16
2.熱環境形成メカニズムの地域特性の解析

2.熱環境形成メカニズムの地域特性の解析2.熱環境形成メカニズムの地域特性の解析 1)検討の目的 地方公共団体によるヒートアイランド対策の基本的計画作成を後押しするガイドライン作成に

  • Upload
    others

  • View
    1

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: 2.熱環境形成メカニズムの地域特性の解析2.熱環境形成メカニズムの地域特性の解析 1)検討の目的 地方公共団体によるヒートアイランド対策の基本的計画作成を後押しするガイドライン作成に

2.熱環境形成メカニズムの地域特性の解析

Page 2: 2.熱環境形成メカニズムの地域特性の解析2.熱環境形成メカニズムの地域特性の解析 1)検討の目的 地方公共団体によるヒートアイランド対策の基本的計画作成を後押しするガイドライン作成に

2.熱環境形成メカニズムの地域特性の解析

1)検討の目的

地方公共団体によるヒートアイランド対策の基本的計画作成を後押しするガイドライン作成に

向けた検討の一環として、都道府県等における基本的計画作成の際のベースとなるヒートアイラ

ンド現象の現況及びメカニズムの把握手法を検討することを目的とする。 地方公共団体におけるヒートアイランド対策の基本的計画は、熱環境に関する地域特性が反映

されたものである必要がある。熱環境の地域特性は、これまで東京の都心部などで整理が行われ

ていた人工排熱や地表面被覆等のヒートアイランド発生要因の把握に加え、陸海風などの風によ

る熱環境の改善可能性を検討することが必要である。また、沿岸部、内陸部では気温の上昇形態

が異なっていることが知られており、その地域特性に応じた熱環境の解析手法を構築することが

必要である。 そのため、今回は風を含めた熱環境形成メカニズムの解析手法及び入力データ構築手法につい

て検討することとした。検討は、首都圏全域(半径約 40km圏)を対象に広域的な風の場を解析するメソスケールモデル(LOCALS)と都市条件による熱環境形成を解析する都市キャノピーモデル(UCSS)を連成させたシミュレーションモデル(LOCALS-UCSS)を用いて行う。 特に、人工排熱や地表面被覆については都市の有無、陸海風などの風による改善可能性につい

ては風条件の変更を考え、解析条件の組み合わせにより、地域性と共に熱環境形成メカニズムを

定量的に検討する。

図 2-1 熱環境形成に係わる要素

都市規模・形態・活動による気温上昇要素

(UCSS のフレーム)

海風による換気

(LOCALS のフレーム)

山風による換気

(LOCALS のフレーム)

上空風による換気

(LOCALS のフレーム)

-39-

Page 3: 2.熱環境形成メカニズムの地域特性の解析2.熱環境形成メカニズムの地域特性の解析 1)検討の目的 地方公共団体によるヒートアイランド対策の基本的計画作成を後押しするガイドライン作成に

2)検討の背景

(1)平成 17年度の検討結果

「平成 17 年度 ヒートアイランド現象による環境影響に関する調査検討業務報告書」(環境省)の全国 16都市の熱環境特性の整理により、都市の熱環境形成は 4つに類型化された。その類型区分及び形成要因についての仮説は以下のように考えられる。 類型 1

・東京、横浜、新潟、京都、福岡がこの類型に整理された。 ・新潟を除くと大都市であり、最低気温は上昇しているが、最低気温の上昇は抑制されてい

る傾向にある。 ・大都市であることから、ヒートアイランド現象の要因は大きいはずであるが、最高気温は

上昇していないことをみると、最高気温の上昇を抑制する要因が存在することが想定され

る。 ・沿岸部に位置することから、最高気温上昇を抑制する要因は海風と考えられる。

類型 2

・宇都宮、熊谷、前橋、甲府、岐阜といった内陸部の都市がこの類型に整理された。 ・最低気温の上昇より最高気温の上昇が顕著である。 ・都市規模はさほど大きくない人工的な要因は比較的小さいと考えられることから、地形的

