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石油資源開発株式会社 https://www.japex.co.jp 2020.06 Printed in Japan 会社案内 2020 石油資源開発株式会社

2020...経営理念 目次 2 石油・天然ガスE&Pの概要 4 海外での取り組み 6 国内での取り組み 8 エネルギー開発 10 エネルギー供給 12 新たな事業への取り組み

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Page 1: 2020...経営理念 目次 2 石油・天然ガスE&Pの概要 4 海外での取り組み 6 国内での取り組み 8 エネルギー開発 10 エネルギー供給 12 新たな事業への取り組み

石油資源開発株式会社https://www.japex.co.jp

2020.06 Printed in Japan

● ● 会社案内 2020

石油資源開発株式会社

Page 2: 2020...経営理念 目次 2 石油・天然ガスE&Pの概要 4 海外での取り組み 6 国内での取り組み 8 エネルギー開発 10 エネルギー供給 12 新たな事業への取り組み

● ● 経営理念

● ● 目次2 石油・天然ガスE&Pの概要4 海外での取り組み6 国内での取り組み8 エネルギー開発10 エネルギー供給12 新たな事業への取り組み14 CSR

16 会社概要

• 国内外において、石油・天然ガスの探鉱・開発・生産・販売に取り組みます。

• 当社国内インフラ基盤を活用したガスサプライチェーンを、 電力供給を加えてさらに強化します。

• 当社の技術と知見を活かした新技術開発と事業化を通じて、 エネルギーや気候変動に係る持続可能な社会への 課題解決に貢献します。

• すべてのステークホルダーとの信頼を 最優先とし、企業としての持続的な発展と 企業価値の最大化を図ります。

私たちは、エネルギーの安定供給を通じた社会貢献を使命とするとともに、持続可能な開発目標の実現に向けた社会的課題の解決に取り組みます。

1JAPEX Corporate Guide 2020

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原油

天然ガス

LNG

調べる 探す 採る 届ける

石油地中に存在する、さまざまな種類の炭化水素の混合物

が主成分の、液状の可燃性物質全般のことです。地下にある油田から採掘しガスや水分などを除いた状態の液体が原油で、加熱し沸点の差を利用して蒸留・分解することで、液化石油ガス(LPG)、ナフサ(ガソリン)、灯油、軽油、重油、アスファルトなどに分類されます。分類されたものは、それぞれの特性に合わせて、自動車

や機械などの動力用燃料や、ペットボトルやプラスチック、繊維など、化学工業製品の原料として利用されています。

石油・天然ガスのなりたち石油や天然ガスは、太古の生物の死骸などが地下に埋積し、地下の高い温度や微生物の分解作用などにより、数百万から数千万年をかけてできるものと言われています。石油や天然ガスができる地層は根源岩と呼ばれ、地中の割れ目を通って上へ移動していきます。その後、帽岩と呼ばれる緻密な岩石がドーム状に存在し、その下に貯留岩と呼ばれる石油や天然ガスがたまりやすい地層がある場所に集まっていきます。

天然ガス・LNG メタンを主成分とする可燃性のガスで、空気より軽い、無色無臭の気体です。燃焼した時の二酸化炭素(CO2)、窒素酸化物(NOx)、硫黄酸化物(SOx)の排出量が石油や石炭など他の化石燃料に比べ少ないことから、環境負荷の低いエネルギーとされています。 天然ガスをマイナス162℃まで冷却し液化させたものが、LNG(液化天然ガス)です。液化すると体積が600分の1

になり、長距離の輸送や大量貯蔵が可能になります。日本で消費されるガスの大半はLNGを気化したもので、その大半は海外から輸入されています。

● ● 石油・天然ガス E & P の概要

石油・天然ガスE&PのバリューチェーンJAPEXは、創業以来、石油や天然ガス産業の上流であるE&P(Exploration and Production、 探鉱・開発・生産)と、輸送・供給に取り組んでおり、国内外において多くの実績を持つとともに、蓄積してきた幅広い技術と知見で、エネルギーの安定供給に貢献しています。

