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Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc. 平成30年度新エネルギー等の導入促進のための基礎調査 分散型エネルギーリソースを活用したアグリゲーションビジネスの構築に 関する調査 報告書 2019年3月29日 経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー・新エネルギー部 新エネルギーシステム課 御中

平成30年度新エネルギー等の導入促進のための基礎調査 分散 …ンの設定方法等)が整理されていないケース等について、分散型エネルギーリソースの特性、VPP

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平成30年度新エネルギー等の導入促進のための基礎調査

分散型エネルギーリソースを活用したアグリゲーションビジネスの構築に関する調査

報告書

2019年3月29日

経済産業省 資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部新エネルギーシステム課 御中

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目次

調査概要 ・・ 2

I. 電力取引におけるVPP活用に向けた海外調査 ・・ 5

II. VPP活用に向けた需要家側エネルギーリソースの評価方法の検討 ・・ 65

III. 実証結果の分析 ・・113

IV. 検討会・WGの開催 ・・123

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調査概要

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調査概要 -目的及び全体像-

⚫ プロジェクトの目的及び全体像は以下のとおり。

政策の方向性

<仕様書より>

(1)太陽光発電設備のように天候により発電量が変動する再生可能エネルギーの導入拡大に伴い、火力発電による部分負荷運転の増加など、電力システムに非効率が生じつつあり、系統安定化システム(需給バランス、周波数・潮流の制御)の一層の高度化が課題。

(2)今後更なる普及が期待される需要家側エネルギーリソース注1を、VPP注2により供給力・調整力等として活用することが検討されている。アグリゲーターは新たに設備を設置する場合と比較して低コストで調整力等を生み出すことができると期待されているが、エネルギーリソースをアグリゲートするためには、蓄電池等の統合・遠隔制御などの技術的課題があるため、政府としては、平成28年度より、実証事業でこれらの課題の解決を図ってきた。

(3)DRの一つであるネガワット取引に必要となる事項の整備や、需要家側エネルギーリソースの遠隔制御の際に使用する通信規格の整備等を官民で検討する場として、ERAB検討会を設立。同検討会においてアグリゲーションビジネスの普及に向けた検討を進め、その成果として、ERABガイドラインや通信規格の仕様書等を策定してきた。

(4)本調査事業では、これらの検討結果を踏まえつつ、VPPの最大限の活用を目指し、諸外国における先行事例やエネルギーリソースを遠隔制御し創出した電力量を適切に評価する方法等を整理する。これらの検討結果をERABガイドライン等に反映するとともに、必要となる技術的・制度的課題に対して適切な措置を講じるに資する調査・検討を行うことを目的とする。

⚫ 再生可能エネルギーの導入拡大

⚫ 系統安定化システムの更なる高度化

⚫ 需要家側エネルギーリソースの活用

目指すべき姿背景・外部環境変化

⚫ 電力システムを含めた社会コスト低減

⚫ 各種電力取引市場の整備・活性化

⚫ 新たなエネルギービジネスの台頭

⚫ 需要家側エネルギーリソースを活用した

電力取引市場の整備

⚫ アグリゲーションビジネスの成立・拡大に

向けた市場環境・規格等の整備

分散型エネルギーリソースを活用したアグリゲーションビジネスの市場環境整備に資する材料を提供

注1 太陽光発電設備やエネファーム等の創エネルギー設備、蓄電池や電気自動車等の蓄エネルギー設備及びディマンドリスポンス等の需要家側の省エネルギーの取組み注2 需要家側エネルギーリソースを遠隔・統合制御し、あたかも一つの発電所(バーチャルパワープラント)のように機能させる

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調査概要 -実施項目-

⚫ 調査・検討内容のうち、以下の項目を実施した。

≪Task 1≫ 電力取引におけるVPP活用に向けた海外調査

各種の電力取引(卸取引市場、容量市場、需給調整市場等)において、VPP を最大限に活用するために必要となる情報として、先行する諸外国(アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス等)における市場及び制度設計について調査

≪Task 2≫ VPP活用に向けた需要家側エネルギーリソースの評価方法の検討

需要家側エネルギーリソース(DSR)を制御することにより生み出されるネガワット等の評価方法(計量方法、ベースラインの設定方法等)が整理されていないケース等について、分散型エネルギーリソースの特性、VPP の事業性の確保、社会的コスト、海外における先行事例等を参考にしつつ、合理的な評価方法を検討する。

<整理すべき事項例>⚫ 需要創出型DRの評価方法⚫ DSRを周波数調整に用いる際に必要となる短周期変動に対する電源の追随性の評価方法

(ケース:電源I-a相当、I-b相当等)⚫ 容量市場、需給調整市場及び卸電力取引市場においてDSRが提供可能な電力(kW、kWh等)の評価方法⚫ VPPにより発電機等を用いた発電量が需要を上回り逆潮流した場合の電力(kW、kWh等)の評価方法⚫ PV を設置した家庭等の低圧需要家が提供する電力(kW、kWh等)の評価方法⚫ 複数のリソースをリレーして提供する電力(kW、kWh等)の評価方法

≪Task 3≫実証結果の分析

H30年度のVPP構築実証データについて、達成率及びその標準偏差、報告時間等について分析。

≪Task 4≫検討会及びWGの開催

検討会・WGを開催し、日程調整、資料作成支援、会議運営、議事録の作成等を実施。

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Ⅰ.電力取引におけるVPP活用に向けた海外調査

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電力取引におけるVPP活用に向けた海外調査 -調査項目-

⚫ 各種の電力取引(卸取引市場、容量市場、需給調整市場等)において、VPP を最大限に活用するために必要となる情報として、先行する諸外国(アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス等)における市場及び制度設計について調査を実施した。

⚫ 調査項目、調査内容及び調査対象国・地域は以下の通り。

① 諸外国の電力取引市場におけるDRの取扱い

⚫ 欧米におけるDR取引対象市場

⚫ 欧米における需給調整市場の概要・調達状況

✓ アメリカ(PJM、CAISO)

✓ ドイツ

✓ イギリス

✓ フランス

② 諸外国の電力取引市場におけるDRの評価方法

⚫ 欧米の需給調整市場及び容量市場におけるDRの評価方法の状況

✓ アメリカ(PJM、CAISO)

✓ ドイツ

✓ イギリス

③ 諸外国におけるネガワット調整金の取扱い

⚫ 欧米におけるネガワット調整金の考え方の整理

✓ イギリス

✓ ドイツ

✓ フランス 等

調査項目 調査内容 調査対象国・地域

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諸外国におけるDR取引対象市場:ドイツ

⚫ ドイツでは1998年の電力小売自由化の後、2001年~2002年にかけて、連邦カルテル庁の要求を受ける形で各TSOが調整力(予備力)の競争入札を開始した。

⚫ 応動時間・継続時間等のスペックが異なるPrimary Control Reserve、Secondary Reserve、Tertiary Control Reserve の種別に入札が行われる。

◼ Secondary/Tertiary Control Reserveでは、系統への出力増と出力減(上げ:positive/下げ:negative)をそれぞれ別のメニューとしている。

ドイツにおけるDR取引対象市場

応動時間 継続時間 最低入札容量DR契約量

(DR登録量)※1

全契約量に占めるDRの割合

(全登録量に占めるDRの割合)※1

Primary Control Reserve(PCR)

30秒以内 15分以内 1MWN/A

(約70MW)※2N/A

(約1.3%)※2

Secondary Control Reserve(SCR): positive

5分以内30秒~15分

5MW

N/A(約480MW)※2

N/A(約2.1%)※2

Secondary Control Reserve(SCR): negative

N/A(約560MW)※2

N/A(約2.5%)※2

Minute Reserve(MR)またはTertiary Control Reserve(TCR): positive

15分以内

15分~1時間

(数時間の場合あり)

5MW

N/A(約670MW)※2

N/A(約1.6%)※2

Minute Reserve(MR)またはTertiary Control Reserve(TCR): negative

N/A(約650MW)※2

N/A(約1.6%)※2

※1 DR契約量のデータは入手不可のため、ドイツ調整力市場の事前審査を通過し登録されたリソースのうち、DSM(Demand Side Management)の登録量を記載※2 2017年11月末時点(regelleistung ウェブサイト(https://www.regelleistung.net/ext/download/pq_capacity)より作成)

出所)“General information on control reserve - technical aspects”, REGELLEISTUNG.NET, 2018/7.30閲覧, https://www.regelleistung.net/ext/static/technical“Präqualifizierte Leistung in Deutschland”、Regelleistung, 2018/9/2閲覧、https://www.regelleistung.net/ext/download/pq_capacityを基に三菱総研作成

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※1 各種資料、ヒアリング等からの推定※2 原文:”response times within 20 minutes are preferable”※3 需要リソースについて入札時に最低容量3MWに達していなくても、契約期間内に3MWに到達することを条件に参加を認める”STOR Runway”を含む※4 Non-BMリソースの容量

諸外国におけるDR取引対象市場:イギリス

⚫ イギリスでは、応動時間等のスペックにより細分化された調整力市場にDRが参加可能。

⚫ 現在は、STORというメニューがDRの主要市場となっている。

⚫ 2018年運用が開始される容量市場にもDRが参入可能となっており、今後のDR参入拡大が見込まれる。

イギリスにおける主なDR取引対象市場※注

応動時間 継続時間 最低入札容量 DR契約量全取引量に占める

DRの割合

FCDMFrequency Control by Demand Management

2秒~10秒 30分以上 3MW 100MW超(想定※1) (DR向け市場)

FFRFirm Frequency Response

10秒以内/30秒以内 20秒以上/30分以上 1MW 数十MW程度(想定※1) 最大10%程度(想定※1)

Fast Reserve2分(開始)

4分(フル出力)15分以上 50MW 0~僅少(想定※1) 0~僅少(想定※1)

STOR※3

Short Term Operating Reserve

20分以内推奨※2

(最大240分)2時間以上 3MW※3 1,958MW※4 57MW※4

出所)第4回調整力の細分化及び広域調達の技術的検討に関する作業会「資料4参考資料」電力広域的運営推進機関、及びNational Grid資料等を基に三菱総研作成

注)上記以外に、2018年から運用される容量市場にDRが参入可能。“T-4 Capacity Market Auction for 2019/20”では、476MWをDSR(Demand Side Resources)が落札した。また、容量市場運用開始前の移行期に運用される”Transitional Capacity Market Auction for 2016/17“では、457MWをDSRが落札。

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応動時間 継続時間 最低入札容量 DR契約量

FCRPrimary Control (Réglage Primaire de Fréquence)

30秒以内 15分以内 1 MW 40MW程度※1

aFRRSecondary Control (Réglage Secondaire de Fréquence)

400秒以内 15分以上 1 MW 0~僅少※1

mFRRRapid Reserve (Réserves rapides)

9分、13分30分、60分、

90分、120分10 MW

(1MWに緩和する議論あり)

約400 MW※2

RRComplementary Reserve(Réserves complémentaires)

30分 30分~90分 10 MW(1MWに緩和する議論あり)

DSR - RR Demand Response Call for Tender (Appel d’Offres d’Effacement

2時間 30分~2時間 10 MW(1MWに緩和する議論あり)

1,800MW※1

NEBEF (Energy) (前日17:30) - 0.1 MW -

諸外国におけるDR取引対象市場:フランス

⚫ フランスでは、2014年7月から、応動速度の速いメニュー(FCR/aFRR)においてもDRが参画可能となった。

⚫ 比較的応動速度が遅く、継続時間の長い“DSR-RR”が、現在DRの主要市場となっている。

⚫ 2017年に運用が開始される容量市場にもDRが参入可能であり、DR主要市場となることが見込まれる。

注)上記以外に、2017年から運用される容量市場にDRが参入可能。

フランスにおけるDR取引対象市場※注

※1 2015年時点 (”Mapping Demand Response in Europe Today – 2015“(SEDC,2015/9/30)より作成)※2 2014年時点 (RTE資料・ヒアリングより作成)※3 2015年時点(平成27年度 新エネルギー等導入促進基礎調査ネガワット取引の経済性等に関する調査報告書)※4 アグリゲーター(需要家)が、毎週1週間分の需要予測値をRTEに予め通知し、その値をベースラインとする。

出所)第4回調整力の細分化及び広域調達の技術的検討に関する作業会「資料4参考資料」電力広域的運営推進機関、及びRTE資料を基に三菱総研作成

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諸外国におけるDR取引対象市場:アメリカ PJM

⚫ PJMでは、応動時間等のスペックにより細分化された各市場にDRが参加可能。

⚫ 応動速度の速いアンシラリー市場にも一部のDRが参入しているが、容量・金額ベースでみたDRの主要市場は、容量市場となっている。

応動時間 継続時間最低入札

容量DR契約量※5 全取引量に占める

DRの割合

Regulation 瞬時※1 N/A 100kW6.4MW(平均)

1.0%

Synchronized Reserves 10分 最大30分 100kW71.9MW(平均)

4.9%

Day-aheadScheduling Reserves

30分 N/A 100kW 0~僅少※4 0~僅少※4

Economic Load

Response (Energy)リソースに依存 N/A

100kW - -Emergency Load

Response (Energy

Only)

原則30分以内(例外的に1時間または2時間以内)

※2N/A

Full Emergency Load

Response (Capacity)原則30分以内(例外的に1時間または2時間以内)※2

最大6時間または10時間または無制限※3 100kW 11,635MW 8.1%

※1 原文:”Effectively instantaneous”※2 受渡年度2015/2016 以降、PJMが60分または120分の例外要請を承認した場合を除き、通知から30分以内に統一。※3 Limited DRの場合は6時間、Extended Summer DR及びAnnual DR、Base Capacity DRの場合は10時間、Capacity Performance DRの場合は無制限。※4 制度上、参入可能だが、実質的にDR参入はほぼない(PJMヒアリングより) ※5 “Ancillary Service Market Results 2015”(PJM)より

PJMにおける主なDR取引対象市場

出所)第4回調整力の細分化及び広域調達の技術的検討に関する作業会「資料4参考資料」電力広域的運営推進機関、及びPJM資料を基に三菱総研作成

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需給調整市場の概要:欧州

⚫ 欧州各国における需給調整市場の概要を下記に整理。

ドイツ イギリス フランス

調達主体

ドイツの4つのTSOが、全国需給調整市場(Regelleistung)を活用した需給調整能力の確保,Grid Control Cooperation(GCC)と呼ばれる広域的な連携体制を構築

系統運用者であるNational Gridが調達RTE(TSO)が需給調整メカニズムを運営し、市場及び義務的調達にて確保

調達単位 ポートフォリオ(BG)単位 ユニット単位 ユニット単位

調整力の種類

(ENTSO-eの分類)

周波数制御予備力

FCR

• Primary Control Reserve(PCR)

• Mandatory Frequency Response• Firm Frequency Response• Frequency Control by Demand

Management• Enhanced Frequency Response• FFR Bridging Contract

• Primary Control

周波数回復予備力

FRR

• Secondary Control Reserve(SCR)• Minute Reserve(MR)またはTertiary

Control Reserve(TCR)

• Fast Reserve• BM Start-up• Fast Start

• Secondary Control• Rapid Reserve

代替予備力

RR-

• STOR(Short Term Operating Reserve)

• STOR Runway

• Complementary Reserve• AOE(Demand Response Call for

Tender)

調整力の確保手段

• ドイツ全国需給調整市場への入札による市場調達

• PCR、SCRに関しては、週次オークションで必要量が不足する場合は、2回目のオークション実施

• 2回目のオークションでも不足する場合は、各TSOが相対契約や指令を通じ必要量を確保

• 供給義務及び相対取引と市場調達の組み合わせ

• 需給調整市場(資格審査を受けた発電・需要が参加可能)

• Secondary Controlは義務的調達(DRは二次市場のみ参加可能)

調整力提供に対する対価

の基本的考え方

• kW価格のみ(PCR)• kW価格とkWh価格(SCR、MR)

• kW価格とkWh価格(FCR、FRR、RR) • kW価格とkWh価格

※DRが参加可能な調整力商品を赤字で表記出所) 「REGELLEISTUNG.NET」 、REGELLEISTUNG、2019/3/20閲覧 、https://regelleistung.net/ext/「National Grid ESO」、National Grid、2019/3/20閲覧、https://www.nationalgrideso.com/balancing-services「RTE France」、RTE France、2019/3/20閲覧、 https://www.rte-france.com/“Explicit Demand Response in Europe Mapping the Markets 2017” 、Smart Energy Demand Coalition、 2019/3/20日閲覧https://www.smarten.eu/wp-content/uploads/2017/04/SEDC-Explicit-Demand-Response-in-Europe-Mapping-the-Markets-2017.pdf を基に三菱総研作成

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PJM CAISO

調達主体 RTO(地域送電機関)であるPJMが運営する市場にて確保 RTO(地域送電機関)であるCAISOが運営する市場にて確保

調達単位 ユニット単位 ユニット単位

調整力の種

周波数制御予備力

Regulating Reserve• Regulation

• Regulation Up• Regulation Down

瞬動予備力

Spinning Reserve• Synchronized Reserve • Spinning Reserve

非瞬動予備力

Non-Spinning Reserve• Non-synchronized Reserve • Non-spinning Reserve

補助予備力

Supplemental Reserve• Day-ahead Scheduling Reserve ―

調整力の確保手段 市場調達 市場調達

需給調整市場の概要:アメリカ

⚫ アメリカにおける需給調整市場の概要を下記に整理。

※DRが参加可能な調整力商品を赤字で表記

出所)“PJM Manual 11: Energy & Ancillary Service Market Operations”, PJM, 2019/3/20閲覧, https://www.pjm.com/-/media/documents/manuals/m11.ashx?la=en“Business Practice Manual for Market Operations”, CAISO, 2019/3/20閲覧https://bpmcm.caiso.com/BPM%20Document%20Library/Market%20Operations/BPM_for_Market%20Operations_V54_redline.pdfを基に三菱総研作成

注)周波数応答(Frequency Response)については、個別の需給調整サービス(アンシラリーサービス)として定義されておらず、要件は設定されていない。

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イギリス:電力市場におけるDRの在り方

前月前日

11:00前日

14:30

Day-ahead市場(EPEXSPOT UK)

実需給(30分単位)

Day-ahead 市場(N2EX)

Gate Close実需給1時間前

BM (BalancingMechanism)

STOR

Fast Reserve

エネルギー市場

バランシングサービス市場

Energy(Day-ahead

Market)

Energy(Day-ahead

Market)

BM (BalancingMechanism)

STOR

Fast Reserve

kWh

kWh

kWh

ΔkW+kWh

ΔkW+kWh

入札〆切

入札〆切

kWh入札

受渡年度1~4年前

Real-time 市場(EPEX SPOT UK)

Firm FrequencyResponse

当日00:00

T

年3回入札実施

ΔkW事前確保+kWh入札

前月入札実施

前月入札実施

ΔkW事前確保+kWh入札

ΔkW事前確保+kWh入札

容量市場

受渡年度の4年前及び1年前に容量オークション

を実施

Firm Frequency Response

ΔkW+kWh

需給逼迫警報(Capacity Market Warning)発動中需給逼迫警報発令

前年

T+4 時間

需給逼迫警報終了

需要抑制指示発動中

未達ペナルティ無し 未達ペナルティ無し未達ペナルティ有り

終了発令

容量市場で落札されたリソースは、需給逼迫時に容量提供義務が課される。National Gridによる需要予測・風力発電予測を基に、4時間後に需給がタイトになると見込まれる場合に、自動的に需要抑制指示を発動する。平常時に提供義務容量の確保の確認は行われない。

Capacity Market kW

Energy(Day-ahead

Market)kWh

入札の経済的評価に加え、各ユニットの能力(応答時間、応答パフォーマンス、エネルギー供給上の制限)、入札者・ユニットの信頼性、系統制約等の非価格的条件も考慮した総合的な評価に基づき、落札するユニットを決定

出所)各種資料より三菱総研作成

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イギリス:STORの調達状況

⚫ National Gridによると、2016年度において、STORの月平均調達量は約2,071MW。そのうち、緊急用バックアップ発電機は92.6MW(4.5%)、需要アグリゲーションは71.8MW(3.2%)、CHPは24.7MW(1.2%)、需要削減は0.8MWを占める。

⚫ 2016年度のSTOR年間調達コストにおいて、緊急用バックアップ発電機は£206万(2.7%)、需要アグリゲーションは£244万(3.2%)、CHPは£71万(0.9%)、需要削減は£3万(0.04%)を占める。

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

Apr-

16

May-1

6

Jun-1

6

Jul-

16

Aug-1

6

Sep-1

6

Oct-

16

Nov-1

6

Dec-1

6

Jan-1

7

Feb-1

7

Mar-

17

STO

R調

達容

量M

W

Other(Non-BM) Generation:Standby/Backup(Non-BM)

Generation:Balancing Support(Non-BM) CHP(Non-BM)

Load Response(Non-BM) Generation:Balancing Support(BM)

出所) ”Non-BM Balancing Services Volumes and Expenditures Full year 2016-2017“, National Grid, 2018/12/15閲覧、https://www.nationalgrideso.com/document/88566/download を基に三菱総研作成

STOR 月平均調達量(2016年4月~2017年3月)

2.44, 3.2%2.06, 2.7%

33.66,

44.5%

0.71, 0.9%0.03, 0.0%

36.66,

48.5%

Other(Non-BM)

Generation:Standby/Back

up(Non-BM)

Generation:Balancing

Support(Non-BM)

CHP(Non-BM)

Load Response(Non-BM)

Generation:Balancing

Support(BM)

STOR 年間調達コスト内訳(2016年4月~2017年3月、単位:百万£)

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イギリス:KiWi Power社 STOR提供

⚫ KiWi Power社は、オンサイト発電機や需要側設備の需要削減を通じて、STORを提供している。

≪KiWi Power ウェブサイト 説明≫

Short Term Operating Reserve is the backstop of demand response in the UK. It is a program with over 1.8 GW being contracted by National Grid, across all forms of generation, through blind tenders taking place three times each year. KiWi Power has held the highest STOR price of all other UK aggregators for the last 5 years. STOR utilises both generation and ‘turn down’ to alleviate stress from the grid.

