係者や観光事業者等が役割分担して観光地域づくりに効果的に取り組めるよう調整する

④地域間の連携促進文化圏や住民・来訪者の動線等の観点から共通部分がある周辺地域と役割分担して観光地域づくりに効果的に取り組めるよう調整する

⑤地域に対するワンストップ窓口づくり地域の多様な主体からの観光地域づくりに関する相談や取組内容の調整に一元的に対応する体制を構築する

⑥行政機関に対するワンストップ窓口づくり観光地域づくりを推進する際の国や地方公共団体との調整に一元的に対応する仕組みを構築する

①地域の魅力の発掘 ・共有地域の多様な主体の連携(官と民の連携、地域の幅広い産業間の連携、地域間の連携)で地域の魅力を発掘し、その魅力を地域内で幅広く共有する機会や場を構築する

地域の魅力づくり

地域の魅力を発掘・共有するとともに、その魅力を維持・向上する

②地域資源の保全地域の住民が誇りと愛着を持つ地域資源やその周辺環境について、多様な主体の協力・参画により保全が実施されるよう関与する

③地域独自の空間形成地域の魅力を維持・向上させる景観形成、社会資本整備等への参画や働きかけを行う

①地域の特性を生かした滞在コンテンツづくり地域の多様な主体の連携(官と民の連携、地域の幅広い産業間の連携、地域間の連携)で、マーケティング結果や観光地域づくり実施基本方針に基づく地域の特徴を活かした魅力的な滞在コンテンツや特産品を形成とともに、恒常的に見直しを行う

誘客・集客の促進

 地域の特性を生かした滞在コンテンツや特産品をベースにした魅力ある滞在プログラムを造成し、地域外への宣伝や販路拡大を行う

②地域外の顧客に対する滞在プログラムの提案地域での滞在・回遊に係る各種の情報(滞在コンテンツ、宿泊、飲食、移動等)を一元化して収集・整理し、それらを地域外の顧客の訪問目的に応じて組み合わせ季節に応じた旬な滞在プログラムとして提案する

③販売促進活動の実施地域内外の旅行会社、流通事業者、小売店等とのネットワークをつくり、地域の特徴を活かした滞在コンテンツや特産品の宣伝や販路拡大を行う

①来訪者及び市場に対するワンストップ窓口づくり地域での滞在に係る各種の情報(滞在コンテンツ、宿泊、飲食、移動等)や滞在プログラム等を一元化して収集・提供し、来訪者の現地におけるニーズに応じた的確な案内、相談対応、苦情処理等を行う

受入体制づくり

地域において来訪者が地域の魅力に十分触れ、安心して周遊・滞在できる受入体制をつくる

②地域のホスピタリティの向上地域において、滞在プログラムの魅力を高める質の高いガイドや接遇能力の高いスタッフを育成する

③事業者のサービス品質の管理地域内の事業者が提供する滞在プログラム等の品質や安全性を一定水準以上に保つ

④移動の利便性・快適性向上来訪者の動向・ニーズを踏まえ、主たる動線の移動の利便性、快適性が向上するよう、移動手段の整備や需供給に関するマネジメントへの参画や働き掛けを行う

①観光地域づくり実施基本方針の策定魅力的な空間の形成や受入体制の整備などを踏まえ、観光地域づくりの基本となる他地域と差別化された地域の目指すべきコンセプトを明確化する

②マーケティングの実施自地域の来訪者に関する各種データ等を継続的に収集・分析し、SWOT、ターゲットとすべき顧客層やライバルとなる地域と自地域の関係性(ポジショニング)を明確にする

③地域全体の発信他地域と差別化されたコンセプトに基づく地域づくりの成果である滞在プログラム等を地域内外へ発信し、地域への来訪の動機付けとなる地域の魅力の認識の共有を図る

④地域の魅力を維持・向上させる仕組づくり関係主体間の連携・調整等により、地域における取組が目指すべきコンセプトに沿って行われ、来訪客の評価等も踏まえて地域の魅力を維持・向上させる仕組を構築する

⑤地域の取組を持続させる仕組づくり地域のコンセプトに沿った取組が、来訪客の評価等も踏まえて改善・強化され、経済的・社会的に持続させる仕組を構築する

地域の基盤の確立

観光地域づくりの基本となるコンセプト、ターゲットとすべき顧客層を明確化し、これに基づく個性ある魅力的な地域づくり、顧客への浸透、地域の魅力の維持・向上を図るための仕組を構築する。

観光地域づくりプラットフォームに求められる機能

各機能の提供に係るマネジメント各機能の提供に係る戦略の継続的な策定、関係者間の調整、各機能の提供状況の評価等を行う

プラットフォーム自身が継続的に活動するために必要な要素

中核人材の確保・育成

地域が目指す将来像の実現に向けて中心となって具体的な取組を推進、マネジメントしていく中核人材を中長期的に確保・育成する

支援人材の確保・育成

中核人材の各種活動を支援し、具体的な実務を担う支援人材を中長期的に確保・育成する

法人格取得と財源確保

持続的な活動をより円滑に推進するために、法人格を取得し、各種事業や分担金収入等を元に自身の活動に必要な資金を確保する

地域と来訪者をつなぎ、双方の満足度を高める機能

Page 21: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

17

Page 22: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

18

2.5. 観光地域づくりの中核となる人材

(1) 観光地域づくりの中核となる人材の育成の必要性

観光地域づくりプラットフォームを実際に運営していくためには、その中核となる

人材が必要です。具体的には、以下のような人材です。

・ 地域に対して誇りと愛着を感じている人材

・ 組織・集団をまとめる役割を担うリーダーとしての組織管理、戦略的思考等の理解

や、 洞察力、構想力のある人材

・ 利害関係者の相互理解や信頼関係を構築する対人対応力、対話力がある人材

・ 事業に潜む各種の危険性に備えるリスク分析や危険回避策、不測の事態が発生した

際の効果的・効率的な対応がとれる人材

・ 地域資源を活かした観光地域の形成を促進させる観光戦略プランの策定、地域づく

り、環境の整備等が推進できる人材

これまでも、地域を巻き込んだ滞在コンテンツの造成等の取組は、着地型旅行商品

づくりや体験プログラムづくりとして幅広く取り組まれてきましたが、観光地域のマ

ーケティングやマネジメントと一体的に展開されている事例は多くありませんでした。

これは、観光地域マーケティングやマネジメントという概念は、国際的にみても新し

い概念であり、そのような知見や経験を有する人材が乏しかったことが理由であると

考えられます。

また、能力の高い人材を外部から「確保」する取組も行われて来ましたが、こうし

た人材には、地域への強い思いといった志の高さや、地域の人間関係への十分な理解、

取組の持続性・継続性などが求められます。その点を踏まえれば、外部から確保する

よりも、むしろ地域の人材を「育成」することが望ましいといえます。

もちろん、人材育成は、短期で成し遂げられるものではありません。最低でも数年

単位の時間軸が必要となります。また、実務能力を有した人材とするには、座学や講

義だけではなく、実際の現場やそれに近い状況下における OJTや演習が必要となりま

す。地域にとけ込んでいくには、観光分野に限定されない社会人としての経験も重要

です。

すなわち、人材育成は、単発のセミナーや研修会だけでできるものでも、大学のカ

リキュラムだけでできるものでもなく、実際のフィールドとなる地域において、中長

期的な視点に基づき、人材育成や教育・研究等の分野において専門性を持つ組織とも

必要に応じて連携しながら実施していくことが必要です。

Page 23: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

19

コラム 6 観光地域づくりの中核となる人材の具体的なイメージ

観光地域づくりの中核となる人材の具体的なイメージとしては、例えば、下記のよう

な方があげられます。なお、両名とも、ご自身の経験や考え方を、インタビュー動画と

して取りまとめています(※)。

高砂たかさご

樹史たつし

氏(株式会社小値賀観光まちづくり公社 専務取締役)

過疎化が進む小値賀島におい

て、島の自然・文化を活かした滞

在コンテンツ・プログラムづくり

や、新たな観光推進組織の立ち上

げ、古民家を再生した宿泊施設の

整備などを主導しました。

自身が島に移住した際、子供た

ちが島に残って生活をしたいと思

っても、働き口がなく残ることが

難しい状況であることがわかりました。島の子供たちの仕事をどうつくるかということ

が課題だと考え、「観光を手段として新しい雇用を生み出していく」という志を持ち、

取組を進められました。

吉川きっかわ

真嗣しんじ

氏(村上町屋商人会 会長)

城下町・村上に残る昔ながらの

町屋の歴史的価値を活かし、「町屋

の公開」「町屋の屏風まつり」など

の様々な取組の実施を主導しまし

た。

自身が生活していた商店街の近

代化の動きがきっかけとなり、「古

い町に価値があるのであれば、そ

れを活かして元気を失った町を活

性化させてみよう。活性化することができれば、市民の意識がきっと変わるだろう。そ

れができれば、村上はきっと良い方向に進んでいける」という志を持って、取組を進め

られました。

※参考資料 観光地域づくりの実践例に関する資料(P111)をご参照ください。

Page 24: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

20

コラム 7 観光地域づくりマネージャー

国が定める所定の研修(※)を受講・修了した方を、観光庁では「観光地域づくりマ

ネージャー」と呼んでいます。

観光地域づくりマネージャーの定義

地域が目指すべき方向性を企画・立案し、関係者との認識共有及び合意形成を行い、

かつ、具体的な事業の実務を適正に実施するために必要な知識及び経験を有する人

材。

観光圏の申請には、観光地域づくりマネージャーで構成する観光地域づくりプラット

フォームの設置が求められます。

※「所定の研修」とは、後述(P22)する取組段階 3に相当する内容を備えた研修です。

出典:観光庁ホームページ

https://www.mlit.go.jp/kankocho/shisaku/jinzai/ikusei.html

Page 25: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

21

(2) 観光地域づくりの中核となる人材に求められる能力

観光地域づくりの中核となる人材には、基本的な資質として、地域に対する思いや

誇りを持っていることが求められます。その上で、複数の能力分野が求められますが、

観光地域づくりに対する強い志を持って具体的に行動する「リーダーシップ系統」の

能力が備わっていることが最も重要です。

「マネジメント系統」と「マーケティング系統」も重要な能力分野ではありますが、

足りないところは、自分以外の観光地域づくりの中核となる人材や、他の人材とも協

力し合いながら補完することが大切です(図表 2-9、図表 2-10)

図表 2-9 観光地域づくりの中核となる人材に求められる能力

 リーダーシップ系統の能力

観光地域づくりに取り組む志を持ち、関係者との認識共有及び合意形成を行う能力

 マネジメント系統の能力

多様な関係者をとりまとめ、必要な人材や資金を確保し、プロジェクトの立案や進行管理を行う能力

 マーケティング系統の能力

地域の魅力を想像することで、来訪者の新規獲得と既存顧客維持を行う能力

必須

1人のマネージャーが両方を満たさなくともよい。他のマネージャー等と補完しあう

図表 2-10 系統別の具体的な能力(A~I)

能力の系統 具体的な能力

A リーダーシップ系統の能力 D 志・合意形成に関する能力

E 持続性・公益性に関する能力

B マネジメント系統の能力 F 観光地域マネジメント計画に関する能力

G 受入環境に関する能力

C マーケティング系統の能力 H 観光地域マーケティング計画に関する能力

I 滞在プログラムに関する能力

Page 26: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

22

2.6. 観光地域づくりの中核となる人材の育成

(1) 人材育成プロセス(取組段階)

一般的に、観光地域づくりにはその熟度によって段階があります。観光地域づくり

の中核となる人材の育成プロセスも、地域の取組段階と対応して、大きく以下の 3段

階に整理されます(図表 2-11、図表 2-12)。

図表 2-11 観光地域づくりの中核となる人材の育成プロセス

観光地域づくりへの

取組状況 育成する人材像 求められる能力

取組段階1

観光地域づくりに関心

ある人材を育成・拡大

する段階

観光地域づくりに関心ある人材 観光地域づくりの考え

方を理解していること

取組段階2

観光地域づくりの中核

となる人材を育成する

段階

観光地域づくりの取組の中核とな

る人材

高い志を持ち、観光地

域づくりマネジメン

ト・マーケティングを

理解していること

取組段階3

複数の地域で観光地域

づくりに取り組む必要

性が関係者に共有され

ており、「地域のリーダ

ー人材」を中心とした

取組が実践されている

段階

広域(複数市町村)の観光地域づ

くりの取組の中核となる人材

俯瞰的視野を持ち、複

数地域の取組を効果的

に推進できる戦略を立

案、推進できること

Page 27: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

23

Page 28: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

24

図表 2-12 観光地域づくりの中核となる人材の育成プロセス(詳細)

・観光地域づくりに関する講演やシンポジウム(地域内の実践者や専門家等を招聘)・他地域での取組事例紹介等

・地域の資源や課題についての講義(座学)・観光地域づくりについての講義(座学)・地域の課題や将来像についての議論(ワークショップ演習)・現地視察等

・幅広い人材における観光地域づくりへの基礎的理解の深化、普及啓発

観光地域づくりへの関わり方を学ぶ(志のある担い手を探す)

特に志の高い担い手や、観光地域づくりの実践者を選定

様々な対象に対して複数回、継続的に実施

観光地域づくりの担い手候補に対して複数回、継続的に実施

・地域の人材の状況に応じて、1~数回程度実施。・各講座ごと、講座の内容ごとに分割した実施も可。

回数・期間

取組段階1 観光地域づくりに関心ある人材を育成・拡大する段階

コアメンバー会議

・観光地域づくりを始めようとするコアメンバーの意識づくり

目的

・観光地域づくりに関する勉強会・先進地や、地域内の観光地・地域資源等の視察・観光地域づくりに関するセミナー等への参加等

方法

関係者の意識が醸成され、取組が開始できる段階まで

回数・期間

関係主体による勉強会

・観光地域づくりに関わり得る関係主体を交えた意識づくり

講演会等観光地域づくり担い手育成講座等

観光地域づくりを始めようとするコアメンバー(観光協会、行政担当課、まちづくり団体など)

参加者

観光地域づくりに関わり得る関係主体(観光協会、行政各課、産業振興団体、まちづくり団体など)

・多様な業種の人材(観光協会、行政機関、一次産業従事者、ものづくり等従事者、地域の各産業振興団体、まちづくり団体 他)で、観光地域づくりの実践経験がある人材・所属団体等から推薦を受けて選定された人材

・観光地域づくりの中核となる人材に最も必要な「リーダーシップ能力」を有する人材の育成。・観光地域づくりマネジメントと観光地域づくりマーケティングに関する基礎知識の習得

目的

取組段階2 観光地域づくりの中核となる人材を育成する段階

方法

観光地域づくりについてのディスカッション(ワークショップ演習)

参加者

実施者

・観光協会、広域観光協会・大学・まちづくり団体・観光地域づくりプラットフォーム、観光圏協議会・市町村、都道府県 他

実施者

取組段階3 広域(複数市町村)の観光地域づくりの中核となる人材を育成する段階

・広域の観光地域づくりの中核となる人材に必要な「俯瞰的視野」を有する人材の育成。

目的

方法

参加者

・各地域から推薦を受けて選定された人材

・広域観光協会・観光推進にかかる全国組織等・都道府県 他

実施者

先進地域での実践例(講義)

リーダーシップの考え方についての講義(座学)

・観光協会、広域観光協会・大学・まちづくり団体・観光地域づくりプラットフォーム、観光圏協議会・市町村、都道府県 他

人材の絞り込み(専門家等からの人材候補の推薦/地域での合意形成等)

研修会(座学、ワークショップ演習、OJT)

リーダーシップ講座

OJT

地域において合意形成を図りながら観光地域づくりの戦略案を検討

戦略案の策定(ワークショップ演習)

戦略案の中間発表

地域でまとめてきた戦略案の中間発表

戦略案の策定(ワークショップ演習)

戦略案の中間発表

研修会(座学、ワークショップ演習、OJT)

観光地域づくりマネジメント・マーケティングの基礎講座

ケース事例を用いた戦略策定演習

自分の地域を対象とした戦略策定演習

集合研修

観光地域づくりをテーマとした個人発表

マーケティング・マネジメントに関する講義(座学)

観光地域づくりマネジメント・マーケティング講座

マーケティング・マネジメント講座(講義)

