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特集 2 教育と職業 第1部/スポーツ立国の実現/教育と職業

平成22年度文部科学白書 特集2 教育と職業1/22011/10/05  · 78 文部科学白書2010 第1部 スポーツ立国の実現/教育と職業 *3 Benesse教育研究開発センター「平成17年度

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  • 特集2教育と職業

    第1部/スポーツ立国の実現/教育と職業

  • 74 文部科学白書 2010

    第1部 スポーツ立国の実現/教育と職業

    第 1 節 「教育と職業」を巡る現状と課題 経済のグローバル化の進展や,産業構造・就業構造の変化,少子・高齢化の進展に伴う労働力人口の減少など,我が国の経済・社会の構造が大きく変化する中,次代の経済・社会の担い手となる若者の「学校から社会・職業への移行」や「社会的・職業的自立」が円滑に行われること,そして,人々が生涯にわたり職業に関する学習を行い,職業能力を高め,就業やキャリアアップを図ることができる環境を充実していくことが,我が国の持続的発展にとって極めて重要な課題となっています。 本節では,まず,教育と職業を巡る現状と課題について見ていきます。

    1 若者の「学校から社会・職業への移行」や「社会的・職業的自立」における現状と課題

     現在の若者は,大きな困難に直面しています。 それは,若者の完全失業率や非正規雇用率の高さ,新卒者の就職内定率の低さ,若年無業者や早期離職者の存在など,「学校から社会・職業への移行」が円滑に行われていないという点に顕著に表れています。 例えば,図表 1-2-1にあるとおり,15 歳から 24 歳までの完全失業率は,平成3年は 4.5%であったのに対し,22 年は 9.4%となっています。全年齢の平均が3年は 2.1%,22 年は 5.1%であるのと比較すると,若年者の雇用情勢の厳しさがうかがえます。 また,新卒者の就職状況も厳しく,平成 23 年春の新卒者の就職率は,図表 1-2-2のとおり,大学は 91.0%(23 年4月1日現在)で,8年度の調査開始以降,最低の水準となっています。高等学校は93.2%(23年3月末現在)で,前年より1.6ポイント上昇したものの,23年3月末の求人倍率は1.24倍と,前年同期(1.29 倍)を下回っています。 さらに,新卒者が正規の従業員として採用される機会の減少が指摘されているように,正規の従業員以外の就業形態で働く若者が増加しています。図表 1-2-1にあるとおり,15 歳から 24 歳までの非正規雇用率について,平成3年は 9.3%だったのに対し,22 年は 31.7%と大幅に上昇しています。35歳から 44 歳までの非正規雇用率の変化が,3年は 20.1%,22 年は 26.3%であるのと比較すると,非正規雇用が若年者において特に拡大しています。 また,15 歳から 34 歳までの非労働力人口のうち,家事も通学もしていない若年無業者(いわゆるニート)は,平成 14 年以降,60 万人台の水準で推移しています*1。 さらに,新卒者が3年以内に離職する割合は,平成 19 年3月の卒業者では,中学校卒業者で約 65%,高等学校卒業者で約 40%,大学卒業者で約 31%,短期大学等卒業者で約 41%という状況にあります*2。

    * 1 総務省統計局「労働力調査(基本集計)」*2 厚生労働省「新規学校卒業就職者の就職離職状況調査」

  • 文部科学白書 2010 75

    特集2

    教育と職業

    図表1-2-1 若年者の失業率,非正規雇用率の推移

    0

    2

    4

    6

    8

    10

    12

    (年)

    (出典)失業率は,総務省統計局「労働力調査」    非正規雇用率は,総務省統計局「労働力調査特別調査」(2月調査)及び「労働力調査(詳細結果)」(1~3月調査)

    平成元2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 181716 212019 22

    (%)

    ※非正規雇用率は,非農林雇用者(役員を除く)に占める割合。なお,15~ 24歳では在学中の者を除く。

    ※完全失業率は,年平均

    全年齢25~ 34歳15~ 24歳

    失業率(平成3年)15~ 24歳:4.5%全年齢平均:2.1%

    失業率(平成15年)15~ 24歳:10.1%全年齢平均: 5.3%

    失業率(平成22年)15~ 24歳:9.4%全年齢平均:5.1%

    0

    5

    10

    15

    20

    25

    30

    35

    40

    (年)平成元2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 181716 212019 22

    (%)

