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平成 30 年度経済産業省委託業務報告書 平成 30 年度化学物質安全対策 (情報伝達スキームの国際普及に関する調査) 報 告 書 平成 31 年 3 ⽉

平成30年度化学物質安全対策 (情報伝達スキームの国際普及 …本書で いられる 語、略語 情報伝達スキーム サプライチェーンで製品含有化学物質に関する情報を授受するためのデータ

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平成 30 年度経済産業省委託業務報告書

平成 30 年度化学物質安全対策 (情報伝達スキームの国際普及に関する調査)

報 告 書

平成 31 年 3 ⽉

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⽬次

1. ⽬的と事業内容 ..................................................................................... 1

1.1. 背景と⽬的......................................................................................... 1

1.2. 実施内容 .......................................................................................... 1

2. chemSHERPA の国際普及に係る調査 ........................................................ 3

2.1. chemSHERPA の活⽤状況調査 ............................................................... 3

2.1.1. chemSHERPA 導入状況に関するアンケート(2017)の概要 .................................. 3

2.1.2. chemSHERPA 活用状況に関するアンケート(2019)の結果 .................................. 4

2.2. chemSHERPA の国際協調に向けた調整 ..................................................... 8

2.2.1. 欧州 ......................................................................................................................... 8

2.2.2. 韓国 ....................................................................................................................... 10

2.2.3. 中国 ....................................................................................................................... 13

2.3. chemSHERPA 国際普及戦略検討会 ...................................................... 19

2.3.1. chemSHERPA 国際普及戦略検討会の概要 ......................................................... 19

2.3.2. chemSHERPA 国際普及戦略検討会での主な議論 .............................................. 20

2.3.3. chemSHERPA 国際普及戦略検討会での確認事項 .............................................. 21

2.4. chemSHERPA の国際普及に係る戦略 ..................................................... 23

2.4.1. chemSHERPA 国際普及戦略のまとめ ................................................................. 23

2.5. 製品含有化学物質関連の国際動向 ......................................................... 23

2.5.1. Proactive Alliance ................................................................................................ 23

2.5.1. WFD に基づく SVHC データベース(ECHA) ...................................................... 24

3. IEC62474 の改訂に伴う chemSHERPA スキームの改修 ............................... 28

3.1. IEC62474 の改訂 ............................................................................. 28

3.2. IEC62474 の改訂に伴うスキームの改修 ..................................................... 30

3.2.1. IEC62474 の改訂に伴う改修内容 ........................................................................ 31

3.2.2. ユーザからの要望等への対応 ............................................................................... 45

3.2.3. 物質リスト等外部リストならびに関連するドキュメントの改修 ........................ 50

3.2.4. データ作成支援ツール ver.2 の評価検証 .............................................................. 52

3.3. データ作成⽀援ツール ver.2 の公開について ................................................. 54

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本書で⽤いられる⽤語、略語

情報伝達スキーム サプライチェーンで製品含有化学物質に関する情報を授受するためのデータフォーマット、データ作成⽀援ツール、情報授受のための IT システム、それらを使⽤するための解説書・マニュアル等のドキュメントなどを含む情報伝達の仕組み。

BOMcheck 英国 ENVIRON 社が運営する集中管理型の情報伝達シスム。 IEC 62474 国際電気標準会議(IEC)が制定し、2012 年 3 ⽉に発効した国際

規格であり、サプライチェーンの各社間で流通するマテリアルデクラレーション(構成材料/含有物質の情報伝達)に求められる各種の要件(基本要件とオプション)、対象とする化学物質の選定基準やデータ交換の⽅法について規定している。

IMDS International Material Data System ⾃動⾞業界向けの情報伝達スキーム。⾃動⾞に使われる個々の部品の環境保全に関係する側⾯を管理するために、完成⾞メーカが共同で設⽴。

IPC-1752A IPC が制定した規格であり、製品に含有される物質の情報をサプライチェーンの企業間で共有するためのマテリアルデクラレーションについて規定している。IPC は、プリント基板および電⼦機器製造企業、顧客および供給業者の業界団体。IPC は、Institute for Printed Circuits の略称だったが、現在は組織名⾃体を”IPC“に変更している。

JAMP Joint Article Management Promotion-consortium アーティクルマネジメント推進協議会(2006 年発⾜)

JGPSSI Japan Green Procurement Survey Standardization Initiativeグリーン調達調査共通化協議会(2001 年発⾜)。電気電⼦業界が中⼼となって設⽴した情報伝達の仕組み。国際規格である。 IEC62474 の発効を機に、情報伝達対象物質リストの維持管理といった主な活動を IEC(国際電気標準会議)/TC111 国内委員会の分科会(国内 VT62474)に移⾏して 2012 年に発展的に解消。

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1. ⽬的と事業内容 1.1. 背景と⽬的

近年、アジア地域をはじめとする世界各国・地域で、化学物質規制の導⼊や強化が相次いでいる。これらの規制は⼈健康の保護や環境の保全に貢献する⼀⽅で、それらへの対応は、特に取扱い部品の多い電気・電⼦機器業界や⾃動⾞業界などにとって⼤きな課題となっている。

規制への対応には製品含有化学物質の情報が有効であるが、情報伝達の書式やルールの共通化・標準化が⼗分に進んでいないことなどにより、情報が円滑に伝達されないケースもあり、事業者の負荷は増加し、国内外に広がるサプライチェーンの⼤きな課題にもなっている。

上記を踏まえ、経済産業省は、製品含有化学物質の情報の伝達書式やルールを共通化・標準化することを⽬的として、新たな情報伝達スキーム(以下「chemSHERPAⓇ(ケムシェルパ)」という。)について検討し、2015 年より運⽤を開始した。また、2017 年には、「chemSHERPA 普及戦略」が取りまとめられ、国際普及に関しては、「国際標準化の活動に中⼼メンバーとして関与し、推進するとともに、その成果に基づき、chemSHERPA スキームの国際標準準拠を継続することが国際普及につながる。」「chemSHERPAの普及の意味するところは、類似のシステムとの競争に勝つことでは無く、そうしたシステムとの互換性を⾼めていくこととの認識を共有する。」とされた。

そこで本事業では、国際普及戦略を具体化し、国際標準準拠の継続の観点から、改正IEC62474への対応を⾏った。

1.2. 実施内容

本調査では、下記の2項⽬について検討した。 (1) chemSHERPA の国際普及に係る調査

欧⽶を中⼼に使⽤されている IPC-1752 の改訂に伴う互換性の確保や、化学物質の情報伝達スキームの構築を検討している国や団体に対して chemSHERPA と互換性の⾼いスキームの利⽤・開発を促すためのオープン・クローズ戦略を検討し、具体的な戦略を策定した。

さらに、必要に応じて、IPC-1752A 等の他の類似規格の関係者や製品化学物質の情報伝達の導⼊を検討している韓国および中国の関係者と打ち合わせを⾏い、国際協調に向けた調整を⾏った。

調査検討にあたっては、ベンダーや有識者で構成される(6名程度)検討会を通じて⾏った。検討会は、3回開催した。また、近年、製品を対象とした規制が強化されている他、サーキュラーエコノミーなど化学物質に関する情報伝達がキーワードとなる新たなニーズが⾼まってきていることを踏まえ、欧⽶やアジア諸国の製品に関する法規制や政策動向、関連する国際標準化の動きを調査し、サプライチェーンを通じて情報伝達が必要となる情報について整理し、次項(2)の中で合わせて対応した。

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(2) IEC62474 の改訂に伴う chemSHERPA スキームの改修 IEC62474 の改訂に伴い、chemSHERPA スキームについて、(1)の国際協調に向けた調整などを

踏まえつつ、利⽤ルールやデータ作成⽀援ツール等について必要な改訂項⽬を抽出し、対応⽅法を検討し、改訂作業を実施した。ユーザから寄せられた要望や現状の課題を踏まえ、操作性の改善や必要な機能追加も⾏った。

なお、改訂⽅針については、(1)の検討会で確認をとりつつ進め、具体的な仕様検討等はchemSHERPA の運営組織であるアーティクルマネジメント推進協議会(JAMP)の委員会等と協⼒体制を構築して⾏い、同意を得ながら進めた。

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2. chemSHERPA の国際普及に係る調査

2.1. chemSHERPA の活⽤状況調査

2017 年に実施された「chemSHERPA 導⼊状況に関するアンケート」調査の追跡調査を実施し、chemSHERPA の活⽤状況と今後の移⾏予定について確認した。

2.1.1. chemSHERPA 導⼊状況に関するアンケート(2017)の概要 2017 年 11 ⽉、サプライチェーン全体での chemSHERPA の普及策を検討するための情報収集を

⽬的として、「chemSHERPA 導⼊状況に関するアンケート」調査が実施された。電気電⼦分野の⼤⼿川下事業者、Tier1 事業者などを対象として、chemSHERPA に対する認識、導⼊意思、導⼊判断理由、導⼊時期、活⽤状況、および、EU RoHS 指令や REACH 規則への適合確認や技術⽂書の作成における chemSHERPA や他書式の位置づけなどについての確認が⾏われた。

調査対象の事業者は、電気電⼦製品のサプライチェーンに関わる企業を中⼼に、普及への影響が期

待される⼤⼿の川下企業およびそのサプライヤ企業として、以下の a)、b)、c)が対象とされた。 a) chemSHERPA 賛同企業 101 社 (調査時点)のうち、サービス業等を除いた 92 社 b) 電気・電⼦産業⼤⼿企業 (売上の上位企業)約 100 社 (重複を除く) c) 平成 29 年度 chemSHERPA 普及等事業 (⼯業会説明会)対象

⽇本電気制御機器⼯業会、⽇本電線⼯業会、⽇本粘着テープ⼯業会、⽇本医療機器テクノロジー協会、⽇本半導体製造装置協会 (アーティクルマネジメント推進協議会より協⼒依頼)

調査期間は、2017 年 11 ⽉ 1 ⽇~12 ⽉ 1 ⽇として実施された。 設問は、⼤設問が問1から問7までで、回答企業の属性、輸出の有無、調達品の製品含有化学物

質の把握状況、把握のために⽤いている情報伝達書式、採⽤している書式のメリット、chemSHERPA情報伝達スキームの検討状況、chemSHERPA への移⾏予定、製品含有化学物質情報の収集にchemSHERPAの採⽤をサプライヤに説明した際の反応、EU REACH規則33条のような情報伝達の責務や EU RoHS 指令のような含有制限の責務への対応における chemSHERPA の情報の使⽤⽅法、chemSHERPA の改善点などについて質問された。

調査結果から明らかになった chemSHERPA への移⾏状況・移⾏予定は、以下の通りであった。 調 査 時 点 で 、 JAMP MSDSplus/JAMP AIS を 採 ⽤ し て い る 66 社 の う ち 、 将 来 的 に

chemSHERPA への移⾏を考えているのは、93.9%であった。調査時点で、独⾃書式を採⽤している

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20 社のうち、将来的に chemSHERPA への移⾏を考えているのは 40.0%であった。同様に、JAMA/JAPIA シート・IMDS を採⽤している 6 社のうち、将来的に chemSHERPA への移⾏を考えているのは 33.3%で、独⾃書式から chemSHERPA への移⾏よりも低い割合であった。

表 2.1-1 chemSHERPA 導⼊状況に関するアンケート(2017)結果

調査時点 (2017 年 11 ⽉)

での採⽤書式 調査時点での

利⽤件数

2018 年度末時点でchemSHERPA

を利⽤

2019 年度以降にchemSHERPA

を利⽤ 件数 移⾏率 件数 移⾏率

1)chemSHERPA 13 ⇒ 85 73.3% ⇒ 90 77.6% 2)JAMP

MSDSplus/AIS 66 ⇒ 5 4.3% ⇒ 4 3.4%

3)JGPSSI ファイル 5 ⇒ 1 0.9% ⇒ 1 0.9% 4)JAMA/JAPIA シー

ト、IMDS 6 ⇒ 5 4.3% ⇒ 4 3.4%

5)IPC-1752A 1 ⇒ 1 0.9% ⇒ 1 0.9%

6)BOMcheck 0 ⇒ 0 0.0% ⇒ 0 0.0%

7)その他の標準書式 5 ⇒ 4 3.4% ⇒ 4 3.4%

8)⾃社独⾃の書式 20 ⇒ 15 12.9% ⇒ 12 10.3%

116 116 100.0% 116 100.0%

2.1.2. chemSHERPA 活⽤状況に関するアンケート(2019)の結果 2017 年に実施された「chemSHERPA 導⼊状況に関するアンケート」における調査項⽬の中で

chemSHERPA への移⾏状況・移⾏予定について、追跡調査を実施し、約 1 年後となる現在のchemSHERPA の活⽤状況と今後の移⾏予定について確認した。

2017 年の調査時点では、chemSHERPA の普及活⽤の拡⼤状況を確認するという様⼦⾒の雰囲気も⼀部には⾒られたが、当時、最も多く使われていた JAMP MSDAplus/AIS の管理対象物質の更新が 2017 年冬で終了し、その後、管理対象物質は、EU REACH 規則の認可対象候補物質の追加等が⾏われておらず、最新の法規制の対象物質に対応できない状況となった。また、2018 年夏には、電気電⼦機器の分野で⻑く使われてきたもう⼀つのスキームである JGPSSI の書式と同時に、ウェブサイトの掲載を取りやめるなど、移⾏を促す措置も実施された。そのような中で、実際にどの程度chemSHERPA への移⾏が進んでいるのかを追跡調査することは意味があると考えられる。

調査対象の事業者は、「chemSHERPA 導⼊状況に関するアンケート」において、上表の「調査時点(2017 年 11 ⽉)での利⽤件数」、「2018 年度末時点で chemSHERPA を利⽤」、「2019 年度以

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降に chemSHERPA を利⽤」の集計対象となった 116 社とした。ただし、調査実施後の企業合併等により、⺟集団は若⼲異なっていることに留意する必要がある。

