35
将来像実現に向けた産業振興施策の 方向と具体的な取組 1 将来像実現に向けた基本的な視点 本県が掲げる将来像 「価値を創造し、躍進する“とちぎの産業”」 の実現を図るため、基本的な視点を明確 化した上で、本県の強みを生かした効果的な産業振興施策を推進します。 2 産業振興施策の方向 (1) 自動車、航空宇宙、医療機器、光、環境の重点5分野における新たなイノベーションの 創出と先端ものづくり産業の競争力強化を図る ● 本県の強みである製造業の産業集積を活かして、重点5分野の高付加価値化に向けた基盤技術の 高度化、知的財産の活用推進、産学官金連携の促進等による新たなイノベーションの創出や、今後、 世界的な需要の伸びが見込まれる航空機産業を中心とした先端ものづくり産業の競争力強化を図っ ていきます。 (2) ヘルスケア等の新たな成長産業を創出・育成するとともに、本県経済への貢献度が高い 地域中核企業を支援する ● 高齢化の進展等に伴い需要の増大が見込まれるヘルスケア関連産業や、労働人口の減少や生産性 の向上等の観点から成長が見込まれるロボット関連産業について、異業種間の連携や県内企業の新 規参入、研究開発等を促進します。また、本県経済への貢献度が高いニッチトップ企業やコネクター ハブ企業等の地域中核企業を支援することにより、本県経済の成長・発展を促進します。 (3) 産業・雇用を支える中小企業・小規模企業支援を政策の基盤とする ● 本県の企業数の99.8%、従業者数の86.8%を占める中小企業・小規模企業は、あらゆる面で地 域の社会・経済を活性化する原動力であることから、創業・成長・事業承継等の段階に応じた切れ 目のない支援など、中小企業・小規模企業支援を政策の基盤とします。 (4) 企業等の国内外における販路開拓等を支援する ● 県内企業や商工団体、農業団体等が新興国や欧米諸国などの海外の成長市場で販路を開拓できる ように、ジェトロ栃木貿易情報センター等と連携して、海外展開を支援します。また、地域資源を 活用した商品やヘルスケア関連分野等における新たなサービス等の販路開拓を支援します。 (5) 本社機能等を含めた企業の立地及び定着を促進する ● 本社・研究開発機能をはじめ、工場や物流施設など、企業の県内への立地がより一層図られるよ う、積極的な誘致活動に取り組みます。 ● 県内の既立地企業が円滑に事業活動を展開できるよう、事業環境の整備に取り組みます。 (6) 東京オリンピック・パラリンピックを見据え、世界に通用する魅力ある観光地づくりを 計画的に進める ● 平成32年(2020年)に開催される東京オリンピック・パラリンピックは、観光立県を目指す本県 にとって、国内はもとより世界各地からより多くの方を迎え入れる絶好の機会であることから、全 県一丸となって、ハード・ソフトの両面から世界に通用する魅力ある観光地づくりを進めていきます。 とちぎに 企業(しごと)をつくる とちぎに 人を呼び込む とちぎで 人を育てる とちぎを 売り込む 創業や県内企業の成長発展の支援と新たな企業の誘致等により、 とちぎに魅力あるしごとをつくります。 魅力あるしごとに加え、ゆとりある生活環境、豊かな自然、多様 な観光資源を基に、とちぎに人を呼び込みます。 女性、若者、高齢者、障害者など、誰もがその能力と適性に応じて産 業を支える人材として成長できるように、とちぎで人を育てます。 市場性のある高い付加価値を持つ製品・技術・サービスなど、 とちぎのいいものを売り込みます。 ……………… ………………… …………………… − 52 −

Ⅴ 将来像実現に向けた産業振興施策の 方向と具体的な取組将来像実現に向けた産業振興施策の 方向と具体的な取組 Ⅴ 1 将来像実現に向けた基本的な視点

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  • 将来像実現に向けた産業振興施策の方向と具体的な取組Ⅴ

    1 将来像実現に向けた基本的な視点本県が掲げる将来像「価値を創造し、躍進する“とちぎの産業”」の実現を図るため、基本的な視点を明確化した上で、本県の強みを生かした効果的な産業振興施策を推進します。

    2 産業振興施策の方向(1) 自動車、航空宇宙、医療機器、光、環境の重点5分野における新たなイノベーションの

    創出と先端ものづくり産業の競争力強化を図る● 本県の強みである製造業の産業集積を活かして、重点5分野の高付加価値化に向けた基盤技術の高度化、知的財産の活用推進、産学官金連携の促進等による新たなイノベーションの創出や、今後、世界的な需要の伸びが見込まれる航空機産業を中心とした先端ものづくり産業の競争力強化を図っていきます。

    (2) ヘルスケア等の新たな成長産業を創出・育成するとともに、本県経済への貢献度が高い地域中核企業を支援する● 高齢化の進展等に伴い需要の増大が見込まれるヘルスケア関連産業や、労働人口の減少や生産性の向上等の観点から成長が見込まれるロボット関連産業について、異業種間の連携や県内企業の新規参入、研究開発等を促進します。また、本県経済への貢献度が高いニッチトップ企業やコネクターハブ企業等の地域中核企業を支援することにより、本県経済の成長・発展を促進します。

    (3) 産業・雇用を支える中小企業・小規模企業支援を政策の基盤とする● 本県の企業数の99.8%、従業者数の86.8%を占める中小企業・小規模企業は、あらゆる面で地域の社会・経済を活性化する原動力であることから、創業・成長・事業承継等の段階に応じた切れ目のない支援など、中小企業・小規模企業支援を政策の基盤とします。

    (4) 企業等の国内外における販路開拓等を支援する● 県内企業や商工団体、農業団体等が新興国や欧米諸国などの海外の成長市場で販路を開拓できるように、ジェトロ栃木貿易情報センター等と連携して、海外展開を支援します。また、地域資源を活用した商品やヘルスケア関連分野等における新たなサービス等の販路開拓を支援します。

    (5) 本社機能等を含めた企業の立地及び定着を促進する● 本社・研究開発機能をはじめ、工場や物流施設など、企業の県内への立地がより一層図られるよう、積極的な誘致活動に取り組みます。● 県内の既立地企業が円滑に事業活動を展開できるよう、事業環境の整備に取り組みます。

    (6) 東京オリンピック・パラリンピックを見据え、世界に通用する魅力ある観光地づくりを計画的に進める● 平成32年(2020年)に開催される東京オリンピック・パラリンピックは、観光立県を目指す本県にとって、国内はもとより世界各地からより多くの方を迎え入れる絶好の機会であることから、全県一丸となって、ハード・ソフトの両面から世界に通用する魅力ある観光地づくりを進めていきます。

    Ⅴ 

    将来像実現に向けた産業振興施策の方向と具体的な取組

    1 

    将来像実現に向けた基本的な視点  

    2 

    産業振興施策の方向

    ●とちぎに  企業(しごと)をつくる●とちぎに  人を呼び込む●とちぎで  人を育てる●とちぎを  売り込む

    】点視のつ4【

    創業や県内企業の成長発展の支援と新たな企業の誘致等により、とちぎに魅力あるしごとをつくります。

    魅力あるしごとに加え、ゆとりある生活環境、豊かな自然、多様な観光資源を基に、とちぎに人を呼び込みます。

    女性、若者、高齢者、障害者など、誰もがその能力と適性に応じて産業を支える人材として成長できるように、とちぎで人を育てます。

    市場性のある高い付加価値を持つ製品・技術・サービスなど、とちぎのいいものを売り込みます。

    ………………

    …………………

    ……………………

    − 52−

  • (7) 「雇用を支える産業の振興」による雇用の創出を図るとともに、就職支援体制を整備することにより、UIJターンを促進する● 本県の雇用を支える製造業、商業・サービス業の更なる振興により、地域に安定した雇用を創出するとともに、就職に関する総合的かつ機動的な支援体制を整備することにより、首都圏で就学している本県出身者をはじめ、本県企業に関心のある学生等の本県へのUIJターン就職を積極的に促進します。

    (8) 将来の本県産業を担う人材を育成する● 本県産業のより一層の振興を図るため、若手・中堅・幹部といった役職別や業種別などの体系的な人材育成の視点に立って、企業の貴重な経営資源である人材を育成し、企業の経営力の向上を促進します。

    3 具体的な取組本県経済の成長と地域経済の活性化を実現するために5つの重点プロジェクトを戦略的に進

    めるとともに、県内企業の経営力等の向上を図るために分野横断的な2つの基盤施策の展開に取り組んでいきます。

    3 

    具体的な取組

    Ⅴ 

    将来像実現に向けた産業振興施策の方向と具体的な取組

    重点プロジェクト・基盤施策の体系

    ①中小企業・小規模企業の活性化~切れ目のない支援の展開~

    ②産業人材の確保・育成

    ①ものづくり産業パワーアッププロジェクト

    ②新たな成長プロジェクト

    ③グローバル展開プロジェクト

    ④企業誘致プロジェクト

    ⑤観光立県とちぎプロジェクト ま ち

    ①中小企業・小規模企業の活性化 ②産業人材の確保・育成基盤施策

    ①ものづくり産業パワーアッププロジェクト

    ②新たな成長プロジェクト

    ③グローバル展開プロジェクト

    ④企業誘致プロジェクト

    ⑤観光立県とちぎプロジェクト

    重点プロジェクト

    重点プロジェクト・基盤施策の具体的施策

    重点プロジェクト 具体的施策

    基盤施策 具体的施策

    1)自動車・航空宇宙・医療機器・光・環境の重点5分野における新たなイノベーションの創出

    2)先端ものづくり産業の競争力の育成・強化1)“フードバレーとちぎ”の新展開2)ヘルスケア等の新たな成長産業の振興3)ニッチトップ等の地域中核企業の育成1)海外進出・販路開拓の支援2)外資系企業の誘致・定着促進3)海外展開を担う人材の育成・確保1)新たな企業の立地促進(本社・研究開発機能、工場等の誘致)2)既立地企業の定着促進3)物流を含めた立地環境の向上1)国内誘客2)海外誘客3)観光で魅力と活気にあふれる「地域・ひと・しごと」づくり

