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■ 3D 設計環境で2D CAD は「邪魔者」か? 長年の 2D CAD ユーザー企業が 3D CAD への乗り換え を図る時、長年使い続けた 2D CAD を、どのように処 遇すればよいだろう? 中にはそれが 3D 設計化推進の 妨げになるとして使用を禁止したり、メンテナンス契 約を打ち切ってしまう企業さえあるようだ。実際、社 を挙げて 3D CAD 普及を進めるなか、使い慣れた 2D CAD に固執する設計者がどうしてもこれを手放さず、 3D 設計化が遅々として進まない、という事例も目に する。3D 設計の導入を決めた以上、2D CAD はもは や不要なものとして「切る」べきなのだろうか。だが、 ちょっと待ってほしい。実は 3D CAD を核とする 3D 設 計環境は、2D CAD の支援がなければ運用も難しく、 3D CAD 自体も十分能力を発揮できない。3D 設計体 制に2D CADの存在は不可欠であり、 3D/2D 併用のワー クフローの確立こそ 3D 化実現へのカギなのである。 当然のことだが、2D CAD をメインツールとしてき た会社が 3D CAD を導入し、手間をかけて理想の 3D 設計環境を築き上げたとしても、だからといっ てその瞬間から、受注する仕事の全てが 3D 設計 向きの内容に切り替わるわけではない。顧客はそ れまで通り「2D CAD で描き 2D 図面に仕上げる仕 事」も依頼してくるし、いきなりそれを断るのも難 しい。むろん依頼に応えて作った 2D CAD データも、 将来に備えてアーカイブする必要があるだろう。 また、長年にわたり 2D CAD を使い続けた企業な ら、社内に膨大な 2D CAD データの蓄積があり、 日々の業務でこの情報資産を繰返し活用している はずだ。シリーズ製品の開発ではシリーズの設計 3D CAD を導入し、3D 設計を核とした新しいワークフローの構築を進めていこうという時、それまで長年にわたって使い続けた 2D CAD をどうすべきなのだろうか?──もう使う機会のない時代遅れのデジタルツールと、切って捨てるのは簡単だ。中には 3D CAD へ の移行を阻害する邪魔者と見る人さえいるようだ。しかし、実はそこには大きな誤解がある。2D CAD は高度な 3D 設計環境においてけっ して欠くことのできない、重要なサブツールなのである。──ここでは、3D 設計時代にあらためてクローズアップされる 2D CAD の役 割と、そのとき選ぶべき「3D CAD 時代の 2D CAD」、AutoCAD® について紹介しよう。 データを用いた流用設計も珍しくないし、新製品 開発も別の設計データの一部を生かして設計して いくケースがほとんどだろう。そして、このように 2D CAD データを扱うには、やはり 2D CAD── それも AutoCAD が最適なのである。 ■ 3D 設計への切替えで切替わらないもの 近年、製造業でも異業種間コラボレーションが 一つのトレンドとなった。業界内の異分野間コラボ はもちろん、土木や建築、マーケティングなど他分 野との協業も活発化しており、設計者も異業種・ 異分野とのコラボレーションを求められる機会が増 えている。そこで問題となるのが CAD である。と いうのは、製造業であれ建築業であれ各業種に特 化した CAD を使っている。つまり、異業種との設 計コラボレーションとは、異なる CAD を使う同士 の協業を意味しており、異種 CAD 間を結ぶ強力な 共通ツールが必要だ。そして、こうしたとき、設計 者たちが選ぶのは、やはり AutoCAD なのである。 多くの企業にとって難度が高い 3D CAD の導入にお いても、AutoCAD が重要な役割を果たしているこ とが少なくない。2D CAD で設計製図を行う初期段 階から、3D CAD で設計し 2D CAD で製図する第 2 段階へ進み、さらに 3D CAD で設計・製図を行う 第3段階へ──とステップごとに 3D/2D を使いわ けながら進めていくことで、多くの企業が 3D 化へ のソフトランディングを成功させている。 このように、3D設計環境において 2D CADは重要 な役割を果たしているわけだが、その多くの現場で AutoCAD が選ばれるのは、いったいなぜなのだろうか? 3D デジタルものづくりの新常識 ③ 3D CAD の導入&活用で 2D CAD はもう不要? 3D 設計時代の今だからこそ 輝きを増す AutoCAD の真価 【 Pickup!AUTODESK Product 】 Product Design & Manufacturing Collection 本記事の登場製品である AutoCAD はもちろ ん、Inventor や Vault、Fusion 360 等 々、 製造分野における製品開発と製造計画のた めのプロ向けツールを網羅した充実のコレ クション。製品開発の全てのプロセスに対応 し、設計から製造まで一貫したワークフロー を構築します。

3D CADの導入&活用で2D CADはもう不要? 3D設 …3D設計環境で2D CADは「邪魔者」か?長年の2D CADユーザー企業が3D CADへの乗り換え を図る時、長年使い続けた2D