調査期間は、2019 年 3 ⽉ 15 ⽇~3 ⽉ 28 ⽇で、短期間での調査のため、電話と電⼦メールを使⽤した。設問は、以下の 3 問である。 【質問 1】 2018 年度末時点で利⽤している主な製品含有化学物質情報伝達スキームは何ですか?(最も当てはまるもの⼀つをお答え下さい) [1] chemSHERPA [2] JAMP MSDSplus/AIS [3] JGPSSI ファイル [4] JAMA/JAPIA シート・IMDS [5] IPC-1752A [6] BOMcheck [7] その他の標準書式 [8] ⾃社独⾃の書式 【質問 2】 主な情報伝達スキームを変更する予定ありますか? [1] ある (→次の設問へ) [2] ない (→終了) 【質問 3-1】 主な情報伝達スキームを変更する予定がある場合、どのスキームを採⽤する予定ですか? [1] chemSHERPA [2] JAMP MSDSplus/AIS [3] JGPSSI ファイル [4] JAMA/JAPIA シート・IMDS [5] IPC-1752A [6] BOMcheck [7] その他の標準書式 [8] ⾃社独⾃の書式 【質問 3-2】 主な情報伝達スキームの変更する予定がある場合、設問 3-1 で回答したスキームをいつから採⽤する予定ですか? [1] 2019 年度上期 [2] 2019 年度下期

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[3] 2020 年度以降

2017 年 11 ⽉のアンケートでは、半数以上が、JAMP MSDSplus/AIS を使⽤しており、

chemSHERPA の利⽤は、1 割強にとどまっていた。 今回の調査では、すでに約 8 割が chemSHERPA を使⽤していることが明らかとなった。2018 年度

末時点で、JAMP MSDSplus/AIS を使⽤している事業者も今後、chemSHERPA への移⾏を予定している。chemSHERPA への移⾏(予定)率は、2017 年 11 ⽉のアンケートでは、7 割強から 8 割弱であったので、調査結果通りかやや上回る移⾏率となっており、chemSHERPA の利⽤拡⼤が順調に進展していることがわかった。

また、2017 年 11 ⽉のアンケートで、少数ではあったが JGPSSI ファイルを利⽤していると回答した事業者がいたが、今回はゼロとなった。⾃社独⾃様式を利⽤する事業者が、2 割弱存在したが、今回の調査では 1 割弱となっており、徐々にではあるが、独⾃様式の利⽤を取りやめる動きも⾒受けられる。

電気・電⼦産業⼤⼿企業、および chemSHERPA 賛同企業などにおける、chemSHERPA への移⾏は順調に進み、今後移⾏を考えている事業者においても、ここ1〜2 年でほぼ完了すると考えられる。

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表 2.1-2 chemSHERPA の活⽤状況と移⾏予定に関する調査結果

件数 移⾏率 件数 移⾏率 件数 移⾏率 件数 移⾏率

1)chemSHERPA 13 11.2% ⇒ 70 77.8% ⇒ 71 78.9% ⇒ 73 81.1% ⇒ 78 86.7%

2)JAMP MSDSplus/AIS 66 56.9% ⇒ 5 5.6% ⇒ 4 4.4% ⇒ 2 2.2% ⇒ 0 0.0%

3)JGPSSIファイル 5 4.3% ⇒ 0 0.0% ⇒ 0 0.0% ⇒ 0 0.0% ⇒ 0 0.0%

4)JAMA/JAPIAシート、IMDS 6 5.2% ⇒ 4 4.4% ⇒ 4 4.4% ⇒ 4 4.4% ⇒ 4 4.4%

5)IPC-1752A 1 0.9% ⇒ 0 0.0% ⇒ 0 0.0% ⇒ 0 0.0% ⇒ 0 0.0%

6)BOMcheck 0 0.0% ⇒ 0 0.0% ⇒ 0 0.0% ⇒ 0 0.0% ⇒ 0 0.0%

7)その他の標準書式 5 4.3% ⇒ 4 4.4% ⇒ 4 4.4% ⇒ 4 4.4% ⇒ 3 3.3%

8)⾃社独⾃の書式 20 17.2% ⇒ 7 7.8% ⇒ 7 7.8% ⇒ 7 7.8% ⇒ 5 5.6%

116 100.0% 90 100.0% 90 100.0% 90 100.0% 90 100.0%

2020年度以降の利⽤スキーム(予定/計画)

現時点での利⽤件数(調査時点:

2018年度末)

2019年度上期利⽤スキーム(予定/計画)

2019年度下期利⽤スキーム(予定/計画)

アンケート2017時点での利⽤件数

(転載)

製品含有化学物質情報伝達書式

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2.2. chemSHERPA の国際協調に向けた調整

2.2.1. 欧州 2018 年 11 ⽉ 17 ⽇〜22 ⽇の間、欧州に出張し、ジェノバにて ECHA-IPC 会議、並びにフランク

フルトで DXC Technology 社と打合せを実施した。 (1) ECHA-IPC 会議

ECHA、IPC-1752、1754、IEC62474の関係者、ドイツ環境省(UBA)など50名近くが参加した。具体的には、欧⽶の電気メーカー(フィリップス、シーメンス、GE 等)、欧⽶のシステム会社、コンサルタントなどで、電気電⼦業界における製品含有化学物質の情報伝達にかかわる欧⽶の主要メンバーが参加する会議となった。

① 会議の⽬的は、ECHA が 2021 年から運⽤を開始しようとしている ECHA SVHC データベースに対して、システムto システムでアップロードするための仕様についてIPC-1752チームとすりあわせを⾏うこと。

② 最初に ECHA より、今回 ECHA が開発するデータベースの考え⽅についての説明があった。ポイントは以下のとおり。 本データベースの⽬的は、リサイクラーにリサイクルに必要な情報を提供することと、消費者

に安全に使⽤するための情報を提供することにある。具体的には、REACH 規則 33 条のSVHC情報を製品ごとに登録すること。(製品とは、最終製品だけではなく部品、材料も含む)

2020 年 1 ⽉にデータベースは完成し、2021 年 1 ⽉より運⽤を開始する。登録には 3つの⽅法(データベースに直接⼊⼒、システムからのアップロード、マニュアルでのアップロード)を⽤意する。

必要な情報は、REACH 規則 33 条の条⽂に⽰された内容のとおりである。 システムからのアップロードについては、詳細を議論している段階。今後、電機電⼦業界以

外からも要望を聞いて決めていく。

③ IPC1752のCo-Chair であるBOMcheck社より、IPC-1752としての提案について説明があった。 内容的には、まだたたき台レベルのものであり、今後、ECHAに確認しつつIPC-1752メン

バー間で議論を進めていくこととなった。⽇程的には、2019 年 1 ⽉のサンディエゴ、9 ⽉のシカゴでの会議で議論を進めることとなった。

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④ その他、参加者との議論 ドイツ環境省(UBA)からの参加者からは、ドイツでは SVHC データの消費者への伝達

のためのデータベースを構築中であり、今後は、ECHA データベースとの連携を図っていくとの説明があった。

IPC-1754の関係者からは、IPC-1754としても、この問題に取り込むことを考えているとの説明があった。ECHA、IEC62474、IPC-1752 が連携していくべきである。また、IPC-1752、IPC-1754 の上位の委員会である IPC 2-18 committee では、さらなる標準化として IPC and IEC and other sectors, including Automotive, Aerospace & Defense, Cosmetics… の構想を持っているとのことであった。また、欧州で議論されている、EU Proactive Alliance については、オランダの⼤学が中⼼となって進めている活動で、成分情報の情報伝達を中⼼にあるべき情報項⽬、およびその活⽤を考えた議論が⾏われているとの説明があった。

(2) DXC Technology 社(ドイツ)訪問

DXC Technology 社は、HP から分離した企業で IMDS の開発、維持を実施している。また独⾃に、CDX というセントラルデータベース⽅式の化学物質情報伝達サービスを実施している会社である(サービスとしては、BOMcheck と競合する可能性がある)。

chemSHERPA に対して興味を持っており、今回、先⽅からの依頼によって、訪問することとなった。 ⽇本側より chemSHERPA の概要並びに今後の計画について説明した。 DXC Technology 社より、今後、CDX のビジネスを進める上でも、⽇本企業が積極的に

活⽤している chemSHERPA に興味を持っていること、CDX では、すでに既存のIEC62474 ベースのインターフェイスを⽤意しており、chemSHERPA との互換性を評価してみたいと考えていることなどの説明があった。

IEC62474、chemSHERPA が今後、他産業との連携を深めていくのであれば、いずれIMDS の互換性も問題になってくるであろう。IMDS については DXC Technology 社がサポートしているので、議論できるとのことであった。

⾃動⾞産業は、ECHA データベースについて、11 ⽉下旬にヘルシンキで議論を⾏うとのこと。

今後とも、定期的に情報交換していくこととした。 まとめ

ECHA データベースへの登録については、欧州市場に進出している製品、部品、材料メーカーにとっては必須の対応となる。この議論は、IEC62474(VT62474)並びに IPC を中⼼に議論が進むことになるが、その結果をふまえて、必要に応じて chemSHERPA にも ECHA データベース向けファイルの出⼒

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機能などの追加を検討する必要があると考えられる。ECHA データベースが稼働予定の 2021 年には実装が必要となる。

IEC62474 Ed.2 の発⾏を受け、今後は、他産業を含めたより広範囲の標準化(クロスセクター化)の議論の進展が予測されていたが、欧⽶ではすでにその準備や議論が進みつつある。これらの議論に継続的に参加しながら、常に状況をモニターし、chemSHERPA として主張すべきところについては、適時、主張していくことが必要と考えられる。

2.2.2. 韓国 2018 年 12 ⽉ 2 ⽇〜4 ⽇の間、韓国に出張し、ソウルにて KEA との会議を実施した。

(1) KEA とのミーティング(Enterprises Meeting regarding Supply Chain Management for Hazardous Substances in Korea) ■KEA(韓国電⼦情報通信産業振興会、Korea Electronic Association)の概要

KEA(KOREA ELECTRONICS ASSOCIATION) http://www.gokea.org/eng/

所在地 11, World Cup buk-ro 54-gil, Mapo-gu, Seoul, 03924, KOREA 設⽴年 1976 年 ⽬的

電⼦情報通信産業振興にむけて相互協⼒をもたらす政策提⾔で、国⺠経済の成⻑と発展に寄与する

概要 電⼦・IT 産業の発展に、環境づくりとメンバーを⽀援するため設⽴された電⼦・IT 業界の団体 会員企業に対して、企業経営上必要な情報の提供と特許紛争、環境規制、エネルギー管理関連の各分野の専⾨家のコンサルティング、訪問教育などを実施

主な事業活動

<産業基盤の構築、R&D サポート・システムの改善> 電⼦・IT 産業の研究・分析、特許関連の強化、標準化関連、環境関連の対応、⼈材開発、PL 活動、新規の分野等でのスタートアップ・財政⽀援

<市場の開発・マーケティング> ブロードキャストのデジタル化、産業に関する 3D の強化、電⼦医療産業、海外市場開発、貿易問題

<会員メンバー間の交流> 展⽰会(KEA:KOREA ELECTRONICS SHOW)、セミナーやワークショップの開催、各種出版物(電⼦産業統計と品⽬別、産業別の技術動向レポートなど)、分野別協議会(電⼦産業⼈材協議会、エレクトロニクス産業、環境マネジメント協議会、特許経営戦略フォーラム、グローバル 3D 技術フォーラムなど)、PL 相談センター運営

<KOREA ELECTRONICS SHOW> 開催規模 500 ブース、500 企業(うち海外企業は 100 社)、来場者 7 万⼈(うち

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海外から 4000 ⼈)。海外パートナーとして⽇本からは JEITA / JMA が参加。他CEAC/CCPIT(中国)、TEEMA(台湾)、HKTDC/Global Sources(⾹港)、AEECC(Asia Electronics Exhibition Cooperate Conference)、Messe Berlin(ドイツ)、CTA(⽶国)が参加する⼤規模なエレクトロニクス展⽰会

■⽇時 2018 年 12 ⽉ 3 ⽇(⽉) 本会議 15:00 – 18:00 (17:10 終了予定を延⻑) ■会場 OCLUOD Hotel Conference room 2 ■参加者 Employees involved in SCM of Hazardous Substances in EEE

所属

韓国 Korea Electronics Association (KEA) 2 名 電気電⼦機器メーカーなど、約 12 名

⽇本 chemSHERPA 国際普及戦略検討会 委員 2 名 chemSHERPA 国際普及戦略検討会 事務局 1 名

■プログラム(当初予定)

Time Contents Remarks 14:00 ~ 14:50 Pre-meeting Japan-Korea

Interpretation 14:50 ~ 15:00 Break 15:00 ~ 15:10 Roll call of the participants 15:10 ~ 16:10 Explanation of IEC62474 standard

and implementation of the standard Japan-Korea Interpretation

16:10 ~ 17:00 Q&A and Discussion Participants 17:00 ~ 17:10 Closing Remarks KEA *開始時点にミーティング時間を 1 時間延⻑ ■主な質疑:Pre-meeting [質問] ⽇本ではいつごろから、製品含有化学物質情報の課題に取り組んできたのか?

[回答] ⽇本国内では、2000 年ごろから⺠間企業の取り組みとして製品含有化学物質情報伝達の共通化の活動を開始した。⽇本のほか、⽶国、欧州も同様の状況であったことから、Joint Industry Guide (JIG)が作られ、さらに JIG が IEC62474 に進化した。その間、⽇本国内にはJGPSSI と JAMPの 2 つのグループに分かれて活動していたが、⾮効率で負担も⼤きいことから統⼀が図られ、chemSHERPA の開発に⾄った。

[質問] chemSHERPA のツールとは何か?

[回答] 製品含有化学物質情報を問い合わせたい製品の情報をサプライヤに伝え、サプライヤが回

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答するための共通フォーマットに基づくデータを作成するソフトウェア。MS-Excel の表形式のイメージだが、その内部に、物質リストなどのノウハウを搭載している。

■主な質疑:Enterprises Meeting [説明 1] 化学物質情報伝達 国際標準化の動向 IEC62474 Ed2 [質問] クロム酸鉛については、EU REACH ではその物質⾃体が規制されているが、RoHS では、鉛と六価クロムがそれぞれ規制されているが、それぞれ報告するのか?Ed.2で改善されたという点が理解し難い。

[回答] そのとおり。クロム酸鉛として、六価クロムとして、鉛としてのそれぞれ、規制値を超えているかどうかを判断する必要がある。Ed.1 の⽅法ではダブルレポーティングしてしまう可能性があり、Ed.2の⽅法で報告する必要がある。

[説明 2] chemSHERPA overview [説明 3] Efforts of a Japanese company to utilize chemSHERPA - Panasonic - [質問] 製造⼯程に投⼊する物質によっては、投⼊する物質と異なる物質が⽣成される場合があるが、chemSHERPA では、どのように対応するのか?