    1)創業や持続的発展に向けた支援2)環境変化に対応した事業の新展開支援3)地域資源を活用した産業の振興1)体系的な人材の育成2)人材の確保と就労支援3)働きやすい環境づくり

    − 53−

  • もの づくり産 業パワーアッププロジェクトもの づくり産 業パワーアッププロジェクト

    ○ 産学官金によるネットワークの連携強化を図り、新たなプロジェクトの創出を促進します。

    ○ 県内企業の基盤技術の高度化や技術移転の促進を図るため、県産業技術センターの技術支援機能を強化します。

    ○ 業界のニーズを踏まえた研修や大学等との連携による企業ガイダンスを実施することにより、重点5分野を担う多様で質の高いものづくり人材の育成・確保に取り組みます。

    ○ 県内企業が有する製品や技術の販路開拓のため、大手メーカーとの商談会等を開催するとともに、各種大規模専門展示会への出展等を支援します。

    ○ 新製品や新技術を創出するため、知的財産を活用した製品の開発や高付加価値化を支援します。

    ○ 3Dプリンタを始めとする付加製造技術の活用促進を図ることにより、デジタル化に対応したものづくりを推進します。

    1

    自動車・航空宇宙・医療機器・光・環境の重点5分野における新たなイノベーションの創出自動車・航空宇宙・医療機器・光・環境の重点5分野における新たなイノベーションの創出1

    具体的施策

    (1) 重点プロジェクト

    ・ 重点5分野のこれまでの取組成果を踏まえ、重点振興産業施策により培った産学官金ネットワークを活用しながら、基盤技術の高度化、人材の育成・確保、販路開拓等の支援事業をより一層推進するとともに、知的財産の活用やデジタルものづくりの推進により、新たなイノベーションの創出を図っていきます。

    施策の展開

    主な取組内容

    2 先端ものづくり産業の競争力の育成・強化

    ・ 先端ものづくり産業分野において、県内ものづくり企業の競争力強化を図るため、企業の成長段階に応じた各種支援策を講じます。特に航空機産業については、新型機生産開始を間近に控え、重要な転機を迎えていることから、この機を本県航空機産業の飛躍に繋げるべく、戦略的な支援施策の展開を図ります。

    施策の展開

    成果指標

    ○ 先端ものづくり産業における企業の生産性向上や高品位加工等の研究開発等に対する助成を行い、県内中小企業の競争力強化を図ります。

    ○ 航空機産業界と技能研修機関等が一体となった「オールとちぎ」による高度人材の育成を図ります。

    ○ 海外の製品規格取得等に関する技術相談や製品開発設計の支援等を行うための相談体制を整備し、企業の海外展開等を促進します。

    ○ 先端ものづくり産業への新規参入に向けた研修会等を開催します。

    ○ 県内中小企業の競争力を強化するため、医工連携や異業種間連携を促進します。

    主な取組内容重点5分野の製造品出荷額等

    航空機関連産業の製造品出荷額等

    指標の項目

    ものづくり産業パワーアッププロジェクト

    66,468億円(H25年)

    1,287億円(H25年)

    現況

    71,123億円(H32年)

    1,850億円(H32年)

    目標値現況値の7%増を目指す。※過去10年間の平均伸び率0.6%を踏まえ、年1%の伸びを見込む。(経済産業省「工業統計」)

    現況値の44%程度の増を目指す。※国の目標値を踏まえ、年6%程度の伸びを見込む。(経済産業省「工業統計」)

    指標の説明

    ● 「ものづくり県」としての本県を支える重点5分野関連企業の優れた技術や製品等の付加価値を高め、本県のものづくり産業の競争力を強化していくために、重点振興産業施策の一層の推進に加え、10年先を見据えた新たなイノベーションの創出を図ります。

    ● 今後、市場拡大が見込まれる先端ものづくり産業(航空機・医療機器・次世代自動車など)への県内中小企業の事業シフトを促進するとともに、既に事業を展開している企業のステップアップを支援し、当該産業における競争力強化を図ります。

    基本的な考え方

    Ⅴ 

    将来像実現に向けた産業振興施策の方向と具体的な取組

    3 

    具体的な取組 

    ⑴重点プロジェクト 

    ①ものづくり産業パワーアッププロジェクト

    − 54−

  • もの づくり産 業パワーアッププロジェクトもの づくり産 業パワーアッププロジェクト

    ○ 産学官金によるネットワークの連携強化を図り、新たなプロジェクトの創出を促進します。

    ○ 県内企業の基盤技術の高度化や技術移転の促進を図るため、県産業技術センターの技術支援機能を強化します。

    ○ 業界のニーズを踏まえた研修や大学等との連携による企業ガイダンスを実施することにより、重点5分野を担う多様で質の高いものづくり人材の育成・確保に取り組みます。

    ○ 県内企業が有する製品や技術の販路開拓のため、大手メーカーとの商談会等を開催するとともに、各種大規模専門展示会への出展等を支援します。

    ○ 新製品や新技術を創出するため、知的財産を活用した製品の開発や高付加価値化を支援します。

    ○ 3Dプリンタを始めとする付加製造技術の活用促進を図ることにより、デジタル化に対応したものづくりを推進します。

    1

    自動車・航空宇宙・医療機器・光・環境の重点5分野における新たなイノベーションの創出自動車・航空宇宙・医療機器・光・環境の重点5分野における新たなイノベーションの創出1

    具体的施策

    (1) 重点プロジェクト

    ・ 重点5分野のこれまでの取組成果を踏まえ、重点振興産業施策により培った産学官金ネットワークを活用しながら、基盤技術の高度化、人材の育成・確保、販路開拓等の支援事業をより一層推進するとともに、知的財産の活用やデジタルものづくりの推進により、新たなイノベーションの創出を図っていきます。

    施策の展開

    主な取組内容

    2 先端ものづくり産業の競争力の育成・強化

    ・ 先端ものづくり産業分野において、県内ものづくり企業の競争力強化を図るため、企業の成長段階に応じた各種支援策を講じます。特に航空機産業については、新型機生産開始を間近に控え、重要な転機を迎えていることから、この機を本県航空機産業の飛躍に繋げるべく、戦略的な支援施策の展開を図ります。

    施策の展開

    成果指標

    ○ 先端ものづくり産業における企業の生産性向上や高品位加工等の研究開発等に対する助成を行い、県内中小企業の競争力強化を図ります。

    ○ 航空機産業界と技能研修機関等が一体となった「オールとちぎ」による高度人材の育成を図ります。

    ○ 海外の製品規格取得等に関する技術相談や製品開発設計の支援等を行うための相談体制を整備し、企業の海外展開等を促進します。

    ○ 先端ものづくり産業への新規参入に向けた研修会等を開催します。

    ○ 県内中小企業の競争力を強化するため、医工連携や異業種間連携を促進します。

    主な取組内容重点5分野の製造品出荷額等

    航空機関連産業の製造品出荷額等

    指標の項目

    ものづくり産業パワーアッププロジェクト

    66,468億円(H25年)

    1,287億円(H25年)

    現況

    71,123億円(H32年)

    1,850億円(H32年)

    目標値現況値の7%増を目指す。※過去10年間の平均伸び率0.6%を踏まえ、年1%の伸びを見込む。(経済産業省「工業統計」)

    現況値の44%程度の増を目指す。※国の目標値を踏まえ、年6%程度の伸びを見込む。(経済産業省「工業統計」)

    指標の説明

    ● 「ものづくり県」としての本県を支える重点5分野関連企業の優れた技術や製品等の付加価値を高め、本県のものづくり産業の競争力を強化していくために、重点振興産業施策の一層の推進に加え、10年先を見据えた新たなイノベーションの創出を図ります。

    ● 今後、市場拡大が見込まれる先端ものづくり産業(航空機・医療機器・次世代自動車など)への県内中小企業の事業シフトを促進するとともに、既に事業を展開している企業のステップアップを支援し、当該産業における競争力強化を図ります。