出所)“STOR Short Term Operating Reserve”, KiWi Power, 2018/12/15閲覧、https://www.kiwipowered.com/solutions/demand-response/stor-demand_response/

KiWi Power社 STOR及び容量市場への参加

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イギリス:Flexitricity社 Frequency Response及びSTOR提供

⚫ イギリス Flexitricity社は、コジェネ及び負荷設備(冷蔵、空調)、非常用発電機等をアグリゲーションすることで、Frequency

Response、STOR等を提供している。

◼ 同社システムは、需要家側に設置したオンサイト機器を通じて、発電設備や需要設備の情報をエジンバラに設置された制御室に集約している。National Gridからの指示を受けると、発電設備や需要設備との自動通信を行い、数分以内の発電開始または電力消費量の削減を指示する。

顧客The University of

EdinburghAberdeen Heat &

PowerThameswey

Royal United Hospital Bath

Rainbow Growers

Norish Cold Storage

場所 エジンバラ アバディーン ミルトン・キーンズ バース ケントブライアリー・ヒル、レクサム、ブレントリー、ジリンガム

アセットの種類

CHP、スタンバイ・ディーゼル発電機

CHP CHPスタンバイ・ディーゼル発電機

CHP 需要削減

参加市場容量市場、Footroom、STOR、 トライアド・マネジメント

容量市場STOR、 トライアド・マネジメント

STOR、 トライアド・マネジメント

STOR、 トライアド・マネジメント

STOR、 トライアド・マネジメント

収益£90,000/年(2019年に£200,000/

年 に到達予測)

£28,560 -£76,500 pa*

£100,000/年 超 £40k /MW £30,000/年 超 ―

容量5.73MW (2018年/2019年中に7MWの追加稼働が予測)

3.4MW 6MW 1.2MW 2.4MW 0.9MW

出所)“Flexitricity Case Studies”, Flexitricity, 2018/12/15閲覧, https://www.flexitricity.com/case-studies/ を基に三菱総研作成

Flexitricity社 主要顧客

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イギリス:Frequency Responseの調達状況

⚫ National Gridによると、2016年度のFrequency Response年間調達コストにおいて、需要削減によるFFR(Firm Frequency

Response)は£21万(1.9%)、需要アグリゲーションによるFFRは£12万(1.0%)を占める。

0

2

4

6

8

10

12

14

Apr-16 May-16 Jun-16 Jul-16 Aug-16 Sep-16 Oct-16 Nov-16 Dec-16 Jan-17 Feb-17 Mar-17

Load Response(Non-BM)FCDM + Bilateral Optional BM Optional Static response services

BM Optional Dynamic response services Other(Non-BM) Static FFR

Load Response(Non-BM) Dynamic FFR Generation: Balancing Support(Non-BM) Static FFR

BM Dyanamic response energy BM Dyanamic FFR

Frequency Responseサービス 月間調達コスト(2016年4月~2017年3月)

出所) ”Non-BM Balancing Services Volumes and Expenditures Full year 2016-2017“, National Grid, 2018/12/15閲覧、https://www.nationalgrideso.com/document/88566/download を基に三菱総研作成

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イギリス:Enhanced Frequency Response(EFR)の調達状況

⚫ 2015年、National Gridは、従来の周波数応答(Frequency Response)サービスに、Enhanced Frequency

Response(EFR) と呼ばれる、より高速に予備力を提供可能なサービスを追加。

◼ 従来、周波数応答サービスの応答時間は10秒以下または30秒以下であったが、EFRは応答時間が1秒以下のリソース(主に蓄電池)が対象。

◼ 2016年8月、National Gridは、EFRの公募入札を実施。64の入札(うち、蓄電池:61、DRアグリゲーション:2、BMU発電:1)の中から、8事業者の蓄電池を落札。調達期間は4年間。調達容量は合計201MW、総落札金額は£6,600万。

◼ National Gridは、従来、周波数応答予備力の調達に年間£1億6,000万~£1億7,000万を拠出してきたが、EFRの導入により、4年間で計£2億のコスト削減効果があるとしている。

EFRと従来の周波数応答サービスの関係

出所)“System Operability Framework 2016”, National Grid, 2018/6/30閲覧、https://www.nationalgrid.com/sites/default/files/documents/8589937803-SOF%202016%20-%20Full%20Interactive%20Document.pdf

事業者名リソース種別

地点名容量

(MW)開始年月(予定)

サービス提供時間数(h)

落札額(百万£)

MW・時間あたり単価

(£/MW・h)

EDF Energy Renewables

蓄電池 T_WBURB-4 49 2017-12 35,088 12.035 7.00

Vattenfall 蓄電池Pen Y Cymoedd

22 2017-4 35,088 5.749 7.45

Low Carbon 蓄電池 Cleator 10 2017-12 33,760 2.681 7.94

Low Carbon 蓄電池 Glassenbury 40 2018-3 33,764 12.668 9.38

E.ON UK 蓄電池 Sheffield 10 2017-11 35,088 3.891 11.09

Element Power 蓄電池 TESS 25 2018-2 35,088 10.079 11.49

RES 蓄電池 RESEFR7-PT 35 2018-2 35,088 14.651 11.93

Belectric 蓄電池 Nevendon 10 2017-10 35,088 4.200 11.97

合計 201 65.954 9.44

出所) “EFR Full Results”, National Grid, 2018/6/30閲覧https://www.nationalgrid.com/sites/default/files/documents/8589937157-06_EFR.pdfを基に三菱総研作成

2016年8月実施 EFR落札結果

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ドイツ:需給調整市場におけるリソース別認定容量

⚫ 2017年11月末時点において、需給調整市場の認定容量※のうち、蓄電池は、PCR(Primary Control Reserve)市場の約2.9%(5.58GWのうちの160MW)を占める。蓄電池は、SCR(Secondary Control Reserve)市場、MR(Minute Reserve)市場には参加していない。

⚫ 需要/DSMは、PCR市場の1.3%(5.58GWのうちの70MW)、SCR市場(上げ)の2.1%(22.46GWのうちの480MW)、SCR市場(下げ)の2.5%(22.54GWのうちの560MW)、TCR市場(上げ)の2.1%(42.45GWのうちの670MW)、TCR市場(下げ)の2.5%(40.98GWのうちの650MW)を占める。

PCR SCR+ SCR- MR+ MR-

原子力 0.53 0.42 0.42 2.04 2.04

褐炭(brown coal) 0.67 1.24 1.24 5.3 5.34

無煙炭(hard coal) 0.74 1.49 1.48 6.31 6.15

天然ガス 0.26 2.67 2.69 7.95 7.56

石油 - 0.28 0.02 1.93 0.08

バイオガス/バイオマス 0.02 1.36 1.73 1.6 2.17

水力 3.08 13.93 13.76 14.94 15.04

蓄電池 0.16 - - - -

需要/DSM 0.07 0.48 0.56 0.67 0.65

風力 - - - - 0.09

その他 0.05 0.59 0.64 1.71 1.86

合計 5.58 22.46 22.54 42.45 40.98

ドイツの需給調整市場における認定容量(GW) 一次エネルギー種別内訳

出所) “Präqualifizierte Leistung in Deutschland”、Regelleistung, 2018/9/2閲覧、https://www.regelleistung.net/ext/download/pq_capacity を基に三菱総研作成

0

10

20

30

40

50

PCR SCR+ SCR- MR+ MR-

認定

容量

GW

その他

風力

需要/DSM

蓄電池

水力

バイオガス/バイオマス

石油

天然ガス

無煙炭(hard coal)

褐炭(brown coal)

原子力

※ ドイツ国内において需給調整市場への参加、調整力提供を行うには、その供給源となる発電ユニットや需要はTSOの事前審査(prequalification)の手続きに従って技術的・運用的要件を満たし、接続するTSOと枠組み協定を結ぶ必要がある。

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アメリカ PJM:電力市場におけるDRの在り方

前日0:00

前日10:30

前日14:15

Day-ahead Energy 市場

実需要

Real-time Energy 市場

実需給1時間前

3年前

Day-ahead Scheduling Reserve 市場

SynchronizedReserve 市場

Regulation市場

エネルギー市場

アンシラリー市場

Energy(Day-ahead

Market)

Energy(Real-time

Market)

Day-ahead Scheduling Reserve

Synchronized Reserve

Regulation

経済性プログラム

Emergency(Energy Only)

Emergency(Full)

Pre-Emergency/ Emergency Load Response Program

Emergency(Capacity Only)

kWh

kWh

ΔkW+kWh

ΔkW+kWh

ΔkW+パフォーマンス

kWh

kW+kWh

kW

実需給30分前 ※1

※1:Load Managementプログラムの通知時間(PJMからマーケットオペレーションセンターに需要抑制イベントを通知してから、所定レベルまで需要削減するまでに要する時間)は、2015/2016受渡年度より、例外を除き、30分に統一

緊急性プログラム

RPM Commitment Compliance

事前に入札されたリソースの内、最小コストとなるリソース

セットを同時最適化システムで決定(リアルタイム市場、周波数調整力、各種予備力)

FRR※小売事業者と

発電事業者の間の相対契約で

容量コミットされたDR

RPM(落札分DR)

・ PJM域内のDRリソースは、容量メカニズム(RPM市場またはFRR)への参加が可能・ 実需要3年前に、システムピーク需要を満たすリソースコミットメントを確保

RPM(非落札分

DR

容量メカニズム

容量メカニズムに不参加のDR

入札〆切

入札〆切

入札〆切

入札〆切

入札〆切

受渡年度3年前

受渡年度開始 受渡年度終了

※受渡年度を通じて毎日、課せられた義務量を満たすDR容量を確保していることが求められる

需要削減指令&実行※

Non-Performance Assessment

RPMにて落札され、容量コミットメントを負うDRリソースは、LoadResponse (需要削減)プログラムへの登録義務を負う

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アメリカ PJM:Regulation市場における蓄電池・DRリソースの状況

⚫ PJMのRegulation市場における、リソース別のユニット数・落札容量(パフォーマンス調整後容量)・クレジット合計額(年間累計報酬)は下表のとおり。

⚫ 落札容量では、全体落札量(2016年に約4,900GWh、2017年に約6,100GWh)のうち、蓄電池は40%超(2016年に約2,000GWh、2017年に約2,800GWh)を占める。一方、DRは1%前後(2016年に約46GWh、2017年に約97GWh)注

PJM Regulation リソース別情報(2016・2017年)

出所) ”2017 State of the Market Report for PJM Section 10 – Ancillary Service Markets”, Monitoring Analytics, 2018/6/30閲覧https://www.monitoringanalytics.com/reports/PJM_State_of_the_Market/2017/2017-som-pjm-sec10.pdf を基に三菱総研作成(赤枠加筆)

注)1MWのリソースが1時間にわたって落札された場合、その量を1MW×1hr=1MWhと表記する。

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アメリカ PJM:Synchronized Reserve市場の状況

⚫ PJMによると、2017年の瞬動予備力市場に参加したDRリソースは、平均168か所(444MW)。参加規模を需要家数であると、1需要地点あたりの調整能力は2MWを超えている。

⚫ 工場プロセスの調整がリソースの過半を占めている。その他、自家発や空調、冷凍、照明、温水器が利用されている。

月 需要地点数(箇所) 参加規模(MW)

1 173 511

2 179 517

3 182 517

4 180 481

5 180 473

6 161 360

7 160 359

8 157 355

9 159 433

10 160 436

11 160 438

12 161 444

平均 168 444

瞬動予備力市場(2017年)に参加したDRリソース(数・規模・種別)

(参加需要家数と調整容量) (需要家種別の調整容量比率)

出所) “2017 Demand Response Operations Markets Activity Report: April 2018”, PJM, 2018/6/30閲覧、https://pjm.com/~/media/markets-ops/dsr/2017-demand-response-activity-report.ashx を基に三菱総研作成

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瞬動予備力におけるDRシェア(2017年)

アメリカ PJM:Synchronized Reserve市場におけるDRリソースの状況

⚫ 2017年において、瞬動予備力市場で約定したDRリソースの総量は1,062,642MWh、平均約定価格は約2.79$/MWh、約定総額は約3百万ドルであった。

◼ PJMの瞬動力市場では、容量(MW)が1時間帯で応札・落札されている。そこで、1MWのリソースが1時間にわたって落札された場合、その量を1MW×1hr=1MWhと表記する。

◼ 平均約定価格は約2.79$/MWhであるが、仮に我が国の調整力公募のように通年で落札されると仮定した場合、その価格水準は2,688円/kW/年に相当(1ドル=110円)。

⚫ PJMエリア全体での瞬動予備力必要量に対するDRの比率は、時期によってばらつきがあるが、6~10%程度であった。ただし、時間帯によっては、必要量の20%以上をDRで賄う時間帯が存在。

瞬動予備力市場におけるDR落札量・価格(2017年)

出所) “2017 Demand Response Operations Markets Activity Report: April 2018”, PJM, 2018/6/30閲覧、https://pjm.com/~/media/markets-ops/dsr/2017-demand-response-activity-report.ashx を基に三菱総研作成

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アメリカ CAISO:電力市場におけるDRの在り方

前日10:00

実需給75分前

実需要前月

Day-ahead Market

Real-time Market

アンシラリー市場

Energy(Day-aheadMarket)

Energy(Real-timeMarket)

Non-spinning Reserve

Spinning Reserve

Regulation Up/Down

入札〆切

入札〆切

入札〆切Non-spinning

Reserve 市場Non-spinning Reserve 市場

入札〆切

入札〆切Spinning

Reserve 市場SpinningReserve 市場

入札〆切

Regulation Up/Down 市場

入札〆切

信頼度制約を考慮し、エネルギーと調整力を調達量・価格を同時決定

エネルギー市場

PDR(Economic)

PDR(Economic)

PDR(Economic)

RDRR(Economic)

PDR(Economic)

RDRR(Reliability)

1年前

供給力確保義務

供給力確保義務小売事業者(LSE)

に想定需要のおよそ115%相当の供給力確保義務

を課す

DRAM供給力確保義務

の一部の分散型リソース

からの調達を義務付け(2015~)

DRAMで落札されたリソースは、CAISOのPDRまたはRDRRとして登録される。これらのリソースは、供給力確保義務に含まれるため、CAISOが運営する所定の卸市場に、必ず入札しなければならない(must-offer-obligation)

RegulationUp/Down 市場

PDR(Economic)

PDR(Economic)

出所)各種資料より三菱総研作成

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アメリカ CAISO:需給調整市場の参加要件

⚫ CAISOでは、応動条件等のスペックにより細分化された需給調整市場(アンシラリーサービス市場)にDRが参加可能。

⚫ Non-spinning Reserve(非瞬動予備力)は、CAISOの給電指令から10分以内に所定出力に到達し、30分以上所定出力を維持することが求められる。

⚫ ユニットシステム及び通信システム要件の確認後、CAISO指示に従い認証テスト(Certification Test)を実施。認証テストを通過したリソースは、需給調整市場への参加が認められる。

応動条件 所定出力到達所定出力提供の継続時間

最低提供可能容量

需要資源(DR)参加

その他

Regulation Up/ Regulation Down(周波数調整 上げ/下げ)

CAISOのEMS制御に即座に反応して有効電力を増減可能

CAISO指令後10分以内に所定の応答力に到達可能

所定出力を60分以上達成可能(前日市場で落札した電源の場合)所定出力を30分以上達成可能(リアルタイム市場で落札した電源の場合)

定格容量500kW以上(CAISOが認めればアグリゲーションによる参加可)

可能 EMS指示への追従性が25%を超えること

Spinning Reserve(瞬動予備力)

ガバナ制御またはその他の周波数制御により、周波数偏差に瞬時にかつ自動的に応答する注1

CAISOの給電指令から10分以内に所定出力(有効電力)に到達

30分以上所定出力(有効電力)を維持

定格容量500kW以上(CAISOが認めればアグリゲーションによる参加可)

可能 リソース運用者は、CAISOコントロールセンターが給電を決定後、1分以内に給電指令を受信する手段を有すること

Non-spinning Reserve(非瞬動予備力)

CAISOからの給電指令に出来るだけ早く応答(有効電力)を開始する

CAISOの給電指令から10分以内に所定出力(有効電力)に到達

30分以上所定出力(有効電力)を維持

定格容量500kW以上(CAISOが認めればアグリゲーションによる参加可)

可能 リソース運用者は、CAISOコントロールセンターが給電を決定後、1分以内に給電指令を受信する手段を有すること

出所)”CAISO Tariff Appendix K Ancillary Service Requirements Protocol”, CAISO, 2018/12/10閲覧、https://www.caiso.com/Documents/AppendixK_AncillaryServiceRequirementsProtocol_ASRP_asof_Nov1_2017.pdf を基に三菱総研作成

注1)ガバナに求められる最低要件:①ドループ5%(Combustion Turbineの場合4%)、②不感帯±0.036Hz、③不感帯外周波数変動から1秒で出力応答。ガバナを具備していないが、周波数応答制御システムは有するリソースに求められる最低要件:①系統周波数が59.92Hz以下の場合、8秒以内に規定出力の10%に到達すること、②系統周波数が59.92Hz以下の場合、1秒で出力応答すること

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アメリカ CAISO:アンシラリーサービスの調達状況

⚫ CAISOにおけるNon-spinning市場へのDR参加はごく僅かにとどまる。

CAISO アンシラリーサービス年間調達量(2015~2017) CAISO アンシラリーサービス 前日市場価格(2016~2017)

CAISO アンシラリーサービス リアルタイム市場価格(2016~2017)

出所)”2017 Annual Report on Market Issues and Performance”, CAISO, 2018/12/2閲覧、http://www.caiso.com/Documents/2017AnnualReportonMarketIssuesandPerformance.pdf

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ドイツ イギリス

①調達断面

制御能力の

評価方法

≪FCR≫

• 事前審査テストにより制御能力を評価。

≪Minute Reserve≫

• 事前審査テストにより制御能力を評価。

≪STOR≫

• STORプロバイダ契約に関する手続が完了した時点で、プロバイダはend-to-endテストの実施により、該当するBMユニットまたは契約済みのサイトがNational Gridの必須能力要件を満足していることを書面により証明しなければならない。

• (必要に応じて)National Gridがそのような必須能力要件が十分に満たされていることを検証するために追加の証拠を求めた場合、プロバイダは提供する必要がある。

需要家リストの

考え方

≪FCR≫

• 未判明

≪Minute Reserve≫

• 未判明

≪STOR≫

• 未判明

②指令断面

可容量の

把握方法

≪FCR≫

• 1MW刻みでプロバイダが拠出可能量分を入札。

≪Minute Reserve≫

• 1MW刻みでプロバイダが拠出可能量分を入札(事前審査で承認を得た最大容量まで入札可)。

≪STOR≫

• 前週金曜日10時にReserve Providerが供出可能量を宣言。

• 前日17時に修正供出可能量を修正。

指令の方法

≪Minute Reserve≫

• 発動が必要となった時点でメリットオーダーリストにより選定したプロバイダに対し、TSOから連絡する。

≪STOR≫

• 4時間前にOperating Reserve Requirementを算定

欧州の需給調整市場におけるDRの評価方法の状況 -概要(1/3)-

出所)各種資料より三菱総研作成

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ドイツ イギリス

③実運用断面

応動確認の

方法

≪FCR≫

• プロバイダは、秒単位(1~4秒)にサンプリングした計測データをオンライン(リアルタイム)または事後(オフライン)でTSOに提出。

≪Minute Reserve≫

• プロバイダは、分単位にサンプリングした計測データをオンライン(リアルタイム)または事後(オフライン)でTSOに提出。

≪STOR≫

• プロバイダーは、1分単位の計測データを記録しTSOに提出しなければならない。

ベースラインの

設定方法

≪FCR≫

• ベースラインは不要。

≪Minute Reserve≫

• 指令(Activation)時の消費電力をベースラインとする。

≪STOR≫

• 未判明

欧州の需給調整市場におけるDRの評価方法の状況 -概要(2/3)-

出所)各種資料を基に三菱総研作成

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ドイツ イギリス

④精算断面

実績値の

確認方法

≪FCR≫

• プロバイダが提出した計測データが許容範囲(Tolerance Band)に収まっているかをTSOが確認。

≪Minute Reserve≫

• プロバイダが提出した計測データが許容範囲(Tolerance Band)に収まっているかをTSOが確認。

≪STOR≫

• 1分値データを提出(リソース別にどう把握するかは現状では見当たらず)

ベースラインの

評価方法

≪FCR≫

• 30秒または5分先の想定MW(デファルトのベースラインは5分先の予測であるが、TSOはFCRのリアルタイム予測を検討している。)

≪Minute Reserve≫

• 5分先の想定MW

≪STOR≫

• DR発動指令を発出した時間と直前3分間の4コマ(4分間)の平均MW

調整金のルール

• 現状、Secondary Reserve及びMinute Reserveに関する調整金の決定方法としては、「Corrected Model(売上補填)」に相当する方法が採用される見込み。(小売電気事業者の販売電力量単価から固定費分(託送等)を控除したものを調整金単価とする方法)

≪STOR≫

• STORに関しては、調整金の支払いはなされていないとのことであるが、詳細は未判明。

欧州の需給調整市場におけるDRの評価方法の状況 -概要(3/3)-

出所)各種資料を基に三菱総研作成

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アメリカ PJM アメリカ CAISO

①調達断面

制御能力の

評価方法

• 容量市場入札時にその計画・想定値を提出してPJMの承諾を得る

≪Regulation≫

• PJMから送信されるテストシグナル(RegAかRegD)に応答するテストにおいて、パフォーマンススコア75%以上を3回連続で達成する必要あり。そのテストでは、40分間にわたり応答に対応し続ける必要がある。

≪Synchronized Reserves≫

• Synchronized Reserves調達時には事前評価無し

≪DRAM≫

• 無し(アグリゲーターによる自己申告)