[回答] chemSHERPA は、組織間の製品含有化学物質情報のインターフェイスである。製造⼯程での物質の変化は、組織の中で製品含有化学物質管理をすることで対応する必要がある。適切な製品含有化学物質の情報伝達のためには、サプライチェーンに関わる各組織が製品含有化学物質をマネジメントすることが重要と考えており、そのためのガイドラインも発⾏している(追加資料として、ハングル版の製品含有化学物質管理ガイドライン第 3 版を配付)。

[質問] 適⽤除外について、chemSHERPA ツールで⼊⼒できるのか?

[回答] chemSHERPA は、IEC62474 に準拠し、IEC62474 DB(物質リスト)も採⽤している。成分情報を⼊⼒する画⾯で、適⽤除外に該当する物質の情報を⼊⼒すると、適⽤除外を⼊⼒するウィンドウが⾃動で表⽰されるので、該当する適⽤除外を選択するだけで⼊⼒することができる。

[質問] EU REACH 規則の物質は、半年に 1 回アップデートされるが、対応できるか?

[回答] REACH 規則の認可対象候補物質が年 2 回アップデートされるタイミングで、IEC62474 DB がアップ デートされ る。chemSHERPA は、IEC62474 DB を採⽤してい るので、chemSHERPA の物質リストもアップデートしている。

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2.2.3. 中国 (1) CQC とのミーティング ■CQC(中国質量認証中⼼、China Quality Certification Centre)の概要

CQC(CHINA QUALITY CERTIFICATION CENTRE) http://www.cqc.com.cn/www/english/

所在地 Section 9, No.188, Nansihuan(the South Fourth Ring Road)Xilu(West Road), Beijing 100070, China

設⽴年 2002 年(China National Import & Export Commodities Inspection Corporation Quality Certification Centre から発展)

⽬的 ⾼い社会的信頼性、強い技術⾰新⼒、市場競争⼒、および持続可能な開発⼒を備えた国際的な認証機関をめざす

概要 中国強制認証マーク制度(CCC)認証やマネジメントシステムの審査登録を実施。CICC(China Certification & Inspection Group)の傘下にある認証機関。 19 か国と地域から 27 の認証機関との協⼒関係にある。認証を受けた顧客数でみると中国国内の認証機関および国際的な認証機関でもトップクラス。

主な事業活動

<認証業務> ・製品認証(中国強制認証(CCC)、CQC マーク認証、低カーボン認証・監査、中国RoHS の証明、PV 製品)

・マネジメントシステム認証 ・国際認証 ・農産物及び⾷品認証 <その他> ・技術サービス、トレーニング事業、検査機関 <CQC マーク認証の概要> ・⾃主的な製品認証。 ・現在認証の対象は、電⼦部品、電気アクセサリー、電動⼯具とアクセサリー、医療機器、商業⽤機械、ワイヤーとケーブル、⾃動⾞部品、家電アクセサリー、照明器具⽤アクセサリー、中⼩型モーターとアクセサリー、家電、照明器具、低電圧家電、低電圧機器および付属品など広範囲におよぶ

■⽇時 2019 年 3 ⽉ 21 ⽇(⽊) 14:00 – 18:00 ■会場 CQC 会議室 ■出席者

所属 中国 中国質量認証中⼼ 2 名

電気電⼦機器メーカー、分析機関等約 8 名

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所属 ⽇本 chemSHERPA 国際普及戦略検討会 委員 1 名

chemSHERPA 国際普及戦略検討会 事務局 2 名 現地サポート 3 名

■プログラム

Time Contents Remarks 14:00〜 1. IEC62474 Ed.2 の展開について

・ 3/5〜3/8 のドイツでの会議の結果について ・ 今後の material declaration 規格の展開 ・ その他

Japan-China Interpretation

2. IEC62474Ed2 を受けた⽇本の対応 ・ chemSHERPA 概要 ・ chemSHERPA ver.2 への改訂計画

3. 質疑応答 ■ミーティング内容 1. IEC62474Ed2 の展開について ○MT/VT62474 Erlangen 会議の結果報告 3 ⽉ 5 ⽇-8 ⽇に、ドイツ・Erlangen で開催された MT/VT62474 の結果を共有した。 ○MT62474 について -IEC62474 Ed.2 Amendment CDV

「IEC62474 準拠」の条件を平易に記述するための⽅案を説明。 -Revise IEC62474 TR

IEC62474 Ed.2 発⾏に伴い、IEC 62474 活⽤のための解説として作成されたガイダンス⽂書 TR 62474 を書き換える必要がある。改訂案作成の進め⽅が決められた。

-Future plan of IEC62474 6 ⽉の ISO TC207 総会時に IEC/ISO Joint Working Group 設置の提案をする。Edition3 に向けた協議を実施していく。

○VT62474 について -Exemption List -Material Class List -Developer Table

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-Chemical Substance 2. chemSHERPA Ver.2 紹介 ○chemSHERPA 機能の確認 ○IEC 62474 Ed.2 の発⾏内容に合わせたアップデート

chemSHERPA データ作成⽀援ツールを動作させて、実際にデータの作成をしながら紹介した。 3. 主な質疑 [IEC62474 関連] ○EU の CRM(Critical Raw Materials)に関する物質リストは、IEC62474 の Declarable

Substances List (DSL) リストと統合しないのか? → 今のところ、別のリストを作成するとしている。

○電気電⼦分野で使⽤されている主な情報伝達スキームには、IEC62474 と IPC-1752A があるが、CRM の情報伝達のスキームとして想定されているのは、IEC62474 だけか? → 今のところ、IEC62474 を⽤いるとされている。

[chemSHERPA 関連] ○構成がほぼ同じで、部品点数が違う製品についても⼀から調査をしなければならないのか?

→ 各部品のデータさえあれば、それぞれの部品点数を変えて「複合化」することで⽬的の製品のデータを作成することができる

○遵法判断情報の単純化の機能において、なぜ最⼤含有濃度のデータを残すのか? → 含有量は合計値、濃度は最⼤値を残す仕様としている。この情報があれば、法規制の要求に

対応できる。また、この仕様は、IEC62474 で規定されたものである。 ○管理対象となる法規制や業界基準を追加することはできるのか?

→ 管理対象基準(現在は、7 つの法規制と 2 つの業界基準)は、個々のユーザが追加することはできない。追加の要望があれば、定められた⼿続きに従って検討する。

○chemSHERPA のファイルは、どこで⼿に⼊れることができるのか? → chemSHERPA のウェブサイトからマニュアルと共にダウンロードできる。無料。

https://chemsherpa.net/english ○IEC63000(EN50581)を実践するためのガイダンスなどは作成されていないのか?

→ 供給者および材料の信頼性評価は、「供給者の宣⾔および/または契約上の合意」、「マテリアルデクラレーション」、「分析試験結果」のいずれかまたは組合せで実施することになっている。プラスチック部品などは、分析でも確認できるかもしれないが、アセンブリは困難。「供給者の信頼性」と「マテリアルデクラレーション」の組合せでの対応が多いと考えられる。「供給者の信頼性」の評価

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ツールとして、製品含有化学物質管理ガイドラインが作成・公開されている。 (2) CESI とのミーティング ■ CESI( 中 国 電 ⼦ 技 術 標 準 化 研 究 院 、 Certification Center of China Electronics

Standardization institute)の概要 CESI(Certification Center of China Electronics Standardization institute)

http://www.cc.cesi.cn/english.aspx 所在地 No.1 Andingmen Dongdajie, Dongcheng District, Beijing, China 100007 設⽴年 1963 年 ⽬的 電⼦情報技術の分野において標準化および適合性評価で世界に知られた、中国で権威

のある機関をめざす 概要 電⼦情報技術分野において標準化、適合性認証及び測定活動を扱う MII (Ministry

of Industry and Information)下にある⾮営利機構。国内及び業界基準の開発、電⼦情報技術の国際標準化活動への参加を統括している。

主な事業活動

<認証業務> ・中国強制製品認証(CCC)、マネジメントシステム認証、グリーン低炭素評価、カーボン検証/評価、任意製品認証、サービス認証

<その他> ・技術委員会および技術⼩委員会の事務局業務、電⼦情報分野での測定及び校正、トレーニング事業

<主な製品認証範囲> サービスカテゴリ サービス内容

CCC 認証 クラス 08 のオーディオおよびビデオ機器 クラス 09 の情報技術機器 16 種類の通信端末装置

任意製品認証 中国 RoHS、EU RoHS リチウム電池の製品安全 中国のソフトウェア、会計ソフトウェア 地上デジタル TV 受信性能 デジタル TV Ultra HD(4K、8K)ディスプレイ デジタルテレビの⽴体(3D)表⽰ CCC、CESI のメンバー⾃主認定 電⼦省エネ製品 CE マーク

グリーン 低炭素評価

グリーン製造⼯場評価 温室効果ガス検証(ISO14064-1) 炭素取引、カーボン検証 製品カーボンフットプリントの検証 北京カーボンマネジメント評価システム

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EPEAT(グリーンエレクトロニクス環境アセスメントツール)

■⽇時 2019 年 3 ⽉ 22 ⽇(⾦) 9:30 – 12:00 ■会場 CESI 会議室 ■出席者

所属 中国 中国電⼦技術標準化研究院 CESI 2 名

中国電⼦技術標準化研究院 CESI エンジニアなど 4 名 ⽇本 chemSHERPA 国際普及戦略検討会 委員 1 名

chemSHERPA 国際普及戦略検討会 事務局 2 名 現地サポート 1 名

■プログラム

Time Contents Remarks 9:30〜 1. CESI および CESI グリーン発展研究センター紹介 Japan-China

Interpretation 2. 中国 RoHS WG の紹介 3. chemSHERPA 説明 3. 質疑応答

■ミーティング内容: 1. CESI およびに CESI グリーン発展研究センターについて [CESI] ○中国・⼯業と情報化部(⼯信部)傘下の組織で、政府向けには政策研究、産業向けには標準の作

成をしている機関。 ・国際標準、中国国内標準、業界標準の作成。多くの IEC、ISO の窓⼝をしている。 ・15 の測定室、検査センターを所有している。

[CESI グリーン発展研究センター] ○対象としているのはエネルギー、材料、有害物質で、データセンター、実験室も併設されている。 ○有害物質関係の業務については、中国 RoHS WG、IEC/TC111、TC297/SC3 の事務局も担当

している。 2. 中国 RoHS WG の紹介 ○現在 114 社が参加しており、8 割がメーカー

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3. chemSHERPA の説明 ○chemSHERPA の概要説明、データ作成⽀援ツールのデモンストレーションを通じた、依頼フォーマット

の作成、データの⼊⼒(成分情報、遵法判断情報)の説明 4. 主な質疑 ○chemSHERPA-CI には、なぜ遵法判断情報が設定されていないのか?

→ 化学品は、多くの場合、混合、反応、濃縮、揮発などのプロセスを経て、成形品に変換されるため、多くの場合は、成形品に対する法規制の閾値等に基づいて、遵法判断情報を作成しても意味がないと考えられる。

○chemSHERPA の物質リストは、IEC 62474 の Declarable Substances List (DSL) リストと

⼀致するか? → chemSHERPA の物質リストは、IEC 62474 の Declarable Substances Lists リストを包

含している。管理対象基準の⼀つとして採⽤し、さらに他の法規制等の対象となる広範囲の物質をカバーしている。

○chemSHERPA において提供している、材料及びその主要⽤途リストは⾮常に便利である。この材料

リストは、どのように更新しているのか? → (半年に⼀度更新している物質リストに⽐べると)材料リストは更新していないが、必要に応じて、

修正することは可能。 ○ファイル形式「(拡張⼦).shai」のファイルは、chemSHERPA でしか読めないのか?