    基本的な考え方

    3 

    具体的な取組 

    ⑴重点プロジェクト 

    ①ものづくり産業パワーアッププロジェクト

    Ⅴ 

    将来像実現に向けた産業振興施策の方向と具体的な取組

    − 55−

  • Ⅴ 

    将来像実現に向けた産業振興施策の方向と具体的な取組

    3 

    具体的な取組 

    ⑴重点プロジェクト 

    ①ものづくり産業パワーアッププロジェクト

    菊地歯車株式会社

    菊地歯車株式会社(従業員149名、資本金30百万円)は、自動車、油圧機器、航空機等の工業製品向けの精密歯車製作を行う企業である。昭和15年(1940年)に足利市本城にて創立者菊地元治氏が歯車の生産を開始した。昭和44年(1969年)に法人に組織変更し、以降、設備の近代化、生産増強及び設備更新のため、工場の新増設を行ってきた。現在、同市内に6つの生産拠点を設け、高精度・高品質な製品を生み出し続けている。同社の事業の特徴は、100%受注生産に特化し、発注者が求める仕様のカスタム製品に生産を絞っている点である。航空機や自動車のメーカーが求めるカスタム製品のレベルは極めて高く、生産者側に相当の技術力が要求される。このため、同社では、最新の機械設備や測定機器を導入するとともに、技能認定資格を取得した社員に報奨金を支給するなど積極的な人材育成に取り組んでいる。ISO(国際標準化機構:International・Organization・

    for・Standardization)の認証取得にも精力的に取り組み、平成12年(2000年)以降、品質や環境マネジメントの認証を逐次取得。さらに、平成21年(2009年)には、とちぎ未来チャレンジファンド活用助成事業を利用し、国内歯車メーカーとして初となる航空宇宙向けの品質マネジメントシステム規格JISQ9100の認証を得た。このことが周囲から高く評価され、他社に対するアドバンテージとなって今日までの取引拡大に寄与しているという。こうした技術力向上と品質管理に向けた努力に加

    え、国内外での展示商談会への出展を通じて、仏Snecma社から保有技術の高さが認められ、平成27年(2015年)10月に、欧エアバスや米ボーイングの旅客機エンジンに使われる次世代航空エンジン「LEAPエンジン」用の低圧タービンブレードの受注に成功した。仏Snecma社との取引を円滑に進めるため、先ごろ100%子会社AeroEdge社を設立し、日本政策投資銀行の出資や日本政策金融公庫及び地域金融機関の融資を受け、生産体制を整えている。航空機産業はアジア・太平洋地域などを中心として、今後20年間で民間機市場が倍増すると推計されており、近い将来、同社の製品を搭載した旅客機が世界各地の空を飛び交うことになろう。航空機産業の成長とともに引き続き発展が見込まれる同社であるが、菊地義典代表取締役社長は、「熟練工の退職に伴う技能の伝承や当社技術に精通した営業職の育成など対応すべき課題がある。また、海外との取引は一見華やかだが、苦労のほうが多い。しかし、当社の経営理念は、顧客にとって価値のある会社であること、それと同時に社員が幸福であること。これを具体化していくためには、日々のたゆまぬ努力が必要と考えている。栃木県は、東京圏に近接したほどよい田舎であり人口規模もある。県の後押しもあり事業を行いやすい。この立地環境を最大限に生かして、航空機産業のグローバルTier 2(ティア・ツー)企業を目指す。」と気を引き締めながらも、次の目標をしっかりと見据えている。

    事例 1–1–①

    ~航空機産業の成長を見据えた先端ものづくりで事業を発展させる企業~

    本社社屋 主要製品の歯車

    − 56−

  • 3 

    具体的な取組 

    ⑴重点プロジェクト 

    ①ものづくり産業パワーアッププロジェクト

    Ⅴ 

    将来像実現に向けた産業振興施策の方向と具体的な取組

    歯科医療用ドリル 本社工場

    株式会社ナカニシ

    株式会社ナカニシ(従業員910名、資本金868百万円)は、歯科医療用製品、外科医療用製品、一般産業用製品の開発・製造・販売を行う企業である。全売上高の8割を占める歯科医療用ドリル(ハンドピース)は、競合するドイツのメーカーを抜き、世界シェアの約2割を占め世界1位となっている。同社は、昭和5年(1930年)に東京都千代田区神田にて創業。昭和20年(1945年)に第二次世界大戦の戦火を避けるために、鹿沼市に本社を移転し、以来、本社工場で研究開発から生産までを一貫して行っている。また、販売・サービス体制については、国内事務所のほか、海外各地に15カ所の拠点を設置し、積極的な拡販活動を展開することにより、グローバル企業として成長を続けている。

    同社の最大の強みは、ドリルの超高速回転というコア技術をベースに、17,000点以上にも及ぶ精密部品の85%以上を内製化するといった徹底したものづくりへのこだわりである。近年では、高速回転技術に加え、超音波技術を応用した歯面清掃器や骨切削機器を開発し、予防歯科治療やインプラント治療に大きく貢献している。

    こうした先端的なものづくりを支えるため、最新設備の導入とともに、独自の人材育成にも力を入れている。社内に設けた「ナカニシ大学」では、各職種

    でのリーダー候補の社員を対象に、大学教授や社内幹部が講師となって、医療分野の専門的な知識から会社のマネジメントに至る幅広い内容を教えている。また、一般社員を対象とした「ものづくり講座」では、製造の最前線に立つ若い世代への技能やノウハウの伝承などを行っている。このような取組により、顧客を第一に考えるものづくり哲学が社員一人ひとりに浸透しているという。同社は、国内と先進国市場における予防歯科治療での需要や、東南アジアや南米などにおける一般歯科治療での需要の増加を見込んでおり、引き続き各マーケットのニーズに対応した製品の開発、販路の開拓に力を入れていくという。

    また、平成28年(2016年)2月には、現本社の隣接地において「新本社・R&Dセンター」の建設に着手したところであり、研究開発機能を更に強化していく予定である。こうした事業の展開とともに、自然災害の発生に対応した事業継続計画(BCP)の策定や女性社員が働きやすい環境作りに向けた検討を行っていくという。

    事例1–1–②

    ~超高速回転をコア技術として県内に生産拠点を置き、               高品質製品を世界に送り出す企業~

    − 57−

  • Ⅴ 

    将来像実現に向けた産業振興施策の方向と具体的な取組

    3 

    具体的な取組 

    ⑴重点プロジェクト 

    ①ものづくり産業パワーアッププロジェクト

    株式会社深井製作所

    株式会社深井製作所(従業員552名、資本金70百万円)は、自動車部品、産業用空調機部品、プレス金型・治具等の設計・製作等を行う企業である。昭和13年(1938年)に現在の足利市山辺町にて創立者深井義信氏が同社を設立し、プレス金型や飛行機部品の受注生産を始めた。従業員11名、工作機械9台からのスタートであった。戦後、スクーターや冷蔵庫の部品の受注により業績を伸ばし、さらに高度経済成長の中で増産を進める自動車メーカーとの取引が順調に拡大。工場の手狭さなどから、昭和40年(1965年)に同市内の御厨工業団地へ本社工場を移転。その後、新事業展開を機に群馬県内に2つの工場を新設し、3工場制を敷いた。平成5年(1993年)には同市内に大月工場を新設し、平成9年(1997年)に本社を御厨工場から大月工場に移転。現在はこの大月工場と、平成17年(2005年)に同市内に新設した駒場工場の2工場制となっている。

    同社の平成26年(2014年)の売上高は201億円に上っているが、これまでの道のりは順調ではなかった。バブル経済の崩壊により売上高が減少の一途をたどった時期は、会社の歴史の中で最大のピンチであったという。特に大月工場への投資に伴う利子負担が大きかった平成6年(1994年)以降は、自動車メーカーの販売台数の減少も相まって、大変厳しい状況が続いていたとのことである。同社の福地一朝専務取締役は、「こうした危機的な状況に対応できた要因は、品質の向上を追求して常に質の高い部品の量産にこだわったこと。そして、会社が明確な目標を定めた経営計画を策定し、その実現に向けて社員一丸で努力したことである。」と話

    している。なかでも平成5年(1993年)に策定した第1次合理化計画RE(RE-ENGINEERING)計画では、「売上70億円で利益のでる会社づくり」を目標に掲げ、全社を挙げて作業コストの削減、人件費の抑制、日夜に渡る営業努力を行った。これらと併せて工場の統廃合により、「旧工場売却による借入金の圧縮」、「部品移動の削減による運賃コストの圧縮」、「管理者の移動ロスの解消」を実現した。この計画の成功がその後の中期経営計画に生かされるとともに、社員個々の能力向上につながったという。また、同社では業績が低迷した時期も新卒採用を行ってきた。これは、「企業は人なり」という経営理念に基づくものである。今ではバブル崩壊直後に採用した社員が各業務分野の第一線で活躍しているとのことである。

    平成28年2月には、米国のインディアナ州内に設立した合弁会社FTIC(Fukai・Toyotetsu・ Indiana・Corporation)が操業を開始。日本人スタッフ6名と現地採用40名によるスタートで順次生産を安定させ、平成32年(2020年)には200名規模での大量生産体制を確立して事業を軌道に乗せたいという。福地専務取締役は、「大手メーカーとの取引を通じて技術力を磨き上げながらも、徹底したコストカットや飛び込み営業で厳しい時期を乗り越えた経験が今日の会社の基礎になっている。現在の中期経営方針「Step・up・to・First・Class」のもと、発注者に提案できる「技術立社」として更に成長していきたい。また、地元に貢献できるような魅力ある企業でありたい。」と抱負を語っている。

    事例 1–1–③

    ~「質の量産」をテーマに、信頼性の高い車体構造部品を生産する企業~

    自動車の車体構造製品 大月工場

    − 58−

  • 3 

    具体的な取組 

    ⑴重点プロジェクト 

    ①ものづくり産業パワーアッププロジェクト

    Ⅴ 

    将来像実現に向けた産業振興施策の方向と具体的な取組

    ものづくり産業の振興に関わる施策 ・取組

    マイクロテクノロジーラボ・(左:開所式 右:・試験研究機器)

