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◆平成3年度税制改正のポイント◆

平成31年度税制改正のポイント · (2)上記(1)の見直しに伴い、給与所得控除額は次のとおりとなる。 給与等の収入金額 給与所得控除額

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◆平成31年度税制改正のポイント◆

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はじめに

ファイナンシャル・プランニング技能検定、およびCFP資格審査試験では、下記のと

おり、試験日程ごとの法令基準日が設けられています。

法令基準日

ファイナンシャル・プランニング

技能検定(1級・2級・3級)CFP資格審査試験

2019年 6月試験 ― 2019年1月1日

2019年 9月試験 2019年4月1日

2019年11月試験 2019年4月1日

2020年 1月試験 2019年10月1日

2020年 5月試験 2019年10月1日

受験にあたっては、法令基準日に基づく学習をすることは言うまでもありませんが、試

験問題においては、既に改正され法令が施行されたものであっても、その内容が適用開始

となる時点で出題される傾向も高くなっています。従いまして、このレジュメは、教材等

に既に記載されているものも一部含め、今後適用開始となるものや、2019年6月以降

の受験に必要な要点をまとめています。

ぜひ、学習の再確認のために本レジュメを活用していただき、学習の成果を発揮され、

皆様の試験合格をお祈りいたします。

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一.平成30年税制改正のおさらい

■個人所得課税

1.個人所得課税の見直し

(1)給与所得控除について、次の見直しを行う。

イ 控除額を一律 10 万円引き下げる。

ロ 給与所得控除の上限額が適用される給与等の収入金額を 850 万円、その上限

額を 195 万円に引き下げる。

(2)上記(1)の見直しに伴い、給与所得控除額は次のとおりとなる。

給与等の収入金額 給与所得控除額

162.5 万円以下 55 万円

162.5 万円超 180 万円以下 その収入金額×40%-10万円

180 万円超 360 万円以下 その収入金額×30%+8万円

360 万円超 660 万円以下 その収入金額×20%+44万円

660 万円超 850 万円以下 その収入金額×10%+110 万円

850 万円超 195 万円

(3)特定支出控除について、次の見直しを行う。

イ 特定支出の範囲に、職務の遂行に直接必要な旅費等で通常必要と認められる

ものを加える。

ロ 特定支出の範囲に含まれている単身赴任者の帰宅旅費について、1月に4往

復を超えた旅行に係る帰宅旅費を対象外とする制限を撤廃するとともに、帰

宅のために通常要する自動車を使用することにより支出する燃料費及び有料

道路の料金の額を加える。

2.公的年金等控除の見直し

(1)公的年金等控除について、次の見直しを行う。

イ 控除額を一律 10 万円引き下げる。

ロ 公的年金等の収入金額が 1,000 万円を超える場合の控除額については、195

万5千円の上限を設ける。

ハ 公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額が 1,000 万円を超

え 2,000 万円以下である場合の控除額を上記イ及びロの見直し後の控除額

から一律 10 万円、公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金

額が 2,000 万円を超える場合の控除額を上記イ及びロの見直し後の控除額

から一律 20 万円、それぞれ引き下げる。

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3.基礎控除の見直し

(1)基礎控除について、次の見直しを行う。

イ 控除額を一律 10 万円引き上げる。

ロ 合計所得金額が 2,400 万円を超える個人についてはその合計所得金額に応じ

て控除額が逓減し、合計所得金額が 2,500 万円を超える個人については基礎

控除の適用はできないこととする。

4.青色申告特別控除の見直し

(1)青色申告特別控除

イ 取引を正規の簿記の原則に従って記録している者に係る青色申告特別控除の

控除額を 55 万円(現行:65 万円)に引き下げる。

ロ 上記イにかかわらず、上記イの取引を正規の簿記の原則に従って記録してい

る者であって、一定の要件を満たすものに係る青色申告特別控除の控除額を

65 万円とする。

5.上記1~4の見直しに伴う所要の措置について

(1)同一生計配偶者及び扶養親族の合計所得金額要件を 48 万円以下(現行:38 万

円以下)に引き上げる。

(2)源泉控除対象配偶者の合計所得金額要件を 95 万円以下(現行:85万円以下)に

引き上げる。

(3)配偶者特別控除の対象となる配偶者の合計所得金額要件を 48 万円超 133 万円

以下(現行:38 万円超 123 万円以下)とし、その控除額の算定の基礎となる

配偶者の合計所得金額の区分を、それぞれ 10 万円引き上げる。

(4)勤労学生の合計所得金額要件を 75万円以下(現行:65 万円以下)に引き上げる。

(5)非居住者の公的年金等について、分離課税の対象となる金額等の算定における

控除額計算の基礎となる額を、65 歳未満の者については5万円(現行:6万円)

