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巻頭言 医療福祉経営マーケティング研究会 理事長 馬場園 明 原著論文 レセプトデータを活用した医療費適正化計画の指標に関する研究 ・・・ 1 西 巧、前田 俊樹、馬場園 明 福岡県の透析医療における地域格差の検証 ・・・ 9 猿渡 倫治、西 巧、馬場園 明 北九州市がん意識調査票を用いたがん検診受診率の推計 ・・・ 17 永本 早苗、前田 俊樹、馬場園 明 ケース・スタディ 地域包括ケアシステムの機能を満たす日本型 CCRC の概念とモデル ・・・ 25 馬場園 明、窪田 昌行、波多 敬子、加野 資典、加野 豊子 地域包括ケアシステム構築のための人材育成プログラム ・・・ 33 高田 和美、本村ヨシ子、窪田 康紀、白城  裕、渡辺 純子 本田 陽子、萩原 隆二、高田 昌実、窪田 昌行、馬場園 明 学術集会資料 第 2 回 医療福祉経営マーケティング研究会 学術集会プログラム ・・・ 47 参加要項 ・・・ 50 大会プログラム ・・・ 53 一般演題抄録集 ・・・ 67 定例研究会報告 第 24 回研究会報告 医療提供主体としての医療法人制度の改革 ―各種医療法人と公益法人― 山﨑 哲男 ・・・ 80 第 25 回研究会報告 ジェファーソン ホスピタルでの医療の質に関する研修報告 馬場園 明 ・・・ 81 第 26 回研究会報告 高齢者住宅のマーケティング 馬場園 明 ・・・ 82 第 27 回研究会報告  介護福祉サービスにおけるバランスト・スコアカードの活用 馬場園 明 ・・・ 83 第 28 回研究会報告 医療の質と診療報酬改定 馬場園 明 ・・・ 84 第 29 回研究会報告 中国における高齢者住宅と CCRC 窪田 昌行 ・・・ 85 第 30 回研究会報告 地域包括ケアシステムの機能を備えた日本型 CCRC の構築に向けて 馬場園 明 ・・・ 86 事務局だより ・・・ 87 お知らせ   第 3 回 医療福祉経営マーケティング研究会 学術集会 ・・・ 89 研究会規約  医療福祉経営マーケティング研究会規約 ・・・ 90 投稿論文規定 投稿論文規定(和文・欧文) ・・・ 93 編集後記   医療福祉マーケティング研究会 編集委員 津田 敏秀 ・・・ 94 医療福祉経営マーケティング研究 Japanese Journal of Health Care Management and Marketing 医療福祉経営マーケティング研究会

第7巻 第1号 2012年10月1日 - hc-market.net

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巻頭言 医療福祉経営マーケティング研究会 理事長 馬場園 明

原著論文 レセプトデータを活用した医療費適正化計画の指標に関する研究 ・・・ 1   西 巧、前田 俊樹、馬場園 明 福岡県の透析医療における地域格差の検証 ・・・ 9   猿渡 倫治、西 巧、馬場園 明 北九州市がん意識調査票を用いたがん検診受診率の推計 ・・・ 17   永本 早苗、前田 俊樹、馬場園 明

ケース・スタディ 地域包括ケアシステムの機能を満たす日本型CCRCの概念とモデル ・・・ 25   馬場園 明、窪田 昌行、波多 敬子、加野 資典、加野 豊子 地域包括ケアシステム構築のための人材育成プログラム ・・・ 33   高田 和美、本村ヨシ子、窪田 康紀、白城  裕、渡辺 純子   本田 陽子、萩原 隆二、高田 昌実、窪田 昌行、馬場園 明

学術集会資料 第 2回 医療福祉経営マーケティング研究会 学術集会プログラム ・・・ 47 参加要項 ・・・ 50 大会プログラム ・・・ 53 一般演題抄録集 ・・・ 67

定例研究会報告 第 24 回研究会報告 医療提供主体としての医療法人制度の改革       ―各種医療法人と公益法人― 山﨑 哲男 ・・・ 80 第 25 回研究会報告       ジェファーソン ホスピタルでの医療の質に関する研修報告 馬場園 明 ・・・ 81 第 26 回研究会報告 高齢者住宅のマーケティング 馬場園 明 ・・・ 82 第 27 回研究会報告        介護福祉サービスにおけるバランスト・スコアカードの活用 馬場園 明 ・・・ 83 第 28 回研究会報告 医療の質と診療報酬改定 馬場園 明 ・・・ 84 第 29 回研究会報告 中国における高齢者住宅とCCRC 窪田 昌行 ・・・ 85 第 30 回研究会報告       地域包括ケアシステムの機能を備えた日本型CCRCの構築に向けて 馬場園 明 ・・・ 86

事務局だより ・・・ 87

お知らせ   第 3回 医療福祉経営マーケティング研究会 学術集会 ・・・ 89

研究会規約  医療福祉経営マーケティング研究会規約 ・・・ 90

投稿論文規定 投稿論文規定(和文・欧文) ・・・ 93

編集後記   医療福祉マーケティング研究会 編集委員 津田 敏秀 ・・・ 94                                                     医療福祉経営マーケティング研究Japanese Journal of Health Care Management and Marketing 医療福祉経営マーケティング研究会

第 7巻 第 1号 2012 年 10 月1日

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医療福祉経営マーケティング研究

第7巻 第1号  2012

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レセプトデータを活用した医療費適正化計画の指標に関する研究西 巧1) 前田 俊樹1) 馬場園 明2)

Study of the indicators of affordable healthcare planningusing electronic medical claim data

Takumi NISHI1) Toshiki MAEDA1) Akira BABAZONO2)

【Abstract】

Purpose: The purpose of this study is to examine the suitability of indicators for affordable healthcare planning by measuring the average length of stay by the method of Hospital Report Survey, the rate of re-hospitalization and the adjusted length of stay extending before the survey period using electronic medical claim data.Method: We analyzed the electronic medical claim data on inpatients from April 2009 to March 2010 by the Fukuoka National Health Insurance Organization. The average length of stay by the method of Hospital Report Survey, the rate of re-hospitalization and the adjusted length of stay were measured by the type of healthcare beds, institutional ownership and secondary healthcare area.Results: Average length of stay by the method of Hospital Report Survey, the rate of re-hospitalization and the adjusted average length of stay were 31 . 0 days, 15 . 3% and 11 . 9 days for general beds, 131 . 7 days, 18 . 7% and 451 . 2 days for long-term care beds, 260 . 1 days, 26 . 0% and 2407 .6 days for psychiatric beds, and 61 .6 days, 16 . 2% and 384 .6 days for all beds, respectively.Discussion: We revealed that the average length of stay by the method of Hospital Report Survey did not reflect the actual length of stay. For affordable healthcare planning, it is necessary to utilize the rate of re-hospitalization and adjusted length of stay in addition to the average length of stay by the method of Hospital Report Survey. Measuring the average length of stay by the method of Hospital Report Survey, the rate of re-hospitalization and the adjusted length of stay would contribute to the more effective and equal allocation of healthcare resources.

Key words: affordable healthcare planning, average length of stay, rate of re-hospitalization, electronic medical claim data

【抄録】

目的:電子レセプトデータを活用して、病院報告の平均在院日数、再入院率、調査期間以前の入院期間を加えた修正平均在院日数の指標の測定を行い、医療費適正化計画の指標としての適合性を検証することを本研究の目的とした。対象と方法:福岡県国民健康保険団体連合会に電子請求された平成21年4月から平成22年3月診療分のレセプトデータのうち入院に関するものを抽出した。その後、病院報告の平均在院日数と再入院率、修正平均在院日数を病床別、二次医療圏別、経営主体別に測定した。結果:平均在院日数、再入院率、修正平均在院日数は、一般病床で、31 .0日、15 .3%、111 .9日、療養病床で131 .7日、18 .7%、451 .2日、精神病床で260 .1日、26 .0%、2,407 .6日、全病床で61 .6日、16 .2%、384 .6日であった。考察:病院報告の平均在院日数は長期入院の実態を反映していないことが明らかになった。より効果的に医療費適正化を実施するためには、病院報告の平均在院日数に加えて、修正平均在院日数や再入院率を評価の指標として用いる必要があるだろう。今後は、医療資源の効率的かつ公平的な利用のために平均在院日数、再入院率、修正平均在院日数の測定や指標の活用が期待される。

キーワード:医療費適正化計画、平均在院日数、再入院率、レセプトデータ

1) 九州大学大学院医学系学府医療経営・管理学専攻〒812-8582 福岡市東区馬出3丁目1番1号Department of Health Care Administration and Management, Graduate School of Medical Sciences, Kyushu University, 3-1-1 Maidashi Higashi-ku Fukuoka City, 812-8582, Fukuoka, Japan

2) 九州大学大学院医学研究院医療経営・管理学講座Department of Health Care Administration and Management, Graduate School of Medical Sciences, Kyushu University

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医療福祉経営マーケティング研究

第7巻 第1号  1 - 8, 2012

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【はじめに】

 医療制度改革大綱において、医療費適正化計画の策定は「国の責任のもと、国及び都道府県等が協力し、生活習慣病対策や長期入院の是正などの計画的な医療費適正化に取り組む。」1)とされており、計画の中長期的な基本方針として、国は糖尿病等の患者・予備群の減少率や平均在院日数の短縮に関する政策目標の全国標準を定め、都道府県は全国標準に基づき、当該都道府県における政策目標を定めることとなっている。その後、高齢者の医療の確保に関する法律が施行され、同法第9条第1項及び第8条第1項に基づき、平成20年度から国及び都道府県は、医療費適正化計画を策定している2)。福岡県では、平均在院日数の短縮に関する政策目標として、平成18年に42 .9日であった平均在院日数を、平成24年には34 .7日にするという目標を定めた3)。 しかし、目標の達成に向けた基本的な取り組みとして、医療機関の機能分化や連携を挙げているにもかかわらず、全病床での目標のみしか定めていないことや、この目標で用いられている入退院数から算定する平均在院日数を、長期入院の是正や医療費適正化のための指標として用いることは問題があると考える。この指標は、病床の回転状況の指標であるため、長期入院患者の調査期間以前の在院日数は考慮されていないために長期入院の実態を反映せず、退院・再入院を繰り返す患者を複数回の入退院とみなすことによって、不適切な評価がなされている可能性がある。一方、高齢者の医療の確保に関する法律第16条に基づき、2011年度にはレセプトのオンライン請求が原則として義務化され、医療費適正化計画の作成・実施・評価を目的にナショナル・データベースが設置された。現在試行期間にあるが、ナショナル・データベースの利用により、レセプトデータを活用した医療費適正化計画の指標の測定・開発が可能となる。レセプトデータを用いて、医療機関の属性を切り口とした平均在院日数を測定し、医療費適正化計画の評価を行うことは有益であると考えられるが、前述の通り、指標の妥当性については疑問が残る。 これまでも、平均在院日数に関する議論は、主に患者調査の平均在院日数と病院報告の平均在院日数の相違についてなされており、それぞれの指標の妥当性の検討がなされている5)-7)。また、退院患者の平均在院日数の分布は、著しく歪んでおり、正規分布型ではなく、対数正規分布やワイブル分布が適合していることが報告されているため8), 9)、分布の特性についても考慮する必要があるだろう。小山は、病院報告の平均在院日数が理論値として在院期間を示す重要な指標であるが、患者の属性による観察ができず、患者調査の平均在院日数で補ってはいるが、いわゆる社会的入院患者が増えているとすれば、退院患者についてのみ分析しても入院患者の状況を把握できないこと等の問題点を示した上で、入院患者、退院患者の入院期間データを用いて「期待入院期間」を推定している10)。 また、再入院については、海外においてはメディケアの請求データや電子的な患者管理データを用いて、疾患ごとや地域ごとに、再入院率や再入院件数を比較したものが見受けられるが11)-13)、我が国ではDPC関連病院(DPC対象病院、DPC準備病院)を対象とした再入院についての調査・検討がなされ、6週間以内の再入院が多いことが明らかにされている14)のみであり、DPC関連病院以外で、再入院について多施設間で検討した先行研究は見当たらない。 そこで、レセプトデータを活用し、平均在院日数以外に、再入院率や調査期間以前の在院日数を考慮した平均在院日数を測定し、入院医療の実態を明らかにすることによって、医療費適正化計画への提言を行うことを本研究の目的とした。

【対象と方法】

 福岡県国民健康保険団体連合会に電子請求された平成21年4月から平成22年3月診療分のレセプトデータのうち入院に関するものを抽出し、摘要情報、医療機関情報を加えたデータベースを構築した。さらに、一般病床、療養病床、精神病床の3つの病床に層別し、「病院報告」で採用されている入退院数から算定した平均在院日数、再入院率を以下の式で求めた。

                        調査期間に在院した患者の延べ日数         病院報告における平均在院日数=                                           (新規入院患者数+退院患者数)÷2

                             再入院件数                       再入院率=         ×100                              退院件数

 調査期間以前の在院日数を入院日から算定し、レセプト上の診療実日数を加えた在院日数の算定を行い、最小値・最大値・標準偏差・変動係数・中央値を求めた。前述の「病院報告」の平均在院日数との混同を避けるため、以下では修正平均在院日数と呼称する。

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 図1の実線は入院延べ日数、黒丸が新規入退院を示し、病院報告における平均在院日数の計算方法を表した。

図1 病院報告の計算方法による平均在院日数

 図2では実線が入院日から算定した在院日数を表し、修正平均在院日数の計算方法を表した。なお、患者調査で用いられている退院患者平均在院日数とは、調査時点で退院していない患者も含めている点で異なっている。

図2 修正平均在院日数の計算方法

 平均在院日数、再入院率、修正平均在院日数、修正在院日数の最小値・最大値・標準偏差・変動係数・中央値を二次医療圏、経営主体別に求めた。精神病床、結核病床、療養病床以外の病床を一般病床としたため、感染症病床等も含まれる可能性がある。

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【結果】

A.全病床表1 病床区分別の性・年齢別構成

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 表1に対象の病床区分別の性・年齢別構成を示した。いずれの病床区分においても65歳未満では男性の割合が高く、前期高齢者、後期高齢者では女性の割合が高かった。

表2 全病床の平均在院日数・再入院率・修正平均在院日数

 全病床の福岡県全体での平均在院日数、再入院率はそれぞれ、61 .6日、16 .2%であった。二次医療圏別の平均在院日数は、福岡・糸島保健医療圏、北九州保健医療圏で短く、田川保健医療圏、八女・筑後保健医療圏、宗像保健医療圏、粕屋保健医療圏で長い傾向であり、再入院率は、久留米保健医療圏、粕屋保健医療圏、北九州保健医療圏で高く、八女・筑後保健医療圏で低い傾向があった。経営主体別平均在院日数は、社会福祉法人立病院、個人病院が長く、大学病院、その他診療所が短い傾向にあった。経営主体別再入院率は、国立病院、大学病院が高く、その他診療所が低い傾向にあった。 全病床の福岡県全体での修正平均在院日数は、384 .6日であった。二次医療圏別修正平均在院日数は、福岡・糸島保健医療圏、筑紫保健医療圏、北九州保健医療圏で短く、田川保健医療圏、八女・筑後保健医療圏、宗像保健医療圏、粕屋保健医療圏で長い傾向であった。経営主体別修正平均在院日数は、社会福祉法人立病院、個人病院、医療法人立病院が長く、大学病院、官公立病院、その他診療所が短い傾向にあった。

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B.一般病床表3 一般病床の平均在院日数・再入院率・修正平均在院日数

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 一般病床の福岡県全体での平均在院日数、再入院率はそれぞれ、31 .0日、15 .3%であった。二次医療圏別平均在院日数は、粕屋保健医療圏、有明保健医療圏、飯塚保健医療圏、宗像保健医療圏で長い傾向が認められ、二次医療圏別再入院率は、八女・筑後保健医療圏、京築保健医療圏、宗像保健医療圏が低く、久留米保健医療圏、粕屋保健医療圏、北九州保健医療圏で高い傾向にあった。経営主体別平均在院日数は、社会福祉法人立病院が最も長く、経営主体別再入院率は、社会福祉法人立病院、国立病院、大学病院の順に高かった。 一般病床の福岡県全体での修正平均在院日数は、111 .9日であった。二次医療圏別修正平均在院日数は、粕屋保健医療圏、久留米保健医療圏、有明保健医療圏が長い傾向が認められた。経営主体別修正平均在院日数は、社会福祉法人立病院が最も長かった。

C.療養病床表4 療養病床の平均在院日数・再入院率・修正平均在院日数

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 療養病床の福岡県全体での平均在院日数、再入院率はそれぞれ、131 .7日、18 .7%であった。二次医療圏別平均在院日数は、粕屋保健医療圏、宗像保健医療圏、朝倉保健医療圏で長く、飯塚保健医療圏、久留米保健医療圏が短い傾向にあり、二次医療圏別再入院率は、直方・鞍手保健医療圏、粕屋保健医療圏で高く、朝倉保健医療圏、八女・筑後保健医療圏、飯塚保健医療圏で低かった。経営主体別平均在院日数は、個人病院で長く、経営主体別再入院率は、医療法人立病院、その他法人立病院、その他診療所で高かった。療養病床の福岡県全体での修正平均在院日数は、451 .2日であった。二次医療圏別修正平均在院日数は、粕屋保健医療圏、筑紫保健医療圏、京築保健医療圏で長い傾向にあり、福岡・糸島保健医療圏、飯塚保健医療圏で短かった。経営主体別修正平均在院日数は、社会福祉法人立病院、個人病院が長かった。

D.精神病床表5 精神病床の平均在院日数・再入院率・修正平均在院日数

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 精神病床の福岡県全体での平均在院日数、再入院率はそれぞれ、260 .1日、26 .0%であった。二次医療圏別平均在院日数は、粕屋保健医療圏、有明保健医療圏、八女・筑後保健医療圏、飯塚保健医療圏、久留米保健医療圏で長い傾向が認められ、二次医療圏別再入院率は、宗像保健医療圏、飯塚保健医療圏、田川保健医療圏では低く、粕屋保健医療圏、八女・筑後保健医療圏、京築保健医療圏、有明保健医療圏で高い傾向が認められた。経営主体別平均在院日数は、医療法人立病院、その他法人立病院が長く、経営主体別再入院率は、医療法人立病院、個人病院の順に高かった。 精神病床の福岡県全体での修正平均在院日数は、2,407 .6日であった。二次医療圏別修正平均在院日数は、八女・筑後保健医療圏、有明保健医療圏、宗像保健医療圏、飯塚保健医療圏、久留米保健医療圏で長い傾向が認められた。経営主体別修正平均在院日数は、医療法人立病院、個人病院が長かった。

