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2016年度3年後期 素粒子物理学 1
第5回 2016年11月11日
戸本 誠高エネルギー物理学研究室(N研)
前回の復習(1) 2
非相対論的な摂動論:粒子の散乱を考える
V(x)
initial(i)
final(f)
フェルミの黄金律(遷移率) φi, pi,
φf,pf
状態iの粒子がポテンシャルV(x)によっていくつかある終状態のうち状態fへと遷移する確率
入射フラックスを考慮して断面積に
単位時間あたりの遷移確率
と にある状態数::終状態密度
前回の復習(2) 3
遮蔽されたクーロンポテンシャル
原子核
例:ラザフォード散乱の計算
体積Vに粒子が1個 →
遷移確率
始状態と終状態の平面波解
原子核
θα粒子, spin=0
前回の復習(3) 4
状態密度
始状態の粒子数の規格化(フラックス)
遷移確率
どんな始状態で粒子を原子核に衝突させるか?を規格化→フラックス=単位面積を単位時間に通り過ぎる粒子数
体積Vの中に1粒子→単位体積あたり1/V個速度v=p/m フラックス
前回の復習(4) 5
で規格化断面積、散乱角度分布を測定
電磁気の性質、結合の強さ
今日の内容 6
簡単のため、スピン0粒子の電気力学による断面積の表式化
現実的な、スピン1/2粒子の電気力学
2体→2体系での散乱断面積の計算の続き
←今日はこれ
スピンを持たない素粒子の散乱 7
自由粒子のKlein-Gordn方程式
で、電磁場を導入
e- e-
γ
電子(spin=0)が電磁場中を運動
にpA pC
1次 2次 (高次として今は考慮しない)
と比較して摂動ポテンシャルVを導出
t
スピンを持たない素粒子の散乱 8
e- e-
γ
pA pC
jμとAμがわかると、遷移率が計算できる。
jμ(1)
Aμt
jμΦ Φ
Φi Φf
スピンを持たない素粒子の散乱 9
e- e-
γ
pA pC平面波
スピン0の粒子の波動関数として
を考える
φA(x) φc(x)jμ(e)
Aμ
t
スピンを持たない素粒子の散乱 10
次に、電磁場γ (Aμ)がμ粒子によってできたと考えるMaxwell方程式μ粒子の電流によってできた電磁場 μ粒子の電流
e- e-
γ
pA pCφA(x) φc(x)
jμ(e)
Aμ
μ- φB(x) μ-φD(x)jμ(2)
q=pD-pB
なので
不変振幅
t
エネルギー・運動量保存
不変振幅 11
e- e-
γ
pA pCφA(x) φc(x)
jμ(e)
Aμ
μ- φB(x) μ-φD(x)jμ(2)
q=pD-pB
ちなみに、q2 ≠ 0 (質量が0でない)→仮想光子と呼ぶ
単位時間の遷移率、フラックス、終状態数の定義→断面積
ファインマンダイアグラム
不変振幅を用いた断面積の表式化 12
◯ 規格化定数 NA..Dの決定
体積Vの中に2E個の粒子
不変振幅を用いた断面積の表式化 13
◯ A+B→C+Dの単位時間(T)、単位体積(V) あたりの遷移率
不変振幅を用いた断面積の表式化 14
断面積 = Wfi / (入射フラックス) × (状態数の数)理論計算と実験による測定量との比較が可能な量異なる実験室での測定で比較が可能な量
◯ 入射フラックス:単位時間に標的に達しうる単位面積あたりの粒子数vA
単位時間に |vA - vB|
入射粒子数 標的粒子数単位時間の移動量
◯ 終状態の数:
ローレンツ不変な位相空間体積 dLips
物理情報
入射フラックス因子 F
粒子数/単位体積vB
入射フラックス 15
pA(EA,0,0,|pA|) pB(EB,0,0,|pB|)
ローレンツ不変量
PI=PA=-PB|PI|=|PA|=|PB|
重心系の場合
実験室系の場合
√s=W=(EA+EB) 重心系エネルギー
pA(EA,0,0,|pA|) (mB,0,0,0)
何れの場合でも、
位相空間体積 16
但し、
→
重心系の位相空間体積 17
PA(EA,PA)
PB(EB,PB)
PI=PA=-PB Pc(Ec,Pc)
PD(ED,PD) PF=PC=-PD
→
→
θCM
重心系の2体→2体系 断面積計算 18
応用1:電子・μ粒子散乱 19
非現実的ですが、非常に高エネルギーのスピンを持たない電子・μ粒子散乱
θCM
e- μ-
μ-
e-
応用2:スピンを持たない電子・電子散乱 20
e- + e- → e- + e-
A
B
C
D
A
B
D
C
A
B D
C
≡
同種粒子の散乱→ C↔D(A↔B)の粒子交換で不変振幅が対称
+
PA↔PB
2つは、実験的に区別がつかない
応用3:スピンを持たない電子・陽電子散乱21
e-e-
e+e+PB
PA
PD
PC e-e-
e-e--PB
PA
-PD
PC
e-e-
e+e+PB
PA
PD
PC e-e-
e+e+-PB
PA
-PD
PC
ie(PA+PC)
ie(PC-PD)ie(PA-PB)
ie(-PB-PD)q=-PD+PB
q=PC+PD
=
=
Mandelstam 変数 22
s-channels=(PA+PB)2 t=(PA-PC)2
t-channelu=(PA-PD)2u-channel
ローレンツ不変な変数
重心系エネルギーを√sと書くのはここから
PB
PA
PD
PC
PB
PA
PD
PC
PB
PA
PD
PC
今日のまとめ 23
スピン0の粒子衝突の断面積を計算しました。
ローレンツ不変な位相空間体積 dLips
物理情報
入射フラックス因子
断面積 = Wfi / (入射フラックス) × (状態数の数)
重心系の2体→2体系 断面積