に気温が上がりやすい特性があることが考えられ、都市の熱容量が小さいとも考えられる。 ・夜間は気温が十分低下することから、熱を冷ます力が機能していることが考えられる ・夜間の気温を下げる力としては、都市周囲の山地等からの山谷風の存在が考えられる。

類型 3

・最高気温、最低気温ともに上昇がみられる名古屋、浜松、高松がこの類型に整理された ・名古屋は沿岸に位置しているが伊勢湾は閉鎖的な海域であり、海風が弱い傾向にある。ま

た、名古屋の気温観測地点は比較的内陸部に位置している。こうしたことから名古屋は海

風が弱く、また市街地が大きいため夜間の冷却機能も減退していることが考えられ、結果

として昼夜ともに気温上昇が顕著であることが想定できる。 ・浜松、高松は気温観測地点周辺が 1980年代に急速に市街化された土地被覆の人工化が気温上昇に関連していると想定できる。

類型 4

・札幌、仙台、旭川といった東北・北海道の都市がこの類型に整理された。 ・これらの都市は冬季の気温上昇はみられるが、夏季は気温上昇が顕著でない。

-40-

Page 4: 2.熱環境形成メカニズムの地域特性の解析2.熱環境形成メカニズムの地域特性の解析 1)検討の目的 地方公共団体によるヒートアイランド対策の基本的計画作成を後押しするガイドライン作成に

東京と熊谷の気温の日周期(1995~2004の8月の平均)

22.0

23.0

24.0

25.0

26.0

27.0

28.0

29.0

30.0

31.0

32.0

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24時刻

気温(℃)

東京

熊谷

最低気温の差

最高気温の差

出現時刻の違い

(2)熱環境形成メカニズムの違い

関東圏にあっても、沿岸部の東京、横浜と内陸部の熊谷、前橋、宇都宮では熱環境の類型が

異なっている。東京(大手町)と熊谷の気温の日周期の差を図 2-2に示す。

図 2-2 東京と熊谷の気温の日周期(1995~2004 の 8 月の平均値)

東京と熊谷の気温の夏季の日周期を比較すると以下のことが整理された。 ・最高気温は熊谷が高く出現時刻は 1時間遅い(東京では 15時から気温が下がる) ・東京の最高気温上昇を抑制している海風の寄与度(冷ます力の寄与が考えられる) ・熊谷の最高気温の形成要因(暖める力が強いまたは冷ます力が弱いと考えられる) ・熊谷の最高気温出現時刻の遅れ(風による影響が考えられる) ・最低気温は熊谷が低い。出現時刻は同じ ・東京の最低気温の形成要因(暖める力が強いまたは冷ます力が弱い) ・熊谷の最低気温が下がる理由(冷ます力が強い)

-41-

Page 5: 2.熱環境形成メカニズムの地域特性の解析2.熱環境形成メカニズムの地域特性の解析 1)検討の目的 地方公共団体によるヒートアイランド対策の基本的計画作成を後押しするガイドライン作成に

3)解析の実施

(1)解析の基本的考え方及び使用モデル

熱環境形成の地域的なメカニズムを把握するためには、従来実施してきた都市形態及び人工

排熱によるヒートアイランド形成メカニズムに加え、広域的な風の状況と気温形成の関係を分

析する必要がある。 そこで、本解析では独立行政法人建築研究所が開発した都市気候予測システム

(UCSS:UrbanClimateSimulationSystem)及び伊藤忠テクノソリューションズ㈱が開発した局地気象評価予測モデル(LOCALS)を結合した LOCALS-UCSSを使用した。

LOCALS-UCSSを用いることで、風の流れを含めた広域的な気象場のもとに、都市形態、人工排熱を考慮した都市の温熱環境の解析が可能になる。LOCALS-UCSSの概要は下記のとおりである。