【考察】

 調査期間以前の在院日数を入院日から算定し、レセプト上の診療実日数を加えた在院日数を求めることによって、病院報告による平均在院日数より遥かに長期にわたって入院している実態が明らかになった。修正在院日数の変動係数はほとんどの区分で極めて大きかったが、一般病床の社会福祉法人立病院のように、平均値が高く、変動係数が相対的に小さい区分では、長期入院の占める割合が大きいと考えられる。 また、本研究では、福岡県における全ての病床での再入院率が明らかになった。二次医療圏別では、福岡・糸島保健医療圏、久留米保健医療圏、北九州保健医療圏で高く、国立病院、官公立病院、大学病院においては、一般病床で再入院率が高かった。一般病床では、他の病床に比べ、相対的に平均在院日数が短い反面、再入院率が高くなっている可能性が考えられる。これは、在院日数

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の短縮のみではなく、再入院率についても考慮しなければならない可能性を示唆している。アメリカでは、2010年度保健社会福祉省予算の概要において、メディケアの30日以内の合併症もしくは関連の疾病による再入院率を低下させることを推奨することによって、2010年度から2013年度にかけて245億ドルの削減を見込んでいる15)。しかし、早期の再入院率と病院における医療の質について検討した研究もあり、相対的に低い水準の医療を受けた患者を同定するためや、病院間に質を比較するための指標ではないと結論づけた報告もなされている16),17)。このため、我が国において、医療費適正化と医療の質の向上のために、ナショナル・データベースを用いて、再入院率や適切な在院日数の代表値を用いて評価し、経済的動機付けを与えることを検討する際には、慎重に議論を進める必要があるだろう。また、重症度を調整した疾病ごとの再入院率などの比較なども有効であろう。 本研究の限界として、対象が単一の都道府県、国民健康保険加入者に限られ、電子請求されたレセプトデータを対象としているため、全ての国民健康保険加入者を網羅できていないことが挙げられる。2009年の病院報告によれば福岡県の平均在院日数は41 .0日となっており、病床別には一般病床20 .2日、療養病床179 .3日、精神病床349 .1日となっている19)。病院報告の数値と本研究の結果を比べると、全病床では約20日、一般病床では約10日長く、療養病床では約40日、精神病床では約90日短かった。本研究では国民健康保険加入者が対象であり、慢性疾患等のために医療が必要な人の割合が高く、病院報告の数値よりも長くなっている可能性が考えられ、診療所を含んで計算している影響も考えられる。また、本研究で修正在院日数の中央値も求めたが、適切な代表値について、さらに検討する必要があるだろう。今後は、ナショナル・データベースに蓄積されたレセプトデータの活用によって、傷病等のレセプト情報を用い、多様な切り口での在院日数の評価を行うことが期待される。 しかし、本研究において、二次医療圏、経営主体毎に、平均在院日数と再入院率が異なることと既存の病院報告における平均在院日数が長期入院の実態を示すためには不十分である事を明らかにすることができた。医療費適正化の指標として、平均在院日数のみではなく、再入院率についても評価を行わなければ、医療の質の低下を招く恐れがある。今後の医療費適正化計画では、適切な在院日数の指標と再入院率を用いて、病床の種類毎の目標を設定することを検討し、より効果的に医療費適正化を推進する必要があるだろう。

参考文献

1) 政府・与党医療改革協議会、医療制度改革大綱、20052) 厚生労働省、高齢者の医療の確保に関する法律第8条1項の規定に基づき定める計画、20083) 福岡県、福岡県医療費適正化計画(第1期)、20084) 橋本修二、藤田利治、小池創一他、病院報告と患者調査の平均在院日数の意味と性質、厚生の指標、1995;42(2):3-85) 小松仁、平均在院日数について、公衆衛生情報、1987;17(7):21-23 ,6) 方波見重兵衛、平均在院日数に関する研究、厚生の指標、1969;16(8):9-177) 橋本修二、藤田利治、福富和夫、退院患者の平均在院日数に関する一考察、公衆衛生研究、1995;44(3):363-3718) 谷口和夫、門野敬三、中村博他、地域基幹病院における平均在院日数の検討、川崎医療福祉学会誌1997;7(1):145-1589) 松浦和幸、ワイブル分布による在院日数の分析、厚生の指標1996;43(11):34-3810) 小山敦、患者調査の入院患者及び退院患者の期間別分布を用いた新しい入院期間の指標について、厚生の指標1989;36(7):

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Beneficiaries in Boston and New Haven, N Engl J Med,1994;331:989-99514) 中央社会保険医療協議会、診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会、平成22年度 第3回 診療報酬調査専門組織・DPC評価分

科会資料、「平成21年度 再入院(再転棟)にかかる調査について」、201015)Department of Health and Human Services, Fiscal Year 2010 Budget in Brief, 2009;50-7416) Weissman JS, Ayanian JZ, Chasan-Taber S et al , Hospital readmissions and quality of care, Med Care, 1999;37(5):

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17) Carol M. Ashton, David H. Kuykendall, Michael L. Johnson et al, The Association between the Quality of Inpatient Care and Early Readmission, Annals of Internal Medicine, 1995;122:415-421

18)松浦和幸、寄与分解による入院受診率の都道府県比較、兵庫県立看護大学紀要、1997;4:17-3019)厚生労働省、平成21年医療施設(動態)調査・病院報告の概況、2009;23-24

(2012年5月10日受付、2012年9月7日受稿)

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福岡県の透析医療における地域格差の検証猿渡 倫治1) 西 巧2) 馬場園 明3)

Regional variations in healthcare services for patients treatedby hemodialysis in Fukuoka

Tomoharu SARUWATARI1) Takumi NISHI2) Akira BABAZONO3)

1) 社会保険久留米第一病院 臨床工学部〒830-0013福岡県久留米市櫛原町21番Department of Clinical Engineering, Social Insurance Kurume Daiichi Hospital 21 Kushiwara-machi, Kurume, Fukuoka 830-0013, JAPAN

2) 九州大学大学院医学系学府医療経営・管理学専攻Department of Health Care Administration and Management, Graduate School of Medical Sciences, Kyushu University3) 九州大学大学院医学研究院医療経営・管理学講座Department of Health Care Administration and Management, Graduate School of Medical Sciences, Kyushu University

【Abstract】

Purpose: The purpose of the study is to examine regional variations in healthcare services for patients treated by hemodialysis in Fukuoka.Methods:Patients who had received hemodialysis services in April 2009 were identified from electronic medical claim data of the National Health Insurance Association of Fukuoka Prefecture. Firstly, we investigated the relationships between total death or hospitalization rate and the independent variables of age, sex and secondary healthcare area of a patient by chi-square tests. Secondly, we clarified the relationships between disease-specific death rate and these independent variables. Thirdly, we disclosed regional variation in the number of inpatient days, total inpatient healthcare expenditures and healthcare expenditures per day by one-way ANOVA. Finally, we employed logistic regression analyses to disclose relationships between total death, hospitalization or disease-specific death rate with these independent variables. Results: There were regional variations in total death or disease-specific death rates for patients treated by hemodialysis. In addition, there were significant differences in hospitalization rate, total number of inpatient days, total inpatient healthcare expenditures and inpatient healthcare expenditures per day by secondary healthcare areas. Discussion: There were large differences in total inpatient healthcare expenditures for patients receiving hemodialysis services by secondary healthcare area, although there was little variation in total death or disease-specific death rate. In addition, total inpatient healthcare expenditures depended on the total number of inpatient days. This suggests that variation in total inpatient healthcare expenditures is caused by deviation of the number of inpatient beds per population in the respective areas.

Key words: electronic medical claim data、hemodialysis、regional variation

【抄録】

目的:本研究は福岡県で人工透析を受けている患者の医療サービスの地域格差を明らかにすることを目的とした。対象と方法:2009年4月に福岡県国民健康保険団体連合会に電子請求されたレセプトデータから人工透析を受けた患者を同定し、レセプトデータを2010年3月まで追跡した。まず、死亡ならびに入院の有無と、年齢区分、性別、居住医療圏の関連について分析した。同様に、併存症ごとに、死亡の有無と年齢区分、性別、居住医療圏の関連について分析を行った。次に、入院診療日数、入院医療費、1日あたり入院医療費と居住医療圏の関連について一元配置分散分析を行い、さらに、死亡、入院の有無と、年齢区分、性別、居住医療圏の関連についてロジスティック回帰分析を行った。最後に、併存症ごとに、死亡の有無と、年齢区分、性別、居住医療圏に関してロジスティック回帰分析を行った。結果:透析患者全体での死亡率、悪性新生物、脳血管障害、糖尿病を有する患者の死亡率に地域格差が認められた。また、入院割合、入院診療日数、入院医療費、一日当たり入院医療費ともに医療圏間でばらつきを認めた。考察:透析患者全体の死亡率、疾病別死亡率には大きな地域格差は認められず、入院医療費に地域格差が認められた。入院医療費が高いのは入院期間が長いためであると考えられ、人口当たりの病床数の偏在が透析患者の入院医療費に影響を与えていることが示唆された。キーワード:電子レセプトデータ、透析医療、地域格差

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【はじめに】

 わが国では、高度経済成長の1960年以降に主な死亡原因として、慢性感染症である結核から生活習慣病への転換が認められた。その後、生活水準が上昇し、高齢化が進んだ現在では、慢性疾患のマネジメントが課題となっている。なかでも腎臓病対策は重要であり、日本の透析患者数は2010年の調査結果で297 ,126人に達しており、医療費の増大に拍車をかけている。人工透析の医療費は患者1人当たり年間500万円程度であり、患者数は毎年約1万人ずつ増え続け、透析医療にかかる医療費は年間約1兆4500億円にも上る。これは日本の医療費総額36兆67億円1)のおおよそ4%に相当する。 わが国では1967年に透析医療が保険適用され、翌年の1968年から日本透析医学会では年に1回、全国の透析施設を対象とした統計調査を行っている。それらは、透析のベッド数、スタッフ数、患者数などの施設背景に関する調査と個々の患者に関する調査である。2009年末の調査によれば、透析患者数は290 ,675人に達しており2008年末より8,053人増加し、毎年約3%の割合で増加している2)。また、透析施設数は4,125施設(前年度比53施設増:1.3%増)、設備では114 ,702台(3,012台増:2.7%増)、最大収容能力は382 ,218人(8,691人増:2.3%増)となっている2)。透析患者を都道府県別に集計した結果は、一般人口の偏在と同様の傾向を示しており、患者数の上位10都道府県は、東京都(28 ,079人)、大阪府(21 ,036人)、神奈川県(17 ,463人)、愛知県(15 ,913人)、埼玉県(14 ,488人)、北海道(14 ,241人)、福岡県(13 ,092人)、千葉県(12 ,462人)、兵庫県(12 ,021人)、静岡県(9 ,233人)の順であった4)。しかしながら、各都道府県における人口10万人あたりの透析患者数では、徳島県(321 .1人)、熊本県(320 .8人)、大分県(309 .5人)、宮崎県(303 .9人)、沖縄県(289 .5人)、鹿児島県(286 .4人)、高知県(283 .4人)、和歌山県(271 .2人)、栃木県(264 .9人)となる。なお、福岡県は258 .4人で12番目であった。 Usamiらは九州地方に透析導入患者が多いことを報告5)し、若井らは一般人口の年齢階層で補正を行い、人口年齢構成の地域差を考慮しても透析新規導入患者数に地域格差が存在することを示した6)。以前から透析患者の調査結果については地域格差が存在することが推測されていたが、Usamiら5)-7)やIsekiらの研究報告8)や2005年の日本透析医学会総会において統計調査委員会から正式に発表されたことにより、わが国の透析患者の割合には地域格差が存在することが明らかになった。 透析医療において、対人口当たりの患者数、患者発生数、生存率が都道府県によって異なることは既知の事実であり、これまでその成因については様々な意見が交わされてきた古くて新しい問題である8)。この地域格差が透析医療の質に関連しているとするならば更なる問題として捉えるべきであるだろう。日本透析医学会の統計調査結果をもとにした都道府県間の格差に関する検証は散見され、いずれも各都道府県内での格差に関する検証が必要であると結論づけられている5)-10)が、透析医療における二次医療圏間の医療格差に関する研究は、ほとんど行われていない。 本研究では、透析患者全体での死亡率、透析患者の死亡原因の上位に位置する悪性新生物、脳血管障害、心筋梗塞及び透析導入の原疾患である糖尿病を有する患者の死亡率と入院した患者の割合および入院診療に関する地域格差ついて検証し、その実態を明らかにすることを目的とした。

【対象と方法】

 福岡県国民健康保険団体連合会に電子請求された平成21年4月診療分のレセプトデータの中から人工透析を受けていた患者5,215人を抽出し対象とした。その後、対象の1年間の資格情報、摘要情報、傷病情報を加えたデータベースを構築した。さらに対象を居住医療圏毎に層別し、福岡・糸島を基準として性別、年齢区分に関するχ2検定を行った。次に、死亡、入院の有無と、年齢区分、性別、居住医療圏に関するχ2検定を行った。同様に、悪性新生物、脳血管障害、心筋梗塞(狭心症も含む)、糖尿病の患者毎に層別し、死亡の有無と、年齢区分、性別、居住医療圏に関するχ2検定を行った。次に、入院診療日数、入院医療費、1日あたり入院医療費と、居住医療圏を因子とした一元配置分散分析を行った。また、死亡の有無、入院レセプトの有無と、年齢区分、性別、居住医療圏に関して、オッズ比の推定を行った後に、ロジスティック回帰分析を行なった。最後に、悪性新生物、脳血管障害、心筋梗塞、糖尿病の罹患者毎に層別し、死亡の有無と、年齢区分、性別、居住医療圏に関するロジスティック回帰分析を行った。関連の指標としてはオッズ比、モデルの適合度の指標は、Nagelkerke’ s R2を用いた。なお、有意水準はp=0 .05とした。 透析患者の特定は、診療行為に人工透析が記載されているもの、および透析を実施するにあたっての時間区分が付されたものを抽出した。被保険者の居住医療圏の特定は、保険者情報を用いて居住医療圏に分類した。死亡に関しては、対象期間中にレセプトに死亡が付されたものの対象に占める割合、入院に関しては対象期間中に入院レセプトが一枚以上ある者の対象に占める割合を算出した。入院診療日数はレセプトデータに記載された入院診療日数の合計、入院医療費はレセプトデータに記載された入院医療

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費の合計、1日あたり入院医療費は入院医療費を入院診療日数で除して算出した。悪性新生物は主傷病名が悪性新生物およびがんと記載されたもの、脳血管障害は主傷病名が脳卒中と記載されたもの、心筋梗塞は主傷病名が心筋梗塞と記載されたもの、糖尿病は主傷病名が糖尿病と記載されたものを選択した。

【結果】

1 .研究対象の分布 はじめに、本研究の対象を医療圏毎に層別し、性別、年齢区分でχ2検定を行った。福岡・糸島、粕屋、久留米、有明、飯塚、北九州、京築の居住医療圏において性別、年齢区分間で有意なばらつきが認められた。 対象のうち死亡者数は、395人(7.6%)であり平均年齢は76 .5±9 .6歳であり、年齢区分においては、65歳未満が43人(2.8%)、前期高齢者は103人(5.7%)、後期高齢者では249人(13 .1%)であり年齢区分と居住医療圏で有意なばらつきが認められた。 一度以上入院した者の人数は2,143人(41 .1%)で平均年令は72 .8±10 .7歳であった。年齢区分では65歳未満が408人(26 .8%)、前期高齢者は714人(39 .8%)、後期高齢者では1,021人(53 .7%)と年齢層が上がるにつれて入院者の占める割合が高くなっていた。性別では、男性が1,233人(38 .5%)、女性は910人(47 .3%)であった。入院の有無において医療圏間の比較で有意なばらつきが認められた。

表1 対象の分布

居住医療圏 性別年齢区分

合計 2 有意確率65歳未満 前期高齢者 後期高齢者

福岡男性 162 (31.5%) 203 (39.4%) 150 (29.1%) 515

25.777 <0.001女性 66 (20.8%) 106 (33.3%) 146 (45.9%) 318

粕屋男性 72 (35.5%) 76 (37.4%) 55 (27.1%) 203

5.986 0.05女性 39 (28.1%) 45 (32.4%) 55 (39.6%) 139

宗像男性 27 (28.4%) 36 (37.9%) 32 (33.7%) 95

5.724 0.057女性 10 (16.9%) 18 (30.5%) 31 (52.5%) 59

筑紫男性 48 (25.0%) 82 (42.7%) 62 (32.3%) 192

4.957 0.084女性 23 (24.5%) 29 (30.9%) 42 (44.7%) 94

朝倉男性 46 (39.0%) 33 (28.0%) 39 (33.1%) 118

3.716 0.156女性 13 (25.0%) 15 (28.8%) 24 (46.2%) 52

久留米男性 149 (34.3%) 156 (35.9%) 129 (29.7%) 434

9.005 0.011女性 53 (23.2%) 91 (39.9%) 84 (36.8%) 228

八女・筑後男性 43 (38.4%) 37 (33.0%) 32 (28.6%) 112

4.056 0.132女性 23 (32.9%) 17 (24.3%) 30 (42.9%) 70

有明男性 56 (29.6%) 74 (39.2%) 59 (31.2%) 189

10.021 0.007女性 39 (28.5%) 34 (24.8%) 64 (46.7%) 137

飯塚男性 51 (34.2%) 55 (36.9%) 43 (28.9%) 149

11.301 0.004女性 29 (28.4%) 23 (22.5%) 50 (49.0%) 102

直方・鞍手男性 26 (29.2%) 32 (36.0%) 31 (34.8%) 89

4.181 0.124女性 13 (21.7%) 16 (26.7%) 31 (51.7%) 60

田川男性 45 (33.6%) 45 (33.6%) 44 (32.8%) 134

4.372 0.112女性 22 (25.0%) 25 (28.4%) 41 (46.6%) 88

北九州男性 201 (27.8%) 252 (34.8%) 271 (37.4%) 724

7.634 0.022女性 112 (22.0%) 171 (33.6%) 226 (44.4%) 509

京築男性 35 (33.3%) 31 (29.5%) 39 (37.1%) 105

7.442 0.024女性 9 (14.3%) 25 (39.7%) 29 (46.0%) 63

県外・不明男性 66 (44.9%) 45 (30.6%) 36 (24.5%) 147

1.138 0.566女性 40 (44.4%) 23 (25.6%) 27 (30.0%) 90

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表2 対象の死亡および入院の分布

死亡 有意水準 入院 有意水準

年齢区分

平均年齢[標準偏差] 76.5 [9.6 ]