・2~数回程度実施。・各講座ごと、講座の内容ごとに分割した実施も可。

回数・期間

戦略案の発表 戦略案(最終案)の発表

観光分野のみならず、他産業分野も含めて観光地域づくりに関わり得る幅広い人材

Page 29: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

25

Page 30: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

26

(2) 取組段階ごとに求められる人材の能力

観光地域づくりの中核となる人材の能力は以下のように整理されます。

本書の取組段階 1および 2はレベル 1~2の能力育成、取組段階 3はレベル 2~3の

能力育成を目指した内容となっており、観光地域づくりの中核となる人材に必要とな

る基本的な能力を育成する内容となっています。

レベル 3以上の人材育成は、一部を取組段階 3で行いながら、主として現場での実

践の中で能力を育成することが望まれます。

図表 2-13 観光地域づくりの中核となる人材に求められる能力

レベル

本書での

位置づけ 現

求められる能力

1

2

3

レベル 1

観光地域づくりを進めるための体制整備を行う基盤

となる能力を有する

レベル 2

「住んでよし、訪れてよし」の観光地域づくりを行う

ための基盤となる能力を有する

レベル 3 ブランド戦略を策定するための基盤となる能力を有

する

レベル 4 ブランド戦略に基づく事業を実施するための基盤と

なる能力を有する

レベル 5 国際的な競争力を持った観光地域として継続的な事

業実施を行うための基盤となる能力を有する

具体的に求められる能力は、図表 2-14に示します。

Page 31: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

27

Page 32: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

28

図表 2-14 レベルごとに求められる能力

求められる能力

レベル1 レベル2 レベル3 レベル4 レベル5

Aリーダーシップ系

観光地域づくりマネージャーの概念を理解し、強い志を持って観光地域づくりに取り組むことができる

個別の観光地域づくりに関するプロジェクトの立案・実行ができる

観光地域マーケティングの基本概念(環境分析、セグメンテーション、ターゲティングなど)を理解し、自地域での活用を行うことができる

地域資源の保全や活用に関する調査を実施できる

地域での滞在に係る各種の情報(滞在コンテンツ、宿泊、飲食、移動等)のいずれかについて、現地での情報提供を実施できる

地域資源を活用した滞在コンテンツの企画・立案ができる

観光地域づくりの実施にあたっての基本的な考え方や方向性をとりまとめることができる

観光地域づくりの実施にあたっての基本的な考え方や方向性に基づき、複数の事業を実施できる

マーケティング理論に基づいた、観光客の新規獲得、維持を目的とした計画を立案できる

滞在交流型観光の先進事例を応用し、自地域での展開手法の立案をできる

地域での滞在に係る各種の情報や滞在プログラム等を一元化して収集・提供する仕組みの構築や改善策を立案できる

マーケティング計画に基づく複数の滞在プログラムの企画・立案ができる

地域の多様な主体との認識共有や合意形成の継続的な実施を行うことができる

観光地域ブランドの基本概念(ブランドコンセプト、ブランドイメージなど)を理解し、自地域での活用を行うことができる

ブランドコンセプトを体感させるための、複数の事業方針を策定できる

地域内外の人と調整しながら、ブランド化を意識した観光地域づくりの実行体制を構築することができる

ブランドコンセプトに基づく、地域での滞在に係る各種の情報や滞在プログラム等を一元化して収集・提供する仕組みを構築できる

ブランドコンセプトを体感できる滞在プログラムの企画・立案ができる

地域の行政組織や、各種事業者、地域住民らと調整しながら、実質的な連携を促進し、ブランドコンセプトの共有を図ることができる

顧客獲得の競争的環境下に耐え得る中長期的なブランド戦略に基づき、複数の事業を実施できる

住民理解、地域経済、地域資源の持続可能性を満たす中長期的なブランド戦略に基づき、複数の事業を実施できる

観光地域づくりマネージャーの中長期的な確保・育成を行うことができる

ブランド確立に向けたマーケティング視点の個別事業(滞在プログラムの魅力向上等)の実施結果をモニタリングした上で、改善の実現を通じ、地域ならではの「独自の価値」の継続的な維持・向上を行うことができる

ブランド戦略に基づく、地域らしさを演出する空間形成、インフラ整備等の実現を通じ、地域ならではの「独自の価値」の継続的な維持・向上を行うことができる

観光地域づくりを進めるための体制整備を行う基盤となる能力を有する

「住んでよし、訪れてよし」の観光地域づくりを行うための基盤となる能力を有する

ブランド戦略を策定するための基盤となる能力を有する

ブランド戦略に基づく事業を実施するための基盤となる能力を有する

国際的な競争力を持った観光地域として継続的な事業実施を行うための基盤となる能力を有する

D志・合意形成

E持続性・公益性

B観光地域マネジメント系統

F観光地域マネジメント計画

G受入環境

H観光地域マーケティング計画

I滞在プログラム

C観光地域マーケティング系統

Page 33: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

29

Page 34: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

30

(3) 人材育成の手法

観光地域づくりの中核となる人材を育てるための主要な方法として、座学、ワーク

ショップ演習、OJT(コラム 8を参照)があります。

基本的な知識を習得したい場合は座学の実施が適しています。一方で、知識はあっ

ても実践経験が足りない場合は、ワークショップ演習や OJT の実施が適しています

(図表 2-15)。

図表 2-15 観光地域づくりの中核となる人材の育成手法

育成手法 内容

座学

講師による講義と、受講者によるグループ討議を組み合わせた形をと

る。グループでの議論を行うことで、講義内容に関する知識の定着を図

る。

ワークショップ

演習

特定の課題(事業計画の策定など)を、受講者グループ別に課す。実際

の業務に近い状況を受講者に体験させることで、複数の能力分野の育成

を同時に図る。

OJT 育成対象者が携わる実際の業務について、講師が指導役=メンター(コ

ラム 9を参照)となり、複数の能力分野の育成を同時に図る。

Page 35: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

31

コラム 8 OJT とは

OJT(オー・ジェー・ティー/On the Job Training)とは、育成対象者の実際の業

務について、講師が指導役(メンター)となり、能力分野の育成を図るものです。育成

対象者の熟達段階を問わず、人材育成手法として適用することが可能ですが、日常の業

務自体が人材育成の場となる OJTでは、以下の 3点に留意が必要です。

①講師の資質

OJT は実世界での業務という不確実性の高い状況で育成対象者の能力を高めていく

営みとなります。そのため、講師にも、過去に類似の業務経験があるなど、あらゆる状

況下に応じて指導を行えることが求められます。

②指導方法

●多くの接触機会が必要

OJT は、業務経験自体が研修となる育成手法です。様々な要因によって状況が変化

し、当初の計画通りにはならないケースが出てきます。講師は、育成対象者との接触機

会を増やすことで、頻繁に状況を把握し、その都度適切な指導を行うことが求められま

す。なお、接触機会は、実際に対面することが最も望ましい方法ですが、それが難しい

場合は、インターネットを活用したビデオチャットなども利用するとよいでしょう。

●1人の講師が目を配れる人数は少ない

OJT は、まとまった人数を対象とする座学・ワークショップ演習を主体とする人材

育成プログラムとは異なり、基本的には育成対象者と講師が 1 対 1 で向き合うもので

す。講師が現実的に対応できるのは、一度に並行して数名程度であるといえます。

コラム 9 メンターとは

人材マネジメントの分野で使われる用語であり、業務及び業務以外について、ロール

モデル(手本となりうる役割)を示しながら助言・指導をしてくれる人材のことを指し

ます。

メンター役の人材は下記のような 5つの要素を念頭に置きながら、人材育成の対象者

の経験学習(自らが実際のプロジェクトに参加するという経験を通じて、業務遂行力や

構想実現力を培う学習方法)が効率的に行えるように促します。

・同行させる(Accompanying)・・・メンターの実務に同行させる

・種まきする(Sowing)・・・少し対応困難な課題を対象者に与える

・触媒になる(Catalyzing)・・・考え方や解決策のヒントを与える

・見せる(Showing)・・・実際の解決策を実務の中でやってみせる

・収穫する(Harvesting)・・・何を学べたかを問いかける

人材育成事業の実施方法としては、取組段階別に以下のような内容が想定されます

(図表 2-16)。

Page 36: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

32

図表 2-16 人材育成の段階別の育成事業の内容

人材育成の段階 方法 主な内容

取組段階1

観光地域づくりに

関心ある人材を育

成・拡大する段階

座学

ワークショップ演習

・ 観光地域づくりに向けた取組への

理解を深めるための講義、意見交

・ 地域連携の意義や必要性をテーマ

としたワークショップ演習等

取組段階2

観光地域づくりの

中核となる人材の

育成段階

座学

ワークショップ演習

・ 観光地域づくりにおける人材の役

割についての講義

・ リーダーシップの考え方について

の講義

・ 参加者の創造性、論理性、主体性

を見出すためのワークショップ演

取組段階3

広域(複数市町村)

の観光地域づくり

の中核となる人材

の育成段階

座学

ワークショップ演習

OJT

・ 広域における観光地域づくりに求

められる戦略立案能力を学ぶため

の講義、ワークショップ演習

・ OJTを通じた実践

Page 37: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

33

3. 観光地域づくり人材育成事業の企画立案方法

3.1. 人材育成を実施する地域の範囲

人材育成を実施する地域の範囲は、取組段階ごとに異なっています。

「観光地域づくりに関心ある人材を育成・拡大する段階(取組段階 1)」は、関係者

の意識づくりや普及啓発を行っていく段階ですので、多くの関係者が参加しやすく、

無理のない範囲(商店街、地区・町内会等)から始め、徐々に、市区町村(あるいは

複数の市区町村等)といった範囲へ拡大していきます。

「観光地域づくりの中核となる人材を育成する段階(取組段階 2)」は、地域のリー

ダー育成を行っていく段階ですので、各地区での取組等から見出されたリーダー候補

を集めて行います。このため、範囲は段階 1 よりも広域となります(1~複数の市区

町村)。

「広域(複数市町村)の観光地域づくりの中核となる人材を育成する段階(取組段

階 3)」は、広域のリーダー育成を行っていく段階です。人材育成の実施にあたっては、

一定の人数が集まって能力向上の機会を共有することで、相互の気付きや高めあい、

人的ネットワークの構築といった効果が期待されます。この際、個別の地域だけで実

施するよりも、都道府県単位など、ある程度まとまりを持った単位で実施する方が効

率的である場合もあります。

Page 38: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

34

3.2. 人材育成事業の実施体制

(1) 人材育成事業を実施する主体

人材育成事業を実施する主体は、行政の観光担当部局、地域の観光推進組織、大学

等が担うことが期待されます。

(2) 人材育成事業における講師

人材育成事業の実施にあたっては、観光や人材育成の専門家が内容の企画段階から

関わり、なおかつできるだけ講師として直接指導できることが人材育成の効果を高め

る上では重要です。

こうした際には、地域の実情を考慮した企画立案が可能であり、また実施にあたっ

ても各種調整の面で機動性を発揮しうることから、地域に立地する大学との連携が大

変有効であると考えられます。(図表 3-1)。

図表 3-1 人材育成事業における講師

講師の種別 講師の役割を担う人材の例

地域の取組に関する話題提供者

・ 行政機関の観光セクションの担当者

・ 観光協会の職員

・ コンサルタント等

※ 自らの経験や知識に基づいて取組を紹介できる人

材が望ましい。

研修のコーディネートを担う講師 ・ 観光地域づくりの専門家(地元大学観光関連学部

の教授、広域の観光地域づくりに関わる団体等)

・ 自地域の観光地域づくりの実践者(または観光セ

クションの担当者)

・ 広域の観光地域づくりに取り組む他地域の実践者

(観光地域づくりの中核人材等)

・ 他地域(観光圏等)の観光地域づくりの中核とな

っている人材等

※ 自らの経験や知識に基づいて取組を紹介できるだ

けでなく、より上位の視点から俯瞰して検証でき

る人材が望ましい。

座学の講座を実施する講師

OJTにおける指導を行う講師

(メンター)

理想的には座学と OJTがより一体となった総合的な指導を可能とするため、上記の

各役割を 1人の専門家または 1つの団体・組織が兼任することが望ましいといえます。

しかしながら、座学についてはその分野が各種分野に渡ることや、OJTにおける指導

は育成対象者とより密なコミュニケーションが必要となるため、場合によっては複数

の人物また主体が適切に役割分担して行うことも想定されます。

Page 39: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

35

コラム 10 おおいたツーリズム大学アドバンストプログラム 豊後大野観光地域づくりセミナー

平成 26年 3月、大分県豊後大野市において、おおいたツーリズム大学(※)の卒業

生と豊後大野市で観光地域づくりに関心を持つ事業者や個人を対象として「おおいたツ

ーリズム大学アドバンストプログラム豊後大野観光まちづくりセミナー」が開催されま

した。

同セミナーでは、少人数でより高度なカリキュラムによる人材育成講座となるよう、

フィールドワークや座学による講義、ワークショップによる演習を取り入れた実践的な

プログラムが構成されました。

プログラムの実施にあたっては、行政(大分県、豊後大野市)、観光推進組織(豊後

大野市観光協会)、大学(立教大学、愛媛大学、立命館アジア太平洋大学、大分県立芸

術文化短期大学)といった各主体がそれぞれ密接に連携する形がとられました。

特に、参画している大学や、おおいたツーリズム大学からは、観光や人材育成を専門

とする研究者や実践者がプログラム開発の段階から関わり、また講師として受講者に対

して観光地域づくりに取り組む意義や、戦略とそれに基づく事業計画の重要性といった

内容を演習を交えて直接伝えることで、受講者の意識や理解がより一層深まりました。

※大分県が主催する観光地域づくり人材育成プログラム。県内在住のツーリズム関係者を対象に、講義、

実践例の体験や視察、議論などを行っている。

<プログラムの概要>

■1日目

時間 内容

09:30 集合・受付開始、開校式・参加者自己紹介、オリエンテーション

10:40 プロブラム1 フィールドワーク(あねさん工房(株))

14:00 プログラム2 観光地域づくりに関する特別講義/講師:清水愼一 氏

15:30 プログラム3 ワークショップ

「観光地域づくりプラットフォーム設立に向けて」

「観光地域づくり戦略・事業プランの立案」

19:00 プログラム4 懇親会

■2日目

時間 内容

09:30 プレゼンテーション準備

10:45 プログラム5 観光地域づくり事業プラン プレゼンテーション

13:00 アンケート記入、閉校式、解散

講師:清水愼一氏(立教大学観光学部 講師、観光地域づくりプラットフォーム推進機構 会長)

金谷俊樹氏(おおいたツーリズム大学チューター)

米田誠司氏(おおいたツーリズム大学チューター・愛媛大学法文学部講師)

牧田正裕氏(立命館アジア太平洋大学国際経営学部 教授)

プログラム開発協力:宮野幸岳氏(大分県立芸術文化短期大学国際総合学科 講師)

主催:おおいたツーリズム大学アドバンストプログラム実行委員会

後援:大分県、豊後大野市、豊後大野市観光協会

Page 40: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

36

フィールドワーク

フィールドワーク

観光地域づくりに関する特別講義

(清水愼一氏)

観光地域づくり戦略・事業プランの

立案に関する講義(牧田正裕氏)

講師によるコメント

(米田誠司氏)

講師によるコメント

(金谷俊樹氏)

ワークショップ

プレゼンテーション

Page 41: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

37

(3) 人材育成事業のバックアップ体制

観光地域づくりの中核となる人材の育成にあたっては、後述するような人材活用の

出口を確保するという意味でも、多様な関係者に意義を理解してもらうことが必要と

なります。このため、観光地域づくり人材育成を応援してもらうためのバックアップ

体制の構築を行いましょう(図表 3-2)。具体的には、以下のような対応が考えられま

す。

・ 育成する人材は、観光推進に関わる協議会や観光協会など、地域の産業界等のしかる

べき団体や組織からの推薦を得る

・ 育成事業(成果発表への招待、講師としての招聘、OJTの受入等)に地域の産業界の

しかるべき団体や組織の参画を得て、人材育成の意義と成果を理解してもらう

・ 地域内の経験豊富な年長者などに、人材育成プログラムの講師やメンターとして参画

してもらったり、事前に理解を得ておくことで、若い人材が動きやすい環境を整える

図表 3-2 人材育成事業の体制イメージ

観光地域づくり人材育成事業

人材育成を実施する主体

人材育成を担う講師や専門家

地域の産業界等

観光担当部局地域の観光推進組織地域の大学 等

地域に立脚する教育機関や専門機関等(大学、研修実施機関等) 等

人材育成事業のバックアップ

また、プログラム修了者については、必要に応じて対外的にその氏名を公表したり、

また、地方自治体の首長や観光協会の会長名などの名義で認定証を交付したりするこ

とが重要です。このことによって、本人の動機付けや意欲を高めたり、責任感を持た

せたり、周囲の関係者への認知を促して信用を育てることとなり、活動が円滑になる

ことにもつながります。

Page 42: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

38

コラム 11 産業界等と連携した人材育成事業の支援体制

長野県観光部と一般社団法人信州・長野県観光協会が実施する「信州・観光地域づく

りマネジメント塾」では、2年間を 1タームとするプログラム(年間計 10回開催。24

年度は「基礎編」、平成 25年度は「実践編」)を通じて、観光地域づくりを牽引する人

材を育成しています。

このプログラムの立ち上げにあたっては、長野県内のシンクタンク、経済団体、旅行

団体、農協、行政機関など多様な事業者間の連携で構成された「信州・観光地域づくり

支援機構」を創設し、プログラムへの支援活動を行っています。

また、平成 26年 3月には第 1期生が修了し、それぞれの現場での活躍が期待される

とともに、修了生が次ターム以降の講師となることにより、持続的に人材を育成する仕

組みも検討されています。

講師の清水愼一氏、長野県観光部長の野池明登氏

による講評。最終発表等の節目には知事が参加し

て講評します。

第 1 期修了生は、次ターム以降、講師等の立場で

人材育成に関与していくことが想定されていま

す。

出典:(図版)長野県作成資料、(写真)観光庁

Page 43: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

39

3.3. 人材育成事業の企画立案に求められる視点

(1) 中長期的視野に基づく事業の実施

観光地域づくり人材育成事業は、継続したプログラムとして構成することが必要で

す。観光地域づくりの中核となる人材に求められる能力は多岐に渡る上、中長期的な

視点から育成を行うことが求められるからです。中長期的な育成目標を立て、それに

基づき、各年度の具体的な人材育成事業の実施計画を定めましょう。実施結果を振り

返り、事業実施計画を見直す等が必要となります(図表 3-3)。

図表 3-3 人材育成の事業実施フロー

中長期の目標設定各年度の事業実施計

画策定人材育成事業の実施 事業評価

改善策の反映

(2) 地域の実情に合わせた事業の企画

観光地域づくりは地域の特性や現状に見合った方法が必要ですが、観光地域づくり

の中核となる人材の育成も、地域に見合った方法で行われることが理想です。その意

味からすれば、理想的には各観光地域において、自立的・自律的に人材育成がなされ

ることが期待されます。

各地域の実情に合わせて、その地域らしいプログラム構成の検討、参加者負担を考

慮した開催方法(観光のピーク時期を避ける、プログラムの分割等)を検討すること

が重要です。

(3) 人材育成後の活用

人材育成後の“出口”を予め考えておくことが重要です。例えば、

①予め、産業界等から推薦を受け、活躍の場がある人材を育成する

②事業を通じて、地域とのコネクションをつくる

③育成後の人材を地域の観光地域づくりの体制の中に位置付ける

等を考慮することが必要です。

Page 44: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

40

コラム 12 和歌山大学観光学部 学生向けキャリア学習

平成 27年 1月、和歌山大学観光学

部では、キャリアデザイン講座の 1

回分の授業を、「観光人材とキャリア

デザイン」と題して講義を行いまし

た。

講義では、元由布院温泉観光協会

事務局長である米田氏が、学生(2

回生、約 30名)に対して、由布院で

の観光と地域づくりの取組を紹介

し、その後、理解を深め、自分自身

のこととして考える機会とするため

グループワークを行いました。

グループワークでは、「観光開発・

景観形成」「おみやげ・観光経済」「世

代交代・地域のコミュニティ形成」

の 3 つのテーマを設定し、各グルー

プで 1 テーマずつを選んで、選択し

たテーマについて、どんな課題が考

えられるか(ブレストーミング)、そ

うした課題を解決するためにはどの

ような方法が考えられるか(議論)、

その方法を実現するためには、どの

ような人や能力が必要になるか、を

考えました。

講義終了後のアンケートでは、将

来の進路希望が観光関連事業者であ

る学生はもとより、公務員やその他

の職種を目指す学生からも、観光地

域づくりへの理解の深まりが感じ取

れました。また、自分自身が社会に出た時に果たしたい役割についても、考えを深める

ことに繋がったと考えられます。

観光地域づくりへの普及啓発を、様々な進路へ巣立つ学生に対して行うことで、幅広

い分野で観光地域づくりへの理解がある人材が育つ可能性がある、と考えられます。

講師:米田 誠司氏(愛媛大学法文学部総合政策学科 講)