→ 「.shai」のファイルは、ZIP 形式のファイルなので、解凍すると xml ファイルとなる。この xml ファイルは、IEC62474 に準拠したソフトであれば読み込むことができる。

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2.3. chemSHERPA 国際普及戦略検討会

2.3.1. chemSHERPA 国際普及戦略検討会の概要 「chemSHERPA 国際普及戦略検討会」は、以下の委員で構成した。

表 2.3-1 chemSHERPA 国際普及戦略のための検討会 委員(敬称略、五⼗⾳順)

⽒ 名 所 属 ⼩畑 康弘 パナソニック株式会社 品質・環境本部 製品法規課 ユニットリーダー 鈴⽊ 亨 ⼀般社団法⼈⽇本化学⼯業会 化学品管理部 部⻑ 古⽥ 清⼈ キヤノン株式会社 理事 環境統括センター 所⻑

森 伸明 ⽇本電気株式会社 ものづくりソリューション本部 環境ソリューショングループ シニアエキスパート

⼭⽥ 春規 ソニー株式会社 品質・環境部 製品安全/環境コンプライアンスグループ 環境マネジャー

オブザーバ(敬称略、五⼗⾳順) ⽒ 名 所 属

⼩野 芳樹 ⽇本電気株式会社 品質推進本部 環境推進部 シニアエキスパート ⽵下 満 アーティクルマネジメント推進協議会 技術参与

検討会は 3 回⾏い、各回の議題は下記の通りであった。

表 2.3-2 検討会の開催⽇程と議題 ⽇程 会場 議題

第 1 回 9 ⽉ 11 ⽇ 経済産業省 会議室

-アクションプランの確認 -本研究会の位置づけの確認 -chemSHERPA を取り巻く状況の共有 ・IEC 62474 改訂の状況 ・IPC の動き ・Proactive Alliance ・その他

-国際普及のための活動⽅針の検討 第 2 回 11 ⽉ 12 ⽇ 経済産業省

会議室 -chemSHERPA を取り巻く状況の共有 ・OECD 化学品会合 ・中国 RoHS 関連 ・IEC 62474 改訂、IEC 総会 ・IPC の動向 ・ECHA ⾼懸念物質データベース ・⾃動⾞業界

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⽇程 会場 議題 ・その他

-国際普及のための活動⽅針の確認・検討 ・オープン・クローズ戦略 ・IPC ・韓国 ・中国

-その他 第 3 回 2 ⽉ 12 ⽇ 経済産業省

会議室 -海外関係機関等との意⾒交換の結果等 ・欧州、韓国、中国(予定) ・その他情報共有

-国際普及に向けた戦略検討 ・chemSHERPA のコンテンツのオープン・クローズ戦略

-その他

2.3.2. chemSHERPA 国際普及戦略検討会での主な議論 <第 1 回> ○アクションプランの確認 ○本研究会の位置づけの確認 ○chemSHERPA を取り巻く状況の確認 -中国 RoHS の現状:2003 年に公布し、その後改正をしつつ運⽤。現在、規制対象の物質を表⽰

するにとどまっている。しかし、規制対象の品⽬を限定し、合格評定制度(国家認証)を導⼊し、国家推奨の認証機関での認証などを検討している。

-IEC62474 Ed.2 検討状況:FDIS において、コンプライアンス情報と成分情報の構成となっており、chemSHERPA の遵法情報と成分情報の構成と同様。IEC62474 の改定を受けて、IPC-1752も規格を改定する動きがある。新しい規格は IPC-1752B となる模様。

-マルチセクターでの情報伝達スキーム共通化の動きなど: <第 2 回> ○chemSHERPA を取り巻く状況の確認 -OECD ジョイントミーティングでの検討内容 -IEC62474 改訂状況 -韓国 KEA とのミーティングについて ○国際普及のための活動⽅針の確認・検討 -オープン戦略として、現状ではデータ作成⽀援ツールの外部ファイルを、ツールの⼀部として無償公開す

る。社内システムの作成者等へは、データを有償提供している。

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-chemSHERPA にメリットのあるような互換性のあるシステムの開発促進という意味では、データ作成⽀援ツールの「データ⼊出⼒部分」のみを切り出してモジュール化する等の⽅法が考えられる。各ベンダーにおける開発作業で⼀番⼯数がかかるのは、XML スキーマの出⼒が、規定に則っているかどうか等確認であり、「データ⼊出⼒部分」の標準モジュールをオープンにすることでその問題が解決できるなら、ベンダーの参⼊障壁を下げることができるのでないか。適切なデータ流通の観点からもメリットがあるのでないかと考えられる。

-クローズ戦略として、物質リスト作成の考え⽅⾃体は公開して透明性を確保しているが、データそのものは⾮公開としている。なお、社内システム作成者等には有償提供している。

-管理対象基準⾒直しについても、JAMP 会員で専⾨委員会参加企業等の投票などの⼿続きが定められ、運⽤されている。

<第 3 回> ○chemSHERPA を取り巻く状況の確認 -欧州および韓国の関係機関等との意⾒交換の結果等 -中国訪問 ○オープン・クローズ戦略に関する検討

2.3.3. chemSHERPA 国際普及戦略検討会での確認事項 全 3 回の検討をふまえて、chemSHERPA の国際普及のためのオープン・クローズ戦略として、以下の

確認を⾏った。

○IEC62474 の改訂検討においては、chemSHERPA の知⾒に基づく提案を積極的に実施してきた。成分情報と遵法判断情報の組合せによる情報項⽬など、chemSHERPA の考え⽅と合致したIEC62474 Ed.2(改訂版)は、2018 年 11 ⽉に発⾏された。

○chemSHERPA のデータ作成⽀援ツールは、今夏にリリースするバージョンから、IEC62474 Ed.2 に対応する予定。唯⼀の IEC62474 Ed.2 対応スキームとなる⾒込み。

○IEC62474 については、5 年後には⾒直される予定となっており、⺠間主体の対応が引き続き必要となる。

○今年度、既存の情報伝達スキーム、あるいは今後構築が予定されている情報伝達スキームとの互換性等の確保に向けて、海外関係機関等との意⾒交換を実施した。

○EU については、欧州化学品庁 ECHA の廃棄物枠組み指令 WFD に基づく SVHC データベースの取り組みについては、IPC の会議を通じて確認した。今後も WFD データベース(SVHC)の仕様に対する意⾒提案の提出、開発や導⼊準備の進捗の確認を継続する必要がある。また、EU RoHS 指令に

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おける制限対象物質の追加検討も開始されており、進捗の確認等が必要となる。 ○中国については、CQC とミーティングを実施し、その会議にも参加して CESI ともミーティングを実施した。

IEC62474 の改訂内容や今後の動きなどについて共有し、それをふまえた chemSHERPA の対応についても説明を⾏った。中国でも、中国 RoHS/Step2 の実施においては、製品含有化学物質の情報伝達が必要となると考えられることから、情報共有や意⾒交換の活動を継続する必要がある。

○韓国についても、KEA とミーティングを実施し、IEC62474 の改訂内容や今後の動きなどについて共有し、それをふまえた chemSHERPA の対応についても説明を⾏った。韓国でも、製品含有化学物質の情報伝達の仕組みを望む声があり、情報共有や意⾒交換の活動を継続する必要がある。

○IPC の動きについても、IPC-1752 関係者と情報共有や意⾒交換を実施した。今後予定されているIEC62474改訂をふまえたIPC-1752の改訂は重要事案となることから、IPC準拠の仕組みの代表格である BOMcheck 等の動きに留意ながら、引き続き情報共有や意⾒交換の活動を継続する必要がある。

○来年度以降も引き続き、適切な機会をとらまえて情報交換等取り組んでいくことが重要となる。

○今年度、今後の chemSHERPA のオープン・クローズ戦略について、議論を実施した。

○chemSHERPA 国際普及戦略(オープン・クローズ戦略)として、先⽅の chemSHERPA に対する要請内容に応じて情報提供を検討・実施する。

○来年度以降、この戦略をベースに、内容を詳細化し、コンテンツの提供を前提とした整備を進めるとともに、海外関係機関の動きや要望を把握して、適切な戦略を実⾏に移すことが望まれる。

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2.4. chemSHERPA の国際普及に係る戦略

2.4.1. chemSHERPA 国際普及戦略のまとめ 全 3 回開催したchemSHERPA 国際普及戦略検討会においては、国内外の状況をふまえて、今後

の chemSHERPA の国際普及に関する戦略についての検討が⾏われた。第 3 回の検討会で確認された戦略のまとめは、以下のとおり。

国際普及に向けた今後の⽅向性

他の情報伝達スキームとの互換性や類似性の確保の促進に当たっては、相⼿の状況を踏まえ、chemSHERPA 運営組織において、継続的な提携相⼿としての適切さを判断し、オープン・クローズ戦略を進める。政府関係機関との意⾒交換も必要に応じて実施する。

既にchemSHERPAを利⽤している海外のサプライチェーンに対しては、chemSHERPA運営組織において、今回更新されたシステムの概要・利⽤⽅法等について周知するなど、円滑な移⾏・使⽤を確実にする。

2.5. 製品含有化学物質関連の国際動向

2.5.1. Proactive Alliance <参加業界> -⾃動⾞・化学・家具・保育⽤品・電気&電⼦・機械・⾦属加⼯&⾦属成型品・ホームテキスタイル・

繊維・スポーツ⽤品 <対象> -REACH で定義している ”Substances in Articles” (成形品の物質) <業種間協⼒を後押しするもの> -REACH の情報開⽰条項による、顧客からの要求 -将来における法的要求への対応 -追加的利益(将来の法的要求に備えることで得られる管理のしやすさと係る諸経費削減効果) <データ詳細と開⽰のレベルについての⽅向性> -⻑期⽬標として、個別の成型品の FMD(フルマテリアル申告) -さらに、将来のスタンダードは以下の 2 点についてコンプライアンス宣⾔をサポートしなくてはならない

・規制物質リスト ・インダストリーリスト(禁⽌物質と報告物質)

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-FMD を短期に実施するのは無理があるので、ステップをふまえたスケジュールとする -どのような場合でも機密情報は考慮される -業種間協⼒は複数のネガティブリストが増殖するのを減らし、結果サプライチェーン業者への負担(異

なるレベルの要求事項)も減らせる。これは将来のスタンダードは異なる業種や企業の要求を統合するからである。

-将来のスタンダードは異なるモジュールを統合する ・モジュール 1 は⼀般的に問題とされる物質 POPs 条約のような国際的なもの ・モジュール 2 は REACH や WFD のような全業種を対象とするようなもの ・モジュール 2 は RoHS や ELV のような特定の有害物質を対象とするようなもの

-参加者は最も調和がとれるようなガバナンスメカニズムを⽀持 これは信頼性があり、異なる業種・異なる IT ツール・セキュリティの保証・正確な ID(CAS 番号や識別番号等)・データのクオリティとアップデート・対応する指標を意味する <検討状況(会議参加者の合意)> -グループのフォーカスを REACH で定義している成形品の物質とすると同意 -データ交換についてクロスセクター・スタンダードとすると決定

・現在使⽤されているスタンダードの調査/拡⼤からスタート ・FMD とコンプライアンス宣⾔(報告物質と規制物質リストに基づく)をサポート ・スタンダードは営業機密(CBI)保護・信頼性・データクオリティ・相互運⽤性を確保

-FMD がすでに複数の業界で⽤いられており、⻑期的に最も効率的なコンプライアンス⼿法であることを確認

-全業界が各業界の報告物質と規制物質リストを作成し、根拠となる基準と⽅法を発⾏することを後押しする

2.5.1. WFD に基づく SVHC データベース(ECHA)

2018 年 6 ⽉に WFD が改正・公布され、REACH 規則における物質⼜は混合物の供給者(製造事業者、輸⼊事業者だけでなく川下ユーザや流通業者を含む)は、これまで川上が川下に情報提供することが義務付けられてきたSVHC に関する情報を、ECHA に提出することを義務付けた(2021 年 1 ⽉ 5 ⽇から実施)。これを受け、ECHA は 2020 年 1 ⽉ 5 ⽇までに SVHCデータベースを作成し、供給者からの情報を収集することとした。最終的には、廃棄物処理業者及び消費者からのアクセスを可能にすることが予定されている。

このデータベースにより、これまでサプライチェーンを通じて伝達されていたデータが、ECHA の提供するデータベースに集められ、だれでもがそのデータベースにアクセスすることで情報を⼊⼿することが可能になる。

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Workshop on Waste Framework Directive database – Proceedings より転載1

図 2.5-1 REACH 規則第 33 条に基づく SVHC 含有情報の流れ(⾚線)と 新たなデータベースにより追加される情報の流れ(緑線)

ECHA が 2018 年 10 ⽉に開催したデータベースに関するワークショップの資料によれば、SVHC

データベースの⽬的は、以下の3つである。 EU 市場に出される成形品中の懸念物質の代替を⽀援することで有害廃棄物の発⽣を減

らす。 成形品中の懸念物質の使⽤を当局が監視し、成形品のライフサイクル全体にわたる適切

な管理を引き起こす。 廃棄物処理作業を改善するための情報を提供する。 また、現時点でデータベースの基本的な考え⽅として、ECHA から以下が提案されている。 成形品中の SVHC ごとに届出を求める「物質中⼼アプローチ」ではなく、個々の成形品⼜

は複合成形品単位で届出を求める「成形品中⼼アプローチ」を採⽤する。 届出された情報をサプライチェーンで紐付け、川上事業者が届け出た情報を川下事業者が

利⽤できるよう「ユニークな識別⼦」を導⼊する。この識別⼦の導⼊により、REACH 規則33 条の下でのサプライチェーンでのコミュニケーション促進、スムーズは製品の川上側へのアクセスや参照が実現できるとしている。

提供情報は、下記で、識別⼦だけでなく、「説明」や「分類」も必要となる。・管理情報

1https://echa.europa.eu/documents/10162/24198999/wfd_oct_2018_workshop_proceedings/935d1a22-c604-fb59-c2be-edafc8eb3288

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提供企業の情報、コンタクト先、⽇付など。 ・状況情報 登録状況(初回/改訂)、バージョンなど ・成形品情報 製品品番、製品の特定情報、製品の説明、分類、含有 SVHC、安全な使⽤に関する情報(Safe use information)など

情報のデータベースへの提供⽅法は、マニュアルでオンライン⼊⼒する⽅法とデータをアップロードする⽅法を想定。今後提出のフォーマットを整える予定。

提出された情報は、情報を削減することなく、公開する。そのため、機密情報は収集しない。また、公開にあっては、ユーザ(消費者や廃棄物処理事業者、サプライチェーン上の企業など)が必要な情報が⼊⼿できるように、検索機能も提供する。

将来的には、AskREACH などを含む既存の他のサプライチェーンのコミュニケーションツールやデータベースとの互換性を可能にする。また、製品や廃棄に関する他の法令の要件を考慮した拡張の可能性もある(たとえば、EUの緊急警報システムRAPEXとのリンクや既存または新規の表⽰要求への対応⽀援など)。

このワークショップには、21 の加盟国の他、環境 NGO や廃棄物業を含む 47 の⼯業会などが参加した。議事概要(Proceeding)では、ECHA から以下が報告されている 成形品中⼼のアプローチは、原則として⼤部分が受け⼊れられた ECHA が提案したユニーク ID は、その使⽤がボランタリーなものになれば、事業者の負担を

⼀部軽減することのできる有⽤なツールであるとの認識が得られた 成形品/複合オブジェクトが変更されなくなった時点で、追加情報を届け出ても付加価値

がないことが広く合意された(例:流通業者及び⼩売業者) フォーマットと届出ツールを EU 全体で調和させる必要があるとの認識が⽰された。 また、今後の論点としては以下が挙げられている。 届出更新の頻度:SVHC の追加更新は通常 6 カ⽉ごとなので、これに合わせて毎回更新