需要家リストの

考え方

≪Synchronized Reserves≫

• 需要家リストの提出は行わない。

• 前日14:15までに瞬動予備力市場にリソース毎に価格・MW量を入札するが、それでもってPJMはどのリソースが稼働するかを把握

≪DRAM≫

• DRAM入札時点はリスト不要。

• DRAM落札後、電力会社と結ぶDRAM Purchase Agreementにて、需要家情報(リソース情報)と各月のリソース活用計画を提出(落札後60日以内に需要家情報、当該月初日の10日前までにリソース情報)

• 需要家情報、ID、容量kW、稼働時間等の情報が含まれる

②指令断面

可容量の

把握方法

≪Regulation≫

• 需要側リソースの場合、実需給時にベースポイント、またはリアルタイムの需要電力をPJMに送信する必要がある。PJMはそれに基づいて、当該リソースの実余力(上下方向)を把握

≪Synchronized Reserves≫

• 可容量の把握はしていない

≪DRAM≫

• 可容量の把握はしていない

指令の方法

≪Regulation≫

• リアルタイムテレメトリーデータが必須。

• PJMとは分散型リソースとの直接的なデータ伝送にパブリックドメインのインターネットを利用。PJMではJetstreamと呼ばれるシステムを用いることで、安全でセキュリティが確保された快適なデータのやり取りを実現。

• 制御時間にわたって、断続的に指令値変更がある

≪Synchronized Reserves≫

• リソース毎のMW制御値・制御開始時間・制御終了時間を通知

• DRHubを通じた連絡、及び自動電話。アグリゲーターは、DRHubに1分間隔でポーリングする必要あり

• 制御時間にわたって、断続的に指令値変更がある

≪DRAM≫

• 指令方法は未確認。指令内容は、制御量の指令値

• エネルギー市場の場合、市場落札の時点でスケジューリングされる。

• RDRRの緊急時発動は、40分前に指令発出

• アンシラリー(非瞬動予備力)は10分前に指令発出

アメリカの需給調整市場におけるDRの評価方法の状況 -概要(1/3)-

出所)各種資料を基に三菱総研作成

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アメリカ PJM アメリカ CAISO

③実運用断面

応動確認の

方法

≪Regulation≫

• 需要側リソースの場合、実需給時にベースポイント、またはリアルタイムの需要電力をPJMに送信する必要がある。PJMはそれに基づいて、当該リソースの実余力(上下方向)を把握する。

≪Synchronized Reserves≫

• リアルタイムの応動確認はしていない

≪DRAM≫

• アンシラリーサービス(非瞬動予備力(Non-spinningReserve))以外は応動確認を行っていない。

• 以下は、非瞬動予備力についての整理。

• 報告方法はテレメトリー(リアルタイム通信)。インターバルは1分毎。

• 個別計量可能(MGO)。CAISO認定データを取り付け、需要の影響を受けずにリソースの稼働状況を計量できることが条件。

ベースラインの

設定方法

≪Regulation≫

• 制御信号に対する応答をPerformance Scoreで評価

≪Synchronized Reserves≫

• 事前事後計測

≪DRAM≫

[容量パフォーマンス(kW)]

• 毎月、実績もしくは事前テストの結果等からkWパフォーマンスを評価

• 実態として、CAISO市場に応札しさえすれば、当日のパフォーマンスに関わらず、応札した分のkW価値はアグリゲーターに支払われている模様。

[電力量(kWh)]

• 従前、過去の計量データに基づく顧客負荷ベースライン手法(CLB: Customer Load Baseline Methodology)をベースラインとして設定。非イベント日の10日間平均から算出する「10-in-10ベースライン」の考え方を採用。

• ベースライン多様化に伴い、Scheduling Coordinatorは「10-in-10ベースライン」以外に、代替ベースラインも追加

アメリカの需給調整市場におけるDRの評価方法の状況 -概要(2/3)-

出所)各種資料を基に三菱総研作成

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アメリカ PJM アメリカ CAISO

④精算断面

実績値の

確認方法

≪Synchronized Reserves≫

• 2営業日後までに1分値受電点データを提出。個別計量は原則不可

≪Regulation≫

• 原則は受電点メーターでの計量であるが、個別計量(sub-metering)も例外的に認められる場合がある。

≪DRAM≫

• CLB(受電点計測) またはMGO(リソース計測)から選択

• スマートメーターから電力会社経由でCAISOのDRSに検針データが集約

• CAISOのDRSに需要家の過去~当日のメータデータが集約されており、そこでBL計算方法を選択することで自動計算

• kWhの評価のみ (kWの評価は行われない)

ベースラインの

評価方法

≪Synchronized Reserves≫

• 事前事後方式を採用

• 10分後計量値(制御開始から10分後及びその前後1分間(計3点)の受電点データの最小値)とベースライン(制御開始時間及びその前後1分間(計3点)の受電点データの最大値)の差分をベースラインとする。

≪Regulation≫

• 制御信号に対する応答をPerformance Scoreで評価

≪DRAM≫

[容量パフォーマンス(kW)]

• 毎月、実績もしくは事前テストの結果等からkWパフォーマンスを評価し、この情報を基準に、電力会社がDRPに容量料金を支払い

• 実態として、CAISO市場に応札しさえすれば、当日のパフォーマンスに関わらず、応札した分のkW価値はアグリゲーターに支払われている模様。

[電力量(kWh)]

• 従前、過去の計量データに基づく顧客負荷ベースライン手法(CLB: Customer Load Baseline Methodology)をベースラインとして設定。非イベント日の10日間平均から算出する「10-in-10ベースライン」の考え方を採用。

• ベースライン多様化に伴い、SCは「10-in-10ベースライン」以外に、代替ベースラインも追加

調整金のルール • 調整金は存在しない • 調整金は存在しない

アメリカの需給調整市場におけるDRの評価方法の状況 -概要(3/3)-

出所)各種資料を基に三菱総研作成

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ドイツ:事前審査

⚫ FCRはTSOが事前審査テストで細かくチェックし、定期テストはなし。

⚫ Minute Reserveはルールは定めているが、証明をBSPに提出させている。

出所)”Potential cross-border balancing cooperation between the Belgian, Dutch and German electricity Transmission System Operators”, 50Hertz Transmission GmbH, Amprion GmbH, Elia System Operator NV, TenneT TSO B.V., TenneT TSO GmbH, TransnetBW GmbH, http://www.elia.be/~/media/files/Elia/users-group/141008_Final_report.pdf を基に作成

事前審査テスト事前審査テストの

実施タイミング事前審査

事前審査後のテスト・監視

FCR

• TSOがテストを実行する権利を有する。

• 機能テストを特別にアレンジする、またはプライマリコントロールを実際の稼働中に実施する。

• BSPは、接続先のTSOから各ユニットに関する事前認定を取得する必要がある。 それにより、他のドイツのTSOには、事前資格審査が成功したと認められる。

• FCRのオファー前

• ユニットあたりで、上げ・下げの指定された容量

• 最小容量を供出できないユニットはコントロールエリア内でのみプールされる

• 定期的なテストはなし

Minute

Reserve

• mFRRの運用テストでは、通常、2回の供出サイクルが必要となる。

• 証明はBSPによって提供される。

• Minute Reserveのオファー前

• 事前資格審査手順は、各ユニット単位(電源/需要)に組まれる。

• TSOから要求された場合、BSPはユニット単位に10営業日にわたる運用履歴を提出する必要がある。

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ドイツ:事前審査テスト方法 –FCR–

⚫ 下図は、時間(X軸)に対するFCRの制御応答の実績値(Y軸)を概略的に例示したもの。

◼ FCRにおける出力変動は、予備力のサプライヤがあらかじめ指定したセットポイント(設定値)のステップに従って始まる。

◼ これは、±200mHzの周波数偏差に相当し、最大30秒続く。30秒が経過する前に制御応答実績値がターゲットポイントに達した場合、その時点から過渡領域に移行する。

◼ ターゲットポイントは、全過渡領域及び固定領域にわたる平均によって決定される。

◼ 過渡領域は出力変動後から90秒後に終了する。その後、少なくとも13分半継続する。

平均値の算出(過渡領域+固定領域):A-C

電源変動領域

過渡領域固定領域

応動時間

運転フェーズ

出所) ”Präqualifikationsverfahren für Regelreserveanbieter (FCR, aFRR, mFRR) in Deutschland (“PQ-Bedingungen”)”, REGELLEISTUNG.NET,2019/2/5閲覧https://www.regelleistung.net/ext/download/PQ_Bedingungen_FCR_aFRR_mFRR に三菱総研加筆

FCR 時間に対する制御応答の実績値 概略図

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ドイツ:事前審査テスト方法 –mFRR–

⚫ mFRRの概略図はaFRRと同様であり、下図の通り。

◼ mFRRにおける電力の変動はセットポイントのステップに従い、15分後に終了する。

◼ ターゲットポイント(すなわち、事前認定された電力に対する制御応答実績値)は、全固定領域にわたる制御応答実績値の平均から決定される。

◼ セットポイントのステップの15分後に固定領域に移行し、15分間継続する。

電源変動領域

運転フェーズ

固定領域

平均値の算出(固定領域):B-C応動時間

出所) “Präqualifikationsverfahren für Regelreserveanbieter (FCR, aFRR, mFRR) in Deutschland ("PQ-Bedingungen")“, REGELLEISTUNG.NET, 2019/2/5閲覧https://www.regelleistung.net/ext/download/PQ_Bedingungen_FCR_aFRR_mFRR に三菱総研加筆

aFRR及びmFRR 時間に対する制御応答の実績値 概略図

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ドイツ:許容範囲 –FCR–

⚫ FCRの許容範囲は以下のような考えに基づく。

◼ 各電源/需要の技術に応じて、制御応答の実績値はセットポイントを中心に多少変動する。

◼ 運用のフェーズにおいて、変動が一定の限度を超えていないことが確認される。一般に、電源変動領域は、固定領域(FCRの場合は過渡領域)よりも大きな偏差が許容される。

◼ この場合、偏差とは、制御応答の実際の値と平均値との偏差を意味する。許容範囲の原理は、以下の例となる。

◼ 実績値の少なくとも95%が「許容される(Allowed)」範囲内にいなければならないが、5%が「耐えられる(Tolerable)」範囲内にあってもよい。

電源変動領域 固定領域過渡領域

実績値

平均値

耐えられる(Torelable)範囲

許容される(Allowed)範囲

出所) “Präqualifikationsverfahren für Regelreserveanbieter (FCR, aFRR, mFRR) in Deutschland ("PQ-Bedingungen")“, REGELLEISTUNG.NET, 2019/2/5閲覧https://www.regelleistung.net/ext/download/PQ_Bedingungen_FCR_aFRR_mFRR に三菱総研加筆

FCR 許容範囲の原理

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ドイツ:許容範囲 –mFRR–

⚫ mFRRの許容範囲は以下の通り。

電源変動領域(15分)

固定領域

実績値

平均値

耐えられる(Torelable)範囲

許容される(Allowed)範囲

出所) “Präqualifikationsverfahren für Regelreserveanbieter (FCR, aFRR, mFRR) in Deutschland (”PQ-Bedingungen“)”, REGELLEISTUNG.NET, 2019/2/5閲覧https://www.regelleistung.net/ext/download/PQ_Bedingungen_FCR_aFRR_mFRR に三菱総研加筆

mFRR 許容範囲の原理

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ドイツ:アセスメント(応動要件)

⚫ データのサンプリング頻度及びオンライン/オフライン提供は以下のとおり。

ベースラインデータの

サンプリング頻度オフライン※1

/オンライン※2データ提供

FCR • 不要• 秒単位

(1~4秒)実際の計量値(Power Supply)

• ユニット単位:オフライン

• 調整力グループ単位:オフライン

• 集約(Pool)単位:オンライン

上げ/下げ方向のパフォーマンス(Current reserve performance POS/NEG)

• ユニット単位:オフライン

• 調整力グループ単位:オフライン

• 集約(Pool)単位:オフライン

Minute

Reserve

• 指令(Activation)

時の消費電力をベースラインのセットポイントとする

• Minute Reserveのみを提供するユニットの場合は、分単位(1分)も可

※1 調整力のプロバイダは、所定のサンプリング頻度を有するデータを記録し2か月以内にデータをTSOに提供する。※2 TSOの要求に応じて、所定のサンプリング頻度を有するデータをリアルタイムにTSOに送信する。

出所) “Präqualifikationsverfahren für Regelreserveanbieter (FCR, aFRR, mFRR) in Deutschland ("PQ-Bedingungen")“, REGELLEISTUNG.NET, 2019/2/5閲覧https://www.regelleistung.net/ext/download/PQ_Bedingungen_FCR_aFRR_mFRR

調整力グループ及びユニットの概念図

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ドイツ:アセスメントにおける許容範囲 –mFRR-

⚫ mFRRの許容範囲の考え方は以下の通り。

①活性化(Activation)※の時間帯

上限:指令値の120%

下限:0%

②調達(Provision)の時間領域

上限:指令値の120%

下限:指令値の100%

③非活性化(Deactivation) ※の時間帯

上限:指令値の120%

下限:0%許容範囲

セットポイントのカーブ

指令値(指令値変更)

活性化の時間領域

調達の時間領域

非活性化の時間領域

※ 活性化及び非活性化の時間は15分以内

出所)”Leitfaden zur Bestimmung von Regelleistungsistwerten“, 50Hertz Transmission GmbH, Amprion GmbH, TenneT TSO GmbH, TransnetBW GmbH, 2019/2/5閲覧、https://www.regelleistung.net/ext/download/Konsultation_Regelleistungsistwerte

mFRR アセスメントにおける許容範囲

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≪参考≫ドイツ:mFRR指令値変更の場合

⚫ 指令値変更の場合の許容範囲は以下の通り。

出所)”Leitfaden zur Bestimmung von Regelleistungsistwerten“, 50Hertz Transmission GmbH, Amprion GmbH, TenneT TSO GmbH, TransnetBW GmbH, 2019/2/5閲覧、https://www.regelleistung.net/ext/download/Konsultation_Regelleistungsistwerte

mFRR 指令値変更の場合のアセスメントにおける許容範囲

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ドイツ:アセスメント(ペナルティ/計量)

⚫ FCRは、ペナルティ額に加え、サービスの提供を禁止することができる。

⚫ mFRRは、供出できなかった時間と容量に応じてペナルティ額を算定。

供出できなかった場合のペナルティ

算定 計量

FCR• 入札価格の10倍(供出できない時

間と容量に応じて)

• 義務を履行しなかったプロバイダは、報酬がなくなり、契約上の違約金(ペナルティ)を請求される。さらに、サービス提供を禁止される場合がある。

• バランシング市場(FCR、aFRR、及びmFRR)におけるDRの場合、TSOが承認したサブメータでの計量をアグリゲーターによって行われる。

Minute

Reserve

• 該当する時間のEPEXスポット価格の3倍に、供出できなかった容量とタイムスライス(時間の幅)を乗じたもの(例:4時間)

• mFRR契約期間中の加重平均の電力量価格(最小レート100€/MWh及び最大レート1000€/MWh)に基づくペナルティ単価と1分単位に送信されたデータに基づき、算定される。

出所)”Modalitäten für Regelreserveanbieter gemäß Artikel 18 Abs. 5 der Verordnung (EU) 2017/2195 der Kommission vom 23. November 2017 zur Festlegung einer Leitlinie über den Systemausgleich im Elektrizitätsversorgungssystem2018“, 50Hertz Transmission GmbH, Amprion GmbH, TenneT TSO GmbH, TransnetBW GmbH , 2019/2/5閲覧, https://www.regelleistung.net/ext/download/EBVOModalitaeten を基に三菱総研作成

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ドイツ:ペナルティ –mFRR–

⚫ パフォーマンスを逸脱した時間分のペナルティが課せられる。

◼ mFRR契約期間中の加重平均のエネルギー価格(最小レート100€/MWh及び最大レート1000€/MWh)

◼ 毎分送信されたデータに基づきペナルティ額を算定。

t = time (sec) 時間ev = individual contract 契約vs = penaltyMOL = merit order list メリットオーダー順PP = penalizing price ペナルティ単価pos(positive)= 正Neg(nagative) =負

出所)”Modalitäten für Regelreserveanbieter gemäß Artikel 18 Abs. 5 der Verordnung (EU) 2017/2195 der Kommission vom 23. November 2017 zur Festlegung einer Leitlinie über den Systemausgleich im Elektrizitätsversorgungssystem2018“, 50Hertz Transmission GmbH, Amprion GmbH, TenneT TSO GmbH, TransnetBW GmbH , 2019/2/5閲覧, https://www.regelleistung.net/ext/download/EBVOModalitaeten

mFRR パフォーマンス逸脱に対するペナルティ

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イギリス:STORの必須能力要件の審査

⚫ STORの必須能力要件の審査は以下の通り。

◼ STORプロバイダ契約に関する手続が完了した時点で、プロバイダはend-to-endテストの実施により、該当するBMユニットまたは契約済みのサイトがNational Gridの必須能力要件を満足していることを書面により証明しなければならない。

◼ (必要に応じて)National Gridがそのような必須能力要件が十分に満たされていることを検証するために追加の証拠を求めた場合、プロバイダは提供する必要がある。

出所) “SHORT TERM OPERATING RESERVE FRAMEWORK AGREEMENT”, National Grid, 2018/5/20閲覧

STOR 必須能力要件の審査

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イギリス:STORの技術要件

⚫ STORの技術要件は以下の通り。

◼ 最低3MWの発電または恒常的な需要の削減を提供する(複数サイトの集約も可)

◼ 指令後最大で240分以内の応答が必須となるが通常は20分以下で契約する

◼ 最低2時間は応動を維持でき、回復時間が1,200分以下でなければならない

出所) “Short Term Operating Reserve (STOR) Interactive Guidance”, National Grid, 2018/5/20閲覧, https://www.nationalgrideso.com/document/115786/download

STOR 技術要件

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イギリス:STORの参加方法(事前認定及び入札)

⚫ 事前に認定が必要なものは以下の通り。

◼ STORのための入札を提出する前に、STORフレームワーク契約を締結しなければならない。

◼ 提出された入札への受諾は、その時点で効力を持つ標準契約条項(SCT)を適用する。

◼ STOR dispatch PCがリアルタイムの計測データを取得するため、テスト要件はない(ただしパフォーマンスは監視される)。

⚫ 入札については以下の通り。

◼ 年に3回の競争入札により調達される。

◼ 各入札には、サービスに関連するすべての必要な技術的パラメータと価格が含まれていなければならない。

◼ 入札者は、1回またはそれ以上のSTOR seasonsで最大2年間の契約期間を設けることができる。

出所) “Short Term Operating Reserve (STOR) Interactive Guidance”, National Grid, 2018/5/20閲覧, https://www.nationalgrideso.com/document/115786/download

STOR 参加方法(事前認定及び入札)

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イギリス:STORのパフォーマンス監視

⚫ パフォーマンス監視によるペナルティの基準は以下の通り。

◼ CRSP - 応答時間内に契約MWの少なくとも90%に達することができない

◼ CDEL - 指示されたウィンドウ全体で少なくとも90%のエネルギーを提供できない

◼ IBOD/RESP - BMユニットによって入力された不正なパラメータ

出所) “Short Term Operating Reserve (STOR) Interactive Guidance”, National Grid, 2018/5/20閲覧, https://www.nationalgrideso.com/document/115786/download

STOR パフォーマンス監視及びペナルティ

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≪参考≫イギリス:ベースライン設定方法 -STOR-

⚫ イギリスNational Gridの主な下げDRサービスであるSTOR(反応時間:通常20分以内、持続時間:2時間以上)では、DR発動指令を発出した時間とその前3分間の4コマ(4分間)の平均需要量をベースラインとして採用。(2012年時点)

National Grid STORにおけるSTORのDRベースライン設定例

時間 需要

DR指令発出-3分前- 10MW

DR指令発出-2分前- 12MW

DR指令発出-1分前- 16MW

DR指令発出 22MW

ベースライン=(10+12+16+22)÷4=15(MW)

STORサービス提供中の需要変動を考慮したベースラインのイメージ

出所)National Grid, Short Term Operating Reserve (STOR) Participation Within Day Variable

Demands, 2012

出所)資源エネルギー庁「第3回制御量評価 WG 」資料4を一部改変

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アメリカ CAISO:Non-spinning Reserveのアセスメント(1/4) -計測-

⚫ 受電点計測または機器別計測(CAISOが認定)が可能。

⚫ テレメトリーの周期は1分間隔。

論点 項目 Non-spinning Reserve

応動評価

計測

地点

• 受電点or機器個別計測

• 各種リソース毎の計測点の設定有無

• ゲーミング防止に関するルール

• 受電点計測(CLB:Customer Load Baseline)または機器別計測(MGO:Metering Generator Output)

• 2017年2月より、「Metering Generator Output Methodology」を導入。需要家の電力プロファイルにおいて、受電点以下に接続されているエネルギーリソース(behind-the-meter generation)部分とそれ以外の部分を分離して、それぞれについて独立してベースラインと実績値を設定する方法を導入。(2016年にFERC承認)

• ベースライン設定と実績測定のため、受電点以下に接続されているエネルギーリソース(behind-the-meter generation)にはCAISO認定メーターが追加設置。需要の影響を受けずに、リソース稼働状況を計量できることが条件。

• ゲーミング防止に関するルールは不明。

メーター

• メーターの要件(種類、性能、計測間隔等)

• TSOへのデータ送信周期(オンライン監視or事後送信等)

• 検定付メーターの設置状況(検定付メーターの設置要否、設置地点等)

• 法制度との関連性

• 精算に用いるデータ(SQDM:Settlement Quality Meter Data)をResults Interface-Settlements System (MRI-S)に提出。計量対象データはkWhのみ。

• サービス提供前後と提供中の実需要データを提出する必要がある。

• 報告方法はテレメトリー(リアルタイム通信)。インターバルは1分毎。

• CAISO認定メータの詳細要件、設置状況については不明。

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アメリカ CAISO:Non-spinning Reserveのアセスメント(2/4) -計測-