    9.3%

    20.1%

    34.6%31.7%

    26.3%26.4%

    若者の失業率

    若者の非正規雇用率

    35~ 44歳25~ 34歳15~ 24歳

  • 76 文部科学白書 2010

    第1部 スポーツ立国の実現/教育と職業

    図表1-2-2 新卒者の就職(内定)率の推移

    91.1 91.0

    81.6

    74.5

    63.6

    88.2

    71.3

    55.5

    89.2

    72.8

    56.3

    86.3

    67.8

    50.7

    86.7

    66.3

    47.1

    89.0

    68.0

    48.1

    91.2

    73.4

    53.1

    92.8

    77.9

    59.0

    93.9

    81.5

    64.2

    94.7

    83.8

    67.4

    93.2 93.2

    82.3

    66.8

    91.6

    74.8

    55.2

    77.9

    57.1

    91.9

    82.3

    75.2

    63.7

    92.1

    82.9

    76.7

    65.0

    92.8

    83.5

    76.7

    64.1

    93.1

    82.1

    73.5

    60.2

    93.5

    82.6

    74.3

    61.3

    95.3

    85.8

    77.4

    65.8

    96.3

    87.7

    79.6

    68.1

    96.9

    88.7

    81.6

    69.2

    95.7

    86.3

    80.5

    69.9

    91.8

    80.0

    73.1

    62.5

    77.4

    68.8

    57.6

    (出典)大学は,文部科学省・厚生労働省調査。高等学校は,文部科学省調査

    平成11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 2250

    60

    70

    80

    90

    100

    (各年度3月卒)

    (%) 4月1日現在10月1日現在〈大学〉

    12月1日現在 2月1日現在

    平成11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22(年度)

    (%) 就職(内定)率10月末〈高等学校〉

    就職(内定)率12月末 就職率3月末

    40

    50

    60

    70

    80

    90

    100

     一方,若者の「社会的・職業的自立」については, ・働くことへの関心・意欲・態度,目的意識,責任感,意志等の未熟さ ・ コミュニケーション能力,対人関係能力,基本的マナーなど,職業人としての基本的な能力の低

    下 ・職業意識・職業観の未熟さなどが課題として指摘されています。 例えば,図表1-2-3のとおり,企業が新卒者の採用について重視する点として,コミュニケーション能力や主体性・協調性を挙げていますが,その一方で,若者の職業に関する能力については,図表1-2-4のとおり,最近 10 年間の大学・大学院卒の人材について,約 38%の企業は質が低下したと感じていることからも,このような状況が生じていることがうかがえます。 また,早期離職率が高い状況にあって,図表1-2-5のとおり,離職の理由としては,仕事に対する適性や人間関係をめぐる課題が挙げられることが多くなっています。

  • 文部科学白書 2010 77

    特集2

    教育と職業0

    102030405060708090(%)

    その他

    インターンシップ受講歴

    保有資格

    所属ゼミ/研究室

    クラブ活動/ボランティア活動歴

    感受性

    語学力

    出身校

    倫理観

    学業成績

    一般常識

    信頼性

    創造性

    柔軟性

    リーダーシップ

    職業観・就労意識

    専門性

    論理性

    潜在的可能性

    責任感

    誠実性

    チャレンジ精神

    協調性

    主体性

    コミュニケーション能力

    4.10.00.50.80.81.02.6

    3.94.15.413.5 13.714.515.816.316.6

    19.221.225.6

    32.938.9

    48.450.360.6

    81.6

    図表1-2-3 新規採用にあたって重視する点

    (出典)㈳日本経済団体連合会「2009年度・新卒者採用に関するアンケート調査結果」(平成22年4月)

    高校卒

    専門学校卒

    高専・短大卒

    大学・大学院卒

    図表1-2-4 企業の人材水準への評価

    13.07.431.035.610.12.9

    17.36.227.141.07.21.3

    8.78.327.141.512.22.1

    23.69.323.936.06.31.0

    (出典)文部科学省「専門学校教育の評価に関する現状調査」(平成20年3月)

    質が高くなった

    やや高くなった

    変わらない

    やや低くなった

    質が低くなった

    無回答

    38.4%

    33.3%

    35.4%

    33.2%

    (%)