が必要かどうか。 情報要件:どこまでの情報を ECHA に提出するのか。ユニーク ID や成形品の分類以外に

情報が必要か。 セクター別アプローチは有⽤であるが、アプローチの法的選択肢と詳細についてはさらなる議

論が必要。 ホワイト登録(成形品中に SVHC を含まないことの宣⾔)の可能性などについても議論が

必要。

その後の状況として、欧州域内の業界団体は、SVHC データベースへの準拠に伴い数⼗億ユー

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27

ロの費⽤がかかると試算し消極的な姿勢を⾒せる(Chemical Watch 2018/10/24)など、多くの業界がデータベースの再考や延期を求めたとの報道がある。また、3 ⽉上旬の情報によると、17団体が ECHA データベース開発に参加したいと表明したとの報道がある(Chemical Watch 2019/3/7)。

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3. IEC62474 の改訂に伴う chemSHERPA スキームの改修

3.1. IEC62474 の改訂

IEC は電気電⼦分野の国際標準化機関であり、IEC62474 は当該機関が作成した電気電⼦産業の製品の材料宣⾔の規格である。

IEC62474 は要件を規定した⽂書とデータベースから成っており、データベースには、報告対象物質リストや材料分類リスト、伝達書式を規定するスキーマなどが収載されてWeb上で公開されている2。要件の⽂書とは異なり、データベースに収載の内容は、タイムリーにアップデートできる仕組みになっている。データベースに含まれる内容は表 3.1-1 の通りで、検証チーム(VT62474)が維持改定を⾏っている。

図 3.1-1 ICC62474 の構成

表 3.1-1 データベースで提供される情報 データベースの収載情報 内容等

1.報告対象物質リスト 報告対象物質リスト(Declarable Sunstance List; DSL)と、化学物質群についての個別物質を掲載した参照物質リスト(Referece Substace List; RSL)がある。

「電気・電⼦機器」に適⽤される製品含有規制が対象とする物質を収載。ただし、事前のスクリーニングで、「電気・電⼦機器」に含有の可能性がないと判断された物質は収載対象から除外される(除外した物質のリストも別途公開されている)。

DSL では、物質ごとに、CAS 番号、物質名称、根拠法令、報告⽤途、報告閾値などが整理されている。

これまで、年に約 2 回の頻度で改訂されてきた。バージョン D17.00 報告対象物質(群)数は 153。

2.伝達書式規定 情報伝達は、XML 形式のデータで⾏うこととされており、XML スキーマとDeveloperTable で、データエレメントやその構造が規定されている。

3.材料分類リスト 材料を報告する場合、当該材質分類に沿った分類も報告する必要がある。 現在の材質分類(バージョン M3.00)は 15 分類。

2012 年 3 ⽉に発⾏された IEC62474(IEC62474ed1 2012)は、その規格⽂中に “当該規格

はメンテナンスチーム(MT62474)によって維持され、5 年ごとに更新される”と記載されており、2016年頃から改訂に向けた検討が進められきた。今回の改訂の⽬的は、規格を産業界のニーズに最適なものへと改善することであり、アメリカの産業界の規格である「IPC 1752A on Materials Declaration

2 http://std.iec.ch/iec62474

+ データベース 要件

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29

Management3」(マテリアルデクラレーションマネジメントに関する IPC 1752A)の要件項⽬との統⼀についても検討された。

当初は 2018 年秋に改訂版を発⾏する予定で進められてきたが、改訂の範囲が広く、議論や検証に時間を要したため、最終的に 2019 年 11 ⽉ 30 ⽇に発⾏された(以降、これを IEC62474ed2 2018 という。)。

報告要件についての IEC62474ed2 2018 の主な変更点は下記の通り。 2 種類のマテリアルデクラレーションの定義

IEC62474ed1 2012 では、マテリアルデクラレーションは、基本要件と追加要件で構成される 1 つの定義だけを⽤いていたが、「遵法判断情報宣⾔」と「成分情報宣⾔」の 2 つのマテリアルデクラレーション要件が定義された。

a.遵法判断情報宣⾔:IEC 62474 報告対象物質リスト(DSL)に掲載されている規制物質(群)に対して、製品レベルで、報告⽤途に該当し、報告閾値以上含まれているか否かを報告する。 b.成分情報宣⾔:(化学物質群レベルではなく)個々の物質の含有状況を部品や材料レベルで詳細に報告する。

REACH 規則の“Article”への対応 Article の定義が記載された。また、複合的な成形品を EU に輸⼊するような場合、33 条の

その濃度閾値の分⺟を成形品の全体と捉えるのかという点についての EU 司法裁判所の結論(※)に基づき、複合成形品については成分情報で、製品、部品、材料の”Article”への該当性の報告が必要となった。 (※)REACH 規則ではその 33 条で、成形品(Article)中に SVHC を 0.1%以上含む場合、その情報を伝達しなければならないとされている。”Article”の定義は、規則の 3 条(3)で「成形品(Article)とは、製造時に化学組成よりも⼤きく機能を決定する特定な形状、表⾯ ⼜はデザインを与える対象物を意味する」とされているところである。⼀⽅で、複合的な成形品を EU に輸⼊するような場合、33 条のその濃度閾値の分⺟を成形品の全体と捉えるのか、構成部品と捉えるのかについて、解釈がわかれていた。2015 年 9 ⽉に EU 司法裁判所で、複合成形品の構成部品となるものは成形品に該当するという決定が下された。ECHA はこの判決に基づいた「成

3⽶国電⼦回路協会(IPC)が制定した規格であり、製品に含有される物質の情報をサプライチェーンの企業間で共有するためのマテリアルデクラレーションについて規定している。なお、IPC1754 は航空機業界のマテリアルデクラレーション規格である。

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形品の物質に対する要求のガイダンスドキュメント第 4 版」を 2017 年 6 ⽉に発⾏した4。 IEC 62474 規格に対する適合性(conformity)の明記

IEC 62474 規格に対する適合性について明確にする為、最⼩限の要件が追加された。サプライチェーンの情報交換に使⽤する書式は、紙等ではなく、データベースに収載の書式規定を満たす XML 形式のみが IEC 62474 規格準拠と認められると明記された。

Exemption Lists(除外リスト)の追加

VT 62474 による除外リストのデータベース収載に関する選定基準を定義する項が追加された。具体的なリストは、データベースで提供される。現在、除外リストは EU RoHS ならびに中国RoHS を考慮している。

他の物質リストの利⽤に関する⾔及

IEC 62474 規格に準拠するためには、IEC 62474 DSL を使⽤しなくてはならないと記載されているものの、他のリストを使うこともできることが明⾔され、そのための基準が定められた。

上記変更にともない、伝達書式規定(バージョン X8.00)が IEC62474 データベースで提供された

(2019 年 3 ⽉末)。このほか、新材料分類リスト(M4.00)ならびに ExemptionList もデータベースで提供される予定である(2019 年 4 ⽉以降)。

3.2. IEC62474 の改訂に伴うスキームの改修

chemSHERPA スキームは、IEC62474 に準拠している。データ作成⽀援ツール ver.1.00 を 2015年 10 ⽉に公開して依頼、半年ごとに物質リストの更新やツールの機能改善を⾏い、2018 年 2 ⽉にver.1.07 を公開したところである。

IEC62474 の規格改訂後も当該規格への準拠を維持するため、必要な対応を⾏った。具体的には、データ作成⽀援ツール(成形品/化学品)を ver.2 にバージョンアップした。

IEC62474 の改訂に伴う改修内容を 3.2.1 節に、ユーザから寄せられた要望や現状の課題を踏まえ、操作性の改善や必要な機能の追加の内容を 3.2.2 節に⽰した。

なお、データ作成⽀援ツールの改修にあたっては、chemSHERPA の運営組織であるアーティクルマネジメント推進協議会(JAMP)のツール委員会で議論、承認を得つつ進めた。

4 ”Guidance on requirements for substances in articles” https://echa.europa.eu/documents/10162/23036412/articles_en.pdf

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3.2.1. IEC62474 の改訂に伴う改修内容 (1) 情報伝達フォーマットの変更(項⽬の変更や削除)

3.1 に⽰したように、IEC62474 ed2 2018 では、2 種類のマテリアルデクラレーションが定義されるなどの変更があったため、伝達書式規定が変更された(バージョン X8.00)。これを反映し、情報伝達フォーマットの変更(項⽬の変更や削除)を⾏った。なお、サプライチェーンでの混乱を避けるため、当⾯は旧フォーマットでの出⼊⼒も可能とした。

ここでは、IEC62474 ed1 2012 に対応した chemSHERPA の書式を V1 形式、IEC62474 ed2 2018 に対応した書式を V2 形式と呼ぶ。

2つのファイル形式を取り扱うことになったため、出⼒形式名(V1/V2)をデフォルトファイル名に含めるように変更したり、ツールに読み込んだデータの形式が表⽰されるように変更するなどの対応も⾏った。

※V1 形式:IEC62474 ed1 2012(スキーマバージョン X6.01)に準拠した chemSHERPA の書式 ※V2 形式:IEC62474 ed2 2018(スキーマバージョン X8.00)に準拠した chemSHERPA の書式

図 3.2-1 データ作成⽀援ツーver.2 の出⼊⼒

chemSHERPA のデータフォーマットについて、データ構造を図 3.2-2 に⽰すように変更した。

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図 3.2-2 出⼒ファイル(XML 形式)の構造の変更(左が V1 形式、右が V2 形式)

データフォーマットに関するその他の主な変更点を表 3.2-1 に⽰す。

表 3.2-1 出⼒ファイル(XML 形式)の主な変更点

情報種 V1 形式 V2 形式

⾔語フラグ ・ローカル⾔語の種類

QueryList ・language

左 記 の 情 報 種 に 対 応 し た タ グ 名(charaLocal)を新設

・値変更 (V1)JP/US/CN (V2)ISO630 の⾔語コード

発⾏者/承認者/依頼者 ・会社名(ローカル) ・部署名(ローカル) ・担当者名(ローカル) ・役職名(ローカル) ・コメント(ローカル)

QueryList ・companyname ・division_Local ・name ・title ・comment

左記の情報種に対応したタグ名を新設 ・nameLocal ・divisionLocal ・nameLocal ・titleLocal ・commentLocal

・部署名(英) Product ・comment

左記の情報種に対応したタグ名(division)を新設

XML 取込ステータス ・正規(承認済) or ⼀時 を⽰すステータス

Product ・comment

左 記 の 情 報 種 に 対 応 し た タ グ 名(declarationComplete)を新設

・値変更予定 (V1) 1 or 2 (V2)True or False

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情報種 V1 形式 V2 形式

材料から参照する IEC62474 材料分類ID

Material ・materialClassID

左記の情報種に対応したタグ名が変更(MaterialClassID-> EntryID)を新設

遵法判断情報 ・物質情報

SubstanceGroup /Substance

左記の情報種に対応したタグ名(DsDsg)に変更

遵法判断情報 ・含有量

Product ・comment

左記の情報種に対応したタグ名(Mass)を新設予定

フィールドロック False 固定 タグ無し

IEC の物質リストのバージョン情報 substanceDataBaseVersion

IEC の DSL のバージョン(例:D14)

タグ無し

要求する遵法判断情報 (エリア)

Product ・Comment

左 記 の 情 報 種 に 対 応 し た タ グ 名(RequestContent-> DSLforCompliance)を新設

要求する成分情報リスト (⾚破線)

無し 左 記 の 情 報 種 に 対 応 し た タ グ 名(RequestContent-> DSLforComposition)を新設

要求する情報 ・成分情報 ・遵法判断情報

Product ・Comment ※「遵法情報のみ伝達」

左 記 の 情 報 種 に 対 応 し た タ グ 名(Request->RequestContent->Include)を新設予定

依頼者コメント Product ・Comment

左 記 の 情 報 種 に 対 応 し た タ グ 名(Request->RequestContent->comment)を新設

SVHC の article の識別 無し 左 記 の 情 報 種 に 対 応 し た タ グ 名(isArticle)を新設(製品、部品、材質のattribute)

成分情報 ・物質リスト、バージョン

無し 左 記 の 情 報 種 に 対 応 し た タ グ 名(Composition-> DeclarableSubstanceList)を新設

遵法判断情報 ・物質リスト、バージョン

Response ・Comment

左 記 の 情 報 種 に 対 応 し た タ グ 名(Compliance-> DeclarableSubstanceList)を新設

モード

・依頼者情報が有る場合:Request/Reply

・依頼者情報が無い場合:Distribute

・ 依 頼 者 情 報 が 有 る 場 合 : Requester/responder

・依頼者情報が無い場合: Distribution

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また、V1 形式、V2 形式での出⼒形式の例を以下に⽰す。なお、⼊⼒項⽬の書式は、「chemSHERPAデータ利⽤ガイド(システム開発者向け)第2.0版」として整理し、2018年3⽉末に chemSHERPA のホームページから公開の予定である。

<データ作成⽀援ツール ver.2 からの V1 形式での出⼒例> <?xml version="1.0" encoding="utf-8"?>

<Main schemaDatabaseVersion="X6.01ex1.0" substanceDatabaseVersion="D17.00" xmlns="http://std.iec.ch/iec62474"

xmlns:xsi="http://www.w3.org/2001/XMLSchema-instance">

<BusinessInfo fieldLock="false" mode="Distribute">

<Response date="2018-09-10" docID="REG-IC-001" comment="IEC62474@Quality Management Division@Quality

Management Division@2018-09-10">

<Authorizer name="Taro SHONIN" title="Senior Manager" email="[email protected]"

phone="123-456-789" internalAddress="1234" street="1-2-3 test" city="Chiyodaku" stateProvince="Tokyo"

country="JP" postalCode="100-0011" comment="" />

<Contact name="HanakoTANTO" title="Staff" email="[email protected]" phone="123-456-789"

internalAddress="9999" street="1-2-3 test" city="Chiyodaku" stateProvince="Tokyo" country="JP"

postalCode="100-0011" comment="" />

<SupplyCompany name="SHERPA ELECTRONICS Inc.">

<UniqueID authority="DUNS" identity="987654321" />

</SupplyCompany>

</Response>

</BusinessInfo>

<Product productFamilyName="" comment="1@2019-03-20 16:09@1@2019-03-20 16:05@1@@シェルパ電子株式会社@"

unitType="each">

<ProductID name="IC" identifier="REG-IC-001" effectiveDate="2018-09-10" version="" requesterName=""

requesterIdentifier="">

<Mass mass="2807.71" unitOfMeasure="mg" />

</ProductID>

<Substance name="Lead dinitrate" comment="">

<Threshold aboveThresholdLevel="false" reportableApplication="All" reportingThreshold="0.1 mass% of article