に、65 歳以上の者については9万5千円(現行:10 万円)に、それぞれ引き

下げる。

上記の改正は、令和2年分以後の所得税について適用する。

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■金融証券税制

1.非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置(N

ISA)について

(1)非課税口座の開設手続について、次の見直しを行う。

イ 金融商品取引業者等の営業所に非課税口座の開設をしようとする居住者等は、

当該営業所の長に対し、非課税適用確認書の添付を要しない非課税口座簡易開

設届出書の提出ができることとする。当該届出書の提出を受けた金融商品取引

業者等の営業所の長は、当該営業所に非課税口座を開設するとともに、当該届

出書に記載された事項(以下「届出事項」という。)を電子情報処理組織を使

用する方法により、速やかに当該営業所の所在地の所轄税務署長に提供しなけ

ればならない。

ロ 上記イの届出事項の提供を受けた所轄税務署長は、当該届出書の提出をした者

につき、その提供を受けた時前における届出事項及び非課税適用確認書の交付

申請書に係る申請事項(以下「申請事項」という。)の提供の有無を確認する

ものとし、当該確認をした所轄税務署長は、次に掲げる場合の区分に応じそれ

ぞれ次に定める事項を、当該届出事項の提供をした金融商品取引業者等の営業

所の長に、電子情報処理組織を使用する方法により提供しなければならない。

(2)非課税口座内上場株式等は、非課税期間終了の日(非課税管理勘定が設けられ

た日の属する年の1月1日から5年を経過した日又は累積投資勘定が設けられ

た日の属する年の1月1日から 20年を経過した日をいう。以下同じ。)に非課

税口座が開設されている金融商品取引業者等に開設されている特定口座がある

場合には、他の年分の非課税管理勘定又は特定口座以外の他の保管口座に移管

されるときを除き、当該特定口座に移管されることとする。この場合において、

非課税期間終了の日に非課税口座内上場株式等を特定口座以外の他の保管口座

に移管しようとするときは、当該金融商品取引業者等の営業所の長に対し、当

該非課税口座内上場株式等を当該他の保管口座に移管することを依頼する旨そ

の他の事項を記載した書類の提出(当該書類の提出に代えて行う電磁的方法に

よる当該書類に記載すべき事項の提供で、特定署名用電子証明書等の送信と併

せて行うものを含む。)をしなければならないこととする。

(3)非課税口座廃止届出書を提出する居住者等が当該届出書の提出を受ける金融商

品取引業者等の営業所の長に個人番号の告知をしていない場合には、当該営業

所の長が所轄税務署長に提供する廃止届出事項から個人番号を除外する。

上記(1)の改正は、平成 31 年1月1日以後に非課税口座簡易開設届出書が提出

される場合について適用する。

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また、上記(2)の改正については、未成年者口座内の少額上場株式等に係る配当

所得及び譲渡所得等の非課税措置(ジュニアNISA)における未成年者口座内上場

株式等の移管(課税未成年者口座を構成する特定口座への移管を含む。)についても

同様とする。

■土地・住宅税制

1.居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除等の適用期限を2年延長する。

2.特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除等の適用期限を2年延長する。

3.特定の居住用財産の買換え及び交換の場合の長期譲渡所得の課税の特例について、

買換資産が建築後使用されたことのある家屋で耐火建築物以外のもの(以下「非耐

火既存住宅」という。)である場合の要件に、その取得の日以前 25 年以内に建築

されたものであること又は地震に対する安全性に係る規定若しくはこれに準ずる基

準に適合することのいずれかを満たすこと(以下「経過年数等要件」という。)を

加えた上、その適用期限を2年延長する。

上記の改正は、平成 30 年1月1日以後に譲渡資産の譲渡をし、同年4月1日以後

に買換資産を取得する場合について適用する。

4.生命保険料控除、地震保険料控除及び住宅借入金等を有する場合の所得税額の特

別控除に係る年末調整手続について、次の措置を講ずる。

(1)給与等の支払を受ける者で年末調整の際に生命保険料控除又は地震保険料控除

の適用を受けようとするものは、給与所得者の保険料控除申告書に記載すべき

事項を電磁的方法により提供する場合には、控除証明書の書面による提出又は

提示に代えて、当該控除証明書に記載すべき事項が記録された情報で当該控除

証明書の発行者の電子署名及びその電子署名に係る電子証明書が付されたもの

を、当該申告書に記載すべき事項と併せて電磁的方法により提供することがで

きることとする。この場合において、当該給与等の支払を受ける者は、当該控

除証明書を提出し、又は提示したものとみなす。

上記の改正は、令和2年 10 月1日以後に提出する給与所得者の保険料控除申告書に

ついて適用する。

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(2)給与等の支払を受ける者で年末調整の際に住宅借入金等を有する場合の所得税

額の特別控除(以下「住宅ローン控除」という。)の適用を受けようとするも

のは、税務署長の承認を受けている給与等の支払者に対し、給与所得者の住宅

借入金等を有する場合の所得税額の特別控除申告書(以下「住宅ローン控除申

告書」という。)の書面による提出に代えて、当該住宅ローン控除申告書に記

載すべき事項を電磁的方法により提供することができることとする。この場合

において、当該給与等の支払を受ける者は、当該住宅ローン控除申告書を提出

したものとみなす。

上記の改正は、税務署長の承認を受けている給与等の支払をする者に対し、令和2

年 10月1日以後に提出する住宅ローン控除申告書について適用する。

(3)給与等の支払を受ける者で年末調整の際に住宅ローン控除の適用を受けようと

するもの(居住年が平成 31 年以後である者に限る。)は、住宅ローン控除申告

書に記載すべき事項を電磁的方法により提供する場合には、住宅借入金等を有

する場合の所得税額の特別控除証明書(以下「住宅ローン控除証明書」という。)