    とちぎ・新技術・工法展示商談会in・TOYOTA

    知的財産ビジネスマッチング交流会

    ものづくり・企業展示・商談会・2015

    医工連携の取組

    − 59−

  • 新 たな 成 長プロジェクト新 たな 成 長プロジェクト

    “フードバレーとちぎ”の新展開

    ○ “食”をテーマとした地域ブランド力の向上を図るため、食品関連事業者と観光などのサービス産業関連事業者との連携した取組を支援します。

    ○ 有機的な農商工連携や産学官金連携による技術や知見を結集した新商品開発等を促進します。

    ○ 本県の優れた農産物を活用した加工食品や消費者ニーズに対応した商品の開発と販路開拓を支援することにより、新たなヒット商品の創出を促進します。

    ○ 食品の機能性成分の活用等により、健康志向の高まり等に対応した付加価値の高い商品の開発を支援します。

    ・ 本県の食のブランド化とヒット商品の更なる創出を図るため、サービス産業と連携した取組によるブランド力の向上や、本県を代表する農産物を活用した加工食品の総合力・訴求力の強化とともに、消費者ニーズの的確な把握や機能性成分の活用等による新商品開発を支援することにより、“フードバレーとちぎ”の新展開を進め、食品関連産業の更なる振興を図ります。

    2

    具体的施策

    (1) 重点プロジェクト

    施策の展開

    主な取組内容

    ニッチトップ等の地域中核企業の育成

    成果指標

    ○ 地域経済分析システム(RESAS)※3を活用しながら、支援対象企業を認定します。

    ○ 地域中核企業の個別ニーズに対応した専門的かつ包括的な支援を行うため、産業支援機関や専門家等で組織するタスクフォースを編成します。

    ○ 地域中核企業の成長発展のため、プロフェッショナル人材の活用など、経営資源の強化を支援します。

    ・ 今後、地域に根ざした発展性のある地域中核企業(ニッチトップ企業※1・コネクターハブ企業※2等)を支援していくことは、海外を含む地域外需要の取り込みや、県内企業への発注増大、雇用の創出などを図る上で重要であることから、支援対象となる企業を認定し、支援体制を構築して専門的な支援を行うことにより、地域中核企業の成長を促進します。

    施策の展開

    主な取組内容

    食料品製造業の製造品出荷額等

    ロボット関連産業の製造品出荷額等

    指標の項目

    新たな成長プロジェクト

    5,159 億円(H25年)

    21億円(H25年)

    現況

    5,700億円(H32年)

    84億円(H32年)

    目標値現況値の7.5%増を目指す。※過去5年間の伸び率6%(年平均1.2%)に新たな取組による伸び率1.5%(年平均0.3%)増を見込む。(経済産業省「工業統計」)

    現況値の4倍の値を目指す。※全国平均の値と同程度を見込む。(経済産業省「工業統計」)

    県が支援する地域中核企業の付加価値額の伸び率

    - 20%増(H32年)(3%(国の経済成長率の目標値(名目))+1%)×5年間の値を目指す。

    指標の説明

    ※1 比較的規模の小さい市場や特定の製品分野において国内で高いシェアを確保している企業(P23参照)※2 県内の企業からより多くの仕入れを行い自社で付加価値を高めて県外に販売する企業(P23参照)※3 Regional Economy (and) Society Analyzing Systemの略称。地方自治体が政策の立案等をする際に利用できる、ビッグデータを活用した地

    域経済の見える化システム。国が構築したもので、経済分野に限らず様々なデータが搭載されている。

    1

    ● “食”をテーマに、地域経済が成長、発展し、活力あふれるフードバレーとちぎを目指すため、食品関連産業とサービス産業との連携した取組や農産物を活用した加工食品の開発等を促進します。● 少子高齢化の更なる進展や健康意識の高まり、技術の高度化等の中で、今後、成長が期待される産業分野の振興を推進します。● 人口減少等に伴い地域内需要の減少が進むことから、地域外需要を取り込む、またはその可能性が高い中小企業への重点的な支援を強化することにより、地域経済に新たな付加価値を生み出す地域中核企業の成長を促進します。

    基本的な考え方

    ヘルスケア等の新たな成長産業の振興

    ○ ヘルスケア関連産業への県内中小企業の参入促進等を図るため、フォーラムを開催し、事業者間のマッチング等を行うとともに、研究・開発や販路開拓等を支援します。

    ○ ロボット関連産業の振興に向けて、有識者懇談会やフォーラムを開催するとともに、企業の研究開発や実証実験等の取組を支援します。

    ○ IoTなどの新たな成長が期待される分野について、振興施策等を検討します。

    ・ 健康寿命延伸等の観点から需要の増大が見込まれるヘルスケア関連産業や労働人口の減少・企業の生産性向上等の観点から成長が見込まれるロボット関連産業等の新たな成長産業について、フォーラムを通じた気運の醸成や研究・開発等の支援により、企業の新規参入や産学官金の連携による新技術・新製品の研究開発等を促進します。

    施策の展開

    主な取組内容

    2

    3

    Ⅴ 

    将来像実現に向けた産業振興施策の方向と具体的な取組

    3 

    具体的な取組 

    ⑴重点プロジェクト 

    ②新たな成長プロジェクト

    − 60−

  • 新 たな 成 長プロジェクト新 たな 成 長プロジェクト

    “フードバレーとちぎ”の新展開

    ○ “食”をテーマとした地域ブランド力の向上を図るため、食品関連事業者と観光などのサービス産業関連事業者との連携した取組を支援します。

    ○ 有機的な農商工連携や産学官金連携による技術や知見を結集した新商品開発等を促進します。

    ○ 本県の優れた農産物を活用した加工食品や消費者ニーズに対応した商品の開発と販路開拓を支援することにより、新たなヒット商品の創出を促進します。

    ○ 食品の機能性成分の活用等により、健康志向の高まり等に対応した付加価値の高い商品の開発を支援します。

    ・ 本県の食のブランド化とヒット商品の更なる創出を図るため、サービス産業と連携した取組によるブランド力の向上や、本県を代表する農産物を活用した加工食品の総合力・訴求力の強化とともに、消費者ニーズの的確な把握や機能性成分の活用等による新商品開発を支援することにより、“フードバレーとちぎ”の新展開を進め、食品関連産業の更なる振興を図ります。

    2

    具体的施策

    (1) 重点プロジェクト

    施策の展開

    主な取組内容

    ニッチトップ等の地域中核企業の育成

    成果指標

    ○ 地域経済分析システム(RESAS)※3を活用しながら、支援対象企業を認定します。

    ○ 地域中核企業の個別ニーズに対応した専門的かつ包括的な支援を行うため、産業支援機関や専門家等で組織するタスクフォースを編成します。

    ○ 地域中核企業の成長発展のため、プロフェッショナル人材の活用など、経営資源の強化を支援します。

    ・ 今後、地域に根ざした発展性のある地域中核企業(ニッチトップ企業※1・コネクターハブ企業※2等)を支援していくことは、海外を含む地域外需要の取り込みや、県内企業への発注増大、雇用の創出などを図る上で重要であることから、支援対象となる企業を認定し、支援体制を構築して専門的な支援を行うことにより、地域中核企業の成長を促進します。

    施策の展開

    主な取組内容

    食料品製造業の製造品出荷額等

    ロボット関連産業の製造品出荷額等

    指標の項目

    新たな成長プロジェクト

    5,159 億円(H25年)

    21億円(H25年)

    現況

    5,700億円(H32年)

    84億円(H32年)

    目標値現況値の7.5%増を目指す。※過去5年間の伸び率6%(年平均1.2%)に新たな取組による伸び率1.5%(年平均0.3%)増を見込む。(経済産業省「工業統計」)

    現況値の4倍の値を目指す。※全国平均の値と同程度を見込む。(経済産業省「工業統計」)

    県が支援する地域中核企業の付加価値額の伸び率

    - 20%増(H32年)(3%(国の経済成長率の目標値(名目))+1%)×5年間の値を目指す。

    指標の説明

    ※1 比較的規模の小さい市場や特定の製品分野において国内で高いシェアを確保している企業(P23参照)※2 県内の企業からより多くの仕入れを行い自社で付加価値を高めて県外に販売する企業(P23参照)※3 Regional Economy (and) Society Analyzing Systemの略称。地方自治体が政策の立案等をする際に利用できる、ビッグデータを活用した地

    域経済の見える化システム。国が構築したもので、経済分野に限らず様々なデータが搭載されている。

    1

    ● “食”をテーマに、地域経済が成長、発展し、活力あふれるフードバレーとちぎを目指すため、食品関連産業とサービス産業との連携した取組や農産物を活用した加工食品の開発等を促進します。● 少子高齢化の更なる進展や健康意識の高まり、技術の高度化等の中で、今後、成長が期待される産業分野の振興を推進します。● 人口減少等に伴い地域内需要の減少が進むことから、地域外需要を取り込む、またはその可能性が高い中小企業への重点的な支援を強化することにより、地域経済に新たな付加価値を生み出す地域中核企業の成長を促進します。

    基本的な考え方

    ヘルスケア等の新たな成長産業の振興

    ○ ヘルスケア関連産業への県内中小企業の参入促進等を図るため、フォーラムを開催し、事業者間のマッチング等を行うとともに、研究・開発や販路開拓等を支援します。

    ○ ロボット関連産業の振興に向けて、有識者懇談会やフォーラムを開催するとともに、企業の研究開発や実証実験等の取組を支援します。

    ○ IoTなどの新たな成長が期待される分野について、振興施策等を検討します。

    ・ 健康寿命延伸等の観点から需要の増大が見込まれるヘルスケア関連産業や労働人口の減少・企業の生産性向上等の観点から成長が見込まれるロボット関連産業等の新たな成長産業について、フォーラムを通じた気運の醸成や研究・開発等の支援により、企業の新規参入や産学官金の連携による新技術・新製品の研究開発等を促進します。