[ReportingLevel:Article]" />

<UniqueID identity="00089" authority="IEC62474" />

</Substance>

<SubstanceGroup name="Aluminosilicate Refractory Ceramic Fibres" comment="">

<Threshold aboveThresholdLevel="false" reportableApplication="All" reportingThreshold="0.1 mass% of article

[ReportingLevel:Article]" />

<UniqueID identity="00050" authority="IEC62474" />

</SubstanceGroup>

<SubstanceGroup

name="1,6,7,8,9,14,15,16,17,17,18,18-Dodecachloropentacyclo[12.2.1.16,9.02,13.05,10]octadeca-7,15-diene

(“Dechlorane Plus”™)" comment="">

<Threshold aboveThresholdLevel="false" reportableApplication="All" reportingThreshold="0.1 mass% of article

[ReportingLevel:Article]" />

<UniqueID identity="00147" authority="IEC62474" />

</SubstanceGroup>

<ProductPart numberOfUnits="0">

<ProductPart numberOfUnits="1">

<ProductID name="ダイアタッチ">

<Mass mass="0.0035" unitOfMeasure="g" />

</ProductID>

<Material name="Sn-Pb solder" materialClassID="M-009" comment="5@R351@@">

<Substance name="Lead" comment="@0">

<Exemptions>

<Exemption identity="0058" description="ELV_0058" />

<UniqueID identity="ELV_Ver.1.05.00" authority="chemSHERPA" />

</Exemptions>

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35

<Exemptions>

<Exemption identity="0255" description="RoHS_0255" />

<UniqueID identity="RoHS_Ver.1.05.00" authority="chemSHERPA" />

</Exemptions>

<MatMassPercent massPercent="93" />

<UniqueID identity="7439-92-1" authority="CAS" />

</Substance>

<Substance name="Silver (Ag)" comment="@0">

<MatMassPercent massPercent="2" />

<UniqueID identity="7440-22-4" authority="CAS" />

</Substance>

<Mass mass="3.5" unitOfMeasure="mg" />

</Material>

</ProductPart>

<ProductPart numberOfUnits="1">

<ProductID name="モールド樹脂">

<Mass mass="1.5" unitOfMeasure="g" />

</ProductID>

<Material name="EP (Epoxy resin)" materialClassID="M-014" comment="1@N551@@">

<Mass mass="1500" unitOfMeasure="mg" />

</Material>

</ProductPart>

<ProductID name="" />

<Material name="" materialClassID="" comment="" />

</ProductPart>

<QueryList identity="language">

<Query statement="JP" response="true" />

</QueryList>

</QueryList>

<QueryList identity="P_companyName">

<Query statement="シェルパ電子株式会社" response="true" />

</QueryList>

<QueryList identity="A_name">

<Query statement="承認太郎" response="true" />

</QueryList>

<QueryList identity="P_stateProvince">

<Query statement="東京都" response="true" />

</QueryList>

</Product>

<ToolNameVersionID identity="[email protected]" authority="chemSHERPA" />

</Main>

<データ作成⽀援ツール ver.2 からの V2 形式での出⼒例> <?xml version="1.0" encoding="utf-8"?>

<Main schemaDatabaseVersion="X8.00" xmlns="http://std.iec.ch/iec62474"

xmlns:xsi="http://www.w3.org/2001/XMLSchema-instance" charaLocal="JPN" declarationComplete="true">

<Include>

<Sectional nameOfSectional="Compliance" />

<Sectional nameOfSectional="Composition" />

</Include>

<BusinessInfo mode="Distribution">

<Response date="2018-09-10" docID="REG-IC-001" comment="2018-09-10">

<Authorizer division="Quality Management Division" name="Taro SHONIN" title="Senior Manager"

email="[email protected]" phone="123-456-789" internalAddress="1234" street="1-2-3 test"

city="Chiyodaku" stateProvince="Tokyo" country="JP" postalCode="100-0011" nameLocal="承認太郎" divisionLocal=""

titleLocal="シニアマネジャー" streetLocal="テスト町 1-2-3" cityLocal="千代田区" stateProvinceLocal="東京都" />

<Contact division="Quality Management Division" name="HanakoTANTO" title="Staff"

email="[email protected]" phone="123-456-789" internalAddress="9999" street="1-2-3 test"

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36

city="Chiyodaku" stateProvince="Tokyo" country="JP" postalCode="100-0011" comment="" nameLocal="担当花子"

divisionLocal="" titleLocal="スタッフ" commentLocal="" streetLocal="テスト町 1-2-3" cityLocal="千代田区"

stateProvinceLocal="東京都" />

<SupplyCompany name="SHERPA ELECTRONICS Inc." nameLocal="シェルパ電子株式会社">

<UniqueID authority="DUNS" identity="987654321" version="0" />

</SupplyCompany>

</Response>

</BusinessInfo>

<Product unitType="each" productFamilyName="" isArticle="true" comment="1@2019-03-20 16:09@1@2019-03-20

16:05@1@@シェルパ電子株式会社@">

<ProductID name="IC" identifier="REG-IC-001" effectiveDate="2018-09-10" version="" requesterName=""

requesterIdentifier="">

<Mass mass="2807.71" unitOfMeasure="mg" />

</ProductID>

<Compliance>

<DeclarableSubstanceList identity="IEC62474_DeclarableSubstanceList" authority="IEC" version="D17.00" />

<DsDsg name="Lead dinitrate" comment="">

<DsDsgID entryIdentity="00089" />

<ComplianceThreshold aboveComplianceThreshold="false" reportableApplication="All"

reportingThreshold="0.1 mass% of article [ReportingLevel:Article]" />

</DsDsg>

<DsDsg

name="1,6,7,8,9,14,15,16,17,17,18,18-Dodecachloropentacyclo[12.2.1.16,9.02,13.05,10]octadeca-7,15-diene

(“Dechlorane Plus”™)" comment="">

<DsDsgID entryIdentity="00147" />

<ComplianceThreshold aboveComplianceThreshold="false" reportableApplication="All"

reportingThreshold="0.1 mass% of article [ReportingLevel:Article]" />

</DsDsg>

</Compliance>

<Composition>

<DeclarableSubstanceList identity="chemSHERPA_SubstanceList" authority="chemSHERPA" version="2.00.00" />

<ProductPart numberOfUnits="0" isArticle="false">

<ProductID name="" />

<ProductPart numberOfUnits="1" isArticle="true">

<ProductID name="ダイアタッチ">

<Mass mass="0.0035" unitOfMeasure="g" />

</ProductID>

<Material name="Sn-Pb solder" comment="5@@@" isArticle="false">

<MaterialID>

<ListID identity="chemSHERPA_MaterialList" authority="chemSHERPA" version="D3.00" />

<EntryID entryIdentity="R351" />

</MaterialID>

<MaterialClassID>

<ListID identity="IEC62474_MaterialClasses" authority="IEC" version="D3.00" />

<EntryID entryIdentity="M-009" />

</MaterialClassID>

<Mass mass="3.5" unitOfMeasure="mg" />

<Substance name="Lead" comment="@0">

<SubstanceID>

<EntryID entryIdentity="7439-92-1" />

</SubstanceID>

<MassPercent massPercent="93" />

<Exemptions>

<UniqueID identity="ELV_Ver.1.05.00" authority="chemSHERPA" version="2.00.00" />

<Exemption identity="ELV_0058" regIndex="8(e)" description="Lead in high melting temperature type

solders (i.e. lead-based alloys containing 85 % by weight or more lead)" />

</Exemptions>

<Exemptions>

<UniqueID identity="EU-RoHS-AnnexIII" authority="IEC62474" version="E1.0" />

<Exemption identity="00042-B-00" regIndex="7(a)" description="Lead in high melting temperature

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37

type solders (i.e. lead-based alloys containing 85 % by weight or more lead)" />

</Exemptions>

</Substance>

<Substance name="Silver (Ag)" comment="@0">

<SubstanceID>

<EntryID entryIdentity="7440-22-4" />

</SubstanceID>

<MassPercent massPercent="2" />

</Substance>

</Material>

</ProductPart>

<ProductPart numberOfUnits="1" isArticle="true">

<ProductID name="モールド樹脂">

<Mass mass="1.5" unitOfMeasure="g" />

</ProductID>

<Material name="EP (Epoxy resin)" comment="1@@@" isArticle="false">

<MaterialID>

<ListID identity="chemSHERPA_MaterialList" authority="chemSHERPA" version="D3.00" />

<EntryID entryIdentity="N551" />

</MaterialID>

<MaterialClassID>

<ListID identity="IEC62474_MaterialClasses" authority="IEC" version="D3.00" />

<EntryID entryIdentity="M-014" />

</MaterialClassID>

<Mass mass="1500" unitOfMeasure="mg" />

</Material>

</ProductPart>

</ProductPart>

</Composition>

</Product>

<ToolNameVersionID identity="[email protected]" authority="chemSHERPA" version="0" />

</Main>

(2) Article への対応ならびに成分→遵法判断変換機能の変更 3.1 で⽰したように、IEC62474 ed2 2018 では、複合成形品については成分情報で、製品、部品、

材料の”Article”への該当性の報告が必要となった。 REACH 第 3 条(3)(ならびに IEC62474)の”Article”の定義(「成形品(Article)とは、製

造時に化学組成よりも⼤きく機能を決定する特定な形状、表⾯⼜はデザインを与える対象物」)ならびに SVHC の分⺟の解釈に関する欧州司法裁判所の判決が、製品重量から構成成形になったことを考慮し、chemSHERPA では、基本的に「部品」が、ファースト Article(Article と判断される最⼩単位)に該当すると考える。

⼀⽅で、欧州司法裁判所の判決をうけて改訂された REACH 規則の成形品に関するガイダンス(第4 版)では、塗料や接着剤中の SVHC について、次のように⽰されている。すなわち、図 3.2-3 に⽰すように⾦属の棒などの Article に塗料で着⾊する場合、⾦属棒中の SVHC 濃度の分⺟は⾦属棒の重量、塗料中の SVHC 濃度の分⺟は⾦属棒と塗膜の合計重量となる。

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38

図 3.2-3 ⾦属の棒などの Article に塗料で着⾊する場合の SVHC 濃度の考え⽅ chemSHERPA では、先に⽰したように、デフォルトで「部品」を、ファースト Article(Article と判断

される最⼩単位)に該当させるが、上記のようなケースでユーザが「材料」をファースト Article に指定(修正)できる仕組みとした(図 3.2-7)。

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39

図 3.2-4 データ作成⽀援ツール ver.2 でのファースト Article の指定の仕⽅ chemSHERPA の重要な機能の1つに「成分情報→遵法判断変換機能」がある。当該機能は、

成分情報から、エリア(たとえば IEC62474)の各対象物質の濃度を計算し、対象物質ごとに設定される閾値以上か未満かを判断して、遵法判断除法の含有判定や含有濃度を⾃動設定する機能である。対象物質が REACH 規則の SVHC であれば、閾値は「成形品中 0.1%」、電池指令の鉛であれば「部品(電池)中の鉛の濃度が 0.004%」、⽶国の消費者製品安全改善法の鉛であれば、「製品中の鉛の濃度が 0.01%」となる。このうち、閾値の分⺟が成形品(Article)については、データ作成⽀援ツール ver.1 では、分⺟を「製品」と解釈して判断していた(濃度を算出する際の分⺟を製品質量としていた)が、データ作成⽀援ツール ver.2 では、成分情報の Article フラグの位置で、分⺟を判断するように変更した。

基本的に「部品」がファーストアーティクルに該当すると考える。これを修正したい場合にのみ、メニューバーから「Article フラグ表⽰」を選択し、Article フラグを表⽰させて修正する。

デフォルトの状態では、「部品(CortedX)」にのみ”on”となっている。鋼材は材質だが Article に該当すると判断した場合は、ユーザが材質を”on”に修正。

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40

表 3.2-2 報告レベルが”article”についての分⺟の扱い

IEC62474 ed1 2012

chemSHERPA データ 作 成 ⽀ 援 ツ ー ルver.1 での扱い

IEC62474 ed2 2018 *[IECx.x]は規格の章番号

chemSHERPA データ作成⽀援ツール ver.2 での扱い

特に規定無し。 製品の質量

article の定義[IEC 3.1] article の 判 別 [IEC 4.3, 4.5.2, 4.5.3]が記載された。

ファースト Article に該当する材質または部品または製品の質量 (該当性は isArticle フラグで判別)

表 3.2-3 IEC62474 に記載されている報告閾値の分⺟と、chemSHERPA での扱い

ReportingLevel (報告閾値の分⺟)

chemSHERPA データ作成⽀援ツール ver.1 での扱い

chemSHERPA データ作成⽀援ツールver.2 での扱い

Product 製品質量を分⺟とする。 製品質量を分⺟とする。

Article 製品質量を分⺟とする。 ファースト Article に該当する材質または部品または製品の質量を分⺟とする。

ProductPart 最下層部品質量を分⺟とする。 最下層部品質量を分⺟とする。

Material 材質質量を分⺟とする。 材質質量を分⺟とする。

また、あわせて、報告閾値の分⺟が「部品」の場合、データ作成⽀援ツール ver.1 では部品の質量を

⼊⼒項⽬としておらず、部品を構成する材質の質量合計であるとみなしていた。chemSHERPA では材質については 100%つまり材質質量を合計すると製品の質量と等しくなるように報告することをルールとしているため、基本的に当該⽅法で問題ないが、より正確に判断できるように、データ作成⽀援ツールver.2 では部品重量を修正できるように改修した(図 3.2-5)。

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図 3.2-5 データ作成⽀援ツーver.2 での部品質量設定⽅法

(3) 遵法判断情報の「単純化」

IEC62474ed2 2018 では、遵法判断情報について、以下のように書かれている。 ・ ⼀般に、製品内に同じ報告⽤途で報告閾値以上の、申告対象物質⼜は申告対象物質群が