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Page 1: 3D CADの導入&活用で2D CADはもう不要? 3D設 …3D設計環境で2D CADは「邪魔者」か?長年の2D CADユーザー企業が3D CADへの乗り換え を図る時、長年使い続けた2D

■ 3D 設計環境で 2D CAD は「邪魔者」か?長年の 2D CAD ユーザー企業が 3D CAD への乗り換えを図る時、長年使い続けた 2D CAD を、どのように処遇すればよいだろう? 中にはそれが 3D 設計化推進の妨げになるとして使用を禁止したり、メンテナンス契約を打ち切ってしまう企業さえあるようだ。実際、社を挙げて 3D CAD 普及を進めるなか、使い慣れた 2D CAD に固執する設計者がどうしてもこれを手放さず、3D 設計化が遅々として進まない、という事例も目にする。3D 設計の導入を決めた以上、2D CAD はもはや不要なものとして「切る」べきなのだろうか。だが、ちょっと待ってほしい。実は 3D CAD を核とする 3D 設計環境は、2D CAD の支援がなければ運用も難しく、3D CAD 自体も十分能力を発揮できない。3D 設計体制に2D CADの存在は不可欠であり、3D/2D併用のワークフローの確立こそ 3D 化実現へのカギなのである。

当然のことだが、2D CAD をメインツールとしてきた会社が 3D CAD を導入し、手間をかけて理想の3D 設計環境を築き上げたとしても、だからといってその瞬間から、受注する仕事の全てが 3D 設計向きの内容に切り替わるわけではない。顧客はそれまで通り「2D CAD で描き 2D 図面に仕上げる仕事」も依頼してくるし、いきなりそれを断るのも難しい。むろん依頼に応えて作った 2D CAD データも、将来に備えてアーカイブする必要があるだろう。

また、長年にわたり 2D CAD を使い続けた企業なら、社内に膨大な 2D CAD データの蓄積があり、日々の業務でこの情報資産を繰返し活用しているはずだ。シリーズ製品の開発ではシリーズの設計

3D CAD を導入し、3D 設計を核とした新しいワークフローの構築を進めていこうという時、それまで長年にわたって使い続けた 2D CAD をどうすべきなのだろうか?──もう使う機会のない時代遅れのデジタルツールと、切って捨てるのは簡単だ。中には 3D CAD への移行を阻害する邪魔者と見る人さえいるようだ。しかし、実はそこには大きな誤解がある。2D CAD は高度な 3D 設計環境においてけっして欠くことのできない、重要なサブツールなのである。──ここでは、3D 設計時代にあらためてクローズアップされる 2D CAD の役割と、そのとき選ぶべき「3D CAD 時代の 2D CAD」、AutoCAD® について紹介しよう。

データを用いた流用設計も珍しくないし、新製品開発も別の設計データの一部を生かして設計していくケースがほとんどだろう。そして、このように2D CAD データを扱うには、やはり 2D CAD ── それも AutoCAD が最適なのである。

■ 3D 設計への切替えで切替わらないもの近年、製造業でも異業種間コラボレーションが 一つのトレンドとなった。業界内の異分野間コラボはもちろん、土木や建築、マーケティングなど他分野との協業も活発化しており、設計者も異業種・異分野とのコラボレーションを求められる機会が増えている。そこで問題となるのが CAD である。というのは、製造業であれ建築業であれ各業種に特化した CAD を使っている。つまり、異業種との設計コラボレーションとは、異なる CAD を使う同士の協業を意味しており、異種 CAD 間を結ぶ強力な共通ツールが必要だ。そして、こうしたとき、設計者たちが選ぶのは、やはり AutoCAD なのである。

多くの企業にとって難度が高い 3D CAD の導入においても、AutoCAD が重要な役割を果たしていることが少なくない。2D CAD で設計製図を行う初期段階から、3D CAD で設計し 2D CAD で製図する第 2段階へ進み、さらに 3D CAD で設計・製図を行う第3段階へ──とステップごとに 3D/2D を使いわけながら進めていくことで、多くの企業が 3D 化へのソフトランディングを成功させている。このように、3D設計環境において 2D CADは重要な役割を果たしているわけだが、その多くの現場で AutoCAD が選ばれるのは、いったいなぜなのだろうか?

3D デジタルものづくりの新常識 ③

3D CAD の導入&活用で 2D CAD はもう不要?