    施策の展開

    主な取組内容

    2

    3

    3 

    具体的な取組 

    ⑴重点プロジェクト 

    ②新たな成長プロジェクト

    Ⅴ 

    将来像実現に向けた産業振興施策の方向と具体的な取組

    − 61−

  • Ⅴ 

    将来像実現に向けた産業振興施策の方向と具体的な取組

    3 

    具体的な取組 

    ⑴重点プロジェクト 

    ②新たな成長プロジェクト

    マニー株式会社

    マニー株式会社(従業員344名、資本金988百万円)は、微細手術用機器の開発・製造・販売を主力としている企業である。信頼性の高い縫合針を開発し続け、近年では新興国市場の需要増加に対応しながら、世界各地の医療機関に製品を供給するグローバルニッチトップ(GNT)企業として活躍を続けている。

    同社誕生のきっかけは、創業者である松谷正雄氏が「世の中に貢献できる産業をつくる」と決意し、昭和31年(1956年)5月1日に事業を始めたことに遡る。当時、手術で主に使用されていた鉄製の縫合針は錆びやすく、多くの医療現場で悩みの種となっていた。これに着目した松谷氏は、患者とその家族、医師のために役立てようとステンレス製の縫合針の製造を開始した。高根沢町の自宅敷地内の小さな作業所からの出発であった。

    昭和34年(1959年)に、同社の前身となる株式会社松谷製作所を設立。同年、厚生省(現厚生労働省)の国庫補助を受け、縫合針製造の新技術開発に取り組んだ結果、世界初となるオーステナイト系のステンレスアイド(EYED)縫合針の製造に成功した。次にアイレス(EYELESS)針の開発に取り組み、競合他

    社で未導入であったレーザーによる穴あけ加工法、レーザードリリング技術にたどり着いた。しかし、高額なレーザーを使って針に穴を開ける製法に対して、周囲はコストの面で見合わないとの冷ややかな見方をしていたが、より高い安全性を追求するという確固たる信念の下で推し進めたこの研究開発が今日の発展の礎になった。こうした研究開発は県を始めとする行政の支援があって取り組むことができたとのことである。一方で、同時期に会社存続のために試みた手術用メス

    の製造開発では、度重なる失敗の末、大きな損失を被ることになった。原因は、自社内に板金に関する技術や知識の蓄積が不足していたことである。この経験を教訓に、自社の得意技術で勝負することを信条として、針金から

    作る医療器「極細治療器」に事業を特化する方針を明確化した。

    これは、同社の経営哲学である「ニッチ分野で世界トップを目指し、大きな市場では勝負しない。」という考えの基となっている。今日でも、トレードオフ(何をやらないか)を明確にしており、具体的には、「①医療機器以外はやらない」、「②世界一の品質以外は目指さない」、「③製品寿命の短いものはやらない」、「④ニッチ市場(市場規模5000億円以下)しかやらない」としている。

    現在、同社の海外生産拠点はヴェトナム、ミャンマー、ラオスの3工場(100%出資の子会社)であり、それぞれが都市部や工業団地ではなく郊外に立地している。これは現地での人材獲得競争や政治動向の影響を受けないためのリスクヘッジとして有効に作用している。ヴェトナムの子会社には2,500人もの従業員が在籍するなど、本社の従業員数約300人を大きく超えており、グループ全体で見ると、従業員に占める日本人の比率は1割程度となっている。外国人比率が高くなっているが、自社の行動規範であるIPC(Integrity=誠実さ、Passion=情熱、Communication=コミュニケーション)の理念を国内外問わず浸透させることにより、会社としての一体感や使命感を醸成している。平成27年(2015年)にドイツのフランクフルトの製造販売会社を買収したが、ここにおいても同様である。宇都宮市にある本社では、医療系大学の教授陣を交

    えた勉強会を定例的に開催し、社員が医療の基礎や現場のニーズを学習する機会を設けるなど社員全体のスキルアップにも余念がない。また、これまで手薄だった販路開拓にも本格的に乗り出している。

    GNTとして安定した成長を続ける同社であるが、松谷正明取締役兼執行役会長は「会社の発展、利益の追求は経営者の使命。しかし、度が過ぎると、法令無視という大きな罠に落ち、市場から一発退場となる。経営者はコーポレートガバナンス(企業統治)を確実にして、コンプライアンス(法制遵守)を常に念頭に置かなければならない。そのためにも、我々は行動規範のIPCを重視していく。」と気を引き締める。

    事例 1–2–①

    ~地方の小さな作業所から世界的なニッチトップ企業へと躍進した企業~

    アイド針 アイレス針 クリーンルーム内部の様子

    − 62−

  • 3 

    具体的な取組 

    ⑴重点プロジェクト 

    ②新たな成長プロジェクト

    Ⅴ 

    将来像実現に向けた産業振興施策の方向と具体的な取組

    栃木県

    栃木県は、全国有数のものづくり県であるとともに、豊かな農産物や豊富で良質な水に恵まれ、大消費地である首都圏の食料供給基地として発展してきた。県では、このポテンシャルを最大限に活かし、“食”に関連する産業の振興を図ることにより、“食”をテーマに地域経済が成長・発展し、活力あふれる“フードバレーとちぎ”を目指す取組を全県挙げて推進しており、その実現に向けては、地域の強みや特性を活かした技術や商品を常に生み出していくことが重要である。

    このような中、産学官金の関係機関が連携し、食に関する持続的なイノベーションの創造による“食”関連産業の活性化等を通じて国内外での競争力の強化を図るため、「とちぎフードイノベーション推進協議会」を平成26年(2014年)6月に設置した。翌7月には、本協議会が提案した戦略「テーマ名:とちぎ特産物の多面的高度利用によるイノベーション・~フードバレーとちぎを目指して~・」が、文部科学省、経済産業省、農林水産省及び総務省の4省から地域イノベーション戦略推進地域に選定されるとともに、文部科学省から、地域イノベーション戦略支援プログラムの事業採択を受けた。この戦略では、本県が生産量日本一を誇る「いちご」について、輸出に対応できる安全・安心で安定的な生産・加工技術の開発、世界に先駆けた機能性の探索、輸出を視野に入れた流通までの一環した持続的なイ

    ノベーションの創出を目的に、付加価値の高い新商品・新技術の開発を推進している。

    具体的には、宇都宮大学が中心となり、外部からの研究者の招聘も含め、①輸出に対応した安全・安心な生産技術の開発、②いちご果実の長期輸送中の収穫後生理と健康増進成分の変化、③いちごの輸出促進を目指した機能性成分の探索・評価を行っている。併せて、地域の研究機関の研究設備や機器の共用化を進めるため、宇都宮大学に食品総合分析室を設置し、県内企業が高度な分析機器を利用できる環境を整備している。

    また、栃木県農業試験場いちご研究所などでは、様々な研究・開発を行っているほか、(公財)栃木県産業振興センターが総合調整機関となり、地域連携コーディネータ及び実用化促進コーディネータを配置し、県内研究機関のネットワークを構築し、企業と大学等研究機関の連携や共同研究を進めるとともに、研究成果の実用化を図るため「大学等の知のネットワーク構築」を行っている。

    さらに、協議会を構成する各機関が連携しながらそれぞれの強みを活かし、実用化に向けた事業者の取組等を支援することで、本県の「食」を活かした持続的なイノベーションの創出に努めているところである。

    事例1–2–②

    ~とちぎフードイノベーション戦略の推進~

    スカイベリー いちごの特性検査の様子

    − 63−

  • グローバル展開プロジェクトグローバル展開プロジェクト

    海外進出・販路開拓の支援

    ○ ジェトロ栃木貿易情報センターを活用した海外情報の提供や貿易相談の実施により、成長市場への県内企業等の進出を支援します。

    ○ ジェトロ栃木貿易情報センターと連携して、県内企業等の海外見本市への出展等を支援します。

    ○ 加工食品等県産品の海外販路開拓・拡大のため、フードバレーとちぎ推進協議会海外販路開拓部会等を活用した企業の共同取組を促進します。

    ・ 県内企業等が新興国や欧米諸国などの海外の成長市場に進出し、新たな販路を獲得できるように、ジェトロ栃木貿易情報センターとの緊密な連携を図るとともに、東アジアや東南アジアへの展開に当たっては、香港駐在員を効果的に活用しながら、県内企業等の海外進出や県産品の販路開拓・拡大の支援を強化していきます。

    3

    具体的施策

    (1) 重点プロジェクト

    施策の展開

    主な取組内容

    外資系企業の誘致・定着促進

    ○ 外資系企業の立地を促進するため、ジェトロと連携し、国内の外資系企業や駐日大使館・在日商工会議所等に対して、本県の投資環境をPRします。

    ○ 外資系企業への積極的な誘致活動等により、新規立地を促進します。

    ○ 本県に立地した外資系企業の定着促進を図るため、操業の円滑化に向けた相談対応を行います。

    ・ 本県への外資系企業誘致を推進するため、本県の投資環境の魅力を広く国内外に発信するとともに、本県に進出する外資系企業をきめ細かに支援します。

    施策の展開

    主な取組内容

    海外展開を担う人材の育成・確保

    成果指標

    ○ 県内中小企業の海外展開の促進に向けて、貿易実務等のセミナーを開催するとともに、関係機関と連携・協力し、技術者等を対象とした実践的な海外研修などの取組を支援します。