UCSS はグロス建ぺい率と建物の平均高さ・幅等の都市 GIS 情報から、都市キャノピーモデルにより都市の建物群における熱収支の評価ができるソフトウェアであり、LOCALSは気象庁RSM-GPV データ、各種観測データ等を入力値として、4 次元的に大気の状態のシミュレーションを行うことができるソフトウェアである。 図 2-4 に LOCALS-UCSS の 概 念 図 を 示 す 。 こ の モ デ ル の 方 程 式 系 は

Kikuchietal.,1981;KimuraandArakawa,1983にもとづくものである。気象研究所も同様のモデル(気象研究所、1983)によって、局地スケールの様々の計算を行っている。 建物の取扱いに関して、LOCALS単独と LOCALS-UCSSでは大きく異なる。LOCALSでは、

建物を平面に置き換えるので、建物と大気との接触面積を小さく見積り、放出される熱量が過小

評価されやすい。そのため、気温が実際の建物空間において過小評価されることになり、特に夜

間の最低気温が低く算出されることになる。LOCALS-UCSSでは、建物の効果を 3次元的に表現することができるため、より現実に即したシミュレーションが可能となっている。

図 2-3 LOCALS-UCSS の概念図(左図 大気部分、右図 都市キャノピー部分)

-42-

Page 6: 2.熱環境形成メカニズムの地域特性の解析2.熱環境形成メカニズムの地域特性の解析 1)検討の目的 地方公共団体によるヒートアイランド対策の基本的計画作成を後押しするガイドライン作成に

UCSS では、実際の建物配置を正方形の建物配置に置き換え、建物の高さと太陽高度の関係からそれぞれ東西南北面の壁面にかかる日陰率をもとめ、日向日陰の影響を考慮している。日陰率

から面にあたる日射量(短波放射)を算出し、面同士の形態係数とそれぞれの面で反射される日

射量を繰り返し計算することで、散乱日射を考慮することができる。また、建物壁面、屋上面、

地表面、天空との間で交換される長波放射も、各面の温度と放射率からそれぞれの面同士におけ

る長波による熱量の計算を行っている。 UCSS の入力パラメータは都市形態・地表面被覆系と人工排熱系に区分され下表のように示さ

れる。人工排熱系のデータについては、建物空調に伴う排熱、自動車に伴う排熱、工場・事業場・

清掃工場等の事業活動に伴う排熱区分される。

表 2-1 UCSS 入力パラメータ(都市形態・地表面被覆系)

名 称 内 容 単位

twater 水域の表面水温 fwater メッシュ内に占める水域面積の割合 0~1ssind メッシュ内に占める裸地・草地面積の割合 0~1

ftree メッシュ内に占める樹冠投影面積の割合 (fwater,ssind,bldr,asph とは独立) 0~1

htree 平均樹木高さ m bldr メッシュ内に占める建物面積の割合 0~1bldw 建物の平均幅 m bldh 建物の平均高さ m

material メッシュ内建物の代表構造コード (非木造建物、木造建物、建物なしの区分) -

k_of_bild 空調機器の稼働時間類型 - k_of_aircon 空調機器の種別 - roof_eva 建物屋上の緑化面積率 0~1wall_eva 建物壁面の緑化面積率 0~1aircon_temp 室温 soil_ref 地表面の日射反射率 0~1roof_ref 建物屋上の日射反射率 0~1wall_ref 建物壁面の日射反射率 0~1zgrnd メッシュ標高 m vfwws 壁面から見た他の平行壁面の形態係数 0~1vfwwn 壁面から見た他の垂直壁面の形態係数 0~1vfwgo 壁面から見た地盤面の形態係数 0~1vfgow 地盤面から見た建物壁面の形態係数 0~1asph メッシュ内に占める舗装面積の割合 0~1備考:各パラメータの出典は表 2-4に示した

表 2-2 UCSS 入力パラメータ(人工排熱系)

名 称 内 容 単位 自動車排熱(顕熱) 自動車の走行に伴うメッシュ内の時刻別顕熱排熱 W/m2 自動車排熱(潜熱) 自動車の走行に伴うメッシュ内の時刻別潜熱排熱 W/m2 建物排熱(顕熱) 建物空調に伴うメッシュ内の時刻別顕熱排熱 W/m2 建物排熱(潜熱) 建物空調に伴うメッシュ内の時刻別顕熱排熱 W/m2