    図表1-2-5 初めて就いた職業を離職した理由

    26.0

    17.8

    14.8

    14.0

    9.9

    5.6

    4.9

    2.3

    1.7

    13.1

    11.9

    (出典)内閣府「青少年の社会的自立に関する意識調査」(平成16年度)

    (%)

    わからない

    その他

    解雇された

    勤務先が倒産した

    契約期間が過ぎた

    健康を害した

    労働時間が長い

    賃金が低い

    結婚・出産した(しようとしていた)

    人間関係がよくない

    仕事があわない,またはつまらない

  • 78 文部科学白書 2010

    第1部 スポーツ立国の実現/教育と職業

    * 3 Benesse 教育研究開発センター「平成 17年度 経済産業省委託調査 進路選択に関する振返り調査-大学生を対象として-」

    図表1-2-6 現在行っている学習と将来とが結びつかない中学生・高校生

    (出典)国立教育政策研究所 生徒指導研究センター中学校・高等学校向けキャリア教育推進パンフレットより転載

    〈中学生〉

    〈高校生〉

    ●国際教育到達度評価学会(IEA) 国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)2007より

     このように,社会に出るまでに「社会的・職業的自立」に向けて必要な基盤となる能力や態度が十分に身に付いていないことが,円滑に,学校から社会・職業に移行できない原因の一つになっていることが考えられます。 また,学習と将来の仕事との関連についての子どもたちの意識を見ると,図表1-2-6のとおり,我が国の子どもたちは,諸外国に比べて,将来就きたい仕事や自分の将来のために学習を行うという意識が低いことが明らかとなっています。 このため,子どもたちが自らの将来に対する夢やあこがれを持ったり,将来就きたい仕事などを思い描いたりしながら,学習との関連や学習の意義を認識し,意欲的に学習を進めていく気持ちや態度につながるよう,働きかけていくことが課題となっています。

     また,大学1年生のうち,高等学校卒業までに職業を意識したことがない者が約 31%いるという調査結果*3があることに見られるように,高等教育機関への進学率の上昇に伴い,将来の生き方・働き方について考え,選択・決定することなく,進路意識や目的意識が希薄なまま進学する者が増加していることが指摘されています。 このような中,大学については,図表 1-2-7のとおり,高校生が進学を希望する理由として,「将

  • 文部科学白書 2010 79

    特集2

    教育と職業

    来の仕事に役立つ専門的知識・技術を身に付けたいから」という回答が最も多いという調査結果があります。その一方で,図表1-2-8のとおり,「将来の職業に関連する知識や技能」について,約4割の学生は「これまでの授業経験は役立っていない」又は「あまり役立っていない」,約8割の学生は「自分の実力は不十分」又は「あまり十分ではない」と回答する調査があるなど,学生のニーズに対応した教育が十分に提供されていない状況も見られます。

    図表1-2-7 高校生が進学を希望する理由

    56.5

    39.4

    26.4

    18.1

    16.9

    (出典)日本進路指導協会「中学校・高等学校における進路指導に関する総合的実態調査」(平成18年3月,文部科学省委託)

    (%)

    上級学校などを卒業したほうが就職に有利だと思うから

    学校生活を楽しみたいから

    教養を高めたいから

    希望する職業につくために必要な資格をとりたいから

    将来の仕事に役立つ専門的な知識・技術を身につけたいから

    図表1-2-8 大学生の大学教育への評価

    9.529.642.417.2

    4.723.849.520.5

    4.524.048.720.8

    (出典)全国大学生調査コンソーシアム,東京大学大学経営・政策研究センター「全国大学生調査(2007年)」

    これまでの授業経験は

    役立っている

    役立っていない 自分の実力は十分 不十分

    専門分野の基礎となるような理論的理解・知識

    専門分野での知識・理解

    将来の職業に関連する知識や技能

    0 20 40 60 80 100(%)

    30.050.615.4

    1.3

    25.151.319.3

    1.4

    22.349.722.6

    2.0

    0 20 40 60 80 100(%)