主催:和歌山大学観光学部

http://www.wakayama-u.ac.jp/tourism/

由布院における観光地域づくりの取組に関する講義

(米田 誠司氏)

グループワークと発表の様子

Page 45: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

41

コラム 13 補助事業を活用した人材育成プログラム

長野県観光部と一般社団法人信州・長野県観光協会が実施する「信州・観光地域づく

りマネジメント塾」では、人材育成プログラムの中に、長野県による補助事業(※)と

いう形で、実際にグループをつくってプロジェクトを担当者として動かしていく OJT

形式の事業を取り入れています。第 1 期では、塾生が 4 グループに分かれ、それぞれ

が長野県に対して申請・プレゼンテーションを行い採択を受けました。各グループは、

実際のプロジェクト対象地域で、ガイドツアーの企画や食事メニューの開発などを実施

しています。塾生は、集合研修時にだけ考えてプロジェクトを進めているということで

はなく、実際に事業を動かした上で、事業の進捗を研修の中で発表し、それを再度グル

ープ内でフィードバックする、という形で取組を行っており、現場での実践を通じて経

験を積み重ねる仕組となっています。なお、最終講義では知事への報告会を実施しまし

た。

○各グループの発表の様子(平成 25年 12月 7日)

Yahoo!(山形村):「HATAKE×Tourism∞認定制

度」商品の創出」

コバヤシミチコと蝉丸ボーイズ(駒ヶ根市):「中沢

野菜のブランド化と健康長寿プログラムづくり」

GAP.team(戸倉上山田温泉):「世界一の健康長寿を

Designする湯活場づくり」

Come!信濃(長野市):「 “人” の出会いを大切に

した善光寺門前「まちあるき」ガイドツアー」

※組織基盤構築支援事業。国内外から選ばれる競争力の高い魅力ある滞在交流型の観光地域づくりを促進

するため、それを牽引していく人材が中心となり、観光地域で関係者を集め、目指すビジョン、戦略等の

合意形成を図り、観光地域の組織基盤の構築を図るための取組に対し長野県から補助金を交付するもの。

Page 46: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

42

4. 観光地域づくり人材育成プログラムの構築・実施要領

4.1. 取組段階 1

(1) ねらい

「2.3.(2) 観光地域づくりの担い手」に示しているように、観光地域づくりに取り組

むためには、多様な主体の参加・連携が重要です。そのためには、多様な主体が観光

地域づくりの意義を理解することが必要です。それは必ずしも簡単なことではありま

せんが、まずは、意欲ある人から実践し、継続して繰り返し取り組むことが重要です。

この段階では、観光地域づくりに関心ある人材を対象として、観光地域づくりを始

めようとするコアメンバーや今後関わりうる関係者の意識づくり、または幅広い人材

を対象とした観光地域づくりへの基礎的理解の深化、観光地域づくりへの関わり方の

理解を目指します。また、取組を通じて、観光地域づくりの中核となり得る人材を見

出します。

Page 47: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

43

(2) プログラム構成

① 考え方

取組段階 1では、下記 1~4のような取組が想定されます(図表 4-1)。

これらの取組は 1回実施すればそれで終わりというものではないことに留意する必

要があります。継続的に実施することで徐々に関係者の意識を醸成していくことが重

要です。そのため、地域の状況に応じて、それぞれを 1回~複数回実施すると良いで

しょう。なお、本書では、「4.観光地域づくりの担い手育成に向けた研修」のプログ

ラム構成方法について取り扱います。

図表 4-1 取組段階 1 で想定される取組

目的 参加が期待される人材 方法

1.コアメンバー

会議

観光地域づくり

を始めようとす

るコアメンバー

の意識づくり

観光地域づくりを始め

ようとするコアメンバ

ー(観光協会、行政担当

課、まちづくり団体な

ど)

・観光地域づくりに関す

る勉強会

・先進地や、地域内の観

光地・地域資源等の視察

・観光地域づくりに関す

るセミナー等への参加

2.関係主体によ

る勉強会

観光地域づくり

に関わり得る関

係主体を交えた

意識づくり

観光地域づくりに関わ

り得る関係主体(観光協

会、行政各課、産業振興

団体、まちづくり団体な

ど)

・観光地域づくりに関す

る勉強会

・先進地や、地域内の観

光地・地域資源等の視察

・観光地域づくりに関す

るセミナー等への参加

3.より幅広い主

体への普及啓発

幅広い主体にお

ける基礎的理解

の深化、普及啓発 観光分野のみならず、他

産業分野も含めて観光

地域づくりに関わり得

る 幅 広 い 主 体 ( ※

「2.3.(2)

観光地域づくりの担い

手」を参照)

・観光地域づくりに関す

る講演やシンポジウム

(地域内の実践者や専

門家等を招聘)

・他地域での取組事例紹

介等

4.観光地域づく

りの担い手育成

に向けた研修

観光地域づくり

への関わり方を

学ぶ(志のある担

い手を探す)

・地域の資源や課題につ

いての講義(座学)

・観光地域づくりについ

ての講義(座学)

・地域の課題や将来像に

ついての議論(ワークシ

ョップ演習)

・現地視察等

Page 48: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

44

② 構成方法

「4.観光地域づくりの担い手育成に向けた研修」では、目標・ねらいに基づき、

下記のようにプログラムを構成します(図表 4-2)。地域の実情に合わせて、単独また

は組み合わせにより、複数回継続的に実施します。

図表 4-2 プログラム構成

目標・ねらい 科目の例 実施方法の例

地域資源・課題を理解

し、関係者間で共有す

地域の資源や課題に

ついての講義(座学)

観光統計等の基礎的情報、地域資源、地域

課題等について、講師が話題提供し、関係

者間で共有する。

観光地域づくりの概

念や取組方を理解す

観光地域づくりにつ

いての講義(座学)

観光地域づくりの専門家より、観光地域づ

くりに関する以下のような内容の講義を

行い、質疑や意見交換を通じて理解を深め

る。

・観光地域づくりに取り組む意味・意義

・先進取組事例の紹介

・当地域で求められる取組 等

地域の課題や将来像

についての議論(ワー

クショップ演習)

観光地域づくりへの具体的な取組方をグ

ループや会場全体で議論する。

現地視察 地域内の観光資源、宿泊施設等を視察し、

意見交換を行う。

Page 49: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

45

4.2. 取組段階 2

(1) ねらい

この段階では、観光地域づくりの中核となる人材を育成することを目指します。具

体的には、観光地域づくりの中核となる人材に最も必要なリーダーシップ能力の育成

と観光地域づくりのマネジメントやマーケティングに関する基礎知識の習得を目指し

ます。

(2) 参加が期待される人材

観光分野に限らず、農業や商工業など他産業分野も含めて、自らが活動することで

地域づくりを推進してきた人が適切です。年齢や肩書きなどの既成概念にとらわれず、

周囲からの人望や将来性も調査しながら、地域に対する思いや誇りなどの熱意・志(日

頃の行動・発言等)、地域づくりに関する最近の活動状況(具体的なプロジェクトの実

績等)に着目して評価することが重要です(特に前者が重要です)。

また、参加者の分野別の構成比は、観光分野に偏らないよう、例えば、観光分野 1

人に対し、他産業分野(農業・商工業等)2 人といったように多様な分野から構成さ

れることが望まれます。参加者の選定を行う際は、観光推進組織(自治体、観光協会

等)の一部関係者だけで決めてしまわずに、各産業分野の「目利き」のアドバイスを

受けることも必要です。

この際、自治体内の関係部局(農林水産部局、商工部局、教育部局、社会資本整備

部局等)を巻き込みながら、幅広い人材の掘り起こしを行うと良いでしょう。更に、

継続的に観光地域づくりの中核となる人材を裏から支える役割として、各自治体の実

務者(若干名)が参加することも検討すべきでしょう。

(3) 育成すべき能力

観光地域づくりの中核となる人材として求められる以下の能力(D~I)を育成しま

す(図表 4-3)。このうち、Dの志・合意形成の能力を最も重視します。

Page 50: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

46

図表 4-3 取組段階 2 で育成すべき能力の一覧

分類 能力 評価基準

リーダーシップ

系統の能力

D 志・合意形

観光地域づくりの中

核となる人材の役割

を理解し、強い志を

もって観光地域づく

りに取り組むことが

できる能力

□ 観光地域づくりの中核となる人材の役割を適

切に説明している

□ 自分自身の観光地域づくりへの志を適切に説

明している

□ 観光地域づくりの中核となる人材としての自

分自身の活動方針を適切に説明している

E 持続性・公

益性

地域資源の保全や活

用に関する調査実施

を可能とする能力

□ 地域資源の保全や活用に関する調査手法を適

切に説明している

□ 地域資源の保全や活用に関する調査実績を適

切に説明している

マネジメント系統の能力

□ 調査実施によって明らかになった課題を適切

に説明している

F 観光地域

づくりマネジ

メント計画

個別の観光地域づく

りに関するプロジェ

クトの立案・実行を

可能とする能力

□ プロジェクトの目的や立案内容を適切に説明

している

□ プロジェクトの実施結果を適切に説明してい

□ プロジェクトの実施によって明らかになった

課題を適切に説明している

G 受入環境

地域での滞在に係る

各種の情報について

の情報提供を実施す

る能力

□ 提供した情報の内容を適切に説明している

□ 情報提供の効果を適切に説明している

マーケティング系統の能力

□ 情報提供の実施によって明らかになった課題

を適切に説明している

H 観光地域

マーケティン

グ計画

観光地域マーケティ

ングの基本概念を理

解し、自地域での活

用を可能とする能力

観光地域マーケティングの定義や手法(例:マ

ーケティングミックスの 4つの P=価格、商品

づくり、プロモーション、流通・販路)を適切

に説明している

□ 自地域でのマーケティングの実施内容を適切

に説明している

□ マーケティングの実施によって明らかになっ

た課題を適切に説明している

I 滞在プロ

グラム

地域資源を活用した

滞在コンテンツの企

画立案を可能とする

能力

□ 滞在コンテンツの原石となる地域に根ざした

固有の魅力を適切に説明している

□ 滞在コンテンツの内容を適切に説明している

□ 滞在コンテンツに関連する主体を列挙し、相互

連携を図った方策を適切に説明している

Page 51: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

47

(4) プログラム構成

① 考え方

座学、ワークショップ演習を組み合わせた研修形式で実施します。

② 構成方法

下記の目標・ねらいに基づき、プログラムを構成します(図表 4-4)。地域の実情に

合わせて、単独または組み合わせて、複数回継続的に実施します。

図表 4-4 プログラム構成

目標・ねらい 科目 内容 育成能力

観光地域づくりに

おけるリーダーシ

ップを理解する(気

付き、新たな視点を

得る)

リーダーシップの考え

方についての講義

(座学)

観光地域づくりにおける人材

の役割、観光地域づくりにおけ

るリーダーシップについて理

解を深めます。

D

リーダーシップ能

力を高める(理解を

深める)

観光地域づくりについ

てのディスカッション

(ワークショップ演

習)、グループ発表

正解はないが、創造的な答えを

多く検討できる課題に対する

検討作業を課すことによって

創造性、論理性、主体性を見出

します。

・地域の理想的な将来像

・将来像とのギャップや、理想

像に近づくために必要なこと

・理想的な将来像に近づけるた

めに必要な取組 等

D

リーダー候補とな

る人材を見極める

観光地域づくりをテー

マとした個人発表

観光地域づくりに向けて、自分

自身が取り組んでいきたいと

考えることを発表します。

D

観光地域づくりマ

ネジメント・マーケ

ティングに関する

基礎知識を得る(気

付き、新たな視点を

得る)

※必要に応じて実

観光地域づくりマネジ

メント・マーケティン

グに関する講義(座学)