又は住宅取得資金に係る借入金の年末残高証明書(以下「年末残高証明書」と

いう。)の書面による提出に代えて、当該住宅ローン控除証明書又は年末残高

証明書に記載すべき事項が記録された情報で当該住宅ローン控除証明書又は年

末残高証明書の発行者の電子署名及びその電子署名に係る電子証明書が付され

たものを、当該住宅ローン控除申告書に記載すべき事項と併せて電磁的方法に

より提供することができることとする。この場合において、当該給与等の支払

を受ける者は、当該住宅ローン控除証明書又は年末残高証明書を提出したもの

とみなす。

上記の改正は、令和2年 10 月1日以後に提出する住宅ローン控除申告書について適用する。

(4)上記(2)および(3)の改正に伴い、年末残高証明書に記載すべき事項の電

磁的方法による交付を可能とする等の所要の措置を講ずる、

上記の改正は、令和2年10月1日以後に交付する年末残高証明書について適用する。

(5)住宅ローン控除の適用を受ける際に住宅ローン控除申告書等に添付すべき住宅

ローン控除証明書又は年末残高証明書の範囲に、当該住宅ローン控除証明書又

は年末残高証明書の発行者から電磁的方法により提供を受けた当該住宅ローン

控除証明書又は年末残高証明書に記載すべき事項が記録された電磁的記録を一

定の方法により印刷した書面で、真正性を担保するための所要の措置が講じら

れているものとして国税庁長官が定めるものを加える。

上記の改正は、令和2年 10 月1日以後に提出する住宅ローン控除申告書等について

適用する。

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■資産課税税制

1.事業承継税制の特例の創設等について

(1)非上場株式等に係る贈与税・相続税の納税猶予の特例制度を次のとおり創設

する。

イ 特例後継者(仮称)が、特例認定承継会社(仮称)の代表権を有していた者

から、贈与又は相続若しくは遺贈(以下1において「贈与等」という。)に

より当該特例認定承継会社の非上場株式を取得した場合には、その取得した

全ての非上場株式に係る課税価格に対応する贈与税又は相続税の全額につい

て、その特例後継者の死亡の日等までその納税を猶予する。

ロ 特例後継者が特例認定承継会社の代表者以外の者から贈与等により取得する

特例認定承継会社の非上場株式についても、特例承継期間(仮称)(5年)

内に当該贈与等に係る申告書の提出期限が到来するものに限り、本特例の対

象とする。

ハ 現行の事業承継税制における雇用確保要件を満たさない場合であっても、納

税猶予の期限は確定しない。ただし、この場合には、その満たせない理由を

記載した書類(認定経営革新等支援機関の意見が記載されているものに限

る。)を都道府県に提出しなければならない。なお、その理由が、経営状況

の悪化である場合又は正当なものと認められない場合には、特例認定承継会

社は、認定経営革新等支援機関から指導及び助言を受けて、当該書類にその

内容を記載しなければならない。

ニ 経営環境の変化を示す一定の要件を満たす場合において、特例承継期間経過

後に、特例認定承継会社の非上場株式の譲渡をするとき、特例認定承継会社

が合併により消滅するとき、特例認定承継会社が解散をするとき等には、次

のとおり納税猶予税額を免除する。

ホ 特例後継者が贈与者の推定相続人以外の者(その年1月1日において 20 歳以

上である者に限る。)であり、かつ、その贈与者が同日において 60歳以上の

者である場合には、相続時精算課税の適用を受けることができることとする。

(2)現行の事業承継税制についても、上記(1)ロと同様に、複数の贈与者からの贈

与等を対象とする。

上記の改正は、平成 30年1月1日から令和9年 12月 31 日までの間に贈与等により

取得する財産に係る贈与税又は相続税について適用する。

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2.土地の相続登記に対する登録免許税の免税措置の創設

(1)相続により土地の所有権を取得した者が当該土地の所有権の移転登記を受けな

いで死亡し、その者の相続人等が平成 30 年4月1日から令和3年3月 31 日

までの間に、その死亡した者を登記名義人とするために受ける当該移転登記に

対する登録免許税を免税とする措置を講ずる。

(2)個人が、所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法(仮称)の施行

の日から令和3年3月 31日までの間に、市街化区域外の土地で市町村の行政目

的のため相続登記の促進を図る必要があるものとして法務大臣が指定する土地

について相続による所有権の移転登記を受ける場合において、当該移転登記の

時における当該土地の価額が 10 万円以下であるときは、当該移転登記に対す

る登録免許税を免税とする措置を講ずる。

3.都市再生特別措置法の改正を前提に、同法の改正法の施行の日から令和2年3月

31 日までの間に低未利用土地権利設定等促進計画(仮称)に基づき取得する不動産

の所有権等の移転登記等に対する登録免許税の税率を、次のとおり軽減する措置を

講ずる。

(1)所有権の移転登記 1,000 分の 10(本則 1,000 分の 20)