事業場排熱(顕熱) 工場・事業場・火力発電所・清掃工場等の事業活動に伴

い排出される時刻別顕熱排熱 W/m2

事業場排熱(顕熱) 工場・事業場・火力発電所・清掃工場等の事業活動に伴

い排出される時刻別顕熱排熱 W/m2

備考:各パラメータの出典は表 2-5に示した

-43-

Page 7: 2.熱環境形成メカニズムの地域特性の解析2.熱環境形成メカニズムの地域特性の解析 1)検討の目的 地方公共団体によるヒートアイランド対策の基本的計画作成を後押しするガイドライン作成に

(2)解析対象日

シミュレーション結果の再現性の確認を行う教師データとして、首都圏を中心に高密度で気

温観測している広域メトロスデータを活用することとした。広域メトロスの観測は 2006年より開始されたことから、解析対象日は 2006年から適切な日を選定した。2006年の夏季のうち、表 2-3に示す気温が高く、風の状況が異なる日として 2006年 8月 4日と 5日を解析対象日とした。

2006年 8月 4日は南風、8月 5日は鹿島灘からの東風が主となっている。平均風速、最大風速、日照時間についてはほとんど変わらないが、最高気温、最低気温は 5 日のほうがやや高くなっている。

表 2-3 解析対象日の気象状況(東京・大手町)

対象日 最高気温 最低気温 平均風速 最大風速 最大風速時風向 日照時間

8月 4日 33.9℃ 24.5℃ 2.3m/s 5.8m/s 南南西 12.6h

8月 5日 35.4℃ 25.3℃ 2.2m/s 5.3m/s 南東 12.1h

図 2-4 解析対象日の天気図(午前 9時)

(3)解析対象範囲

解析対象範囲は、首都圏のうち、入力データ作成(細密数値情報 10mメッシュ土地利用整備範囲)の制約と計算機容量の制約から、概ね都心を中心とした 40km 圏内の図 2-5 の範囲とした。

2006年8月4日 2006年8月5日

図 2-5 解析対象範囲(着色部は細密数値情報 10mメッシュ土地利用整備範囲)

-44-

Page 8: 2.熱環境形成メカニズムの地域特性の解析2.熱環境形成メカニズムの地域特性の解析 1)検討の目的 地方公共団体によるヒートアイランド対策の基本的計画作成を後押しするガイドライン作成に

(4)解析方法

計算方法は以下のとおり、関東地方を含む 500km四方の広領域シミュレーションと首都圏を中心とした約 80km四方の狭領域のシミュレーションの 2段階ネスティング手法を採用した。ネスティング領域を図 2-6に示す。

①広領域シミュレーション(LOCALS)

日本全域を対象とした気象庁 RSM-GPV データを初期値、境界値として、関東地方を含む約500km四方を対象とする格子間隔 5kmシミュレーションを実施した。 この領域でのシミュレーションは典型的な夏日においては関東地方における海風循環が卓越す

るが、日本全域を対象とした気象庁 RSM-GPV データでは詳細に再現することができないため、関東地方を対象とした熱・風循環の再現を目的としている。 また、広領域シミュレーションにおいては、地表面形状をラフネスパラメータで擬似的にパラ

メタライズしており、建物人工排熱等の外部熱量の取り込みは行っていない。 解析条件は以下のとおりとした。 ·座標系:ポーラーステレオ座標系 ·水平格子間隔:5000m ·水平格子数:101格子 ·鉛直格子数:18層(最下層 10m、最上層 8500mまで、不等間隔設定) ·格子数:183,618格子(=101×101×18) ·時間ステップ:20秒(音波計算のみ 10秒) ·計算開始時間:2006年 8月 3日 9時及び 8月 4日 9時 ·計算時間:40時間(2006年 8月 4日及び 5日の 24時まで) ·計算出力時間間隔:1時間