観光地域づくりマーケティン

グ、観光地域づくりマネジメン

トの考え方を学びます。

E~I

Page 52: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

48

(5) 実践に向けたヒント

① グループディスカッションの導入

講義を行う場合、グループディスカッションの時間を設けると効果的です。一般的

に「座学」という言葉からは、講義のみを行うイメージがあるかと思います。しかし、

受講者同士で議論を行う時間を加えることで、講義の内容について自分なりの解釈を

行うことにつながり、内容の理解を促進させることが期待できます。また、自分とは

異なる考えに触れることで、視野を広げることも可能になると考えられます。座学形

式のプログラムを行われる際は、ぜひ、講義に合わせてグループディスカッションを

取り入れるようにしましょう。

コラム 14 グループ分けのポイント

グループ分けは、現況把握(アンケート

の回答)結果を基に、バランスを考慮して

スタッフ側で予め行っておくことが望ま

れます。受講者が事前に有する知識や経験

にはばらつきがあることが予想されるた

めです。

受講者には、受付時にスタッフ側で決め

たグループに対応した番号札などを渡し

ておき、研修の最中に同じ番号の人同士で

グループになるよう指示することで、迅速

にグループ分けが行えるようにします。

各グループに分かれた後は、改めて受講者同士で自己紹介を行い、グループディスカ

ッションを行う際の役割分担(司会、書記、発表者)を行います。

年齢・性別・所属がミックスされ

多様な年代・性別により構成されたグループ

② 講師・ファシリテーターのスタンス

講師は、各グループを巡回し、質問に回答したり、議論の進め方への助言をしまし

ょう。講師自身がグループディスカッションを仕切ったり、講義をしてしまうと、参

加者の主体的な議論を損なうことになりますので、注意が必要です。

③ 現地視察の実施

ワークショップ演習を通じて挙げられた地域の資源等を実際に見に行くことも検討

しましょう。同じ市町村内でさえ、「地域の核となる魅力である」と思っているものを、

他の人が知らないケースも多々あります。また、知っているものであっても、印象や

課題意識が異なっていることもあります。現地に足を運ぶことで、地域の資源への認

識を共有化したり、意識を拡げることにつながります。

Page 53: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

49

4.3. 取組段階 3

(1) ねらい

各地域の観光地域づくりのリーダーのうち、広域での取組推進を担うことが期待さ

れる人材を対象に、広域(複数市町村)の観光地域づくりの中核となる人材を育成す

ることを目指します。

具体的には、地域の観光地域づくり戦略、地域固有の価値を打ち出すための戦略(ブ

ランド戦略)の策定といった取組を通じて、広域(複数市町村)で連携した観光地域

づくりの推進に必要な「俯瞰的視野」を有する人材の育成を目指します。

(2) 参加が期待される人材

取組段階 3では、取組段階 2に参加した人材の中から、広域(複数市町村)の観光

地域づくりのリーダー候補となる人材を選出します。参加者の分野別の構成比は、前

述と同様、観光分野に偏らないよう、配慮が必要です。

(3) 育成すべき能力

広域での観光地域づくりの中核となる人材として求められる以下の能力(D~I)を

育成します(図表 4-5)。

Page 54: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

50

図表 4-5 取組段階 3 で育成すべき能力の一覧

分類 能力 評価基準

リーダーシップ

系統の能力

D 志・合意

形成

観光地域づくりの実

施にあたっての基本

的な考え方や方向性

の取りまとめを可能

とする能力

□ 他地域と明確に区別できる自地域の特徴・価値等を

適切に説明している

□ 地域内の多様な主体と合議する体制を適切に説明

している

□ 事業実施にあたっての前提となる考え方を適切に

説明している

E 持続性・

公益性

滞在交流型観光の先

進事例を応用した、

自地域での展開手法

の立案を可能とする

能力

□ 先進事例と自地域の違いを適切に説明している

マネジメント系統の能力

□ 先進事例と照らし合わせ、これまでの取組実績の成

果と課題を適切に説明している

□ これまでの取組実績に関する課題への対応策を適

切に説明している

F 観光地域

づくりマネ

ジメント計

観光地域づくりの実

施にあたっての基本

的な考え方や方向性

に基づき、複数の事

業の実施を可能とす

る能力

□ 地域の多様な主体間の役割分担を明確に説明して

いる

□ 個別事業の実施主体及び実施期間を適切に説明し

ている

□ 代表的な観光関連産業のみならず、農林漁業、商工

業等の連携を図る方策を適切に説明している

G 受入環

地域での滞在に係る

各種の情報や滞在プ

ログラム等を一元化

して収集・提供する

仕組みの構築や改善

策の立案を可能とす

る能力

□ 来訪者の動向に基づき、情報提供に係るニーズを適

切に説明している

□ 情報提供に係るニーズを満たすために必要な各種

情報を適切に説明している

□ 各種情報の提供に関連する主体を列挙し、相互連携

を図る方策を適切に説明している

マーケティング系統の能力

H 観光地

域マーケテ

ィング計画

マーケティング理論

に基づいた、観光客

の新規獲得、維持を

目的とした計画の立

案を可能とする能力

□ 自地域への来訪者の動向を適切に説明している

□ 地域に根ざした固有の魅力について、市場への伝え

方を適切に説明している

□ 自地域を取り巻く外部環境や内部環境と、自地域の

強み、弱み、機会や脅威を適切に説明している

I 滞在プロ

グラム

マーケティング計画

に基づく複数の滞在

プログラムの企画・

立案を可能とする能

□ 地域内の代表的な滞在コンテンツの内容を適切に

説明している

地域に根ざした固有の魅力に合致するような、滞在

コンテンツと、宿泊や移動手段の組み合わせを適切

に説明している

□ 滞在プログラムに関連する主体を列挙し、相互連携

を図る方策を適切に説明している

Page 55: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

51

(4) プログラム構成

① 考え方

座学、ワークショップ演習、OJT を組み合わせた研修形式で実施します。研修は、

複数回のステップで構成します。なお、本研修は 3 人~6 人程度のグループを単位と

して取り組むワークショップ演習が中心となります。こういった演習では、同じ地域

で観光地域づくりに取り組んでいる、または出身は違っていても同じプロジェクトに

従事しているなど、目的や課題意識が共有できる人材が同じグループに入ることで、

学習効果をより高めることができることから、グループ編成にあたっては配慮が必要

です。

② 構成方法

下記の目標・ねらいに基づき、プログラムを構成します(図表 4-6)。地域の実情に

合わせて、単独または組み合わせて、複数回継続的に実施します。

また、研修プログラムを構成にあたっては、

1 講義で知見・視点を得る

2 ワークショップ演習、OJT等を通じて観光地域づくり戦略を取りまとめる

3 発表・意見交換・講評を通じて理解を深化する

4 戦略の磨き上げを行う

という流れを重視します。特に、2 を十分に設けることが重要であり、ステップと

ステップの間に OJTを設定したり、ワークショップ演習の時間を十分に設定したりと

いったことが効果的です。

Page 56: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

52

図表 4-6 プログラム構成

目標・ねらい 科目 実施方法の例 育成能力

観光地域づくりの

中核となる人材に

必須となる知識の

獲得

観光地域マネジメント

計画に関する講義(座

学)

観光地域マネジメントの専門

家による講義、ワークショップ

演習

E、F、G

観光地域マーケティン

グ計画に関する講義(座

学)

観光地域マーケティングの専

門家による講義、ワークショッ

プ演習

G、H、I

戦略に基づく戦術

への展開方法の理

持続性・公益性に関する

講義(座学)

コンセプト・戦略を反映した地

域の実行体制について、実践例

等から学ぶ

E

受入環境整備に関する

講義(座学)

コンセプト・戦略を反映した受

入環境整備について、実践例等

から学ぶ

G

滞在プログラムに関す

る講義(座学)

コンセプト・戦略を反映した滞

在プログラムづくりについて、

実践例等から学ぶ

I

ケーススタディを

通じた理解の深化

モデルケースを用いた、

戦略づくりへの理解の

深化

資料、講義 VTR の視聴等、講

義、ヒアリング、視察、発表、

意見交換、講師講評等

D~I

観光地域づくり戦

略の策定

具体的な取組を行う地

域をモデルに、ワークシ

ョップ、関係者との議論

等を踏まえた、地域の観

光地域づくり戦略の素

案の作成

特定地域において観光地域づ

くり戦略(ブランド戦略)案の

策定を通じて、俯瞰的な視点を

獲得する

D~I

具体的な取組を行う地

域をモデルに、地域の観

光地域づくりのコンセ

プト、戦略をグループで

議論し、取りまとめ

具体的な取組を行う地

域をモデルに、観光地域

づくりのコンセプト、戦

略の発表、意見交換、講

師による講評

Page 57: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

53

③ 研修における演習課題

研修における課題としては、広域での観光地域づくりの中核となる人材が持つべき

「俯瞰的視点」に焦点を当てたものとします。具体的には以下のような課題が考えら

れます(図表 4-7)。

図表 4-7 研修における課題のテーマ例

観光地域のブランド構築は、海外でも 2000年代に入ってから実証研究が進められた

領域であり、現段階では体系化が行われていないテーマでもあります。そのため、各回

の研修で演習課題を設定する場合は、講師の専門領域に近い分野を選定するとよいでし

ょう。参考までに、対応例についてまとめました。

分野 専門の研究領域(例)

ブランドコンセプト立案 ブランド論、経営戦略

滞在プログラムの立案 特産品開発、マーケティング

多様な主体への啓発 まちづくり、合意形成

景観整備 造園学、都市計画

移動の利便性向上 交通学、都市工学、土木工学

Page 58: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

54

(5) 実践に向けたヒント

① 講師・ファシリテーターのスタンス

観光地域づくり活動へのモチベーションを高めるために、受講者の発言を促すこと

を意識しましょう。そして、発言や発表内容の長所を見つけ、具体的な点について「こ

こがよかった」というコメントを与えるようにしましょう。

その一方では、実際の観光地域づくりの中核となる人材が担う業務に近い状況を体

験させるという観点からも、受講者の提案内容に対しては、不足点・改善点を鋭く指

摘する一面も必要となります。

② 地域課題に合わせた演習課題の設定

演習課題として、本書では「○○地域の観光地域づくり戦略を策定する」というも

のを想定しています。このテーマは、6つの能力分野が全て関連しているものであり、

地域のブランド戦略を作成するための基礎ともなり得ます。

しかし、演習対象となる地域や、受講者の出身地域の状況によっては、より具体的

な問題に焦点を当てたテーマ(例えば、「滞在プログラムの収支計画」「ワンストップ

窓口の開設」「ブランド戦略策定」など)を設定するとよいでしょう。

③ 宿題の設定(視察計画、リアクションペーパーなど)

人材育成プログラムを実施する場合、「初回の出席者が一番多く、最後まで残ってい

るのは数名」となってしまうことがあります。このように、“脱落”してしまう人を少

しでも減らすためには、「次の回も出席する」ことを促すことが必要です。例えば、以

下の内容が考えられます。

・各回のグループディスカッション時の司会や発表者を予め初回時に決める

・各回の終了時に、宿題を設定する(レポートの執筆、現地視察の計画づくりなど)

もっとも、宿題を設定する際は、受講者の負担も考慮しなければなりません。あま

りにも分量が多い場合は、逆に宿題が足かせとなってしまい、研修からドロップアウ

トすることになってしまうかもしれないからです。

Page 59: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

55

④ 資料の活用

人材育成プログラムの中で講義を行う場合は、理論的な話題に加えて、実際の観光

地域づくりの現場ではどのように応用されているのかをセットで示すことで、受講者

の理解を助けることが期待できます。観光庁では、観光地域づくりの実践例を様々な

媒体で取りまとめています。

読み物では、「地域いきいき観光まちづくり」があります。動画では、観光地域づく

り実践者のインタビューを取りまとめた「ケース動画」があります(詳細は参考資料

「観光地域づくりの実践例に関する資料」をご参照ください)。

また、インターネット上には、国内・海外を始めとする、観光地域の雰囲気をつか

むことができる資料が多数あります。例えば、動画共有ウェブサイト(You Tube等)

上には、世界各地の観光 PR 動画や、ニュージーランドの i-SITE6を紹介する動画な

どが公開されています。

⑤ 現地視察の実施

ステップ 1では、演習対象を先進地域としています。実際にどのような地域である

かを自らの目で確かめさせるために、現地視察を組み入れてもよいでしょう。実際に

フィールドとなる地域を見て回ることで、地に足の着いたアウトプットが提示される

ことが期待できます。

⑥ 複数回に渡る反復実施

観光地域づくりの戦略策定を行うためには、地域への来訪者に対するマーケティン

グから、地域内の多様な関係者に対する啓発(インターナル・マーケティング)、ブラ

ンドコンセプトに基づくハード整備・滞在プログラム立案など、多岐に渡る取組が必

要です。

そのため、全 2回程度の人材育成プログラムを 1度実施するだけでは、不十分です。

そこで、実際に地域内で人材育成プログラムを実施する際は、年度内に複数回、同様

のプログラムを反復して実施することを推奨します。進め方としては、特定のテーマ

を複数回実施する方法や、各回で異なるテーマを設定する方法が考えられます。

⑦ 次年度以降の事業内容の検討

講師、ファシリテーター、事務局といったスタッフや、企画者を交えて、振り返り

の機会を設けましょう。振り返りの結果と、受講者からのフィードバックである事後

アンケート内容を基に、次年度以降の事業内容を策定していきましょう。こうした、

6 i-SITE ニュージーランドの公式観光案内所で、全国に 90箇所のネットワークを持つ。

http://www.newzealand.com/jp/visitor-information-centre/

Page 60: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

56

計画→実行→評価→改善のいわゆる PDCAサイクルを回していくことによって、より

効果的な人材育成になっていくことが期待できます。

5. 観光地域づくり人材育成プログラムの実施・構成例

5.1. 事前準備、当日運営、事後対応

本節では、ここまで紹介してきたモデルプログラムの実施にあたり必要な作業を、

解説していきます。これらは、観光地域づくり人材育成を担う事務局を設置し、事務

局が中心となって運営していく必要があります。

(1) 事前準備

① 受講者名簿とメーリングリストの作成

事前に受講者名簿を作成します。

取組段階 1のように、幅広い人材の参画を促す段階では、事前申込、当日参加を問

わず必ず名簿を作成しておき、2回目、3回目以降の参加呼びかけに使用します。

取組段階 2、3 においては、人材を選抜し、育成する必要がありますので、参加者

のプロフィールや経歴把握をするために、事前アンケートを実施します(図表 5-1)。

この際、詳細な個人情報を扱うこととなるので、取扱には注意が必要です(※アンケ

ート用紙に、個人情報の取扱の指針等を明記しておくことが望ましいです)。

また、事務連絡を効率的に行うために、参加者からはメールアドレスを伺っておい

てメーリングリストを構築したり、SNS7のウェブサイトを受講者限定で公開して情報

共有する等の仕組を作ることを推奨します。

7 Social Networking Service のこと。facebook等が知られている。

Page 61: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

57

図表 5-1 事前アンケートの例

人材育成プログラムへの参加にあたってのアンケート

<プロフィールシート>

ふりがな 年齢 歳

氏名 男・女

勤務先

名称 勤務部署 役職

〒 -

TEL - - FAX - -

Eメール

◆職歴・経験(観光関連に限らず地域づくり全般に関する取組の経験について、役割や成

果等も含め、簡潔・具体的にお書き下さい。)

年 月 年 月 職歴・経験

~ 【記入例】・○○トラベル(株)営業開発課。

【記入例】・○○市観光協会事務局員。

・経験:観光圏の整備事業を活用し、観光圏内の市町村と連携

を行いながら、情報発信の一元化や滞在プログラム開発に取り

組むプロジェクトに○○担当者として従事し、当地の人気商品

を新たに定着させるなどの成功を収めた。

◆観光地域づくりにおけるリーダーシップについて、ご自身でどのような経験があります

か。(例:町並み保存の団体を主催、ガイド組織の立ち上げ、農業者と連携した体験受入

のコーディネート他)

◆事務局への連絡事項等(食物アレルギー、事前に事務局に伝えておきたい連絡事項等)

がございましたら、お知らせください。)

Page 62: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

58

<目標設定シート>

◆観光地域づくりの中核となる人材として、3~5 年以内(短期)で目指したい人材像は

どういったものでしょうか。最も当てはまるものを 1つに○を付けてください。

観光地域づくりプラットフォームを牽引していくリーダー

滞在プログラムの仕入れや新規造成を行い、それを流通・販売していくマーケテ

ィング担当者

組織の資金や人材などを管理し、組織を支え、その自立を実現していく組織管理

担当者

◆上の設問で選んだ人材像のあるべき姿、理想的な姿を 100 点満点とした場合、あなた

の現状はどの程度であると思いますか?0~100点までの数値でお答えください。

◆下記の質問に対するご自身の考えや取組内容についてご記入ください

①「住んでよし、訪れてよし」の観光地域づくりを進める上で、地域の核となる魅力と理

②地域の理想的な将来像(目標像)

③理想的な将来像とのギャップ、理想に近づくための妨げになっていること、理想像に近

づくために必要なこと

④理想像に近づくために、自分自身が観光地域づくりの中核となる人材として果たすべき

(果たしたい)役割

⑤自身の地域に対する思い(地域愛、地域の誇り、熱意など)

Page 63: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

59

<自己評価シート>

能力区分について現在の経験レベルを記入してください(1,2,3 ※未経験の場合は

0。各レベルの全項目をクリアした段階で当該経験レベルとします)。また、特に伸ばし

たいものについて、右欄に○を記入してください(3つ程度まで)

能力

区分

内容 経験

レベル

特に伸ばし

たいもの

志・合意形成

1

観光地域づくりの中核となる人材の役割を適切に説明できる

自分自身の観光地域づくりへの志を適切に説明できる

自分自身の観光地域づくりの中核となる人材としての活動方針を適切に説明できる

2

他地域と明確に区別できる自地域の特徴・価値等を適切に説明できる

地域内の多様な主体と合議する体制を適切に説明できる

事業実施にあたっての前提となる考え方を適切に説明できる

3

ブランド観光地域として自地域が目指すべき将来の姿を適切に説明できる

目指すべき将来の姿を地域内の多様な主体が理解できるような形で適切に説明できる

「日本の顔」と言える地域ならではの「独自の価値」の構成要素となる地域資源の抽出過程を適

切に説明できる

持続性・公益性

1

地域資源の保全や活用に関する調査手法を適切に説明できる

地域資源の保全や活用に関する調査実績を適切に説明できる

調査実施によって明らかになった課題を適切に説明できる

2

先進事例と自地域の違いを適切に説明できる

先進事例と照らし合わせ、これまでの取組実績の成果と課題を適切に説明できる

これまでの取組実績に関する課題への対応策を適切に説明できる

3

「日本の顔」と言える地域ならではの「独自の価値」について、保全や活用に関する取組実績を

適切に説明できる

保全や活用に関する取組実績の成果と課題を適切に説明できる

保全や活用に関する今後の対応策(景観条例など)を適切に説明できる

観光地域

マネジメント計画

1

プロジェクトの目的や立案内容を適切に説明できる

プロジェクトの実施結果を適切に説明できる

プロジェクトの実施によって明らかになった課題を適切に説明できる

2

地域の多様な主体間の役割分担を明確に説明できる

個別事業の実施主体および実施期間を適切に説明できる

代表的な観光関連産業のみならず、農林漁業、商工業等の連携を図る方策を適切に説明できる

3

ブランドコンセプトを体感させるための現状の課題を適切に説明できる

事業の確実な実施を担保するための方策を適切に説明できる

現状の課題を改善するための各事業の内容を適切に説明できる

受入環境

1

提供した情報の内容を適切に説明できる

情報提供の効果を適切に説明できる

情報提供の実施によって明らかになった課題を適切に説明できる

2

来訪者の動向に基づき、情報提供に係るニーズを適切に説明できる

情報提供に係るニーズを満たすために必要な各種情報を適切に説明できる

各種情報の提供に関連する主体を列挙し、相互連携を図る方策を適切に説明できる

3

観光案内に係る取組実績を適切に説明できる

観光案内に係る取組の結果、明らかになった課題を適切に説明できる

解決すべき課題への取組事項を明らかにし、関係主体との連携手法を含めて適切に説明できる

Page 64: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

60

能力

区分

内容 経験

レベル

特に伸ばし

たいもの

観光地域

マーケティング計画

1

観光地域マーケティングの定義や手法(例:マーケティングミックスの 4 つの P=価格、商品づ

くり、プロモーション、流通・販路)を適切に説明している

自地域でのマーケティングの実施内容を適切に説明できる

マーケティングの実施によって明らかになった課題を適切に説明できる

2

自地域への来訪者の動向を適切に説明できる

地域に根ざした固有の魅力について、来訪者への伝え方を適切に説明できる

自地域を取り巻く外部環境や内部環境と、自地域の強み、弱み、機会や脅威を適切に説明できる

3

ブランドコンセプトと、その考え方(キーワードとイメージ)を適切に説明できる

「日本の顔」と言える地域の「独自の価値」を適切に説明できる

ブランド管理の考え方について適切に説明できる

滞在プログラム

1

滞在コンテンツの原石となる地域に根ざした固有の魅力を適切に説明できる

滞在コンテンツの内容を適切に説明できる

滞在コンテンツに関連する主体を列挙し、相互連携を図った方策を適切に説明できる

2

地域内の代表的な滞在コンテンツの内容を適切に説明できる

地域に根ざした固有の魅力に合致するような滞在コンテンツと宿泊や移動手段の組み合わせを適

切に説明できる

滞在プログラムに関連する主体を列挙し、相互連携を図る方策を適切に説明できる

3

滞在プログラム造成の基となる、ブランドコンセプトに基づく滞在コンテンツの内容を適切に説

明できる

滞在プログラムの顧客像(ターゲット)を適切に説明できる

ブランドコンセプトと滞在プログラムの対応関係を適切に説明できる

Page 65: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

61

② 進行表の作成

各回の研修当日のタイムスケジュールや研修内容についてまとめた進行表を、その

都度作成します(図表 5-2)。受付対応や、会場のレイアウト変更といった作業につい

ても追記し、事務局内で誰がどのような動きをするか把握できるように、役割分担を

明確にした形で記載していきます。

図表 5-2 進行表の作成例

時間 プログラム 内容 担当 場所 必要な準備、備考

12:00 スタッフ集

事前ミーティン

グ、会場設営 A 会議室

役割分担表

講義形式で会場設営

13:30 開場 受付、資料配布 C 会議室

出欠確認、参加費徴収

※領収書の有無は事前

確認(担当 C)