(2)地上権等の設定登記等 1,000 分の5(本則 1,000 分の 10)

4.特定認定長期優良住宅の所有権の保存登記等に対する登録免許税の税率の軽減措

置の適用期限を2年延長する。

5.認定低炭素住宅の所有権の保存登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置の適

用期限を2年延長する。

6.特定の増改築等がされた住宅用家屋の所有権の移転登記に対する登録免許税の税

率の軽減措置について、対象工事に居室の窓の断熱改修工事又はこれと併せて行う

天井、壁若しくは床の断熱改修工事で、改修後の住宅全体の省エネ性能が断熱等性

能等級4又は一次エネルギー消費量等級4以上及び断熱等性能等級3となるものを

加えた上、その適用期限を2年延長する。

7.不動産の譲渡に関する契約書等に係る印紙税の税率の特例措置の適用期限を2年

延長する。

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8.小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例について、次の見直しを

行う。

(1)持ち家に居住していない者に係る特定居住用宅地等の特例の対象者の範囲から、

次に掲げる者を除外する。

イ 相続開始前3年以内に、その者の3親等内の親族又はその者と特別の関係の

ある法人が所有する国内にある家屋に居住したことがある者

ロ 相続開始時において居住の用に供していた家屋を過去に所有していたことが

ある者

(2)貸付事業用宅地等の範囲から、相続開始前3年以内に貸付事業の用に供された

宅地等(相続開始前3年を超えて事業的規模で貸付事業を行っている者が当該

貸付事業の用に供しているものを除く。)を除外する。

(3)介護医療院に入所したことにより被相続人の居住の用に供されなくなった家屋

の敷地の用に供されていた宅地等について、相続の開始の直前において被相続

人の居住の用に供されていたものとして本特例を適用する。

上記の改正は、平成 30 年4月1日以後に相続又は遺贈により取得する財産に係る

相続税について適用する。ただし、上記(2)の改正は、同日前から貸付事業の用に

供されている宅地等については、適用しない。

9.相続開始又は贈与の時において国外に住所を有する日本国籍を有しない者等が、

国内に住所を有しないこととなった時前 15 年以内において国内に住所を有してい

た期間の合計が 10 年を超える被相続人又は贈与者(当該期間引き続き日本国籍を

有していなかった者であって、当該相続開始又は贈与の時において国内に住所を有

していないものに限る。)から相続若しくは遺贈又は贈与により取得する国外財産

については、相続税又は贈与税を課さないこととする。ただし、当該贈与者が、国

内に住所を有しないこととなった日から同日以後2年を経過する日までの間に国外

財産を贈与した場合において、同日までに再び国内に住所を有することとなったと

きにおける当該国外財産に係る贈与税については、この限りでない。

上記の改正は、平成 30 年4月1日以後に相続若しくは遺贈又は贈与により取得す

る財産に係る相続税又は贈与税について適用する。

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二.令和元年税制改正のポイント

■個人所得課税

1.住宅・土地税制

(1)住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除について、次の措置を講ずる。

①住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の特例の創設

個人が、住宅の取得等をして、令和元年 10 月 1日から令和2年 12月 31 日まで

の間にその者の居住の用に供した場合には、住宅借入金等を有する場合の所得税

額の特別控除の特例を創設する。

イ 一般の住宅の場合、次に掲げる金額のいずれか少ない金額

(イ)住宅借入金等の年末残高(4,000 万円を限度)×1%

(ロ){住宅の取得等の対価の額または費用の額-当該住宅の取得等の対価の額

または費用の額に含まれる消費税額等}(4,000 万円を限度)×2%÷3

ロ 認定長期優良住宅および認定低炭素住宅の場合 次に掲げる金額のいずれか

少ない金額