お客様● ガス火力発電所● 都市ガス事業者● 産業用● 石油精製会社● その他

鉱区権益の取得情報収集 事前調査 鉱区権益の取得

開発・生産基本設計 生産井の掘削 施設の建設 油ガスの生産

輸送・供給● 原油 ローリー/タンカー/パイプライン● 天然ガス パイプライン● LNG LNG船(外航船/内航船)/ローリー/鉄道

探鉱地質調査 物理探査 試掘・探掘 埋蔵量の評価

根源岩

石油層

ガス層帽岩

貯留岩

油天然ガス

鉱区取得調

陸上物理探査探

生産井採

原油ローリー届

届 届

届 原油タンカー

届 原油パイプライン

届 天然ガスパイプライン

届 LNGローリー

届 LNG船

受入基地

LNG製造プラント

LNG鉄道輸送

探 海上物理探査

探 陸上リグ

探 海上リグ

処理施設採

32 JAPEX Corporate Guide 2020JAPEX Corporate Guide 2020

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海外事務所

本社

海外事務所

アバディーン事務所

ヒューストン事務所

ドバイ事務所

ジャカルタ事務所

シンガポール事務所

A

B

Cイラク

ガラフプロジェクト

02 インドネシアカンゲアンプロジェクト

01

カナダシェールガスプロジェクト 03

カナダオイルサンドプロジェクト

英国英領北海海上鉱区 ロシア

サハリン1プロジェクト

米国タイトオイルプロジェクト

04

オイルサンド 日本: P6

● ● 海外での取り組み

E&Pプロジェクトの価値最大化を目指して海外での石油・天然ガスE&Pプロジェクトにおいて、当社の技術や知見を活用して貢献しています。また、新たな海外E&Pプロジェクトの発掘にも継続的に取り組んでいます。

B ロシア サハリン1プロジェクト

鉱区名 チャイウォ、オドプト、アルクトン・ダギ鉱床 (サハリン島北東沖海上)

プロジェクト会社 サハリン石油ガス開発(株)(SODECO)

 オペレーターのエクソンモービル社を中心に、3つの油ガス田で、主に原油の開発・生産を行っています。当社はSODECOを通じプロジェクトに参画しています。

原油・天然ガス原油・天然ガスA 英国

英領北海海上鉱区 鉱区名 シーガル鉱区(アバディーン沖約300キロメートル) プロジェクト会社 JAPEX UK E&P Ltd.

 2014年に鉱区権益を取得して参画し、産出テストや評価作業を経て2019年 3月に開発移行を決定しました。現在は、原油・天然ガスの生産開始に向けた開発作業を進めています。

C 米国 タイトオイルプロジェクト

鉱区名 ミドル・マッコーウェン鉱区(テキサス州南部) プロジェクト会社 Japex( U.S.) Corp.

2012年8月に、テキサス州南部イーグル・フォード地区の鉱区権益を取得し、タイトオイル開発プロジェクトに参画しています。

原油

天然ガス

天然ガス

インドネシア

カンゲアンプロジェクト 鉱区名 カンゲアン鉱区(ジャワ島東部海上) プロジェクト会社 Energi Mega Pratama Inc.

02

カナダ

シェールガスプロジェクト 鉱区名 ノース・モントニー鉱区(ブリティッシュ・コロンビア州 ) プロジェクト会社 JAPEX Montney Ltd.

当社は2013年4月に参画し、オペレーターであるペトロナス社(マレーシア国営石油会社)子会社などとともに、シェールガスの開発生産を行っています。2019年は日量平均約1,200万立方メートルのシェールガスを生産しました。この鉱区では豊富なシェールガス資産が確認されており、この資産の価値の最大化を図るため、カナダにおける天然ガスの市況や需要をみながら、経済性の高いエリアを中心に開発を行っています。

03

関連: P9 シェールガス・タイトオイルの開発

1978年に現地プロジェクト会社 JACOSを設立し、以降約40年にわたりカナダでオイルサンド開発に取り組んでいます。

JACOSは、水蒸気を利用してオイルサンド層からビチューメン(超重質油)を取り出すSAGD法のパイオニアとして、その確立に貢献しています。1999年にハンギングストーン鉱区でSAGD法によるビチューメンの試験生産を開始し、2003年に商業生産への移行に成功しました。現在は、2017年 8月に本格生産操業を開始し2018年6月