⚫ CAISOが保有しているメーターデータを活用してベースライン算定を実施。それを活用しアグリゲータが精算。

論点 項目 Non-spinning Reserve

応動評価

計測

計測方法

• 応動速度に応じた計測方法(一次はマイレージ、三次②は事前計測等)

• 上記計測方法の詳細(指令値への追従性評価、ベースラインの設定方法等)

<実運用断面>

• CAISOは、デマンドレスポンスアプリケーションと業務プロセスを通じて、PDRとPDRRの全てに対して稼働状況を監視し、規定範囲を逸脱したものに関してはフラグを立てる。ただし、テレメトリーの具備が要件化されているのは、10MW以上のアグリゲーションを構成するリソース、またはアンシラリーサービスのリソースのみ。

<精算断面>

• kWh精算に関しては、CAISOのDRS(デマンドレスポンスシステム)に需要家の過去~当日のメータデータが集約され、kWhを自動計算

• 計量データ(電力会社が検針)は、Revenue Quality Meter Dataに変換されたのち、アグリゲーター(DRPまたはDRPが指定する事業者(Scheduling Coordinatorを指すと思われる)に提供する。

• DRPまたはDRPが指定する事業者は、それをSettlement Quality Meter Dataに整えたうえで、CAISOに提出

• これまで適用されてきたCAISO 10 in 10のベースライン設定(イベント日を除く直近10日間平均)に加え、DRPが、DRAM入札前のCAISOへの事前リソース登録時に、使用したい代替ベースラインをCAISOに申請可能に。CAISOが代替ベースラインの使用を承認。

• 従前のCAISO 10 in 10のベースライン設定では、特に小規模需要家に対して適合性が低いことが従前より指摘あり。より柔軟な設定を可能にするため、新たに3つの統計的手法を設定。(制御グループ、同等日マッチング、天候マッチング)

• 機器個別計測向けの代替ベースライン(Meter Generator Output)も設定。

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アメリカ CAISO:Non-spinning Reserveのアセスメント(3/4) -計測・評価-

⚫ 非瞬動予備力は認証テストを通じて事前審査を実施。

⚫ 成功判定は厳密ではなく、稼働量に比例した支払となる程度。

論点 項目例 Non-spinning Reserve

応動評価

評価

事前審査の詳細(技術審査)

• Non-spinning Reserveのユニットシステム及び通信システム要件の確認後、CAISO指示に従い認証テスト(Certification Test)を実施。認証テストを通過したリソースは、Non-spinning Reserveへの参加が認められる。

• DRAM容量テスト(Capacity Test):スケジューリングコーディネーターは、DRAMの対象月中に、求められる需要削減を少なくとも2時間提供できるかテストを行う。

契約書類(DR・VPPに特化した契約書の有無等)

<CAISO-DRP(アグリゲーター)間>

Demand Response Provider Agreement(アグリゲーター契約)

<IOU-DRP間>

DRP Service Agreement(アグリゲーターサービス契約)、

DRAM Purchase Agreement(DRAM購入契約)

<Scheduling Coordinator-DRP間>

Agent Agreement(エージェント契約(民々契約))

<CAISO-Scheduling Coordinator間>

Scheduling Coordinator Agreement(スケジューリングコーディネーター契約)、

Meter Service Agreement for SC(スケジューリングコーディネーターのメーターサービス契約)

成功判定

(精算対象とする応動範囲の閾値及びペナルティとの関連性)

• DRPは毎月、3つの方法のいずれか1つで制御実績(kWパフォーマンス)を算定し、実績を電力会社(IOU)に報告する。この情報を基準に、電力会社はDRPに容量料金(kWベース)を支払う。

• DRAMでは、100%稼動から未達だった部分にペナルティを課すのではなく、実際の稼動可能量を算定して、それに応じた(比例した)料金を支払うことになっている。

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アメリカ CAISO:Non-spinning Reserveのアセスメント(4/4)-インバランス、その他-

⚫ 需要家リストは前月10日前までに提出。

⚫ DRリソースと発電リソースに対する参入要件の差異はない。

論点 項目 Non-spinning Reserve

kWh関連調整力発動時のインバランスの取扱い

• 現時点では不明

その他

需要家リスト

リストへの登録方法(登録が必要な情報項目等)

• DRAM入札時点は需要家リストの提出は不要。DRAM落札後、IOU(電力会社)と結ぶDRAM Purchase Agreementの締結後、60日以内に需要家情報(リソース情報)と各月のリソース活用計画をIOUに対して提出。

• DR実施月の10日前までに、Supply Plan(当該月に活用する需要家リスト)をIOUに提出

他市場(容量市場等)との関連性(リストの共通化等)

• DRAMは、電力会社に課している供給力確保義務の一部を、DRに割り当てるもの。

✓ DRAMで落札されたリソースは、容量収入(kWベース)を得る。

✓ DRAMで落札されたリソースは、CAISOのPDRまたはRDRRとして登録され、特定時期・時間帯にCAISO市場への応札義務を負う。PDRは前日エネルギー市場または、前日・リアルタイムアンシラリー市場(非瞬動予備力)へ応札。

✓ CAISO市場で落札された場合は、更にkWh価値も得る。

リソースのポートフォリオ変更時期及び変更方法

• Supply Planの提出(DR実施付きの10日前まで)以後のリソースポートフォリオ変更について、現時点では不明

制度

発電機とDRの参入要件の違い• DRAMにて落札されNon-spinning Reserveに投入されたリソースは、発電リソースと同等に扱われる。

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≪参考≫アメリカ CAISO:DRAMの概要(1/2)

⚫ カリフォルニアでは、PJMのような容量市場が存在せず、またカリフォルニアの小売事業者に課せられる供給力確保義務(Resource Adequacy)にDR資源を組み込むことが出来なかったため、DRの活用が進んでいなかった。

⚫ そこで、CAISO協力のもと、カリフォルニア州公益事業委員会(CPUC)主導で、小売事業者(3大IOU)に対して供給力確保義務の一部をDRから調達することを義務付けるDRAM(Demand Response Auction Mechanism)と呼ばれる試験的な取り組みを2015年から実施中。

◼ DRAMで落札されたリソースは、CAISOのDRプロダクトであるPDRまたはRDRRとして登録される。これらのリソースは、電力会社の供給力確保義務に含まれるため、CAISOが運営する所定の卸市場に、必ず入札しなければならない

◼ PDRは、アンシラリーサービスである瞬動予備力(Spinning Reserve)及び非瞬動予備力(Non-spinning Reserve)市場に投入可能。(1日前及びリアルタイム)

⚫ PDRの場合、 Non-spinning Reserve市場に投入されるリソース、または10MW以上のアグリゲーションを構成するリソースについては、CAISOとの間にてテレメトリー(リアルタイム通信)機能の整備が必要

名称 分類 投入可能市場 アグリゲーション最小容量

応答速度 その他

Proxy Demand Resource (PDR)

経済的DR(Economic DR)

1日前市場(エネルギー) 100kW以上 ー ー

1日前及びリアルタイム アンシラリー市場瞬動予備力(Spinning Reserve)及び非瞬動予備力(Non-spinning Reserve)市場

500kW以上 • 応答:できるだけ早く• 所定出力到達:10分以内• 所定出力持続:30分以上

中給との間にテレメトリー(リアルタイム通信)整備が必要

リアルタイム市場(エネルギー) 100kW以上 ー ー

Reliability DemandResponse Resource (RDRR)

信頼度DR(Reliability DR)

1日前市場(エネルギー) 500kW以上 ー ー

需給ひっ迫時の需要削減要請への対応 500kW以上 • 要請から40分以内に所定の需要削減量に到達

• 持続時間は1時間以上• 4時間を超える持続指令は行わない

出所)“Proxy Demand Resource (PDR) & Reliability Demand Response Resource (RDRR) Participation Overview”, CAISO, 2018/11/23閲覧,http://www.caiso.com/documents/pdr_rdrrparticipationoverviewpresentation.pdf を基に三菱総研作成

※ 非瞬動予備力市場でのDR活用は極めて限定的である模様

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≪参考≫アメリカ CAISO:DRAMの概要(2/2)

⚫ DRAMに参加したリソースは、エネルギー市場での取引とDRAMでの契約の両方から便益を獲得。

◼ デマンドレスポンス・アグリゲータは、デマンドレスポンスを実施する複数の主体と契約し、それらを束ねてCAISOの卸売市場に入札する。卸売市場に入札する際のアグリゲータは、Demand Response Provider(DRP)と呼ばれる。

電力会社(SCE、PG&E、

SDG&E)

Scheduling Coordinator

(SC)

CAISO

• 一定の期間、分散型エネルギーリソースの能力を電力会社に譲渡(容量市場に近い契約)

• 予備力確保の手段として活用

• 容量に対する対価を支払う

• 使用できない場合、インセンティブの支払いは無し(ペナルティも無し)

• 予め所定の予備力を確保し、CAISOとCPUCに報告

• 予備力の一部は、DRAM制度を通じて、必ずDR資源から調達

• 非常時・ピーク時に対応するため、電力会社に対して予備力の確保を要求

• DRAMで落札されたリソースを市場に提供(応札義務)

• ベンチャーが多いDRPの与信を補完する経営基盤が必要

• DRAMで落札したリソースは、Scheduling Coordinator (SC)を通じてCAISOに応札義務

• DERP等はCAISOと直接取引は出来ず、必ずSCを通してDR能力を提供。

• アグリゲーションのためのプラットフォーム(含、計量サービス)を提供

• ISOからの制御指令もSCを通して発信

• 制御指令の発信(アンシラリーの場合)

• 全ての金銭のやり取りをSCと実施

kWh

DRP

需要家・リソース

kW

出所) 「定置用蓄電池の普及拡大及びアグリゲーションサービスへの活用に関する調査」、経済産業省資源エネルギー庁、2018/10/20閲覧、https://www.meti.go.jp/meti_lib/report/H28FY/000479.pdf 及び “Proxy Demand Resource (PDR) & Reliability Demand Response Resource (RDRR) Participation Overview”, CAISO, 2018/11/23閲覧, http://www.caiso.com/documents/pdr_rdrrparticipationoverviewpresentation.pdf を基にMRI作成

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アメリカ PJM:容量メカニズム(RPM;Reliability Pricing Model)

⚫ PJMが小売事業者(LSE)に供給力確保義務を課す。PJM がプール全体の適正予備率を決定し、各 LSE に「各LSE需要規模×(1+PJM が定める予備率)」を義務量として割り当てる

⚫ LSEは、割り当てられた容量をRPMオークションまたは、FRR制度を通じて調達する。

◼ RPMオークション(Reliability Pricing Model Auction):中長期的な発電設備の維持・投資を促す価格シグナルを提供するために、2007年に導入されたForward型の容量市場。自己保有や相対取引で供給力クレジットを確保できないLSE に代わって、 PJM がプール全体で必要となる容量を一括して調達した上で、事後的に調達した供給力の対価をLSEから回収する仕組み。3年前に初回のオークション(Base Residual Auction)が開催され、需給予測の変動を踏まえた過不足分を、追加のオークション(Incremental Auction、計3回)で調整。場合により、4回目のオークション(Conditional Incremental Auction)を開催する場合もある。

◼ FRR制度(Fixed Resource Requirement):LSE は自らの供給力確保義務を満たすために必要な供給力を、①自己保有、②相対契約いずれかで自主調達してよい(FRR容量計画として認定を受ける必要がある)

RPMオークションのスケジュール

相対契約(Bilateral Agreements)

Base ResidualAuction

1st

IncrementalAuction

2nd

IncrementalAuction

3rd

incremental Auction

5月実施

9月実施

7月実施

2月実施

受け渡し年

6月1日 5月31日

3年

20ヶ月

10ヶ月

3ヶ月

PJM 供給力確保の流れ

RPMオークション

電源(発電事業者)

LSE(小売事業者)

PJM

参加義務(相対取引以外)

容量(必要な供給力をLSEに代わり一括で買取り)

$容量(義務として必要な供給力を買取り)

FRR(相対契約)

容量 $

$

出所)”PJM Manual 18 PJM Capacity Market”, PJM, 2018/5/15閲覧, https://www.pjm.com/-/media/documents/manuals/m18.ashx”RPM 301 Performance in Reliability Pricing Model”, PJM, 2018/5/15閲覧, https://www.pjm.com/-/media/training/nerc-certifications/markets-exam-

materials/rpm/rpm-301-performance-in-reliability-pricing-model.ashx?la=en を基に三菱総研作成

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アメリカ PJM:オークションの実施目的・調達コスト負担割当

⚫ 実需給3年前の初回オークション(Base Residual Auction)、追加オークション(Incremental Auction、計3回)及び場合により開催される4回目のオークション(Conditional Incremental Auction)の実施目的及び調達コスト負担割当の考え方は下表の通り。

RPMオークション 実施目的 調達コスト負担割当

Base Residual Auction(ベースオークション)

⚫ RTO大での必要調達量から、相対取引(FRR)の調達容量と、短期リソース(short-termresources)の容量(2018/2019受け渡し以前)を引いた容量を調達する

⚫ Locational Reliability Chargeを通じて、小売事業者(LSE)に割り当て

1st Incremental Auction(第1回追加オークション)

(1)replacement リソースの調達(2)信頼性要件(reliability requirement)の調整に伴う、リソースコミットメントの増減(3)短期リソース(short-term resource)の調達(2018/2019受け渡し以前)

⚫ Locational Reliability Chargeを通じて、replacementリソースを調達するリソースプロバイダー(発電事業者)及び小売事業者(LSE)に割り当て2nd Incremental Auction

(第2回追加オークション)

3rd Incremental Auction(第3回追加オークション)

Conditional Incremental Auction(条件付き追加追加オークション)

⚫ 送電線の大規模障害に起因する信頼性要件上の問題にかかる追加容量の調達

⚫ Locational Reliability Chargeを通じて、小売事業者(LSE)に割り当て

出所) ”RPM 301 Performance in Reliability Pricing Model”, PJM, 2018/5/15閲覧, https://www.pjm.com/-/media/training/nerc-certifications/markets-exam-materials/rpm/rpm-301-performance-in-reliability-pricing-model.ashx?la=en を基に三菱総研作成

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アメリカ PJM:新旧メニュー

⚫ PJMの容量市場(RPM)は2014年1月に発生した大寒波による需給逼迫を契機として、メニューの大幅な見直しがなされている。

◼ 受け渡し年度2017/2018以前は、基本的に、Annual DR(通年での容量確保義務、発電・DR共通)、Limited DR(夏季限定の容量確保義務、DRのみ)、Extended Summer DR(夏季拡張型の容量確保義務、DRのみ)の3メニューであった。

◼ 受け渡し年度2018/2019より、Base Capacity(夏季限定の容量確保義務)とCapacity Performance(通年での容量確保義務)を併存。Capacity Performanceでは、冬季ピークにも対応するため、通年での容量確保を義務づけるとともに、義務不履行時の発電事業者のペナルティを強化。

◼ 2016/2017から2019/2020までは経過措置が設けられ、2020/2021よりCapacity Performanceに100%統合される。

◼ 単体では通年のエネルギー・予備力提供要件を満たすことが困難なリソース(間欠性リソース、蓄電池、DR、省エネ等)は、アグリゲートして入札可能(2018/2019より)。また、2020/2021からは、夏季・冬季個別に容量を確保し、併せて通年の提供とするSeasonal Capacity Performanceのメニューも設けられる。

出所)第9回容量市場の在り方等に関する検討会 「資料3 リクワイアメント・アセスメント・ペナルティに関するルール整備に向けた事前確認(PJMマニュアルにおける規定事項との対比)」電力広域的運営推進機関

”PJM Manual 18 PJM Capacity Market”, PJM, 2018/5/15閲覧, https://www.pjm.com/-/media/documents/manuals/m18.ashx を基に三菱総研作成

<PJM Manual 18 Capacity Market, 1.5

Transition to Capacity Performance>

Capacity Performanceでは冬季ピークにも対応

するため、通年での容量確保を義務づけるとともに、

義務不履行時の発電事業者のペナルティを強化。

(Base Capacityは夏季ピークを基準に容量確

保)

Base Capacityでは、6月から9月の酷暑期に、

PJMが緊急イベントを宣言した際には常に、エネル

ギー及び調整力を提供可能な状態であるように、

継続的かつ予測可能な運用を行うことを義務付け

ていたのに対し、Capacity Performance リソー

スは、1年を通して、PJMが緊急イベントを宣言した

際には、常にエネルギー及び調整力を提供可能な

状態であるように、継続的かつ予測可能な運用を

行うことを義務付ける。

受け渡し年度(6月~翌5

月)2016/2017 2017/2018 2018/2019 2019/2020 2020/2021

旧メニュー

新メニュー

◼ Annual (通年型 ※発電機・DR共通)◼ Limited DR(限定型DR)◼ Extended Summer DR(夏季拡張型DR)

Non-Capacity Performance

Base Capacity

Non-Capacity Performance

Capacity Performance※単体では通年のエネルギー・予備力提供要件を満たすことが困難なリソース(間欠性リソース、蓄電池、DR、省エネ、Environmentally-limited リ

ソース等)はアグリゲートして入札可能

Capacity Performance(Transitional Incremental Auctions

in 2015)

Seasonal Capacity

Performance※

FRRのみ継続

選択可能

統合(RPMのみ)

アグリゲート・リソースの代替として、夏季・冬季個別に容量を確保し、併せて通年での容量確保とする

統合(FRR)

統合

廃止

廃止

※ 間欠性リソース、蓄電池、Environmentally-limited リソースは、夏季または冬季のSeasonal Capacity Performanceに参加可能※ DR、省エネは夏季のSeasonal Capacity Performanceにのみ参加可能

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アメリカ PJM:参加リソースタイプ

⚫ RPMに参加可能なリソースのタイプは以下の通り。

◼ 発電リソース(Generation Resource)・・・既存or新設/ 域外 or 域内

◼ DR(Load Management Products)・・・既存or新設

◼ エネルギー効率化(Energy Efficiency Resource)・・既存or新設・

◼ 送電容量増強(Qualifying Transmission Upgrades)・・・既存or新設

◼ アグリゲートリソース(Aggregate Resources)・・・既存or新設。2017/2018(容量供給年)以降で導入された。アグリゲート対象のリソースは、Intermittent Resources, Capacity Storage Resources, Demand Resources, Energy Efficiency Resources, Environmentally-

Limited Resourcesに限定される。

出所) ”RPM 301 Performance in Reliability Pricing Model”, PJM, 2018/5/15閲覧, https://www.pjm.com/-/media/training/nerc-certifications/markets-exam-materials/rpm/rpm-301-performance-in-reliability-pricing-model.ashx?la=en

PRMへの参加リソースタイプ

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アメリカ PJM:DR商品別 リクワイアメント

⚫ DRには、要件の異なる複数の商品タイプが設定されている。

◼ 旧DRメニュー(Limited DR、Extended Summer DR、Annual DR)は、受け渡し年度2018/2019を最後に廃止され、Base、Capacity

Performanceに統合。

◼ 2020/2021以降はCapacity Performanceに一本化。

◼ 2020/2021からは、夏季・冬季個別に容量を確保し、併せて通年の提供とするSeasonal Capacity Performanceのメニューも設けられる。(DRは夏季のみ)

DR商品タイプ別 要件

Limited DRExtended

Summer DRAnnual DR Base

Capacity Performance

Summer Period Seasonal DR

受け渡し年度(delivery year)

2018/2019 以前 2018/2019 以前 2018/2019 以前2018/2019&2019/2020

2018/2019 以降 2020/2021 以降

利用可能時期(availability)

6月~9月の平日(NERC休日を除く)

6月~10月、翌5月の全日

供給年の全日(10月~4月の承認済みメンテナンス日を除く)

6月~9月の全日

供給年の全日(10月~4月の承認済みメンテナンス日を除く)

6月~10月、翌5月の全日

最大需要遮断数(maximum number of interruptions)

10回 無制限 無制限 無制限 無制限 無制限

反応時間帯(hours of day required to respond)

12:00 PM-8:00 PM

10:00 AM-10:00 PM

6月~10月&5月:10:00 AM-10:00 PM

11月~4月:6:00 AM-9:00 PM

10:00 AM-10:00 PM

6月~10月&5月:10:00 AM-10:00 PM

11月~4月:6:00 AM-9:00 PM

6月~10月&5月:10:00 AM-10:00 PM

最大需要遮断継続時間(maximum duration of interruption)

6時間 10時間 10時間 10時間 無制限 無制限

出所) ”RPM 301 Performance in Reliability Pricing Model”, PJM, 2018/5/15閲覧, https://www.pjm.com/-/media/training/nerc-certifications/markets-exam-materials/rpm/rpm-301-performance-in-reliability-pricing-model.ashx?la=en

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アメリカ PJM:Demand Resource Providerに対する要件

⚫ Demand Resource Providerは、以下の要件を満たさなければならない。

⚫ これらの要件は、Demand Resource Providerと需要家間の契約において定められるものであり、PJMは需要家に直接関与しない。

⚫ 関連する受渡し年度が開始する前に、Pre-EmergencyまたはEmergency Load Response Programに登録しなければならない

⚫ PJM Manual 1の”Control Center and Data Exchange Requirements”に従って、load managementイベントを出力抑制サービスプロバイダーに通知するPJMからの電子メッセージを取得する機能を有する。

⚫ PJMマニュアル18のセクション8.7“Load Management Event Compliance”またはセクション8.7A“Measuring Compliance during Performance Assessment Interval”に従って、PJMが開始するLoad ManagementイベントまたはPerformance AssessmentIntervalが発生した月末から45日以内に、需要家固有のコンプライアンス及び検証に関する情報を提供する(または提供する契約を他の当事者と結ぶ)。

⚫ PJMマニュアル18のセクション8.8“Load Management Test Compliance”に定めるタイムラインに従って、需要家固有のコンプライアンス及び検証に関する情報を提供する(または提供する契約を他の当事者と結ぶ)。PJMマニュアル19“Load Forecasting & Analysis”の付属書Dに従って、PJMが承認する場合、interval meteringなしで、家庭用需要家に関する需要家特有のコンプライアンス及び検証情報の代わりに、統計的サンプリングの使用が可能。