    役立っている ある程度役立っているあまり役立っていない 役立っていない

    十分 ある程度十分あまり十分ではない 不十分

     また,高等学校の普通科や大学に進学すること自体を評価する社会的風潮が根強くある中,社会全体を通じて,職業に関する教育に対する認識が不足していることが指摘されています。 その結果,自らの将来の生き方・働き方などについて真剣に考えることなく,安易に進路選択をするなど,職業へ移行する準備が十分に行われず,そのことが,新卒者の早期離職や若年無業者の存在などの問題に影響を与えていると考えられます。

    2 職業に関する生涯学習における現状と課題 我が国の雇用慣行の大きな特徴として,長期雇用を前提とした企業内教育・訓練があります。これまでは,学校において基礎的な知識などを身に付けさせ,職業に必要な専門的な知識・技能は,主に企業内教育・訓練などを通じて,仕事をしながら育成することが一般的でした。 しかし,図表 1-2-9のとおり,人材育成に課題があるとする企業は全体の約7割に達しています。

  • 80 文部科学白書 2010

    第1部 スポーツ立国の実現/教育と職業

    図表1-2-9 人材育成に関する問題があるとする事業所及び問題点の内訳

    (出典)厚生労働省「能力開発基本調査」(平成22年度)

    67.5

    48.1

    46.6

    35.8

    27.4

    26.3

    10.3

    6.8

    2.7

    7.0

    (%)

    その他

    技術革新や業務変更が頻繁なため,人材育成が無駄になる

    人材育成の方法が分からない

    適切な教育訓練機関がない

    育成を行うための金銭的余裕がない

    鍛えがいのある人材が集まらない

    人材を育成しても辞めてしまう

    人材育成を行う時間がない

    指導する人材が不足している

    【問題点の内訳】

    問題がある

    図表1-2-10 中途採用者の採用の際に企業が重視するもの

    (出典)内閣府「企業の採用のあり方に関する調査」(平成18年)

    75.6

    50.8

    37.6

    28.6

    26.5

    20.0

    4.3

    3.5

    (%)

    ※「中途採用を募集するとき採用にあたりどのような能力を重視しますか。(○は3つまで)」と聞いた問に対する回答※回答企業は,全国の従業員規模30人以上の企業898社(無回答・無効回答を除く)

    英語など外国語能力

    その他

    企画などの提案・プレゼンテーション能力

    部下の統率などマネージメント能力

    ワープロ・表計算などのパソコン操作能力

    接客など顧客対応能力

    上司・同僚などとのコミュニケーション能力

    専門的な技術・知識

    * 4 厚生労働省「能力開発基本調査」(平成 21年度)

    その理由としては,指導する人材の不足(約 50%)や時間の不足(約 47%)が挙げられており,企業が人材育成を行う余裕を失っている状況がうかがえます*4。 また,1で見たような非正規雇用者の増加は,職業能力の形成の上でも問題を生じさせています。非正規雇用者は,正規雇用者に比べ,企業内教育・訓練を受けられる機会が限られているため,仕事を通じた能力の向上が図りにくくなっています。また,図表 1-2-10のとおり,企業は中途採用を行う際に専門的な知識・技能を重視する傾向にあるため,このことが,非正規雇用者が職業生活におけるキャリア形成を図っていく上でも課題となっています(「キャリア」の定義については,第2節1(1)を参照)。

     さらに,科学技術の進展や急速な技術革新などが進む中,職業に求められる専門的な知識・技能が高度化・多様化しています。このようなことから,労働者が自らの専門性を高めたり,新しい職業に対応するための知識・技能を身に付けるために,大学などで改めて学習することのニーズが高まりつ

  • 文部科学白書 2010 81

    特集2

    教育と職業

    つあると考えられます。例えば,図表1-2-11のとおり,労働者が自己啓発を行った理由の約8割が,現在の仕事に必要な知識・能力を身に付けるためとなっています。 しかしながら,大学などにおける社会人の学習については,図表 1-2-12にあるとおり,大学入学者のうち 25 歳以上の者の割合は,OECD諸国の平均では約 21%であるのに対し,我が国では約2%にとどまっています。

    図表1-2-11 労働者が自己啓発を行った理由

    (出典)厚生労働省「能力開発基本調査(個人調査)」(平成22年度)

    85.178.4

    57.443.2

    33.427.7

    14.36.3

    7.911.5

    7.110.7

    4.83.8

    4.61.0

    9.19.5

    (%)