<0.001

72.8 [10.7 ]

<0.00165歳未満 43 (2.8%) 408 (26.9%)

前期高齢者 103 (5.7%) 714 (39.8%)後期高齢者 249 (13.1%) 1021 (53.7%)

Pearson 2 140.097 252.502

性別男性 239 (7.5%)

0.681233 (38.5%)

<0.001女性 156 (7.8%) 910 (45.3%)

Pearson 2 0.17 23.85

居住医療圏

福岡 66 (7.9%)

<0.001

343 (41.2%)

<0.001

粕屋 23 (6.7%) 108 (31.6%)宗像 8 (5.2%) 37 (24.0%)筑紫 27 (9.4%) 104 (36.4%)朝倉 12 (7.1%) 84 (49.4%)

久留米 32 (4.8%) 183 (27.6%)八女・筑後 8 (4.4%) 56 (30.8%)

有明 21 (6.4%) 162 (49.7%)飯塚 1 (0.4%) 89 (35.5%)

直方・鞍手 11 (7.4%) 77 (51.7%)田川 23 (10.4%) 128 (57.7%)北九州 131 (10.6%) 605 (49.1%)京築 17 (10.1%) 81 (48.2%)

県外・不明 15 (6.3%) 86 (36.3%)Pearson 2 52.953 179.793

合計 395 (7.6%) 2143 (41.1%)

 対象期間に悪性新生物で死亡した者51人(8.8%)の平均年齢は71 .3±9 .7歳であり、65歳以下は12人(7.1%)、前期高齢者が22人(10 .2%)、後期高齢者は17人(8.7%)であった。性別でみると、男性が38人(9.9%)、女性は13人(6.7%)と男性が多い傾向にあった。なお、年齢区分、性別、居住医療圏間で有意差は認めなかった。脳血管障害で死亡した者47人(10 .7%)の平均年齢は75 .5±8 .2歳、65歳以下は3人(3.1%)、前期高齢者が18人(10 .3%)、後期高齢者では26人(15 .4%)と年齢層が上がるにつれて死亡者の占める割合が高く、有意なばらつきが認められた。性別においては、男性が34人(11 .6%)、女性は13人(8.8%)であった。医療圏間の比較では有意なばらつきが認められた。心筋梗塞で死亡した者41人(6.8%)は、平均年齢は76 .5±7 .9歳、65歳未満は3人(2.0%)、前期高齢者が13人(5.7%)、後期高齢者では25人(11 .1%)であり年齢区分で有意なばらつきが認められた。性別は男性が28人(6.9%)、女性は13人(6.6%)と男性が多い傾向にあった。居住医療圏間で有意なばらつきは認められなかった。糖尿病を有する死亡者245人(8.8%)は、平均年齢は76 .1±9 .6歳、年齢区分では65歳未満が27人(3.7%)、前期高齢者は63人(6.0%)、後期高齢者では155人(15 .2%)と年齢層が上がるにつれて死亡者の占める割合が高い傾向にあり、ばらつきが認められた。性別では男性が160人(8.8%)、女性は85人(8.6%)と男性の死亡者の占める割合が高い傾向にあった。居住医療圏間の比較において有意なばらつきが認められた。

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表3 対象の併存症別分布

悪性新生物 脳血管障害 心筋梗塞 糖尿病

死亡  有意水準 死亡  有意水準 死亡  有意水準 死亡  有意水準

年齢区分 65歳未満 12(7.1%)

0.57

3(3.1%)

0.007

3(2.0%)

0.002

27(3.7%)

<0.001前期高齢者 22(10.2%) 18(10.3%) 13(5.7%) 63(6.0%)

後期高齢者 17(8.7%) 26(15.4%) 25(11.1%) 155(15.2%)

Pearson 2 1.123 9.821 12.401 83.704

性別 男性 38(9.9%)0.201

34(11.6%)0.365

28(6.9%)0.867

160(8.8%)0.861

女性 13(6.7%) 13(8.8%) 13(6.6%) 85(8.6%)

Pearson 2 1.635 0.821 0.028 0.031

居住医療圏 福岡 7(9.0%)

0.063

7(11.9%)

0.025

8(9.9%)

0.189

37(8.7%)

<0.001

粕屋 2(5.9%) 2(6.7%) 1(3.2%) 15(8.8%)

宗像 0(0.0%) 1(14.3%) 0(0.0%) 4(4.1%)

筑紫 1(4.2%) 6(30.0%) 2(5.7%) 17(9.6%)

朝倉 1(8.3%) 0(0.0%) 0(0.0%) 10(10.8%)

久留米 5(6.1%) 1(1.7%) 5(7.7%) 14(4.0%)

八女・筑後 2(9.1%) 0(0.0%) 1(4.8%) 6(5.8%)

有明 3(9.4%) 3(15.0%) 1(2.1%) 13(7.3%)

飯塚 0(0.0%) 0(0.0%) 0(0.0%) 1(0.7%)

直方・鞍手 4(15.4%) 2(13.3%) 0(0.0%) 7(8.1%)

田川 4(13.8%) 2(11.8%) 0(0.0%) 13(10.0%)

北九州 16(11.2%) 20(15.3%) 18(11.5%) 86(13.6%)

京築 6(27.3%) 1(7.1%) 2(6.9%) 12(10.9%)

県外・不明 0(0.0%) 2(18.2%) 3(9.4%) 10(9.3%)

Pearson 2 21.535 24.736 17.229 45.688

合計 51(8.8%) 47(10.7%) 41(6.8%) 245(8.8%)

2 .オッズ比の推定及びロジスティック回帰分析の結果 死亡および入院の有無に関するオッズ比の推定の結果、死亡のオッズ比は基準とした福岡・糸島に比べ、久留米、飯塚で低い値を示した。入院のオッズ比は基準とした福岡・糸島に比べ、粕屋、宗像、久留米、八女・筑後で相対的に低い値を示し、朝倉、有明、直方・鞍手、田川で相対的に高い値を示した。

表4 死亡および入院に関する解析

死亡 入院

生存 死亡 OR 95% Cl 無し 有り 合計 OR 95% Cl

居住医療圏

福岡・糸島(基準) 767 66 1.000 490 343 833 1.000

粕屋 319 23 0.838 [0.512-1.371] 234 108 342 0.659 [0.505-0.861]

宗像 146 8 0.637 [0.299-1.355] 117 37 154 0.452 [0.304-0.670]

筑紫 259 27 1.211 [0.758-1.937] 182 104 286 0.816 [0.618-1.078]

朝倉 158 12 0.883 [0.466-1.671] 86 84 170 1.395 [1.002-1.942]

久留米 630 32 0.590 [0.382-0.912] 479 183 662 0.546 [0.438-0.680]

八女・筑後 174 8 0.534 [0.252-1.133] 126 56 182 0.635 [0.450-0.895]

有明 305 21 0.800 [0.481-1.331] 164 162 326 1.411 [1.091-1.825]

飯塚 250 1 0.046 [0.006-0.337] 162 89 251 0.785 [0.585-1.052]

直方・鞍手 138 11 0.926 [0.477-1.799] 72 77 149 1.528 [1.077-2.167]

田川 199 23 1.343 [0.815-2.213] 94 128 222 1.945 [1.441-2.626]

京築 151 17 1.308 [0.747-2.293] 87 81 168 1.330 [0.954-1.855]

県外・不明 222 15 0.785 [0.440-1.403] 151 86 237 0.814 [0.604-1.097]

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 次に、死亡を目的変数としたロジスティック回帰モデルでは、基準とした福岡・糸島に比べ、久留米、飯塚が低い値を示した。入院レセプトを目的変数としたロジスティック回帰モデルでは、基準とした福岡・糸島に比べ、粕屋、宗像、久留米、八女・筑後、が相対的に低く、有明、直方・鞍手、田川、北九州が相対的に高い値であった。

表5 死亡と入院に関するロジスティック回帰分析

死亡 入院OR 95% Cl OR 95% Cl

年齢(連続変数) 1.072 [1.060-1.084] *** 1.168 [1.037-1.316] **性別(男性) 0.835 [0.671-1.039] 1.044 [1.038-1.050] ***

医療圏 福岡・糸島(基準) 1.000 1.000

粕屋 0.887 [0.538-1.464] 0.673 [0.512-0.885] **

宗像 0.581 [0.271-1.246] 0.408 [0.273-0.661] ***

筑紫 1.185 [0.734-1.912] 0.806 [0.606-1.072]

朝倉 0.909 [0.474-1.742] 1.520 [1.080-2.141] *

久留米 0.629 [0.405-0.978] * 0.562 [0.449-0.704] ***

八女・筑後 0.569 [0.265-1.220] 0.675 [0.474-0.961] *

有明 0.772 [0.460-1.295] 1.442 [1.106-1.882] **

飯塚 0.045 [0.006-0.328] ** 0.782 [0.579-1.057]

直方・鞍手 0.821 [0.418-1.611] 1.447 [1.010-2.073] *

田川 1.370 [0.823-2.281] 2.023 [1.486-2.754] ***

北九州 1.302 [0.950-1.786] 1.332 [1.110-1.598] **

京築 1.253 [0.707-2.222] 1.324 [0.939-1.865]

県外・不明 1.024 [0.567-1.849] 0.982 [0.721-1.336]

Nagelkerke R2 0.105 0.116

*p<0.05,**p<0.01,***p<0.001

 悪性新生物が主傷病である患者を対象とした死亡を目的変数としたロジスティック回帰モデルでは、京築が基準とした福岡・糸島に比べ、死亡割合が高かった。脳血管障害が主傷病名である患者を対象とした死亡を目的変数としたロジスティック回帰モデルでは、筑紫が基準とした福岡・糸島に比べ、高かった。心筋梗塞が主傷病名である患者を対象とした死亡を目的変数としたロジスティック回帰モデルでは、居住医療圏による関連は認められなかった。糖尿病が主傷病名である患者を対象とした死亡を目的変数としたロジスティック回帰モデルでは、基準とした福岡・糸島に比し、久留米、飯塚は低く、北九州は高い値を示した。

表6 疾患別のロジスティック回帰分析悪性新生物 脳血管障害 心筋梗塞 糖尿病

目的変数:死亡

OR 95% Cl OR 95% Cl OR 95% Cl OR 95% Cl

年齢(連続変数) 1.017 [0.998-1.047] 1.076 [1.032-1.122] ** 1.095 [1.049-1.144] *** 1.077 [1.060-1.094] ***

性別(男性) 0.649 [0.331-1.274] 0.540 [0.225-1.142] 0.899 [0.438-1.845] 0.755 [0.564-1.010]

医療圏 福岡・糸島(基準)1.000 1.000 1.000 1.000

粕屋 0.656 [0.129-3.347] 0.722 [0.135-3.849] 0.395 [0.46-3.373] 1.079 [0.569-2.047]

宗像 0.000 [0.000] 1.250 [0.122-12.819] 0.000 [0.000] 0.419 [0.144-1.219]

筑紫 0.430 [0.050-3.694] 3.991 [1.094-14.559] * 0.438 [0.086-2.217] 1.129 [0.610-2.087]

朝倉 0.930 [0.103-8.417] 0.000 [0.000] 0.000 [0.000] 1.381 [0.648-2.941]

久留米 0.702 [0.212-2.324] 0.165 [0.019-1.403] 0.819 [0,247-2.722] 0.448 [0.236-0.849] *

八女・筑後 1.069 [0.204-5.598] 0.000 [0.000] 0.514 [0.059-4.482] 0.665 [0.269-1.646]

有明 1.071 [0.257-4.459] 1.450 [0.315-6.677] 0.184 [0.022-1.556] 0.876 [0.449-1.711]

飯塚 0.000 [0.000] 0.000 [0.000] 0.000 [0.000] 0.073 [0.010-0.542] **

直方・鞍手 1.943 [0.517-7.308] 1.215 [0.006-0.328] 0.000 [0.000] 0.808 [0.342-1.909]

田川 1.713 [0.459-6.394] 0.886 [0.217-6.789] 0.000 [0.000] 1.203 [0.610-2.374]

北九州 1.320 [0.517-3.373] 1.653 [0.163-4.819] 1.311 [0.528-3.254] 1.648 [1.088-2.498] *

京築 3.742 [1.097-12.762] * 0.662 [0.641-4.265] 0.678 [0.131-3.519] 1.335 [0.660-2.699]

県外・不明 0.000 [0.000] 2.038 [0.072-6.066] 1.464 [0.344-6.236] 1.400 [0.661-2.965]

Nagelkerke R2 0.106 0.201 0.183 0.118

*p<0.05,**p<0.01,***p<0.001

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3 .一元配置分散分析の結果 入院診療日数、入院医療費、1日あたり入院医療費について、各医療圏間で一元配置分散分析を行った。入院医療費、入院医療費、1日あたり入院医療費とばらつきを認めた。

表7 二次医療圏別入院診療日数、入院医療費、一日入院医療費

入院診療日数 入院医療費 一日入院医療費

平均値 標準偏差変動系数 F 有意水準 平均値 標準偏差 変動系数 F 有意水準 平均値 標準偏差 変動系数 F 有意水準

福岡・糸島 111.5 132.4 1.2 3,830,297.5 4,170,270.4 1.1 50,731.3 60,288.3 1.2

粕屋 116.9 140.1 1.2 3,490,358.6 3,930,771.6 1.1 39,745.6 23,041.9 0.6

宗像 109.2 129.9 1.2 3,874,751.7 4,286,455.3 1.1 50,264.5 42,757.7 0.9

筑紫 142.4 141.2 1.0 4,364,330.3 4,144,298.2 0.9 37,575.2 21,472.7 0.6

朝倉 121.7 131.7 1.1 3,590,371.6 3,815,084.2 1.1 37,820.2 20,709.3 0.5

久留米 93.8 122.3 1.3 2,867,037.6 3,454,874.6 1.2 46,847.1 31,408.9 0.7

八女・筑後 130.4 138.3 1.1 3,634,901.4 3,653,759.5 1.0 37,861.8 24,308.6 0.6

有明 98.2 129.2 1.3 2.98 p<0.001 3,145,250.4 3,925,068.6 1.2 3.06 p<0.001 50,710.2 35,929.3 0.7 2.96 p<0.001

飯塚 144.4 145.7 1.0 4,381,968.2 3,957,465.6 0.9 48,914.7 47,397.2 1.0

直方・鞍手 89.6 118.8 1.3 2,972,087.0 3,617,658.2 1.2 46,056.7 27,604.7 0.6

田川 72.9 96.3 1.3 2,312,273.5 2,693,729.4 1.2 40,964.5 21,338.9 0.5

北九州 99.7 123.6 1.2 3,185,070.4 3,525,087.0 1.1 45,438.3 39,964.0 0.9

京築 93.4 125.4 1.3 3,128,147.6 3,406,443.6 1.1 57,361.2 56,325.4 1.0

県外・不明 82.3 118.7 1.4 2,803,910.9 3,358,923.9 1.2 60,216.7 41,553.4 0.7

合計 104.7 128.0 1.2 3,342,814.7 3,733,705.6 1.1 46,665.6 41,064.9 0.9

【考察】

 日本透析医学会の統計調査では、全透析患者の約13%が新たに人工透析を導入している一方、約10%の患者が死亡しており、年間の死亡者数は透析患者の増加とともに経年的に増加している14)。本研究における全死亡率(7.6%)は統計調査の結果に比べ相対的に低い値を示したが、年齢区分では、ばらつきがみられ年齢層が上がるにつれて死亡者の占める割合が高くなっており日本透析医学会の統計調査と同様の傾向を示した。全死亡率に関するロジスティック回帰分析において基準とした福岡・糸島に比し久留米、飯塚が有意に低い値を示したが、これは救命救急センター1件あたりの対象人口が、久留米(232 ,856人)、飯塚(193 ,821人)と他の医療圏に比べ相対的に少ないこと、また、飯塚においては圏外搬送率が全救急搬送の3.6%であるなど、救急医療提供体制が完結的に機能していると共に、充実していることが関連しているものと考えられた。14),17)

 透析患者の死亡原因の上位は心不全、感染症、悪性新生物、脳血管障害、心筋梗塞の順である16)。対象期間の死亡者395人中、悪性新生物による死亡者は51人(8.8%)、脳血管障害による死亡者は47人(10 .7%)、心筋梗塞による死亡者は41人(6.8%)であった。悪性新生物、脳血管障害、心筋梗塞の死亡者の合計は139人(26 .8%)であり、日本透析医学会の統計調査の結果に比べ相対的に高い値を示したことについて、レセプト上の傷病名の妥当性が影響しているものと考えられた。また、直接の死亡原因として糖尿病が挙げられることは多くないが、糖尿病を有する者の死亡者の割合は245人(8.8%)であった。これは糖尿病が透析導入の原因疾患として年々増加しており、透析導入患者の44 .5%が糖尿病性腎症であること、全透析患者の35 .1%が糖尿病性腎症であることが今回の結果を示したものと考えられる。主傷病で患者を限定したロジスティック回帰分析で、悪性新生物では京築、脳血管障害では筑紫、糖尿病では北九州で有意に死亡率が高かった。これらの因果関係については慎重に検討する必要がある。一方、糖尿病の患者に限定した死亡率では、久留米、飯塚で低い値を示すと共に、全死亡、脳血管障害ならびに心筋梗塞に限定した死亡率でも同様の傾向を示しており、地域の医療体制を評価するには適切な指標となる可能性が示唆された。今回対象とした患者集団が国民健康保険の透析患者であり、全国健康保険協会管掌健康保険、共済組合など他の保険者に属する被保険者に比べ平均年齢が高いことが、全死亡率ならびに疾患別死亡率に少なからず影響した可能性が考えられた。 次に入院した患者の割合について、年齢区分、性別ならびに医療圏間でばらつきを認め、ロジスティック回帰分析においても基準となる福岡・糸島に比べ、朝倉、有明、直方・鞍手、田川、北九州が高い結果を示した。これらに共通する要因として人口10万あ