末に安定生産操業に移行したエリアで、日量2万バレル規模を軸に、市況をみながら柔軟な生産操業を行っています。

参照: P8 SAGD法によるオイルサンド開発

カナダ

オイルサンドプロジェクト 鉱区名 ハンギングストーン鉱区(アルバータ州) プロジェクト会社 カナダオイルサンド(株)

ビチューメン

04

※Japan Canada Oil Sands Limited (JACOS)が  現地法人として事業を推進

ジャワ島東部海域に位置するカンゲアン鉱区では、複数のガス田で天然ガスの開発生産を実施しており、当社は2007年から参画しています。現在の生産の主力は2019年 3月に生産を開始したTSB

ガス田群のシラスンおよびバトゥールガス田で、プロジェクト全体で日量500万立方メートル前後の天然ガスを生産しています。生産したガスは洋上生産施設(FPU)で処理し、東ジャワパイプライン経由でスラバヤ市近郊の国営電力会社や肥料工場などに供給しています。

関連: P9 シェールガス・タイトオイルの開発

原油

01 イラク

ガラフプロジェクト 鉱区名 ガラフ油田(ジカール県北部) プロジェクト会社 (株)ジャペックスガラフ

2009年にオペレーターのペトロナス社(マレーシア国営石油会社)と共同で落札した開発生産権にもとづき、原油の開発生産を行っています。

2013年 8月の商業生産開始以降は、日量約9~ 10万バレルの原油を生産してきています。また、日量 23万バレル規模への生産量増加を目指し、開発作業を進めています。

54 JAPEX Corporate Guide 2020JAPEX Corporate Guide 2020

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旭川

札幌北広島

苫小牧

男鹿

由利本荘

にかほ

酒田

余目

内航船

LNGローリー供給

LNGローリー供給

LNGローリー供給

内航船

鶴岡

村上

山形

仙台岩沼

白石

福島

郡山

会津若松

山形天然ガスパイプライン東北天然ガス(株)

相馬・岩沼間ガスパイプライン

川口

金沢

小松

秋田

室蘭

岩見沢

帯広釧路

千歳

0910

06

01

04

07

05

02

白石・郡山間ガスパイプライン

08

海外から受け入れ

海外から受け入れ

03

新潟・仙台間ガスパイプライン

● ● 国内での取り組み

石油・ガスおよび電力の安定供給に貢献現在、国内10か所の油ガス田で石油や天然ガスを生産し、さまざまな方法で国内のお客様へ輸送し供給しています。また、LNG(液化天然ガス)や、ガス火力発電など、当社が取り扱うエネルギーの多様化を進めています。