14:00 ステップ 1

開校

全体スケジュー

ルの共有

課題の共有

○○会長訓示

司会 A

説明 B 会議室

○○会長送迎

(担当 D)

14:30 講義 観光地域づくり

に関する講義 ○○先生 会議室

スライド準備

○○先生資料の配布

・・・

Page 66: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

62

③ 講師との打合せ

作成した進行表を基に、講師と当日の進行について、その都度打合せを行います。

直接対面することが望まれますが、スケジュールの都合上それが難しい場合、電話や

メールを活用することとします。この際、謝金や旅費の支払い方法や、事前に用意し

ておくべき書類などについて確認することが必要です。

また、受講者名簿は、打合せの場で講師に渡す(または電子データで送信する)こ

とを推奨します。事前にどのような人が受講するのかを把握しておくことが、講師に

とっても事前の準備に役立つことになるからです。

④ 資料準備と印刷

各回の研修当日必要となる資料を、参加人数分に加えて、不測の事態に備えて数部

を余分に印刷しておきましょう。講師がプロジェクターを使用する場合は、可能な限

り事前にデータを受領しておき、当日使用するパソコン内にコピーしておきましょう。

講師がご自身のパソコンでプロジェクターに接続することを希望した場合は、パソコ

ンの機種(Windows/Mac、バージョン)などを聞いておくとよいでしょう。

Page 67: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

63

⑤ 備品の確保

各回の研修に必要な備品を確保しましょう。標準プログラム構成例に準拠する場合

に必要となる備品は図表 5-3を参照してください。

図表 5-3 必要となる備品の例

会場設備・備品等 用途 数量

ノートパソコン 講義、参加者発表などにおけ

るスライドの表示 1~2式程度

プロジェクター、スクリーン

レーザーポインター スライド内の重要箇所の指示 1台

マイク 講義、参加者発表用 3本程度(ワイヤレス 2

本程度)

名札 参加者の名前を参加者間、事

務局が覚えるため 参加者全員

ホワイトボード、マーカー 講義、グループでの議論時に

使用 1グループにつき 1つ

模造紙 グループでの議論時に使用 1 グループにつき数枚

程度

マーカー グループでの議論時に使用 1 グループにつき 1-2

セット程度

付箋紙 ※大サイズ(75mm×

100mm程度)が望ましい グループでの議論時に使用 1人につき 50枚程度

インターネット接続環境

(無線インターネット環境推奨)

ワークショップ演習時の資料

収集などに使用 適宜

市町村の観光マップ、広域地図等 グループでの議論時に使用 1グループにつき 1つ

封筒、トランプ、写真 グループ分け時に使用 一式

デジタルカメラ 記録作成用 適宜

ICレコーダー

⑥ 受講者への案内

出席予定の受講者に対して、メーリングリストなどを通じて各回の研修会場・時間

について、その都度連絡を行います。事前課題や宿題を用意している場合は、その内

容と締め切りについても同時にリマインドするとよいでしょう。

Page 68: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

64

(2) 当日運営

① 会場設営

遅くとも、開始時間の約 1時間前から、会場設営を行いましょう。標準プログラム

構成例では、グループでの議論や作業する機会を増やすことを推奨しています。その

場合、受講者全員が講師を向くスクール型ではなく、グループの固まりごとにテーブ

ルを点在させる島型のレイアウトを採用するとよいでしょう。講義の時点から島型の

レイアウトでも構いませんし、講義の際は、受講者が講師の方向を向くスクール型を

採用し、休憩時間を利用してレイアウトを変更する方法も考えられます。

図表 5-4 グループでの議論や作業を中心とする場合の会場配置の例(島型)

ホワイトボード

各テーブルに、模造紙、付箋紙、マーカー、電源タップ、

観光マップなどを設置

オブザーバー、講師席

ホワイトボード

ホワイトボード

ホワイトボード

ホワイトボード

ホワイトボード

スクリーン

出入り口

模造紙

模造紙

模造紙

模造紙 模造紙

 

ノート型PCレーザーポインター

マイク

予備備品、マイク

インターネットルーター

記録用デジカム

茶菓子など

荷物置き場

荷物置き場

Page 69: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

65

図表 5-5 講義を中心とする場合の会場配置の例(スクール型)

オブザーバー、講師席

ホワイトボード

スクリーン

出入り口

ノート型PCレーザーポインター

マイク

予備備品

記録用デジカム

荷物置き場

荷物置き場

Page 70: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

66

② 当日の受付

遅くとも開始時間の 30分前には、受講者の受付を開始しましょう。

③ 記録

受講者にとっての振り返りや、運営側にとっての効果測定やプログラム改善の資料

とするためにも、各回の記録を作成しましょう。一言一句を書き出す必要はありませ

んが、講師の発言内容や、受講者の発表内容についても要約した形で文章に起こすと

よいでしょう。

ワークショップ演習や議論の際に利用したポストイットや模造紙、プレゼンテーシ

ョンの電子ファイルについても保存しましょう(模造紙など、紙媒体で管理が煩雑な

ものは、デジタルカメラで内容を撮影後、原本を破棄してしまっても構いません)。当

日の雰囲気がわかるように、研修実施中の写真も各回につき何枚か撮影しておきまし

ょう。

④ 講師への謝金や旅費の支払い

講師に対して謝金・旅費が発生する場合は、可能な限り当日中に精算手続きを済ま

せるようにしましょう。その際は、事前に必要なもの(領収証、印鑑など)について

講師と情報共有を行っておくことが望まれます。

Page 71: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

67

(3) 事後対応

① 事後アンケート

受講者を対象に、事後アンケートを実施しましょう(図表 5-6)。これによって、研

修効果やプログラムの改善点を明らかにしていくことができます。例えば、育成前の

現況把握シートと同様の設問に回答してもらうことで、差分が明らかになり、どの部

分の能力分野が育成されたかが把握できるようになります。

Page 72: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

68

図表 5-6 事後アンケートの例

人材育成プログラムに関するアンケート

ふりがな

氏名 男・女

勤務先 名称 勤務部署 役職

◆本プログラムを終えて、自らにとってためになったと感じた点をお書きください。

◆本プログラムを終えて、改善が必要であると感じた点をお書きください。

Page 73: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

69

<自己評価シート>

以下の能力区分について現在の経験レベルを記入してください(1,2,3 ※未経験の

場合は0。各レベルの全項目をクリアした段階で当該経験レベルとします)。また、特に

伸ばしたいものについて、右欄に○を記入してください(3つ程度まで)

内容 経験

レベル

志・合意形成

1

観光地域づくりの中核となる人材の役割を適切に説明できる

自分自身の観光地域づくりへの志を適切に説明できる

自分自身の観光地域づくりの中核となる人材としての活動方針を適切に説明できる

2

他地域と明確に区別できる自地域の特徴・価値等を適切に説明できる

地域内の多様な主体と合議する体制を適切に説明できる

事業実施にあたっての前提となる考え方を適切に説明できる

3

ブランド観光地域として自地域が目指すべき将来の姿を適切に説明できる

目指すべき将来の姿を地域内の多様な主体が理解できるような形で適切に説明できる

「日本の顔」と言える地域ならではの「独自の価値」の構成要素となる地域資源の抽出過程を

適切に説明できる

持続性・公益性

1

地域資源の保全や活用に関する調査手法を適切に説明できる

地域資源の保全や活用に関する調査実績を適切に説明できる

調査実施によって明らかになった課題を適切に説明できる

2

先進事例と自地域の違いを適切に説明できる

先進事例と照らし合わせ、これまでの取組実績の成果と課題を適切に説明できる

これまでの取組実績に関する課題への対応策を適切に説明できる

3

「日本の顔」と言える地域ならではの「独自の価値」について、保全や活用に関する取組実績

を適切に説明できる

保全や活用に関する取組実績の成果と課題を適切に説明できる

保全や活用に関する今後の対応策(景観条例など)を適切に説明できる

観光地域

マネジメント計画

1

プロジェクトの目的や立案内容を適切に説明できる

プロジェクトの実施結果を適切に説明できる

プロジェクトの実施によって明らかになった課題を適切に説明できる

2

地域の多様な主体間の役割分担を明確に説明できる

個別事業の実施主体および実施期間を適切に説明できる

代表的な観光関連産業のみならず、農林漁業、商工業等の連携を図る方策を適切に説明できる

3

ブランドコンセプトを体感させるための現状の課題を適切に説明できる

事業の確実な実施を担保するための方策を適切に説明できる

現状の課題を改善するための各事業の内容を適切に説明できる

受入環境

1

提供した情報の内容を適切に説明できる

情報提供の効果を適切に説明できる

情報提供の実施によって明らかになった課題を適切に説明できる

2

来訪者の動向に基づき、情報提供に係るニーズを適切に説明できる

情報提供に係るニーズを満たすために必要な各種情報を適切に説明できる

各種情報の提供に関連する主体を列挙し、相互連携を図る方策を適切に説明できる

3

観光案内に係る取組実績を適切に説明できる

観光案内に係る取組の結果、明らかになった課題を適切に説明できる

解決すべき課題への取組事項を明らかにし、関係主体との連携手法を含めて適切に説明できる

Page 74: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

70

内容 経験

レベル

観光地域

マーケティング計画

1

観光地域マーケティングの定義や手法(例:マーケティングミックスの 4 つの P=価格、商品

づくり、プロモーション、流通・販路)を適切に説明している

自地域でのマーケティングの実施内容を適切に説明できる

マーケティングの実施によって明らかになった課題を適切に説明できる

2

自地域への来訪者の動向を適切に説明できる

地域に根ざした固有の魅力について、来訪者への伝え方を適切に説明できる

自地域を取り巻く外部環境や内部環境と、自地域の強み、弱み、機会や脅威を適切に説明でき

3

ブランドコンセプトと、その考え方(キーワードとイメージ)を適切に説明できる

「日本の顔」と言える地域の「独自の価値」を適切に説明できる

ブランド管理の考え方について適切に説明できる

滞在プログラム

1

滞在コンテンツの原石となる地域に根ざした固有の魅力を適切に説明できる

滞在コンテンツの内容を適切に説明できる

滞在コンテンツに関連する主体を列挙し、相互連携を図った方策を適切に説明できる

2

地域内の代表的な滞在コンテンツの内容を適切に説明できる

地域に根ざした固有の魅力に合致するような滞在コンテンツと宿泊や移動手段の組み合わせを

適切に説明できる

滞在プログラムに関連する主体を列挙し、相互連携を図る方策を適切に説明できる

3

滞在プログラム造成の基となる、ブランドコンセプトに基づく滞在コンテンツの内容を適切に

説明できる

滞在プログラムの顧客像(ターゲット)を適切に説明できる

ブランドコンセプトと滞在プログラムの対応関係を適切に説明できる

ご協力ありがとうございました。

Page 75: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

71

② 欠席者への対応

取組段階 1では、参加者を拡げるために、各回の講演やワークショップの概要など

を整理してニュースレターやホームページなどで情報共有を行いましょう。参加され

た方に対しても、振返りや頭の整理を行う機会となり得ます。取組を拡げるためには、

実施後あまり時間をおかずに、速やかに実施することが重要です。

取組段階 2、3 では、ある程度地域の中で選定された人材が参加することとなりま

すので、欠席の場合もしっかりとフォローアップしていくことが重要です。具体的に

は、講義を欠席した場合は、講義の動画(DVD、インターネット等を活用)を見た上

で、講義のポイントや、自分自身と取組に即した考察を記述したレポートを提出して

もらったり、プレゼンテーションの場に欠席した場合は、プレゼンテーションで発表

すべき内容の要点等を記述したレポートを提出してもらう等の対応が考えられます

(図表 5-7)。

Page 76: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

72

図表 5-7 欠席者へのレポート課題の例

◇講義を欠席した場合のレポート課題の例

※記入欄が不足する場合は必要に応じて欄を拡げて記載してください。

講義「 」について、講義のポイントを記述

してください。

自身が属する地域の観光地域づくりにおける現状や直面している諸課題に即して、講義内

容で参考になった点について記述してください。

その他感想、意見をご自由に記述してください。

◇プレゼンテーションの場に欠席した場合のレポート課題の例 ※記入欄が不足する場合は必要に応じて欄を拡げて記載してください。

自身が属する地域の観光地域づくりのブランドコンセプトと、実現のための戦略について、

要点を記述してください。

自身が属する地域の観光地域づくりのブランドコンセプトを実現するために、自分自身は

どのような役割を果たしたいと考えているか、記述してください(必ずしも、地域内で合

意された役割でなくとも構いません)。

Page 77: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

73

③ 修了の認定

設定したプログラムの修了後、修了の認定を行います。必要な課程を全て受講した

受講者には、修了認定証等(図表 5-9)をもって通知します。

修了認定にあたっては、全てのプログラムへの参加を求めますが、やむを得ず一部

の内容を欠席する受講者が発生することも想定されます。その場合は、前述のレポー

ト課題によって出席とみなす等の対応が考えられます。また、OJTへの参加実績が十

分であるかどうかを確認する場合には、別途、活動状況報告等の提出を求めることも

考えられます(図表 5-8)。

Page 78: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

74

図表 5-8 OJT活動状況報告書の内容例

OJT活動状況報告書

1.対象者プロフィール

氏名

2.本人が参加した OJTの実施記録(ワークショップ、検討会、勉強会等)※記述欄が不

足する場合は必要に応じて欄を拡げて記載してください。

会議等の名称 日時 場所

1

2

3

4

3.2の実施記録のうち 1つについて具体的な内容を記載してください。

※記入欄が不足する場合は必要に応じて欄を拡げて記載してください。

番号 前項の 番

参加者、参加人数 ※主たる参加者(個人名は不要)、参加人数を記載してください。

(主たる参加者)

(参加人数) 約 名

実施内容 ※議事概要を記載してください。

※必要に応じて、ワークショップ記録(ワークシート、模造紙等)、当

日配布資料、開催の様子が分かる写真等を添付してください(別紙添

付可)。

観光地域づくりの

中核となる人材と

して果たした役割

※観光地域づくりの中核となる人材として果たした役割を具体的に記

述してください。

Page 79: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

75

図表 5-9 修了認定証の例

修了認定証

○○○○○殿

貴殿は、○○○○が実施する

観光地域づくり人材育成研修において

所定の課程を修了したことを認定します。

○○○○年○月○日

主催団体名 ○○○○

主催団体の公式ロゴなど

Page 80: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

76

5.2. 取組段階 1

取組段階 1 のうち、「観光地域づくりの担い手育成に向けた研修」の標準プログラ

ム構成例を示します。地域の実情等に合わせて、時間、構成を調整することができま

す。

地域関係者が、今後の観光地域づくりの方向性等に関して議論・検討を行い、取組

への意識を高めることを目的として構成を検討します。

(1) 開催概要

会 議 名 「○○地域 観光地域づくり勉強会」

日 時 ○月○日 ○時~○時

会 場 ○○公民館 会議室

参 加 者

地域の若手を中心とした観光地域づくりの担い手候補(観光関連産業従事者、

観光協会、旅館組合、地域の農業のリーダー、商店会の青年部長、まちづく

り団体の代表他 20~30名程度)

(2) 実施体制

役割 担当者 内容

事務局 観光協会、行政機関 他

参加申込取りまとめ、講師等の調整

事前準備(会場手配、会場設備や備品

の手配)、当日対応(受付、全体進行、

写真撮影、記録 他)

講師 講師 ワークショップ演習の講評、全体講評

ファシリテーター 講師、事務局 他 ワークショップの進行

Page 81: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

77

(3) 標準プログラム構成例

目的 内容例 担当 時間

1.開会 司会者

2.地域の資源

や課題につい

ての講義(座

学)

地域資源・課題を

理解し、関係者間

で共有する

観光統計等の基礎的情報、

地域資源、地域課題等につ

いて、講師が話題提供し、

関係者間で共有する

地元の観

光推進関

係者等

30分程度

3.観光地域づ

くりについて

の講義(座学)

観光地域づくりの

概念や取組方を理

解する

観光地域づくりの専門家

より、観光地域づくりに関

する以下のような内容の

講義を行い、質疑や意見交

換を通じて理解を深める

・観光地域づくりに取り組

む意味・意義

・先進取組事例の紹介

・当地域で求められる取組

観光地域

づくりの

専門家等

60分程度

休憩 10分

参加者グループ分け 5分

4.地域の課題

と将来像につ

いての演習(ワ

ークショップ

演習)

観光地域づくりの

概念や取組方を理

解する

各グループ内で、各々が考

える地域の魅力について

グループ内で共有する

⇒各自写真を持参

※自分が理想とする観光

地域(国内外問わず)の写

真を用意し、印刷して持参

(グループ作業であるた

め、A4 以上に引き伸ばし

て印刷してくることが望

ましい)