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たりの一般病床数ならびに医師数が他の医療圏に比べ相対的に多く医療資源の偏在が影響していることが示唆された13)。また、入院診療に関する分散分析の結果は、入院診療日数、入院医療費、1日あたり入院医療費のすべての項目において医療圏間でばらつきを認めた。最も入院診療日数が多い飯塚は、最も少なかった田川の1.98倍であり、入院医療費も同様の傾向を示した。同時に、1日あたり入院医療費の平均値が3万円台の医療圏については、入院診療日数が相対的に多い傾向を示しており、社会的入院が含まれている可能性が示唆された。透析患者は医療機関での透析が毎週2回から3回程度必要となる。通院時間や透析時間を考えると透析患者の住所や障害の状態によっては、入院していた場合の支障が少なく、コストも低い場合が少なくないケースもあると考えられる。しかしながら、そのような入院は適切とは言えず、改善が必要であろう。 研究の限界としては、国民健康保険団体連合会のみのデータであり、被用者健康保険の被保険者を含んでいないことがあげられる。またDPCレセプトが本研究に含まれていないことも問題である。さらに単一県のみの分析であり他県での診療にも一般化できるかの問題である。この研究における死亡原因が死亡診断書によるものではなく、レセプトの主傷病を根拠としたものであることがあげられる。今後、このような問題をクリアできる研究が必要である。 本研究で、透析患者全体での死亡率、悪性新生物、脳血管障害、心筋梗塞、糖尿病に限定した死亡率に地域格差が認められた。また、入院診療について地域格差が大きいことが明らかになり、人口当たりの病床数ならびに医師数の偏在が透析患者の入院医療費に影響を与えていることが示唆された。このことは、透析患者に対する医療資源が有効に使われていないことを示唆している。今後の更なる検証として入院に関する診療内容を明らかにすることが重要であると考えられる。また、2011年からのレセプトオンライン請求の義務化に伴い、これまで及ばなかった領域への評価が進むことで、今後の医療の推計、設計が進むことが望まれる。

参考文献

1) 厚生労働省 各種統計調査結果 平成21年度国民医療費の概況2) (社)日本透析医学会統計調査委員会、わが国の慢性透析療法の現況2009年12月31日、慢性透析患者数の推移、3項3) (社)日本透析医学会統計調査委員会、わが国の慢性透析療法の現況2009年12月31日、わが国の慢性透析療法の要約、2項4) (社)日本透析医学会統計調査委員会、わが国の慢性透析療法の現況2009年12月31日、都道府県別慢性透析患者の数、8項5) Usami T, Koyama K, Takeuchi O, Morozumi K : Regional variations in the incidence of end-stage renal failure in Japan. Jama 284:2622-2624 , 2000

6) 若井健志、人口あたり慢性透析法新規導入患者数の地域差の検討、日本透析医学会雑誌39、2006・JUNE Supplement・17) Usami T, Nakao N, Fukuda M, Takeuchi O, : Maps of end-stage renal disease and amounts of angiotensin converting enzyme inhibitors prescribed in Japan. Kidney Int 64 : 1445-1449 , 2003

8) Iseki K, Shinzato T, Nagura Y, Akiba T : Factors influencing long-term survival in patients on chronic dialysis. ClinExpNephrol 8 : 89-97 , 2004

9) 政金生人、中井滋、有薗健二、日本国内の透析治療に地域差はあるのか、日本透析医学会雑誌38、2005・JUNE Supplement・110) 尾形聡、岩崎幸恵、松田正裕、他、都道府県別透析導入患者生存率に影響を与える因子について、日本透析医学会 透析会誌40(3):255~259、2007

11)(社)日本透析医学会統計調査委員会、わが国の慢性透析療法の現況2009年12月31日、年末患者の性別と年齢、13項12) 木全直樹、COPPSとJSDT統計調査におけるK/DOQIガイドラインの満足度とその影響、日本透析医学会雑誌38、2005・JUNE Supplement・1

13)日本腎臓学会、CKD診療ガイドライン、改訂第2版(2009年版)第2版発行、2009年4月20日14)福岡県保健医療計画、第2編 2次保健医療圏の保健医療の現状と課題、13保健医療圏の状況15) (社)日本透析医学会統計調査委員会、わが国の慢性透析療法の現況2009年12月31日、年別透析患者数、導入患者数、死亡患者数の推移、4項

16)(社)日本透析医学会統計調査委員会、わが国の慢性透析療法の現況2009年12月31日、2009年死亡患者の死亡原因分類、19項17)福岡県保健医療計画、第1編 県計画、第2章 福岡県の保健医療提供体制の基本的な状況、第1節 保健医療の現況18) 猿渡倫治、馬場園明、透析患者の医療資源の利用に糖尿病の与える影響、日本医療・病院管理学会誌、Vol. 47 Supplement、September 2010

(2012年8月3日受付、2012年10月2日受稿)

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第7巻 第1号  9 - 16, 2012

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北九州市がん意識調査票を用いたがん検診受診率の推計永本 早苗1) 前田 俊樹1) 馬場園 明2)

Estimation of the consultation rate for cancer screening by a mail questionnaire survey in Kitakyushu CitySanae NAGAMOTO1) Toshiki MAEDA1) Akira BABAZONO2)

【Abstract】

Purpose: The purpose of the study is to estimate the consultation rate for gastric, colon, lung, breast and cervical cancer screening and to compare them between the insured of National Health Insurance and those of Employee Health Insurance.Method: The subjects were men of 40 years or older and women of 20 years or older who had lived in the Kitakyushu City as of July, 2010 . Among them, 3000 people were randomly selected from governmental inhabitant registry to have been conducted by a mail questionnaire survey. The consultation rate for each cancer screening was estimated by the data to have been compared between the insured of National Health Insurance and those of Employee Health Insurance. Finally, the relative consultation rate those of Employee Health Insurance for those of National Health Insurance was estimated for each cancer screening.Results: The estimated of consultation rate for cancer screening was 29 . 8%, 24 . 9%, 19 . 3%, 31 . 6%, 35 . 1% for gastric, colon, lung, breast and cervical cancer screening, respectively. It shows that the estimate of consultation rate only by municipal cancer screening would underestimate actual consultation rate for cancer screening. Among those aged from 40 to 59 , there was a statistically significant difference in consultation rate for every cancer screening between the insured of National Health Insurance and those of Employee Health Insurance. The insured of National Health Insurance had significant lower consultation rate for every cancer screening that those of Employee Health Insurance had.Discussion: It was disclosed that the estimate of consultation rate only by municipal cancer screening would underestimate actual consultation rate for cancer screening. It is important to estimate an accurate consultation rate in order to implement on adequate strategy to improve it. It is necessary for local government to plan the measures to improve consultation rate among those of the insured of National Health Insurance because they had significantly lower consultation rate for every cancer screening that of Employee Health Insurance had.

Key words: consultation rate, cancer screening, health insurance, health disparity

【抄録】

目的:胃がん、大腸がん、肺がん、乳がん、子宮頸がん検診受診率の推計を行い、加入する保険による受診率の比較を明らかにすることを目的とした。方法:北九州市の住民台帳に記載されている40歳以上の男性、20歳以上の女性を対象として無作為に3000人を抽出し、返送された調査票を用いて各がん検診受診率を推計した。さらに、40代・50代を対象として、各がん検診において属する健康保険による受診との関連性について、がん検診受診率を推計した。最後に、各がん社会保険の被保険者の受診率の関連の強さについて相対受診率を算出した。結果:本研究において推定したがん検診の受診率は、胃がん検診は29.8%、大腸がん検診は24.9%、肺がん検診は19.3%、乳がん検診は31.6%、子宮頸がん検診は35.1%であり、自治体のみのがん検診を対象とした受診率の推計値は、実際の受診率よりも過小評価することが明らかとなった。また、40代・50代男女の属する健康保険による受診率の比較では、全てのがん検診において、属する健康保険と受診行動は関連性があり、国民健康保険の被保険者は職域保険の被保険者よりも低い受診率であることが明らかとなった。考察:自治体のみよるがん検診受診は、住民のがん受診の一部に過ぎない。したがって、自治体のみよるがん検診受診を住民のがん検診の受診率とすると過小評価してしまうことが明らかとなった。正確に受診率の推計を行うことは、がん検診の受診率を向上させる対策をために重要であるといえる。また、国民健康保険の被保険者は職域保険の被保険者よりも低い受診率が低く、自治体対策が講じられるべきである。

キーワード:がん検診、受診率、健康保険、健康格差

1) 九州大学大学院医学系学府医療経営・管理学専攻〒812-8582 福岡市東区馬出3丁目1番1号Department of Health Care Administration and Management, Graduate School of Medical Sciences, Kyushu University, 3-1-1 Maidashi Higashi-ku Fukuoka City, 812-8582, Fukuoka, Japan,

2) 九州大学大学院医学研究院医療経営・管理学講座Department of Health Care Administration and Management, Graduate School of Medical Sciences, Kyushu University

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第7巻 第1号  17 - 23, 2012

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【はじめに】

 日本では昭和56年に悪性新生物が死亡原因の第1位となり、疾病対策上の重要課題として位置づけられ、がん予防対策が推奨されてきている1)。がん検診は、昭和57年から実施された老人保健法に基づく老人保健事業によって全国的に体制の整備がなされ、現在では健康増進法に基づく努力義務として市町村で実施されているが、胃がん・大腸がん・肺がん・乳がん・子宮頸がんの5項目のがん検診を市町村で実施しており、検査の内容や対象者、受診間隔が検診項目により異なる2,3)。 乳がん・子宮頸がん検診は多くの国で実施されており、大腸がん検診は、イギリス・フランス・ドイツ・カナダ・フィンランド・韓国にて実施、胃がん・肝臓がん検診は韓国にて実施、前立腺がん検診はドイツで実施、肺がん検診はハンガリーで実施されている4)。なお、OECDヘルスケアデータ5)によると日本の乳がん・子宮頸がんの検診受診率はOECD加盟国中最低である。 日本でのがん検診の受診率の推計は、地域保健・健康増進事業報告6)や国民生活基礎調査7)を活用している。平成21年地域保健・健康増進事業報告におけるがん検診の受診状況では、胃がん検診受診率は10 .1%、肺がん検診は17 .8%、大腸がん検診は16 .5%、子宮がん検診は21 .0%、乳がん検診は16 .3%であった。また、平成22年国民生活基礎調査におけるがん検診の受診率推計は、胃がん検診(40歳以上)は、男性34 .3%、女性26 .3%、肺がん検診(40歳以上)は男性24 .9%、女性21 .2%、大腸がん検診(40歳以上)は男性27 .4%、女性21 .2%、子宮がん検診(20歳以上で過去2年間の受診率)は32 .2%、乳がん検診(40歳以上で過去2年間の受診率)は31 .4%であった。 日本のがん検診受診率が低いことは、死亡率減少効果の観点から実施方法や対象年齢等に問題があると指摘されてきた8,9)。このため、平成16年に「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」が一部改正された10)。さらに、平成18年6月に「がん対策基本法」が制定され、がん検診の普及に重点が置かれている。しかしながら、受診率は減少傾向にあり11)、自治体のがん検診受診率は依然20%に届かない状況である。このように、がん対策が様々な取り組みにより進展しているものの、がん検診受診率の改善には至っていない現状にある。この現状を改善するために、厚生労働省保健局内にがん対策推進協議会が設けられ、2007年4月よりがん対策基本法に基づくがん対策推進基本計画2)について審議を重ねられている。 しかしながら、現在のがん検診受診率の推計には問題がある。地域保健・健康増進事業報告では、職場で実施される検診や個人で受診する人間ドックなどは含まれていないことや、国民生活基礎調査では、回答者が検診と医療保険の検査を区別して答えているかが不明といった問題が生じており、統一した推定方法が無いためがん検診の受診率を正確に推計できていない可能性が高い12,13)。今後、がん検診の受診率を向上させる為には、がん検診の受診率を正確に推計し、現状に合わせた対策がなされる必要がある。また、自治体でのがん検診は国民健康保険の被保険者が受診する地域検診と想定され、職場でのがん検診の受診率は社会保険の被保険者が受診する職域検診であると考えられるにも関わらず、属する保険による受診率の比較などもなされていない。 本研究では、がん検診の受診率の正確な推計を行うことと、属する保険による受診率の比較を明らかにすることを目的とした。

【研究方法】

1 .対象と方法 本研究では、2010年12月時点で北九州市の住民台帳に記載されている40歳以上の男性、20歳以上の女性を対象として無作為に3000人を抽出し、無記名自記式による質問票調査を郵送法で実施した。調査依頼状及び質問票を2010年12月18日に発送し、2011年1月20日までに返送された質問票を回収した。調査票を返送した回答者の中から、性、年齢を記入している者を有効回答者として分析対象とした。なお、データの分析にあたっては、データの個人情報をすべて削除し、倫理的な問題に対応した。

2 .調査項目 がん検診は、胃がん、肺がん、大腸がん、乳がん、子宮頸がんの5項目について調査した。受診に影響を及ぼす要因として、先行研究を参考として14-16)、性別、年齢、検診場所、属する医療保険、仕事の有無について調査した。仕事の有無については、仕事に就いているものを「仕事あり」、主婦を含む家事従業員・学生・無職を「仕事なし」とした。また、属する国民健康保険による受診の差を検証するために、国民健康保険の者を「国民健康保険」、政府管掌健康保険・組合管掌健康保険・共済組合健康保険を「職域保険」とした。検診内容においては、市の集団検診(市民センター、区役所などで実施)と市の個別検診(医療機関で実施)を「自治体検診」、職場での集団検診(検診バスなど)や職場で案内を受けた個別検診(医療機関で実施)を「職域健診」、人間ドックや医療の中で検査(健康保険証を使用)を「医療」とした。

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第7巻 第1号  17 - 23, 2012

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3 .分析方法 まず、各がん検診の受診率を推計した。受診率の推計にあたっては受診者数を全体数で除して求めた。次に、40代・50代を対象として、性別、各がん検診別、属する健康保険別の検診状況を求めた。各がん検診において属する健康保険による受診との関連性を明らかにするためにχ²検定を行った。さらに、40代・50代を対象として、性別、各がん検診別、属する健康保険別でがん検診受診率を推計した。属する健康保険と受診率の関連の強さを明らかにするために相対受診率を算出した。相対受診率にあたっては、各がん検診における職域保険の受診率を国民健康保険の受診率で除して求めた。最後に、40代・50代女性を対象として、各がん検診別、属する健康保険と就業有無別でがん検診受診率を推計した。なお、就業有無別でがん検診受診率を推計したのは、職域保険に属する女性は未就業者が多いため就業の影響も明らかにしたかったためである。属する健康保険と各がん検診別、属する健康保険と受診率の関連の強さを明らかにするために相対受診率を算出した。解析にはSPSSを用い、有意水準はP=0 .05に設定した。

【結果】

1 .回答者について1)回収率 調査票回収数は1474、回収率は49 .1%であったが、性、年齢ともに記入している有効回答者数は1408名、有効回答率46 .9%であった。2)回答者の属性 表1に対象者の属性を示した。年齢別では、60代、50代の回答が多く、医療保険別では、国民健康保険、組合健康保険の回答が多い傾向にあった。

表1 対象者の属性

男性 女性

年齢

20代 0 (0%) 49 (5.8%)

30代 0 (0%) 127 (14.9%)

40代 79 (14.2%) 146 (17.2%)

50代 134 (24.1%) 162 (19%)

60代 169 (30.3%) 169 (19.9%)

70代 119 (21.4%) 128 (15%)

80代以上 56(10.1%) 70 (8.2%)

合計 557 (100%) 851 (100%)

保険

国民健康保険 228 (42.9%) 334 (40.8%)

政府管掌健康保険 56(10.5%) 87 (10.6%)

組合健康保険 150 (28.2%) 272 (33.2%)

後期高齢者医療制度 90(16.9%) 119 (14.5%)

その他 7 (1.3%) 7 (0.9%)

無記入 26(4.67%) 32 (3.76%)

合計 557 (100%) 851 (100%)

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2 . がん検診の受診率 表2にがん検診の受診率を示した。男性の受診率は、胃がん検診(32 .3%)が高く、肺がん検診(23 .2%)が低かった。女性の受診率は、子宮頸がん検診(35 .2%)が高く、肺がん検診(23 .2%)が低かった。

表2 がん検診受診率の推計

胃がん 大腸がん 肺がん 乳がん 子宮頸がん

男性 女性 男性 女性 男性 女性 女性 女性

全数 557 675 557 675 557 675 675 675

受診数 180 187 165 142 129 109 213 237

受診率 32.3% 27.7% 29.6% 21.0% 23.2% 16.1% 31.6% 35.1%

95% CI(Lower) 28.7% 24.5% 26.1% 18.2% 19.9% 13.6% 28.2% 31.7%

95% CI(Upper) 36.4% 31.3% 33.7% 24.3% 26.9% 19.2% 35.3% 38.9%

全数 1,232 1,232 1,232

受診数 367 307 238

受診率 29.8% 24.9% 19.3%

95% CI(Lower) 27.3% 22.6% 17.2%

95% CI(Upper) 32.5% 27.5% 21.7%

注)各がん検診の受診者数を全体数で除して受診率を算出する

3 . 40代・50代(女性)におけるがん検診受診と属する医療保険の関連性 表3に40代・50代を対象としたがん検診受診と医療保険の関連性を示した。胃がん、大腸がん、肺がん検診において、属する医療保険で受診状況に違いがあり、職域保険の被保険者は職場での受診や医療での受診が多い傾向であった。がん検診の受診率は、男女ともがんの未受診、自治体での受診、職場健診と属する保険で統計的に有意な差が認められた(p<0 .001)。乳がん、子宮頸がん検診では、属する医療保険で比較すると職域保険の被保険者は国民健康保険の被保険者より職域検診の受診が高い傾向であった。がん検診の受診率は、未受診、自治体での受診、職域健診と属する保険で統計的に有意な差が認められた(p<0 .05)。