勇ゆうふつ払油ガス田

北海道苫小牧市発見:1989年 生産開始:1996年

油ガス田

01

油ガス田鮎あゆかわ川油ガス田

秋田県由利本荘市発見:1989年 生産開始:1995年

03

ガス田東ひがしにいがた新潟ガス田

新潟県新潟市発見:1959年 生産開始:1959年

08

ガス田吉よしい井ガス田

新潟県柏崎市発見:1968年 生産開始:1968年

09

ガス田片かたかい貝ガス田

新潟県小千谷市発見:1960年 生産開始:1960年

10

ガス田紫しうんじ雲寺ガス田

新潟県新発田市発見:1962年 生産開始:1963年

07

油ガス田岩いわふねおき船沖油ガス田

新潟県胎内市の胎内川河口から約4キロメートル沖合発見:1983年 生産開始:1990年

06

油ガス田由ゆりはら利原油ガス田

秋田県由利本荘市発見:1976年 生産開始:1984年

04

油田申さるかわ川油田

秋田県男鹿市発見:1958年 生産開始:1959年

0202

油田余あまるめ目油田

山形県東田川郡庄内町発見:1960年 生産開始:1960年

05

LNG受入基地日本海LNG(株)新潟基地 LNG基地

発電所パイプラインLNGローリーLNG鉄道タンクコンテナLNG内航船

LNG受入基地北海道ガス(株)石狩LNG基地

A

E

相馬LNG基地福島県相馬郡新地町

C

勇払LNGプラント/勇払LNG受入基地北海道苫小牧市

B

福島天然ガス発電所福島ガス発電(株)福島県相馬郡新地町

D

76 JAPEX Corporate Guide 2020JAPEX Corporate Guide 2020

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浸透率の低いシェール(頁岩)層に存在するシェールガスやタイトオイル(シェールオイル)は従来の技術による開発生産が困難でしたが、近年のシェール層に沿って水平に井戸を掘る水平井の技術と、高圧の水の力で岩を砕き生産性を向上させるフラクチャリング(水圧破砕)の技術により、2000年代から商業生産が本格化しました。当社は、海外では2012年にアメリカ・テキサス州のタイ

トオイル開発プロジェクトに、2013年にカナダ・ブリティッシュ・コロンビア州のシェールガス開発生産プロジェクトに参画しています。国内では、2014年に秋田県の鮎川油ガス田で国内初のタイトオイル商業生産に成功、2014~2017年には秋田県の福米沢油田で多段フラクチャリングを用いたタイトオイル開発実証試験を行いました。

● ● エネルギー開発

オイルサンド層からビチューメン(超重質油)を取り出す技術であるSAGD法のパイオニアとして、1992年からカナダ・アルバータ州で実用化に向けた取り組みを進め、1999

年に試験生産に成功、2003年に商業生産にいたりました。現在は、カナダのハンギングストーン鉱区( P.5- 04 )で、SAGD法を用いた生産操業を行っています。

SAGD法は、高温高圧の水蒸気を用いてオイルサンド層を温めることにより、ビチューメンに流動性を持たせて回収する手法です。2本の井戸を水平に掘削し、上の井戸に水蒸気を入れてオイルサンド層を温めると、オイルサンド層内のビチューメンが下方に流れ始めます。下方に流れたビチューメンを、下の井戸で回収します。

01TOPICS SAGD法によるオイルサンド開発

02TOPICS シェールガス・タイトオイルの開発

技術の進化がもたらす新たなエネルギー資源オイルサンドやシェールガスなど従来の油ガスとは異なる形で存在する “非在来型資源”の開発・生産技術の確立と向上にも継続的に取り組んでいます。また、新たな国産エネルギーの可能性が期待されるメタンハイドレートなど、次世代エネルギー資源の生産技術実用化への取り組みにも貢献しています。

△ カナダ ハンギングストーン鉱区オイルサンド生産施設

メタンハイドレートとは、メタンと水からなる固体で、日本近海の水深500メートルを超える海底面下に豊富に存在することが確認されています。新たな国産エネルギー資源としての可能性を期待されており、政府が生産技術の確立と実用化に向けたプロジェクトを立ち上げ、民間企業とともに研究を進めています。

2014年に当社を含む民間企業11社で設立した日本メタンハイドレート調査(株)を通じ、政府の海洋産出試験へ参画するなど、実用化を目指した取り組みへ貢献しています。

03TOPICS メタンハイドレート

△ 人工メタンハイドレートが燃焼している様子写真提供:MH21-S 研究開発コンソーシアム

約2,000m

            ~

3,000m

△ シェールガス・タイトオイル開発・生産井概念図

約1,500m~

フラクチャリング(水圧破砕)

水平井

△ SAGD法概念図

オイルサンド層

500~ 1,000m

300m

5mビチューメン生産井

水蒸気注入井

98 JAPEX Corporate Guide 2020JAPEX Corporate Guide 2020

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● ● エネルギー供給

環境負荷の低い天然ガスを国内へ安定供給国産の天然ガスと海外からのLNG(液化天然ガス)とを組み合わせて供給するための、さまざまなインフラや手法を組み合わせた天然ガスサプライチェーンを構築し、他の化石燃料と比べ環境負荷の低い天然ガスへの国内需要に応えています。

新潟・仙台間ガスパイプラインを中心とする総延長800キロメートル超の高圧ガスパイプライン網で当社のガス田やLNG

基地をつなぎ、沿線のお客様に天然ガスを供給しています。大地震を考慮した耐震設計としているほか、防食による耐久年数の確保や、運転状況の24時間遠隔監視を実施しています。また、緊急時に遠隔操作によるガス遮断が可能な体制をとるとともに、作業員の沿線パトロールや保守点検などにより、安全操業に細心の注意を払っています。