    ○ 外国人留学生等を対象とした合同企業説明会を開催することにより、県内中小企業の外国人材等確保の取組を支援します。

    ・ 県内企業等の海外展開を支えていく人材を育成するため、関係機関と連携し、海外販路開拓に必要なスキルの向上や将来のとちぎのものづくりを担うグローバルな視点を持った技術者等の育成を行います。また、外国人材等の確保を促進するための事業を展開します。

    施策の展開

    主な取組内容

    海外取引(輸出または輸入)を行う県内企業数

    指標の項目

    グローバル展開プロジェクト

    224社(H26年度)

    現況

    275社(H32年度)

    目標値

    現況値から約50社の増加を目指す。※5年間×10件(過去3年間の平均増加企業数×2倍の件数)を見込む。(栃木県「海外経済交流調査」)

    指標の説明

    ● 人口減少や少子高齢化の進展に伴う国内市場の縮小や経済のグローバル化が進む中、ジェトロの持つ専門知識、ノウハウ及び海外ネットワークを活用し県内企業や団体等が新興国や欧米諸国などの海外の成長市場に進出できるよう支援していきます。● 本県への外資系企業誘致を推進するため、本県の投資環境の魅力を発信するとともに、本県に進出する企業をきめ細かに支援します。● 県内企業等の海外展開を支える人材を育成するため、関係機関と連携して技術者等の育成強化を図ります。また、外国人材等の雇用を促進し、県内中小企業等の海外展開・競争力強化を支援します。

    基本的な考え方

    1

    2

    3

    Ⅴ 

    将来像実現に向けた産業振興施策の方向と具体的な取組

    3 

    具体的な取組 

    ⑴重点プロジェクト 

    ③グローバル展開プロジェクト

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  • グローバル展開プロジェクトグローバル展開プロジェクト

    海外進出・販路開拓の支援

    ○ ジェトロ栃木貿易情報センターを活用した海外情報の提供や貿易相談の実施により、成長市場への県内企業等の進出を支援します。

    ○ ジェトロ栃木貿易情報センターと連携して、県内企業等の海外見本市への出展等を支援します。

    ○ 加工食品等県産品の海外販路開拓・拡大のため、フードバレーとちぎ推進協議会海外販路開拓部会等を活用した企業の共同取組を促進します。

    ・ 県内企業等が新興国や欧米諸国などの海外の成長市場に進出し、新たな販路を獲得できるように、ジェトロ栃木貿易情報センターとの緊密な連携を図るとともに、東アジアや東南アジアへの展開に当たっては、香港駐在員を効果的に活用しながら、県内企業等の海外進出や県産品の販路開拓・拡大の支援を強化していきます。

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    具体的施策

    (1) 重点プロジェクト

    施策の展開

    主な取組内容

    外資系企業の誘致・定着促進

    ○ 外資系企業の立地を促進するため、ジェトロと連携し、国内の外資系企業や駐日大使館・在日商工会議所等に対して、本県の投資環境をPRします。

    ○ 外資系企業への積極的な誘致活動等により、新規立地を促進します。

    ○ 本県に立地した外資系企業の定着促進を図るため、操業の円滑化に向けた相談対応を行います。

    ・ 本県への外資系企業誘致を推進するため、本県の投資環境の魅力を広く国内外に発信するとともに、本県に進出する外資系企業をきめ細かに支援します。

    施策の展開

    主な取組内容

    海外展開を担う人材の育成・確保

    成果指標

    ○ 県内中小企業の海外展開の促進に向けて、貿易実務等のセミナーを開催するとともに、関係機関と連携・協力し、技術者等を対象とした実践的な海外研修などの取組を支援します。

    ○ 外国人留学生等を対象とした合同企業説明会を開催することにより、県内中小企業の外国人材等確保の取組を支援します。

    ・ 県内企業等の海外展開を支えていく人材を育成するため、関係機関と連携し、海外販路開拓に必要なスキルの向上や将来のとちぎのものづくりを担うグローバルな視点を持った技術者等の育成を行います。また、外国人材等の確保を促進するための事業を展開します。

    施策の展開

    主な取組内容

    海外取引(輸出または輸入)を行う県内企業数

    指標の項目

    グローバル展開プロジェクト

    224社(H26年度)

    現況

    275社(H32年度)

    目標値

    現況値から約50社の増加を目指す。※5年間×10件(過去3年間の平均増加企業数×2倍の件数)を見込む。(栃木県「海外経済交流調査」)

    指標の説明

    ● 人口減少や少子高齢化の進展に伴う国内市場の縮小や経済のグローバル化が進む中、ジェトロの持つ専門知識、ノウハウ及び海外ネットワークを活用し県内企業や団体等が新興国や欧米諸国などの海外の成長市場に進出できるよう支援していきます。● 本県への外資系企業誘致を推進するため、本県の投資環境の魅力を発信するとともに、本県に進出する企業をきめ細かに支援します。● 県内企業等の海外展開を支える人材を育成するため、関係機関と連携して技術者等の育成強化を図ります。また、外国人材等の雇用を促進し、県内中小企業等の海外展開・競争力強化を支援します。

    基本的な考え方

    1

    2

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    具体的な取組 

    ⑴重点プロジェクト 

    ③グローバル展開プロジェクト

    Ⅴ 

    将来像実現に向けた産業振興施策の方向と具体的な取組

    − 65−

  • Ⅴ 

    将来像実現に向けた産業振興施策の方向と具体的な取組

    3 

    具体的な取組 

    ⑴重点プロジェクト 

    ③グローバル展開プロジェクト

    海外展示会出展(香港フードエキスポ 2015)

    保管倉庫での荷積みの様子

    株式会社ユーユーワールド

    株式会社ユーユーワールド(従業員120名、資本金50百万円)は、物流・貿易を中心に、人材派遣、食品製造・販売、介護、飲食などの幅広い業務を行う企業である。

    平成6年(1994年)に宇都宮市にて代表取締役の小川恒夫氏が「物流の何でも屋」を称して創業した。社名の「ユーユーワールド」は、悠々・遊優を念頭に置き「心に余裕とゆとりを持ち広く世間(世界)に向けて事業展開を図る」という思いを込めて命名したという。「海なし県に港を創る」というコンセプトの下、県内での税関機能の整備からスタートして、現在では、国内のみならず中国の大連、香港などに事業拠点を設けており、港からアジア諸国等へと栃木県の「モノ」と「情報」を届けている。

    同社は国内外のネットワークを生かした総合物流サービスを展開しているが、単なる物流業務にとどまらず、クライアント企業のオーダーに応じて、商品企画開発・プロモーション、販路開拓、海外進出まで一貫したサポートを行うことを強みとしている。

    海外販路開拓の一例としては、いちごの「スカイベリー」や梨の「にっこり」を売り込む際に、国ごとの嗜好を的確にリサーチした上で、贈答用であればパッケージを桐箱にするなど商品の付加価値を高めるストーリーを描き、現地のバイヤーや消費者の心をつかんでいる。

    また、近年では、食を中心に据えた地域活性化の取組を積極的に展開している。平成25年(2013年)に、銀座でオープンした鉄板ダイニング「銀座栃木屋本店」では、食材は塩以外全て栃木県産であり、店内には大谷石や烏山和紙、器には益子焼を使うなど、徹底して栃木にこだわった店作りをしている。さらに、地域の農産物を原材料とした地元の名産品の開発に取り組み、平成26年(2014年)に売り出した「ご飯にかけるギョーザ」は新聞やテレビに取り上げられ、一気に全国区の商品となった。現在も、県外から観光客やビジネスマンが栃木県を訪れたら必ず購入して帰るような定番商品を企画、開発中であるという。

    新たな事業にスピーディーに取り組み、数々の成功を収めてきた同社であるが、小川社長は、中小企業の海外販路開拓について次のように話している。「海外市場で取引関係を作るのはとても大変なこと。県産の食品を販売する場合には、1年目に知ってもらい、2年目に味わってもらい、そして、3年目に買ってもらうといった、3年スパンの計画を立てる必要がある。中小企業が海外バイヤーとの商談を成立させるまでには、時間と労力と資金が必要。県が行っている海外展示会出展の支援も大切であるが、今後はジェトロの活用や北関東3県が一体となった活動により、商品の生産・流通・販売までの各段階に応じた支援を行うことが更に重要になるだろう。」

    事例1–3–①

    ~海なし県に港を創り、海外販路を切り拓く企業~

    − 66−

  • 3 

    具体的な取組 

    ⑴重点プロジェクト 

    ③グローバル展開プロジェクト

    Ⅴ 

    将来像実現に向けた産業振興施策の方向と具体的な取組

    県内企業に対する海外展開支援や外資系企業誘致に関わる施策・取組

    外資系企業誘致セミナー

    ジェトロ栃木貿易情報センター開所式

    外国人留学生等人材確保等のための合同企業説明会 貿易実務研修会(貿易英語論)

    − 67−

  • ● 東京圏に近接し、東北縦貫自動車道と首都圏中央連絡自動車道(圏央道)との接続により、更なる充実が図られた高速交通ネットワークや、地震などの大規模な自然災害リスクの少なさなど、本県の優れた立地環境を生かし、企業の本社・研究開発機能、工場等の誘致を推進します。● 既立地企業の操業の円滑化や設備投資を支援し、その定着を促進します。● 市町等と連携を図りながら、企業にとって魅力ある産業団地を提供するとともに、物流を含めた立地環境の向上を図ります。