表3 40代・50代を対象としたがん検診の受診割合(%)

性 検診医療保険

受診割合未受診

自治体検診 職域健診 医療の中

男性

胃がん国保 8.5 6.8 11.9 72.9

***職域 0.7 32.1 20.7 46.4

大腸がん国保 10.2 6.8 1.7 81.4

***職域 0.7 26.4 20.7 52.1

肺がん国保 10.2 8.5 3.4 78.0

***職域 0.7 27.1 11.4 60.7

女性

胃がん国保 2.8 5.6 5.6 86.0

***職域 1.1 24.9 12.7 61.4

大腸がん国保 5.6 4.7 3.7 86.0

***職域 1.6 17.6 8.0 72.7

肺がん国保 2.8 6.5 0.9 89.8

***職域 1.1 22.6 7.9 68.4

乳がん国保 10.3 4.7 9.3 75.7

***職域 10.1 21.2 15.3 53.4

子宮頸がん国保 12.1 4.7 14.0 69.2

*職域 10.7 16.6 15.5 57.2

***:P<0.001,*:P<0.05,byχ2test        

注)40代・50代を対象として、国民健康保険(国保)及び職域保健の各がん検診別に受診割合を

表したもの

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4 . 40代・50代を対象に属する医療保険別がん検診受診率と国民健康保険のがん検診受診率を基準とした職域保険受診率の相対受診率

 表4に40代・50代を対象に属する健康保険別受診率の推計と国民健康保険の被保険者のがん検診受診率を基準とした職域保険受診率の相対受診率を示した。全てのがん検診で国民健康保険の被保険者は職域保険の被保険者よりも低い受診率となった。男性では、職域保険の被保険者の胃がん検診受診率(53 .6%)が高く、国民健康保険の被保険者の大腸がん検診受診率(18 .6%)が低い傾向であった。女性では、職域保険の乳がん検診受診率(46 .6%)が高く、国民健康保険の被保険者の肺がん検診受診率(10 .2%)が低い傾向であった。また、相対受診率は、男性では大腸がん(2.6%)、女性では胃がん(2.8%)において高い傾向があった。

表4 40代・50代のがん検診受診率の推計と相対受診率

40代・50代男性 40代・50代女性

胃がん 大腸がん 肺がん 胃がん 大腸がん 肺がん 乳がん 子宮頸がん

国保 職域 国保 職域 国保 職域 国保 職域 国保 職域 国保 職域 国保 職域 国保 職域

全数 59 140 59 140 59 140 107 189 107 187 108 190 107 189 107 187

受診数 16 75 11 67 14 55 15 73 15 51 11 45 26 88 33 80

受診率 27.1% 53.6% 18.6% 47.9% 23.7% 39.3% 14.0% 38.6% 14.0% 27.3% 10.2% 23.7% 24.3% 46.6% 30.8% 42.8%

95% CI(Lower) 17.8% 45.9% 10.9% 40.3% 15.0% 32.0% 8.8% 32.3% 8.8% 21.6% 5.8% 18.3% 17.4% 40.0% 23.2% 36.2%

95% CI(Upper) 41.2% 62.5% 31.8% 56.9% 37.5% 48.3% 22.4% 46.2% 22.4% 34.5% 17.8% 30.6% 33.9% 54.2% 41.0% 50.5%

相対受診率 2.0 2.6 1.7 2.8 1.9 2.3 1.9 1.4

95% CI(Lower) 1.3 1.5 1.0 1.7 1.2 1.3 1.3 1.0

95% CI(Upper) 3.1 4.5 2.7 4.6 3.3 4.3 2.8 1.9

注)相対受診率は各がん検診受診率における職域保険(職域)の受診率を国民健康保険(国保)の受診率で除して求めた。

5 . 40代・50代女性を対象に属する健康保険及び就業有無別のがん検診受診率と国民健康保険のがん検診受診率を基準とした社会保険受診率の相対受診率

 表5に40代・50代女性を対象に属する健康保険と就業有無別でがん検診受診率を推計した。胃がん、大腸がん、肺がん検診における受診率では、職域保険で就業している被保険者の受診率が最も高く、次いで国民健康保険の被保険者の受診率、最も受診率が低かったのは職域保険で未就業の被保険者であった。乳がん検診における受診率では、職域保険で就業している被保険者の受診率(50 .0%)が最も高く、次いで職域保険で未就業の被保険者の受診率(36 .2%)、最も受診率が低かったのは国民健康保険の被保険者の受診率(24 .5%)であった。子宮頸がん検診における受診率では、未就業の被保険者の受診率(44 .6%)が最も高く、次いで職域保険で就業している被保険者の受診率(40 .0%)、最も受診率が低かったのは国民健康保険の被保険者の受診率(31 .1%)であった。相対受診率では、各がん検診における職域保険(仕事の有無)の受診率を国民健康保険の受診率で除して求めた。国民健康保険の者が職域保険で仕事をしている者や仕事をしていない者よりも低い受診率であり、属する健康保険と各がん検診別、属する健康保険と受診率の関連の強さに差があることが明らかとなった。

表5 40代・50代(女性)の属する保険と仕事の有無におけるがん検診受診率と相対受診率

胃がん 大腸がん 肺がん 乳がん 子宮頸がん

国保職域

国保職域

国保職域

国保職域

国保職域

仕事あり 仕事なし 仕事あり 仕事なし 仕事あり 仕事なし 仕事あり 仕事なし 仕事あり 仕事なし

全数 106 112 74 106 111 73 107 112 75 106 112 74 106 110 74

受診数 15 58 13 15 40 10 11 43 14 26 56 29 33 44 33

受診率 14.2% 51.8% 17.6% 14.2% 36.0% 13.7% 10.3% 38.4% 18.7% 24.5% 50.0% 39.2% 31.1% 40.0% 44.6%

95% CI(Lower) 8.9% 43.3% 10.7% 8.9% 28.1% 7.7% 5.9% 30.4% 11.6% 17.6% 41.5% 29.5% 23.5% 31.8% 34.6%

95% CI(Upper) 22.6% 61.9% 28.8% 22.6% 46.2% 24.4% 18.0% 48.5% 29.9% 34.3% 60.2% 52.1% 41.3% 50.3% 57.5%

相対受診率 3.7 1.2 2.5 1.0 3.7 1.8 2.0 1.6 1.3 1.4

95% CI(Upper) 2.2 0.7 1.5 0.5 2.0 1.1 1.4 1.0 0.9 1.0

95% CI(Upper) 6.0 2.1 4.3 1.0 6.9 3.1 3.0 2.5 1.8 2.0

注)相対受診率は各がん検診受診率における職域保険(職域)(仕事の有無)の受診率を国民健康保険(国保)の受診率で除して求めた。

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【考察】

 がん検診の受診率は、胃がん検診は29 .8%、大腸がん検診は24 .9%、肺がん検診は19 .3%、乳がん検診は31 .6%、子宮頸がん検診は35 .1%と推計された。北九州市で報告されている平成21年度北九州市のがん検診受診率は、胃がん検診は2.1%、大腸がん検診は4.0%、肺がん検診は3.6%、乳がん検診は10 .9%、子宮頸がん検診は19 .3%であった17)。今回推計した受診率はこれらを大きく上回った。実際の受診行動では、自治体検診で受診している住民の割合は低く、職域健診や医療での受診が多い傾向にあった。自治体で行われるがん検診受診率は職域健診や医療での受診を含めておらず、市町村におけるがん検診受診率のみを全体の受診率とすると実際の受診率よりも過小評価することになることが明らかとなった。正確な受診率の把握については、国、都道府県、市町村単位での具体的な対応が進められつつあり、特に市町村では対象者名簿を整備することにより市町村事業におけるがん検診の受診率を把握するとともに必要に応じて職場等におけるがん検診を含めたがん検診受診率の把握を行うことが必要と提案されているが、全ての市町村で統一されているわけではない14)。正確にがん検診の受診率を推計することは、受診率を向上させる対策を講じる上で重要であり、現状を反映した受診率の推計がなされるべきである。 40代・50代の属する健康保険による受診率の比較では、全てのがん検診において、属する健康保険と受診行動とは関連性があり、国民健康保険の被保険者は職域保険の被保険者よりも受診率が低いことが明らかになった。属する医療保険により受診行動が異なる理由として、国民健康保険の被保険者は自営業者等の低所得者や福利厚生が乏しい従業員5人未満の零細事業者が多いため、検診を受診するための経済的・時間的余裕や企業の福利厚生等が職域保険の被保険者よりも不十分であり、結果として受診行動に消極的であると思われる。例えば、自治体検診では自己負担を500~1 ,500円で設定していることが多く18)、自覚症状が無く必要性を感じない低所得者にとっては、経済的な負担と感じる可能性がある。その上、自治体検診では事前の予約が必要な場合や、検診項目や実施日時に対して自由な選択を制限している場合があり、積極的な受診行動に結び付きにくい環境となっている可能性がある18)。 対して職域保険の被保険者は、企業の福利厚生としてがん検診が実施されていることが多く、個人での費用負担もないため受診しやすい環境整備が進んでいると考えられる。また、労働安全衛生法による職域健診と同時に行われ、受診日時が勤務時間内に組み込まれていることもあり、他の検診と同時に受診できることから受診行動に結び付いている可能性がある。企業のイメージアップや社員満足を高めるために事業所全体で健康教育に力を入れている企業もあり、受診行動に影響している可能性があった19,20)。 女性では、乳がん・子宮頸がん検診は胃がん・大腸がん・肺がんの検診よりも受診率が高い傾向であった。乳がん・子宮頸がん検診では、国民健康保険の被保険率者よりも職域保険で未就業の被保険者の受診率が高い傾向にあった。職域保険の被扶養者は国民健康保険の被保険者の世帯よりも経済的な生活環境が恵まれているために21)、就業の有無に関わらず、受診率が高い可能性がある。 がん検診受診率を向上させるためには、相対的に受診率が低い国民健康保険の被保険者の受診率を上げる必要がある。そのためには受診率の低い自治体検診をより受診しやすくする取り組みが必要となる。たとえば、自治体検診では自己負担を最小限に抑え、予約不要の検診や検診項目や検診日時を自由に選択できるような受診しやすい環境整備を行う必要があろう。また、女性特有のがん検診では、費用の軽減や年齢や属する医療保険等の属性を考慮した重点対策が必要であろう22)。さらに、地域にマッチした受診勧奨、検診事業の評価など、国家的なヘルスプロモーションの戦略が必要となると思われる23-25)。

【謝辞】

 この研究は、北九州市の受託研究として行われた。

【文献】

1)  厚生統計協会、図説 国民衛生の動向2010/2011:20102)  厚生労働省健康局総務課、第3次対がん10か年総合戦略について:20033)  厚生労働省老人福祉課、がん予防重点教育及びがん検診実施のための指針:19984)  がん検診に関する検討会、参考資料6諸外国のがん検診の制度等に関する調査結果:20075)  OECD、OECD Health data 2009保健医療統計の国際比較:20096)  厚生労働省、平成21年度地域保健・健康増進事業報告:2009

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7)  厚生労働省、平成21年度国民生活基礎調査:20098)  がん検診事業の評価に関する委員会、今後の我が国におけるがん検診事業評価の在り方について:20089)  がん検診の有効性評価に関する研究班、がん検診の有効性等に関する情報提供の為の手引き:199810) 厚生労働省老人福祉課、がん予防重点教育及びがん検診実施のための指針の一部改正について:200411) 厚生労働省、がん対策基本法:200612)  日本公衆衛生協会、平成12年度厚生労働省老人保健事業推進費等補助金によるがん検診の適正化に関する調査研究「新たな

がん検診手法の有効性の評価」:200113) 祖父江友孝等、有効性評価に基づくがん検診ガイドライン作成手順:200414)  福岡県保健医療介護部健康増進課、九州大学大学院医療経営・管理学講座、「女性のがん検診意識調査」平成21年度実施報告書:

201015) 医療と社会 vol. 13 No2 113~132、渡辺励、がん検診受診行動に関する要因分析:200316) 福島県立医科大学看護学部紀要、加藤清司等、がん検診の受診率に影響を及ぼす要因の検討:200917) 北九州市子ども家庭局男女共同参画推進部、第2次北九州市男女共同参画基本計画 平成21年度実施状況報告書:201018) 厚生労働省健康局総務課がん対策推進室、市町村におけるがん検診の実施状況等調査結果について:201119) がん検診受診促進企業連携実施本部、がん検診企業アトラクション、http://www.gankenshin50 .go.jp/index.html20) 福岡県保健医療介護部健康増進課、がん対策推進等連携協定、http://www.pref.fukuoka.lg.jp/b01/gankigyoukyoutei.html21) 国立国会図書館レファレンス No.687、中川秀空、国民健康保険の現状と課題:2008322) がん検診事業の評価に関する委員会、今後の我が国におけるがん検診事業評価の在り方について:200823) 公衆衛生vol. 72 No.9 2008 .9 松田智大等、地域がん登録に関する国民意識24) 公衆衛生vol. 74 No.3 2010 .3 助友裕子等、ヘルスプロモーションの視点から見たがん対策 25) 公衆衛生vol. 73 No.12 2009 .12 小坂健、わが国のがん予防戦略の課題と展望

(2012年4月11日受付、2012年5月9日受稿)

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ケース・スタディ:地域包括ケアシステムの機能を満たす日本型CCRCの概念とモデル馬場園 明1) 窪田 昌行2),4) 波多 敬子3),4)

加野 資典3)  加野 豊子3)

The concept and model of Japanese Styled Continuing Care RetirementCommunity to cover comprehensive district care systemAkira BABAZONO1) Masayuki KUBOTA2),4) Keiko HATA3),4)

Motonori KANO3) Toyoko KANO3)

1、はじめに

 日本の高齢化のスピードは先進国のなかで最も速い。1990年の65歳以上人口は1,489万人で総人口の12 .0%、75歳以上人口は597万人で総人口の4.8%であったが、2010年には65歳以上の人口は2,948万人、総人口の23 .0%、75歳以上人口も1,419万人、総人口の11 .1%となった1)。一方、1990年の出生数は122万人、死亡数は82万人であったが、2010年の出生数は109万人、死亡数は114万人であった1)。2012年1月に国立社会保障・人口問題研究所が発表した出生中位・死亡中位推計によれば、2025年には65歳以上人口は3,657万人、総人口の30 .4%となり、75歳以上人口は2,179万人、総人口の18 .1%、出生数は94万人、死亡数は154万人と推計されている2)。すなわち、疾病や障害のリスクの高い後期高齢者が急増し、それを支える人口は減少することになる。 この急速な少子高齢化に対応するために2012年2月に閣議決定された「社会保障・税一体改革大綱」3)では地域包括ケアシステムの重視が謳われ、2012年度の診療報酬・介護報酬改定で政策誘導が行われている。地域包括ケアシステムとは、「ニーズに応じた住宅が提供されることを基本とした上で、生活上の安全・安心・健康を確保するために医療や介護のみならず、福祉サービスを含めたさまざまな生活支援サービスが日常生活の場(日常生活圏域)で適切に提供できるような地域での体制」と定義し、「おおむね30分以内」に必要なサービスが提供される圏域として、具体的には中学校区、もしくは小学校区を基本とするとしている4)。そして、地域包括ケアの理念と目指す姿については、①医療との連携強化、②介護サービスの充実強化、③予防の推進、④見守り、配食、買い物など、多様な生活支援サービスの確保や権利擁護など、⑤高齢期になっても住み続けることのできるバリアフリーの高齢者住まいの整備が必要とされている。 医療との連携強化では、24時間対応の在宅医療、訪問看護やリハビリテーションの充実強化、介護サービスの充実強化では、特養などの介護拠点の緊急整備と24時間対応の在宅サービスの強化、予防の推進では、できる限り要介護状態とならないための予防の取り組みや自立支援型の介護の推進、見守り、配食、買い物など、多様な生活支援サービスの確保や権利擁護などでは、一人暮らし、高齢夫婦のみの世帯の増加、認知症の増加を踏まえ、様々な生活支援サービス(見守り、配食などの生活支援や財産管理などの権利擁護サービス)の推進、高齢期になっても住み続けることのできるバリアフリーの高齢者住まいの整備では、高齢者住宅と生活支援拠点の一体的整備、持ち家のバリアフリー化の推進が謳われている。 筆者らは、高齢者のニーズにあったケアの形として米国のCCRC(Continuing Care Retirement Community)の理念や方法論をわが国に導入することを提案してきた5),6)。CCRCの理念や方法論は日本においても応用できる側面をもっており、その理念を活用したケアを行なっている法人も実在する。そこで、この論文では、米国のCCRCを紹介し、次に日本の環境に適合するCCRCを検討し、最後にCCRCの考え方を取り入れたケースを紹介する。

1) 九州大学大学院医学研究院医療経営・管理学講座〒812-8582 福岡市東区馬出3丁目1番1号Department of Health Care Administration and Management, Graduate School of Medical Sciences, Kyushu University, 3-1-1 Maidashi Higashi-ku Fukuoka City, 812-8582 , Fukuoka, Japan

2) CCRC研究所Institute of CCRC Co., Ltd.3) 医療法人豊資会Medical Corporation Houshi-kai4) 株式会社プラスネットPlusnet Co.,Ltd.