02TOPICS LNG基地

△ 相馬LNG基地

01TOPICS 国内天然ガスパイプライン網

天然ガスパイプライン網が整備されていない地域へLNG

を液体のまま輸送供給するサテライト供給も、当社の天然ガス供給ネットワークにおける重要な役割を果たしています。当社のLNG受入拠点周辺地域のお客様の要望に応じて、専用ローリーで、また、一部地域へは鉄道タンクコンテナを利用して、LNGを出荷しています。加えて、当社の国内天然ガス供給ネットワークの需要動向

などをみながら、LNG内航船を使った国内LNG受入拠点間でのLNG輸送も行っています。

LNG鉄道タンクコンテナ輸送LNGの画期的な輸送体系として当社が先駆けて開発した、貨物列車を利用したLNGの輸送方式です。鉄道を利用することで、より広い範囲のお客様へLNGを供給できます。パイプラインインフラ未整備の地域や環境負荷低減効果の観点から海外から高い関心を受けており、実施可能性検討などのコンサルティングサービスなども実施しています。

03TOPICS LNGサテライト供給

△ LNGローリー出荷設備(相馬LNG基地)

△ 新潟・仙台間ガスパイプライン

海外からのLNG受入拠点と、国内基地間でのLNG内航船による輸送が、当社の国内天然ガス供給ネットワークにおける安定的なガス供給に大きな役割を果たしています。福島県・相馬港に位置する相馬LNG基地は、国内最大

級の23万キロリットル地上式LNGタンク2基、LNG外航船受入桟橋、LPG(液化石油ガス)受け入れとLNG出荷を兼ねる内航船桟橋、LNG気化設備、LNGタンクローリー出荷設備などからなる、当社のLNG受入と輸送における中核拠点です。北海道の勇払LNG受入基地では、相馬LNG基地からの内航船を受け入れ、勇払油ガス田で生産した天然ガスとLNGを気化したガスとを合わせて、北海道内へ天然ガスを供給しています。隣接する勇払LNGプラントは、勇払油ガス田で生産した天然ガスの一部を液化する設備も備えています。

LNGバンカリング(LNG燃料船へのLNG直接供給)2020年以降の海洋船舶環境規制でLNG燃料船の普及拡大が見込まれており、LNG燃料を直接船舶へ供給する「LNG

バンカリング」実現への動きが国内外で加速しています。当社は、国内LNG供給インフラや、2011~12年に北海道・苫小牧沖で実施した船舶間LNG移送経験を活かし、国内外でLNGバンカリング実現に向けた検討などを進めています。

天然ガス地下貯蔵の活用新潟県の紫雲寺ガス田( P.7- 07 )では、生産が終了した油ガス田の地質構造の特性を活かし、ガス田と当社ガスパイプライン網を接続して天然ガス地下貯蔵を実施しています。夏場には他のガス田で生産したガスを貯蔵し、冬場にそのガスを再生産して供給することにより、季節で変動する需要へ柔軟に対応しています。

1110 JAPEX Corporate Guide 2020JAPEX Corporate Guide 2020

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● ● 新たな事業への取り組み

エネルギー開発の知見で新たな事業へ挑戦環境負荷の低いLNG(液化天然ガス)を燃料とする発電や再生可能エネルギーの開発に加え、CO2排出量削減の切り札として実用化が期待されるCCS・CCUS技術の開発などに、石油・天然ガスE&Pをはじめこれまでの事業で培った知見や経験を活用し取り組んでいます。

化石燃料のなかで最もCO2排出量が少なく環境負荷の低いLNGを気化したガスを燃料とする天然ガス火力発電は、クリーンなエネルギーとしてのみならず、中長期的な日本のエネルギーの一端を担う電力供給源としても期待されています。

01TOPICS 天然ガス火力発電

△ 福島天然ガス発電所(福島ガス発電(株))