(イ)住宅借入金等の年末残高(5,000 万円を限度)×1%

(ロ){住宅の取得等の対価の額または費用の額-当該住宅の取得等の対価の額

または費用の額に含まれる消費税額等}(5,000 万円を限度)×2%÷3

なお、適用年の1年目から 10 年目までの各年の住宅借入金等特別税額控除額につい

ては、現行と同様の金額を控除できることとする。

上記改正は、平成 31年4月1日以降に提出する給与所得者の住宅借入金等を有する

場合の所得税額の特別控除申告書について適用する。

2.空き家に係る譲渡所得の 3,000 万円特別控除の特例について、老人ホーム等に入

所したことにより被相続人の居住の用に供されなくなった家屋およびその家屋の敷地

の用に供されていた土地等は、次に掲げる要件その他一定の要件を満たす場合に限り、

相続の開始の直前においてその被相続人の居住の用に供されていたものとして本特例

を適用するほか所要の整備を行った上、その適用期限を4年延長する。

①被相続人が介護保険法に規定する要介護認定等を受け、かつ、相続の開始の直前

まで老人ホーム等に入所していたこと。

②被相続人が老人ホーム等に入所をした時から相続の開始の直前まで、その家屋に

ついて、その者による一定の使用がなされ、かつ、事業の用の、貸付けの用、また

はその者以外の者の居住の用に供されていたことがないこと。

上記改正は、平成 31 年4月1日以降に行う被相続人居住用家屋または被相続人居住

用家屋の敷地等の譲渡について適用する。

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■金融・証券課税

1.非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置(N

ISA)について、次の措置を講ずる。

(1)非課税口座を開設している居住者等が一時的な出国により居住者等に該当しな

いこととなる場合の特例措置を次のとおり講ずる。

イ 当該居住者等がその出国の日の前日までに当該非課税口座が開設されている

金融商品取引業者等の営業所の長に、その者に係る給与等の支払をする者から

の転任の命令その他これに準ずるやむを得ない事由に基因して出国をする旨、

引き続き非課税措置の適用を受けようとする旨、帰国をした後再び当該非課税

口座において非課税上場株式等管理契約又は非課税累積投資契約に基づく上場

株式等の受入れを行う旨その他の事項を記載した届出書(以下「継続適用届出

書」という。)の提出をしたときは、その出国の時から、その者が当該金融商

品取引業者等の営業所の長に、帰国をした年月日、当該非課税口座において再

び非課税上場株式等管理契約または非課税累積投資契約に基づく上場株式等の

受入れを行わせようとする旨その他の事項を記載した届出書(以下「帰国届出

書」という。)の提出をする日と当該継続適用届出書の提出をした日から起算

して5年を経過する日の属する年の12月 31 日とのいずれか早い日までの間は、

その者を居住者等に該当する者とみなして、本措置を引き続き適用する。この

場合において、当該帰国届出書の提出をする日までは、当該非課税口座に設け

られた非課税管理勘定又は累積投資勘定に上場株式等を受け入れることができ

ないこととする。

ロ 継続適用届出書の提出をした者が当該提出をした日から起算して5年を経過す

る日の属する年の 12 月 31 日までに当該金融商品取引業者等の営業所の長に帰国

届出書の提出をしなかった場合には、同日においてその者が当該金融商品取引業

者等の営業所の長に非課税口座廃止届出書を提出したものとみなす。

ハ その出国につき、国外転出をする場合の譲渡所得等の特例の対象となる者は、

継続適用届出書の提出をすることができないこととする。

(2)居住者等が非課税口座を開設することができる年齢要件をその年1月1日にお

いて 18 歳以上(現行:20 歳以上)に引き下げる。

(3) 次に掲げる書類の提出に代えて行う電磁的方法による当該書類に記載すべき事

項を記録した電磁的記録の提供の際に行うこととされている本人確認の方法につ

いて、その者の氏名、生年月日及び住所の記載のある住所等確認書類を提示する

方法を加える。

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イ 特定口座以外の他の保管口座への非課税口座内上場株式等移管依頼書