    正社員正社員以外その他

    海外勤務に備えて

    配置転換・出向に備えて

    退職後に備えるため

    転職や独立のため

    昇進・昇格に備えて

    資格取得のため

    将来の仕事やキャリアアップに備えて

    現在の仕事に必要な知識・能力を身につけるため

    図表1-2-12 各国の25歳以上の大学入学者の割合(2008年)

    (出典)OECD「教育データベース2008年」(日本の数値は「学校基本調査」と文部科学省調べによる社会人入学生数)

    39

    3533 32

    28 2826 26 25 24 24

    21 21 2119 19 18 18

    14 14 13 13 13 12 11 10

    2

    21

    (%)

    各国平均

    日本

    イタリア

    アイルランド

    スペイン

    ポーランド

    オランダ

    メキシコ

    トルコ

    ドイツ

    韓国

    ルクセンブルク

    イギリス

    ハンガリー

    アメリカ

    チェコ

    オーストリア

    フィンランド

    デンマーク

    スイス

    オーストラリア

    スロベキア

    ギリシャ

    ノルウェー

    NZ

    スウェーデン

    ポルトガル

    アイスランド

     この背景には,職業生活と学習の両立のための費用・学習時間の確保や,提供されている教育プログラムの内容,企業等の理解などといった問題が考えられます。また,教育機関においても土日等における授業の開講など社会人が柔軟に授業を受けられるような工夫が求められます。例えば,図表1-2-13のとおり,社会人のリカレント教育に関し,受講において想定される課題としては,「仕事が忙しい」(約 72%),「費用負担が大きい」(約 71%)と回答した者が多い一方,「会社の理解が得にくい,公表しづらい」(約 21%),「社会人向けのカリキュラムが充実していなかった」(約 16%)と回答した

  • 82 文部科学白書 2010

    第1部 スポーツ立国の実現/教育と職業

    図表1-2-13 社会人のリカレント教育について

    (出典)「職業能力開発総合大学校能力開発研究センター調査報告書No.128」(平成17年3月)

    72.3

    71.0

    33.3

    25.7

    21.3

    15.7

    (%) 74.0

    61.6

    54.6

    52.1

    50.0

    36.1

    33.8

    (%)〈受講において想定される課題〉 〈教育機関の選択において重視する点〉

    社会人向けのカリキュラムが充実していなかった

    会社の理解が得にくい,公表しづらい

    通学に時間がかかる

    決められた期間内での単位取得が不安・負担

    費用負担が大きい

    仕事が忙しい

    授業単位で学費を支払えること

    教員が魅力的なこと

    土日,休日の開講

    時間帯が自由に選択可能

    授業料が安い

    通学しやすい場所に学校があること

    カリキュラムが魅力的であること

    図表1-2-14 就業状態の類型の分布(性別・学歴別)

    (出典)労働政策研究・研修機構「大都市の若者の就業行動と移行過程-包括的な移行支援に向けて-」から作成    項目は,離学時点から調査時点(2006年2月)までの就業経験により分類。    調査対象は,東京都の18-29歳の若者計2000人(正規課程の学生,専業主婦を除く)

    30.427.5

    13.9

    4.4

    29.336.4

    8.3 4.9

    53.0

    14.110.2

    3.5

    49.5

    22.1

    9.11.4

    39.1

    26.1

    17.4

    4.3

    39.8

    19.9

    9.93.7

    33.2

    22.3

    10.9

    1.0

    29.626.1

    9.02.0

    21.3

    34.1

    13.1

    5.8

    19.1

    51.1

    3.58.2

    5.3

    40.0

    24.2

    6.3

    0.0

    72.5

    11.613.0

    9.8

    45.9

    27.9

    8.2

    4.9

    58.5

    22.0

    4.9

    高等教育中退中卒・高校中退高卒専門卒短大・高専卒大学・大学院卒合計

    高等教育中退中卒・高校中退高卒専門卒短大・高専卒大学・大学院卒合計

    女性

    男性正社員定着非典型一貫正社員以外から正社員現在無業

    ※非典型一貫:離学直後が非典型雇用や失業・無業,あるいは自営・家事従事であり,かつ,調査時点で非典型雇用である者 非典型:アルバイト・パート,契約・派遣の働き方  他形態:非典型に自営・家事従事者を含めた働き方