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2、米国のCCRC

 CCRCとは「継続したケア」(continuum of care)という理念に基づいて、住民が老化するにつれて変わっていくニーズに応じて、住居、生活サービス、介護、看護、医療サービスなどを総合的に提供していく施設サービスのシステムである5)。CCRCは入居者との間で契約を結び、住民に対してサービスなどを受ける権利を保障する代わりに、入居者は、入居一時金と月額利用料を払うことに同意することになっている。 CCRCは1900年には、宗教系のものを中心におよそ20ヶ所しか存在しなかったが7)、1970年代から増え始め、2007年には全米に1,861ヶ所、745 ,000人が居住していると報告8)されている。広いキャンパスに住宅や各種施設が点在する郊外型から、市街地のビルに施設がある都市型まで、様々な形態がある9)。しかしながら、高齢者が年齢を重ねると変わってくるニーズに合わせて住宅サービスやケアの対応を行うところは共通である。すなわち、住民は自立して生活できる段階から、寝たきりで特別な看護が必要な段階を通して人生の終局まで、同じコミュニティ内で生活できる。したがって、病気や障害が起こった時に外部の施設に入所したり、病院に入院したりすることで環境が大きく変化するために起こるトランスファーショック10)を防ぐことができる。適応能力が低下した高齢者の環境が大きく変化すると、「空間、時間、規則、言葉の落差」に適応できず、活動の低下、認知症の進行、生活における事故が起こることが指摘されている9)。 CCRCの住宅は、変化する高齢者のニーズを満たすために3タイプの集合住宅によって構成されている5)。すなわち、高齢者は老化の進み具合によって住まいとサービスの内容を変えていくのである。自立した高齢者には「インディペンデント・リビング(自立型住まい)」、支援が必要な高齢者には「アシステッド・リビング(支援型住まい)」、完全介護が必要な高齢者には「ナーシングホーム(介護型住まい)」が用意されている。 「自立型住まい」は、高齢者が自由と尊厳を保ち、できる限り自立した暮らしを送るための住まいである。入居者にとっても、「自立型住まい」に暮らす期間が長ければ長いほど良い。CCRCではできるだけ自立して生活できる時間を長くするためのハード・ソフトが備えられており、健康を維持するプログラムに加え、日常生活支援のサービスも充実し、社交や趣味、文化的行事への参加の機会も数多く用意されている。しかしながら、もし障害などによって生活する上で何らかの支援が必要になると、「支援型住まい」に移ることになる。その目的は高齢者が残存機能をもってできるだけ自立して生活できるケアを提供し寝たきりの防止をすることができる。入居者はそのために、リハビリテーションを受けることができる。常時介護が必要となった高齢者のためには、「介護型住まい」が用意されている。「介護型住まい」では必要な看護・医療サービスがすべて24時間体制で提供されている。CCRCの高齢者が、脳梗塞、心筋梗塞などを発症し、急性期病院に入院した場合でも、CCRCでの受け入れがスムーズに行える。このような環境によって、高齢者に安心・安全なライフスタイルを提供でき、生活の質を向上させることができている。 CCRCの経済的なメリットは、コスト優位を実現していくために規模の経済性、範囲の経済性、習熟効果を高めることができることである11)。まず、支援する高齢者を増やすことで規模の経済性が高まり、固定費を分散させることができる。範囲の経済性とは、経営資源を共有して多様な事業を行うことによって経営効果を高めることを意味する。3タイプの集合住宅を作り、生活支援サービス、医療サービス、介護サービスの提供を行えば、3タイプの集合住宅で夜勤機能、給食機能、事務機能、訪問診療、訪問看護、居宅介護サービスなど共有できるので、経済効率が改善する。習熟効果とは、従業員がサービス業務の中で、学習を積み、業務プロセス遂行タイムを短縮化したりし、業務プロセスを効率化していくことであるが、CCRC全体で従業員を多く雇用することができれば、従業員の研修の質や効率を高めることも可能となり、サービス業務の習熟化を高めることができる。

3、地域包括ケアシステムをみたす日本型CCRC

 高齢者に対し、「継続したケア」(continuum of care)を行うために、自立して生活できる段階から支援や介護が必要な段階まで「生活活動のレベルによって住まいを替えていく」システムによって、生涯、同じコミュニティ内で生活できるというアイデアは普遍性のあるものであると考えられる。一方、日本の介護施設の問題点のひとつは、様々な生活レベルの高齢者に対して同様のサービスを提供していることである。このためサービスのバリエーションに乏しく、「自由や選択が尊重される」というよりも、「収容して管理される」といったイメージが強い。さらに、日本の介護施設は医療との連携を欠くことが多く、脳卒中や急性心筋梗塞などになると介護施設に戻ってくることができなくなりケアの連続性が絶たれてしまうことである。高齢者にできるだけ自立した環境を提供するためには、生活習慣の改善の支援、早期発見早期診断を目的とした健康診断、慢性疾患の管理、リハビリテーション、急性期病院との連携が必要であり、このような医療ニーズに対応するために、医療機関がかかわっていくことの意義は大きい。

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 さて、わが国では土地のコストを考えると、大規模のCCRCの機能をひとつのキャンパスで提供していくことは困難である。そこで、高齢者住宅を中心として生活支援サービス、医療サービス、介護サービスを提供する複合施設を核として、複数の高齢者住宅をネットワークで支援を行う日本型CCRCが現実的な選択肢となると考える。また、日本型CCRCでは地域包括ケアシステムの機能も果たす必要がある。そこで、日本型CCRCとは、「高齢者が年を経るごとに変わっていくニーズに応じて、継続して同じ場所で自分の意思が尊重された生活ができるように、介護の機能をもつ高齢者住宅、リハビリ施設、介護事業所、地域交流センター、在宅療養支援診療所、訪問看護ステーションなどを備えた複合施設を核として、他の自立型、支援型、介護型の高齢者住宅及び高齢者の自宅とネットワークを結び、地域包括ケアの機能も果たす一連のシステムである」と定義する。 日本型CCRCでは、自立型の高齢者住宅をインディペンデント・リビング、支援型の高齢者住宅をアシステッド・リビング、介護の高齢者住宅をナーシングホームと位置づけ、ネットワークを通じて、24時間巡回型訪問サービスを含むヘルスケアサービスを提供することができる。

図1 日本版CCRCモデル

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 日本型CCRCでは、生活支援サービス、健康支援サービス、医療サービス、介護サービスが行われる。表1に自立型、支援型、介護型高齢者住宅で必要なサービスを示した12)。 生活支援サービスは、ケア・チームによる全体サービスの計画、見守り・安否確認サービス、生活相談サービス、権利譲渡の手続きの支援、住居の掃除、メインテナンス、リネンサービス、洗濯サービス、失禁用品のサービス、24時間非常応答サービス、移送サービス、食事サービス、娯楽文化の行事、理美容サービス、ゲストの宿泊サービス、風呂・着替え・食事等の呼びかけサービス、買い物等の支援、行事参加への手助け、風呂・着替え・身支度の介助、食事の介助、歩行の介助、排泄、入浴の介助、移動の介助、部屋での食事サービスからなる。健康支援サービスは、看護師による健康相談サービス、24時間の非常時応答サービス、健康診断、健康食品サービス、生活習慣病の予防、認知障害の予防からなる。医療サービスは、診療の予約、医薬品管理サービス、外来診療、入院医療との連携、救急医療の対応、救急時の他機関への看護師同行、他医療機関の定期受診の看護師同行、訪問看護、在宅医療、24時間対応の訪問看護・在宅医療、事前指示書作成の支援からなる。介護サービスは、ケア・プランの支援、通所介護、訪問介護、24時間対応の訪問介護の支援からなる。高齢者にとって質が高くしかも効率的なケアを行っていくために最も重要なのは医療・介護サービスの理念であろう。それは、かつてのように高齢者を収容し、管理するものではなく、「高齢者の運動機能、口腔機能、栄養状態を高め、さらには認知・情緒面の改善を通じて、生活機能を高め、生きがいや自己実現の達成に向けた支援」を行う姿勢であろうと思われる。

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表1 高齢者健康コミュニティの「住まい」と提供されるサービス

サービスの種類 自立型 支援型 介護型

生活支援サービス

ケア・チームによる全体サービスの計画 ○ ○ ○見守り・安否確認サービス ○ ○ ○生活相談サービス ○ ○ ○権利譲渡の手続きの支援 ○ ○ ○住居の掃除、メインテナンス ○ ○ ○リネンサービス ○ ○ ○洗濯サービス ○ ○ ○失禁用品のサービス ○ ○ ○24時間非常応答サービス ○ ○ ○移送サービス ○ ○ ○食事サービス ○ ○ ○娯楽文化の行事 ○ ○ ○理美容サービス ○ ○ ○ゲストの宿泊サービス ○ ○ ○風呂・着替え・食事等の呼びかけサービス ○ ○買い物等の支援 ○ ○行事参加への手助け ○ ○風呂・着替え・身支度の介助 ○ ○食事の介助 ○ ○歩行の介助 ○ ○排泄、入浴の介助 ○ ○移動の介助 ○ ○部屋での食事サービス ○

健康支援サービス

看護師による健康相談サービス ○ ○ ○24時間の非常時応答サービス ○ ○ ○健康診断 ○ ○健康食品サービス ○ ○ ○生活習慣病の予防 ○ ○認知障害の予防 ○ ○

医療サービス

診療の予約 ○ ○ ○医薬品管理サービス ○ ○ ○外来診療 ○ ○ ○入院医療との連携 ○ ○ ○救急医療の対応 ○ ○ ○救急時の他機関への看護師同行 ○ ○ ○他医療機関の定期受診の看護師同行 ○ ○訪問看護 ○ ○在宅医療 ○ ○24時間対応の訪問看護・在宅医療 ○事前指示書作成の支援 ○ ○

介護サービス

ケア・プランの支援 ○ ○通所介護 ○ ○訪問介護 ○ ○24時間対応の訪問介護 ○

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第7巻 第1号  25 - 31, 2012

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 これらのサービスで特に注意したいのは、「権利譲渡の手続き」の支援と「事前指示書作成」の支援である。高齢者になれば、認知症が発症してくることは珍しくはない。そのような事態に備えて、成年後見制度を利用することで「権利譲渡の手続き」ができる13)。成年後見制度には、軽度の精神上の障害がある方にも対応した「法定後見制度」と、自己決定と本人の保護を重視した「任意後見制度」がある。「法定後見制度」では、本人の判断能力に応じて後見・保佐・補助に分けられる。家庭裁判所が事柄に応じて保護者(成年後見人・保佐人・補助人)を選び、本人の権利を保護するものである。複数の保護者を選ぶことや法人を保護者として選ぶ事もでき、保護者に関する事務が適正に行われているかの監督を行う成年後見監督人が選ばれることもある。そして、身寄りのない方の保護を図るために、市町村長に法定後見などの開始の審判の申立権が与えられている。一方、「任意後見制度」は本人が前もって自分の意思で代理人(任意後見人)となるべき人を選んで、自分の判断能力が不十分になった場合の財産管理や介護、医療の手続きなどについての代理権を与える契約を結んでおくことである。この契約(任意後見契約)は公証人の作成する公正証書にしておく必要がある。任意後見人の事務は、家庭裁判所が選任する任意後見監督人によって監督され、任意後見人の事務の遂行状況は、定期的に任意後見監督人から家庭裁判所に報告されることになる。 「事前指示書」は、本人の精神が健全な状態にある時に、本人の家族、医療に関係者に終末期のケアの意思表示をするものである14)。本人が延命措置を望んでいない場合に事前指示書が存在すれば、病気が不治であり回復不可能となった場合は、延命処置を中止し、苦痛緩和の医療と介護で自然な看取りをすることが可能となる。社団法人全日本病院協会が2011年3月に発表した「胃瘻造設高齢者の実態把握及び介護施設・住宅における管理等のあり方の調査研究」15)によれば、入院患者における胃瘻造設者の割合は、急性期病院が7%、慢性期病院が30%、ケアミックス病院が21%、入所者における胃瘻造設者の割合は、介護老人福祉施設が9%、介護老人保健施設が7%、介護療養型老人保健施設が28%、訪問看護ステーションの利用者における胃瘻造設者の割合は10%であったということである。全国の胃瘻造設者数は約26万人と推計されている。そして、本人が胃瘻を造設することを決定したケースは極めて少なく、胃瘻造設者の9割は寝たきりであるという。そうであれば、胃瘻の造設は本人の意思を反映していない可能性が高いということである。「食事や水分を口から十分摂取できなくなった時は、口から食べることを大切にした自然な経過での看取りをしてください」といった記載があれば、医療機関や施設が経管栄養や中心静脈栄養などの実施を行う必要もなくなる。Quality of LifeのLifeは、「命」、「生活」、「人生」という意味がある。「人生」とは、「誕生」から「死」までの期間である。Quality of Lifeは、本人が決めるものであって他人が決めるものではない。だからこそ、「自分の終末期のケアのあり方を自分で決めること」を支援する必要があるのである。 日本型CCRCは、地域包括ケアシステムの要件である、①医療との連携強化、②介護サービスの充実強化、③予防の推進、④見守り、配食、買い物など、多様な生活支援サービスの確保や権利擁護、⑤高齢期になっても住み続けられる高齢者住宅の整備を満たすことができる。日本型CCRCでは高齢者に新しい安心・安全なライフスタイル(生活様式)や予防サービスを提供でき、生活の質を向上させることができる。また、高齢者が、脳梗塞、心筋梗塞等が発症し、急性期病院に入院した場合でも、CCRCで受け入れがスムーズに行えるために、医療資源の効率的な利用につなげることができる。 ところで、日本型CCRCを機能させるためには必要不可欠な要件がある。まず、高齢者一人ひとりに責任をとる主介護者の存在である。その主介護者が高齢者の情報を管理し、定期的にコミュニケーションをとっておくことが必要である。次に重要なことは、その情報をCCRCのスタッフがアクセスできることが必要である。このシステムがあって初めて、本人の意向にそった継続したケアができる。そして、最後に緊急時の機能するシステムである。発熱、胸痛、意識障害といった症状、脳卒中、心筋梗塞といった疾病に対応するためのマニュアルとそれに対応できる態勢を作っておく必要がある。

4、日本型CCRCのケース・スタディ

 豊資会は福岡県古賀市で医療と介護福祉事業を手がけるグループであり、医療法人豊資会、社会福祉法人豊資会、有限会社プラス、株式会社プラスネットの4法人で構成されている16)。1980年に「加野泌尿器科」として発足し、後に法人化された加野病院を中心として、グループホーム、ケアハウスを拠点に訪問介護、通所介護、小規模多機能型居宅介護などを含む居宅介護支援サービス、さらに配食サービスなど地域の介護・福祉を支えるサービスを行ってきた。2008年には、自立型の高齢者住宅である高齢者専用賃貸住宅を建設し、在宅療養支援診療所、訪問看護ステーションを併設し、2012年には、介護型の高齢者住宅である有料老人ホームを開設し、重度な要介護者へのリハビリ機能を強化した通所介護施設を併設した。 図2に介護型高齢者住宅である有料老人ホーム、リハビリ施設(通所介護)、ヘルパーステーション及び自立型高齢者住宅、在宅療養支援診療所、訪問看護ステーションからなる複合施設を核とする豊資会のCCRCモデルを示した。複合施設は、加野病院、小規模多機能施設、グループホーム、ケアハウスと連携し、より高度な医療機能、介護機能を果たすことができる。

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図2 豊資会CCRCモデル

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 地域包括ケアシステムとの関連では、「医療との連携強化」は、在宅医療は、自立型高齢者住宅に併設する在宅療養支援診療所と訪問看護ステーションを中心に提供している。地域への訪問診療とグループ内施設への月2回の訪問診療を基準として行っている。作業療法士3名、言語聴覚士1名が、訪問リハビリテーションを行っている。24時間対応の在宅医療を行うために、やまびこ診療所の看護師が緊急時の対応はオンコールで対応している。必要な場合には、医師に連絡をし、訪問看護をすべきか、入院なのか等の判断と指示を受ける。患者に関する診療情報については、スマートフォンやタブレットを用いて情報共有を計画している。「介護サービスの充実強化」では、グループホーム、ケアハウス、有料老人ホーム等の高齢者住宅を拠点として、ケアプランサービス、訪問介護、通所サービス、小規模多機能型居宅介護など行っている。「予防の推進」に関しては、ふれあいセンターでは介護予防活動、ふれあいガーデンでは、園芸福祉、世代間交流、野菜作り教室などを行っており、花や野菜を種・苗から育て、ふれあう事で心と身体の健康づくりを行っている。「見守り、配食、買い物など、多様な生活支援サービスの確保や権利擁護」に関しては、へルーパーステーションが担当するとともに、グループで配食サービスも行なっている。「高齢期になっても住み続けられる高齢者住宅の整備」は、自立型と介護型の高齢者住宅を整備している。今後、高齢者の経済力やADLに応じたニーズに合わせた様々な種類の住宅を作り、それらを軸に24時間巡回型訪問サービスを機能させていくことができれば、日本型CCRCのモデルとなりえると考えられる。

5、おわりに

 わが国では病気や障害をもつ高齢者のケアは主に病院や介護施設で行われてきた。今後ますます高齢者の割合が増加し、医療・介護・年金を中心とした社会保障費が急増していくことは避けられず、今までのように病院や介護施設を中心に高齢者ケアを行うことはできない。医療・介護・生活支援サービスの機能をもつ複合施設と自立型、支援型、介護型高齢者住宅を整備し、地域包括ケアシステムの機能を満たしていくことを目的とした日本型CCRCのアイデアは、高齢者ケアのための効果的、効率的なシステムとなる可能性がある。

文献

1) 厚生労働統計協会:人口・人口動態、厚生の指標増刊 国民衛生の動向 2011/2012、東京、377 -385、2011 .2) 国立社会保障・人口問題研究所:日本の将来推計人口(平成24年1月推計)、2012 .3) 社会保障・税一体改革大綱について、平成24 年2月17 日閣議決定.

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4) 地域包括ケア研究会、平成21年度老人保健健康増進等事業による研究報告書・地域包括ケア研究会報告書、2010 .5) 窪田昌行、馬場園明、保健・医療・福祉を統合した米国の高齢者終身ケアコミュニテイーの現状、公衆衛生、59、560 -565、

1995 .6) Kubota M, Babazono A: Utilizing CCRC concept for long-term care policy of Japan: J Health Science, 19 , 31-40 , 1997 .7) American Association of Homes for the Aging (AAHA), Ernst&Young, Continuing Care Retirement Communities: An

Industry in Action, 1989.8) Kohl H. Continuing Care Retirement Communities: Risks to Seniors, Washington: United States Senate Special Committee

Aging, 2010 .9) クルーム洋子、アメリカの高齢者住宅とケアの実情、海外社会保障研究、164、66-76、 2008 .10) 大阪市立大学大学院生活科学研究科、大和ハウス工業総合技術研究所、エイジング・イン・プレイス、東京:学芸出版社、2009 .

