1
31P1-am080 Hydrophobic/Hydrophilic Hybrid (HHH) C18固定相を用い血漿試料直接注入による 不整薬の定量 山 1 立木 1 本 雅之 2 哲也 2 ,西2 1 東和薬品, 2 薬大 臨床薬【目的】本邦において、シベンゾリンなどの抗不整脈薬が薬物治療モニタリング TDM)の対象医薬品となって久しいが、いまだ、その普及は十分ではない。そ の原因の一つとして,除蛋白処理などの前処理の煩雑さにより、測定から解析ま でを速やかに行えない点が挙げられる。その解決手段として、我々は、新規 Hydrophobic/Hydrophilic Hybrid ( HHH ) C18 固定相からなる汎用分析用カラムを用 い、カラムスイッチングなど高価なシステムを不要とする血漿試料直接注入法を 提唱している。本研究では、本分析法を用いて、臨床現場で汎用されている抗不 整脈薬であるシベンゾリン、ピルシカイニド、メキシレチン、アプリンジン、ア ミオダロンの活性代謝物デスエチルアミオダロン(DEA)の定量法確立を試みた。 【方法】実験試料は,臨床現場で用いられている定量域と同程度の薬物濃度を含 有するヒト血漿を 20 mM 炭酸水素アンモニウム水溶液で 2 倍希釈し、メンブレン フィルター(0.45 μm)により濾過したものを用いた。ヒト血漿を希釈・ろ過して 調製された実験試料をHHH C18 固定相からなる汎用分析用カラムCadenza HS-C18 (インタクト(株))を設置した HPLC-UV 装置に直接注入して測定し、その定量 性を評価した。 【結果及び考察】シベンゾリン(50-1500 ng/mL)、ピルシカイニド(50-1500 ng/mL)、メキシレチン(50-2500 ng/mL)、アプリンジン(100-2000 ng/mL)および DEA50-3000 ng/mL)はいずれも臨床現場で用いられている定量域内で良好の直 線性を示し、血漿試料直接注入による本分析法で良好な精度を示した。本分析法 は、従来法より導入しやすい前処理操作が不要な分析法として、TDM や臨床試験 などの薬物動態分野への広い適用が期待される。

31P1-am080 Hydrophobic/Hydrophilic Hybrid (HHH) …nenkai.pharm.or.jp/132abst/31P1-am080.pdf調製された実験試料をHHH C18固定相からなる汎用分析用カラムCadenza

  • Upload
    others

  • View
    0

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: 31P1-am080 Hydrophobic/Hydrophilic Hybrid (HHH) …nenkai.pharm.or.jp/132abst/31P1-am080.pdf調製された実験試料をHHH C18固定相からなる汎用分析用カラムCadenza

31P1-am080Hydrophobic/Hydrophilic Hybrid (HHH) C18固定相を用いた血漿試料直接注入による抗不整脈薬の定量◯内山 仁 1,立木 秀尚1,辻本 雅之2,峯垣 哲也2,西口 工司2(1東和薬品,2京都薬大・臨床薬学)

【目的】本邦において、シベンゾリンなどの抗不整脈薬が薬物治療モニタリング(TDM)の対象医薬品となって久しいが、いまだ、その普及は十分ではない。その原因の一つとして,除蛋白処理などの前処理の煩雑さにより、測定から解析までを速やかに行えない点が挙げられる。その解決手段として、我々は、新規Hydrophobic/Hydrophilic Hybrid ( HHH ) C18固定相からなる汎用分析用カラムを用い、カラムスイッチングなど高価なシステムを不要とする血漿試料直接注入法を提唱している。本研究では、本分析法を用いて、臨床現場で汎用されている抗不整脈薬であるシベンゾリン、ピルシカイニド、メキシレチン、アプリンジン、アミオダロンの活性代謝物デスエチルアミオダロン(DEA)の定量法確立を試みた。 【方法】実験試料は,臨床現場で用いられている定量域と同程度の薬物濃度を含有するヒト血漿を 20 mM炭酸水素アンモニウム水溶液で 2倍希釈し、メンブレンフィルター(0.45 μm)により濾過したものを用いた。ヒト血漿を希釈・ろ過して調製された実験試料をHHH C18固定相からなる汎用分析用カラムCadenza HS-C18(インタクト(株))を設置した HPLC-UV 装置に直接注入して測定し、その定量性を評価した。 【結果及び考察】シベンゾリン(50-1500 ng/mL)、ピルシカイニド(50-1500

ng/mL)、メキシレチン(50-2500 ng/mL)、アプリンジン(100-2000 ng/mL)およびDEA(50-3000 ng/mL)はいずれも臨床現場で用いられている定量域内で良好の直線性を示し、血漿試料直接注入による本分析法で良好な精度を示した。本分析法は、従来法より導入しやすい前処理操作が不要な分析法として、TDMや臨床試験などの薬物動態分野への広い適用が期待される。