②狭領域シミュレーション(LOCALS-UCSS)

前記、広領域シミュレーションのデータを初期値、境界値とすることで、首都圏を中心とする

約 80km四方を対象とした格子間隔 500mでのシミュレーションを実施した。

図 2-6 ネスティング領域(左図)及びシミュレーション領域(右図)

-45-

Page 9: 2.熱環境形成メカニズムの地域特性の解析2.熱環境形成メカニズムの地域特性の解析 1)検討の目的 地方公共団体によるヒートアイランド対策の基本的計画作成を後押しするガイドライン作成に

このエリアにおいては対流顕熱の評価を実施する。 狭領域シミュレーションにおいては、格子内に平均建物高さ・幅、建坪率、アスファルト率、

緑地率、水面率を考慮し、都市キャノピーを考慮した地表面過程を採用した。また、建物 GISデータ等より、道路、事業所、建物から出る人工排熱(顕熱、潜熱)を時間毎に各格子に設定し、大気へ放出するスキームを導入した。

解析条件は以下のとおりとした。 ・座標系:ポーラーステレオ座標系 ・水平格子間隔:500m ・水平格子数:171格子 ・鉛直格子数:15層(最下層 10m、最上層 5500mまで、不等間隔設定) ・格子数:438,615格子(=171×171×15) ・時間ステップ:2秒(音波計算のみ 1秒) ・計算開始時間:広領域シミュレーションと同様 ・計算時間:広領域シミュレーションと同様 ・計算出力時間間隔:1時間

-46-

Page 10: 2.熱環境形成メカニズムの地域特性の解析2.熱環境形成メカニズムの地域特性の解析 1)検討の目的 地方公共団体によるヒートアイランド対策の基本的計画作成を後押しするガイドライン作成に

(5)入力データ

解析対象範囲は 23 区を中心とする南関東・東京湾沿岸地域の面積 7,588km2(85.5km 四方)の範囲である。この地域を約 500m四方のメッシュに分割し解析を行う。 この解析対象範囲内には、パラメータ推定に用いるデータおよび推定方法が異なる以下の 4つ

の地域が混在している(図 2-7参照)。 ・東京都 23区:東京都都市計画 GISを用いて地覆・建物形状・排熱を推計 ・東京都多摩部:同 上 ・細密土地利用データ整備地域:夜間人口・従業員数および細密土地利用データを用い

て地覆・建物形状・排熱を推計 ・細密土地利用データ未整備地域: の推計結果と夜間人口・従業員数を用いて地覆・建物形状・排熱を推計

図 2-7 解析対象範囲・地域区分

表 2-4 には解析地域区分別の地表面被覆および建物形態パラメータの平均値あるいは分散(標準偏差)等を示す。 東京 23区内において、建築面積率(グロス建蔽率)大、樹木面積率(緑比率)小、建物規模(高

さ・幅)大、形態係数(地盤 天空・壁 天空)小、といった都市化による集積傾向が顕著である。 入力データの作成方法については資料編に示した。

-47-

Page 11: 2.熱環境形成メカニズムの地域特性の解析2.熱環境形成メカニズムの地域特性の解析 1)検討の目的 地方公共団体によるヒートアイランド対策の基本的計画作成を後押しするガイドライン作成に

表2-4 解析対象地域・地表面被覆パラメータ総括表

項目

解析対象地域

全体

①23区内

②多摩地域

③細密土地利用整備

地区(①②以外)

④細密土地利用

未整備地区

推計に用いたデータ(推定方法)

面積(ha)

22,726

4,070

1,128

16,313

1,215

平均面積率

0.033

0.065

0.016

0.032

0.024

面積(ha)

478,145

24,540

50,012

357,002

46,590

平均面積率

0.696

0.394

0.700

0.710

0.924

面積(ha)

111,743

17,277

11,304

81,369

1,794

平均面積率

0.163

0.278

0.158

0.162

0.035

面積(ha)