複数存在する場合、製品中で報告閾値を超える最⼤の質量パーセントの含有を報告しなければならない。加えて、最⼤の質量パーセントを下回る含有についても報告してもよい。申告対象物質⼜は申告対象物質群に対して適⽤除外が報告される場合、各適⽤除外に対して少なくとも 1 つの含有情報は宣⾔しなければならない。最⼤の質量パーセントを持つ含有情報が、各適⽤除外に対して宣⾔されなければならない。(後略)。 – ある報告⽤途において、適⽤される適⽤除外がなく、製品中で報告閾値以上の申告対象物質⼜は申告対象物質群の含有がある場合に、最⼤の質量パーセントを宣⾔しなければならない。 – IEC 62474 DSL に収載の申告対象物質及び/⼜は申告対象物質群の設定項⽬によって質量の報告が必要な場合、そのような申告対象物質⼜は申告対象物質群のすべての総質量を報告しなければならない。

サプライチェーンが⻑い製品の最川下側では製品の部品点数が⾮常に多くなり、対象化学物質を閾

値を超えて含有している箇所が多い場合(たとえば⾼融点はんだを多くの部品に使⽤している場合)、各部位ごとに含有率等報告すると、冗⻑でデータ容量が⼤きくなることが予想され、上記は、これに配慮

成分情報画⾯で、メニューバーから「部品質量合計表⽰」を選択

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した要件である。 表 3.2-4 遵法判断情報の含有率および含有量の考え⽅の違い

項⽬

IEC62474 ed1 2012

chemSHERPA データ作成⽀援ツール ver.1での扱い

IEC62474 ed2 2018 *[IECx.x]は規格の章番号

chemSHERPAデータ作成⽀援ツールver.2 での扱い

含有率 閾値を超える各ケ ー ス を 報 告 。[IEC 4.2.3(d)]

左の通り 閾値を超えるケースのうち、最⼤濃度(適⽤除外⽤途が異なる場合はそれ毎に)[IEC 4.4.2(f)]

左の通り

含有量 特に規定無し。 DeveloperTab

le で は mass とmass%はどちらか⼀⽅は必須と指定されている。

含有濃度:必須 含有量:オプション XML には含有率を

記載し(どちらか⼀⽅しか記載しないルールなので)、含有量はコメント欄を利⽤して記載。

含有濃度は、含有濃度に相当する含有量

DSL で含有量の報告が指定されている場合は、記載[IEC 4.4.2(e)(iii)]

(DSL には、SVHC につい て 、 01.% 以 上 の ”article”についての合計含有量(=製品中含有量)を記載するように書かれる予定)

含有濃度:必須 含有量:⼀部必

須* *DSL で指定されて

いる物質(SVHC)

chemSHERPA ではこの要件に対応するため、遵法判断情報画⾯に「単純化」機能を追加した。単

純化の仕様については、「chemSHERPA データ利⽤ガイド(システム開発者向け)第 2.0版 別紙2 複合化仕様」に取り纏めた。

図 3.2-6 遵法判断情報画⾯の「単純化」機能

含有率は、最⼤値に、含有量はトータル量に変更

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(4) IEC62474 ExemptionList への対応

chemSHERPA では、これまで EU RoHS 指令や EU ELV 指令等の適⽤除外⽤途等を整理した「⽤途リスト」を外部リストで管理し、適⽤除外⽤途を伝達できよう利⽤してきた。

先に⽰したように、IEC62474ed2 2018 では、Exemption List を提供することとなった。提供されるリストは、下記の3つのリストである。

・EU RoHS AnnexIII (EU RoHS 指令で全製品カテゴリに適⽤される適⽤除外⽤途) ・EU RoHS AnnexIV (EU RoHS 指令で製品カテゴリ 8 と 9 に適⽤される適⽤除外⽤途) ・China RoHS (中国 RoHS 指令で全製品カテゴリに適⽤される適⽤除外⽤途) そこで、EU RoHS については、IEC62464 のリストを利⽤するように改修した。なお、China RoHS

については、現時点では EU RoHS と同じであること(ただし期限が異なる)、それぞれの除外⽤途を⼊⼒することのユーザの負担等を考慮し、chemSHERPA ではまずは採⽤せず、ニーズに応じて検討することとした。

また、近年 RoHS の適⽤除外はより細かい製品カテゴリごとに異なる適⽤期限が与えられることが多くなってきた。そのため、IEC62474 の ExemptionList では、製品カテゴリごとに別の適⽤除外 ID が振られている。⼀⽅、川上〜川中の企業では、⾃社で製造する製品が、最終的にどんな製品になるかわからない場合も多いことから、chemSHERPA では、⽤途の内容で分けた分類を使⽤し、製品カテゴリ・期限別の詳細分類は⽤いないこととした。たとえば、法令番号”5(a)”についての IEC62474 Exemption ID ⼀覧を表 3.2-5 に⽰したが、00031-A-01〜00031-A-05 のような詳細な製品カテゴリ別の IDではなく、00031-A-00 を伝達の ID とする。

表 3.2-5 法令番号 5(a)に関する⽤ IEC62474 Exemption ID ⼀覧

ID 法令 番号

除外⽤途 製品カテゴリ 発効⽇ 期限

00031-A-00 5(a) Lead in glass of cathode ray tubes Multiple

00031-A-01 5(a) Lead in glass of cathode ray tubes 1 to 7 and 10 2011-07-22 2016-07-21

00031-A-02 5(a) Lead in glass of cathode ray tubes 8 and 9 other than in vitro and industrial

2014-07-22 2021-07-21

00031-A-03 5(a) Lead in glass of cathode ray tubes 8 in vitro 2016-07-22 2023-07-21 00031-A-04 5(a) Lead in glass of cathode ray tubes 9 industrial 2017-07-22 2024-07-21 00031-A-05 5(a) Lead in glass of cathode ray tubes 11 other EEE 2019-07-22 2024-07-21

ただし、製品カテゴリごとに適⽤期限が異なる場合には、それを情報として表⽰することとした(そのため

に、伝達する⽤途と表⽰のみ⾏う詳細レベルの⽤途との対応づけを外部リストで管理した)。

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合わせて、複数の適⽤除外⽤途が選択できるように変更した。 また、これまでの継続性に配慮し、V1 形式で出⼒した場合は、これまでの chemSHERPA ⽤途コー

ドが出⼒されることとした(そのために、V2⽤の⽤途コードと、V1⽤の⽤途コードの対応づけを外部リストで管理した)。

図 3.2-7 適⽤除外⽤途選択画⾯の変更

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(5) その他 IEC62474 ed2 2018 で、成分情報と遵法判断情報の2種類のマテリアルデクラレーションが可能と

なったことに対応し、ツール上で成分情報と遵法判断情報のどちらを(または両⽅を)提供するかを選択できるように改修した。あわせて、依頼する側も依頼する情報種を選択できるようにした(図 3.2-8)。

図 3.2-8 データ作成⽀援ツール ver.2 での情報種の選択(基本情報画⾯)

3.2.2. ユーザからの要望等への対応 ユーザから寄せられたツールに対する要望等を JAMP のツール委員会で検討し、優先度が⾼いと判断

されたものに対応した。

(1) 遵法判断情報の複合化機能の追加 データ作成⽀援ツール ver.1 では、複合化(※)の対象は成分情報だけであり、遵法判断情報は

複合化して作成した成分情報をもとに⼀から作る必要がある。⼀⽅で、川下の組み⽴て事業者では、膨⼤な成分情報をもとに、すべての遵法判断情報を作成するのは負担が⼤きい。そのため、ユーザから電池などのように、製品の供給のちに遵法判断情報に変更が⽣じない部分については、判断を継承でき

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てもよいのではないかという意⾒が多く寄せられていた。 以上より、「複合化」の対象を遵法判断情報に拡張することとした。複合化においては、複合化対象

のデータを元に、遵法判断物質(群)の報告閾値の分⺟(製品/材質/部品など)に応じて、含有判定を再度⾏った結果を表⽰する。データを合算して判定した場合は、合算対象となったデータの情報も表⽰する。

(※)複合化 サプライチェーンを製品が流れる中、基本的に化学品から成形品になって以降は、原部品どうしを汲

み合わせて⼩さな部品に、それらを組み合わせて複合的な部品に、といった具合に段階的により複雑な成形品になっていく。組み⽴ての⼯程でそれぞれの調達品の成分情報は変化しないため、調達品の含有化学物質のデータが⼊⼿できていれば、組み⽴て⼯程でそれぞれの調達品の使⽤する数を考慮して、組み⽴て後の成分情報を作ることができる。

(2) 管理対象基準の追加 ユーザから、管理対象基準5に欧州の医療機器指令(Medical Device Regulation; MDR)の

10.4 章 で指定される物質を加えてほしい旨の要望があり、運営組織での検討、投票等を経て、データ作成⽀援ツール ver.2 からこれを基準に追加することとなった。

そこで、追加した基準に関して、成分情報画⾯での規制フラグの表⽰や、物質検索画⾯の絞込み対象の追加、外部リストからのデータ読み込み等、必要な対処を施した。

図 3.2-9 MDR の基準追加に係るツールの変更(例:成分情報)

<MDR 付属書Ⅰ 10.4 章で指定されている対象物質> 以下の物質は、10.4.2 節に従って正当化される場合のみ 0.1 重量%を超える濃度で含有してよ

い(表⽰が義務づけられる)。 (a) CLP 規則の附属書Ⅵのパート 3 に従ったカテゴリ 1A ⼜は 1B の CMR である物質

5 chemSHEPRA では、製品含有化学物質規制に関係のある法規制及び/⼜は業界基準を選定し(これを管理対象基準という。)、管理対象基準が対象とする物質を伝達すべき物質の範囲としている。これまでは、化審法や EU RoHS 規制、⽶国 TSCA など 7 つの法令ならびに GADSL(⾃動⾞業界の対象物質リスト)と IEC62474 の2つの業界基準を管理対象基準としていた。

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(b) REACH 規則で⼈の健康に関連したクライテリアに従って、内分泌かく乱特性を有する物質と特定された物質

(c) 殺⽣物性製品規則の第5条(3)で、⼈の健康に関連したクライテリアに従って、内分泌かく乱特性を有する物質と特定された物質

(3) その他ユーザからの要望等への対応 (1)(2)の他に、表 3.2-6 に⽰す改修を⾏った。

表 3.2-6 ユーザからの要望等への対応

No.

改修対象ツール

要望 内容 化学品

成形品

1 ○

基本情報画⾯のエリアにチェックが無いと、遵法判断情報画⾯に移動できないが、遵法判断情報を⼀時保存または確定済みにしてから、基本情報画⾯に戻ってエリアのチェックを外しても何のエラーもなく外せてしまう。 またこの状態で、出⼒しようとすると「選択した⾏の対象エリアは、発⾏者・承認者情報の選択エリアと異なります」と表⽰され、エラーの意味が分かりにくい。

【遵法判断情報⼊⼒後のエリア変更防⽌】 現⾏では、遵法判断情報作成後に基本情報画⾯でエリアのチェックを外せてしまうが、これを不可にする。具体的には、基本情報画⾯で、エリアのチェックを外す時に、該当する遵法判断情報が存在する場合は「すでに遵法判断情報が作成されているためできません。遵法判断情報を削除してからエリアの変更または削除を⾏ってください」とのメッセージを表⽰し、外せないようにする。

2 ○ ○

基本情報画⾯の⽇付⼊⼒が、「発効⽇」についてはアシストされるが、作成⽇や承認⽇はアシストされない。

【⽇付⼊⼒アシスト機能の追加】 基本情報画⾯の「作成⽇」「承認⽇」「依頼⽇」について、「発⾏⽇」で既に実装されている⽇付⼊⼒アシスト機能を付加する。

3 ○

成分情報画⾯の⾏について、階層は1つにしておくべき。現状だと、階層を1つにせず部品を書いていく⼈が多い。複合化の際に困る。

【成分情報画⾯のデフォルト表⽰の変更】 成分情報画⾯に遷移した際に、デフォルトで 4 ⾏表⽰されるが、このうち、階層について1つにマージした状態に変更する。

4 ○ ○

基本情報画⾯は、他の画⾯に⼀度移動して戻っても、変更した列幅が保存されているが、成分情報画⾯、遵法判断情報画⾯は保存されていない。保存されるようにしてほしい。

【列幅保持機能の強化】 基本情報画⾯の「製品・部品情報」について、ユーザが列幅を変更して⼀度ほかの画⾯に遷移して戻った際も維持されている。これと同様の機能を成分情報画⾯ならびに遵法判断情報画⾯にも付加する。

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No.

改修対象ツール

要望 内容 化学品

成形品

5 ○ ○

①「作成済みファイル読込」のときに複数のファイルを読み込める機能がほしい。②また、製品のレコードが 1つのときしか読めないという制約もある。

【ファイル読込機能の強化その 1】 ①「作成済データ引⽤」で複数データを含むファイルも取り扱えるようにする(現⾏では 1 つのデータのファイルしか取り扱えない)。具体的には、そのようなファイルが選択されたときには、どのデータを読み込むかを選択するポップアップ画⾯を表⽰する。②「追加取込」で、複数のファイルを選択できるようにする(複合化画⾯でのファイル追加時の複数ファイル選択可能機能を「追加取込」にも適⽤)。

6 ○ ○ 作成済みデータ引⽤時、xml ファイルを読み込めるようにできないか?

【ファイル読込機能の強化その 2】 「作成済データ引⽤」の読み込むファイルの対象に.xml 形式を追加する。

7 ○ ○ ⼊⼿したファイルのバージョンが、ファイル名からわかるようにできないか?