ロ 非課税口座内上場株式等移管依頼書

ハ 未成年者口座非課税口座間移管依頼書

(4) 非課税口座を開設している居住者等は、当該非課税口座にその年に設けられて

いる勘定を変更しようとする場合には、当該非課税口座が開設されている金融商

品取引業者等の営業所の長に対し、非課税口座異動届出書の提出ができることと

する。この場合において、当該非課税口座異動届出書を提出する日以前に当該勘

定に既に上場株式等の受入れをしているときは、当該金融商品取引業者等の営業

所の長は、当該非課税口座異動届出書を受理することができないこととする。

上記(2)の改正は、令和5年1月1日以後に設けられる非課税口座について適

用するとともに、所要の経過措置を講ずる。

2.未成年者口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置(ジ

ュニアNISA)について、次の措置を講ずる。

(1) 居住者等が未成年者口座の開設並びに非課税管理勘定及び継続管理勘定の設定

をすることができる年齢要件をその年1月1日において 18 歳未満(現行:20 歳

未満)に引き下げる。

(2)次に掲げる書類の提出に代えて行う電磁的方法による当該書類に記載すべき事

項を記録した電磁的記録の提供の際に行うこととされている本人確認の方法につ

いて、その者の氏名、生年月日及び住所の記載のある住所等確認書類を提示する

方法を加える。

イ 未成年者口座内上場株式等移管依頼書

ロ 特定口座以外の他の保管口座への未成年者口座内上場株式等移管依頼書

(3)その他所要の措置を講ずる。

上記(1)の改正は、令和5年1月1日以後に設けられる未成年者口座等について

適用するとともに、所要の経過措置を講ずる。

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3.その他

次に掲げる書類については、確定申告書等に添付し、又は確定申告書等の提出の際

提示することを要しないこととするほか、これに伴う所要の措置を講ずる

① 給与所得、退職所得及び公的年金等の源泉徴収票

② オープン型証券投資信託の収益の分配の支払通知書

③ 配当等とみなす金額に関する支払通知書

④ 上場株式配当等の支払通知書

⑤ 特定口座年間取引報告書

⑥ 未成年者口座等につき契約不履行等事由が生じた場合の報告書

⑦ 特定割引債の償還金の支払通知書

⑧ 相続財産に係る譲渡所得の課税の特例を適用する際の相続税額等を記載した書類

上記の改正は、平成 31 年4月1日以後に提出する確定申告書等について適用する。

4.その年において支払を受けるべき給与等で年末調整の適用を受けたものを有する

居住者が提出する確定申告書の記載事項のうち、その年末調整で適用を受けた所得

控除の額と確定申告で適用を受ける所得控除の額とが同額である場合におけるこれ

らの所得控除に関する事項については、その年末調整で適用を受けた所得控除の額

の合計額の記載によることができることとする。

なお、確定申告で適用を受ける所得控除の額のうち年末調整で適用を受けた所得

控除の額と同額である所得控除については、その内訳の記載を要しないこととし、

その額の記載によることができることとする。

上記の改正は、平成 31 年分以後の確定申告書を平成 31 年4月1日以後に提出す

る場合について適用する。

5.公的年金等(公的年金等の受給者の扶養親族等申告書(以下「扶養親族等申告書」

という。)の提出をすることができないものを除く。以下同じ。)の源泉徴収につ

いて、次の見直しを行う。

① 扶養親族等申告書の提出をしなかった場合の源泉徴収税額は、その提出の際に経

由すべき公的年金等の支払者が支払う公的年金等の金額から公的年金等控除及び

基礎控除に対応する控除の月割額(その月割額が最低保障額に満たない場合には、

最低保障額)にその公的年金等の支給月数を乗じて計算した金額を控除した残額に、

5%の税率を乗じて計算する。

なお、上記の最低保障額は、9万円(その公的年金等の支払を受ける居住者が

65 歳以上である場合には、13 万5千円)とする。

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② 扶養親族等申告書にその者の氏名を自署した場合には、その者の押印を要しな

いこととする。

③ 扶養親族等申告書の記載事項から、同一生計配偶者又は扶養親族のうちに同居

特別障害者若しくはその他の特別障害者又は特別障害者以外の障害者がある場合

の人数を除外する。

上記の改正は、令和2年1月1日以後に支払を受けるべき公的年金等について適

用する。

6.ふるさと納税について

個人住民税における都道府県又は市区町村(以下「都道府県等」という。)に対す

る寄附金に係る寄附金税額控除について、次の見直しを行う。

① 総務大臣は、次の基準に適合する都道府県等をふるさと納税(特例控除)の対象と

して指定することとする。

イ 寄附金の募集を適正に実施する都道府県等

ロ イの都道府県等で返礼品を送付する場合には、以下のいずれも満たす都道府県

(イ)返礼品の返礼割合を3割以下とすること

(ロ)返礼品を地場産品とすること

② ①の基準は総務大臣が定めることとする。

③ 指定は、都道府県等の申出により行うこととする。

④ 総務大臣は、指定をした都道府県等が基準に適合しなくなったと認める場合等に

は、指定を取り消すことができることとする。

⑤ 総務大臣は指定をし、又は指定を取り消したときは、直ちにその旨を告示しなけ

ればならないこととする。

⑥ 基準の制定や改廃、指定や指定の取消しについては、地方財政審議会の意見を聴

かなければならないこととする。

上記の改正は、令和元年年6月1日以後に支出された寄附金について適用する。

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■資産課税

1.個人事業者の事業用資産に係る納税猶予制度の創設等

認定相続人が、平成 31 年1月1日から令和 10 年 12 月 31 日までの間に、相続等に

より特定事業用資産を取得し、事業を継続していく場合には、担保の提供を条件に、

その認定相続人が納付すべき相続税額のうち、相続等により取得した特定事業用資産

の課税価格に対応する相続税の納税を猶予する。

猶予税額の計算 猶予税額の計算方法は、非上場株式等についての相続税の納税猶予

制度の特例と同様とする。

(1)猶予税額の免除

①次の場合には、猶予税額の全額を免除する。

(イ)認定相続人が、その死亡の時まで、特定事業用資産を保有し、事業を継続

した場合

(ロ)認定相続人が一定の身体障害等に該当した場合

(ハ)認定相続人について破産手続開始の決定があった場合

(ニ)相続税の申告期限から5年経過後に、次の後継者へ特定事業用資産を贈与

し、その後継者がその特定事業用資産について贈与税の納税猶予制度(後述)

の適用を受ける場合

②次の場合には、非上場株式等についての相続税の納税猶予制度の特例に準じて、

猶予税額の一部を免除する。

(イ)同族関係者以外の者へ特定事業用資産を一括して譲渡する場合

(ロ)民事再生計画の認可決定等があった場合

(ハ)経営環境の変化を示す一定の要件を満たす場合において、特定事業用資産

の一括譲渡又は特定事業用資産に係る事業の廃止をするとき

上記の「経営環境の変化を示す一定の要件」は、非上場株式等についての相続税の

納税猶予制度の特例に準じた要件とする。

(2)猶予税額の納付

①認定相続人が、特定事業用資産に係る事業を廃止した場合等には、猶予税額の全

額を納付する。

②認定相続人が、特定事業用資産の譲渡等をした場合には、その譲渡等をした部分

に対応する猶予税額を納付する。

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2.個人事業者の事業用資産に係る贈与税の納税猶予制度の創設

