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平成29年度に建設部発注工事で発生した工事事故について事故の内容、発生要因 及び再発防止策を紹介します。類似現場などで工事事故の防止にお役立てください。 赤字下線は死亡事故 道路工事での大型ブロック積の転倒による挟まれ事故 橋梁工事での仮設物解体中の転落事故 浄化センターでの屋内点検作業中の転落事故 河川除草作業での自走式 草刈機の転倒事故 舗装工事での建設重機(Asフィニッシャー)との接触事故 河川工事での圧入機付属クレーンとの接触事故 河川工事での建設 重機(バックホウ)との接触事故 河川伐木作業での感電災害に関する事故 舗装工事での路面清掃車との接触 事故 【留意事項】 再発防止策には法令違反の他に安全管理上、好ましい対策も記載しております。 平成29年度建設部発注工事の事故事例集

平成29年度建設部発注工事の事故事例集 - Aichi …...平成29年度工事事故事例① 【労働災害】 【図面・写真等】 積み上がった大型ブロック積が裏側に転倒し作業員が挟まれ死亡

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平成29年度に建設部発注工事で発生した工事事故について事故の内容、発生要因

及び再発防止策を紹介します。類似現場などで工事事故の防止にお役立てください。

※ 赤字下線は死亡事故

① 道路工事での大型ブロック積の転倒による挟まれ事故

② 橋梁工事での仮設物解体中の転落事故

③ 浄化センターでの屋内点検作業中の転落事故

④ 河川除草作業での自走式草刈機の転倒事故

⑤ 舗装工事での建設重機(Asフィニッシャー)との接触事故

⑥ 河川工事での圧入機付属クレーンとの接触事故

⑦ 河川工事での建設重機(バックホウ)との接触事故

⑧ 河川伐木作業での感電災害に関する事故

⑨ 舗装工事での路面清掃車との接触事故

【留意事項】

※ 再発防止策には法令違反の他に安全管理上、好ましい対策も記載しております。

平成29年度建設部発注工事の事故事例集

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平成29年度 工事事故事例① 【労働災害】

【図面・写真等】

積み上がった大型ブロック積が裏側に転倒し作業員が挟まれ死亡

事故発生年月 平成29年6月 午前8時頃 工事の概要 道路工事

事故の内容

大型ブロック積を2段積み上げ、転倒防止のため裏側をパイプサポートで支保してある状態であった。被災した作業員はブロックの両側の調整コンクリートの打設準備のため、型枠の脱型と組立て作業をしていた。そして作業中にパイプサポートが外れ、大型積みブロックが裏側に転倒し、作業員が背中から挟まれた。 (作業員:外傷性脳挫傷により死亡)

発生要因 作業手順書では、1段毎にブロックを据付け、ブロック両側の現場打ち擁壁打設、埋戻しの順で行う内容であったが、現場では、作業を短縮するため、2段分のブロックを一度に据付ける内容に変更していた。

再発防止策 施工手順書の1段毎の施工を遵守する。また、胴込めコンクリートを早強コンクリートへ変更するなど作業性を改善する。

【事故分類 : 倒壊 被災者 : 60代】

事故状況作業手順書

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平成29年度 工事事故事例② 【労働災害】

【図面・写真等】

覆工板の撤去作業中に開口部から作業員が足を滑らせ転落

事故発生年月日 平成29年6月 午前9時頃 工事の概要 橋梁補修工事

事故の内容

橋台の深さ2mの立坑を埋戻すため、その上部覆工板の撤去作業を行い、開口部がある状況のなか、開口部に背を向け開口部の主桁に足をかけて玉掛け作業をしていた作業員が、足を滑らせ開口部から2m程度転落し負傷。

(作業員:腰椎骨折・後頭部裂傷(軽症) 全治12週間)

発生要因 ①KY活動時に、高所作業における落下の危険性について作業員へ周知していなかった。②作業箇所の高さが2mを超えていたが、開口部に囲いの設置や安全帯の着用をしていなかった。

再発防止策 ①KY活動は作業員が作成・発表する。統括安全衛生責任者(準ずる者)が朝礼前に内容を確認する。②作業員が開口部に背を向けない覆工板の撤去順の改善とそれに伴うバリゲートの配置計画を策定。

【事故分類 : 転落・墜落 被災者 : 30代】

事故発生状況(改善)バリゲード配置計画

柵を設置していなかった。撤去が進むにつれ歪な開口部が出来る。

③①

① ② ③

撤去順(当初)

