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オープンパズルが完成する時代のアプローチ
村の青年が町に出る物語
2014年2月14日株式会社オークニー代表取締役 森亮
地球観測データ利用ビジネスコミュニティ(BizEarth)定期講演会
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会社の紹介• 2002年設立、横浜に本社
• 資本金5492万5千円
• 地理空間情報分野のオープンソース(FOSS4G)の先駆的企業
• 特にWebアプリケーション開発に強み
• FOSS4Gコミュニティのフロント企業としての役割も
• OSGeo財団日本支部の事務局を設置
• 文科省の「宇宙利用プロジェクト」(地球観測技術等調査研究委託事業)を継続して実施中
• 2013年3月に米国salesforce.com inc.等から出資を受ける
• 以降、フィールド業務向けのCRMアプリケーションをクラウドで提供する企業に業態転換
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1つの寓話
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この作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ありません
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村の(元)青年
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村の青年は、専門の技術を活かして手堅く商売をして
きました
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青年は、その技術を皆にオープンし、イベントを開催したりして宣伝し、皆が使えるように広めていきました
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広まった技術を使い、多くの人が商売を始めました
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その技術のすばらしさに町の企業が目を付けました
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町の企業は資本力を使ってサービスを大々的に展開し
ました
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いつの間にか、人々はその技術の恩恵を受けるように
なりました
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しかし、村の青年の元には、その恩恵はわずかしか
ありません
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それどころか、旨みのあった仕事が徐々に減る兆しが
出てきました
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幸い、村では、役場からの助成金や実証実験や災害復興事業があったので、当分食うには困りません
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それでも、青年は思い切って町に出ることにしました
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遅かれ早かれ、今までの仕組みが通用しない時が来る
と感じたからです
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幸い、青年の持っている技術は活用できそうに
感じました
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しかし、
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技術をそのまま買ってくれる人はおらず、それが生み出す具体的な価値を期待されました
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顔見知りの役場や農協が相手だったのとは違い、様々なお客様に提案しなければなりません
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必要が無いものは売れないし、かかったコストではなく、相手が認めるだけの対価しか得られません
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村では通用していたロジックは町では通らないことを
痛感しました
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青年はつくづく村での商売が楽なものであったのかを
思い知りました
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青年はそこで初めて、製品作り、マーケティングと営業の大切さを学びました
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むしろ、ビジネスにはそういうものこそが重要であることがわかりました
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実はそれ以上に、資金(リスクマネー)が必要なこと
を知りました
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村で長年かけて貯めたお金はあっという間に無くなっ
てしまいました
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いつしか青年の最優先の仕事は、お金を集めることに
なりました
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町のお金持ちが重視したのは、市場の大きさ、プロダクトの優位性と経営陣でした
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幸い青年は町に住むお金持ちの外国人から資金を得ることができました
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でも、村とは違って短期間で大きな成果を上げるよう
に求められます
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毎日朝から夜まで東奔西走、満足に眠ることもでき
ません
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青年はそれに納得しています町でのビジネスは厳しいけれども、やりがいがあります
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今でも時々村での和気あいあいとした生活が懐かしく
なります
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でも、もう戻りたいとは思いません
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村の財政は破綻しつつあり、遠からず食えなくなる
からです
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例え青年が村から出なくても、他の誰かがそれをした
はずです
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しかも、町で獲得したお客様は、いろいろな要望やア
イデアをくれます
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専門の技術はこうやって活かすことも幸せなのだと
わかりました
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青年は呼びかけます「一度で良いから村から出てみよう」
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完
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「オープン」というトレンド
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Open SourceOpen DataOpen AirOpen ...
流行っています
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いろいろな「オープン」• オープンソース• プログラムのソースコードが公開されている
• FOSS4Gツールもこの一つ
• オープンスタンダード• 標準となるべく仕様や規格が公開されている
• オープンデータ• データとその仕様が公開されている
• OpenStreetMapもこの一つ
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オープンというトレンドが行き着く先
• ジオはコモディティになる• 誰もが、いつでも、制限無く利用できる
• ハードウェア、ソフトウェア、そしてデータも・・・
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そして、オープンデータ
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4つのうち、3つ揃っている
✓ ハードウェア
データ ✓ ソフトウェア
✓ コミュニティ
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オープンデータは「オープンパズル」の
最後のピース
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4つ全部揃えば市場成立の障害は無くなる
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今後、これを前提としてビジネス・サービスが
広がる
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オープンソースGISについて特に、最近感じる
ホットなトレンドは二つ
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1. データを徹底的にいじくる2. 結果をすぐに配信する
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データを徹底的にいじくる• QGISやGRASS GISの利用者が日本でも急増
• 機能強化が加速
• 商用ツールの高価なエクステンションに対応する機能も多い
• 日本語対応
• OSGeo財団日本支部のメンバーが尽力しています
• 使い方が学べる
• 各地で講習会も開催されるようになっています
• 使い方を紹介した日本語のサイトも増えています
• QGISとGRASSは出版物もあります
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結果をすぐに配信する• MapBoxの成功
• http://www.mapbox.com
• 自分の「地図」を配信できるクラウドサービス• ベースマップはOpenStreetMapで、その上に簡単に主題図をオーバーレイできる
• 月額5ドルから、手頃な料金プラン
• サービス開始からまだ丸2年少々で、Foursquare, USA
Today, Evernote, Greenpeaceなどが採用
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データをいじくる
結果を配信する
配信システムを構築する
数年前まで
なかなか手頃なデータが見つからない
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データを徹底的にいじくる
結果をすぐに配信する
ネットからデータをダウンロード
今なら
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データを徹底的にいじくる
結果をすぐに配信する
ネットからデータをダウンロード
今なら
オープンデータ
GRASSQGIS
R
MapBoxCartoDB
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システム開発が不要になってきているのです
徐々に
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システム開発は、利用者にとってボトルネックでした
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お金も時間も知識も要るからです
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そこから解放される日が来つつあります
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昨年9月にノッティンガムで開催された
FOSS4G2013でも
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発表の話題とワークショップの講義内容は
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まるで「QGIS/GRASSカンファレンス」
でした
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もう1つ目立ったのは、「結果をすぐに配信する」
サービス群です
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MapBoxやGartoDBのセッションです
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システム構築に関わるMapServer, GeoServer, PostGISの話は以前のような人気はありません
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見えているのは、利用者とサービス事業者の
時代
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イノベーションは専門家ではなく利用者とサービス事業者から出てきます
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専門家が安住できる領域はどんどん減っていきます
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オークニーは、専門家であることを自ら捨て、サービス事業者に業態転換を進めています
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もちろん、技術が活かせる領域での転換を意識してい
ますが・・
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でも、技術領域にこだわりすぎると、事業が成長しないこともわかりました
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そういうことを失敗をしながら一つ一つ学んでいます
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最近は「地図」「GIS」という言葉をあえて言わないよ
うにしています
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そうした体験は素晴らしいものです
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村を出て町に来て良かったと感じています
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まだ、成功は遠いですが・・(^^;)
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ご静聴ありがとうございました
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