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[47]
単気筒エンジンのバランスについて
明治大学 機械工学科 機械設計製図2
宮原眞人
2017年5月18日
資料集:バランスウェイトの検討〔43〕
[47]目次
回転体のアンバランスと振動
アンバランスによるエンジンの振動
クランク機構の運動解析
コンロッドの動きの解析
回転運動と往復運動に分解して考える
回転運動部のバランシングを考える 資料集〔34〕
回転部質量の計算方法 資料集〔24‐1〕
往復運動部のバランシングを考える
振動をできるだけ小さくするには?
提出計算書
参考資料
振動はできるだけ小さくしたい
振動や騒音は人に不快かつ有害
エンジンや装置の耐久性を阻害する
エンジンの構造や使用目的によって
アンバランス対処方法は異なる
回転体のアンバランスによる振動*振動モータ (スマートホンのマナーモード用)
単気筒エンジンのバランスを考える
クランク機構 の運動解析**
ピストン
コンロッド
クランク軸
ピストン = 往復運動
コンロッドは 複雑な動き
クランク軸 = 回転運動
クランク機構の運動を 「往復運動」 と 「回転運動」に分解**
コンロッドの動きを解析**
コンロッドの動き解析の結果**
コンロッド 上部 (1/3)は 「往復運動部」に等価
コンロッド 下部 (2/3)は 「回転運動部」に等価
コンロッドは上部1/3と下部2/3に分けられる**
コンロッドの取り扱い*
1. 大端部を回転部とし、小端部を往復動部と捉える。2. 大端部質量はコンロッド全体の2/3とし、
一方、小端部質量を1/3とする(経験値)。1. コンロッド全体の質量はクランクピン質量の2倍とする。従って
大端部の質量はクランクピン質量の1.33倍(多数のエンジンの平均値)とする。
m=1.33πD2L/4 ρ
始めに回転運動部のバランシングを考える**
回転運動部のバランシング**
回転バランスの基本はモーメント**
クランク軸
m1
m2
r1
r2
r1 r2
m2m1
m1 × r1 r2m2×=
回転運動用
バランスウエイト
を追加
回転運動部のバランシング**
実際のエンジンで、バランスをとるには?
バランスウエイト(赤)により回転部質量(緑)との回転バランスをとる
回転バランス
回転する部分のモーメントを釣り合わせる
クランク軸のクランクピン側のモーメントとバランスするモーメントを
クランクピンの反対側に取り付けるバランスウエイトによって発生させる
上側 ・コンロッド大端部:m1
・クランクピン:m2
・クランクアーム:m3
下側 ・バランスウエイト(クランクアーム下半分):m4
従って m1r1+m2r2+m3r3=m4r4 とすれば回転はバランスする
回転部質量の計算方法*
クランクシャフト
大端部質量= クランクピン x 1.33
クランクピン側
バランスウェイト側
質量と回転半径の計算方法*
三角形の面積と重心
扇形の面積と重心
角錐台の体積と重心
各部の重心とジャーナル中心の距離
計算結果サンプル 資料集〔24‐1〕 クランクピン側
計算結果サンプル クランクピン反対側
回転バランスの検討は以上
なお、CADSUPERの面積計算、面芯計算機能を使ってEXCELでの計算のを確認する事ができる。*
次に 往復運動部のバランシングを考える**
ここで 回転運動部 は除いて考えると
往復運動の バランシングは 逆方向の往復運動で
ピストン往復運動
往復運動用
バランスウエイト
往復運動用
バランスウエイト
追加
左右方向に 新規振動
往復方向はバランスしたが、
左右方向に 新規振動
往復方向はバランスしたが、
左右方向に 新規振動
往復方向はバランスしたが、
左右方向に 新規振動
往復方向はバランスしたが、
左右方向に 新規振動
往復方向はバランスしたが、
左右方向に 新規振動
往復方向はバランスしたが、
左右方向に 新規振動
往復方向はバランスしたが、
左右方向に 新規振動
往復方向はバランスしたが、
左右方向に 新規振動
往復方向はバランスしたが、
往復方向はバランスしたが、
左右方向に 新規振動
左右方向に 新規振動
往復方向はバランスしたが、
逆方向のピストン往復運動 によるバランシング の例
多気筒エンジンでは、
他のピストンと、互いに
「逆の往復運動」をさせ
バランスさせることも可能
(左図)
しかし、単気筒エンジンでは
それは期待出来ない
単気筒エンジンで 完全な往復運動の バランスには
1/2の質量で互いに逆回転する 「バランサーシャフト」
バランサシャフト水平成分は、互いに相殺
ピストン慣性力の垂直一次成分と
2本のバランサシャフト垂直成分が、
釣り合う
基本的な 単気筒エンジンのバランシング**
1.回転運動部の
バランスウエイト
(クランク軸)
2.往復運動部の
バランスウエイト
(バランサシャフト)
2軸バランサの例*
1.回転運動部の
バランスウエイト
(クランク軸)
2.往復運動部の
バランスウエイト
(バランサシャフト)採用
多くは採用困難
実際の単気筒エンジンのバランシング**
多くの場合の単気筒エンジンのバランシング**
1.回転運動部の
バランスウエイト
(クランク軸)
2.往復運動部の
バランスウエイト
片方のバランサシャフト分だけ、クランク軸へ採用
多くの場合の単気筒エンジンのバランシング**
水平方向 若干アンバランス
垂直方向
若干アンバランス
1.回転運動部の
バランスウエイト
(クランク軸)
2.往復運動部の
バランスウエイト
片方のバランサシャフト分だけ、クランク軸へ
今回の設計(単気筒ディーゼルエンジン)では、
回転運動のバランスのみを検討し、往復運動のバランスは考慮しなくて良い。
振動はできるだけ小さくしたい
振動や騒音は人に不快かつ有害
エンジンや装置の耐久性を阻害する
どうすれば、振動をさらに小さく出来るか?バランス計算の前に考慮すべきこと;
往復運動、回転運動する部分の質量を出来るだけ軽量化する。 (=ただし強度、剛性、面圧等は許容値を満たす)
計算書例
2017年6月15日組立図,設計計算一覧と一緒に提出する
半径 rb6 * 138.00 mm中心角 2θ 120.00 deg面積 1.99E+04 mm^2体積 7.18E+05 mm^3質量 5.60 kg重心距離 hb6 76.08 mmモーメント(両側合計) 0.852 kgm
クランクアーム幅 124.000 mm高さ 35.80 mm底辺 62.00 mm面積 1.11E+03 mm^2体積 3.99E+04 mm^3質量 0.31 kg重心距離 hb5 11.93 mmモーメント(4ヶ所合計) 1.49E-02 kgm
バランスウエイト幅 200.0 mm高さ 19.51 mm頂点位置h1 95.10 mm頂点位置h2 69.00 mm頂点位置h3 57.74 mm底辺 37.36 mm面積 364.52 mm^2体積 1.31E+04 mm^3質量 0.10 kg重心距離 hb7 73.94 mmモーメント(4ヶ所合計) 3.03E-02 kgm
下側合計モーメント 0.84 kgm
差引モーメント(下側-上側) 0.00 kgm
回転バランス
三角形B7
三角形B5
下側(クランピン反対側)
扇型 B6
参考資料
*:明治大学機械工学科設計製図2 2016年度講義資料「単気筒エンジンのバランスについて」:高村昭生
**:明治大学機械工学科内燃機関(エンジンシステム) 2016年度講義資料「エンジン の 構造 (1) クランク機構、ピストン、燃焼室(ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの相違)」:嶋田泰三