03TOPICS CCS・CCUS

低炭素化と気候変動への対応のため、環境負荷の低い再生可能エネルギーの開発へ本格的に取り組み始めました。石油・天然ガス開発で培った地下構造の調査や掘削など

の技術に加え、天然ガス火力発電所の建設や運営で得た知見やノウハウなどを活かして、風力やバイオマスを含むさまざまな再生可能エネルギー開発プロジェクトへの参画機会を国内外で追求しています。これまでにも取り組んでいた地熱開発は新規開発機会の発掘を継続しており、また、北海道・苫小牧市のメガソーラー拠点2か所の稼働にも引き続き携わっています。

02TOPICS 再生可能エネルギー

△ 当社 北海道事業所メガソーラー

△ 苫小牧CCS実証プロジェクト地上設備 写真提供:日本CCS調査(株)

福島県・相馬港の相馬LNG基地の隣接地では2020年に、LNGを気化したガスを燃料とする出力最大118万キロワットの「福島天然ガス発電所」の営業運転を開始し、電力事業が本格的に立ち上がりました。実績のあるガスタービン・コンバインドサイクル(GTCC)方式の発電設備に最新の要素技術を加えることで世界最高クラスの発電効率を実現しており、また、東日本大震災級の災害に耐えうる設計や、周辺環境へも配慮するなど、安全かつ環境負荷の低い発電所です。当社は事業主体の福島ガス発電(株)へ出資し主体的な

役割を果たすとともに、他の事業パートナー分を含む発電燃料用LNGの貯蔵と発電所に向けた燃料送出作業を相馬LNG基地で受託し実施しています。

CCS(Carbon dioxide Capture and Storage)は、工場や発電所などで発生する二酸化炭素(CO2)を大気放散前に回収し、坑井から地中貯留に適した地層まで圧入することにより、長期間、安定的に貯留する技術です。気候変動の原因の一つとされるCO2の大規模な削減へ貢献する技術として、その確立と実用化が期待されています。当社は、北海道・苫小牧市でのCO2圧入実証事業へ参画し、地下の調査や坑井の掘削などで貢献しています。また、回収したCO2を有効活用したうえで地下に貯留する

CCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)の技術開発にも取り組んでいます。例えば、減退した生産井にCO2を圧入し、残っている原油を押し出して生産量を増加させると同時に、圧入したCO2は地下に貯留するCO2-EOR

(Enhanced Oil Recovery:石油増進回収法)は、CO2排出量のオフセットも期待できることから、国内外で実証試験や調査などへの参画機会を追求しています。

1312 JAPEX Corporate Guide 2020JAPEX Corporate Guide 2020

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● ● C S R

ステークホルダーとの信頼関係の構築を通じた持続的な成長と企業価値の向上「エネルギーの安定供給」という事業活動そのものがCSRという考えのもと、安全や環境に配慮しながら、さまざまなステークホルダーとの信頼関係構築を通じた、企業としての持続的な成長や価値の向上を目指しています。

01TOPICS 企業文化としてのHSE

国内外の事業場において、省エネによる温室効果ガス(GHG)の排出量削減に取り組んでいます。また、土壌、水質、大気汚染のリスクを特定し必要な予防措置を実行しているほか、資源循環の観点から、事業の特性上多量に使用する水資源の保護と有効活用に努めています。事業活動の生物多様性への影響低減や生態系の保全に

も継続して取り組んでおり、プロジェクトの開始時点での自主的な環境影響評価や、その結果にもとづく開発計画の策定と実施、終了後のモニタリング継続などを実施しています。

「JAPEXダイバーシティ方針」にもとづき、性別・国籍・年齢・キャリア・ワークスタイルの異なるさまざまな従業員がそれぞれ自律したプロフェッショナルとして活躍し成長し続けることを目指し、その実現のための環境づくりと制度を拡充しています。「キャリア開発制度」にもとづく、一人ひとりの主体的キャリア開発と、能力・スキルの形成や向上を支援する教育プログラムを展開しています。また、ワーク・ライフ・バランスの確保を支援するため、多様な働き方に合わせたキャリア支援制度、フレックス勤務制度の導入に加え、テレワークも実施しています。

