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〔大角 暢之氏:著者〕
一般社団法人日本RPA協会 代表理事 / RPAテクノロジーズ株式会社 代表取締役社長。
早稲田大学を卒業後、アンダーセンコンサルティング株式会社(現アクセンチュア株式会社)に入社。 2000年オープンアソシエイツ株式会社を設立し取締役に就任、ビズロボ事業部を発足し、「BizRobo!」の提供を開始。2013年ビズロボジャパン株式会社(現RPAテクノロジーズ株式会社)を設立し代表取締役社長に就任。 2016年7月一般社団法人日本RPA協会を設立し、代表理事に就任。
〔佐々木 俊尚氏:監修〕
1961年兵庫県生まれ。作家・ジャーナリスト。毎日新聞社で記者を務めた後、月刊アスキー編集部を経て、フリージャーナリストとして独立。IT・メディア分野を中心に、執筆・講演活動を展開している。
書籍・著者紹介
RPA革命の衝撃(著)大角 暢之 (監修)佐々木 俊尚
プロローグ
1. RPAとはなにか?
2. 欧米で進むRPA革命最前線
3. RPAによって企業はどう変わるか
4. RPA導入の実際とポイント
5. RPA革命で変わる業界-そのケースメソッド
Case1 オリックス株式会社
Case2 キューアンドエーワークス株式会社
Case3 ソフトバンク株式会社
Case4 株式会社三菱東京UFJ銀行
Case5 大手金融機関
6. 進化し、活用の場を広げるRPA
7. 日本型RPAの未来
Contents
プロローグ
中核に位置する技術がRPA
現状放置シナリオ
• 我が国産業が海外のプラットフォーマーの下請けに陥る
• 社会課題を解決する新たなサービス付加価値を生み出せず
• 機械・ソフトウェアと競争する、低付加価値・低成長の職業へ労働力が集中
労働者数の減少• 製造・調達 ▲262万人• バックオフィス▲145万人• 上流工程 ▲136万人
変革シナリオ
• 社会課題を解決する新たなサービスを提供し、グローバルに高付加価値・高成長部門を獲得
• 技術革新を生かしたサービスの発展による生産性の向上と労働参加率の増加により労働力人口減少を克服
• 機械・ソフトウェアと共存し、人にしかできない職業に労働力が移動する中で、人々が広く高所得を享受する社会
労働者数の増加• サービス +179万人• 営業販売 +114万人• 上流工程 + 96万人• IT業務 + 45万人
■ 『新産業構造ビジョン』~第4次産業革命をリードする日本の戦略~(経済産業省/産業構造審議会)
▲735万人
▲161万人
1. RPAとはなにか?
企業経営の「人手不足」を解消する最強のツールになる可能性は大きい
■ RPA(Robotic Process Automation)とは・・・ロボットによる業務自動化の取り組みを表す言葉(RPAテクノロジーズHPより抜粋)
情報システム ・・・ 作業者のサポートRPA ・・・・・・・・・ 作業者そのもの⇒RPAが解決する最大の課題は『ヒューマンリソース』
社員の手作業による業務多い
オフショアBPO* SSC**
現状の解決策
* 企業がコアビジネス以外の業務プロセスの一部を海外の専門業者に委託すること** グループ企業内で個々の企業におかれている人事や経理、総務などの共通業務を集中管理している事業部や子会社
少子高齢化による労働力不足課題 コスト削減
インド・中国の人件費高騰
コスト削減効果は望みにくく
SSCに業務集約できず
• あらゆる労務問題の解決• 業務品質の向上• 業務スピードの向上• 業務変更への対応が容易
RPAの
メリット
ロボット代行(日本型RPA)