柵を素早く設置。開口部形状を理解しやすい。

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平成29年度 工事事故事例③ 【労働災害】

【図面・写真等】

屋内点検の足場の作業床から乗り移った先で作業員が転落し負傷

事故発生年月日 平成29年10月 午後5時頃 工事の概要 下水道設備更新

事故の内容

浄化センター室内で移動式足場を使用し、配管の漏れ点検を実施していた作業員が、作業床のない場所で漏れを発見し、漏れ箇所の増し締めをするため、作業床を離れ、高さ約5.4mの隔壁上部に乗り移り、パイプレンチを配管に掛け、作業をしていたところ、体勢を崩して転落し負傷。 (作業員:右足脛骨始め7か所骨折 全治3か月)

発生要因 ①作業途中で発見した漏れ箇所に移動式足場を設置しなかった。②作業床でない隔壁上部に乗り移り、高所作業を行った。また、安全帯の装着をしていなかった。

再発防止策 ①点検作業のリスクアセスメントを元請会社の安全衛生統括室にて実施し、②リスクの高い作業はKYミーティングや安全周知会等に取り入れて作業員に周知し、移動式足場と安全帯の使用を徹底する。

【事故分類 : 転落・墜落 被災者 : 30代】

事故状況図

締付け箇所

●隔壁上部に乗り移り作業。 ●片手でぶら下がったが墜落。

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平成29年度 工事事故事例④ 【労働災害】

【図面・写真等】

自走式草刈機に搭乗した作業員が堤防斜面で横転し挟まれ死亡

事故発生年月日 平成29年11月 午後2時頃 工事の概要 河川美化推進

事故の内容

指示を受けた当日の除草作業を終えたため、下請の被災者と作業員は離れた次の除草箇所へ移動することとした。被災者はハンドガイド式草刈り機に搭乗し回送を始め、ほかの作業員は処分場へ搬出のため現場を離れていた。被災者は、法尻部から堤防天端の通路に上がる途中の法面で草刈り機が横転し挟まれた。 (作業員:外傷性脳挫傷により死亡)

発生要因 移動作業について、作業手順の確認や安全指示が不十分なまま開始したため、被災者が草刈り機の使用限度(35度)を超える急な勾配の法面(約40度)を通行してしまった。

再発防止策 作業前に危険箇所(勾配が急な箇所、勾配が急に変化する箇所、障害物や足場の悪場所)を事前に把握。作業員の一人作業とならないよう人員体制見直し。作業進捗による新たな作業は追加のKY実施。

【事故分類 : 建設機械等 被災者 : 70代】

事故状況 危険箇所の確認

堤防勾配約40度

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平成29年度 工事事故事例⑤ 【労働災害】

【図面・写真等】

舗設作業中に作業員がアスファルトフィニッシャーに轢かれ負傷

事故発生年月日 平成29年12月 午後0時頃 工事の概要 道路工事

事故の内容

舗設作業中にアスファルトフィニッシャー前方の合材をコンベアへ送る作業をしていた作業員が路面の段差に足を取られ転倒した。運転席のモニターで前方を確認していたオペレータが作業員の姿が見えないことをから運転を開始したところ、転倒していた作業員がフィニッシャーに足を挟まれ負傷。 (作業員:左足骨折 全治5週間)

発生要因 配置されていた誘導員の立ち位置が作業員を視認できない場所であった。また、誘導員の合図により運転を開始すべきところ、オペレーターは運転席のモニターによる確認のみで発進させてしまった。

再発防止策 作業員の一人作業となる場合は、声掛けが出来る位置に見張り員を配置する。作業手順書に誘導員の合図により建設機械を始動する、旨を記載する。

【事故分類 : 建設機械等 被災者 : 60代】

平面図

作業時配置状況

事故再現写真

運転席モニターの死角

合図者から見えない位置

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平成29年度 工事事故事例⑥ 【労働災害】

【図面・写真等】

橋げた下で圧入機付属のクレーンを旋回時に作業員に接触し負傷

事故発生年月日 平成29年12月 午前11時頃 工事の概要 河川工事

事故の内容

橋げた下の鋼矢板圧入機に後退自走装置を取り付けるため、作業員が圧入機上部に工具を置いて作業を行っていたところ、圧入機のオペレータが合図なしに圧入機付属のクレーンを旋回させたことにより、圧入機本体とクレーン旋回部に作業員の左手が挟まれ負傷。 (作業員:左手圧迫 全治2週間)