⚫ PJMマニュアル19の“Load Forecasting & Analysis“に従って、PJMまたはリソースプロバイダーが開始した)全てのLoad Managementイベント(及びプロバイダーが開始したテストイベント)に関する負荷低下(load drop)の推定値を提供する。

⚫ 受渡し年に、デマンドレスポンスのPJMディスパッチに直接応答して、削減される予定のエネルギー量の正確な推定量を提供する。

出所) ”PJM Manual 18 PJM Capacity Market”, PJM, 2018/5/15閲覧, https://www.pjm.com/-/media/documents/manuals/m18.ashx を基に三菱総研作成

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国 名 調整金の有無 詳細

フランス 有り

⚫ 2013年に成立した法律(Loi Brottes)により、アグリゲーターとBRP・小売電気事業者間の調整金支払いに関する標準的な規則が各市場で定められ、当事者間の協議負担が軽減された。

⚫ 卸電力市場のDR注1における調整金は、需要家の契約電力規模により異なり、ケースに応じて売上補填、調達補填、相対契約(個別協議)が適用されることとなる。

ドイツ 有り

⚫ 日本と同様に、アグリゲーターはBRP・小売電気事業者に対する調整金の支払いを求められていた。⚫ 当事者間協議の負担を軽減すべく、アグリゲーターと需要家BRP・小売電気事業者間の契約の標準化(調整金の

決定方法、情報・スケジュール共有等の内容を含む)が現在検討されている。⚫ 調整金の計算方法は、売上補填に相当する基準が採用される見込み。

イギリス ー

⚫ Ofgem注2は、Balancing Mechanism(ゲートクローズ後の需給調整)へのアグリゲーターの参加、及びフレームワークの確立を論点として挙げている。

⚫ Ofgemの見解では、アグリゲーターがDRを実施した場合に小売事業者へ支払われるべき報酬は、需要家と小売事業者間の小売契約にて合意されることが合理的とされている。また、調整金の計算方法としては、 売上補填に相当する方法を推奨している。

ノルウェー ー⚫ 独立系アグリゲーターが認められていないため、アグリゲーターとBPR・小売電気事業者間の調整スキームは存在しな

い。

諸外国におけるネガワット調整金の取扱い

⚫ 電源構成、大陸国か島国か、市場の発展度合い、資源の有無などにより、諸外国におけるDRの活用具体は異なる。

⚫ 現状で把握しているネガワット調整金の諸外国の取扱いは以下のとおり。

注1:NEBEF。2013年よりDR参入が可能。注2:ガス・電力市場局

出所)“Explicit Demand Response in Europe – Mapping the Market 2017”, Smart Energy Demand Coalition (SEDC), 2018/7/28閲覧, https://www.smarten.eu/wp-content/uploads/2017/04/SEDC-Explicit-Demand-Response-in-Europe-Mapping-the-Markets-2017.pdf“Mapping Demand Response in Europe Today 2015”, Smart Energy Demand Coalition (SEDC), 2018/7/28閲覧, http://www.smarten.eu/wp-content/uploads/2015/09/Mapping-Demand-Response-in-Europe-Today-2015.pdf”Règles pour la valorisation des effacements de consommation sur les marchés de l’énergie NEBEF 3.1“, RTE, 2018/7/28閲覧, https://clients.rte-france.com/htm/fr/offre/telecharge/2018_01_01_Regles_NEBEF_3.1.pdf“Aggregators – Barriers and External Impacts”, Ofgem, 2018/7/28閲覧, https://www.ofgem.gov.uk/system/files/docs/2016/07/aggregators_barriers_and_external_impacts_a_report_by_pa_consulting_0.pdf を基に三菱総研作成

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フランスにおけるネガワット調整金の事例(1/2)

⚫ 契約電力が大きく、テレメータがある場合など特定の条件を満たす場合、「Corrected Model(売上補填)」が採用され、それ以外は原則として「Regulated Model(調達補填)」が適用される。

⚫ 「Contracted Model(相対契約)」による場合は、RTEに対して申請を行う必要がある。

調整金モデル 調整金の考え方

送電ネットワーク

レベル

(テレメータ有)

配電ネットワークレベル

(36kVA超かつテレメータ有)

左記以外

Corrected Model(Modèle Corrigé)

✓ 売上補填(需要家の電力料金価格に基づき、需要家が小売電気事業者/BRPに支払い)

○ ○

Regulated Model(Modèle Régulé)

✓ 調達補填(RTEが定める規制価格に基づき、RTEが小売電気事業者/BRPに対して支払い)

Contracted Model(Modèle Contractuel)

✓ 相対契約(アグリゲーターと小売事業者/BRP 間の契約で定めた価格に基づき、アグリゲーターが小売電気事業者/BRPに支払い)

出所) ”Règles pour la valorisation des effacements de consommation sur les marchés de l’énergie NEBEF 3.1“, RTE, 2018/7/28閲覧, https://clients.rte-france.com/htm/fr/offre/telecharge/2018_01_01_Regles_NEBEF_3.1.pdfを基に三菱総研作成

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フランスにおけるネガワット調整金の事例(2/2)

⚫ 「Regulated Model(調達補填)」における価格水準は、 3.9~7.8円/kWh注(30~60€/MWh)程度である。

⚫ 本価格は、ピーク/オフピーク時間を分けた上で、需要抑制に該当する30分コマにおける先物価格(前日スポット・1週間前・1ヵ月前・1年前等)の加重平均価格を指標とし算出している。

オフピーク時間 ピーク時間

Profiled Sites with Base Option(1) 46.2

Profiled Sites without Base Option (2) 31.1 55.3

⚫ テレメータ―無しの場合

Q1 Q2 Q3 Q4

オフピーク

時間

ピーク

時間

オフピーク

時間

ピーク

時間

オフピーク

時間

ピーク

時間

オフピーク

時間

ピーク

時間

CY2015

45.67 64.08 28.49 42.18 28.06 42.25 43.61 60.86

⚫ テレメータ―有りの場合

[€/MWh]

[€/MWh]

注 2018年7月6日時点の為替レートで換算。

家庭用及び産業用小売電気料金推移(フランス)

出所)“Eurostat Database”, Eurostat, 2018/7/16閲覧,https://ec.europa.eu/eurostat/data/database を基に三菱総研作成

0

40

80

120

160

200

2013 2014 2015 2016 2017

電気

料金

(EU

R/M

Wh)

産業(年間消費量:500MWh~2000MWh)

家庭(年間消費量:5MWh~15MWh)

出所)“Participate in the NEBEF mechanism”, RTE, 2018/7/6閲覧, https://clients.rte-france.com/lang/an/clients_producteurs/services_clients/dispositif_nebef.jsp)を基に三菱総研作成

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ドイツにおける調整金の事例(1/1)

⚫ 調整金の計算方法はアグリゲーターと小売電気事業者間の相対契約により決めることとなっていたが、協議負担を軽減するため、2016年頃より、需給調整市場におけるアグリゲーターと小売電気事業者等間の契約の標準化を検討されている。具体的には、 調整金の決定方法、情報・スケジュール共有等を検討している。

⚫ 規制機関である連邦ネットワーク庁(BNetzA)は、最終需要家による二次調整力相当(SCR注1)及び三次調整力相当(TCR注2)のDR提供に関する事項を策定注3。当該契約の標準化に関する検討は、2フェーズに渡り実施され、第2フェーズ完了目途は遅くとも2020年に設定されている。

⚫ 現状、調整金の決定方法としては、「Corrected Model(売上補填)」に相当する方法が採用される見込みとのこと。(小売電気事業者の販売電力量単価から固定費分(託送等)を控除したものを調整金単価とする方法)

注1:Secondary Control Reserve(二次制御予備力)注2:Tertiary Control Reserve(三次制御予備力)注3:Bundesnetzagentur “BK6-17-046”(14.9.2017)

出所)”BRANCHENLEITFADEN Regelleistungserbringung durch Drittpartei-Aggregatoren gem. § 26a StromNZV”, bitkom等, 2018/7/28閲覧, https://www.bitkom.org/sites/default/files/file/import/Branchenleitfaden-Drittpartei-Aggregator-2.pdf“BK6-17-046” Bundesnetzagentur, 2018/7/28閲覧, https://www.bundesnetzagentur.de/DE/Service-Funktionen/Beschlusskammern/1BK-Geschaeftszeichen-Datenbank/BK6-GZ/2017/2017_0001bis0999/BK6-17-046/BK6-17-046_Beschluss_vom_14_09_2017.html“Explicit Demand Response in Europe – Mapping the Market 2017”, Smart Energy Demand Coalition (SEDC), 2018/7/28閲覧, https://www.smarten.eu/wp-content/uploads/2017/04/SEDC-Explicit-Demand-Response-in-Europe-Mapping-the-Markets-2017.pdf

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イギリスにおける調整金の事例(1/1)

⚫ バランシングサービスには、アグリゲーターの参加が認められている。アグリゲーターとBRP・小売電気事業者間の契約は不要である。STORに関しては、調整金の支払いはなされていないとのことであるが、詳細は未判明。

⚫ Balancing Mechanism(ゲートクローズ後の需給調整)には、アグリゲーターの参加が認められていない。

⚫ ガス・電力市場局(Ofgem)が、ネガワット取引に関する様々なアセスメントレポートを発表しており、Balancing Mechanism

へのアグリゲーターの参加、及びフレームワークの確立を論点として挙げており、今後、変更の可能性がある。

◼ アセスメントレポートでは、Balancing MechanismへのDR参加の便益を評価した上で、課題及び対策を分析・整理している。

◼ Ofgemの見解によれば、アグリゲーターがDRを実施した場合に小売事業者へ本来支払われるべき報酬は、需要家と小売事業者間の小売契約にて合意されることが合理的とされている。

◼ 調整金の計算方法としては、 「売上補填」に相当する方法を推奨している。

出所)“Ofgem’s views on the design of arrangements to accommodate independent aggregators in energy markets”, Ofgem, 2018/8/25閲覧、https://www.ofgem.gov.uk/system/files/docs/2017/07/ofgem_s_views_on_the_design_of_arrangements_to_accomodate_independent_aggregators_in_energy_markets.pdf” An assessment of the economic value of demand-side participation in the Balancing Mechanism and an evaluation of options to improve access”, Charles River Associates, 2018/8/25閲覧、 https://www.ofgem.gov.uk/system/files/docs/2017/07/an_assessment_of_the_economic_value_of_demand-side_participation_in_the_balancing_mechanism_and_an_evaluation_of_options_to_improve_access.pdf(2017)

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Ⅱ.VPP活用に向けた需要家側エネルギーリソースの評価方法の検討

1. 電源の追従性の評価方法

2. DSRが提供可能な電力の評価方法

3. その他

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Ⅲ. VPP活用に向けた需要家側エネルギーリソースの評価方法の検討 -検討項目-

⚫ VPP活用に向けた需要家側エネルギーリソースの評価方法に関して、以下の1~3の項目について検討を行った。

1. 電源の追従性の評価方法

• 諸外国における三次調整力相当調整力に関する計測地点・計測方法・報告データ/メータの要件

• 諸外国における高速調整力(一次・二次相当)に関する計測地点・計測方法・報告データ・メータの要件

2. DSRが提供可能な

電力の評価方法

• ベースラインに係るERABガイドラインの改定案

• 当日補正により、ベースラインの需要がマイナスとなる場合のベースラインの設定方法

• 標準ベースライン算出対象日において最小の需要日が複数ある場合の取扱い

• ベースラインの算出時における小数点以下の取扱い

• ベースラインの設定に利用する日の除外日の取扱い

3. その他

• ネガワット調整金の考え方の再整理

• 第三者仲介スキーム

• DRを実施するアグリゲーターから供給元小売電気事業者への情報共有

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1. 電源の追従性の評価方法

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イギリス ドイツ フランス ベルギー アメリカ

対象TSO National GridAmprion, Transnet,

50Hertz,TenneTRTE Elia PJM

三次調整力相当の

調整力

(15分~30分の

応動時間)

STOR

: Short Term

Operating Reserve

mFRR

:Minutes Reserve

mFRR

: Rapid Reserve

RR

: Complementary

Reserve

R3

: Tertiary Control

Primary Reserve

Day-ahead

Scheduling Reserve

: Secondary Reserve

一次・二次調整力相当の

調整力

(30秒~1分の

応動時間)

FCR

:Firm Frequency

Response(FFR),

Enhanced

Frequency

Response(EFR)

FCR

:Primary Control

Reserve

FCR

:Primary Reserve

FCR

: Primary ReserveRegulation

海外事例調査 -調査対象国及び商品-

⚫ 諸外国の需給調整市場において、日本の三次調整力相当の商品(15分~30分の応動時間)、一次・二次調整力相当の商品(30秒~数分の応動時間)の要件を調査した。

⚫ 特に、DRの取引実績が確認できた商品を選択して、商品の要件を確認した。

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イギリス ドイツ フランス ベルギー 米 PJM

STOR

Short Term OperatingReserve

Minutes Reserve

(Tertiary ControlReserve)

mFRR:Rapid

Reserve

RR:Complementary Reserve

R3:Tertiary Control

(Standard Tertiary Control,Flex Tertiary

Control)

Primary Reserve

(Synchronized Reserves)

応動時間通常20分以内(最大240分)

15分以内 9分、13分 30分 15分以内 10分

継続時間 最低2時間15分~1時間(数時間の場合あり)

30分、60分、

90分、120分

30分、60分、

90分

Standard:8時間,Flex:2時間(4時間への変更を検討中)

最大30分

最低入札容量 3MW 5MW10 MW(1MWに緩和する議論あり)

10 MW(1MWに緩和する議論あり)

1MW

(アグリゲーション可能)100kW

全取引量注1 約2,071MW(2016年度平均)

上げ:42GW注2

下げ:41GW注2

(2017年11月末時点)

1,323 MW(2018年)

264 MW(2018年)

Standard:451MWFlex:379MW(2018年)

Tier1:1,166MWTier2:565MW(2017年)

DR・DER・蓄電

取引量注1

緊急バックアップ発電機:92.6MWCHP:約24.7MW需要削減:約0.8MW(2016年度平均)

蓄電池:0MW注2

需要/DSM:上げ 約670MW注2

下げ 約650MW注2

DR:約480 MW

不明(Standard, FlexともDR参加可能)※Next KraftwerkeやREstoreが入札実績あり

DR:121 MW

全取引量に占める

DR・DER・蓄電

池取引量の割合

緊急バックアップ発電機:約4.5%CHP:約1.2%需要削減:約0.0%(2016年度平均)

蓄電池:0%注2

需要/DSM:上げ 約1.6%注2

下げ 約1.6%注2

不明不明(Standard, FlexともDR参加可能)

DR:6~10%

三次調整力相当の調整力に関する要件及びDR等取引状況

⚫ 調査を実施した三次調整力相当の商品要件及びDR等の市場規模は以下のとおり。

注1:年間を通した時間当たりの平均調達量 注2:事前資格審査通過リソースの量を記載

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イギリス ドイツ フランス ベルギー アメリカ

対象TSO National GridAmprion, Transnet,

50Hertz,TenneTRTE Elia PJM

商品 STOR Minutes Reserve Rapid Reserve R3:Tertiary Control Synchronized Reserve

計測地点

計測地点(受電点 or 個別計測 )

• 個別計測 • 個別計測• 受電点計測(機器点

での評価は不可)• 受電点計測もしくは個別計

測• 受電点計測

個別計測許容の場合の留意点

未判明• 2つのメーターを足し合

わせた合算値評価も可能

(個別計測不可)

• ゲーミング防止策として受電点での計測量に影響を与えないことを宣言し、事前に単線結線図(電気回路系統の図)を提出

(個別計測不可)

メーター・通信

TSOへの送信データ種類・データ送信周期(オンライン(リアルタイム) or オフライン(事後送信))

• 使用電力(kW)• オンライン(リアルタイ

ム):1分• 使用電力(kW)

• エンティティ単位の使用電力(kW)(アグリゲーター⇒RTE)

• 受電点毎の使用電力(kW)(RTE)

• オンライン(リアルタイム):15秒

• 使用電力量(kWh):15分値

• オンライン(リアルタイム):15分

• 計測頻度:1分毎• 報告時間:発生後2日

以内

メーターの要件等• メーターは、TSOの要求

仕様を満たすこと• メーターは、TSOの要

求仕様を満たすこと• 検定電力量計

• メーターは、TSOの要求仕様を満たすこと

• 小売メータリングシステム、もしくはTSOの要求仕様を満たしたプライベートメーター

計測方法

ベースラインの設定方法等

• 直前負荷+直近3日間の需給実績

• 5分先の想定MW• 直前型 (調整依頼の直

前30分間の使用電力の平均値)

1.直前の15分電力量(連続発動の場合は最初のコマの直前15分電力量)2.High X of Y

• 事前計測

指令値への追従性の確認方法

未判明 未判明 未判明 未判明• 開始時および10分後

(各前後1分を含む3点)の出力差

諸外国の需給調整市場における三次調整力相当のアセスメント方法

⚫ 諸外国の三次調整力相当の調整力に関するDR・VPPのアセスメント方法の概要を示す。

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三次調整力相当の調整力における論点別の各市場要件

⚫ メーター要件については、計量法の検定済み計量器のみを認めている市場(フランス)、TSOが要求する仕様を満たすメーターを採用している市場(イギリス、ドイツ、ベルギー)がある。

⚫ 計測方法は、フランス、アメリカは発動の直前負荷を利用している一方、イギリスは過去数日のデータを利用している。またベルギーにおいては、直前負荷の利用と過去数日データの利用の双方を採用していることが確認された。

⚫ イギリスの商品であるSTORは予備力という性質が強いこと、またイギリス、ベルギーともに商品の継続時間が比較的長い点については日本におけるDRの基準の算定方法を検討する際に留意する必要がある

※アメリカPJMにて採用しているメーターは、法定メーターであるか、TSOメーターであるか特定は困難なため、記載していない

計測地点

受電点計測 個別計測

フランス ベルギー PJM イギリス ドイツ ベルギー

メーター

法定 TSOの要求仕様

フランス イギリス ドイツ ベルギー

基準の算定方法

直前負荷 想定直後負荷 統計的手法

フランス(直前30min)

ベルギー(直前15min)

PJM(直前15min)

ドイツ(直後想定5min)

ベルギー(High X of Y)

イギリス(直近三日間)

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イギリス ドイツ フランス ベルギー 米 PJM

Firm FrequencyResponse

(FFR)

Enhanced Frequency Response

(EFR)

FCR:Primary Control Reserve

FCR:Primary Reserve

FCR:R1 Regulation

応動時間Primary:10秒以内Secondary:30秒以内High:10秒以内

1分以内 30秒以内 30秒以内 30秒以内RegーD:10秒Reg-A:5分

継続時間Primary:最低20秒Secondary:最低30分High:無制限

15分 15分以内 15分以内 最大25分 5分

最低入札容量 1MW 1MW 1MW 1MW 1MW 100kW

全取引量注1

Primary:83MW注2

Secondary:131MW注2

High:78MW注2

(2016年度)

201MW(2016年)

上げ下げ:約5.6GW注3

(2017年11月末時点)

511MW(2018年)

約80MW(2019年必要調達量)

Ramp Hours:- RegA 528.9 actual MW- RegD 191.1 actual MW

Non-ramp Hours:- RegA 306.0 actual MW- RegD 181.9 actual MW

DR・DER・蓄電池

取引量注1

Primary:2.1MW注2

Secondary:12.8MW注2

High:1.0MW注2

(2016年度)

蓄電池:201MW(2016年)

蓄電池:約160MW注3

需要/DSM:約70MW注3

約60MW(年不明)

27MW(2015年)

Ramp Hours:8.5MW

Non-ramp Hours:7.5MW

全取引量に占める

DR・DER・蓄電池

取引量の割合

Primary:2.5%注2

Secondary:9.7%注2

High:1.3%注2

(2016年度)

蓄電池:100%(2016年)

蓄電池:約2.9%注3

需要/DSM:約1.3%注3

不明 不明 約1.2%

一次・二次調整力相当の調整力における論点別の各市場要件

⚫ 調査を実施した一次・二次調整力相当の商品要件及びDR等の市場規模は以下のとおり。

注1注1:年間を通した時間当たりの平均調達量 注2:FFRを含めたFR全体の取引量を記載 注3:事前資格審査通過リソースの量を記載

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諸外国の需給調整市場における一次・二次調整力相当のアセスメント方法

⚫ 諸外国の高速調整力(一次・二次相当)に関するアセスメント方法の概要を示す。

イギリス ドイツ フランス ベルギー アメリカ

対象TSO National GridAmprion, Transnet,

50Hertz,TenneTRTE Elia PJM

商品Firm Frequency

Response(EFR)FCR:Primary Control Reserve FCR:Primary Reserve FCR:R1 Regulation

計測地点

計測地点(受電点 or 個別計測 )

• 個別計測 • 個別計測• 受電点計測(機器点での評価は不

可)• 受電点計測も

しくは個別計測• 受電点または個別計測

個別計測許容の場合の留意点

未判明 未判明 (個別計測不可) 未判明

• ゲーミング防止のため、Regulationのみ、設置時の確認により承認を受けたうえで、サブメータの設置を認める

• Regulationのサブメーター計測はBehind-the-Meterの全発電機(蓄電池含む) に設置し、PJMへ申請する。

メーター・通信

TSOへの送信データ種類・データ送信周期 (オンライン(リアルタイム) or オフライン(事後送信))

• 使用電力(kW)• オンライン(リアルタイ

ム):1秒

• 使用電力(kW)• オンライン(リアルタイム):TSOに継

続的にリアルタイムデータを送信(1秒または4秒毎)

• エンティティ単位の使用電力(kW)(アグリゲーター⇒RTE)

• Availabilityの情報(実施可、または実施不可)(アグリゲーター⇒RTE)