74,321

16,365

8,990

48,112

854

平均面積率

0.108

0.263

0.126

0.096

0.017

合計

面積(ha)

686,935

62,252

71,434

502,796

50,452

―――

面積(ha)

132,333

3,282

22,317

85,027

21,707

平均面積率

0.193

0.053

0.312

0.169

0.431

平均(m)

8.4

12.6

8.7

7.7

8.9

標準偏差(m)

3.9

6.8

3.1

3.2

0.4

平均(m)

11.4

12.8

11.0

11.3

10.5

標準偏差(m)

5.5

8.8

4.8

5.2

1.0

平均

0.810

0.522

0.777

0.842

0.961

標準偏差

0.186

0.199

0.152

0.155

0.057

平均

0.432

0.318

0.422

0.444

0.486

標準偏差

0.071

0.084

0.055

0.057

0.020

(注1)

(注2)

①②③④:bldr,bldh,bldwより計算

①②③④:bldr,bldh,bldwより計算

①②:東京都都市計画GIS

③:細密土地利用,夜間人口,従業者数

④:夜間人口,従業者数

①②③④:緑の国勢調査GIS

①②:東京都都市計画GIS

③:細密土地利用,夜間人口,従業者数

④:夜間人口,従業者数

①②:東京都都市計画GIS

③:細密土地利用,夜間人口,従業者数

④:夜間人口,従業者数

海域メッシュ:東京湾内にあり水面率0.90以上のメッシュ

メッシュ数: 2,780, 面積合計: 71,816 ha

解析対象メッシュ(東京湾含む)

メッシュ数:29,241, 面積合計:758,751 ha

壁面・天空

形態係数

水面

(fwater)

裸地・草地

(ssind)

アスファルト

(asph)

建物

(bldr)

樹木

(ftree)

建物高さ

(bldh)

地表面被覆

(海域メッシュを除く)

建物形態

(建物の無いメッシュを除く)

地盤面・天空

形態係数

地表面被覆パラメータ

①②:東京都都市計画GIS

③④:緑の国勢調査GIS

①②:東京都都市計画GIS

③:細密土地利用,夜間人口,従業者数,DRM鉄道

④:夜間人口,従業者数,DRM道路・鉄道

①②:東京都都市計画GIS

③:細密土地利用,夜間人口,従業者数,DRM鉄道

④:夜間人口,従業者数,DRM道路・鉄道

建物幅

(bldw)

-48-

Page 12: 2.熱環境形成メカニズムの地域特性の解析2.熱環境形成メカニズムの地域特性の解析 1)検討の目的 地方公共団体によるヒートアイランド対策の基本的計画作成を後押しするガイドライン作成に

また、表 2-5 には解析地域区分別・排熱種類別の集計結果を、その根拠データおよび推計方法とともに示す。 解析領域全体の人工排熱合計は約 8,000TJ/日、そのうち陸域面積としては 10%の東京 23区内

の排出が約 1,600TJ/日と人工排熱全体の 20%を占める。また、全域における排熱種類別では工場等の事業所排熱が 42%、次いで建物排熱が 33%、交通排熱(今回は自動車排熱のみ)が 25%となっている。 地域区分別に排熱種類別構成比を見ると、23区内では建物排熱が 55%と最も多く、事業所排熱

は 17%と少ない。逆に京浜・京葉工業地帯を含む周辺③の領域では事業所排熱が 52%と最も多いと推計される。 入力データの分布図を図 2-8~26に整理した。

-49-

Page 13: 2.熱環境形成メカニズムの地域特性の解析2.熱環境形成メカニズムの地域特性の解析 1)検討の目的 地方公共団体によるヒートアイランド対策の基本的計画作成を後押しするガイドライン作成に

表2-5 解析領域内の地域属性(GIS整備範囲、細密整備範囲、細密整備範囲外)別人工排熱集計

全域計

①東京都23区内

②東京都多摩地域

③細密整備済み地区(東京都以外)