発生要因 オペレーターがクレーン旋回時に取るべき運転の合図を行っていなかった。クレーン旋回範囲内の圧入機上部に工具を置くなど立入り禁止措置がされていなかった。

再発防止策 圧入機稼働時は本体周辺を立ち入り禁止とし、オペレーターが機械作動前に周囲の作業員へ合図する。圧入機に「ここに物を置かない」とステッカーを貼り、圧入機上部に物を置かせない。

【事故分類 : クレーン等 被災者 : 40代】

事故状況

事故状況(詳細)

再発防止(ステッカー)オペレーター

被災者

主任技術者

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平成29年度 工事事故事例⑦ 【労働災害】

【図面・写真等】

河川整形作業中のバックホウの後退時に作業員が下敷きとなり死亡

事故発生年月日 平成30年2月 午前11時頃 工事の概要 河川工事

事故の内容

河川工事において、0.7m3バックホウが高水敷整地を行い、補助の作業員2名が法尻整地を行っていた。元請業者の現場代理人及び下請業者の主任技術者ともに不在中、1人の作業員が休止していた0.45m3バックホウを無資格で操作を行い、0.45m3バックホウの後退時にもう一人の作業員(外国人技能実習生)が挟まれた。 (作業員:出血性ショックにより死亡)

発生要因 無資格者がバックホウの操作を行い、作業員の分離措置及び誘導員の配置を怠っていた。元請の現場代理人は代理者を立てずに不在(現場管理体制の不備)。新規入場者教育が不十分であった。

再発防止策 元請会社は現場職員に対し誘導員の配置など法令順守について指導教育を行う。現場管理体制の不備のときは作業を中止する。新規入場者教育は新卒者・外国人に配慮した特別な教育を行う。

【事故分類 : 建設機械等 被災者 : 20代(外国人技能実習生)】

事故状況再発防止策(母国語並記)

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平成29年度 工事事故事例⑧ 【労働災害】【公衆災害】

【図面・写真等】

伐木積込中のクレーンが送電線に近接し、オペレーターが感電・負傷

事故発生年月日 平成30年2月 午前9時頃 工事の概要 河川美化推進

事故の内容

河川敷きの伐木を堤防天端に設置したクレーン付きトラックで吊り上げ、荷台に積込む作業をしていた。送電線(77kvV)が上空を通る付近の伐木を荷台に積込むため、トラックを配置し、ブームを引き上げた際、ブームが安全距離4mより接近したため、ブームへ放電、オペレーターが感電の後、送電が停止した。(オペレーター:電撃症 全治3週間、周辺停電無し)

発生要因 元請会社は送電線に気づいていたが、目視で近接作業にならないと判断し、電力会社に事前に連絡しなかった。施工計画書へも送電線は未記載。作業員へも感電災害の安全教育をしていなかった。

再発防止策 現場責任者は送電線が工事現場の上空を通過するときは、目視の判断をせず、施工計画書に記載し、電力会社へ事前連絡する。KY活動時に電力会社のリーフレットを用いて安全教育を行う。

【事故分類 : 電気 被災者 : 40代】

事故状況送電線安全離隔距離(事故現場)

【目視は危険】目視の電線は実測よりも、より高くより遠くに見えます。

再発防止策(リーフレット抜粋)

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平成29年度 工事事故事例⑨ 【労働災害】

【図面・写真等】

舗装作業中、後退してきた路面清掃車に作業員が轢かれ死亡

事故発生年月日 平成30年2月 午前11時頃 工事の概要 舗装修繕工事

事故の内容

舗装修繕のため、舗装切削機によりアスファルトの切削を行った。切削時に発生するごみなどを路面清掃車により回収していた。切削した舗装の厚みを確認するため、撮影者と測定者(被災者)が計測していたところ、路面清掃車が後退し、被災者が下敷きとなった。 (作業員:外傷性心破裂により死亡)

発生要因 路面清掃車が誘導員の指示により、運転していなかった。オペレーターが路面清掃車のサイドミラー及びモニターの死角について理解不十分であった。

再発防止策 誘導員を作業機械ごとに配置し、路面作業車の始動は誘導員の合図により行う。機械作業と出来形測定作業の間にセーフティコーン及びコーンバーを設けて、作業箇所を分離にする。

【事故分類 : 建設機械等 被災者 : 60代】

路面清掃車(後退)

①作業機械ごとの誘導員の配置②セフティコーン設置

事故状況

出来形管理のため待機路面清掃車の通過後に立入

重機誘導員 被災者

合図

再発防止策

① ②