    者も一定程度存在しています。また,教育機関の選択において重視する点としては,「カリキュラムが魅力的であること」(約 74%)と回答した者が最も多くなっており,以下「通学しやすい場所に学校があること」(約 62%),「授業料が安い」(約 55%),「時間帯が自由に選択可能」(約 52%),「土日,休日の開講」(50%)などの回答が多くなっています。

     どのような学校段階に進んだかということと,卒業後の就業状態や所得との関係については,例えば,図表 1-2-14のとおり,正社員として定着する割合は,男女ともに「大学・大学院卒」「短大・高専卒」「専門卒」「高卒」の順となっています。一方,「中卒・高校中退」や「高等教育中退」については,男女ともに非正規雇用となっている場合が多くなってます。

  • 文部科学白書 2010 83

    特集2

    教育と職業

     また,図表 1-2-15,図表 1-2-16のとおり,国際的には,高等教育を修了した者については,後期中等教育(普通教育)を修了した者と比べ,失業率が低くなっていることや,高等教育を修了した者の方が,後期中等教育を修了した者や後期中等教育未満の者に比べ,学校の修了段階別の収入が高いということが傾向として見られます。 以上のことから,人々の希望やライフステージに応じて,個々人の能力を伸長できるよう生涯にわたり多様な学習機会を確保していくことが,人々の安定した就業や家計の実現という観点からも重要であると考えられます。

    図表1-2-15 25~64歳労働人口に占める学歴別失業率(2008年)

    (出典)OECD「図表でみる教育~OECDインディケータ(2010年版)」

    ※上級研究学位プログラム:博士号などの上位の研究資格の取得に直接結びつく高等教育プログラム 非大学型高等教育:通常,大学型高等教育よりも修業年限が短く,就職に直接結びつく,実践的,技術的及び職業技能に焦点を          絞ったプログラム

    5.4

    6.8

    9.4

    4.9

    6.6 6.6

    4.9

    7.8

    6.3

    4.4

    3.5

    5.6

    4.34.04.54.04.2

    5.5

    3.52.9

    5.3

    3.43.2

    7.8

    3.4

    2.4

    3.3 3.23.3

    5.5

    3.23.6

    5.0

    3.13.84.0

    2.7

    3.6

    4.6

    2.7

    3.74.4

    2.43.13.3

    2.41.9

    3.0

    2.1

    1.1

    2.9

    2.12.82.1 2.1

    3.6

    5.3

    1.92.3

    3.4

    1.8

    3.02.9

    1.5

    2.32.0

    大学型高等教育及び上級研究学位プログラム非大学型高等教育後期中等教育(普通教育)

    オランダ

    オーストラリア

    イギリス

    アメリカ合衆国

    ニュージーランド

    オーストリア

    デンマーク

    韓国

    日本

    アイルランド

    スウェーデン

    OECD各国平均

    フィンランド

    メキシコ

    ドイツ

    ベルギー

    カナダ

    イタリア

    フランス

    ギリシャ

    チリ

    スペイン

    0

    2

    4

    6

    8

    10(%)

    図表1-2-16 25~64歳人口の学歴別収入比較(2008年または最新の数値が得られた年)

    (出典)OECD「図表でみる教育~OECDインディケータ(2010年版)」

    210

    73

    183

    72

    181

    69

    177

    66

    177

    68

    167

    83

    167

    90

    160

    68

    160

    69

    155

    76

    155

    86

    154

    71

    154

    74

    154

    85

    153

    78

    153

    74

    150

    84

    149

    69

    148

    80

    148

    94

    142

    79

    138

    81

    133

    89

    131

    81

    128

    79

    126

    83

    125

    83

    118

    82

    ニュージーランド

    デンマーク

    スウェーデン

    ノルウェー

    オーストラリア

    ベルギー

    スペイン

    カナダ

    フィンランド

    日本

    トルコ

    フランス

    ルクセンブルク

    OECD各国平均

    オランダ

    スイス

    イギリス

    アイルランド

    イタリア

    韓国

    オーストリア

    ドイツ

    ポーランド

    ポルトガル

    アメリカ合衆国

    スロバキア共和国

    チェコ共和国

    ハンガリー

    高等教育後期中等教育未満

    ※「後期中等教育」を「100」とした場合の数値

    ※「高等教育」は,「大学型高等教育及び上級研究学位プログラム」と「非大学型高等教育」の計