【デフォルトの出⼒ファイル名の変更その1】 ファイル出⼒時(「⼀時保存」、「出⼒(依頼)」、「出⼒(承認)」)のデフォルトファイル名に統合バージョンを付加する。

8 ○ ○ 3つの EC 番号が該当するケースがある。

【EC 番号の型の変更】 物質検索画⾯で表⽰している EC 番号について、現状定義されている⽂字列⻑(20)を拡張する。

9 ○

化学品ツールの帳票にデータ作成⽇、承認⽇は出⼒されるが、発⾏⽇や改訂履歴が出⼒されない。発⾏⽇、改訂履歴も出⼒されるようにしてほしい。

【化学品データ作成⽀援ツールの帳票への出⼒項⽬の追加】 化学品データ作成⽀援ツールの帳票出⼒に、発効⽇、発⾏履歴を追加する。

10 ○ ○

化学品ツールでは帳票に物質リストに関する各管理基準のバージョン(官報番号等)が記載されるが、成形品ツールについては、説明書を⾒ないとわからない。成形品ツールでもツールから⾒られるようにしてほしい。

【各管理対象基準の更新状況表⽰機能の追加】 現在、化学品データ作成⽀援ツールの帳票に表⽰している「5.管理対象基準の詳細」の内容を、化学品、成形品の両ツールのバージョン確認の画⾯に追加する。また、同情報を成形品データ作成⽀援ツールの成分情報の帳票にも出⼒する。

11 ○ ○

製品名称や部品名称などユーザがマニュアル⼊⼒するフィールドにおいてエスケープ⽂字に変換される記号は「<」「>」「&」「”」の4つだが、通常は、これにシングルクォーテーションが含まれる。

【エスケープ⽂字の追加】 XML 出⼒時のエスケープ⽂字変換対象にシングルコーテーションを加える。

12 ○ 遵法判断情報画⾯において、RoHS 等の対象物質の含有判定が「Y」で、閾値を越えた含有率を

【遵法判断情報のエラーチェック強化】 遵 法 判 断 情 報 の ⽤ 途 コ ー ド の 選 択 肢 か ら 、 ”Below threshold(閾値以下)”を削除する。さらに、遵法判断情

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No.

改修対象ツール

要望 内容 化学品

成形品

報告した場合でも、⽤途コードで”Below threshold(閾値以下)”が選択可能で、かつエラーチェックでもエラーとならず、確定できてしまう。

報のエラーチェック時に、これが含まれていた場合はエラーとする。

13 ○ エラーチェックボタン押下時と、承認ボタン押下時で動きが違う。

【データのバージョンチェック強化】 成分→遵法判断情報変換時に、成分情報のバージョンをチェックし、古い場合は、ワーニング表⽰する。

14 ○ ○

ユーザインターフェースの改善

【新旧両データの取扱いに伴う UI 改修】 ・ファイル出⼒時はポップアップ画⾯でデータバージョンを選択させる(デフォルトは新データにチェック)。 ・読み込み時(ファイルを開く、作成済データ取込、追加取込、複合化のファイル選択時など)は、バージョンをユーザが指⽰することなく、読込時に判断する。

15 ○

【依頼データ種の追加】 現⾏では、依頼者の伝達事項として「遵法判断情報のみ伝達」のチェックボックスがあるが、これを「遵法判断情報」と「成分情報」の 2 つに分ける。デフォルトは両⽅にチェックする。エラーチェック時には、「遵法判断情報」にチェックがある場合は、エリアが 1 つ以上選択させているかのチェックを⾏う。また、本情報と回答状況の整合性等のチェックは⾏わない。

16 ○

【出⼒データ種の選択機能の追加】 基本情報画⾯に、出⼒データ種の選択機能を追加する。具体的には、「遵法判断情報」「成分情報」のチェックボックスを⽤意し、デフォルトは両⽅にチェック。「⼀時保存」の場合はチェック内容に関係なく両⽅出⼒するが、「出⼒(承認)」の場合は、チェックのついている⽅だけのエラーチェックをして出⼒する。「エラーチェック」ボタン押下時は、チェックがついている⽅だけのエラーチェックを実施。⽚⽅だけの出⼒やエラーチェックを実施する際は、どのデータを対象としたのか、ポップアップ表⽰する。

17 ○ ○

【操作の簡略化対応】 (1)メニューバーのファイル→帳票出⼒→EXCEL 出⼒(参照⽤)は 1 ステップに変更する。 (2)メニューバーの会社情報→⼊⼒→発⾏者・承認者情報 の「⼊⼒」のステップを削除する。 (3)メニューバーのツール→コンバート取り込みを、ファイル→開くの下に移動する。 (4)基本情報画⾯の「成分情報」「遵法判断情報」を製品の各⾏に配列する。

18 ○ ○ 同じ製品名、製品品番が記載でき 【重複報告防⽌チェック機能】

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No.

改修対象ツール

要望 内容 化学品

成形品

る 重複記載時のチェック処理追加。ただしエラーとはせず警告とする。

19 ○ ○

XML ファイル出⼒時に、成分情報や遵法判断情報はタグから書き出すが、基本情報については、タグの中⾝を変更するという出⼒の仕⽅をしている。したがって、読み込んだデータに余計な情報が⼊っていた場合、それが消去されず、伝わってしまう。

【XML 出⼒⽅法の変更】 基本情報画⾯の内容についても、成分情報や遵法判断情報と同様に、書き換える。

20 ○ ○

成分情報の含有率の⼊⼒が%固定で⼩数 4 桁の⼊⼒であるため、⼊⼒可能な最⼩値が 1ppm であるが、⼀⽅で REACH 規則の制限物質で PFOA の閾値が 25ppb、PAH の閾値が 0.5ppm と 1ppmより⼩さい閾値を持つ規制物質があり、今後も増加すると考えられる。

【成分情報の含有率の⼊⼒制限仕様変更】 成分情報画⾯の含有率を 7 ケタに変更(含有率の単位を%でなく、ppm や ppb が選択できるようにするかは、今後検討する)

3.2.3. 物質リスト等外部リストならびに関連するドキュメントの改修 データ作成⽀援ツール ver.2 へのバージョンアップに伴い、外部リストの改修を⾏った。 今後のメンテナンスの効率性を考慮し、外部リストは、V1 ⽤、V2 ⽤と分けることなく、1つのリス

トとすることにした。また、外部リストは、データ作成⽀援ツールで利⽤するだけでなく、社内システムを構築している企業が利⽤するものであるため、継続性の観点から情報項⽬の増減や形式の変更を最⼩限に抑える形で改修をおこなった。というのも、社内システムを構築している各企業の V2 対応は数年程度かかる可能性もあるため、V2 対応が済んでいない企業にとっても、これまでどおりの形で外部リストが利⽤できることが必要だからである。外部リストとして、これまで 14 のマスタを管理してきたが、データ作成⽀援ツール ver.2 へのバージョンアップに伴い、⽤途コード関連の 2 つのマスタを追加した。

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表 3.2-7 外部リストの変更点

また、下記のドキュメントの修正を⾏った。ユーザ向けドキュメントについては、英語、中国語への翻訳も⾏った。 <ユーザ向けドキュメント>

No. リスト種類 概要 変更内容 1 ① エリア情報 エリアのコード、名称を管理するマスタ 情報項⽬を追加 2 ② エリア詳細 エリアに対応する規制の内容と閾値を管理するマスタ 内容の追加等のみ(フォー

マットに変更なし) 3 ③ 対 応 物 質

情報 エリア詳細情報に該当する化学物質と元素換算係数を管理するマスタ

内容の追加等のみ(フォーマットに変更なし)

4 ④ 物質情報 物質の情報(CAS、物質名、物質群と各管理対象基準の該否、適⽤除外や物質⽤途の表⽰制御情報を管理するマスタ

内容の追加等のみ(フォーマットに変更なし)

5 ⑤ 規制情報 規制コードを管理するマスタ 内容の追加等のみ(フォーマットに変更なし)

6 ⑥ ⽤途リスト 規制コードに対する除外/適⽤の⽤途コード、⽤途を管理するマスタ

情報項⽬を追加

7 ⑦ 材質リスト 材質情報の材質⽤途コード、分類記号コードを管理するマスタ

内容の追加等のみ(フォーマットに変更なし)

8 ⑧ 物 質 変 換マスタ

従来 JAMP で使⽤されている物質と chemSHERPA の物質の対応を管理するマスタ

変更なし

9 ⑨ 材 質 変 換マスタ

従来JAMPのAISで使⽤されている材質とchemSHERPAの材質の対応を管理するマスタ

変更なし

10 ⑫使⽤⽤途分類変換マスタ

JGPSSI の使⽤⽤途分類と chemSHERPA の⽤途の対応を管理するマスタ

内容の追加等のみ(フォーマットに変更なし)

11 ⑬バージョンマスタ

全体のバージョンおよび上記各テーブルのバージョンと基本となる xsd、IEC のリストバージョンを管理するマスタ

情報項⽬を追加

12 ⑮使⽤⽤途分類別含有判定

JGPSSIの使⽤⽤途分類と含有判定の対応を管理するマスタ

内容の追加等のみ(フォーマットに変更なし)

13 ⑯エリア-⽤途対応

エリアの新スキームIDごとに⽤途コードの関連を管理するマスタ

内容の追加等のみ(フォーマットに変更なし)

14 ⑰IEC 関連情報マスタ

エリアのデータベースバージョンごとに、新スキーム報告 ID からIEC 報告 ID の引き当てを管理するマスタ

内容の追加等のみ(フォーマットに変更なし)

15 ⑱⽤途主従マスタ

伝達する⽤途コードと、詳細レベルの⽤途コード(参照⽤)の関係を管理するマスタ

新規追加

16 ⑲ ⽤ 途 V1V2対応マスタ

chemSHERPA の V1 形式と V2 形式の⽤途コードの対応を管理するマスタ

新規追加

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成形品データ作成⽀援ツール操作マニュアル 第 2.0 版 成形品データ作成⽀援ツール⼊⼒マニュアル 第 2.0 版 化学品データ作成⽀援ツール操作マニュアル 第 2.0 版 化学品データ作成⽀援ツール⼊⼒マニュアル 第 2.0 版 ⽤途リスト 第 2.0 版 材質リスト 第 2.0 版

<開発者向けドキュメント> 開発者⽤データ利⽤ガイド 第 2.0 版 外部リスト説明書 第 2.0 版

3.2.4. データ作成⽀援ツール ver.2 の評価検証 ツールのバグや⽳を最⼩化するとともに、V1 形式での出⼒ファイルの各社社内システムへの取込み確

認等を⽬的として、データ作成⽀援ツール ver.2 の評価を⾏った。実際に評価対象としたツールは ver.2β版である。というのも、IEC62474 の規格発⾏が遅れたため、検討段階(2018 年 5 ⽉時点)の伝達書式規定(Developer Table)に基づいて開発を開始した。評価検証では、このバージョンを対象とした。

なお、その後、2018 年 11 ⽉ 30 ⽇に発⾏された規格(要件)と 2019 年 2 ⽉時点の伝達書式規定や Exemption List の最終案を使⽤してβ版を修正し、データ作成⽀援ツール ver.2 を完成させた。

<実施概要> 1.対象

運営委員会、ツール委員会、管理対象物質委員会、普及委員会、管理ガイド委員会に参加している企業ならびに、それらのサプライヤ企業。

なお、検証作業は、可能な限り、⽇常的に chemSHERPA データの授受を⾏っている実務者の⽅にお願いした。

また、検証への参加にあたっては、下記をご理解いただいた。 検証へのご協⼒をお願いするもので、chemSHERPA の普及や、機能追加の要望を頂く

ことは⽬的ではない。 β 版で作成したデータを流通させないこと。 検証終了後は、ツールを適切に消去いただくこと。 適⽤除外など、⼀部改修が間に合っていないものがあること。 先述の通り、V2 での出⼒書式は、IEC62474 ed2 2018 版を反映しきれていない(β

版は暫定版の書式を使⽤)ので、社内システム改修の仕様検討には利⽤できないこと。

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2.検証⽅法 3.に⽰す検証書類⼀式をダウンロードし、4.のスケジュールに従って検証。検証結果は、3.で提

供する「chemSHERPA⼊⼒⽀援ツールv2β検証結果報告⽤シート.xlsx」に記⼊の上、期限までにメールに添付してご提出いただく。

主な検証内容は下記だが、これに限らず、⼿持ちのデータがあれば、それらを⽤いて多⾓的に検証いただいた。 V1 形式ならびに V2 形式のデータの⼊出⼒が情報⽋損などなく、相互にできること。 既存の機能(複合化や、成分→遵法判断変換、作成済データ取込、帳票出⼒など)

がこれまで通り、正しく動作、機能すること。 改修項⽬について、正しく動作、機能すること V1形式で出⼒したデータが、社内システムに読み込み可能であること。(社内システムを

保有している場合) 3.検証書類⼀式

1)ツール検証作業ご協⼒依頼 2)検証⽤データ作成⽀援ツール Ver2.00.00β版 (成形品/化学品) 3)サンプルデータ(成形品/化学品 Ver2.00.00(V1書式/V2書式, Ver1.06.00) 4)追加機能⼀覧と確認内容 _v2.0β評価⽤.pdf 5) chemSHERPA ⼊⼒⽀援ツールv2β検証結果報告⽤シート.xlsx 6)マニュアル類 ・化学品ツール_操作マニュアル(2.0β版).pdf ・化学品ツール_⼊⼒マニュアル(2.0β版).pdf ・成形品ツール_操作マニュアル(2.0β版).pdf ・成形品ツール_⼊⼒マニュアル(2.0β版).pdf 7) chemSHERPA データ利⽤ガイド Ver2β別紙 2(複合化).pdf

4.スケジュール プログラム改修を効率的に⾏うため、検証結果は 2 回に分けて報告いただいた。なお、第 1 次検

証でいただいた障害報告のうち重⼤な障害に対応したβ版ツールを 1 ⽉末に提供した。 2018 年 12 ⽉ 10 ⽇〜12 ⽉ 28 ⽇ :第 1 次検証 2019 年 1 ⽉ 4 ⽇〜2 ⽉ 15 ⽇:第 2 次検証

5.結果 116 ⼈(延べ数)がツールβ版をダウンロードして、検証に参加いただいた。 結果として、80 件あまりの障害報告、意⾒をいただいた。障害についてはすべて対応し、新たな要望については今後の参考にすることができるように整理して、JAMP に報告した。

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3.3. データ作成⽀援ツール ver.2 の公開について

データ作成⽀援ツール ver.2 は、2019 年度の第 1 回の定期改訂(2019 年 8 ⽉を予定)時に chemSHERPA のホームページ6から公開の予定である。

6 https://chemsherpa.net/