11)馬場園明、介護福祉経営士テキスト実践編II②介護福祉マーケティング、東京:日本医療企画、2012 .12)馬場園明、高齢社会での医療機関の多角化戦略、新医療、34、5、26-29、2007 .13)高田利廣、事例別 医事法Q&A、東京:日本医事新報社、1995 .14)池上直已、医療経済学からみた終末期医療、佐藤智編、在宅での看取りと緩和ケア、東京:中央法規、2008 .15) 社団法人全日本病院協会、胃瘻造設高齢者の実態把握及び介護施設・住宅における管理等のあり方の調査研究、平成22年度老人保健事業推進費等補助金、2011 .

16)波多敬子、加野資典、加野豊子、白水松代、豊資会における看取り事例、医療福祉マーケティング研究、6、87、2011 .(2012年9月2日受付、2012年9月27日受稿)

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はじめに

 わが国の国内需要が伸び悩んでいる状況になって久しい。また、中国や韓国の企業との競争が熾烈となり、輸出産業界も停滞する中で、日本の高齢化は世界で一番早い。わが国の高齢者ケアの中心は介護三施設を中心とした施設サービスであったが、医療、介護を必要とする高齢者が急増していくなかで、公的な財源で介護施設を増設していくことは困難である1),2)。国は社会保障と税の一体改革を推し進める中で、2010年に発表された「地域包括ケアシステム」の構築が医療・福祉政策の重要な課題として取り上げられてきた。地域包括ケアとは、ニーズに応じた住宅を作り上げていくとともに、それらを支えていく在宅医療・介護サービスを構築していくことであるが、未だ多くの課題を残している3)。 地域包括ケアシステムが社会に根付いていくには5つの大きな課題がある4),5)。まず、第一に、「施設ケア」中心から「在宅ケア」中心へ国の政策が転換していく必要があるという国民全体の認識の共有化である。次に夜間・深夜・早朝を含む24時間の巡回型訪問介護・看護サービス体制の構築である。三番目に医療と介護を一体的に提供していくために在宅医療と介護の連携である。四番目に自助、互助を促進していくためのボランティア組織の構築である。最後に地域包括システムを支えていく人材の開発、育成である。特に高齢者ケアの分野で働く介護職人材の質の向上とともに、給与水準の向上が大きな課題である6)。 産業の種類を問わず、正しいコンセプトと戦略とやる気のある人材があれば、組織は成長していける可能性は高い。マネジメントの父といわれるP.F.ドラッカー氏は、組織における人材の重要性について次のように述べている7)。「組織は、人の配置にベストを尽くさなければならない。みながそれぞれの強みを発揮できるよう配置しなければならない。そうして初めて成果を要求することができる。」 本論文では、医療法人玉昌会が鹿児島地区での地域包括ケアシステムの拠点として開発した在宅支援複合施設「しあわせの杜ケアレジデンスほりえ」に従事する介護職員のために研究開発した人材評価・育成プログラムを紹介、提案するものである。

ケース・スタディ:地域包括ケアシステム構築のための人材育成プログラム高田 和美1),2) 本村ヨシ子2) 窪田 康紀1) 白城  裕1) 渡辺 純子1)

本田 陽子1) 萩原 隆二1) 高田 昌実1) 窪田 昌行3),4) 馬場園 明4),5)

The human resources development program of healthcare workers toconstruct local comprehensive health care system

Kazumi TAKATA1),2) Yoshiko MOTOMURA2) Yasunori KUBOTA1) Hiroshi SHIRAKI1)

Junko WATANABE1) Youko HONDA1) Ryuji HAGIWARA1) Masachika TAKATA1)

Masayuki KUBOTA3),4) Akira BABAZONO4),5)

1) 医療法人 玉昌会Medical Corporation GYOKUSHOUKAI〒892-0822 鹿児島市泉町2番3号そうしん本店ビル3F医療法人 玉昌会3F Soushinhonten Bldg,2 -3 ,Izumi-cho,Kagoshima-shi,Kagoshima,892-0822 ,Japan Medical Corporation GYOKUSHOUKAI2) 株式会社JOYJOY Co., Ltd.

3) 株式会社CCRC研究所Institute of CCRC Co., Ltd.4) 医療福祉経営マーケティング研究会The society of Health Care Management and Marketing5) 九州大学大学院医学研究院医療経営・管理学講座Department of Health Care Administration and Management, Graduate School of Medical Sciences, Kyushu University

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1 .介護職を育成するためのサービスプロフィットチェーン

 人材育成の重要性については、多くの経営者が言及しているが、経営のバイブルといわれる「マッキンゼー経営の本質“The Will To Mange”」の著者マービン・バウワーは人材育成の重要性について、次のように述べている8)。「あらゆるビジネスの経営はある一つの共通要素を中心に組み立てられている。それは人である。人間ならだれでも持っている欲望、能力、個性、関心、無関心、長所・短所、恐怖心、性格等が経営プロセスで考慮されなかったら、業種や規模を問わずどんな企業でも繁栄を長続きさせることはできない。計画し、決定し、行動するのは所詮人間なのだ。」やはり介護事業の経営においても、人間教育、人材育成を第一に考えなければならない。 一方、サービス業は一般の製造業と異なり、生産現場が一定の工場等の場所ではなく、顧客と従業員が接する点、すなわち顧客接点となり、その接点での従業員の対応の質が顧客満足度に決定的に影響を与える9)。また、従業員のサービス提供の質は従業員の満足度に依存するので、満足度の高い従業員は顧客に提供するサービスの質を向上しようという意欲をもつようになる。その結果として顧客満足度もさらに向上するという連鎖が期待される。このマネジメント手法は多くのサービス業で採用され、効果をあげている。ホテル業界では、クレドで有名なリッツカールトンホテル、医療分野では米国のメイヨークリニックなど多くの医療機関でも活用されている。このマネジメント手法を“サービスバリューチェーン”とよばれ、以下に7つのプロセスを示す10)。(図1参照) 1.価値向上、成長性の原動力は顧客ロイヤリティ(顧客継続率、新規顧客の紹介)である。 2.顧客ロイヤリティの原動力は顧客満足である。 3.顧客満足の原動力はサービスの価値である。 4.サービスの価値は従業員の生産性を高めることで向上できる。 5.従業員の生産性の原動力は従業員ロイヤリティである。 6.従業員ロイヤリティの原動力は従業員の満足である。 7.従業員の満足の原動力は従業員マネジメントの質である。 従って、サービス業においてその品質を決めるのは従業員の満足度に依存するといって過言ではない。逆に従業員が満足して仕事をしない限り、質の高いサービスは提供できないし、顧客は心から満足しないことになる。このため、質の高いサービスを提供するためには、従業員が満足できるようなやりがい、職場環境をつくり、従業員一人ひとりが成長できる人材育成のバックアップシステムが重要である。この点について、前述のバウワー氏は、次のように述べている11)。「リーダーには、三つの責任がある。第一に部下が自信をつけ自分に誇りを持てるようにすること。第二は、部下に倫理規範を示しモラルの向上を図ること。第三に部下が使命を自覚し、人間として成長できるように後押しすることである。」さらに、マネジメントの父といわれるピーター・ドラッカー氏は、マネジメントに三つの役割の中で、”仕事を通じて働く人たちを生かす”ことを強調している12)。「現代社会においては、組織こそ、一人ひとりの人間にとって、生活の糧、社会的な地位、コミュニティとの絆を手にし、自己実現を図る手段である。当然、働く人を生かすことが重要な意味を持つ」と述べ、組織における人材育成の重要性を言っている。

図1 サービスプロフィットチェーン図

� 職場の整備 � 職務設計 � 従業員の選抜と育成 � 従業員の報酬と認知 � 顧客サービス用のツール

� サービス・コンセプト � 顧客にとってのメリット

� ターゲット顧客の ニーズに適合する サービスの設計と提供

� 顧客継続率 � リピート・オーダー � 新規顧客の紹介

社内 サービスの 質

従業員 満足

従業員 定着率

従業員の生産性

顧客サービスの 質

顧客満足度

顧客 ロイヤルティ

売上げと成長

利益率

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2 .ケアレジデンスほりえ

 医療法人玉昌会は、2010年に姶良地区の地域包括ケアシステムの拠点とし、しあわせの杜ケアレジデンス“おはな”を開業してきた。そして、鹿児島地区の地域包括ケアシステムの拠点として、高田病院の対面に、在宅支援複合施設しあわせの杜ケアレジデンスほりえを2011年5月に開業した。在宅支援複合施設「ほりえ」は、住宅型有料老人ホームを核として、1階にデイサービス、2階に小規模多機能施設を併設している。図2にほりえのフロアプラン概要を示す。なお、在宅支援複合施設「ほりえ」の内容を以下に説明する。1)住宅型有料老人ホームの概要 ●開設年月:2011年5月10日 ●居室数:個室27室(3~5階に9室ずつで、夫婦部屋としても利用できるようにコネクティングルームを各階に設けている) ●居室面積:22 .06㎡~23 .75㎡ ●利用料金:月額 150 ,000円(家賃:50 ,000円、食費:40 ,000円、管理費:45 ,000円、光熱水費:15 ,000円) ●入居一時金:なし ●併設事業所:1階に通所介護事業所と地域交流センター        2階に小規模多機能施設  ●医療協力体制:連携病院:高田病院(在宅療養支援病院)         連携歯科:山内矯正歯科

2)入居者の特性 入居者のほとんどが後期高齢者であり、内科的疾患や整形外科的疾患、さらに認知症を複合的に持つ高齢者が多い。平成24年8月10日現在で、24名が入居されており、男女比は男性が5名(20 .8%)、女性が19名(79 .2%)であった。平均年齢は87 .3歳で、平均介護度は2.7であった。表1に入居者の要介護度の分布を示す。これらの入居者に対し、基幹病院であり、在宅療養支援病院である高田病院との連携をとり、入居者の多様な医療ニーズに対応している。 また、高齢者が在宅で安心して暮らせることを目標とした24時間体制の地域包括ケアの構築を目指し、鹿児島市における地域包括ケアシステムの中心となる定期巡回型訪問介護・看護複合サービスの協議書を申請・認可され、来年4月から実施する予定である。

図2 ほりえのフロアプラン概要

6F 住宅型有料老人ホーム(食堂・居間、浴室等共用設備)

5F 住宅型有料老人ホーム(居室 9室)

4F 住宅型有料老人ホーム(居室 9室)

3F 住宅型有料老人ホーム(居室 9室)

2F 小規模多機能施設

1F デイサービス地域交流センター

表1 ほりえ入居者の要介護度入居者数 %

要介護1 7 29.2%要介護2 3 12.5%要介護3 8 33.3%要介護4 3 12.5%要介護5 3 12.5%計 24 100.0%

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3 .人材開発育成プログラム

⑴ 介護職を評価する2つの視点 急速な高齢化が進行する一方、高齢者の介護に従事する人材を確保するのは困難である。また、通常、介護事業者は小規模な法人が多く、単独の法人では人材教育プログラムを開発、教育していくことは容易ではないが、高齢者に行き届いたケアを行える人材育成は重要な課題である。 一般に社会人として学ぶべきこととして、道徳、習慣、知識、技術の四要素があるといわれている13)。そして、社会人として成長していく上において学び、習得していくこととして、道徳・習慣があり、次に知識・技術を習得することによって、社会人として成長していける。この道徳・習慣は「徳性」とか、「人間力」といわれ、多くの経営者がその重要性について言及している。たとえば、京セラを創設し、JAL再生の立役者である稲盛和夫氏もそのひとりである14),15)。稲盛氏は、人生・仕事で成功していくために心と精神をつくっていく人間力の教育の重要性を強調している。そして、成功の方程式として、「人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力」を提言している。稲盛氏はこの中の能力、熱意はそれぞれ0点から100点までであるが、考え方とは、人間としての生きる姿勢であり、マイナス100点からプラス100点まであると言っている。すなわち、人生・仕事の結果はこの3つの要素の積であり、考え方がマイナスであれば、どんなに能力、熱意があっても、成功できないということである。この考え方は、前向きな心、素直な心、謙虚さで構成され、これが人間力の根源でもある。 サービス業の世界では、稲盛和夫氏の考え方、人間力による態度は、「接遇」という概念で育成されてきた16),17)。そこで、この人材育成プログラムでは、提案する人材評価の基準として、接遇と介護技術(知識と技能)の二つの視点に立って介護職員を評価することにした。

⑵ 人材評価プログラム このプログラムは①接遇評価プログラム、②介護技術(知識と技能)プログラムの2つで構成される。評価の段階では、管理者、人材コンサルタント、および本人が100%スケールで、それぞれのスキル、知識、行動を評価し、どの段階にあるかを知ることができる。① 接遇評価プログラムA 評価対象 本研究の対象は、住宅型有料老人ホームしあわせの杜「ほりえ」の介護職員とした。なお、有料老人ホーム「ほりえ」では、介護職員を“ヒューマンヘルスケア・スタッフ”と呼んでいる。単純にヘルパー、訪問介護員と呼ばない理由としては、住宅型有料老人ホームで働くケアスタッフは、住宅型有料老人ホームの運用上、次の3つの仕事があるからである。 1.訪問介護事業の訪問介護員 2.有料老人ホームの業務(食事の提供、清掃等、管理費に含まれる内容) 3.入居者の多くが利用するデイサービスのサポート業務B 評価内容と方法 接遇の評価については、次の10項目を評価した。すなわち、①その人らしさへの対応(個別処遇)、②挨拶、③言葉使い、④責任感、⑤マナー、⑥報告・連絡・相談、⑦身だしなみ、⑧相手の立場に立った態度、⑨やる気(積極性)、⑩法人理念の理解 とした。 評価方法は、それぞれの項目について、0-100%スケール評価とし、「0」はまったくできていない、「100」は100%出来ているとした。図3に、接遇評価指標表を示す。C 評価者と評価期間 接遇の評価者は、有料老人ホーム管理者、人材コンサルタント、本人とした。表1に接遇評価表を示す。なお、評価期間は平成23年7月~8月とした。D 評価結果 接遇の評価結果を表2、図4に示す。管理者の評価が一番高かったのは、挨拶の「下から目線」と「いつも先に挨拶ができる」で79 .2%であった。次が居室への出入りの作法(声かけ)78 .3%であった。人材コンサルタントが評価した内容は、1.身だしなみ83 .3% 2.挨拶(いつも先に挨拶ができる)80 .8% 3.入居者の部屋出入りの作法声かけ、一礼80 .0%であった。本人の評価は、1.理念を考えての行動(すべてに感謝する)81 .3%、2.挨拶(明るい声と笑顔)79 .2%、3.挨拶(いつも先に挨拶ができる)が評価の高い順番であった。三者とも挨拶に対する評価が高かったのは、開設当初から、サービス業である介護事業における接遇の基本は挨拶であると教育してきた結果かと思われ、教育の徹底、継続性の効果があったことが判明したことになる。 評価が一番低かったのは、管理者については報告・連絡。相談の徹底65 .8%、人材コンサルタントは、責任をもって最後まで

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できる74 .2%、本人は言葉使いと敬語65 .4%であった。また、10項目全体の平均値は、管理者が75 .2%、人材コンサルタントが77 .5%、本人が73 .5%と本人の評価が一番低かった。(表1参照) 自己評価については、本人の評価は一番低かったが、個人差は大きく、図5に示すとおり、自己評価の高いスタッフ、低いスタッフ、同評価のスタッフがあり、それらを踏まえ、本人の評価と管理者、人材コンサルタントの評価の違いの大きい項目について、面談をし、改善の対策を話し合っていくことで、人材教育に効果が上がっていった。

図3 接遇評価指標

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表2 接遇の評価結果表

図4 接遇の評価結果図

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図5 評価の3タイプ

Aタイプ評価がほぼ一致する場合

Bタイプ本人が自分を過小評価する場合

Cタイプ本人が自分を過大評価する場合

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② 介護技術評価プログラムA 評価対象 評価対象は、接遇と同じ住宅型有料老人ホームしあわせの杜「ほりえ」のヒューマン・ヘルスケア スタッフとした。B 評価内容と方法 介護技術の評価については、出来る限り具体的に細分化したほうが、スタッフは自分の介護技術がどのようなレベルにあるか理解しやすく、学習へも対応しやすいと考えたので、次の13項目とした。すなわち、①排泄、②移乗、③服薬管理、④口腔ケア、⑤更衣、⑥記録、⑦オムツ交換、⑧交換、⑨リネン交換、⑩食事、⑪入浴介助、⑫巡視、⑬認知症対応とし、さらに表3に示すようにそれぞれの項目について3つの具体的な内容とし、評価した。C 評価者と評価期間 介護技術の評価者は人材コンサルタントと本人とした。その理由としては、有料老人ホーム管理者は介護経験者ではないので、適切な評価ができないからであったからである。図6に介護技術評価表を示す。なお、評価期間は接遇と同じ平成23年7月~8月とした。D 評価結果 介護技術(知識と技能)について、二者の評価結果を表4、図7に示す。人材コンサルタントが高い評価を行ったのが、1.巡視時の声かけ79 .2%、2.入浴介助時の脱健・着患77 .9%で、3番目には、服薬管理時の名前確認、更衣時の声かけ、入浴時の安全確認、巡視時間の徹底も4項目が77 .5%であった。本人が高い介護技術評価を行ったのは、1.服薬管理時の名前確認91 .7%、2.入浴介助時の脱健・着患89 .0%、服薬管理時の3人での確認(準備する人、確認する人、飲ませる人)88 .2%であった。二者とも服薬管理の確認徹底を評価したのは、開設当初、服薬ミス、ヒヤリハットがあり、その対策を話し合い、改善してきた結果が評価の高さにつながったと思われる。 評価が一番低かったのは、人材コンサルタントは、ADLを把握しての移乗介助と嚥下状態を確認しての食事介助67 .5%であった。本人は、ADLを把握しての移乗介助65 .0%であり、介護技術として教育が必要なことは、人材コンサルタント、本人とも移乗介助と評価が一致した。そこで、介護の基本である、移乗介助、食事介助の重点教育の必要性が浮き彫りになった。なお、介護技術全体の平均点は、人材コンサルタントが73 .6%、本人が78 .0%と、接遇の比べ、本人の評価が高いことがわかった。