60分程度

地域の理想的な将来像(目

標像)を討議

⇒地域の魅力を活かし、

「住んでよし、訪れてよ

し」の地域の将来像を討議

理想的な将来像とのギャ

ップや、理想像に近づくた

めに必要なことを討議

⇒理想的な将来像に対し

て、現在足りないものがあ

Page 82: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

78

るとすれば何か、近づける

ためにはどのような方向

に進むべきか、具体的にど

のような取組が必要かを

討議

グループ発表

⇒ワークショップ演習で

討議した結果を発表

各グルー

プ5-10分

程度

5.講評・振り

返り

本日学んだことを

振り返り、定着さ

せる

発表内容等を踏まえて講

評・振り返りを行う

講師、地元

有識者、主

催者等

10分程度

6.閉会 司会者

Page 83: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

79

5.3. 取組段階 2

取組段階 2 の標準プログラム構成例を示します。地域の実情等に合わせて、時間、

構成を調整することができます。

観光地域づくりの中核となる人材の発掘・育成に向けて、リーダーシップ能力の育

成を図ることを目的として構成を検討します。

(1) 開催概要

会議名 「○○地域 観光地域づくりワークショップ」

日時 ○月○日 ○時~○時

会場 ○○公民館 会議室

参加者

地域の若手を中心とした観光地域づくりの中核となる人材候補(観光関連産

業従事者、観光協会、旅館組合、地域の農業のリーダー、商店会の青年部長、

まちづくり団体の代表他 30名程度)

(2) 実施体制

役割 担当者 内容

事務局 観光協会、行政機関 他

参加申込取りまとめ、講師等の調整

事前準備(会場手配、会場設備や備品

の手配)、当日対応(受付、全体進行、

写真撮影、記録 他)

講師 講師 ワークショップ演習の講評、全体講評

ファシリテーター 講師、事務局 他 ワークショップの進行

Page 84: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

80

(3) 標準プログラム構成例

① 1日目

次第 担当者 時間

開会 司会者

挨拶 主催者(代表)、来賓 他 5~10分程度

実施方法の説明 事務局 5分程度

アイスブレイク ワークショップのファシリテーター役 30分程度

◆アイスブレイク

・受講者同士の緊張感を和らげ、柔軟な発想や発言を促すため、ミニゲームの形式で導

入として行う

(アイスブレイクの実施方法例)

・受講者どうしが誕生日順、または名前順に素早く並ぶ「自己紹介ゲーム」(※時間を

計測する)

⇒並び終わったら誕生日順に自己紹介(所属や名前など)する(お互いのことを良く

知らない場合に有効)

・事前に地域の名所などの写真をバラバラに切ったもの(割符)を用意しておき、受講

者どうしで合致する写真の組み合わせを探す「割符合わせゲーム」

⇒同じ写真の割符を持った人がグループをつくる(※所属等とは無関係にグループづ

くりをするときに有効)

アイスブレイク(チーム分け)

普段と異なる年代性別が混在したグループ

Page 85: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

81

次第 担当者 時間

ワークショップ演習及び発表 ワークショップのファシリテーター役 2~3時間程度

◆目的

・冒頭で、ワークショップ演習を踏まえてグループ発表を行い、その後、個人としてど

う取り組みたいかを発表してもらう旨を強調しておく

◆方法

・受講者に対し、正解はないが、創造的な答えを多く検討できる課題に対する検討作業

を課すことによって創造性、論理性、主体性を見出す

◆課題

(事前課題)

・ワークショップ参加者は各自で、以下の写真を用意し、印刷して持参する

(※A4以上に引き伸ばして印刷してくることが望ましい)

①地域で核となる魅力と考えられるもの

②自分が理想とする観光地域(国内外問わず)

(ワークショップ演習課題)

・写真を基に、その理由をグループ内で説明しながら地域の理想的な将来像(5年後~

10年後)を検討

⇒提示した理想像と現状とのギャップを検討

⇒ギャップの解消策を検討

ワークショップ演習の様子

◆ポイント

・進行がスムーズになるように、最初に書記、タイムキーパー、発表者をグループ内で

決めておく

・綺麗にまとめることではなく、多様な意見を数多く出し合うことに注力するようにア

ナウンスする

・講師は特定のグループには入らず、質問等があった場合は適宜対応する(または 10-15

Page 86: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

82

分程度ごとに巡回する)等、進行は地域側に任せ、一歩引いたスタンスで関わる

・中間程度の時間に、発表に向けたまとめを促すアナウンスを行う

・ワークショップ演習では、ホワイトボード、模造紙、付箋等を使用する

・スライド(パワーポイント等)の利用も可

・休憩はグループの判断で適宜とる

◆発表

・発表の順番を決めるため、チーム代表によるじゃんけんを行う

・グループ 5~10分発表+5分程度質疑

・意見交換、講師によるグループ発表への講評を行う

グループ発表の様子

Page 87: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

83

次第 担当者 時間

個人発表 ワークショップのファシリテーター役 1人 3分程度

◆目的

・発表を通じて、観光地域づくりの中核となる人材の見極めを行う

◆方法

・自分自身は何に取り組んでいくのか、取り組んでいきたいと思っているのかについて

自分を主語にして発表(3年計画程度で考える)

・前に出てきて発表する(演台、マイクを用意する)

・1人 3分程度(必要に応じて質疑 ※質疑無も可)

・タイムキープ(オーバーした場合は司会が伝える)

・必ず所属と名前をはっきりと話してから発表を始めることを意識付けする(人選を行

う場合は必須)

◆ポイント

・グループ発表後に休憩を挟むなど、発表に向けて考える時間を設定するとよい

・参加者は皆組織に属しているので、個人の立場で発言するのは基本的に難しいが、し

かし、その枠を一歩でも二歩でも越えないと、広域の連携、新しい取組は生まれない

・できるだけ、主語を「私は」として、「個人の本音の想い」を発表するように促すこ

とが必要である

Page 88: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

84

次第 担当者 時間

講評 講師 他 30分程度

・全体的な感想、深めるべき論点、今後の議論を継続することの必要性を強調

・「明日から、自分自身が何ができるか」が重要である点を強調

講師による講評

主催者や観光セクションの

役職者による講評

次第 担当者 時間

閉会 司会者

Page 89: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

85

② 2日目

次第 担当者 時間

現地視察 現地の状況に詳しい方 半日~

1日程度

◆目的

・前日のワークショップ演習の中で挙げられた地域の資源等を実際に視察・体験する

◆方法

・現地の状況に詳しい方(1日目の参加者が望ましい)の案内で、実際に現地の状況を

視察する

※主要な個所は事前にアポイントを取っておくと共に、人数によっては貸切バスを手配

しておく

※現地視察を 1日目に設定し、現地を知った上でワークショップ演習を行う方法もある

※ただし、ワークショップ演習での議論が視察内容に強く影響されることを考慮する必

要がある

※現地視察に換えて、事前に地域の資料等を配布しておく方法も考えられる

視察の様子

※閉会後、懇親会の開催も、参加者間の連携を深めたり、人物像をつかむ上で効果的です

Page 90: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

86

5.4. 取組段階 3

(1) 全 2回・各 1泊 2日の構成例

ステップ 1及びステップ 2の全 2回(各 1泊 2日)で構成した場合の構成例を紹介

します。

① ステップ 1(1回目)実施例

観光地域づくりの中核となる人材(候補)が、講義や他地域の事例を通じて、戦略

策定の意味・意義を理解し、自地域の戦略づくりができるようになることを目的とし

て構成を検討します。

○ 開催概要

会 議 名 短期集中セミナー・ステップ 1

日 時 ステップ 1 ○月○日~○月○日(1泊2日)

会 場 ○○公民館 会議室

(※現地視察を行う場合は、ケースとして選定した地域で実施)

受 講 者 観光地域づくりの中核となる人材の候補

(各グループ 3-6名程度、合計 20~30名程度)

○ 実施体制

役割 担当者 内容

事務局 ○○観光協会、行政機関

参加申込取りまとめ

講師等の調整

事前準備(会場手配、会場設備や備品

の手配)

当日対応(受付、全体進行、写真撮影、

記録 他)

講師

地域における実践者

観光地域づくりの専門家

地域事例の紹介

ワークショップ演習の講評、全体講評

ファシリテーター 講師、事務局 他 ワークショップの進行

Page 91: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

87

○ 受講者への課題例

課題:『○○地域のブランド戦略づくり』

自分たちが○○地域の観光地域づくりの中核となる人材であると仮定し、○○地域の

ブランドコンセプトに近づけるための「戦略」を策定してください。

<与条件>

・ ○○地域が既に策定している「ブランドコンセプト」を使用します

・ 戦略策定期間は 3年間とし、期間内にコンセプト実現に近づけるための戦略を策定

します

・ 3年間のシナリオと、年度ごとのシナリオ(Hop-Step-Jump)を策定します

<事前課題>

・ ○○地域に関する資料の熟読(○○地域の現状や課題について定性的、定量的に記

述されたもの/ブランドコンセプト・戦略、滞在プログラムが記載されたもの 等)

<研修>

・ 検討はチームごとに行います

・ 発表は主としてスライド(パワーポイント等)等を使用し、プロジェクターを用い

てスクリーン投影して行います(後日、事務局にデータを提出してもらいます)

・ 発表は 2回(中間発表、最終発表)実施します

・ 模造紙、付箋紙、ペン、メモリーカードリーダーを用意しますので、自由に使用し

てください

・ 戦略策定にあたっての疑問点等は、適宜講師に質問してください

Page 92: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

88

○ 標準プログラム構成例

1日目

次第 担当者 時間

ステップ 1開講式 事務局 10分程度

・主催者挨拶

・スケジュール説明、課題説明、諸連絡

中間発表、意見交換(講評) 講師 90分程度

・事前課題として検討してきた内容を発表(1グループ 5-10分程度+質疑応答 5分程

度)

・最初に中間発表を行うことで、事前課題への取組を促す。

・プレゼンテーションはスライド(パワーポイント等)を中心に、模造紙などを使って

も良い

・質疑応答を重視し、質問等がない場合も指名する等を行い、内容を深める

プレゼンテーションの様子

講義(観光地域づくりの概要・

リーダーシップについて)

講師 90分程度

・プレゼンテーションを踏まえて、観光地域づくりの概要や基本的な考え方についての

講義を行う。

・質疑応答を重視し、質問等がない場合も指名する等を行い、内容を深める

Page 93: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

89

プレゼンテーションの様子

講義(観光地域づくりマネジメ

ント講座/観光地域づくりマ

ーケティング講座)

講師 90分程度

・プレゼンテーションの内容を踏まえて、観光地域づくりマネジメント・マーケティン

グに関する講義を行う。講義は、実践者本人による事例を踏まえたものを中心とする(テ

クニカルな内容を含む場合は、事前課題として学習してくることが望ましい)。

・講師はプレゼンテーション段階から同席する。

・質疑応答を重視し、質問等がない場合も指名する等を行い、内容を深める

講義の様子

ワークショップ演習 講師 60分~程度

・自分の地域の観光地域づくり戦略を策定するためのワークショップ演習を実施

・講師は適宜助言を行う

・休憩は適宜グループの判断で取る

※事務局は、ワークショップ演習が実施しやすいように資材等を揃えておく(模造紙・

付箋紙・ペン等、無線インターネット環境、飲み物や菓子、他)

ワークショップ演習の様子

Page 94: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

90

2日目

次第 担当者 時間

ワークショップ演習 講師 180分程度

・前日に引き続き中間発表のための準備

最終発表、意見交換、講評(○

○地域の戦略について) 講師 120分程度

・前日の講義を踏まえて磨き上げた戦略案を発表する

・発表内容について、講師から講評を行う

※この時、講師は複数名とすると、別々の視点から指摘が受けられるので、学習効果が

高い。また、良い部分を見つけて「褒める」担当と、戦略づくりの視点から不足して

いる部分や課題点をやや厳しく「指摘する」担当というような役割分担を行うことが

できるので、対応しやすい

※講評を通じて OJTで取り組むべき課題を明確にしておく

プレゼンテーションの様子

ステップ 1閉講式 事務局

Page 95: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

91

② OJT の実施

ステップ 1で○○地域をケースとして検討した戦略の内容やその検討プロセス、あ

るいは講師からの指摘を参考にして、自分の地域における戦略を策定します。次のス

テップまでの間に、地域内の関係者と合意形成を図りながら、OJT(実践的経験学習)

形式で戦略案の磨き上げを行います。

OJTを通じて、地域内の関係者とのコミュニケーション能力、地域内での合意形成

能力(会議やワークショップの運営等)を磨くことが目的です。その間、メンター に

よるフォローアップを行うことが重要です。

ステップ 1とステップ 2の間にある程度の間隔が開く場合は、途中段階で講師等へ

の相談を行う等により、助言を得ることも効果的です。

Page 96: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

92

③ ステップ 2(2回目)実施例

観光地域づくりの中核となる人材(候補)が、地域の観光地域づくり戦略、ブラン

ド戦略を策定できるようになることを目的として構成を検討します。

○ 開催概要

会 議 名 短期集中セミナー・ステップ 2

日 時 ステップ 2 ○月○日~○月○日(1泊2日)

会 場 ○○公民館 会議室

受 講 者 観光地域づくりの中核となる人材の候補

(各地域から 3-6名程度、合計 20~30名程度)

○ 実施体制

役割 担当者 内容

事務局 ○○観光協会、行政機関

参加申込取りまとめ

講師等の調整

事前準備(会場手配、会場設備や備品

の手配)

当日対応(受付、全体進行、写真撮影、

記録 他)

講師 講師 ワークショップ演習の講評、全体講評

ファシリテーター 講師

事務局 他 ワークショップの進行

Page 97: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

93

○ 受講者への課題例

課題:『観光地域づくりのコンセプトと戦略づくり』

自分たちの地域の観光地域づくりの「コンセプト」と「戦略」を策定してください。

<与条件>

・ コンセプトは、他地域と明確に区別できる特徴・価値等を来訪者に伝える簡潔な表

現で策定してください(※コンセプトは、地域が目指すべき姿を明確にし、そのた

めに地域ならではの生活様式等(地域独自の暮らし、産業、伝統、食、住、風習等)

やそこから導き出される地域の特徴(強み、価値)を反映しつつ、他地域との差別

化を意識して検討してください)

・ 戦略の策定期間は 3~5 年間程度とし、期間内にコンセプト実現に近づけるための

戦略を策定してください

・ 期間全体のシナリオと、年度ごとのシナリオを策定してください

・ 戦略案及びコンセプトは、地域の関係者に広く意見を聞きながら作成してください

(地域における合意形成の手法を実践で学んでいただくためです)

<事前課題>

・ 観光地域づくりのコンセプトと戦略案を検討し、持参してください

・ 戦略案は、主としてスライド(パワーポイント等)等を使用し、プロジェクターを

用いてスクリーン投影することを前提として作成してください

<研修>

・ 意見交換、講義等を基に、コンセプトと戦略の磨き上げを行います

・ 発表は主としてスライド(パワーポイント等)等を使用し、プロジェクターを用い

てスクリーン投影して行います

・ 発表は 2回(事前課題の発表、ワークショップ演習を踏まえた発表)実施します

・ 模造紙、付箋紙、ペン、メモリーカードリーダーを用意しますので、自由に使用し

てください

・ 戦略策定にあたっての疑問点等は、講師に適宜質問をしてください

Page 98: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

94

○ 標準プログラム構成例

1日目

次第 担当者 時間

ステップ 2開講式 事務局 10分程度

・主催者挨拶

・スケジュール説明、課題説明、諸連絡

中間発表、意見交換(講評) 講師

・OJT を通じて検討をしてきた戦略案を発表(1 チーム 5-10 分程度+質疑応答 5 分

程度)する。

・プレゼンテーションはスライド(パワーポイント等)を中心に、模造紙などを使って

も良い

・質疑応答を重視し、質問等がない場合も指名する等を行い、内容を深める。

プレゼンテーションの様子

・発表内容について、講師から講評を行う。

※この段階では、戦略づくりの視点から不足している部分や課題点をやや厳しく指摘し

て、本ステップでの取り組むべき課題を明らかにすることが望ましい。

・他グループの発表内容について、改善すべきと思う点などを「アドバイスシート」と

してまとめて、発表終了後に各グループにフィードバックする。他地域の戦略を分析

的に捉える能力を伸ばすとともに、自分たちの発表がどのように「伝わっているか」

を把握するためである。

※ただし、「アドバイスシート」に書かれている意見が必ずしも的を射た指摘とは限ら

ない点を留意し、改善点として取り入れるかどうか、グループごとに検討する必要が

あることを伝える。

Page 99: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

95

次第 担当者 時間

ワークショップ演習 講師

・自分の地域の観光地域づくり戦略を策定するためのワークショップ演習を実施

・講師は適宜助言を行う

・休憩は適宜グループの判断で取る

※事務局は、ワークショップ演習が実施しやすいように資材等を揃えておく(模造紙・

付箋紙・ペン等、無線インターネット環境、飲み物や菓子、他)

ワークショップ演習の様子

Page 100: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

96

2日目

次第 担当者 時間

ワークショップ演習 講師 120分程度

最終発表、意見交換、講評(自

分の地域の戦略について) 講師 120分程度

・短期集中セミナーを通じて磨き上げてきた戦略案の最終発表を行う

※発表時は、これまで参加した講師だけではなく、行政の観光セクション・観光協会等

の役員等が参加することで、参加者がより緊張感を持って臨むことができる

プレゼンテーションの様子

閉講式 事務局

Page 101: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

97

(2) 全 2回・各 2泊 3日の構成例

ステップ 1及びステップ 2の全 2回(各 2泊 3日)で構成した場合の構成例を紹介

します。

① ステップ 1(1回目)実施例

観光地域づくりの中核となる人材(候補)が、講義や他地域の事例を通じて、戦略

策定の意味・意義を理解し、自地域の戦略づくりができるようになることを目的とし

て構成を検討します。

○ 開催概要

会 議 名 短期集中セミナー・ステップ 1

日 時 ステップ 1 ○月○日~○月○日(2泊 3日)

会 場 ○○公民館 会議室

(※現地視察を行う場合は、ケースとして選定した地域で実施)