システム
長い開発期間&多額のコスト
社内決裁通らず
1. RPAとはなにか?
2025年までに全世界で1億人以上の知的労働者、もしくは1/3の仕事がRPAに置き換わるといわれている。
特徴 主な適用対象 技術イメージ 現状
クラス1定型業務の自動化
• 人間が実施していた定型業務を自動化
• 例外対応等は人間が必要
• 情報の取得(構造化情報)• 入力作業• 検証作業• 複数システムへのログイン
縦横無尽にシステムを超えた処理ができる• BizRobo!• Blue Prism• AutomationAnyware
• Ui Path• openspan
現在のRPAの段階
クラス2一部非定型業務の自動化
• 例外対応や非定型業務の自動化• ディープラーニング• 非構造化情報(自然言語等)
• 情報の取得(非構造化情報)
• 知識ベースを活用した問合せに対する回答
• 人の介在によるアナリティクス
• IBMWatson• IPSoft• Google TensorFlow
実験段階(商用化は1~2年先)
クラス3高度自律化
• 高度な人工知能により、作業の自動化のみならず、プロセスの分析・改善、意思決定まで自動化
• 意思決定• 複雑な処理• 高度なアナリティクス
実現はかなり先
■ RPAの3つの段階とその適用領域
2. 欧米で進むRPA革命最前線
これまでにはできなかったことを可能にするツール
従来
導入後
システム
Webサイト
手入力FAX送信
申請
■ イギリスの大手携帯電話会社の事例 ~ ブループリズム(イギリスのRPAのパイオニア企業)の導入 ~
申請者
申請者
必要事項
申請書
オペレーター
RPA
数日間
数分間
RPAは、他のシステムに比べ、• 導入が容易、短時間で使用できる• 安価な投資で、効果を体験できる
以下の業務には最適のツール• 取るに足らないがやらなければならない仕事• 避けられなかったルーティン業務• 別システムにデータを右から左へ移し替えるだけの単純作業• 新しいシステムとレガシーシステムをつなぐデータ移行作業
同じシステムを使用
2. 欧米で進むRPA革命最前線
内容 備考
連邦型/分散型
ロボットの運用は各部門に任せて、ロボット専門組織は何をやっているのかを把握し、横のコンフリクトがないかどうかだけを確認したうえで標準を作る方式
(メリット)
• 各部門に制作と管理を任せるため、ロボットを早く作ってスピーディーに活用できる
(デメリット)• 既存のシステムに影響する可能性• 他のロボットに干渉して動作を狂わせる「野良ロボット」ができる可能性
集中型
ユーザー部門は「何を作りたいか」「どんなことをやりたいか」等の要件定義を統括部門に提示、それに応じてロボット統括部がロボットの作成から標準化、PoC、
運用までを一貫して管理する方式
(メリット)• 検証済みの安全なロボットを現場に送り込める
• ロボット単体での業務対応だけでなく、複合的な業務に対しても複数のロボットを一括して企画・設計・制作・管理することが可能になる
(特徴)• 金融機関に多い• セキュリティ管理を徹底する場合に望ましい方式
併存型
予想するリスクに照らして効果がそれよりも大きい場合は分散的に導入し、リスクを避けたい場合は集中管理する方式
• 省コスト、スモールスタートが可能なRPAならではの活用方法
■ ロボット管理専門組織の3つの方式(ロボット専門組織:RPA活用の標準を決めたり、ロボット作成のルール作りや管理を担当)
e.g. コールセンター
Ⓐ リードタイム
Ⓑ 品 質
Ⓒ 原 価
3. RPAによって企業はどう変わるか
RPAが簡単であることが、肝心な効能に負けないほど重要な要素
■ 業務改善のための指標
• アプリケーション:IT化の採算が取れなければו 業務プロセス:圧倒的な成果は期待できない• 人:消去法で残るが、昔は人以外の選択肢無し
Ⓐ1件当たり処理時間短く⇒Ⓑ丁寧さ欠く不適切な対応
Ⓑ丁寧な対応で品質Up⇒1件当たり時間UP⇒Ⓒ原価Up
相互に背反するた
め同時に最適化は
ハイレベルな難問
■ 業務改善のポイント
解決できるのはRPA
RPAで最適化
■ 業種別RPAの導入状況
• 金融業界:導入実績が着実に増加。• メーカー:製造現場の実績があり、新参者の
RPAに容易に飛びつかないが、今後は導入が進むと見込む。
• OSINT*:RPAとの相性の良さから導入相次ぐ。• アマゾン:クラス2、一部クラス3のRPA導入。• 不動産業界:導入実績比較的多いが、収益的効果は高くない。但し、改善ポイント多い。
• 介護業界:夜間外出監視「見守りクライドロボ」
* 官公庁、Eコマース、情報セキュリティ等の機密情報収集を主たる業務とする領域