(1)認定受贈者(18 歳(令和4年3月 31日までの贈与については、20 歳)以上で

ある者に限る。以下同じ。)が、平成 31 年1月1日から令和 10 年 12 月 31 日ま

での間に、贈与により特定事業用資産を取得し、事業を継続していく場合には、

担保の提供を条件に、その認定受贈者が納付すべき贈与税額のうち、贈与により

取得した特定事業用資産の課税価格に対応する贈与税の納税を猶予する。

(2)認定受贈者が贈与者の直系卑属である推定相続人以外の者であっても、その贈

与者がその年1月1日において 60歳以上である場合には、相続時精算課税の適用

を受けることができる。

(3)猶予税額の納付、免除等については、相続税の納税猶予制度と同様とする。

贈与者の死亡時には、特定事業用資産(既に納付した猶予税額に対応する部分を

除く。)をその贈与者から相続等により取得したものとみなし、贈与時の時価に

より他の相続財産と合算して相続税を計算する。その際、都道府県の確認を受け

た場合には、相続税の納税猶予の適用を受けることができる。

上記1.及び2.の改正は、平成 31年1月1日以後に相続等又は贈与により取得す

る財産に係る相続税又は贈与税について適用する。

3.小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例について、特定事業用宅

地等の範囲から、相続開始前3年以内に事業の用に供された宅地等(当該宅地等の上

で事業の用に供されている減価償却資産の価額が、当該宅地等の相続時の価額の 15%

以上である場合を除く。)を除外する。

上記の改正は、平成 31年4月1日以後に相続等により取得する財産に係る相続税に

ついて適用する。ただし、同日前から事業の用に供されている宅地等については、適

用しない。

4.教育資金の一括贈与非課税措置の見直し 直系尊属から教育資金の一括贈与を受け

た場合の贈与税の非課税措置について、次の措置を講じた上、その適用期限を2年

延長する。

① 信託等をする日の属する年の前年の受贈者の合計所得金額が 1,000 万円を超え

る場合には、当該信託等により取得した信託受益権等については、本措置の適用を

受けることができないこととする。

上記の改正は、平成 31年4月1日以後に信託等により取得する信託受益権等に係

る贈与税について適用する。

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② 教育資金の範囲から、学校等以外の者に支払われる金銭で受贈者が 23歳に達した

日の翌日以後に支払われるもののうち、教育に関する役務提供の対価、スポーツ・

文化芸術に関する活動等に係る指導の対価、これらの役務提供又は指導に係る物品

の購入費及び施設の利用料を除外する。ただし、教育訓練給付金の支給対象となる

教育訓練を受講するための費用は除外しない。

上記の改正は、令和元年7月1日以後に支払われる教育資金について適用する。

③ 信託等をした日から教育資金管理契約の終了の日までの間に贈与者が死亡した場

合(その死亡の日において次のいずれかに該当する場合を除く。)において、受贈

者が当該贈与者からその死亡前3年以内に信託等により取得した信託受益権等につ

いて本措置の適用を受けたことがあるときは、その死亡の日における管理残額を、

当該受贈者が当該贈与者から相続又は遺贈により取得したものとみなす。

イ 当該受贈者が 23 歳未満である場合

ロ 当該受贈者が学校等に在学している場合

ハ 当該受贈者が教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講している場合

上記の「管理残額」とは、非課税拠出額から教育資金支出額を控除した残額のうち、

贈与者からその死亡前3年以内に信託等により取得した信託受益権等の価額に対応す

る金額をいう。

上記の改正は、平成 31 年4月1日以後に贈与者が死亡した場合について適用する。

5.結婚・子育て資金の一括贈与非課税措置の見直し 直系尊属から結婚・子育て資金

の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、次の措置を講じた上、そ

の適用期限を2年延長する。

① 信託等をする日の属する年の前年の受贈者の合計所得金額が 1,000 万円を超え

る場合には、当該信託等により取得した信託受益権等については、本措置の適用を

受けることができないこととする。

上記の改正は、平成 31年4月1日以後に信託等により取得する信託受益権等に係る

贈与税について適用する

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■その他

1.未成年者の年齢引き下げについて

相続税の未成年者控除の対象となる相続人の年齢を 18 歳未満(現行:20 歳未満)