• 受電点毎の使用電力(kW)(RTE)• オンライン(リアルタイム):10秒

• 使用電力(kW)• オンライン(リアル

タイム):2秒

• オンライン(リアルタイム)遠隔計測が必須• 2秒(RegD)または10秒(RegA)

メーターの要件等• メーターはTSOの要求仕

様を満たすこと未調査

• 検定電力トランスデューサー*10mHz以下の測定精度*Accuracy Class 0.2S*RTEはエンティティのサイトの1つでメーターが要

件を満たしているか検証する

• TSOの要求仕様を満たすこと(1%以内または100kW以内,10 mHz以下)

• 受電点ではユーティリティ水準の小売メータ(ANSI c12を満たす)を用いる

• サブメーターの場合はANSI c12.1およびc57.13を満たす、または±2%以内の精度とPJMが検証・認可すること

計測方法

ベースラインの設定方法等

• 発動前の平均MW※5秒又は10秒、30秒先の想定MWを使用することを試験的に開始

• 30秒又は5分先の想定MW(デファルトのベースラインは5分先の予測であるが、TSOはFCRのリアルタイム予測を検討している。)

下記の3つのどれか• 事前事後• アグリゲーター、もしくは統計的なアプローチに

より計算されたヒストリカルデータ• ポートフォリオが大きい場合、ケースバイケース

• 直前20秒間の平均電力

• 指令値への追従性をPerformance Scoreで評価し報酬に直結する

• Performance Scoreにより指令値への追従性をリアルタイムで計測

指令値への追従性の確認方法

未判明 未判明

• 使用電力が、周波数の変動に対して、以下条件を満たして追従していること「15秒以内に契約調整電力 x 周波数偏差の50%、30秒以内に契約調整電力 x 周波数偏差の100%」

未判明

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一次・二次調整力相当の調整力における論点別の各市場要件

⚫ 一次・二次調整力では、全ての市場でTSOの要求を満たすメーターが採用されている。

⚫ 三次調整力と比べて、より直前の負荷を基準としている(イギリス、ベルギー)。またフランス、アメリカPJMにおいては、指令値や周波数偏差への追従性を評価している。これは一次・二次調整力が、三次調整力と比べてより短い時間で指令や周波数偏差に対して応動し、より細かな周期での需給調整を行うための商品であることによると考えられる。

計測地点

受電点計測 個別計測

フランス ベルギー PJM イギリス ドイツ ベルギー PJM

メーター

TSOの要求仕様

イギリス ドイツ フランス ベルギー PJM

計測方法

直前負荷 想定直後負荷 周波数・指令値の追従性

フランス PJMイギリス(直前5-15sec)

ベルギー(直前20sec)

ドイツ(直後想定30sec-5min) (一定のPerformance Scoreにより評価)

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計測地点 ①受電点計測

⚫ 受電点とは、受電の場所と同一の構内への入り口となる地点。受電点計測とは、受電点から屋内の分電盤の間に設置されたメーターにより計測する方法である。

M

太陽光発電(FIT/非FIT)

電力需要 蓄電池

発電:2 充電:10

充電:8

家庭需要家における受電点計測のパターン

テナントA テナントCテナントB

M

需要増:2 需要減:10

需要減:8受電点メーター(kWh計測)

受電点メーター(kWh計測)

業務需要家における受電点計測のパターン

高圧引き込み線

引き込み線

柱上変圧器受変電設備

受電の場所と同一の構内

受電点

メーター(電力量計)

分電盤負荷へ

屋外 屋内

第一号指示柱

高圧引き込み線

引き込み線

柱上変圧器受変電設備

受電の場所と同一の構内

受電点

メーター(電力量計)分電盤

第一号指示柱

屋外

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計測地点 ②個別計測

⚫ 個別計測とは、受電点以外で計測する方法である。

⚫ 個別機器に接続したメーターにより計測する方法等がある。

⚫ 具体例として、FIT電源(10kW未満)と非FIT電源の測り分けについては差分計量という形で認められている。

家庭需要家における個別計測のパターン

M

m1 m2

太陽光発電(FIT/非FIT)

電力需要 蓄電池

発電:2 充電:10

充電:8

テナントA テナントCテナントB

M

m2 m3

需要増:2 需要減:10

需要減:8

業務需要家における個別計測のパターン

機器点メーター(kWh計測)

機器点メーター(kWh計測)

機器点メーター(kWh計測)

機器点メーター(kWh計測)

m1

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計測地点 ③パフォーマンス計測用メーター

⚫ 電力取引を行う際には特定計量器を使用することが計量法上定められているが、応動速度の速い調整力提供のパフォーマンスを測定するため、受電点計測、個別計測いずれの場合にもおいても、電力量(kWh)を計測する特定計量器とは別に、TSOが指定する計量器等を設置することが考えられる。

太陽光発電(FIT/非FIT)

電力需要 蓄電池

発電:2 充電:10

充電:8

家庭需要家における受電点計測のパターン

M

M’

パフォーマンス計測用メーター(ΔkW計測)

受電点メーター(kWh計測)

パフォーマンス計測用メーター(ΔkW計測)

家庭需要家における個別計測のパターン

M

m1 m2

太陽光発電(FIT/非FIT)

電力需要 蓄電池

発電:2 充電:10

充電:8

m1’ m2’

機器点メーター(kWh計測)

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2. DSRが提供可能な電力の評価方法

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ベースラインに係るERABガイドラインの改定案

⚫ 事業者へのヒアリング等を通じて挙がった現行ガイドラインに関する論点のうち、次頁以降のように現行ガイドラインを改定することを検討。

No. 論点 概要 改定案

1

当日補正を行うことによって、ベースラインの需要がマイナスとなる場合、当該対応の方針が不明確

PVの有無に限らず、当日調整により、ベースライン自体がマイナスとなる時間帯が存在している。この場合の扱いについて、現状ガイドライン等で規定されていない。

当該需要家において逆潮流の実績がない限り、原則ゼロに補正する。

3

最小の需要量が複数ある場合、High 4 of 5の選定方法が規定されていない

ベースライン算出対象となるDR実施日の直近5日間のうち、DR実施時間帯の平均需要量が最小となる日が複数ある場合の取扱いが明確になっていない。

DR実施時間帯の平均需要量が最小となる日が複数ある場合は、DR発動日に近い日を採用する。

2ベースライン算出時における小数点以下の取扱いが規程されていない

ベースライン算出時、小数点以下の計算となる場合が想定されるが、その際の取扱いについて明確に規定されていない。

計算の過程においては小数点以下まで正確に行い、最終的なベースライン値については整数となるよう小数点第一位を四捨五入する。

4標準ベースラインを設定する際、除外する日の規定内容が不明確

需要の低い日のベースライン設定からの除外日について、現在のガイドライン上の表現では、総平均値の25%未満の場合に除外するのか、75%未満の場合に除外するのか、曖昧となっている

以下のように改定を実施。【現在】「直近5日間の各日のDR実施時間帯の需要量の平均値と、直近5日間を通じたDR実施時間帯の需要量の総平均値を比較して、総平均値の25%よりも需要量が少ない日があった場合には、当該日」【改定案】「DR実施時間帯における需要量の平均値が、直近5日間のDR実施時間帯における需要量の総平均値の25%未満の場合、当該日」

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当日補正により、ベースラインがマイナスとなる場合のベースラインの設定方法

⚫ 当日補正によりベースラインがマイナスとなる事例が存在している。

⚫ この場合については、マイナスとなる時間帯を原則ゼロに補正することを検討。

出所)第3回制御量評価WG 「事務局提出資料」資源エネルギー庁

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標準ベースライン算出対象日において最小需要日が複数ある場合の取扱い

⚫ 標準ベースラインの算出対象日となるDR実施日の直近5日間のうち、DR実施時間帯の平均需要量が最小となる日が複数ある場合、いずれの日を平均需要量の多い4日間として採用するかについては、明確に規定されていない。

⚫ この対応については、DR発動日に近い日を採用することを検討。

日 コマ1 コマ2 コマ3全コマの

平均需要量

N-1 120 120 60 100

N-2 160 100 100 120

N-3 100 130 100 110

N-4 60 100 80 80

N-5 80 80 80 80

例:DR実施日(N日)直近5日間のDR実施時間帯の平均需要量のうち、N-4日とN-5日の平均需要量がいずれも最小となる場合

平均需要量の多い4日間として

・N-4日を採用した場合コマ1の平均値:110 kW

・N-5日を採用した場合コマ1の平均値:115 kW

いずれの日も平均需要量が最小

このような場合は直近日であるN-4日を採用する

(kW)

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ベースライン算出時おける小数点以下の取扱い

⚫ ベースライン算出時、小数点以下の計算となる場合が想定されるが、その際の取扱いについて明確に規定されていない。

⚫ この対応については、計算の過程においては小数点以下まで正確に行い、最終的なベースライン値については整数となるよう小数点第一位を四捨五入することを検討。

日 コマ1 コマ2 コマ3全コマの

平均需要量

N-1 120 120 60 100

N-2 160 100 100 120

N-3 100 130 100 110

N-4 60 100 80 80

N-5 80 81 80 80.333・・・

計算例

小数点以下まで比べ、N-5日を採用する

(kW)

ベースライン計算結果

115107.75→108

85 - 小数点第一位を四捨五入する

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ベースラインの設定に利用する日の除外日の取扱い

⚫ ベースライン設定の除外日について、現状の表現では判断が曖昧になる可能性があるため、表現を明確にすべく以下のように改定を行うことを検討。

(改定前)直近5日間の各日のDR実施時間帯の需要量の平均値と、直近5日間を通じたDR実施時間帯の需要量の総平均値を比較して、総平均値の25%よりも需要量が少ない日があった場合には、当該日→ 総平均値の25%未満の場合に除外するのか、75%未満の場合に除外するのか、判断しにくい表現となっていたため、25%

未満の場合と明確に示すために以下のように改訂を行ってはどうか。(改定後)DR実施時間帯における需要量の平均値が、直近5日間のDR実施時間帯における需要量の総平均値の25%未満の場合、当該日

平均20 kW

平均130 kW

平均115 kW

7日前 6日前 5日前

除外日を除く直近5日間の総平均値100 kW

総平均値の25%(25kW)未満のため除外する

DR実施日

8日前

日曜日土曜日

4日前 3日前

平均110 kW

平均125 kW

DR実施日2日前 1日前

平均80 kW

9日前

平均20 kW

平均130 kW

平均115 kW

7日前 6日前 5日前

除外日を除く直近5日間の総平均値112 kW

DR実施日

8日前

日曜日土曜日

4日前 3日前

平均110 kW

平均125 kW

DR実施日2日前 1日前

平均80 kW

9日前

第2章 第3節 2ー2(1)① ベースライン設定の除外日について

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ベースラインの設定方法 –メリットとデメリット-

⚫ それぞれにメリット・デメリットがあるが、調整力に求められる「今の需給状態からの正確な変化」や「指令への追従性」を評価する上で適した基準は、という視点で考えていくべきではないか。

事前・事後計測

ベースライン

• DRの実指令がくる直前の電力負荷をベースラインとするため、その時点からの変化量を正確に評価できる。

• 調整力の商品の継続時間(例:三次調整力②では3時間)によっては、時間内に制御対象機器以外の負荷変動があり、その分をベースラインに考慮することができない。

直後負荷想定

ベースライン

• 制御対象機器以外の負荷変動も織り込むことが可能である。

• 都度、現時点の電力消費量をもとに直後負荷を想定するため、その時点からの変化量を正確に評価できる。

• 想定した直後負荷の確からしさの検証、想定する事業者の信頼性、モラル等が求められ、不正行為を防止することが困難な可能性がある。

• 負荷の常時把握が必要となる。

統計的

ベースライン

• 電力使用量がパターン化している需要家であれば、制御対象機器以外の負荷変動もベースラインに織り込むことができる。

• DR発動日を除いた過去数日間の平均をとることになるが、日常的に発動される調整力においてはDR非発動日まで遡ると当該日から離れた季節が異なる日のデータでもベースライン算定に使用する可能性がある。

• 電力使用量がパターン化していない需要家の場合は実態と異なるベースラインが形成されてしまう。

メリット デメリット

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ベースラインの設定方法①~③:事前・事後計測ベースライン

⚫ 事前・事後計測ベースラインは、DR実施日当日のDR指令直前の時間帯の負荷データ、及び/または、DR実施後のある時間の負荷データを用いてベースラインを推計する方法である。

⚫ 主なベースラインの設定方法として、①事前の負荷データの平均値、②事前及び事後の負荷データの平均値、③事前及び事後の負荷データのうち低い値の3パターンがある。

⚫ 諸外国の三次調整力相当の調整力においては、イギリス、フランス、ベルギー、アメリカが①を採用。

事前・事後計測ベースラインの考え方

負荷

①事前の負荷データの平均値に基づくベースライン

制御時間中の負荷

①事前の負荷データの平均値に基づく制御量

DR指令 商品時間開始 商品時間終了

③事前及び事後の負荷データのうち低い値に基づくベースライン

応動時間 継続時間

②事前及び事後の負荷データの平均値に基づく制御量

②事前及び事後の負荷データの平均値に基づくベースライン

③事前及び事後の負荷データのうち低い値に基づく制御量

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応動時間 継続時間

ベースラインの設定方法④:直後負荷想定ベースライン

⚫ 直後負荷想定ベースラインは、需要家負荷の挙動や機器の稼働計画等を把握している事業者が、DRの制御時間中にリアルタイムで直後(例えば数分後)の負荷を予想し、それをベースラインとする方法である。

⚫ 諸外国市場の三次調整力相当の調整力においては、ドイツが本方法を採用。

商品時間開始 商品時間終了

④ 直後想定ベースラインの考え方

負荷

直後想定ベースライン

制御時間中の負荷

直後想定による制御量

指令

応動時間

○分 ○分 ○分 ○分

直後想定による制御量直後想定に

よる制御量直後想定による制御量

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ベースラインの設定方法⑤:統計的ベースライン

⚫ 統計的ベースラインは、個々の需要家の過去の負荷データを用いて、ベースラインを推計する方法であり、算出対象日・当日調整方法等により多くの種類が存在。

⚫ High X of Y(平均化法)が最も広く一般的に用いられている。

⚫ 諸外国市場の三次調整力相当の調整力においては、ベルギーが①と併用する形で本方法を採用している。

⑤ 統計的ベースラインの考え方

負荷

制御時間中の負荷

High X of Yにおけるベースライン

High X of Yによる制御量

指令 商品時間開始

応動時間 継続時間

商品時間終了

30分 30分 30分

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≪参考≫アメリカにおけるベースラインの採用状況

⚫ アメリカISO/RTOにおける各市場の商品で活用されるベースラインの考え方としては、アンシラリーである予備力(Reserve)や周波数制御(Regulation)は「事前事後計測」が中心。

PJM

• 統計的推計負荷

• 最大基準負荷

• 発電機計測

• 統計的推計負荷

• 事前・事後計測

• 発電機計測

• 事前・事後計測 • 事前・事後計測

ERCOT• 統計的推計負荷

• 最大基準負荷- • 事前・事後計測 • 事前・事後計測

MISO

• 統計的推計負荷

• 最大基準負荷

• 事前・事後計測

• 発電機計測

• 統計的推計負荷

• 最大基準負荷

• 事前・事後計測

• 発電機計測

• 事前・事後計測 • 事前・事後計測

NYISO

• 統計的推計負荷

• 最大基準負荷

• 発電機計測

• 統計的推計負荷

• 発電機計測• 事前・事後計測 • 事前・事後計測

ISO-NE• 統計的推計負荷

• 発電機計測- • 最大基準負荷 -

CAISO - • 統計的推計負荷

• 統計的推計負荷

• 事前・事後計測

• 発電機計測

出所)DNV KEMA, Development of Demand Response Mechanism Baseline Consumption Methodology – Phase 1 Results (2013) 等より三菱総研作成

容量Capacity

エネルギーEnergy

予備力Reserve

周波数制御Regulation

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3. その他

• ネガワット調整金の考え方の再整理

• 第三者仲介スキーム

• DRを実施するアグリゲーターから供給元小売電気事業者への情報共有

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ネガワット調整金に関する過去の議論

⚫ ネガワット調整金の必要性については、小売の売上補填の観点から「売上補填金」として議論がなされてきたが、その後、「ネガワット調整金」と名称変更され議論がなされた。

出所)第11回制度設計WG資料「同時同量制度・インバランス制度に係る詳細制度設計について」資源エネルギー庁

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ネガワット調整金への名称変更の経緯①

⚫ 電力ガス取引監視等委員会 第7回制度設計専門会合(平成28年5月25日)にて、「売上補填金」の名称について再考すべきとの複数指摘あり。

◼ 指摘の趣旨としては、収益も含め補填することへの違和感、需要家の努力も含めた整理・付加価値配分の必要性、売上補填をしていない海外事例を踏まえた補填金要否の議論の必要性。

出所)第8回制度設計専門会合資料「ネガワット取引について」電力・ガス取引監視等委員会

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ネガワット調整金への名称変更の経緯②

⚫ 以上の踏まえ、第8回会合において、「売上補填金」の名称を「ネガワット調整金」に変更。趣旨は「売上の減少をそのまま補填することではなく、(中略)費用と便益の不一致を調整すること」。

出所)第8回制度設計専門会合資料「ネガワット取引について」電力・ガス取引監視等委員会

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調整金算定の検討経緯

⚫ ネガワット調整金の算定方法についてはERAB検討会にて議論される位置づけ。

⚫ 第1回ネガワットWGの資料では、「ネガワット取引の経済性等に関する検討会」の第3回資料において、ネガワット調整金の計算方法として、現行のa~dが例示された。

(出所)第1回ネガワットWG資料「事務局提出資料」資源エネルギー庁(出所)電力基本政策小委員会(第5回)資料7(2016年3月30日)

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類型2の取引スキーム

⚫ DRの指令がGC前の電源I’と、GC後の電源I-b以降と商品設計で分類が可能であるものの、アグリゲーターから需要家に紐づく小売事業者に対して需要抑制量を通知しないこともあり、各主体の需要調達計画を変更しないことから、取引フローは下図のとおり整理可能。

① アグリゲーターは、DRを調整力として事前に応札(現在は調整力公募であり、需給調整市場創設後は市場調達へ移行)。

② 送配電事業者は、各BGから提出される需給計画を踏まえ、実需給断面の前にDRの発動をアグリゲーターに指令*。

③ 実需給断面において、需要家はDRを実施。

④ 送配電事業者からアグリゲーターに対し、調整力の調達対象期間終了後に、kW費用及びkWh費用が精算される。アグリゲーターから小売事業者に対し、DR実施の都度調整金が支払われるスキームがあり、詳細については引き続き検討課題となっている。

* DR指令のタイミングはDRが該当する調整力の商品区分によって異なるが、基本的にはDR対象需要家に紐づくBGの需要調達計画の変更はない。

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類型2の取引イメージ

⚫ 調整力(電源Ⅰ‘を想定)を計画値同時同量の観点から整理したDRの取引イメージは以下の通り。

アグリゲーター

小売X

送配電事業者(調達主体)

DR調達前 DR調達 実績

需要計画

需要計画

供給計画

調達計画

需要計画

供給計画

削減計画

DR実施

需要計画

調達計画

需要実績

供給実績

需要実績

調達実績

供給計画に対し需要計画が過剰(不足インバランスを予見)

過剰分をDRで抑制する計画

削減実績

抑制計画

DRを活用して需給をバランス

その他小売 需要計画

調達計画

需要計画

調達計画

需要実績

調達実績

インバランス

逼迫予測

補填した扱い

集約 集約

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類型Ⅰ-②の取引スキーム

① アグリゲーターは送配電事業者にDR実施有無に関わらず、都度抑制計画を提出。

② 小売事業者Aは、スポット市場約定後に調達量が不足し、時間前市場の高値が予見される際にネガワット(DR)を調達。

③ アグリゲーターは、需要家のDR可否、ベースライン策定(実需給2時間前)状況を踏まえ、需要家に紐づく小売事業者XにDRの実施を通知。

④ 小売事業者A、アグリゲーター、小売事業者Xの3者は、 DR発動計画に基づき、実需給1時間前までに各種計画の変更を広域機関に提出。

⑤ 需給実績及びインバランス確定後に、各主体が調整金を含めた支払いを実施。

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類型Ⅰ-②の取引イメージ

⚫ 計画値同時同量の観点から整理したDRの取引イメージは以下の通り。

◼ アグリゲーターを介し、供給元小売電気事業者の供給力が実質的に転売されていることと同義。

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電源Ⅰ‘発動時のネガワット調整金の金額推計

⚫ ネガワット調整金の水準について、2017年度に電源Ⅰ‘が発動したタイミングにおける、ガイドラインの指標(b)、(c)、(d)及び参考値としてインバランス価格を調査した。

⚫ また、調整金の価格として現在広く採用されている(b+d)/2についても、上記の(b)及び(d)より算出した。

調整金指標 算出方法

(b)電力料金単価(参考値)– 託送料金

電源Ⅰ‘が発動したエリア内の一般電気事業者が公表する料金メニュー(高圧以上)及び託送料金単価を参照。それぞれの電力量料金単価の差分について、単純平均した値を採用。

(c)(一社)日本卸電力取引所の平均価格

電源Ⅰ‘が発動した日の前日5日間のエリア価格(実績値)の単純平均値を算出。また、前年度のエリア価格(実績値)の単純平均値も算出。

(d)(一社)日本卸電力取引所のDR実施時間のスポット市場価格

電源Ⅰ‘が発動した時間帯のエリア価格(実績値)の単純平均値を算出。

インバランス価格 電源Ⅰ‘が発動した時間帯のエリアのインバランス価格(実績値)の単純平均値を算出。

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東京電力エリアにおける電源Ⅰ’発動時の調整金関連指標(1/2)

⚫ 平成29年度に東京電力エリアで発動した電源Ⅰ’の発動タイミングにおけるネガワット調整金と各指標の水準は、概ねb<d<参考値としてのインバランス価格、となった。