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表3 介護技術評価内容

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図6 介護技術評価指標

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表4 介護技術の評価結果表

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1.1 1.2 1.3 2.1 2.2 2.3 3.1 3.2 3.3 4.1 4.2 4.3 5.1 5.2 5.3 6.1 6.2 6.3 7.1 7.2 7.3 8.1 8.2 8.3 9.1 9.2 9.3 10.1 10.2 10.3 11.1 11.2 11.3 12.1 12.2 12.3 13.1 13.2 13.3 平

本人

80

80

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100 100 100 100 100 100 100 100 100

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92

コンサルタント

80

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コンサルタント

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コンサルタント

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83

本人

90

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70

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73

コンサルタント

80

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本人

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30

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80

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コンサルタント

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コンサルタント

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コンサルタント

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60

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70

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62

コンサルタント

80

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80

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本人

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90

60

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90

53

コンサルタント

50

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60

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56

本人

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コンサルタント

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本人

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94

コンサルタント

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本人

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99

60

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90

60

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80

70

コンサルタント

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50

50

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50

60

60

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60

50

50

50

50

50

50

本人平均

74.2 81.1 75.0 79.2 65.0 74.1 88.2 91.7 85.4 78.1 72.9 78.8 82.4 81.7 72.1 74.9 60.8 55.4 84.1 85.2 72.3 70.8 70.4 77.5 75.0 81.6 73.3 76.7 71.3 80.8 89.0 83.7 83.2 82.9 84.0 79.9 69.2 85.8 82.5 78.0

コン平均

72.5 75.0 75.0 75.0 67.5 75.0 76.7 77.5 77.5 74.2 72.5 72.5 74.2 77.5 75.0 73.3 70.0 68.3 76.7 76.7 73.3 69.2 69.2 70.0 70.8 75.0 71.7 68.3 67.5 73.3 77.9 77.5 75.8 79.2 77.5 76.7 70.0 70.8 72.9 73.6

全体平均

73.3 78.0 75.0 77.1 66.3 74.5 82.4 84.6 81.5 76.1 72.7 75.6 78.3 79.6 73.5 74.1 65.4 61.9 80.4 80.9 72.8 70.0 69.8 73.8 72.9 78.3 72.5 72.5 69.4 77.0 83.5 80.6 79.5 81.0 80.8 78.3 69.6 78.3 77.7 75.8

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図7 介護技術の評価結果図

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おわりに

 地域包括ケアシステムの中心となる在宅介護事業、高齢者住宅事業が普及していく中で、全国的に介護スタッフの人手不足は深刻な問題となっており、介護従事者の育成は重要な課題である。介護従事者の全体の平均勤続年数は4.4年、年間離職率は16 .1%、全産業平均の14 .4%より、1.7%高い。現場からは、「仕事がきついわりに賃金が低い」、「時間に追われるばかりで利用者と向き合えない」といった不満の声が多く、介護の現場は慢性的に人手不足である18)。現在、介護従事者は140万にとどまり、地域包括ケアシステムの構築の目標年度である2025年までに介護従事者を250万人に増やさなければならないといわれ、あと10年余りで110万人の介護人材を育成していく必要がある19)。 介護職を確保、育成していくために、賃金を引き上げれば離職率が低下するかといえば、そう単純ではなく、働き続けられるように工夫していく必要がある。その際、賃金も含め、サービスの質と職場環境の向上に取り組んでいくことが重要である。従業員が満足しない限り、サービスの質を高めることはできない、従業員が満足するには、職場環境とともに、仕事のやりがいをそれぞれが見つけていくことではないかと考える。やりがいを見つけていくには、高齢者に喜んでもらえるサービスが提供できるような具体的な目標を設定していくことは効果的な方法といえる。 本研究では、住宅型有料老人ホームで働く介護スタッフに接遇という仕事への姿勢と知能、技能向上の目標を設定するために、第三者評価と本人評価を行い、フィーバックしていくことにより、介護職のレベルアップを行うと共に仕事の意義、やりがいを育成することができるプログラムを検討提案した。一方、まさに時機を同じくして、政府は仕事上の実践的な能力を全国統一基準に基づいた「段位」で業種ごとに評価する新制度を立ち上げ、介護、温暖化対策、農漁業高度化の3分野を対象として年内にも段位認定を始める計画である。今後は、本人材育成プログラムを国の段位制度とも整合性をはかり、プログラムをさらに実践的、効果的なものに改善していきたいと考える。

参考文献

1) 総務省・内閣官房、医療・介護に係る長期推計(主にサービス提供体制改革に係る改革について)、20112) 東京大学高齢社会総合研究機構、「2030年超高齢未来」、東京、東洋経済新報社、2010年3) 地域包括ケア研究会、平成21年度老人保健健康増進等事業による研究報告書・地域包括ケア研究会報告書、2010年3月4) 山下正策、窪田昌行他、姶良市高齢者自立支援コミュニティ構想~在宅支援複合施設を核とした地域包括システムの構築~、

医療福祉経営マーケティング研究、第5巻第1号、2010、37-575) 下村徹郎、窪田昌行他、地域コミュニティに根ざした介護療養病床の転換戦略~医療法人竜門堂 大野病院~、医療福祉経営

マーケティング研究、第6巻第1号、2011、27-446) 下水流智和、馬場園明他、地域包括ケアシステム構築のための在宅支援複合施設の活用、医療福祉経営マーケティング研究、

第6巻第1号、2011、27-447) ピーター・ドラッカー、「非営利組織の経営」、東京、ダイヤモンド社、2007年8) マービン・バウワー、「マッキンゼー経営の本質-意思と仕組み-」、東京、ダイヤモンド社、20049) ヤン・カールソン、「真実の瞬間~SASのサービス戦略はなぜ成功したか」、東京、ダイヤモンド社、200510)DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー編集部、「いかにサービスを収益化するか」、東京、ダイヤモンド社、200511)エリザベス・ハース・イーダスハイム、マービン・バウワー、東京、ダイヤモンド社、200712)ピーター・ドラッカー、マネジメント【エッセンシャル版】、東京、ダイヤモンド社、200113)伊与田覚、己を修め人を治める道『大学を味読する』、東京、致知出版社、200814)稲盛和夫、心を高める、経営を伸ばす、東京、PHP研究所、199515)稲盛和夫、生き方~人間として一番大切なこと、東京、サンマーク出版、200416)平林都、平林都の接遇道~人を喜ばせる応対のかたちと心、東京、大和書房、200917)岩崎玲子、「リーダーのためのモチベーション・マネジメント」、東京、PHPエディターズ・グループ18)財団法人介護労働安定センター、平成23年度介護労働実態調査~介護労働の現状について~、201219)厚生労働省、医療・介護制度改革について、2011

(2012年9月5日受付、2012年10月18日受稿)

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発表者へのお願い

座長・司会、討論者・質問者へのお願い

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特 別 講 演

荒 木 登茂子(九州大学)

高齢者の心と介護

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医療福祉経営マーケティング研究

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教 育 講 演

馬場園 明(九州大学)

新たな在宅医療の構築に向けて

医療福祉経営マーケティング研究

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地域中核公立病院における医療・経営状況の急激な悪化の要因に関する検討(2)

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地域中核公立病院における経営危機の再生策-田川市立病院の事例

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医療福祉経営マーケティング研究

第7巻 第1号  80, 2012

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医療福祉経営マーケティング研究

第7巻 第1号  81, 2012

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医療福祉経営マーケティング研究

第7巻 第1号  82, 2012

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医療福祉経営マーケティング研究

第7巻 第1号  83, 2012

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医療福祉経営マーケティング研究

第7巻 第1号  84, 2012

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医療福祉経営マーケティング研究

第7巻 第1号  85, 2012

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医療福祉経営マーケティング研究

第7巻 第1号  86, 2012

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事務局便り

人間の復興は

 今年は、二度ほど(7月と10月)、東北被災地と原発被害地の私的な視察をすることができた。福岡空港―岩手花巻空港―盛岡市―宮古市(一泊目)。宮古市からレンタカーで(三陸鉄道はズタズタ)被災地めぐりを開始した。リアス式海岸を北上して田老地区へ、それから反転して国道45号線を南下。陸中山田―大槌―釜石―大船渡(2泊目)―陸前高田―気仙沼―石巻(3泊目)―仙台―南相馬―警戒解除区域―警戒区域(非常線まで)―仙台(4泊目)―福岡空港の行程であった。 国道45号線から出来るだけ支線にそれ、津波に流された地域に立ち入り、出来るだけ地元の人と会って会話することに。多くの人々が亡くなったことから聞きづらかったものの、「あの時どこにいたの、どうして助かったのですか」と聞くと、様々な情景を話してくれた。まさに今、津波に私自身が会っているような気分に襲われ、「助かるってこんなものか、死ぬってこんなものか」と身震いした。「あと半年早く来られれば良かったのに」と言われ恐縮した。何のこと言っておられたかは直ぐに理解した。 主な道路は平地と比べて異様に高い。1mから1.5mは陥没した為、道路だけ嵩上げ工事したからである。平地は海スレスレに。陸前高田市、大槌町は何にも無く広大な平地の様。「人間の復興」はまだ遥かに先のことのように思われる。(ここのところが会話の中では云えない悲しい現実―みなさんは希望を捨てず「人間としての復興」に頑張っている時に)。しかし、港や浜辺では、襲われた恐ろしい海に再びもどって、漁業をはじめている。ここに、唯一の人間としての営み、活気がありようやく癒されるものを感じたものであった。 東北、三陸海岸は、日本のチベットと呼ばれ久しい。「今でもそうだ」という人がいた。だからなのか、原発が進出しやすい地帯だったのだ。原発を受入れ、誘致、莫大な補助金に傾き、それに群がったとしても、その人たちにはなんの「罪」はない。 行程の3日目、南相馬市から10キロ先の警戒線まで車で。南相馬市は、あの時、7万人のうち6万人が数日にして強制避難で逃げたという。警戒区域の一部が解除ところは「死んだような町」。誰もいない。家がたくさんあっても人がいない町。不気味である。犬、猫、動物は野良で暮らし、やがて「安楽死」することしかない。それが幸せかもしれない。非常線の機動隊員に接近して初めて「人の息」を感じたものであった。 タクシーの運転手さんに、「元に戻るにはいつでしょうね」と問いかけると「あと20年はかかるでしょう」と返ってきた。私は云えなかった「後50年からそれ以上はかかるのでは」と。悲しい。希望と現実の区別がつかない。そして、怒りがわいてきた。「原発が安全というなら爆発した原発を修繕して稼働させたらどうか」と思わず車の中で叫んだ。江戸時代から数百年かけて干拓してきた広大な農地と山林。原発と運命を共にしなければならなかったのか。そして、核燃料の燃えカスは、10万年保管しなければならないと云う。気の遠くなるような話。それを子孫は許すだろうか。10万年後には人間は地球にはいないのかも知れない。 このころ、政治の世界では「社会保障の一体改革」として、一般消費税法案と赤字国債発行の自動化法案が取りざたされていた。これが、財政再建の恒久的な施策になるかは「大変なバクチ」とみる。根幹の財政づくりとは何かを追求しなければならない。そうしなければ、「財政無政府主義」におちいって、日本の資本主義社会の健全な発展に希望をもてず、「弱肉強食の社会」「人々の絆を尊敬できない社会」に変貌してしまう恐れを抱くのは多数の人々の思いではないだろうか。

・        ・ 本誌は、少ない財源のなかで発行し続け、今回で第7巻を数え、たくさんの論文、資料を提供してきた。今後、医療福祉経営の「宝庫」になることを切に願うものである。読者、利用者の方々からも是非、編集委員会にご意見を賜り、「よりよい研究誌」になるように御指導、御鞭撻をお願いいたします。 

                            (事務局長 山﨑哲男)

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医療福祉経営マーケティング研究

第7巻 第1号  87, 2012

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医療福祉経営マーケティング研究

第7巻 第1号  89, 2012

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医療福祉経営マーケティング研究

第7巻 第1号  90 - 92, 2012

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医療福祉経営マーケティング研究

第7巻 第1号  90 - 92, 2012

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医療福祉経営マーケティング研究

第7巻 第1号  90 - 92, 2012

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医療福祉経営マーケティング研究

第7巻 第1号  93, 2012

Page 97: 第7巻 第1号 2012年10月1日 - hc-market.net

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The Society of Health Care Management and Marketing

������ � Editorial Board

������� �� �� Editor-in-Chief: Akira BABAZONO

�������� �� ��� Associate Editor: Akito HAGIHARA

� � � ��� ��� ���� � Tomoko ARAKI

� ��� ��� � Toshihide TSUDA�

� ��� ��� � Masayuki KUBOTA

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TEL:092-651-4565� � � FAX:092-651-4565o

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医療福祉経営マーケティング研究

第7巻 第1号  94, 2012

Page 98: 第7巻 第1号 2012年10月1日 - hc-market.net

ISSN� 1881-297X

Vol. 5� No.1� � � 1st, October� � � 2010

Preface

Chief Director� Akira BABAZONO

Original

An analysis of the break-even point in radiotherapy using a linear accelerator (Linac)

in Nagano ����� Satoru FUJIOKA

Effects of new nurses’ self-awareness and stressors on their early retirement ���17

Satoru FUJIOKA

The Study to Improve Consultation Rates for Breast and Cervical Cancer Screening

in Fukuoka ���27

Nobuko KUBO, Akira BABAZONO

Case Study

The Concept of Independence Promotion Community for the Elderly in Aira City

- Development of Local Comprehensive Health Care System based on Senior Housing

with Health and Welfare Care Facilities -

- Kajiki Hot Spring Hospital, Medical Corporation of Gyokusyoukai - ���37

Shousaku YAMASHITA, Ryuji HAGIHARA, Kazuhisa DAITOKU,

Hiroyuki YOSHINAGA, Youko HONDA, Junko WATANABE,

Tomokazu SIMODURU, Takao YAMASAKI, Kazutaka SUGIMURA,

Kazumi TAKATA, Kiyomi TESAKI, Hiroyuki WATANABE,

Masachika TAKATA, Masayuki KUBOTA, Akira BABAZONO

Report

Report of the Regular Meeting (11th, 12th, 13th, 14th, 15th, 16th) ���59

News

Researcher� Masashi SAKAGUCHI ���65

Information

The 1st Annual Meeting of the Society of Health Care Management and Marketing ���67

The Regulations of the Society

The Regulations of the Society of Health Care Management and Marketing ���68

Instructions for Authors

Instructions for Authors�Japanese�English� ���71

Editor's note

Editor� Akito HAGIHARA ���72

Japanese Journal of Health Care Management and Marketing

The Society of Health Care Management and Marketing

Preface     Chief Director Akira BABAZONO

Original      Study of the indicators of affordable healthcare planning using electronic medical

claim data       Takumi NISHI, Toshiki MAEDA, Akira BABAZONO      Regional variations in healthcare services for patients treated by hemodialysis in

Fukuoka       Tomoharu SARUWATARI, Takumi NISHI, Akira BABAZONO      Estimation of the consultation rate for cancer screening by a mail questionnaire

survey in Kitakyushu City       Sanae NAGAMOTO, Toshiki MAEDA, Akira BABAZONO

Case Study      The concept and model of Japanese Styled Continuing Care Retirement     Community to cover comprehensive district care system        Akira BABAZONO, Masayuki KUBOTA, Keiko HATA,        Motonori KANO, Toyoko KANO     The human resources development program of healthcare workers to     construct local comprehensive health care system       Kazumi TAKATA, Yoshiko MOTOMURA, Yasunori KUBOTA, Hiroshi SHIRAKI,       Junko WATANABE, Youko HONDA, Ryuji HAGIWARA, Masachika TAKATA,       Masayuki KUBOTA, Akira BABAZONO

Program and Abstract       The program of the 2nd Annual Meeting of the Society of Health Care Management

and Marketing(Fukuoka, Japan, 3, Mar, 2012)

Report      Report of the Regular Meeting (24th, 25th, 26th, 27th, 28th, 29th, 30th)

News

Information      The 3rd Annual Meeting of the Society of Health Care Management and Marketing

The Regulations of the Society     The Regulations of the Society of Health Care Management and Marketing

Instructions for Authors      Instructions for Authors(Japanese・English)

Editor's note      Editor Toshihide TSUDA

Vol. 7 No.1   1st, October   2012

ISSN� 1881-297X

Vol. 5� No.1� � � 1st, October� � � 2010

Preface

Chief Director� Akira BABAZONO

Original

An analysis of the break-even point in radiotherapy using a linear accelerator (Linac)

in Nagano ����� Satoru FUJIOKA

Effects of new nurses’ self-awareness and stressors on their early retirement ���17

Satoru FUJIOKA

The Study to Improve Consultation Rates for Breast and Cervical Cancer Screening

in Fukuoka ���27

Nobuko KUBO, Akira BABAZONO

Case Study

The Concept of Independence Promotion Community for the Elderly in Aira City

- Development of Local Comprehensive Health Care System based on Senior Housing

with Health and Welfare Care Facilities -

- Kajiki Hot Spring Hospital, Medical Corporation of Gyokusyoukai - ���37

Shousaku YAMASHITA, Ryuji HAGIHARA, Kazuhisa DAITOKU,

Hiroyuki YOSHINAGA, Youko HONDA, Junko WATANABE,

Tomokazu SIMODURU, Takao YAMASAKI, Kazutaka SUGIMURA,

Kazumi TAKATA, Kiyomi TESAKI, Hiroyuki WATANABE,

Masachika TAKATA, Masayuki KUBOTA, Akira BABAZONO

Report

Report of the Regular Meeting (11th, 12th, 13th, 14th, 15th, 16th) ���59

News

Researcher� Masashi SAKAGUCHI ���65

Information

The 1st Annual Meeting of the Society of Health Care Management and Marketing ���67

The Regulations of the Society

The Regulations of the Society of Health Care Management and Marketing ���68

Instructions for Authors

Instructions for Authors�Japanese�English� ���71

Editor's note

Editor� Akito HAGIHARA ���72

Japanese Journal of Health Care Management and Marketing

The Society of Health Care Management and Marketing

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