事業を推進する地域のさまざまなステークホルダーとの対話や貢献を通じ、信頼される企業であるよう努めています。国内では、自治体が主催するイベントや講演会への参加

や協力、当社の施設見学・職場体験の受け入れなどを行っています。また、地域社会の一員として当社拠点がある地域のイベントなどにも積極的に参加し、交流を深めています。海外では、当社が参画するプロジェクトにおいて、ニーズ

にもとづく社会インフラの整備や支援、地域コミュニティなどとの協働・交流活動を行っています。

02TOPICS 環境への取り組み

04TOPICS 働きがいのある職場

03TOPICS 地域社会への貢献

△ カナダ・オイルサンドプロジェクトにおける現状回復作業

△ 都内における新地町の物産販売イベント支援

労働安全衛生への取り組み事業活動におけるHSE(Health, Safety & Environment:労働安全衛生・環境)の確保と保全を「JAPEX HSEポリシー」で宣言し、全社的かつ継続的に取り組んでいます。また、独自のHSEマネジメントシステム(HSE-MS)を

整備し、オペレーターを務める全事業で、リスクの適切な管理と低減、HSE文化の醸成と向上、従業員の健康増進など、HSEの継続的な推進と改善を図っています。国内外事業場のHSE-MS監査では、法令順守やHSE-MS実施状況のほか、リスクアセスメントやHSE教育実施実績の管理など、多岐にわたるHSE活動のチェックを行っています。

△ 管理職向け「イクボスセミナー」△ 徒歩帰宅訓練△ 鉱場における「ゼロ災コール」

危機管理への取り組み国内外の事業の展開においては、従業員や職場の安全

確保と危機管理を最優先課題に位置付け、HSSE委員会で基本方針の策定や重要事項を審議・決定しています。震度6以上の地震やその他の大規模災害による緊急事態に対応するための初動マニュアルの整備運用と総合防災訓練、また従業員の安否確認や徒歩帰宅の訓練なども定期的に実施しています。また、海外事業に携わる事業場との緊急時対応に係るよ

り実践的な訓練も定期的に行うほか、出張者や駐在予定者向けの海外安全講座も実施しています。

1514 JAPEX Corporate Guide 2020JAPEX Corporate Guide 2020

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● ● 会社概要

( 2020年 3月 31日現在)

● ● 役員 ● ● 沿革

● ● 主な子会社および関連会社

社名 石油資源開発株式会社設立年月日 1970年 4月1日資本金 14,288,694,000円従業員数 1,739名(連結)

*1 取締役 小島明、伊藤鉄男、山下ゆかり、および川崎秀一は会社法第 2 条第15 号に定める 社外取締役です。*2 監査役 渡辺裕泰および中島敬雄は会社法第 2 条第16 号に定める社外監査役です。*3 「フェロー」は、当社専門職の職務領域において、非常に高度な専門性をもって 経営をサポートする業務を行います。

本社:〒100-0005 東京都千代田区丸の内1-7-12サピアタワー電話 03-6268-7000(代表)

代表取締役会長

渡辺  修

代表取締役社長社長執行役員藤田 昌宏

専務執行役員菅  剛志

常務執行役員天野 正徳

取締役常務執行役員山下 通郎

取締役専務執行役員石井 美孝

取締役常務執行役員伊藤  元

執行役員本山 喜彦

執行役員手塚 和彦

執行役員阿部  理

取締役川崎 秀一 *1

取締役小島  明 *1

常勤監査役内田 賢二

常勤監査役下村 恒一

監査役渡辺 裕泰 *2

監査役中島 敬雄 *2

代表取締役副社長執行役員檜貝 洋介

常務執行役員浜田 康史

執行役員脇嶋 良平

取締役常務執行役員平田 敏幸

常務執行役員国安  稔

執行役員高畑 伸一

フェロー *3

早稲田 周

取締役伊藤 鉄男 *1

取締役山下 ゆかり *1

取締役専務執行役員大関 和彦

常務執行役員加来 仙一朗

執行役員宮台 隆将

常務執行役員中村 常太

常務執行役員松永  正

執行役員中島 俊朗

秋田県天然瓦斯輸送(株)エスケイ産業(株)エスケイエンジニアリング(株)北日本オイル(株)白根ガス(株)(株)ジャペックスパイプライン(株)地球科学総合研究所(株)物理計測コンサルタントJapex (U.S.) Corp.Japan Canada Oil Sands Limited