受 講 者 観光地域づくりの中核となる人材の候補

(各グループ 3-6名程度、合計 20~30名程度)

○ 実施体制

役割 担当者 内容

事務局 ○○観光協会、行政機関

参加申込取りまとめ

講師等の調整

事前準備(会場手配、会場設備や備品

の手配)

当日対応(受付、全体進行、写真撮影、

記録 他)

講師

地域における実践者

観光地域づくりの専門家

地域事例の紹介

ワークショップ演習の講評、全体講評

ファシリテーター 講師、事務局 他 ワークショップの進行

Page 102: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

98

○ 受講者への課題例

課題:『○○地域のブランド戦略づくり』

自分たちが○○地域の観光地域づくりの中核となる人材であると仮定し、○○地域の

ブランドコンセプトに近づけるための「戦略」を策定してください。

<与条件>

・ ○○地域が既に策定している「ブランドコンセプト」を使用します

・ 戦略策定期間は 3年間とし、期間内にコンセプト実現に近づけるための戦略を策定

します

・ 3年間のシナリオと、年度ごとのシナリオ(Hop-Step-Jump)を策定します

<事前課題>

・ ○○地域に関する資料の熟読(○○地域の現状や課題について定性的、定量的に記

述されたもの/ブランドコンセプト・戦略、滞在プログラムが記載されたもの 等)

<研修>

・ 検討はチームごとに行います

・ 発表は主としてスライド(パワーポイント等)等を使用し、プロジェクターを用い

てスクリーン投影して行います(後日、事務局にデータを提出してもらいます)

・ 発表は 2回(中間発表、最終発表)実施します

・ 模造紙、付箋紙、ペン、メモリーカードリーダーを用意しますので、自由に使用し

てください

・ 戦略策定にあたっての疑問点等は、適宜講師に質問してください

Page 103: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

99

○ 標準プログラム構成例

1日目

次第 担当者 時間

ステップ 1開講式 事務局 10分程度

・主催者挨拶

・スケジュール説明、課題説明、諸連絡

現地視察・ヒアリング 地域の実践者 半日程度

・ケースとして選定した地域において観光地域づくりに取り組んでいる現場を視察し、

その取組のキーパーソン(地域の実践者)にヒアリングを行う

※グループごとにいくつかの現場に分かれて視察し、終了後、情報共有のために視察報

告・振り返りを行う

キーパーソンへのヒアリングの様子

※または、上記に換えて観光地域づくりの実践者の講義(広域連携による取組を中心に)

を行い、意見交換する、という方法もある(60~90分程度)

実践者による講義の様子

Page 104: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

100

次第 担当者 時間

ワークショップ演習 講師 180分程度

・○○地域の観光地域づくり戦略を策定するためのワークショップ演習を実施

・講師は適宜助言を行う

・休憩は適宜グループの判断で取る

※事務局は、ワークショップ演習が実施しやすいように資材等を揃えておく(模造紙・

付箋紙・ペン等、無線インターネット環境、飲み物や菓子、他)

ワークショップ演習の様子

Page 105: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

101

2日目

次第 担当者 時間

ワークショップ演習 講師 180分程度

・前日に引き続き中間発表のための準備

中間発表、意見交換(講評) 講師 180分程度

・検討の途中経過を発表(1グループ 5-10分程度+質疑応答 5分程度)

・プレゼンテーションはスライド(パワーポイント等)を中心に、模造紙などを使って

も良い

・質疑応答を重視し、質問等がない場合も指名する等を行い、内容を深める

プレゼンテーションの様子

・発表内容について、講師から講評を行う

※この時、講師は複数名とすると、別々の視点から指摘が受けられるので、学習効果が

高い。また、良い部分を見つけて「褒める」担当と、戦略づくりの視点から不足して

いる部分や課題点をやや厳しく「指摘する」担当というような役割分担を行うことが

できるので、対応しやすい

講師による講評

採点の様子

※採点を行って競い合わせる等、ゲーム性を取り入れても良い

(例)各自持ち点 3点(講師は 5点)として、プレゼンテーションの内容が良かったチ

ームに投票する等

Page 106: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

102

次第 担当者 時間

講義(観光地域づくりマネジメ

ント講座/観光地域づくりマ

ーケティング講座)

講師 90分程度

・プレゼンテーションの内容を踏まえて講義を行う

・講師はプレゼンテーション段階から同席する

講義の様子

ワークショップ演習 講師 120分程度

・講義を踏まえてワークショップ演習を実施

・講師は適宜助言を行う

・休憩は適宜グループの判断で取る

※事務局は、ワークショップ演習が実施しやすいように資材等を揃えておく(模造紙・

付箋紙・ペン等、無線インターネット環境、飲み物や菓子、他)

Page 107: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

103

3日目

次第 担当者 時間

ワークショップ演習 講師 120分程度

・前日に引き続き最終発表のための準備

最終発表、意見交換、講評(○

○地域の戦略について) 講師 120分程度

・前日の講義を踏まえて磨き上げた戦略案を発表する

・発表内容について、講師から講評を行う

※この時、講師は複数名とすると、別々の視点から指摘が受けられるので、学習効果が

高い。また、良い部分を見つけて「褒める」担当と、戦略づくりの視点から不足して

いる部分や課題点をやや厳しく「指摘する」担当というような役割分担を行うことが

できるので、対応しやすい

※講評を通じて OJTで取り組むべき課題を明確にしておく

プレゼンテーションの様子

ステップ 1閉講式 事務局

Page 108: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

104

② OJT の実施

ステップ 1で○○地域をケースとして検討した戦略の内容やその検討プロセス、あ

るいは講師からの指摘を参考にして、自分の地域における戦略を策定します。次のス

テップまでの間に、地域内の関係者と合意形成を図りながら、OJT(実践的経験学習)

形式で戦略案の磨き上げを行います。

OJTを通じて、地域内の関係者とのコミュニケーション能力、地域内での合意形成

能力(会議やワークショップの運営等)を磨くことが目的です。その間、メンター に

よるフォローアップを行うことが重要です。

ステップ 1とステップ 2の間にある程度の間隔が開く場合は、途中段階で講師等へ

の相談を行う等により、助言を得ることも効果的です。

Page 109: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

105

③ ステップ 2(2回目)実施例

観光地域づくりの中核となる人材(候補)が、地域の観光地域づくり戦略、ブラン

ド戦略を策定できるようになることを目的として構成を検討します。

○ 開催概要

会 議 名 短期集中セミナー・ステップ 2

日 時 ステップ 2 ○月○日~○月○日(2泊 3日)

会 場 ○○公民館 会議室

受 講 者 観光地域づくりの中核となる人材の候補

(各地域から 3-6名程度、合計 20~30名程度)

○ 実施体制

役割 担当者 内容

事務局 ○○観光協会、行政機関

参加申込取りまとめ

講師等の調整

事前準備(会場手配、会場設備や備品

の手配)

当日対応(受付、全体進行、写真撮影、

記録 他)

講師 講師 ワークショップ演習の講評、全体講評

ファシリテーター 講師

事務局 他 ワークショップの進行

Page 110: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

106

○ 受講者への課題例

課題:『観光地域づくりのコンセプトと戦略づくり』

自分たちの地域の観光地域づくりの「コンセプト」と「戦略」を策定してください。

<与条件>

・ コンセプトは、他地域と明確に区別できる特徴・価値等を来訪者に伝える簡潔な表

現で策定してください(※コンセプトは、地域が目指すべき姿を明確にし、そのた

めに地域ならではの生活様式等(地域独自の暮らし、産業、伝統、食、住、風習等)

やそこから導き出される地域の特徴(強み、価値)を反映しつつ、他地域との差別

化を意識して検討してください)

・ 戦略の策定期間は 3~5 年間程度とし、期間内にコンセプト実現に近づけるための

戦略を策定してください

・ 期間全体のシナリオと、年度ごとのシナリオを策定してください

・ 戦略案及びコンセプトは、地域の関係者に広く意見を聞きながら作成してください

(地域における合意形成の手法を実践で学んでいただくためです)

<事前課題>

・ 観光地域づくりのコンセプトと戦略案を検討し、持参してください

・ 戦略案は、主としてスライド(パワーポイント等)等を使用し、プロジェクターを

用いてスクリーン投影することを前提として作成してください

<研修>

・ 意見交換、講義等を基に、コンセプトと戦略の磨き上げを行います

・ 発表は主としてスライド(パワーポイント等)等を使用し、プロジェクターを用い

てスクリーン投影して行います

・ 発表は 2回(事前課題の発表、ワークショップ演習を踏まえた発表)実施します

・ 模造紙、付箋紙、ペン、メモリーカードリーダーを用意しますので、自由に使用し

てください

・ 戦略策定にあたっての疑問点等は、講師に適宜質問をしてください

Page 111: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

107

○ 標準プログラム構成例

1日目

次第 担当者 時間

ステップ 2開講式 事務局 10分程度

・主催者挨拶

・スケジュール説明、課題説明、諸連絡

中間発表、意見交換(講評) 講師

・OJT を通じて検討をしてきた戦略案を発表(1 チーム 5-10 分程度+質疑応答 5 分

程度)する。

・プレゼンテーションはスライド(パワーポイント等)を中心に、模造紙などを使って

も良い

・質疑応答を重視し、質問等がない場合も指名する等を行い、内容を深める。

プレゼンテーションの様子

・発表内容について、講師から講評を行う。

※この段階では、戦略づくりの視点から不足している部分や課題点をやや厳しく指摘し

て、本ステップでの取り組むべき課題を明らかにすることが望ましい。

・他グループの発表内容について、改善すべきと思う点などを「アドバイスシート」と

してまとめて、発表終了後に各グループにフィードバックする。他地域の戦略を分析

的に捉える能力を伸ばすとともに、自分たちの発表がどのように「伝わっているか」

を把握するためである。

※ただし、「アドバイスシート」に書かれている意見が必ずしも的を射た指摘とは限ら

ない点を留意し、改善点として取り入れるかどうか、グループごとに検討する必要が

あることを伝える。

Page 112: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

108

次第 担当者 時間

ワークショップ演習 講師

・自分の地域の観光地域づくり戦略を策定するためのワークショップ演習を実施

・講師は適宜助言を行う

・休憩は適宜グループの判断で取る

※事務局は、ワークショップ演習が実施しやすいように資材等を揃えておく(模造紙・

付箋紙・ペン等、無線インターネット環境、飲み物や菓子、他)

ワークショップ演習の様子

Page 113: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

109

2日目

次第 担当者 時間

講義(観光地域づくりマネジメ

ント講座/観光地域づくりマ

ーケティング講座)

講師

・プレゼンテーションの内容を踏まえて講義を行う

・講師はプレゼンテーション段階から同席する

講義の様子

ワークショップ演習 講師

・講義を踏まえてワークショップ演習を実施

・講師は適宜助言を行う

・休憩は適宜グループの判断で取る

※事務局は、ワークショップ演習が実施しやすいように資材等を揃えておく(模造紙・

付箋紙・ペン等、無線インターネット環境、飲み物や菓子、他)