⚫ DRが発動されるタイミングでは、売上価格(例えばb)よりも調達価格(例えばd)の方が高い傾向となっている。

電源Ⅰ‘発動タイミングb.参考値

(円/kWh)d.スポット価格(円/kWh)

参考インバラ(円/kWh)

(b+d)/2(円/kWh)

2018/1/22 17:00 ~ 20:00 13.93 21.84 23.57 17.89

2018/1/23 17:00 ~ 20:00 13.93 13.23 14.95 13.58

2018/1/24 9:00 ~ 12:00 13.93 18.31 19.33 16.12

2018/1/24 17:00 ~ 20:00 13.93 30.19 56.02 22.06

2018/1/25 9:00 ~ 12:00 13.93 17.58 28.97 15.76

2018/1/25 17:00 ~ 20:00 13.93 30.54 41.83 22.24

2018/1/26 9:00 ~ 12:00 13.93 16.41 19.35 15.17

2018/1/26 17:00 ~ 20:00 13.93 30.95 42.09 22.44

2018/2/1 9:00 ~ 12:00 13.93 20.00 29.30 16.96

2018/2/1 17:00 ~ 20:00 13.93 25.82 26.29 19.88

2018/2/2 9:00 ~ 12:00 13.93 30.00 24.72 21.96

2018/2/2 17:00 ~ 20:00 13.93 33.18 29.03 23.55

2018/2/3 17:00 ~ 20:00 13.93 16.23 15.89 15.08

平均 13.93 23.41 (9.32)

28.56 18.67

b.参考値:東京電力EPの料金メニュー(高圧以上、季時別料金メニュー含む)にある電力量料金単価から託送料金を引いた各値の単純平均値d.スポット価格:電源Ⅰ‘が発動した3時間(6コマ)のエリア価格の単純平均値、( )内の値は前年度のエリア価格の単純平均値参考インバラ:電源Ⅰ‘が発動した3時間(6コマ)の東京電力エリアのインバランス価格の単純平均値(b+d)/2:上述のb及びdから計算した値

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東京電力エリアにおける電源Ⅰ’発動時の調整金関連指標(2/2)

⚫ 平成30年度に東京電力エリアで発動した電源Ⅰ’の発動タイミングにおけるネガワット調整金と各指標の水準は、概ね b< 参考値としてのインバランス価格 <d となった。

電源Ⅰ‘発動タイミングb.参考値

(円/kWh)d.スポット価格(円/kWh)

参考インバラ(円/kWh)

(b+d)/2(円/kWh)

2018/8/1 15:00 ~ 18:00 15.17 32.72 17.06 23.94

2018/8/2 15:00 ~ 18:00 15.17 47.10 27.95 31.13

2018/8/22 15:00 ~ 18:00 15.17 18.20 23.65 16.68

2018/8/27 14:00 ~ 17:00 15.28 46.88 26.92 31.08

平均 15.20 36.22(9.78)

23.89 25.71

b.参考値:東京電力EPの料金メニュー(高圧以上、季時別料金メニュー含む)にある電力量料金単価から託送料金を引いた各値の単純平均値d.スポット価格:電源Ⅰ‘が発動した3時間(6コマ)のエリア価格の単純平均値、( )内の値は前年度のエリア価格の単純平均値参考インバラ:電源Ⅰ‘が発動した3時間(6コマ)の東京電力エリアのインバランス価格の単純平均値(b+d)/2:上述のb及びdから計算した値

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関西電力エリアにおける電源Ⅰ’発動時の調整金関連指標

⚫ 平成30年度に関西電力エリアで発動した電源Ⅰ’の発動タイミングにおけるネガワット調整金と各指標の水準は、b<d<参考値としてのインバランス価格 となった。

電源Ⅰ‘発動タイミングb.参考値

(円/kWh)d.スポット価格(円/kWh)

参考インバラ(円/kWh)

(b+d)/2(円/kWh)

2018/7/17 15:00 ~ 18:00 12.21 20.79 34.50 16.50

2018/7/18 15:00 ~ 18:00 12.21 24.44 38.29 18.33

平均 12.21 22.62 (9.81)

36.39 17.41

b.参考値:関西電力の料金メニュー(高圧以上、TOUメニュー含む)にある電力量料金単価から託送料金を引いた各値の単純平均値d.スポット価格:電源Ⅰ‘が発動した3時間(6コマ)のエリア価格の単純平均値、( )内の値は前年度のエリア価格の単純平均値参考インバラ:電源Ⅰ‘が発動した3時間(6コマ)の関西電力エリアのインバランス価格の単純平均値(b+d)/2:上述のb及びdから計算した値

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九州電力エリアにおける電源Ⅰ’発動時の調整金関連指標

⚫ 平成29年度に九州電力エリアで発動した電源Ⅰ’の発動タイミングにおけるネガワット調整金と各指標の水準は、b<d<参考値としてのインバランス価格 となった。

電源Ⅰ‘発動タイミングb.参考値

(円/kWh)d.スポット価格(円/kWh)

参考インバラ(円/kWh)

(b+d)/2(円/kWh)

2017/9/7 10:30 ~ 14:30 11.05 11.66 13.66 11.35

2017/9/7 13:30 ~ 17:00 11.47 12.19 12.86 11.83

平均 11.15 11.91(8.21)

13.49 11.53

b.参考値:九州電力の料金メニュー(高圧以上、ピーク時間料金考慮)にある電力量料金単価から託送料金を引いた各値の単純平均値d.スポット価格:電源Ⅰ‘が発動した3時間(6コマ)のエリア価格の単純平均値、( )内の値は前年度のエリア価格の単純平均値参考インバラ:電源Ⅰ‘が発動した3時間(6コマ)の九州電力エリアのインバランス価格の単純平均値(b+d)/2:上述のb及びdから計算した値

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DR発動分電力のスポット市場への売却可否について

⚫ 調整力としてDRを活用した場合の余剰インバランスは対象外。つまり需要抑制がなかったものとしてインバランスを評価していることと同義。

⚫ 他方、小売XがDRの通知を踏まえ、事前にDR発動分の電力をスポット市場へ売却し、需要・調達・販売計画をそれぞれ変更した場合、小売Xに不足インバランスが発生する可能性。

⚫ 不足インバランスの発生を考慮すると、小売XがDR発動分の電力をスポット市場へ売却することは考えにくい。

小売Xの計画/実績 DR未発動DR発動(類型2)<計画変更なし>

DR発動(類型2)<計画変更あり>

DR発動(類型1②)<計画変更あり>

① 販売・調達計画(調達計画 - 販売計画)

100 10080

(100-20)80

(100-20)

② 需要計画 100 100 80 80

③ ベースライン 100 100 100 100

④ 需要実績(DR実施後) 100 80 80 80

⑤ ネガワット実績(③ - ④) 0 20 20 20

⑥ 販売・調達実績 100 10080

(100-20)80

(100-20)

⑦ インバランス 00

(⑥ - (④ + ⑤))▲20

(⑥ - (④ + ⑤))0

(⑥ - ④)

インバランス評価にあたっては、需要抑制がなかったものとして、「需要実績+抑制分」と「調達販売実績」を比較

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第三者仲介スキームに関する検討状況

⚫ 第7回電力基本政策小委(2016年7月1日)において、「ネガワット(節電)取引市場の創設に向けて(中間取りまとめ)」が公表され、以下の方針が定められた。

◼ 2017年4月からネガワット取引(直接協議スキーム)を開始できるよう、今後、市場設計に係るルール及びシステムの整備や、需要家も含む関係者との協議・契約等を本格化していく。

◼ 第三者仲介スキームや確定数量契約スキームについては、電力・ガス取引監視等委員会の制度設計専門会合にて2016年5月から議論を行ってきており、残された論点について、引き続き検討を行っていく。

⚫ 第9回制度設計専門会合(2016年7月28日)においては、各取引スキーム(直接協議スキームも含む)について、電力広域的運営推進機関、一般送配電事業者、小売電気事業者、ネガワット事業者等を構成メンバーとする実務者会合を組織し、引き続き検討するとされた。

⚫ それを受け、OCCTOにおいて「ネガワット取引に関する実務者会議」が組成され、検討されてきたが、第4回会合(2016年10月27日)において、以下のとおり決定された。

◼ 「確定数量契約スキーム」と「第三者仲介スキーム」は、「直接協議スキーム」の実働状況を通じて類型1②の取引に関する知見を蓄えたのちに検討を始める。

⚫ その後、検討の進捗は見られていない。

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第7回制度設計専門会合における議論

⚫ 事務局より、確定数量契約スキーム、直接協議スキーム、第三者仲介スキームの紹介及びそれぞれのメリットデメリットの提示があった。

出所)第7回制度設計専門会合資料「ネガワット取引について」電力ガス取引監視等委員会

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第8回制度設計専門会合における議論

⚫ 第三者仲介スキームについて議論があった。論点は以下の通り。

◼ ①需要抑制に関する情報のやり取りについて(情報の仲介者、対象とする情報)

◼ ②「ネガワット調整金」について(支払方法、支払の仲介者、水準)

◼ ③インバランスについて(小売とネガワット事業者のインバランス切り分け、需要計画とベースラインの差分の扱い)

出所)第8回制度設計専門会合資料「ネガワット取引について」電力・ガス取引監視等委員会

委員会における主な意見は以下の通り。慎重論が続出した。

第三者を介することで相手が見えなくなることの不安(与信など)。実際にかかる全体的な業務フローを整理し

ていく必要(SBパワー)

各事業者と仲介者の具体的な契約内容の精査、システム対応が必要(関電)

情報・金銭の仲介や計画修正等の実務を誰が行うか押し付け合いの状態。よく話し合いが必要。合意が取れ

ないと前に進まない(安藤委員、岩船委員、圓尾委員、大橋委員)

2017年4月に間に合わせるのはスケジュールを考えると厳しい。また、本件で裨益する主体はネガワット事業者な

ので、彼らのニーズを踏まえた検討が妥当。時間をかけて行うことを許容(林委員、大橋委員)

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OCCTO・小売電気事業者間の金銭取引に関するヒアリング結果

⚫ 現状では、OCCTOと小売電気事業者の間での金銭取引は発生していない。

【ヒアリング結果(概要)】⚫ 小売電気事業者2社より回答

⚫ 小売電気事業者がOCCTOと定期的に金銭のやり取りをする口座を既に設けているか。

⚫ 調整金の仲介をOCCTOが請け負うスキームとなった場合に、金銭のやり取りをする口座の開設以外に追加される業務フローがあるか。

口座の有無 無し 2件

追加される業務フロー

① PPSとして

• 調整金申し込み手続き代行

• 発動時の連絡(OCCTO→PPS)

• 発動後調整金算定(双方で突き合わせ)

• 調整金の金額確定・連絡(OCCTO→PPS)

• 請求書受領

• 支払い

② アグリゲーターとして

• 調整金申し込み手続き

• 発動時の連絡受領(アグリゲーター→OCCTO)

• 発動後調整金算定 (双方で突き合わせ)

• 調整金の金額確定・連絡

• 請求書発行

• 支払証明発行

(質問項目)

(回答)

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旧一般電気事業者の販売費単価にかかる分析結果

⚫ 一般電気事業者の総原価(営業費目)のうち、販売費用を販売電力量で除した販売費単価を計算すると0.47円/kWhから1.02円/kWhの水準となる。

旧一般電気事業者 対象期間販売費

(百万円)販売電力量(百万kWh)

販売費単価(円/kWh)

北海道電力 平成29年度 25,231 24,806 1.02

東北電力 平成29年度 48,669 72,003 0.68

東京電力 平成29年度 155,918 247,075 0.63

中部電力 平成27年度 59,798 121,431 0.49

北陸電力 平成29年度 13,514 28,663 0.47

関西電力 平成29年度 77,181 115,244 0.67

中国電力 平成29年度 33,835 55,432 0.61

四国電力 平成29年度 22,005 25,120 0.88

九州電力 平成29年度 46,547 76,775 0.61

沖縄電力 平成29年度 5,719 7,761 0.74

出所)旧一般電気事業者の有価証券報告書を基に三菱総研作成。東京電力については分社化前のデータを参照。販売費(東京電力の場合):給与手当、厚生費、委託検診費、委託集金費、雑給、消耗品費、補償費、委託費、普及開発関係費、諸費、電気料貸倒損、諸税の合計

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個別原価計算について

⚫ 有価証券報告書に記載されている販売費については、一般管理費が計上されていない一方、送電等関連コストが含まれている。

⚫ ただし、これらの影響を排除した一般販売費及び非NW給電費については、公開情報がない。

有価証券報告書に記載あり 有価証券報告書に記載なし

(出所)第7回制度設計「小売全面自由化に係る詳細制度設計について」資源エネルギー庁

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スポット市場及び時間前市場の価格水準

⚫ JEPXのスポット市場(システムプライス)及び時間前市場の最低価格はそれぞれ、4.51円/kWh及び0.50円/kWhとなる。

市場平均価格

(円/kWh)最低価格

(円/kWh)最高価格

(円/kWh)

スポット市場(システムプライス)

9.72 4.51 50.00

時間前市場 9.98 0.50 73.13

平成29年度JEPX取引結果

(出所)JEPXの平成29年度取引結果(スポット市場、時間前市場)を基に三菱総研作成

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アグリゲーターから小売XへのDR発動通知の考え方

⚫ 現行のERABガイドラインには、DR発動に関する供給元小売電気事業者に対する情報共有に関する規定がない。

⚫ 供給元小売電気事業者の中には需要量を確認しつつ、各コマの調達計画を随時変更している事業者が存在する。

⚫ このような事業者の場合、DR発動の事実を把握できないと、DR発動による需要減を実際に需要家が需要量を減らしたものと認識し、調達した電力を売却し、DR実施時間経過後に通常需要に戻った際、不足インバランスを引き起こし、供給元小売電気事業者の事業に悪影響を及ぼす可能性がある。

供給 需要

DR実施時間

供給 需要 供給 需要

DR DR DR

需要供給

修正

需要供給

修正

DR実施時間経過後

インバランス対象外 インバランス対象

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類型2(電源Ⅰ‘等)の取引に関するヒアリング結果

⚫ 小売電気事業者へのDR実施の事前通知の有無はアグリゲーターによって異なる。

【ヒアリング結果(概要)】⚫ 実ビジネス、実証事業を行う4社より回答

⚫ 小売電気事業者にDR実施について事前に通知をしているか。

⚫ 通知をしている場合、どのような方法で通知をしているか。通知のタイミングはいつか。

⚫ 通知をしていない場合、どのような方法で通知することが考えられるか。事業実施に及ぼす影響(負担)はどの程度か。

事前通知の有無 有 2件 / 無 1件 / 小売電気事業者によって有無が異なる 1件

通知手段 メール 4件 / 電話 3件

通知のタイミング DR発動指令後速やかに 3件

事業実施に

及ぼす影響(負担)

⚫ 発動指令の通知にかかる人的作業コスト増加

例)連絡先の確認・CRM データベースへの追加・通知システム設定

⚫ 発動直前~直後の需要家対応に忙しいタイミングで、小売電気事業者からの問い合わせに対応することは、実運用に支障が出る可能性が高い。

(質問項目)

(回答)

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Ⅲ.実証結果の分析

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平成30年度VPP実証 共通実証メニュー

⚫ 以下の4つのメニューについて、平成30年8月~平成31年2月までの期間で実証を実施した。

項目二次調整力②相当

(下げDR)三次調整力②(上げDR)

三次調整力②(下げDR)

三次調整力①相当(下げDR)

指令値変更の有無 なし なし 指令値変更あり:30分単位 指令値変更あり:15分単位

応動時間 5分 45分 45分 15分

持続時間 30分 4時間 4時間 4時間

ベースライン

① High4of 5(当日調整あり) ② 事前計測

① High4of 5(当日調整あり) ③ Low4of 5(当日調整あり)

① High4of 5(当日調整あり) ② 事前計測

① High4of 5(当日調整あり) ② 事前計測

※ ①、②は「エネルギー・リソース・アグリゲーション・ビジネスに関するガイドライン」における標準ベースライン※ ③は「エネルギー・リソース・アグリゲーション・ビジネスに関するガイドライン」に記載がないが、妥当性の検証用として実施する

実証対象地域東京電力、関西電力、九州電力管内

※制御リソースはエリア間を跨がないこととする

制御量計測 Bルートの1分データ(CTセンサー等による計測でも可)

最低容量 可能な限り1,000kW以上を目指す

実施期間 8月6日~9月28日 11月5日~11月30日10月1日~11月2日12月3日~12月28日

1月7日~2月1日

指令の発出回数

週1回(合計約8回) 週1回(合計約4回) 週1回(合計約9回) 週1回(合計約4回)

※実証参加日は、実施予定の全てのエリアにて制御を行うこと

指令への応答 DRASからの制御指令に対して応答する(実証に参加する)場合は、アグリゲーションコーディネーターのVENからOPT-IN信号を返すこと。

実証参加回数 6回以上 3回以上 6回以上 3回以上

制御可能量の報告所定の期日までに、所定の方式で制御可能量を報告すること。※共通実証種別毎、エリア毎、30分単位(1日48コマ)で報告

制御量の報告のタイミング

制御開始5分前から、制御終了5分後まで可能な限り1分間隔でDRASへ報告すること。

成功判定基準±10%以内※1分計測値(kWの平均値)の±10%内への30分(30コマ)滞在率で評価※すべての1分計測値が±10%以内に入っている必要はない

参加対象 全事業者九州電力管内にリソースを持つ事業者

全事業者

出所)第9回エネルギー・リソース・アグリゲーション・ビジネス検討会「2018年度需要家側エネルギーリソースを活用したバーチャルパワープラント構築実証事業費補助金」(一社)環境共創イニシアチブ

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平成30年度VPP実証 結果概要 -達成率を軸としたまとめ-

⚫ 全6チームにおいて、需給調整市場の商品を模擬した要件での指令発動に対して、自家発、産業用蓄電池、家庭用蓄電池、空調、照明、蓄熱槽、コージェネレーションシステム等、様々なリソースを活用して制御を実施。

⚫ 全実証を通して、最大で82%の滞在率を達成した。

各メニューの滞在率注1が最高となった回の実証結果

滞在率注1 77 %

最大制御量注2 372 kW

制御報告時間注3 120 秒

1. 二次調整力②相当(下げDR)(応動時間5分、持続時間30分) 3. 三次調整力②(下げDR)(応動時間45分、持続時間4時間)

滞在率注1 70 %

最大制御量注2 1,222 kW

制御報告時間注3 61 秒

⚫ 今年度実証では、成功判定基準を指令値の±10%と設定し、 1分値の±10%内への滞在率で評価を行った。

⚫ 全6チームのうち、各メニューで最も滞在率が高かったAC事業者の結果は以下のとおり。

出所)各社実証結果報告を基に三菱総研作成

滞在率注1 50 %

最大制御量注2 -10 kW

制御報告時間注3 70 秒

2. 三次調整力②(上げDR)(応動時間45分、持続時間4時間) 4. 三次調整力①(下げDR)(応動時間15分、持続時間4時間)

滞在率注1 82 %

最大制御量注2 1,138 kW

制御報告時間注3 61 秒

注1 全制御時間のうち、1分単位で成功したコマの割合。例えば、制御時間4時間(240分)のうち、100分成功したとすると、100 / 240 = 42% となる。 注2 全制御時間のうち、30分単位の制御量平均値の最大値を記載。 注3 全制御時間における1分単位の制御報告時間の平均値を記載。

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平成30年度VPP実証 結果概要 -制御量を軸としたまとめ-

⚫ 全実証を通して、最大で約24MWの制御量を達成した。

◼ 制御量は大きいが、滞在率や制御報告時間の結果が良好とは言えない。

各メニューの制御量注2が最大となった回の実証結果

滞在率注1 43 %

最大制御量注2 1,468 kW

制御報告時間注3 64 秒

1. 二次調整力②相当(下げDR)(応動時間5分、持続時間30分) 3. 三次調整力②(下げDR)(応動時間45分、持続時間4時間)

滞在率注1 0 %

最大制御量注2 24,773 kW

制御報告時間注3 121 秒

⚫ 全6チームのうち、各メニューで最も制御量が大きかったAC事業者の結果は以下のとおり。

出所)各社実証結果報告を基に三菱総研作成

滞在率注1 3 %

最大制御量注2 -2,098 kW

制御報告時間注3 151 秒

2. 三次調整力②(上げDR)(応動時間45分、持続時間4時間) 4. 三次調整力①(下げDR)(応動時間15分、持続時間4時間)

滞在率注1 0 %

最大制御量注2 3,455 kW

制御報告時間注3 120 秒

注1 全制御時間のうち、1分単位で成功したコマの割合。例えば、制御時間4時間(240分)のうち、100分成功したとすると、100 / 240 = 42% となる。 注2 全制御時間のうち、30分単位の制御量平均値の最大値を記載。 注3 全制御時間における1分単位の制御報告時間の平均値を記載。

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平成30年度VPP実証 結果概要 -制御報告時間を軸としたまとめ-

⚫ 全実証を通して、最短で60秒の制御報告時間を達成した。

◼ 報告時間は各回であまり変化していなかったが、RA数が多い場合に、最も制御報告時間が遅いRAに合わせて制御報告時間が遅くなるような現象が見られた。

各メニューの制御報告時間注3が最短注4となった回の実証結果

滞在率注1 47 %

最大制御量注2 790 kW

制御報告時間注3 64 秒

1. 二次調整力②相当(下げDR)(応動時間5分、持続時間30分) 3. 三次調整力②(下げDR)(応動時間45分、持続時間4時間)

滞在率注1 26 %

最大制御量注2 654 kW

制御報告時間注3 60 秒

⚫ 全6チームのうち、各メニューで最も制御報告時間が短かったAC事業者の結果は以下のとおり。

出所)各社実証結果報告を基に三菱総研作成

滞在率注1 26 %

最大制御量注2 -1,247 kW

制御報告時間注3 65 秒

2. 三次調整力②(上げDR)(応動時間45分、持続時間4時間) 4. 三次調整力①(下げDR)(応動時間15分、持続時間4時間)