3D 設計時代の今だからこそ輝きを増す AutoCAD の真価

【 Pickup!AUTODESK Product 】

Product Design & Manufacturing Collection本記事の登場製品である AutoCAD はもちろん、Inventor や Vault、Fusion 360 等 々、製造分野における製品開発と製造計画のためのプロ向けツールを網羅した充実のコレクション。製品開発の全てのプロセスに対応し、設計から製造まで一貫したワークフローを構築します。

Page 2: 3D CADの導入&活用で2D CADはもう不要? 3D設 …3D設計環境で2D CADは「邪魔者」か?長年の2D CADユーザー企業が3D CADへの乗り換え を図る時、長年使い続けた2D

さえ可能だ。オートデスクという安定企業ならではの確かな実績が、3D 設計が当り前になるであろう10 年後 20 年後への安心をも約束しているのである。

そもそも AutoCAD のデータフォーマット DWG と中間フォーマットの DXF は、ワールドワイドに広がる2D 設計データ流通文化の基盤をなす存在だ。新旧 AutoCAD 同士の協働はもちろん、さまざまな他社 CAD とのやりとりや新たな 2D 図面データのアーカイブへの保存等も、ほぼすべて AutoCAD とDWG、DXF の利用が常識となっている。そのことを考えれば、3D 環境下での異業種間コラボレーション用の共通ツ-ルに AutoCAD が選 ばれるのは、むしろ自然なことと言うべきだろう。

■導入しやすく柔軟に使える業界別コレクションしかし、元からの AutoCAD ユーザーならともかく、他 社 CAD のユ ーザー にとって、3D CAD と共 に AutoCAD の導入が必要なこの提案は、特にコストの面から高いハードルを感じるかもしれない。だが、実際にはそれは案ずるほどの高さではない。なぜなら AutoCAD や Inventor などのオートデスク製品は、コレクションと呼ばれるコストパフォーマンスの高いパッケージが建築、製造など業界別に用意され、その利用形態も期間ライセンスによるサブスクリプション方式での提供となっているからだ。

製 造 分 野 のコレクション製 品である PRODUCT DESIGN & MANUFACTURING COLLECTION は、AutoCAD や Inventor の他に CAM や解析ソフト、3D CG など 10 個以上のソフトウェアやサービスが

■なぜ AutoCAD が選ばれ続けるのか?3D 設計環境を前提としたとき、なぜ AutoCAD が必要となるのか。いうまでもなく AutoCAD は世界中で使われているトップクラスの CAD だ。だが、それだけではこの問いの答えにはならない。まずは AutoCAD とはどのような CAD なのか、他の 2D CAD と何が違うのか、あらためて捉え直す必要があるだろう。

AutoCAD は 1982 年生まれの汎用 CAD ソフトウェア。読者もご存知の通り、製造、建築、土木、測量など幅広い産業分野に普及、浸透し、揺るぎない実績を築きあげている。もちろん現在も毎年バージョンアップを重ねているが、2D CAD としてはすでに成熟期に達したとも言われ、実際、使い慣れたバージョンをそのまま利用し続けるユーザーも少なくない。それはいわば CAD 界における Microsoft® Word・Excel® であり、産業界におけるCAD 業務の基盤を作りあげた存在なのだ。そして、実はこのことが、3D 設計における AutoCAD の価値を無二のものとしている。

たとえば、3D 設計環境下での 2D 案件対応について考えてみよう。蓄積した 2D データを活用し、流用設計を行う上での大前提とは何か? それはアーカイブの(時に 10 年以上前の)古い設計データを開き、自在に活用できる──ということだろう。実際には数年前のデータすら開けない他社 CAD が多数を占めているなか、AutoCAD は最新の AutoCAD 2018 で 20 年余も昔の DWG も開くことができるし、逆に最新版で作った設計データを、20 年前の AutoCAD R12 のデータ形式へダウングレードして保存すること

3D デジタルものづくりの新常識 ③

パッケージされ、設計〜製造をトータルにカバーしている。しかも、コストは低く抑えられ、10 製品のうち 2 つ以上使えば簡単に「元が取れる」価格設定だ。3D 設計化に挑むならまず Inventor と AutoCAD が必要となるが、それだけのために導入しても十分元が取れるのである。さらに解析ソフトや 3D CG まで使い始めれば、コストパフォーマンスはどんどん向上する。仮に「3D CAD はウチに合わない!」となっても、別部門で解析や 3D CG のニーズが生まれることもあるだろう。無駄のない使い方を多角的に追求できるパッケージなのである。

サブスクリプションは、最短 1 カ月から 1 年、3 年と用法に合わせた期間ライセンスを購入する仕組み。当然、導入コストはぐっと抑えられるし、使い方の自由度もきわめて高い。つまり、簡単に始められる製品なのだ。たとえば 3D 設計挑戦に自信が持てないなら、1 カ月から始めるのも方法の一つだ。上手くいかなければ 1 カ月で止められるし、首尾よく軌道に乗ったら複数年にすれば良い。さらに稀に発生する2D 設計業務への対応なら、AutoCAD のサブスクリプションを 1 カ月だけ購入することも可能なのだ。

2D 設計が主体だったこれまでがそうだったように、3D 設計に挑戦するこれ からも、さらにその後も、AutoCAD は、あなたの最強のサポーターであり続ける。

AutoCAD の確かな実績が3D 設計が当り前となる将来への安心を約束する

記事監修&資料提供●太田 明 氏

(デジプロ研代表 CAD/CAE エキスパート)

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