    基本的な考え方

    企 業 誘 致プロジェクト企 業 誘 致プロジェクト

    新たな企業の立地促進(本社・研究開発機能、工場等の誘致)

    ○ 本社・研究開発機能等の立地促進に向けて、誘致活動を強化するとともに、支援制度の充実を図ります。

    ○ 工場等の更なる立地を促進するため、面積要件の緩和等による補助制度の拡充を図ります。

    ○ 優れた立地環境などの“とちぎ”の魅力を発信するセミナーの開催や知事の企業訪問など、トップセールスによる誘致活動を推進します。

    ○ 地域金融機関、インフラ関連企業などと連携した取組を展開します。

    4

    具体的施策

    (1) 重点プロジェクト

    施策の展開

    主な取組内容

    既立地企業の定着促進

    ○ 既立地企業の定着促進に向けて、企業ニーズを踏まえた補助制度の充実を図ります。

    ○ 県内の工業団地組織等との意見交換や懇談、個別企業への定期的な訪問活動などを通じて、企業との関係性の強化を図ります。

    ・ 設備投資や事業拡大等の企業の事業展開への支援など、企業ニーズに的確に対応することにより、既立地企業の定着を促進します。・ 企業との意見交換や訪問活動等を通じて、企業の声を積極的に聞き、立地環境向上など施策に反映できるよう努めます。

    施策の展開

    主な取組内容

    物流を含めた立地環境の向上

    成果指標

    ○ 企業のニーズや地域特性等を踏まえながら、市町等との連携のもと、計画的な産業団地の整備を図っていきます。

    ○ 円滑な企業活動を支援するため、関係機関と連携して工場立地に係る各種規制等に関する調整促進を図ります。

    ○ 物流の高度化・効率化に向けて、物流施設の新設や建替え等に対する補助制度を拡充するとともに、物流拠点の充実に向けた取組を強化します。

    ・ 産業団地の整備や立地規制に関する調整促進など、関係機関との連携した取組を通じて、立地環境の向上を図ります。・ 物流構造の変化に対応し、物流関係企業の立地や定着促進を図るため、国際物流を含めた物流の高度化・効率化への取組を支援します。

    施策の展開

    主な取組内容

    企業立地件数(製造業等の工場又は研究所を建設する目的で、1,000㎡以上の用地を取得(借地を含む)したもの)

    指標の項目

    企業誘致プロジェクト

    170件(H22-H26年の累計)

    現況

    180件(H28-H32年の累計)

    目標値

    過去5年間における平均立地件数の5%増加を目指す。(経済産業省「工場立地動向調査」)

    指標の説明

    ・ 地方創生に呼応し、新たな雇用の創出と地域経済の活性化に資するよう、企業の本社・研究開発機能、工場等の立地促進を図ります。

    ・ 地域間競争が激化する中、本県の優れた立地環境をPRするとともに、「栃木県企業誘致・県産品販売推進本部」と連携しながら誘致活動を推進し、選ばれる“とちぎ”を目指します。

    と  ち   ぎ   の

      い   い   も   の

    1

    2

    3

    Ⅴ 

    将来像実現に向けた産業振興施策の方向と具体的な取組

    3 

    具体的な取組 

    ⑴重点プロジェクト 

    ④企業誘致プロジェクト

    − 68−

  • ● 東京圏に近接し、東北縦貫自動車道と首都圏中央連絡自動車道(圏央道)との接続により、更なる充実が図られた高速交通ネットワークや、地震などの大規模な自然災害リスクの少なさなど、本県の優れた立地環境を生かし、企業の本社・研究開発機能、工場等の誘致を推進します。● 既立地企業の操業の円滑化や設備投資を支援し、その定着を促進します。● 市町等と連携を図りながら、企業にとって魅力ある産業団地を提供するとともに、物流を含めた立地環境の向上を図ります。

    基本的な考え方

    企 業 誘 致プロジェクト企 業 誘 致プロジェクト

    新たな企業の立地促進(本社・研究開発機能、工場等の誘致)

    ○ 本社・研究開発機能等の立地促進に向けて、誘致活動を強化するとともに、支援制度の充実を図ります。

    ○ 工場等の更なる立地を促進するため、面積要件の緩和等による補助制度の拡充を図ります。

    ○ 優れた立地環境などの“とちぎ”の魅力を発信するセミナーの開催や知事の企業訪問など、トップセールスによる誘致活動を推進します。

    ○ 地域金融機関、インフラ関連企業などと連携した取組を展開します。

    4

    具体的施策

    (1) 重点プロジェクト

    施策の展開

    主な取組内容

    既立地企業の定着促進

    ○ 既立地企業の定着促進に向けて、企業ニーズを踏まえた補助制度の充実を図ります。

    ○ 県内の工業団地組織等との意見交換や懇談、個別企業への定期的な訪問活動などを通じて、企業との関係性の強化を図ります。

    ・ 設備投資や事業拡大等の企業の事業展開への支援など、企業ニーズに的確に対応することにより、既立地企業の定着を促進します。・ 企業との意見交換や訪問活動等を通じて、企業の声を積極的に聞き、立地環境向上など施策に反映できるよう努めます。

    施策の展開

    主な取組内容

    物流を含めた立地環境の向上

    成果指標

    ○ 企業のニーズや地域特性等を踏まえながら、市町等との連携のもと、計画的な産業団地の整備を図っていきます。

    ○ 円滑な企業活動を支援するため、関係機関と連携して工場立地に係る各種規制等に関する調整促進を図ります。

    ○ 物流の高度化・効率化に向けて、物流施設の新設や建替え等に対する補助制度を拡充するとともに、物流拠点の充実に向けた取組を強化します。

    ・ 産業団地の整備や立地規制に関する調整促進など、関係機関との連携した取組を通じて、立地環境の向上を図ります。・ 物流構造の変化に対応し、物流関係企業の立地や定着促進を図るため、国際物流を含めた物流の高度化・効率化への取組を支援します。

    施策の展開

    主な取組内容

    企業立地件数(製造業等の工場又は研究所を建設する目的で、1,000㎡以上の用地を取得(借地を含む)したもの)

    指標の項目

    企業誘致プロジェクト

    170件(H22-H26年の累計)

    現況

    180件(H28-H32年の累計)

    目標値

    過去5年間における平均立地件数の5%増加を目指す。(経済産業省「工場立地動向調査」)

    指標の説明

    ・ 地方創生に呼応し、新たな雇用の創出と地域経済の活性化に資するよう、企業の本社・研究開発機能、工場等の立地促進を図ります。

    ・ 地域間競争が激化する中、本県の優れた立地環境をPRするとともに、「栃木県企業誘致・県産品販売推進本部」と連携しながら誘致活動を推進し、選ばれる“とちぎ”を目指します。

    と  ち   ぎ   の

      い   い   も   の

    1

    2

    3

    3 

    具体的な取組 

    ⑴重点プロジェクト 

    ④企業誘致プロジェクト

    Ⅴ 

    将来像実現に向けた産業振興施策の方向と具体的な取組

    − 69−

  • Ⅴ 

    将来像実現に向けた産業振興施策の方向と具体的な取組

    3 

    具体的な取組 

    ⑴重点プロジェクト 

    ④企業誘致プロジェクト

    カルビー株式会社

    カルビー株式会社(従業員3,477名、資本金11,975百万円)は、昭和24年(1949年)に松尾糧食工業株式会社の名称で広島県にて設立された。昭和30年(1955年)に社名をカルビー製菓株式会社に変更。その後、昭和48年(1973年)の東京都への本社移転に合わせ、現在の社名とした。この社名は、カルシウムの「カル」と、ビタミンB1の「ビー」の組み合わせに由来している。昭和43年(1968年)に宇都宮工業団地内に立地した宇都宮工場は、同社の首都圏最初の工場である。当時、販売網の全国展開に伴い、関東地方への立地を検討した際に、栃木県が大消費地である首都圏へ効率的に商品を配送できる位置にあること、また、大都市圏との距離と地価のバランスがとれていたことが社内で評価され、立地を決めたという。

    現在は、宇都宮市内の清原工業団地内に、新宇都宮工場(従業員452名)、清原工場(従業員258名)の2工場と、R&Dセンター(従業員239名)が立地している。新宇都宮工場では、「ポテトチップス」、「Jagabee」などのじゃがいもを原料としたスナックや「サッポロポテト」などの小麦を主な原料としたスナックなど、全国に知られる人気商品を生産している。同工場では、大量の水を使用しているが、鬼怒川から引かれている安価で豊富な工業用水が事業を行う上で大きなメリットになっているという。また、清原工場では、「フルグラ」などのシリアル食品と「かっぱえびせん」を生産している。近年の健康志向の高まりに伴って、シリアル食品の需要も順調に伸びており、同工場では生産体制の強化を図るため、平成27年(2015年)に新棟を増設したところである。

    新宇都宮工場と清原工場で生産される商品の合計

    を金額ベースで見ると、全国10工場の総商品生産額の約40%に相当しており、両工場が同社の中で重要な役割を果たしていることがわかる。同社では、基本的に当日受注した分の商品を翌日中に発注先に届けているが、流通コストを下げるために配送の大半は高速道路を利用していない。両工場の配送エリアは、青森県を含む東日本全域に及んでいるが、栃木県は高速道路以外にも東西南北に延びる一般道路などが整備されており、加えてCO2削減につながる鉄道貨物を利用しやすいことから、商品配送に最適の立地であるという。清原工場に隣接するR&Dセンターは、同社の研究開発本部となっており、新商品の開発や製造ラインの設計・監理を行うなど、食品製造の最もコアな部分を担っている。これからも栃木での研究開発の成果が、ヒット商品の誕生と同社の成長・発展に寄与することが期待される。また、経理や人事といった本社機能の一部を東京本社からR&Dセンターの一角に移転するなど、地方創生を先取りするような事業展開も行っている。