滞在率注1 82 %

最大制御量注2 1,138 kW

制御報告時間注3 61 秒

注1 全制御時間のうち、1分単位で成功したコマの割合。例えば、制御時間4時間(240分)のうち、100分成功したとすると、100 / 240 = 42% となる。 注2 全制御時間のうち、30分単位の制御量平均値の最大値を記載。 注3 全制御時間における1分単位の制御報告時間の平均値を記載。 注4 最短となる回が複数ある場合は、滞在率が最高である回を抽出した。

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実証から得られた課題 -滞在率の向上-

⚫ 今年度実証では、成功判定基準を指令値の±10%と設定し、 1分値の±10%内への滞在率で評価を行い、最大で82%の滞在率を達成した。一方で、全AC事業者の実績を見ると、多くの回で滞在率が10%に到達しないような結果となった。

⚫ 滞在率が低くなる原因とその対応策、今後の取り組み案について、以下のように整理。

出所)各社実証結果報告を基に三菱総研作成

ベースラインとなかりせば需要が乖離する

滞在率が低くなる原因

リソース

供出可能量が不足する(需要負荷不足、蓄電池の蓄電量不足又は空き容量不足)

需要規模の大きいリソースが制御精度を左右する

1分単位のkW制御が可能なシステムの開発ができていない

システム

指令値が小さいと小さな負荷変動でも±10%を超える

指令値が0kWの場合はベースラインと一致しない限り失敗となる

アローワンス

計測器

需要規模の大きい需要家の計測器の分解能が大きすぎる

計測器の単位がMWhで小数点以下の値が切り捨てとなる

ベースライン

滞在率を向上させるための対応策 今後の取り組み案

需要変動に応じたリアルタイムでのフィードバック制御システムの開発(リソース間・RA間での補完的なフィードバック制御も含む)

• 各AC・RA事業者でのフィードバック制御システムの開発

• 1分単位等でのkW制御の要否について商品別に検討が必要

需要変動が大きいリソース(低圧リソース等)のベースラインの設定方法

• 各AC・RA事業者での適切なベースライン設定方法の検証

需要やリソース余力等の予測技術の向上• 指令・発動に対する予測と制御

量の予測の双方の検討

統計的手法以外でのベースラインの活用• 三次調整力②で検討されている

事前申告制の活用並びにその精度向上を実証を通じて検証

幅を持たせたアローワンスの設定• 指令値ではなく供出可能量を基

準としたアローワンスの可能性検討

計測器精度の向上• 計測器精度の要件• 取替・追加設置に伴う費用負担

等の整理

リソース端における特定計量器以外での計測の可否

• 計測地点、メーター要件についてその商品別に検討が必要

指令時間外のリソースを制御量に含めている

評価対象範囲

制御量の評価対象に指令時間外のリソースを含めない

• 指令時間外のリソースを制御量の評価対象範囲に含めるか検討が必要。

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実証から得られた課題 -フィードバック制御の必要性-

⚫ 1分といった非常に短い時間単位での精度を求められる場合、リアルタイムで需要・リソース余力等を確認し、指令値との乖離を補正するようなフィードバック制御の開発が必須と考えられる。

⚫ 全てのリソースに対してフィードバックを行うことは困難であるため、応答性が高く、制御の正確性も高いリソースにのみフィードバックを行い、他リソースのズレのしわ取りを行うといった制御方法があり得る。

⚫ 一方で、このような制御を行うためには、制御に参加する全てのリソースについて、精度を求められる時間単位以下の計測が必要となる。例えば、1分単位の制御が求められる場合、数秒~数十秒単位で全てのリソースの計測値を確認し、フィードバックを行わなければならないため、参加できるリソースが非常に限られる。

⚫ そのため、1分単位でのkW制御の必要性や、アローワンスの設定については、今後のERAB検討会等で検討が必要との認識。

出所)各社実証結果報告を基に三菱総研作成

1分単位でのフィードバック制御のイメージ

産業用蓄電池

RA事業者②AC事業者

RA事業者③

RA事業者①

空調・照明

家庭用蓄電池

指令

数秒単位で実績報告

数秒単位で指令

数秒単位で実績報告

数秒単位で実績報告

応答性が高く制御の正確性も高いリソースに対してフィードバックを実施

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≪参考≫ 各VPPリソースの特性

⚫ RA事業者毎、リソース毎、需要家毎に応答性の高さ、制御の正確性、容量の確実性が異なるため、それらを精査・分類した上で、容量を供出するリソース、最終の微調整をするリソースといった役割分担を行い、ACで最適なポートフォリオを形成する必要がある。

⚫ アグリゲーターやメーカー毎にばらつきはあるものの、各VPPリソースの大まかな特性を以下のように整理。

出所)各社実証結果報告を基に三菱総研作成

応答性制御の正確性

容量の確実性

VPPリソースとしての評価

コジェネレーション(自家発設備)

◎ ◎ ◎

• 正確性および容量確保の両面から有力なVPPリソースと考えられる。• コジェネの場合は熱需要の考慮が必要。非発であれば備蓄燃料残量を踏まえて比較的自由に制

御スケジュールを設定することができる。

蓄電池(中大型) ◎ ◎ ◎ • 応答性、制御の正確性および容量確保という点からも有力なVPPリソースと考えられる。

ヒートポンプ △ △ 〇• 一定以上の給湯需要があれば、計画に応じた制御が可能。• 機種にもよるが、瞬時対応は難しい。(運転計画のスケジューリング変更程度の対応)

産業用電気利用機器 ー ー ー

• 冷蔵・冷凍設備・照明・空調が多いなど、各需要家の運用形態に大きく依存するため、全般的な評価は難しい。

• 動力設備は生産計画との関係に依存するので事前調整が必要• ネガワット契約同様、需要家都合に応じた個別契約が必要。

業務用電気利用機器 △ △ △

• 冷蔵・冷凍設備・照明・空調が多いなど、各需要家の運用形態に大きく依存するが、基本的には気温変動による需要変動の影響を受けることが多く、正確性・容量確保の両面に課題あり。(個別計量が認められればこの限りではない。)

• ネガワット契約同様、需要家都合に応じた個別契約が必要。• VPP実証ではアズビルがビルの蓄熱層制御を実施しており、VPPリソースとして優れた結果(特に

反応時間)を示している。

蓄電池(小規模) 〇 △ △

• 需要変動の影響を受けることが多く、正確性・容量確保の両面に課題あり。(個別計量が認められればこの限りではない。)

• 特にPV併設時のベースライン設定は考慮が必要。• 個別機器の反応はポーリング周期の問題から遅延気味になる可能性

電動車両 △ △ △

• 充電器接続時には、蓄電池同様に正確性・容量確保のスペックが期待される。• 実用化には、接続時間や充電SOC状況の予測技術が必要。• V2H時には、小規模蓄電池同様、需要変動の影響が大きい。

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実証から得られた課題 -指令値変更への対応(1/2)-

⚫ 指令値変更への対応がある程度上手くできていると見受けられるAC事業者は2社のみであり、2社とも応答性の良い大容量の自家発や産業用蓄電池によって対応している。指令変更時には数分程度の遅れで対応ができている。

◼ ただし、A社については、指令時間外のRA事業者を制御量に含めていない場合の評価であることに留意が必要。

⚫ 大容量の自家発や産業用蓄電池をリソースとして確保していないAC事業者では、受電点での制御の場合、指令値変更に対してこのように瞬時に対応することは難しいと考えられる。

指令値変更への対応が上手くできている例(A社)

出所)各社実証結果報告を基に三菱総研作成

三次調整力②(下げDR)(RABL注1)(滞在率:54%注2)

-500

0

500

1,000

1,500

2,000

10:1

5

10:3

0

10:4

5

11:0

0

11:1

5

11:3

0

11:4

5

12:0

0

12:1

5

12:3

0

12:4

5

13:0

0

13:1

5

13:3

0

13:4

5

14:0

0

14:1

5

14:3

0

14:4

5

指令

値、制

御量

[kW

]

自家発 家庭用蓄電池 産業用蓄電池

産業用蓄電池、空調、照明注1 各RAの発動時間帯についてBL算出、実績計算しているため、発動時間帯以外のRAはBL、実績に含めていない。注2 12:00-13:30は指令値0kWであり、ベースラインと一致していないと成功とならない厳しい判定基準となっている。

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

8,000

10:1

5

10:3

0

10:4

5

11:0

0

11:1

5

11:3

0

11:4

5

12:0

0

12:1

5

12:3

0

12:4

5

13:0

0

13:1

5

13:3

0

13:4

5

14:0

0

14:1

5

14:3

0

14:4

5

ベー

スラ

イン

、目

標値

、実

績値

[kW

]

目標値 実績値ベースライン

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-1,000

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

8,000

9,000

10,000

12:4

5

13:0

0

13:1

5

13:3

0

13:4

5

14:0

0

14:1

5

14:3

0

14:4

5

15:0

0

15:1

5

15:3

0

15:4

5

16:0

0

16:1

5

16:3

0

16:4

5

17:0

0

17:1

5

ベー

スラ

イン

、目

標値

、実

績値

[kW

]

実証から得られた課題 -指令値変更への対応(2/2)-

⚫ B社についても応答性の良い大容量の自家発や産業用蓄電池の活用により、指令変更時には数分程度の遅れで対応ができている。

指令値変更への対応が上手くできている例(B社)

出所)各社実証結果報告を基に三菱総研作成

三次調整力①相当(下げDR)(滞在率:78%)

目標値 実績値ベースライン

-500

0

500

1,000

1,500

12:4

5

13:0

0

13:1

5

13:3

0

13:4

5

14:0

0

14:1

5

14:3

0

14:4

5

15:0

0

15:1

5

15:3

0

15:4

5

16:0

0

16:1

5

16:3

0

16:4

5

17:0

0

17:1

5

指令

値、制

御量

[kW

]

産業用蓄電池 自家発、産業用蓄電池

産業用蓄電池 産業用蓄電池 産業用蓄電池

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Ⅳ.検討会及びWGの開催

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⚫ アグリゲーターが一般送配電事業者と接続する場合のサイバーセキュリティ対策のあり方を検討する

ERAB検討会の概要

⚫ ERAB検討会はERABフォーラムと連携し、主に制度的課題の全体像を整理する主体。

⚫ 4つのWGとVPP実証を管轄。ERABにかかる実務的課題は制御量評価WGにて議論。

出所)第6回ERAB検討会「事務局提出資料」資源エネルギー庁資料 を基に三菱総研作成

⚫ 照明、HEMSコントローラ-等のVPP対応仕様を検討する

⚫ 一般送配電事業者において、DRASを試験的に構築

⚫ 電源Ⅰ-b相当の制御を行う場合の計量方法及びベースラインの設定方法等を検討する

ECHONET Lite WG 制御量評価WGDRAS構築 サイバーセキュリティWG

エネルギー・リソース・アグリゲーション・ビジネス検討会【新エネルギーシステム課】

• ERABの発展に向けた、官主体の検討会• 制度的課題について省内各検討会等と連携し、全体像を整理• VPP等の予算措置も効果的に活用

⚫ 電源Ⅰ-b相当の制御技術等の習得を目指す

⚫ OpenADRの機器別実装ガイドラインの有効性を検証する

VPP構築実証事業

⚫ 機器別実装ガイドラインのあり方を検討

Open ADR WG

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検討会・WGの開催状況(1/2)

⚫ ERAB検討会及び制御量評価WGは、以下のとおりそれぞれ開催。

ERAB

検討会

第6回(2018/9/28)

⚫ 各WGからの報告

⚫ 実証の進捗報告

⚫ 住宅用太陽光発電設備のFIT買取期間終了に向けた対応の紹介

第7回(2019/3/19)

⚫ 各WGからの報告

⚫ 2018年度予算事業の報告

⚫ 2019年度予算事業の概要案の紹介

⚫ 省エネ法における上げDRの考え方の紹介

制御量評価

WG

第5回(2018/7/18)

⚫ ネガワット調整金の考え方

⚫ DRを実施するアグリゲーターから供給元小売電気事業者への情報共有

⚫ ベースラインの設定方法

第6回(2018/9/25)

⚫ ネガワット調整金の考え方

第7回(2018/12/20)

⚫ ネガワット調整金の考え方

⚫ 需給調整市場におけるDR・VPPによる供出量のアセスメント方法

⚫ ERABガイドラインにおける下げDR(ネガワット取引)の分類見直し

第8回(2019/2/5)

⚫ 諸外国における需給調整市場の要件等

⚫ その他制度面で整理すべき事項

第9回(2019/3/4)

⚫ 三次調整力②におけるアセスメント方法

主な議題

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検討会・WGの開催状況(2/2)

⚫ OpenADR WG、ECHONET Lite WG、及びサイバーセキュリティWGは、以下のとおりそれぞれ開催。

OpenADR

WG

第8回(2018/8/2)

⚫ 機器別実装ガイドライン改定に向けた検討状況の報告

⚫ ディマンドリスポンス・インターフェース仕様書改定に関する基本方針検討状況の報告

⚫ OpenADR国際標準化動向の報告

第9回(2019/3/7)

⚫ ディマンドリスポンス・インターフェース仕様書1.2版の改訂案共有

⚫ 機器実装ガイドラインの改訂案共有

⚫ OpenADRの国際標準・認証に関する情報の共有

ECHONET Lite

WG

(HEMSコントローラ、

PVシステム)

第3回(2018/6/26)

⚫ 太陽光発電(PCS)についてECHONETプロパティの拡張案報告

⚫ HEMSコントローラについて、VPPで活用するための仕様案検討状況の報告

⚫ マルチ入力PCSについてECHONETプロパティの検討状況報告

第4回(2018/8/2)

⚫ 太陽光発電(PCS)についてECHONETプロパティの拡張案報告

⚫ HEMSコントローラについて、VPPで活用するための仕様案検討状況の報告

⚫ マルチ入力PCSについてECHONETプロパティの検討状況報告

第5回(2019/2/28)

⚫ HEMSコントローラについて、VPPで活用するための仕様案検討状況の報告

⚫ マルチ入力PCSについてECHONETプロパティの検討状況報告

サイバーセキュリティ

WG

第9回(2018/9/11)

⚫ 3次調整力①を念頭に、簡易指令システムを経由して、中給とアグリの制御システムが接続した場合の仕組みの紹介

⚫ サイバーセキュリティSWGの設立の検討

第10回(2019/3/4)

⚫ サイバーセキュリティSWGにおける議論内容の報告

⚫ ERABに関するサイバーセキュリティガイドライン改定案に関する議論

主な議題

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制御量評価WGでのH30年度決定事項及び次年度以降への課題

⚫ 制御量評価WGでのH30年度決定事項、及び次年度以降の課題は以下のとおり。

H30年度の

決定事項

ネガワット調整金の考え方

⚫ ネガワット調整金の計算方法

⚫ DRを実施するアグリゲーターから供給元小売電気事業者への情報共有

ベースラインの設定方法

⚫ 当日補正により、ベースラインの需要がマイナスとなる場合のベースラインの設定方法

⚫ 標準ベースライン算出対象日において最小の需要日が複数ある場合の取扱い

⚫ ベースラインの算出時における小数点以下の取扱い

⚫ ベースラインの設定に利用する日の除外日の取扱い

需給調整市場におけるDR・VPPによる供出量のアセスメント方法

⚫ 三次調整力②に関する計測地点(基本的な計測地点)

⚫ 三次調整力②に関する計測方法(追従性の確認間隔、基準値の設定方法、精算時のベースライン、指令値0kW時の評価)

⚫ 三次調整力②に関する報告データ・メーターの要件(指令値への追従性を確認するためのデータ(kW)

、精算のための電力量(kWh))

次年度以降への課題

ERABガイドラインにおける下げDR(ネガワット取引)の分類見直し

⚫ 現行のネガワット取引類型(類型2)の見直し

需給調整市場におけるDR・VPPによる供出量のアセスメント方法

⚫ 三次調整力②に関する計測地点(個別計測の採用可否)

⚫ 三次調整力②に関する計測方法(アローワンスの範囲、事前テスト等、ペナルティ等、精算時の各関係者の調整)

⚫ 三次調整力②に関する報告データ・メーターの要件(指令値への追従性を確認するためのデータ(kW)、その他パルス検出器・計測器類による計測、計量法との関係)

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OpenADR WGでのH30年度決定事項及び次年度以降への課題

⚫ OpenADR WGでのH30年度決定事項、及び次年度以降の課題は以下のとおり。

H30年度の決定事項

ディマンドリスポンス・インターフェース仕様書改定(1.2版)

⚫ UC1を全て類型2の表記に差し替え

⚫ UC1においては本仕様書の対応を必須とすることを明記

⚫ UC1の想定するDR取引として、需給調整市場(3次調整力②)を想定した設定値例を追加

⚫ 上記修正に伴う付録A(評価ユースケースに基づく設計値例)の見直し

機器別実装ガイドラインの改定

⚫ 名称を「OpenADR機器別実装ノート」に修正

⚫ 付録2として、各代表ユースケースに共通して利用可能な実装事例の記載を追加

次年度以降への課題

⚫ OpenADR WGについては、H30年度の成果をもって、「ERAB検討会においてエネルギー観点からOpenADRに求める仕様の検討を行う」という設立当初の目的を達成したことから、次年度については定期的な開催を休止することとされた。

⚫ ただし、次年度以降にもOpenADRに関する議論が必要となった場合は、既存の関係団体との連携の他、WGを開催することも含め、ERAB検討会にて議論されることとなった。

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ECHONET Lite WGでのH30年度決定事項及び次年度以降への課題

⚫ ECHONET Lite WGでのH30年度決定事項、及び次年度以降の課題は以下のとおり。

H30年度の決定事項

太陽光発電(PCS)についてECHONTプロパティの拡張案を作成

⚫ 太陽光発電(PCS)をVPPリソースとして制御することを想定し、ECHONETプロパティの拡張案を作成

VPPにおいて活用できるHEMSコントローラーに求められる仕様案の検討

⚫ 前提条件の確認(リソース制御方法、HEMSが提供する機器のデータ)

⚫ 課題の整理(ID体系、複数アグリゲーターとの契約、時刻の精度、データを定義する領域)

マルチ入力PCSのECHONETプロパティ案の検討

⚫ 複数の直流リソースと接続するマルチ入力PCSについて、VPPリソースとして制御することを想定し、ECHONETプロパティの拡張案を検討することを合意

⚫ マルチ入力PCSについてECHONETプロパティ拡張案の作成

次年度以降への課題

⚫ ECHONET Lite WGについては、H30年度の成果をもって、「エネルギー機器を遠隔制御できる通信規格の整備、業界横断的に幅広い機器と接続できる環境の整備を行う」という設立当初の目的を達成したことから、次年度については定期的な開催を休止することとされた。

⚫ ただし、次年度以降にもECHONET Liteに関する議論が必要となった場合は、既存の関係団体との連携の他、WGを開催することも含め、ERAB検討会にて議論されることとなった。

⚫ HEMSコントローラに求められる仕様案については、JEMAを中心として検討を継続し、検討結果はERAB検討会にて共有される。

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サイバーセキュリティ WGでのH30年度決定事項及び次年度以降への課題

⚫ サイバーセキュリティWGでのH30年度決定事項、及び次年度以降の課題は以下のとおり。

H30年度の決定事項

ERABに関するサイバーセキュリティガイドライン改定案(Ver1.1)の作成

⚫ 3次調整力①相当でおの取引を念頭におき、中央給電システムと簡易指令システムの接続に関する検討を踏まえた上でのガイドライン検討案を検討

⚫ ERABシステムが維持すべきサービスレベルの定義見直し

⚫ ERABシステムにおけるシステム重要度の分類を追加

⚫ ERABシステムにおけるサイバーセキュリティ対策として、ガイドラインの実装が確認できない場合の総合接続の中止(勧告)、AC事業者の責任範囲の定義(勧告)等を追加

次年度以降への課題

⚫ ガイドライン改定案については、パブリックコメントの手続きを経た上で、2019年12月ごろの公表を目指す。⚫ 他のIoT関連ガイドラインとの整合性確認や、実務的観点を踏まえた議論を深めることを目的とし、アメリカ・欧州など海外の

先進国において、分散電源のサイバーセキュリティがどのように確保されているか、調査を行う。⚫ 調査結果を踏まえ、ガイドラインの改定案について、次年度のサイバーセキュリティWGにて更なる議論を行う。

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(様式2)

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57 PRMへの参加リソースタイプ

調整力グループ及びユニットの概念図

FCR 許容範囲の原理

mFRR 許容範囲の原理

FCR 時間に対する制御応答の実績値 概略図

タイトル

KiWi Power社 STOR及び容量市場への参加

EFRと従来の周波数応答サービスの関係

PJM Regulation リソース別情報(2016・2017年)

瞬動予備力市場(2017年)に参加したDRリソース(数・規模・種別)

瞬動予備力市場におけるDR落札量・価格(2017年)

瞬動予備力におけるDRシェア(2017年)

平成30年度新エネルギー等の導入促進のための基礎調査(分散型エネルギーリソースを活用したアグリゲーションビジネスの構築に関する調査)報告書

平成30年度新エネルギー等の導入促進のための基礎調査(分散型エネルギーリソースを活用したアグリゲーションビジネスの構築に関する調査)

STOR 参加方法(事前認定及び入札)

STOR パフォーマンス監視及びペナルティ

mFRR アセスメントにおける許容範囲

mFRR 指令値変更の場合のアセスメントにおける許容範囲

mFRR パフォーマンス逸脱に対するペナルティ

STOR 必須能力要件の審査

STOR 技術要件

CAISO アンシラリーサービス 前日市場価格(2016~2017)

CAISO アンシラリーサービス リアルタイム市場価格(2016~2017)

aFRR及びmFRR 時間に対する制御応答の実績値 概略図

CAISO アンシラリーサービス年間調達量(2015~2017)

二次利用未承諾リスト

株式会社三菱総合研究所