ワークショップ演習の様子

Page 114: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

110

3日目

次第 担当者 時間

ワークショップ演習 講師 120分程度

最終発表、意見交換、講評(自

分の地域の戦略について) 講師 120分程度

・短期集中セミナーを通じて磨き上げてきた戦略案の最終発表を行う

※発表時は、これまで参加した講師だけではなく、行政の観光セクション・観光協会等

の役員等が参加することで、参加者がより緊張感を持って臨むことができる

プレゼンテーションの様子

閉講式 事務局

Page 115: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

111

参考資料

観光地域づくりの実践例に関する資料

(1) 地域いきいき観光まちづくり

日本各地で熱意と創意工夫による魅力的な観光地域づくりが行われており、このよ

うな地域の取組の一部を紹介し、観光地域づくりに取り組む方々へ広く参考となるよ

う事例集としてまとめています。平成 18 年から発刊し、現在までに 5 冊を発行して

います。以下のWebページより、全文をダウンロードすることができます。

http://www.mlit.go.jp/kankocho/shisaku/kankochi/ikiiki.html

(2) 観光地域づくり実践ケース動画集

平成 23 年度より、観光地域づくりの実践者を対象に、ご自身の経験や考え方につ

いてインタビュー形式で収録した動画を作成しています。

特徴として、以下のような点が挙げられます。

特徴① 観光地域づくりの実践者の「生の声」が収録されている

・ 各地域で観光地域づくりを実践してきた方々の「生の声」を収録することによっ

て、文章では分からないような、本人の思いやビジョンが伝わってきます。

特徴② 多くの観光地域づくりの実践者の動画が揃っている

・ 実践内容やバックグラウンドが異なる 35名分の動画が揃っています(平成 27年

3月現在)。利用する際の目的に沿って利用する動画を選択することができます。

特徴③ 1人分の動画の中で複数の話題について触れている

・ 1 人分の動画の中には、複数の話題が収録されており、それぞれ「見出し」が付

けられています。利用に当たっては、収録した動画の一部の話題を切り出したり、

流れと異なる順番で見せたり、動画の試聴と意見交換を交互に行うなど、様々な

方法で活用することができます。

※本資料の利用を希望される場合は、観光庁観光地域振興課までお問い合せください。

上記の資料は観光地域づくりのための研修や講習会、ワークショップなど様々な場

面・目的での活用が期待されますが、一般的な教科書型の教材とは性格が異なり、必

ずしも「回答」が示されているものではないため、単に読んだり、見たりといった方

法だけでは十分な学習効果は得られません。

活用に当たっては、資料で紹介されている内容をどのように読み解き、気づきを得

て地域の課題に合わせて活用していくか、といった意識が必要であり、そのためには

資料を活用して教える講師の側の役割も大変重要になります。

Page 116: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

112

<動画のイメージ>

桑野 和泉氏

清水 愼一氏

木村 宏氏

河野 達郎氏

Page 117: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

113

<観光地域づくり実践ケース動画集 収録対象者と収録内容の一覧>

※順不同。所属先や役職は平成 23、24年の収録当時のもの。

名前 所属先・役職 主な収録内容

清水 愼一氏 立教大学観光学部

特任教授

・ 観光地域づくりとは

・ 観光地域づくりにおける中核人材とは

・ 中核人材が備えるべき資質・特性

・ 中核人材の発掘・育成におけるケース動画の有

効性

・ ケース動画の活用が想定される場面

・ ケース動画の活用に当たっての留意点

大西 雅之氏

特定非営利活動法人

阿寒観光協会まちづく

り推進機構 理事長

・ 自身の思い、取り組むに当たっての志

・ 「旅館と地域は表裏一体」という考え方につい

・ まちづくり組織のトップとしての考え方につい

・ 阿寒観光の基本コンセプトについて

・ アイヌ文化と観光の関わりについて

小川原 格氏 社団法人小樽観光協会

副会長

・ 自身の思い、取り組むに当たっての志

・ 運河保存運動に関連したイベント(「運河を守る

会」「ポートフェスティバル」)について

・ マスコミを巻き込んだ取り組みについて

・ 「小樽スタイル」について

・ 「雪あかりの路」について

島 康子氏

まちおこしゲリラあお

ぞら組 組長

ぷらっと下北 代表

・ 自身の思い、取り組むに当たっての志

・ 「旗振りウェルカム活動」について

・ マグロを題材にした商品開発

・ 組織体制の整備

・ マグロを題材にしたイベント

・ 「ぷらっと下北」の発足の経緯

・ 地域住民への影響と変化

木村 聡氏

八戸広域観光推進

協議会

観光コーディネーター

・ 自身の思い、取り組むに当たっての志

・ 八戸あさぐるについて

・ 経済波及効果を意識した取り組み

・ 食を活用した観光まちづくりについて

・ リーダーシップ、人材育成について

Page 118: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

114

名前 所属先・役職 主な収録内容

菊池 新一氏

特定非営利活動法人遠

野山・里・暮らしネッ

トワークマネージャー

東北まちづくり実践塾

塾長

・ 自身の思い、取り組むに当たっての志

・ 道の駅「遠野風の丘」について

・ スタッフのモチベーションを向上させる環境づ

くりについて

・ 遠野のグリーンツーリズムの考え方について

・ 遠野が目指すグリーンツーリズム

・ NPO法人遠野山・里・暮らしネットワークにつ

いて

佐藤 雄二氏 小野川温泉・河鹿荘

代表取締役

・ 自身の思い、取り組むに当たっての志

・ 活動の理念・コンセプト、目標

・ 「小野川温泉観光『知』実行委員会」について

・ 旅館からお客様を外に出すための取り組み

・ 財源確保のための「夢ぐりプラン」が果たす役

割とその成果

・ 観光関連事業者以外の人との連携について

・ 短時間で取り組みを実行に移すための工夫につ

いて

・ 会議におけるルールづくりについて

渋川 恵男氏 会津若松商工会議所

副会頭

・ 自身の思い、取り組むに当たっての志

・ 活動の理念・コンセプト、目標

・ 自ら取り組んだ建物調査

・ リーダーシップのあり方

・ 地域で取り組む主体を巻き込む秘訣

・ 人材育成の考え方

・ 行政との連携の考え方

吉川 真嗣氏 村上町屋商人会 会長

・ 自身の思い、取り組むに当たっての志

・ 観光資源として町屋に着目した理由

・ 地域の人をどのように巻き込んだのか

・ 「町屋の人形さま巡り」等のイベントについて

・ 「黒塀プロジェクト」等の取り組みについて

・ イベントを成功させるために重要なこと

・ まちづくりを進めて行く上で必要なリーダーシ

ップについて

福原 正和氏

株式会社とみうら(枇

杷倶楽部)取締役

南房総市商工観光部観

光プロモーション課

副主幹

・ 自身の思い、取り組むに当たっての志

・ 自らやってみようと思わせる雰囲気づくり

・ 枇杷に着目した理由

・ 地域の雇用や季節変動の平準化への寄

・ 一括受発注システム

・ 自ら動くことで地域の理解を得る

Page 119: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

115

名前 所属先・役職 主な収録内容

高橋 充氏 株式会社南信州観光公

社 代表取締役社長

・ 自身の思い、取り組むに当たっての志

・ 活動の理念・コンセプト、目標

・ 教育旅行について

・ 体験プログラムと受入システムの両立について

・ 販売促進について

・ リーダーシップについて

・ 組織を継続していくためのポイントについて

・ 体験型観光を進めるにあたっての地域での立ち

位置について

・ 企業の強みを活かした今後の展開について

木村 宏氏

一般社団法人 信州い

いやま観光局事業課長

兼 企画開発室長

・ 活動の理念・コンセプト、目標

・ 多彩なプログラムづくりについて

・ 市民インストラクター制度について

・ 着地型旅行商品の取り組み

・ 信越トレイルについて

・ 個人客への対応について

・ 新幹線開業に向けた取り組み

橋川 史宏氏 有限会社伊勢福 代表

取締役社長

・ 活動の理念・コンセプト、目標

・ 人材育成についての考え方

・ 熊野のブランド化について

・ 「攻めの商売よりも待ちの商売」とは

・ 地域づくりにおける四つの重要な観点

・ まちづくりに必要なリーダーシップ

江崎 貴久氏

有限会社オズ(海島遊

民くらぶ)代表

旅館海月 女将

・ 活動の理念・コンセプト、目標

・ 自身の思い、取り組むに当たっての志

・ 地域資源の「循環」という考え方について

・ 人材育成について

・ 海島遊民くらぶで販売している着地型旅行商品

のコンセプトについて

・ 海島遊民くらぶで販売している着地型旅行商品

のマーケティングについて

・ ツアーを実施する際に気をつけていること

Page 120: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

116

名前 所属先・役職 主な収録内容

桝田 知身氏 境港市観光協会 会

・ 自身の思い、取り組むに当たっての志

・ 活動の理念・コンセプト、目標

・ 「スポンサー」についての考え方とその取り組

・ 「アイディアと企画を連発すること」について

・ メディアを活用した情報発信について

・ 来客数カウントの方法と目的について

・ 「妖怪ガイドブック」について

・ リーダーの条件について

河野 達郎氏

(株)おおず街なか

再生館 代表取締役

専務

・ 自身の思い、取り組むに当たっての志

・ 活動の理念・コンセプト、目標

・ リーダーシップにおける「プロデュース能力」

・ リーダーシップにおける「コミュニケーション」

・ ガイドの人材育成

・ 自分で手と体を動かすマーケティング

・ 着地型旅行商品

・ 観光資源の発掘

畦地 履正氏 (株)四万十ドラマ

代表取締役社長

・ 自身の思い、取り組むに当たっての志

・ 活動の理念・コンセプト、目標

・ 「乗せて、叱咤激励する」とは

・ 実施している「インターンシップ研修」につい

ての考え方

・ (主として「特産品開発」に関して)なぜ「地

域・人を知るための事前調査」が大事なのか

・ 考え方を伝える手段としてのデザイン

・ 具体的な数値目標の設定

・ 都市部のファンの取り込みのための取り組み

井手 修身氏

特定非営利活動法人

イデア九州・アジア

理事長

・ 現状認識と問題認識

・ 活動の目的と目標設定

・ 組織づくり

・ コミュニティを俯瞰する

・ 活動プロセスをフェーズに分ける

・ 活用したリソースと活用方法

高砂 樹史氏

おぢかアイランドツ

ーリズム 専務取締

・ 活動の理念・コンセプト、目標

・ 着地型旅行商品について

・ 滞在のイメージを理解してもらう

・ 地域資源マネジメントの考え方

・ ガイドの人材育成について

Page 121: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

117

名前 所属先・役職 主な収録内容

植田 淳子氏

特定非営利活動法人安

心院町グリーンツーリ

ズム研究会 事務局長

・ 自身の思い、取り組むに当たっての志

・ 活動の理念・コンセプト、目標

・ グリーンツーリズムがもたらした地域の変化

・ 人材育成の考え方

・ 顧客維持の考え方

・ 地域の中でのポジション

・ 組織の中でのポジション、人材育成

・ 今後の活動の方向性

桑野 和泉氏 一般社団法人 由布院

温泉観光協会 会長

・ 活動の理念・コンセプト、目標

・ 由布院の人材育成について

・ 由布院の観光地づくりの考え方について

・ 地域資源を活用したイベント(牛喰い絶叫大会)

について

・ 由布院の景観保全の考え方について

・ 持続的な観光地経営のあり方について

・ 「課題をいいものに変えていく」という発想に

ついて

鶴田 浩一郎氏

特定非営利活動法人ハ

ットウ・オンパク

代表理事

・ 現状認識と問題認識

・ 活動の目的と目標設定

・ 組織づくり

・ コミュニティを俯瞰する

・ 活動プロセスをフェーズに分ける

・ 活用したリソースと活用方法

坂元 英俊氏

財団法人阿蘇地域振興

デザインセンター

事務局長

・ 自身の思い、取り組むに当たっての志

・ 活動の理念・コンセプト、目標

・ 門前町商店街の活性化

・ 地域住民を巻き込む方法

・ 取組の中の国の事業の位置づけ

・ 今後の活動の展開

・ 「ゆるっと博」について

福島 大輔氏

特定非営利活動法人桜

島ミュージアム

理事長

・ 自身の思い、取り組むに当たっての志

・ 活動の理念・コンセプト、目標

・ 体験型観光について

・ 椿油に着目したきっかけ(特産品開発)

・ 椿油を販売する際のマーケティングについて

(特産品のマーケティング)

・ 人材育成について

・ リーダーシップについて

Page 122: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

118

名前 所属先・役職 主な収録内容

下津 公一郎氏

特定非営利活動法人エ

コ・リンク・アソシエ

ーション 代表理事

・ 自身の思い、取り組むに当たっての志

・ 取組の初動期

・ 取組の拡大

・ 求められる人材像

・ 教育旅行の事業特性

・ 今後の展開の方向性

横石 知二氏 株式会社いろどり 代

表取締役社長

・ 自身の思い、取り組むに当たっての志

・ 活動の理念・コンセプト、目標

・ 収益を出すために始めた取組

・ 生産体制の構築

・ 人材育成について

・ 事業を進めるときに大事なこと

多賀 一雄氏

有限会社京都サイクリ

ングツアープロジェク

ト 代表取締役

・ 自身の思い、取り組むに当たっての志

・ 活動の理念・コンセプト、目標

・ 事業概要

・ 集客に向けた取組

・ コスト削減のための取組

・ 自転車で京都を観光する利点

・ 人材育成の考え方

・ 自転車観光の普及に向けた課題

田村 孝次氏

株式会社エコビジョン

ブレインズ

代表取締役・CEO

・ 自身の思い、取り組むに当たっての志

・ 河口湖をフィールドに選んだ理由について

・ 事業戦略についての考え方

・ プログラム開発と商品展開について

・ プログラムの「売り方」について

・ 人材育成について

・ 安全管理について

久米 信行氏 一般社団法人墨田区観

光協会 理事

・ 自身の思い、取り組むに当たっての志

・ 活動の理念・コンセプト、目標

・ プログラムの概要と地域資源の発掘の考え方

・ 墨田区のブランド戦略の考え方

・ IT(情報技術)を活用した観光振興

・ 東京スカイツリー以外の新たな動き

・ 今後の取り組みの展開の方向性

Page 123: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

119

名前 所属先・役職 主な収録内容

多田 稔子氏 田辺市熊野ツーリズム

ビューロー 会長

・ 自身の思い、取り組むに当たっての志

・ 活動の理念・コンセプト、目標

・ 中間支援組織としての考え方

・ 旅行業の認可取得の背景にある考え方

・ 国際的な視点で受入体制を構築するために行っ

たこと

・ ターゲットとしている客層とその考え方

・ 地域住民との連携の方策

・ 今後の取組の展開の方向性

・ 海外の観光地との連携

深谷 宏治氏 函館西部地区バル街実

行委員会 委員長

・ 自身の思い、取り組むに当たっての志

・ 活動の理念・コンセプト、目標

・ 持続的に取組を運営するための戦略

・ 取組のレベルを維持するための考え方

・ 全国に波及する「バル街」との連携

・ 実行体制をどのように作り上げたのか

・ 情報発信はどのように行っているのか

・ 今後想定している展開は

茶谷 幸治氏 一般社団法人大阪あそ

歩委員会 代表理事

・ 自身の思い、取り組むに当たっての志

・ 活動の理念・コンセプト、目標

・ 「まち歩き」プログラムを作るにあたっての基

本原則

・ ガイドの発掘、育成の考え方

・ 地域住民を巻き込む手段

・ 観光資源に着目する際の視点

・ 今後の観光地域づくりのあり方

石松 昭信氏 財団法人阿蘇地域振興

デザインセンター

・ 自身の思い、取り組むに当たっての志

・ 活動の理念・コンセプト、目標

・ 観光地域づくりを進める上での国の制度との連

・ 観光地域づくりを進める上での住民との連携

・ 観光地域づくりに取り組む他のメンバーとの連

・ 地域資源の着目点

Page 124: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

120

名前 所属先・役職 主な収録内容

小笠原 慶信氏

公益社団法人八戸観光

コンベンション協会

前事務局次長

・ 自身の思い、取り組むに当たっての志

・ 活動の理念・コンセプト、目標

・ 「八戸まちぐる」の考え方

・ 地域における合意形成の考え方

・ 「八戸まちタク」の考え方

・ 観光地域づくりに取り組む他のメンバーとの連

携にあたっての考え方

野上 泰生氏

特定非営利活動法人ハ

ットウ・オンパク

理事

・ 自身の思い、取り組むに当たっての志

・ 活動の理念・コンセプト、目標

・ 公的な支援制度を活用していく事に対する考え

・ 取り組みを進めるに当たってのメンバー間での

コミュニケーション

・ 人材育成について

・ 今後の取組の方向性

Page 125: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

121

<観光地域づくり実践ケース動画集 収録対象者の収録内容と能力分野の対応(参考)>

A リーダーシップ

系統

B マネジメント

系統

C マーケティング

系統

D 志

・合意形成

E 持続性 ・公益性

F 観光地域 マネジメント計画

G 受入環境

H 観光地域 マーケティング計画

I 滞在

プログラム

清水 愼一氏 ○

大西 雅之氏 ○ ○ ○

小川原 格氏 ○

○ ○ ○

島 康子氏 ○ ○ ○

木村 聡氏 ○

○ ○

菊池 新一氏 ○ ○

佐藤 雄二氏 ○ ○ ○

渋川 恵男氏 ○ ○ ○

吉川 真嗣氏 ○ ○ ○ ○

福原 正和氏 ○ ○ ○

高橋 充氏 ○ ○

木村 宏氏 ○ ○ ○

○ ○

橋川 史宏氏 ○

○ ○

江崎 貴久氏 ○ ○

○ ○

桝田 知身氏 ○

○ ○ ○

河野 達郎氏 ○ ○

○ ○

畦地 履正氏 ○ ○ ○

井手 修身氏 ○

○ ○ ○

高砂 樹史氏 ○ ○

○ ○

植田 淳子氏 ○ ○

○ ○

桑野 和泉氏 ○ ○ ○ ○

鶴田 浩一郎氏 ○ ○ ○ ○ ○ ○

坂元 英俊氏 ○ ○ ○

○ ○

福島 大輔氏 ○ ○

○ ○

下津 公一郎氏 ○ ○ ○

横石 知二氏 ○ ○ ○

多賀 一雄氏 ○

○ ○

田村 孝次氏 ○ ○

○ ○

久米 信行氏 ○ ○ ○ ○ ○

多田 稔子氏 ○ ○

○ ○

深谷 宏治氏 ○ ○

○ ○

茶谷 幸治氏 ○ ○

○ ○

石松 昭信氏 ○ ○ ○

○ ○

小笠原 慶信氏 ○ ○ ○

○ ○

野上 泰生氏 ○ ○ ○ ○ ○ ○

※上記に挙げた対応はあくまで参考です。動画を活用する際の「読み解き方」によって、上記

以外にも広範な能力分野を対象とすることが可能です。

Page 126: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

122

観光地域づくり人材育成実践ハンドブック 2014 についてのフィードバックシート

(1) 本書について、どこからお知りになりましたか。

(2) 本書を具体的に活用されましたか。どのように活用されましたか。

(3) 本書をより良いものにするためにアドバイスをください。

(4) ご記入者様についてお教えください。

ご所属・肩書・お名前

所在地

ご連絡先(電話番号、

メール、FAXなど)

ご協力ありがとうございました。

お手数ではございますが、下記までお送りいただきますようお願いいたします。

観光地域振興部 観光地域振興課

〒100-8918 東京都千代田区霞が関 2-1-3

TEL:03-5253-8111(内線 27-719) FAX:03-5253-8930

Page 127: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

123

目録

図表目録

図表 1-1 本書の構成 .................................................................................................. 3

図表 2-1 「住んでよし、訪れてよしの国づくり」(抜粋) ........................................ 4

図表 2-2 国内における旅行消費額(平成 24年度) .................................................. 5

図表 2-3 訪日外国人旅行者の特性 ............................................................................. 5

図表 2-4 滞在交流型観光の実現するための 3つの取組 ............................................. 7

図表 2-5 観光地域づくりの 3つの壁 ....................................................................... 10

図表 2-6 観光地域づくりにおける多様な主体の連携のイメージ ............................. 10

図表 2-7 国際的にみた観光推進組織の呼称と機能・役割の変遷 ............................. 13

図表 2-8 観光地域づくりプラットフォームの機能図 ............................................... 16

図表 2-9 観光地域づくりの中核となる人材に求められる能力 ................................. 21

図表 2-10 系統別の具体的な能力(A~I) .............................................................. 21

図表 2-11 観光地域づくりの中核となる人材の育成プロセス .................................. 22

図表 2-12 観光地域づくりの中核となる人材の育成プロセス(詳細) .................... 24

図表 2-13 観光地域づくりの中核となる人材に求められる能力 ............................... 26

図表 2-14 レベルごとに求められる能力 .................................................................. 28

図表 2-15 観光地域づくりの中核となる人材の育成手法 ......................................... 30

図表 2-16 人材育成の段階別の育成事業の内容 ....................................................... 32

図表 3-1 人材育成事業における講師........................................................................ 34

図表 3-2 人材育成事業の体制イメージ .................................................................... 37

図表 3-3 人材育成の事業実施フロー........................................................................ 39

図表 4-1 取組段階 1で想定される取組 .................................................................... 43

図表 4-2 プログラム構成 ......................................................................................... 44

図表 4-3 取組段階 2で育成すべき能力の一覧 ......................................................... 46

図表 4-4 プログラム構成 ......................................................................................... 47

図表 4-5 取組段階 3で育成すべき能力の一覧 ......................................................... 50

図表 4-6 プログラム構成 ......................................................................................... 52

図表 4-7 研修における課題のテーマ例 .................................................................... 53

図表 5-1 事前アンケートの例 .................................................................................. 57

図表 5-2 進行表の作成例 ......................................................................................... 61

図表 5-3 必要となる備品の例 .................................................................................. 63

図表 5-4 グループでの議論や作業を中心とする場合の会場配置の例(島型) ........ 64

図表 5-5 講義を中心とする場合の会場配置の例(スクール型) ............................. 65

図表 5-6 事後アンケートの例 .................................................................................. 68

図表 5-7 欠席者へのレポート課題の例 .................................................................... 72

図表 5-8 OJT活動状況報告書の内容例 ................................................................... 74

図表 5-9 修了認定証の例 ......................................................................................... 75

Page 128: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

124

コラム目録

コラム 1 来訪者と地域が長く結び付くために ........................................................... 6

コラム 2 観光圏 ......................................................................................................... 8

コラム 3 観光地域ブランド確立支援事業 .................................................................. 9

コラム 4 多様な主体が参加する観光地域づくりに向けた取組 ................................ 11

コラム 5 観光地域づくりプラットフォームの実践例 .............................................. 15

コラム 6 観光地域づくりの中核となる人材の具体的なイメージ ............................. 19

コラム 7 観光地域づくりマネージャー .................................................................... 20

コラム 8 OJTとは .................................................................................................. 31

コラム 9 メンターとは ............................................................................................ 31

コラム 10 おおいたツーリズム大学アドバンストプログラム 豊後大野観光地域づ

くりセミナー ............................................................................................ 35

コラム 11 産業界等と連携した人材育成事業の支援体制 ......................................... 38

コラム 12 和歌山大学観光学部 学生向けキャリア学習 ......................................... 40

コラム 13 補助事業を活用した人材育成プログラム ................................................ 41

コラム 14 グループ分けのポイント ......................................................................... 48

重要なキーワードの索引

CVB, 12

DMO, 12

MICE, 12

OJT, 30

観光圏, 8

観光地域づくり, 4

観光地域づくりプラットフォーム, 14

観光地域づくりマネージャー, 20

観光地域ブランド確立支援事業, 9

滞在交流型観光, 7

滞在コンテンツ, 7

滞在プログラム, 7

地域の DNA, 7

メンター, 30

Page 129: “人育て”から始める観光地域づくり - MLIT · 2016-08-02 · 観光地域づくりを進めていく上で、大切なことが2 つあります。「一見さん相手の

“人育て”から始める観光地域づくり

観光地域づくり人材育成実践ハンドブック 2015

平成 27年 3月発行

編集・発行: 国土交通省 観光庁

観光地域振興部 観光地域振興課

〒100-8918 東京都千代田区霞が関 2-1-3

調査委託先: 公益財団法人日本交通公社

〒100-0004 東京都千代田区大手町 2-6-1