北海道事業所:〒059-1364北海道苫小牧市字沼ノ端134-648電話 0144-51-2205(代表)

秋田事業所:〒011-0901秋田県秋田市寺内字蛭根 85-2電話 018-866-9511(代表)

長岡事業所:〒940-8555新潟県長岡市東蔵王 2-2-83電話 0258-31-1401(代表)

相馬事業所:〒979-2611福島県相馬郡新地町駒ヶ嶺字今神159-2電話 0244-26-9846(代表)

仙台事務所:〒980-0013宮城県仙台市青葉区花京院1-1-20花京院スクエア5階電話 022-224-0731(代表)

技術研究所:〒261-0025千葉県千葉市美浜区浜田1-2-1電話 043-275-9311(代表)

石油資源開発株式会社法に基づく特殊会社「石油資源開発株式会社」創立

見附油田 発見(生産期間:1958-2016)

申川油田 発見(1959生産開始)

東新潟ガス田 発見(1959生産開始)

余目油田 発見(1960生産開始)

片貝ガス田 発見(1960生産開始)

紫雲寺ガス田 発見(1963生産開始)

石油資源開発株式会社法の改正により事業範囲が海外地域にまで拡大

吉井ガス田 発見(1968生産開始)

石油開発公団から分離し、民間会社「石油資源開発株式会社」として再発足

由利原油ガス田 発見(1984生産開始)

カナダ オイルサンドプロジェクト 参画

岩船沖油ガス田 発見(1990生産開始)

勇払油ガス田 発見(1996生産開始)

鮎川油ガス田 発見(1995生産開始)

新潟・仙台間ガスパイプライン開通

カナダ オイルサンドプロジェクト試験生産開始(2003 商業生産開始)

東京証券取引所市場第一部に株式を上場

インドネシア カンゲアンプロジェクト参画(開発・生産中)

イラク ガラフプロジェクト 参画(2013生産開始)

カナダ シェールガスプロジェクト 参画(開発・生産中)

相馬LNG基地 操業開始

福島天然ガス発電所 営業運転開始(福島ガス発電(株))

アバディーン事務所:One Marischal Square centre 5083,Aberdeen, AB1O 1BL, UK電話 +44-12-2484-1358

ドバイ事務所:203 Spectrum Building,Al Qutaeyat Road, Oud Metha,P.O.Box 121620, Dubai, U.A.E.電話 +971-4-334-4248

ヒューストン事務所:5051, Westheimer, Suite 425Houston, TX 77056, U.S.A.電話 +1-713-334-9800

ジャカルタ事務所:Menara Cakrawala 9th Floor,JL.M.H.Thamrin, No.9,Jakarta10340, Indonesia電話 +62-21-3901507

シンガポール事務所:10 Collyer Quay, Level 40 Ocean Financial Centre,Singapore 049315電話 +65-6808-6050

主な事業所・海外事務所

事業内容 石油、天然ガスおよびその他のエネルギー資源の探鉱、開発、生産、販売とこれらに関連しての掘削などの請負事業ほか

北日本防災警備(株)カナダオイルサンド(株)日本海洋石油資源開発(株)(株)ジオシス(株)ジャペックスエネルギー(株)ジャペックスガラフJAPEX Montney Ltd.JAPEX UK E&P Ltd.東北天然ガス(株)JJI S&N B.V.

(株)テルナイト北九州エル・エヌ・ジー・ローリー販売(株)Energi Mega Pratama Inc.Kangean Energy Indonesia Ltd.EMP Exploration (Kangean) Ltd.Diamond Gas Netherlands B.V.サハリン石油ガス開発(株)福島ガス発電(株)

1955.12

1958.3

1958.7

1959.6

1960.3

1960.12

1962.8

1965.5

1968.4

1970.4

1976.6

1978.12

1983.6

1989.3

1989.11

1996.3

1999.3

2003.12

2007.5

2010.3

2013.4

2018.3

2020.4

△ 本社

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