に引き下げ、次に掲げる制度における受贈者の年齢要件を 18 歳以上(現行:20 歳以

上)に引き下げる。

① 相続時精算課税制度

② 直系尊属から贈与を受けた場合の贈与税の税率の特例

③ 相続時精算課税適用者の特例

④ 非上場株式等に係る贈与税の納税猶予制度(特例制度についても同様とする。

上記改正は、令和4年4月1日以後に相続若しくは遺贈又は贈与により取得する財

産に係る相続税又は贈与税について適用する。

2.民法(相続関係)の改正に伴い、次の措置を講ずる。

相続税における配偶者居住権等の評価額を次のとおりとする。

イ 配偶者居住権 建物の時価-建物の時価×(残存耐用年数-存続年数)/残存耐用

年数×存続年数に応じた民法の法定利率による複利現価率

ロ 配偶者居住権が設定された建物(以下「居住建物」という。)の所有権 建物の時

価-配偶者居住権の価額

ハ 配偶者居住権に基づく居住建物の敷地の利用に関する権利 土地等の時価-土地

等の時価×存続年数に応じた民法の法定利率による複利現価率

ニ 居住建物の敷地の所有権等 土地等の時価-敷地の利用に関する権利の価額

上記改正は、令和2年1月1日以後に贈与により取得する財産に係る贈与税につい

て適用する。

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■法人課税

1.イノベーション促進のための研究開発税制の見直し

試験研究を行った場合の税額控除制度(研究開発税制)について次の見直しを行う。

(1)試験研究費の総額に係る税額控除制度について、税額控除率を次のとおり見直

した上、研究開発を行う一定のベンチャー企業の控除税額の上限を当期の法人税

額の 40%(現行:25%)に引き上げる。

① 増減試験研究費割合が8%超 9.9%+(増減試験研究費割合-8%)×0.3

② 増減試験研究費割合が8%以下 9.9%-(8%-増減試験研究費割合)×0.175

(2)試験研究費の額が平均売上金額の 10%を超える場合における試験研究費の総額

に係る税額控除制度の控除税額の上限の上乗せ特例について、改組した上、その

適用期限を2年延長する。

(3)試験研究費の総額に係る税額控除制度の税額控除率の上限を 14%(原則:10%)

とする特例の適用期限を2年延長する。

(4)中小企業技術基盤強化税制について、増減試験研究費割合が5%を超える場合

の特例を増減試験研究費割合が8%を超える場合の特例に見直した上、その適用

期限を2年延長する。また、試験研究費の額が平均売上金額の 10%を超える場合

に税額控除率を割り増す措置を講ずる。

(5)特別試験研究費の額に係る税額控除制度について、次の見直しを行う。

対象となる特別試験研究費の額に、次の要件を満たす企業間の委託研究に要す

る費用の額を加え、その税額控除率を一部を除き 20%とする。

2.法人税の軽減税率の特例の延長

(1)中小企業者等の法人税の軽減税率の特例の適用期限を2年延長する。

(2)中小企業投資促進税制の適用期限を2年延長する。

(3)中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は税額控除制

度(中小企業経営強化税制)について、特定経営力向上設備等の範囲の明確化及

び適正化を行った上、その適用期限を2年延長する。

(4)特定中小企業者等が経営改善設備を取得した場合の特別償却又は税額控除制度に

ついて、経営改善設備の投資計画の実施を含む経営改善により売上高又は営業利

益の伸び率が年2%以上となる見込みであることについて認定経営革新等支援機

関等の確認を受けることを適用要件に加えた上、その適用期限を2年延長する。

上記の改正は、平成 31年4月1日以後に取得等をする経営改善設備について適用

する。

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■民法の相続法の改正

1.自筆証書遺言の方式緩和について(平成 31年1月 13 日施行分)

遺言の作成にあたり、財産目録においては、自書によらない財産目録の添付も可能

となる。

2.令和元年7月1日施行分について

(1)婚姻期間が 20 年以上の夫婦間における居住用不動産の贈与等に関する優遇措置

被相続人の意思の推定規定を設けることにより、原則として遺産の先渡しを受けた

ものと取り扱う必要がなくなり、配偶者はより多くの財産を取得することができ、贈

与等の趣旨に沿った遺産の分割が可能となる。

(2)預貯金の払戻し制度の創設

①預貯金債権の一定割合(金額による上限あり)については,家庭裁判所の判断を

経なくても金融機関の窓口における支払を受けられるようにする。

②預貯金債権に限り,家庭裁判所の仮分割の仮処分の要件を緩和する。

(3)遺留分制度の見直し

遺留分減殺請求によって生ずる権利は金銭債権となることを明文化し、また、遺贈

や贈与を受けたものが金銭を直ちに準備することができない場合には裁判所に対して

支払いの猶予を求めることができることとした。

(4)特別の寄与制度の創設

相続人以外の被相続人の親族が無償で被相続人の療養看護等を行った場合には,相

続人 に対して金銭の請求をすることができる。

3.令和2年4月1日施行分について

(1)配偶者居住権の創設

配偶者が相続開始時に被相続人所有の建物に居住していた場合に、配偶者は、遺産

分割において配偶者居住権を取得することにより、終身又は一定期間、その建物に無

償で居住することが可能となる。

4.令和2年7月 10 日施行分について

(1)法務局における自筆証書遺言の保管制度の創設

自筆証書遺言の作成者は、法務大臣の指定する法務局に遺言書の保管を申請するこ

とが可能となる。

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