4. RPA導入の実際とポイント
近い将来、RPAはいつでもだれでも借りることができるものになる
■ Point1 : RPAの導入フロー(PoC:概念実証)
• パートナー企業(コンサル)の存在• RPA導入を計画する場合には、事業部門のトップへのアプローチが最適
• なんでもロボットに任せればいいという誤った認識を持たせない
• 業務の要素を分解して考えてみる
コンセプト抽出
• RPAの概念をいかに社内に取り入れるか• RPAによってどんな狙いや目標を達成できるか
アイデア収集
• 顧客の満足度を高める• 仕事の無駄を省く• 労働時間を短縮する
小規模で実行
• アイデアが絵に描いた餅にならないかを確認
• 小さな形で始める
規模拡大• 効果を検証• 段階的に導入規模を拡大
■ Point2 : RPAのスケーラビリティ(拡張性)
管理
• 業務変更・追加や一部のロボットに問題が発生した場合でも、迅速に対応できる集中管理プラットフォームが必須
• ロボットを運用管理できる管理者の存在
設定 • スケールアップした時に対応できる設定か
■ その他のPoint
5. RPA革命で変わる業界-そのケースメソッド
■ Case1 オリックス株式会社(OBCO*:オリックスのシェアードサービス会社)特徴:従来より業務改善に取り組み、稼働率を50%から80%に向上
【OBCOがRPAと高い親和性を持つ要因】• 業務が可視化されているため、ロボット化が可能な業務を短期間で棚卸できる• 業務が可視化されているため、ロボット化の投資対効果が算出しやすい• 大量の業務がOBCOに一元的に集約されているため、経済効果が高い• 業務標準化・多数の業務フロー記述に熟達したスタッフによりRPAの制作操作が比較的容易に行える• 業務可視化とマルチタスク化により人材流動化でき、ロボット化により創出されるリソースの再配置可能* オリックス・ビジネスセンター沖縄株式会社
■ Case2 キューアンドエーワークス株式会社(人材派遣業)
【RPAによって生まれる3つの雇用】• RPAに適したロボットを作る人• RPA化された業務設計の中で働く人• RPAに適したロボットをサポートする人
■ Case4 株式会社三菱東京UFJ銀行(デジタルイノベーション推進部*)
事務センターでの点検・データ集計のプロセス等がRPAで実際に自動化できるかどうかを検証(PoC)【注意点】• 判断基準の明確化:一般的なBPMのプロセス定義よりももっと細かいレベルまでブレークダウン• 従来のシステム開発とは異なりエラーが出る:日常的にリトライが発生する
20業務を実証⇒数百時間から数千時間の効率化(6万時間の効率化と試算)
5. RPA革命で変わる業界-そのケースメソッド
* 先進的な技術を研究・検証し、それを業務改革に取り入れていくための先端機関
■ Case5 大手金融機関
• OCR+RPA⇒失敗:OCRの精度に原因• RPAによる複数システムへの入力⇒解決
■ Case3 ソフトバンク株式会社(AIビジネスを推進)
【RPA活用の二つの取り組み】
自社内活用(Half and Twice)
環境変化に対するRPAの柔軟性の高さ:⇒リーズナブルなコストで一部の部署でも導入が可能なため、気軽にトライ
クライアントへのソリューション提供
(コグニティブ・ロボット領域)
Pepperを活用したソリューション①在庫照会②会議室予約
6. 進化し、活用の場を広げるRPA
RPAに認知技術を活用することで、さらなるコストダウンの可能性が高まる
■ AIエージェント開発のステップ(ネットスマイル齋藤氏の計画)(AIエージェント:人工知能を搭載し、人と同じように行動する知性を持つソフトウェア)
レベル1 今実在している「チャットBOT」のようなもの• 人工知能が文章を構造化• 文章の内容を5W1Hの形で対話できる能力
レベル2 エンティティ(固有表現)とセンチメント(感情)• 文脈で使われている言葉の意味をほぼ正確に理解できる(「タイタニック」は船か映画か)
レベル3 メモリ領域と対話の意図• メモリを重要・非重要に分けて記憶• 話者の意図に応じた回答を行うための対話マネジメント機能
レベル4 子どもの脳• 経験しながら知識を獲得• データをリアルタイムにメモリに格納しながら覚えていく機能
• ドラえもんのようなAIエージェントになりうるレベル• ホワイトカラーの仕事の50%を担えるようになる• シンギュラリティ*に達する
* 技術的特異点、人工知能が人間の能力を超えることで起こる出来事
【RPAに必要となる人材】• 人工知能に学習させる人• 人工知能自体を作る人• 人工知能をメンテナンスする人• 人工知能の学習データを作る人