    名澤博行新宇都宮工場長と齋藤弘清原工場長は「東日本大震災の時は現場もかなりのダメージを受けたが、栃木県は自然災害が少なく、宇都宮市を中心に一定の人口規模があって、安定した生産活動ができる。」と口を揃える。両工場では、製造現場においても、男女問わず、優秀な人材を役職に登用するなど、あらゆる職種でダイバーシティの理念が浸透しており、多くの企業の参考となるだろう。清原工場では、社会貢献の一つとして、宇都宮市内の小学校の工場見学を受け入れており、毎年4,000人もの小学生が商品の製造工程を学んでいる。ものづくり県である本県の人材育成につながる重要な取組である。

    事例1–4–①

    ~工場の好立地を活かして、東日本全域に商品を届ける大手企業~

    新宇都宮工場 ピッキングコンベア 工場見学の様子

    − 70−

  • 3 

    具体的な取組 

    ⑴重点プロジェクト 

    ④企業誘致プロジェクト

    Ⅴ 

    将来像実現に向けた産業振興施策の方向と具体的な取組

    みぶ羽生田産業団地に建設中のファナック工場 佐野AWS産業団地で操業中のあわしま堂工場

    栃木県

    企業立地は、社会情勢や経済動向などに大きく左右される傾向にあり、近年では、国際的なコスト競争を背景として、多くの企業が国内外の生産拠点の再編を進めている状況にある。このような中にあって、本県においても、地方創生の取組の柱となる本社機能を含めた企業の新規立地や、安定成長の基礎となる既立地企業の定着促進が重要性を増している。これまで県では、リーマンショックや東日本大震災等の影響を払拭し、北関東自動車道の全線開通により地理的優位性が増した本県産業団地を積極的に売り込んでいくため、東京に設置した栃

    と ち ぎ の木県企業誘

    致い い も の・県産品販売推進本部による企業訪問活動や知事によるトップセールスを強化するとともに、助成制度の拡充やインフラ等の整備・充実を図るなど、企業立地のインセンティブを高めながら、戦略的な誘致活動を展開してきた。国内の景気回復の兆しが見え、企業の投資再開や事業新展開の動きが出てくる中で、県の企業誘致の取組とも相まって、産業団地を中心として多くの企業が県内に立地することになった。

    平成26年(2014年)9月、世界的なFA※1メーカーのファナック株式会社(本社:山梨県忍野村、資本金69,000百万円)がみぶ羽生田産業団地に立地を決めたことは、県内外に大きなインパクトを与える出来事となった。同社は、筑波工場や東京圏との近接性に加え、充実した高速交通ネットワークによる物流

    環境などを総合的に考慮して、本県への進出を決定したとのことである。平成28年(2016年)秋頃に操業を開始する予定であり、本県経済への波及効果が期待される。西日本屈指の和菓子メーカーである株式会社あわしま堂(本社:愛媛県八幡浜市、資本金213百万円)は、関東への進出の足がかりとして、平成27年(2015年)10月に佐野AWS産業団地に栃木佐野工場を竣工し、操業を始めた。同社は、豊かな自然に恵まれ、北関東自動車道や首都圏中央連絡自動車道(圏央道)へのアクセス性に優れた立地環境を評価して進出を決めたという。

    また、県では既立地企業の更なる定着促進を図るため、県内8カ所の工業団地管理協会で組織する「栃木県工業団地管理連絡協議会」や主要立地企業約100社との「とちぎパートナーシップ事業」等を通じて、企業の意見や要望を把握してきた。これらの意見等を踏まえ、関係機関や関係市町と連携を図りながら、企業が事業拡大や設備投資を進めやすい環境作りに努めている。今後は、本県の優れた立地環境や優遇制度をより一層PRし、本社・研究開発機能や工場を積極的に誘致するとともに、既立地企業の定着に向けて企業との関係を深めるほか、新たな産業団地の整備を進めるなど、オール栃木体制で各種施策を積極的に展開していく。

    事例 1–4–②

    ~企業の新規立地・定着促進に向けた取組~

    ※1 Factory・Automation(ファクトリーオートメーション)の略称。工場の様々な作業や工程をロボット等の機械や情報システムを用いて自動化すること。また、そのために用いられる機器やシステム。

    − 71−

  • ● 東京オリンピック・パラリンピックを見据え、多様な旅行ニーズに対応した本県観光の魅力づくりに取り組むとともに、国内外に向けて集中的なプロモーション等を展開するなど、戦略的な観光誘客に取り組みます。● オール栃木体制による「おもてなし運動」の展開や外国人観光客の受入環境の整備を進めるとともに、地域が主体となった観光地づくりを推進するなど、観光による魅力と活気にあふれる「地域・ひと・しごと」づくりを進め、本県観光産業の更なる発展を図ります。● これらの取組については、県内の市町、観光協会、その他の観光関係団体はもとより、茨城県、群馬県をはじめ近隣都県との広域連携を図りながら進めていきます。

    基本的な考え方

    観光立県とちぎプロジェクト観光立県とちぎプロジェクト

    国内誘客

    5

    具体的施策

    (1) 重点プロジェクト

    海外誘客

    ○ 県内の豊富な観光コンテンツや地域資源について、ターゲットとする国・地域の嗜好を踏まえた見直しや検討を行い、外国人観光客を惹きつける魅力の創出に取り組みます。

    ○ 観光情報の多言語化による世界に向けた情報発信を行うとともに、関東近県等との広域連携によるプロモーションを展開し、本県の認知度の向上を図ります。

    ○ 有望市場において、それぞれの国や地域の特性や嗜好を捉えた現地プロモーション等を行うことにより、旅行商品の造成や本県への誘客を促進します。

    ・ 訪日外国人観光客が増加し続ける東アジアや東南アジアの有望市場を中心に効果的なプロモーションを実施するなど、外国人観光客の誘客を強化します。

    施策の展開

    主な取組内容

    ○ 観光客の満足度向上のため、誰もが安心して快適に観光できる旅行環境の整備に取り組むとともに、県民、事業者、行政が一体となった「おもてなし向上運動」を展開します。

    ○ 外国人観光客が不便や不安を持つことなく観光地等をスムーズに周遊できるように、案内標識の多言語化や無料公衆無線LANの設置等の受入環境整備を促進します。

    ○ 観光を基軸とした「地域」づくりに向けて、観光事業者に対する経営支援などにより、観光産業の競争力の強化を図ります。

    ○ 地域が主体となった観光地づくりの推進主体となるDMO※1の形成を促進します。

    ・ 本県を訪れる観光客の利便性や満足度の向上を目指し、オール栃木体制による受入態勢の整備等を推進します。

    ・ 民間による地域資源の活用やブランド化に向けた取組等を促すなど、地域が主体となった観光地づくりを推進します。

    施策の展開

    主な取組内容

    ○ 自然や歴史・文化等の本県の多彩な魅力の維持向上やその土地ならではの観光コンテンツづくりに取り組むとともに、テーマを設定した周遊ルートの提案や「本物の出会い 栃木パスポート」等により、周遊観光を促進します。

    ○ “食”をテーマに地域の魅力を発信する「とちぎ食の回廊」などの活用や「栃木県企業誘致・県産品販売推進本部」などによる県産品のPRに取り組むとともに、県産の食材を活用した商品の開発などを促進し、食の魅力を活かした誘客を推進します。

    施策の展開

    主な取組内容

    ・ 大型観光キャンペーン等による集中的な誘客宣伝活動を展開するとともに、首都圏等における情報発信力を強化し、全国からの観光誘客を推進します。

    と ち ぎ の い い も の

    観光で魅力と活気にあふれる   「地域・ひと・しごと」づくり観光で魅力と活気にあふれる   「地域・ひと・しごと」づくり

    まち

    ※1 Destination Marketing/Management Organization の略称。様々な地域資源を組み合わせた観光地の一体的なブランドづくり、ウェブ・SNS等を活用した情報発信・プロモーション、効果的なマーケティング、戦略策定等について、地域が主体となって行う観光地域づくりの推進主体。

    成果指標

    観光客入込数

    観光客宿泊数

    指標の項目

    観光立県とちぎプロジェクト

    8,712万人(H26年)

    788万人(H26年)

    現況

    9,700万人(H32年)

    880万人(H32年)

    目標値過去の伸び率等を踏まえ、H26から約1,000万人の増加を目指す。

    (栃木県「観光客入込数・宿泊数推定調査」)

    過去の最高値を踏まえ、H26から約100万人の増加を目指す。

    (栃木県「観光客入込数・宿泊数推定調査」)

    外国人宿泊数 14.6万人(H26年)30.0万人(H32年)

    訪日外国人旅行者数の伸び等を踏まえ、H26からの倍増を目指す。

    (栃木県「観光客入込数・宿泊数推定調査」)

    観光消費額 4,684億円(H26年)5,240億円(H32年)

    観光客入込数・宿泊数の目標値や観光消費額の動向等を踏まえ、H26から約12%の増加を目指す。

    (観光庁「共通基準による観光入込客統計」)

    指標の説明

    1

    2

    3

    ○ ターゲットを明確にした上で、多様なメディアを活用し、様々なニーズに対応した情報発信に取り