④細密整備済み地区以外

出典

―――

・細密数値情報土地利用

・第2次・第3次従業者数(事業所統計)

・夜間人口(国勢調査)

・工業系建物平均高さ(東京都内GIS集計結果)

・非住居系延床ランク別延床面積当たり排熱量

(東京都内GIS整備範囲の平均)

・細密数値情報土地利用

・第2次・第3次従業者数(事業所統計)

・第2次・第3次従業者1人当たり延床面積(細密

整備済み地区内集計結果)

・非住居系延床ランク別延床面積当たり排熱量

(東京都内GIS範囲より集計)

排熱量(TJ/day)

1,991.0

708.7

179.9

1,085.0

17.4

(構成比(%))

(24.8)

(43.5)

(31.7)

(19.0)

(15.2)

出典

―――

・夜間人口(国勢調査)

・住居系延床面積当たり排熱量(東京都内GIS整

備範囲の平均)

・夜間人口(国勢調査)

・夜間人口1人当たり延床面積(細密整備済み地

区内集計結果)

・住居系延床面積当たり排熱量(東京都内GIS整

備範囲の平均)

排熱量(TJ/day)

669.2

181.4

83.3

397.2

7.3

(構成比(%))

(8.3)

(11.1)

(14.7)

(6.9)

(6.4)

出典

―――

同左

同左

排熱量(TJ/day)

1,972.7

458.4

192.6

1,271

50.7

(構成比(%))

(24.6)

(28.2)

(34.0)

(22.2)

(44.2)

出典

―――

同左

同左

排熱量(TJ/day)

2,609.8

161.7

84.7

2,327

36.0

(構成比(%))

(32.5)

(9.9)

(14.9)

(40.7)

(31.4)

出典

―――

同左

同左

排熱量(TJ/day)

277.8

78.3

26.8

169.3

3.4

(構成比(%))

(3.5)

(4.8)

(4.7)

(3.0)

(3.0)

出典

―――

同左

同左

排熱量(TJ/day)

511.7

39.6

0.0

472.0

0.0

(構成比(%))

(6.4)

(2.4)

(0.0)

(8.2)

(0.0)

排熱量(TJ/day)

8,032.1

1,628.1

567.3

5,722.0

114.8

(構成比(%))

(100.0)

(100.0)

(100.0)

(100.0)

(100.0)

環境省一般廃棄物処理実態調査結果

新エネルギー等導入促進基礎調査未利用熱エネルギー

清掃工場

火力発電所

東京都GIS(用途別延床面積集計)

建物用途別・延床ランク別排熱原単位

東京都GIS(用途別延床面積集計)

住宅の排熱原単位

燃料消費量推定式

H11道路交通センサス

工業統計(3次メッシュ)

石油等消費動向調査

合 計

平成17年度電力需要の概要

種別

建物排熱

交通排熱

事業所排熱

業務ビル

住宅

自動車

工場

-50-

Page 14: 2.熱環境形成メカニズムの地域特性の解析2.熱環境形成メカニズムの地域特性の解析 1)検討の目的 地方公共団体によるヒートアイランド対策の基本的計画作成を後押しするガイドライン作成に

図 2-8 解析対象範囲・標高(zgrnd)分布

図 2-9 解析対象範囲・水面率(fwater)分布

-51-

Page 15: 2.熱環境形成メカニズムの地域特性の解析2.熱環境形成メカニズムの地域特性の解析 1)検討の目的 地方公共団体によるヒートアイランド対策の基本的計画作成を後押しするガイドライン作成に

図 2-10 解析対象範囲・裸地率(ssind)分布

図 2-11 解析対象範囲・舗装率(asph)分布

-52-

Page 16: 2.熱環境形成メカニズムの地域特性の解析2.熱環境形成メカニズムの地域特性の解析 1)検討の目的 地方公共団体によるヒートアイランド対策の基本的計画作成を後押しするガイドライン作成に

図 2-12 解析対象範囲・緑被率(ftree)分布

図 2-13 解析対象範囲・建蔽率(bldr)分布

-53-